(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161744
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/298 20210101AFI20231031BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20231031BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20231031BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20231031BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20231031BHJP
【FI】
H01M50/298
H01M50/249
H01M50/284
H01M50/569
H01M50/507
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072268
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 修哉
(72)【発明者】
【氏名】中山 治
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA04
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040DD02
5H040DD08
5H040DD13
5H040DD24
5H040JJ03
5H043AA17
5H043BA11
5H043CA04
5H043CA05
5H043FA04
5H043FA32
5H043HA07D
(57)【要約】
【課題】配線モジュールにおいて端子と回路基板との半田付けを容易にする技術を提供する。
【解決手段】配線モジュール20は、複数の蓄電素子11に取り付けられる配線モジュール20であって、電線と、電線に接続される端子60と、回路基板30と、を備え、端子60は、回路基板30に接続される接続部63を備え、回路基板30は、接続部63が半田付けされる接続ランドを備え、接続部63は、金属板材を切断して形成される切断部71と、互いに表裏の位置関係に配され、切断部71を介して接続される一対の接続面70と、を有し、一対の接続面70の少なくとも1つと接続ランドの表面とは交差して連続に配されている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、
電線と、
前記電線に接続される端子と、
回路基板と、を備え、
前記端子は、前記回路基板に接続される接続部を備え、
前記回路基板は、前記接続部が半田付けされる接続ランドを備え、
前記接続部は、金属板材を切断して形成される切断部と、互いに表裏の位置関係に配され、前記切断部を介して接続される一対の接続面と、を有し、
前記一対の接続面の少なくとも1つと前記接続ランドの表面とは交差して連続に配されている、配線モジュール。
【請求項2】
前記接続部はめっき層を備え、
前記めっき層の表面は、前記一対の接続面の少なくとも一部を構成している、請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項3】
前記接続ランドの表面は、前記切断部の一部と対向し、
前記一対の接続面の双方は、前記接続ランドの表面と連続に配されている、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項4】
前記接続部は、前記端子の延び方向における前記端子の先端部を含む先細り部を備え、
前記先細り部は、前記延び方向について前記先端部側に向かうにつれて前記一対の接続面が互いに近づくように傾斜することで、先細りした形状をなしている、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項5】
前記接続部は、前記金属板材を折り曲げて形成され、前記端子の延び方向における前記端子の先端部に配される屈曲部を備え、
前記屈曲部は、前記接続ランドの表面と連続に配される前記切断部を含まない、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項6】
前記端子は、前記電線に圧着される圧着部を備える、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項7】
前記複数の蓄電素子の電極端子に接続されるバスバーをさらに備え、
前記バスバーは前記電線と接続されている、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項8】
前記電線の芯線は、前記バスバーと同一の金属から構成されている、請求項7に記載の配線モジュール。
【請求項9】
前記回路基板は、前記接続ランドを含む導電路を備え、
前記導電路は、前記回路基板の片面にのみ形成されている、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項10】
前記接続ランドには、前記回路基板を貫通する貫通孔が形成されていない、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項11】
車両に搭載される前記複数の蓄電素子に電気的に取り付けられる車両用の配線モジュールであって、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車等に用いられる高圧のバッテリーパックは、通常、多数のバッテリーセルが積層され、配線モジュールによって直列あるいは並列に電気接続されている。このような配線モジュールは、バッテリーセルの電極端子に接続されるバスバーや、プリント基板、電線等を備えて構成することができる。例えば、配線モジュールは、特開2009-76224号公報(下記特許文献1)に記載の電線とプリント基板との接続構造を備えてもよい。
【0003】
特許文献1に記載の電線とプリント基板との接続構造は、電線とプリント基板とを接続する端子金具を備える。端子金具は、導電性金属板に打ち抜き加工や曲げ加工等が施されて形成されている。端子金具は、電線と接続される電線接続部と、プリント基板に接合される基板接合部と、を備える。特許文献1の構成では、基板接合部の底面とプリント基板の表面との間に介在させたクリーム半田等の接合材料を、リフロー炉にて溶融させることで、基板接合部とプリント基板とが接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の構成では、リフローにより基板接合部とプリント基板との接合が行われているが、プリント基板上に載置された基板接合部の周りに、半田ごてやレーザー照射によって糸半田を溶融させることによっても、基板接合部とプリント基板との半田付けを行うことができる。具体的には、プリント基板の導体パターンと、この導体パターンに連続して配される基板接合部の側面と、に溶融した半田が濡れ広がった状態にすることで、基板接合部とプリント基板とを接続することができる。
【0006】
ところで、金属板の打ち抜き加工により形成される切断部は、凹凸形状を有し、表面張力が大きいため、半田に濡れにくい。上記の構成では、プリント基板と連続して配される基板接合部の側面は、金属板の切断部となっており、半田が濡れ広がりにくい。したがって、上記の構成では、半田ごてやレーザー照射による基板接合部とプリント基板との半田付けに、時間を要することがありうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の配線モジュールは、複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、電線と、前記電線に接続される端子と、回路基板と、を備え、前記端子は、前記回路基板に接続される接続部を備え、前記回路基板は、前記接続部が半田付けされる接続ランドを備え、前記接続部は、金属板材を切断して形成される切断部と、互いに表裏の位置関係に配され、前記切断部を介して接続される一対の接続面と、を有し、前記一対の接続面の少なくとも1つと前記接続ランドの表面とは交差して連続に配されている、配線モジュールである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、配線モジュールにおいて端子と回路基板との半田付けを容易にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかる蓄電モジュールが搭載された車両を示す模式図である。
【
図3】
図3は、回路基板の周辺について示す蓄電モジュールの一部拡大平面図である。
【
図4】
図4は、回路基板の周辺について示す蓄電モジュールの斜視図である。
【
図8】
図8は、端子の接続部の周辺について示す蓄電モジュールの一部拡大平面図である。
【
図10】
図10は、端子と回路基板との接続部分を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、比較例にかかる端子と回路基板との接続部分を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態2にかかる端子の接続部の周辺について示す蓄電モジュールの一部拡大平面図である。
【
図13】
図13は、端子の接続部の周辺について示す蓄電モジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0011】
(1)本開示の配線モジュールは、複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、電線と、前記電線に接続される端子と、回路基板と、を備え、前記端子は、前記回路基板に接続される接続部を備え、前記回路基板は、前記接続部が半田付けされる接続ランドを備え、前記接続部は、金属板材を切断して形成される切断部と、互いに表裏の位置関係に配され、前記切断部を介して接続される一対の接続面と、を有し、前記一対の接続面の少なくとも1つと前記接続ランドの表面とは交差して連続に配されている、配線モジュールである。
【0012】
端子は、金属板材の打ち抜き加工、曲げ加工等により、形成される。このとき、接続部は、打ち抜き加工により形成される切断部と、もとの金属板材の外面である接続面と、を備える。一般に、切断部は接続面に比べて、表面粗さが大きいため、表面張力が大きい。したがって、切断部は接続面よりも半田の濡れ性に劣る。
上記の構成によると、接続ランドは、接続部の接続面と連続して配されるから、接続ランドから接続面へと半田が濡れ広がることで、接続ランドと接続部との半田付けを行いやすい。
【0013】
(2)前記接続部はめっき層を備え、前記めっき層の表面は、前記一対の接続面の少なくとも一部を構成していることが好ましい。
【0014】
このような構成によると、端子の内部を構成する金属よりも半田の濡れ性に優れた金属をめっき層として用いることで、より一層接続ランドと接続部との半田付けが行いやすくなる。
【0015】
(3)前記接続ランドの表面は、前記切断部の一部と対向し、前記一対の接続面の双方は、前記接続ランドの表面と連続に配されていることが好ましい。
【0016】
このような構成によると、一対の接続面の双方が接続ランドの表面と連続しているから、より一層接続ランドと接続部との半田付けが行いやすくなる。
【0017】
(4)前記接続部は、前記端子の延び方向における前記端子の先端部を含む先細り部を備え、前記先細り部は、前記延び方向について前記先端部側に向かうにつれて前記一対の接続面が互いに近づくように傾斜することで、先細りした形状をなしていることが好ましい。
【0018】
このような構成によると、接続部は端子の先端部を含む先細り部を備えるから、端子の先端部に配される切断部の面積を小さくすることができる。したがって、接続部を接続ランドと半田付けしやすくなる。
【0019】
(5)前記接続部は、前記金属板材を折り曲げて形成され、前記端子の延び方向における前記端子の先端部に配される屈曲部を備え、前記屈曲部は、前記接続ランドの表面と連続に配される前記切断部を含まないことが好ましい。
【0020】
このような構成によると、屈曲部を設けることで、接続部が接続ランドと連続な切断部を含まないから、接続ランドと接続部との半田付けが行いやすい。
【0021】
(6)前記端子は、前記電線に圧着される圧着部を備えることが好ましい。
【0022】
このような構成によると、圧着部を電線に圧着することにより、端子と電線とを接続することができる。
【0023】
(7)前記複数の蓄電素子の電極端子に接続されるバスバーをさらに備え、前記バスバーは前記電線と接続されていることが好ましい。
【0024】
このような構成によると、バスバーと回路基板とを電気的に接続することができる。
【0025】
(8)前記電線の芯線は、前記バスバーと同一の金属から構成されていることが好ましい。
【0026】
このような構成によると、電線の芯線がバスバーと同一の金属から構成されるから、芯線とバスバーとの溶接が容易になる。
【0027】
(9)前記回路基板は、前記接続ランドを含む導電路を備え、前記導電路は、前記回路基板の片面にのみ形成されていることが好ましい。
【0028】
このような構成によると、回路基板の片面にのみ導電路が設けられるから、回路基板の両面に導電路を設ける場合に比べて、配線モジュールの製造コストを削減することができる。
【0029】
(10)前記接続ランドには、前記回路基板を貫通する貫通孔が形成されていないことが好ましい。
【0030】
このような構成によると、接続ランドに貫通孔が設けられていないから、レーザー照射による半田付けを行いやすい。
【0031】
(11)上記の配線モジュールは、車両に搭載される前記複数の蓄電素子に電気的に取り付けられる車両用の配線モジュールである。
【0032】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0033】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、
図1から
図10を参照しつつ説明する。本実施形態の配線モジュール20を備えた蓄電モジュール10は、例えば、
図1に示すように、車両1に搭載される蓄電パック2に適用される。蓄電パック2は、電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両1に搭載されて、車両1の駆動源として用いられる。以下の説明においては、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0034】
図1に示すように、車両1の中央付近には蓄電パック2が配設されている。車両1の前部にはPCU3(Power Control Unit)が配設されている。蓄電パック2とPCU3とは、ワイヤーハーネス4によって接続されている。蓄電パック2とワイヤーハーネス4とは図示しないコネクタによって接続されている。蓄電パック2は複数の蓄電素子11を備えた蓄電モジュール10を有する。蓄電モジュール10(および配線モジュール20)は、任意の向きで搭載可能であるが、以下では、
図1を除き、矢線Zの示す方向を上方、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方として説明する。
【0035】
[蓄電素子、電極端子]
蓄電モジュール10は、
図2に示すように、左右方向に一列に並べられた複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11の上面に装着される配線モジュール20とを備える(蓄電モジュール10の左側部分は図示省略)。蓄電素子11は、扁平な直方体状をなす。蓄電素子11の内部には、図示しない蓄電要素が収容されている。蓄電素子11は、上面に正極及び負極の電極端子12A,12Bを有する。蓄電素子11は特に限定されず、二次電池でもよく、またキャパシタでもよい。本実施形態にかかる蓄電素子11は二次電池とされる。
【0036】
[配線モジュール]
配線モジュール20は、電極端子12A,12Bに接続されるバスバー21と、バスバー21に接続される第1電線22(電線の一例)と、回路基板30と、第1電線22と回路基板30とを接続する端子60(
図10参照)と、回路基板30に接続される第2電線23と、バスバー21、回路基板30、及び第2電線23を保持するプロテクタ50と、を備える。
図2に示すように、配線モジュール20は、複数の蓄電素子11の前側及び後側に取り付けられるようになっている。以下では、後側に配される配線モジュール20の構成について詳細に説明する。なお、前側に配される配線モジュール20では、前後方向、左右方向の双方が反転するが、その他の点においては、前側に配される配線モジュール20の構成と後側に配される配線モジュール20の構成に差異はない。
【0037】
プロテクタ50は、絶縁性の合成樹脂製であって、板状をなしている。プロテクタ50は、バスバー21が収容されるバスバー収容部51と、回路基板30が保持される基板保持部52と、第2電線23が配索される電線配索部53と、を備える。バスバー収容部51は枠状をなしている。バスバー収容部51の下部には、電極端子12A,12Bとバスバー21とを接続するための接続孔51Aが形成されている。
図3に示すように、バスバー収容部51の周壁には、バスバー収容部51内においてバスバー21を保持する係止部51Bが設けられている。
図4に示すように、バスバー収容部51の側壁は、一部下方に凹んだ凹部51Cを備える。凹部51C内には、第1電線22が配置されている。
【0038】
図4に示すように、電線配索部53は、左右方向に延びる溝状をなしている。バスバー収容部51と電線配索部53との間に基板保持部52が配されている。電線配索部53の基板保持部52側の溝壁には、電線挿通部53Aが凹状をなして形成されている。電線挿通部53Aに挿通された第2電線23は、回路基板30に接続されている。基板保持部52は、回路基板30の挿通孔31に挿通される突起部52Aを備える。突起部52Aは上下方向に延びる円柱状をなしている。
【0039】
[バスバー]
バスバー21は、導電性を有する金属板材からなる。バスバー21を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。
図2に示すように、バスバー21は、平面視で長方形状をなしている。バスバー21と電極端子12A,12Bとは溶接により電気的に接続される。バスバー21には、隣り合う蓄電素子11の電極端子12A,12Bを接続するバスバー21と、複数の蓄電素子11の総正極または総負極に接続されるバスバー21と、があるが、以下、特に区別しない。
図4に示すように、バスバー21は第1電線22をかしめるかしめ部21Aを備える。かしめ部21Aは、バスバー21の側縁付近を切り起こして形成されている。バスバー21と第1電線22とは溶接により電気的に接続されている。
【0040】
[第1電線]
第1電線22は、芯線22Aと、芯線22Aを覆う絶縁被覆22Bと、を有している。第1電線22の一方の端部は、溶接によりバスバー21に接続されている。本実施形態では、第1電線22の芯線22Aはバスバー21と同種の金属から構成されている。これにより、第1電線22の芯線22Aとバスバー21との溶接部分の強度を向上させることができる。
【0041】
第1電線22の他方の端部は、端子60の圧着部62に圧着されることで、端子60と電気的に接続されている。端子60は、回路基板30に半田付けにより接続されている。第1電線22はバスバー21側の端部から回路基板30(端子60)側の端部に至るまで湾曲した形状をなしている。
【0042】
第1電線22は、湾曲しつつバスバー21と回路基板30とを電気的に接続している。すなわち、第1電線22は、バスバー21と回路基板30との間の直線距離に対して余長を有する。第1電線22が変形することで、バスバー21は、バスバー21の並び方向(左右方向)、回路基板30に対して離間または接近する方向(前後方向)、及び回路基板30の厚さ方向(上下方向)のいずれにも、ある程度変位できるようになっている。このため、蓄電モジュール10が搭載される車両1の使用により温度が変化し、蓄電素子11(及びバスバー21)が膨張または収縮した場合や、配線モジュール20に外力が加わりバスバー21が変形した場合でも、第1電線22とバスバー21との接続部分、及び第1電線22と回路基板30との接続部分が破損しにくく、第1電線22を介したバスバー21と回路基板30との電気的な接続を維持しやすくなっている。
【0043】
[端子]
端子60は、導電性を有する金属板材を加工することで形成されている。端子60を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。本実施形態の端子60は、銅合金から構成されている。
図10に示すように、端子60は、回路基板30の第1ランド36(接続ランドの一例)と半田付けにより接続される。例えば、第1電線22の芯線22Aを構成する金属が溶融状態の半田に対して濡れ性が乏しい場合には、半田付けによって第1電線22と回路基板30とを直接接続することが困難である。本実施形態では、第1電線22と回路基板30との間に端子60を設けているから、第1電線22と回路基板30とを直接半田付けすることが困難な場合でも、第1電線22と回路基板30とを電気的に接続することができる。
【0044】
図7に示すように、端子60は、端子本体61と、端子本体61に連なる圧着部62と、端子本体61における圧着部62と反対側の端部に配される接続部63と、端子本体61から下方に延びる圧入部64と、を備える。なお、
図7では
図3の左側に配される端子60の姿勢に基づいて前後方向、左右方向、上下方向が規定されている。端子本体61は左右方向に長く、前後方向に扁平となっている。
図4に示すように、圧着部62は、第1電線22の芯線22Aに圧着されるワイヤーバレル62Aと、第1電線22の絶縁被覆22Bに圧着されるインシュレーションバレル62Bと、を備える。
【0045】
[接続部、一対の接続面、切断部]
接続部63は、扁平な板状をなしている。
図8に示すように、接続部63は、互いに裏表の位置関係にある一対の接続面70と、一対の接続面70を接続する切断部71と、を有する。接続面70は、接続部63の前面と後面に配されている。一対の接続面70は、端子60のもととなる金属板材の外面となっている。
図7に示すように、切断部71は、一対の接続面70の外縁部同士を接続している。切断部71は、端子60のもととなる金属板材を切断して形成される部分である。切断部71は、一対の接続面70と比較して、大きな凹凸形状を有し、表面張力が大きくなっている。このため、切断部71には、接続面70よりも半田が濡れにくくなっている。
【0046】
本実施形態では、
図9に示すように、接続面70が回路基板30の表面と略垂直に交差して連なる姿勢で、接続部63が回路基板30の第1ランド36上に配されるようになっている。また、接続部63の下側に配される切断部71は、回路基板30の第1ランド36の表面と上下方向に対向して配されている。これにより、一対の接続面70の双方が、第1ランド36の表面と略垂直に交差し、連続に配されている。
【0047】
[端子と回路基板との半田付け]
以下、本実施形態における端子60と回路基板30との半田付けの一例について説明する。
図8に示すように、第1ランド36上に接続部63を配置した後、第1ランド36における接続部63の前側に位置する加熱領域P1に、半田ごてを配置するか、またはレーザー光を照射する。半田ごてまたはレーザー光により加熱される加熱領域P1に糸半田を供給して、第1ランド36上に半田を溶融させる。第1ランド36から接続部63への熱引きに伴って、
図8の一点鎖線の矢印で示すように、溶融した半田が第1ランド36から接続部63へと濡れ広がろうとする。本実施形態では、
図9に示すように、半田の濡れ性に優れた接続面70が、第1ランド36の表面と連続に配されているため、溶融した半田が接続面70に濡れ広がりやすい。したがって、第1ランド36と接続部63とを半田S2によりスムーズに接続することができる(
図10参照)。
【0048】
一方、本実施形態とは異なり、
図11に示すように、接続面92が第1ランド36の表面に略平行な姿勢で、接続部91が第1ランド36上に配される端子90(比較例)について考える。このような構成では、半田に濡れやすい接続面92が第1ランド36と連続して配されず、半田に濡れにくい切断部93が第1ランド36と連続して配されている。したがって、本実施形態と比較して、半田ごて等による第1ランド36と接続部91との半田付けが困難な場合がありうる。例えば、半田に濡れやすい接続部91の上面の接続面92と第1ランド36とを半田で接続するために、多くの半田を第1ランド36上に溶融させねばならない場合等がありうる。
【0049】
[めっき層]
本実施形態では、
図9に示すように、端子60の表面にはめっき層72が形成されている。めっき層72を構成する金属としては、半田の濡れ性に優れたスズやニッケル等が用いられる。本実施形態のめっき層72は、スズから構成されている。めっき層72は、通常、端子60のもととなる金属板材の外面に形成される。このため、めっき層72は、接続部63において一対の接続面70に形成されている。一方、切断部71には、めっき層72は形成されていない。切断部71には、端子60を主として構成する金属板材の金属(本実施形態では銅合金)が露出している。よって、めっき層72が形成されている端子60においては、特に、接続面70の方が切断部71よりも半田の濡れ性に優れている。本実施形態では、接続面70が第1ランド36と連続して配されるから、めっき層72と第1ランド36とが連続に配される。したがって、接続部63と第1ランド36との半田付けが容易になる。
【0050】
図7に示すように、端子60は、接続部63と圧着部62の間に圧入部64を備える。圧入部64は、端子本体61から下方に延びた後、上方に折り曲げられている。圧入部64は、端子本体61から下方に延びる基部64Aと、基部64Aと前後方向に対向する対向板部64Bと、基部64Aと対向板部64Bとを接続する折り曲げ部64Cと、を備える。圧入部64は、板ばね状をなしている。対向板部64Bは、上方へ向かうほど基部64Aから前後方向に離れて位置するように傾斜している。
図10に示すように、圧入部64は、回路基板30の圧入孔32に圧入されるようになっている。
【0051】
図7に示すように、端子60は、圧入部64の対向板部64Bの上端部から上方に延びる延出部65と、延出部65の上端部から前方に延びる押圧部66を備える。端子60は、端子本体61の上面から下方に凹む押圧受け部67を備える。押圧受け部67の内部には、押圧部66が配されるようになっている。押圧部66を押圧することで、圧入孔32内に圧入部64を圧入しやすくなっている(
図10参照)。
【0052】
図7に示すように、端子60は、端子本体61の圧着部62側に位置決め凸部68を備える。位置決め凸部68は、端子本体61から下方に延び、さらに圧入部64に近づくように延びている。位置決め凸部68は、圧入部64と左右方向に対向している。圧入孔32に圧入部64を圧入した後、位置決め凸部68を回路基板30の端面に当接させることで、回路基板30に対して端子60を位置決めすることができる(
図10参照)。より詳細には、接続部63と第1ランド36との位置決めをすることができる。
【0053】
図4に示すように、第2電線23は、芯線23Aと、芯線23Aを覆う絶縁被覆23Bと、を有している。第2電線23の一端に露出された芯線23Aは、第2ランド37に半田付けにより接続される。第2電線23の一端の絶縁被覆23Bは、電線挿通部53Aに挿通され、固定される。図示しないが、第2電線23の他端は、コネクタを介して外部のECU(Electronic Control Unit)等に接続されている。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、各蓄電素子11の電圧、電流、温度等の検知や、各蓄電素子11の充放電制御コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0054】
[回路基板]
本実施形態の回路基板30は、可撓性を有しない硬質なリジッド基板とされている。
図5に示すように、回路基板30は、平面視において左右方向に長い長方形状をなしている。回路基板30には、回路基板30を上下方向に貫通する挿通孔31と圧入孔32とが形成されている。挿通孔31は、回路基板30の左端部と右端部とに1つずつ設けられている。一方の挿通孔31は平面視において略円形状をなす第1挿通孔31Aとされている。他方の挿通孔31は平面視において左右方向に延びた長孔状をなす第2挿通孔31Bとされている。圧入孔32は、回路基板30の左端部と右端部とに1つずつ設けられている。圧入孔32は、左右方向について第1ランド36と隣り合う位置に配されている。圧入孔32は、平面視において左右方向に長い長孔状をなしている。
【0055】
図3に示すように、挿通孔31にプロテクタ50の突起部52Aが挿通されることで、回路基板30のプロテクタ50に対する左右方向及び前後方向における移動が規制されている。第2挿通孔31Bは長孔状であるから、円柱状とされる突起部52Aに対して左右方向に大きい内部形状を有する。これにより、挿通孔31及び突起部52Aの左右方向の製造公差を吸収できるようになっている。
【0056】
図4に示すように、圧入孔32には端子60の圧入部64が圧入されるようになっている。圧入孔32の左右方向における孔径は、圧入部64の左右方向の寸法よりも大きく設定されている。圧入孔32の前後方向の孔径は、圧入部64の自然状態における前後方向の寸法よりやや小さく設定されている。よって、圧入孔32内に配された圧入部64は、圧入孔32の内壁に接触して弾性変形した状態となる。これにより、圧入部64を圧入孔32内に抜け止めし、端子60を回路基板30に対して固定することができる。端子60を回路基板30に固定することで、端子60の接続部63と回路基板30との半田付けが行いやすくなる。
【0057】
また、圧入部64は圧着部62と接続部63の間に配されているから、第1電線22に応力がかかっても、この応力を圧入部64と圧入孔32の内壁とによって受けることで、接続部63と回路基板30との接続部分に応力がかかることを抑制することができる。
【0058】
[導電路]
図6に示すように、回路基板30は、絶縁性を有する絶縁板33と、この絶縁板33の片面(上面)に配索された導電路34と、を備える。絶縁板33は、例えばガラス繊維布にエポキシ樹脂を含浸させて硬化させることにより形成される。導電路34は、例えば銅または銅合金などの金属からなり、導電性を有している。他部材と半田付けされる部分を除いて導電路34は絶縁層35で被覆されている。絶縁層35は、ソルダーレジスト等から構成されている。
図5に示すように、導電路34は、導電路34の一端に配される第1ランド36と、導電路34の他端に配される第2ランド37と、第1ランド36と第2ランド37の間に設けられるヒューズ部38と、を備える。
【0059】
[第1ランド]
第1ランド36は、回路基板30の右側と左側とに1つずつ配されている。第2ランド37は、回路基板30の左右中央寄りに2つ配されている。
図3に示すように、第1ランド36は、端子60の接続部63に半田付けされている。第1ランド36は、端子60及び第1電線22を介してバスバー21と電気的に接続されている。第2ランド37は、第2電線23の芯線23Aと半田付けにより接続されている。
【0060】
本実施形態では、第1ランド36には、回路基板30を貫通する貫通孔が形成されていない。換言すると、第1ランド36はいわゆるスルーホールタイプの半田付け部分ではない。本実施形態とは異なり、第1ランド36に貫通孔が設けられている場合、レーザー照射による半田付けを行うと、レーザー光によって貫通孔の内壁が過熱され、回路基板30が損傷することがありうる。本実施形態では、第1ランド36には貫通孔は設けられていないから、レーザー照射による半田付けを行いやすい。
【0061】
図5に示すように、導電路34において、第1ランド36から第2ランド37に至る途中の部分には、ヒューズ部38が設けられている。
図6に示すように、本実施形態のヒューズ部38は、チップヒューズ39を有しており、チップヒューズ39と導電路34とは半田S1により接続されている。詳細には、チップヒューズ39の一対の電極40のうち一方が第1ランド36側の導電路34Aに接続され、他方が第2ランド37側の導電路34Bに接続されている。
【0062】
ヒューズ部38が設けられることにより、蓄電モジュール10が接続される外部回路に不具合が生じて、導電路34同士が短絡し過電流が発生した場合であっても、チップヒューズ39が溶断することで、蓄電素子11から導電路34に過電流が流れることを制限することができる。
【0063】
図6に示すように、本実施形態では、チップヒューズ39と導電路34との接続部分は、封止部41に覆われている。ここで、チップヒューズ39と導電路34との接続部分とは、少なくともチップヒューズ39全体と、半田S1と、チップヒューズ39の電極40に接続される導電路34の端部であって、絶縁層35に覆われていない部分と、を含むものとする。封止部41は、硬化性の絶縁性樹脂から構成されている。封止部41がチップヒューズ39と導電路34との接続部分を覆っているため、結露により水滴等が回路基板30上に生じた場合であっても、導電路34の短絡を抑制することができる。
【0064】
[配線モジュールの製造方法]
配線モジュール20の構成は以上であって、以下、配線モジュール20の製造方法の一例を説明する。
まず、第1電線22に端子60の圧着部62を圧着する。この第1電線22の端子60と反対側の端部をバスバー21のかしめ部21Aにかしめ固定し、第1電線22の芯線22Aとバスバー21とを溶接する。
【0065】
回路基板30をプリント配線技術により製造する。回路基板30にチップヒューズ39を半田付けする。チップヒューズ39を封止する封止部41を形成する。硬化する前の液状の絶縁性樹脂が、ディスペンサ等によって、回路基板30上のチップヒューズ39と導電路34との接続部分に滴下され、ドーム状に塗布される。塗布された絶縁性樹脂を公知の手法により硬化させる。絶縁性樹脂を硬化させる手法としては、冷却、硬化剤の混合、光照射等、任意の手法を適宜に選択できる。
【0066】
端子60の押圧部66を上方から押さえながら、回路基板30の圧入孔32に端子60の圧入部64を圧入する。圧入部64が圧入孔32内に配されることで、回路基板30に対して端子60が固定される。位置決め凸部68を回路基板30の端面に当接させることで、回路基板30に対して端子60を位置決めする。端子60の接続部63と回路基板30の第1ランド36とを半田付けにより接続する。本実施形態では、比較的半田の濡れ性に優れた接続面70が第1ランド36と連続して配されるから、接続部63と第1ランド36との半田付けが容易になっている。
【0067】
上記の一体化されたバスバー21、回路基板30、第1電線22をプロテクタ50に組み付ける。プロテクタ50のバスバー収容部51にバスバー21を収容する。バスバー21は係止部51Bによりバスバー収容部51内に保持される。プロテクタ50の基板保持部52に回路基板30を配置する。挿通孔31に突起部52Aを挿通する。
【0068】
第2電線23を電線配索部53に配索し、芯線23Aが露出した第2電線23の端部を電線挿通部53A内に挿通する。半田付けにより第2電線23の芯線23Aを第2ランド37に接続する。以上により、配線モジュール20の製造が完了する。
【0069】
なお、上記は配線モジュール20の製造方法の一例であって、各工程の順序を変更してもよい。例えば、回路基板30にチップヒューズ39等を半田付けする工程において第2電線23を半田付けしてもよい。また、バスバー21を電極端子12A,12Bに溶接した後で、バスバー21と第1電線22との溶接を行ってもよい。
【0070】
[実施形態1の作用効果]
実施形態1によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態1の配線モジュール20は、複数の蓄電素子11に取り付けられる配線モジュール20であって、電線(第1電線22)と、電線に接続される端子60と、回路基板30と、を備え、端子60は、回路基板30に接続される接続部63を備え、回路基板30は、接続部63が半田付けされる接続ランド(第1ランド36)を備え、接続部63は、金属板材を切断して形成される切断部71と、互いに表裏の位置関係に配され、切断部71を介して接続される一対の接続面70と、を有し、一対の接続面70の少なくとも1つと接続ランドの表面とは交差して連続に配されている。
【0071】
端子60は、金属板材の打ち抜き加工、曲げ加工等により、形成される。このとき、接続部63は、打ち抜き加工により形成される切断部71と、もとの金属板材の外面である接続面70と、を備える。一般に、切断部71は接続面70に比べて、表面粗さが大きいため、表面張力が大きい。したがって、切断部71は接続面70よりも半田の濡れ性に劣る。
上記の構成によると、接続ランドは、接続部63の接続面70と連続して配されるから、接続ランドから接続面70へと半田が濡れ広がることで、接続ランドと接続部63との半田付けを行いやすい。
【0072】
実施形態1では、接続ランドの表面は、切断部71の一部と対向し、一対の接続面70の双方は、接続ランドの表面と連続に配されている。
【0073】
このような構成によると、一対の接続面70の双方が接続ランドの表面と連続しているから、より一層接続ランドと接続部63との半田付けが行いやすくなる。
【0074】
実施形態1では、接続部63はめっき層72を備え、めっき層72の表面は、一対の接続面70の少なくとも一部を構成している。
【0075】
このような構成によると、端子60の内部を構成する金属よりも半田の濡れ性に優れた金属をめっき層72として用いることで、より一層接続ランドと接続部63との半田付けが行いやすくなる。
【0076】
実施形態1では、端子60は、電線に圧着される圧着部62を備える。
【0077】
このような構成によると、圧着部62を電線に圧着することにより、端子60と電線とを接続することができる。
【0078】
実施形態1の配線モジュール20は、複数の蓄電素子11の電極端子12A,12Bに接続されるバスバー21をさらに備え、バスバー21は電線と接続されている。
【0079】
このような構成によると、バスバー21と回路基板30とを電気的に接続することができる。
【0080】
実施形態1では、電線の芯線22Aは、バスバー21と同一の金属から構成されている。
【0081】
このような構成によると、電線の芯線22Aがバスバー21と同一の金属から構成されるから、芯線22Aとバスバー21との溶接が容易になる。
【0082】
実施形態1では、回路基板30は、接続ランドを含む導電路34を備え、導電路34は、回路基板30の片面にのみ形成されている。
【0083】
このような構成によると、回路基板30の片面にのみ導電路34が設けられるから、回路基板30の両面に導電路34を設ける場合に比べて、配線モジュール20の製造コストを削減することができる。
【0084】
実施形態1では、接続ランドには、回路基板30を貫通する貫通孔が形成されていない。
【0085】
このような構成によると、接続ランドに貫通孔が設けられていないから、レーザー照射による半田付けを行いやすい。
【0086】
実施形態1の配線モジュール20は、車両1に搭載される複数の蓄電素子11に電気的に取り付けられる車両用の配線モジュール20である。
【0087】
<実施形態2>
本開示の実施形態2について、
図12及び
図13を参照しつつ説明する。実施形態2の構成は、端子160が含まれる点を除いて、実施形態1の構成と同一とされている。以下、実施形態1と同一の部材には実施形態1で用いた符号を付し、実施形態1と同一の構成、作用効果については説明を省略する。
【0088】
[先細り部]
実施形態2にかかる配線モジュール120(蓄電モジュール110)は、端子160を備える。端子160は、端子160の先端部(
図12及び
図13では右端部)側に先細り部173を備える点を除いて、実施形態1の端子60と同様に構成されている。先細り部173は、端子160の延び方向(左右方向)において端子160の先端部側に向かうほど、一対の接続面70が互いに近づくように傾斜する傾斜面174を有する。これにより、
図13に示すように、傾斜面174に接続されている切断部71の面積が小さくなる。特に、第1ランド36と連続に配される接続部63の先端部を構成する切断部71の面積が小さくなる。したがって、接続部63と第1ランド36との半田付けが容易になる。
【0089】
[実施形態2の作用効果]
実施形態2によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態2では、接続部63は、端子160の延び方向(左右方向)における端子160の先端部を含む先細り部173を備え、先細り部173は、延び方向について先端部側に向かうにつれて一対の接続面70が互いに近づくように傾斜することで、先細りした形状をなしている。
【0090】
このような構成によると、接続部63は端子160の先端部を含む先細り部173を備えるから、端子160の先端部に配される切断部71の面積を小さくすることができる。したがって、接続部63を接続ランド(第1ランド36)と半田付けしやすくなる。
【0091】
<実施形態3>
本開示の実施形態3について、
図14を参照しつつ説明する。実施形態3の構成は、端子260が含まれる点を除いて、実施形態1の構成と同一とされている。以下、実施形態1と同一の部材には実施形態1で用いた符号を付し、実施形態1と同一の構成、作用効果については説明を省略する。
【0092】
[屈曲部]
実施形態3にかかる端子260は、端子260の先端部側に金属板材が180°折り曲げられた屈曲部275を有する。なお、端子260の先端部は、端子260の延び方向(左右方向)における圧着部62と反対側の端部(
図14では右端部)である。実施形態1では、
図10に示すように、端子60の先端部において切断部71が第1ランド36と連続に配されているが、実施形態3では、端子260の先端部に屈曲部275が設けられているから、切断部71が第1ランド36と連続に配されない。したがって、接続部63と第1ランド36との半田付けが容易になる。
【0093】
[実施形態3の作用効果]
実施形態3によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態3では、接続部63は、金属板材を折り曲げて形成され、端子260の延び方向における端子260の先端部に配される屈曲部275を備え、屈曲部275は、接続ランド(第1ランド36)の表面と連続に配される切断部71を含まない。
【0094】
このような構成によると、屈曲部275を設けることで、接続部63が接続ランドと連続な切断部71を含まないから、接続ランドと接続部63との半田付けが行いやすい。
【0095】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では1つの回路基板30は2つの第1ランド36を備えていたが、これに限られることはなく、1つの回路基板は1つまたは3つ以上の接続ランドを備えてもよい。
(2)上記実施形態では、端子60,160,260は圧入部64を備えていたが、これに限られることはなく、端子は圧入部を備えなくてもよい。
(3)上記実施形態では、回路基板30としてリジッド基板が用いられたが、これに限られることはなく、回路基板は、フレキシブルプリント基板やフレキシブルフラットケーブル等のフレキシブル基板であってもよい。
(4)上記実施形態では、配線モジュール20,120はプロテクタ50を備えていたが、これに限られることはなく、配線モジュールはプロテクタを備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1: 車両
2: 蓄電パック
3: PCU
4: ワイヤーハーネス
10,110: 蓄電モジュール
11: 蓄電素子
12A,12B: 電極端子
20,120: 配線モジュール
21: バスバー
21A: かしめ部
22: 第1電線
22A: 芯線
22B: 絶縁被覆
23: 第2電線
23A: 芯線
23B: 絶縁被覆
30: 回路基板
31: 挿通孔
31A: 第1挿通孔
31B: 第2挿通孔
32: 圧入孔
33: 絶縁板
34,234: 導電路
34A: 第1ランド側の導電路
34B: 第2ランド側の導電路
35: 絶縁層
36: 第1ランド
37: 第2ランド
38,238: ヒューズ部
39: チップヒューズ
40: 電極
41: 封止部
50: プロテクタ
51: バスバー収容部
51A: 接続孔
51B: 係止部
51C: 凹部
52: 基板保持部
52A: 突起部
53: 電線配索部
53A: 電線挿通部
60,160,260: 端子
61: 端子本体
62: 圧着部
62A: ワイヤーバレル
62B: インシュレーションバレル
63: 接続部
64: 圧入部
64A: 基部
64B: 対向板部
64C: 折り曲げ部
65: 延出部
66: 押圧部
67: 押圧受け部
68: 位置決め凸部
70: 接続面
71: 切断部
72: めっき層
90: 比較例にかかる端子
91: 接続部
92: 接続面
93: 切断部
173: 先細り部
174: 傾斜面
275: 屈曲部
P1: 加熱領域
S1,S2: 半田