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特開2023-161861光デバイス及びバンプ配置方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161861
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】光デバイス及びバンプ配置方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/0237 20210101AFI20231031BHJP
H01S 5/026 20060101ALI20231031BHJP
H01S 5/024 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
H01S5/0237
H01S5/026 618
H01S5/024
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072472
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 武
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AD02
5F173AD15
5F173MB02
5F173MC12
5F173MD84
5F173ME32
5F173ME44
5F173ME56
5F173MF03
5F173MF25
(57)【要約】
【課題】熱応力の影響を抑制しながら、放熱特性を確保できる光デバイス等を提供することを目的とする。
【解決手段】光デバイスは、基板側電極を有する基板と、N本(N≧1)のストライプ状の活性層及び、前記基板側電極に実装するチップ側電極を有するチップとを有する。光デバイスは、基板側電極の内、N本目の活性層と対向する接合面の両脇にN本目の活性層と並走されるバンプの内、全バンプの重心位置から遠い方のバンプを第1のバンプ及び重心位置から近い方のバンプを第2のバンプとする。更に、光デバイスは、第1のバンプ及び第2のバンプの少なくとも一組において、第1のバンプと接合面との間の距離が第2のバンプと接合面との間の距離に比較して長くなるように、第1のバンプ及び第2のバンプが基板側電極上に配置される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板側電極を有する基板と、
N本(N≧1)のストライプ状の活性層及び、前記基板側電極に実装するチップ側電極を有するチップとを有し、
前記基板側電極の内、前記N本目の活性層と対向する接合面の両脇に前記N本目の活性層と並走されるバンプの内、全バンプの重心位置から遠い方のバンプを第1のバンプ及び前記重心位置から近い方のバンプを第2のバンプとし、
前記第1のバンプ及び前記第2のバンプの少なくとも一組において、前記第1のバンプと前記接合面との間の距離が前記第2のバンプと前記接合面との間の距離に比較して長くなるように、前記第1のバンプ及び前記第2のバンプが前記基板側電極上に配置されることを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
基板側電極を有する基板と、
ストライプ状の第1の活性層、前記第1の活性層と並走する第2の活性層及び、前記基板側電極に実装するチップ側電極を有するチップとを有し、
前記基板側電極の内、前記第1の活性層と対向する第1の接合面の両脇に前記第1の活性層と並走されるバンプの内、全バンプの重心位置から遠い方のバンプを第1のバンプ及び、前記重心位置から近い方のバンプを第2のバンプとし、
前記第1のバンプと前記第1の接合面との間の距離が前記第2のバンプと前記第1の接合面との間の距離に比較して長くなるように、前記第1のバンプ及び前記第2のバンプが前記基板側電極上に配置されると共に、
前記基板側電極の内、前記第2の活性層と対向する第2の接合面の両脇に前記第2の活性層と並走されるバンプの内、前記重心位置から遠い方のバンプを第4のバンプ及び、前記重心位置から近い方のバンプを第3のバンプとし、
前記第4のバンプと前記第2の接合面との間の距離が前記第3のバンプと前記第2の接合面との間の距離に比較して長くなるように、前記第3のバンプ及び前記第4のバンプが前記基板側電極に配置されることを特徴とする光デバイス。
【請求項3】
前記第1のバンプ、前記第2のバンプ、前記第3のバンプ及び前記第4のバンプが前記基板側電極上をストライプ状に並走することを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記第2のバンプ及び前記第3のバンプの代わりに1本の第5のバンプとし、
前記基板側電極の内、前記第1の活性層と対向する前記第1の接合面の両脇に前記第1の活性層と並走されるバンプの内、前記重心位置から遠い方のバンプを前記第1のバンプ及び、前記重心位置から近い方のバンプを前記第5のバンプとし、
前記第1のバンプと前記第1の接合面との間の距離が前記第5のバンプと前記第1の接合面との間の距離に比較して長くなるように、前記第1のバンプ及び前記第5のバンプが前記基板側電極上に配置されると共に、
前記基板側電極の内、前記第2の活性層と対向する第2の接合面の両脇に前記第2の活性層と並走されるバンプの内、前記重心位置から遠い方のバンプを前記第4のバンプ及び、前記重心位置から近い方のバンプを前記第5のバンプとし、
前記第4のバンプと前記第2の接合面との間の距離が前記第5のバンプと前記第2の接合面との間の距離に比較して長くなるように、前記第5のバンプ及び前記第4のバンプが前記基板側電極上に配置されることを特徴とする請求項3に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記第1のバンプ、前記第2のバンプ、前記第3のバンプ及び前記第4のバンプは、複数の分割バンプを直線状に配列することで構成することを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記チップは、
前記第1の活性層の一端と前記第2の活性層の一端とを光結合する折り返し導波路を有することを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。
【請求項7】
前記基板は、
第1の導波路と、第2の導波路とを有し、
前記基板側電極上に前記チップ側電極を実装した場合に、前記第1の導波路と前記チップ内の前記第1の活性層とを光結合すると共に、前記第2の導波路と前記チップ内の前記第2の活性層とを光結合することを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。
【請求項8】
基板側電極を有する基板と、
N本(N≧1)のストライプ状の活性層及び、前記基板側電極に実装するチップ側電極を有するチップとを有する光デバイスのバンプ配置方法であって、
前記基板側電極の内、前記N本目の活性層と対向する接合面の両脇に前記N本目の活性層と並走されるバンプの内、全バンプの重心位置から遠い方のバンプを第1のバンプ及び前記重心位置から近い方のバンプを第2のバンプとし、
前記第1のバンプ及び前記第2のバンプの少なくとも一組において、前記第1のバンプと前記接合面との間の距離が前記第2のバンプと前記接合面との間の距離に比較して長くなるように、前記第1のバンプ及び前記第2のバンプを前記基板側電極上に配置する
処理を実行することを特徴とするバンプ配置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス及びバンプ配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコンフォトニクスでは、小型かつ大容量トランシーバを実現する集積光デバイス技術として広く開発が進められている。シリコンフォトニクスに使用するシリコンは間接遷移型で発光効率の低い半導体材料であって、光利得媒質としては、例えば、InP系半導体等の化合物半導体素子である。シリコンフォトニクス基板等の光導波路を備えた基板上に、例えば、半導体レーザや半導体光増幅器等の化合物半導体素子のチップを半田バンプで接合することで、ハイブリッド集積した光デバイスが知られている。
【0003】
光導波路を備えた基板上に、化合物半導体素子の活性層を備えたチップを実装する際には、半田バンプを用いた熱圧着が一般的に用いられる。しかしながら、基板とチップとを半田バンプで接合する場合には、半田バンプからの応力が化合物半導体素子の活性層に加わることで、化合物半導体素子の特性が劣化する。また、化合物半導体素子は活性層の温度が上昇すると特性が低下するため、半田バンプを介した基板側への効率的な放熱特性が重要となる。
【0004】
図41は、従来の光デバイスの一例を示す略断面図である。
図41に示す光デバイス100は、搭載用溝101Aを備えた基板101と、化合物半導体素子を内蔵したチップ102とを有する。基板101は、チップ102を搭載するための搭載用溝101A内に基板側電極103を有する。チップ102は、化合物半導体素子の光導波路となるストライプ状の活性層104を有する。更に、チップ102は、基板側電極103の接合面に表面実装するチップ側電極105を有する。
【0005】
基板101内の基板側電極103とチップ102内のチップ側電極105との間を半田バンプ106で接合する際に、チップ102内の活性層104が対向する基板側電極103の接合面上にのみ半田バンプ106を配置することになる。そして、基板側電極103とチップ側電極105との間を半田バンプ106で接合することで基板101上にチップ102を実装することになる。
【0006】
従来の光デバイス100では、チップ102内の活性層104が対向する基板側電極103の接合面上にのみ半田バンプ106を配置する。その結果、チップ側電極105を実装する基板側電極103の接合面の広い範囲で半田バンプ106を配置する場合に比較して、半田バンプ106の熱収縮による応力を抑制しながら、活性層104の直下にのみ、半田バンプ106が存在するため、効率的な放熱特性を確保できる。
【0007】
図42は、従来の光デバイスの一例を示す略断面図である。
図42に示す光デバイス100Aは、搭載用溝101Aを備えた基板101と、化合物半導体素子を内蔵したチップ102とを有する。基板101は、チップ102を搭載するための搭載用溝101A内にストライプ状の2本の基板側電極103Aを有する。チップ102は、ストライプ状の1本の活性層104を内蔵する。チップ102は、基板側電極103Aの接合面に表面実装するチップ側電極105を有する。
【0008】
基板101には、チップ102を載置するための複数の台座101Bを有する。更に、2本の基板側電極103Aは、チップ102内の活性層104が対向する搭載用溝101Aの領域101Cを挟むように搭載用溝101A内に配置されることになる。
【0009】
基板101は、台座101B上にチップ102を載置した状態で2本の基板側電極103Aとチップ側電極105との間を半田バンプ106Aで接合することで基板101上にチップ102を表面実装することになる。
【0010】
従来の光デバイス100Aでは、活性層104に対向する基板101の領域101C、すなわち活性層104直下の領域101Cを挟むように2本の基板側電極103Aを搭載用溝101A内に配置する。その結果、活性層104にかかる半田バンプ106Aによる応力を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2012-222336号公報
【特許文献2】特開2012-151324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、
図41に示す従来の光デバイス100では、放熱特性を確保できるものの、化合物半導体素子と基板101との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が、半田バンプ106を介して化合物半導体素子の活性層104に加わる。その結果、化合物半導体素子の特性が劣化してしまう。
【0013】
また、
図42に示す従来の光デバイス100Aでは、半田バンプ106Aによる応力を低減できるものの、化合物半導体素子の活性層104の温度上昇による化合物半導体素子の光学特性が劣化してしまう。
【0014】
つまり、光デバイスでは、熱応力の影響を抑制しながら、放熱特性を確保できることが求められている。
【0015】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、熱応力の影響を抑制しながら、放熱特性を確保できる光デバイス等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願が開示する光デバイスは、1つの態様において、基板側電極を有する基板と、N本(N≧1)のストライプ状の活性層及び、基板側電極に実装するチップ側電極を有するチップとを有する。光デバイスは、基板側電極の内、N本目の活性層と対向する接合面の両脇にN本目の活性層と並走されるバンプの内、全バンプの重心位置から遠い方のバンプを第1のバンプ及び重心位置から近い方のバンプを第2のバンプとする。更に、光デバイスは、第1のバンプ及び第2のバンプの少なくとも一組において、第1のバンプと接合面との間の距離が第2のバンプと接合面との間の距離に比較して長くなるように、第1のバンプ及び第2のバンプが基板側電極上に配置される。
【発明の効果】
【0017】
本願が開示する光デバイス等の1つの態様によれば、熱応力の影響を抑制しながら、放熱特性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施例1の光デバイスの一例を示す略平面図である。
【
図4】
図4は、チップの一例を示す略平面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すチップのB-B線の略断面図である。
【
図7】
図7は、実施例2の光デバイスの一例を示す略平面図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す基板のA1-A1線の略断面図である。
【
図13】
図13は、実施例3の光デバイスの一例を示す略平面図である。
【
図17】
図17は、実施例4の光デバイスの一例を示す略平面図である。
【
図23】
図23は、実施例5の光デバイスの一例を示す略平面図である。
【
図29】
図29は、実施例6の光デバイスの一例を示す略平面図である。
【
図35】
図35は、実施例7の光デバイスの一例を示す略平面図である。
【
図41】
図41は、従来の光デバイスの一例を示す略断面図である。
【
図42】
図42は、従来の光デバイスの一例を示す略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本願の開示する光デバイス等の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例0020】
図1は、実施例1の光デバイス1の一例を示す略平面図である。
図1に示す光デバイス1は、N本の光導波路11を有する基板2と、N本の活性層21を有するチップ3とを有し、基板2上にチップ3を表面実装することでN本の光導波路11とN本の活性層21とを光結合する。尚、N本は1本以上である。基板2は、例えば、シリコン基板である。チップ3は、例えば、半導体レーザや半導体光増幅器等のInP系半導体等の化合物半導体素子を内蔵する。活性層21は、化合物半導体素子のストライプ状の光導波路である。N本の光導波路11及びN本の活性層21は、同一ピッチで形成される。
【0021】
図2は、基板2の一例を示す略平面図である。
図3は、
図2に示す基板2のA-A線の略断面図である。
図2に示す基板2は、チップ3を搭載するための搭載用溝2Aと、搭載用溝2Aに搭載されたチップ3を載置する複数の台座2Bとを有する。台座2Bは、チップ3を載置する際にチップ3内の活性層21と光導波路11とが光結合するように光軸高さを一致させるものである。基板2内の光導波路11は、基板2上のSiO
2の上下のクラッド層で形成するシリコン導波路である。基板2は、搭載用溝2A内に形成された基板側電極12を有する。基板側電極12の接合面には、複数本の半田バンプ4が配置されることになる。
図3に示す重心位置Gは、基板2の基板側電極12上の全半田バンプ4の重心座標で算出する。重心位置Gは、半田バンプ4を基板側電極12の接合面に配置する位置を決定するのに使用する。
【0022】
基板2では、X軸及びY軸を規定した場合、N番目の活性層21に対向する接合面12Aの両脇の半田バンプ4で重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4Aの面積をSAN、第1のバンプ4Aの重心座標を(XAN、YAN)とする。更に、N番目の活性層21に対向する接合面12Aの両脇の半田バンプ4で重心位置Gから近い側の第2のバンプ4Bの面積をSBN、第2のバンプ4Bの重心座標を(XBN、YBN)とする。そして、全半田バンプ4の重心位置Gの座標(XG、YG)は、<数1>の通りである。
【0023】
【0024】
重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4Aでは、チップ3と基板2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が大きく、逆に重心位置Gから近い側の第2のバンプ4Bでは熱応力が小さくなる。重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4Aと活性層21との間の距離を離すことで熱応力の影響を抑制し、重心位置Gから近い側の第2のバンプ4Bと活性層21との間の距離を近づけることで放熱特性の確保を可能としている。ここで、チップ3側の活性層21は、半導体量子井戸構造(QW構造)や半導体量子ドット構造(QD構造)からなる発光層であり、半導体レーザや半導体光増幅器ではストライプ状に加工され、リッジ構造や埋め込み構造である。
【0025】
図4は、チップ3の一例を示す略平面図である。
図5は、
図4に示すチップ3のB-B線の略断面図である。
図4に示すチップ3は、基板2の基板側電極12と実装する面にチップ側電極22を有する。チップ側電極22は、基板側電極12の接合面上に半田バンプ4を通じて接合して実装する。基板2上にチップ3を実装する際にチップ3内の活性層21と光導波路11とが光結合することになる。
【0026】
図6は、
図1に示すC-C線の略断面図である。
図6に示す基板側電極12の接合面上に配置する半田バンプ4は、チップ側電極22と接合する基板側電極12の接合面の内、活性層21と対向する接合面12Aの両脇に活性層21と並走される第1のバンプ4A及び第2のバンプ4Bである。
【0027】
第1のバンプ4Aは、活性層5に並走される全半田バンプ4の重心位置Gから遠い方の半田バンプ4とし、第2のバンプ4Bは、重心位置Gから近い方の半田バンプ4とする。第1のバンプ4Aと接合面12Aとの間の距離の方が第2のバンプ4Bと接合面12Aとの間の距離に比較して長くなるように、第1のバンプ4A及び第2のバンプ4Bが基板側電極12の接合面に配置されることになる。
【0028】
例えば、1番目の活性層21の場合、第1のバンプ4Aと接合面12Aとの間の距離をA1、第2のバンプ4Bと接合面12Aとの間の距離をB1とする。そして、距離A1>距離B1の要件を満たすように第1のバンプ4A及び第2のバンプ4Bは、基板側電極12の接合面上に1番目の活性層21と並走するように配置されることになる。
【0029】
例えば、2番目の活性層21の場合、第1のバンプ4Aと接合面12Aとの間の距離をA2、第2のバンプ4Bと接合面12Aとの間の距離をB2とする。そして、距離A2>距離B2の要件を満たすように第1のバンプ4A及び第2のバンプ4Bは、基板側電極12の接合面上に2番目の活性層21と並走するように配置されることになる。
【0030】
例えば、N番目の活性層21の場合、第1のバンプ4Aと接合面12Aとの間の距離をAN、第2のバンプ4Bと接合面12Aとの間の距離をBNとする。そして、距離AN>距離BNの要件を満たすように第1のバンプ4A及び第2のバンプ4Bは、基板側電極12の接合面上にN番目の活性層21と並走するように配置されることになる。
【0031】
実施例1の光デバイス1では、第1のバンプ4Aと接合面12Aとの間の距離ANが第2のバンプ4Bと接合面12Aとの間の距離BNに比較して長くなるように、第1のバンプ4A及び第2のバンプ4Bが基板側電極12上に配置されることになる。その結果、重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4Aと活性層21との間の距離ANを離すことで熱応力の影響を抑制しながら、重心位置Gから近い側の第2のバンプ4Bと活性層21との間の距離BNを近づけることで放熱特性を確保できる。そして、チップ3内の化合物半導体素子の特性劣化を抑制できる。
【0032】
尚、実施例1の光デバイス1では、隣り合う第1のバンプ4A及び第2のバンプ4Bの全ての組が、第1のバンプ4Aと接合面12Aとの間の距離ANが第2のバンプ4Bと接合面12Aとの間の距離BNに比較して長くなるように、基板側電極12上に配置される場合を例示した。しかしながら、第1のバンプ4A及び第2のバンプ4Bの全ての組でなくても良く、隣り合う第1のバンプ4A及び第2のバンプ4Bの少なくとも一組において、第1のバンプ4Aと接合面12Aとの間の距離ANが第2のバンプ4Bと接合面12Aとの間の距離BNに比較して長くなるよう配置されても良く、適宜変更可能である。
【0033】
尚、実施例1の光デバイス1では、N本の活性層21を有するチップ3を基板2上に実装する構造を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、2本の活性層21を有するチップ3を基板2上に実装する光デバイス1Aの実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。尚、実施例1の光デバイス1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例0034】
図7は、実施例2の光デバイス1Aの一例を示す略平面図である。
図7に示す光デバイス1Aは、2本の光導波路11を内蔵した基板2と、2本の活性層21を内蔵したチップ3とを有する。2本の光導波路11は、第1の光導波路11Aと、第2の光導波路11Bとを有する。2本の活性層21は、第1の光導波路11Aと光結合する第1の活性層21Aと、第2の光導波路11Bと光結合する第2の活性層21Bとを有する。
【0035】
図8は、基板2の一例を示す略平面図、
図9は、
図8に示す基板2のA1-A1線の略断面図である。
図8に示す基板2は、搭載用溝2Aと、台座2Bと、各光導波路11の終端に配置されたスポットサイズ変換器13とを有する。スポットサイズ変換器13は、チップ3内の活性層21と光結合する際のモードミスマッチ損失を抑制する変換器である。更に、基板側電極12の接合面には、4本のストライプ状の半田バンプ4を配置する。半田バンプ4は、第1のバンプ4A1、第2のバンプ4B1、第3のバンプ4C1及び第4のバンプ4D1を有する。第1のバンプ4A1及び第2のバンプ4B1は、チップ側電極22と接合する基板側電極12の接合面12Aの内、第1の活性層21Aと対向する第1の接合面12A1の両脇に配置される。第3のバンプ4C1及び第4のバンプ4D1は、チップ側電極22と接合する基板側電極12の接合面12Aの内、第2の活性層21Bと対向する第2の接合面12A2の両脇に配置される。
図9に示す重心位置Gは、基板2の基板側電極12上の全半田バンプ4の重心座標で算出する。重心位置Gは、半田バンプ4を基板側電極12の接合面に配置する位置を決定するのに使用することになる。
【0036】
基板2では、X軸及びY軸を規定した場合、第1の活性層21Aに対向する第1の接合面12A1の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4A1の面積をSA1、第1のバンプ4A1の重心座標を(XA1、YA1)とする。更に、第1の活性層21Aに対向する第1の接合面12A1の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから近い側の第2のバンプ4B1の面積をSB1、第2のバンプ4B1の重心座標を(XB2、YB2)とする。第2の活性層21Bに対向する第2の接合面12A2の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから遠い側の第4のバンプ4D1の面積をSA2、第4のバンプ4D1の重心座標を(XA2、YA2)とする。更に、第2の活性層21Bに対向する第2の接合面12A2の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから近い側の第3のバンプ4C1の面積をSB2、第3のバンプ4C1の重心座標を(XB2、YB2)とする。そして、これらの各半田バンプ4の重心座標及び面積に基づき、全半田バンプ4の重心位置Gの座標(XG、YG)は、<数2>の通りである。
【0037】
【0038】
重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4A1では、チップ3と基板2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が大きく、逆に重心位置Gから近い側の第2のバンプ4B1では熱応力が小さくなる。重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4A1と第1の活性層21Aとの間の距離を離すことで熱応力の影響を抑制し、重心位置Gから近い側の第2のバンプ4B1と第1の活性層21Aとの間の距離を近づけることで放熱特性の確保を可能としている。重心位置Gから遠い側の第4のバンプ4D1では、チップ3と基板2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が大きく、逆に重心位置Gから近い側の第3のバンプ4C1では熱応力が小さくなる。重心位置Gから遠い側の第4のバンプ4D1と第2の活性層21Bとの間の距離を離すことで熱応力の影響を抑制し、重心位置Gから近い側の第3のバンプ4C1と第2の活性層21Bとの間の距離を近づけることで放熱特性の確保を可能としている。
【0039】
図10は、チップ3の一例を示す略平面図、
図11は、
図10に示すチップ3のB1-B1線の略断面図である。
図10に示すチップ3内のチップ側電極22は、基板側電極12の接合面上に半田バンプ4を通じて接合して実装する。基板2上にチップ3を実装する際にチップ3内の第1の活性層21Aと第1の光導波路11Aとが光結合すると共に、第2の活性層21Bと第2の光導波路11Bとが光結合することになる。
【0040】
図12は、
図7に示すC1-C1線の略断面図である。
図12に示す基板側電極12の接合面上に配置する第1のバンプ4A1は、全半田バンプ4の重心位置Gから遠い方の半田バンプ4とし、基板側電極12の接合面上に配置する第2のバンプ4B1は、重心位置Gから近い方の半田バンプ4とする。第1のバンプ4A1と第1の接合面12A1との間の距離の方が第2のバンプ4B1と第1の接合面12A1との間の距離に比較して長くなるように、第1のバンプ4A1及び第2のバンプ4B1が基板側電極12上に配置されることになる。
【0041】
例えば、第1の活性層21Aの場合、第1のバンプ4A1と第1の接合面12A1との間の距離A1、第2のバンプ4B1と第1の接合面12A1との間の距離B1とする。そして、距離A1>距離B1の要件を満たすように第1のバンプ4A1及び第2のバンプ4B1は、基板側電極12の接合面上に第1の活性層21Aと並走するように配置されることになる。
【0042】
基板側電極12の接合面上に配置する第4のバンプ4D1は、重心位置Gから遠い方の半田バンプ4とし、基板側電極12の接合面上に配置する第3のバンプ4C1は、重心位置Gから近い方の半田バンプ4とする。第3のバンプ4C1と第2の接合面12A2との間の距離が第4のバンプ4D1と第2の接合面12A2との間の距離に比較して長くなるように、第3のバンプ4C1及び第4のバンプ4D1が基板側電極12上に配置されることになる。
【0043】
例えば、第2の活性層21Bの場合、第4のバンプ4D1と第2の接合面12A2と間の距離A2、第3のバンプ4C1と第2の接合面12A2との距離B2とする。そして、距離A2>距離B2の要件を満たすように第3のバンプ4C1及び第4のバンプ4D1は、基板側電極12の接合面上に第2の活性層21Bと並走するように配置されることになる。
【0044】
尚、基板2はシリコン、半田バンプ4はAuSn、基板側電極12はAu電極、チップ側電極22はAu電極を使用し、光導波路11は、SiO2の上下のクラッド層で形成されたシリコン導波路とする。例えば、距離A1=距離A2=75μm、距離B1=距離B2=25μmとした状態で基板側電極12上に第1のバンプ4A1、第2のバンプ4B1、第3のバンプ4C1及び第4のバンプ4D1を配置した。そこで、本実施例の構造について、熱応力解析(熱解析:シリコン基板裏面を45℃設定、活性層21の総発熱500mW時の温度分布、応力解析:300℃でAuSn接合形成、室温30℃時の応力分布)を実施したところ、活性層21の最大温度は59℃、活性層21に加わる最大応力は66MPaであった。これに対して、距離A1=距離A2=距離B1=距離B2=25μmとした活性層21が対向する接合面12Aの両脇に対称な間隔の半田バンプ4を設けた構造(比較例)についても同様の熱応力解析を実施した。比較例の場合、活性層21の最大温度は59℃、活性層21に加わる最大応力は101MPaであった。つまり、本実施例の光デバイス1Aでは、熱応力の抑制と放熱特性の確保の両立ができていることが確認できた。
【0045】
実施例2の光デバイス1Aでは、第1のバンプ4A1と第1の接合面12A1との間の距離A1が第2のバンプ4B1と第1の接合面12A1との間の距離B1に比較して長くなるように、第1のバンプ4A1及び第2のバンプ4B1が基板側電極12上に配置される。その結果、第1のバンプ4A1と第1の活性層21Aとの間の距離A1を離すことで熱応力の影響を抑制しながら、第2のバンプ4B1と第1の活性層21Aとの間の距離B1を近づけることで放熱特性を確保できる。そして、チップ3内の化合物半導体素子の特性劣化を抑制できる。
【0046】
光デバイス1Aでは、第4のバンプ4D1と第2の接合面12A2との間の距離A2が第3のバンプ4C1と第2の接合面12A2との間の距離B2に比較して長くなるように、第3のバンプ4C1及び第4のバンプ4D1が基板側電極12に配置される。その結果、第4のバンプ4D1と第2の活性層21Bとの間の距離A2を離すことで熱応力の影響を抑制しながら、第3のバンプ4C1と第2の活性層21Bとの間の距離B2を近づけることで放熱特性を確保できる。そして、チップ3内の化合物半導体素子の特性劣化を抑制できる。
【0047】
尚、実施例2の光デバイス1Aは、第1の活性層21Aを第1のバンプ4A1及び第2のバンプ4B1で並走すると共に、第2の活性層21Bを第3のバンプ4C1及び第4のバンプ4D1で並走する場合を例示した。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、第2のバンプ4B1及び第3のバンプ4C1を1本のバンプ4で兼用しても良く、その実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。尚、実施例2の光デバイス1Aと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明にいては省略する。
【実施例0048】
図13は、実施例3の光デバイス1Bの一例を示す略平面図である。
図13に示す光デバイス1Bは、2本の光導波路11を内蔵した基板2と、各光導波路11と光結合する活性層21を内蔵したチップ3とを有する。2本の光導波路11は、第1の光導波路11Aと、第2の光導波路11Bとを有する。活性層21は、第1の光導波路11Aと光結合する第1の活性層21Aと、第2の光導波路11Bと光結合する第2の活性層21Bとを有する。
【0049】
図14は、基板2の一例を示す略平面図、
図15は、
図14に示す基板2のA2-A2線の略断面図である。
図8に示す基板側電極12の接合面には、3本の半田バンプ4を配置する。半田バンプ4は、第1のバンプ4A2、第2のバンプ4B2及び第3のバンプ4C2を有する。尚、第2のバンプ4B2は、実施例2の第2のバンプ4B1及び第3のバンプ4C1を兼ねるため、第1のバンプ4A2に比較して幅広である。第1のバンプ4A2及び第2のバンプ4B2は、チップ側電極22と接合する基板側電極12の接合面12Bの内、第1の活性層21Aと対向する第1の接合面12B1の両脇に配置される。第2のバンプ4B2及び第3のバンプ4C2は、チップ側電極22と接合する基板側電極12の接合面12Bの内、第2の活性層21Bと対向する第2の接合面12B2の両脇に配置される。
図15に示す重心位置Gは、基板2の基板側電極12上の全半田バンプ4の重心座標で算出する。重心位置Gは、半田バンプ4を基板側電極12の接合面に配置する位置を決定するのに使用することになる。
【0050】
基板2では、X軸及びY軸を規定した場合、第1の活性層21Aに対向する第1の接合面12B1の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4A2の面積をSA1、第1のバンプ4A2の重心座標を(XA1、YA1)とする。更に、第1の活性層21Aに対向する第1の接合面12B1の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから近い側の第2のバンプ4B2の面積をSB1、第2のバンプ4B2の重心座標を(XB1、YB1)とする。第2の活性層21Bに対向する第2の接合面12B2の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから遠い側の第3のバンプ4C2の面積をSA2、第3のバンプ4C2の重心座標を(XA2、YA2)とする。そして、これらの各半田バンプ4の重心座標及び面積に基づき、全半田バンプ4の重心位置Gの座標(XG、YG)を算出する。
【0051】
重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4A2では、チップ3と基板2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が大きく、逆に重心位置Gから近い側の第2のバンプ4B2では熱応力が小さくなる。重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4A2と第1の活性層21Aとの間の距離を離すことで熱応力の影響を抑制し、重心位置Gから近い側の第2のバンプ4B2と第1の活性層21Aとの間の距離を近づけることで放熱特性の確保を可能としている。重心位置Gから遠い側の第3のバンプ4C2では、チップ3と基板2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が大きく、逆に重心位置Gから近い側の第2のバンプ4B2では熱応力が小さくなる。重心位置Gから遠い側の第3のバンプ4C2と第2の活性層21Bとの間の距離を離すことで熱応力の影響を抑制し、重心位置Gから近い側の第2のバンプ4B2と第2の活性層21Bとの間の距離を近づけることで放熱特性の確保を可能としている。
【0052】
図16は、
図13に示すC2-C2線の略断面図である。
図16に示す基板側電極12の接合面上に配置する第1のバンプ4A2は、全半田バンプ4の重心位置Gから遠い方の半田バンプ4とし、基板側電極12の接合面上に配置する第2のバンプ4B2は、重心位置Gから近い方の半田バンプ4とする。第1のバンプ4A2と第1の接合面12B1との間の距離が第2のバンプ4B2と第1の接合面12B1との間の距離に比較して長くなるように、第1の活性層21Aと並走する第1のバンプ4A2及び第2のバンプ4B2は、基板側電極12の接合面上に配置されることになる。
【0053】
例えば、第1の活性層21Aの場合、第1のバンプ4A2と第1の接合面12B1との間の距離A1、第2のバンプ4B2と第1の接合面12B1との間の距離B1とする。そして、距離A1>距離B1の要件を満たすように第1のバンプ4A2及び第2のバンプ4B2は、基板側電極12の接合面上に第1の活性層21Aと並走するように配置されることになる。
【0054】
基板側電極12の接合面上に配置する第3のバンプ4C2は、重心位置Gから遠い方の半田バンプ4とし、基板側電極12の接合面上に配置する第2のバンプ4B2は、重心位置Gから近い方の半田バンプ4とする。第2のバンプ4B2と第2の接合面12B2との間の距離が第3のバンプ4C2と第2の接合面12B2との間の距離に比較して長くなるように、第2の活性層21Bと並走する第2のバンプ4B2及び第3のバンプ4C2は、基板側電極12の接合面上に配置されることになる。
【0055】
例えば、第2の活性層21Bの場合、第3のバンプ4C2と第2の接合面12B2との間の距離A2、第2のバンプ4B2と第2の接合面12B2との間の距離B2とする。そして、距離A2>距離B2の要件を満たすように第2のバンプ4B2及び第3のバンプ4C2は、基板側電極12の接合面上に第2の活性層21Bと並走するように配置されることになる。
【0056】
実施例3の光デバイス1Bでは、第1のバンプ4A2と第1の接合面12B1との間の距離A1が第2のバンプ4B2と第1の接合面12B1との間の距離B1に比較して長くなるように、第1のバンプ4A2及び第2のバンプ4B2が基板側電極12上に配置される。その結果、第1のバンプ4A2と第1の活性層21Aとの間の距離A1を離すことで熱応力の影響を抑制しながら、第2のバンプ4B2と第1の活性層21Aとの間の距離B1を近づけることで放熱特性を確保できる。更に、第2のバンプ4B2の面積を大きくすることで放熱特性の更なる改善を図ることができる。
【0057】
光デバイス1Bでは、第3のバンプ4C2と第2の接合面12B2との間の距離A2が第2のバンプ4B2と第2の接合面12B2との間の距離B2に比較して長くなるように、第2のバンプ4B2及び第3のバンプ4C2が基板側電極12上に配置される。その結果、第3のバンプ4C2と第2の活性層21Bとの間の距離A2を離すことで熱応力の影響を抑制しながら、第2のバンプ4B2と第2の活性層21Bとの間の距離B2を近づけることで放熱特性を確保できる。
【0058】
尚、実施例2の光デバイス1A内の基板側電極12の接合面12A上に、第1の活性層21Aを並走する第1のバンプ4A1及び第2のバンプ4B1、第2の活性層21Bと並走する第3のバンプ4C1及び第4のバンプ4D1を配置する場合を例示した。しかしながら、基板側電極12の接合面12A上に配置する半田バンプ4は、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。そこで、その実施の形態につき、実施例4として以下に説明する。
【実施例0059】
図17は、実施例4の光デバイス1Cの一例を示す略平面図である。
図17に示す光デバイス1Cは、2本の光導波路11を内蔵した基板2と、各光導波路11と光結合する活性層21を内蔵したチップ3とを有する。2本の光導波路11は、第1の光導波路11Aと、第2の光導波路11Bとを有する。活性層21は、第1の光導波路11Aと光結合する第1の活性層21Aと、第2の光導波路11Bと光結合する第2の活性層21Bとを有する。
【0060】
図18は、基板2の一例を示す略平面図、
図19は、
図18に示す基板2のA3-A3線の略断面図である。
図18に示す基板2内の基板側電極12の接合面には、4本の半田バンプ4の他に、4角の他の半田バンプ41を配置する。4本の半田バンプ4は、第1のバンプ4A1、第2のバンプ4B1、第3のバンプ4C1及び第4のバンプ4D1を有する。第1のバンプ4A1及び第2のバンプ4B1は、チップ側電極22と接合する基板側電極12の接合面12Aの内、第1の活性層21Aと対向する第1の接合面12A1の両脇に配置される。第3のバンプ4C1及び第4のバンプ4D1は、チップ側電極22と接合する基板側電極12の接合面12Aの内、第2の活性層21Bと対向する第2の接合面12A2の両脇に配置される。4角の他の半田バンプ41は、基板側電極12とチップ側電極22との間の接合を強固にするものである。
【0061】
図19に示す重心位置Gは、基板2の基板側電極12上の全半田バンプ4の重心座標で算出する。重心位置Gは、半田バンプ4を基板側電極12の接合面に配置する位置を決定するのに使用することになる。
【0062】
基板2では、X軸及びY軸を規定した場合、第1の活性層21Aに対向する第1の接合面12A1の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4A1の面積をSA1、第1のバンプ4A1の重心座標を(XA1、YA1)とする。更に、第1の活性層21Aに対向する第1の接合面12A1の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから近い側の第2のバンプ4B1の面積をSB1、第2のバンプ4B1の重心座標を(XB1、YB1)とする。第2の活性層21Bに対向する第2の接合面12A2の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから遠い側の第4のバンプ4D1の面積をSA2、第4のバンプ4D1の重心座標を(XA2、YA2)とする。更に、第2の活性層21Bに対向する第2の接合面12A2の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから近い側の第3のバンプ4C1の面積をSB2、第3のバンプ4C1の重心座標を(XB2、YB2)とする。更に、四隅の半田バンプ41の面積及び重心座標も踏まえて、第1のバンプ4A1、第2のバンプ4B1、第3のバンプ4C1及び第4のバンプ4D1の面積及び重心座標に基づき、全半田バンプ4の重心位置Gの座標(XG、YG)を算出する。
【0063】
重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4A1では、チップ3と基板2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が大きく、逆に重心位置Gから近い側の第2のバンプ4B1では熱応力が小さくなる。重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4A1と第1の活性層21Aとの間の距離を離すことで熱応力の影響を抑制し、重心位置Gから近い側の第2のバンプ4B1と第1の活性層21Aとの間の距離を近づけることで放熱特性の確保を可能としている。重心位置Gから遠い側の第4のバンプ4D1では、チップ3と基板2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が大きく、逆に重心位置Gから近い側の第3のバンプ4C1では熱応力が小さくなる。重心位置Gから遠い側の第4のバンプ4D1と第2の活性層21Bとの間の距離を離すことで熱応力の影響を抑制し、重心位置Gから近い側の第3のバンプ4C1と第2の活性層21Bとの間の距離を近づけることで放熱特性の確保を可能としている。
【0064】
図20は、チップ3の一例を示す略平面図、
図21は、
図20に示すチップ3のB3-B3線の略断面図である。
図20に示すチップ3内のチップ側電極22は、基板側電極12の接合面12A上に4本の半田バンプ4及び4角の他の半田バンプ41を通じて接合することになる。基板2上にチップ3を実装する際にチップ3内の第1の活性層21Aと基板2上の第1の光導波路11Aとが光結合すると共に、第2の活性層21Bと基板2上の第2の光導波路11Bとが光結合することになる。
【0065】
図22は、
図17に示すC3-C3線の略断面図である。
図22に示す基板側電極12の接合面上に配置する第1のバンプ4A1は、全半田バンプ4の重心位置Gから遠い方の半田バンプ4とし、基板側電極12の接合面上に配置する第2のバンプ4B1は、重心位置Gから近い方の半田バンプ4とする。第1のバンプ4A1と第1の接合面12A1との間の距離の方が第2のバンプ4B1と第1の接合面12A1との間の距離に比較して長くなるように、第1の活性層21Aと並走する第1のバンプ4A1及び第2のバンプ4B1は、基板側電極12上に配置する。
【0066】
例えば、第1の活性層21Aの場合、第1のバンプ4A1と第1の接合面12A1との間の距離A1、第2のバンプ4B1と第1の接合面12A1との間の距離B1とする。そして、距離A1>距離B1の要件を満たすように第1のバンプ4A1及び第2のバンプ4B1は、基板側電極12の接合面上に第1の活性層21Aと並走するように配置されることになる。
【0067】
基板側電極12の接合面上に配置する第4のバンプ4D1は、重心位置Gから遠い方の半田バンプ4とし、基板側電極12の接合面上に配置する第3のバンプ4C1は、重心位置Gから近い方の半田バンプ4とする。第3のバンプ4C1と第2の接合面12A2との間の距離が第4のバンプ4D1と第2の接合面12A2との間の距離に比較して長くなるように、第2の活性層21Bと並走する第3のバンプ4C1及び第4のバンプ4D1は、基板側電極12上に配置する。
【0068】
例えば、第2の活性層21Bの場合、第4のバンプ4D1と第2の接合面12A2との間の距離A2、第3のバンプ4C1と第2の接合面12A2との間の距離B2とする。そして、距離A2>距離B2の要件を満たすように第3のバンプ4C1及び第4のバンプ4D1は、基板側電極12の接合面上に第2の活性層21Bと並走するように配置されることになる。
【0069】
実施例4の光デバイス1Cでは、第1のバンプ4A1と第1の接合面12A1との間の距離A1が第2のバンプ4B1と第1の接合面12A1との間の距離B1に比較して長くなるように、第1のバンプ4A1及び第2のバンプ4B1が基板側電極12上に配置される。その結果、第1のバンプ4A1と第1の活性層21Aとの間の距離A1を離すことで熱応力の影響を抑制しながら、第2のバンプ4B1と第1の活性層21Aとの間の距離B1を近づけることで放熱特性を確保できる。
【0070】
光デバイス1Cでは、第4のバンプ4D1と第2の接合面12A2との間の距離A2が第3のバンプ4C1と第2の接合面12A2との間の距離B2に比較して長くなるように、第3のバンプ4C1及び第4のバンプ4D1が基板側電極12に配置される。その結果、第4のバンプ4D1と第2の活性層21Bとの間の距離A2を離すことで熱応力の影響を抑制しながら、第3のバンプ4C1と第2の活性層21Bとの間の距離B2を近づけることで放熱特性を確保できる。
【0071】
尚、実施例2の光デバイス1A内の基板側電極12の接合面には、連続する直線状の第1のバンプ4A1、第2のバンプ4B1、第3のバンプ4C1及び第4のバンプ4D1で接合する場合を例示した。しかしながら、半田バンプ4は、連続する直線状の1本の半田バンプ4で構成するのではなく、複数の半田バンプ4Xで構成しても良く、その実施の形態につき、実施例5として以下に説明する。
【実施例0072】
図23は、実施例5の光デバイス1Dの一例を示す略平面図である。
図23に示す光デバイス1Dは、2本の光導波路11を内蔵した基板2と、2本の活性層21を内蔵したチップ3とを有する。
【0073】
図24は、基板2の一例を示す略平面図、
図25は、
図24に示す基板2のA4-A4線の略断面図である。
図24に示す基板2の基板側電極12の接合面には、4本の半田バンプ4を配置する。半田バンプ4は、第1のバンプ群4A3、第2のバンプ群4B3、第3のバンプ群4C3及び第4のバンプ群4D3を有する。
【0074】
第1のバンプ群4A3は、連続する直線状ではなく、複数の分割バンプ4Xを直線状に配列することで形成する。第2のバンプ群4B3は、複数の分割バンプ4Xを直線状に配列することで形成する。第3のバンプ群4C3は、複数の分割バンプ4Xを直線状に配列することで形成する。第4のバンプ群4D3は、複数の分割バンプ4Xを直線状に配列することで形成する。
【0075】
第1のバンプ群4A3及び第2のバンプ群4B3は、チップ側電極22と接合する基板側電極12の接合面12Aの内、第1の活性層21Aと対向する第1の接合面12A1の両脇に配置される。第3のバンプ群4C3及び第4のバンプ群4D3は、チップ側電極22と接合する基板側電極12の接合面12Aの内、第2の活性層21Bと対向する第2の接合面12A2の両脇に配置される。
【0076】
図25に示す重心位置Gは、基板2の基板側電極12上の全半田バンプ4の重心座標で算出する。重心位置Gは、半田バンプ4を基板側電極12の接合面に配置する位置を決定するのに使用することになる。
【0077】
基板2では、X軸及びY軸を規定した場合、第1の活性層21Aに対向する第1の接合面12A1の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから遠い側の第1のバンプ群4A3の面積をSA1、第1のバンプ群4A3の重心座標を(XA1、YA1)とする。更に、第1の活性層21Aに対向する第1の接合面12A1の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから近い側の第2のバンプ群4B3の面積をSB1、第2のバンプ群4B3の重心座標を(XB1、YB1)とする。第2の活性層21Bに対向する第2の接合面12A2の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから遠い側の第4のバンプ群4D3の面積をSA2、第4のバンプ群4D3の重心座標を(XA2、YA2)とする。更に、第2の活性層21Bに対向する第2の接合面12A2の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから近い側の第3のバンプ群4C3の面積をSB2、第3のバンプ群4C3の重心座標を(XB2、YB2)とする。そして、第1のバンプ群4A3、第2のバンプ群4B3、第3のバンプ群4C3及び第4のバンプ群4D3の面積及び重心座標に基づき、全半田バンプ4の重心位置Gの座標(XG、YG)を算出する。
【0078】
重心位置Gから遠い側の第1のバンプ群4A3では、チップ3と基板2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が大きく、逆に重心位置Gから近い側の第2のバンプ群4B3では熱応力が小さくなる。重心位置Gから遠い側の第1のバンプ群4A3と第1の活性層21Aとの間の距離を離すことで熱応力の影響を抑制し、重心位置Gから近い側の第2のバンプ群4B3と第1の活性層21Aとの間の距離を近づけることで放熱特性の確保を可能としている。重心位置Gから遠い側の第4のバンプ群4D3では、チップ3と基板2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が大きく、逆に重心位置Gから近い側の第3のバンプ群4C3では熱応力が小さくなる。重心位置Gから遠い側の第4のバンプ群4D3と第2の活性層21Bとの間の距離を離すことで熱応力の影響を抑制し、重心位置Gから近い側の第3のバンプ群4C3と第2の活性層21Bとの間の距離を近づけることで放熱特性の確保を可能としている。
【0079】
図26は、チップ3の一例を示す略平面図、
図27は、
図26に示すチップ3のB4-B4線の略断面図である。
図26に示すチップ3内のチップ側電極22は、基板側電極12の接合面上に半田バンプ4を通じて接合することになる。基板2上にチップ3を実装する際にチップ3内の第1の活性層21Aと基板2上の第1の光導波路11Aとが光結合すると共に、第2の活性層21Bと基板2上の第2の光導波路11Bとが光結合することになる。
【0080】
図28は、
図23に示すC4-C4線の略断面図である。
図28に示す基板側電極12の接合面上に配置する第1のバンプ群4A3は、全半田バンプ4の重心位置Gから遠い方のバンプ群とし、基板側電極12の接合面上に配置する第2のバンプ群4B3は、重心位置Gから近い方のバンプ群とする。第1のバンプ群4A3と第1の接合面12A1との間の距離の方が第2のバンプ群4B3と第1の接合面12A1との間の距離に比較して長くなるように、第1の活性層21Aと並走する第1のバンプ群4A3及び第2のバンプ群4B3は、基板側電極12の接合面上に配置されることになる。
【0081】
例えば、第1の活性層21Aの場合、第1のバンプ群4A3と第1の接合面12A1との間の距離A1、第2のバンプ群4B3と第1の接合面12A1との間の距離B1とする。そして、距離A1>距離B1の要件を満たすように第1のバンプ群4A3及び第2のバンプ群4B3は、基板側電極12の接合面上に第1の活性層21Aと並走するように配置されることになる。
【0082】
基板側電極12の接合面上に配置する第4のバンプ群4D3は、重心位置Gから遠い方のバンプ群とし、基板側電極12の接合面上に配置する第3のバンプ群4C3は、重心位置Gから近い方のバンプ群とする。第3のバンプ群4C3と第2の接合面12A2との間の距離が第4のバンプ群4D3と第2の接合面12A2との間の距離に比較して長くなるように、第2の活性層51Bと並走する第3のバンプ群4C3及び第4のバンプ群4D3は、基板側電極12の接合面上に配置されることになる。
【0083】
例えば、第2の活性層21Bの場合、第4のバンプ群4D3と第2の接合面12A2との間の距離A2、第3のバンプ群4C3と第2の接合面12A2との距離B2とする。そして、距離A2>距離B2の要件を満たすように第3のバンプ群4C3及び第4のバンプ群4D3は、基板側電極12の接合面12A上に第2の活性層21Bと並走するように配置されることになる。
【0084】
実施例5の光デバイス1Dでは、第1のバンプ群4A3と第1の接合面12A1との間の距離A1が第2のバンプ群4B3と第1の接合面12A1との間の距離B1に比較して長くなるように、第1のバンプ群4A3及び第2のバンプ群4B3が基板側電極12上に配置される。その結果、第1のバンプ群4A3と第1の活性層21Aとの間の距離A1を離すことで熱応力の影響を抑制しながら、第2のバンプ群4B3と第1の活性層21Aとの間の距離B1を近づけることで放熱特性を確保できる。
【0085】
光デバイス1Dでは、第4のバンプ群4D3と第2の接合面12A2との間の距離A2が第3のバンプ群4C3と第2の接合面12A2との間の距離B2に比較して長くなるように、第3のバンプ群4C3及び第4のバンプ群4D3が基板側電極12に配置される。その結果、第4のバンプ群4D3と第2の活性層21Bとの間の距離A2を離すことで熱応力の影響を抑制しながら、第3のバンプ群4C3と第2の活性層21Bとの間の距離B2を近づけることで放熱特性を確保できる。
【0086】
尚、実施例5の光デバイス1Dでは、同一サイズ及び同一配置間隔の分割バンプXでバンプ群を形成する場合を例示したが、サイズや配置間隔が異なる分割バンプXでバンプ群を構成しても良く、適宜変更可能である。
【0087】
実施例2の光デバイス1A内のチップ3では、直線状の第1の活性層21A及び第2の活性層21Bを内蔵する場合を例示した。しかしながら、例えば、化合物半導体素子をUターン型のSOAを採用し、第1の活性層21Aの一端及び第2の活性層21Bの一端を折り返し導波路23で光結合する光デバイスの実施の形態につき、実施例6として以下に説明する。尚、実施例2の光デバイス1Aと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例0088】
図29は、実施例6の光デバイス1Eの一例を示す略平面図である。
図29に示す光デバイス1Eは、2本の光導波路11を内蔵した基板2と、2本の活性層21を内蔵したチップ3とを有する。更に、チップ3は、例えば、Uターン型のSOA(Semiconductor Optical Amplifier)を内蔵し、第1の活性層21Aの一端と第2の活性層21Bの一端とを光結合する折り返し導波路23を有する。Uターン型のSOAは、導波路コア層の側面が半導体層で埋め込まれている埋め込み型導波路で構成され、導波路を折り返すUターン部分に関しては、折り返し導波路23の曲率半径を小さくするため、導波路コアの側面が半導体で埋め込まれていない光閉じ込めの強いハイメサ型導波路を用いている。尚、Uターン型のSOAの活性層21は、例えば、光波長が1.55μm、出射端のモード径が3μmのものを用いた。
【0089】
図30は、基板2の一例を示す略平面図、
図31は、
図30に示す基板2のA5-A5線の略断面図である。
図30に示す基板側電極12の接合面には、4本の半田バンプ4を配置する。半田バンプ4は、第1のバンプ4A4、第2のバンプ4B4、第3のバンプ4C4及び第4のバンプ4D4を有する。
【0090】
第1のバンプ4A4及び第2のバンプ4B4は、チップ側電極22と接合する基板側電極12の接合面12Cの内、第1の活性層21Aと対向する第1の接合面12C1の両脇にのみ配置される。尚、第1のバンプ4A4及び第2のバンプ4B4は、第1の活性層21Aと光結合する折り返し導波路23と対向する基板側電極12に配置されないのものとする。
【0091】
第3のバンプ4C4及び第4のバンプ4D4は、チップ側電極22と接合する基板側電極12の接合面12Cの内、第2の活性層21Bと対向する第2の接合面12C2の両脇に配置される。尚、第3のバンプ4C4及び第4のバンプ4D4は、第2の活性層21Bと光結合する折り返し導波路23と対向する基板側電極12に配置されないのものとする。
【0092】
図31に示す重心位置Gは、基板2の基板側電極12上の全半田バンプ4の重心座標で算出する。重心位置Gは、半田バンプ4を基板側電極12の接合面に配置する位置を決定するのに使用することになる。
【0093】
基板2では、X軸及びY軸を規定した場合、第1の活性層21Aに対向する第1の接合面12C1の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4A4の面積をSA1、第1のバンプ4A4の重心座標を(XA1、YA1)とする。更に、第1の活性層21Aに対向する第1の接合面12C1の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから近い側の第2のバンプ4B4の面積をSB1、第2のバンプ4B4の重心座標を(XB1、YB1)とする。第2の活性層21Bに対向する第2の接合面12C2の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから遠い側の第4のバンプ4D4の面積をSA2、第4のバンプ4D4の重心座標を(XA2、YA2)とする。更に、第2の活性層21Bに対向する第2の接合面12C2の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから近い側の第3のバンプ4C4の面積をSB2、第3のバンプ4C4の重心座標を(XB2、YB2)とする。第1のバンプ4A4、第2のバンプ4B4、第3のバンプ4C4及び第4のバンプ4D4の面積及び重心座標に基づき、全半田バンプ4の重心位置Gの座標(XG、YG)を算出する。
【0094】
重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4A4では、チップ3と基板2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が大きく、逆に重心位置Gから近い側の第2のバンプ4B4では熱応力が小さくなる。重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4A4と第1の活性層21Aとの間の距離を離すことで熱応力の影響を抑制し、重心位置Gから近い側の第2のバンプ4B4と第1の活性層21Aとの間の距離を近づけることで放熱特性の確保を可能としている。重心位置Gから遠い側の第4のバンプ4D4では、チップ3と基板2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が大きく、逆に重心位置Gから近い側の第3のバンプ4C4では熱応力が小さくなる。重心位置Gから遠い側の第4のバンプ4D4と第2の活性層21Bとの間の距離を離すことで熱応力の影響を抑制し、重心位置Gから近い側の第3のバンプ4C4と第2の活性層21Bとの間の距離を近づけることで放熱特性の確保を可能としている。
【0095】
図32は、チップ3の一例を示す略平面図、
図33は、
図32に示すチップ3のB5-B5線の略断面図である。
図32に示すチップ3内の折り返し導波路23は、第1の活性層21Aの一端と第2の活性層21Bの一端とを光結合する導波路である。
【0096】
チップ側電極22は、基板側電極12の接合面上に半田バンプ4を通じて接合して実装することになる。基板2上にチップ3を実装する際にチップ3内の第1の活性層21Aと基板2上の第1の光導波路11Aとが光結合すると共に、第2の活性層21Bと基板2上の第2の光導波路11Bとが光結合することになる。
【0097】
図34は、
図29に示すC5-C5線の略断面図である。
図34に示す基板側電極12の接合面上に配置する第1のバンプ4A4は、全半田バンプ4の重心位置Gから遠い方の半田バンプ4とし、基板側電極12の接合面上に配置する第2のバンプ4B4は、重心位置Gから近い方の半田バンプ4とする。第1のバンプ4A4と第1の接合面12C1との間の距離の方が第2のバンプ4B4と第1の接合面12C1との間の距離に比較して長くなるように、第1の活性層21Aと並走する第1のバンプ4A4及び第2のバンプ4B4は、基板側電極12の接合面上に配置されることになる。
【0098】
例えば、第1の活性層21Aの場合、第1のバンプ4A4と第1の接合面12C1との間の距離A1、第2のバンプ4B4と第1の接合面12C1との間の距離B1とする。そして、距離A1>距離B1の要件を満たすように第1のバンプ4A4及び第2のバンプ4B4は、基板側電極12の接合面上に第1の活性層21Aと並走するように配置されることになる。
【0099】
基板側電極12の接合面上に配置する第4のバンプ4D4は、重心位置Gから遠い方の半田バンプ4とし、基板側電極12の接合面上に配置する第3のバンプ4C4は、重心位置Gから近い方の半田バンプ4とする。第3のバンプ4C4と第2の接合面12C2との間の距離の方が第4のバンプ4D4と第2の接合面12C2との間の距離に比較して長くなるように、第2の活性層21Bと並走する第3のバンプ4C4及び第4のバンプ4D4は、基板側電極12の接合面上に配置されることになる。
【0100】
例えば、第2の活性層21Bの場合、第4のバンプ4D4と第2の接合面12C2との間の距離A2、第3のバンプ4C4と第2の接合面12C2との間の距離B2とする。そして、距離A2>距離B2の要件を満たすように第3のバンプ4C4及び第4のバンプ4D4は、基板側電極12の接合面上に第2の活性層21Bと並走するように配置されることになる。
【0101】
実施例6の光デバイス1Eでは、第1のバンプ4A4と第1の接合面12C1との間の距離A1が第2のバンプ4B4と第1の接合面12C1との間の距離B1に比較して長くなるように、第1のバンプ4A4及び第2のバンプ4B4が基板側電極12上に配置される。その結果、第1のバンプ4A4と第1の活性層21Aとの間の距離A1を離すことで熱応力の影響を抑制しながら、第2のバンプ4B4と第1の活性層21Aとの間の距離B1を近づけることで放熱特性を確保できる。
【0102】
光デバイス1Eでは、第4のバンプ4D4と第2の接合面12C2との間の距離A2が第3のバンプ4C4と第2の接合面12C2との間の距離B2に比較して長くなるように、第3のバンプ4C4及び第4のバンプ4D4が基板側電極12に配置される。その結果、第4のバンプ4D4と第2の活性層21Bとの間の距離A2を離すことで熱応力の影響を抑制しながら、第3のバンプ4C4と第2の活性層21Bとの間の距離B2を近づけることで放熱特性を確保できる。
【0103】
尚、実施例2の光デバイス1A内のチップ3は、2本の活性層21を内蔵する場合を例示したが、2本の活性層21に限定されるものではなく、1本以上の活性層21であればよく、適宜変更可能である。4本の活性層21及び4本の光導波路11を光結合する光デバイス1Fの実施の形態につき、実施例7として以下に説明する。尚、実施例2の光デバイス1Aと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例0104】
図35は、実施例7の光デバイス1Fの一例を示す略平面図である。
図36に示す光デバイス1Fは、4本の光導波路11を内蔵した基板2と、4本の活性層21及び2本の折り返し導波路23を内蔵したチップ3とを有する。4本の光導波路11は、第1の光導波路11Aと、第2の光導波路11Bと、第3の光導波路11Cと、第4の光導波路11Dとを有する。4本の活性層21は、第1の光導波路11Aと光結合する第1の活性層21Aと、第2の光導波路11Bと光結合する第2の活性層21Bと、第3の光導波路11Cと光結合する第3の活性層21Cと、第4の光導波路11Dと光結合する第4の活性層21Dとを有する。
【0105】
図36は、基板2の一例を示す略平面図、
図37は、
図36に示す基板2のA6-A6線の略断面図である。
図36に示す基板2内の基板側電極12の接合面には、8本の半田バンプ4を配置する。半田バンプ4は、第1のバンプ4A、第2のバンプ4B、第3のバンプ4C、第4のバンプ4D、第5のバンプ4E、第6のバンプ4F、第7のバンプ4G及び第8のバンプ4Hを有する。
【0106】
第1のバンプ4A及び第2のバンプ4Bは、チップ側電極22と接合する基板側電極12の接合面12Dの内、第1の活性層21Aと対向する第1の接合面12D1の両脇に配置される。第3のバンプ4C及び第4のバンプ4Dは、チップ側電極22と接合する基板側電極12の接合面12Dの内、第2の活性層21Bと対向する第2の接合面12D2の両脇に配置される。
【0107】
第5のバンプ4E及び第6のバンプ4Fは、チップ側電極22と接合する基板側電極12の接合面12Dの内、第3の活性層21Cと対向する第3の接合面12D3の両脇に配置される。第7のバンプ4G及び第8のバンプ4Hは、チップ側電極22と接合する基板側電極12の接合面12Dの内、第4の活性層21Dと対向する第4の接合面12D4の両脇に配置される。
【0108】
図37に示す重心位置Gは、基板2の基板側電極12上の全半田バンプ4の重心座標で算出する。重心位置Gは、半田バンプ4を基板側電極12の接合面を配置する位置を決定するのに使用することになる。
【0109】
基板2では、X軸及びY軸を規定した場合、第1の活性層21Aに対向する第1の接合面12D1の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4Aの面積をSA1、第1のバンプ4Aの重心座標を(XA1、YA1)とする。更に、第1の活性層21Aに対向する第1の接合面12D1の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから近い側の第2のバンプ4Bの面積をSB1、第2のバンプ4Bの重心座標を(XB1、YB1)とする。第2の活性層21Bに対向する第2の接合面12D2の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから遠い側の第3のバンプ4Cの面積をSA2、第3のバンプ4Cの重心座標を(XA2、YA2)とする。更に、第2の活性層21Bに対向する第2の接合面12D2の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから近い側の第4のバンプ4Dの面積をSB2、第4のバンプ4Dの重心座標を(XB2、YB2)とする。
【0110】
第3の活性層21Cに対向する第3の接合面12D3の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから遠い側の第6のバンプ4Fの面積をSA3、第6のバンプ4Fの重心座標を(XA3、YA3)とする。更に、第3の活性層21Cに対向する第3の接合面12D3の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから近い側の第5のバンプ4Eの面積をSB3、第5のバンプ4Eの重心座標を(XB3、YB3)とする。第4の活性層21Dに対向する第4の接合面12D4の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから遠い側の第8のバンプ4Hの面積をSA4、第8のバンプ4Hの重心座標を(XA4、YA4)とする。更に、第4の活性層21Dに対向する第4の接合面12D4の両脇の半田バンプ4で重心位置Gから近い側の第7のバンプ4Gの面積をSB4、第7のバンプ4Gの重心座標を(XB4、YB4)とする。第1のバンプ4A、第2のバンプ4B、第3のバンプ4C、第4のバンプ4D、第5のバンプ4E、第6のバンプ4F、第7のバンプ4G及び第8のバンプ4Hの面積及び重心座標に基づき、全半田バンプ4の重心位置Gの座標(XG、YG)を算出する。
【0111】
重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4Aでは、チップ3と基板2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が大きく、逆に重心位置Gから近い側の第2のバンプ4Bでは熱応力が小さくなる。重心位置Gから遠い側の第1のバンプ4Aと第1の活性層21Aとの間の距離を離すことで熱応力の影響を抑制し、重心位置Gから近い側の第2のバンプ4Bと第1の活性層21Aとの間の距離を近づけることで放熱特性の確保を可能としている。重心位置Gから遠い側の第3のバンプ4Cでは、チップ3と基板2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が大きく、逆に重心位置Gから近い側の第4のバンプ4Dでは熱応力が小さくなる。重心位置Gから遠い側の第3のバンプ4Cと第2の活性層21Bとの間の距離を離すことで熱応力の影響を抑制し、重心位置Gから近い側の第4のバンプ4Dと第2の活性層21Bとの間の距離を近づけることで放熱特性の確保を可能としている。
【0112】
重心位置Gから遠い側の第6のバンプ4Fでは、チップ3と基板2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が大きく、逆に重心位置Gから近い側の第5のバンプ4Eでは熱応力が小さくなる。重心位置Gから遠い側の第6のバンプ4Fと第3の活性層21Cとの間の距離を離すことで熱応力の影響を抑制し、重心位置Gから近い側の第5のバンプ4Eと第3の活性層21Cとの間の距離を近づけることで放熱特性の確保を可能としている。重心位置Gから遠い側の第8のバンプ4Hでは、チップ3と基板2との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が大きく、逆に重心位置Gから近い側の第7のバンプ4Gでは熱応力が小さくなる。重心位置Gから遠い側の第8のバンプ4Hと第4の活性層21Dとの間の距離を離すことで熱応力の影響を抑制し、重心位置Gから近い側の第7のバンプ4Gと第4の活性層21Dとの間の距離を近づけることで放熱特性の確保を可能としている。
【0113】
図38は、チップ3の一例を示す略平面図、
図39は、
図38に示すチップ3のB6-B6線の略断面図である。
図38に示すチップ3内のチップ側電極22は、基板側電極12の接合面上に半田バンプ4を通じて接合することになる。基板2上にチップ3を実装する際にチップ3内の第1の活性層21Aと基板2上の第1の光導波路11Aとが光結合すると共に、第2の活性層21Bと基板2上の第2の光導波路11Bとが光結合することになる。基板2上にチップ3を実装する際にチップ3内の第3の活性層21Cと基板2上の第3の光導波路11Cとが光結合すると共に、第4の活性層21Dと基板2上の第4の光導波路11Dとが光結合することになる。
【0114】
2本の折り返し導波路23は、第1の折り返し導波路23Aと、第2の折り返し導波路23Bとを有する。第1の折り返し導波路23Aは、第1の活性層21Aと第4の活性層21Dとを光結合する導波路である。第2の折り返し導波路23Bは、第2の活性層21Bと第3の活性層21Cとを光結合する導波路である。
【0115】
図40は、
図35に示すC6-C6線の略断面図である。
図40に示す基板側電極12の接合面上に配置する第1のバンプ4Aは、全半田バンプ4の重心位置Gから遠い方の半田バンプ4とし、基板側電極12の接合面上に配置する第2のバンプ4Bは、重心位置Gから近い方の半田バンプ4とする。第1のバンプ4Aと第1の接合面12D1との間の距離の方が第2のバンプ4Bと第1の接合面12D1との間の距離に比較して長くなるように、第1の活性層21Aと並走する第1のバンプ4A及び第2のバンプ4Bを接合面12Dに配置する。
【0116】
例えば、第1の活性層21Aの場合、第1のバンプ4Aと第1の接合面12D1との間の距離A1、第2のバンプ4Bと第1の接合面12D1との間の距離B1とする。そして、距離A1>距離B1の要件を満たすように第1のバンプ4A及び第2のバンプ4Bは、基板側電極12の接合面上に第1の活性層21Aと並走するように配置されることになる。
【0117】
例えば、第2の活性層21Bの場合、第3のバンプ4Cと第2の接合面12D2との間の距離A2、第4のバンプ4Dと第2の接合面12D2との間の距離B2とする。そして、距離A2>距離B2の要件を満たすように第3のバンプ4C及び第4のバンプ4Dは、基板側電極12の接合面上に第2の活性層21Bと並走するように配置されることになる。
【0118】
例えば、第3の活性層21Cの場合、第6のバンプ4Fと第3の接合面12D3との間の距離A3、第5のバンプ4Eと第3の接合面12D3との間の距離B3とする。そして、距離A3>距離B3の要件を満たすように第5のバンプ4E及び第6のバンプ4Fは、基板側電極12の接合面上に第3の活性層21Cと並走するように配置されることになる。
【0119】
例えば、第4の活性層21Dの場合、第8のバンプ4Hと第4の接合面12D4との間の距離A4、第7のバンプ4Gと第4の接合面12D4との間の距離B4とする。そして、距離A4>距離B4の要件を満たすように第7のバンプ4G及び第8のバンプ4Hは、基板側電極12の接合面上に第4の活性層21Dと並走するように配置されることになる。
【0120】
実施例7の光デバイス1Fでは、第1のバンプ4Aと第1の接合面12D1との間の距離A1が第2のバンプ4Bと第1の接合面12D1との間の距離B1に比較して長くなるように、第1のバンプ4A及び第2のバンプ4Bが基板側電極12上に配置される。その結果、第1のバンプ4Aと第1の活性層21Aとの間の距離A1を離すことで熱応力の影響を抑制しながら、第2のバンプ4Bと第1の活性層21Aとの間の距離B1を近づけることで放熱特性を確保できる。
【0121】
光デバイス1Fでは、第3のバンプ4Cと第2の接合面12D2との間の距離A2が第4のバンプ4Dと第2の接合面12D2との間の距離B2に比較して長くなるように、第3のバンプ4C及び第4のバンプ4Dが基板側電極12上に配置される。その結果、第3のバンプ4Cと第2の活性層21Bとの間の距離A2を離すことで熱応力の影響を抑制しながら、第4のバンプ4Dと第2の活性層21Bとの間の距離B2を近づけることで放熱特性を確保できる。
【0122】
光デバイス1Fでは、第6のバンプ4Fと第3の接合面12D3との間の距離A3が第5のバンプ4Eと第3の接合面12D3との間の距離B3に比較して長くなるように、第5のバンプ4E及び第6のバンプ4Fが基板側電極12に配置される。その結果、第6のバンプ4Fと第3の活性層21Cとの間の距離A3を離すことで熱応力の影響を抑制しながら、第5のバンプ4Eと第3の活性層21Cとの間の距離B3を近づけることで放熱特性を確保できる。
【0123】
光デバイス1Fでは、第8のバンプ4Hと第4の接合面12D4との間の距離A4が第7のバンプ4Gと第4の接合面12D4との間の距離B4に比較して長くなるように、第7のバンプ4G及び第8のバンプ4Hが基板側電極12に配置される。その結果、第8のバンプ4Hと第4の活性層21Dとの間の距離A4を離すことで熱応力の影響を抑制しながら、第7のバンプ4Gと第4の活性層21Dとの間の距離B4を近づけることで放熱特性を確保できる。
【0124】
尚、本実施例の光デバイス1内の化合物半導体素子では、例えば、InP系の化合物半導体を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、GaAs系の化合物半導体でも良く、適宜変更可能である。
【0125】
実施例1~6の光デバイス1では、距離A1=距離A2=75μm、距離B1=距離B2=25μmの半田バンプ4の配置構造を例示した。しかしながら、距離AN>距離BNの要件を満たせばよく、適宜変更可能である。半田バンプ4の配置間隔として、例えば、距離A1≠距離A2、距離B1≠距離B2でも良く、適宜変更可能である。
【0126】
光デバイス1で使用する半田バンプ4は、例えば、AuSnバンプを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、AuSi、AuGe、SnAg、SnAgCuでも良く、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 光デバイス
2 基板
3 チップ
4 半田バンプ
4A 第1のバンプ
4A1 第1のバンプ
4B 第2のバンプ
4B1 第2のバンプ
4C1 第3のバンプ
4D1 第4のバンプ
12 基板側電極
12A 接合面
12A1 第1の接合面
12A2 第2の接合面
21 活性層
21A 第1の活性層
21B 第2の活性層
22 チップ側電極
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