(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161798
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】傘状構造体
(51)【国際特許分類】
A45B 25/14 20060101AFI20231031BHJP
A45B 25/06 20060101ALI20231031BHJP
A45B 25/18 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
A45B25/14 Z
A45B25/06 B
A45B25/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072368
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】591203831
【氏名又は名称】株式会社マーナ
(74)【代理人】
【識別番号】100149711
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 耕市
(72)【発明者】
【氏名】谷口 諒太
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健二
【テーマコード(参考)】
3B104
【Fターム(参考)】
3B104QA02
3B104QB01
3B104SE03
(57)【要約】
【課題】傘状構造体を閉じる際、傘布の親骨間に張られる部分を内側に引き込むようにする。
【解決手段】傘軸5の上ろくろ10と下ろくろ11の間の位置に設けられたガイド14と、傘布の親骨3間に張られる張り拡げ部分と下ろくろ11とをガイド14を通過して連結し、下ろくろ11のハンドル15側への移動に伴い親骨3が傘軸5側に引き寄せられて傘布の張りが緩むのに応じて傘布の張り拡げ部分を傘軸5側に引き寄せる紐状又は線状の引っ張り部材6と、を備えている。傘布の張り拡げ部分を内側に引き込みながら傘状構造体を閉じることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傘軸の上ろくろと下ろくろの間の位置に設けられたガイドと、
傘布の親骨間に張られる張り拡げ部分と前記下ろくろとを前記ガイドを通過して連結し、前記下ろくろのハンドル側への移動に伴い前記親骨が前記傘軸側に引き寄せられて前記傘布の張りが緩むのに応じて前記張り拡げ部分を前記傘軸側に引き寄せる紐状又は線状の引っ張り部材と、
を備えることを特徴とする傘状構造体。
【請求項2】
前記引っ張り部材を通すループが前記傘布の内側面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の傘状構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨傘、日傘、和傘、ビーチパラソルやガーデンパラソル等の日よけ傘、等の傘状構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
傘を閉じると、傘布の親骨間に張られる部分がたるんで広がり、邪魔になる。そのため、このたるみ部分を傘軸の外側に巻き付けて束ね、さらに巻き紐で止めることが行われる。この一連の動作は手で行われるため、雨の日の使用によって傘布が濡れていると、手が濡れてしまう。この手が濡れるという煩わしさを解消するための傘として、例えば引用文献1に開示されているものがある。
【0003】
この傘を、
図11及び
図12に示す。傘布101には複数の弾力性のある湾曲部材102が設けられている。傘100を開いた状態では、放射状に配置された親骨103が傘布101を張るため、湾曲部材102は平らな形状に弾性変形している。この状態より、傘100を閉じると、親骨103による傘布101の張りが緩むので、湾曲部材102が湾曲し、傘布101の親骨103と親骨103の間のたるみ部分101aを傘軸104の外側に巻き付ける。そして、たるみ部分101aの外側に湾曲させた巻き紐105を巻き付けることで、たるみ部分101aが広がらないようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の傘100は、傘布101のたるみ部分101aを傘軸104の外側に巻き付けるようにしているため、傘布101の濡れている部分は露出している。そのため、傘100の使用者の手や衣服を濡らす虞がある。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、傘状構造体を閉じることで傘布の親骨間に張られる部分を隠すことができる傘状構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の傘状構造体は、傘軸の上ろくろと下ろくろの間の位置に設けられたガイドと、傘布の親骨間に張られる張り拡げ部分と下ろくろとをガイドを通過して連結し、下ろくろのハンドル側への移動に伴い親骨が傘軸側に引き寄せられて傘布の張りが緩むのに応じて張り拡げ部分を傘軸側に引き寄せる紐状又は線状の引っ張り部材と、を備えている。
【0007】
したがって、傘状構造体を閉じる際、親骨による傘布の張りが緩むと、傘布の張り拡げ部分が親骨の内側の傘軸まわりに巻き込まれる。そのため、傘布の張り拡げ部分を内側に収容しながら傘状構造体を閉じることができる。
【0008】
また、本発明の傘状構造体は、引っ張り部材を通すループを傘布の内側面に設けても良い。この場合には、傘状構造体を閉じる際、傘布の張り拡げ部分のループよりも外周縁側の部分をループ側に手繰り寄せる(縮小させる)ことができる。したがって、傘状構造体を閉じる際、傘布の張り拡げ部分を縮小させながら親骨の内側に収容することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、傘状構造体を閉じる際、傘布の張り拡げ部分を傘軸側に引き込んで隠すことができる。そのため、雨によって濡れた部分を隠すことができ、使用者の手や衣服等を濡らすのを防止することができる。
また、本発明によれば、傘状構造体を閉じる際、傘布の張り拡げ部分を傘軸側に引き込むことができるので、傘状構造体を閉じた後で傘布を巻き紐で止める必要がなくなり、巻き紐を不要にすることが可能になる。
【0010】
また、本発明によれば、傘状構造体を閉じる際、傘布の張り拡げ部分を傘軸側に引き込んで隠すことができるので、見た目をスッキリとさせることができ、今までにない新しいデザインの傘状構造体を提供することができる。この場合、巻き紐を不要にすれば、さらに見た目をスッキリとさせることができ、より斬新なデザインの傘状構造体を提供することができる。
【0011】
さらに、本発明によれば、紐状又は線状の引っ張り部材を採用するので、傘状構造体を閉じた場合に引っ張り部材が嵩張るのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】傘状構造体の芯材と引っ張り部材との位置関係を示し、(A)は開いた状態における図、(B)は閉じる途中の図、(C)は閉じた状態における図である。
【
図2】開いた状態の傘布及び引っ張り部材を示す図である。
【
図3】引っ張り部材の途中を案内するガイドを示す斜視図である。
【
図4】引っ張り部材の途中を案内するループを示す断面図である。
【
図5】引っ張り部材と受け骨を下ろくろに連結している様子を示し、傘状構造体を開いた状態の断面図である。
【
図6】引っ張り部材と受け骨を下ろくろに連結している様子を示し、傘状構造体を閉じた状態の断面図である。
【
図7】傘状構造体を開いた状態の引っ張り部材を示す斜視図である。
【
図8】
図7の状態から傘状構造体を若干閉じた状態の引っ張り部材を示す斜視図である。
【
図9】傘状構造体を閉じた状態の引っ張り部材を示す斜視図である。
【
図10】従来の傘を示し、開いた状態の斜視図である。
【
図11】従来の傘を示し、閉じる途中の状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る傘状構造体の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。傘状構造体としては、雨傘、日傘、和傘、ビーチパラソルやガーデンパラソルなどの日よけ傘、等があるが、本実施形態では雨傘を例に説明する。ただし、雨傘に限るものではない。
【0014】
図1~
図9に、本実施形態に係る雨傘1を示す。雨傘1は、複数の親骨3と複数の受け骨8と下ろくろ11を備えている。
図1(C)の雨傘1を閉じた状態から、使用者が下ろくろ11を傘軸5に沿って石突9側に移動させると、受け骨8が親骨3を押し上げる。これにより、親骨3が放射状に広がる(
図2)。すなわち、雨傘1が開く(
図1(A))。そして、雨傘1を開いた状態から、使用者が下ろくろ11を傘軸5に沿ってハンドル15側に移動させると、受け骨8が親骨3を傘軸5側に引き寄せる。すなわち、雨傘1が閉じる。
【0015】
また、雨傘1は、傘軸5の上ろくろ10と下ろくろ11の間の位置に設けられたガイド14と、傘布2の親骨3間に張られる張り拡げ部分2aと下ろくろ11とをガイド14を通過して連結し、下ろくろ11のハンドル15側への移動に伴い親骨3が傘軸5側に引き寄せられて傘布2の張りが緩むのに応じて張り拡げ部分2aを傘軸5側に引き寄せる紐状又は線状の引っ張り部材6と、を備えている。
【0016】
図3にガイド14を拡大して示す。ガイド14は傘軸5に固定されている。ガイド14には引っ張り部材6と同数のガイド孔14aが設けられており、各ガイド孔14aには引っ張り部材6がそれぞれ通されている。なお、
図3には、説明のわかりやすさを考慮し、引っ張り部材6を1本のみ記載している。このように、傘軸5の上ろくろ10と下ろくろ11の間の位置にガイド14を設け、ガイド14に設けられたガイド孔14aに引っ張り部材6を挿通することで、引っ張り部材6を複数設けた場合であっても、引っ張り部材6同士が絡まることがなく、円滑に下ろくろ11に伴って引っ張り部材6を移動させることができる。
【0017】
引っ張り部材6は、
図2に示すように、各親骨3の間に少なくとも1本ずつ設けられている。引っ張り部材6の一端6aは、傘布2の形状によっては、複数本、例えば2本に分かれていてもよい。引っ張り部材6として、例えばゴム紐のように伸縮性を有する紐状部材又は線状部材が使用される。ただし、雨傘1を閉じる際に傘布2の張り拡げ部分2aを傘軸5側に引き寄せることができるものであれば、引っ張り部材6として伸縮性を有しない紐やワイヤ等の紐状部材又は線状部材を使用しても良い。
【0018】
引っ張り部材6の一端6aは、傘布2の張り拡げ部分2aに接続されている。本実施形態では、引っ張り部材6の一端6は傘布2の外周縁2cに接続されている。ただし、一端6aの接続位置は外周縁2cに限るものではなく、外周縁2から離れた位置でも良い。
【0019】
また、本実施形態では、
図4に示すように、傘布2の内側面2bにループ4が設けられており、このループ4に引っ張り部材6が通され、張り拡げ部分2aを傘軸5側に引き寄せる作用点の位置を調整している。これにより、下ろくろ11のハンドル15側への移動に伴って引っ張り部材6が張り拡げ部分2aを傘軸5側に引き寄せることで、傘布2の外周縁2cに接続された引っ張り部材6の一端6aが、ループ4に引き寄せられ、引っ張り部材6の一端6aとループ4との間の張り拡げ部分2aが縮小する(縮まる)。このように、引っ張り部材6の一端6aとループ4との間の張り拡げ部分2aが縮小することで、雨傘1を閉じた際に、よりコンパクトに雨傘1を畳むことができる。ただし、傘布2の内側面2bにループ4を設けることなく、一端6aの張り拡げ部分2aへの接続位置を変えることで張り拡げ部分2aを傘軸5側に引き寄せる作用点の位置を調整しても良い。ループ4は、例えば紐、糸、ワイヤ等により構成されており、傘布2の内側面2bに縫い付け又は接着等の手段によって固定されている。
【0020】
引っ張り部材6の他端6bは、下ろくろ11に接続されている。
引っ張り部材6はその途中の部分がガイド14に通され案内されているので、ガイド14よりも他端6b側の部分は傘軸5に沿って配置され、ガイド14よりも張り拡げ部分2a側の部分は傘軸5から離れるように配置される。したがって、下ろくろ11がハンドル15側に移動されると、傘布2の張り拡げ部分2aが引っ張り部材6によって引っ張られて傘軸5側に引き寄せられる。
【0021】
図7に示すように、雨傘1を開いた状態では各親骨3によって傘布2が張り拡げられており、各引っ張り部材6は傘布2に引っ張られている(使用状態)。そして、使用した雨傘1を閉じる際、各親骨3による傘布2の張りが緩むと、傘布2の張られる部分2aが引っ張り部材6によって傘軸5側に引き寄せられる(
図8)。そのため、傘布2の張り拡げ部分2aを内側に引き込みながら雨傘1を閉じることができる(
図9)。
【0022】
各引っ張り部材6はガイド14に案内されており、各張り拡げ部分2aを傘軸5に向けて直接引き寄せることができる。したがって、各張り拡げ部分2aをより確実に且つ効率よく引き寄せることができる。
【0023】
閉じた状態の雨傘1を開く場合には、下ろくろ11を上ろくろ10側に移動させれば良い。下ろくろ11の上ろくろ10側への移動に伴い各親骨3が放射状に拡がり、傘布2を張り拡げる。このとき、下ろくろ11の移動によって引っ張り部材6も緩んでいるので、各張り拡げ部分2aは各引っ張り部材6を引っ張りながら拡げられる。
【0024】
このように、雨傘1を閉じると、傘布2の張られる部分2aが自動的に傘軸5側に引き込まれるので、使用者がわざわざ手で傘布2の張られる部分2aを処理する必要がない。そのため、使用者の手を濡らすことがない。
また、雨傘1を閉じる際、傘布2の張られる部分2aを傘軸5側に引き込んで隠すことができる。そのため、雨によって濡れた部分を隠すことができ、使用者の手や衣服等を濡らすのを防止することができる。
また、使用者が自ら下ろくろ11を移動させるので、張り拡げ部分2aを使用者の好みの量だけ傘軸5側に引き込ませることができる。この場合、下ろくろ11を別途クリップ等で傘軸5に留めればよい。
【0025】
また、雨傘1を閉じた状態で、傘布2の張られる部分2aを隠すことができるので、見た目をスッキリとさせることができ、今までにない新しいデザインの雨傘1を提供することができる。
また、雨傘1を閉じる際、傘布2の張られる部分2aを傘軸5側に引き込むことができるので、雨傘1を閉じた後で傘布2を巻き紐で止める必要がなくなり、巻き紐を不要にすることができる。そして、巻き紐を不要にできることからも見た目をスッキリとさせることができ、この点からも今までにない新しいデザインの雨傘1を提供することができる。
【0026】
さらに、引っ張り部材6として紐状又は線状のものを採用しているので、雨傘1を閉じた場合に引っ張り部材6が嵩張るのを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、雨傘、日傘、和傘、ビーチパラソルやガーデンパラソル等の日よけ傘、等の傘状構造体に利用できる。
【符号の説明】
【0028】
1 雨傘(傘状構造体)
2 傘布
2a 傘布の親骨間に張られる張り拡げ部分
3 親骨
4 ループ
5 傘軸
6 引っ張り部材
10 上ろくろ
11 下ろくろ
14 ガイド