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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161867
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/18 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
B65D6/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072478
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】籔田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】和田 吉弘
【テーマコード(参考)】
3E061
【Fターム(参考)】
3E061AA01
3E061AB09
3E061CA06
3E061DB11
(57)【要約】
【課題】当事者以外による形態変化を抑止することのできる容器を提供する。
【解決手段】容器1は、上方に開口する略箱状の容器本体2と、容器本体2の開口部を閉塞可能な蓋体3と、容器本体2の開口部を閉塞した状態の蓋体3と、容器本体2との相対変位を規制するロック状態と、相対変位を許容するロック解除状態とに状態変化可能なロック部材21と、ロック部材21をロック状態及びロック解除状態のどちらの状態でも保持可能な保持部31とを備えている。ロック部材21は係止部23を備え、保持部31はロック部材21がロック状態にある場合に係止部23と係止状態とされる被係止部35を備えている。ロック部材21がロック状態にある場合に、専用の解除部材41を係止部23に当接させて所定の力で押込むことで当該係止部23が変位して前記係止状態が解除され、ロック部材21をロック解除状態とすることが可能に構成されている。
【選択図】 図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する略箱状の容器本体と、前記容器本体の開口部を閉塞可能な蓋体と、前記容器本体の開口部を閉塞した状態の前記蓋体と、前記容器本体との相対変位を規制するロック状態と、前記相対変位を許容するロック解除状態とに状態変化可能なロック部材とを備える容器、又は、
複数の容器構成部材と、所定の前記容器構成部材と、当該所定の容器構成部材に隣接する前記容器構成部材との相対変位を規制するロック状態と、前記相対変位を許容するロック解除状態とに状態変化可能なロック部材とを備える容器において、
前記ロック部材を前記ロック状態及び前記ロック解除状態のどちらの状態でも保持可能な保持部を備え、
前記ロック部材、及び、前記保持部のうち、一方は係止部を備え、他方は前記ロック部材が前記ロック状態にある場合に前記係止部と係止状態とされる被係止部を備え、
前記ロック部材が前記ロック状態にある場合に、専用の解除部材を前記係止部又は前記被係止部に当接させて所定の力で押込むことで当該係止部又は被係止部が変位して前記係止状態が解除され、前記ロック部材を前記ロック解除状態とすることが可能に構成されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記係止部は、弾性変形可能な係止片と、前記係止片に設けられた係止突部とを備え、
前記係止突部、及び、前記被係止部は、前記ロック部材の前記ロック状態において互いに対向し、面同士で当接可能なロック規制面を備え、
前記保持部は、前記ロック部材が前記ロック解除状態にある場合に、前記係止突部と当接して前記ロック部材の前記ロック状態とされる側への変位を規制可能なアンロック規制部を備え、
前記係止突部又は前記アンロック規制部のうち一方は、前記ロック部材が前記ロック解除状態から前記ロック状態に変位する際に前記係止突部又は前記アンロック規制部のうち他方に当接するガイド傾斜部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記ロック部材は、所定の直線方向にスライド変位をする、又は、所定の軸線を中心に回動変位をすることにより、前記ロック状態と前記ロック解除状態とに状態変化可能に構成され、
前記ロック部材は、前記変位に際して操作される操作部を備え、
前記解除部材は、前記係止状態の解除に際し、前記ロック部材の変位方向に対して略直交する方向に押込む構成であることを特徴とする請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記保持部は、底部及び側部を具備し、前記ロック部材を収容可能なロック部材収容部と、底部及び側部を具備し、前記解除部材を挿入可能な解除部材挿入部とを備え、
前記解除部材挿入部は、前記ロック部材収容部の一部に対して前記容器の外方側において重複し、かつ、前記容器の外方側に露出して配置され、
前記解除部材挿入部の前記底部には、前記ロック部材収容部に連通する貫通孔が設けられ、
前記解除部材は、前記貫通孔に挿入可能とされ、前記貫通孔の深さよりも長い当接部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
前記係止部は、前記解除部材の前記当接部の前記貫通孔への挿入方向の先方側に向けて前記係止部の前記係止状態が解除される側への変位方向から遠ざかる方向に傾斜する解除傾斜部を備え、
前記ロック部材が前記ロック状態にあり、かつ、前記係止部が前記係止状態にある場合に、前記容器の外部から前記貫通孔を介して前記解除傾斜部の少なくとも一部を視認可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記当接部は、前記貫通孔に挿入される際に前記解除傾斜部に当接可能な位置において前記解除傾斜部と略平行する方向に延在する当接部傾斜部を備えていることを特徴とする請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記貫通孔の縁部から前記貫通孔の内側に突出する突部を備え、
前記当接部には、前記当接部を前記貫通孔に挿入する場合に前記突部の挿入が許容される溝部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用される容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の運搬等に使用される容器として、上方に開口する略箱状の容器本体と、容器本体の開口部を閉塞可能な蓋体とを備える容器が知られている。また、容器本体の開口部を閉塞した状態の蓋体と、容器本体との相対変位を規制するロック状態と、前記相対変位を許容するロック解除状態とに状態変化可能なロック部材を設けるといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2522734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の容器は、ロック部材がロック状態にあっても、ロック部材に対してロック解除状態側に変位させる力を加えさえすれば、ロック部材をロック解除状態とすることができ、当事者以外であっても容器を開封すること(容器本体の開口部を開放した形態とすること)ができてしまう。
【0005】
本発明は上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、当事者以外による形態変化を抑止することのできる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.上方に開口する略箱状の容器本体と、前記容器本体の開口部を閉塞可能な蓋体と、前記容器本体の開口部を閉塞した状態の前記蓋体と、前記容器本体との相対変位を規制するロック状態と、前記相対変位を許容するロック解除状態とに状態変化可能なロック部材とを備える容器、又は、
複数の容器構成部材と、所定の前記容器構成部材と、当該所定の容器構成部材に隣接する前記容器構成部材との相対変位を規制するロック状態と、前記相対変位を許容するロック解除状態とに状態変化可能なロック部材とを備える容器において、
前記ロック部材を前記ロック状態及び前記ロック解除状態のどちらの状態でも保持可能な保持部を備え、
前記ロック部材、及び、前記保持部のうち、一方は係止部を備え、他方は前記ロック部材が前記ロック状態にある場合に前記係止部と係止状態とされる被係止部を備え、
前記ロック部材が前記ロック状態にある場合に、専用の解除部材を前記係止部又は前記被係止部に当接させて所定の力で押込むことで当該係止部又は被係止部が変位して前記係止状態が解除され、前記ロック部材を前記ロック解除状態とすることが可能に構成されていることを特徴とする容器。
【0008】
手段1によれば、ロック部材をロック解除状態とする際に専用の解除部材を用いる構成とすることで、係止部及び被係止部を容器の外部から接触不可能又は接触困難となるように配置することが可能な上、専用の解除部材を所有しない当事者以外の者がロック部材のロック状態を解除して容器の形態変化を生じさせる(例えば、密封状態にあった容器を開封する)ことを抑止することができる。従って、例えば、容器が運搬の途中で不正に開封され、収容物が覗かれたり抜き取られたりする等の事態を抑止することができ、セキュリティ性能の高い容器を提供することができる。また、例えば、容器の側壁部に開口部が設けられるとともに、当該開口部を開閉する扉体及び扉体に対応してロック部材が設けられる場合に、不用意に扉体が開放され、開口部を介して収容物が流失してしまうといった事態を抑止することができる。結果として、当事者以外の者によって容器が所期の形態から変化させられてしまうといった事態を防止することができ、当事者間の物品の運搬、保管等をより好適に行うことができる。
【0009】
手段2.前記係止部は、弾性変形可能な係止片と、前記係止片に設けられた係止突部とを備え、
前記係止突部、及び、前記被係止部は、前記ロック部材の前記ロック状態において互いに対向し、(平坦な)面同士で当接可能なロック規制面を備え、
前記保持部は、前記ロック部材が前記ロック解除状態にある場合に、前記係止突部と当接して前記ロック部材の前記ロック状態とされる側への変位を規制可能なアンロック規制部を備え、
前記係止突部又は前記アンロック規制部のうち一方は、前記ロック部材が前記ロック解除状態から前記ロック状態に変位する際に前記係止突部又は前記アンロック規制部のうち他方に当接するガイド傾斜部を備えていることを特徴とする手段1に記載の容器。
【0010】
手段2によれば、係止突部、及び、被係止部においてロック規制面が設けられていることにより、ロック部材のロック状態の安定化を図ることができる。また、保持部においてアンロック規制部が設けられていることにより、ロック部材のロック解除状態の安定化を図る(ロック部材が不用意にロック状態側に変位することを防止する)ことができる。さらに、アンロック規制部がロック解除状態にあるロック部材のロック状態側への変位を規制する際に当接する部位は係止突部である上、係止突部に設けられたガイド傾斜部がアンロック規制部に圧接することで係止部(係止片)の弾性変形が促され、係止部が弾性変形することでアンロック規制部による規制状態が解消される。このため、ロック解除状態にあるロック部材を作業者が意図してロック状態側へと変位させる場合には、ロック部材をロック状態側へ押すだけでロック状態側へと変位させることができ、ロック部材をロック状態とする際の作業性の向上等を図ることができる。
【0011】
手段3.前記ロック部材は、所定の直線方向にスライド変位をする、又は、所定の軸線を中心に回動変位をすることにより、前記ロック状態と前記ロック解除状態とに状態変化可能に構成され、
前記ロック部材は、前記変位に際して操作される操作部を備え、
前記解除部材は、前記係止状態の解除に際し、前記ロック部材の変位方向に対して略直交する方向(回動変位の場合には回動軸線方向を含む)に押込む構成であることを特徴とする手段2に記載の容器。
【0012】
手段3によれば、解除部材により係止部の係止状態を解除しつつ、操作部を操作してロック状態にあるロック部材をロック解除状態側に変位させることができる。従って、ロック部材をロック解除状態とする際の作業性の向上を図ることができる。
【0013】
手段4.前記保持部は、底部及び側部を具備し、前記ロック部材を収容可能なロック部材収容部と、底部及び側部を具備し、前記解除部材を挿入可能な解除部材挿入部とを備え、
前記解除部材挿入部は、前記ロック部材収容部の一部に対して前記容器の外方側において重複し、かつ、前記容器の外方側に露出して配置され、
前記解除部材挿入部の前記底部には、前記ロック部材収容部に連通する貫通孔が設けられ、
前記解除部材は、前記貫通孔に挿入可能とされ、前記貫通孔の深さ(前記解除部材挿入部の前記底部の厚み)よりも長い当接部を備えていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の容器。
【0014】
手段4によれば、係止状態にある係止部(又は被係止部)を容器外部から接触を図り難い位置に配置するとともに、解除部材の当接部により係止部(又は被係止部)に対して接触を図り、係止部の係止状態を解除することができる。また、係止部の係止状態を解除するべく解除部材を解除部材挿入部に挿入する、ひいては、解除部材の当接部を貫通孔に挿入する場合に、解除部材挿入部の側部により解除部材の姿勢をガイドする(倒れを抑制する)ことができる。従って、セキュリティ性能を確保しつつ、より正確かつスムースに係止部の係止状態を解除することができる。
【0015】
手段5.前記係止部は、前記解除部材の前記当接部の前記貫通孔への挿入方向の先方側に向けて前記係止部の前記係止状態が解除される側への変位方向から遠ざかる方向に傾斜する解除傾斜部を備え、
前記ロック部材が前記ロック状態にあり、かつ、前記係止部が前記係止状態にある場合に、前記容器の外部から前記貫通孔を介して前記解除傾斜部の少なくとも一部を視認可能に構成されていることを特徴とする手段4に記載の容器。
【0016】
手段5によれば、係止部の係止状態を解除する場合に、解除部材の当接部を貫通孔に挿入させることで、当接部を解除傾斜部に当接させることができ、さらに、当接部を解除傾斜部に圧接させることで解除傾斜部の傾斜により係止部をより正確かつスムースに弾性変形させることができる。従って、係止部の係止状態の解除作業をより好適に行うことができる。
【0017】
手段6.前記当接部は、前記貫通孔に挿入される際に前記解除傾斜部に当接可能な位置において前記解除傾斜部と略平行する方向に延在する当接部傾斜部を備えていることを特徴とする手段5に記載の容器。
【0018】
手段6によれば、係止部の係止状態を解除する際の係止部の弾性変形をより確実にアシストすることができる。さらに、当接部と係止部とが当接する面積を増やすことができ、当接部と係止部とが当接する際に、当接部及び係止部が損傷するといった事態を抑止することができる。
【0019】
手段7.前記貫通孔の縁部から前記貫通孔の内側に突出する突部を備え、
前記当接部には、前記当接部を前記貫通孔に挿入する場合に前記突部の挿入が許容される溝部が設けられていることを特徴とする手段4に記載の容器。
【0020】
手段7によれば、当接部を貫通孔に挿入する際に、突部により当接部の位置及び姿勢をガイドする(倒れを抑制する)ことができる。従って、係止部の係止状態を解除する作業性の向上等を図ることができる。また、突部、及び、溝部の形状や配置のパターンを複数設けることにより、セキュリティ性能の向上、及び、利便性の向上(例えば、複数の顧客にそれぞれ対応する等)等を図ることができる。さらに、突部により貫通孔が狭められる格好となり、解除部材以外の治具を貫通孔に挿入して係止部の係止状態を解除するといった行為をより確実に抑止することができる。従って、解除部材以外のもので係止部の係止状態を解除する行為をより困難とすることができ、セキュリティ性能の向上をより一層図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】蓋体を閉位置とした容器の斜視図である。
図2】蓋体を開位置とした容器の斜視図である。
図3】ロック部材の表面側を示す斜視図である。
図4】ロック部材の裏面側を示す斜視図である。
図5】解除部材を示す斜視図である。
図6】解除部材を示す斜視図である。
図7】ロック部材を取外した状態の保持部を示す部分拡大斜視図である。
図8】ロック部材がロック解除状態にある保持部を示す部分拡大斜視図である。
図9】ロック部材がロック状態にある保持部、及び、解除部材を示す部分拡大斜視図である。
図10】ロック部材がロック状態にある保持部の解除部材挿入部に対し解除部材を挿入した状態を示す部分拡大斜視図である。
図11】解除部材により係止部の係止状態を解除してロック部材をロック解除状態とした状態を示す部分拡大斜視図である。
図12】ロック部材がロック解除状態にある保持部を示す部分拡大平面図(図8の平面図)である。
図13図12の水平断面図である。
図14】ロック部材がロック状態にある保持部を示す部分拡大平面図(図9の平面図)である。
図15図14の水平断面図である。
図16】ロック部材がロック解除状態にある保持部を示す図12のA-A線断面図(図8の断面図)である。
図17】ロック部材がロック状態にある保持部の解除部材挿入部に対し解除部材を挿入した状態を示す図14の保持部に解除部材を挿入した場合のB-B線断面図(図10の断面図)である。
図18】ロック部材がロック状態にある保持部を示す図14のC-C線断面図(図9の断面図)である。
図19】ロック部材がロック状態にある保持部の解除部材挿入部に対し解除部材を挿入して当接部を係止部に当接させた状態を示す部分拡大断面図(図14のC-C線断面図)である。
図20】ロック部材がロック状態にある保持部の解除部材挿入部に対し解除部材を挿入して係止部の係止状態を解除した状態を示す部分拡大断面図(図14のC-C線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1図2等に示すように、容器1は、上方に開口する略四角箱状の容器本体2と、容器本体2の開口部を閉塞可能な蓋体3とを備えている。容器本体2は、平面視略矩形状の底壁構成部4と、底壁構成部4の相対する一対の長辺部からそれぞれ上方に延在する長辺側側壁部5と、底壁構成部4の相対する一対の短辺部からそれぞれ上方に延在する短辺側側壁部6と、長辺側側壁部5及び短辺側側壁部6の上辺部に沿って設けられた略四角枠状の上枠7とを備えている。本実施形態の容器本体2、及び、蓋体3は、ポリプロピレンにより構成されている。
【0023】
また、長辺側側壁部5は、底壁構成部4の長辺部に対して回動変位可能に連結される下壁部8と、上枠7の長辺部に対して回動変位可能に連結される上壁部9とを備え、下壁部8の上辺部と上壁部9の下辺部とが回動変位可能に連結されている。本実施形態では、上壁部9と下壁部8との連結部を容器本体2の内側に押圧することで、上壁部9の外面と下壁部8の外面とを合わせるようにして長辺側側壁部5を折畳可能になっている。以下、上壁部9及び下壁部8が上下方向に延在する長辺側側壁部5の姿勢を長辺側側壁部5の起立姿勢と称し、上壁部9及び下壁部8が折畳まれた長辺側側壁部5の姿勢を長辺側側壁部5の折畳姿勢と称する。
【0024】
短辺側側壁部6は、上枠7の短辺部に対して回動変位可能に連結されている。本実施形態では、短辺側側壁部6を容器本体2の内側に押圧することで、短辺側側壁部6を略水平に延在するまで回動変位可能に構成されている。以下、上下方向に延在する短辺側側壁部6の姿勢を短辺側側壁部6の起立姿勢と称し、略水平方向に延在する短辺側側壁部6の姿勢を短辺側側壁部6の折畳姿勢と称する。また、短辺側側壁部6の横幅は、起立姿勢にある一対の長辺側側壁部5の間の距離とほぼ同じであり、全ての長辺側側壁部5、及び、短辺側側壁部6が起立姿勢とされた状態である容器本体2の組立状態では、短辺側側壁部6が一対の長辺側側壁部5の間に位置するように構成されている。さらに、短辺側側壁部6の上枠7に対する連結部は、長辺側側壁部5(上壁部9)の上枠7に対する連結部よりも上方に位置している。
【0025】
組立状態にある容器本体2を全ての長辺側側壁部5、及び、短辺側側壁部6が折畳姿勢とされた状態である折畳状態とする場合には、先ず、一対の短辺側側壁部6を容器本体2の内側に押圧して略水平方向に延在するまで回動変位させてから、一対の長辺側側壁部5を容器本体2の内側に(折畳姿勢とされた短辺側側壁部6の下方に)折畳む。これにより、容器本体2は、底壁構成部4の上方に折畳姿勢の長辺側側壁部5が重なり、当該長辺側側壁部5の上方に折畳姿勢の短辺側側壁部6が重なる折畳状態とされる。
【0026】
また、各長辺側側壁部5の下壁部8、及び、上壁部9の左右両端部には、内面から突出する断面略L字状の係合部11が設けられている。これに対し、短辺側側壁部6の外面側には、容器本体2を組立状態とした場合に、各係合部11とそれぞれ係合される被係合部(図示略)が設けられている。尚、底壁構成部4の上面にも、各短辺部に対応して上方に突出する係合部が設けられ、短辺側側壁部6には、当該係合部に対応する被係合部が設けられている。
【0027】
上枠7は、一対の長辺側側壁部5(上壁部9)にそれぞれ連結される一対の長辺部(以下、「長辺側枠構成部7a」と称する)と、一対の短辺側側壁部6にそれぞれ連結される一対の短辺部(以下、「短辺側枠構成部7b」と称する)とを備え、上枠7の外寸は、底壁構成部4の外寸とほぼ等しくなっている。また、容器本体2の折畳状態では、折畳姿勢とされた長辺側側壁部5及び短辺側側壁部6が上枠7の内周側に収容されるとともに、底壁構成部4と上枠7とが上下に当接するように構成されている。
【0028】
蓋体3は、上枠7の一方の長辺側枠構成部7aに対して回動変位可能に連結される第1蓋体3aと、他方の長辺側枠構成部7aに対して回動変位可能に連結される第2蓋体3bとを備えている。本実施形態では、第1蓋体3a及び第2蓋体3bと、長辺側枠構成部7aとが、それぞれ一対の連結部材12を介して連結されている。各連結部材12は、長辺側枠構成部7aに対し、長辺側枠構成部7aから上方に突出する閉鎖対応位置と、閉鎖対応位置から90度程度回動変位して、長辺側枠構成部7aから容器本体2の外方側に突出する開放対応位置との間を回動変位可能に連結されている。さらに、第1蓋体3a、及び、第2蓋体3bは、連結部材12のうち長辺側枠構成部7aから突出している部位に対して回動変位可能に連結されており、容器本体2の開口部を閉塞する閉位置と、閉位置から270度程度回動変位して、長辺側側壁部5の外面に沿って上下に延在する開位置との間を回動変位可能に構成されている。
【0029】
また、第1蓋体3aは、第1蓋体3a及び第2蓋体3bを閉位置とした場合に、第2蓋体3bの下側に位置して第2蓋体3bと略係合状態とされる留部13(図18参照)を備えている。このため、閉位置にある第1蓋体3aを開位置側に変位させるためには、第2蓋体3bを開位置側に変位させる必要がある。尚、図2に示すように、上枠7の各短辺側枠構成部7bの外側面には、折畳状態にある容器本体2を組立状態とするべく上枠7を持ち上げる際に操作される組立操作部14が設けられている。さらに、容器本体2の組立状態において、組立操作部14の下方に位置する短辺側側壁部6の外面側の上部には、組立状態にある容器本体2(容器1)を持ち運ぶ際に操作される持ち手部15が設けられている。
【0030】
さて、図1図8図9等に示すように、容器1は、容器本体2の開口部を閉塞した状態の蓋体3と、容器本体2との相対変位を規制するロック状態と、相対変位を許容するロック解除状態とに状態変化可能なロック部材21を備えている。図3図4に示すように、ロック部材21は、略矩形板状のロック部22と、ロック部22の一方の長側辺部の両端部からそれぞれ当該長側辺部に対して略直交し、かつ、ロック部22の表裏面に対して略平行する方向に突出する一対の係止部23と、一対の係止部23の間において各係止部23とは離間して設けられ、ロック部22の長側辺部から係止部23よりも大きく延出する延出部24と、延出部24の先端部に連結される操作部25とを備えている。本実施形態のロック部材21は、ポリプロピレンにより一体的に形成されている。
【0031】
係止部23は、延出部24に近付く方向に弾性変形可能な係止片26と、係止片26の先端部において延出部24から遠ざかる側に突出する係止突部27とを備えている。延出部24の表面側には、当該表面から突出し、延出部24の延在方向に沿って延在する被ガイド突部28が設けられている。また、操作部25は枡形をなしており、操作部25の底部が延出部24と略平行し、かつ、当該底部の一側辺部が延出部24の表面の先端側縁部と連結されている。
【0032】
図1図7図8に示すように、第2蓋体3bは、当該第2蓋体3bのうち閉位置にある場合に上枠7の短辺側枠構成部7bの上方に位置する部位に隣接して、ロック部材21をロック状態及びロック解除状態のどちらの状態でも保持可能な保持部31を備えている。保持部31は、底部及び側部を具備する略矩形状の凹部により構成され、ロック部材21を収容可能なロック部材収容部32を備えている。図12図14に示すように、ロック部材収容部32は、第2蓋体3bの横幅方向(軸線方向)において幅が広く構成され、ロック部材収容部32に収容されたロック部材21は、第2蓋体3bの横幅方向に沿ってスライド変位可能に構成されている。さらに、図16図17に示すように、ロック部材収容部32のうち第2蓋体3bの側辺部側(図の左側)の側部には、ロック部材21のロック部22を挿入可能とするロック許容開口部33が設けられている。
【0033】
また、図16に示すように、第2蓋体3bが閉位置にある場合には、ロック部材収容部32に対し第2蓋体3bの側方側において上枠7の短辺側枠構成部7bが略隣接するように構成されており、当該短辺側枠構成部7bには、ロック許容開口部33と連通するようにして開口形成された被ロック部34が設けられている。そして、図17に示すように、ロック部材収容部32においてロック部材21を第2蓋体3bの側辺部側にスライド変位させることで、ロック部22がロック許容開口部33を介してロック部材収容部32の外側に突出し、当該突出したロック部22は、被ロック部34に挿入されて係合状態(短辺側枠構成部7bの上辺部を構成するリブの下面に近接した状態)とされる。当該ロック部22が被ロック部34と係合された状態がロック部材21のロック状態に相当する。
【0034】
その一方で、図16に示すように、ロック部材収容部32においてロック部材21を第2蓋体3bの横幅方向中央部側にスライド変位させることで、ロック部22が被ロック部34から抜け出してロック部22と被ロック部34との係合が解除された状態とされる(ロック部材21の全体がロック部材収容部32に収まる状態とすることも可能である)。当該ロック部22と被ロック部34との係合が解除された状態がロック部材21のロック解除状態に相当する。尚、本実施形態では、被ロック部34の開口部が組立操作部14の奥壁部(短辺側側壁部6の内面を構成する壁部)に設けられ、ロック状態にあるロック部材21の先端部が、組立操作部14の内側に突出するように構成されているが、容器本体2の外面側からロック部材21に接触を図ることが困難又は不可能な構成としてもよい。
【0035】
また、図15に示すように、保持部31は、ロック部材収容部32のうちロック部材21のスライド方向に沿って延在する相対する一対の側部からそれぞれ突出し、ロック部材21がロック状態にある場合に、係止部23の係止突部27と係止状態とされる被係止部35を備えている。ロック部材21がロック状態にある(係止部23及び被係止部35が係止状態にある)場合には、係止部23の全体が被係止部35よりも第2蓋体3bの側辺部側に位置しており、係止突部27のうち第2蓋体3bの横幅方向中央部側の面と、被係止部35のうち第2蓋体3bの側辺部側の面とが互いに対向し、面同士で当接可能となっている。本実施形態では、係止突部27のうち第2蓋体3bの横幅方向中央部側の面、及び、被係止部35のうち第2蓋体3bの側辺部側の面がロック規制面36を構成している。尚、本実施形態では、係止突部27及び被係止部35の両ロック規制面36が平坦面とされているが、若干湾曲する等していてもよい。
【0036】
また、図13に示すように、保持部31は、ロック部材21がロック解除状態にある場合に、係止突部27と当接してロック部材21のロック状態とされる側への変位を規制可能なアンロック規制部37を備えている。本実施形態では、アンロック規制部37は、被係止部35を構成する突部のうち第2蓋体3bの横幅方向中央部側の部位により構成されている。ロック部材21がロック解除状態にある場合には、係止突部27がアンロック規制部37よりも第2蓋体3bの横幅方向中央部側に位置しており、ロック解除状態にあるロック部材21がロック状態側に変位する場合には、ロック部材21がロック状態となる前に、係止突部27のうち第2蓋体3bの側辺部側の面と、アンロック規制部37のうち第2蓋体3bの横幅方向中央部側の面とが当接し、それ以上の変位が抑制されるように構成されている。
【0037】
加えて、係止突部27は、第2蓋体3bの側辺部側の面において、ロック部材21がロック解除状態からロック状態に変位する際にアンロック規制部37に当接するガイド傾斜部38を備えている。さらに、本実施形態では、アンロック規制部37(第2蓋体3bの横幅方向中央部側の面)が、ロック部材収容部32の側部からの突出方向先端側に向けて第2蓋体3bの側辺部側に傾斜して延びている。このため、ロック解除状態にあるロック部材21をロック状態とする際に、係止突部27(ガイド傾斜部38)とアンロック規制部37とが当接した状態からロック部材21をロック状態となる側に押圧することで、ガイド傾斜部38及びアンロック規制部37の傾斜により、係止部23(係止片26)の変位(弾性変形)が案内され、ロック部材21をロック状態とすることが可能に構成されている。尚、本実施形態では、アンロック規制部37の第2蓋体3bの横幅方向中央部側の面についても、ロック部材21をロック状態とする際に係止部23の変位を案内するガイド傾斜部を構成しているが、当該ガイド傾斜部は、係止突部27及びアンロック規制部37のうち一方のみに設けられることとしてもよい。
【0038】
また、図9図11に示すように、本実施形態では、ロック部材21がロック状態にある場合に、専用の解除部材41を係止部23に当接させて所定の力で押込むことで当該係止部23(係止片26)が変位(弾性変形)して(ひいては、係止突部27が変位して)係止部23の係止状態が解除され、ロック部材21をロック解除状態とすることが可能に構成されている。図5図6に示すように、解除部材41は、略矩形板状の基部42と、基部42の裏面のうち一対の短側辺部から基部42に対して略直交して突出する一対の当接部43と、基部42の表面側に両端部が連結される略コ字状の解除持ち手部44とを備えている。尚、解除部材41は、例えば、樹脂製である。
【0039】
これに対し、図7図12図16に示すように、保持部31は、底部及び側部を具備し、解除部材41を挿入可能な解除部材挿入部45を備えている。解除部材挿入部45は、ロック部材収容部32のうち第2蓋体3bの側辺部側の部位に対して容器1の外方側(上側)において重複し、かつ、容器1の外方側(上方)に露出して配置されている。そして、ロック部材21のロック部22、延出部24、及び、係止部23(係止片26)を、ロック部材収容部32の底部と、解除部材挿入部45の底部との間に(ロック部22及び延出部24を弾性変形させつつ)挿入させることで、ロック部材21が保持部31に対して脱落不能に取付けられる(保持される)。加えて、図7に示すように、解除部材挿入部45の底部の下面から下方に突出するガイド突部46が設けられ、ロック部材21がスライド変位する際に、ロック部材21の被ガイド突部28がガイド突部46に摺接して、スライド変位の方向が案内されるようになっている。また、図12に示すように、ロック部材21のスライド変位方向に対して直交する方向における操作部25の幅は、ロック部材収容部32の短手幅よりも若干短く構成され、ロック部材21のスライド変位に際し、操作部25の側部が、ロック部材収容部32の側部に摺接して、スライド変位が案内されるようになっている。
【0040】
図7図12図18に示すように、解除部材挿入部45の底部には、ロック部材収容部32に連通する貫通孔47が設けられている。本実施形態では、貫通孔47は、各解除部材挿入部45において、各ロック部材21の一対の係止部23に対応して一対で設けられている。図19等に示すように、解除部材41の一対の当接部43は、解除部材挿入部45の一対の貫通孔47に挿入可能とされ、貫通孔47の深さ(解除部材挿入部45の底部の厚み)よりも長く構成されている。
【0041】
さらに、図14に示すように、ロック部材21がロック状態にあり、かつ、係止部23が係止状態にある場合に、容器1の外部(閉位置とされた第2蓋体3bの上面側)から貫通孔47を介して係止突部27(係止突部27の上面)を視認可能に構成されている(平面視で貫通孔47の形成範囲と、係止突部27が設置される位置とが重複している)。このため、図19等に示すように、当接部43が貫通孔47に挿入されるようにして解除部材41を解除部材挿入部45に挿入することで、当接部43の先端部が、係止部23の係止突部27に当接することとなる。
【0042】
図3図18等に示すように、係止突部27は、貫通孔47を介して視認可能とされる上面において、解除部材41の当接部43の貫通孔47への挿入方向の先方側に向けて係止部23(係止片26)の係止状態が解除される側への変位方向(本例では、延出部24に近付く方向)から遠ざかる方向に傾斜する解除傾斜部48を備えている。さらに、図6図19等に示すように、当接部43は、貫通孔47に挿入される際に解除傾斜部48に当接可能な位置において解除傾斜部48と略平行する方向に延在する当接部傾斜部49を備えている。このため、当接部43を貫通孔47に挿入することで、当接部43の当接部傾斜部49と、係止突部27の解除傾斜部48とが当接することとなり、そのまま、解除部材41をロック部材21のスライド変位方向に対して略直交する方向(下方)に押込むことで、図20に示すように、係止部23(係止片26)が、解除傾斜部48及び当接部傾斜部49に案内される格好で、延出部24側に変位(弾性変形)する。これにより、係止突部27が変位して係止部23及び被係止部35の係止状態が解除され、図11に示すように、解除部材41を押込んだ状態のまま、操作部25を操作してロック部材21を第2蓋体3bの横幅方向中央部側にスライド変位させることで、ロック部材21がロック解除状態とされる。また、ロック部材21がロック解除状態とされた場合、係止部23が自身の弾性に基づいて元の直線状に延びる状態に復帰し、ロック部材21がロック状態側に変位する場合には、係止突部27がアンロック規制部37に当接してそれ以上のロック状態側への変位が抑止される状態となる(図12参照)。
【0043】
尚、図3等に示すように、係止部23は、係止突部27を含む突出方向先端部側の部位が厚肉とされている。さらに、図18等に示すように、係止突部27の係止片26からの突出方向先端部は、解除傾斜部48とされた傾斜部位だけでなく、第2蓋体3bが閉位置にある場合に略鉛直方向に延在する部位をも備えている。加えて、図12図14に示すように、ロック部材21の操作部25は、ロック部材21がロック状態及びロック解除状態のどちらにあっても、作業者が操作可能となるように容器1の外方側に露出した状態とされ、ロック部材21を変位させる際には操作部25を操作することとなる。
【0044】
また、図7図14等に示すように、解除部材挿入部45は、貫通孔47の縁部から貫通孔47の内側に突出する突部50を備えている。これに対し、図6図19等に示すように、当接部43には、当接部43を貫通孔47に挿入する場合に突部50の挿入が許容される溝部51が設けられている。つまり、突部50と、溝部51との位置を合わせることで、当接部43を貫通孔47に挿入させることが可能に構成されている。
【0045】
尚、図19等に示すように、本実施形態では、係止部23が、延出部24とともに、ロック部材収容部32の底部に当接した状態とされ、係止突部27に対して当接部43が圧接された状態において、係止部23の下方への変形がロック部材収容部32の底部により規制されるようになっている。また、図20等に示すように、ロック部材収容部32の底部にも、ロック部材21のロック状態において解除部材41の当接部43の先端部を挿入可能とする開口部が形成されている。これにより、当接部43の内側面のうち当接部傾斜部49が形成されていない部位と、係止突部27の係止片26からの突出方向先端部とを当接させることが可能となり、係止部23をより確実に弾性変形させることができるようになっている。さらに、本実施形態では、ロック部材21がロック状態にある場合に、ロック部材21の一対の係止部23(係止突部27)の間に被ガイド突部28及びガイド突部46がロック部材21のスライド変位方向(第2蓋体3bの横幅方向)に沿って延在するように構成されており、係止部23が弾性変形させられた状態においても、ロック部材21のスライド変位方向に対して直交する方向への変位(ずれ)が規制されるようになっている。
【0046】
以上詳述したように、本実施形態によれば、ロック部材21をロック解除状態とする際に専用の解除部材41を用いる構成とすることで、係止部23及び被係止部35を容器1の外部から接触不可能又は接触困難となるように配置することが可能な上、専用の解除部材41を所有しない当事者以外の者がロック部材21のロック状態を解除して容器1の形態変化を生じさせる(密封状態にあった容器1を開封する)ことを抑止することができる。従って、例えば、容器1が運搬の途中で不正に開封され、収容物が覗かれたり抜き取られたりする等の事態を抑止することができ、セキュリティ性能の高い容器1を提供することができる。結果として、当事者以外の者によって容器1が所期の形態から変化させられてしまうといった事態を防止することができ、当事者間の物品の運搬、保管等をより好適に行うことができる。尚、ロック部材21はロック解除状態においても保持部31に保持されており、ロック部材21によるロックを行う場合に、ロック部材21を逐一用意するといった手間を省くことができる。
【0047】
加えて、係止突部27、及び、被係止部35は、ロック部材21のロック状態において互いに対向し、(平坦な)面同士で当接可能なロック規制面36を備えている。このため、ロック部材21のロック状態の安定化を図ることができる。また、保持部31(ロック部材収容部32)においてアンロック規制部37が設けられていることにより、ロック部材21のロック解除状態の安定化を図る(ロック部材21が不用意にロック状態側に変位することを防止する)ことができる。さらに、アンロック規制部37がロック解除状態にあるロック部材21のロック状態側への変位を規制する際に当接する部位は係止突部27である上、係止突部27に設けられたガイド傾斜部38がアンロック規制部37に圧接することで係止部23(係止片26)の弾性変形が促され、係止部23が弾性変形することでアンロック規制部37による規制状態が解消される。このため、ロック解除状態にあるロック部材21を作業者が意図してロック状態側へと変位させる場合には、ロック部材21をロック状態側へ押すだけでロック状態側へと変位させることができ、ロック部材21をロック状態とする際の作業性の向上等を図ることができる。
【0048】
また、ロック部材21は、第2蓋体3bの横幅方向(軸線方向)にスライド変位をする構成であり、ロック部材21は、ロック部材21の変位に際して操作される操作部25を備え、解除部材41は、係止部23の係止状態の解除に際し、ロック部材21の変位方向に対して略直交する方向に押込む構成となっている。このため、解除部材41により係止部23の係止状態を解除しつつ、操作部25を操作してロック状態にあるロック部材21をロック解除状態側に変位させることができる。従って、ロック部材21をロック解除状態とする際の作業性の向上を図ることができる。
【0049】
また、ロック部材収容部32の一部(ロック部材21のロック状態において係止部23等が配置される範囲)に対して解除部材挿入部45が容器1の外方側(上方)において重複して配置され、解除部材挿入部45の底部にはロック部材収容部32に連通し、解除部材41の当接部43が挿入される貫通孔47が設けられている。従って、係止状態にある係止部23を容器1外部から接触を図り難い位置に配置するとともに、解除部材41の当接部43により係止部23に対して接触を図り、係止部23の係止状態を解除することができる。また、係止部23の係止状態を解除するべく解除部材41を解除部材挿入部45に挿入する、ひいては、解除部材41の当接部43を貫通孔47に挿入する場合に、解除部材挿入部45の側部により解除部材41の姿勢をガイドする(倒れを抑制する)ことができる。従って、セキュリティ性能を確保しつつ、より正確かつスムースに係止部23の係止状態を解除することができる。
【0050】
さらに、係止部23の係止突部27には、解除部材41の当接部43の貫通孔47への挿入方向の先方側に向けて係止片26の係止状態が解除される側への変位方向から遠ざかる方向に傾斜する解除傾斜部48が設けられ、ロック部材21がロック状態にあり、かつ、係止部23が係止状態にある場合に、容器1の外部から貫通孔47を介して解除傾斜部48を視認可能に構成されている。つまり、係止部23の係止状態を解除する場合に、解除部材41の当接部43を貫通孔47に挿入させることで、当接部43を解除傾斜部48に当接させることができ、さらに、当接部43を解除傾斜部48に圧接させることで解除傾斜部48の傾斜により係止部23をより正確かつスムースに弾性変形させることができる。従って、係止部23の係止状態の解除作業をより好適に行うことができる。
【0051】
加えて、当接部43は、貫通孔47に挿入される際に解除傾斜部48に当接可能な位置において解除傾斜部48と略平行する方向に延在する当接部傾斜部49を備えている。これにより、係止部23の係止状態を解除する際の係止部23の弾性変形をより確実にアシストすることができる。さらに、当接部43と係止部23とが当接する面積を増やすことができ、当接部43と係止部23とが当接する際に、当接部43及び係止部23が損傷するといった事態を抑止することができる。
【0052】
また、解除部材挿入部45は、貫通孔47の縁部から貫通孔47の内側に突出する突部50を備え、解除部材41の当接部43には、当接部43を貫通孔47に挿入する場合に突部50の挿入が許容される溝部51が設けられている。当該構成により、当接部43を貫通孔に挿入する際に、突部50により当接部43の位置及び姿勢をガイドする(倒れを抑制する)ことができる。従って、係止部23の係止状態を解除する作業性の向上等を図ることができる。また、突部50、及び、溝部51の形状や配置のパターンを複数設けることにより、セキュリティ性能の向上、及び、利便性の向上(例えば、複数の顧客にそれぞれ対応する等)等を図ることができる。さらに、突部50により貫通孔47が狭められる格好となり、解除部材41以外の治具を貫通孔47に挿入して係止部23の係止状態を解除するといった行為をより確実に抑止することができる。従って、解除部材41以外のもので係止部23の係止状態を解除する行為をより困難とすることができ、セキュリティ性能の向上をより一層図ることができる。
【0053】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0054】
(a)上記実施形態では、容器本体2が上枠7を備えて折畳可能な構成とされているが、例えば、上枠7がなく、底壁構成部に対して長辺側側壁部及び短辺側側壁部が底壁構成部の各側辺部から上方に延在する起立姿勢と、底壁構成部の上方に重なる折畳姿勢とに姿勢変化することで組立及び折畳可能な容器本体としてもよい。また、容器本体の全体が一体的に形成される容器に具体化することも可能である。さらに、側壁部の少なくとも一つが底壁構成部に対して着脱自在に構成される容器に具体化することも可能である。
【0055】
加えて、蓋体が省略されて(容器本体の上方が閉塞される代わりに)、所定の側壁部において開口部が設けられるとともに、当該開口部を開閉する扉体、及び、当該扉体の閉状態を維持するロック部材を備える容器に具体化することも可能である。この場合、容器本体と、扉体とが容器構成部材を構成する。すなわち、ロック部材21により変位が規制され、専用の解除部材41により当該規制状態が解除される対象は扉体3に限定されるものではなく、蓋体や扉体の開閉、容器本体の組立て及び折畳み等、形態を変化させることの可能な容器に関し、所定の形態からの変化を規制可能な(所定の形態における所定の容器構成部材と、当該所定の容器構成部材に隣接する容器構成部材との相対変位を規制可能な)ロック部材、及び、ロック部材による規制状態を解除可能な解除部材を備える構成としてもよい。当該構成を採用することにより、当事者以外の者によって容器が所期の形態から変化させられてしまう(例えば、側壁部に扉体が設けられる場合に、不用意に扉体が開放されて収容物が流失してしまう)といった事態を防止することができ、当事者間の物品の運搬、保管等をより好適に行うことができる。尚、容器のどの形態をロック部材によって維持するかについては、適宜変更可能であり、ロック部材により、例えば、容器本体2の組立状態を維持したり、容器本体2の折畳状態を維持したりするように構成してもよい。また、容器の所定の形態をロック部材によってどのように維持するかについても適宜変更可能であり、例えば、容器本体2の組立状態を維持するべく、短辺側側壁部6と底壁構成部4との相対変位を規制するロック部材を設けてもよいし、短辺側側壁部6と長辺側側壁部5との相対変位を規制するロック部材を設けてもよい。さらに、1つの容器において、異なる複数の形態をそれぞれ維持するためのロック部材を設ける(例えば、容器本体2に蓋体3を被せた形態を維持するロック部材21と、容器本体2を折畳状態とした形態を維持するロック部材とを設ける)こととしてもよい。
【0056】
加えて、上記実施形態では、容器1は、ポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。
【0057】
(b)また、蓋体3の形状等について特に限定されるものではなく、例えば、留部13を閉位置にある第2蓋体3bの上面側から第1蓋体3a側に突出するようにして設けてもよいし、留部13が省略されて第1蓋体3a及び第2蓋体3bのどちら側からでも他方を閉位置としたまま一方を開位置とすることができる構成(この場合、例えば、第1蓋体及び第2蓋体にロック部材を1つずつ設ける)としてもよいし、平面視で容器本体2の外寸形状とほぼ同じ外寸形状をなし(容器本体2の開口部全体を覆う形状をなし)、容器本体2に対して着脱自在な蓋体としてもよい。加えて、容器本体2の開口部を閉塞するための蓋体3は、上記実施形態では第1蓋体3a及び第2蓋体3bの2つにより構成されているが、前記開口部全体を覆う1つで構成されてもよいし、前記開口部を分担して覆う3つ以上で構成されてもよい。
【0058】
(c)上記実施形態では、1つのロック部材21において係止部23が2つ設けられているが、係止部23は1つでもよい。但し、1つのロック部材21において係止部23が複数設けられる場合、専用の解除部材41を用いなければ、全ての係止部23の係止状態が解除された状態とすることをより困難とすることができ、セキュリティ性能のより一層の向上を図るとともに、突部50、及び、溝部51の形状や配置のパターンをより多様化させることができる。
【0059】
また、上記実施形態では、ロック部材21は、第2蓋体3bの横幅方向(軸線方向)に沿ってスライド変位可能に設けられているが、回動変位可能に構成してもよい。例えば、略矩形板状のロック部材の一方の短辺部近傍部位が、第2蓋体3bに対して第2蓋体3bの厚み方向が軸線方向となるようにして軸支され、ロック部材の変位に伴い、ロック部材の他方の短辺部を含む部位が短辺側枠構成部7bの被ロック部34に係合される状態と、係合状態が解除される状態とに状態変化するように構成され、ロック部材の前記一方の短側辺部に係止部を設け、当該係止部はロック部材のロック状態において第2蓋体に設けられた被係止部に係止され、解除部材により(解除部材をロック部材の回動軸線方向に押込むことで)、係止部を弾性変形させて(ロック規制面を変位させて)係止状態を解除可能に構成してもよい。
【0060】
さらに、上記実施形態では、係止部23が係止片26及び係止突部27を備えて弾性変形可能に構成されているが、かかる構成に代えて、被係止部35が係止片及び係止突部を備えて弾性変形可能に構成してもよい。加えて、解除部材41を解除部材挿入部45に挿入させるだけで、ロック部材21がロック解除状態へと変位する構成(例えば、係止部が操作部からロック部側に突出し、当接部が係止部を押圧する際に係止部を延出部側に弾性変形させるとともにロック解除状態側に押出す構成)としてもよい。また、ロック部材21がロック状態にある場合にロック部材21の操作部25への接触が図れない、又は、接触が図り難くなるように構成してもよい。
【0061】
加えて、上記実施形態では、ロック部材21のロック状態の解除(係止部23の係止状態の解除)に際し、解除部材挿入部45に対して解除部材41をロック部材21の変位方向に対して略直交する方向に挿入させる(当接部43を係止部23に当接させて押込む)構成とされているが、解除部材41を押込む方向が、例えば、ロック部材21の変位方向と同じ方向(ロック状態とされる側、又は、ロック解除状態とされる側)となるように構成してもよいし、ロック部材21の変位方向に対して略直交する方向を含む交差する方向(斜めの方向)となるように構成してもよい。また、上記実施形態において解除部材挿入部45を省略し、ロック部材21のロック状態の解除に際し蓋体3(第2蓋体3b)の外側から(ロック部材21が蓋体3とは別の容器構成部材に取付けられる変形例においては、当該容器構成部材の外側から)解除部材41を押込む構成としてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…容器、2…容器本体、3…蓋体、3a…第1蓋体、3b…第2蓋体、4…底壁構成部、5…長辺側側壁部、6…短辺側側壁部、7…上枠、7a…長辺側枠構成部、7b…短辺側枠構成部、21…ロック部材、22…ロック部、23…係止部、25…操作部、26…係止片、27…係止突部、31…保持部、32…ロック部材収容部、34…被ロック部、35…被係止部、36…ロック規制面、37…アンロック規制部、41…解除部材、43…当接部、45…解除部材挿入部、47…貫通孔、48…解除傾斜部、49…当接部傾斜部、50…突部、51…溝部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20