IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マーナの特許一覧

<>
  • 特開-傘状構造体 図1
  • 特開-傘状構造体 図2
  • 特開-傘状構造体 図3
  • 特開-傘状構造体 図4
  • 特開-傘状構造体 図5
  • 特開-傘状構造体 図6
  • 特開-傘状構造体 図7
  • 特開-傘状構造体 図8
  • 特開-傘状構造体 図9
  • 特開-傘状構造体 図10
  • 特開-傘状構造体 図11
  • 特開-傘状構造体 図12
  • 特開-傘状構造体 図13
  • 特開-傘状構造体 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161797
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】傘状構造体
(51)【国際特許分類】
   A45B 25/14 20060101AFI20231031BHJP
   A45B 25/06 20060101ALI20231031BHJP
   A45B 25/18 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
A45B25/14 Z
A45B25/06 Z
A45B25/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072367
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】591203831
【氏名又は名称】株式会社マーナ
(74)【代理人】
【識別番号】100149711
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 耕市
(72)【発明者】
【氏名】谷口 諒太
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健二
(57)【要約】
【課題】傘状構造体を閉じる際、傘布の親骨間に張られる部分を内側に収容する。
【解決手段】傘布の親骨3間に張られる張り拡げ部分にそれぞれ設けられた芯材4と、下ろくろ11に従動して傘軸5に沿って移動し且つ傘軸5まわりに回転可能な中ろくろ14と、芯材4と中ろくろ14とを連結する引っ張り部材6と、を備えている。下ろくろ11がハンドル15側に移動されて親骨3が傘軸5側に引き寄せられて傘布の張りが緩んだ状態で、中ろくろ14が回転されると、傘布の張り拡げ部分が引っ張り部材6によって傘軸5と親骨3との間に巻き込まれる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傘布の親骨間に張られる張り拡げ部分にそれぞれ設けられた芯材と、
下ろくろに従動して傘軸に沿って移動し、且つ、前記傘軸まわりに回転可能な中ろくろと、
前記芯材と前記中ろくろとを連結する引っ張り部材と、を備え、
前記下ろくろがハンドル側に移動されて前記親骨が前記傘軸側に引き寄せられて前記傘布の張りが緩んだ状態で、前記中ろくろが回転されると、前記張り拡げ部分が前記引っ張り部材によって前記傘軸と前記親骨との間に巻き込まれる
ことを特徴とする傘状構造体。
【請求項2】
前記傘軸と前記親骨との間に前記張り拡げ部分を巻き込んだ状態で前記中ろくろの回転を阻止するロック機構を備えることを特徴とする請求項1記載の傘状構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨傘、日傘、和傘、ビーチパラソルやガーデンパラソル等の日よけ傘、等の傘状構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
傘を閉じると、傘布の親骨間に張られる部分がたるんで広がり、邪魔になる。そのため、このたるみ部分を傘軸の外側に巻き付けて束ね、さらに巻き紐で止めることが行われる。この一連の動作は手で行われるため、雨の日の使用によって傘布が濡れていると、手が濡れてしまう。この手が濡れるという煩わしさを解消するための傘として、例えば引用文献1および引用文献2に開示されているものがある。
【0003】
引用文献1の傘を、図11及び図12に示す。傘布101には複数の弾力性のある湾曲部材102が設けられている。傘100を開いた状態では、放射状に配置された親骨103が傘布101を張るため、湾曲部材102は平らな形状に弾性変形している。この状態より、傘100を閉じると、親骨103による傘布101の張りが緩むので、湾曲部材102が湾曲し、傘布101の親骨103と親骨103の間のたるみ部分101aを傘軸104の外側に巻き付ける。そして、たるみ部分101aの外側に湾曲させた巻き紐105を巻き付けることで、たるみ部分101aが広がらないようにすることができる。
【0004】
また、引用文献2の傘を、図13及び図14に示す。傘布111の外側には、外骨112が設けられている。外骨112の外側端は傘布111の外周縁に接続され、内側縁は中棒114によって回転される外ろくろ113に接続されている。開いた傘110を閉じる際、中棒114を回転させることで、傘布111のたるみ部分111aが中棒114や親骨115の外側に巻き付けられ、広がらないようにされる。すなわち、傘布111を拡げて張るための親骨115の他に、傘布111の外側に複数の外骨112が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-312609号公報
【特許文献2】特開2011-19889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の傘100は、傘布101のたるみ部分101aを傘軸104の外側に巻き付けるようにしているため、傘布101の濡れている部分は露出している。そのため、傘100の使用者の手や衣服を濡らす虞がある。
【0007】
また、上記の傘110も同様に、傘布111のたるみ部分111aを中棒114の外側に巻き付けるようにしているため、傘布111の濡れている部分は露出している。そのため、傘110の使用者の手や衣服を濡らす虞がある。
【0008】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、傘状構造体を閉じることで傘布の親骨間に張られる部分を隠すことができる傘状構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の傘状構造体は、傘布の親骨間に張られる張り拡げ部分にそれぞれ設けられた芯材と、下ろくろに従動して傘軸に沿って移動し、且つ、傘軸まわりに回転可能な中ろくろと、芯材と中ろくろとを連結する引っ張り部材と、を備え、下ろくろがハンドル側に移動されて親骨が傘軸側に引き寄せられて傘布の張りが緩んだ状態で、中ろくろが回転されると、張り拡げ部分が引っ張り部材によって傘軸と親骨との間に巻き込まれるものである。
【0010】
したがって、傘状構造体を閉じる際、親骨による傘布の張りが緩んだ状態で、中ろくろが回転されると、傘布の張り拡げ部分が親骨の内側の傘軸まわりに巻き込まれる。そのため、傘布の張り拡げ部分を内側に収容しながら傘状構造体を閉じることができる。
【0011】
また、本発明の傘状構造体は、傘軸と親骨との間に張り拡げ部分を巻き込んだ状態で中ろくろの回転を阻止するロック機構を備えるようにしても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、傘状構造体を閉じる際、傘布の張り拡げ部分を傘軸側に引き込み傘軸に巻き付けるようにして収容することができる。そのため、傘布の雨で濡れた部分を隠すことができ、使用者の手や衣服等を濡らすのを防止することができる。
また、本発明によれば、傘状構造体を閉じる際、傘布の張り拡げ部分を親骨の内側に収容することができるので、傘状構造体を閉じた後で傘布を巻き紐で止める必要がなくなり、巻き紐を不要にすることが可能になる。
【0013】
また、本発明によれば、傘状構造体を閉じる際、傘布の張り拡げ部分を親骨の内側に収容して隠すことができるので、見た目をスッキリとさせることができ、今までにない新しいデザインの傘状構造体を提供することができる。この場合、巻き紐を不要にすれば、さらに見た目をスッキリとさせることができ、より斬新なデザインの傘状構造体を提供することができる。
【0014】
さらに、本発明によれば、傘状構造体を閉じる際、傘布の張り拡げ部分を傘軸まわりに巻き付けるようにして収容するので、傘布の張り拡げ部分がくしゃくしゃにならず、細く纏めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】雨傘の芯材と引っ張り部材との位置関係を示し、(A)は雨傘を開いた状態の図、(B)は雨傘をある程度まで閉じた状態の図、(C)は雨傘をさらに閉じ且つ中ろくろを回転させる前の状態の図、(D)は雨傘を閉じ且つ芯材を傘布のまわりに巻き付かせた状態の図である。
図2】開いた状態の傘布を示す図である。
図3】芯材の取付状態を示す図である。
図4】芯材と引っ張り部材との連結部分を示す図である。
図5】下ろくろおよび中ろくろを示し、傘状構造体を開いた状態の断面図である。
図6】下ろくろおよび中ろくろを示し、傘状構造体を閉じた状態の断面図である。
図7図6のA-A線に沿う断面図である。
図8図6のB-B線に沿う断面図である。
図9図6のC-C線に沿う断面図である。
図10】傘布の張り拡げ部分を親骨の内側の傘軸まわりのスペースに収容する様子を説明するための斜視図である。
図11】従来の傘を示し、開いた状態の斜視図である。
図12図10の従来の傘を示し、閉じる途中の状態の斜視図である。
図13】従来の別の傘を示し、開いた状態の斜視図である。
図14図13の傘を示し、閉じる途中の状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る傘状構造体の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。傘状構造体としては、雨傘、日傘、和傘、ビーチパラソルやガーデンパラソルなどの日よけ傘、等があるが、本実施形態では雨傘を例に説明する。ただし、雨傘に限るものではない。
【0017】
図1図10に、本実施形態に係る雨傘1を示す。雨傘1は、複数の親骨3と複数の受け骨8と下ろくろ11を備えている。図1(D)の雨傘1を閉じた状態から、使用者が下ろくろ11を傘軸5に沿って石突9側に移動させると、受け骨8が親骨3を押し上げる。これにより、親骨3が放射状に広がる(図2)。すなわち、雨傘1が開く(図1(A))。そして、雨傘1を開いた状態から、使用者が下ろくろ11を傘軸5に沿ってハンドル15側に移動させると、受け骨8が親骨3を傘軸5側に引き寄せる。すなわち、雨傘1が閉じる。
【0018】
また、雨傘1は、傘布2の親骨3間に張られる張り拡げ部分2aにそれぞれ設けられた芯材4と、下ろくろ11に従動して傘軸5に沿って移動し且つ傘軸5まわりに回転可能な中ろくろ14と、芯材4と中ろくろ14を連結する引っ張り部材6と、を備えている。
【0019】
芯材4は、図2に示すように、各親骨3の間に1本ずつ設けられている。芯材4は線状又は棒状を成しており、例えばプラスチック、樹脂、金属等によって形成されている。本実施形態では、芯材4をガラス繊維強化プラスチックによって形成しているが、これに限るものではない。芯材4は、隣り合う2本の親骨3から等距離の位置に設けられている。芯材4の内側端4aは上ろくろ10に回動自在に連結されている。また、芯材4は、内側端4aを上ろくろ10の周方向に等間隔に配置される。これにより、芯材4を傘軸5と親骨3との間により巻き込ませたときに、芯材4が重なることがなく、より多く巻き込ませることができる。
【0020】
芯材4の長さは、中ろくろ14が傘軸5まわりに回転されると、傘布2の親骨3間に張られる張り拡げ部分2aを傘軸5と親骨3との間に確実に引き込むことができる長さになっている。本実施形態では、図3に示すように、芯材4の長さをその外側端4bが傘布2の外周縁2cの近傍に届く長さにしているが、必ずしもここまで長くしなくても良い。芯材4の外側端4bは傘布2の内側面2dに取り付けられている。芯材4には後述する連結スライダ18が取り付けられている。
【0021】
引っ張り部材6は線状又は棒状を成しており、例えばプラスチック、樹脂、金属等によって形成されている。本実施形態では、引っ張り部材6をガラス繊維強化プラスチックによって形成している。引っ張り部材6の一端6aは、芯材4に対してスライド可能に連結されている。下ろくろ11に従動して中ろくろ14が上ろくろ10側からハンドル15側に向けて移動すると、引っ張り部材6の一端6aは、芯材4の内側端4a側から外側端4bに向けて移動する。本実施形態では、引っ張り部材6の一端6aは芯材4に沿って移動可能な連結スライダ18に回動可能に連結されており、これにより引っ張り部材6の一端6aは芯材4に対してスライド可能に、且つ、連結スライダ18に対して回動可能になっている(図4)。雨傘1を開閉する際、芯材4に対して連結スライダ18がスライドすることで芯材4と引っ張り部材6との連結位置が変化し、雨傘1の開閉が可能になる。また、引っ張り部材6の他端6bは中ろくろ14に対して回動可能に連結されている。
【0022】
引っ張り部材6は、図1(A)に示すように、雨傘1を開いた状態で受け骨8よりも石突9側の内側空間12に納められている。このようにすることで、雨傘1を使用する際、引っ張り部材6が使用者の邪魔になるのを防止することができる。
【0023】
図5および図6に、下ろくろ11及び中ろくろ14を示す。図5は雨傘1を開いた状態に対応し、図6は雨傘1を閉じた状態に対応している。下ろくろ11及び中ろくろ14は円筒形状を成しており、中ろくろ14の外周に下ろくろ11が設けられている。中ろくろ14の上部14a及び下部14bは下ろくろ11の上下に突出しており、上部14aには引っ張り部材6の他端6bが回動可能かつ周方向に等間隔に連結されている。中ろくろ14と傘軸5との間および中ろくろ14と下ろくろ11との間には隙間が設けられており、中ろくろ14は傘軸5および下ろくろ11に対して回転可能になっている。なお、下ろくろ11も傘軸5に対して回転可能であるが、下ろくろ11には受け骨8が連結されているので、傘軸5に対する回転が制限されている。
【0024】
すなわち、中ろくろ14の一部は下ろくろ11で覆われ(図7)、他の部分は露出している(図8)。使用者が片方の手で下ろくろ11を持って雨傘1を保持し、もう片方の手で中ろくろ14の露出した部分を掴んで回転させることができる。
【0025】
なお、本実施形態では、石突9側を上方向、ハンドル15側を下方向として説明する。
傘軸5の下端にはハンドル15が固定されている。ハンドル15と中ろくろ14の下部14bとの間には、中ろくろ14の傘軸5まわりの回転を阻止するロック機構7が設けられている。
【0026】
ロック機構7は、ハンドル15と中ろくろ14のいずれか一方に設けられた凹部7aと、いずれか他方に設けられて凹部7aに挿入可能な凸部7bを備えている(図9)。凹部7aの内周面と凸部7bの外周面には互いに噛み合う溝状の歯が設けられており、凹部7aと凸部7bは軸方向への相対移動(凹部7aに対する凸部7bの出し入れ)は可能であるが、凹部7aに凸部7bを挿入すると軸まわりの相対回転はできない。すなわち、ロック機構7を介して中ろくろ14の下部14bをハンドル15に連結することで、中ろくろ14の傘軸5まわりの回転を防止することができる。本実施形態では、中ろくろ14に凹部7aを設け、ハンドル15に凸部7bを設けているが、中ろくろ14に凸部7bを設け、ハンドル15に凹部7aを設けても良い。
【0027】
図1(A)の雨傘1を開いている状態では、図示しない上はじきにより、下ろくろ11及び中ろくろ14が止められている。この状態から、使用者が雨傘1を閉じるために上はじきによるロックを外して下ろくろ11及び中ろくろ14をハンドル15側に移動させると、受け骨8が親骨3を傘軸5側に引き寄せ、親骨3によって張られていた傘布2が緩み始める(図1(B))。
【0028】
なお、ロック機構7は、回転方向を一方に制限するラチェット機構としてもよい(図9)。この場合、凹部7a及び凸部7bは歯の一方向を傾けて形成される。これにより、使用者は、中ろくろ14の下部14bをハンドル15にはめ込んだ後に、ハンドル15を回転させることで中ろくろ14を回転させ、傘布2を傘軸5と親骨3との間に巻き込ませることができる。ラチェット機構により傘布2が広がる方向に中ろくろ14が回転しないので、使用者は、容易に傘布2を巻き込ませることができる。また、使用者は、傘布2を閉じる動作と巻き込む動作の2つの動作で傘を畳むことができる。
【0029】
そして、傘布2の張りが十分に緩んだ状態で(図1(C))、中ろくろ14が使用者によって回転されると、傘布2の張り拡げ部分2aが引っ張り部材6によって傘軸5側に引き寄せられ、更に傘軸5と親骨3との間に巻き込まれる(図1(D))。なお、傘布2の張りが十分に緩んだ状態とは、中ろくろ14がハンドル15に十分に(最大限に)引き付けられた状態、すなわち中ろくろ14がハンドル15に接しているか、他の部材を介して接している状態である。また、親骨3が傘軸5に十分引き寄せられた状態、すなわち中ろくろ14の移動では親骨3を傘軸5にこれ以上引き寄せることができない状態である。要するに、雨傘1が閉じた状態(全閉状態)である。
【0030】
すなわち、中ろくろ14の回転によって引っ張り部材6の他端6bが傘軸5まわりに回転され、引っ張り部材6全体が傘軸5まわりに巻き付けられるように動かされて芯材4を傘軸5と親骨3との間のスペースに引き込む。これにより、芯材4が取り付けられている傘布2の張り拡げ部分2aが傘軸5と親骨3との間に引き込まれて収容される。これにより、図10に示すように、傘布2の張り拡げ部分2aを親骨3の内側の傘軸5まわりに巻き付けながら雨傘1を閉じることができる。
【0031】
使用者は、下ろくろ11及び中ろくろ14のハンドル15側への移動を止めてから、中ろくろ14を回転させる。これにより、下ろくろ11及び中ろくろ14をハンドル15側へ移動させながら中ろくろ14を回転させる場合に比べて、傘布2の形状を整えて傘布2を巻き込むことができる。
この際、使用者は一方の手で下ロクロ11を握り、他方の手で中ろくろ14を回転させる。このため、使用者は、巻き込み量や巻き込みの強さを調節することができる。また、使用者が中ろくろ14を回転させるので、中ろくろ14を回転させるための螺旋溝を備える必要がない。
【0032】
そして、中ろくろ14の下部14bをハンドル15にはめ込むことでロック機構7が作用して中ろくろ14の張り拡げ部分2aが広がる方向(巻取方向とは逆方向)の回転が防止される(図1(D))。すなわち、傘軸5と親骨3との間に張り拡げ部分2aを巻き込んだ状態で中ろくろ14の回転がロックされ、傘布2の広がりが防止され、雨傘1が閉じた状態に維持される。
【0033】
閉じた状態の雨傘1を開く場合には、中ろくろ14の下部14bをハンドル15から引き抜き、すなわちロック機構7によるロックを解除し、下ろくろ11および中ろくろ14を上ろくろ10側に移動させれば良い。下ろくろ11の上ろくろ10側への移動に伴い各親骨3が放射状に拡がり、傘布2を張り拡げる。これに従って各芯材4も放射状に拡がり、各引っ張り部材6を引っ張る。この状態ではロック機構7によるロックが解除されているので、中ろくろ14は各引っ張り部材6に引っ張られて巻取方向とは逆方向に回転される。
【0034】
このように、雨傘1を閉じ、中ろくろ14を回転させると、傘布2の張り拡げ部分2aが傘軸5まわりに巻き取られるので、使用者がわざわざ手で傘布2の張り拡げ部分2aを処理する必要がない。そのため、使用者の手を濡らすことがない。
また、雨傘1を閉じる際、傘布2の張り拡げ部分2aを内側に隠すことができる。そのため、雨によって濡れた部分を隠すことができ、使用者の手や衣服等を濡らすのを防止することができる。
【0035】
雨傘1を閉じた状態では、傘布2の張り拡げ部分2aを傘軸5に巻き付けるようにして収容することができる。そのため、閉じた雨傘1を細く纏めることできる。
【0036】
また、雨傘1を閉じた状態で、傘布2の張り拡げ部分2aを隠すことができるので、見た目をスッキリとさせることができ、今までにない新しいデザインの雨傘1を提供することができる。
さらに、雨傘1を閉じる際、傘布2の張り拡げ部分2aを内側に巻き込むことができるので、雨傘1を閉じた後で傘布2を巻き紐で止める必要がなくなり、巻き紐を不要にすることができる。そして、巻き紐を不要にできることからも見た目をスッキリとさせることができ、この点からも今までにない新しいデザインの雨傘1を提供することができる。
【0037】
さらに、中ろくろ14を手動で回転させるシンプルな構造であり、製造コストを安く抑えることができるとともに、軽量化を図ることができる。
また、中ろくろ14を傘軸5上のハンドル15側に十分引き付けた位置で止めてから回転させることができる。このため、傘布2を十分緩ませてから巻き込むことができるので確実にかつ均等に巻き込むことができる。
【0038】
また、引っ張り部材6の一端6a(接続部)を芯材4の外側端4b側に十分移動させてから巻き込みを開始できるので、引っ張り部材6全体を傘軸5まわりに巻き付けやすい。これは、中ろくろ14を傘軸5上の移動に伴って回転させる場合、すなわち中ろくろ14を傘軸5上のハンドル15側に十分引き付けられる前に回転が開始する場合に比較して、引っ張り部材6全体を傘軸5の周りにより巻き付けやすい。
また、使用者が自ら中ろくろ14を回転させて、傘布2を傘軸5と親骨3との間に巻き込ませるので、巻き込み量や巻き込みの強さを調節することができる。
【0039】
すなわち、使用者が自ら中ろくろ14を回転させるので、傘軸5に螺旋溝を設けて中ろくろ14を溝に沿って回転させる場合に比べ、中ろくろ14の回転の開始と終了、回転の速さ等を螺旋溝に規制されることがないため、使用者は中ろくろ14の傘軸5上のどの位置からでも回転を開始でき、また終了させることができる。使用者は、傘布2の巻き込み具合を見ながら、巻き込み具合を好みに調節して畳むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、雨傘、日傘、和傘、ビーチパラソルやガーデンパラソル等の日よけ傘、等の傘状構造体に利用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 雨傘(傘状構造体)
2 傘布
2a 傘布の親骨間に張られる張り拡げ部分
3 親骨
4 芯材
5 傘軸
6 引っ張り部材
7 ロック機構
11 下ろくろ
14 中ろくろ
15 ハンドル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14