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特開2023-161755作業方法、作業車両及び作業システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161755
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】作業方法、作業車両及び作業システム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20231031BHJP
   A01B 33/08 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
A01B33/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072291
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】上野 草
(72)【発明者】
【氏名】三輪 敏之
【テーマコード(参考)】
2B033
2B043
【Fターム(参考)】
2B033AA03
2B033AB02
2B033BB02
2B033ED04
2B033ED11
2B043AA03
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB03
2B043DA15
2B043DC03
2B043EA33
2B043EB18
2B043ED12
2B043EE01
(57)【要約】
【課題】作業機の作業機状態と作業機による作業状況とを作業者に対して分かり易く提示することができる作業方法、作業車両及び作業システムを提供する。
【解決手段】
トラクタ1は、作業機3と、制御装置13と、撮像部28とを備えている。制御装置13は、作業機状態検出部47、表示制御部48として動作する。作業機状態検出部47は、作業機3に関する作業機状態を検出する。撮像部28は、作業機3による作業状況を撮像して作業画像74を取得する。表示制御部48は、検出した作業機状態を表示する第1表示領域61と、取得した作業画像74を表示する第2表示領域62とを同時に表示装置14に表示する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機を備えた作業車両の作業方法であって、
前記作業機に関する作業機状態を検出する検出工程と、
前記作業機による作業状況を撮像して作業画像を取得する撮像工程と、
検出した前記作業機状態を表示する第1表示領域と、取得した前記作業画像を表示する第2表示領域とを同時に表示する表示工程と、
を有することを特徴とする作業方法。
【請求項2】
前記表示工程は、前記第1表示領域と前記第2表示領域とを上下方向に並べて一画面に表示することを特徴とする請求項1に記載の作業方法。
【請求項3】
前記表示工程は、前記第1表示領域と前記第2表示領域とを左右方向に並べて一画面に表示することを特徴とする請求項1に記載の作業方法。
【請求項4】
前記撮像工程は、前記作業機及びその周辺を撮像して前記作業画像を撮像することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の作業方法。
【請求項5】
前記表示工程は、前記作業機を図示したイラストに前記作業機状態を対応させて前記第1表示領域に表示することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の作業方法。
【請求項6】
前記表示工程は、前記作業機状態として、前記作業機の作業機深さ、前記作業機の作業機傾き、前記作業機の開閉状態及び前記作業機が行う作業名称のうち、少なくとも1つを前記第1表示領域に表示することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の作業方法。
【請求項7】
前記表示工程は、前記作業機状態の基準となる基準情報を設定可能にすると共に、前記作業機状態と前記基準情報とを前記第1表示領域に同時に表示し、また、前記基準情報を前記作業画像に重ねて表示することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の作業方法。
【請求項8】
作業機を備えた作業車両であって、
前記作業機に関する作業機状態を検出する検出部と、
前記作業機による作業状況を撮像して作業画像を取得する撮像部と、
検出した前記作業機状態を表示する第1表示領域と、取得した前記作業画像を表示する第2表示領域とを同時に表示装置に表示する表示制御部と、
を備えることを特徴とする作業車両。
【請求項9】
作業機を備えた作業車両の作業システムであって、
前記作業機に関する作業機状態を検出する検出部と、
前記作業機による作業状況を撮像して作業画像を取得する撮像部と、
検出した前記作業機状態を表示する第1表示領域と、取得した前記作業画像を表示する第2表示領域とを同時に表示装置に表示する表示制御部と、
を備えることを特徴とする作業システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両の作業走行を行う作業方法、作業車両及び作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタ等の作業車両は、圃場を走行しながら作業機によって作業する作業走行を行うように構成される。作業車両は、作業中の作業機の状態(作業機状態)をセンサ等によって検出し、その検出結果に基づいて、作業車両による走行や作業機による作業を制御することが求められる。
【0003】
例えば、特許文献1に開示される農作業機は、農作業機の周辺情報及び状態情報の少なくとも何れか一方を検知する検知部と、この検知部の検知に基づいて、走行車制御部に信号を送信する制御部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-092612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の農作業機では、農作業機の周辺情報及び状態情報を検知することができるが、従来の技術では、作業機の作業機状態と作業機による作業状況とを作業者に対して分かり易く提示することができない。そのため、作業者は、作業機の操作をする際に、作業機の作業機状態と作業機による作業状況に合わせた操作を行うことが困難である。
【0006】
本発明は、作業機の作業機状態と作業機による作業状況とを作業者に対して分かり易く提示することができる作業方法、作業車両及び作業システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の作業方法は、作業機を備えた作業車両の作業方法であって、前記作業機に関する作業機状態を検出する検出工程と、前記作業機による作業状況を撮像して作業画像を取得する撮像工程と、検出した前記作業機状態を表示する第1表示領域と、取得した前記作業画像を表示する第2表示領域とを同時に表示する表示工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の作業車両は、作業機を備えた作業車両であって、前記作業機に関する作業機状態を検出する検出部と、前記作業機による作業状況を撮像して作業画像を取得する撮像部と、検出した前記作業機状態を表示する第1表示領域と、取得した前記作業画像を表示する第2表示領域とを同時に表示装置に表示する表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の作業システムは、作業機を備えた作業車両の作業システムであって、前記作業機に関する作業機状態を検出する検出部と、前記作業機による作業状況を撮像して作業画像を取得する撮像部と、検出した前記作業機状態を表示する第1表示領域と、取得した前記作業画像を表示する第2表示領域とを同時に表示装置に表示する表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業機の作業機状態と作業機による作業状況とを作業者に対して分かり易く提示することができる作業方法、作業車両及び作業システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るトラクタの側面図である。
図2】本発明の実施形態に係るトラクタの作業機を開状態にした背面図である。
図3】本発明の実施形態に係るトラクタの作業機を閉状態にした背面図である。
図4】本発明の実施形態に係るトラクタのブロック図である。
図5】本発明の実施形態に係るトラクタの表示装置に表示される状態確認画面の例を示す平面図である。
図6】本発明の実施形態に係るトラクタの表示装置に表示される状態確認画面として、傾きメータが右側に変位し、深さメータが下側に変位している例を示す平面図である。
図7】本発明の実施形態に係るトラクタの表示装置に表示される状態確認画面として、傾きメータが左側に変位し、深さメータが上側に変位している例を示す平面図である。
図8】本発明の実施形態の他の例に係るトラクタの側面図である。
図9】本発明の実施形態の他の例に係るトラクタのブロック図である。
図10】本発明の実施形態の他の例に係るトラクタの表示装置に表示される状態確認画面の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の作業車両は、圃場を走行しながら作業機によって作業する作業走行を行うものである。本発明の作業車両の一実施形態であるトラクタ1について図面を参照して説明する。図1図2及び図3に示すように、トラクタ1は、車体2と、作業機3とを備え、車体2によって走行しながら作業機3によって耕耘等の作業を行うように構成される。トラクタ1では、各種の作業を行うロータリ、ハロー、ローダ、プラウ、ボックススクレーパー等の作業機3が、必要に応じて車体2に装着され、本実施形態では、図1図2及び図3に示すように、作業機3として代掻き用ハローが車体2に装着される例を説明する。
【0013】
トラクタ1は、手動走行モード及び自動走行モードの何れかの走行モードが設定される。手動走行モードが設定されている場合、トラクタ1は、作業者による各種操作具(ハンドル、アクセルペダル、シフトレバー)の操作に応じて手動走行を行う。自動走行モードが設定されている場合、トラクタ1は、設定された自動走行経路に沿って自動走行するように制御装置13によって車速及び操舵などを制御する。
【0014】
車体2の前部下側には、左右一対の前輪10が設けられ、車体2の後部下側には、左右一対の後輪11が設けられる。車体2の上部には、オペレータが搭乗するためのキャビン12が設けられ、キャビン12の内部には、運転座席や各種の操作具が設けられる。また、車体2には、制御装置13と、表示装置14と、測位ユニット15(図4参照)とが設けられる。表示装置14は、タッチパネルやモニタ等で構成され、キャビン12の内部に配置される。車体2の前部には、エンジン16が内蔵されていて、左右一対の後輪11の間には、変速装置17が設けられている。エンジン16の動力は、この変速装置17によって変速されて、各前輪10及び各後輪11へと伝達される。
【0015】
変速装置17の後部には、左右一対のロワーリンク18と、トップリンク19と、PTO軸20とが接続されていて、各ロワーリンク18、トップリンク19及びPTO軸20は、後方に延びて配置されている。作業機3は、各ロワーリンク18、トップリンク19及びPTO軸20の後端に連結され、PTO軸20によって駆動される。
【0016】
車体2の後部には、作業機昇降機構21と、作業機角度変更機構22と、連結部材23とが設けられている。
【0017】
作業機昇降機構21は、左右一対のリフトアーム24と、油圧シリンダで構成されるリフトシリンダ(作業機昇降部)25とを備える。一方のリフトアーム24の先端部は、リンク部材26を介して一方のロワーリンク18に連結され、他方のリフトアーム24の先端部は、ローリングシリンダ27を介して他方のロワーリンク18に連結されている。作業機昇降機構21は、リフトシリンダ25を駆動することにより、車体2に支持される作業機3の高さを変更できる。
【0018】
なお、車体2は、図4に示すように、作業機3の作業機状態を検出するセンサとして、作業機3の高さを検出する作業機高さセンサ80や、水平方向に対する車体2の傾きを検出する車体傾きセンサ81、車体2に対する作業機3の傾きを検出する作業機傾きセンサ82を備える。作業機高さセンサ80は、例えば、リフトシリンダ25のシリンダロッドの位置(リフトシリンダ25の長さ)を検出するセンサで構成される。
【0019】
作業機角度変更機構22は、油圧シリンダで構成されるローリングシリンダ27を備える。ローリングシリンダ27は、上記したように、他方のリフトアーム24と、他方のロワーリンク18とを連結するように構成される。作業機角度変更機構22は、ローリングシリンダ27を駆動することにより、車体2に対して支持される作業機3の左右方向の傾斜姿勢を変更することができる。
【0020】
連結部材23は、ロワーリンク18及びトップリンク19と、作業機3とを連結するように構成される。
【0021】
作業機3は、水を入れた田(圃場)において土塊を砕くと共に田面を平らにする代掻き作業を行う代掻き用ハローで構成される。図1に示すように、作業機3は、車体2の連結部材23に対して作業機3を連結するための連結部30を備える。なお、連結部30は、連結部材23を介さずに、ロワーリンク18及びトップリンク19と作業機3とを連結するように構成されてもよい。
【0022】
連結部30の後方には、左右方向に延びた耕耘カバー31が設けられる。耕耘カバー31には、左右方向に延びた回転軸を有する耕耘回転軸32が回転可能に取り付けられ、耕耘回転軸32は、PTO軸20から伝達された動力によって回転する。また、耕耘回転軸32には、複数の耕耘爪33が左右方向に間隔を空けて設けられている。耕耘回転軸32と共に耕耘爪33が、田(圃場)の土壌に対して回転して耕耘することで、田の土塊を砕くことができる。
【0023】
耕耘カバー31の後方下部には、左右方向に延びた整地板34が設けられ、整地板34は、左右方向に延びた回転軸を有して、耕耘カバー31に対して回転可能に取り付けられる。整地板34は、油圧シリンダや電動モータ等の付勢部材によって下方に付勢・加圧されて、田(圃場)の土壌表面に接触することで、田面を平らに整地することができる。なお、整地板34の左右方向の外側には、整地幅を広げる左右の延長整地板35(図2参照)が設けられてよい。左右の延長整地板35は、整地板34の左右両端に対して回動可能に取り付けられ、整地板34に対してそれぞれ左右に展開した展開状態と、整地板34に対して折り畳まれた収納状態とに切り換えられる。延長整地板35の展開状態と収納状態との切り換えは、手動で行われてもよく、アクチュエータを介して自動で行われてもよい。
【0024】
図2及び図3に示すように、作業機3は、開閉可能に構成されている。具体的には、作業機3は、中央耕耘部3aと、中央耕耘部3aの左右両端に設けられた回動軸部材を介して中央耕耘部3aに対して回動可能に取り付けられた左右の側方耕耘部3bとを有する。換言すれば、各側方耕耘部3bは、中央耕耘部3aに対して開閉可能に設けられている。中央耕耘部3a及び左右の側方耕耘部3bは、それぞれ、耕耘カバー31、耕耘回転軸32、耕耘爪33及び整地板34から構成される。
【0025】
左側の側方耕耘部3bを中央耕耘部3aに対して左側に展開して左方に延長することで、左側の側方耕耘部3bは開状態になり、一方、左側の側方耕耘部3bを中央耕耘部3aに対して上側に折り畳むことで、左側の側方耕耘部3bは閉状態になる。同様に、右側の側方耕耘部3bを中央耕耘部3aに対して右側に展開して右方に延長することで、右側の側方耕耘部3bは開状態になり、一方、右側の側方耕耘部3bを中央耕耘部3aに対して上側に折り畳むことで、右側の側方耕耘部3bは閉状態になる。中央耕耘部3aと左右の側方耕耘部3bとは、左右の開閉シリンダ36を介してそれぞれ接続されている。各開閉シリンダ36を伸縮させることで、各側方耕耘部3bの開状態と閉状態とを切り換えることができる。
【0026】
また、作業機3には、作業機3の作業機状態を検出するセンサとして、状態検出センサ83と、整地板回転角センサ84と、延長整地板センサ85とが設けられている。状態検出センサ83は、左右の側方耕耘部3bがそれぞれ開状態か閉状態かを検出するセンサであり、例えば、リミットスイッチで構成され、閉状態になった各側方耕耘部3bと接触して通電することで、各側方耕耘部3bの閉状態を個別に検出する。あるいは、状態検出センサ83は、各側方耕耘部3bの回動軸の回転角度を検出するセンサでもよく、若しくは、開閉シリンダ36の伸縮長さを検出するセンサでもよい。整地板回転角センサ84は、整地時の整地板34の上下方向の回転角度を検出するもので、例えば、整地板34の回転角、又はその回転軸に取り付けられたリンクの回転角を検出するポテンショメータで構成される。延長整地板センサ85は、左右の延長整地板35がそれぞれ展開状態か収納状態かを検出するセンサである。
【0027】
測位ユニット15は、GNSS等の衛星測位システムを利用してトラクタ1の位置情報(測位点)を取得するように構成され、測位アンテナを介して測位衛星から測位信号を受信し、測位信号に基づいて測位ユニット15の位置情報、すなわち、トラクタ1の位置情報を取得する。
【0028】
また、車体2には、作業機3による作業状況(代掻き作業の仕上がり度合い)を撮像する撮像部28が設けられている。撮像部28は、例えば、PTO軸20を覆うPTO軸カバーに設けられて、作業機3による作業状況を前方からより近くで撮像する第1撮像装置28aを備え、第1撮像装置28aは、作業機3の左右両端と当該作業機3が作業している土壌周辺とを同時に画角に入れて撮像する。なお、第1撮像装置28aは、PTO軸カバーの上部から後下方向に撮影方向を向けて設けられてよいが、撮影方向を制御装置13によって制御されてもよい。
【0029】
次に、制御装置13について説明する。制御装置13は、CPU等のコンピュータで構成され、図4に示すように、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の記憶部40と、外部機器と通信を行う通信部41とに接続されている。
【0030】
記憶部40は、トラクタ1の各種構成要素及び各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、制御装置13が、記憶部40に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、各種構成要素及び各種機能を制御する。制御装置13は、例えば、測位ユニット15からトラクタ1の自車位置を取得する。
【0031】
また、記憶部40は、トラクタ1の作業対象である圃場の圃場情報や自動走行経路を記憶する。制御装置13は、携帯端末5から通信部41を介して圃場情報や自動走行経路を受信して記憶部40に記憶する。圃場情報は、例えば、圃場外形の形状、大きさ及び位置情報(座標等)、圃場で未だ作業走行を行っていない未作業領域及び圃場で既に作業走行を行った既作業領域の形状、大きさ及び位置情報(座標等)等の情報を含む。
【0032】
通信部41は、作業機3に設けられた作業機側通信部37(図4参照)と、有線通信又は無線通信によって通信処理を行う機能を有する。また、通信部41は、作業者の保有する携帯端末5等の外部機器と、無線通信によって通信処理を行う機能を有する。制御装置13は、通信部41を制御して作業機3や携帯端末5と通信を行い、作業機3や携帯端末5との間で各種情報を送受信する。
【0033】
制御装置13は、車体2に設けられる各種センサに接続されて各種センサの検出結果を入力し、また、作業機3に設けられる各種センサの検出結果を通信部41を介して入力する。制御装置13は、車体2に設けられる撮像部28に接続されていて、作業機3が稼働している間に撮像部28を制御し、所定の時間間隔毎に撮像部28が撮像した画像を入力する。
【0034】
制御装置13は、記憶部40に記憶されたプログラムを実行することにより、走行制御部45、作業制御部46、作業機状態検出部47(検出部)及び表示制御部48として動作する。なお、作業機状態検出部47及び表示制御部48は、本発明に係る作業方法の検出工程及び表示工程をそれぞれ実現する。また、撮像部28は、本発明に係る作業方法の撮像工程を実現する。
【0035】
走行制御部45は、トラクタ1の走行を制御するものである。例えば、走行制御部45は、手動走行モードが設定されている場合、キャビン12に設けられた各種操作具の操作に応じてエンジン16及び変速装置17や操舵装置(図示せず)を制御することで、トラクタ1の車速及び操舵を制御する。
【0036】
また、走行制御部45は、自動走行モードが設定されている場合、圃場に対して設定されている自動走行経路を携帯端末5等から取得し、測位ユニット15からトラクタ1の自車位置を取得し、自車位置と自動走行経路とに基づいて、トラクタ1が自動走行経路に沿って自動走行を行うようにトラクタ1の操舵を制御する。更に、走行制御部45は、予め設定された自動走行速度となるようにエンジン16や変速装置17を制御する。
【0037】
作業制御部46は、手動走行モードが設定されている場合、キャビン12に設けられた各種操作具の操作に応じて作業機3を制御することで、圃場に対して作業機3による代掻き作業を行う。また、作業制御部46は、自動走行モードが設定されている場合、予め設定された作業設定に応じて作業機3を制御することで、圃場に対して作業機3による代掻き作業を行う。
【0038】
例えば、作業制御部46は、リフトシリンダ25と変速装置17の油圧ポンプとの間に設けられた電磁弁を制御してリフトシリンダ25を制御することで、車体2に支持される作業機3の高さ(作業機高さ)を変更する制御を行う。作業制御部46は、例えば、圃場に対して作業を行う際の高さである下降位置と、下降位置よりも高く、走行時の高さである上昇位置との間で作業機高さを変更可能である。また、作業制御部46は、ローリングシリンダ27と変速装置17の油圧ポンプとの間に設けられた電磁弁を制御してローリングシリンダ27を制御することで、車体2に対して支持される作業機3の左右方向の傾斜姿勢を変更することができる。更に、作業制御部46は、PTO軸20の回転数(回転速度)を制御することで、耕耘回転軸32及び複数の耕耘爪33の回転数(回転速度)を変更することができる。
【0039】
作業機状態検出部47は、車体2に設けられる各種センサの検出結果や、作業機3に設けられる各種センサの検出結果に基づいて、作業機3の状態(作業機状態)を検出する。例えば、作業機状態検出部47は、車体2に設けられる作業機高さセンサ80の検出結果に基づいて、地面(土壌表面)に対する作業機3の高さ(即ち、作業機高さ)を検出し、また、作業機高さに基づいて、地面(土壌)に耕耘爪33が入り込む作業機3の耕耘(即ち、作業機深さ)を検出する。作業機状態検出部47は、車体2に設けられる車体傾きセンサ81及び作業機傾きセンサ82の検出結果に基づいて、地面(土壌表面)に対する作業機3の傾き(即ち、作業機傾き)を検出する。
【0040】
また、作業機状態検出部47は、作業機3に設けられる状態検出センサ83の検出結果に基づいて、左右の側方耕耘部3bの開閉状態を検出する。作業機状態検出部47は、作業機3に設けられる整地板回転角センサ84の検出結果に基づいて、整地板34の回転角度(即ち、整地板回転角)を検出し、また、整地板回転角に基づいて、作業の仕上がり度合いを検出する。作業機状態検出部47は、作業機3に設けられる延長整地板センサ85の検出結果に基づいて、延長整地板35の展開状態/収納状態を検出する。
【0041】
表示制御部48は、表示装置14に各種表示画面を表示するように制御する。例えば、表示制御部48は、図5図7に示すように、作業機3の作業機状態を表示するための状態確認画面60を表示装置14に表示する。表示制御部48は、状態確認画面60を、作業走行の開始前に表示してもよく、あるいは、作業走行の実行中に表示してもよい。
【0042】
表示制御部48は、状態確認画面60において、作業機状態検出部47が検出した作業機3の作業機状態を表示する第1表示領域61と、撮像部28が撮像した画像を表示する第2表示領域62とを同時に表示する。表示制御部48は、状態確認画面60において、例えば、第1表示領域61と第2表示領域62とを上下方向に並べて一画面に表示する。
【0043】
また、表示制御部48は、状態確認画面60において、左右の側方耕耘部3bの稼働/停止を個別に操作するための操作ボタン63と、左右の側方耕耘部3bの開状態/閉状態の切り換えを同時に操作するための操作ボタン64と、延長整地板35の展開状態/収納状態の切り換えを同時に操作するための操作ボタン65と、作業機3による作業を代掻き作業や土寄せ作業に選択するための作業選択ボタン66と、を操作可能に表示する。
【0044】
なお、表示制御部48は、各側方耕耘部3bの稼働/停止を、ランプの点灯/消灯やアイコン等によって、識別可能に示し、また、側方耕耘部3bの開状態/閉状態を、ランプの点灯/消灯やアイコン等によって、識別可能に示す。また、表示制御部48は、作業選択ボタン66によって選択された作業の作業名称を表示するとよく、例えば、作業選択ボタン66に作業名称を表記していて、作業選択ボタン66の選択状態をランプ点灯で示す一方、非選択状態をランプ消灯で示す。
【0045】
表示制御部48は、第1表示領域61において、作業機3を概要的に図示したイラスト67を表示し、作業機状態検出部47が検出した作業機3の作業機状態を、当該イラスト67に対応させて表示する。表示制御部48は、作業機3のイラスト67において、作業機状態検出部47による作業機深さの検出結果に応じて、作業機3の深さを反映させて表示する。表示制御部48は、作業機3のイラスト67において、作業機状態検出部47による作業機傾きの検出結果に応じて、作業機3の傾きを反映させて表示する。表示制御部48は、作業機3のイラスト67において、作業機状態検出部47による左右の側方耕耘部3bの開閉状態の検出結果に応じて、左右の側方耕耘部3bを開状態又は閉状態で表示する。表示制御部48は、作業機3のイラスト67において、作業機状態検出部47による左右の延長整地板35の展開状態/収納状態の検出結果に応じて、左右の延長整地板35を展開状態又は収納状態で表示する。
【0046】
例えば、表示制御部48は、第1表示領域61において、作業機3の作業機状態として、作業機傾きセンサ82の検出結果に基づく作業機傾きを示す傾きメータ68を、作業機3のイラスト67の下側で、左右方向に長い形状で表示する。傾きメータ68は、作業機傾きの基準となる基準情報として、中央に傾き基準69を表示していて、傾き基準69に対する作業機傾きの量を、傾き基準69からの離間位置によって示している。例えば、図6に示すように、傾きメータ68が右側に変位している場合、作業機3は右肩下がりになっていて、一方、図7に示すように、傾きメータ68が左側に変位している場合、作業機3は左肩下がりになっている。また、表示制御部48は、第1表示領域61において、作業機3の作業機傾きの傾き基準69を設定するための傾き基準設定ボタン70を操作可能に表示し、傾き基準設定ボタン70の操作に応じて、作業機3の作業機傾きを傾き基準69に設定する。
【0047】
また、表示制御部48は、第1表示領域61において、作業機3の作業機状態として、作業機高さセンサ80の検出結果に基づく作業機深さを示す深さメータ71を、作業機3のイラスト67の右側(又は左側)で、上下方向に長い形状で表示する。深さメータ71は、作業機深さの基準となる基準情報として、中央に深さ基準72を表示していて、深さ基準72に対する作業機深さの量を、深さ基準72からの離間位置によって示している。例えば、図6に示すように、深さメータ71が下側に変位している場合、作業機3は目標よりも耕深が深くなっていて、一方、図7に示すように、深さメータ71が上側に変位している場合、作業機3は目標よりも耕深が浅くなっている。また、表示制御部48は、第1表示領域61において、作業機3の作業機深さの深さ基準72を設定するための深さ基準設定ボタン73を操作可能に表示し、深さ基準設定ボタン73の操作に応じて、作業機3の作業機深さを深さ基準72に設定する。
【0048】
表示制御部48は、第2表示領域62において、撮像部28の第1撮像装置28aが撮像した作業画像74を表示する。なお、表示制御部48は、撮像部28の撮像方向等を操作する撮像操作部を操作可能に表示してよい。また、表示制御部48は、作業機状態の基準となる基準情報として、作業機3の作業機深さ及び作業機傾きを示す基準線75を、作業画像74上の作業機3の対応する位置に重ねて表示する。
【0049】
例えば、表示制御部48は、トラクタ1の作業走行の開始前又は作業機3の稼働開始前に撮像された作業画像74に基づいて、画像解析等を行い、当該作業画像74における作業機3の特徴点を抽出することによって、当該作業機3の基準線75を判定し、当該作業画像74における基準線75の位置情報を取得する。そして、表示制御部48は、取得した位置情報に基づいて作業画像74に基準線75を重ねて表示し、その後、作業画像74が更新されて作業機3の深さや傾きが変動しても、基準線75は位置情報に基づいて不動に表示される。あるいは、表示制御部48は、作業者の任意の手動操作に応じて、基準線75を設定してもよい。なお、表示制御部48は、傾き基準設定ボタン70や深さ基準設定ボタン73が操作されたときに、基準線75を更新してもよい。
【0050】
次に、携帯端末5について説明する。携帯端末5は、トラクタ1の構成要素の一つであって、トラクタ1を遠隔操作可能な端末であり、例えば、タッチパネルを備えるタブレット端末やノート型のパーソナルコンピュータ等で構成される。なお、携帯端末5と同様の操作装置がキャビン12に備えられてもよい。本発明では、トラクタ1や携帯端末5によって作業システムが構成される。
【0051】
携帯端末5は、図4に示すように、CPU等のコンピュータで構成される端末側制御装置50を備えていて、端末側制御装置50は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の端末側記憶部51や、外部機器と通信を行う端末側通信部52に接続されている。また、携帯端末5は、様々な情報を表示して作業者に出力するためのタッチパネルやモニタ等の表示部53を備え、また、作業者からの様々な情報の入力操作を受け付けるためのタッチパネルや操作キー等の入力部54を備える。
【0052】
端末側記憶部51は、携帯端末5の各種構成要素及び各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、端末側制御装置50が、端末側記憶部51に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、携帯端末5の各種構成要素及び各種機能を制御する。端末側記憶部51は、トラクタ1の作業対象である圃場の圃場情報や自動走行経路を記憶する。
【0053】
端末側通信部52は、無線通信アンテナを介して、トラクタ1の通信部41と通信可能に接続される。端末側制御装置50は、端末側通信部52を制御してトラクタ1と無線通信を行い、トラクタ1との間で各種情報を送受信する。
【0054】
端末側制御装置50は、端末側記憶部51に記憶されたプログラムを実行することにより、圃場選択部55、経路作成部56、端末側表示制御部57として動作する。なお、経路作成部56、端末側表示制御部57は、本発明に係る作業方法の表示工程を実現するものである。
【0055】
圃場選択部55は、作業対象となる圃場を手動又は自動で選択し、選択した圃場の圃場情報を取得する。例えば、圃場選択部55は、作業対象となる圃場を選択するための圃場選択画面(図示せず)を表示部53に表示する。圃場選択画面では、端末側記憶部51に既に記憶されている圃場情報に対応する圃場を選択可能にしている。圃場選択画面で何れかの圃場が手動操作に応じて選択されると、圃場選択部55は、選択操作された圃場を作業対象として選択し、選択した圃場に対応する圃場情報を端末側記憶部51から読み出し、端末側通信部52を介してトラクタ1へ送信する。
【0056】
また、圃場選択画面では、新規圃場の作成を操作可能にしている。圃場選択画面で新規圃場の作成が操作されると、圃場選択部55は、トラクタ1の自車位置の新規圃場を作業対象として選択する。そして、圃場選択部55は、トラクタ1が新規圃場の外周形状に沿って周回して外周走行を行うときに、トラクタ1の測位ユニット15が測位したトラクタ1の自車位置をトラクタ1から受信し、新規圃場の外周形状の位置情報や外周走行の経路の位置情報を記録する。圃場選択部55は、外周走行で取得した位置情報に基づいて、新規圃場の圃場外形を作成し、その圃場外形を含む圃場情報を作成して端末側記憶部51に記憶し、端末側通信部52を介してトラクタ1へ送信する。
【0057】
経路作成部56は、圃場選択部55で選択された圃場を自動走行する自動走行経路を作成して端末側記憶部51に記憶し、端末側通信部52を介してトラクタ1へ送信する。自動走行経路は、自動走行に関する走行情報及び代掻き作業に関する作業情報を含む。走行情報は、圃場における走行位置に加えて、各走行位置での進行方向や設定車速を含んでよい。作業情報は、各走行位置での代掻きの稼働又は停止、回転数(回転速度)及び代掻き高さ(深さ)等の作業に関する情報を含んでよい。経路作成部56は、圃場に対して、携帯端末5の操作により選択された走行パターン(往復走行又は周回走行)に応じて、前進方向に走行しながら代掻き作業を行う複数の直進経路を作成し、複数の直進経路と各直進経路を接続する複数の旋回経路とを組み合わせて自動走行経路を作成する。
【0058】
端末側表示制御部57は、自動走行モードが設定されているときに、圃場の自動走行を行うための作業画面を表示部53に表示するように制御する。端末側表示制御部57は、作業画面において、自動走行を行う圃場の情報や走行経路を表示するための地図欄や、自動走行の開始や停止を指示操作するための作業ボタンを表示する。
【0059】
なお、端末側表示制御部57は、トラクタ1が作業走行を行うとき、上記した状態確認画面60と同様の画面を表示部53に表示してもよい。この場合、端末側表示制御部57は、状態確認画面60の表示に必要な情報をトラクタ1から端末側通信部52を介して受信する。なお、端末側表示制御部57は、トラクタ1が自動走行を行う場合には、作業画面と、状態確認画面60と同様の画面とを、作業者の任意の手動操作に応じて、作業者の任意の手動操作に応じて切り換えて表示部53に表示してもよい。
【0060】
上記のように、本実施形態によれば、作業車両であるトラクタ1は、作業機3と、制御装置13と、撮像部28とを備えている。制御装置13は、作業機状態検出部47(検出部)、表示制御部48として動作する。作業機状態検出部47は、作業機3に関する作業機状態を検出する。撮像部28は、作業機3による作業状況を撮像して作業画像74を取得する。表示制御部48は、検出した作業機状態を表示する第1表示領域61と、取得した作業画像74を表示する第2表示領域62とを同時に表示装置14に表示する。
【0061】
換言すれば、作業機3を備えた作業車両であるトラクタ1の本発明の作業方法は、作業機3に関する作業機状態を検出する検出工程と、作業機3による作業状況を撮像して作業画像74を取得する撮像工程と、検出した作業機状態を表示する第1表示領域61と取得した作業画像74を表示する第2表示領域62とを同時に表示する表示工程と、を有する。
【0062】
これにより、トラクタ1は、代掻き用ハロー等の作業機3の作業機状態と、作業機3の作業状況を撮像した作業画像74との両方を同時に表示することができ、作業者は両方の情報を同時に確認することができ、トラクタ1の作業監視の効率を向上し、トラクタ1の操作性を向上することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、表示制御部48は、第1表示領域61と第2表示領域62とを上下方向に並べて一画面に表示する。
【0064】
あるいは、表示制御部48は、第1表示領域61と第2表示領域62とを左右方向に並べて一画面に表示する。
【0065】
これにより、作業機3の作業機状態と作業画像74とを見比べることがより容易になり、トラクタ1の作業監視の効率を向上し、トラクタ1の操作性を向上することができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、撮像部28は、作業機3及びその周辺を撮像して作業画像74を撮像する。
【0067】
これにより、作業機3の作業状況をより確実に確認することができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、表示制御部48は、作業機3を図示したイラスト67に作業機状態を対応させて第1表示領域61に表示する。
【0069】
これにより、イラスト67及びその周辺を視認することで作業機状態をより容易に確認することができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、表示制御部48は、作業機状態として、作業機3の作業機深さ、作業機3の水平方向に対する作業機傾き、作業機3の開閉状態及び作業機3が行う作業名称のうち、少なくとも1つを第1表示領域61に表示する。
【0071】
これにより、様々な作業機状態を確認することが可能となる。なお、表示制御部48は、作業者の任意の操作に応じて選択された作業機状態を表示させることもできる。
【0072】
また、本実施形態によれば、表示制御部48は、作業機状態の基準となる基準情報を設定可能にすると共に、作業機状態と基準情報とを第1表示領域61に同時に表示し、また、基準情報を作業画像74に重ねて表示する。
【0073】
これにより、作業者は、作業機3の基準情報に対する作業機状態や作業状況の程度をより容易に確認することができ、また、基準情報を確認しながら、作業を修正することもできる。
【0074】
なお、上記した実施形態では、車体2が、作業機3による作業状況を撮像する撮像部28として、第1撮像装置28aをPTO軸20のPTO軸カバーに設ける例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、撮像部28は、図8図9に示すように、第1撮像装置28a、第2撮像装置28b、第3撮像装置28c等の2台以上の撮像装置を備えてもよい。なお、図8及び図9では、車体2が、第1撮像装置28a、第2撮像装置28b、第3撮像装置28cを備える例を図示しているが、第1撮像装置28a、第2撮像装置28b、第3撮像装置28cの中から、必要に応じて適宜選択した2台以上の撮像装置を備えればよい。
【0075】
例えば、他の例では、車体2は、第1撮像装置28aに加えて、又は第1撮像装置28aに代えて、第2撮像装置28bを、キャビン12に設けるとよい。第2撮像装置28bは、作業機3による作業状況を全体的に撮像し、具体的には、作業機3の全体と当該作業機3が作業している土壌周辺とを同時に画角に入れて撮像する。キャビン12の第2撮像装置28bから撮像した作業画像74は、表示制御部48によって、図10に示すように、状態確認画面60の第2表示領域62に表示される。なお、第2撮像装置28bは、キャビン12の上部後側から後下方向に撮影方向を向けて設けられてよいが、撮影方向を制御装置13によって制御されてもよい。
【0076】
また、他の例では、車体2は、第1撮像装置28a及び/又は第2撮像装置28bに加えて、あるいは、第1撮像装置28a及び/又は第2撮像装置28bに代えて、左右一対の第3撮像装置28cを、左右の後輪11のそれぞれを覆う左右のフェンダー11aに設けるとよい。左右一対の第3撮像装置28cは、作業機3による左側又は右側の作業状況をより近くで撮像し、具体的には、作業機3の左側又は右側と当該作業機3が作業している土壌周辺とを同時に画角に入れて撮像する。各フェンダー11aの各第3撮像装置28cから撮像した作業画像74は、表示制御部48によって、状態確認画面60の第2表示領域62に表示される。なお、各第3撮像装置28cは、各フェンダー11aの上部後側から後下方向に撮影方向を向けて設けられてよいが、撮影方向を制御装置13によって制御されてもよい。
【0077】
第1撮像装置28a及び第2撮像装置28bを備える場合、表示制御部48は、作業画像74として、第1撮像装置28aで撮像した第1作業画像と、第2撮像装置28bで撮像した第2作業画像とを全て、第2表示領域62に同時に表示してもよく、これらの作業画像74のうち、作業者の任意の操作に応じて選択された1つ以上の作業画像74のみを表示してもよい。
【0078】
第1撮像装置28a及び左右一対の第3撮像装置28cを備える場合、表示制御部48は、作業画像74として、第1撮像装置28aで撮像した第1作業画像と、左右一対の第3撮像装置28cで撮像した左右一対の第3作業画像とを全て、第2表示領域62に表示してもよく、これらの作業画像74のうち、作業者の任意の操作に応じて選択された1つ以上の作業画像74のみを表示してもよい。
【0079】
第1撮像装置28a、第2撮像装置28b及び左右一対の第3撮像装置28cを備える場合、表示制御部48は、作業画像74として、第1撮像装置28aで撮像した第1作業画像と、第2撮像装置28bで撮像した第2作業画像と、左右一対の第3撮像装置28cで撮像した左右一対の第3作業画像とを全て、第2表示領域62に同時に表示してもよく、これらの作業画像74のうち、作業者の任意の操作に応じて選択された1つ以上の作業画像74のみを表示してもよい。
【0080】
なお、上記した実施形態では、表示制御部48が、状態確認画面60において、第1表示領域61を上側に表示して、第2表示領域62を下側に表示する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の例では、表示制御部48は、状態確認画面60において、第1表示領域61を下側に表示して、第2表示領域62を上側に表示してもよい。あるいは、他の例では、表示制御部48は、状態確認画面60において、第1表示領域61と第2表示領域62とを左右方向に並べて一画面に表示し、例えば、第1表示領域61を右側(又は左側)に表示して、第2表示領域62を左側(又は右側)に表示してもよい。
【0081】
また、表示制御部48は、状態確認画面60において、第1表示領域61及び第2表示領域62を並べて一画面に表示していて、第1表示領域61の選択操作が行われた場合に、第1表示領域61のみを表示し、又は第1表示領域61を拡大表示してもよく、また、第2表示領域62の選択操作が行われた場合に、第2表示領域62のみを表示し、又は第2表示領域62を拡大表示してもよい。
【0082】
また、表示制御部48は、状態確認画面60において、主に、第1表示領域61のみを一画面に表示していて、撮像部28に対応する選択操作が行われた場合に、第2表示領域62をポップアップ表示し、又は第1表示領域61と第2表示領域62とを並べた一画面表示に切り替えてもよい。このとき、表示制御部48は、第1表示領域61の作業機3のイラスト67において、第1撮像装置28aに対応する選択操作(第1撮像装置28aの設置個所付近又は第1撮像装置28aの撮像範囲付近の選択操作)が行われた場合に、第1撮像装置28aで撮像した第1作業画像を第2表示領域62に表示する。また、表示制御部48は、第1表示領域61の作業機3のイラスト67において、第2撮像装置28bに対応する選択操作(第2撮像装置28bの設置個所付近又は第2撮像装置28bの撮像範囲付近の選択操作)が行われた場合に、第2撮像装置28bで撮像した第2作業画像を第2表示領域62に表示する。また、表示制御部48は、第1表示領域61の作業機3のイラスト67において、各第3撮像装置28cに対応する選択操作(各第3撮像装置28cの設置個所付近又は各第3撮像装置28cの撮像範囲付近の選択操作)が行われた場合に、各第3撮像装置28cで撮像した各第3作業画像を第2表示領域62に表示する。
【0083】
なお、上記した実施形態では、表示制御部48が、作業機状態の基準となる基準情報として、作業機3の作業機傾きの傾き基準69を設定するための傾き基準設定ボタン70や、作業機3の作業機深さの深さ基準72を設定するための深さ基準設定ボタン73や、作業機3の作業機深さ及び作業機傾きを示す基準線75を、状態確認画面60に表示する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の例では、表示制御部48は、作業機3の昇降制御の基準となる基準情報や、作業機3の駆動制御(稼働制御)の基準となる基準情報を、設定可能に表示するとよい。
【0084】
また、上記した実施形態では、表示制御部48が、作業機傾きに関する傾きメータ68及び傾き基準設定ボタン70と、作業機深さに関する深さメータ71及び深さ基準設定ボタン73とを、第1表示領域61において作業機3のイラスト67に対応させて表示する例を説明したが、本発明は、この例に限定されない。例えば、表示制御部48は、作業機傾きに関する傾きメータ68及び傾き基準設定ボタン70や、作業機深さに関する深さメータ71及び深さ基準設定ボタン73を、第2表示領域62において、作業画像74に対応させて表示してもよい。
【0085】
なお、上記した実施形態では、撮像部28は、作業機3による作業状況を撮像する第1撮像装置28a、第2撮像装置28b、第3撮像装置28cを車体2の側に設ける例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の例では、撮像部28は、作業機3の側に作業機側撮像装置を設けて、撮像した作業画像を作業機側通信部37によって車体2の側の制御装置13へと送信してもよく、表示制御部48は、状態確認画面60の第2表示領域62に作業機側撮像装置で撮像した作業画像を表示してもよい。
【0086】
上記した実施形態では、表示制御部48は、作業機3の作業機状態として、作業機傾きを傾きメータ68で示し、作業機深さを深さメータ71で示す例を説明したが、本発明は、この例に限定されない。例えば、他の例では、表示制御部48は、作業機傾きや作業機深さ等の作業機3の作業機状態を、数値や複数段階のレベル、文字表示等で示してもよい。
【0087】
上記した実施形態では、トラクタ1が作業機3として代掻き用ハローを備えて代掻き作業を行う例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の例では、トラクタ1は作業機3としてロータリを備えて耕耘作業を行ってもよく、若しくは、他の作業機を備えて他の作業を行うように構成されてもよい。
【0088】
また、上記した実施形態では、携帯端末5の端末側制御装置50が、経路作成部56として動作する例を説明したが、他の例では、経路作成部56がトラクタ1等の作業車両や携帯端末5とネットワークを介して接続可能なサーバで動作されてもよい。この場合においては、サーバで生成された経路情報がトラクタ1等の作業車両や携帯端末5へ送信されるように構成されてもよい。更に、他の例では、外部のサーバが、表示制御部48と同様の機能を有して状態確認画面60を作成し、トラクタ1等の作業車両や携帯端末5へ送信してもよく、あるいは、監視センターにある監視用のモニタに状態確認画面60を表示させることもできる。
【0089】
なお、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う作業方法、作業車両及び作業システムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【0090】
〔発明の付記〕
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0091】
<付記1>
作業機を備えた作業車両の作業方法であって、
前記作業機に関する作業機状態を検出する検出工程と、
前記作業機による作業状況を撮像して作業画像を取得する撮像工程と、
検出した前記作業機状態を表示する第1表示領域と、取得した前記作業画像を表示する第2表示領域とを同時に表示する表示工程と、
を有することを特徴とする作業方法。
【0092】
<付記2>
前記表示工程は、前記第1表示領域と前記第2表示領域とを上下方向に並べて一画面に表示することを特徴とする付記1に記載の作業方法。
【0093】
<付記3>
前記表示工程は、前記第1表示領域と前記第2表示領域とを左右方向に並べて一画面に表示することを特徴とする付記1に記載の作業方法。
【0094】
<付記4>
前記撮像工程は、前記作業機及びその周辺を撮像して前記作業画像を撮像することを特徴とする付記1~3の何れかに記載の作業方法。
【0095】
<付記5>
前記表示工程は、前記作業機を図示したイラストに前記作業機状態を対応させて前記第1表示領域に表示することを特徴とする付記1~4の何れかに記載の作業方法。
【0096】
<付記6>
前記表示工程は、前記作業機状態として、前記作業機の作業機深さ、前記作業機の作業機傾き、前記作業機の開閉状態及び前記作業機が行う作業名称のうち、少なくとも1つを前記第1表示領域に表示することを特徴とする付記1~5の何れかに記載の作業方法。
【0097】
<付記7>
前記表示工程は、前記作業機状態の基準となる基準情報を設定可能にすると共に、前記作業機状態と前記基準情報とを前記第1表示領域に同時に表示し、また、前記基準情報を前記作業画像に重ねて表示することを特徴とする付記1~6の何れかに記載の作業方法。
【0098】
<付記8>
作業機を備えた作業車両であって、
前記作業機に関する作業機状態を検出する検出部と、
前記作業機による作業状況を撮像して作業画像を取得する撮像部と、
検出した前記作業機状態を表示する第1表示領域と、取得した前記作業画像を表示する第2表示領域とを同時に表示装置に表示する表示制御部と、
を備えることを特徴とする作業車両。
【0099】
<付記9>
前記表示制御部は、前記第1表示領域と前記第2表示領域とを上下方向に並べて一画面に表示することを特徴とする付記8に記載の作業車両。
【0100】
<付記10>
前記表示制御部は、前記第1表示領域と前記第2表示領域とを左右方向に並べて一画面に表示することを特徴とする付記8に記載の作業車両。
【0101】
<付記11>
前記撮像部は、前記作業機及びその周辺を撮像して前記作業画像を撮像することを特徴とする付記8~10の何れかに記載の作業車両。
【0102】
<付記12>
前記表示制御部は、前記作業機を図示したイラストに前記作業機状態を対応させて前記第1表示領域に表示することを特徴とする付記8~11の何れかに記載の作業車両。
【0103】
<付記13>
前記表示制御部は、前記作業機状態として、前記作業機の作業機深さ、前記作業機の作業機傾き、前記作業機の開閉状態及び前記作業機が行う作業名称のうち、少なくとも1つを前記第1表示領域に表示することを特徴とする付記8~12の何れかに記載の作業車両。
【0104】
<付記14>
前記表示制御部は、前記作業機状態の基準となる基準情報を設定可能にすると共に、前記作業機状態と前記基準情報とを前記第1表示領域に同時に表示し、また、前記基準情報を前記作業画像に重ねて表示することを特徴とする付記8~13の何れかに記載の作業車両。
【0105】
<付記15>
作業機を備えた作業車両の作業システムであって、
前記作業機に関する作業機状態を検出する検出部と、
前記作業機による作業状況を撮像して作業画像を取得する撮像部と、
検出した前記作業機状態を表示する第1表示領域と、取得した前記作業画像を表示する第2表示領域とを同時に表示装置に表示する表示制御部と、
を備えることを特徴とする作業システム。
【0106】
<付記16>
前記表示制御部は、前記第1表示領域と前記第2表示領域とを上下方向に並べて一画面に表示することを特徴とする付記15に記載の作業システム。
【0107】
<付記17>
前記表示制御部は、前記第1表示領域と前記第2表示領域とを左右方向に並べて一画面に表示することを特徴とする付記15に記載の作業システム。
【0108】
<付記18>
前記撮像部は、前記作業機及びその周辺を撮像して前記作業画像を撮像することを特徴とする付記15~17の何れかに記載の作業システム。
【0109】
<付記19>
前記表示制御部は、前記作業機を図示したイラストに前記作業機状態を対応させて前記第1表示領域に表示することを特徴とする付記15~18の何れかに記載の作業システム。
【0110】
<付記20>
前記表示制御部は、前記作業機状態として、前記作業機の作業機深さ、前記作業機の作業機傾き、前記作業機の開閉状態及び前記作業機が行う作業名称のうち、少なくとも1つを前記第1表示領域に表示することを特徴とする付記15~19の何れかに記載の作業システム。
【0111】
<付記21>
前記表示制御部は、前記作業機状態の基準となる基準情報を設定可能にすると共に、前記作業機状態と前記基準情報とを前記第1表示領域に同時に表示し、また、前記基準情報を前記作業画像に重ねて表示することを特徴とする付記15~20の何れかに記載の作業システム。
【符号の説明】
【0112】
1 トラクタ(作業車両)
3 作業機
13 制御装置
14 表示装置
28 撮像部
28a 第1撮像装置
28b 第2撮像装置
28c 第3撮像装置
47 作業機状態検出部(検出部)
48 表示制御部
60 状態確認画面
61 第1表示領域
62 第2表示領域
67 イラスト
74 作業画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10