(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161800
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】吸収性物品個包装体及び吸収性物品個包装体の使用方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/511 20060101AFI20231031BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
A61F13/511 200
A61F13/15 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072372
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 美沙
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA03
3B200BB03
3B200BB09
3B200CA11
3B200DE02
3B200DE07
3B200DE16
3B200DF08
3B200DF09
(57)【要約】
【課題】使用済の吸収性物品を手指を汚すことなく清潔に新品の吸収性物品に取り替えた後、使用済の吸収性物品を露出させたり、体液が漏出したりすることなく包装でき、かつ、複数個の新品の吸収性物品個包装体を一括包装しても包装袋内で互いにくっついたりせず、取り出しやすい吸収性物品個包装体及びその使用方法を提供する。
【解決手段】取替用の新しい吸収性物品50と、使用済の吸収性物品50aを包装する個包装シート6と、個包装シート6の一方の表面に固定され、使用済の吸収性物品50aに個包装シート6を係止するためのフック部材5と、を有し、個包装シート6の非肌側表面における三つ折りの二つの折り畳み線61,62上に、フック部材5が設けられ、使用済の吸収性物品50aの肌側表面にフック部材5を係止させて下着から使用済の吸収性物品50aを取り外し、使用済の吸収性物品50aを個包装シート6で包装して廃棄する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下着に固定した使用済の吸収性物品を新しい吸収性物品に取り替えつつ、前記使用済の吸収性物品を包装して廃棄する、吸収性物品個包装体であって、
取替用の新しい吸収性物品と、
前記使用済の吸収性物品を包装する個包装シートと、
前記個包装シートの一方の表面に固定され、前記個包装シートを前記使用済の吸収性物品に係止するためのフック部材と、
を有し、
吸収性物品個包装体は、前記新しい吸収性物品とその非肌側表面に設けられた前記個包装シートがいずれも長手方向に一回以上折られた状態で包装され、かつ、前記個包装シートの非肌側表面における折り畳み線上に、それぞれ前記フック部材が設けられ、
吸収性物品個包装体は、前記折られた状態で、かつ、複数個が積層された状態で一括して包装袋に包装され、
前記使用済の吸収性物品の肌側表面に前記フック部材を係止させて前記下着から前記使用済の吸収性物品を取り外し、前記使用済の吸収性物品を前記個包装シートで包装して廃棄することを特徴とする、吸収性物品個包装体。
【請求項2】
前記個包装シートが不織布で形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品個包装体。
【請求項3】
前記フック部材が設けられた前記個包装シートのフック部材配設領域を外側に露出させた状態で、前記個包装シートを折り畳み、その折り畳み状態を維持するための維持手段を設けたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の吸収性物品個包装体。
【請求項4】
前記維持手段をタブ付きテープで構成したことを特徴とする、請求項3に記載の吸収性物品個包装体。
【請求項5】
前記維持手段を、折り畳まれた前記個包装シートの幅方向両端部を封着することで構成したことを特徴とする、請求項3に記載の吸収性物品個包装体。
【請求項6】
前記フック部材が、基材部と、前記基材部に設けられたフック部と、前記基材部を前記個包装シートに固定するための粘着層と、を有していることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品個包装体。
【請求項7】
下着に固定した使用済の吸収性物品を新しい吸収性物品に取り替えつつ、前記使用済の吸収性物品を包装して廃棄する、吸収性物品個包装体の使用方法であって、
吸収性物品個包装体は、取替用の新しい吸収性物品と、
前記使用済の吸収性物品を包装する個包装シートと、
前記個包装シートの一方の表面に固定され、前記個包装シートを前記使用済の吸収性物品に係止するためのフック部材と、
を有し、
吸収性物品個包装体は、前記新しい吸収性物品とその非肌側表面に設けられた前記個包装シートがいずれも長手方向に一回以上折られた状態で包装され、かつ、前記個包装シートの非肌側表面における折り畳み線上に、それぞれ前記フック部材が設けられ、
吸収性物品個包装体は、前記折られた状態で、かつ、複数個が積層された状態で一括して包装袋に包装され、
前記使用済の吸収性物品の肌側表面に前記フック部材を係止させて前記下着から前記使用済の吸収性物品を取り外し、前記使用済の吸収性物品を前記個包装シートで包装して廃棄することを特徴とする、吸収性物品個包装体の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フック部材を有する吸収性物品個包装体及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配置された吸収体と、を含んで構成され、例えば、軽失禁製品は、バックシート側を下着に固定して使用される。
【0003】
使用済の吸収性物品(以下「使用済品」ともいう)を新しい吸収性物品(以下「新品」ともいう)に取り替える作業は、通常は、両手で使用済品を下着から取り外した後、使用済品を新品の包装袋等に収納して廃棄し、新品を下着に貼り付けることで実施される。このとき、使用済品を取り外すときには、手指が直接使用済品に接することから、手指に体液が付着し易い。また、体液を吸収して膨張及び/又は変形している使用済品を、新品の包装袋に収納するときには、使用済品の一部が包装袋の切り口等に引っ掛かって、手指を体液で汚す場合がある。また、使用済品を包装袋等に収納したとしても、使用済品を密閉したことにはなり得ず、体液が包装袋の内面を伝って漏れ出し、衣服等に付着するおそれもある。
【0004】
また、包装袋ではなくトイレットペーパーで使用済品を包んで捨てる人もいるが、トイレットペーパーは十分な耐水性及び密封性を有しないことから、丸めた包みが開いて使用済品が露出したり、使用済品中の体液が一部漏れ出して包みが破れたり、トイレ個室の床に体液が落下したり、といった問題を生じ易い。このように、手指やトイレ個室内を体液で汚すことなく、使用済品を清潔に新品に取り替えることができ、また、使用済品を密封できるような吸収性物品個包装体が望まれ、種々の提案がなされている。
【0005】
特許文献1には、吸収性物品と、吸収性物品を個別に包装する包装シートと、一端が包装シートの表面に剥離可能に貼付され、他端が包装シートの長手方向の端部に接合される粘着テープと、を有し、粘着テープは、第1粘着層、第1基材、第2粘着層、及び第2基材がこの順に積層され、第1基材と第2基材とを連結する連結部を更に有する、吸収性物品の包装体が開示されている。
粘着テープにおいて、第1粘着層及びこれに接合された第1基材は、第1粘着層により、包装シートの非肌側面に剥離可能に貼り付けられ、第2粘着層及びこれに接合された第2基材は、第2粘着層により、第1基材の非肌側面に剥離可能に貼り付けられ、さらに第2粘着層は吸収性物品の包装体を壁や着用者の身体に一時的に貼付するための粘着層になる。
特許文献1によれば、粘着テープから連結部を起点にして第2粘着層及び第2基材を剥離して第1基材を介して包装シート及び吸収性物品に繋がった状態の第2粘着層を露出させ、この第2粘着層をトイレ個室内の壁や着用者の身体に貼り付けて吸収性物品を床に落ちないように固定し、両手を使って使用済の吸収性物品を取り外した後に、上記で固定した吸収性物品のみを取り外して下着に取り付けるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の吸収性物品の包装体では、第2粘着層で該包装体を一時的に壁や身体に貼り付けても、該包装体が落下する可能性がなくなっていないことから、根本的な解決にはなっていない。また、外出先のトイレ個室では、壁が見た目に綺麗であっても必ずしも衛生的であると言うことはできない。また、特許文献1に記載の包装体は、使用済の吸収性物品を包装シート等の包材で包み込むようには構成されていないので、使用済の吸収性物品を包材やトイレットペーパーで包もうとすると、指先等が使用済の吸収性物品に直接触れて、手指が汚れやすい。
【0008】
上記のような粘着層の弱さを解消するために、吸収性物品の包装シートにフック部材を設け、該フック部材を使用済の吸収性物品の表面に貼り付けた後に、包装シートで使用済の吸収性物品を包んで廃棄することも考えられるが、フック部材を包装シートの表面に露出させると、複数個の吸収性物品を包装袋に包装するときに、ある吸収性物品の包装シートに備えられるフック部材が別の吸収性物品の包装シートにくっついてしまい、包装袋から新しい吸収性物品を取り出しにくくなる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、使用済の吸収性物品を手指を汚すことなく清潔に新品の吸収性物品に取り替えた後、使用済の吸収性物品を露出させたり、体液が漏出したりすることなく包装でき、かつ、複数個の新品の吸収性物品個包装体を一括包装しても包装袋内で互いに不用意にくっついたりせず、取り出しやすい吸収性物品個包装体及びその使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者は鋭意検討を行い、下着に固定した使用済の吸収性物品を新しい吸収性物品に取り替えつつ、使用済の吸収性物品を包装して廃棄する、吸収性物品個包装体において、使用済の吸収性物品を包装する個包装シートに、その一方の表面に固定され、個包装シートを使用済の吸収性物品に係止するためのフック部材を設け、吸収性物品個包装体は、新しい吸収性物品とその非肌側表面に設けられた個包装シートがいずれも長手方向に一回以上折られた状態で包装され、かつ、個包装シートの非肌側表面における折り畳み線上に、それぞれフック部材を設け、吸収性物品個包装体は、前記折られた状態で、かつ、複数個が積層された状態で一括して包装袋に包装され、かつ、使用済の吸収性物品の肌側表面にフック部材を係止させて下着から使用済の吸収性物品を取り外し、使用済の吸収性物品を個包装シートで包装して廃棄することで、使用済の吸収性物品を手指を汚すことなく清潔に新品の吸収性物品に取り替えた後、使用済の吸収性物品を露出させたり、体液が漏出したりすることなく包装でき、かつ、複数個の新品の吸収性物品個包装体を一括包装しても包装袋内で互いにくっついたりせず、取り出しやすい吸収性物品個包装体とすることができ、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
【0011】
(1)本発明の第1の態様は、下着に固定した使用済の吸収性物品を新しい吸収性物品に取り替えつつ、前記使用済の吸収性物品を包装して廃棄する、吸収性物品個包装体であって、取替用の新しい吸収性物品と、前記使用済の吸収性物品を包装する個包装シートと、前記個包装シートの一方の表面に固定され、前記個包装シートを前記使用済の吸収性物品に係止するためのフック部材と、を有し、吸収性物品個包装体は、前記新しい吸収性物品とその非肌側表面に設けられた前記個包装シートがいずれも長手方向に一回以上折られた状態で包装され、かつ、前記個包装シートの非肌側表面における折り畳み線上に、それぞれ前記フック部材が設けられ、吸収性物品個包装体は、前記折られた状態で、かつ、複数個が積層された状態で一括して包装袋に包装され、前記使用済の吸収性物品の肌側表面に前記フック部材を係止させて前記下着から前記使用済の吸収性物品を取り外し、前記使用済の吸収性物品を前記個包装シートで包装して廃棄することを特徴とする、吸収性物品個包装体である。
【0012】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の吸収性物品個包装体であって、前記個包装シートが不織布で形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載の吸収性物品個包装体であって、前記フック部材が設けられた前記個包装シートのフック部材配設領域を外側に露出させた状態で、前記個包装シートを折り畳み、その折り畳み状態を維持するための維持手段を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
(4)本発明の第4の態様は、(3)に記載の吸収性物品個包装体であって、前記維持手段をタブ付きテープで構成したことを特徴とするものである。
【0015】
(5)本発明の第5の態様は、(3)に記載の吸収性物品個包装体であって、前記維持手段を、折り畳まれた前記個包装シートの幅方向両端部を封着することで構成したことを特徴とするものである。
【0016】
(6)本発明の第6の態様は、(1)に記載の吸収性物品個包装体であって、前記フック部材が、基材部と、前記基材部に設けられたフック部と、前記基材部を前記個包装シートに固定するための粘着層と、を有していることを特徴とするものである。
【0017】
(7)本発明の第7の態様は、下着に固定した使用済の吸収性物品を新しい吸収性物品に取り替えつつ、前記使用済の吸収性物品を包装して廃棄する、吸収性物品個包装体の使用方法であって、吸収性物品個包装体は、取替用の新しい吸収性物品と、前記使用済の吸収性物品を包装する個包装シートと、前記個包装シートの一方の表面に固定され、前記個包装シートを前記使用済の吸収性物品に係止するためのフック部材と、を有し、吸収性物品個包装体は、前記新しい吸収性物品とその非肌側表面に設けられた前記個包装シートがいずれも長手方向に一回以上折られた状態で包装され、かつ、前記個包装シートの非肌側表面における折り畳み線上に、それぞれ前記フック部材が設けられ、吸収性物品個包装体は、前記折られた状態で、かつ、複数個が積層された状態で一括して包装袋に包装され、前記使用済の吸収性物品の肌側表面に前記フック部材を係止させて前記下着から前記使用済の吸収性物品を取り外し、前記使用済の吸収性物品を前記個包装シートで包装して廃棄することを特徴とする、吸収性物品個包装体の使用方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、使用済の吸収性物品を手指を汚すことなく清潔に新品の吸収性物品に取り替えた後、使用済の吸収性物品を露出させたり、体液が漏出したりすることなく包装でき、かつ、複数個の新品の吸収性物品個包装体を一括包装しても包装袋内で互いにくっついたりせず、取り出しやすい吸収性物品個包装体及びその使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る吸収性物品個包装体の構成を模式的に示す、肌側から見た平面図である。
【
図2】
図1に示すX-X切断線による幅方向の模式断面図である。
【
図3】
図1に示す吸収性物品個包装体が三つ折りされた状態で、複数個一括して包装袋に包装されている、包装形態を示す図である。
【
図4】(a)(b)はそれぞれ本実施形態において吸収性物品個包装体を展開する様子を説明するための図であり、(a)は吸収性物品個包装体の折り畳まれた状態を示す模式平面図、(b)は折り畳まれた吸収性物品個包装体を展開した状態を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る吸収性物品個包装体を折り畳んだ状態を維持した様子の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る吸収性物品個包装体を折り畳んだ状態を維持した様子の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図7】(a)~(c)はそれぞれ本実施形態に係る個包装シートの使用方法を説明するための図である。
【
図8】(a)~(c)はそれぞれ本実施形態に係る使用済の吸収性物品を個包装シートで包んで廃棄する様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
本明細書において、吸収性物品50の着用とは、体液吸収の前後を問わず、着用者の身体に装着した状態をいう。吸収性物品50の、長手方向とは、吸収性物品50を着用したときに着用者の股間部を介して前後に亘る、
図1中Yで示す方向であり、幅方向とは長手方向に対して略直交する、
図1中Xで示す方向であり、厚さ方向とは各構成部材を積層する方向である。吸収性物品50及びその各構成部材の肌側表面とは着用者の肌に当接する表面又は該肌を臨む表面であり、非肌側表面とは着用者の衣類に当接する表面又は衣類を臨む表面である。体液とは、尿、血液や軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0021】
図1~
図8は、本実施形態に係る吸収性物品個包装体を説明するための図である。
図1は本実施形態の吸収性物品個包装体の構成を模式的に示す、肌側から見た平面図、
図2は
図1に示すX-X切断線による幅方向の模式断面図、
図3は
図1に示す吸収性物品個包装体が三つ折りされた状態で、複数個一括して包装袋に包装されている包装形態を示す図、
図4(a)は吸収性物品個包装体を後述する折り畳み線で三つ折り状態で折り畳んだ状態を示す模式平面図、
図4(b)は折り畳んだ状態から展開した状態を示す模式平面図、
図5はタブ付きテープを用いて折り畳んだ状態を維持した様子を示す斜視図、
図6は幅方向両端部を封着することによって折り畳んだ状態を維持した様子を示す斜視図、
図7(a)~(c)はそれぞれ個包装シートを用いて使用済の吸収性物品を包装する様子を示す図、
図8(a)~(c)はそれぞれ使用済の吸収性物品を個包装シートで包んで廃棄する様子を説明するための図である。
なお、各図はあくまで模式的な図であり、吸収性物品個包装体1、吸収性物品50及び各構成部材の形状や、寸法の大小関係等を規定するものではない。
【0022】
本実施例に係る吸収性物品個包装体1は、下着に固定した使用済の吸収性物品50a(以下、適宜、使用済品50aと称する場合もある)を新しい吸収性物品50(以下、適宜、新品50と称する場合もある)に取り替えつつ、使用済の吸収性物品50aを包装して廃棄することができる製品である。
吸収性物品個包装体1は、取替用の新しい吸収性物品50と、使用済の吸収性物品50aを包装する個包装シート6と、個包装シート6の一方の表面に固定され、個包装シート6を使用済の吸収性物品50aに係止するためのフック部材5とを有している。
【0023】
この本実施形態では、
図1、
図4に示すように吸収性物品50及び個包装シート6を折り畳み線61,62において三つ折りして、
図5、
図6に示すように、後述する維持手段12により、個包装シート6の折り畳み状態を維持している。
吸収性物品個包装体1は、
図2に示すように、肌側表面から非肌側表面に向けて、順にトップシート10、吸収体20、バックシート30、第1の粘着層80、剥離層85、剥離シート71、第2の粘着層81、個包装シート6、フック部材5、が配設された構成になっている。
以下、本実施形態における各構成要素について説明する。
【0024】
<吸収性物品>
本実施形態に係る吸収性物品50は、ベビー用、成人用及び高齢者用の種々の吸収性物品として使用でき、その中でも、軽失禁パッド、軽失禁ライナー、生理用ナプキン、おりものシート等のパッド製品として特に好適に使用できる。吸収性物品50の、長手方向の寸法は例えば100mm以上450mm以下の範囲であり、幅方向の寸法は例えば30mm以上150mm以下の範囲である。各寸法を前述の数値範囲内にすると、軽失禁用製品、生理用ナプキン、おりものシート等に適した吸収性物品50が得られる。
【0025】
<フック部材>
フック部材5は、本実施形態では、個包装シート6の非肌側表面に取付けられる部材である。フック部材5は、基材部3と、個包装シート6に基材部3を固定する粘着層4と、基材部3を挟んで粘着層4とは反対側に設けられたフック部2とを有している。
フック部材5のフック部2は、使用済の吸収性物品50aの肌側面の材質に対して係合して、個包装シート6を係止することができる係合具(係合形状等)を有している。このようなフック部2を有するフック部材5としては、この分野で常用されるものをいずれも使用でき、例えば、各種の面ファスナーが挙げられる。
粘着層4としては剥離を想定していないので安定して個包装シート6の表面に固定できる手段であれば、接合手段、接着剤等の種類、方法は特に限定されない。
【0026】
個包装シート6内においてフック部材5は、個包装シート6の非肌側表面における三つ折りの二つの折り畳み線61,62上に、それぞれ設けられる。フック部材5が当該位置に設けられることで、後述する包装袋90内に吸収性物品個包装体1を複数個が積層された状態で一括して包装するときも、吸収性物品個包装体1が一回以上折られた状態では、フック部材5が吸収性物品個包装体1の積層される方向とは垂直な方向に位置するため、フック部材5が他の吸収性物品50の個包装シート6と互いにくっついたりせず、1個ずつ取り出しやすい吸収性物品個包装体1とすることができる。
なお、本実施形態に係るフック部材5は、平面視において、吸収性物品50の長手方向(Y軸方向)における寸法が5mm以上20mm以下であり、吸収性物品50の幅方向(X軸方向)における寸法が50mm以上150mm以下で構成されることが好ましい。また、フック部材5は、平面視において、個包装シート6の長手方向の寸法に対する比率が75%以上100%以下であり、個包装シート6の幅方向の寸法に対する比率が50%以上95%以下で構成されることが好ましい。
【0027】
<個包装シート>
個包装シート6は、
図2に示すように、第2の粘着層81により、剥離シート71に接着されている。個包装シート6において、第2の粘着層81との接着面(本実施形態の肌側表面)の反対側の表面(本実施形態の非肌側表面)にフック部材5が固定されている。個包装シート6は、次のようなフィルムシートで形成されている。
個包装シート6は、不織布で形成されていることが好ましい。このような不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドの三層混合不織布などがあげられる。
【0028】
本実施形態の個包装シート6においては、不透明度が高いシートを採用することが好ましい。これは、後述する
図7及び
図8で説明するように、使用済品50aの肌面側から個包装シート6を被せて使用済品50aを覆うように個包装シート6は使用されるからである。この場合、個包装シート6から体液が付いた状態が透けて見えてしまうと隠蔽性の点において適当ではなく、体液のシミなどを隠すように不透明度が高いシートを採用することが好ましいからである。
また、本実施形態では、
図3に示すように、吸収性物品個包装体1は、一回以上折られた状態で、かつ、複数個が積層された状態で一括して包装袋90に包装される(
図3では三つ折りされた状態で包装されている)。このように吸収性物品個包装体1が包装されることで、複数個の新品の吸収性物品個包装体1を一括して包装するときも、吸収性物品個包装体1が一回以上折られた状態では、フック部材5が吸収性物品個包装体1の積層される方向とは垂直な方向に位置するため、フック部材5が他の吸収性物品50の個包装シート6と互いにくっついたりせず、1個ずつ取り出しやすい吸収性物品個包装体1とすることができる。なお、吸収性物品個包装体1は
図4(a)に示す個包装シート6で個包装された状態で包装されているため、
図3では個包装シート6で包装された吸収性物品50を含む吸収性物品個包装体1が、一方向に連続して積層されているが、積層する方向は、地面に垂直な方向でも、地面に平行な方向でもどちらでも構わない。
【0029】
(個包装シートに抗菌性材料を含ませる構成)
個包装シート6の一部又は全部に抗菌性材料を用いることで、雑菌の繁殖が防止されるので、雑菌の繁殖に伴う臭いの発生等を軽減でき、使用済の吸収性物品50aの取り替え作業を衛生的にかつ安全に実施できる。個包装シート6には、樹脂フィルムが用いられ、個包装シート6の坪量は、強度及び加工性の観点から、例えば15g/m2以上50g/m2以下の範囲である。
【0030】
(個包装シートの折り畳み形態)
本実施形態では、
図1、
図4に示すように幅方向に延びる2つの折り畳み線61,62によって吸収性物品50と個包装シート6は長手方向に一回以上折り畳まれる(
図1、
図4では折り畳み線61,62によって三つ折りされている)。なお、吸収性物品50と個包装シート6は長手方向に二回折り畳まれる(すなわち、三つ折りされる)ことが好ましい。
本実施形態では、個包装シート6のフック部材配設領域13に設けられたフック部材5は、三つ折りされたそれぞれの折り畳み部(長手方向両端部)に位置することになる。
なお、折り畳み形態において、折り畳み後にフック部材5が外側に向き、フック部材5が露出するように折り畳むことが好適である。これは、フック部材5が外側に露出している方が、フック部材5の位置が分かりやすく、使用者が個包装シート6によって使用済品50aを包み込む場合に戸惑うことがなくなる利点がある。
【0031】
<維持手段>
維持手段12は、個包装シート6の折り畳み状態を維持するための部材、加工等の手段である。維持手段12として、
図5に示すように、タブ付きテープ11によって個包装シート6の折り畳み状態を維持する構成がある。タブ付きテープ11には、接着層、熱融着層などが設けられており、折り畳まれた個包装シート6の最も外周面において、折り畳み状態の個包装シート6の各面間を固定する。
なお、タブ付きテープ11の外側面に剥離シートを設けた粘着層を構成し、剥離シートを剥がした粘着層を、
図8に示すように使用済品50aを内側に包み込んで個包装シート6を止める場合に使用してもよい。この場合、個包装シート6の各面間を固定するタブ付きテープ11の固定層は粘着層がない封着構成、例えば、熱融着などとすることが好ましい。
【0032】
維持手段12の別の構成例として、
図6に示すように、折り畳まれた個包装シート6の幅方向両端部25a,25bを封着する構成を採用することもできる。封着方法としては個包装シート6の素材において採用できる方法ならば、特に限定されず、例えば、ホットメルト系接着剤を用いた封着、熱融着や超音波融着、接着剤を用いた封着、かしめによる封着等が挙げられる。
【0033】
なお、熱融着を構成する材料としては特に限定されず、各種熱融着性を発現する材料のいずれも使用することができ、例えば、ポリオレフィン系樹脂や、その他の熱可塑性樹脂等を使用することができる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。このような材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-α・オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、アイオノマー、非晶性ポリエステル、ポリプロピレン、スチレン-アクリル共重合体、プロピレン-エチレン共重合体(好ましくはエチレン含有量が10モル%以下の共重合体)、あるいは、ポリプロピレンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体等をグラフト重合又は共重合したポリプロピレン系樹脂、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等を使用することができる。ヒートシール層を構成する材料は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
また、接着剤を用いた封着としては特に限定されず、公知のものいずれも使用することができ、例えば、エチレン系接着剤、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、スチレン-アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等を使用することができる。
維持手段12として、
図5に示すような、タブ付きテープ11によって個包装シート6の折り畳み状態を維持する構成と、
図6に示すような、折り畳まれた個包装シート6の幅方向両端部25a,25bを封着する構成との両構成を併用することもできる。
なお、上述したように、個包装シート6は折り畳まれずに提供される場合もあるので、折り畳まれない場合は維持手段12は必要でなく、維持手段12は適宜、本発明品の実施形態に応じて必要により設けられるものである。
以下、本実施形態の構成部材について、トップシート10、吸収体20、バックシート30、立体ギャザー40、サイドシート60、剥離シート71の順で更に詳しく説明する。
【0035】
<トップシート>
トップシート10は、吸収体20に向けて体液を速やかに通過させて吸収体20の面方向に体液を拡散させる液透過性のシート状基材である。トップシート10は、着用者の肌に直接当接してもよいように、柔らかな感触で、肌に刺激を与えない基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性シート、同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等を用いて作製された、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも各不織布が好ましい。
トップシート10には、液透過性を向上させる観点から、エンボス加工や穿孔加工を表面に施してもよい。トップシート10は、肌への刺激を低減させる観点から、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等の1種又は2種以上を含有してもよい。トップシート10の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の観点から、例えば、15g/m2以上40g/m2以下の範囲、又は19g/m2以上35g/m2以下の範囲である。トップシート10の形状は特に制限されず、漏れがないように体液を吸収体20に誘導するために必要とされる、吸収体20の一部又は全部を覆う形状であればよい。
【0036】
<吸収体>
吸収体20は、その長手方向の寸法(最大長さ)が、例えば、100mm以上450mm以下の範囲、150mm以上350mm以下の範囲、又は200mm以上250mm以下の範囲である。吸収体20の幅方向の寸法(最大幅)は、例えば、30mm以上150mm以下の範囲、50mm以上130mm以下の範囲、又は70mm以上100mm以下の範囲である。また、吸収体20の平面視形状が砂時計型である場合は、長手方向寸法が100mm以上450mm以下の範囲、着用者の腹部及び背部にそれぞれ当接する前部及び後部の幅方向寸法がともに50mm以上150mm以下の範囲であり、着用者の股間部に当接する中央部の幅方向寸法が30mm以上150mm以下の範囲である。吸収体20の平面視形状としては、例えば、砂時計型、Iの字状、長方形、4角が丸まった角丸四角形、長円等が挙げられる。
吸収体20としては、例えば、吸収性繊維と高吸収性ポリマーとを含むフラッフ吸収体が挙げられる。
なお、本実施形態では、吸収体20の平面視形状は、一例としては4角が丸まった角丸長方形であり、長手方向の寸法(最大長さ)が、178mmであり、吸収体20の幅方向の寸法(最大長さ)は、65mmである。
【0037】
(吸収性繊維)
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体20に、基材としての吸収性繊維にフラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、肌触りや体液吸収量等の観点から、例えば、100g/m2以上800g/m2以下の範囲、又は325g/m2以上615g/m2以下の範囲である。
【0038】
(高吸収性ポリマー)
高吸収性ポリマー(以下「SAP」ともいう)としては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0039】
高吸収性ポリマーは、例えば、粒子状、繊維状等の形態で用いられるが、取扱い易さ等の観点から好ましくは粒子状で用いられる。このとき、粉体としての流動性が悪い微粉末の高吸収性ポリマーの使用を避け、中位粒子径を有する高吸収性ポリマーを用いることにより、吸収に関する基本性能を高め、かつ、吸収体20が体液を吸収した後に硬化することにより発生するごつごつとした触感を低減することができる。高吸収性ポリマーの中位粒子径は、例えば、50μm以上600μm以下の範囲又は100μm以上500μm以下の範囲である。吸収体20における高吸収性ポリマーの含有量は、吸収体20全量の40重量%以上の範囲、又は40重量%以上70重量%以下の範囲である。
【0040】
吸収体20において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものでもよく、吸収性繊維間にSAP粒子を固着したSAPシートでもよい。前述のフラッフ吸収体以外にも、吸収体20として、複数の親水性シートとこれらの間に固着担持された高吸収性ポリマーとを含む吸収性シートを使用することもできる。SAP粒子の吸収体20からの漏洩防止や吸収体20の形状の安定化の観点から、吸収体20の下又は吸収体20を全体に包むように、キャリアシートを設けてもよい(図示しない)。キャリアシートの基材としては親水性を有するものであればよく、ティシュー、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。キャリアシートを複数備える場合は、複数のキャリアシートの基材は同一でも異なっていてもよい。
【0041】
<バックシート>
バックシート30は、吸収性シートが保持する体液が着用者の衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されておればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の単層不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等の複合不織布、これらの複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0042】
バックシート30の坪量は、強度及び加工性の点から、例えば15g/m2以上60g/m2以下の範囲である。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート30には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート30に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート30にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0043】
図2に示すように、バックシート30は、非肌側表面に第1の粘着層80を有している。第1の粘着層80は、例えば、剥離シート71を設ける実施形態において、剥離シート71を剥離可能に接着させたり、最終的には新品50を下着に取り付けさせたりするための粘着層として用いられる。第1の粘着層80は、樹脂フィルム、紙、不織布等に対して接着性を示す接着剤を含んでいる。第1の粘着層80に含まれる接着剤としては特に限定されず、公知の接着剤を使用できるが、例えば、ホットメルト接着剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤としては、融点が100℃以上180℃以下のものを特に限定なく使用でき、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン系共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン系共重合体等の合成ゴム系ホットメルト接着剤、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系ホットメルト接着剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤の塗布方法としては、ノズルから溶融状態のホットメルト接着剤を非接触式で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法等、公知の方法が利用できる。第1の粘着層80及び第2の粘着層81には、同じ接着剤を用いてもよく、異なる接着剤を用いてもよい。また、第1の粘着層80に、両面テープ等を用いることもできる。
【0044】
本実施形態では、第1の粘着層80は、
図2に示すように、幅方向の長さが短く長手方向に長い細長の5本の第1の粘着層80が、バックシート30の長手方向に沿って設けられている。第1の粘着層80は、これに限らず、後述の剥離シート71の幅と略同じ幅で1本の第1の粘着層80が、バックシート30の長手方向に沿って設けられていてもよい。また、バックシート30に、バックシート30の長手方向の中央部付近、すなわち、吸収性物品50の長手方向の中央部付近に、幅方向に延出する羽部が、幅方向の両側に形成されていてもよい。
【0045】
<立体ギャザー>
立体ギャザー40は、例えば、吸収性物品50の着用者が排泄した体液の横漏れ等を防止するために、トップシート10の肌側表面の幅方向両端部において、吸収性物品50の長手方向に沿って延びるように設けてもよい。
立体ギャザー40は、撥水性及び/又は防水性のシート部材40aを含む。
シート部材40aは、本実施形態では幅方向一端(固定端)がバックシート30の肌側表面の幅方向両端付近に固定され、幅方向途中部がトップシート10の肌側表面の幅方向両端付近に固定され、幅方向他端が自由端である。
シート部材40aの固定端(幅方向一端)の固定位置は、本実施形態に限定されず、例えば、バックシート30の非肌側表面、内部に吸収体20を収納したトップシート10とバックシート30との各縁辺の全部又は一部接合体の肌側表面又は非肌側表面の幅方向両端付近、トップシート10の肌側表面の幅方向両端付近等が挙げられる。
また、立体ギャザー40に、立体ギャザー40の長手方向の中央部付近、すなわち、吸収性物品50の長手方向の中央部付近に、幅方向に延出する羽部が、幅方向の両側に形成されていてもよい。
【0046】
シート部材40aは撥水性及び/又は防水性を有するシートであり、例えば不織布から構成される。シート部材用不織布としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び/又は防水性(液不透過性)の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMS不織布)等が挙げられる。シート部材40aの坪量は、例えば、13g/m2以上20g/m2以下の範囲である。弾性伸縮部材としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
なお、立体ギャザー40のシート部材40aの自由端(他端)付近に長手方向に沿って配設され、自由端に起立性を付与し、シート部材40aの自由端及びその近傍領域を着用者の体型に合わせて変形可能にする弾性伸縮部材を設けてもよい。
【0047】
<サイドシート>
トップシート10の肌側表面の長手方向両端部には、吸収性物品50の幅方向に延びるように一対のサイドシート60を設けてもよい。サイドシート60の材質としては、バックシート30に用いられるのと同様の、液不透過性の不織布や樹脂フィルムを特に限定なく使用できる。サイドシート60は、例えば、トップシート10の長手方向両端部を、その形状に沿って覆うように設けられ、それぞれの長手方向の寸法は例えば50mm以上450mm以下の範囲である。
【0048】
<剥離シート>
剥離シート71は、
図2に示すように、第1の粘着層80と剥離シート71との間に介在する剥離層85により、バックシート30に対して剥離可能に接着されている。剥離層85は、例えば、剥離シート71の表面に設けられたものである。剥離シート71は、例えば、基材と、基材の全面又は一部に設けられ、剥離剤を含む剥離層85と、を有し、更に基材と剥離層85との間に目止め層を有していてもよい(図示しない)。ここで、基材としては、例えば、半晒クラフト紙、クラフト紙、上質紙、中質紙、アルカリ性紙、グラシン紙、セミグラシン紙、板紙、白板紙等の紙基材や、各種合成樹脂製のフィルム等が挙げられる。剥離層85に含まれる剥離剤としては、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤等が挙げられる。また、目止め層は、紙基材に剥離剤を塗工するときに、剥離剤が紙基材に浸透するのを防止するためのものであり、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂からなる数μm乃至数十μm程度の薄層として形成される。目止め層はクレーコート層でもよい。剥離シート71として紙基材を含んだ構成を採用した場合には、紙基材は個包装シート6を構成する不織布や樹脂フィルムに比べて剛性が高いことから、個包装シート6が剥がし易いという利点がある。
【0049】
<本実施形態の使用方法>
まず、
図5、
図6に示す状態から、タブ付きテープ11又は封着を外して、折り畳んだ状態の吸収性物品個包装体1を展開する(
図4(b))。このとき、フック部材5が平面上において折り畳み線61,62上のそれぞれに同時に展開される。
次に、個包装シート6を剥離シート71とともにバックシート30から剥がし、剥がした個包装シート6を裏返し(
図7(a))、フック部材5のフック部2を、下着に固定された使用済の吸収性物品50aのトップシート10側に貼りつけて、使用済の吸収性物品50aの上に個包装シート6を被せる(
図7(b)(c))。
使用済の吸収性物品50aのトップシート10にフック部材5のフック部2が係合している状態で、個包装シート6越しに下着から使用済の吸収性物品50aを取り外し、使用済の吸収性物品50aに個包装シート6を固定した状態にする(
図7(c))。
そして、
図8(a)~(c)に示すように使用済の吸収性物品50aを個包装シート6で包んで廃棄する。
【0050】
このような手順で処理を行えば、体液や排泄物のある使用済の吸収性物品50aの肌側表面を個包装シート6が覆うとともに、フック部2が個包装シート6の使用済の吸収性物品50aからのズレを防止するので、手を汚すことなく、また、体液等を床などに落とすことなく使用済の吸収性物品50aを廃棄できる。
また、上記したように、包装袋90内に吸収性物品個包装体1を複数個が積層された状態で一括して包装するときも、吸収性物品個包装体1が一回以上折られた状態では、フック部材5が吸収性物品個包装体1の積層される方向とは垂直な方向に位置するため、フック部材5が他の吸収性物品50の個包装シート6と互いにくっついたりせず、1個ずつ取り出しやすい吸収性物品個包装体1とすることができる。
【0051】
また、新品50と、フック部材5が一表面に固定された個包装シート6と、を剥離シート71等で一体化した実施形態によれば、剥離シート71が新品50に対して剥離可能に構成されていることから、使用済の吸収性物品50aを剥離シート71と個包装シート6との2層のシートで包装することができるので、手指の清潔性、使用済の吸収性物品50aの包装性、隠蔽性等が向上する。剥離シート71と個包装シート6との2層のシートで包装する場合には、剥離シート71にも隠蔽性を向上させた層を有する基材を用いることが好適である。
【0052】
以上、実施形態を例示して本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の構成には限定されない。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて判断されるべきであり、その範囲内であれば、多様な変形や構成の追加、又は改良が行えることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1 吸収性物品個包装体
2 フック部
3 基材部
4 粘着層
5 フック部材
6 個包装シート
11 タブ付きテープ
12 維持手段
13 フック部材配設領域
20 吸収体
25a、25b 幅方向両端部
40 立体ギャザー
40a シート部材
50 (新しい)吸収性物品
50a 使用済の吸収性物品
60 サイドシート
61、62 折り畳み線
71 剥離シート
80、81 粘着層
85 剥離層
90 包装袋