(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161779
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】車両用荷室照明装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/30 20170101AFI20231031BHJP
B60R 5/04 20060101ALI20231031BHJP
B60Q 3/80 20170101ALI20231031BHJP
B60Q 3/64 20170101ALI20231031BHJP
【FI】
B60Q3/30
B60R5/04 T
B60Q3/80
B60Q3/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072328
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100124958
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 建志
(72)【発明者】
【氏名】浅井 寛晃
(72)【発明者】
【氏名】中根 浩貴
【テーマコード(参考)】
3D022
3K040
【Fターム(参考)】
3D022BA06
3D022BB03
3D022BC10
3K040AA03
3K040DB01
3K040JA04
3K040JB02
(57)【要約】
【課題】車両の荷室の見栄えを向上させることが可能な車両用荷室照明装置を提供する。
【解決手段】荷室LR1を上下に仕切るための遮蔽部材(2)は、端部41から入射した光L1を側面42から視認可能に出す長手状の導光体40、及び、外側20oからの光L1を通す状態で導光体40の端部41を外側20oに向けて保持する保持部(60)を有する。側壁部(3)は、保持部(60)を受ける受け部(72)を有する。スイッチ75は、受け部(72)に設けられ、該受け部(72)に保持部(60)がセットされているセット状態SS1を検出する。光出射部80は、側壁部(3)に設けられ、スイッチ75がセット状態SS1を検出している時に導光体40の端部41に向けて光L1を出射可能であり、スイッチ75がセット状態SS1を検出していない時に光L1を出射しない。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷室を照らすための車両用荷室照明装置であって、
前記荷室を上下に仕切るための遮蔽部材であって、端部から入射した光を側面から視認可能に出す長手状の導光体、及び、外側からの前記光を通す状態で前記導光体の端部を前記外側に向けて保持する保持部を有する遮蔽部材と、
前記保持部を受ける受け部を有する側壁部と、
前記受け部に設けられ、該受け部に前記保持部がセットされているセット状態を検出するスイッチと、
前記側壁部に設けられ、前記スイッチが前記セット状態を検出している時に前記導光体の端部に向けて前記光を出射可能であり、前記スイッチが前記セット状態を検出していない時に前記光を出射しない光出射部と、を備える、車両用荷室照明装置。
【請求項2】
前記受け部は、前記保持部が挿入されると弾性変形の後に前記保持部を前記セット状態に維持する弾性部を有する、請求項1に記載の車両用荷室照明装置。
【請求項3】
前記導光体は、曲げ可能であり、
前記遮蔽部材は、
柔軟性を有するカバー本体と、
該カバー本体の縁部を縁取る縁取り部と、
該縁取り部に設けられ、前記カバー本体を囲む曲げ可能なワイヤーと、
前記縁取り部から前記導光体が離隔して前記カバー本体の下面に縫い付けられた縫製部と、をさらに有し、
折り畳み可能である、請求項1又は請求項2に記載の車両用荷室照明装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、
柔軟性を有するカバー本体と、
前記導光体が前記カバー本体の下面に縫い付けられた縫製部と、をさらに有し、
前記縫製部は、
前記カバー本体の色に合わせられた色の第一の糸であって前記カバー本体に縫製された第一の糸と、
該第一の糸に引っ掛かった状態で前記導光体の側面を保持するように縫製された透明な第二の糸と、を含む、請求項1又は請求項2に記載の車両用荷室照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用荷室照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハッチバック、ステーションワゴン、等といった自動車には、後部の荷室を開閉するため、後部扉(Tailgate)が設けられることがある。これらの自動車のデッキサイドには、トノカバーやリヤシェルフ等、荷室を上下に仕切る遮蔽部材が取り外し可能に取り付けられることがある。ユーザーは、遮蔽部材をデッキサイドから取り外すことにより、遮蔽部材の仕切り位置よりも高い荷物を荷室に収容することができる。
デッキサイドに取り付けられた遮蔽部材から下側の視認性を向上させるため、デッキサイドに配置された光源から車幅方向内側へ出る光を下方へ導く導光体が遮蔽部材に設けられることがある。特許文献1に開示された荷室仕切装置は、長手方向を車幅方向に向けた導光体を有する仕切装置本体部を備え、デッキサイドトリムから出る光が長手状の導光体に導かれて下方へ出ることにより、仕切装置本体部から下側の荷室空間を照らす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遮蔽部材の導光体に光を出射する光源がデッキサイドに配置されると、デッキサイドから遮蔽部材が取り外されている時にデッキサイドから光が無意味に漏れることがあり、これにより荷室の見栄えが低下することがある。
【0005】
本発明は、車両の荷室の見栄えを向上させることが可能な車両用荷室照明装置を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用荷室照明装置は、車両の荷室を照らすための車両用荷室照明装置であって、
前記荷室を上下に仕切るための遮蔽部材であって、端部から入射した光を側面から視認可能に出す長手状の導光体、及び、外側からの前記光を通す状態で前記導光体の端部を前記外側に向けて保持する保持部を有する遮蔽部材と、
前記保持部を受ける受け部を有する側壁部と、
前記受け部に設けられ、該受け部に前記保持部がセットされているセット状態を検出するスイッチと、
前記側壁部に設けられ、前記スイッチが前記セット状態を検出している時に前記導光体の端部に向けて前記光を出射可能であり、前記スイッチが前記セット状態を検出していない時に前記光を出射しない光出射部と、を備える、態様を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、長手状の導光体を有する遮蔽部材が側壁部から取り外されている時に導光体用の光が側壁部から漏れることを防ぐことが可能な車両用荷室照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】後部扉(Tailgate)が開きトノカバーの後縁部が吊り上がっている状態の自動車の後部の例を模式的に示す斜視図。
【
図2】後部扉が閉じている状態の自動車の後部内装の例を模式的に示す図。
【
図3】車両用荷室照明装置の要部の例を模式的に示す分解斜視図。
【
図4】トノカバーの裏側の例を模式的に示す底面図。
【
図5】トノカバーの縁部を含む要部の例を
図4のA1-A1の位置において模式的に示す断面図。
【
図6】側壁部に組み付けられる部品の例を模式的に示す分解斜視図。
【
図7】側壁部に組み付けられる部品の例を模式的に示す分解斜視図。
【
図8】スイッチが設けられた受け部及びその周辺の例を模式的に示す図。
【
図9】車両用荷室照明装置の付勢部を含む要部の例を模式的に示す断面図。
【
図10】
図10Aは保持部の表側における外観の例を模式的に示す斜視図、
図10Bは保持部の裏側における外観の例を模式的に示す斜視図。
【
図11】車両用荷室照明装置の電気回路の例を模式的に示すブロック図。
【
図12】制御部が行うドア開閉制御処理の例を模式的に示すフローチャート。
【
図13】トノカバーの取り付け方法の例を模式的に示す斜視図。
【
図14】トノカバーの折り畳み方法の例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0010】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、
図1~14に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
また、本願において、数値範囲「Min~Max」は、最小値Min以上、且つ、最大値Max以下を意味する。
【0011】
[態様1]
本技術の一態様に係る車両用荷室照明装置1は、車両(例えば自動車100)の荷室LR1を照らすための車両用荷室照明装置1であって、前記荷室LR1を上下に仕切るための遮蔽部材(例えばトノカバー2)、側壁部(例えば内装部材3)、スイッチ75、及び、光出射部80を備える。前記遮蔽部材(2)は、端部41から入射した光L1を側面42から視認可能に出す長手状の導光体40、及び、外側20oからの前記光L1を通す状態で前記導光体40の端部41を前記外側20oに向けて保持する保持部(例えば端部保持部材60)を有する。前記側壁部(3)は、前記保持部(60)を受ける受け部(例えばキャッチ部材72)を有する。前記スイッチ75は、前記受け部(72)に設けられ、該受け部(72)に前記保持部(60)がセットされているセット状態SS1を検出する。前記光出射部80は、前記側壁部(3)に設けられ、前記スイッチ75が前記セット状態SS1を検出している時に前記導光体40の端部41に向けて前記光L1を出射可能であり、前記スイッチ75が前記セット状態SS1を検出していない時に前記光L1を出射しない。
【0012】
側壁部(3)の受け部(72)に遮蔽部材(2)の保持部(60)がセットされている状態である場合、光出射部80から出射された光L1が端部41から導光体40に入って側面42から視認可能に出る。これにより、遮蔽部材(2)の近傍が照らされ、荷室LR1の視認性が向上する。一方、側壁部(3)の受け部(72)に遮蔽部材(2)の保持部(60)がセットされていない状態である場合、光出射部80から導光体40用の光L1は出射せず、側壁部(3)から導光体40用の光L1は漏れない。従って、上記態様は、長手状の導光体を有する遮蔽部材が側壁部から取り外されている時に導光体用の光が側壁部から漏れることを防ぐことができ、荷室の見栄えを向上させる車両用荷室照明装置を提供することができる。
【0013】
ここで、荷室は、乗員室と繋がるなど開かれた空間でもよいし、閉じた空間でもよい。
遮蔽部材には、トノカバー装置、リヤシェルフ、等が含まれる。導光体は、柔軟性を有するカバーの下面に設けられてもよいし、カバーを収容するケースの下面に設けられてもよい。
長手状の導光体は、1本でもよいし、2本以上でもよい。
光出射部から出射した光は、導光体の両端に入射してもよいし、導光体の一端にのみ入射してもよい。ここで、導光体の端部には、長手方向の端面のみならず、端面近傍の導光体の側面が含まれる。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0014】
[態様2]
図8,13等に例示するように、前記受け部(72)は、前記保持部(60)が挿入されると弾性変形の後に前記保持部(60)を前記セット状態SS1に維持する弾性部73を有していてもよい。
以上の場合、受け部(72)に挿入された保持部(60)が弾性部73によりセット状態SS1に維持されるので、光出射部80から出射した光L1が漏れずに端部41から導光体40に入って側面42から視認可能に出る。従って、上記態様は、遮蔽部材に設けられた導光体の側面から光を出すための好適な構造を提供することができる。
【0015】
[態様3]
図14に例示するように、前記導光体40は、曲げ可能でもよい。前記遮蔽部材(2)は、柔軟性を有するカバー本体10を有していてもよく、該カバー本体10の縁部11を縁取る縁取り部(例えば縁取り部材20)を有していてもよく、該縁取り部(20)に設けられ前記カバー本体10を囲む曲げ可能なワイヤー30を有していてもよい。当該遮蔽部材(2)は、前記縁取り部(20)から前記導光体40が離隔して前記カバー本体10の下面10bに縫い付けられた縫製部50を有していてもよい。当該遮蔽部材(2)は、折り畳み可能でもよい。
ワイヤー30が設けられた縁取り部(20)はカバー本体10よりも厚いため、長手状の導光体40が縁取り部(20)に接していると、導光体40の側面42から出る光L1が縁取り部(20)に遮られ、これにより遮蔽部材(2)の見栄えが低下することがある。上記態様では、カバー本体10の下面10bにある導光体40が縁取り部(20)から離隔しているので、導光体40の側面42から出る光L1が縁取り部(20)に遮られることによる遮蔽部材(2)の見栄えの低下が抑制される。従って、上記態様は、折り畳み可能な遮蔽部材の見栄えを向上させることができ、遮蔽部材が設けられる荷室の見栄えを向上させることができる。
【0016】
ここで、カバー本体の概念には、シート、スクリーン、シェード、ブラインド、等が含まれる。
縁取り部は、カバー本体に接合された別の部材でもよいし、カバー本体を含むシート状部材の端末部が折り返された部位といったカバー本体を含む共通部材の一部でもよい。
縁取り部に設けられるワイヤーは、1本でもよいし、2本以上に分割されてもよい。
上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0017】
[態様4]
図5に例示するように、前記縫製部50は、前記カバー本体10の色に合わせられた色の第一の糸51であって前記カバー本体10に縫製された第一の糸51と、該第一の糸51に引っ掛かった状態で前記導光体40の側面42を保持するように縫製された透明な第二の糸52と、を含んでいてもよい。
縫製部50に使用される糸の色が1色であると、カバー本体10に縫製された糸が目立ったり、導光体40の側面42を保持する糸が該側面42からの光L1を遮ったりする。上記態様では、第一の糸51の色がカバー本体10の色に合わせられているので、第一の糸51は目立たない。また、第一の糸51に引っ掛かった状態で導光体40の側面42を保持する第二の糸52は、透明であるので、導光体40の側面42から出る光L1が遮られない。従って、上記態様は、遮蔽部材の見栄えを向上させることができ、遮蔽部材が設けられる荷室の見栄えを向上させることができる。
【0018】
[態様5]
ところで、本技術の一態様に係る車両用トノカバー2は、折り畳み可能な車両用トノカバー2であって、柔軟性を有するカバー本体10と、該カバー本体10の縁部11を縁取る縁取り部(20)と、該縁取り部(20)に設けられ前記カバー本体10を囲む曲げ可能なワイヤー30と、端部41から入射した光L1を側面42から視認可能に出す曲げ可能な長手状の導光体40と、前記縁取り部(20)から前記導光体40が離隔して前記カバー本体10の下面10bに縫い付けられた縫製部50と、を備える。
ワイヤー30が設けられた縁取り部(20)はカバー本体10よりも厚いため、長手状の導光体40が縁取り部(20)に接していると、導光体40の側面42から出る光L1が縁取り部(20)に遮られ、これによりトノカバー2の見栄えが低下することがある。上記態様では、カバー本体10の下面10bにある導光体40が縁取り部(20)から離隔しているので、導光体40の側面42から出る光L1が縁取り部(20)に遮られることによるトノカバー2の見栄えの低下が抑制される。従って、上記態様は、折り畳み可能な車両用トノカバーの見栄えを向上させることができ、車両用トノカバーが設けられる荷室の見栄えを向上させることができる。
【0019】
[態様6]
また、本技術の別の態様に係る車両用トノカバー2は、柔軟性を有するカバー本体10と、端部41から入射した光L1を側面42から視認可能に出す長手状の導光体40と、該導光体40が前記カバー本体10の下面10bに縫い付けられた縫製部50と、を備える。前記縫製部50は、前記カバー本体10の色に合わせられた色の第一の糸51であって前記カバー本体10に縫製された第一の糸51と、該第一の糸51に引っ掛かった状態で前記導光体40の側面42を保持するように縫製された透明な第二の糸52と、を含む。
縫製部50に使用される糸の色が1色であると、カバー本体10に縫製された糸が目立ったり、導光体40の側面42を保持する糸が該側面42からの光L1を遮ったりする。上記態様では、カバー本体10に縫製された第一の糸51の色がカバー本体10の色に合わせられているので、第一の糸51は目立たない。また、第一の糸51に引っ掛かった状態で導光体40の側面42を保持する第二の糸52は、透明であるので、導光体40の側面42から出る光L1が遮られない。従って、上記態様は、車両用トノカバーの見栄えを向上させることができ、車両用トノカバーが設けられる荷室の見栄えを向上させることができる。
【0020】
(2)車両用荷室照明装置の具体例:
図1は、車両用荷室照明装置を有する自動車の例として、荷室用ドアである後部扉(Tailgate)120が開きトノカバー2の後縁部21bが吊り上がっている状態の自動車100の後部を模式的に例示している。
図2は、荷室形成部110の左側面部を省略して自動車100の後部内装を模式的に例示している。
図1,2に示す自動車100は、道路上で使用されるように設計及び装備された路上走行自動車であり、後席(座席102)の前に車室が形成され後席(102)の後に荷室LR1が形成された乗用自動車であるものとする。本技術を適用可能な自動車には、前席と後席を備える2列シートタイプのモータビークル、さらにサードシートを備える3列シートタイプのモータビークル、運転席の後方であって後席の前方に荷室が形成されるモータビークル、等が含まれ、いわゆるステーションワゴンやワンボックスカー等が含まれる。
【0021】
本具体例において、左右の位置関係は、自動車100の運転席に座って前を見る方向を基準とする。ここで、符号D1は前後方向を示し、符号D1aは前側を示し、符号D1bは後側を示している。符号D2は自動車100の幅方向を示し、符号D2aは左側を示し、符号D2bは右側を示している。符号D3は上下方向を示し、符号D3aは上側を示し、符号D3bは下側を示している。これらの方向D1,D2,D3は、互いに直交するものとするが、設計等により直交しない場合も互いに交差していれば本技術に含まれる。尚、「直交」は、厳密な90°に限定されず、誤差により厳密な90°からずれることを含む。また、方向や位置等の同一は、厳密な一致に限定されず、誤差により厳密な一致からずれることを含む。さらに、各部の位置関係の説明は、例示に過ぎない。従って、左右方向を上下方向又は前後方向に変更したり、上下方向を左右方向や前後方向に変更したり、前後方向を左右方向や上下方向に変更したり、回転方向を逆方向に変更したり等することも、本技術に含まれる。
【0022】
荷室LR1は、概ね、リヤフロアパネル上の内装材で構成される荷室フロア103、座席102のシートバック102b、デッキサイドトリムといった内装材で構成される左右の内装部材3、及び、後部扉120により区画されている。荷室形成部110は、荷室フロア103や左右の内装部材3を有し、後部が開口部111とされている。開口部111の下部には、開口部111を塞ぐ閉位置において後部扉120の下縁部122をロックするラッチ118が設けられている。後部扉120は、閉じているときを基準とした上縁部121を回転中心として外側の上方へ開動作し下方へ閉動作するように荷室形成部110に取り付けられ、
図2に例示する閉位置と
図1に例示する開位置との間で双方向に回転動作する。
図1,2等に示す後部扉120と荷室形成部110は上縁部121に設けられた回転軸121aにより互いに回転動作可能に繋がり、荷室形成部110が後部扉の上縁部121を軸支している。
【0023】
車両用トノカバー2は、
図2に例示するように荷室LR1の上部を略水平に覆うことにより、荷室LR1内の荷物等を後部扉120の窓ガラス等から視認し難くする。本具体例において、トノカバー2は、荷室LR1を上下に仕切るための遮蔽部材であり、側壁部である内装部材3の方から入射した光L1を下側に出すための長手状の導光体40を有している。
図1に例示するように後部扉120が開くことにより、荷室LR1に対して荷物等を開口部111から出し入れすることができる。
【0024】
図3は、車両用荷室照明装置の例として、車幅方向D2の右側D2bにおけるトノカバー2と内装部材3の要部を模式的に分解して例示している。車幅方向D2の左側D2aにおけるトノカバー2と内装部材3の構造は、右側D2bにおける構造と左右対称であるので、図示を省略する。分かり易く示すため、
図3ではカバー本体10を透視している。
図4は、トノカバー2の裏側を模式的に例示している。
図4の下部左側には、トノカバー2において導光体40が配置されている左側縁部21c近傍の要部を拡大して示している。
図4の下部右側には、トノカバー2において導光体40が配置されていない前縁部21a近傍の要部を拡大して示している。
図5は、トノカバー2の縁部を含む要部を
図4のA1-A1の位置において模式的に例示している。
図5の下部には、カバー本体10の図示を省略して導光体40及び縫製部50を拡大して示している。
図6,7は、内装部材3に組み付けられる部品を模式的に分解して例示している。
図8は、スイッチ75が設けられたキャッチ部材72(受け部の例)及びその周辺を模式的に例示している。
図8の下部には、スイッチ75が設けられたキャッチ部材72及びその周辺を側壁部材70の図示が省略された状態で示している。
図9は、車両用荷室照明装置1の付勢部90を含む要部を模式的に例示している。分かり易く示すため、
図9では導光体40が見えるようにしてトノカバー2の縁部21、及び、ワイヤー30の位置を二点鎖線で示している。また、
図9の下部(二点鎖線の囲み内)には、
図9の上部と比べて光出射部80が右側D2bに寄っていることが示されている。
【0025】
図3~5に示すトノカバー2は、カバー本体10、縁取り部材20(縁取り部の例)、ワイヤー30、長手状の導光体40、縫製部50、及び、端部保持部材60(保持部の例)を有している。
図4に示すように、トノカバー2の縁部21には、前縁部21a(奥側縁部の例)、後縁部21b(ドア側縁部の例)、左側縁部21c、及び、右側縁部21dが含まれるものとする。荷室照明装置1は、トノカバー2に加えて、側壁部材70及びキャッチ部材72を有する内装部材3、端部保持部材60のセット状態SS1(
図8参照)を検出するスイッチ75、光出射部80、及び、付勢部90を有している。光出射部80が車両本体側にあることにより、トノカバー2が雨等で濡れても電気系統に影響せず、電池交換の負担が発生せず、光源から生じる熱を放出するヒートシンクの設定が十分なスペースにおいて可能である。
【0026】
本具体例のカバー本体10は、柔軟性を有するシート15の内、縁取り部材20で囲まれた部分(縁取り部材20よりも内側20i)とする。本具体例の縁取り部材20は、
図4,5に例示するように、トノカバー2の表面2aから裏面2bにかけて折れ曲がってシート15の縁部を覆い、カバー本体10の縁部11を縁取る。縁部11は、曲がった縁部12を含む。縁取り部材20は、縁取り縫製部25から外側において袋綴じ状であり、ワイヤー30の挿入を許容する。縁取り部材20は、カバー本体10よりも厚く、中にワイヤー30が存在するとさらに厚くなる。縁取り部材20には、柔軟性を有する材料が好ましい。
柔軟なシート15及び縁取り部材20は、遮光性を有する不透明の軟質材料が好ましく、ポリアミド繊維やポリエステル繊維といった繊維から形成されるジャージー織布やソフトレザー等、伸縮性に富みシワの発生し難い伸縮性素材が好ましい。むろん、シート15及び縁取り部材20は、柔軟性を有する材料であれば、塩化ビニル樹脂といった樹脂材料を成形したシート、塩化ビニル樹脂といった樹脂材料を用いたレザー、織物、等でもよい。
【0027】
図1,3に示すように、縁取り部材20において後縁部21bの左右両側には、後部扉120の引掛部123に引っ掛けるための紐28の一端が固定されている。例えば、
図5に示す縁取り縫製部25に合わせて縁取り部材20と紐28の一端とを縫い合わせることにより、縁取り部材20に紐28の一端を固定することができる。むろん、紐28の一端の固定は、溶着でもよいし、固定部材を用いる固定でもよい。各紐28の先端には、引掛部123に引っ掛かるループ28aが形成されている。各ループ28aを引掛部123に引っ掛けると、
図1に示すように後部扉120が開くとトノカバー2の後縁部21bが吊り上がる。
紐28の材料には、ポリアミド繊維やポリエステル繊維といった合成樹脂繊維等を用いることができる。
【0028】
本具体例のワイヤー30は、弾性を示す曲げ可能な線材であり、変形する力が加わると弾性変形し、この力が無くなると元の形状に復元する。ワイヤー30は、縁取り部材20の中に設けられることにより、カバー本体10を囲む。前述の弾性により、ワイヤー30は、使用しない時にトノカバー全体を小さく折り畳むことを可能にさせ、使用時にトノカバー2を元の形状に復元させる。
図5に示すワイヤー30は断面長方形であるが、ワイヤーの断面形状は、円形を含む楕円形、正方形、長方形でない四角形、五角形以上の多角形、等でもよい。ワイヤー30の材料には、曲げ可能な鋼線等といった、自由に折り曲げ可能で復元力のある材料が好ましい。
【0029】
カバー本体10を囲むワイヤー30は、1本でもよいし、2本以上に分割されてもよい。2本に分割する例として、特開2014-108666号公報に示されるように、前縁部21aに配置される直線状の直線ワイヤー、及び、左側縁部21cと後縁部21bと右側縁部21dにかけて配置される湾曲した湾曲ワイヤーを用意してもよい。直線ワイヤーの左端部と湾曲ワイヤーの左端部とを左側の端部保持部材60により連結し、直線ワイヤーの右端部と湾曲ワイヤーの右端部とを右側の端部保持部材60により連結することにより、2本のワイヤーでカバー本体10を囲むことができる。
【0030】
導光体40は、装飾照明(補助照明)として使用される。本具体例の導光体40は、弾性を示す曲げ可能な長手状の光ファイバーであり、変形する力が加わると弾性変形し、この力が無くなると元の形状に復元する。
図4,5に示すように、長尺な導光体40は、縁取り部材20から内側20iの方へ離隔してカバー本体10の縁部11に沿ってカバー本体10の下面10bに縫い付けられ、端部41から入射した光L1を側面42から視認可能に出す。尚、導光体40の端部41は、左端部41aと右端部41bを総称する。導光体40の端部41の外側であり、
図4に示す左側D2a及び右側D2bの方には、
図3,6,7に例示する光出射部80が配置されている。各光出射部80は、導光体40の端部41に向けて、すなわち、トノカバー2の方へ光L1を出す。従って、導光体40の端部41は、光出射部80に対向している。
【0031】
本具体例では、左側縁部21cと後縁部21bと右側縁部21dにかけて長尺な導光体40が配置され、この導光体40の両端部41a,41bが
図4,9に例示するように端部保持部材60の突出部63により保持されている。従って、導光体40は、カバー本体10の曲がった縁部12に沿って曲がった部位43を有している。また、
図5等に示すように、導光体40は、トノカバー2が内装部材3に取り付けられたときに光L1がトノカバー2の下側に出る位置に設けられている。
【0032】
上述の弾性により、長手状の導光体40は、使用しない時にトノカバー全体を小さく折り畳むことを可能にさせ、使用時に元の形状に戻る。
図5に示す導光体40は断面円形であるが、導光体の断面形状は、楕円形、正方形を含む長方形、長方形でない四角形、五角形以上の多角形、等でもよい。
【0033】
照明用の導光体40の材料には、透明な分散媒に光散乱性粒子が分散したコア材、及び、このコア材の径方向外側を覆う低屈折率の透明なクラッド材を含む光ファイバー等を用いることができる。前記コア材の分散媒には、アクリル(PMMA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、シリコーンゴムを含むシリコーン(SI)樹脂、といった、常温において固体であるが変形可能であってクラッド材よりも高屈折率で透明性を有する樹脂等を用いることができる。前記光散乱性粒子には、シリコーン(SI)樹脂粒子やポリスチレン(PS)樹脂粒子といった有機ポリマー粒子、酸化アルミニウムや酸化チタンや酸化ケイ素といった金属酸化物粒子、硫酸バリウムといった硫化塩粒子、炭酸カルシウムといった炭酸塩粒子、これらの組合せ、等を用いることができる。光散乱性粒子の平均粒径は、例えば、0.1~100μm程度とすることができる。コア材に対する光散乱性粒子の配合割合は、例えば、0.00001~0.1重量%程度とすることができる。前記クラッド材には、ポリジメチルシロキサンポリマーやポリメチルフェニルシロキサンポリマーといったシリコーン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体(FEP)といった、コア材よりも低屈折率で透明性を有する樹脂等を用いることができる。
上記コア材及び上記クラッド材は、無色透明の材料が好ましいものの、光L1を透過させる限り、着色された材料でもよい。
【0034】
図4,5に示すトノカバー2において、縫製部50は、長手状の導光体40がカバー本体10の下面10bに縫い付けられた部位であり、縁取り部材20から内側20iの方へ離隔している。縫製部50は、カバー本体10の色に合わせられた色の第一の糸51、及び、透明な第二の糸52で構成されている。尚、第一の糸51及び第二の糸52の位置関係は、
図2に示すようなトノカバー2の使用時を基準として説明する。
第一の糸51は、導光体40の側面42から離隔した位置において、導光体40の側面42の下側に回り込まないようにカバー本体10に縫製されている。第二の糸52は、第一の糸51に引っ掛かった状態で導光体40の側面42の下側に回り込んで導光体40の側面42を保持するように縫製されている。第一の糸51及び第二の糸52の材料には、ポリアミド繊維やポリエステル繊維といった合成樹脂繊維等を用いることができる。
【0035】
縫製部50は、例えば、上糸と下糸とを用いてジクザグ縫い(zigzag stitch)を行うミシンでカバー本体10の下面10bに長手状の導光体40を縫い付けることにより形成することができる。ここで、ジグザグ縫いは、千鳥縫いとも呼ばれ、針を刺す位置を左側、右側、左側、右側、…と交互に変える縫い方である。また、上糸はミシンの針に穴に通される糸であり、下糸は上糸に形成されるループに通される糸である。そこで、第一の糸51を下糸に用い、第二の糸52を上糸に用い、
図5に示す向きとは上下逆にカバー本体10及び導光体40をミシンにセットしてジグザク縫いを行うと、縫製部50が形成される。この場合、
図4に示すように第二の糸52によるジグザグ状の縫い目がカバー本体10の下面10bに形成され、第二の糸52に引っ張られた第一の糸51によるジグザグ状の縫い目がカバー本体10の上面10aに形成される。尚、縫製の対象は、縁取り部材20が設けられたシート15でもよいし、縁取り部材20が設けられる前のシート15でもよい。
【0036】
ジグザグ縫いが行われた縫製部50は、
図5の下部に示すように導光体40と交差する断面において、以下の構造を有する。
第一の糸51は、カバー本体10の上面10aに現れた出現部分51a、該出現部分51aから内側20iにおいて上面10aから凹んだ凹部分51b、及び、出現部分51aから外側20oにおいて上面10aから凹んだ凹部分51cを含んでいる。第二の糸52は、カバー本体10の下面10bから下側へ出た出現部分52a、第一の糸51の凹部分51bに引っ掛かった掛止部分52b、及び、第一の糸51の凹部分51cに引っ掛かった掛止部分52cを含んでいる。掛止部分52bは出現部分52aにおいて内側20iの端部から続く部分であり、掛止部分52cは出現部分52aにおいて内側20iの端部から続く部分である。従って、
図5の下部に示すように導光体40と交差する断面において、縫製部50は、第一の糸51と第二の糸52とで導光体40を囲む構造を有する。
【0037】
第一の糸51の色は、カバー本体10の色と同系統の色が好ましく、カバー本体10の色と同じ色がより好ましいものの、カバー本体10とは異なる色でもよい。第一の糸51の色がカバー本体10の色と同系統の色である場合、第一の糸51の色がカバー本体10の色に合わせられていることになる。ここで、カバー本体10と第一の糸51とが同系統の色であるとは、濃淡の差があっても同じ色名を含む場合とする。例えば、カバー本体10がブラウンである場合に第一の糸51の色を濃いブラウンにしたり、カバー本体10がグレーである場合に第一の糸51の色を濃いグレーにしたりすること等が考えられる。第一の糸51の色がカバー本体10の色に合わせられると、第一の糸51が目立たないので、トノカバー2の表面2aの見栄えが向上し、トノカバー2が設けられる荷室LR1の見栄えが向上する。
【0038】
第二の糸52は、透明が好ましく、無色透明がより好ましいものの、不透明でもよい。第二の糸52が透明であると、導光体40の側面42から出る光L1が遮られないので、トノカバー2の裏面2bの見栄えが向上し、トノカバー2が設けられる荷室LR1の見栄えが向上する。
【0039】
中にワイヤー30が存在する縁取り部材20は、カバー本体10よりも厚い。このため、カバー本体10の下面10bにある長手状の導光体40が縁取り部材20に接していると、
図1に示すように後部扉120が開いて後縁部21bが上がる向きにトノカバー2が傾いても導光体40の側面42から出る光L1の一部が縁取り部材20に遮られる。これにより、トノカバー2の見栄えが低下することがある。また、縁取り部材20は、シート15に縫製されるため、厚さにばらつきが生じる。
図5に示す長手状の導光体40は、縁取り部材20から離隔しているので、導光体40の側面42から出る光L1が縁取り部材20に遮られることによるトノカバー2の見栄えの低下が抑制される。例えば、ユーザーが水平にトノカバー2を見るとし、後部扉120が完全に開いた時に後縁部21bが吊り上がる向きにトノカバー2が傾いた角度をθとし、カバー本体10の下面10bを基準とした縁取り部材20の形状ばらつきを考慮した最大高さをhとする。尚、
図5に示すトノカバー2は、傾いていない状態で示されている。縁取り部材20と導光体40との間のカバー本体10の長さLは、h/tanθとすることができる。従って、カバー本体10の下面10bを基準とした実際の縁取り部材20の高さをHとすると、L≧H/tanθとなり、縁取り部材20の形状ばらつきを考慮するとH/tanθ≦L≦3H/tanθが好ましく、H/tanθ≦L≦2H/tanθがより好ましい。
導光体40の側面42から出る光L1が縁取り部材20に遮られることによるトノカバー2の見栄えの低下が抑制されることにより、トノカバー2が設けられる荷室LR1の見栄えが向上する。
【0040】
本具体例の端部保持部材60は、
図4,9に例示するように、縁取り部材20よりも外側20oへ出て該外側20oからの光L1を通す状態で導光体40の端部41を外側20oに向けて保持する突出部63を有している。
図3に例示するように、突出部63には、外側20oから光L1を入射させる光照射部80が対向している。従って、端部保持部材60は、縁取り部材20よりも光出射部80の方へ出て光出射部80からの光L1を通す状態で導光体40の端部41を光出射部80の方に向けて保持している。
【0041】
図3に示す端部保持部材60は、アッパーカバー62とロアカバー66に分割されている。
図4,9に示すアッパーカバー62は、導光体40の端部41を通す貫通穴63aが形成された突出部63を有している。突出部63の穴63aに幅方向D2の内側から導光体40の端部41を通して設計位置で固定すると、導光体40の端部41が外側20oに向いた状態で保持される。突出部63に対する端部41の固定には、摩擦力による固定、接着剤による固定、等が含まれる。中にワイヤー30が配置されカバー本体10を縁取っている縁取り部材20とともに導光体40を挟んだ状態でアッパーカバー62とロアカバー66とをねじ69で互いに固定すると、前縁部21aの左右両側に端部保持部材60が配置される。
【0042】
端部保持部材60の材料には、ポリプロピレン(PP)樹脂といったポリオレフィン樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、といった熱可塑性樹脂等を用いることができる。これらの樹脂に着色剤や充てん材等といった添加剤が添加されてもよい。アッパーカバー62とロアカバー66は、射出成形等といった公知の成形方法により形成することができる。
【0043】
トノカバー2は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、表面2aから裏面2bにかけて柔軟な縁取り部材20を折り曲げてシート15の端部を覆い、カバー本体10の縁部11よりも若干外側において、全周のうちワイヤー30を入れる場所を除いてシート15を挟んだ縁取り部材20を縫製する縁取り縫製工程が実施される。これにより、縁取り縫製部25が形成される。また、縁取り部材20から内側20iの方へ長さL離隔した位置においてカバー本体10の下面10bに長手状の導光体40を第一の糸51と第二の糸52とで縫い付ける導光体縫製工程が実施される。さらに、縁取り縫製部25から外側において袋綴じ状の縁取り部材20に縁取り縫製部25の無い箇所から曲げ可能なワイヤー30を挿入するワイヤー挿入工程が実施される。ワイヤー30がカバー本体10を囲むと、折り畳み可能な状態で柔軟なカバー本体10が広がった状態に保持される。
【0044】
側壁部材70は、
図3,8,9に例示するように、端部保持部材60を受けるキャッチ部材72の凹部72aに繋がる凹部71を有し、光出射部80から導光体40の端部41への光L1を通す。
図13も参照して説明すると、凹部71は、端部保持部材60の突出部63を入れるための開口71aを上部に有し、突出部63を下部まで誘導するための開口71bを車幅方向D2の内側に有している。凹部71の下部の奥(車幅方向外側)には、キャッチ部材72の凹部72aが配置されている。これにより、
図9に示すように、凹部71の下部において突出部63がキャッチ部材72の凹部72aに位置決めされ、導光体40の端部41が光出射部80の光源81aに対向する。
【0045】
側壁部材70の材料には、樹脂材料を射出成形した基材、樹脂材料を発泡させて射出成形した基材、繊維を集合させてプレス成形した基材、等を用いることができる。前記樹脂材料には、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂といったポリオレフィン樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、等を用いることができる。前記繊維には、熱可塑性樹脂といった合成樹脂(エラストマーを含む)の繊維、合成樹脂に添加剤を添加した繊維、ガラス繊維といった無機繊維、等を用いることができる。熱可塑性樹脂繊維には、PP樹脂やPEといったポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂といったポリエステル樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、等の繊維を用いることができる。側壁部材70は、プレス成形や射出成形等といった公知の成形方法により形成することができる。
【0046】
図6~8に例示するように、キャッチ部材72の凹部72aは、端部保持部材60の突出部63を入れるための開口72cを前側D1aに有し、荷室LR1に面する開口72dを有し、該開口72dとは反対側の開口72eを有している。キャッチ部材72は、スイッチ75の可動部76が挿入された貫通穴72bを後側D1bに有している。従って、キャッチ部材72において、可動部76が挿入された穴72bは、開口72cとは反対側の位置にある。キャッチ部材72は、凹部72a内において、底部72gから天井部72fの方へ出た弾性部73、及び、天井部72fから底部72gの方へ出た凸部74を有している。弾性部73は、端部保持部材60の突出部63が通り抜けることを許容する弾性を有し、端部保持部材60の突出部63が挿入されると弾性変形の後に突出部63をセット状態SS1に維持する。
図13の下部には、弾性部73が弾性により変形した状態が破線(符号73a)で示されている。セット状態SS1は、突出部63がキャッチ部材72にセットされている状態である。弾性部73とは反対側にある凸部74は、弾性部73と協働して突出部63をセット状態SS1に維持する。また、突出部63がキャッチ部材72から取り外される時、弾性部73は、変形した後に元の形状に戻る。
キャッチ部材72は、複数のねじSC2により側壁部材70に固定される。
【0047】
本具体例のスイッチ75は、本体部分に対して進退可能な可動部76を有する接触動作型のマイクロスイッチである。スイッチ75は、可動部76がキャッチ部材72の穴72bに挿入された状態でねじSC1によりキャッチ部材72に固定される。スイッチ75の端子77は、
図11に例示する電気回路に接続されている。
図11に示すECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)151は、スイッチ75における端子77間の導通又は遮断を示す信号に基づいて、スイッチ75の検出状態に応じた処理を行うことができる。端部保持部材60の突出部63がキャッチ部材72にセットされていない場合、可動部76は本体部分から進出しており、スイッチ75内の接点がオフ側に存在する。この場合、スイッチ75は、突出部63のセット状態SS1を検出していない状態である。端部保持部材60の突出部63がキャッチ部材72にセットされると、可動部76が突出部63に押されて本体部分に退避し、スイッチ75内の接点がオフ側からオン側に切り替わる。スイッチ75内の接点がオン側に存在する場合、スイッチ75は、突出部63のセット状態SS1を検出している状態である。
図13の下部には、可動部76が突出部63に押されて本体部分に退避した状態が破線(符号76a)で示されている。
【0048】
本具体例の光出射部80は、
図3,6,7,9に例示するように、光源基板81、基板カバー84、アウターケース82、及び、インナーケース83を有し、キャッチ部材72に組み込まれる。光源基板81は、光源81aを有し、この光源81aを車幅方向D2の内側に向けて配置される。基板カバー84は、光源81aからの光L1を通す状態で光源基板81を覆い、光源基板81を保護する。基板カバー84が光L1を通す材質である場合、基板カバー84により水が光源基板81に侵入することを防止する効果も奏する。アウターケース82は、光源81aから車幅方向内側へ向かう光L1を通す開口を有し、基板カバー84の車幅方向内側を覆う。インナーケース83は、光源基板81の車幅方向外側を覆い、アウターケース82と嵌め合わされる。光出射部80は、基板カバー84が取り付けられた光源基板81を挟んでアウターケース82とインナーケース83とを嵌め合わせることにより形成される。キャッチ部材72に組み込まれた光出射部80は、トノカバー2の方へ光L1を出す。
【0049】
本具体例の付勢部90は、
図3,6,7,9に例示するように、圧縮コイルばね91(弾性部材の例)、及び、ばねカバー92を有し、キャッチ部材72に組み込まれる。ばねカバー92は、光出射部80の車幅方向外側に接触したばね91を収容した状態でキャッチ部材72の車幅方向外側に配置される。光出射部80は、キャッチ部材72とばねカバー92との間において、導光体40の端部41に近付く方向(
図9では左側D2aの方)、及び、導光体40の端部41から離れる方向(
図9では右側D2bの方)へ移動可能に配置される。ばねカバー92に収容されたばね91は、導光体40の端部41に近付ける力F1を光出射部80に加える。これにより、自動車100の各部品の形状ばらつきにより寸法ばらつきが生じても、光源81aと導光体端部41との間が短い距離に維持され、導光体40の側面42から出る光L1が弱くならず、略一定の強さの光L1が導光体40の側面42から放出される。
ばね91は、上記力F1を光出射部80に加えることができればよく、圧縮コイルばね以外にも、引っ張りコイルばね、板ばね、等も用いることができる。また、ばねの代わりに、ゴムやエラストマー等の弾性部材を用いてもよい。
【0050】
上述したキャッチ部材72、アウターケース82、インナーケース83、及び、ばねカバー92の材料には、PP樹脂といったポリオレフィン樹脂、POM樹脂、PBT樹脂、PA樹脂、といった熱可塑性樹脂等を用いることができる。これらの樹脂に着色剤や充てん材等といった添加剤が添加されてもよい。キャッチ部材72、アウターケース82、インナーケース83、及び、ばねカバー92は、射出成形等といった公知の成形方法により形成することができる。
【0051】
上述したように、スイッチ75はねじSC1によりキャッチ部材72に固定され、光出射部80と付勢部90はキャッチ部材72に組み込まれ、該キャッチ部材72は複数のねじSC2により側壁部材70に固定される。このようにして、荷室照明装置1のうち車両本体側にある複数の要素が組み立てられる。尚、キャッチ部材72の側壁部材70への取り付けは、溶着により行われてもよい。
【0052】
図10A,10Bは、トノカバー2の折り畳み状態を保持する構造(係合部64,68)を有する端部保持部材60を模式的に例示している。
図10Aは、端部保持部材60の表側にあるアッパーカバー62の外観を模式的に例示している。
図10Bは、端部保持部材60の裏側にあるロアカバー66の外観を模式的に例示している。尚、端部保持部材60の各部の位置関係は、
図2に示すようなトノカバー2の使用時を基準として説明する。
【0053】
図10Aに示すアッパーカバー62は、該アッパーカバー62の表面から上方へ出た係合部64を有している。この係合部64は、アッパーカバー62の上面から上方へ円柱状に延びた基部64a、及び、該基部64aの先端からさらに上方へ円柱状に短く延びた頭部64bを有している。この頭部64bの径は、基部64aの径よりも大きい。
図10Bに示すロアカバー66は、該ロアカバー66の下面から下方へ膨出した台座部68aを係合部68として有している。この台座部68aは、頭部64bが入り込む内部空間を有し、さらに、この内部空間に繋がる鍵穴状の開口68bを有している。台座部68aは、開口68bの下面部に基部64aが入って開口68bの側面部から頭部64bが内部空間に入ることを許容し、内部空間にある頭部64bが下方へ抜けないようにしている。
【0054】
以上より、トノカバー2の折り畳み状態において、ロアカバー66の開口68bから台座部68aの内部空間にアッパーカバー62の頭部64bを横方向へスライドさせて入れると、端部保持部材60同士が係合する。このようにして、トノカバー2の折り畳み状態が維持され、予期せぬタイミングで折り畳み状態が解除されることが抑制される。
尚、アッパーカバー62が係合部68を有してロアカバー66が係合部64を有してもよく、両カバー62,66ともに両係合部64,68を有してもよい。また、端部保持部材60同士を係合する構造は、
図10A,10Bに示した係合部64,68に限定されず、ボタンや磁石を利用する構造等でもよい。
【0055】
図11は、制御部150の例であるECU151を含む荷室照明装置1の電気回路を模式的に例示している。ECU151には、操作部160、スイッチ75、後部扉120の下縁部122のラッチ118、後部扉120の駆動部125、及び、導光体端部41a,41bにそれぞれ光L1を入射させる光源81a,81aが接続されている。駆動部125は、例えば、モーター、このモーターの駆動力を後部扉120に伝達する動力伝達機構、及び、モーターと動力伝達機構とを結合したり離したりする電磁クラッチを有する。
【0056】
ECU151は、例えば、CPU(Central Processing Unit)152、半導体メモリー153,154、タイマー(Timer)155、I/O(入出力)回路156、等を有する。各部152~156は、互いに情報を入出力可能に接続されている。車両用荷室照明装置1の制御プログラム153pがROM(Read Only Memory)153に記録される場合、このROM153は車両用荷室照明装置の制御プログラム153pを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体となる。CPU152は、RAM(Random Access Memory)154をワークエリアとして使用しながらROM153に記録されているプログラム153pを実行することにより、コンピューターを制御部150として機能させ、荷室照明装置1の動作を制御する。
【0057】
操作部160は、後部扉120を開くための開スイッチ161、及び、後部扉120を閉じるための閉スイッチ162を有している。例えば、ECU151は、開スイッチ161の操作を受け付けると、後部扉120のロックを解除する指示をラッチ118に出し、後部扉120を開くように駆動する指示を駆動部125に出す。これにより、ラッチ118が後部扉120のロックを解除し、駆動部125が後部扉120を開くように駆動する。また、ECU151は、閉スイッチ162の操作を受け付けると、後部扉120を閉じるように駆動する指示を駆動部125に出し、後部扉120が完全に閉じると後部扉120をロックする指示をラッチ118に出す。これにより、駆動部125が後部扉120を閉じるように駆動し、後部扉120が完全に閉じるとラッチ118が後部扉120をロックする。
【0058】
ECU151には、スイッチ75内の接点の位置を示す信号が入力される。ECU151は、前述の信号がオン側を示している場合であって所定の条件が成立している場合、光源81a,81aに光L1を放出させる。前述の信号がオン側を示す場合は、スイッチ75の可動部76が端部保持部材60の突出部63に押されて本体部分に退避している場合であり、スイッチ75が突出部63のセット状態SS1を検出している場合である。前述の信号がオン側を示していても、前述の所定の条件が成立していない場合、ECU151は光源81a,81aに光L1を放出させない。また、ECU151は、前述の信号がオフ側を示している場合、光源81a,81aに光L1を放出させない。前述の信号がオフ側を示す場合は、スイッチ75の可動部76が突出部63に押されずに本体部分から進出している場合であり、スイッチ75が突出部63のセット状態SS1を検出していない場合である。前述の所定の条件が成立していても、前述の信号がオフ側を示す場合、ECU151は光源81a,81aに光L1を放出させない。
以上より、光出射部80は、スイッチ75がセット状態SS1を検出している時に導光体40の端部41に向けて光L1を出射可能であり、スイッチ75がセット状態SS1を検出していない時に光L1を出射しない。
【0059】
図12は、ECU151が行うドア開閉制御処理を模式的に例示している。操作部160の操作を示す操作信号がECU151に入力されると、ECU151はドア開閉制御処理を開始させる。
ドア開閉制御処理が開始すると、ECU151は、スイッチ75がオンである、すなわち、スイッチ75が突出部63のセット状態SS1を検出しているか否かを判断する(ステップS102)。スイッチ75がオンである場合、ECU151は、処理をステップS106に進める。スイッチ75がオフである、すなわち、スイッチ75がセット状態SS1を検出していない場合、ECU151は、トノカバー2の消灯状態、すなわち、光源81a,81aに光L1を放出させない状態に制御し(ステップS104)、ドア開閉制御処理を終了させる。これにより、端部保持部材60の突出部63がキャッチ部材72にセットされていない場合に内装部材3から光L1が漏れない。
【0060】
スイッチ75がオンである場合、ECU151は、ステップS106において、操作信号で示される操作に応じて処理を分岐させる。
操作信号が開スイッチ161の操作を示している場合、ECU151は、ロック解除指示をラッチ118に出す(ステップS108)。ロック解除指示を受けたラッチ118は、後部扉120のロックを解除する。次いで、ECU151は、ドア開駆動指示を駆動部125に出す(ステップS110)。ドア開駆動指示を受けた駆動部125は、後部扉120を開く駆動を開始する。ドア開駆動指示からT1秒後(遅延時間T1は例えば2~7秒)、ECU151は、光源81a,81aを点灯させてトノカバー2から光L1を放出させる(ステップS112)。従って、光出射部80は、スイッチ75が突出部63のセット状態SS1を検出している時において後部扉120が開き始めてから所定の遅延時間T1が経過すると光L1の照射を開始する。尚、ECU151は、遅延時間T1の終了時点から所定の移行期間、光源81a,81aに放出させる光L1を徐々に強くする制御を行ってもよい。後部扉120が完全に開くと、ECU151は、駆動部125の駆動を停止させ(ステップS114)、ドア開閉制御処理を終了させる。
【0061】
操作信号が閉スイッチ162の操作を示している場合、ECU151は、ドア閉駆動指示を駆動部125に出す(ステップS116)。ドア閉駆動指示を受けた駆動部125は、後部扉120を閉じる駆動を開始する。後部扉120が完全に閉じると、ECU151は、駆動部125の駆動を停止させ(ステップS118)、光源81a,81aを消灯させてトノカバー2から光L1が放出されないようにし(ステップS120)、ロック指示をラッチ118に出す(ステップS122)。従って、光出射部80は、スイッチ75が突出部63のセット状態SS1を検出している時において後部扉120が完全に閉じると光L1の照射を止める。ロック指示を受けたラッチ118は、後部扉120をロックする。尚、ECU151は、後部扉120が完全に閉じた時点から所定の移行期間、光源81a,81aから放出される光L1を徐々に弱くする制御を行ってもよい。その後、ECU151は、ドア開閉制御処理を終了させる。
【0062】
後部扉120が開き始めた直後は、荷室LR1に対して荷物の出し入れをすることができないので、トノカバー2の近傍を照らす必要性が少ない。一方、後部扉120が閉じる時は、荷室LR1内の荷物の様子を確認することができるように後部扉120が完全に閉じるまでトノカバー2の近傍を照らす方が好ましい。従って、本具体例は、荷室LR1に対する効率よい照明を実現させることができる。
【0063】
(3)具体例に係る車両用荷室照明装置の作用、及び、効果:
図13は、内装部材3に対するトノカバー2の取り付け方法を模式的に例示している。
図13の下部には、凹部71及びその周辺を拡大して示している。車幅方向D2の左側D2aにおけるトノカバー2と内装部材3の構造は、右側D2bにおける構造と左右対称であるので、図示を省略する。
右側D2bを
図13に示すように、左右の突出部63を上部開口71aから側壁部材70の凹部71に入れると、キャッチ部材72の弾性部73が弾性により変形し、突出部63が凹部71の下部に配置されてキャッチ部材72の凹部72aに位置決めされる。これにより、突出部63のセット状態SS1が維持され、スイッチ75の可動部76が本体部分に退避し、
図9に示すように、導光体40の端部41が光出射部80の光源81aに対向する。トノカバー2の左右の側縁部21c,21dは、側壁部材70の段部に載置されて保持される。これにより、トノカバー2が略水平に配置される。
【0064】
トノカバー2を使用しないとき、左右の側壁部材70の凹部71から突出部63を外すことができる。この時、キャッチ部材72の弾性部73が弾性により変形し、突出部63が凹部71から出ることにより、側壁部材70からトノカバー2を取り外すことができる。これにより、トノカバー2の仕切り位置よりも高い荷物を荷室LR1に収容することができる。
【0065】
取り外されたトノカバー2は、
図14に例示するように、折り畳んで保管することができる。
図14は、トノカバー2の折り畳み方法を模式的に例示している。
図14に示すトノカバー2には、便宜上、曲げ可能なワイヤー30に沿っている縁部21と端部保持部材60のみ示している。長尺な導光体40も曲げ可能であるので、トノカバー2を折り畳むことができる。
図14に示すトノカバー2は、ステップST1~ST6の順に折り畳まれる。
まず、展開状態のトノカバー2(ステップST1)をユーザーが手作業によりトノカバー2の幅方向D2の一方を捻じるように力を加えると、白抜き矢印に示すようにワイヤー30が捻り変形する(ステップST2,ST3)。さらに、捻じられ変形した部分(裏返った部分)を押し倒し(ステップST4)、捻じらず裏返っていなかった部分を押し倒された部分に重なるように折り畳む(ステップST5)。最終的に、端部保持部材60同士が重なり合い、片方の端部保持部材60のアッパーカバー62と他方の端部保持部材60のロアカバー66とが合わさる(ステップST6)。
図10A,10Bに示す係合部64,68を端部保持部材60が有している場合、係合部64,68同士の係合によりトノカバー2の折り畳み状態が維持される。
【0066】
トノカバー2を折り畳み状態から展開する場合は、
図14に示すステップST6~ST1の順にトノカバー2が展開される。ユーザーは、折り畳み状態のトノカバー2において係合部64,68同士の係合を解除させ(ステップST6)、ステップST5のようにトノカバー2を広げると、ワイヤー30の復元力によりステップST4~ST2の順にトノカバー2が広がってステップST1のようにトノカバー2が展開状態となる。
【0067】
トノカバー2が内装部材3に取り付けられている場合、スイッチ75がセット状態SS1を検出するので、光出射部80は、
図12で示したステップS106~S122の処理により導光体40の端部41に向けて光L1を出射可能である。光源81aが点灯すると、
図9に示すように、光源81aから光L1が車幅方向D2の内側へ出てアウターケース82の開口を通過し、突出部63に保持されている導光体端部41に入射する。導光体端部41に入射した光L1は、長手状の導光体40に沿って進み、内部の光散乱性粒子により反射して側面42から視認可能に出る。これにより、トノカバー2の近傍が照らされ、荷室LR1の視認性が向上する。
【0068】
例えば、
図1に示すようにトノカバー2の後縁部21bが吊り上がっている場合、導光体40の側面42からトノカバー2の後側の下向きに光L1が放出される。これにより、トノカバー2の後側が下向きに照らされ、トノカバー近傍の荷室LR1の視認性が向上する。従って、トノカバーに光源が無くても、トノカバー近傍の荷室LR1が見易くなる。また、長手状の導光体40が左側縁部21c、後縁部21b、及び、右側縁部21dに沿って配置されているので、周囲が暗くても、光L1を放出している導光体40の位置によりトノカバー2の位置が分かり易い。
【0069】
さらに、カバー本体10の下面10bにある導光体40が縁取り部材20から離隔しているので、導光体40の側面42から出る光L1が縁取り部材20に遮られることによるトノカバー2の見栄えの低下が抑制される。カバー本体10に縫製された第一の糸51はカバー本体10の色に合わせられているので、第一の糸51は目立たない。導光体40の側面42を保持する第二の糸52は、透明であるので、導光体40の側面42から出る光L1が遮られない。従って、トノカバー2の見栄えが良好であり、トノカバー2が設けられる荷室LR1の見栄えが良好である。
【0070】
トノカバー2の後縁部21bが吊り上がっていない場合、トノカバー2の下面側に導光体40が配置されているので、導光体40の側面42からトノカバー2の下側へ視認可能に光L1が放出される。これにより、トノカバー2の下側が照らされ、荷室LR1の下部の視認性が向上する。従って、トノカバーに光源が無くても、トノカバーの下の空間が見易くなる。また、周囲が暗くても、トノカバー2の位置が分かり易い。また、長手状の導光体40が左側縁部21c、後縁部21b、及び、右側縁部21dに沿って配置されているので、ユーザーから見て手前側となる荷室LR1の後側が明るく照らされる。従って、荷室LR1の後側が見易くなる。
【0071】
トノカバー2が内装部材3に取り付けられていない場合、スイッチ75がセット状態SS1を検出しないので、光出射部80は、
図12で示したステップS104の処理により光L1を出射しない。これにより、長手状の導光体40を有するトノカバー2が内装部材3から取り外されている時に導光体40用の光L1が内装部材3から漏れることを防ぐことができ、荷室LR1の見栄えが向上する。
【0072】
(4)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、荷室用ドアは、荷室の側部に配置され、側方へ開くドアとされてもよい。
カバー本体の縁部を縁取る縁取り部は、シート15の端末部が折り返された部位といった、シート15の一部でもよい。
導光体40の端部41を保持する保持部は、突出部63を有する部材に限定されず、突出部の無い部位でもよい。
【0073】
上述した具体例では左右にそれぞれ光出射部80が配置されていたが、光出射部80は左右のいずれか一方のみに配置されてもよい。この場合でも、導光体40の片方の端部41から光L1が入射することにより、導光体40の側面42から光L1が出てトノカバー近傍を照らすことができる。また、トノカバー2に長手状の導光体40を2本以上設け、左側の光出射部80から光L1を入射する導光体40と右側の光出射部80から光L1を入射する導光体40とを別々にしてもよい。むろん、一つの光出射部80から2本以上の導光体40の端部41に光L1を入射してもよい。
【0074】
上述した例ではECU151がスイッチ75の状態を読み込んでスイッチ75の状態に応じて光源81aに光L1を放出させる制御を行ったが、この例に限定されない。例えば、荷室照明装置1は、ECU151とは別にスイッチ75の状態に従って光源81aから光L1を放出するか否かを切り替えるスイッチ回路を備えていてもよい。このスイッチ回路は、スイッチ75内の接点がオン側である場合にECU151からの制御信号に従った駆動電力を光源81aに供給し、スイッチ75内の接点がオフ側である場合に駆動電力を光源81aに供給しない。これにより、光出射部80は、スイッチ75が突出部63のセット状態SS1を検出している時に導光体40の端部41に向けて光L1を出射可能であり、スイッチ75が突出部63のセット状態SS1を検出していない時に光L1を出射しない。
【0075】
光出射部80が出す光L1の色を変えることができる場合、ECU151は、車両の状態に応じて光L1の色を変えてもよい。すると、導光体40の側面42から出る光L1の色が車両の状態に応じて変わり、装飾照明としての効果が高まる。
【0076】
スイッチ75が突出部63のセット状態SS1を検出している時に光出射部80が光L1を出射する期間は、上述した例に限定されず、点灯スイッチの操作を受け付けてから消灯スイッチの操作を受けるまでの期間等でもよい。
【0077】
遮蔽部材は、折り畳み可能なトノカバー2に限定されず、折り畳み不能なトノカバー、巻き取り式のトノカバー装置、リヤシェルフ、等でもよい。例えば、遮蔽部材が巻き取り式のトノカバー装置である場合、巻き取られたカバーを収納する長手状のケースに長手状の導光体が配置されてもよい。むろん、長手状の導光体を有する遮蔽部材が折り畳み可能なトノカバー2以外の部材である場合も、遮蔽部材が側壁部から取り外されている時に導光体用の光が側壁部から漏れることを防ぐ効果が得られる。
また、折り畳み可能な車両用トノカバー2が側壁部から取り外されている時に導光体用の光が側壁部から漏れる場合であっても、トノカバー2がカバー本体10、縁取り部(20)、ワイヤー30、導光体40、及び、縫製部50を備える場合、折り畳み可能なトノカバー2の見栄えを向上させる効果が得られる。
さらに、車両用トノカバー2が側壁部から取り外されている時に導光体用の光が側壁部から漏れる場合であっても、トノカバー2がカバー本体10、導光体40、並びに、第一の糸51及び第二の糸52を含む縫製部50を備える場合、トノカバー2の見栄えを向上させる効果が得られる。
【0078】
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、車両の荷室の見栄えを向上させることが可能な車両用トノカバー及び車両用荷室照明装置等の技術を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1…荷室照明装置、2…トノカバー(遮蔽部材の例)、2a…表面、2b…裏面、
3…内装部材(側壁部の例)、
10…カバー本体、10a…上面、10b…下面、11…縁部、15…シート、
20…縁取り部材(縁取り部の例)、20i…内側、20o…外側、21…縁部、
25…縁取り縫製部、30…ワイヤー、
40…導光体、41,41a,41b…端部、42…側面、
50…縫製部、51…第一の糸、52…第二の糸、
60…端部保持部材(保持部の例)、
62…アッパーカバー、63…突出部、63a…穴、66…ロアカバー、
70…側壁部材、71…凹部、71a,71b…開口、
72…キャッチ部材(受け部の例)、72a…凹部、72b…穴、
73…弾性部、74…凸部、
75…スイッチ、76…可動部、77…端子、
80…光出射部、81…光源基板、81a…光源、
90…付勢部、91…ばね(弾性部材の例)、92…ばねカバー、
100…自動車、110…荷室形成部、120…後部扉(荷室用ドアの例)、
150…制御部、151…ECU、160…操作部、
D1…前後方向、D1a…前側、D1b…後側、
D2…幅方向、D2a…左側、D2b…右側、
D3…上下方向、D3a…上側、D3b…下側、
F1…力、L1…光、LR1…荷室、
SS1…セット状態。