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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016179
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】多色固形化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20230126BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q1/02
A61K8/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120326
(22)【出願日】2021-07-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 配布日:令和3年7月 試供品の配布 公開日:令和3年7月9日 zoomウェビナーによるオンライン新製品記者発表会
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀江 亘
(72)【発明者】
【氏名】奥秋 菜央
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB152
4C083AB172
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB431
4C083AB432
4C083AC012
4C083AC242
4C083AC392
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC661
4C083AC852
4C083AD022
4C083AD152
4C083AD492
4C083AD662
4C083BB23
4C083BB25
4C083DD04
4C083DD21
4C083EE06
4C083FF05
4C083FF06
(57)【要約】
【課題】使用回数を重ねてもケーキングが生じにくく塗布具への取れやすさが衰えず、なめらかな使用感が得られる多色固形粉末化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】複数の着色組成物が、規則性を有し又はアトランダムに配置されてなる多色固形化粧料であって、前記複数の着色組成物は互いに異なる3色以上であり、少なくとも1つの着色組成物が(A)無機顔料及び(B)シリコーン樹脂で被覆された粉体を含有する、化粧料。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の着色組成物が、規則性を有し又はアトランダムに配置されてなる多色固形化粧料であって、
前記複数の着色組成物は互いに異なる3色以上であり、
少なくとも1つの着色組成物が(A)無機顔料及び(B)シリコーン樹脂で被覆された粉体を含有する、化粧料。
【請求項2】
前記成分(A)及び(B)を含有する着色組成物における成分(B)の含有量が該組成物全体に対して4.0重量%未満である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
成分(B)におけるシリコーン樹脂が(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーである、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記成分(A)及び(B)を含有する着色組成物が酸化鉄を該組成物全体に対して1重量%以上含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項5】
前記成分(A)及び(B)を含有する着色組成物が酸化鉄を無機顔料全体に対して50重量%以上含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項6】
前記成分(A)及び(B)を含有する着色組成物の少なくとも1つが、さらに(C)合成マイカを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項7】
前記成分(A)、(B)及び(C)を含有する着色組成物における成分(C)の含有量が該組成物全体に対して0.1~50重量%である、請求項6に記載の化粧料。
【請求項8】
前記成分(A)及び(B)を含有する着色組成物の少なくとも1つが、さらに(D)ラウロイルグルタミン酸ジエステルを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項9】
前記成分(A)、(B)及び(D)を含有する着色組成物における成分(D)の含有量が該組成物全体に対して0.1~3重量%である、請求項8に記載の化粧料。
【請求項10】
湿式成形により得られる、請求項1~9のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項11】
複数の着色組成物が成分(A)及び(B)を含有し、前記複数の着色組成物において成分(B)の含有量が互いに異なる、請求項1~10のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項12】
複数の着色組成物が、規則性を有し又はアトランダムに配置されてなる多色固形化粧料の硬度調整方法であって、
前記複数の着色組成物は(A)無機顔料及び(B)シリコーン樹脂で被覆された粉体を含有し、
(B)を、前記複数の着色組成物に互いに異なる含有量で含有させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多色固形化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ベースメークアップは、肌を美しく見せるためになされる化粧である。ベースメークアップ化粧料としては、ファンデーションの乗りを良くするための化粧下地や、肌色を整えるファンデーションや、シミやクマ等を目立たなくするコンシーラー等がある。また、ベースメークアップ化粧料は、肌色など単一の色の組成物のものが一般的である。
【0003】
近年、ファンデーション等の化粧料自体の外観を魅力的なものとするため、多色充填により複数の着色組成物を区画に分けて配置した固形化粧料を形成することが行われている(特許文献1等)。これらの多色固形化粧料は、通常、肌への塗布時に複数色の組成物を混ぜて用いられる。ここで混合される複数色の組成物が進出色と後退色との組み合わせを含んで構成される多色固形化粧料を用いると、肌に良好な奥行き感を付与できることも報告されている(特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-178878号公報
【特許文献2】特開2019-064988号公報
【特許文献3】特開2020-007242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多色固形化粧料では、色ごとに着色組成物に含まれる無機顔料の種類や量が異なるところ、本願発明者らは無機顔料とくに黄酸化鉄を一定以上含むと着色組成物は硬くなる傾向にある問題点に着目した。固形化粧料が硬くなりすぎるとケーキングが生じたり塗布具に取りにくくなったりする。
かかる状況に鑑みて本発明は、使用回数を重ねてもケーキングが生じにくく塗布具への取れやすさが衰えず、なめらかな使用感が得られる多色固形化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究したところ、多色固形化粧料を構成する着色組成物が、無機顔料とともにシリコーン樹脂で被覆された粉体を含むと上記課題を解決できることに想到し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]複数の着色組成物が、規則性を有し又はアトランダムに配置されてなる多色固形化粧料であって、
前記複数の着色組成物は互いに異なる3色以上であり、
少なくとも1つの着色組成物が(A)無機顔料及び(B)シリコーン樹脂で被覆された粉体を含有する、化粧料。
[2]前記成分(A)及び(B)を含有する着色組成物における成分(B)の含有量が該組成物全体に対して4.0重量%未満である、[1]に記載の化粧料。
[3]成分(B)におけるシリコーン樹脂が(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーである、[1]又は[2]に記載の化
粧料。
[4]前記成分(A)及び(B)を含有する着色組成物が酸化鉄を該組成物全体に対して1重量%以上含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の化粧料。
[5]前記成分(A)及び(B)を含有する着色組成物が酸化鉄を無機顔料全体に対して50重量%以上含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の化粧料。
[6]前記成分(A)及び(B)を含有する着色組成物の少なくとも1つが、さらに(C)合成マイカを含む、[1]~[5]のいずれかに記載の化粧料。
[7]前記成分(A)、(B)及び(C)を含有する着色組成物における成分(C)の含有量が該組成物全体に対して0.1~50重量%である、[6]に記載の化粧料。
[8]前記成分(A)及び(B)を含有する着色組成物の少なくとも1つが、さらに(D)ラウロイルグルタミン酸ジエステルを含む、[1]~[7]のいずれかに記載の化粧料。
[9]前記成分(A)、(B)及び(D)を含有する着色組成物における成分(D)の含有量が該組成物全体に対して0.1~3重量%である、[8]に記載の化粧料。
[10]湿式成形により得られる、[1]~[9]のいずれかに記載の化粧料。
[11]複数の着色組成物が成分(A)及び(B)を含有し、前記複数の着色組成物において成分(B)の含有量が互いに異なる、[1]~[10]のいずれかに記載の化粧料。[12]複数の着色組成物が、規則性を有し又はアトランダムに配置されてなる多色固形化粧料の硬度調整方法であって、
前記複数の着色組成物は(A)無機顔料及び(B)シリコーン樹脂で被覆された粉体を含有し、
(B)を、前記複数の着色組成物に互いに異なる含有量で含有させる、方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、固形化粧料が硬くなりすぎることがなくなり、それにより使用回数を重ねてもケーキングが生じにくく塗布具への取れやすさが衰えず、なめらかな使用感が得られる多色固形化粧料が提供される。
また、多色固形化粧料を構成する複数の着色組成物間でそれに含有される無機顔料の量によって硬度が異なるところ、本発明により固形化粧料の硬さ調整することができる。それにより、多色固形化粧料の塗布具への取れ具合が均一になり、塗布時に所望の色味が得られやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】複数の着色固形組成物(5色)を矩形型に市松模様に配置する態様を示す模式図である。
図2】複数の着色固形組成物(3色)を丸型に均等に配置する態様を示す模式図である。
図3】複数の着色固形組成物(4色)をマーブル模様を一部に有する形状に配置する態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。
本発明の多色固形化粧料は、複数の着色組成物が、規則性を有し又はアトランダムに配置され、多色固形化粧料を形成する。本明細書において、複数の着色組成物の配置方向は、媒体を介して、又は直接的に、肌に塗布する方向であり、通常容器の開口面と平行な水平方向である。具体的には、ケーキタイプの化粧料であれば、化粧料をパフ上に転写するためパフを摺動する平面方向に、スティックタイプの化粧料であれば、肌に塗布する塗布平面方向に、複数の着色組成物が配置される。
【0011】
本発明の多色固形化粧料は、固形であれば特に限定されず、パウダータイプ(粉末剤型
)でも、オイルゲルタイプ、エマルジョンタイプ(乳化剤型)でも構わない。
なお、ここで「固形」とは、室温(25℃)において流動性がないことをいう。
また、本発明の多色固形化粧料の態様としては、ファンデーション、フェイスパウダー、コンシーラー、チークカラー、アイカラー等が挙げられ、特に限定されない。
【0012】
多色固形化粧料は3色以上の着色組成物からなる限り特段限定されず、3色であってよく、4色であってよく、5色以上であってよい。場合によっては10以上の色を用いてもよいが、化粧料の各着色組成物の色数が多すぎても少なすぎても塗布後の肌に奥行き感が失われ、単一色で平面的であると認識され得ることから、10色未満であることが好ましい。
この理由としては、肌の色は一定ではなく、場所によって明度、色相がばらついているところ、化粧料においても異なる色の集合体で、適度に色を分散させて肌色を表現することで、良好な奥行き感が得られると考えられる。
また、本発明の多色固形化粧料は、肌に塗布した際に、好ましくは肌色を呈する。
【0013】
多色固形化粧料は複数の着色組成物で色ごとに区分される態様をとるが、ここで配置される複数の着色組成物の数(区画数、スポット数)は、着色組成物の色の数以上あれば特に限定されず、通常は着色組成物の色の数以上、すなわち本発明に置いては3以上であり、好ましくは8以上、より好ましくは15以上、より好ましくは25以上、さらに好ましくは35以上、特に好ましくは40以上であり、また好ましくは100以下、より好ましくは95以下、さらに好ましくは90以下である。
それぞれの着色固形組成物の大きさ(区画の面積)は特段限定されないが、最小面積の着色固形組成物に対する最大面積の着色固形組成物の面積比が5以下であってよく、4以下であってよく、3以下であってよく、2以下であってよく、それぞれの着色固形組成物の大きさが略同一であることが好ましい。また、最小の着色固形組成物の面積は、良好な奥行きの観点から0.04cm以上であってよく、0.25cm以上であってよく、また3cm以下であってよく、1.5cm以下であってよい。
【0014】
なお、本明細書において化粧料や組成物の「面積」は、容器等に充填された化粧料や組成物のうち容器から露出している面(表面)の面積を指す。通常は、パフやチップ等の塗布具を摺動させる面、あるいは肌に直接塗布するときはその塗布面が「表面」に相当する。
【0015】
以下、本発明の多色固形化粧料に用いる原料について、説明する。
1)粉体
本発明の多色固形化粧料は、通常は粉体を含有する。ここで粉体は、水、油脂、界面活性剤、アルコール類、シリコーン類などの化粧料原料には溶解しない、有機或いは無機の固形物の総称を意味する。
粉体としては、無機顔料が挙げられ、具体的には、無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等)等が挙げられる。
【0016】
また、他の粉体として、種々の着色顔料、例えば、パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッド雲母、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッド雲母、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアル
ミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等を含有してもよい。
【0017】
また、他の粉体として、体質顔料、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母(マイカ)、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、アルミナ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリ(メタ)アクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末等);金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、
パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム);有機変性されていてもよい粘土
鉱物(例えば、ベントナイト、ヘクトライト、有機変性ベントナイト、有機変性ヘクトライト等)等を含有してもよい。
【0018】
粉体の形状は、球状、略球状、不定形、多孔質状、中空状、繊維状、針状、板状或いは塊状であってもよい。更に、その表面は、シリコーン被覆処理、金属石けん被覆処理、アシルアミノ酸塩被覆処理など、通常知られている表面処理が為されていてもよい。
粉体の大きさは、特に限定されないが、平均一次粒子径として1~30μmのものが好ましい。ここで平均一次粒子径は、透過電子顕微鏡写真中の任意の視野の任意の粒子30個についての体積平均を繰り返し測定することにより算出される値とする。粒子の長径と短径との相加平均を粒径とみなす。
【0019】
粉体は、各着色組成物において、1種のみ配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
本発明の多色固形化粧料において粉体は、パウダータイプの場合には、多色固形化粧料中、及び/又は着色組成物中通常65重量%以上であり、70重量%以上であることが好ましく75重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることが更に好ましい。また、通常95重量%以下であり、90重量%以下であることが好ましく、85重量%以下であることがより好ましい。
オイルゲルタイプの場合には、多色固形化粧料中、及び/又は着色組成物中通常30重量%以上であり、40重量%以上であることが好ましい。また、通常70重量%以下であり、60重量%以下であることが好ましい。
【0020】
本発明においては、少なくとも1つの着色組成物が、無機顔料及びシリコーン樹脂で被覆された粉体を含有する。
ここで無機顔料としては、酸化鉄及び/又は酸化チタンを含むことが好ましく、酸化鉄を含むことがより好ましく、黄酸化鉄を含むことがさらに好ましい。
【0021】
シリコーン樹脂で被覆された粉体は、前述した粉体がシリコーン樹脂で被覆処理されたものを指す。ここで「被覆」は、粉体に対するシリコーン樹脂の、化学的な結合であっても物理吸着等であってもよい。通常は、乾式処理や湿式処理などの定法により被覆処理がなされる。
シリコーン樹脂は、化粧料において通常用いられるものであってよい。具体的には例えば、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー等が好ましく挙げられる。被覆される粉体は特に限定されないが、弾性のあるものが好ましく、また球状又は略球状のものが好ましい。
市販品としては、シリコーンゴム球状粉末を(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーで被覆した、信越化学工業株式会社の「KSP-300」等を入手でき、好ましく使用できる。
【0022】
無機顔料及びシリコーン樹脂で被覆された粉体を含有する着色組成物においては、シリコーン樹脂で被覆された粉体の含有量が該組成物全体に対して4.0重量%未満であることが好ましく、より好ましくは3重量%未満、さらに好ましくは1.5重量%未満である。また、その含有量は該組成物全体に対して、好ましくは0.00001重量%以上、より好ましくは0.0001重量%以上、さらに好ましくは0.001重量%以上である。
また、シリコーン樹脂に被覆されていない遊離の粉体や、粉体を被覆していない遊離のシリコーン樹脂が、着色組成物中に存在してもよい。
【0023】
無機顔料及びシリコーン樹脂で被覆された粉体を含有する着色組成物においては、酸化鉄を該組成物全体に対して1重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上である。また、その含有量は該組成物全体に対して、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下である。
また、無機顔料及びシリコーン樹脂で被覆された粉体を含有する着色組成物においては、酸化鉄を該組成物に含まれる無機顔料全体に対して50重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。また、その含有量は無機顔料全体に対して、好ましくは100重量%以下、より好ましくは90重量%以下、さらに好ましくは80重量%以下である。
【0024】
酸化鉄を無機顔料として多く含む着色組成物は硬くなる傾向にあるが、シリコーン樹脂で被覆された粉体をともに配合することで、硬さを調整し、硬くなりすぎることを抑えられる。それにより使用回数を重ねてもケーキングが生じにくく塗布具への取れやすさが衰えず、なめらかな使用感が得られる多色固形化粧料とすることができる。
【0025】
無機顔料及びシリコーン樹脂で被覆された粉体を含有する着色組成物は、さらに合成マイカを含むことが、ケーキングをより生じにくくする観点から好ましい。該着色組成物における合成マイカの含有量は、該着色組成物全体に対して0.1~50重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは5~40重量%以上、さらに好ましくは10~30重量%以上である。
【0026】
無機顔料及びシリコーン樹脂で被覆された粉体を含有する着色組成物は、さらにラウロイルグルタミン酸ジエステル等のアシルアミノ酸の脂肪酸エステルを含むことが、ケーキングをより生じにくく、また落下安定性をより向上させる観点から好ましい。ラウロイルグルタミン酸ジエステルとしては、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)が好ましく挙げられる。
【0027】
本発明の多色固形化粧料は3色以上であることから、着色組成物は3種類以上であるが、それらの少なくとも1つが、好ましくは複数が、無機顔料及びシリコーン樹脂で被覆された粉体を含有する。無機顔料及びシリコーン樹脂で被覆された粉体を含有する着色組成物が複数ある場合は、シリコーン樹脂で被覆された粉体の含有量は通常は互いに異なる。
多色固形化粧料を構成する複数の着色組成物間では、それに含有される無機顔料の量によって硬度が互いに異なるところ、シリコーン樹脂で被覆された粉体の含有量を増減させ
て調整して適当な含有量、通常は着色組成物間で互いに異なる含有量とすることにより、複数の着色組成物間で同程度の硬さとすることができる。すなわち、多色固形化粧料の硬度を調整することができる。
複数の着色組成物間で同程度の硬さに調整されていることは、着色組成物ごとに直接硬度を定法により測定するほか、塗布具や指等で多色固形化粧料の複数の区画を擦過したときに、同程度に着色組成物が取れることや擦過後の区画間に段差が生じないことを確認すること等で、評価することができる。
【0028】
2)油性成分
本発明の多色固形化粧料は、通常は油性成分を含む。
油性成分の具体例としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン等の動植物油;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン等の炭化水素油;オレイン酸、イソステアリン酸等の液状脂肪酸;イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の液状高級アルコール;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、エチルヘキサン酸セチル、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット、グリセリルトリイソステアレート、グリセリルトリイソオクタネート等の合成エステル油;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油;ラウロイルグルタミン酸ジエステル等のアシルアミノ酸のエステル;が挙げられる。但し、後述する特定の界面活性剤群に属するものは、油性成分として取り扱わないものとする。
【0029】
油性成分は、1種のみ配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
本発明の多色固形化粧料において油性成分を配合する場合、パウダータイプの場合には、多色固形化粧料中通常5重量%以上であり、10重量%以上であることが好ましい。また、通常25重量%以下であり、20重量%以下であることが好ましい。
オイルゲルタイプの場合には、油性成分の含有量は、多色固形化粧料中通常30重量%以上であり、40重量%以上であることが好ましい。また、通常70重量%以下であり、60重量%以下であることが好ましい。
【0030】
また、オイルゲルタイプの場合には、油性成分として固形脂及び/又は半固形脂を含有することが好ましく、その含有量は組成物全体の3重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましい。また、組成物全体の10重量%以下が好ましく、8重量%以下がより好ましい。
【0031】
ここで、固形脂には半固形脂も含まれる。なお、固形とは25℃で流動性がないものをいい、半固形とは1気圧、20℃で応力の存在しない環境では殆ど変形しないが、若干の応力(10~100g/cm程度)がかかると変形するものをいう。また、融点が50℃以上のものがより好ましい。
固形脂及び/又は半固形脂としては、植物由来のものとして、カルナウバロウ、モクロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、シアバター、アフリカマンゴバター等が挙げられ、動物由来のものとして、ミツロウ、シェラックロウ、イボタロウ等が挙げられ、石油由
来のものとして、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の精製ワックスが挙げられ、鉱物由来のものとしてオゾケライト、セレシン、モンタンワックス等の精製ワックスが挙げられる。
【0032】
本発明の組成物がオイルゲル剤型である場合は、前述の固形脂や半固形脂に加えて又は替えて、油性ゲル化剤を含有することも好ましい。
ここで油性ゲル化剤とは、油剤等の油性成分と相溶性のあるゲル化剤をいい、特に限定されないが、12-ヒドロキシステアリン酸、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン、ジブチルラウロイルグルタミド、ジメチコンクロスポリマー等を例示できる。
油性ゲル化剤の含有量は、組成物全体の0.5重量%以上が好ましく、2重量%がより好ましく、5重量%以上がさらに好ましい。また、組成物全体の10重量%以下が好ましく、8重量%以下がより好ましく、6重量%以下がさらに好ましい。
オイルゲルタイプの場合の好ましい態様では、固形脂、半固形脂及び油性ゲル化剤からなる群から選択されるいずれかを化粧料全量に対し3~15重量%含有する。
【0033】
3)その他成分
本発明の多色固形化粧料には、通常固形化粧料に使用される成分を広く配合することが可能である。
【0034】
例えば、有効成分としては、美白成分、抗炎症成分、植物エキス等が挙げられる。
また、界面活性剤としては、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;
ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、イミダゾリン系両性界面活性剤(2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;
ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等) 、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコ
ール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE-ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE-グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2-オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック(登録商標)型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;等が挙げられる。
【0035】
多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール、2,4-ヘキシレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等が挙げられる。
【0036】
増粘剤としては、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸,キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等が挙げられる。
【0037】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類
、等が挙げられる。
【0038】
本発明の多色固形化粧料は、複数の着色組成物に進出色を少なくとも1色と、後退色を少なくとも1色とを含むことが好ましい。
進出色とは、背景になる色から浮き出して近くになるように見える色の総称であり、通常マンセルの表色系における、赤紫、赤色、赤黄色、黄色、黄緑に分類される色から選択される。一般に、明度が高く、彩度も高い色である。具体的には、赤色、橙色、黄色などがその代表色としてあげられる。
後退色とは、背景になる色から奥に引っ込んで見える色の総称であり、通常マンセルの表色系における、緑色、青緑色、青色、青紫色、紫色に分類される色から選択される。一般に明度が低く、彩度も低い色である。具体的には、緑色、青緑色、青色、青紫色、紫色などがその代表色としてあげられる。
【0039】
また、本発明の多色固形化粧料は、白色をさらに含むことが塗布後の肌に透明感を付与する観点から好ましい。
前記白色の着色固形組成物は、白色を呈し、L*値が好ましくは90以上、より好ましくは95以上、さらに好ましくは98以上を示す。通常は有色顔料を実質的に含まない。実質的に含まないとは、組成物全体の好ましくは0.01重量%以下、より好ましくは0.001重量%以下をいう。
【0040】
多色固形化粧料が肌上で肌色を呈するためには黒色粉体を含むことが好ましいが、赤色、赤黄色、及び/又は黄色を含む着色組成物に黒色粉体を配合すると、外観がくすむ傾向にある。そのため、進出色を含む着色組成物には、黒色粉体を実質的に配合しないことが好ましい。なお「実質的に配合しない」とは、進出色を含む着色組成物が有する鮮やかさがくすむ程度に配合しないことを意図しており、例えば着色組成物全量中に黒色粉体が0.8重量%以下であってよく、0.5重量%以下であってよく、0.3重量%以下であってよく、0.1重量%以下であってよく、0.05重量%以下であってよく、0.01重量%以下であってよい。
【0041】
一方で、後退色を含む着色組成物に黒色粉体を配合しても、外観の華やかさは失われにくい。そのため、後退色を含む着色組成物に黒色粉体を配合することは好ましい。この場合、青色、青緑色、及び/又は緑色を含む着色組成物に配合する黒色粉体の含有量は、着色組成物全量に対し通常0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上であり、また通常2.0重量%以下、好ましくは1.5重量%以下である。
黒色粉体の例としては、黒酸化鉄、カーボンブラック、チタンブラック等があげられる。
【0042】
本発明の多色固形化粧料は、前記複数の着色組成物を金皿等の容器に充填することにより製造することができる。
パウダータイプ(粉末剤型)の場合は、通常湿式製法で調製される。オイルゲルタイプやエマルションタイプ(乳化剤型)の場合は、例えば70~130℃に加温した着色組成物で充填した後に室温まで冷却して、固形化粧料を得る。
【0043】
複数の着色組成物の配置面方向における形状は特段限定されず、丸型、矩形型、多角形型、不定形、マーブル形状など、いずれであってもよい。また、これらが規則的に配置されていてもアトランダムに配置されていてもよい(図1~3)。パフやチップ等の塗布具により擦り取る化粧料の色を一定に保つ観点からは、略同形状の複数の着色組成物が規則的に配置されていてもよく、例えば市松模様の配置が挙げられる。
【0044】
本発明の多色固形化粧料の形状は、ケーキタイプである場合には、コンパクトに収納することを考慮すると、通常丸型又は略矩形であるが、これに限られるものではない。ここで略矩形とは、矩形の形状に近い形状であるが、4つの角が丸みを帯びているものを含むことを意味する。なお、丸型とすることで、固形化粧料を最後まで均一に使いきれるというメリットが存在する。また、ケーキの厚みも特段限定されず、通常0.1cm以上であってよく、0.2cm以上であってよく、また通常2.5cm以下であってよく、好ましくは1.0cm以下程度であってよい。
一方で、スティックタイプの場合には、通常スティック状であり、その長さ、径は、適宜設定される。
【実施例0045】
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲が例示された実施例のみに限定されることはない。
【0046】
<試験例1>
表1に示す処方にしたがって着色組成物を作製した。具体的には、各着色組成物について、粉体成分をヘンシェルミキサで混合し、その後油剤成分を加えて更に混合して混合物を得た。得られた混合物をパルペライザにて粉砕し、それぞれの着色組成物を得た。次に、略矩形の金皿に着色組成物を充填し、ハンドプレス20Kgにて加圧成型して単色の固形化粧料を得た。
また、着色顔料を含有しない白色の組成物も別途同様に調製し、隔壁を設けた略矩形の金皿の、隔壁で仕切られた2区画にそれぞれ着色組成物と白色組成物を充填し、隔壁をはずして、ハンドプレス20Kgにて加圧成型して、2色の固形化粧料を得た。
【0047】
実施例及び比較例の各化粧料について、熟練の評価者が以下の評価を行った。なお、比較例1を標準として、各化粧料を相対的に評価した。結果を表1に合わせて示す。
ケーキング:単色の固形化粧料及び2色の固形化粧料それぞれについて、表面をチップで連続200回擦過した後のケーキングの有無を目視で観察した。
取れ具合:単色の固形化粧料の表面をチップで連続200回擦過した後の凹みを目視で観察した。なお、凹みが生じることを取れやすいと評価した。
落下安定性:単色の固形化粧料の成形面を下にして、5cmの高さから複数回落下させたときの安定性を目視で観察した。なお、数十回落下させて、全体に寄り、ヒビ、割れ、欠け、又は剥がれが生じるまでの回数を計測した。
使用感:単色の固形化粧料の表面を指で擦過し、取れた化粧料を手の甲に塗布したときの感触(なめらかさ、塗膜の厚さ)を評価した。
【0048】
【表1】
【0049】
<試験例2>
表2に示す処方にしたがって黄色組成物を、表3に示す処方にしたがって赤色組成物を、それぞれ調製し、試験例1と同様に各単色の固形化粧料を作製した。なお、黄色組成物及び赤色組成物それぞれにおいて、各実施例の処方はシリコーン樹脂で被覆された粉体の含有量のみを変えたものである。
の各化粧料について、熟練の評価者がケーキング及び取れ具合について試験例1と同様に評価した。結果を表2~4に示す。表3において同じ行に示される黄色組成物と赤色組成物は、同程度の取れ具合であることを示す。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
図1
図2
図3