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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161835
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】漏れ検出装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
F02M25/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072431
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋山 孝典
【テーマコード(参考)】
3G144
【Fターム(参考)】
3G144BA22
3G144BA40
3G144CA16
3G144FA04
3G144GA24
3G144GA26
3G144HA02
3G144HA11
3G144HA21
3G144HA29
(57)【要約】
【課題】漏れ検出装置の構成が複雑となることを抑制しつつ蒸発燃料が漏れる状態であるか否かを精度良く検出する。
【解決手段】漏れ検出装置は、蒸発燃料処理装置の内部領域と外部領域に連通する第1通路と、第1通路を開閉可能な第1開閉弁と、第1通路のうちの第1開閉弁よりも内部領域側に位置する第1上流通路および第1通路のうちの第1開閉弁よりも外部領域側に位置する第1下流通路のそれぞれに連通する圧力室と、圧力室を、第1上流通路を介して内部領域に連通する内圧室および第1下流通路を介して外部領域に連通する外圧室とに仕切っている仕切体と、第1上流通路に接続される第2通路と、第2通路を開閉可能な第2開閉弁と、第2通路上に配置されており、第1上流通路を通じて内圧室の圧力を調整可能なポンプと、内圧室の圧力と外圧室の圧力との差に応じて仕切体が所定量以上変動したことを検出する検出部と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発燃料処理装置の内部領域から外部領域に蒸発燃料が漏れる状態であるか否かを検出する漏れ検出装置であって、
前記蒸発燃料処理装置の前記内部領域と前記外部領域に連通する第1通路と、
前記第1通路を開閉可能な第1開閉弁と、
前記第1通路のうちの前記第1開閉弁よりも前記内部領域側に位置する第1上流通路と、前記第1通路のうちの前記第1開閉弁よりも前記外部領域側に位置する第1下流通路とのそれぞれに連通する圧力室と、
前記圧力室を、前記第1上流通路を介して前記内部領域に連通する内圧室と、前記第1下流通路を介して前記外部領域に連通する外圧室とに仕切っている仕切体と、
前記第1上流通路に接続される第2通路と、
前記第2通路を開閉可能な第2開閉弁と、
前記第2通路上に配置されており、前記第1上流通路を通じて前記内圧室の圧力を調整可能なポンプと、
前記内圧室の前記圧力と前記外圧室の圧力との差に応じて前記仕切体が所定量以上変動したことを検出する検出部と、を備えている、漏れ検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の漏れ検出装置であって、
前記ポンプは、前記第1上流通路内の気体を吸引することにより、前記内圧室の前記圧力を前記外圧室の前記圧力よりも低くする、漏れ検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の漏れ検出装置であって、
前記第1上流通路と前記第2通路との接続箇所よりも前記内部領域側の前記第1上流通路と前記内圧室とに接続される第3通路をさらに備えており、
前記第1上流通路は、前記第1上流通路の通路断面積が最小となる第1絞り部を備えており、
前記第1絞り部は、前記第1上流通路と前記第2通路との前記接続箇所と、前記第1上流通路と前記第3通路との接続箇所と、の間に配置されている、漏れ検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の漏れ検出装置であって、
前記第3通路は、前記第3通路の通路断面積が最小となる第2絞り部を備えており、
前記第1絞り部の通路断面積は、前記第2絞り部の通路断面積よりも小さい、漏れ検出装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の漏れ検出装置であって、
制御部をさらに備えており、
前記制御部は、前記第1開閉弁の開閉と前記第2開閉弁の開閉を制御することにより、前記第1開閉弁が閉じており前記第2開閉弁が閉じている第1状態と、前記第1開閉弁が閉じており前記第2開閉弁が開いている第2状態と、前記第1開閉弁が開いている第3状態と、に切り替え可能である、漏れ検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の漏れ検出装置であって、
前記制御部は、
前記第2状態であるときに、前記ポンプを動作させることにより前記内圧室の前記圧力を調整し、
前記第2開閉弁を閉じて、前記第2状態から前記第1状態に切り替え、
前記第1状態であるときに、前記仕切体が所定量以上変動したことを前記検出部が検出したか否かを監視する、漏れ検出装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載の漏れ検出装置であって、
前記第1開閉弁は、ステッパモータにより駆動される、漏れ検出装置。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載の漏れ検出装置であって、
前記第1開閉弁は、
前記第1通路を開閉する第1弁部と、
前記第1弁部に連結されている第1シャフトと、を備えており、
前記第2開閉弁は、
前記第2通路を開閉する第2弁部と、
前記第2弁部に連結されている第2シャフトと、を備えており、
前記第1シャフトと前記第2シャフトの一方は、前記第1シャフトと前記第2シャフトの他方に挿入されている、漏れ検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、漏れ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に漏れ検出装置が開示されている。漏れ検出措置は、蒸発燃料処理装置の内部領域から外部領域に蒸発燃料が漏れる状態であるか否かを検出する。漏れ検出装置は、蒸発燃料処理装置の内部領域に連通するタンク通路と、蒸発燃料処理装置の外部領域に連通する開放通路と、タンク通路と開放通路との連通を許容および禁止する第1弁と、タンク通路に接続される接続通路と、タンク通路と接続通路との連通を許容および禁止する第2弁と、開放通路に接続される排気通路と、接続通路と排気通路に接続されるポンプと、接続通路に配置されている圧力センサと、接続通路で分岐されるオリフィス通路と、を備えている。オリフィス通路には、オリフィスが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-28060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の漏れ検出装置では、第1弁が開いており、第2弁が閉じている状態で、ポンプが動作すると、接続通路の圧力が低くなる。タンク通路内の混合ガスは、オリフィス通路を介して接続通路に流入する。オリフィスがオリフィス通路に配置されるため、接続通路の圧力が基準圧力まで低くなる。次に、第1弁が閉じられて、第2弁が開かれる。接続通路の圧力が一旦高くなり、その後に低くなる。接続通路の圧力が基準圧力よりも高いとき、許容量以上の蒸発燃料が漏れることとなる。
【0005】
上記の漏れ検出装置では、オリフィス通路に配置されるオリフィスが接続通路に流入する混合ガスを絞ることにより、接続通路の圧力が低くなる。許容量以上の蒸発燃料が漏れるか否かを検出するためには、このオリフィスを内部領域で許容されるリーク孔よりも小さくする必要がある、例えば、オリフィスを直径0.5mm以下とする必要がある。これにより、蒸発燃料処理装置の構成が複雑となる。
【0006】
本明細書は、漏れ検出装置の構成が複雑となることを抑制しつつ蒸発燃料が漏れる状態であるか否かを精度良く検出することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示する第1の態様では、漏れ検出装置は、蒸発燃料処理装置の内部領域から外部領域に蒸発燃料が漏れる状態であるか否かを検出する。漏れ検出装置は、蒸発燃料処理装置の内部領域と外部領域に連通する第1通路と、第1通路を開閉可能な第1開閉弁と、第1通路のうちの第1開閉弁よりも内部領域側に位置する第1上流通路および第1通路のうちの第1開閉弁よりも外部領域側に位置する第1下流通路のそれぞれに連通する圧力室と、圧力室を、第1上流通路を介して内部領域に連通する内圧室および第1下流通路を介して外部領域に連通する外圧室とに仕切っている仕切体と、第1上流通路に接続される第2通路と、第2通路を開閉可能な第2開閉弁と、第2通路上に配置されており、第1上流通路を通じて内圧室の圧力を調整可能なポンプと、内圧室の圧力と外圧室の圧力との差に応じて仕切体が所定量以上変動したことを検出する検出部と、を備えている。
【0008】
蒸発燃料処理装置では、例えば、蒸発燃料処理装置の一部にリーク孔が開くことにより、内部領域から外部領域に蒸発燃料が漏れる状態になることがある。例えば、蒸発燃料処理装置の一部を構成するキャニスタや通路にリーク孔が開くことにより、蒸発燃料が漏れる状態になることがある。内部領域から外部領域に蒸発燃料が漏れる状態であると、内部領域が密閉されていたとしても、内部領域の圧力が変動することがある。例えば、内部領域の圧力が外部領域の圧力よりも低いときに、蒸発燃料が漏れる状態であると、外部領域の気体が内部領域に流入することにより、内部領域の圧力が上昇することがある。または、内部領域の圧力が外部領域の圧力よりも高いときに、蒸発燃料が漏れる状態であると、内部領域の蒸発燃料が外部領域に漏れることにより、内部領域の圧力が低下することがある。
【0009】
上記の構成によれば、内圧室が内部領域に連通している。このため、内部領域の圧力が変動すると、それに伴い、内圧室の圧力が変動する。内圧室の圧力が変動すると、内圧室の圧力と外圧室の圧力の差が変動することにより、内圧室と外圧室を仕切る仕切体が変動する。例えば、内部領域の圧力が高くなると、仕切体が内圧室側から外圧室側に変動する。また、内部領域の圧力が低くなると、仕切体が外圧室側から内圧室側に変動する。上記の構成によれば、検出部が仕切体の変動を検出することにより、内圧室の圧力と外圧室の圧力の差が変動することが検出される。内圧室の圧力と外圧室の圧力の差の変動に基づいて、許容量以上の蒸発燃料が漏れるか否かを検出することができる。また、上記の漏れ検出装置は従来技術のようなオリフィスを備えることなく、内圧室の圧力と外圧室の圧力の差の変動が検出される。これにより、漏れ検出装置の構成が複雑となることを抑制しつつ蒸発燃料が漏れる状態であるか否かを精度良く検出することができる。
【0010】
第2の態様では、第1の態様において、ポンプは、第1上流通路内の気体を吸引することにより、内圧室の圧力を外圧室の圧力よりも低くしてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、第1上流通路内の気体が吸引されると、内部領域の圧力が負圧となる。内部領域に蒸発燃料が発生しているときでも、蒸発燃料がリーク孔を介して外部領域に漏れることを抑制することができる。
【0012】
第3の態様では、第1または第2の態様において、漏れ検出装置は、第1上流通路と第2通路との接続箇所よりも内部領域側の第1上流通路と内圧室とに接続される第3通路をさらに備えていてもよい。第1上流通路は、第1上流通路の通路断面積が最小となる第1絞り部を備えていてもよい。第1絞り部は、第1上流通路と第2通路との接続箇所と、第1上流通路と第3通路との接続箇所と、の間に配置されていてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、ポンプの動作に伴い発生する空気の脈動が、検出部に検出されることを抑制することができる。
【0014】
第4の態様では、第3の態様において、第3通路は、第3通路の通路断面積が最小となる第2絞り部を備えていてもよい。第1絞り部の通路断面積は、第2絞り部の通路断面積よりも小さくてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、ポンプの動作に伴い発生する空気の脈動が、検出部に検出されることをより抑制することができる。
【0016】
第5の態様では、第1から第4の態様のいずれか一つにおいて、漏れ検出装置は、制御部をさらに備えていてもよい。制御部は、第1開閉弁の開閉と第2開閉弁の開閉を制御することにより、第1開閉弁が閉じており第2開閉弁が閉じている第1状態と、第1開閉弁が閉じており第2開閉弁が開いている第2状態と、第1開閉弁が開いている第3状態と、に切り替え可能であってもよい。
【0017】
上記の構成によれば、制御部が第1状態と第2状態とを切り替えることにより、許容量以上の蒸発燃料が漏れるか否かを検出することができる。また、制御部が第3状態に切り替えることにより、例えば蒸発燃料処理装置による蒸発燃料の供給時や蒸発燃料処理装置への給油時に、内部領域から外部領域への通気抵抗を低くすることができる。
【0018】
第6の態様では、第5の態様において、制御部は、第2状態であるときに、ポンプを動作させることにより内圧室の圧力を調整し、第2開閉弁を閉じて、第2状態から第1状態に切り替え、第1状態であるときに、仕切体が所定量以上変動したことを検出部が検出したか否かを監視してもよい。
【0019】
上記の構成によれば、ポンプの動作により内圧室の圧力が調整された後に、第2開閉弁が閉じられる。このため、内圧室の圧力が調整された後、内圧室はポンプの影響を受けない。これにより、ポンプの影響を受けることなく、許容量以上の蒸発燃料が漏れるか否かを検出することができる。
【0020】
第7の態様では、第1から第6の態様のいずれか一つにおいて、第1開閉弁は、ステッパモータにより駆動されてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、ステッパモータへの通電を停止しても、第1開閉弁を、開いた状態や閉じた状態に維持することができる。
【0022】
第8の態様では、第1から第7の態様のいずれか一つにおいて、第1開閉弁は、第1通路を開閉する第1弁部と、第1弁部に連結されている第1シャフトと、を備えていてもよい。第2開閉弁は、第2通路を開閉する第2弁部と、第2弁部に連結されている第2シャフトと、を備えていてもよい。第1シャフトと第2シャフトの一方は、第1シャフトと第2シャフトの他方に挿入されていてもよい。
【0023】
上記の構成によれば、第1開閉弁と第2開閉弁が大型化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施例に係る蒸発燃料処理装置の模式図である。
図2】第1実施例に係る漏れ検出装置が第1状態にあるときの模式図である。
図3】第1実施例に係る漏れ検出装置が第2状態にあるときの模式図である。
図4】第1実施例に係る漏れ検出装置が第3状態にあるときの模式図である。
図5】第1実施例に係る漏れ検出装置が第1状態にあるときの弁ユニットの模式図である。
図6】第1実施例に係る漏れ検出装置が第2状態にあるときの弁ユニットの模式図である。
図7】第1実施例に係る漏れ検出装置が第3状態にあるときの弁ユニットの模式図である。
図8】漏れ検出処理のフローチャートである。
図9】第2実施例に係る漏れ検出装置の弁ユニットの模式図である。
図10】第2実施例に係る漏れ検出装置の弁ユニットの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施例)
図1に示すように、第1実施例に係る漏れ検出装置10は、車両に搭載される蒸発燃料処理装置20に設置されている。
【0026】
蒸発燃料処理装置20を説明する。蒸発燃料処理装置20は、燃料タンク22と、タンク通路26と、キャニスタ28と、パージ通路30と、切替弁32と、漏れ検出装置10と、大気通路36と、エアフィルタ38と、制御部40と、を備えている。燃料タンク22の内部と、タンク通路26の内部と、キャニスタ28の内部は、蒸発燃料処理装置20の内部領域44を構成している。
【0027】
燃料タンク22は、車両のエンジン(図示省略)に供給される燃料を貯留する。燃料タンク22は、タンク通路26に接続されている。燃料タンク22には、燃料タンク22の内部の圧力を検出する圧力センサ24が設けられていてもよい。
【0028】
キャニスタ28は、蒸発燃料を吸着可能である。キャニスタ28は、タンクポート28aと、パージポート28bと、大気ポート28cと、を備えている。タンクポート28aは、タンク通路26に接続されている。
【0029】
パージ通路30の一端は、パージポート28bに接続されている。パージ通路30の他端は、車両のエンジンに吸引される空気が流れる吸気通路(図示省略)に接続されている。パージ通路30を流れる蒸発燃料は、吸気通路に供給される。切替弁32は、パージ通路30を開閉する。
【0030】
漏れ検出装置10は、大気ポート28cに接続されている。大気通路36の一端は、漏れ検出装置10に接続されている。また、大気通路36の他端は、蒸発燃料処理装置20の外部領域46(例えば、蒸発燃料処理装置20が搭載されている車両の外部の大気領域)と連通している。エアフィルタ38は、大気通路36を流れる気体から異物を除去する。
【0031】
制御部40は、圧力センサ24から燃料タンク22の内部の圧力を取得する。また、制御部40は、切替弁32の開閉を制御する。さらに、制御部40は漏れ検出装置10を制御する。このため、制御部40の一部は、漏れ検出装置10の制御部に対応する。以下では、漏れ検出装置10の制御部を、単に制御部40と呼ぶことがある。
【0032】
漏れ検出装置10の構成を詳しく説明する。図2から図4に示すように、漏れ検出装置10は、第1通路50と、第2通路58と、第3通路64と、第4通路68と、圧力室72と、を備えている。また、漏れ検出装置10は、弁ユニット76と、ポンプ122と、検出ユニット126と、を備えている。
【0033】
第1通路50は、第1上流通路52と、第1下流通路54と、を備えている。以下では、内部領域44側から外部領域46側に蒸発燃料が流れると仮定して、内部領域44側を上流側と呼び、外部領域46側を下流側と呼ぶ。第1上流通路52は、第1通路50を流れる蒸発燃料の流れ方向において、第1下流通路54よりも上流側(内部領域44側)に配置されている。第1上流通路52は、大気ポート28c(図1参照)に接続されている。これにより、第1通路50は、蒸発燃料処理装置20の内部領域44と連通している。第1下流通路54は、大気通路36(図1参照)に接続されている。これにより、第1下流通路54は、大気通路36を介して蒸発燃料処理装置20の外部領域46と連通している。
【0034】
第1上流通路52は、第1上流通路52の通路断面積が絞られている第1絞り部56を備えている。第1絞り部56の通路断面積は、第1上流通路52の通路断面積の内で最も小さい。
【0035】
第2通路58は、第1上流接続箇所60で、第1上流通路52に接続されている。第2通路58と第1上流通路52との接続箇所である第1上流接続箇所60は、第1絞り部56よりも下流側(外部領域46側)に配置されている。第1上流接続箇所60よりも上流側(内部領域44側)に第1絞り部56が配置されている。また、第2通路58は、第1下流接続箇所62で、第1下流通路54に接続されている。第2通路58と第1下流通路54との接続箇所である第1下流接続箇所62は、第1上流接続箇所60よりも下流側(外部領域46側)に配置されている。
【0036】
第3通路64は、第2上流接続箇所66で、第1上流通路52に接続されている。第3通路64と第1上流通路52との接続箇所である第2上流接続箇所66は、第1上流接続箇所60よりも上流側(内部領域44側)に配置されている。第2上流接続箇所66よりも下流側(外部領域46側)に第1絞り部56が配置されている。第3通路64は、第3通路64の通路断面積が絞られている第2絞り部67を備えている。第2絞り部67の通路断面積は、第3通路64の通路断面積の内で最も小さい。第2絞り部67の通路断面積は、第1絞り部56の通路断面積よりも大きい。即ち、第1絞り部56の通路断面積は、第2絞り部67の通路断面積よりも小さい。第3通路64は、第2上流接続箇所66とは反対側において、圧力室72に接続されている。
【0037】
第4通路68は、第2下流接続箇所70で、第1下流通路54に接続されている。第4通路68と第1下流通路54との接続箇所である第2下流接続箇所70は、第下流接続箇所62よりも下流側(外部領域46側)に配置されている。第4通路68は、第2下流接続箇所70とは反対側において、圧力室72に接続されている。
【0038】
次に、弁ユニット76を説明する。弁ユニット76は、第1通路50内に配置されている。以下では、弁ユニット76が配置される第1通路50内の空間を、弁空間55と呼ぶ。弁ユニット76は、第1開閉弁78と、第2開閉弁100と、を備えている。
【0039】
図5から図7に示すように、第1開閉弁78は、第1弁部80と、第1駆動源92と、を備えている。第1弁部80は、第1通路50を開閉する。第1弁部80は、第1弁本体82と、第1シール部材90と、を備えている。第1弁本体82は、略円筒形状を有する第1筒部84と、第1筒部84の一端に接続された第1接続部86と、第1接続部86に接続された第1螺合部88と、を備えている。第1螺合部88は、第1筒部84よりも小径の略円筒形状を有する。第1螺合部88の内周面には、雌ねじ部88aが形成されている。
【0040】
第1シール部材90は、例えば、弾性部材からなる。第1シール部材90は、例えば、Oリングである。第1シール部材90は、第1筒部84の他端に固定されている。
【0041】
第1駆動源92は、例えば、ステッパモータである。変形例では、第1駆動源92は、比例ソレノイドであってもよい。第1駆動源92は、例えば、ブラシレスモータである。第1駆動源92は、第1シャフト94と、第1コイル96と、を備えている。第1シャフト94は、細長い略円筒形状を有する中空のシャフトである。第1シャフト94の中心軸AXは、第1弁本体82の中心軸AXと略等しい。第1シャフト94は、永久磁石(図示省略)を備えている。第1シャフト94の外周面には、雄ねじ部94aが形成されている。雄ねじ部94aは、雌ねじ部88aと螺合している。これにより、第1シャフト94は、第1弁部80に連結されている。
【0042】
第1コイル96は、第1シャフト94を囲んでいる。第1コイル96は、第1通路50の外部に配置されている。第1コイル96は、モールド樹脂98にモールドされている。変形例では、第1コイル96は、モールド樹脂98にモールドされていなくてもよい。
【0043】
制御部40の制御に伴い第1コイル96に電流が流れると、第1シャフト94は、中心軸AXの周りを回転する。雄ねじ部94aが雌ねじ部88aと螺合しているため、第1シャフト94が回転すると、第1弁部80が中心軸AX上をスライドする。制御部40が第1コイル96に流れる電流を制御することにより、第1弁部80が任意の位置(任意の開度)に調整される。図5および図6に示すように、第1弁部80が所定の位置まで第1方向F1にスライドすると、第1シール部材90が弁空間55を画定する壁面55aと第1筒部84の他端との間に挟まれる。この状態では、第1弁部80が閉じており、第1上流通路52は、第1下流通路54と連通しない。図7に示すように、閉じていた第1弁部80が第1方向F1と反対の第2方向F2にスライドすると、第1シール部材90が壁面55aと第1筒部84の他端との間に挟まれなくなる。この状態では、第1弁部80が開いており、第1上流通路52は、第1下流通路54と連通している。
【0044】
第2開閉弁100は、第2弁部102と、第2駆動源114と、を備えている。第2弁部102は、第2通路58を開閉する。第2弁部102は、第2弁本体104と、第2シール部材110と、付勢部材112と、を備えている。第2弁本体104は、略円板形状を有する第2円板部106と、略円錐台形状を有する第2円錐台部108と、を備えている。第2円錐台部108は、第2円板部106の一端面106aに接続している。
【0045】
第2シール部材110は、例えば、弾性部材からなる。第2シール部材110は、例えば、Oリングである。第2シール部材110は、第2円板部106の一端面106aと反対側の他端面106bに固定されている。
【0046】
付勢部材112は、例えば、圧縮ばねである。付勢部材112は、第2円板部106の一端面106aと第1接続部86のそれぞれに固定されている。付勢部材112は、第2弁本体104を第1接続部86から離れる方向に付勢する。
【0047】
第2駆動源114は、例えば、比例ソレノイドである。変形例では、第2駆動源114は、ステッパモータであってもよい。なお、第2駆動源114は、制御部40により、第1駆動源92と別々に制御される。第2駆動源114は、第2シャフト116と、第2コイル118と、を備えている。第2シャフト116は、第2円錐台部108の頂面に連結されている。第2シャフト116は、第1シャフト94に挿入されている。第2シャフト116の中心軸AXは、第1シャフト94の中心軸AXと略等しい。
【0048】
第2コイル118は、第2シャフト116を囲んでいる。第2コイル118は、第1通路50の外部に配置されている。第2コイル118は、モールド樹脂98にモールドされている。変形例では、第2コイル118は、モールド樹脂98にモールドされていなくてもよい。
【0049】
制御部40の制御に伴い第2コイル118に電流が流れると、第2シャフト116が着磁し、中心軸AX上を第2方向F2にスライドする。第2シール部材110は、第2円板部106の他端面106bと第2通路58の端壁面58aとの間に挟まれていない。この状態では、第2弁部102が開いており、第2通路58は、第1上流通路52と連通している。図5に示すように、第2コイル118に電流が流れなくなると、付勢部材112から第2弁本体104に作用する付勢力により、第2弁本体104と第2シール部材110と第2シャフト116が第1方向F1にスライドする。第2シール部材110は、第2円板部106の他端面106bと端壁面58aとの間に挟まれる。この状態では、第2弁部102が閉じており、第2通路58は、第1上流通路52と連通しない。
【0050】
次に、ポンプ122を説明する。図2から図4に示すように、ポンプ122は、第2通路58に配置されている。ポンプ122は、例えば、ベーンポンプであるが、これに限られず種々のポンプであってもよい。ポンプ122は、第1上流通路52内の気体を吸引する負圧ポンプである。ポンプ122は、第1上流通路52内の気体を吸引することにより、内部領域44内の気体と、圧力室72の内圧室72a内の気体とを吸引する。変形例では、ポンプ122は、第1上流通路52内に気体を送り出す正圧ポンプであってもよい。
【0051】
次に、検出ユニット126を説明する。検出ユニット126は、仕切体128と、検出部130と、を備えている。仕切体128は、例えば、弾性部材からなる。仕切体128は、圧力室72に配置されている。仕切体128は、圧力室72を、内圧室72aと外圧室72bに気密に仕切る。内圧室72aは、第3通路64を介して第1上流通路52に連通することにより、蒸発燃料処理装置20の内部領域44に連通している。このため、内圧室72aの圧力は、内部領域44の圧力に略等しい。外圧室72bは、第4通路68を介して第1下流通路54に連通することにより、蒸発燃料処理装置20の外部領域46に連通している。このため、外圧室72bの圧力は、外部領域46の圧力(大気圧)に略等しい。
【0052】
仕切体128は、内部領域44の圧力と外部領域46の圧力との差に応じて、弾性変形することにより、圧力室72内で内圧室72a側または外圧室72b側に変動する。内部領域44の圧力が外部領域46の圧力よりも低くなると、仕切体128は、内圧室72aの体積を小さくするように(外圧室72bの体積を大きくするように)、内圧室72a側に向かって変動する。仕切体128が、内圧室72a側に所定量変動すると、仕切体128は、内圧室72aを画定する上流壁72a1に当接する。仕切体128が上流壁72a1に当接した状態から内部領域44の圧力が高くなると、仕切体128は、内圧室72aの体積を大きくするように(外圧室72bの体積を小さくするように)、外圧室72b側に向かって変動する。
【0053】
検出部130は、検出器132を備えている。検出132は、上流壁72aに配置されている。検出器132は、仕切体128が上流壁72a1に当接すると、仕切体128と当接する。検出器132は、例えば、押し込み式のマイクロスイッチであり、仕切体128と当接したときに仕切体128により押し込まれる。変形例では、検出器132は、押し込み式のマイクロスイッチ以外の種々の検出器であってもよく、例えば、仕切体128が上流壁72a1に当接することに伴い検出器132に触れたことを検出するタッチセンサであってもよく、仕切体128が上流壁72aに当接したときに光が遮られたことを検出する光センサであってもよい。検出部130は、検出器132により仕切体128が上流壁72a1に当接したこと(仕切体128が所定量以上変動したこと)を検出すると、そのことを示す信号を制御部40に送信する。
【0054】
制御部40は、第1開閉弁78の開閉と、第2開閉弁100の開閉を制御することにより、漏れ検出装置10の状態を第1状態と第2状態と第3状態のいずれかに切り替える。図2および図5に示すように、第1開閉弁78が閉じており、かつ、第2開閉弁100が閉じているとき、漏れ検出装置10は第1状態にある。漏れ検出装置10が第1状態にあるとき、蒸発燃料処理装置20の第1通路50が閉じられ、かつ、第2通路58が閉じられることにより、内部領域44と外部領域46は連通していない。例えば、蒸発燃料処理装置20が搭載されている車両が停車しているときや、車両の走行中であっても切替弁32が閉じられることによりエンジンに蒸発燃料が供給されていないときに、漏れ検出装置10は、第1状態にされる。
【0055】
図3および図6に示すように、第1開閉弁78が閉じており、かつ、第2開閉弁100が開いているとき、漏れ検出装置10は第2状態にある。漏れ検出装置10が第2状態にあるとき、蒸発燃料処理装置20の第2通路58が開かれることにより、内部領域44と外部領域46は、第2通路58を介して連通している。
【0056】
図4および図7に示すように、第1開閉弁78が開いているとき、漏れ検出装置10は第3状態にある。漏れ検出装置10が第3状態にあるとき、蒸発燃料処理装置20の第1開閉弁78が開かれることにより、内部領域44と外部領域46は、第1通路50を介して連通している。例えば、燃料タンク22に燃料が補給されているときや、車両の走行中で切替弁32が開かれることによりエンジンに蒸発燃料が供給されているときに、漏れ検出装置10は、第3状態にされる。
【0057】
図1を参照して上述したように、燃料タンク22の燃料の一部は蒸発しており、蒸発燃料が内部領域44(燃料タンク22の内部とタンク通路26の内部とキャニスタ28の内部)に存在している。例えば、燃料タンク22、タンク通路26、および/またはキャニスタ28の一部に所定の大きさ以上(例えば、φ0.5mm以上)のリーク孔が形成されていると、許容量以上の蒸発燃料が、リーク孔を介して、内部領域44から外部領域46に漏れることがある。
【0058】
次に、内部領域44から外部領域46に蒸発燃料が漏れる状態であるか否かを検出するための漏れ検出処理を説明する。制御部40は、例えば、車両が停車しているときに、図8に示す漏れ検出処理を実行する。漏れ検出処理の開始時では、漏れ検出装置10が第1状態にあるとする。図8のS2では、制御部40は、第1開閉弁78を閉じ、かつ、第2開閉弁100を開いて、漏れ検出装置10を第1状態から第2状態に切り替える。
【0059】
S4では、制御部40は、ポンプ122を始動する。ポンプ122が動作すると、第1上流通路52内の空気が吸引される。ポンプ122が第1上流通路52内の空気を吸引することにより、第1上流通路52の圧力と、第3通路64の圧力と、内圧室72aの圧力と、内部領域44の圧力が低くなる。これにより、内圧室72aの圧力が外圧室72bの圧力よりも低くなり、仕切体128が、上流壁72a1に向かって変動する。第1上流通路52の圧力と、第3通路64の圧力と、内圧室72aの圧力と、内部領域44の圧力が第1圧力(例えば、-0.25kPa)以下となると、仕切体128が上流壁72a1に当接する。仕切体128が上流壁72a1に当接すると、検出部130は、制御部40に信号を送信する。検出部130は、仕切体128が上流壁72a1に当接している間、信号を制御部40に送信し続ける。
【0060】
S6では、制御部40は、検出部130から信号を受信したか否かを判断する。制御部40は、検出部130から信号を受信したと判断する場合(S6でYES)、S8に進む。制御部40は、検出部130から信号を受信しないと判断する場合(S6でNO)、S6で待機する。
【0061】
S8では、制御部40は、検出部130から信号を受信してから所定時間経過したか否かを判断する。制御部40は、検出部130から信号を受信してから所定時間経過したと判断する場合(S8でYES)、S10に進む。検出部130から信号を受信してから所定時間経過したとき、第1上流通路52の圧力と、第3通路64の圧力と、内圧室72aの圧力と、内部領域44の圧力が第2圧力(例えば、-0.30kPa)となる。第2圧力は、第1圧力よりも小さい。
【0062】
S10では、制御部40は、第2開閉弁100を閉じて、漏れ検出装置10を第2状態から第1状態に切り替える。これにより、内部領域44は、外部領域46と連通しなくなる。S12では、制御部40は、ポンプ122を停止する。
【0063】
S14では、制御部40は、S10を実行してから基準期間(例えば、2時間)、検出部130から信号を継続して受信しているか否かを判断する。制御部40は、S10を実行してから基準期間、検出部130から信号を継続して受信していると判断する場合(S14でYES)、S16に進む。このとき、仕切体128は、上流壁72a1に基準期間、当接し続けている。このため、第1上流通路52の圧力と、第3通路64の圧力と、内圧室72aの圧力と、内部領域44の圧力が第1圧力以下に維持されている。
【0064】
一方、第1上流通路52の圧力と、第3通路64の圧力と、内圧室72aの圧力と、内部領域44の圧力が第1圧力よりも高くなると、仕切体128は、外圧室72b側に向かって変動することにより、上流壁72a1から離れる。仕切体128が上流壁72a1から離れると、検出部130から制御部40に信号が送信されなくなる。制御部40は、S10を実行してから基準期間内に、検出部130から信号を受信しなくなったと判断する場合(S14でNO)、S18に進む。
【0065】
S16では、制御部40は、正常であると判定する。正常であることは、許容量以上の蒸発燃料が内部領域44から外部領域46に漏れないことを表す。制御部40は、その後に漏れ検出処理を終了する。
【0066】
S18では、制御部40は、異常であると判定する。異常であることは、許容量以上の蒸発燃料が、リーク孔を介して、内部領域44から外部領域46に漏れることを表す。
【0067】
S20では、制御部40は、例えば、車両の表示パネル内のランプを点灯することにより、異常であることを通知する。制御部40は、その後に漏れ検出処理を終了する。
【0068】
(効果)
本明細書に開示する漏れ検出装置10は、蒸発燃料処理装置20の内部領域44から外部領域46に蒸発燃料が漏れる状態であるか否かを検出する。漏れ検出装置10は、蒸発燃料処理装置20の内部領域44と外部領域46に連通する第1通路50と、第1通路50を開閉可能な第1開閉弁78と、第1通路50のうちの第1開閉弁78よりも内部領域44側に位置する第1上流通路52および第1通路50のうちの第1開閉弁78よりも外部領域46側に位置する第1下流通路54のそれぞれに連通する圧力室72と、圧力室72を、第1上流通路52を介して内部領域44に連通する内圧室72aおよび第1下流通路54を介して外部領域46に連通する外圧室72bとに仕切っている仕切体128と、第1上流通路52に接続される第2通路58と、第2通路58を開閉可能な第2開閉弁100と、第2通路58上に配置されており、第1上流通路52を通じて内圧室72aの圧力を調整可能なポンプ122と、内圧室72aの圧力と外圧室72bの圧力との差に応じて仕切体128が所定量以上変動したことを検出する検出部130と、を備えている。
【0069】
蒸発燃料処理装置20では、例えば、蒸発燃料処理装置20の一部にリーク孔が開くことにより内部領域44から外部領域46に蒸発燃料が漏れる状態になることがある。例えば、蒸発燃料処理装置20の一部を構成するキャニスタ28やタンク通路26にリーク孔が開くことにより、蒸発燃料が漏れる状態になることがある。内部領域44から外部領域46に蒸発燃料が漏れる状態であると、内部領域44が密閉されていたとしても、内部領域44の圧力が変動することがある。例えば、内部領域44の圧力が外部領域46の圧力よりも低いときに、蒸発燃料が漏れる状態であると、外部領域46の気体が内部領域44に流入することにより、内部領域44の圧力が上昇することがある。または、内部領域44の圧力が外部領域46の圧力よりも高いときに、蒸発燃料が漏れる状態であると、内部領域44の蒸発燃料が外部領域46に漏れることにより、内部領域44の圧力が低下することがある。
【0070】
上記の構成によれば、内圧室72aが内部領域44に連通して。このため、内部領域44の圧力が変動すると、それに伴い、内圧室72aの圧力が変動する。内圧室72aの圧力が変動すると、内圧室72aの圧力と外圧室72bの圧力の差が変動することにより、内圧室72aと外圧室72bを仕切る仕切体128が変動する。例えば、内部領域44の圧力が高くなると、仕切体128が内圧室72a側から外圧室72b側に変動する。また、内部領域44の圧力が低くなると、仕切体128が外圧室72b側から内圧室72a側に変動する。上記の構成によれば、検出部130が仕切体128の変動を検出することにより、内圧室72aの圧力と外圧室72bの圧力の差が変動することが検出される。内圧室72aの圧力と外圧室72bの圧力の差の変動に基づいて、許容量以上の蒸発燃料が漏れるか否かを検出することができる。また、上記の漏れ検出装置10は従来技術のようなオリフィスを備えることなく、内圧室72aの圧力と外圧室72bの圧力の差の変動が検出される。これにより、漏れ検出装置10の構成が複雑となることを抑制しつつ蒸発燃料が漏れる状態であるか否かを精度良く検出することができる。
【0071】
また、ポンプ122は、第1上流通路52内の気体を吸引することにより、内圧室72aの圧力を外圧室72bの圧力よりも低くする。
【0072】
上記の構成によれば、第1上流通路52内の気体が吸引されると、内部領域44の圧力が負圧となる。内部領域44に蒸発燃料が発生しているときでも、蒸発燃料がリーク孔を介して外部領域46に漏れることを抑制することができる。
【0073】
また、漏れ検出装置10は、第1上流通路52と第2通路58との第1上流接続箇所60(接続箇所の一例)よりも内部領域44側の第1上流通路52と内圧室72aとに接続される第3通路64をさらに備えている。第1上流通路52は、第1上流通路52の通路断面積が最小となる第1絞り部56を備えている。第1絞り部56は、第1上流通路52と第2通路58との第1上流接続箇所60と、第1上流通路52と第3通路64との第2上流接続箇所66(接続箇所の一例)と、の間に配置されている。
【0074】
上記の構成によれば、ポンプ122の動作に伴い発生する空気の脈動が、検出部130に検出されることを抑制することができる。
【0075】
また、第3通路64は、第3通路64の通路断面積が最小となる第2絞り部67を備えている。第1絞り部56の通路断面積は、第2絞り部67の通路断面積よりも小さい。
【0076】
上記の構成によれば、ポンプ122の動作に伴い発生する空気の脈動が、検出部130に検出されることをより抑制することができる。
【0077】
また、漏れ検出装置10は、制御部40をさらに備えている。制御部40は、第1開閉弁78の開閉と第2開閉弁100の開閉を制御することにより、第1開閉78が閉じており第2開閉弁100が閉じている第1状態と、第1開閉弁78が閉じており第2開閉弁100が開いている第2状態と、第1開閉弁78が開いている第3状態と、に切り替え可能である。
【0078】
上記の構成によれば、制御部40が第1状態と第2状態とを切り替えることにより、許容量以上の蒸発燃料が漏れるか否かを検出することができる。また、制御部40が第3状態に切り替えることにより、例えば蒸発燃料処理装置20による蒸発燃料の供給時や蒸発燃料処理装置20への給油時に、内部領域44から外部領域46への通気抵抗を低くすることができる。
【0079】
また、制御部40は、第2状態であるときに、ポンプ122を動作させることにより内圧室72aの圧力を調整し、第2開閉弁100を閉じて、第2状態から第1状態に切り替え、第1状態であるときに、仕切体128が所定量以上変動したことを検出部130が検出したか否かを監視する。
【0080】
上記の構成によれば、ポンプ122の動作により内圧室72aの圧力が調整された後に、第2開閉弁100が閉じられる。このため、内圧室72aの圧力が調整された後、内圧室72aの圧力はポンプ122の影響を受けない。これにより、ポンプ122の影響を受けることなく、許容量以上の蒸発燃料が漏れるか否かを検出することができる。
【0081】
また、第1開閉弁78は、ステッパモータにより駆動される。
【0082】
上記の構成によれば、ステッパモータへの通電を停止しても、第1開閉弁78を、開いた状態や閉じた状態に維持することができる。
【0083】
また、第1開閉弁78は、第1通路50を開閉する第1弁部80と、第1弁部80に連結されている第1シャフト94と、を備えている。第2開閉弁100は、第2通路58を開閉する第2弁部102と、第2弁部102に連結されている第2シャフト116と、を備えている。第2シャフト116は、第1シャフト94に挿入されている。
【0084】
上記の構成によれば、第1開閉弁78と第2開閉弁100が大型化することを抑制することができる。
【0085】
以上、実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上記の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
(第2実施例)
図9および図10を参照して、第2実施例を説明する。第2実施例では、弁ユニット76の構成が、第1実施例の弁ユニット76の構成と異なる。
【0087】
第1弁本体82は、第1円板部200と、第1フランジ部202と、をさらに備えている。第1円板部200は、第1筒部84の内周面に接続されている。第1円板部200には、第1シール部材90が固定されている。第1円板部200は、中心に開口200aを有する円板形状を有する。開口200aの形状は、第2円板部106の外周面の形状と略等しい。このため、図9に示すように、第2弁部102が閉じているとき、第1円板部200は、第2円板部106の外周面と当接する。
【0088】
第1フランジ部202は、第1筒部84の内部に配置されている。第1フランジ部202は、略円筒形状を有する。第1フランジ部202の一端は、第1接続部86に接続されている。
【0089】
第2弁本体104は、第2フランジ部206をさらに備えている。第2フランジ部206は、略円筒形状を有する。第2フランジ部206は、第2円板部106の一端面106aの周縁に配置されている。
【0090】
第2弁部102は、第3シール部材208をさらに備えている。第3シール部材208は、例えば、弾性部材からなる。第3シール部材208は、例えば、Oリングである。第3シール部材208は、第2フランジ部206に固定されている。第2弁部102が閉じているとき、第3シール部材208は、第2フランジ部206と第1フランジ部202との間に挟まれていない。図10に示すように、第2弁部102が開いているとき、第3シール部材208は、第2フランジ部206と第1フランジ部202との間に挟まれている。このため、ポンプ122(図2-4参照)が動作しても、空気が、第1シャフト94の雄ねじ部94aと第1螺合部88の雌ねじ部88aとの間を流れない。これにより、第1上流通路52内の気体をより吸引することができる。
【0091】
(変形例1)第2通路58は、外部領域46に直接連通していてもよい。
【0092】
(変形例2)第1上流通路52は、第1絞り部56を備えていなくてもよい。また、第3通路64は、第2絞り部67を備えていなくてもよい。
【0093】
(変形例3)第1シャフト94は、第2シャフト116に挿入されていてもよい。
【0094】
(変形例4)内圧室72aは、第1上流通路52に直接連通していてもよい。また、外圧室72bは、第1下流通路54に直接連通していてもよい。
【0095】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0096】
10 :漏れ検出装置
20 :蒸発燃料処理装置
22 :燃料タンク
28 :キャニスタ
40 :制御部
44 :内部領域
46 :外部領域
50 :第1通路
52 :第1上流通路
54 :第1下流通路
55 :弁空間
56 :第1絞り部
58 :第2通路
60 :第1上流接続箇所
64 :第3通路
66 :第2上流接続箇所
67 :第2絞り部
68 :第4通路
72 :圧力室
72a :内圧室
72b :外圧室
76 :弁ユニット
78 :第1開閉弁
80 :第1弁部
82 :第1弁本体
90 :第1シール部材
92 :第1駆動源
94 :第1シャフト
96 :第1コイル
98 :モールド樹脂
100 :第2開閉弁
102 :第2弁部
104 :第2弁本体
110 :第2シール部材
112 :付勢部材
114 :第2駆動源
116 :第2シャフト
118 :第2コイル
122 :ポンプ
126 :検出ユニット
128 :仕切体
130 :検出部
132 :検出器
208 :第3シール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10