(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016180
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】パターヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20230126BHJP
A63B 53/06 20150101ALI20230126BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20230126BHJP
【FI】
A63B53/04 J
A63B53/06 D
A63B53/06 E
A63B102:32
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120327
(22)【出願日】2021-07-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】509154420
【氏名又は名称】株式会社NSC
(72)【発明者】
【氏名】西山 智弘
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA04
2C002CH01
2C002KK05
2C002LL01
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、プレイヤが正しい視線でパターのスイートスポットでボールを捉えることに集中することが可能であり、プレイヤがゴルフボールをスイートスポットに捉える技術の向上が可能なパターヘッドを提供することパターヘッドを提供することである。
【解決手段】パター10はグリップ11、シャフト12、パターヘッド13から構成される。パターヘッド13は、シャフト取り付け部16と曲面状のフェース面(打面)を少なくとも有する。ゴルフボール14を捉える打面は、平面視の形状が円形または円弧状である柱状であり、かつ、打面を構成する曲面上にスイートスポット18が位置するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト取り付け部を有するパターヘッドであって、
ゴルフボールを捉える打面が曲面になるように平面視の形状が円形または円弧状である柱状を呈しており、かつ、打面を構成する曲面上にスイートスポットが位置するように構成されたパターヘッド。
【請求項2】
打面を構成する曲面の曲率半径が、ゴルフボールの半径よりも小さくなるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のパターヘッド。
【請求項3】
前記シャフト取り付け部が、シャフトに対して着脱自在に構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のパターヘッド。
【請求項4】
前記パターヘッドは磁性を持つ金属製であって、パターヘッドに重量を調整するためのアタッチメントを、磁力により着脱自在となるように構成されたことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のパターヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に練習用としてゴルフボールをパッティングする際に用いる、パターヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パターのフェース面(打面)のスイートスポットに目印をつけたり、突起部を設けたりするパッティング用の練習具がある。
【0003】
ところが、上述の練習具は、パターのフェース面(打面)の構成が煩雑化する傾向がある。微妙で繊細な感覚が必要なパッティングの練習具としては十分とはいえなかった。
【0004】
そこで、従来技術の中には、パターフェース中央部に半球状のヒットポイントを設けつつ、この半球状のヒットポイントがパターのフェース面と同一平面上に位置するように構成したものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術では、プレイヤの視線がパターのフェース面側に向かってしまい易く、ボールの打撃点に自然に向かうようにならない可能性が高い。また、スイートスポットを大きく外した場合でもボールがまっすぐに転がってしまうため、スイートスポットを捉えたか否かについて判断を誤ることがある。
【0007】
本発明の目的は、プレイヤが正しい視線で、パターのスイートスポットでボールを捉えることに集中することが可能であり、プレイヤがゴルフボールをスイートスポットに捉える技術の向上が可能なパターヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
パターは、パターヘッド、シャフト、およびグリップで構成される。パターヘッドは、シャフト取り付け部と、ゴルフボールを捉えるフェース面を少なくとも有する。
【0009】
ゴルフボールを捉えるフェース面は、例えば曲面になるように平面視の形状が円形または円弧状である、柱状をしている。さらに、スイートスポットは、フェース面を構成する曲面上に存在する。
【0010】
パターヘッドが平面視上で円形または円弧状の形状をすることで、打撃フォームに入ったプレイヤが視覚によって自然とスイートスポットを特定しやすく、プレイヤの視線がパターのフェース面に向かい易くなる。
【0011】
また、スイートスポットが曲面上にあり、それ以外の打点では、ボールがプレイヤの意図する打撃方向に転がらないため、スイートスポットに捉えたことの判定が容易になり、プレイヤのパッティング技術が向上する。
【0012】
さらに、フェース面を構成する曲面の曲率半径が、ゴルフボールの半径よりも小さくなるように構成されることが好ましい。
【0013】
フェース面の曲率半径がゴルフボール半径よりも小さくなる構成は、スイートスポットにゴルフボールを捉えたことの判定をより容易にさせる。
【0014】
これらの構成に加え、シャフト取り付け部が、シャフトに対して着脱自在に構成されたことを特徴とすることがより好ましい。シャフトの取り付け方法は、例えばねじ式を採用する。シャフトの脱着が可能になると、パターヘッドの持ち運びや他のヘッドへの交換が容易になる。
【0015】
パターヘッドは、磁性を持つ金属製にしたうえで、磁力によって着脱自在なアタッチメントを利用し、パターヘッドの重量を調整するに構成することも可能である。
【0016】
パターヘッドは円形または円弧状をしているため、同形状のアタッチメントを積み重ねることで、重心等のバランスを極力崩すことなく重量の調整が可能となる。また、磁性を持つ金属製パターは、アタッチメントを磁力による着脱とすることにより、着脱が容易となり、重量調整に要する時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、プレイヤが正しい視線で、パターのスイートスポットでボールを捉えることに集中することが可能であり、プレイヤがゴルフボールをスイートスポットに捉える技術の向上が可能なパターヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパターヘッドの一例を示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るパターヘッドがゴルフボールを捉える一例を示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るパターヘッドの形状の他の一例を示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るパターヘッドのアタッチメントの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここから、図面を用いて本発明の一実施形態について説明する。パター10は、
図1(A)に示すとおり、パターヘッド13、シャフト12およびグリップ11を少なくとも有する。
【0020】
これらの構成のうちパターヘッド13は、シャフト12と結合させて、パッティングを主に練習するために用いられる。このパターヘッド13は、例えば鉄製であり、カーボン製のシャフト12と接着剤で結合している。パターヘッド13は、例えば直径約4cmの円柱状をしており、平面視における直径はゴルフボール14の直径と同等である。
【0021】
パターによるパッティングは、短い距離を正確に打撃することが求められ、微妙で繊細な感覚を要する。このため、このパターヘッド13の重さは、プレイ用のパターと同様に300g前後であり、通常のパターと同様に打撃練習を行うことができる。
【0022】
パターヘッド13は、
図1(B)に示すとおり、例えば、シャフト12と結合させる部分をくり抜いた構造である。このシャフト取り付け部16は、例えばライ角が70度になるように構成される。なお、パターヘッド13はシャフト12を固定することができれば空洞等でもよく、内部の構造は上記の内容に限定されない。
【0023】
図2(A)に示すとおり、ゴルフボール14を捉えるフェース面は、曲面となるように構成される。パターヘッド13は円柱状をしている。
【0024】
この曲面形状を有することで、ゴルフボール14を捉える点が平面視上1点となる。この曲面上の点のうち、スイートスポット18は、パターヘッド13の重心をフェース上に投影した一点のことをいう。重心からフェース面に対して引いた垂線とフェース面との交点がスイートスポット18となる。
【0025】
スイートスポット18は、パターの運動エネルギーを最も効率的に伝えられる点である。それゆえ、スイートスポット18はゴルフボール14を矢印22で示す打撃方向に動かす力を効率よく伝えることができる。
【0026】
スイートスポット18は、平面視上1点に限定される。打撃後のゴルフボール14が、プレイヤの意図した打撃方向22に転んだか否かを観察することによって、ゴルフボール14がパターヘッド13のスイートスポット18を捉えたか否かを即断することができる。
【0027】
プレイヤがスイートスポット18を捉えたか否かの即断が可能であるために、プレイヤは直ちに打撃改良の手段を講じることができる。例えば、パターの打撃方向や操作仕草といった繊細な技術内容に、早くかつ正確に改良を加えることが可能であって、プレイヤの短時間での技術向上が可能である。
【0028】
さらに、プレイヤが矢印22で示された意図した打撃方向に、ゴルフボール14を動かすことができたかを判断するため、すなわちスイートスポット18に捉えたかどうかを判断するため、プレイヤはこのゴルフボール14の動きを、ごく限られた距離であっても観察することができる。そうすると、プレイヤが、スイートスポット18に捉えたか否かを判断するために、必要とされる距離はごくわずかであるため、狭い場所でも十分に練習することができる。そのため、最小のスペースで練習を行うことができる。
【0029】
上述のゴルフボール14を捉えたか否かの判断をするために、目標となる穴や練習用マットといった特別な装備や設備がなくともよい。プレイヤは少なくともゴルフボール14と、パター10だけで練習することが可能となる。これらの装備や設備がない結果、プレイヤは穴にボールが入ること等に満足感を得ることができない。プレイヤは、ゴルフボール14をスイートスポット18に捉えることのみに集中することになり、効率よく練習することができる。
【0030】
また、パターヘッド13が平面視上円形の形状をすることで、打撃フォームに入ったプレイヤが自然とスイートスポット18を特定しやすくなる。なお、曲面形状は、平面視上円形状のものでも円弧状のものでも構わない。
【0031】
具体的には、
図2(A)に示すとおり、パターヘッド13は、プレイヤの視点では、平面視上の円のように見える。プレイヤが、矢印22で示された方向に向かってパターヘッド13を動作させようとするときに、プレイヤの視線は、パターヘッド13の天井部のうち、力の作用する方向に最も突き出しているスイートスポット18に注がれる。平面視上、円形に見えることによって、プレイヤは自然とスイートスポット18を注視することになる。このプレイヤの行動は、パターヘッド13が円弧状であっても変わらない。
【0032】
このように、プレイヤはスイートスポット18の位置を容易に判断することができ、プレイヤは正しい視線で打撃を行うことができる。
【0033】
スイートスポット18に該当する部分を視覚的に強調することにより、上述の円形形状に加えて、スイートスポット18の把握を容易にさせる。
図2(A)に示すとおり、パターヘッド13の天井部には、線状の目印24が刻まれている。この強調をすることによって、プレイヤはスイートスポット18の位置をより把握しやすくなる。視覚的に強調する方法は、上記の方法に限られず、色彩、図形等で表示されたものでもよく、プレイヤが打撃する時の視覚によってスイートスポット18を把握することができるものであれば構わない。
【0034】
パターヘッド13を別の角度から見ると、
図2(B)に示すとおり、スイートスポット18は鉛直方向に幅がある状態となっている。図示では円柱状をしている。この形状を採ることで、通常のパターと同程度の重量を持たせることを可能にしつつ、フェース面が狭いために生産コストを抑えることができる。
図3(A)または(B)に例示の形状であっても、図示の手前方向に曲面状のフェース面を有し、スイートスポットを含んでいるため、これらの形状であっても構わない。
【0035】
より好ましくは、フェース面と対向する面が対称となるのがよい。
図2(B)や
図3(A)のような形状であれば、フェース面と対向する面が対称であるため、プレイヤが右利きであったとしても、左利きであったとしても同一のパターヘッドを用いることができる。
【0036】
フェース面を構成する曲面の曲率半径が、ゴルフボール14の半径よりも小さくなるように構成されることがより好ましい。この構成は、スイートスポット18にゴルフボール14を捉えたか否かの判定をより容易にさせる。
【0037】
パターヘッド13の曲率半径がゴルフボール14の半径よりも小さく、曲面状のフェース面にスイートスポット18が存在すれば、プレイヤはゴルフボール14を捉えたか否かの判定をすることができるため、当該フェース面以外の形状および特徴は問わない。
【0038】
フェース面の曲率半径がゴルフボール14の半径より小さくなればなるほど、更なる効果を発揮する。プレイヤは、ゴルフボール14より小さなパターヘッド13を視覚的に認識する。この大小差ゆえに、プレイヤが打撃に集中しなければ、ゴルフボール14に当てにくくなる。そのため、プレイヤの集中力を高めて、プレイヤの技術を向上させることができる。
【0039】
さらに、パターヘッド13内のシャフト取り付け部16が、シャフト12に対して着脱自在に構成されたことを特徴とすることがより好ましい。例えば、シャフト取り付け部16がらせん状の溝を有し、シャフト12の先端をねじ状の構造とすることにより、プレイヤによるシャフト12の着脱を容易にする。自宅等の限られた収納スペースを有効に活用でき、持ち運びが容易であるほか、同一シャフト12を別のクラブヘッドやパターヘッドに取り付け可能である。なお、シャフト12の着脱を容易にする方法であれば、上記の方法に限られない。
【0040】
上記までの構成に加えて、パターヘッド13が磁性を持つ金属製であって、パターヘッド13に重量を調整するためのアタッチメント20を磁力により着脱自在となるように構成することがより好ましい。
【0041】
図4に示すとおり、例えば、円柱の天井部または底部に積み重ねる方法によって、アタッチメント20を装着する。天井部または底部は平坦であるから、アタッチメント20の積層は容易である。さらにこの方法はフェース面以外に装着するため、フェース面の打撃影響を考慮することなく着脱が可能である。
【0042】
アタッチメント20は磁力により着脱可能なものである。そのため、着脱の際に生じるような引っ張り応力に弱い。もっとも、磁力はせん断応力に対して強い耐性があるため、パッティング時にパターヘッド13を動作させても、パターヘッド13に接着したアタッチメント20は非常に分離しにくい。そのため、アタッチメント20を磁力によって着脱可能な構成をとっても、打撃に支障をきたさない。
【0043】
また、装着するアタッチメント20は、平面視した際の形状と同一であるものが望ましい。同形状のアタッチメント20を装着することにより、パターヘッド13の重量バランスを崩しにくくなり、プレイヤの微妙で繊細な感覚に適合させることができる。なお、アタッチメントの形状は、上記の形状に限定されない。
【0044】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
10-パター
11-グリップ
12-シャフト
13-パターヘッド
14-ゴルフボール
16-シャフト取り付け部
18-スイートスポット
20-アタッチメント
24-線状の目印
【手続補正書】
【提出日】2021-10-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト取り付け部を有するパターヘッドであって、
ゴルフボールを捉える打面が曲面になるように円柱状を呈しており、かつ、打面を構成する曲面の曲率半径が、ゴルフボールの半径よりも小さくなるように構成されることを特徴とするパターヘッド。
【請求項2】
前記シャフト取り付け部が、シャフトに対して着脱自在に構成されたことを特徴とする請求項1に記載のパターヘッド。
【請求項3】
前記パターヘッドは磁性を持つ金属製であって、パターヘッドに重量を調整するためのアタッチメントを、磁力により着脱自在となるように構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のパターヘッド。