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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161809
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】静電型スピーカ
(51)【国際特許分類】
   H04R 19/02 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
H04R19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072390
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑原 茂寿
【テーマコード(参考)】
5D021
【Fターム(参考)】
5D021CC02
5D021CC07
(57)【要約】
【課題】振動極膜の電荷が漏れにくい静電型スピーカを提供する。
【解決手段】静電型スピーカは、導電性を有する第1固定極膜と、導電性を有する第2固定極膜と、導電性を有し、かつ、互いに離間して配置される複数の振動極膜と、複数の振動極膜に直流電力を供給する電源と、を備え、第1固定極膜、複数の振動極膜、第2固定極膜は、それぞれの主面の法線方向である第1方向に平行な直線上にこの順に並び、複数の振動極膜のそれぞれは、第1方向に視て、互いに重ならず、複数の振動極膜は、互いに電気的に分離して電源に接続される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する第1固定極膜と、
導電性を有する第2固定極膜と、
導電性を有し、かつ、互いに離間して配置される複数の振動極膜と、
前記複数の振動極膜に直流電力を供給する電源と、
を備え、
前記第1固定極膜、前記複数の振動極膜、前記第2固定極膜は、それぞれの主面の法線方向である第1方向に平行な直線上にこの順に並び、
前記複数の振動極膜のそれぞれは、前記第1方向に視て、互いに重ならず、
前記複数の振動極膜は、互いに電気的に分離して前記電源に接続される、
静電型スピーカ。
【請求項2】
前記第1固定極膜は、第1電極及び第1基材からなり、
前記第2固定極膜は、第2電極及び第2基材からなり、
前記第1電極及び前記第2電極のそれぞれの材料は、アルミニウムであり、
前記第1基材及び前記第2基材のそれぞれの材料は、紙である、
請求項1に記載の静電型スピーカ。
【請求項3】
前記複数の振動極膜をそれぞれ前記電源に電気的に接続する複数の配線を、
更に備える、
請求項1又は請求項2に記載の静電型スピーカ。
【請求項4】
前記複数の配線は、それぞれ導体及び第3基材からなり、
前記導体の材料は、アルミニウムであり、
前記第3基材の材料は、紙である、
請求項3に記載の静電型スピーカ。
【請求項5】
前記第1固定極膜又は前記第2固定極膜は、前記複数の配線と前記複数の振動極膜との間にあり、
前記複数の振動極膜は、それぞれ、前記第1固定極膜及び前記第2固定極膜の間から前記第1方向に視た前記第1固定極膜又は前記第2固定極膜の端部を回り込んで前記複数の配線に接続される回り込み部分を有している、
請求項3に記載の静電型スピーカ。
【請求項6】
弾性変形する接続部を、
更に備え、
前記接続部は、前記第1方向に視て前記第1固定極膜の端部及び前記第2固定極膜の端部の外側から、前記複数の配線のそれぞれ、前記複数の振動極膜のそれぞれの前記回り込み部分、前記第1固定極膜及び前記第2固定極膜を挟み込む、
請求項5に記載の静電型スピーカ。
【請求項7】
前記第1固定極膜と前記複数の振動極膜との間、及び、前記第2固定極膜と前記複数の振動極膜との間にそれぞれ配置される複数のスペーサを有し、
前記複数の配線は、前記第1方向に視て、前記複数のスペーサに重なる位置に配置されている、
請求項3のいずれか1項に記載の静電型スピーカ。
【請求項8】
前記第1固定極膜又は前記第2固定極膜は、前記第1方向に視て複数の第1開口部を有し、
前記複数の配線は、前記第1方向に視て前記複数の第1開口部に重なる複数の第2開口部を有する、
請求項3に記載の静電型スピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る一実施形態は、静電型スピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の電極間に生じる静電力によって放音を行う平膜状の静電型スピーカが記載されている。静電型スピーカは、導電性の振動極膜及び導電性の固定電極膜を備える。静電型スピーカは、振動極膜と固定極膜との間に静電力を発生させて放音する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-38113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の静電型スピーカにおいて、静電型スピーカ内部の湿度が高いとき、振動極膜の電荷の漏れが大きくなる。そのため、静電型スピーカ内部が高湿度であると、振動極膜の電荷が漏れることにより、静電型スピーカの出力音圧が低下する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の一実施形態は、振動極膜の電荷が漏れにくい静電型スピーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る静電型スピーカは、
導電性を有する第1固定極膜と、
導電性を有する第2固定極膜と、
導電性を有し、かつ、互いに離間して配置される複数の振動極膜と、
前記複数の振動極膜に直流電力を供給する電源と、
を備え、
前記第1固定極膜、前記複数の振動極膜、前記第2固定極膜は、それぞれの主面の法線方向である第1方向に平行な直線上にこの順に並び、
前記複数の振動極膜のそれぞれは、前記第1方向に視て、互いに重ならず、
前記複数の振動極膜は、互いに電気的に分離して前記電源に接続される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態に係る静電型スピーカによれば、振動極膜の電荷を漏れにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る静電型スピーカ10の分解斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る振動極層20を第1方向DIR1に視た平面図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る第1固定極層30を第1方向DIR1に視た平面図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る第2固定極層40を第1方向DIR1に視た平面図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る第1スペーサ51を第1方向DIR1に視た平面図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る第2スペーサ52を第1方向DIR1に視た平面図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る第1配線61と第1振動極膜23との電気的接続方法を示した静電型スピーカ10のA-Aにおける断面図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る静電型スピーカ10の駆動回路の概略構成を示す図である。
図9図9は、第1の変形例に係る静電型スピーカ10aの分解斜視図である。
図10図10は、第1の変形例に係る第1配線61と第1振動極膜23との電気的接続方法を示した静電型スピーカ10aのA-Aにおける断面図である。
図11図11は、第2の実施形態に係る静電型スピーカ10bの分解斜視図である。
図12図12は、第2の実施形態に係る複数の配線60を第1方向DIR1に視た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
以下に、本発明の第1の実施形態に係る静電型スピーカ10の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、静電型スピーカ10の分解斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る静電型スピーカ10の各構成要素の平面図である。図3は、第1の実施形態に係る第1固定極層30を第1方向DIR1に視た平面図である。図4は、第1の実施形態に係る第2固定極層40を第1方向DIR1に視た平面図である。図5は、第1の実施形態に係る第1スペーサ51を第1方向DIR1に視た平面図である。図6は、第1の実施形態に係る第2スペーサ52を第1方向DIR1に視た平面図である。図7は、第1の実施形態に係る第1配線61と第1振動極膜23との電気的接続方法を示した静電型スピーカ10のA-Aにおける断面図である。図8は、第1の実施形態に係る静電型スピーカ10の駆動回路の概略構成を示す図である。なお、図1及び図3では、複数の第1開口部OP1の内の代表的な第1開口部OP1にのみ参照符号を付した。また、図1及び図4では、複数の第2開口部OP2の内の代表的な第2開口部OP2にのみ参照符号を付した。また、図5では、複数の第3開口部OP3の内の代表的な第3開口部OP3にのみ参照符号を付した。また、図6では、複数の第4開口部OP4の内の代表的な第4開口部OP4にのみ参照符号を付した。
【0010】
静電型スピーカ10は、図1及び図7に示すように、振動極層20、第1固定極層30、第2固定極層40、複数のスペーサ50、複数の配線60、複数の接続部70及び電源80を備える。
【0011】
振動極層20、第1固定極層30及び第2固定極層40は、図1に示すように、平膜であり、それぞれの主面が平行になるように配置されている。本明細書において、振動極層20の主面の法線方向を第1方向DIR1と定義する。従って、第1固定極層30の主面の法線方向は、第1方向DIR1である。また、第2固定極層40の主面の法線方向は、第1方向DIR1である。振動極層20は、第1固定極層30と第2固定極層40との間に配置されている。すなわち、第1固定極層30、振動極層20、第2固定極層40は、第1方向DIR1に平行な直線上にこの順に並んでいる。
【0012】
振動極層20は、図2に示すように、第1方向DIR1に視て、矩形状を有している。また、振動極層20は、絶縁性を有する複数のベースフィルム21、及び、導電性を有する複数の振動極膜22を含んでいる。本実施形態では、複数の振動極膜22は、第1振動極膜23、第2振動極膜24及び第3振動極膜25である。なお、本発明の「振動極膜」の数は、3つに限られず、複数であればよい。複数のベースフィルム21は、例えば、PET、PP等の絶縁性の樹脂フィルムである。複数の振動極膜22のそれぞれは、複数のベースフィルム21のそれぞれの表面に形成されている。また、複数のベースフィルム21は、複数の振動極膜22より第1方向DIR1に配置されている。
【0013】
第1振動極膜23、第2振動極膜24及び第3振動極膜25は、図2に示すように、第1方向DIR1に視て、矩形状を有している。また、第1振動極膜23、第2振動極膜24及び第3振動極膜25は、第1方向DIR1に直交する第2方向DIR2に平行な直線上にこの順に並んでいる。すなわち、第1振動極膜23、第2振動極膜24及び第3振動極膜25は、第1方向DIR1に視て、互いに重ならない。また、第1振動極膜23、第2振動極膜24及び第3振動極膜25は、互いに離間して配置されており、互いに電気的に接続されていない。複数の振動極膜22のそれぞれ(第1振動極膜23、第2振動極膜24及び第3振動極膜25)の材料は、例えば、アルミニウムや銀等の低抵抗の材料である。
【0014】
第1固定極層30は、図3に示すように、第1方向DIR1に視て、矩形状を有している。第1固定極層30は、導電性を有する第1固定極膜31を含んでいる。第1固定極膜31は、第1電極32及び第1基材33からなる。第1電極32は、第1基材33の表面に形成されている。また、第1電極32は、第1基材33より第1方向DIR1に配置されている。すなわち、第1電極32は、図1に示すように、第1基材33と振動極層20との間に配置されている。より詳細には、第1基材33は、図3に示すように、第1方向DIR1に並ぶ第1主面S1及び第2主面S2を有する。第2主面S2は、第1主面S1より第1方向DIR1に位置する。第1電極32は、第1基材33の第2主面S2に形成されている。第1電極32の材料は、例えば、アルミニウムや銀等の低抵抗の材料である。第1基材33の材料は、例えば、PET、PP等の絶縁性の樹脂フィルム、又は、紙である。本実施形態では、紙の表面にアルミ箔を貼付したアルミコート紙により、第1固定極膜31が形成されている。
【0015】
第1固定極膜31は、図3に示すように、第1方向DIR1に視て、複数の第1開口部OP1を有している。複数の第1開口部OP1は、第2方向DIR2と、第1方向DIR1及び第2方向DIR2の両方に直交する第3方向DIR3と、にそれぞれ9個及び11個が配列される二次元配列により、配置されている。また、複数の第1開口部OP1は、互いに離間して配置されている。複数の第1開口部OP1のそれぞれは、第1方向DIR1に視て、円形状を有している。また、複数の第1開口部OP1のそれぞれは、第1固定極層30を第1方向DIR1に貫通している。第1開口部OP1は、本発明の「第1開口部」に対応する。
【0016】
第2固定極層40は、図4に示すように、第1方向DIR1に視て、矩形状を有している。第2固定極層40は、導電性を有する第2固定極膜41を含んでいる。第2固定極膜41は、第2電極42及び第2基材43からなる。第2電極42は、第2基材43の表面に形成されている。また、第2基材43は、第2電極42より第1方向DIR1に配置されている。すなわち、第2電極42は、図1に示すように、第2基材43と振動極層20との間に配置されている。より詳細には、第2基材43は、図4に示すように、第1方向DIR1に並ぶ第3主面S3及び第4主面S4を有する。第4主面S4は、第3主面S3より第1方向DIR1に位置する。第2電極42は、第2基材43の第3主面S3に形成されている。第2電極42の材料は、例えば、アルミニウムや銀等の低抵抗の材料である。第2基材43の材料は、例えば、PET、PP等の絶縁性の樹脂フィルム、又は、紙である。本実施形態では、紙の表面にアルミ箔を貼付したアルミコート紙により、第2固定極膜41が形成されている。
【0017】
第2固定極膜41は、図4に示すように、第1方向DIR1に視て、複数の第2開口部OP2を有している。複数の第2開口部OP2は、第2方向DIR2と、第3方向DIR3と、にそれぞれ9個及び11個が配列される二次元配列により、配置されている。また、複数の第2開口部OP2は、互いに離間して配置されている。複数の第2開口部OP2のそれぞれは、第1方向DIR1に視て、円形状を有している。また、複数の第2開口部OP2のそれぞれは、第2固定極層40を第1方向DIR1に貫通している。第1開口部OP1及び第2開口部OP2は、本発明の「第1開口部」に対応する。
【0018】
第1固定極膜31、複数の振動極膜22、第2固定極膜41は、図1に示すように、第1方向DIR1に平行な直線上にこの順に並んでいる。
【0019】
複数のスペーサ50は、図1に示すように、第1スペーサ51及び第2スペーサ52を含んでいる。
【0020】
第1スペーサ51は、図1に示すように、第1固定極膜31と複数の振動極膜22との間に配置されている。また、第1スペーサ51の外縁は、第1方向DIR1に視て、第1固定極層30と一致している。振動極層20は、第1スペーサ51により、第1固定極膜31と第1方向DIR1に離間して配置することができる。第1スペーサ51は、図5に示すように、第1方向DIR1に視て、複数の第3開口部OP3を有している。複数の第3開口部OP3は、第2方向DIR2と、第3方向DIR3と、にそれぞれ3個及び3個が配列される二次元配列により、配置されている。また、複数の第3開口部OP3は、互いに離間して配置されている。複数の第3開口部OP3のそれぞれは、第1方向DIR1に視て、矩形状を有している。また、複数の第3開口部OP3のそれぞれは、第1スペーサ51を第1方向DIR1に貫通している。
【0021】
第2スペーサ52は、図1に示すように、第2固定極膜41と複数の振動極膜22との間に配置されている。また、第2スペーサ52の外縁は、第1方向DIR1に視て、第2固定極層40の外縁と一致している。振動極層20は、第2スペーサ52により、第2固定極膜41と第1方向DIR1に離間して配置することができる。第2スペーサ52は、図6に示すように、第1方向DIR1に視て、複数の第4開口部OP4を有している。複数の第4開口部OP4は、第2方向DIR2と、第3方向DIR3と、にそれぞれ3個及び3個が配列される二次元配列により、配置されている。また、複数の第4開口部OP4は、互いに離間して配置されている。複数の第4開口部OP4のそれぞれは、第1方向DIR1に視て、矩形状を有している。また、複数の第4開口部OP4のそれぞれは、第2スペーサ52を第1方向DIR1に貫通している。
【0022】
複数の配線60は、図1に示すように、第1配線61、第2配線62及び第3配線63を含んでいる。
【0023】
本実施形態では、複数の配線60は、図1に示すように、第1固定極層30の第1主面S1上に配置されている。すなわち、第1固定極膜31は、複数の配線60と複数の振動極膜22との間にある。また、複数の配線60は、それぞれ導体及び基材からなる。導体は、基材の表面に形成されている。基材は、導体と第1固定極層30との間に配置される。導体の材料は、例えば、アルミニウム等の低抵抗の材料である。基材の材料は、例えば、紙である。本実施形態では、紙の表面にアルミ箔を貼付したアルミコート紙により、複数の配線60が形成されている。なお、基材は、本発明の「第3基材」に対応する。
【0024】
複数の配線60は、図1に示すように、第1方向DIR1に視て、複数のスペーサ50に重なる位置に配置されている。
【0025】
複数の配線60は、複数の振動極膜22をそれぞれ電源80に電気的に接続する。より詳細には、第1配線61は、第1振動極膜23と、後述する第1直流バイアス発生部83の正極と、を電気的に接続する。第2配線62は、第2振動極膜24と、後述する第2直流バイアス発生部84の正極と、を電気的に接続する。第3配線63は、第3振動極膜25と、後述する第3直流バイアス発生部85の正極と、を電気的に接続する。すなわち、複数の振動極膜22は、互いに電気的に分離して電源80に接続される。以下に、複数の振動極膜22の代表例として、第1振動極膜23を第2振動極膜24及び第3振動極膜25と電気的に分離して電源80に接続する方法について、説明する。
【0026】
第1振動極膜23の端部は、図1に示すように、第1方向DIR1に視て、第3方向DIR3にはみ出ている。第1振動極膜23の端部は、図7に示すように、曲げられる。「第1振動極膜23の端部が曲げられる」とは、第1振動極膜23の端部に外力が加えられることにより、第1振動極膜23の端部が変形して曲がっていることを意味する。変形は、弾性変形でもよいし、塑性変形でもよいし、弾性変形及び塑性変形でもよい。
【0027】
第1振動極膜23は、図7に示すように、第1固定極膜31及び第2固定極膜41の間から第1方向DIR1に視た第1固定極膜31の端部を回り込む第1回り込み部分WP1を有している。本実施形態では、「第1方向DIR1に視た第1固定極膜31の端部」は、第1固定極膜31の第3方向DIR3の端部である。第1回り込み部分WP1は、第1配線61の導体と接触する。より詳細には、第1配線61の導体は、図1に示すように、静電型スピーカ10の第1方向DIR1と反対方向の端に配置されている。また、第1配線61の導体は、第1固定極膜31の第3方向DIR3の端部に位置する部分を有する。第1回り込み部分WP1は、第1振動極膜23の端部が曲げられることにより、第1配線61の第1方向DIR1と反対方向の端において、第1配線61と接触する。より詳細には、第1振動極膜23は、第1配線61の導体と接触し、かつ、第2配線62の導体及び第3配線63の導体と接触しない。これにより、第1振動極膜23は、第1配線61に電気的に接続され、かつ、第2配線62及び第3配線63に電気的に接続されない。すなわち、第1回り込み部分WP1は、第1配線61に接続される。
【0028】
接続部70は、例えば、書類を綴じるためのクリップである。接続部70は、1枚の薄い平板状部材を折り曲げてなる形状を有する。接続部70は、弾性変形することで、対向する2枚の平板状部材により、書類等の物体に弾性力を掛けて挟み込むことができる。接続部70は、図7に示すように、第1方向DIR1に視て、第1固定極膜31の第3方向DIR3の端部の外側、及び、第2固定極膜41の第3方向DIR3の端部の外側から、第1配線61、第1振動極膜23の第1回り込み部分WP1、第1固定極膜31及び第2固定極膜41を挟み込む。これにより、接続部70は、第1振動極膜23の第1回り込み部分WP1を支持する。
【0029】
同様に、第2振動極膜24の端部は、曲げられる。これにより、第2振動極膜24は、第2配線62の導体と接触し、かつ、第1配線61の導体及び第3配線63の導体と接触しない。これにより、第2振動極膜24は、第2配線62に電気的に接続され、かつ、第1配線61及び第3配線63に電気的に接続されない。また、第3振動極膜25の端部は、曲げられる。これにより、第3振動極膜25は、第3配線63の導体と接触し、かつ、第1配線61の導体及び第2配線62の導体と接触しない。これにより、第3振動極膜25は、第3配線63に電気的に接続され、かつ、第1配線61及び第2配線62に電気的に接続されない。
【0030】
同様に、第2振動極膜24の第1回り込み部分WP1は、接続部70により、支持される。また、第3振動極膜25の第1回り込み部分WP1は、接続部70により、支持される。
【0031】
複数の配線60は、電源80に電気的に接続される。より詳細には、第1配線61は、図8に示すように、後述する第1直流バイアス発生部83の正極に電気的に接続される。第2配線62は、後述する第2直流バイアス発生部84の正極に電気的に接続される。第3配線63は、後述する第3直流バイアス発生部85の正極に電気的に接続される。
【0032】
電源80は、図8に示すように、第1駆動信号発生部81、第2駆動信号発生部82、第1直流バイアス発生部83、第2直流バイアス発生部84及び第3直流バイアス発生部85を含んでいる。第1駆動信号発生部81は、第1固定極膜31に電気的に接続される。第2駆動信号発生部82は、第2固定極膜41に電気的に接続される。第1駆動信号発生部81から第1固定極膜31に印加する第1駆動信号と、第2駆動信号発生部82から第2固定極膜41に印加する第2駆動信号とは、逆相である。第1直流バイアス発生部83の正極は、第1振動極膜23に電気的に接続される。第2直流バイアス発生部84の正極は、第2振動極膜24に電気的に接続される。第3直流バイアス発生部85の正極は、第3振動極膜25に電気的に接続される。すなわち、電源80は、第1振動極膜23、第2振動極膜24及び第3振動極膜25に直流電力を供給する。
【0033】
[効果]
静電型スピーカ10によれば、振動極膜の電荷を漏れにくくすることができる。静電型スピーカの振動極膜及び固定極膜は、空気により絶縁されている。しかし、高湿度の環境下では、振動極膜及び固定極膜との間で局所的に絶縁破壊が生じ、電荷が漏れる場合がある。この電荷の漏れ量は、平面視して振動極膜及び固定極膜の重なる面積が大きいほど大きくなる。言い換えると、高湿度の環境下では、振動極膜の面積が大きいほど振動極膜及び固定極膜との間の抵抗が小さくなる。これに対して、本実施形態の振動極膜は、複数の振動極膜22に電気的に分離されている。そのため、1つの直流バイアス発生部当たりの振動極膜の面積は、振動極膜が複数の振動極膜22に電気的に分離されていない場合より小さくなる。第1振動極膜23、第2振動極膜24及び第3振動極膜25のそれぞれと第1固定極膜31との間の抵抗、及び、第1振動極膜23、第2振動極膜24及び第3振動極膜25のそれぞれと第2固定極膜41との間の抵抗が大きくなり、複数の振動極膜22の電荷が漏れにくくなる。その結果、静電型スピーカ10によれば、静電型スピーカ10内部が高湿度であっても、振動極膜の電荷が漏れにくくなり、直流バイアス発生部が発生する直流電圧が同じであっても、静電型スピーカ10の出力音圧が低下する可能性を抑制することができる。
【0034】
静電型スピーカ10によれば、固定極膜が発生する損失を抑制することができる。より詳細には、第1固定極膜31の第1電極32、及び、第2固定極膜41の第2電極42のそれぞれの材料は、アルミニウムである。アルミニウムは、他の導電体材料に比べ、低抵抗の材料である。そのため、静電型スピーカ10によれば、固定極膜が発生する損失を抑制することができる。
【0035】
静電型スピーカ10によれば、電源80と振動極膜とを別々に配置することができる。より詳細には、静電型スピーカ10は、複数の振動極膜22をそれぞれ電源80に電気的に接続する複数の配線60を更に備える。従って、電源80と複数の振動極膜22とを別々に配置しても、配線60を介して、複数の振動極膜22に直流電力を供給することができる。その結果、静電型スピーカ10によれば、電源80と振動極膜とを別々に配置することができる。
【0036】
静電型スピーカ10によれば、複数の配線60が発生する損失を抑制することができる。より詳細には、複数の配線60のそれぞれの材料は、アルミニウムである。アルミニウムは、他の導電体材料に比べ、低抵抗の材料である。そのため、静電型スピーカ10によれば、複数の配線60が発生する損失を抑制することができる。
【0037】
静電型スピーカ10によれば、複数の振動極膜22のそれぞれを、容易に電源80に接続することができる。より詳細には、複数の振動極膜22のそれぞれを静電型スピーカ10の端部から固定極層の外側に引き出して、固定極層の外側に引き回されている複数の配線60のそれぞれに接続する。これにより、電源80が複数の振動極膜22から遠い場所にあっても、複数の振動極膜22のそれぞれを容易に電源80に接続することができる。
【0038】
また、静電型スピーカ10によれば、複数の配線60がアルミコート紙により形成されているため、静電型スピーカ10の第1方向DIR1に平行な方向の長さを短くすることができる。
【0039】
静電型スピーカ10によれば、静電型スピーカ10を容易に作製することができる。より詳細には、弾性変形する接続部70が第1固定極膜31の外側、及び、第2固定極膜41の外側から、複数の配線60のそれぞれ、複数の振動極膜22のそれぞれの第1回り込み部分WP1、第1固定極膜31及び第2固定極膜41を挟み込む。その結果、静電型スピーカ10によれば、静電型スピーカ10を容易に作製することができる。
【0040】
複数の配線60は、静電型スピーカ10の放音に影響を与えないようにすることができる。より詳細には、第1方向DIR1に視て、複数のスペーサ50と重なる位置は、静電型スピーカ10が放音しない部分である。複数の配線60は、第1方向DIR1に視て、第1固定極膜31と複数の振動極膜22との間、及び、第2固定極膜41と複数の振動極膜22との間にそれぞれ配置される複数のスペーサ50に重なる位置に配置されている。従って、静電型スピーカ10によれば、複数の配線60が、静電型スピーカ10の放音に影響を与えないようにすることができる。
【0041】
[第1の変形例]
以下に、本発明の第1の変形例に係る静電型スピーカ10aについて、図を参照しながら説明する。図9は、第1の変形例に係る静電型スピーカ10aの分解斜視図である。図10は、第1の変形例に係る第1配線61と第1振動極膜23との電気的接続方法を示した静電型スピーカ10aのA-Aにおける断面図である。なお、図9では、複数の第1開口部OP1、及び、複数の第2開口部OP2の内の代表的な第1開口部OP1及び第2開口部OP2にのみ参照符号を付した。なお、本発明の第1の変形例に係る静電型スピーカ10aについては、第1の実施形態に係る静電型スピーカ10と異なる部分のみ説明し、後は省略する。
【0042】
静電型スピーカ10aは、図9に示すように、予め複数の配線60が第1固定極層30の第1主面S1上に配置されていない点、及び、複数の振動極膜22の端部が第1方向DIR1に視て、第3方向DIR3と反対方向にはみ出ている点において、静電型スピーカ10と相違する。
【0043】
複数の振動極膜22は、互いに電気的に分離して電源80に接続される。以下に、複数の振動極膜22の代表例として、第1振動極膜23を第2振動極膜24及び第3振動極膜25と電気的に分離して電源80に接続する方法について、説明する。
【0044】
第1振動極膜23の端部は、図10に示すように、曲げられる。第1振動極膜23は、第1固定極膜31及び第2固定極膜41の間から第1方向DIR1に視た第2固定極膜41の端部を回り込む第2回り込み部分WP2を有している。本実施形態では、「第1方向DIR1に視た第1固定極膜31の端部」は、第1固定極膜31の第3方向DIR3の反対方向の端部である。第1配線61の導体は、第1振動極膜23が曲げられている状態において、第2回り込み部分WP2と接触するように、静電型スピーカ10aの第1方向DIR1の端に配置される。第1配線61の導体は、第1配線61の基材より第1方向DIR1と反対方向に位置する。第1振動極膜23は、第1配線61に電気的に接続され、かつ、第2配線62及び第3配線63に電気的に接続されない。すなわち、第2回り込み部分WP2は、第1配線61に接続される。また、第2固定極膜41は、複数の配線60と複数の振動極膜22との間にある。
【0045】
接続部70は、図10に示すように、第1方向DIR1に視て、第1固定極膜31の第3方向DIR3の端部の外側、及び、第2固定極膜41の第3方向DIR3の端部の外側から、第1配線61、第1振動極膜23の第2回り込み部分WP2、第1固定極膜31及び第2固定極膜41を挟み込む。これにより、接続部70は、第1振動極膜23の第2回り込み部分WP2を支持する。
【0046】
同様に、第2配線62の導体は、第2振動極膜24が曲げられている状態において、第2振動極膜24の第2回り込み部分WP2と接触するように、静電型スピーカ10aの第1方向DIR1の端に配置される。第2配線62の導体は、第2配線62の基材より第1方向DIR1と反対方向に位置する。第2振動極膜24は、第2配線62に電気的に接続され、かつ、第1配線61及び第3配線63に電気的に接続されない。また、第3配線63の導体は、第3振動極膜25が曲げられている状態において、第3振動極膜25の第2回り込み部分WP2と接触するように、静電型スピーカ10aの第1方向DIR1の端に配置される。第3配線63の導体は、第3配線63の基材より第1方向DIR1と反対方向に位置する。第3振動極膜25は、第3配線63に電気的に接続され、かつ、第1配線61及び第2配線62に電気的に接続されない。
【0047】
静電型スピーカ10aによれば、静電型スピーカ10aを、より容易に作製することができる。より詳細には、複数の振動極膜22のそれぞれを静電型スピーカ10の端部から固定極層の外側に引き出す。その後、固定極層の外側に引き出された複数の振動極膜22のそれぞれに複数の配線60のそれぞれを接続する。その後、接続部70が、複数の配線60のそれぞれ、及び、複数の振動極膜22のそれぞれの第2回り込み部分WP2を挟み込む。これにより、静電型スピーカ10aをより容易に作製することができる。
【0048】
[第2の実施形態]
以下に、本発明の第2の変形例に係る静電型スピーカ10bについて、図を参照しながら説明する。図11は、第2の実施形態に係る静電型スピーカ10bの分解斜視図である。図12は、第2の実施形態に係る複数の配線60を第1方向DIR1に視た平面図である。なお、図11では、複数の第1開口部OP1及び複数の第2開口部OP2の内の代表的な第1開口部OP1及び第2開口部OP2にのみ参照符号を付した。なお、図11及び図12では、複数の第5開口部OP5、複数の第6開口部OP6及び複数の第7開口部OP7の内の代表的な第5開口部OP5、第6開口部OP6及び第7開口部OP7にのみ参照符号を付した。なお、本発明の第2の実施形態に係る静電型スピーカ10bについては、第1の実施形態に係る静電型スピーカ10aと異なる部分のみ説明し、後は省略する。
【0049】
静電型スピーカ10bは、図11に示すように、複数の配線60が第1方向DIR1に視て第1固定極膜31の複数の第1開口部OP1に重なる複数の第2開口部を有している点において、静電型スピーカ10と相違する。
【0050】
本実施形態では、複数の配線60のそれぞれが複数の接続部70のそれぞれに挟み込まれる前、かつ、複数の配線60が第1固定極層30の第1主面S1上に配置されている状態において、複数の配線60のそれぞれ、及び、第1固定極膜31には、一括して複数の開口部が設けられる。第1固定極膜31に設けられる複数の開口部は、図11に示すように、第1開口部OP1であり、複数の配線60のそれぞれに設けられる開口部は、複数の第5開口部OP5、複数の第6開口部OP6及び複数の第7開口部OP7である。
【0051】
第1配線61、第2配線62及び第3配線63は、図11及び図12に示すように、複数の第5開口部OP5、複数の第6開口部OP6及び複数の第7開口部OP7を有している。複数の第5開口部OP5は、互いに離間して配置されている。複数の第6開口部OP6は、互いに離間して配置されている。複数の第7開口部OP7は、互いに離間して配置されている。また、複数の第5開口部OP5のそれぞれは、第1配線61を第1方向DIR1に貫通している。複数の第6開口部OP6のそれぞれは、第2配線62を第1方向DIR1に貫通している。複数の第7開口部OP7のそれぞれは、第3配線63を第1方向DIR1に貫通している。また、複数の第5開口部OP5、複数の第6開口部OP6及び複数の第7開口部OP7のそれぞれは、第1方向DIR1に視て、円形状の全部又は一部を有している。第5開口部OP5、第6開口部OP6及び第7開口部OP7は、本発明の「第2開口部」に対応する。
【0052】
複数の第5開口部OP5、複数の第6開口部OP6及び複数の第7開口部OP7のそれぞれの外縁は、図11に示すように、第1方向DIR1に視て、第1固定極膜31の複数の第1開口部OP1のそれぞれの外縁の全部又は一部と一致している。
【0053】
静電型スピーカ10bによれば、複数の配線60の配置の自由度を向上させることができる。より詳細には、複数の配線60のそれぞれ、及び、第1固定極膜31には、一括して複数の開口部が設けられる。これにより、複数の第5開口部OP5、複数の第6開口部OP6及び複数の第7開口部OP7のそれぞれの外縁は、第1方向DIR1に視て、第1固定極膜31の複数の第1開口部OP1のそれぞれの外縁の全部又は一部と一致する。従って、複数の配線60が、第1方向DIR1に視て、複数のスペーサ50に重なる位置に配置されていなくても、複数の配線60が静電型スピーカ10の放音に影響を与えないようにすることができる。その結果、静電型スピーカ10bによれば、複数の配線60の配置の自由度を向上させることができる。
【0054】
[その他の実施形態]
本発明に係る静電型スピーカは、静電型スピーカ10,10a,10bに限らず、その要旨の範囲において変更可能である。また、静電型スピーカ10,10a,10bの構造を任意に組み合わせてもよい。
【0055】
なお、複数のベースフィルム21は、複数の振動極膜22より第1方向DIR1と反対方向に配置されていてもよい。
【0056】
なお、第1振動極膜23、第2振動極膜24、第3振動極膜25は、第2方向DIR2に平行な直線上にこの順に並んでいなくてもよい。
【0057】
なお、複数の振動極膜22のそれぞれ(第1振動極膜23、第2振動極膜24及び第3振動極膜25)の材料は、アルミニウムや銀等に限られない。
【0058】
なお、第1電極32の材料及び第2電極42の材料のそれぞれは、アルミニウムや銀等に限られない。また、第1基材33の材料及び第2基材43のそれぞれは、PET、PP等の絶縁性の樹脂フィルム、又は、紙に限られない。
【0059】
なお、振動極層20、第1固定極層30、第2固定極層40、第1振動極膜23、第2振動極膜24及び第3振動極膜25のそれぞれは、第1方向DIR1に視て、矩形状を有していなくてもよい。
【0060】
なお、複数の第1開口部OP1及び複数の第2開口部OP2のそれぞれは、第2方向DIR2と、第3方向DIR3と、にそれぞれ9個及び11個が配列される二次元配列により、配置されていなくてもよい。
【0061】
なお、複数の第1開口部OP1及び複数の第2開口部OP2のそれぞれは、第1方向DIR1に視て、円形状を有していなくてもよい。
【0062】
なお、第1スペーサ51の外縁は、第1方向DIR1に視て、第1固定極層30と一致していなくてもよい。第1スペーサ51は、第1方向DIR1に視て、第1固定極層30及び振動極層20と重なっていればよい。
【0063】
なお、第2スペーサ52の外縁は、第1方向DIR1に視て、第2固定極層40と一致していなくてもよい。第2スペーサ52は、第1方向DIR1に視て、第2固定極層40及び振動極層20と重なっていればよい。
【0064】
なお、複数の第3開口部OP3及び複数の第4開口部OP4のそれぞれは、第2方向DIR2と、第3方向DIR3と、にそれぞれ3個及び3個が配列される二次元配列により、配置されていなくてもよい。
【0065】
なお、複数の第3開口部OP3及び複数の第4開口部OP4のそれぞれは、第1方向DIR1に視て、矩形状を有していなくてもよい。
【0066】
なお、複数の配線60の数は、3つに限られない。複数の配線60の数は、複数の振動極膜22の数と一致していればよい。
【0067】
なお、複数の配線60は、それぞれ導体のみからなっていてもよい。
【0068】
なお、複数の配線60のそれぞれの導体の材料は、アルミニウムに限られない。
【0069】
なお、複数の配線60のそれぞれの基材の材料は、紙に限られない。
【0070】
なお、静電型スピーカ10において、複数の振動極膜22は、第1方向DIR1に視て、第3方向DIR3と反対方向にはみ出ていてもよい。この場合、「第1方向DIR1に視た第1固定極膜31の端部」は、第1固定極膜31の第3方向DIR3の反対方向の端部である。
【0071】
なお、静電型スピーカ10aにおいて、複数の振動極膜22は、第1方向DIR1に視て、第3方向DIR3にはみ出ていてもよい。この場合、「第1方向DIR1に視た第1固定極膜31の端部」は、第1固定極膜31の第3方向DIR3の端部である。
【0072】
なお、接続部70は、クリップでなくてもよい。
【0073】
なお、静電型スピーカ10,10a,10bは、複数の接続部70に限らず、1つの接続部70を備えていてもよい。
【0074】
なお、複数の第5開口部OP5、複数の第6開口部OP6及び複数の第7開口部OP7のそれぞれの外縁は、第1方向DIR1に視て、第1固定極膜31の複数の第1開口部OP1のそれぞれの外縁の全部又は一部と一致していなくてもよい。複数の第5開口部OP5、複数の第6開口部OP6及び複数の第7開口部OP7のそれぞれは、第1方向DIR1に視て、第1固定極膜31の複数の第1開口部OP1のそれぞれと重なっていればよい。
【0075】
なお、複数の第5開口部OP5、複数の第6開口部OP6及び複数の第7開口部OP7のそれぞれは、第1方向DIR1に視て、円形状の全部又は一部を有していなくてもよい。
【0076】
なお、静電型スピーカ10,10a,10bにおいて、第2固定極膜41は、複数の第2開口部OP2を有していなくてもよい。
【0077】
なお、静電型スピーカ10aにおいて、第1固定極膜31は、複数の第1開口部OP1を有していなくてもよい。
【0078】
なお、静電型スピーカ10bにおいて、第2固定極膜41は、複数の配線60と複数の振動極膜22との間にあってもよい。この場合、第2固定極膜41が、第1方向DIR1に視て、複数の第2開口部OP2を有し、かつ、複数の配線60が、第1方向DIR1に視て、複数の第2開口部OP2に重なる複数の第5開口部OP5、複数の第6開口部OP6及び複数の第7開口部OP7を有していればよい。
【0079】
なお、第1スペーサ51は、第1固定極層30と一体化されていてもよい。また、第2スペーサ52は、第2固定極層40と一体化されていてもよい。
【0080】
本実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
10,10a,10b:静電型スピーカ
20:振動極層
21:ベースフィルム
22:振動極膜
23:第1振動極膜
24:第2振動極膜
25:第3振動極膜
30:第1固定極層
31:第1固定極膜
32:第1電極
33:第1基材
40:第2固定極層
41:第2固定極膜
42:第2電極
43:第2基材
50:スペーサ
51:第1スペーサ
52:第2スペーサ
60:配線
61:第1配線
62:第2配線
63:第3配線
70:接続部
80:電源
81:第1駆動信号発生部
82:第2駆動信号発生部
83:第1直流バイアス発生部
84:第2直流バイアス発生部
85:第3直流バイアス発生部
DIR1:第1方向
DIR2:第2方向
DIR3:第3方向
OP1:第1開口部
OP2:第2開口部
OP3:第3開口部
OP4:第4開口部
OP5:第5開口部
OP6:第6開口部
OP7:第7開口部
S1:第1主面
S2:第2主面
S3:第3主面
S4:第4主面
WP1:第1回り込み部分
WP2:第2回り込み部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12