(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161793
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】植物状態検出システム及びにおい検知装置
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072360
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】水谷 学世
(57)【要約】
【課題】
植物のにおい情報に基づいて植物の状態を検出することにより植物の状態を精度良く検出する。
【解決手段】
植物状態検出システム1は、植物Gから発せられるにおい物質を検知するにおい検知部21を有するにおい検知装置2と、におい検知部21により検知されたにおい情報を取得し、におい情報に基づき植物の状態を検出するサーバ3とを備えて構成され、植物Gから発せられるにおいを検知し、そのにおい情報に基づいて植物の状態を検出することにより、植物Gの状態を精度良く検出することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物から発せられるにおい物質を検知するにおい検知部を有するにおい検知装置と、
前記におい検知部により検知されたにおい情報を取得し、前記におい情報に基づき前記植物の状態を検出する植物状態検出機器と、
を備える植物状態検出システム。
【請求項2】
前記におい検知装置は、前記植物の周囲の温度、湿度、二酸化炭素濃度及び照度の環境値のうち少なくとも一つの環境値を検知する環境検知部を有し、
前記植物状態検出機器は、前記環境値に基づいて前記植物の状態を検出し又は予測する、
請求項1に記載の植物状態検出システム。
【請求項3】
前記におい検知装置は、前記におい検知部を収容する容器と、前記植物の周囲のエアを前記容器の内部へ吸引させる吸引機とを更に有する、
請求項1に記載の植物状態検出システム。
【請求項4】
前記におい検知装置は、前記におい物質として、少なくとも、緑の香り物質、テルペン類物質、硫黄系物質及びカビ臭物質のいずれか一つを検知する、
請求項1に記載の植物状態検出システム。
【請求項5】
前記におい検知装置は、複数の前記植物が栽培される栽培領域に複数設けられ、等間隔で配置されている、
請求項1に記載の植物状態検出システム。
【請求項6】
複数設けられる前記におい検知装置の配置位置に対応して前記植物の状態を表示させる表示制御部を備える、
請求項5に記載の植物状態検出システム。
【請求項7】
植物から発せられるにおい物質を検知するにおい検知部と、
前記におい検知部により検知されたにおい物質のにおい情報を、前記植物の状態を検出するための情報として、出力する出力部と、
を備えるにおい検知装置。
【請求項8】
前記植物の周囲の温度、湿度、二酸化炭素濃度及び照度の環境値のうち少なくとも一つの環境値を検知する環境検知部を備え、
前記出力部は、前記環境検知部により検知された環境値を前記植物の状態を検出するための情報として出力する、
請求項7に記載のにおい検知装置。
【請求項9】
前記におい検知部を収容する容器と、
前記植物の周囲のエアを前記容器の内部へ吸引させる吸引機と、
を備える請求項7に記載のにおい検知装置。
【請求項10】
前記におい検知部は、前記におい物質として、少なくとも緑の香り物質、テルペン類物質、硫黄系物質及びカビ臭物質のいずれか一つを検知する、
請求項7に記載のにおい検知装置。
【請求項11】
前記におい検知部は、複数の前記植物が栽培される栽培領域において複数設けられ、等間隔で設置されている、
請求項7に記載のにおい検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物状態検出システム及びにおい検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物状態を検出するものとして、例えば、特開2020-64466号公報に記載されるように、農作物を撮像し、撮像した画像を解析することにより農作物の生育状態又は病害虫の被害状況を把握する装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の装置においては、植物状態を精度良く検出することが難しい。すなわち、植物を撮像して植物状態を検出する特許文献1記載の装置は、撮像される範囲の植物の状態しか検出することができず、撮像されていない範囲で病気又は食害などが発生している場合、未検出となるおそれがある。
【0005】
本開示は、植物状態を精度良く検出可能な植物状態検出システム及びにおい検知装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本開示の一側面に係る植物状態検出システムは、植物から発せられるにおい物質を検知するにおい検知部を有するにおい検知装置と、におい検知部により検知されたにおい情報を取得し、におい情報に基づき植物の状態を検出する植物状態検出機器とを備えて構成されている。この植物状態検出システムによれば、植物から発せられるにおいを検知し、そのにおい情報に基づいて植物の状態を検出することができる。このため、植物状態検出システムは、植物の状態を精度良く検出させることができる。
【0007】
また、本開示の一側面に係る植物状態検出システムにおいて、におい検知装置は、植物の周囲の温度、湿度、二酸化炭素濃度及び照度の環境値のうち少なくとも一つの環境値を検知する環境検知部を有し、植物状態検出機器は、環境値に基づいて植物の状態を検出し又は予測してもよい。この場合、植物状態検出システムは、植物の周囲の温度、湿度、二酸化炭素濃度及び照度の環境値のうち少なくとも一つの環境値を検知し、その環境値に基づいて植物の状態を検出し又は予測することができる。
【0008】
また、本開示の一側面に係る植物状態検出システムにおいて、におい検知装置は、におい検知部を収容する容器と、植物の周囲のエアを容器の内部へ吸引させる吸引機とを更に有していてもよい。この場合、植物状態検出システムは、におい検知部を容器に収容し、容器の内部へ植物の周囲のエアを吸引することにより、植物から発せられる物質を容器の内部へ引き入れることができる。このため、におい物質が拡散することが抑制され、植物状態検出システムは、におい検知装置における検知精度を高めることができる。
【0009】
また、本開示の一側面に係る植物状態検出システムにおいて、におい検知装置は、におい物質として、少なくとも、緑の香り物質、テルペン類物質、硫黄系物質及びカビ臭物質のいずれか一つを検知してもよい。この場合、植物状態検出システムは、におい物質として緑の香り物質を検知することにより植物の食害状態を検出することができ、におい物質としてテルペン類物質を検知することにより植物の環境ストレス状態を検出することができ、におい物質として硫黄系物質を検知することにより植物の腐敗状態を検出することができ、におい物質としてカビ臭物質を検知することにより植物のカビ発生状態を検出することができる。
【0010】
また、本開示の一側面に係る植物状態検出システムにおいて、におい検知装置は、複数の植物が栽培される栽培領域に複数設けられ、等間隔で配置されていてもよい。この場合、栽培領域に複数のにおい検知装置を等間隔で配置することにより、植物状態検出システムは、栽培領域内の各箇所の植物の状態を的確に認識することができる。
【0011】
また、本開示の一側面に係る植物状態検出システムにおいて、複数設けられるにおい検知装置の配置位置に対応して植物の状態を表示させる表示制御部を備えていてもよい。この場合、複数設けられるにおい検知装置の配置位置に対応して植物の状態を表示させることにより、植物状態検出システムは、視覚を通じて栽培領域内における植物の状態を容易に把握させることができる。
【0012】
本開示の一側面に係るにおい検知装置は、植物から発せられるにおい物質を検知するにおい検知部と、におい検知部により検知されたにおい物質のにおい情報を植物の状態を検出するための情報として出力する出力部とを備えて構成されている。このにおい検知装置によれば、植物から発せられるにおい物質を検知し、そのにおい情報を植物の状態を検出するための情報として出力する。これにより、におい検知装置は、植物のにおい情報に基づいて植物の状態を検出させることが可能となり、植物の状態を精度良く検出させることができる。
【0013】
また、本開示の一側面に係るにおい検知装置において、植物の周囲の温度、湿度、二酸化炭素濃度及び照度の環境値のうち少なくとも一つの環境値を検知する環境検知部を備え、出力部は、環境検知部により検知された環境値を植物の状態を検出するための情報として出力してもよい。この場合、におい検知装置は、におい情報に加えて植物の環境値を植物の状態を検出するための情報として出力することができる。このため、におい検知装置は、におい及び環境値の情報に基づいて植物の状態を検出させ、予測させることが可能となる。
【0014】
また、本開示の一側面に係るにおい検知装置において、におい検知部を収容する容器と、植物の周囲のエアを容器の内部へ吸引させる吸引機とを備えていてもよい。この場合、におい検知部を容器に収容し、容器の内部へ植物の周囲のエアを吸引することにより、植物から発せられるにおい物質を容器の内部へ引き入れることができる。このため、におい物質が拡散することが抑制され、におい検知装置は、におい物質の検知精度を高めることができる。
【0015】
また、本開示の一側面に係るにおい検知装置において、におい検知部は、におい物質として、少なくとも緑の香り物質、テルペン類物質、硫黄系物質及びカビ臭物質のいずれか一つを検知してもよい。この場合、におい検知装置は、におい物質として緑の香り物質を検知することにより植物の食害状態を検出させることができ、におい物質としてテルペン類物質を検知することにより植物の環境ストレス状態を検出させることができる。また、におい検知装置は、におい物質として硫黄系物質を検知することにより植物の腐敗状態を検出させることができ、におい物質としてカビ臭物質を検知することにより植物のカビ発生状態を検出させることができる。
【0016】
また、本開示の一側面に係るにおい検知装置において、におい検知部は、複数の植物が栽培される栽培領域において複数設けられ、等間隔で設置されていてもよい。この場合、栽培領域に複数のにおい検知部を等間隔で配置することにより、栽培領域内の各箇所の植物の状態を的確に認識することができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、植物状態を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の実施形態に係る植物状態検出システム及びにおい検知装置の電気的構成の概要を示す図である。
【
図2】
図1のにおい検知装置の構成概要及び設置態様を示す図である。
【
図3】
図1のにおい検知装置の設置態様の一例を示す図である。
【
図4】
図1の植物状態検出システムにおける植物の状態の表示態様を示す図である。
【
図5】
図1のにおい検知装置の制御処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図1の植物状態検出システムのサーバの制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は、本開示の実施形態に係る植物状態検出システム及びにおい検知装置の電気的構成の概要を示した図である。
図2、3は、におい検知装置の構成態様及び設置態様の説明図である。
【0021】
図1に示すように、植物状態検出システム1は、植物Gから発せられるにおい物質を検知して植物Gの状態を検出するシステムである。植物Gの状態としては、例えば植物Gの健康状態又は生育状態が含まれる。植物状態検出システム1は、におい検知装置2及びサーバ3を備えている。
【0022】
におい検知装置2は、植物Gから発せられるにおい物質を検知する装置であり、例えば植物Gの近傍に配置される。植物Gは、状態検出対象となる植物であって、例えば栽培される植物である。におい検知装置2は、サーバ3に対しにおい情報などのデータ情報を送信可能に構成されている。例えば、におい検知装置2とサーバ3は、インターネットNを介して通信可能に構成されている。におい検知装置2は、におい検知部21、環境検知部22、通信部23、吸引機24及びバッテリ25を含んで構成されている。
【0023】
におい検知部21及び環境検知部22は、センサ部20の一部として設けられ、例えば同じ筐体内に配置される。におい検知部21は、植物Gから発せられるにおい物質を検知するにおいセンサである。植物Gから発せられるにおい物質は、植物Gから直接発せられるにおい物質のほか、植物Gに付着するものや植物Gの近傍に付着するものから発せれるにおい物質を含む。
【0024】
におい物質は、例えば、緑の香り物質、テルペン類物質、硫黄系物質及びカビ臭物質を含む。緑の香り物質は、炭素数六つの骨格を持つアルデヒド、アルコールおよびそれらのエステルなどの揮発性物質であり、具体的にはヘキセノール(青葉アルコール)、セキセナール(青葉アルデヒド)などである。テルペン類物質は、(C5H8)nの不飽和炭化水素を基本骨格とする有機化合物やテルペンアルコールなどの物質であり、具体的には、α-ピネン、β-カリオフィレンなどである。硫黄系物質は、植物の腐敗臭を発する硫化水素などの硫化化合物であり、例えば、ジメチルスルフィドなどである。カビ臭物質は、カビ、トリクロロアニソール、ジェオスミン、メチルイソボルネオールなどである。におい検知部21がにおい物質として緑の香り物質を検知することにより、におい検知装置2は、サーバ3に植物Gの食害状態を検出させることが可能となる。また、におい検知部21がにおい物質としてテルペン類物質を検知することにより、におい検知装置2は、サーバ3に植物Gの環境ストレス状態を検出させることが可能となる。また、におい検知部21がにおい物質として硫黄系物質を検知することにより、におい検知装置2は、サーバ3に植物Gの腐敗状態を検出させることができる。さらに、におい検知部21がにおい物質としてカビ臭物質を検知することにより、におい検知装置2は、サーバ3に植物Gのカビ発生を検出させることができる。
【0025】
におい検知部21は、少なくとも緑の香り物質、テルペン類物質、硫黄系物質及びカビ臭物質のうちいずれか一つを検知する。また、におい検知部21は、それらの物質の一部又は全部を検知してもよい。さらに、におい検知部21は、緑の香り物質、テルペン類物質、硫黄系物質及びカビ臭物質以外の物質で植物状態を検出可能となるにおい物質を検知してもよい。
【0026】
におい検知部21としては、例えばにおい物質と反応する有機膜を金属半導体に塗布したセンサを用いればよい。具体的には、有機膜としてポリアニリンを含み、金属半導体として酸化スズ(SnO2)を含むセンサが用いられる。複数の異なるにおい物質を検知する場合には、におい検知部21として複数のセンサを用いてもよい。また、におい検知部21として、におい物質の検知が可能なセンサであれば、上記以外のセンサを用いてもよい。
【0027】
環境検知部22は、植物Gの生育環境を検知するためのセンサである。環境検知部22は、植物Gの周囲の温度、湿度、二酸化炭素濃度及び照度の環境値のうち少なくとも一つの環境値を検知する。環境検知部22は、植物Gの周囲の温度、湿度、二酸化炭素濃度及び照度の環境値のうち一部を検知してもよいし、全部を検知してもよい。環境検知部22としては、例えば、温度計、湿度計、二酸化炭素濃度計、照度計が用いられる。また、環境検知部22は、植物Gの周囲の温度、湿度、二酸化炭素濃度及び照度以外の環境値を検知するものであってもよい。
【0028】
センサ部20は、気流センサを含んでもよい。気流センサは、センサ部20の周囲のエアの流れを検知するセンサである。におい検知装置2は、気流センサによりセンサ部20の周囲のエアの流れを検知することにより、植物Gの周囲のエアがセンサ部20側へ引き込まれているかどうかを検出することができる。なお、センサ部20において、環境検知部22の設置を省略する場合もある。
【0029】
通信部23は、におい検知部21により検知されたにおい情報を、植物Gの状態を検出するための情報として、出力する出力部として機能する。例えば、通信部23は、におい検知部21により検知されたにおい情報を外部の機器に出力する。この場合、通信部23は、所定の周期で繰り返してにおい情報を外部の機器に出力する。これにより、におい検知装置2は、植物Gの状態をリアルタイムで提供することが可能となる。におい情報は、例えば、におい物質の検知レベルである。におい検知部21が複数のセンサを有する場合には、それぞれのセンサに対応した複数のにおい情報が出力される。また、通信部23は、におい情報のほか、環境検知部22により検知された環境値の環境値情報を、植物Gの状態を検出するための情報として出力してもよい。この通信部23は、例えば、サーバ3と通信するための通信機であり、インターネットNを介してサーバ3と通信可能に構成される。この通信部23は、例えば、センサ部20をインターネットNと接続するためのルーターであってもよいし、ルーターとの接続を中継する無線LANルーターであってもよい。
【0030】
吸引機24は、植物Gの周囲のエアをセンサ部20へ引き寄せるための機器である。吸引機24としては、例えばポンプやファンなどエアを吸引可能な機器が用いられる。バッテリ25は、におい検知装置2において電源供給が必要な機器に対し電源供給するための蓄電器である。におい検知装置2にバッテリ25が備えられることにより、におい検知装置2に電源ケーブルを接続して外部電力を引き入れる必要がなく、におい検知装置2の設置及び取り扱いが容易となる。なお、におい検知装置2において、バッテリ25の設置を省略し、外部電源により作動させる場合もある。
【0031】
図2に示すように、におい検知装置2は、植物Gの位置に設置される。例えば、におい検知装置2は、植物Gが植えられる土の上に設置される。この場合、におい検知装置2は、地面とのにスペーサなどの部材を介して設置されてもよい。また、
図3に示すように、ビニールハウスのような施設11内ににおい検知装置2を設置する場合、におい検知装置2を上部から吊下げて設置してもよい。
図3は、
図1のにおい検知装置の設置態様の一例を示す図である。
【0032】
また、
図4に示すように、におい検知装置2は、複数の植物Gが栽培される栽培領域Rにおいて、複数設置されていてもよい。
図4は、におい検知装置2の設置態様及び植物状態の表示態様を示す図であり、栽培領域Rを上から見た図となっている。この場合、複数設置されるにおい検知装置2は、等間隔で配置される。例えば、におい検知装置2は、栽培領域Rにおいて隣り合うにおい検知装置2に対し同じ間隔Lとなるように設置される。このようににおい検知装置2を配置することにより、サーバ3は、栽培領域R内の各箇所の植物Gの状態を的確に認識することができる。
図4では、栽培領域Rにおいて、におい検知装置2を縦方向に等間隔で配置した場合を示しているが、横方向又は斜め方向においてにおい検知装置2を等間隔に配置してもよい。ここで、等間隔とは、ほぼ等間隔を含む。栽培領域Rは、植物Gの栽培ロットを示しており、栽培領域Rには複数の植物Gが栽培されている。
【0033】
図2において、におい検知装置2は、容器26を有している。容器26は、におい検知部21を収容するための部材であり、例えばにおい検知部21を覆うような箱型のものが用いられる。容器26は、
図2に示すような直方体であってもよいし、におい検知部21を囲える形状であれば、直方体以外の形状であってもよい。容器26は、例えば、手に取って扱える程度のものである。
図2では、容器26内にセンサ部20が収容され、容器26内ににおい検知部21及び環境検知部22が収容されているが、環境検知部22については容器26の外部に配置する場合もある。また、
図2では、通信部23の図示を省略しているが、通信部23は、容器26の内部に設置してよいし、容器26の外部に設置してもよい。
【0034】
容器26は、吸引口26a及び排出口26bが形成されている。吸引口26a及び排出口26bは、容器26の内外を貫通する開口である。吸引口26aは、植物Gの周囲のエアを容器26内へ吸引するための開口となっている。吸引口26aは、例えば容器26の上部に形成される。排出口26bは、容器26内のエアを容器26外へ排出するための開口となっている。排出口26bは、例えば容器26の下部に形成される。
【0035】
容器26には、吸引機24が設けられている。吸引機24は、植物Gの周囲のエアを容器26内へ吸引する。吸引機24は、例えば排出口26bの位置に設けられ、駆動により排出口26bから容器26内のエアを排出することにより吸引口26aから植物Gの周囲のエアを容器26内へ引き込む。なお、吸引機24を吸引口26aの位置に設け、吸引機24の駆動により吸引口26aからエアが吸引されてもよい。
【0036】
このようににおい検知部21を収容する容器26を設け、植物Gの周囲のエアを容器26の内部に吸引してにおい物質の検知を行うことにより、におい検知装置2は、におい物質の検知精度を高めることができる。すなわち、におい検知装置2は、容器26の内部へ植物Gの周囲のエアを吸引することにより、植物Gのにおい物質が拡散することが抑制され、におい物質の濃度を高く維持することができる。これにより、におい検知装置2は、植物Gのにおい物質の検知精度の向上を図ることができる。
【0037】
図1において、サーバ3は、におい検知部21により検知されたにおい情報を取得し、そのにおい情報に基づき植物Gの状態を検出する植物状態検出機器である。また、サーバ3は、におい情報のほか、環境値情報を取得し、におい情報及び環境値情報に基づいて植物Gの状態を検出し、植物Gの状態を予測してもよい。サーバ3は、例えばCPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]を含むコンピュータにより構成され、におい検知装置2から送信されるにおい情報及び環境値情報を記録し、それらの情報に基づいて植物Gの状態を検出し予測する。このサーバ3は、例えば、植物状態検出システム1におけるクラウドコンピューティングの主要機器として機能する。つまり、サーバ3は、植物Gの状態を検出した植物状態情報を端末機器4へ提供する。例えば、サーバ3は、サーバ3にアクセスした端末機器4に対し植物状態情報を提供することにより、クラウドサービスを可能とする。
【0038】
サーバ3は、植物状態検出部31、表示制御部32、記録部33及び通信部34を含む。植物状態検出部31は、におい情報及び環境値情報に基づき植物Gの状態を検出し予測する。例えば、植物状態検出部31は、におい情報として植物Gのにおい物質の検知レベルを取得する。検知レベルは、におい物質の濃度に対応する。そして、植物状態検出部31は、におい物質の検知レベルに基づいて植物Gの状態を判定する。例えば、植物状態検出部31には、におい物質の検知レベルと植物Gの状態を関係付けたテーブル、判定閾値などの関係データが設定される。この関係データを用いることにより、植物状態検出部31は、におい物質の検知レベルから植物Gの状態を判定することができる。
【0039】
具体的には、におい物質が緑の香り物質である場合、植物状態検出部31により、植物Gの食害の状態が判定され得る。すなわち、植物状態検出部31は、緑の香り物質の検知レベルに基づいて、植物Gが通常状態、注意状態、警告状態のいずれかであるかを判定する。通常状態は検知レベルが低く食害がない状態であり、注意状態は検知レベルが注意レベルを超えており食害のおそれがある状態であり、警告状態は検知レベルが警告レベルを超えており食害が発生している状態である。この場合、植物状態検出部31は、植物Gの状態を三段階で判定しているが、二段階又は四段階以上で判定してもよい。
【0040】
また、におい物質がテルペン類物質である場合、植物状態検出部31により、植物Gの環境ストレス状態が判定され得る。すなわち、植物状態検出部31は、テルペン類物質の検知レベルに基づいて、植物Gが通常状態、注意状態、警告状態のいずれかであるかを判定する。通常状態は検知レベルが低く環境ストレスが問題ない状態であり、注意状態は検知レベルが注意レベルを超えており環境ストレスを生じているおそれがある状態であり、警告状態は検知レベルが警告レベルを超えており環境ストレスが生じている状態である。この場合、植物状態検出部31は、植物Gの状態を三段階で判定しているが、二段階又は四段階以上で判定してもよい。
【0041】
また、におい物質が硫黄系物質である場合、植物状態検出部31により、植物Gの腐敗状態が判定され得る。すなわち、植物状態検出部31は、硫黄系物質の検知レベルに基づいて、植物Gが通常状態、注意状態、警告状態のいずれかであるかを判定する。通常状態は検知レベルが低く腐敗が生じていない状態であり、注意状態は検知レベルが注意レベルを超えており腐敗が生じているおそれがある状態であり、警告状態は検知レベルが警告レベルを超えており腐敗が生じている状態である。この場合、植物状態検出部31は、植物Gの状態を三段階で判定しているが、二段階又は四段階以上で判定してもよい。
【0042】
また、におい物質がカビ臭物質である場合、植物状態検出部31により、植物Gにおけるカビ発生状態が判定され得る。すなわち、植物状態検出部31は、カビ臭物質の検知レベルに基づいて、植物Gが通常状態、注意状態、警告状態のいずれかであるかを判定する。通常状態は検知レベルが低くカビが発生していない状態であり、注意状態は検知レベルが注意レベルを超えておりカビが発生しているおそれがある状態であり、警告状態は検知レベルが警告レベルを超えておりカビが発生している状態である。この場合、植物状態検出部31は、植物Gの状態を三段階で判定しているが、二段階又は四段階以上で判定してもよい。
【0043】
また、植物状態検出部31は、環境値情報として植物Gの周囲の温度、湿度、二酸化炭素濃度及び照度の環境値を取得する。そして、植物状態検出部31は、環境値に基づいて植物Gの状態を判定する。例えば、植物状態検出部31には、環境値と植物Gの状態を関係付けたテーブル、判定閾値などの関係データが設定される。この関係データを用いることにより、植物状態検出部31は、環境値から植物Gの状態を判定することができる。つまり、植物状態検出部31は、植物Gの周囲の温度、湿度、二酸化炭素濃度及び照度に基づいて植物Gに対するカビの発生状態を予測することができる。また、植物状態検出部31は、カビ臭物質のにおい情報と環境値情報を組み合わせて判定することにより、カビの発生状態をより精度良く検出し予測することができる。
【0044】
表示制御部32は、におい検知装置2におけるにおい検知レベルに基づいて植物Gの状態を表示させる。例えば、表示制御部32は、植物状態検出部31により検出された植物Gの状態に基づき、におい検知装置2と植物Gの状態を対応付けた表示データを生成する。そして、表示制御部32は、におい検知装置2と植物Gの状態を対応付けて表示し、端末機器4などにより閲覧可能とする。
【0045】
具体的には、表示制御部32は、
図4に示すように、栽培領域Rに複数のにおい検知部21が設置されている場合、におい検知装置2の配置位置に対応して植物Gの状態を表示させる。表示態様は、植物Gの状態に応じて異なる態様とされ、例えば植物Gの状態が良いほど薄い表示態様とされる。言い換えれば、表示態様は、植物Gの状態が悪いほど濃い態様で表示される。表示制御部32は、植物Gの状態に応じて異なる表示態様とすることにより、視覚を通じて栽培領域R内における植物Gの状態を容易に把握させることができる。また、大規模な栽培施設で植物Gを栽培する場合、広い栽培領域Rで植物Gを栽培する場合又は複数の栽培領域Rで植物Gを栽培する場合など、植物Gを効率良く管理することができる。
【0046】
なお、植物Gの状態の表示態様は、植物Gの状態に応じて異なる色彩としてもよい。例えば、例えば植物Gの状態が良い場合には目立たない色彩とされる。一例としては、植物Gの状態が良い場合には緑色、植物Gの状態があまり良くない場合には黄色、植物Gの状態が悪い場合には赤色とされる。また、表示制御部32は、表示態様として、植物Gの状態に応じて異なるマークで表示させてもよいし、植物Gの状態を文字で表示させてもよい。また、表示制御部32は、表示態様として、におい検知部21に番号を付して表形式で植物Gの状態を表示させてもよい。
【0047】
記録部33は、におい情報及び植物Gの状態の情報を記録する。この場合、におい検知装置2から所定の周期で繰り返し送信されるにおい情報を記録し、におい情報に基づく植物Gの状態を記録する。
【0048】
通信部34は、におい検知装置2と通信する機能を有する。例えば、通信部34は、インターネットNを介してにおい検知装置2と通信可能とされ、におい検知装置2から送信されるにおい情報を受信する。また、通信部34は、におい情報に基づいて検出された植物Gの状態の情報を端末機器4に情報提供する。例えば、端末機器4を用いてサーバ3にアクセスすることにより、植物Gの場所にいなくても、端末機器4を通じて植物Gの状態を確認又は認識することが可能となる。端末機器4は、例えば、スマートフォン4a、パーソナルコンピュータ4bなどである。また、端末機器4は、タブレットなど他の端末機器であってもよい。
【0049】
次に本実施形態に係る植物状態検出システム1及びにおい検知装置2の使用方法及び動作について説明する。
【0050】
図5は、におい検知装置2の動作を示すフローチャートである。
図6は、植物状態検出システム1におけるサーバ3の動作を示すフローチャートである。
【0051】
まず、
図2、3に示すように、におい検知装置2が植物Gのある場所に設置される。におい検知装置2は、植物Gの近傍に配置される。このとき、におい検知装置2は、地面上に設置してもよいし、上から吊り上げて設置されてもよい。また、
図4のように、におい検知装置2は、植物Gの栽培領域Rに対し複数設置されてもよい。この場合、におい検知装置2のにおい検知部21が等間隔になるように配置される。これにより、栽培領域R内の各箇所の植物Gの状態を的確に認識することができる。におい検知装置2は、栽培領域R内において、その位置が表示登録される。例えば、栽培領域Rにおけるにおい検知装置2の位置が表示範囲の位置に合うように設定登録される。
【0052】
そして、
図5に示すように、におい検知装置2のにおい検知処理が実行される。この
図5の一連の制御処理は、におい検知装置2により所定の周期で繰り返して実行される。
【0053】
まず、
図5のステップS10(以下、単にS10という。以降のステップについても同様とする)に示すように、におい検知が行われる。におい検知は、植物Gから発せられるにおい物質を検知する処理である。例えば、におい検知部21は、植物Gから発せられるにおい物質を検知する。このにおい物質の検知は、におい検知部21によりにおい物質の濃度又はにおい強度として検知され、におい検知装置2によりにおい情報としてデータ処理され記録される。複数のにおい物質の検知を行うためににおい検知部21に複数のセンサが設けられる場合には、それぞれのにおい情報が記録される。
【0054】
また、S10において、におい検知のほか、環境値の検知を行ってもよい。環境値の検知は、植物Gの生育環境を検知する処理である。例えば、環境検知部22は、植物Gの周囲の温度、湿度、二酸化炭素濃度及び照度の環境値のうち少なくとも一つの環境値を検知する。検知された環境値は、におい検知装置2により環境値情報としてデータ処理され記録される。
【0055】
また、S10にて、におい物質の検知を行う場合、吸引機24が作動される。すなわち、
図2に示すように、吸引機24が作動され、容器26の内部に植物Gの周囲のエアが吸引される。これにより、におい物質の検知を精度良く行うことができる。つまり、におい検知部21を容器26に収容し容器26の内部へ植物Gの周囲のエアを吸引することにより、におい物質が植物Gの周囲に拡散してしまうことが抑制される。このため、におい物質の濃度が低くならないようにしてにおい検知を行うことができ、検知精度が高められる。また、容器26の内部へ植物Gの周囲のエアを吸引することで、植物Gの周囲ににおい検知装置2と逆方向にエアが流れている場合であっても、におい物質を確実に引き寄せて検知することができる。
【0056】
そして、
図5のS12に処理が移行し、におい情報の出力が行われる。におい情報の出力は、におい検知部21にて検知されたにおい物質のにおい情報をサーバ3へ送信する処理である。例えば、通信部23は、インターネットNを介し、におい検知部21により検知されたにおい物質のにおい情報をサーバ3へ送信する。このとき、植物Gの環境値を検知している場合、におい情報と共に環境値情報をサーバ3に送信する。S12の処理を終えたら、
図5の一連の制御処理を終了する。
【0057】
一方、サーバ3においては、
図6に示すように植物状態検出処理が実行される。この植物状態検出処理は、サーバ3により所定の周期で繰り返して実行される。
【0058】
まず、
図6のS20に示すように、におい情報が取得される。このにおい情報の取得は、におい検知装置2から送信されるにおい情報を取得する処理である。例えば、通信部34は、におい検知装置2から送信されるにおい情報を受信する。そして、受信されたにおい情報は、記録部33に記録される。におい情報と共に環境値情報を受信した場合には、その環境値情報も記録部33に記録される。
【0059】
そして、S22に処理が移行し、植物状態の検出が行われる。植物状態の検出は、におい情報に基づいて植物Gの状態を検出する処理である。におい情報のほか、環境値情報を取得している場合には、におい情報及び環境値情報に基づいて植物Gの状態を検出してもよい。例えば、植物状態検出部31は、植物Gのにおい情報に基づいて植物Gの状態を検出する。すなわち、植物状態検出部31は、におい物質の検知レベルに基づいて植物Gの状態を検出する。
【0060】
具体的には、植物状態検出部31は、検知されたにおい物質が緑の香り物質である場合、植物Gの食害状態を検出することができる。そして、植物状態検出部31は、におい物質の検知レベルが高いほど植物Gの食害度合いが大きいことを検出することができる。また、植物状態検出部31は、検知されたにおい物質がテルペン類物質である場合、植物Gの環境ストレス状態を検出することができる。そして、植物状態検出部31は、におい物質の検知レベルが高いほど植物Gの環境ストレスが大きいことを検出することができる。また、植物状態検出部31は、検知されたにおい物質が硫黄系物質である場合、植物Gの腐敗状態を検出することができる。そして、植物状態検出部31は、におい物質の検知レベルが高いほど植物Gの腐敗度合いが大きいことを検出することができる。
【0061】
また、植物状態検出部31は、検知されたにおい物質がカビ臭物質である場合、植物Gのカビ発生状態を検出することができる。そして、植物状態検出部31は、におい物質の検知レベルが高いほど植物G又は植物Gの周囲にカビが広く又は濃く発生していることを検出することができる。この場合、植物状態検出部31は、環境値情報に基づいて植物Gの状態の検出又は予測を行うことができる。すなわち、植物状態検出部31は、環境値情報における植物Gの周囲の温度、湿度、二酸化炭素濃度及び照度の環境値のうちその一部又は全部の情報を用い、カビの発生の検出及び予測を行うことができる。例えば、植物状態検出部31は、温度が高く湿度が高く照度が低い場合には、カビの発生している可能が高いと検出又は予測することができる。このため、植物状態検出部31は、におい情報と環境値情報を組み合わせて、植物Gの状態を検出及び予測することにより、検出精度及び予測精度を高めることができる。
【0062】
そして、S24に処理が移行し、植物状態の表示が行われる。植物状態の表示は、S22により検出された植物Gの状態に基づき、におい検知装置2と植物Gの状態を対応付けた表示データを生成し、におい検知装置2と対応付けて植物Gの状態を表示させる。例えば、
図4のように、栽培領域Rに複数のにおい検知装置2が配置される場合、におい検知装置2の配置位置に対応して植物Gの状態が表示される。
図4は、栽培領域Rを模式的に示したものであり、におい検知装置2に対応して植物Gの状態の良し悪しを異なる濃淡表示で示している。つまり、植物Gの状態が良いほど薄く表示され、植物Gの状態が悪いほど濃く表示される。
図4では、四つの栽培領域Rのうち左上の箇所の植物Gの状態が悪いことが分かる。植物Gの状態に応じて異なる表示態様とすることにより、植物状態検出システム1は、視覚を通じて栽培領域R内における植物Gの状態を容易に把握することができる。また、大規模な栽培施設で植物Gを栽培する場合、広い栽培領域Rで植物Gを栽培する場合又は複数の栽培領域Rで植物Gを栽培する場合など、植物状態検出システム1は、植物Gを効率良く管理することができる。
【0063】
なお、植物Gの状態の表示態様は、植物Gの状態に応じて異なる色彩としてもよい。例えば、例えば植物Gの状態が良い場合には目立たない色彩とされる。一例としては、植物Gの状態が良い場合には緑色、植物Gの状態があまり良くない場合には黄色、植物Gの状態が悪い場合には赤色とされる。
【0064】
図4に示す植物Gの状態は、サーバ3に端末機器4をアクセスすることにより、端末機器4に表示される。これにより、ユーザは、端末機器4を用いて植物Gの状態を確認することができる。このため、植物Gから遠隔の場所にいるユーザであっても、植物Gの状態をリアルタイムで確認することが可能となる。S24の処理を終えたら、
図6の一連の制御処理を終了する。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る植物状態検出システム1及びにおい検知装置2によれば、植物Gから発せられるにおいを検知し、そのにおい情報を植物Gの状態を検出するための情報として出力する。これにより、植物状態検出システム1及びにおい検知装置2は、植物Gのにおい情報に基づいて植物Gの状態を検出することが可能となり、植物Gの状態を精度良く検出することができる。例えば、植物Gが撮像され、この撮像画像に基づいて植物の状態が検出される場合、撮像されていない植物Gの部分の状態を検出することが難しい。これに対し、本実施形態に係る植物状態検出システム1及びにおい検知装置2では、植物Gのにおい情報に基づいて植物Gの状態を検出するため、におい検知部21から離れた部分や陰となる部分の植物Gの状態を検出することができる。従って、本実施形態に係る植物状態検出システム1及びにおい検知装置2は、植物Gの状態を精度良く検出することができるのである。
【0066】
また、本実施形態に係る植物状態検出システム1及びにおい検知装置2によれば、植物Gのにおい情報に加えて植物Gの環境値に基づいて植物Gの状態を検出することができる。このため、本実施形態に係る植物状態検出システム1及びにおい検知装置2は、におい情報及び環境値情報に基づいて植物の状態をより精度良く検出し予測することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る植物状態検出システム1及びにおい検知装置2によれば、におい検知部21を容器26に収容し、容器26の内部へ植物Gの周囲のエアを吸引し、植物Gから発せられるにおい物質を容器26の内部へ引き入れることができる。このため、本実施形態に係る植物状態検出システム1及びにおい検知装置2は、におい物質が拡散することが抑制され、におい物質の検知精度を高めることができる。
【0068】
また、本実施形態に係る植物状態検出システム1及びにおい検知装置2によれば、におい検知部21によって、におい物質として、少なくとも緑の香り物質、テルペン類物質、硫黄系物質及びカビ臭物質のいずれか一つを検知する。このため、本実施形態に係る植物状態検出システム1及びにおい検知装置2は、におい物質として緑の香り物質を検知することにより植物Gの食害状態を検出することができ、におい物質としてテルペン類物質を検知することにより植物Gの環境ストレス状態を検出することができ、におい物質として硫黄系物質を検知することにより植物Gの腐敗状態を検出することができ、におい物質としてカビ臭物質を検知することにより植物のカビ発生状態を検出することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る植物状態検出システム1及びにおい検知装置2によれば、におい検知部21が複数の植物Gが栽培される栽培領域Rにおいて複数設けられ、等間隔で設置される。このため、本実施形態に係る植物状態検出システム1及びにおい検知装置2は、栽培領域R内の各箇所の植物Gの状態を的確に認識することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る植物状態検出システム1によれば、複数設けられるにおい検知装置2の配置位置に対応して植物Gの状態を表示させる表示制御部32を備えている。このため、植物状態検出システム1は、複数設けられるにおい検知装置2の配置位置に対応して植物Gの状態を表示させることができ、視覚を通じて栽培領域R内における植物Gの状態を容易に把握することができる。
【0071】
なお、本開示の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本開示に係る植物状態検出システム及びにおい検知装置の実施形態の一部を説明したものであり、本開示に係る植物状態検出システム及びにおい検知装置は上記実施形態に記載されたものに限定されない。本開示に係る植物状態検出システム及びにおい検知装置は、各請求項に記載した要旨を変更しないように上記実施形態に係る植物状態検出システム及びにおい検知装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0072】
例えば、上述した実施形態に係る植物状態検出システム1及びにおい検知装置2では、インターネットNを介して、におい検知装置2で検知したにおい情報をサーバ3に送信しているが、インターネットN以外の通信回線を介してにおい情報を送信してもよい。また、におい検知装置2を有線又は無線を用いて植物状態検出機器と接続し、におい検知装置2により検知したにおい情報を植物状態検出機器へ送信してもよい。この場合、パーソナルコンピュータを植物状態検出機器として機能させることにより、このパーソナルコンピュータにより植物状態検出を行い、植物Gの状態を表示させることができる。
【0073】
また、上述した実施形態に係る植物状態検出システム1及びにおい検知装置2では、植物Gの近傍ににおい検知部21を収容した容器26を設置しているが、容器26の内部に植物Gを収容して植物Gのにおい物質を検知し植物Gの状態を検出してもよい。
【0074】
また、複数のにおい検知装置2は、等間隔でなく自由に設置されてもよい。例えば、植物Gから発せられるにおい物質を検知しやすい位置に、複数のにおい検知装置2それぞれが設置されてもよい。この場合、サーバ3は、複数のにおい検知装置2の設置位置を取得可能に構成され得る。サーバ3の表示制御部32は、設置位置に基づいて、におい検知装置2と植物Gの状態とを対応付けて表示することができる。
【符号の説明】
【0075】
1…植物状態検出システム、2…におい検知装置、3…サーバ(植物状態検出機器)、4…端末機器、21…におい検知部、22…環境検知部、23…通信部、24…吸引機、25…バッテリ、26…容器、31…植物状態検出部、32…表示制御部、33…記録部、34…通信部(出力部)、G…植物、R…栽培領域。