IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フジモリ産業株式会社の特許一覧 ▶ 水落工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-送風管 図1
  • 特開-送風管 図2
  • 特開-送風管 図3
  • 特開-送風管 図4
  • 特開-送風管 図5
  • 特開-送風管 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161840
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】送風管
(51)【国際特許分類】
   F16L 43/02 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
F16L43/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072439
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505275273
【氏名又は名称】水落工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢島 匡顕
(72)【発明者】
【氏名】水落 和弘
(57)【要約】
【課題】一対の半割管体からなる送風管のハゼ継ぎ目のゆるみや外れを確実に防止する。
【解決手段】送風管10を構成する一対の半割管体20の半周方向の対向端部22どうしを、管径方向へ突出するハゼ継ぎ目23を形成するようにして接合する。1の半割管体20Aの少なくとも管軸方向の端部11におけるハゼ継ぎ目23と近接する部分には、ハゼ継ぎ目23と同じ側へ突出する凸部24を形成する。ハゼ継ぎ目23と凸部との対向側面どうしを当接させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の半割管体を備え、これら半割管体の半周方向の対向端部どうしが、管径方向へ突出するハゼ継ぎ目を形成するようにして接合されており、
1の半割管体の少なくとも管軸方向の端部における前記ハゼ継ぎ目と近接する部分には、前記管径方向の前記ハゼ継ぎ目と同じ側へ突出する凸部が形成され、
前記ハゼ継ぎ目と前記凸部との対向側面どうしが当接されていることを特徴とする送風管。
【請求項2】
当該送風管は、曲管部と直管部とを有するL字管状をなしており、
前記曲管部と前記直管部とのうち直管部だけに、前記凸部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の送風管。
【請求項3】
前記曲管部における前記ハゼ継ぎ目は、前記管径方向の外側へ突出され、
前記直管部における前記ハゼ継ぎ目は、前記管径方向の内側へ突出され、
前記凸部が、前記管径方向の内側へ突出されていることを特徴とする請求項2に記載の送風管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調や換気に用いられる送風管に関し、特に、ハゼ継ぎ目を有する送風管に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の送風管として、一対の半円形断面の半割管体を環状になるように対向させて、これら半割管体の対向端部どうしをハゼ折りカシメすることによってハゼ継ぎ目を形成したものが知られている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平01-116297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、この種の送風管におけるハゼ継ぎ目は、例えば引張や圧縮等の外力によってカシメが緩んだり外れたりするおそれがある。ハゼ継ぎ目の中間部を圧縮して圧縮溝を形成することも知られているが、その場合、送風管の材質、厚みなどによってバラツキが生じやすい。
本発明は、一対の半割管体からなる送風管のハゼ継ぎ目のゆるみや外れを確実に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明に係る送風管は、一対の半割管体を備え、
これら半割管体の半周方向の対向端部どうしが、管径方向へ突出するハゼ継ぎ目を形成するようにして接合されており、
1の半割管体の少なくとも管軸方向の端部における前記ハゼ継ぎ目と近接する部分には、前記管径方向の前記ハゼ継ぎ目と同じ側へ突出する凸部が形成され、
前記ハゼ継ぎ目と前記凸部との対向側面どうしが当接されていることを特徴とする。
【0006】
当該送風管は、曲管部と直管部とを有するL字管状をなしており、前記曲管部と前記直管部とのうち直管部だけに、前記凸部が設けられていることが好ましい。
【0007】
前記曲管部における前記ハゼ継ぎ目は、前記管径方向の外側へ突出され、
前記直管部における前記ハゼ継ぎ目は、前記管径方向の内側へ突出され、
前記凸部が、前記管径方向の内側へ突出されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一対の半割管体からなる送風管のハゼ継ぎ目のゆるみや外れを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る送風管の側面図である。
図2図2は、前記送風管の斜視図である。
図3図3は、図1のIII-III線に沿う、前記送風管の直管部の断面図である。
図4図4は、図1のIV-IV線に沿う、前記送風管の曲管部の断面図である。
図5図5(a)は、図3の円部Vaの拡大断面図である。図5(b)は、図4の円部Vbの拡大断面図である。
図6図6は、本発明の第2実施形態に係る送風管の直管部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(図1図5)>
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る送風管10を示したものである。送風管10は、空調又は換気用配管の一部に用いられ、曲管部13と一対の直管部11とを有するL字(エルボ)状に形成されている。曲管部13が約90度曲がり、その両端部にそれぞれ短い直管部11が連なっている。図1において二点鎖線にて示すように、各直管部11には、別の送風管2が接続される。
【0011】
送風管10の材質は、例えば鋼鉄などの金属である。
送風管10の口径は、例えば100mm~200mm程度であるが、本発明はこれに限られない。
送風管10の管厚は、例えば0.1mm~1mm程度であるが、本発明はこれに限られない。
【0012】
図2に示すように、送風管10は、一対の半割管体20を備えている。各半割管体20は、半円形の断面形状を有し、側面視でL字状に湾曲されている。これら半割管体20の半周方向の対向端部22どうしが、重ねられて折り畳まれることによってハゼ継ぎ目23を形成している。ハゼ継ぎ目23を介して、一対の半割管体20どうしが接合されている。
【0013】
送風管10の管軸L10まわりの管周方向に180度離れて一対のハゼ継ぎ目23が形成されている。一方のハゼ継ぎ目23は、曲管部13の外周り側部に沿って延びる外まわり側ハゼ継ぎ目23Aである。他方のハゼ継ぎ目23Bは、曲管部13の内周り側部に沿って延びる内まわり側ハゼ継ぎ目23Bである。図3及び図4に示すように、これらハゼ継ぎ目23A,23Bどうしは、互いに鏡映し状(線対称)の断面形状になっている。
【0014】
図2に示すように、ハゼ継ぎ目23は、送風管10の管軸L10を中心とする管径方向へ突出されている。図4及び図5(b)に示すように、曲管部13におけるハゼ継ぎ目23(以下「曲管ハゼ継ぎ目部23c」)は、管径方向の外側へ突出されている。直管部11と曲管部13の境部12において、ハゼ継ぎ目23が管径方向に変位されている。図3及び図5(a)に示すように、直管部11におけるハゼ継ぎ目23(以下「直管ハゼ継ぎ目部23d」)は、管径方向の内側へ突出されている。
【0015】
図3に示すように、1の半割管体20Aの少なくとも管軸方向の端部におけるハゼ継ぎ目23と近接する部分には、凸部24が形成されている。凸部24は、直管部11だけに設けられている。図4に示すように、曲管部13には、凸部24が設けられていない。図3に示すように、凸部24は、管径方向の内側へ突出されている。すなわち、凸部24は、管径方向における直管ハゼ継ぎ目部23dと同じ側へ突出されている。直管ハゼ継ぎ目部23dと凸部24との対向側面どうしが当接され、好ましくは圧接されている。
外まわり側及び内まわり側の凸部24の両方が、共に、一方の半割管体20Aに形成されている。
送風管10の外周面における凸部24との対応部分には、溝25が形成されている。
【0016】
送風管10によれば、ハゼ継ぎ目23の側部に凸部24が当接されているため、ハゼ継ぎ目23の変形を抑制でき、ハゼ継ぎ目23が緩んだり、更には外れたりするのを防止できる。
凸部24は、ハゼ継ぎ目23の成形工程と同時に形成でき、送風管10の材質や管厚に拘わらず、ハゼ継ぎ目23の側部に確実に当接されるように形成できるから、ハゼ継ぎ目23の緩みや外れをバラツキ無く確実に防止することができる。
【0017】
一対のハゼ継ぎ目23及び凸部24が鏡映し状に形成されているため、各半割管体20を対称形状にでき、ハゼ継ぎ目23の成形を容易化できる。
ハゼ継ぎ目23の緩みや外れは送風管10の特に端部で生じやすいところ、端部に凸部24を設けることによって、端部の直管ハゼ継ぎ目部23dの緩みや外れを確実に防止できる。更には、曲管ハゼ継ぎ目部23cに緩みや外れが伝播するのを防止できる。
凸部24は送風管10の直管部11にだけ形成すればよい。曲管部13には凸部24を設ける必要が無いから、送風管10の作製を容易化できる。
【0018】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(図6)>
図6は、本発明の第2実施形態を示したものである。第2実施形態に係る送風管10Bにおいては、一対のハゼ継ぎ目23及び凸部24どうしが、180度回転対称状に形成されている。外まわり側の凸部24Aは、一方の半割管体20Aに形成され、内まわり側の凸部24Bは、他方の半割管体20Bに形成されている。
送風管10Bによれば、外力に対する抗力をより効果的に発現でき、ハゼ継ぎ目23の緩みや外れを一層確実に防止することができる。
【0019】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、凸部24が、直管ハゼ継ぎ目部23dの側部だけでなく、曲管ハゼ継ぎ目部23cの側部にも形成されていてもよい。
ハゼ継ぎ目23の両側に一対の凸部24を設け、これら凸部24によってハゼ継ぎ目23を挟み付けてもよい。
直管ハゼ継ぎ目部23dが送風管10の管径方向の外側へ突出されていてもよく、かつ凸部24についても送風管10の管径方向の外側へ突出されていてもよい。
送風管は、L字管に限らず、直管であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、例えば建物の空調又は換気用の送風管に適用できる。
【符号の説明】
【0021】
10 送風管
11 直管部(管軸方向の端部)
12 境部
13 曲管部
20 半割管体
22 対向端部
23 ハゼ継ぎ目
23a 直管部のハゼ継ぎ目(直管ハゼ継ぎ目部)
23c 曲管部のハゼ継ぎ目(曲管ハゼ継ぎ目部)
24 凸部
25 溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6