(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016183
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】おしぼりケース
(51)【国際特許分類】
B65D 85/18 20060101AFI20230126BHJP
【FI】
B65D85/18 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120331
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】521033022
【氏名又は名称】Shisyuoshibori.com株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】村口 義之
【テーマコード(参考)】
3E068
【Fターム(参考)】
3E068AA40
3E068AB03
3E068BB01
3E068CC03
3E068CE03
3E068CE08
3E068CE11
3E068DD06
3E068DD26
3E068DE12
3E068EE25
3E068EE32
(57)【要約】
【課題】重厚感と高級感が得られることに加え、繰り返し使用するときにも容易におしぼりを手にすることができる、おしぼりケースを提供する。
【解決手段】蓋部10と皿部20とこれらを束ねる組紐30(紐状体)を備えたおしぼりケース1である。蓋部10は、おしぼりAを覆うときに、おしぼりAの上方に位置する天板11と、おしぼりAの周囲に位置する側板12とを有する。皿部20は、おしぼりAを載せる載置領域部21と、載置領域部21に隣接しており蓋部10の側板12の下面と接する平坦な蓋受け領域部22とを有する。皿部20の底面には、組紐30の紐31が嵌合可能な溝が刻設されていてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
おしぼりを覆うときに、おしぼりの上方に位置する天板と、おしぼりの周囲に位置する側板とを有する蓋部と、
おしぼりを載せる載置領域部と、前記載置領域部に隣接しており前記蓋部の側板の下面と接する蓋受け領域部とを有する皿部と、
を備えた、おしぼりケース。
【請求項2】
前記蓋部と前記皿部を束ねる紐状体を備えた、請求項1に記載のおしぼりケース。
【請求項3】
前記皿部の底面に、前記紐状体の紐が嵌合可能な溝が刻設されている、請求項2に記載のおしぼりケース。
【請求項4】
前記皿部の底面に、複数の脚部が設けられている、請求項1又は2に記載のおしぼりケース。
【請求項5】
前記蓋部と前記皿部を束ねる紐状体を備え、
前記複数の脚部は、少なくとも第1脚部と第2脚部とを有し、前記第1脚部と前記第2脚部との間に前記紐状体の紐が嵌合可能な隙間が形成されている、請求項4に記載のおしぼりケース。
【請求項6】
前記蓋部と前記皿部を束ねる紐状体を備え、
前記紐状体は、紐の一端に係止部を有すると共に、紐の他端には前記係止部を通すことが可能で前記係止部と紐の境界部分に掛けることにより前記蓋部と前記皿部の結束状態を維持する環状部を備えた、請求項2~5の何れかに記載のおしぼりケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おしぼりケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲食店では、オーダーした商品が配膳される前に、店側から顧客に対し、
図8に示すような、おしぼり201が提供される。その際、おしぼり201を載せる器として、おしぼり皿202が多く使用されている。
【0003】
また、本発明者は、おしぼりが提供される会食の場において、贈り主から受取人に対し心のこもったビデオメッセージを贈ることが可能な、おしぼり収納器を提案した(特許文献1)。
【0004】
特許文献1のおしぼり収納器100は、
図9に示すように、おしぼりを収納する収納部110と、収納部110の内部に配置されるカード部120を備える。カード部120の表面にはQRコード(登録商標)121が表示されている。
【0005】
カード部120は、おしぼり収納器100を利用したサービスを提供する事業者が、贈り主からの依頼を受けて製作する。事業者は、贈り主から送付されたビデオメッセージを動画サイトにアップロードし、その動画ファイルにアクセスするためのURLアドレスが記録されたQRコード(登録商標)121を生成し、カード部120に印刷する。事業者は、製作したカード部120と共に、おしぼりA、収納部110、蓋130を会食が行われる店舗に送付する。
【0006】
会食当日、受取人は、
図10(a)の状態から蓋130を開けるとカード部120に気付き、周囲の人から促されて、
図10(b)に示すように、スマートフォンSに付属しているカメラでQRコード(登録商標)121を読み取る。すると、スマートフォンSのブラウザアプリがQRコード(登録商標)に記録されたURLアドレスを認識する。これにより受取人は、会食の場で動画ファイルにアクセスし、贈り主が作成したビデオメッセージを視聴することができる。
【0007】
上記おしぼり収納器100は、蓋130を有することで、
図8に示すような通常のおしぼり皿202と比べると斬新で、初見のインパクトが強い上に、高級感も得られ、すし店や高級レストランなどでも採択され易いものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、おしぼりは、食事を始める前に手を清潔にするために一度使用するほか、食事中も手の汚れが気になれば繰り返し使用するものである。
【0010】
しかし、特許文献1のおしぼり収納器100は、
図10(b)に示すように、収納部110の側壁111の高さXがロール状に巻いたおしぼりAの直径とほぼ同じくらいであるため、おしぼりAの大部分が収納部110の内部に嵌った状態となり、おしぼりAを収納部110に一旦戻すと、再度おしぼりAを使用したいときに取り出しにくいという問題があった。
【0011】
本発明は、蓋を有することで初見のインパクトが強く、重厚感と高級感が得られることに加え、繰り返し使用するときにも容易におしぼりを手にすることができる、おしぼりケースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
おしぼりを覆うときに、おしぼりの上方に位置する天板と、おしぼりの周囲に位置する側板とを有する蓋部と、
おしぼりを載せる載置領域部と、載置領域部に隣接しており蓋部の側板の下面と接する蓋受け領域部とを有する皿部と、
を備えた、おしぼりケースである。
【0013】
第2発明は、蓋部と皿部を束ねる紐状体を備えている。
【0014】
第3発明は、皿部の底面に、紐状体の紐が嵌合可能な溝が刻設されている。
【0015】
第4発明は、皿部の底面に、複数の脚部が設けられている。
【0016】
第5発明では、複数の脚部は、少なくとも第1脚部と第2脚部とを有し、第1脚部と第2脚部との間に紐状体の紐が嵌合可能な隙間が形成されている。
【0017】
第6発明では、紐状体は、紐の一端に係止部を有すると共に、紐の他端には係止部を通すことが可能で係止部と紐の境界部分に掛けることにより蓋部と皿部の結束状態を維持する環状部を備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明のおしぼりケースは、蓋部と皿部とで構成される。蓋部は、おしぼりを覆うときに、おしぼりの上方に位置する天板と、おしぼりの周囲に位置する側板とを備えている。皿部は、おしぼりを載せる載置領域部と、載置領域部に隣接しており蓋部の側板の下面と接する蓋受け領域部とを備えている。
【0019】
そのため、本発明では、例えば会食の場でテーブルの上に置かれるときは、皿部の蓋受け領域部の上に蓋部をのせた状態となり、一見しただけでは中におしぼりが入っていることは予想できず、初見のインパクトが強く、かつ蓋部を有することで重厚感及び高級感が得られる。加えて、本発明では、載置領域部と連続している蓋受け領域部が蓋部の側板の下面と接する平坦な面であることから、従来のおしぼり収納器のようにおしぼりが収納部の内部に嵌って取り出しにくくなることがない。本発明では、一度使用したおしぼりは容易に皿部の載置領域部に戻すことができる上、再度おしぼりを使用するときも容易に皿部の載置領域部からおしぼりを手にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施形態に係るおしぼりケースについて、蓋部、皿部、組紐の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、皿部の蓋受け領域部の上に蓋部をのせ、組紐をかけて結束した状態を示す図である。
【
図3】
図3は、組紐を解いて蓋部を空け、おしぼりを一度使用した後、皿部の載置領域部に戻した状態を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るおしぼりケースの皿部の構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は底面図、(d)は底面に刻設された溝の部分の拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係るおしぼりケースの皿部の構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は底面図、(d)は第1脚部と第2脚部の間に形成された隙間の部分の拡大斜視図である。
【
図6】
図6は、皿部の上に蓋部をのせた状態の正面図であり、(a)は第1実施形態の図、(b)は第2実施形態の図である。
【
図7】
図7は、組紐の他の例を示す図であり、(a)は係止部及び環状部を有する組紐の例、(b)は係止部及び環状部を有さない組紐の例である。
【
図9】
図9は、従来のおしぼり収納器の構成を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、従来のおしぼり収納器の使用状態を示す図で、(a)は蓋を閉じた状態を、(b)はカード部に表示されたQRコード(登録商標)の情報をスマートフォンで読み取っている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、その用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0022】
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態のおしぼりケース1は、木製で、底が無い直方体状の箱体からなる蓋部10と、同じく木製で、板状の部材からなる皿部20とで構成される。
【0023】
蓋部10は、おしぼりAを覆うときに、おしぼりAの上方に位置する天板11と、おしぼりAの周囲に位置する側板12とを備える。蓋部10を閉じているときに天板11及び側板12は、おしぼりAとは非接触の状態である。側板12は、
図1に矢印で示した左、右、前、後の各方向に計4枚存在する。Bは、おしぼりAに刺繍された「〇〇寿司」等の店舗名のロゴである。
【0024】
皿部20は、おしぼりAを載せる凹状の載置領域部21と、この載置領域部21の表面となだらかに連続し、蓋部20を閉じた状態のときに蓋部20の側板の下面と接する平坦な蓋受け領域部22とを備える。載置領域部21は、おしぼりAが転がらず安定するように、
図1に示す正面側から見た場合、中央部が下向きに僅かに湾曲した形状としている(
図4(a)及び
図5(a)も参照)。載置領域部21の長手方向(
図1の前後方向)の長さはおしぼりAよりも長いものとしている。載置領域部21の短手方向(
図1の左右方向)両側には、蓋受け領域部22がそれぞれ連続配置されて、載置領域部21と隣接している。蓋受け領域部22の長さは載置領域部21と同じである。載置領域部21の底部と蓋受け領域部22の高低差は、ロール状に巻いた状態のおしぼりAの径の例えば1/30~1/10程度であり、高低差は極めて小さいものである。
【0025】
よって、本実施形態では、従来のおしぼり収納器のようにおしぼりAが収納部に嵌って取り出しにくくなることはない。一度使用したおしぼりAは、
図3に示すように容易に皿部20の載置領域部21に戻すことができるし、再度おしぼりAを使用するときも容易におしぼりAを手にすることが可能となる。
【0026】
おしぼりケース1は、蓋部10と皿部20を束ねる組紐30を備える。この組紐30は紐状体に相当するものである。組紐30を用いることにより、飲食店において顧客のテーブルにおしぼりケース1を出す際に、蓋部10の位置がずれてしまうのを防止することができる。また、組紐30を用いることで、おしぼりケース1のデザイン性が向上すると共にデザインの種類が豊富となり、利用シーンに応じたものを提案しやすくなる。
【0027】
本実施形態の組紐30は、紐31の一端に紐31の径よりもサイズが大きい球状の係止部32を備え、紐31の他端には輪状になった環状部33を備える。環状部33は、輪状部分に係止部32を通すことが可能で、係止部32を通した後、
図2に示すように、係止部32と紐31の境界部分に掛けるだけで、ワンタッチの操作で蓋部10と皿部20を結束することができる。
【0028】
皿部20の底面20a(載置領域部21のおしぼりAを置く面ではなくその裏側となる面)の長手方向中央部には、
図4(b)~(d)に示すように、組紐30の紐31が嵌合可能な溝23が刻設されている。
図4(d)に示す溝23の幅W1(mm)は、組紐30の紐31の径R(mm)の2倍と同じかそれよりも若干大きいサイズとする。また、溝23の深さD(mm)は、組紐30の紐31の径Rと同じかそれよりも若干大きいサイズとする。
【0029】
溝23の幅W1及び深さDと、組紐30の紐31の径Rについて、2本の組紐30を引き揃えて、捩じれのない美しい状態で結束するための好ましい範囲は、下記のとおりである。
2R ≦ W1 ≦ 2.5R
R ≦ D ≦ 1.5R
【0030】
本実施形態では、皿部20の上に蓋部10を置き、それらの周囲を組紐30で束ねたときに、皿部20の底面において組紐30の紐31が出張って不安定になることはない。組紐30は溝23に収納されるため、結束状態においても皿部20の底面20aはフラットな状態であり、おしぼりケース1が安定する。
【0031】
[第2実施形態]
第2実施形態のおしぼりケース1についても、蓋部10、皿部20及び組紐30で構成される点、蓋部10が天板11と側板12を備える点、皿部20が載置領域部21と蓋受け領域部22を備える点は、第1実施形態のおしぼりケース1と同じである。
【0032】
第2実施形態のおしぼりケース1が、第1実施形態のおしぼりケース1と異なるのは、皿部20の底面に、複数の脚部24が設けられている点である。複数の脚部24は、例えば
図5(c)に示すように、コの字状の第1脚部25と、第1脚部25を左右反転させた形状の第2脚部26で構成されていてもよい。あるいは、皿部20の底面の4つの角部にそれぞれL字状の脚部24を取り付けた構成でもよい(図示は省略)。
【0033】
上記いずれの構成の場合も、脚部24の高さL(mm)は、組紐30の紐31の径Rと同じか紐31の径Rよりも若干高いサイズとする。これにより、組紐30で蓋部10及び皿部20を束ねたときに皿部20の底面において紐31が出張って不安定になることはなく、複数の脚部24によっておしぼりケース1は安定した状態となる。
【0034】
より好ましくは、
図5(d)に示すように、第1脚部25と第2脚部26との間に組紐30の紐31が嵌合可能な隙間27を形成する。この隙間27の幅W2(mm)は、組紐30の紐31の径Rの2倍と同じか若干大きいサイズとする。
【0035】
隙間27の幅W2、脚部24の高さL、組紐30の紐31の径Rについて、2本の組紐30を引き揃えて、捩じれのない美しい状態で結束するための好ましい範囲は、下記のとおりである。
2R ≦ W2 ≦ 2.5R
R ≦ L ≦ 1.5R
【0036】
第2実施形態のおしぼりケース1では、皿部20の底面に複数の脚部24を設けたことにより、脚部24が存在せず皿部20の底面全域がテーブルとの接地面となる構成と比較すると、テーブル表面の僅かな凹凸の影響を受けにくくなり、おしぼりケース1をテーブル上に置いたときの安定度が高まる。この安定度の向上は、おしぼりケース1が組紐30を有さない構成においても得られる脚部24の二次的な効果である。
【0037】
図6(a)及び(b)は、蓋部10の側板12の厚みYと、皿部20の載置領域部22の幅Zの比較である。上述した第1実施形態及び第2実施形態では、載置領域部22の幅Zは、側板12の厚みYよりも2~2.5倍長いものとしている。
【0038】
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0039】
例えば、上述の実施形態では、蓋部10と皿部20は共に木製のものを示したが、材質はこれに限らず、金属、石材、樹脂など、所望の素材を用いることができる。
【0040】
また、紐状体の材質、デザイン、形状は、上述の実施形態の組紐30に限定されない。例えば係止部32と環状部33を設ける場合は、
図7(a)に示すようなデザインの組紐30aでもよい。あるいは、紐状体は、伸縮可能なゴム紐でもよいし、
図7(b)に示すような、手で結んで使用する撚り紐30bでもよい。また、紐状体の本数や取り付け位置についても特に限定されない。
【0041】
もっとも、おしぼりケース1を利用する飲食店の厨房は多忙であることが多いため、上述の実施形態で示した組紐30や
図7(a)で示した組紐30aのように、係止部32と環状部33を有することにより、ワンタッチで簡単に結束できて手間がかからない組紐を用いる方が好ましい。
【0042】
このような組紐30,30aは、係止部32と環状部33の組合せによって立体感のあるデザインとなり、ゴム紐などと比較すると見栄えがするのでおしぼりケース1の重厚感や高級感がより一層高まる。
【0043】
また、側板12の厚みYと載置領域部22の幅Zの関係は、上述の実施形態に示したものに限らず、厚みYと幅Zは、例えば同じであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 おしぼりケース
10 蓋部
11 天板
12 側板
20 皿部
20a 底部
21 載置領域部
22 蓋受け領域部
23 溝
24 脚部
25 第1脚部
26 第2脚部
27 隙間
30,30a,30b 紐状体(組紐,撚り紐)
31 紐
32 係止部
33 環状部
A おしぼり