(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161854
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】搬送台車連結装置
(51)【国際特許分類】
B60D 1/28 20060101AFI20231031BHJP
B60D 1/02 20060101ALI20231031BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20231031BHJP
B60D 1/26 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B60D1/28
B60D1/02 A
B62B5/00 C
B60D1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072461
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】安藤 敏広
(72)【発明者】
【氏名】弓戸 好孝
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050JJ07
3D050KK02
(57)【要約】
【課題】連結ピンの移動及び抜け止めを簡単な構造で実現する。
【解決手段】搬送台車連結装置10は、牽引車両11に取付けられる台車連結フレーム21と、台車連結フレーム21に操作可能に設けられた操作機構51と、連結ピン36とを備える。連結ピン36は、台車連結フレーム21に設けられ、かつ操作機構51の操作により、被連結部16に挿入されて搬送台車15を牽引車両11に連結する連結位置と、被連結部16から抜け出して上記連結を解除する連結解除位置との間で移動させられる。台車連結フレーム21、操作機構51及び連結ピン36の少なくとも1つは、搬送台車15の牽引車両11に対する連結時に連結ピン36を連結位置に保持して、連結ピン36が連結位置から連結解除位置へ移動するのを規制する抜け止め構造を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被連結部が設けられた搬送台車の牽引車両に対する連結と、前記連結の解除とを行なう搬送台車連結装置であって、
前記牽引車両に取付けられる台車連結フレームと、
前記台車連結フレームに操作可能に設けられた操作機構と、
前記台車連結フレームに設けられ、かつ前記台車連結フレーム及び前記操作機構のうち少なくとも前記操作機構により、前記被連結部に挿入されて前記搬送台車を前記牽引車両に連結する連結位置、及び前記被連結部から抜け出して前記連結を解除する連結解除位置の間で移動させられる連結ピンと
を備え、
前記台車連結フレーム、前記操作機構及び前記連結ピンの少なくとも1つは、前記搬送台車の前記牽引車両に対する連結時に前記連結ピンを前記連結位置に保持して、前記連結ピンが前記連結位置から前記連結解除位置へ移動するのを規制する抜け止め構造を有している搬送台車連結装置。
【請求項2】
前記操作機構は、前記台車連結フレームに操作可能に設けられた操作レバーと、前記操作レバーに加えられた力を前記連結ピンに伝達する伝達機構とを備え、
前記伝達機構は、ワイヤ、定滑車及び動滑車を備え、
前記ワイヤの一方の端部は前記操作レバーに取り付けられ、他方の端部は前記台車連結フレームに取り付けられ、
前記定滑車は、前記台車連結フレームに回転可能に支持され、
前記動滑車は、前記連結ピンに回転可能に支持され、
前記ワイヤは前記定滑車及び前記動滑車に巻き掛けられている請求項1に記載の搬送台車連結装置。
【請求項3】
前記台車連結フレームは、前記牽引車両の後部に固定される車両フレーム部と、自身の前端部に設けられた回動軸により、前記車両フレーム部に対し回動可能に支持された可動フレーム部とを備え、
前記操作機構は、前記可動フレーム部に固定された操作レバーを備え、
前記連結ピンは、前記可動フレーム部に一体に形成されている請求項1に記載の搬送台車連結装置。
【請求項4】
前記台車連結フレームは、上下方向に貫通する挿通孔を有するピン支持部を備え、
前記連結ピンは、前記挿通孔に上下動可能に挿通され、
前記抜け止め構造は、前記連結ピンに対し昇降可能に設けられたロッドと、前記連結ピンに対し支軸により支持され、かつ係合爪部を有する切り替え部材とを備え、
前記切り替え部材は、前記ロッドの昇降が伝達されることで、前記支軸を中心として回動させられるものであり、
前記切り替え部材は、前記連結位置の前記連結ピンに対し、前記ロッドが前記操作機構の操作に応じて自重により下降すると、前記係合爪部が前記連結ピンから突出する側へ回動させられて、前記係合爪部を前記ピン支持部における前記挿通孔の周辺部に対し下方から係合させ、
前記切り替え部材は、前記操作機構の操作に応じて、前記ロッドが上昇させられると、前記係合爪部が前記連結ピン内に没入する側へ回動させられて、前記係合爪部の前記係合を解除させる請求項1に記載の搬送台車連結装置。
【請求項5】
前記被連結部は環状をなし、
前記台車連結フレームはピン支持部を備え、
前記連結ピンは、前記ピン支持部に往復動可能に挿通され、
前記連結位置では、前記連結ピンの先端面を含む同連結ピンの一部が前記ピン支持部から突出し、
前記牽引車両の前進方向を前方とし、後退方向を後方とした場合、
前記抜け止め構造は、前記連結位置に位置する前記連結ピンのうち、前記被連結部に対し、前記先端面に近い側に隣接する箇所に形成された前傾斜部及び後傾斜部を備え、
前記前傾斜部は、前記先端面に近づくに従い前方に位置するように傾斜し、前記後傾斜部は、前記先端面に近づくに従い後方に位置するように傾斜している請求項1に記載の搬送台車連結装置。
【請求項6】
前記台車連結フレームはレバー支持部を備え、
前記操作機構は、前記レバー支持部に対し軸により回動可能に支持された操作レバーを備え、
前記操作レバーは、前記連結ピンに動力伝達可能に連結され、
前記操作レバーは、前記連結ピンを前記連結位置に位置させる第1位置と、前記連結ピンを前記連結解除位置に位置させる第2位置との間の回動領域で回動可能であり、
前記抜け止め構造は、前記レバー支持部と前記操作レバーとの間に架け渡され、かつ前記第1位置及び前記第2位置の間の中間位置を境にして前記操作レバーを付勢する方向を反転させるターンオーバスプリングを備え、
前記ターンオーバスプリングは、前記操作レバーが前記第1位置と前記中間位置との間に位置するときには、同操作レバーを前記第1位置側へ付勢し、前記操作レバーが前記第2位置と前記中間位置との間に位置するときには、同操作レバーを前記第2位置側へ付勢する請求項1に記載の搬送台車連結装置。
【請求項7】
前記可動フレーム部の前記回動軸は、前記車両フレーム部に設けられた軸受孔の回動孔部に回動可能に支持されており、
前記抜け止め構造は、前記軸受孔の一部を構成するスライド孔部と、前記回動軸と、前記連結ピンの一部を構成する屈曲ピン部とを備え、
前記スライド孔部は前記回動孔部から延び、
前記回動軸は、前記スライド孔部に対し、回動を規制された状態でスライドし、かつ前記連結ピンが前記連結位置に位置するときに前記スライド孔部に嵌合し得る形状に形成され、
前記屈曲ピン部は、前記連結ピンの先端面を含む側の部分に形成され、かつ前記先端面に近づくに従い後方に位置するように傾斜している請求項3に記載の搬送台車連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牽引車両に搬送台車を連結する搬送台車連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環状の被連結部が設けられた搬送台車を牽引車両により牽引して搬送するために、連結ピンを備える搬送台車連結装置が用いられる。搬送台車連結装置では、連結ピンは、被連結部に挿入されて搬送台車を牽引車両に連結する連結位置と、被連結部から抜け出して連結を解除する連結解除位置との間で移動させられる。この連結ピンの連結位置と連結解除位置との間での移動は、例えば、特許文献1では人力操作によってなされ、特許文献2では電気操作によってなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-147208号公報
【特許文献2】特開2019-131046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載された搬送台車連結装置には、搬送台車が牽引車両に連結されているときに、連結ピンが連結位置から連結解除位置へ移動するのを抑制する抜け止め機能が十分でないという問題がある。これに対し、特許文献2に記載された搬送台車連結装置には、連結ピンの移動のための構造、及び連結ピンの抜け止めのための構造がともに複雑になるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する搬送台車連結装置は、被連結部が設けられた搬送台車の牽引車両に対する連結と、前記連結の解除とを行なう搬送台車連結装置であって、前記牽引車両に取付けられる台車連結フレームと、前記台車連結フレームに操作可能に設けられた操作機構と、前記台車連結フレームに設けられ、かつ前記台車連結フレーム及び前記操作機構のうち少なくとも前記操作機構により、前記被連結部に挿入されて前記搬送台車を前記牽引車両に連結する連結位置、及び前記被連結部から抜け出して前記連結を解除する連結解除位置の間で移動させられる連結ピンとを備え、前記台車連結フレーム、前記操作機構及び前記連結ピンの少なくとも1つは、前記搬送台車の前記牽引車両に対する連結時に前記連結ピンを前記連結位置に保持して、前記連結ピンが前記連結位置から前記連結解除位置へ移動するのを規制する抜け止め構造を有している。
【0006】
上記の構成によれば、連結ピンが連結位置に位置するときには、同連結ピンが、搬送台車の被連結部に挿入される。搬送台車は、被連結部、連結ピン及び台車連結フレームを介して牽引車両に連結される。
【0007】
これに対し、連結ピンが連結解除位置に位置するときには、同連結ピンが、被連結部から抜け出す。搬送台車の牽引車両に対する上記連結が解除される。
上記連結位置及び連結解除位置の間での連結ピンの移動は、台車連結フレーム及び操作機構のうち少なくとも操作機構によって実現される。
【0008】
また、搬送台車の牽引車両に対する連結時には、抜け止め構造によって、連結ピンが連結位置に保持される。連結ピンが連結位置から連結解除位置へ移動して被連結部から抜け出すことを規制される。上記抜け止め構造は、台車連結フレーム、操作機構及び連結ピンの少なくとも1つによって実現される。
【0009】
そのため、電気操作による場合に比べ、少ない部品によって、しかも簡単な構造で、連結ピンの移動と抜け止めとを実現することが可能となる。
上記搬送台車連結装置において、前記操作機構は、前記台車連結フレームに操作可能に設けられた操作レバーと、前記操作レバーに加えられた力を前記連結ピンに伝達する伝達機構とを備え、前記伝達機構は、ワイヤ、定滑車及び動滑車を備え、前記ワイヤの一方の端部は前記操作レバーに取り付けられ、他方の端部は前記台車連結フレームに取り付けられ、前記定滑車は、前記台車連結フレームに回転可能に支持され、前記動滑車は、前記連結ピンに回転可能に支持され、前記ワイヤは前記定滑車及び前記動滑車に巻き掛けられていることが好ましい。
【0010】
上記の構成によれば、操作レバーに力が加えられると、その力が、伝達機構におけるワイヤ、定滑車及び動滑車を介して連結ピンに伝達される。操作レバーに加えられた力の向きは定滑車によって変更される。また、操作レバーに加えられた力の大きさは、その力が動滑車を経由することで小さくされる。そのため、小さな力で操作レバーを操作することが可能となり、操作性が良好となる。そして、上記操作レバーの操作によって、連結ピンを連結位置と連結解除位置との間で移動させて、搬送台車の牽引車両に対する連結及び連結解除を行なうことが可能である。
【0011】
上記搬送台車連結装置において、前記台車連結フレームは、前記牽引車両の後部に固定される車両フレーム部と、自身の前端部に設けられた回動軸により、前記車両フレーム部に対し回動可能に支持された可動フレーム部とを備え、前記操作機構は、前記可動フレーム部に固定された操作レバーを備え、前記連結ピンは、前記可動フレーム部に一体に形成されていることが好ましい。
【0012】
上記の構成によれば、操作レバーに力が加えられると、その力は、操作レバーを介して可動フレーム部に伝達される。可動フレーム部が、その前端部の回動軸を中心として車両フレーム部に対し回動する。この回動に伴い、可動フレーム部に一体に形成された連結ピンが連結位置と連結解除位置との間で移動する。
【0013】
上記搬送台車連結装置において、前記台車連結フレームは、上下方向に貫通する挿通孔を有するピン支持部を備え、前記連結ピンは、前記挿通孔に上下動可能に挿通され、前記抜け止め構造は、前記連結ピンに対し昇降可能に設けられたロッドと、前記連結ピンに対し支軸により支持され、かつ係合爪部を有する切り替え部材とを備え、前記切り替え部材は、前記ロッドの昇降が伝達されることで、前記支軸を中心として回動させられるものであり、前記切り替え部材は、前記連結位置の前記連結ピンに対し、前記ロッドが前記操作機構の操作に応じて自重により下降すると、前記係合爪部が前記連結ピンから突出する側へ回動させられて、前記係合爪部を前記ピン支持部における前記挿通孔の周辺部に対し下方から係合させ、前記切り替え部材は、前記操作機構の操作に応じて、前記ロッドが上昇させられると、前記係合爪部が前記連結ピン内に没入する側へ回動させられて、前記係合爪部の前記係合を解除させることが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、操作機構の操作に応じて、連結位置の連結ピンに対しロッドが自重により下降すると、その下降が切り替え部材に伝達される。切り替え部材は、係合爪部が連結ピンから突出する側へ回動する。係合爪部が、ピン支持部における挿通孔の周辺部に対し下方から係合すると、連結ピンが連結位置に保持される。
【0015】
これに対し、操作機構の操作に応じて、ロッドが上昇させられると、その上昇が切り替え部材に伝達される。切り替え部材は、係合爪部が連結ピン内に没入する側へ回動する。この回動により、ピン支持部における挿通孔の周辺部に対する係合爪部の係合が解除される。連結ピンは、上記保持を解除され、上下動可能な状態になる。さらに、ロッドが上昇されると、連結ピンを連結解除位置へ移動させることが可能となる。
【0016】
上記搬送台車連結装置において、前記被連結部は環状をなし、前記台車連結フレームはピン支持部を備え、前記連結ピンは、前記ピン支持部に往復動可能に挿通され、前記連結位置では、前記連結ピンの先端面を含む同連結ピンの一部が前記ピン支持部から突出し、前記牽引車両の前進方向を前方とし、後退方向を後方とした場合、前記抜け止め構造は、前記連結位置に位置する前記連結ピンのうち、前記被連結部に対し、前記先端面に近い側に隣接する箇所に形成された前傾斜部及び後傾斜部を備え、前記前傾斜部は、前記先端面に近づくに従い前方に位置するように傾斜し、前記後傾斜部は、前記先端面に近づくに従い後方に位置するように傾斜していることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、連結ピンが連結位置に位置する状態で、牽引車両が前進すると、被連結部の内周面の前部が、連結ピンの前傾斜部に接触する。前傾斜部は、先端面に近づくに従い前方に位置するように傾斜している。そのため、被連結部の前傾斜部との接触により連結ピンが先端面側へ押され、連結ピンが被連結部から抜け出す現象が規制される。
【0018】
また、連結ピンが連結位置に位置する状態で、牽引車両が後退すると、被連結部の内周面の後部が、連結ピンの後傾斜部に接触する。後傾斜部は、先端面に近づくに従い後方に位置するように傾斜している。そのため、被連結部の後傾斜部との接触により連結ピンが先端面側へ押され、連結ピンが被連結部から抜け出す現象が規制される。
【0019】
また、連結ピンが連結位置に位置する状態で、前進している牽引車両にブレーキがかけられると、連結ピンが前進を停止するのに対し、被連結部は慣性により前方へ移動する。この場合、牽引車両の上記後退時と同様に、被連結部の内周面の後部が、連結ピンの後傾斜部に接触する。そのため、上記後退時と同様に、連結ピンが後傾斜部において先端面側へ押される。連結ピンが被連結部から抜け出す現象が規制される。
【0020】
なお、連結位置に位置する連結ピンに対し、連結解除位置へ向かう力が加えられると、前傾斜部が被連結部を前方へ押しながら、又は後傾斜部が被連結部を後方へ押しながら連結解除位置側へ移動する。前傾斜部及び後傾斜部が被連結部を通過した後も連結ピンが移動し続けることで、同連結ピンは連結解除位置へ移動する。
【0021】
上記搬送台車連結装置において、前記台車連結フレームはレバー支持部を備え、前記操作機構は、前記レバー支持部に対し軸により回動可能に支持された操作レバーを備え、前記操作レバーは、前記連結ピンに動力伝達可能に連結され、前記操作レバーは、前記連結ピンを前記連結位置に位置させる第1位置と、前記連結ピンを前記連結解除位置に位置させる第2位置との間の回動領域で回動可能であり、前記抜け止め構造は、前記レバー支持部と前記操作レバーとの間に架け渡され、かつ前記第1位置及び前記第2位置の間の中間位置を境にして前記操作レバーを付勢する方向を反転させるターンオーバスプリングを備え、前記ターンオーバスプリングは、前記操作レバーが前記第1位置と前記中間位置との間に位置するときには、同操作レバーを前記第1位置側へ付勢し、前記操作レバーが前記第2位置と前記中間位置との間に位置するときには、同操作レバーを前記第2位置側へ付勢することが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、操作レバーが、回動領域のうち、連結ピンを連結位置に位置させる第1位置に位置するときには、同操作レバーがターンオーバスプリングにより、第1位置側へ付勢される。この付勢力により、連結ピンが被連結部から抜け出すことが規制される。
【0023】
また、操作レバーが、回動領域のうち、連結ピンを連結解除位置に位置させる第2位置に位置するときには、同操作レバーがターンオーバスプリングにより、第2位置側へ付勢される。
【0024】
なお、操作レバーが第1位置から第2位置側へ回動された場合、又は第2位置から第1位置側へ回動された場合、両位置の中間位置を越えたときに、ターンオーバスプリングが操作レバーを付勢する方向が反転される。
【0025】
上記搬送台車連結装置において、前記可動フレーム部の前記回動軸は、前記車両フレーム部に設けられた軸受孔の回動孔部に回動可能に支持されており、前記抜け止め構造は、前記軸受孔の一部を構成するスライド孔部と、前記回動軸と、前記連結ピンの一部を構成する屈曲ピン部とを備え、前記スライド孔部は前記回動孔部から延び、前記回動軸は、前記スライド孔部に対し、回動を規制された状態でスライドし、かつ前記連結ピンが前記連結位置に位置するときに前記スライド孔部に嵌合し得る形状に形成され、前記屈曲ピン部は、前記連結ピンの先端面を含む側の部分に形成され、かつ前記先端面に近づくに従い後方に位置するように傾斜していることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、連結位置の連結ピンが被連結部に入り込むと、搬送台車が牽引車両に連結された状態となり、牽引車両によって搬送台車を牽引することが可能となる。
牽引車両の前進時には、回動軸が軸受孔のスライド孔部に嵌合する。この嵌合により、回動軸を中心とした可動フレーム部の回動が規制される。連結ピンを連結位置から連結解除位置へ移動させるための操作レバーの操作が規制される。
【0027】
また、連結ピンが連結位置に位置する状態で、前進している牽引車両にブレーキがかけられると、連結ピンが前進を停止するのに対し、被連結部は慣性により前方へ移動する。被連結部の内周面の後部が、連結ピンの屈曲ピン部に接触する。屈曲ピン部は、先端面に近づくに従い後方に位置するように傾斜している。そのため、連結ピンが屈曲ピン部において先端面側へ押される。連結ピンが被連結部から抜け出す現象が規制される。
【0028】
また、連結ピンが連結位置に位置する状態で、牽引車両が後退すると、被連結部及び可動フレーム部が停止しているのに対し、車両フレーム部は後方へ移動する。そのため、回動軸がスライド孔部から抜け出て回動孔部へ移動する。回動軸が回動孔部に位置する状態で、牽引車両を停車させると、可動フレーム部が、回動軸を中心として車両フレーム部に対し回動することが可能となる。操作レバーを操作することで、可動フレーム部を回動させて、連結ピンを被連結部から抜け出させることが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
上記搬送台車連結装置によれば、連結ピンの移動及び抜け止めを簡単な構造で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】第1実施形態における搬送台車連結装置を、牽引車両及び搬送台車とともに示す部分斜視図である。
【
図2】第1実施形態における搬送台車連結装置の部分側面図である。
【
図3】(a),(b)は、第1実施形態における搬送台車連結装置の動作を説明する部分断面図である。
【
図4】第2実施形態における搬送台車連結装置を、牽引車両及び搬送台車とともに示す部分斜視図である。
【
図5】第2実施形態におけるレバー支持部、操作レバー及びターンオーバスプリングの位置関係を示す部分側面図である。
【
図6】第2実施形態における連結ピンと、ピン支持部及び補助ピン支持部との位置関係を示す部分断面図である。
【
図7】第2実施形態における操作レバーと連結ピンとの連結部分を示す部分側面図である。
【
図8】第3実施形態における搬送台車連結装置の抜け止め構造を示す部分断面図である。
【
図9】第4実施形態における搬送台車連結装置を、牽引車両等とともに示す部分斜視図である。
【
図10】
図9の車両フレーム部における軸受孔に対し、可動フレーム部の回動軸を組み付ける前の状態を示す部分斜視図である。
【
図11】第4実施形態における連結ピンと被連結部との位置関係を示す部分断面図である。
【
図12】第4実施形態において、回動軸が軸受孔のスライド孔部に嵌合された状態を示す部分側面図である。
【
図13】第4実施形態において、回動軸が軸受孔の回動孔部に移動された状態を示す部分側面図である。
【
図14】第2実施形態の変更例を示す図であり、
図5に対応してレバー支持部、操作レバー及びターンオーバスプリングの位置関係を示す部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態における搬送台車連結装置10について、
図1~
図3を参照して説明する。
【0032】
なお、以下の記載に関し、
図1に示すように、牽引車両11の前進方向を前方とし、後退方向を後方として説明する。また、上下方向は牽引車両11の上下方向を意味し、左右方向は車幅方向であって牽引車両11の前進時の左右方向と一致するものとする。
【0033】
搬送台車連結装置10は、工場内等で走行される牽引車両11と、同牽引車両11によって牽引されて搬送される搬送台車15との間に設けられる。搬送台車連結装置10は、搬送台車15の牽引車両11に対する連結と、連結の解除とを行なう装置である。
【0034】
<搬送台車15>
搬送台車15には、牽引車両11との連結及び連結解除に用いられる被連結部16が設けられている。より詳しくは、搬送台車15の前端部からは、一対の連結腕部17が前方へ延びている。両連結腕部17は、両連結腕部17の左右方向の間隔が、後端部で最大となり、前側ほど小さくなるように、前後方向に対し、互いに反対方向へ傾斜している。被連結部16は環状をなしており、両連結腕部17の前端部に固定されている。第1実施形態では、被連結部16は円環状をなしているが、他の形状の環状であってもよい。
【0035】
搬送台車連結装置10は、台車連結フレーム21、連結ピン36及び操作機構51を備えている。次に、搬送台車連結装置10を構成する各部について説明する。
<台車連結フレーム21>
台車連結フレーム21は、自身の前端部に車両フレーム部22を備えており、この車両フレーム部22において牽引車両11の後部に取付けられる。
【0036】
図1及び
図2に示すように、台車連結フレーム21は、前後方向に延びる長尺状のピン支持部23を備えている。ピン支持部23は、その前端部において、上記車両フレーム部22に固定されている。ピン支持部23の後端部には、挿通孔24が上下方向に貫通されている。
【0037】
台車連結フレーム21は、ピン支持部23の後部の下方へ離間した箇所に、前後方向に延びる補助ピン支持部25を備えている。補助ピン支持部25において、上記挿通孔24の下方には、補助挿通孔26が上下方向に貫通されている。補助ピン支持部25は、補助挿通孔26よりも前方において、連結部27によってピン支持部23に連結されている。
【0038】
台車連結フレーム21は、さらに、複数の縦フレーム部31、横フレーム部32、レバー支持部33及び支持柱部34を備えている。複数の縦フレーム部31は、ピン支持部23の上面の互いに前後方向に離間した複数箇所からそれぞれ上方へ延びている。
【0039】
横フレーム部32は、ピン支持部23から上方へ一定距離離れた箇所で、前後方向に延びている。横フレーム部32は、複数の上記縦フレーム部31の上下方向における中間部に位置している。
【0040】
レバー支持部33は、横フレーム部32から上方へ一定距離離れた箇所で、前後方向に延びている。レバー支持部33は、複数の上記縦フレーム部31の上端部に固定されている。レバー支持部33の前端部は、最も前方に位置する縦フレーム部31よりも前方であって、運転席12に対し、後方に接近した箇所に位置している。表現を変えると、レバー支持部33の前端部は、運転席12に着座した運転者が後方へ手を伸ばして届く領域に位置している。レバー支持部33の前端部には、左右方向に延びる軸部35が回動可能に支持されている。
【0041】
支持柱部34は、上記横フレーム部32の後端部から上方へ延びている。
<連結ピン36>
図2及び
図3(a),(b)に示すように、連結ピン36は、筒部37、天板部38及びストッパ39を備えている。筒部37は、上下方向へ延びる円筒状をなしている。筒部37は、挿通孔24及び補助挿通孔26よりも小径に形成されている。
【0042】
連結ピン36は、連結位置と、同連結位置よりも高い箇所に設定された連結解除位置との間で往復動可能である。
図2において実線で示すように、連結位置では、連結ピン36の筒部37のうちストッパ39よりも下側部分が、挿通孔24及び補助挿通孔26の両者に挿通される。連結ピン36の先端面を構成する下端面36aが、補助ピン支持部25の上面よりも下方に位置する。筒部37が、ピン支持部23と補助ピン支持部25との間に配置された被連結部16に挿入される。搬送台車15が、被連結部16、連結ピン36及び台車連結フレーム21を介して牽引車両11に連結される。
【0043】
連結解除位置では、
図2において二点鎖線で示すように、筒部37のうちストッパ39よりも下側部分が、挿通孔24及び補助挿通孔26のうち、挿通孔24にのみ挿通される。連結ピン36の下端面36a(先端面)が、補助ピン支持部25よりも上方に位置する。連結解除位置では、連結ピン36を被連結部16から抜け出させて上記連結を解除することが可能となる。
【0044】
図3(a),(b)に示すように、天板部38は、筒部37の上端部に設けられていて、同筒部37の上端を塞いでいる。ストッパ39は、天板部38から筒部37の径方向外方へ突出している。ストッパ39は、ピン支持部23に対し上方から接触することで、連結ピン36の下方への移動を規制する機能を有している。
【0045】
<操作機構51>
図1及び
図2に示すように、操作機構51は、台車連結フレーム21に操作可能に設けられた操作レバー52と、操作レバー52に加えられた力を連結ピン36に伝達する伝達機構53とを備えている。
【0046】
操作レバー52は長尺状をなし、自身の一方の端部において、上記軸部35に一体回動可能に取付けられている。操作レバー52は、これに力が加えられないときには、上下方向へ延びる姿勢となる。また、操作レバー52は、これに対し、前方へ向かう力が加えられることにより、軸部35を中心として前下方へ回動可能である。
【0047】
伝達機構53は、ワイヤ54、定滑車55及び動滑車57を備えている。ワイヤ54の一方の端部である前端部は、上記軸部35に取り付けられることで、同軸部35を介して操作レバー52に間接に取り付けられている。これに対し、ワイヤ54の他方の端部は、横フレーム部32の後端部に取り付けられている。
【0048】
ワイヤ54の一部、より詳しくは、上記前端部に近い部分は、レバー支持部33の内部又は外面に沿って配置されている。
定滑車55は、上記支持柱部34に対し、軸56により回転可能に支持されている。
【0049】
動滑車57は、後述するロッド62を介して連結ピン36に対し回転可能に連結されている。より正確には、動滑車57はロッド62に対し、軸58により回転可能に支持されている。
【0050】
そして、上記ワイヤ54が定滑車55及び動滑車57に巻き掛けられている。
搬送台車連結装置10は、さらに
図3(a),(b)に示す抜け止め構造61を備えている。
【0051】
<抜け止め構造61>
抜け止め構造61は、搬送台車15の牽引車両11に対する連結時に連結ピン36を連結位置に保持して、連結ピン36が連結位置から連結解除位置へ移動するのを規制する機能を有している。上述した連結ピン36は抜け止め構造61を有している。抜け止め構造61は、ロッド62及び切り替え部材63を備えている。
【0052】
ロッド62は、連結ピン36の天板部38に昇降可能に挿通されている。連結ピン36の内部に位置するロッド62の下端部には、筒部37の径方向外方へ突出する突部62aが形成されている。
【0053】
切り替え部材63は、連結ピン36に対し支軸64により回動可能に支持されている。切り替え部材63において、支軸64よりも上側には屈曲部63bが形成されている。屈曲部63bは、切り替え部材63において、支軸64よりも下側の部分63cに対し鈍角で屈曲している。表現を変えると、部分63cが鉛直状態になったとき(
図3(b))、屈曲部63bは上側ほど筒部37の軸線L1に近づくように傾斜する。また、屈曲部63bが鉛直状態となったとき(
図3(a))、部分63cは下側ほど筒部37の軸線L1に近づくように傾斜する。
【0054】
上記部分63cには、係合爪部63d及び入力部63eが形成されている。係合爪部63dは、上記部分63cの下部から筒部37の径方向外方へ突出している。入力部63eは、上記部分63cの上部から筒部37の径方向内方へ突出している。
【0055】
抜け止め構造61では、ロッド62の突部62aが次の機能を有している。
・突部62aは、ロッド62の上昇に伴い天板部38に対し下方から接触することで、それより上方への移動を規制する。
【0056】
・突部62aは、ロッド62の上昇に伴い屈曲部63bに接触することで、係合爪部63d及び入力部63eが上記軸線L1に近づく側へ切り替え部材63を回動させる。
・突部62aは、ロッド62の下降に伴い入力部63eに対し上方から接触することで、係合爪部63d及び入力部63eが上記軸線L1から遠ざかる側へ切り替え部材63を回動させる。
【0057】
次に、上記のように構成された第1実施形態の作用について説明する。
図1及び
図2に示すように、操作レバー52の非操作時には、同操作レバー52は、上下方向へ延びる姿勢となる。搬送台車15が牽引車両11の後方に位置させられ、被連結部16が、ピン支持部23及び補助ピン支持部25の間に配置される。
【0058】
図3(b)に示すように、ロッド62の突部62aは、連結ピン36の内部であって天板部38よりも下方へ離れた箇所に位置している。ロッド62から連結ピン36に対し、同連結ピン36を上昇させようとする力は作用しない。
【0059】
図2において実線で示すように、連結ピン36のうち、ストッパ39よりも下方部分が、挿通孔24及び補助挿通孔26の両者に挿通され、上記被連結部16に挿入されている。搬送台車15は、被連結部16、連結ピン36及び台車連結フレーム21を介して牽引車両11に連結されている。
【0060】
連結ピン36の自重により、ストッパ39が、ピン支持部23に対し上方から接触している。この接触により、連結ピン36の下方への移動が規制されている。
牽引車両11を前進させると、その牽引車両11と一緒に連結ピン36が前方へ移動する。また、牽引車両11を後退させると、その牽引車両11と一緒に連結ピン36が後方へ移動する。牽引車両11の動きが連結ピン36及び被連結部16を介して搬送台車15に伝達される。搬送台車15が牽引車両11によって牽引される。
【0061】
また、このときには、
図3(b)に示すように、ロッド62が自重により下降している。ロッド62の突部62aにより、入力部63eが下方へ押されている。係合爪部63dが筒部37の軸線L1から遠ざかる側へ、切り替え部材63が支軸64を中心として回動している。係合爪部63dが、筒部37から径方向外方へ突出し、ピン支持部23における挿通孔24の周辺部に対し下方から係合している。この係合と、上記ストッパ39のピン支持部23に対する接触とにより、連結ピン36が同ピン支持部23に対し上下方向へ移動することを規制されている。表現を変えると、連結ピン36が連結位置に保持(ロック)されている。
【0062】
係合爪部63dがピン支持部23に係合する上記状態は、入力部63eが突部62aによって押されている限り、継続される。上記の係合状態を解除するには、突部62aによる入力部63eの押圧がなくなって、切り替え部材63の回動が可能になることと、同切り替え部材63に対し、係合爪部63dが連結ピン36に没入する方向へ回動させる力が作用することが必要である。そのためには、操作レバー52が操作される必要がある。操作レバー52が操作されない限り、連結ピン36が上方へ移動して、被連結部16から抜け出すことがない。表現を変えると、連結ピン36が連結位置に保持されて、連結ピン36の抜け止めが行なわれる。
【0063】
図2に示すように、上下方向に延びる姿勢を採っている操作レバー52に対し、前下方へ向かう力が加えられると、同操作レバー52が軸部35を中心として前下方へ回動される。この回動に伴い、ワイヤ54の前端部に対し、前方へ向かう力が加わる。ワイヤ54に加えられた力は、定滑車55、動滑車57及びロッド62を介して連結ピン36に伝達される。
【0064】
操作レバー52に加えられた力の向きは、定滑車55によって変更される。ロッド62に対しては、これを引き上げようとする力が作用する。上記力により、
図3(a)に示すように、ロッド62が上昇させられると、突部62aが入力部63eから上方へ離間される。続いて、屈曲部63bが突部62aによって筒部37の径方向外方へ押されて、係合爪部63dが筒部37の軸線L1に近づく側へ切り替え部材63が回動される。係合爪部63dが筒部37に没入し、ピン支持部23における挿通孔24の周辺部に対し係合しなくなり、連結ピン36の上記保持(ロック)が解除される。さらに、操作レバー52を前下方へ回動させてロッド62を上昇させると、連結ピン36が補助ピン支持部25の補助挿通孔26から抜け出す。突部62aが天板部38に対し下方から接触して、連結ピン36が引き上げられる。連結ピン36が、
図2において二点鎖線で示すように、連結解除位置まで移動されると、同連結ピン36の下端面36a(先端面)が、ピン支持部23と補助ピン支持部25との間に位置する。連結ピン36を被連結部16から抜け出させると、搬送台車15の牽引車両11に対する上記連結が解除される。
【0065】
上記力が操作レバー52に加えられなくなると、ワイヤ54の前端部に対し、前方へ向かう力が作用しなくなる。一方で、ロッド62は自重により下降しようとする。ロッド62が下降することにより、ワイヤ54が引っ張られる。操作レバー52が軸部35を中心として、上記操作時とは逆方向へ回動し、上下方向へ延びる姿勢に戻る。
【0066】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)第1実施形態では、操作レバー52の動きを、ワイヤ54、定滑車55、動滑車57及びロッド62を介して連結ピン36に伝達している。そのため、レバー支持部33に支持された軸部35を中心として操作レバー52を回動させることで、連結ピン36を連結位置と連結解除位置との間で移動させることができる。
【0067】
(1-2)第1実施形態では、搬送台車15の牽引車両11に対する連結時に、
図3(b)に示すように、ロッド62の突部62aで入力部63eを押圧することにより、切り替え部材63を回動させている。この回動により、係合爪部63dを筒部37から突出させ、ピン支持部23における挿通孔24の周辺部に係合させている。そのため、連結ピン36を連結位置に保持することができる。連結ピン36が連結位置から連結解除位置へ移動して被連結部16から抜け出すのを抑制すること、すなわち、抜け止めを行なうことができる。
【0068】
(1-3)上下方向に延びる姿勢の操作レバー52に対し前下方へ回動させるための力を加えることで、上記抜け止めを解除することができる。すなわち、ロッド62を上昇させて、突部62aで屈曲部63bを押圧することにより、切り替え部材63を回動させて、係合爪部63dを筒部37に没入させることができる。連結ピン36の上記抜け止めを解除し、連結ピン36を上下動可能にすることができる。
【0069】
(1-4)第1実施形態では、上記(1-1)で説明したように、連結位置及び連結解除位置の間での連結ピン36の移動を操作機構51(操作レバー52、ワイヤ54、定滑車55及び動滑車57)によって実現している。
【0070】
また、上記(1-2),(1-3)で説明したように、連結ピン36の抜け止め及びその解除を、連結ピン36が有する抜け止め構造61(ロッド62及び切り替え部材63)によって実現している。
【0071】
そのため、第1実施形態によると、電気操作による場合(特許文献2)に比べ、少ない部品によって、しかも簡単な構造で、連結ピン36の移動と抜け止めとを実現できる。また、低コストで耐久性が高く、メンテナンスが容易な搬送台車連結装置10を提供できる。
【0072】
(1-5)第1実施形態では、操作レバー52に力を加えたり、力を加えなくしたりすることのみによって、連結ピン36を、連結位置と連結解除位置との間で移動させることができる。
【0073】
特に、第1実施形態では、牽引車両11の運転者は、運転席12に着座した状態で、操作レバー52を操作することにより、運転席12から後方へ離れた箇所の連結ピン36を、連結位置と連結解除位置との間で移動させることができる。表現を変えると、連結ピン36を遠隔操作することができ、切り替えの操作性が良好である。
【0074】
(1-6)また、第1実施形態では、連結ピン36を自重により連結位置まで下降させ、自重で下降するロッド62により、切り替え部材63を回動させて係合爪部63dを挿通孔24の周辺部に係合させている。そのため、連結ピン36を下降させたり、切り替え部材63を回動させたりするための動力源を別途設けなくてもすむ。この点でも、搬送台車連結装置10の構造の簡略化を図るうえで、有効である。
【0075】
(1-7)第1実施形態では、伝達機構53をワイヤ54及び滑車によって構成している。しかも、滑車として動滑車57を用いている。そのため、小さな力で操作レバー52を操作することができ、この点でも操作性が向上する。
【0076】
次に、第2~第4実施形態における搬送台車連結装置について、
図4~
図13を参照して説明する。
なお、第2~第4実施形態において、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付す。また、第2~第4実施形態において、第1実施形態と対応する構成については、それぞれ「100」,「200」,「300」を加算した符号を付して説明する。
【0077】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態における搬送台車連結装置110について、
図4~
図7を参照して説明する。
【0078】
<台車連結フレーム121>
図4及び
図5に示すように、第2実施形態では、台車連結フレーム121におけるレバー支持部133が、ピン支持部123の前端部に固定された縦フレーム部131上に位置している。レバー支持部133は、縦フレーム部131の上端部に固定され、かつ前後方向に延びる底板133aと、その底板133aの左右両側部に上方に折り曲げ形成された一対の側板133bとにより形成され、全体としてチャンネル状をなしている。操作レバー152は、全体としては前後方向に細長い形状をなしている。
【0079】
<連結ピン136>
図4、
図6及び
図7に示すように、連結ピン136は、上下方向に細長いシャフト状をなしている。連結ピン136の下端面136aは、同連結ピン136の先端面を構成している。連結ピン136において、上記下端面136aを有する少なくとも下部は、ピン支持部123の挿通孔124、及び補助ピン支持部125の補助挿通孔126よりも小径に形成されている。
【0080】
連結ピン136は、第1実施形態と同様、連結位置と、同連結位置よりも高い箇所に設定された連結解除位置との間で往復動可能である。
図6において二点鎖線で示すように、連結位置では、連結ピン136の上記下部が挿通孔124及び補助挿通孔126の両者に挿通される。連結ピン136の下端面136a(先端面)が、補助ピン支持部125の上面よりも下方に位置する。連結ピン136の上記下部が、ピン支持部123と補助ピン支持部125との間に配置された被連結部16に挿入されることで、同被連結部16が連結ピン136に連結される。
【0081】
図6において実線で示すように、連結解除位置では、連結ピン136の上記下部が、挿通孔124及び補助挿通孔126のうちの挿通孔124にのみ挿通される。連結ピン136の下端面136aが、補助ピン支持部125よりも上方に位置する。連結解除位置では、連結ピン136を被連結部16から抜け出させることにより、上記連結を解除することが可能となる。
【0082】
なお、連結ピン136の下部には、連結位置で、ピン支持部123に対し上側から接触するストッパ139が形成されている。ストッパ139は、連結ピン136が連結位置よりも下方へ移動するのを規制する機能を有している。
【0083】
<操作機構151>
図4及び
図5に示すように、操作機構151における操作レバー152は、前後方向における中間部において下方へ屈曲されていて、全体が逆への字状をなしている。操作レバー152のうち、中間部及びその前後の領域は、レバー支持部133における両側板133b間に配置されていて、両側板133b間に架け渡された軸153により、上下方向へ回動可能に支持されている。
【0084】
図4及び
図7に示すように、操作レバー152の後端部は、軸154によって連結ピン136の上端部に対し、動力伝達可能に連結されている。
操作レバー152は、
図5において二点鎖線で示すように、連結ピン136を連結位置に位置させる第1位置と、
図5において実線で示すように、連結ピン136を連結解除位置に位置させる第2位置との間で回動可能である。
【0085】
<抜け止め構造161>
図5に示すように、抜け止め構造161は、搬送台車15の牽引車両11に対する連結時に連結ピン136を連結位置に保持して、同連結ピン136が連結位置から連結解除位置へ移動するのを規制する機能を有している。台車連結フレーム121におけるレバー支持部133と、操作機構151における操作レバー152とは、抜け止め構造161を有している。
【0086】
抜け止め構造161は、第1実施形態におけるロッド62及び切り替え部材63に代えて、ターンオーバスプリング162を備えている。第2実施形態では、ターンオーバスプリング162として引っ張りコイルスプリングが用いられている。ターンオーバスプリング162は、上記第1位置及び第2位置の間の中間位置を境にして、操作レバー152を付勢する方向を反転させる機能を有している。なお、
図4では、ターンオーバスプリング162の図示が省略されている。
【0087】
ターンオーバスプリング162は、操作レバー152を次の態様で付勢するように、レバー支持部133と操作レバー152との間に架け渡されている。
・操作レバー152が第1位置と中間位置との間に位置するときには、同操作レバー152を第1位置側へ付勢する。
【0088】
・操作レバー152が第2位置と中間位置との間に位置するときには、同操作レバー152を第2位置側へ付勢する。
次に、第2実施形態の作用について説明する。
【0089】
図5及び
図6のそれぞれにおいて二点鎖線で示すように、操作レバー152が第1位置に位置するときには、連結ピン136が連結位置に位置しており、ピン支持部123と補助ピン支持部125との間に配置された被連結部16に挿入されている。
【0090】
搬送台車15は、被連結部16、連結ピン136及び台車連結フレーム121を介して牽引車両11に連結されている。そのため、牽引車両11を前進又は後退させると、その牽引車両11と一緒に台車連結フレーム121及び連結ピン136が前方又は後方へ移動する。牽引車両11の動きが、台車連結フレーム121、連結ピン136及び被連結部16を介して搬送台車15に伝達される。搬送台車15が牽引車両11によって牽引される。
【0091】
このときには、操作レバー152がターンオーバスプリング162により、連結ピン136を連結位置に位置させる第1位置側へ付勢される。そのため、連結ピン136が連結位置に保持される。連結ピン136が上方へ移動して被連結部16から抜け出す現象が規制される。
【0092】
図5及び
図6のそれぞれにおいて実線で示すように、操作レバー152が第2位置に位置するときには、連結ピン136が連結解除位置に位置している。連結ピン136を被連結部16から抜け出させることで、上記連結が解除される。
【0093】
このときには、操作レバー152がターンオーバスプリング162により、連結ピン136を連結解除位置に位置させる第2位置側へ付勢される。連結ピン136が被連結部16から抜け出した状態に保持される。
【0094】
第1位置に位置する操作レバー152を第2位置に向けて回動させる際には、同第1位置と中間位置との間では、同操作レバー152を同第1位置側へ付勢するターンオーバスプリング162の付勢力に抗して操作レバー152を回動させる。操作レバー152が中間位置を越えると、ターンオーバスプリング162が操作レバー152を付勢する方向が反転する。操作レバー152に対し、これを第2位置側へ付勢するターンオーバスプリング162の付勢力が作用するようになる。そのため、操作レバー152が第2位置へ回動する。
【0095】
第2位置に位置する操作レバー152を第1位置に向けて回動させる際には、同第2位置と中間位置との間では、同操作レバー152を同第2位置側へ付勢するターンオーバスプリング162の付勢力に抗して操作レバー152を回動させる。操作レバー152が中間位置を越えると、ターンオーバスプリング162が操作レバー152を付勢する方向が反転する。操作レバー152に対し、これを第1位置側へ付勢するターンオーバスプリング162の付勢力が作用するようになる。そのため、操作レバー152が第1位置へ回動する。
【0096】
次に、第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)第2実施形態では、
図4及び
図7に示すように、操作レバー152の動きを、軸154を介して連結ピン136に伝達している。そのため、レバー支持部133に支持された操作レバー152を、第1位置と第2位置との間で回動させることで、連結ピン136を連結位置と連結解除位置との間で移動させることができる。
【0097】
(2-2)第2実施形態では、
図5に示すように、抜け止め構造161としてターンオーバスプリング162をレバー支持部133と操作レバー152との間に架け渡している。そのため、操作レバー152を第1位置に位置させて、搬送台車15を牽引車両11に対し連結した状態では、操作レバー152をターンオーバスプリング162によって第1位置側へ付勢することができる。搬送台車15の牽引車両11に対する連結時には、連結ピン136が連結位置から連結解除位置へ移動して被連結部16から抜け出すのを抑制すること、すなわち、抜け止めを行なうことができる。
【0098】
(2-3)また、第1位置の上記操作レバー152における軸153よりも前方部分を下方へ回動させることで、ターンオーバスプリング162による上記抜け止めを解除することができる。すなわち、操作レバー152が中間位置を越えて回動されると、同操作レバー152を付勢する方向が、第1位置側から第2位置側へ反転される。この付勢方向の反転により、連結ピン136の上記抜け止めを解除し、同連結ピン136を連結解除位置へ移動させることができる。
【0099】
(2-4)第2実施形態では、上記(2-1)で説明したように、連結位置及び連結解除位置の間での連結ピン136の移動を操作機構151によって実現している。
また、上記(2-2),(2-3)で説明したように、連結ピン136の抜け止め及びその解除を、台車連結フレーム121及び操作機構151が有する抜け止め構造161(ターンオーバスプリング162)によって実現している。
【0100】
そのため、第2実施形態によると、電気操作による場合(特許文献2)に比べ、少ない部品によって、しかも簡単な構造で、連結ピン136の移動と抜け止めとを実現できる。また、低コストで耐久性が高く、メンテナンスが容易な搬送台車連結装置110を提供できる。
【0101】
(2-5)第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、操作レバー52に力を加えたり、力を加えなくしたりすることのみによって、連結ピン136を、連結位置と連結解除位置との間で移動させることができ、切り替えの操作性が良好である。
【0102】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態における搬送台車連結装置210について、
図8を参照して説明する。
【0103】
第3実施形態は、次の点で第2実施形態と共通している。
・台車連結フレーム221が、挿通孔224を有するピン支持部223を備えている点。
【0104】
・台車連結フレーム221が、補助挿通孔226を有する補助ピン支持部225を、上記ピン支持部223の下方に備えている点。
・連結ピン236が、挿通孔224及び補助挿通孔226に対し、上下動可能に挿通されている点。
【0105】
・操作レバー252が、連結ピン236を連結位置に位置させる第1位置と、連結ピン236を連結解除位置に位置させる第2位置との間で回動可能である点。
・第1位置の操作レバー252の前部が、下方へ回動されることにより第2位置へ移動させられる点。
【0106】
・操作機構251が操作レバー252及び伝達機構253を備えていて、同操作レバー252が、伝達機構253によって連結ピン236に動力伝達可能に連結されている点。
第3実施形態は、連結ピン236が抜け止め構造261を有している点で、第2実施形態と異なっている。
【0107】
<抜け止め構造261>
連結ピン236には、抜け止め構造261として、前傾斜部243及び後傾斜部244が形成されている。前傾斜部243及び後傾斜部244は、連結位置に位置する連結ピン236のうち、被連結部16に対し、連結ピン236の下端面236a(先端面)に近い側である下側に隣接する箇所に形成されている。
【0108】
第3実施形態では、連結ピン236が全体として円柱状をなしていて、上下方向に延びている。連結ピン236の下端面236aを含む下部は、連結位置では、ピン支持部223よりも下方に位置している。
【0109】
連結ピン236の下部には、連結位置で、ピン支持部223に対し上側から接触するストッパ239が形成されている。連結ピン236の下部のうち、ストッパ239に対し下側に隣接した箇所であって、連結位置で、ピン支持部223の挿通孔224に挿通される箇所と、その周辺箇所とは、上大径部237によって構成されている。上大径部237は、挿通孔224よりも小径の円柱状をなしている。連結ピン236の下部のうち、連結位置で、補助ピン支持部225の補助挿通孔226に挿通される箇所と、その周辺箇所とは、下大径部238によって構成されている。下大径部238は、補助挿通孔226よりも小径の円柱状をなしている。
【0110】
連結ピン236の下部であって、上大径部237及び下大径部238の間には、小径部241及びテーパ部242が形成されている。小径部241は、上大径部237の下側に隣接する箇所において、同上大径部237よりも小径に形成されている。テーパ部242は、下大径部238と小径部241との間において、下側ほど拡径するテーパ状に形成されている。
【0111】
前傾斜部243は、テーパ部242において小径部241よりも前方部分によって構成されている。後傾斜部244は、テーパ部242において小径部241よりも後方部分によって構成されている。
【0112】
前傾斜部243及び後傾斜部244を含むテーパ部242は、連結位置に位置する連結ピン236のうち、被連結部16に対し、下端面236a(先端面)に近い側である下側に隣接する箇所に形成されている。
【0113】
前傾斜部243は、下端面236aに近づくに従い(
図8の下側ほど)前方に位置するように傾斜している。後傾斜部244は、下端面236aに近づくに従い後方に位置するように傾斜している。
【0114】
次に、第3実施形態の作用について説明する。
操作レバー252が第1位置に位置するときには、
図8において実線で示すように、連結ピン236が連結位置に位置している。被連結部16が、ピン支持部223と補助ピン支持部225との間に配置されている。連結ピン236が、小径部241及びテーパ部242において、被連結部16に挿入されている。
【0115】
搬送台車15は、被連結部16、連結ピン236及び台車連結フレーム221を介して牽引車両11に連結されている。そのため、牽引車両11を前進又は後退させると、その牽引車両11と一緒に連結ピン236が前方又は後方へ移動する。牽引車両11の動きが連結ピン236及び被連結部16を介して搬送台車15に伝達される。搬送台車15が牽引車両11によって牽引される。
【0116】
特に、第3実施形態では、連結ピン236が連結位置に位置する状態で、牽引車両11が前進すると、
図8において実線で示すように、被連結部16の内周面の前部が、連結ピン236の前傾斜部243に接触する。前傾斜部243は、下端面236aに近づくに従い前方に位置するように傾斜している。そのため、被連結部16の前傾斜部243との接触により連結ピン236が下端面236a側(下側)へ押され、連結ピン236が上方へ移動して被連結部16から抜け出す現象が規制される。
【0117】
また、連結ピン236が連結位置に位置する状態で、牽引車両11が後退すると、
図8において二点鎖線で示すように、被連結部16の内周面の後部が、連結ピン236の後傾斜部244に接触する。後傾斜部244は、下端面236aに近づくに従い後方に位置するように傾斜している。そのため、被連結部16の後傾斜部244との接触により連結ピン236が下端面236a側(下側)へ押され、連結ピン236が被連結部16から抜け出す現象が規制される。
【0118】
また、連結ピン236が連結位置に位置する状態で、前進している牽引車両11にブレーキがかけられると、連結ピン236が前方への移動を停止するのに対し、被連結部16は慣性により前方へ移動する。牽引車両11の上記後退時と同様に、被連結部16の内周面の後部が、連結ピン236の後傾斜部244に接触する。そのため、上記後退時と同様に、連結ピン236が後傾斜部244において下端面236a側(下側)へ押される。連結ピン236が被連結部16から抜け出す現象が規制される。
【0119】
ところで、第1位置に位置する操作レバー252が第2位置側へ回動されると、その回動が伝達機構253を介して連結ピン236に伝達される。連結位置に位置する連結ピン236に対し、連結解除位置へ向かう力が加えられる。すると、前傾斜部243が被連結部16を前方へ押しながら、又は後傾斜部244が被連結部16を後方へ押しながら連結解除位置側である上側へ移動する。前傾斜部243及び後傾斜部244が被連結部16を通過した後も操作レバー252が回動され続けて、連結ピン236が上昇し続けると、同連結ピン236は
図8において二点鎖線で示すように、連結解除位置へ移動する。連結ピン236を被連結部16から抜け出させることで、搬送台車15の牽引車両11に対する連結が解除される。
【0120】
次に、第3実施形態の効果について説明する。
(3-1)第3実施形態では、操作レバー252の動きを、伝達機構253によって連結ピン236に伝達している。そのため、上記(2-1)と同様、操作レバー252を、第1位置と第2位置との間で回動させることで、連結ピン236を連結位置と連結解除位置との間で移動させることができる。
【0121】
(3-2)第3実施形態では、前傾斜部243又は後傾斜部244を被連結部16によって下方へ押圧している。そのため、搬送台車15の牽引車両11に対する連結時には、連結ピン236が連結位置から連結解除位置へ移動して被連結部16から抜け出すのを抑制すること、すなわち、抜け止めを行なうことができる。
【0122】
(3-3)また、前傾斜部243又は後傾斜部244が被連結部16を通過した後も操作レバー252を回動させ続けることで、連結ピン236を連結解除位置へ移動させることができる。
【0123】
(3-4)第3実施形態では、上記(3-1)で説明したように、連結位置及び連結解除位置の間での連結ピン236の移動を操作機構251によって実現している。
また、上記(3-2),(3-3)で説明したように、連結ピン236の抜け止め及びその解除を、その連結ピン236が有する抜け止め構造261(前傾斜部243及び後傾斜部244)によって実現している。
【0124】
そのため、第3実施形態によると、電気操作による場合(特許文献2)に比べ、少ない部品によって、しかも簡単な構造で、連結ピン236の移動と抜け止めとを実現できる。また、低コストで耐久性が高く、メンテナンスが容易な搬送台車連結装置210を提供できる。
【0125】
(3-5)第3実施形態でも、第1実施形態の上記(1-5)と同様に、操作レバー52に力を加えたり、力を加えなくしたりすることのみによって、連結ピン236を、連結位置と連結解除位置との間で移動させることができ、切り替えの操作性が良好である。
【0126】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態における搬送台車連結装置310について、
図9~
図13を参照して説明する。
【0127】
第4実施形態では、台車連結フレーム321、連結ピン336、操作機構351及び抜け止め構造361として、上記第1~第3実施形態とは異なる構成を有するものが採用されている。
【0128】
<台車連結フレーム321>
図9及び
図10に示すように、台車連結フレーム321は、車両フレーム部22及び可動フレーム部376を備えている。
【0129】
車両フレーム部22の骨格部分は、左右方向に延びる長尺状の横フレーム部371によって構成されている。車両フレーム部22は、横フレーム部371において、牽引車両11の後部に固定される。
【0130】
可動フレーム部376は、一対の傾斜フレーム部377及び連結フレーム部379を備えている。両傾斜フレーム部377及び連結フレーム部379は、いずれも長尺状をなす棒材又はパイプ材によって構成されている。両傾斜フレーム部377は、それらの間隔が後方ほど狭くなるように、前後方向に対し傾斜した状態で配置されている。両傾斜フレーム部377の後端部は、互いに接触させられた状態で結合されている。連結フレーム部379は、前後方向については、可動フレーム部376の中間部部分に配置されている。連結フレーム部379は、左右方向については、両傾斜フレーム部377間に配置されている。連結フレーム部379は左右方向に延びていて、両傾斜フレーム部377に架け渡されている。
【0131】
可動フレーム部376は、両傾斜フレーム部377の前端部において、車両フレーム部22に対し、上下方向への回動可能に支持されている。
この支持のために、各傾斜フレーム部377の前端部には、回動軸378が固定されている。左側の回動軸378は、左側の傾斜フレーム部377の前端部から左方へ突出している。右側の回動軸378は、右側の傾斜フレーム部377の前端部から右方へ突出している。
【0132】
また、上記支持のために、車両フレーム部22は、横フレーム部371の左右の両端部に配置された一対の軸受部372をさらに備えている。各軸受部372は、前後方向に細長い板状をなしている。各軸受部372は、自身の前部において横フレーム部371の左右の端部に固定されている。各軸受部372の後部は、横フレーム部371よりも後方に位置している。各軸受部372の上記後部には、軸受孔373が形成されている。
【0133】
図10及び
図13に示すように、各軸受孔373は、回動軸378を回動可能に支持する回動孔部374を有している。軸受孔373毎の回動孔部374は、回動軸378が回動し得る径を有する丸孔によって構成されている。
【0134】
<連結ピン336>
図9及び
図11に示すように、連結ピン336は、可動フレーム部376に一体に形成されている。連結ピン336は、上下方向に延びる本体ピン部337を備えている。本体ピン部337は、自身の上端部において両傾斜フレーム部377の合流した後端部に固定されている。
【0135】
<操作機構351>
図9及び
図10に示すように、操作機構351は、上記可動フレーム部376に固定された操作レバー352を備えている。操作レバー352は、前後方向へ延びる操作部352aと、上下方向へ延びる伝達部352bとを備えている。伝達部352bは、自身の上端部において操作部352aの後端部に固定されている。伝達部352bの下端部は、上記連結フレーム部379に固定されている。
【0136】
操作レバー352は、連結ピン336を連結位置に位置させる第1位置と、連結ピン336を連結解除位置に位置させる第2位置との間の回動領域で回動可能である。第1位置の操作レバー352は、操作部352aが下方へ操作されることにより第2位置へ移動させられる。
【0137】
上記可動フレーム部376は、操作レバー352に加えられた力を連結ピン336に伝達する機能を有している。
搬送台車連結装置310は、さらに抜け止め構造361を備えている。
【0138】
<抜け止め構造361>
抜け止め構造361は、
図12に示すように、軸受孔373の一部を構成するスライド孔部375と、回動軸378と、
図11に示すように、連結ピン336の一部を構成する屈曲ピン部338とを備えている。
【0139】
図12及び
図13に示すように、軸受孔373毎のスライド孔部375は、回動孔部374から後方へ延びている。
各回動軸378は、次の条件を満たす形状に形成されている。
【0140】
・スライド孔部375に対し、回動を規制された状態でスライドする形状であること。
・連結ピン336が連結位置に位置するときには、スライド孔部375に嵌合し得る形状であること。
【0141】
上記条件を満たす形状として、各回動軸378は、前後方向に対し、他方向に対するよりも長い直方体状に形成されている。
図9及び
図11に示すように、連結ピン336の下端面336aは、同連結ピン336の先端面を構成している。屈曲ピン部338は、連結ピン336の下端面336aを含む側の部分である下部に形成されている。屈曲ピン部338は、下端面336a(先端面)に近づくに従い、すなわち下側ほど後方に位置するように傾斜している。屈曲ピン部338の上端部は、上記本体ピン部337の下端部に繋がっている。
【0142】
次に、第4実施形態の作用について説明する。
操作レバー352に対し力が加えられないと、同操作レバー352は第1位置に位置する。操作レバー352の操作部352aは、略水平状態となる。このときには、
図11において実線で示すように、連結ピン336が連結位置に位置しており、被連結部16に挿入されている。
【0143】
搬送台車15は牽引車両11に連結されている。そのため、牽引車両11を前進させると、台車連結フレーム321、操作機構351及び連結ピン336が牽引車両11と一緒に前方へ移動する。牽引車両11の動きが、台車連結フレーム321、連結ピン336及び被連結部16を介して搬送台車15に伝達される。搬送台車15が牽引車両11によって牽引される。
【0144】
また、牽引車両11の上記前進時には、
図12に示すように、回動軸378が軸受孔373のスライド孔部375に嵌合される。この嵌合により、回動軸378を中心とした可動フレーム部376の回動が規制される。連結ピン336を連結位置から連結解除位置へ移動させるための操作レバー352の操作が規制される。操作レバー352は第1位置に保持される。連結ピン336が上方へ移動して被連結部16から抜け出す現象が規制される。
【0145】
また、連結ピン336が連結位置に位置する状態で、前進している牽引車両11にブレーキがかけられると、連結ピン336が前進を停止するのに対し、被連結部16は慣性により前方へ移動する。
図11において実線で示すように、被連結部16の内周面の後部が、連結ピン336の屈曲ピン部338に接触する。屈曲ピン部338は、下端面336aに近づくに従い後方に位置するように傾斜している。そのため、連結ピン336が屈曲ピン部338において下端面336a側である下側へ押される。連結ピン336が被連結部16から抜け出す現象が規制される。
【0146】
また、連結ピン336が連結位置に位置する状態で、牽引車両11が後退すると、被連結部16及び可動フレーム部376が停止しているのに対し、車両フレーム部22は後方へ移動する。そのため、
図13に示すように、回動軸378がスライド孔部375から抜け出る。回動軸378が回動孔部374に位置する状態で、牽引車両11を停車させると、可動フレーム部376を、回動軸378を中心として車両フレーム部22に対し回動させることが可能となる。
【0147】
操作レバー352の操作部352aに対し、下方へ向かう力が加えられると、その力が伝達部352bを介して可動フレーム部376に伝達される。可動フレーム部376が、各傾斜フレーム部377の前端部の回動軸378を中心として上方へ回動する。この回動に伴い、可動フレーム部376に一体に形成された連結ピン336が、連結位置から上方へ移動する。この移動の過程で、連結ピン336が被連結部16から抜け出して、連結解除位置へ移動すると、搬送台車15の牽引車両11に対する連結が解除される。
【0148】
なお、第2位置に位置する操作レバー352に対し、上記下方へ向かう力が加えられなくなると、可動フレーム部376が、自重により、両回動軸378を中心として下方へ回動する。この回動に伴い、連結ピン336が連結解除位置から下方へ移動する。連結ピン336が連結位置へ移動する際に、被連結部16に挿入されれば、搬送台車15を牽引車両11に連結させることが可能である。
【0149】
次に、第4実施形態の効果について説明する。
(4-1)第4実施形態では、操作レバー352の動きを、可動フレーム部376を介して連結ピン336に伝達している。そのため、操作レバー352を操作することで、回動軸378を中心として可動フレーム部376を上下方向へ回動させ、連結ピン336を連結位置と連結解除位置との間で移動させることができる。
【0150】
(4-2)第4実施形態では、軸受孔373にスライド孔部375を追加し、回動軸378を直方体状に形成している。そのため、回動軸378を軸受孔373におけるスライド孔部375に嵌合させることで、回動軸378を中心とする可動フレーム部376の回動を規制することができる。
【0151】
搬送台車15が連結された牽引車両11の前進時には、連結位置に位置していて被連結部16に挿入されている連結ピン336が連結位置から連結解除位置へ移動して被連結部16から抜け出すのを抑制すること、すなわち、抜け止めを行なうことができる。
【0152】
(4-3)また、第4実施形態では、連結ピン336に屈曲ピン部338を形成している。そのため、牽引車両11の上記前進時にブレーキがかけられたときに、被連結部16によって屈曲ピン部338を下方へ押し、連結ピン336が被連結部16から抜け出すのを抑制できる。
【0153】
(4-4)なお、牽引車両11を後退させて、回動軸378をスライド孔部375から軸受孔373へ移動させることで、上記抜け止めを解除するとともに、可動フレーム部376を回動可能にすることができる。
【0154】
(4-5)上記(4-4)の状態で、操作レバー352を操作して、可動フレーム部376を上方へ回動させることで、連結ピン336を被連結部16から抜き出して、連結解除位置へ移動させることができる。
【0155】
(4-6)第4実施形態では、上記(4-1)で説明したように、連結位置及び連結解除位置の間での連結ピン336の移動を、台車連結フレーム321及び操作機構351によって実現している。
【0156】
また、上記(4-2)~(4-5)で説明したように、連結ピン336の抜け止め及びその解除を、台車連結フレーム321と連結ピン336とが有する抜け止め構造361(スライド孔部375、回動軸378及び屈曲ピン部338)によって実現している。
【0157】
そのため、第4実施形態によると、電気操作による場合(特許文献2)に比べ、少ない部品によって、しかも簡単な構造で、連結ピン336の移動と抜け止めとを実現できる。また、低コストで耐久性が高く、メンテナンスが容易な搬送台車連結装置310を提供できる。
【0158】
(4-7)第4実施形態では、牽引車両11の前進及び後退と、操作レバー352の操作とによって、連結ピン336を、連結位置と連結解除位置との間で移動させることができ、切り替えの操作性が良好である。
【0159】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変更例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0160】
<第1実施形態について>
・定滑車55及び動滑車57の数が、第1実施形態とは異なる数に変更されてもよい。
・ワイヤ54の台車連結フレーム21に対する取り付け位置が、第1実施形態とは異なる箇所に変更されてもよい。
【0161】
<第2実施形態について>
・第2実施形態におけるターンオーバスプリング162として、引っ張りコイルスプリングとは異なる種類のスプリングが用いられてもよい。
図14は、ターンオーバスプリング162として、ねじりコイルスプリンが用いられた変更例を示している。この場合にも、第2実施形態と同様に、ターンオーバスプリング162はレバー支持部133と操作レバー152との間に架け渡される。この変更例でも第2実施形態と同様に、連結位置に位置する連結ピン136が連結解除位置側へ移動するのを規制する抜け止め効果を得ることができる。
【0162】
<第3実施形態について>
・第3実施形態では、連結ピン236の全周にわたってテーパ部242を形成し、その前部を前傾斜部243とし、後部を後傾斜部244とした。これに代えて、連結ピン236の前部にのみ前傾斜部243を形成し、後部にのみ後傾斜部244を形成してもよい。この場合にも第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0163】
<第4実施形態について>
・回動孔部374に対し回動軸378が回動し得ることを条件に、同回動孔部374の形状及び大きさが第4実施形態とは異なる形状及び大きさに変更されてもよい。
【0164】
・操作レバー352における伝達部352bが、第1実施形態のようなワイヤ54、定滑車55及び動滑車57の組み合わせによって構成されてもよい。
・第1実施形態における抜け止め構造61が、第4実施形態における抜け止め構造361として採用されてもよい。
【0165】
・第3実施形態における抜け止め構造261が、第4実施形態における抜け止め構造361として採用されてもよい。
<第1~第4実施形態について>
・連結ピン36,136,236,336が挿入及び抜け出し可能な形状であることを条件に、被連結部16が非環状に形成されてもよい。
【0166】
<第1~第3実施形態について>
・台車連結フレーム21,121,221から補助ピン支持部25,125,225が省略されてもよい。
【0167】
<第2及び第3実施形態について>
・連結ピン136,236がピン支持部123,223に対し、上下方向とは異なる方向、例えば左右方向に移動可能に挿通されてもよい。
【符号の説明】
【0168】
10,110,210,310…搬送台車連結装置
11…牽引車両
15…搬送台車
16…被連結部
21,121,221,321…台車連結フレーム
22…車両フレーム部
23,123,223…ピン支持部
24,124,224…挿通孔
33,133…レバー支持部
36,136,236,336…連結ピン
36a,136a,236a,336a…下端面(先端面)
51,151,251,351…操作機構
52,152,252,352…操作レバー
53,253…伝達機構
54…ワイヤ
55…定滑車
57…動滑車
61,161,261,361…抜け止め構造
62…ロッド
63…切り替え部材
63d…係合爪部
64…支軸
153…軸
162…ターンオーバスプリング
243…前傾斜部
244…後傾斜部
373…軸受孔
374…回動孔部
375…スライド孔部
376…可動フレーム部
378…回動軸
338…屈曲ピン部