IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工サーマルシステムズ株式会社の特許一覧

特開2023-161820電動圧縮機用制御基板及び電動圧縮機
<>
  • 特開-電動圧縮機用制御基板及び電動圧縮機 図1
  • 特開-電動圧縮機用制御基板及び電動圧縮機 図2
  • 特開-電動圧縮機用制御基板及び電動圧縮機 図3
  • 特開-電動圧縮機用制御基板及び電動圧縮機 図4
  • 特開-電動圧縮機用制御基板及び電動圧縮機 図5
  • 特開-電動圧縮機用制御基板及び電動圧縮機 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161820
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】電動圧縮機用制御基板及び電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20160101AFI20231031BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20231031BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20231031BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20231031BHJP
【FI】
H02P29/00
F04B39/00 106Z
F04C29/00 T
F04B39/00 102Z
F04B39/00 102U
H02K11/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072407
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】服部 誠
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 剛毅
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
5H501
5H611
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB06
3H003AC03
3H003BB08
3H003CF01
3H129AA02
3H129AA16
3H129AB03
3H129BB21
3H129CC27
5H501AA09
5H501BB04
5H501BB05
5H501BB06
5H501CC04
5H501JJ03
5H501KK07
5H611BB01
5H611BB06
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】振動を抑制すること。
【解決手段】電動圧縮機は、電動モータと、電動モータの出力により回転される圧縮機と、電動モータを駆動制御するモータ制御装置とを備えている。モータ制御装置は、電動圧縮機を制御するための制御基板50を備える。制御基板50は、絶縁IC51が実装された第1層50aと、絶縁トランス52が実装された第4層50cとを備える多層基板とされている。絶縁IC51と絶縁トランス52とは、平面視において少なくとも一部が重複するように実装されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の素子が実装された第1層と、第2の素子が実装された第n層(nは2以上の整数)とを備える多層基板とされ、
前記第1の素子と前記第2の素子が、平面視において少なくとも一部が重複するように実装されている電動圧縮機用制御基板。
【請求項2】
前記第1の素子及び前記第2の素子のそれぞれが絶縁素子である請求項1に記載の電動圧縮機用制御基板。
【請求項3】
前記第1の素子及び前記第2の素子の少なくとも一方が接続された配線パターンに接続されるノイズ対策素子を備える請求項1又は2に記載の電動圧縮機用制御基板。
【請求項4】
前記第1層に設けられた第1グランドパターンと、
前記第n層に設けられた第nグランドパターンと、
を備え、
前記第1グランドパターンと前記第nグランドパターンとは電気的に接続された共通グランドパターンとされており、
前記第1層及び前記第n層の少なくとも一方において、前記共通グランドパターンに接続されるノイズ対策素子が実装されている請求項1又は2に記載の電動圧縮機用制御基板。
【請求項5】
前記第1層に設けられた第1電源パターンと、
前記第n層に設けられた第n電源パターンと、
を備え、
前記第1電源パターンと前記第n電源パターンとは電気的に接続された共通電源パターンとされており、
前記第1層及び前記第n層の少なくとも一方において、前記共通電源パターンに接続されるノイズ対策素子が実装されている請求項1又は2に記載の電動圧縮機用制御基板。
【請求項6】
基板固定穴が設けられている請求項1又は2に記載の電動圧縮機用制御基板。
【請求項7】
電動モータと、
電動モータの出力により回転される圧縮機と、
電動モータを駆動制御するモータ制御装置と、
を備え、
前記モータ制御装置は、請求項1又は2に記載の電動圧縮機用制御基板を備える電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動圧縮機用制御基板及び電動圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動圧縮機として、例えば、車両用空調装置等に用いられる電動圧縮機が知られている。電動圧縮機は、例えば、電動モータと、電動モータの出力により回転される圧縮機と、それらを収容するハウジングと、電動モータを駆動制御するモータ制御装置とを備えている。また、モータ制御装置は、電動モータを制御するための各種電子部品が実装された制御基板を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-202699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動圧縮機は、圧縮機の回転駆動によってハウジングが振動する。この振動は、モータ制御装置を構成する制御基板にも伝わるため、制御基板に振動対策を講じる必要がある。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、振動を抑制することのできる電動圧縮機用制御基板及び電動圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電動圧縮機用制御基板は、第1の素子が実装された第1層と、第2の素子が実装された第n層(nは2以上の整数)とを備える多層基板とされ、前記第1の素子と前記第2の素子は、平面視において少なくとも一部が重複するように実装されている。
【0007】
本開示の一態様に係る電動圧縮機は、電動モータと、電動モータの出力により回転される圧縮機と、電動モータを駆動制御するモータ制御装置とを備え、前記モータ制御装置は、上記記載の電動圧縮機用制御基板を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る電動圧縮機用制御基板及び電動圧縮機によれば、振動を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る電動圧縮機を示す側面図である。
図2】本開示の一実施形態に係る制御基板の一部をY軸方向から見たときの側面図である。
図3】本開示の一実施形態に係る制御基板の第1層の平面図である。
図4】本開示の一実施形態に係る制御基板の中間層を構成する各層の平面図である。
図5】本開示の一実施形態に係る制御基板の第4層の平面図である。
図6】本開示の他の実施形態に係る制御基板の一部をY軸方向から見たときの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る電動圧縮機用制御基板及び電動圧縮機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る電動圧縮機100を示す側面図である。図1に示すように、電動圧縮機100は、圧縮機20と、圧縮機20を駆動する電動モータ30と、電動モータを駆動制御するモータ制御装置40とを備えている。
圧縮機20、電動モータ30、及びモータ制御装置40は、密閉された内部空間を形成するハウジング(筐体)10内に収容されている。ハウジング10は、例えば、アルミニウム合金により形成されている。本実施形態に係る電動圧縮機100は、例えば、車両用空気調和機に用いられる。
【0011】
ハウジング10には、例えば、低圧冷媒ガスを吸入する冷媒吸入ポート14が設けられている。また、ハウジング10には、圧縮された冷媒ガスを外部に吐出する冷媒吐出ポート15が設けられている。
【0012】
圧縮機20は、冷媒吸入ポート14から吸入した低圧冷媒ガスを圧縮して冷媒吐出ポート15へ吐出する装置である。圧縮機20は、例えば、電動モータ30が回転させる駆動軸に連結される旋回スクロール(図示略)とハウジング10に固定される固定スクロール(図示略)とを有する。
【0013】
電動モータ30は、モータ制御装置40から供給される交流電流により交流磁場を発生させるステータ(図示略)と交流磁場から受ける磁力により回転するロータ(図示略)と、ロータと圧縮機20を連結する駆動軸(図示略)とを備える。電動モータ30は、駆動軸を回転させることにより、圧縮機20を駆動する。
【0014】
モータ制御装置40は、電動モータ30の回転数を制御することにより、圧縮機20の回転制御を行う。モータ制御装置40は、例えば、電動モータ30を駆動するために高電圧電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換する制御などを行う。また、モータ制御装置40は、車両用空調装置の制御のために通信線を介してECU(Engine Control Unit)と接続され、ECUとの間で制御信号を送受信し、それに基づいて電動モータ30に印加する交流電力を制御する。モータ制御装置40は、後述するように、電動モータ30を制御するための各種素子が実装された制御基板(電動圧縮機用制御基板)50(図2参照)を備えている。制御基板50には、例えば、電動モータ30に三相交流電流を出力するUVW出力端子を有するインテリジェントパワーモジュール(図示略)等が実装されている。
【0015】
モータ制御装置40の制御基板50に搭載されているマイコン等を含む車両の電装系統は、車載バッテリーから供給される電力によって動作する。車載バッテリーから供給される電圧は、電動モータ30を駆動するための高電圧電源の電圧とは値が大きく異なる。電動モータ30を駆動するための高電圧が車載バッテリーの系統など他の電装系統に印加されると故障につながるため、制御基板50において、車載バッテリーの系統である低電圧系統(一次側回路)と高電圧電源の系統である高電圧系統(二次側回路)とは絶縁されている。
【0016】
次に、本実施形態に係る制御基板50について図面を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係る制御基板50の一部をY軸方向から見たときの側面図を示している。すなわち、図2には、本実施形態に係る制御基板50の一部の領域が例示されている。
【0017】
図2に示すように、制御基板50は、複数の基板が重ね合わされて積層された多層基板とされている。本実施形態では、第1層50a、2層の基板からなる中間層50b、及び第4層50cの基板が積層された4層基板を例示しているが、積層される層の数はこの例に限定されず、2層以上であればよい。
【0018】
制御基板50は、第1の素子が実装された第1層50aと、第2の素子が実装された第n層(n=4)50cとを備えている。本実施形態において、第1の素子として絶縁IC51が、第2の素子として絶縁トランス52を例示して説明するが、この例に限られない。第1の素子、第2の素子は、これらに限られず、電子部品であればよい。第1の素子、第2の素子は、例えば、本実施形態で例示する絶縁素子であってもよい。また、振動を抑制するとの観点から、比較的大型な電子部品であるとよい。
【0019】
絶縁IC51と、絶縁トランス52とは、平面視において少なくとも一部が重複するように実装されている。例えば、絶縁IC51と、絶縁トランス52とは、制御基板50の表面に垂直なZ軸上に配置されている。
【0020】
図2において、制御基板50の表面側、すなわち、第1層50aの表面側に、絶縁IC51が実装され、また、制御基板50の裏面側、すなわち、第4層50cの裏面側に、絶縁トランス52が実装されている。ここで、絶縁IC51が実装される基板は、第1層50aに限られない。また、絶縁IC51が設けられる面は、表面、裏面を問わない。また、絶縁トランス52が実装される基板は、第4層50cに限られない。また、絶縁トランス52が実装される面は、表面、裏面を問わない。例えば、中間層50bに、絶縁IC51及び絶縁トランス52の少なくともいずれか一方が設けられるような構成とされていてもよい。この場合、中間層50bは、素子が実装される空間をあけて配置されていることとなる。また、多層基板とは、図2に示すように、複数の基板が隙間なく重ねられている場合の他、空間をあけて互いに積層されている場合も含む。
【0021】
制御基板50には、制御基板50をハウジング10(図1参照)に取り付けて固定するための基板固定穴60が設けられている。基板固定穴60は、絶縁IC51及び絶縁トランス52の近傍に設けられるとよい。このような位置に設けられることにより、振動抑制効果を高めることができる。制御基板50は、例えば、締結ボルト(図示略)によって、基板固定穴60を通じてハウジング10に固定される。
【0022】
図3には、制御基板50の第1層(表面基板)の平面図が示されている。図3において、中央には、絶縁IC51が配置されている。以下、絶縁IC51の中心をXYZ座標系の原点として定義し、X軸正側を右側、X軸負側を左側、Y軸正側を上側、Y軸負側を下側と表現する。
【0023】
絶縁IC51は、例えば、圧縮機20を駆動する電動モータ30を制御するマイコンである。図3において、絶縁IC51の下側領域には一次側回路が配置されている。また、絶縁IC51の上側領域には二次側回路が配置されている。上述したように、二次側回路には、一次側回路よりも高電圧が印加される。
【0024】
図3において、絶縁IC51の右側領域には、例えば、電源パターンが設けられている。電源パターンは、例えば、絶縁ICの右下領域に設けられた一次側電源パターン53aと、右上領域に設けられた二次側電源パターン53bとを備えている。
【0025】
一次側電源パターン53aと二次側電源パターン53bとは、1又は複数のコンデンサ(ノイズ対策素子)によって接続されている。図3では、直列に接続されたコンデンサ55a、55b、55cによって一次側電源パターン53aと二次側電源パターン53bとが接続された場合を例示している。
一次側電源パターン53aには、絶縁IC51の1次側回路の第1端子P1が接続されている。また、二次側電源パターン53bには、絶縁IC51の2次側回路の第5端子P5が接続されている。また、絶縁IC51が備える他の端子については、それぞれ所定のパターンと接続されている。なお、図3において、他の端子が接続されるパターンは途中から図示が省略されている。
【0026】
第1層50aにおいて、絶縁IC51の左側には、グランドパターンが配置されている。グランドパターンは、例えば、絶縁IC51の左下領域に設けられた一次側グランドパターン56aと、左上領域に設けられた二次側グランドパターン56bとを備えている。
【0027】
一次側グランドパターン56aと二次側グランドパターン56bとは、1又は直列に接続された複数のコンデンサ(ノイズ対策素子)によって接続されている。図3では、直列に接続された3つのコンデンサ57a、57b、57cによって一次側グランドパターン56aと二次側グランドパターン56bとが接続された場合を例示している。このように、異なるグランドパターンを渡る場所にコンデンサ(ノイズ対策素子)57a、57b、57cを接続することにより、制御基板50から発生するノイズを低減することが可能となる。
【0028】
一次側グランドパターン56aには、絶縁ICの1次側回路の第4端子P4が接続されている。また、二次側グランドパターン56bには、絶縁ICの2次側回路の第8端子P8が接続されている。
【0029】
このように、制御基板50は、絶縁IC51が接続された配線パターンに接続されるノイズ対策素子を備えている。
【0030】
図4には、中間層50bを構成する各層の平面図が示されている。すなわち、本実施形態において、中間層50bである第2層及び第3層は、同じパターン構成とされている。図4に示されるX軸、Y軸、Z軸は、図3に示したX軸、Y軸、Z軸とそれぞれ対応している。中間層50bには、一次側グランドパターン58aと、二次側グランドパターン58bとが設けられている。この一次側グランドパターン58aは、第1層50aに設けられた一次側グランドパターン56aと接続されている。同様に、二次側グランドパターン58bは、第1層50aに設けられた二次側グランドパターン56bと接続されている。なお、図4に示す中間層50bにおいて、第1層50aに設けられた絶縁IC51及びコンデンサ55a~55c、57a~57cとの位置関係がわかるように、それら素子が点線で示されている。
【0031】
図5には、制御基板50の第4層(裏面基板)50cの平面図が示されている。図5に示されるX軸、Y軸、Z軸は、図3に示したX軸、Y軸、Z軸とそれぞれ対応している。図5において、第4層50cの中央には、絶縁トランス52が配置されている。絶縁トランス52は、8つの端子を備える素子であり、各端子は、所定のパターンと接続されている。なお、図5において、各端子が接続されるパターンは途中から図示が省略されている。
【0032】
また、第4層50cには、複数のグランドパターンが設けられている。例えば、グランドパターンは、絶縁トランス52の一次側と二次側とにそれぞれ設けられている。グランドパターンは、例えば、絶縁トランス52の右下領域に設けられた一次側グランドパターン59aと、絶縁トランス52の左下領域に設けられた一次側グランドパターン59bと、絶縁トランス52の右上領域に設けられた二次側グランドパターン59cと、絶縁トランス52の左上領域に設けられた二次側グランドパターン59dとを備えている。
【0033】
一次側グランドパターン59a及び59cは、中間層50bに設けられた一次側グランドパターン58aと接続されている。すなわち、一次側グランドパターン59a,59bは、中間層50bの一次側グランドパターン58aを通じて第1層50aの一次側グランドパターン56aと接続されている。すなわち、一次側グランドパターン56a,58a,59a,59bは、共通化され、同電位とされている。
【0034】
同様に、二次側グランドパターン59c及び59dは、中間層50bに設けられた二次側グランドパターン58bと接続されている。すなわち、二次側グランドパターン59c,59dは、中間層50bの二次側グランドパターン58bを通じて第1層50aの二次側グランドパターン56bと接続されている。すなわち、二次側グランドパターン56b,58b,59c,59dは、共通化され、同電位とされている。
【0035】
第4層50cにおいて、一次側グランドパターン59aと二次側グランドパターン59cとは、1又は直列に接続された複数のコンデンサ(ノイズ対策素子)によって接続されていてもよい。例えば、図5には、一次側グランドパターン59aと二次側グランドパターン59cとを3つのコンデンサで接続するためのランド及びパターン62aが形成されている。
【0036】
同様に、一次側グランドパターン59bと二次側グランドパターン59dとは、1又は直列に接続された複数のコンデンサ(ノイズ対策素子)によって接続されていてもよい。例えば、図5には、一次側グランドパターン59bと二次側グランドパターン59dとを3つのコンデンサで接続するためのランド及びパターン62bが形成されている。
このように、ランド及びパターン62a,62bが形成されていることにより、ノイズの発生状況等に応じて、ノイズ対策素子であるコンデンサを容易に増設することが可能となる。
【0037】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る制御基板50は、以下の作用効果を奏する。
制御基板50は、絶縁IC(第1の素子)51が実装された第1層50aと、絶縁トランス(第2の素子)52が実装された第4層とを備える多層基板とされ、絶縁IC51と絶縁トランス52とは、平面視において少なくとも一部が重複するように実装されている。
これにより、振動に強い構造とすることが可能となり、振動を抑制することができる。
また、絶縁素子は、大型化する傾向にある。このような比較的大型な素子である絶縁IC51と絶縁トランス52とを平面視において少なくとも一部が重複するように実装することにより、振動の抑制効果を更に高めることが可能となる。
【0038】
制御基板50は、第1層50aに設けられた一次側グランドパターン56aと、第4層50cに設けられた一次側グランドパターン59a,59bとを備え、これら一次側グランドパターン56a,59a,59bは電気的に接続された共通グランドパターンとされている。更に、制御基板50は、第1層50aに設けられた二次側グランドパターン56bと、第4層50cに設けられた二次側グランドパターン59c,59dとを備え、これら二次側グランドパターン56b,59c,59dは電気的に接続された共通グランドパターンとされている。そして、第1層50aには、これら共通グランドパターンに接続されるコンデンサ(ノイズ対策素子)57a~57cが実装されている。
【0039】
これにより、制御基板50に設けられている部品や配線等から発生するノイズを低減させることが可能となる。特に、絶縁を要する回路周辺は自己ノイズにおけるノイズ対策が必要である。本実施形態によれば、絶縁IC51、絶縁トランス52の近傍にノイズ対策素子を配置することができる。これにより、第1層50aに設けられたノイズ対策素子の効果を第4層50cに設けられた絶縁トランス52も得ることができ、基板面積の小型、コストダウンを図ることが可能となる。
【0040】
なお、上述したグランドパターンに代えて、又は、加えて、絶縁IC51と絶縁トランス52とが接続される電源パターンを共通化することとしてもよい。そして、第1層50a及び第4層50cの少なくとも一方の層が、共通化された電源パターンに接続されるノイズ対策素子を実装することとしてもよい。このように、電源パターンを共通化し、その電源パターンにノイズ対策素子を設置することによっても、グランドパターンのときと同様の効果を得ることが可能となる。また、共通化されたグランドパターンと電源パターンとの両方にノイズ対策素子、例えば、コンデンサを接続することにより、ノイズ低減効果を高めることが可能となる。
【0041】
また、制御基板50には、基板固定穴60が設けられているので、基板固定穴60を通じて制御基板50を電動圧縮機100のハウジング10に固定することが可能となる。これにより、振動を抑制することができるとともに、基板強度を向上させることが可能となる。
【0042】
以上、本開示の制御基板50及び電動圧縮機100について一実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0043】
例えば、図3では、絶縁IC51と絶縁トランス52とがZ軸上において重複するように配置される場合を例示して説明したが、この例に限られない。例えば、図6に他の実施形態の一例として図示するように、絶縁IC(第1素子)51と、絶縁トランス(第2素子)52とは、制御基板50’の表面に垂直なZ軸に平行な直線Z’がそれら素子の一部を貫くように配置されていればよい。すなわち、絶縁IC(第1素子)51と、絶縁トランス(第2素子)52とは、平面視において少なくとも一部が重複するように実装されていればよく、その重なり具合や重なる領域は特に限定されない。また、素子の端子が挿入されるスルーホールに形成される半田ランド(スルーホールを囲うように形成される半田ランド)の一部が互いに重複するように配置されてもよい。
【0044】
以上説明した実施形態に記載の電動圧縮機用制御基板及び電動圧縮機は、例えば以下のように把握される。
【0045】
本開示の第1態様に係る電動圧縮機用制御基板(50,50’)は、第1の素子(51)が実装された第1層(50a)と、第2の素子(52)が実装された第n層(nは2以上の整数)(50c)とを備える多層基板とされ、前記第1の素子と前記第2の素子は、平面視において少なくとも一部が重複するように実装されている。
【0046】
本開示の電動圧縮機用制御基板によれば、第1の素子と第2の素子とが平面視において少なくとも一部が重複するように実装されているので、振動に強い構造とすることが可能となり、振動を抑制することができる。
【0047】
本開示の第2態様に係る電動圧縮機用制御基板は、前記第1態様において、前記第1の素子及び前記第2の素子のそれぞれが絶縁素子とされていてもよい。
【0048】
絶縁素子は、大型化する傾向にある。このような比較的大型の絶縁素子を平面視において少なくとも一部が重複するように実装することにより、振動の抑制効果を高めることが可能となる。
絶縁素子とは、素子内部で入力側と出力側とが絶縁された素子である。
【0049】
本開示の第3態様に係る電動圧縮機用制御基板は、前記第1態様又は前記第2態様において、前記第1の素子及び前記第2の素子の少なくとも一方が接続された配線パターン(53a,53b,56a,56b)に接続されるノイズ対策素子(55a~55c,57a~57c)を備えていてもよい。
【0050】
本開示の電動圧縮機用制御基板によれば、ノイズ対策素子を備えるので、電動圧縮機用制御基板に設けられている部品や配線パターン等から発生するノイズを低減させることが可能となる。更に、第1の素子と第2の素子とは、平面視において少なくとも一部が重複するように実装されている。換言すると、第1の素子と第2の素子とは基板を挟んで比較的近傍に設けられている。これにより、ノイズ対策素子の効果を第1の素子及び第2の素子の両方が共有することができる。これにより、基板面積の小型、コストダウンを図ることが可能となる。
【0051】
本開示の第4態様に係る電動圧縮機用制御基板は、前記第1態様又は前記第2態様において、前記第1層に設けられた第1グランドパターン(56a,56b)と、前記第n層に設けられた第nグランドパターン(59a~59b,59c~59d)とを備え、前記第1グランドパターンと前記第nグランドパターンとは電気的に接続された共通グランドパターンとされており、前記第1層及び前記第n層の少なくとも一方において、前記共通グランドパターンに接続されるノイズ対策素子(57a~57c)が実装されていてもよい。
【0052】
本開示の電動圧縮機用制御基板によれば、ノイズ対策素子の効果を第1の素子及び第2の素子の両方が得ることが可能となる。このように、第1の素子及び第2の素子とでノイズ対策素子を共有することができるので、基板面積の小型、コストダウンを図ることが可能となる。
【0053】
本開示の第5態様に係る電動圧縮機用制御基板は、前記第1態様又は前記第2態様において、前記第1層に設けられた第1電源パターン(53a、53b)と、前記第n層に設けられた第n電源パターンとを備え、前記第1電源パターンと前記第n電源パターンとは電気的に接続されて共通電源パターンとされており、前記第1層及び前記第n層の少なくとも一方において、前記共通電源パターンに接続されるノイズ対策素子が実装されていてもよい。
【0054】
本開示の電動圧縮機用制御基板によれば、ノイズ対策素子の効果を第1の素子及び第2の素子の両方が得ることが可能となる。このように、第1の素子及び第2の素子とでノイズ対策素子を共有することができるので、基板面積の小型、コストダウンを図ることが可能となる。
【0055】
本開示の第6態様に係る電動圧縮機用制御基板は、前記第1態様から前記第5態様のいずれかにおいて、基板固定穴(60)が設けられていてもよい。
【0056】
本開示の電動圧縮機用制御基板によれば、基板固定穴を通じて制御基板を電動圧縮機のハウジングに固定することが可能となる。これにより、振動を抑制することができるとともに、基板強度を向上させることが可能となる。
【0057】
本開示の電動圧縮機(100)は、電動モータ(30)と、電動モータの出力により回転される圧縮機(20)と、電動モータを駆動制御するモータ制御装置(40)とを備え、前記モータ制御装置は、前記第1態様から前記第6態様のいずれかに係る電動圧縮機用制御基板(50,50’)を備える。
【符号の説明】
【0058】
10 :ハウジング
20 :圧縮機
30 :電動モータ
40 :モータ制御装置
50 :制御基板(電動圧縮機用制御基板)
50a :第1層
50b :中間層
50c :第4層(第n層)
51 :絶縁IC(第1の素子)
52 :絶縁トランス(第2の素子)
53a :一次側電源パターン(第1電源パターン)
53b :二次側電源パターン(第1電源パターン)
55a :コンデンサ(ノイズ対策素子)
55b :コンデンサ(ノイズ対策素子)
55c :コンデンサ(ノイズ対策素子)
56a :一次側グランドパターン(第1グランドパターン)
56b :二次側グランドパターン(第1グランドパターン)
57a :コンデンサ(ノイズ対策素子)
57b :コンデンサ(ノイズ対策素子)
57c :コンデンサ(ノイズ対策素子)
58a :一次側グランドパターン
58b :二次側グランドパターン
59a :一次側グランドパターン(第nグランドパターン)
59b :一次側グランドパターン(第nグランドパターン)
59c :二次側グランドパターン(第nグランドパターン)
59d :二次側グランドパターン(第nグランドパターン)
60 :基板固定穴
100 :電動圧縮機
図1
図2
図3
図4
図5
図6