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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161788
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】医療機器用フック及び医療機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 50/20 20160101AFI20231031BHJP
【FI】
A61B50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072352
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100183760
【弁理士】
【氏名又は名称】山鹿 宗貴
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】杉田 憲幸
(57)【要約】
【課題】吊り下げられた状態の医療機器の管状部を保持すること。
【解決手段】医療機器用フックは、体腔内に挿入される管状部を備えた医療機器に取り付けられるフックであり、管状部を差込可能な差込口が形成され、差込口の周囲の部分が弾性変形することにより、差込口に差し込まれた管状部と密着し、差込口の周囲の部分と管状部との密着部分に生じる摩擦抵抗によって管状部を保持する。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に挿入される管状部を備えた医療機器に取り付けられる医療機器用フックであって、
前記管状部を差込可能な差込口が形成され、
前記差込口の周囲の部分が弾性変形することにより、前記差込口に差し込まれた前記管状部と密着し、前記差込口の周囲の部分と前記管状部との密着部分に生じる摩擦抵抗によって前記管状部を保持する、
医療機器用フック。
【請求項2】
ハンガに掛けられることにより、前記差込口の周囲の部分が、前記医療機器の重さで弾性変形して、前記差込口に差し込まれた前記管状部と密着し、前記密着部分に生じる摩擦抵抗によって前記管状部を保持する、
請求項1に記載の医療機器用フック。
【請求項3】
前記管状部が前記差込口に差し込まれることにより、前記差込口の周囲の部分が弾性変形して前記管状部と密着し、前記密着部分に生じる摩擦抵抗によって前記管状部を保持する、
請求項1に記載の医療機器用フック。
【請求項4】
前記差込口は孔又はスリットを含む、
請求項2又は請求項3に記載の医療機器用フック。
【請求項5】
前記差込口は、直径が前記管状部の外径よりも大きい孔を含む、
請求項2又は請求項3に記載の医療機器用フック。
【請求項6】
前記差込口は、前記管状部の外径より幅の細いスリットを含む、
請求項2又は請求項3に記載の医療機器用フック。
【請求項7】
エラストマ樹脂で形成される、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の医療機器用フック。
【請求項8】
体腔内に挿入される管状部と、
前記管状部の基端部に連結された把持部と、
前記把持部の基端部に取り付けられた、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の医療機器用フックと、を備える、
医療機器。
【請求項9】
前記医療機器用フックは、ハンガに掛けられたときに重力方向に対して斜めに傾いた姿勢となるように、前記把持部に取り付けられる、
請求項8に記載の医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器用フック及び医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
体腔内に挿入される管状部を備えた医療機器が知られている。例えば特許文献1に、この種の医療機器の具体的構成が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の医療機器には、術者(医師)が操作する操作体の基端部にフックが取り付けられている。このフックをハンガに掛けて医療機器を吊り下げたときに管状部が床面に横たえられると、衛生面で好ましくなく、また、例えば術者が管状部を足で踏んで破損させる虞がある。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の医療機器には、管状部を係止する係止溝が操作体に形成されている。この係止溝に管状部を掛けて管状部を吊り下げることにより、管状部を床面に横たえる必要がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実全昭63-166209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1において、管状部の自重が大きい場合、係止溝との接触部分で管状部に大きな荷重がかかるため、管状部が座屈する虞がある。また、特許文献1において、管状部の自重が小さい場合、係止溝での掛かり具合が弱いため、管状部が係止溝から脱落する虞がある。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吊り下げられた状態の医療機器の管状部を保持するのに好適な医療機器用フック及びこのような医療機器用フックを備える医療機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る医療機器用フックは、体腔内に挿入される管状部を備えた医療機器に取り付けられるフックであり、管状部を差込可能な差込口が形成され、差込口の周囲の部分が弾性変形することにより、差込口に差し込まれた管状部と密着し、差込口の周囲の部分と管状部との密着部分に生じる摩擦抵抗によって管状部を保持する。
【0009】
本発明の一実施形態に係る医療機器用フックは、ハンガに掛けられることにより、差込口の周囲の部分が、医療機器の重さで弾性変形して、差込口に差し込まれた管状部と密着し、密着部分に生じる摩擦抵抗によって管状部を保持する構成としてもよい。
【0010】
本発明の一実施形態に係る医療機器用フックは、管状部が差込口に差し込まれることにより、差込口の周囲の部分が弾性変形して管状部と密着し、密着部分に生じる摩擦抵抗によって管状部を保持する構成としてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る医療機器用フックは、差込口は孔又はスリットを含む構成としてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る医療機器用フックにおいて、差込口は、例えば、直径が管状部の外径よりも大きい孔を含む。
【0013】
本発明の一実施形態に係る医療機器用フックにおいて、差込口は、例えば、管状部の外径より幅の細いスリットを含む。
【0014】
本発明の一実施形態に係る医療機器用フックは、例えばエラストマ樹脂で形成される。
【0015】
本発明の一実施形態に係る医療機器は、体腔内に挿入される管状部と、管状部の基端部に連結された把持部と、把持部の基端部に取り付けられた、上記の医療機器用フックと、を備える。
【0016】
本発明の一実施形態に係る医療機器において、医療機器用フックは、例えば、ハンガに掛けられたときに重力方向に対して斜めに傾いた姿勢となるように、把持部に取り付けられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態によれば、吊り下げられた状態の医療機器の管状部を保持するのに好適な医療機器用フック及びこのような医療機器用フックを備える医療機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1に係るフックが取り付けられた内視鏡用処置具の全体図である。
図2】本発明の実施例1において、フックをハンガに掛けて内視鏡用処置具を吊り下げた状態を示す図である。
図3】本発明の実施例1に係るフックの矢視図である。
図4A】本発明の実施例1において、内視鏡用処置具の管状先端部をフックの差込孔に差し込んだ状態を示す図である。
図4B】本発明の実施例1において、フックがハンガに掛けられたときの、差込孔の状態を示す図である。
図5】本発明の実施例2に係るフックの矢視図である。
図6A】本発明の実施例2において、内視鏡用処置具の管状先端部がフックのスリットに差し込まれる様子を示す図である。
図6B】本発明の実施例2において、内視鏡用処置具の管状先端部がフックのスリットに差し込まれる様子を示す図である。
図7】本発明の実施例3に係るフックの矢視図である。
図8A】本発明の実施例3において、内視鏡用処置具の管状先端部がフックのスリットに差し込まれる様子を示す図である。
図8B】本発明の実施例3において、内視鏡用処置具の管状先端部がフックのスリットに差し込まれる様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る医療機器用フック及び医療機器について図面を参照しながら説明する。
【0020】
本実施形態に係る医療機器用フックは、体腔内に挿入される管状部を備えた医療機器に取り付けられる。一例として、医療機器用フックは、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:Endoscopic Submucosal Dissection)において、高周波電流を通電して粘膜等を切除する高周波ナイフを備えた内視鏡用処置具に取り付けられる。
【0021】
本実施形態に係る医療機器用フックが取り付けられる医療機器は、内視鏡用処置具に限らない。医療機器用フックは、体腔内に挿入される管状部を備えた他の形態の医療機器(例えば内視鏡)に取り付けられてもよい。
【0022】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係るフック1が取り付けられた内視鏡用処置具2の全体図である。フック1は、医療機器用フックの一例である。
【0023】
内視鏡用処置具2は、フック1に加えて、管状部2A及び把持部2Bを備える。
【0024】
管状部2Aは、体腔内に挿入される(より正確には、内視鏡のチャンネルに通された状態で体腔内に挿入される)部分であり、体腔内の器官に追従して変形できるように、可撓性を有する。管状部2Aの先端部2Aa(以下「管状先端部2Aa」と記す。)内に、高周波ナイフが設けられる。
【0025】
把持部2Bは、術者が把持する部分であり、管状部2Aの基端部に連結される。把持部2Bには、術者が操作する操作部2Baが設けられる。
【0026】
術者による操作部2Baに対する操作に応じて、管状先端部2Aaの先端面に対する高周波ナイフの突出量が変わる。術者は、手技内容(マーキング、局注、切開、剥離、止血等)に応じて操作部2Baを操作し、高周波ナイフを適切な量だけ管状先端部2Aaの先端面から突出させる。
【0027】
図2は、フック1をハンガ3に掛けて内視鏡用処置具2を吊り下げた状態を示す図である。図3は、ハンガ3に掛けられたフック1を図2の矢印A方向から見た矢視図である。
【0028】
以下の説明において、天地方向をZ方向とし、Z方向と直交しかつ互いに直交する二方向をX方向、Y方向とする。互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向は左手系をなす。Z方向正側が重力方向となる。
【0029】
フック1は、本体部110と連結部120とが一体に形成された樹脂成形品である。フック1は、例えばシリコーンゴムやフッ素ゴム等のエラストマ樹脂で形成される。そのため、フック1は、加えられた荷重に応じて弾性変形する。
【0030】
本体部110は、環状に形成されており、孔112を有する。孔112に、ハンガ3が掛けられる。
【0031】
連結部120は、本体部110と把持部2Bとを連結する。具体的には、連結部120は、横方向(図3ではY方向)に幅広い扁平な板状となっており、先端(図3ではZ方向負側)が本体部110と一体となっており、基端部分(図3ではZ方向正側)が把持部2Bの基端部2Bbに埋設されている。
【0032】
連結部120の幅方向中央(図3ではY方向中央)で且つフック1をハンガ3に掛けたときに孔112の下方となる位置に、差込口の一例である差込孔122が形成される。差込孔122は、直径が、内視鏡用処置具2の管状先端部2Aaの外径よりも大きい円形の孔である(後述の図4A参照)。すなわち、差込孔122は、管状先端部2Aaを差込可能に形成される。
【0033】
なお、差込孔122は、円形孔に限らず、他の形状(例えば楕円形、多角形等)の孔であってもよい。
【0034】
便宜上、差込孔122の周囲の部分を「周囲部分124」と記す。
【0035】
術者や他の医療従事者(フィジシャン・アシスタント、看護師等)が室内の壁面に設けられたハンガ3にフック1を掛けて内視鏡用処置具2を吊り下げる。以下、内視鏡用処置具2を吊り下げる作業を行う者を作業者と総称する。
【0036】
作業者は、管状先端部2Aaを差込孔122に差し込み、次いで、フック1をハンガ3に掛ける。
【0037】
図4Aは、管状先端部2Aaを差込孔122に差し込んだ状態を示す図である。図4Aに示されるように、差込孔122の直径が管状先端部2Aaの外径よりも大きいため、作業者は、管状先端部2Aaを差込孔122に簡単に差し込むことができる。
【0038】
図4Bは、フック1がハンガ3に掛けられたときの、差込孔122の状態を示す図である。フック1がハンガ3に掛けられると、差込孔122の周囲部分124を含むフック1のほぼ全体が、内視鏡用処置具2の重さにより、僅かではあるものの、Z方向に伸びるように弾性変形する。
【0039】
周囲部分124の弾性変形に伴い、差込孔122は、円形状から、図4Bに示されるように、Z方向が長軸方向でY方向が短軸方向となる楕円状の孔に変形する。差込孔122をY方向に狭めるように弾性変形した周囲部分124の一部が、差込孔122に差し込まれた管状先端部2Aaと密着する。周囲部分124と管状先端部2Aaとが密着するため、両者間に十分な摩擦抵抗が生じる。そのため、管状先端部2Aaは、差込孔122から脱落せず、周囲部分124によってしっかりと保持される。
【0040】
このように、フック1は、吊り下げ状態の内視鏡用処置具2の自重を利用して、差込孔122の周囲部分124が弾性変形する構成となっている。周囲部分124の弾性変形より、周囲部分124が、差込孔122に差し込まれた管状先端部2Aaと密着し、周囲部分124と管状先端部2Aaとの密着部分に生じる摩擦抵抗によって管状先端部2Aaが保持される。
【0041】
内視鏡用処置具2の自重が大きい場合にも、周囲部分124と管状先端部2Aaとが面で密着するため、特許文献1に記載の構成と比べて、管状先端部2Aaにかかる荷重が分散される。そのため、管状先端部2Aaの座屈が起きにくい。また、内視鏡用処置具2の自重が小さい場合にも、周囲部分124と管状先端部2Aaとが面で密着し、また、フック1が静摩擦係数の大きいエラストマ樹脂製であるため、両者間に十分な摩擦抵抗が生じる。そのため、差込孔122からの管状先端部2Aaの脱落が起きにくい。
【0042】
図2に示されるように、フック1は、ハンガ3に掛けられたときに重力方向(Z方向正側)に対して斜めに傾いた姿勢となるように、把持部2Bの基端部2Bbに取り付けられている。そのため、フック1は、実際には、Z方向だけに伸びるように弾性変形するのではなく、内視鏡用処置具2の自重により、Z方向正側とX方向正側とを合成した矢印B方向に撓みつつZ方向正側とX方向負側とを合成した矢印C方向に伸びるように弾性変形する。
【0043】
周囲部分124が撓むように弾性変形するため、周囲部分124と管状先端部2Aaとの密着部分において、周囲部分124から管状先端部2Aaに対して様々な方向の荷重がかかる。この点からも、管状先端部2Aaが差込孔122から脱落しにくくなっている。
【0044】
[実施例2]
図5は、本発明の実施例2に係るフック201を示す図である。なお、実施例2を含む以降の実施例に係るフックも、実施例1と同様に、内視鏡用処置具2に取り付けられる。図5は、図3と同様の矢視図であり、ハンガ3に掛けられたフック201を示す。
【0045】
フック201は、実施例1に係るフック1と同様に、本体部210と連結部220とが一体に形成された樹脂成形品であり、加えられた荷重に応じて弾性変形する。
【0046】
本体部210は、実施例1に係る本体部110と同様に、環状に形成されており、孔212を有する。
【0047】
連結部220は、実施例1に係る連結部120と同様に、横方向に幅広い扁平な板状となっており、先端が本体部210と一体となっており、基端部分が把持部2Bの基端部2Bbに埋設されている。
【0048】
フック201には、本体部210と連結部220との境目付近において、連結部220の側部から突出する、突出部226が形成される。突出部226は、本体部210の外周面210Aに沿うように延びて形成される。実施例2では、本体部210の外周面210Aと突出部226との間が差込口の一例であるスリット222となっている。
【0049】
スリット222は、直線状のスリット部(直線部222a)と円状のスリット部(円状部222b)を含む。直線部222aの幅は、管状先端部2Aaの外径よりも細く、また、円状部222bの直径は、管状先端部2Aaの外径よりも小さい。便宜上、円状部222bの周囲の部分を「周囲部分224」と記す。
【0050】
フック201は、加えられた荷重に応じて弾性変形する。そのため、作業者は、管状先端部2Aaをスリット222に簡単に差し込むことができる。
【0051】
図6A及び図6Bは、管状先端部2Aaがスリット222に差し込まれる様子を示す図である。図6Aに示されるように、管状先端部2Aaがスリット222の直線部222aに差し込まれると、突出部226が矢印D方向に押し動かされて直線部222aが広がる。図6Bに示されるように、管状先端部2Aaがスリット222の円状部222bまで差し込まれると、管状先端部2Aaによる突出部226への荷重がほぼ無くなるため、突出部226が矢印E方向に動いて直線部222aがほぼ元の幅に戻る。
【0052】
円状部222bの直径は、管状先端部2Aaの外径よりも小さい。そのため、円状部222bが管状先端部2Aaの外径に合わせて押し広がるように、円状部222bの周囲部分224が弾性変形する。
【0053】
周囲部分224は、上記の弾性変形に伴い、円状部222bに差し込まれた管状先端部2Aaと密着する。周囲部分224と管状先端部2Aaとが密着するため、両者間に十分な摩擦抵抗が生じる。そのため、管状先端部2Aaは、円状部222bから脱落せず、周囲部分224によってしっかりと保持される。
【0054】
また、直線部222aの幅は、円状部222bの直径よりも更に狭い。そのため、管状先端部2Aaが円状部222bから外れた場合にも、直線部222aを通って脱落することが起きにくい。
【0055】
このように、フック201は、スリット222に差し込まれた管状先端部2Aaに追従して周囲部分224が弾性変形する構成となっている。周囲部分224の弾性変形より、周囲部分224と管状先端部2Aaとが密着し、周囲部分224と管状先端部2Aaとの密着部分に生じる摩擦抵抗によって管状先端部2Aaが保持される。
【0056】
実施例2においても、内視鏡用処置具2の自重が大きい場合にも、周囲部分224と管状先端部2Aaとが面で密着するため、特許文献1に記載の構成と比べて、管状先端部2Aaにかかる荷重が分散される。そのため、管状先端部2Aaの座屈が起きにくい。また、内視鏡用処置具2の自重が小さい場合にも、周囲部分224と管状先端部2Aaとが面で密着し、また、フック201が静摩擦係数の大きいエラストマ樹脂製であるため、両者間に十分な摩擦抵抗が生じる。そのため、スリット222からの管状先端部2Aaの脱落が起きにくい。
【0057】
[実施例3]
図7は、本発明の実施例3に係るフック301を示す図である。図7は、図3と同様の矢視図であり、ハンガ3に掛けられたフック301を示す。
【0058】
フック301は、実施例1に係るフック1と同様に、本体部310と連結部320とが一体に形成された樹脂成形品であり、加えられた荷重に応じて弾性変形する。
【0059】
本体部310は、実施例1に係る本体部110と同様に、環状に形成されており、孔312を有する。
【0060】
連結部320は、実施例1に係る連結部120と同様に、横方向に幅広い扁平な板状となっており、先端が本体部310と一体となっており、基端部分が把持部2Bの基端部2Bbに埋設されている。
【0061】
本体部310において、孔312の下方に(より正確には、フック301をハンガ3に掛けたときに孔312の下方となる位置に)スリット322が形成される。
【0062】
スリット322は、直線状のスリット部(直線部322a)と円状のスリット部(円状部322b)を含む。直線部322aは、縦方向(図7ではZ方向)に延びて形成されており、先端(図7ではZ方向負側)が孔312とつながり、基端(図7ではZ方向正側)が円状部322bとつながる。
【0063】
直線部322aの幅は、管状先端部2Aaの外径よりも細く、また、円状部322bの直径は、管状先端部2Aaの外径よりも大きい。便宜上、スリット322の周囲の部分を「周囲部分324」と記す。
【0064】
フック301は、加えられた荷重に応じて弾性変形する。そのため、作業者は、管状先端部2Aaをスリット322に簡単に差し込むことができる。
【0065】
図8A及び図8Bは、管状先端部2Aaがスリット322に差し込まれる様子を示す図である。図8Aに示されるように、管状先端部2Aaがスリット322の直線部322aに差し込まれると、矢印F1及びF2で示されるように、直線部322aを規定する周囲部分324がY方向に押し広げられる。図8Bに示されるように、管状先端部2Aaがスリット322の円状部322bまで差し込まれると、矢印G1及びG2で示されるように、直線部322aを規定する周囲部分324が元の形状に戻る。
【0066】
実施例3では、内視鏡用処置具2の自重でフック301の全体がZ方向に伸びるように弾性変形することに伴い、直線部322a及び円状部322bが変形する。具体的には、周囲部分324の弾性変形により、直線部322aがZ方向に伸びると同時にY方向に狭まるように変形し、また、実施例1の差込孔122と同様に、円状部322bが楕円状に変形する。
【0067】
直線部322aの幅が狭まることにより、管状先端部2Aaが円状部322bから外れた場合にも、直線部322aを通って脱落することが起きにくい。また、円状部322bが楕円状に変形することにより、管状先端部2Aaと周囲部分324とが密着する。そのため、スリット322からの管状先端部2Aaの脱落が起きにくい。
【0068】
なお、円状部322bの直径は、管状先端部2Aaの外径よりも小さくてもよい。この場合、管状先端部2Aaが円状部322bに差し込まれると、円状部322bが管状先端部2Aaの外径に合わせて押し広がるように、周囲部分324が弾性変形する。
【0069】
周囲部分324は、上記の弾性変形に伴い、円状部322bに差し込まれた管状先端部2Aaと密着する。上述したように、管状先端部2Aaには、円状部322bを楕円状に変形させようとする周囲部分324からの荷重が更にかかる。そのため、実施例3では、管状先端部2Aaがより一層しっかりと保持される。
【0070】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本発明の実施形態に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 :フック
2 :内視鏡用処置具
2A :管状部
2Aa :管状先端部
2B :把持部
3 :ハンガ
110 :本体部
112 :孔
120 :連結部
122 :差込孔
124 :周囲部分
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B