(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161837
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】スイッチ及びスイッチシステム
(51)【国際特許分類】
H01H 9/18 20060101AFI20231031BHJP
H01H 13/02 20060101ALI20231031BHJP
G02F 1/1673 20190101ALN20231031BHJP
【FI】
H01H9/18 B
H01H13/02 A
H01H13/02 B
G02F1/1673
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072433
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000230722
【氏名又は名称】NKKスイッチズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】谷村 友彦
【テーマコード(参考)】
2K101
5G052
5G206
【Fターム(参考)】
2K101AA05
2K101BB29
2K101BD61
2K101BE02
5G052AA23
5G052BB01
5G052HA13
5G052JA02
5G052JA08
5G052JB02
5G052JB13
5G206AS45H
5G206DS17Q
5G206NS04
5G206QS15
5G206QS16
5G206RS04
5G206RS37
(57)【要約】
【課題】照光式スイッチにおける表示の利便性が向上させること。
【解決手段】ユーザからの開閉操作を受付ける操作部11の磁気シート111は、N極の磁気を発する磁気ペン2の記入部22が接触した位置を白色から黒色に変化させ、S極の磁気を発する磁気ペン2の消去部23が接触すると黒色白色に変化させることで、白色及び黒色からなる画像を表示させる。ボタンカバー112は、磁気シート111の少なくとも一部を覆う。本体部12は、開閉操作に連動して開閉する接点モジュールを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1極の磁気を発する第1操作器具が接触又は近接した位置を第1色から第2色に変化させ、第2極の磁気を発する第2操作器具が前記位置に接触又は近接すると当該第2色から当該第1色に変化させることで、当該第1色及び当該第2色からなる画像を表示させる磁気シート、
及び
前記磁気シートの少なくとも一部を覆う略透明なカバー、
を有する、開閉操作がなされる操作部と、
前記開閉操作に連動して開閉する接点モジュールを有する本体部と、
を備えるスイッチ。
【請求項2】
前記磁気シートの端部側から当該磁気シートに対して照射する照射部
をさらに備える請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記本体部は、前記開閉操作がなされる方向とは逆方向に向けて発光する発光部をさらに有し、
前記照射部は、前記発光部から発光された光を前記磁気シートの中央部側に曲げることで、前記磁気シートの端部側から当該磁気シートに対して照射する
請求項2に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記磁気シートの透光を減衰する減衰部、
を更に備える請求項3に記載のスイッチ。
【請求項5】
前記本体部と、前記磁気シートとの間に配置され、前記発光部からの光を散乱させるディフューザ、
を更に備える請求項4に記載のスイッチ。
【請求項6】
第1極を発する第1操作器具が接触又は近接した位置を第1色から第2色に変化させ、第2極を発する第2操作器具が前記位置に接触又は近接すると当該第2色から当該第1色に変化させることで、当該第1色及び当該第2色からなる画像を表示させる磁気シート、
及び
前記磁気シートの少なくとも一部を覆う略透明なカバー、
を有する、開閉操作がなされる操作部と、
前記開閉操作に連動して開閉する接点モジュールを有する本体部と、
を備えるスイッチと、
前記第1操作器具と、
前記第2操作器具と
を備えるスイッチシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ及びスイッチシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に光源が配置されることで照光された、押下操作を受付ける押しボタンスイッチが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照光された(照光式)押しボタンスイッチは、暗所に配置され得る操作盤等に用いられる。具体的には例えば、照光式押しボタンスイッチは、テレビジョン放送の編集等、複数のカメラからの映像等の切り替え等を行うオペレータが用いる機器の操作盤に用いられる。
ここで、汎用的な操作盤においては、スイッチの夫々に対して、対応付けられた入出力ポートに応じた文字列等が付されているのが通常である。
【0005】
しかしながら、スイッチに付される文字列は、オペレータにとって理解しやすい表示がなされるのが好適である。具体的には例えば、「全体カメラ」、「Aさんカメラ」等、そのボタンが押下操作された際に実現される機能等が表示されることで、オペレータの直観的な操作を行うことが実現される。更に言えば、このような文字列はオペレータ毎や番組毎に異なるのが通常である。
そこで、オペレータは、オペレータ毎や番組毎に、文字列を記入したテープ等をスイッチの上部や近傍に付していた。このようなテープ等による表示は、テープを張り替える手間が発生し、また、視認性が悪いものとなってしまっていた。
このように、照光式スイッチにおいて任意の表示を行う際の利便性の向上が求められていた。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、照光式スイッチにおける表示の利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るスイッチは、
第1極の磁気を発する第1操作器具が接触又は近接した位置を第1色から第2色に変化させ、第2極の磁気を発する第2操作器具が前記位置に接触又は近接すると当該第2色から当該第1色に変化させることで、当該第1色及び当該第2色からなる画像を表示させる磁気シート、
及び
前記磁気シートの少なくとも一部を覆う略透明なカバー、
を有する、開閉操作がなされる操作部と、
前記開閉操作に連動して開閉する接点モジュールを有する本体部と、
を備える。
【0008】
本発明のスイッチシステムは、上述の本発明の一態様のスイッチと、
前記第1操作器具と、
前記第2操作器具と
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スイッチの照光と表示における利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のスイッチの一実施形態に係る押ボタンスイッチの分解斜視図である。
【
図2】
図1の押しボタンスイッチの操作部を構成するボタンの平面図である。
【
図3】
図1の押しボタンスイッチの操作部の右側面図である。
【
図4】
図1の押しボタンスイッチの磁気シートの色を変化させる磁気ペンの一例を示す図である。
【
図5】
図1の押しボタンスイッチの磁気シートの表示を変化させる一例を示す図である。
【
図6】所定の画像を表示させた
図1の押しボタンスイッチの平面図である。
【
図7】
図1の押しボタンスイッチが有する磁気シートの構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のスイッチの一実施形態に係る押ボタンスイッチについて、図面を用いて説明する。即ち、以下、本発明のスイッチは、押下操作を受付けることにより電気回路の開閉を切り替える押しボタンスイッチであるものとして説明する。
図1は、本発明のスイッチの一実施形態に係る押ボタンスイッチの分解斜視図である。
図2は、
図1の押しボタンスイッチの操作部を構成するボタンの平面図である。
図3は、
図1の押しボタンスイッチの操作部の右側面図である。
【0012】
図1に示すように、押しボタンスイッチ1は、操作部11と、本体部12とを備える。
【0013】
ここで、
図1に示すように、以下、押しボタンスイッチ1の押下操作が行われる軸を「軸Z」とする。また、ユーザ(図示せず)が押下操作をする方向を「軸Z負方向」と呼び、その逆を「軸Z正方向」と呼ぶ。即ち、押しボタンスイッチ1は、ユーザにより軸Z負方向に押圧され、ユーザが押圧を解くことにより軸Z正方向に戻ることで押下操作を受付けると共に、再度の押下操作を受付け可能な状態となる。
【0014】
「軸X」及び「軸Y」の夫々は、軸Zと垂直な面(以下、「X-Y平面」と呼ぶ)において、互いに夫々直行するものとする。X-Y平面において押しボタンスイッチ1の中心を通過する軸であって、X-Y平面と垂直、即ち、軸Zと平行な軸を、「軸AZ」と呼ぶ。
【0015】
また、詳しくは後述するが、操作部11は、カバー(例えば
図1のボタンカバー112)を回転させることで開閉可能となっている。このとき、カバーの回転のロック機構を有する側を「軸X正方向」と呼び、その逆であってカバーの回転軸を有する側を「軸X負方向」呼ぶ。また、3次元直交座標系が右手系となるように「Y軸」を定め、夫々の方向を「Y正の方向」及び「Y負の方向」と呼ぶ。
また、軸AZから離れる方向を「外周(の方向)」又は「外側」と呼び、その逆を「内側」と適宜呼ぶ。
【0016】
以下、押しボタンスイッチ1の各構成要素について詳しく説明する。
操作部11は、スイッチの操作を行うユーザから、押下操作を受付ける。具体的には例えば、ユーザ(図示せず)は、スイッチの開閉を切り替えるべく、操作部11を軸Z負方向に押圧し、その押圧を解くことにより押下操作する。
操作部11は、磁気シート111と、ボタンカバー112と、ディフューザ113とを含むように構成されている。
【0017】
磁気シート111は、2種の極の夫々からの磁気に応じて、夫々色の変化するシートである。
ここで、以下、磁気シート111は、N極の磁気により黒色に変化し、S極の磁気により白色に変化するものとして説明する。即ち、磁気シート111に対して、N極の磁気を発するものは記入器具、S極の磁気を発するものは消去器具として機能する。
なお、磁気シート111の色の変化の仕組みについては、
図7を用いて後述する。
【0018】
即ち、磁気シート111は、N極の磁気を発する記入器具が接触又は近接した位置を白色から黒色に変化させる。また、S極の磁気を発する消去器具が接触又は近接すると消去器具が接触又は近接した位置を黒色から白色に変化させる。これにより、磁気シート111は、黒色及び白色からなる画像を表示することができる。
換言すれば、ユーザ(図示せず)は、記入器具及び消去器具を用いることで、磁気シート111に任意の画像を描画することができる。なお、磁気シート111を有する押しボタンスイッチに対する描画操作の例は
図5を用いて説明する。
【0019】
ボタンカバー112は、略透明であって、後述する磁気シートの少なくとも一部を覆う。
ユーザは、ボタンカバー112を軸Z正方向から軸Z負方向へ押圧することで、押下操作を行うことができる。
即ち、ボタンカバー112により、磁気シート111は、ユーザの押下操作に伴う押圧から保護される。また、ボタンカバー112は、磁気シート111から所定距離以内に記入器具や消去器具が近接されることを防ぐことができる。これにより、磁気シート111は、ユーザによる他の押しボタンスイッチ1への描画操作等による磁気から保護される。
【0020】
ディフューザ113は、後述する本体部12が有する光源からの光を拡散する。
即ち、ディフューザ113は、本体部12が有する光源から軸Z正方向に照射された光を、軸Z正方向に進むほど軸AZから離れるように拡散する。
詳しくは後述するが、光源からの光が拡散されることにより、磁気シート111の外周に光が到達する。これにより、押しボタンスイッチ1の軸Z正方向の部位(操作部11等)が照光される。
【0021】
ここで、ボタンカバー112は、孔部112Aを有する。また、ディフューザ113は、嵌合部113Aを有する。
ボタンカバー112の孔部112Aは、ディフューザ113の嵌合部113Aと嵌合する。これにより、ボタンカバー112は、ボタンカバー112の孔部112A及びディフューザ113の嵌合部113Aを中心として、回転可能となる。
【0022】
また、ボタンカバー112は、爪部112Bを有する。また、ディフューザ113は、爪受部113Bを有する。ボタンカバー112の爪部112Bは、ディフューザ113の爪受部113Bと嵌合する。
【0023】
ボタンカバー112の爪部112Bがディフューザ113の爪受部113Bに嵌合されている場合、ボタンカバー112は閉じた状態で回転しないようロックされる。
また、ユーザは、ディフューザ113の爪受部113Bから、ボタンカバー112の爪部112Bがディフューザ113の爪受部113Bに嵌合されている場合、ボタンカバー112は回転しないようロックされる。これにより、押しボタンスイッチ1の使用する際には、ボタンカバー112が閉じた状態でロックされることで、磁気シート111が保護される。
【0024】
そこで、ユーザは、押下操作をする際、ボタンカバー112が回転しないようにボタンカバー112の爪部112Bにディフューザ113の爪受部113Bを嵌合させる。
また、ユーザは、描画操作をする際、ボタンカバー112が回転するようにボタンカバー112の爪部112Bをディフューザ113の爪受部113Bから外す。これにより、押しボタンスイッチ1に描画操作を行う際には、ボタンカバー112が開いた状態となることで、磁気シート111に後述する磁気ペン2等を直接接触させて描画操作を行うことができるようになる。
【0025】
ディフューザ113は、孔部113Cを有する。ディフューザ113の孔部113Cは、後述する本体部12が有する爪部12Aと嵌合する。これにより、ディフューザ113は、本体部12に対して固定される。
即ち、操作部11は、本体部12に対して固定される。
【0026】
図示はしないが、本体部12は、電気回路を開閉する接点モジュールを有する。即ち、本体部12は、操作部11により受け付けられた押下操作と連動して、電気回路を開閉する。
【0027】
ここで、本体部12は、ユーザにより押下操作がなされると、接点モジュールが動作する。これにより、本体部12の接点12B等に接続された電気回路が開閉されることで、電気回路の開閉の切り替え等が行われる。
【0028】
次に
図2及び
図3等を参照し、ボタンカバー112の形状と照光について説明する。
【0029】
図2に示すようにボタンカバー112は、軸Z正方向から見て、矩形となっている。また、ボタンカバー112の矩形の各辺は、およそ45度の面取りをした外周部112Cを有している。
【0030】
ここで、上述したように、ディフューザ113により、磁気シート111の外周部(軸AZから離れた部位)、即ち、ボタンカバー112の外周部112Cに光が到達する。
詳しくは
図6を用いて後述するが、ボタンカバー112の外周部に備えられた外周部112Cにおいて反射することにより、磁気シート111は軸Z正方向から照光される。これにより、磁気シート111に表示される画像の視認性は向上する。
【0031】
図4は、
図1の押しボタンスイッチの磁気シートの色を変化させる磁気ペンの一例を示す図である。
磁気ペン2は、上述の磁気シート111に自由に記入や消去を行うための筆記用具に相当する。磁気ペン2は、軸21と、記入部22と、消去部23と、とを有する。
【0032】
軸21は、両端に後述する記入部22と消去部23とを有する軸である。軸21により、記入部22と消去部23は一体として持ち運び可能となっている。
【0033】
記入部22は、N極の磁気を発する磁石(
図4の左方がN極である磁石)であって、磁気ペン2の端部(
図4における左方側の端部)に備えられている。即ち、磁気ペン2の記入部22は、上述の磁気シート111に対する記入器具に相当する。
記入部22の太さには、任意の太さが採用されてもよいが、ここでは、0.8乃至0.9mm程度の太さが採用されている。なお、記入部22の太さは、例えば、0.5mm等、磁気シート111と押しボタンスイッチ1の大きさ(特に、X-Y平面上の大きさ)に応じて適宜選択されると好適である。
【0034】
また、消去部23は、S極の磁気を発する磁石(
図4の右方がS極である磁石)であって、磁気ペン2の端部(
図4における右方側の端部)に備えられている。即ち、磁気ペン2の消去部23は、上述の磁気シート111に対する消去器具に相当する。
消去部23の太さは、記入部22の数倍程度以上であると好適である。これにより、消去部23は、記入部22により磁気シート111に記入された黒色の線を容易に部分的に消去する(白色に変化させる)ことが可能となる。
【0035】
ユーザは、
図5(A)に示すように、
図4の磁気ペンを用いて、
図1の押しボタンスイッチの磁気シートの色を変化させる描画操作として、磁気シート111への文字の記入を行うことができる。
具体的には例えば、まず、ユーザは、ボタンカバー112の孔部112A及びディフューザ113の嵌合部113Aを中心として、ボタンカバー112の軸X正方向の端部を軸Z正方向に持ち上げることにより、ボタンカバー112を回転させる。これにより、磁気シート111は露出される。
【0036】
次に、ユーザは、露出された磁気シート111に、磁気ペン2の記入部22を接触又は近接させる。
磁気シート111のうち、磁気ペン2の記入部22が接触又は近接した位置は、白色から黒色に変化される。
これにより、
図5(A)に示すように、ユーザは、磁気シート111に、文字(
図5(A)の例では、「カメラ」の書きかけの文字)を記入(描画)することができる。
【0037】
そして、ユーザは、ボタンカバー112の孔部112A及びディフューザ113の嵌合部113Aを中心として、ボタンカバー112の軸X正方向の端部を軸Z正方向に押し下げることにより、ボタンカバー112を回転させる。これにより、磁気シート111は保護される。
【0038】
図5(B)は、
図4の磁気ペンを用いて、
図1の押しボタンスイッチの磁気シートの色を変化させる描画操作のうち、磁気シート111への文字の記入を行う様子を示す図である。
【0039】
ユーザは、
図5(B)に示すように、
図4の磁気ペンを用いて、
図1の押しボタンスイッチの磁気シートの色を変化させる描画操作として、磁気シート111の文字の消去を行うことができる。
具体的には例えば、まず、ユーザは、ボタンカバー112の孔部112A及びディフューザ113の嵌合部113Aを中心として、ボタンカバー112の軸X正方向の端部を軸Z正方向に持ち上げることにより、ボタンカバー112を回転させる。これにより、磁気シート111は露出される。
【0040】
次に、ユーザは、露出された磁気シート111に、磁気ペン2の消去部23を接触又は近接させる。
磁気シート111のうち、磁気ペン2の消去部23が接触又は近接した位置(
図5(B)の例における2点鎖線で示す位置RE)は、黒色から白色に変化される。
これにより、
図5(B)に示すように、ユーザは、磁気シート111の文字(
図5(A)の例では、「カメラ」の書きかけの文字)を消去(描画)することができる。
【0041】
そして、ユーザは、ボタンカバー112の孔部112A及びディフューザ113の嵌合部113Aを中心として、ボタンカバー112の軸X正方向の端部を軸Z正方向に押し下げることにより、ボタンカバー112を回転させる。これにより、磁気シート111は保護される。
【0042】
このようにして、ユーザは、磁気シート111に描画操作として、自由な記入や消去を行い、ボタンカバー112を回転させてロックすることで、記入された磁気シート111を保護することができる。そして、ユーザは、押しボタンスイッチ1を軸Z正方向から視認し、ボタンカバー112を軸Z正方向から押下操作することができる。
【0043】
次に、
図6を用いて、押しボタンスイッチ1の操作部11や磁気シート111の照光について説明する。
図6は、所定の画像を表示させた
図1の押しボタンスイッチの平面図である。
図6に示す磁気シート111は、略透明なボタンカバー112から透過して視認可能であるため、破線で示されている。このように、押下操作を受付ける状態(磁気シート111への描画操作が完了した状態)において、ボタンカバー112により磁気シート111は保護される。
【0044】
ここで、
図1の押しボタンスイッチ1は、本体部12に備えられた光源により、軸Z負方向から照光される。
また、磁気シート111は、薄いシート状のため、透光する性質を有している。また、透光による磁気シートの照光は、均一ではなく、外観の品質が悪化してしまう。
そこで、詳しくは
図7を用いて後述するが、磁気シート111は、軸Z負方向に裏打ち(黒印刷)がなされている。これにより、磁気シート111の透光が削減され、軸Z正方向から視認した磁気シート111の文字等の識別が容易となる。
また、本実施形態の押しボタンスイッチ1は、ボタンカバー112の外周領域RLから照光を行っている。即ち、磁気シート111は、ボタンカバー112と比較して、X-Y平面上の大きさを小さくすることで、外周領域RLから照光がなされる。これにより、適切な光量での照光が可能となる。
【0045】
更に、本実施形態の押しボタンスイッチ1は、磁気シート111の視認性を向上させるため、軸Z負方向の光源を用いて、磁気シート111を軸Z正方向から間接照明的に照らす構造を有している。
即ち、裏打ち(黒印刷)がなされた磁気シート111を、軸Z正方向から視認する場合、軸Z正方向から照光することが望ましい。しかしながら、上述した通り、押しボタンスイッチ1の光源は、本体部12に備えられるのが通常であるため、軸Z負方向からの照光となるのが通常である。また、押しボタンスイッチ1は、暗所で用いられることも多く、外部からの照光されることは期待できない。
【0046】
そこで、
図2を用いて説明したように、
図2に示すようにボタンカバー112は、軸Z正方向から見て、矩形となっている。また、ボタンカバー112の矩形の各辺は、およそ45度の面取りをした外周部112Cを有している。
即ち、本体部12に備えられた光源からの軸Z正方向への光は、ディフューザ113により拡散され、ボタンカバー112の外周部112Cにより、内側(
図1に示す外周部112Cから見て軸AZの方向)に曲げられる。これにより、ボタンカバー112の外周部112Cにより内側に曲げられた光の一部又は全部により、磁気シート111は軸Z正方向から照光されるのである。
これにより、磁気シート111の表示の視認性が向上する。
【0047】
次に、
図7を用いて、磁気シートの基本的な構造と、裏打ち(黒印刷)について説明する。
図7は、
図1の押しボタンスイッチが有する磁気シートの構造の一例を示す図である。
【0048】
図7に示すように、磁気シート111は、マイクロカプセル層111Aと、PET樹脂層111B及び111Cと、裏打ち層111Dとを有している。
【0049】
マイクロカプセル層111Aには、φ100~300μm程度の微細なマイクロカプセルが複数含まれている。マイクロカプセルには、鉄粉がふくまれており、記入器具が接触又は近接した位置において鉄粉が軸Z正方向にひきつけられ、白色から黒色への変化が発生する。
【0050】
PET樹脂層111B及び111Cは、マイクロカプセル層111Aを記入器具等から保護等する。しかしながら、PET樹脂層のみでは、軸Z負方向からの透光が発生してしまう。
【0051】
裏打ち層111Dは、PET樹脂層111Cに黒色のインク等が塗布された結果形成される層である。裏打ち層111Dは軸Z負方向からの光を吸収することで、軸Z正方向への透光を削減することができる。
これにより、軸Z正方向からの磁気シート111上の画像(文字等)の視認性が向上する。
【0052】
ここで以下、画像(文字等)の表示に上述の磁気シート111が好適である理由について補足する。
【0053】
画像の表示には、画像(文字等)が印刷されたシートを交換する方式が考えられる。
しかしながら、具体的には例えば、「全体カメラ」、「Aさんカメラ」等と印刷されたシートを、ボタンカバーを開閉して交換することは、磁気シート111の描画操作(書換)と比較して作業コストが高く利便性が低いと言える。
【0054】
また例えば、画像の表示には、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等を備える方式が考えられる。
しかしながら、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等を用いる場合、それらの制御回路を用意する設備コストや、表示するデータの用意等の観点から、磁気シート111の描画操作(書換)と比較してコストが高く利便性が低いと言える。
【0055】
また例えば、磁気シート111の代わりに半透明のトレーシングペーパ等を用いて、トレーシングペーパにフリクションペン等で描画操作(記入や消去)を行う方式が考えられる。ここで、フリクションペンは、熱が加わると無色に変化する有色のインクを用いて記入を行い、摩擦することで熱を発生させてインクを無色に変化させることで消去するものである。トレーシングペーパは、特殊な表面加工がなされているため、熱が逃げやすく、摩擦による文字の消去が不十分となるため、利便性が低いと言える。
【0056】
上述をまとめると、従来、スイッチの機能を示す為、手書きで文字列を記入したテープを機器に貼り付けをする必要があった。その結果、ユーザにとっては、都度貼り換えをする手間が存在、即ち、貼り付けは面倒であるという課題があった。
そこで、課題解決の為、押しボタンスイッチ1は、ユーザにとって手書き感覚で磁石ペン2を用いて、記入や消去を何度も繰り返すことが可能な構成となっている。
ここで、記入や消去のときには、磁気ペン2が磁気シート111に直接接触又は十分に近接する必要がある。また、磁気シート111は、記入や消去以外のときには、押下操作の圧力や磁気から保護されることが好適である。そのため、押しボタンスイッチ1は、開閉可能なボタンカバー112を備えることで、これを実現している。
更に、暗所で押しボタンスイッチ1を使用する際において照光状態の把握が容易となるよう、磁気シート111は外周領域RL(
図6参照)から光が軸Z正方向に照射されるような形状となっている。
照光により、磁気シート111に描画された画像(文字列等)が暗所でも視認容易となるよう、磁気シート111には裏打ち層111Dが設けられ、更に、軸Z正方向に照射される光を、内側(軸AZの方向)に屈曲させる構造となっている。これにより、磁気シート111に対して軸Z正方向から照らす光量を増加され、磁気シート111に描画された画像(文字列等)の視認性はさらに向上する。
このような構成により、従来の照光式押しボタンスイッチの使用環境を損なわないまま、簡便に自由に繰り返し記入や消去が可能な押しボタンスイッチ1が実現されるのである。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。また、本発明に係る要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更を施してもよい。
【0058】
例えば、上述の実施形態の説明において、本発明のスイッチは、押下操作を受付けることにより電気回路の開閉を切り替える押しボタンスイッチであるものとして説明したが、押下操作以外を受付ける他のスイッチであってもよい。即ち例えば、回転操作やスライド操作を受付けるボリュームスイッチ等に本発明を適用することができる。即ち、開閉操作は、押下操作以外により、行われてもよく、開と閉との2値のみならず、連続的な値をとるものが採用されてもよい。
例えば、ボリュームスイッチに本発明が適用される場合、本体部12は、接点の開閉のみならず、接点間の抵抗値の変化等を発生させれば足りる。
【0059】
また例えば、磁気シート111は、N極の磁気により黒色に変化し、S極の磁気により白色に変化するものとして説明したが、任意の極と、任意の色を採用することができる。
即ち例えば、第1極の磁気を発する第1操作器具が接触又は近接した位置を第1色から第2色に変化させ、第2極の磁気を発する第2部材が前記位置に接触又は近接すると当該第2色から当該第1色に変化させる磁気シートであれば足りる。
【0060】
また、裏打ち層111Dは、PET樹脂層111Cに黒色のインク等が塗布された結果形成される層であるものとしたが、特にこれに限定されない。即ち、磁気シート111の軸Z負方向からの光を吸収することで、軸Z正方向への透光を削減することができる別のシートが磁気シート111と共に格納されていてもよく、ディフューザ113の所定領域は光を透過しない構造となっていてもよい。
【0061】
以上まとめると、本発明が適用されるスイッチは、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用されるスイッチ(例えば
図1の押しボタンスイッチ1)は、
第1極(例えばN極)の磁気を発する第1操作器具(例えば磁気ペン2の記入部22)が接触又は近接した位置を第1色(例えば白色)から第2色(例えば黒色)に変化させ、第2極(例えばS極)の磁気を発する第2操作器具(例えば磁気ペン2の消去部23)が前記位置に接触又は近接すると当該第2色(例えば黒色)から当該第1色(例えば白色)に変化させることで、当該第1色及び当該第2色からなる画像(例えば
図5等の文字の画像)を表示させる磁気シート(例えば
図1の磁気シート111)、
及び
前記磁気シートの少なくとも一部を覆う略透明なカバー(例えば
図1のボタンカバー112)、
を有する、開閉操作がなされる操作部(例えば
図1の操作部11)と、
前記開閉操作に連動して開閉する接点モジュールを有する本体部(例えば
図1の本体部12)と、
を備える。
ユーザは、第1操作器具と第2操作器具を用いて、磁気シートに容易に任意の画像を描くことができる。そして、ユーザは、スイッチの機能を直観的に把握することができるようになる。即ち、照光式スイッチにおける表示の利便性が向上される。
【0062】
前記磁気シートの端部側から当該磁気シートに対して照射する照射部(例えば
図6の外周領域RLや、ボタンカバー112の外周部112C)
をさらに備えることができる。
これにより、磁気シートに描かれた画像の視認性を悪化させず、更には、視認性を向上させる照光が実現される。
【0063】
前記本体部は、前記押下操作がなされる方向とは逆方向に向けて発光する発光部(例えば明細書中本体部12に内蔵されているとした光源)をさらに有し、
前記照射部は、前記発光部から発光された光を前記磁気シートの中央部側に曲げることで、前記磁気シートの端部側から当該磁気シートに対して照射することができる。
これにより、磁気シートに対し、磁気シートを視認する方向から照光がなされるため、磁気シートに描かれた画像の視認性がさらに向上する。
【0064】
前記磁気シートの透光を減衰する減衰部(例えば
図7の裏打ち層111D)
を更に備えることができる。
これにより、磁気シートの透光が減衰するため、磁気シートに描かれた画像の視認性がさらに向上する。
【0065】
前記本体部と、前記磁気シートとの間に配置され、前記発光部からの光を散乱させるディフューザ、
を更に備える請求項4に記載のスイッチ。
【0066】
また、本発明が適用されるスイッチシステム(例えば
図1の押しボタンスイッチ1と
図4の磁気ペン2からなるシステム)は、
第1極を発する第1操作器具が接触又は近接した位置を第1色から第2色に変化させ、第2極を発する第2操作器具が前記位置に接触又は近接すると当該第2色から当該第1色に変化させることで、当該第1色及び当該第2色からなる画像を表示させる磁気シート、
及び
前記磁気シートの少なくとも一部を覆う略透明なカバー、
を有する、開閉操作がなされる操作部と、
前記開閉操作に連動して開閉する接点モジュールを有する本体部と、
を備えるスイッチと、
前記第1操作器具と、
前記第2操作器具と
を備える。
これにより、ユーザは、第1操作器具及び第2操作器具を用いて容易に磁気シートに画像を描くことができる。
【符号の説明】
【0067】
1・・・押ボタンスイッチ、2・・・磁気ペン、11・・・操作部、12・・・本体部、12A・・・爪部、12B・・・接点、21・・・軸、22・・・記入部、23・・・消去部、111・・・磁気シート、111A・・・マイクロカプセル層、111B・・・樹脂層、111C・・・樹脂層、111D・・・裏打ち層、112・・・ボタンカバー、112A・・・孔部、112B・・・爪部、112C・・・外周部、113・・・ディフューザ、113A・・・嵌合部、113B・・・爪受部、113C・・・孔部