(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161872
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】排気ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/023 20060101AFI20231031BHJP
B01D 46/71 20220101ALI20231031BHJP
B01D 46/72 20220101ALI20231031BHJP
【FI】
F01N3/023 K
B01D46/71
B01D46/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072486
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 剛
(72)【発明者】
【氏名】萩野谷 哲史
(72)【発明者】
【氏名】植松 良介
(72)【発明者】
【氏名】村松 雄也
【テーマコード(参考)】
3G190
4D058
【Fターム(参考)】
3G190AA02
3G190AA03
3G190AA13
3G190BA13
3G190BA48
3G190CA03
3G190CB18
3G190CB24
3G190CB34
3G190CB35
3G190CB44
3G190CB47
3G190DA42
3G190DB02
3G190EA14
4D058JA32
4D058MA15
4D058QA03
4D058QA13
4D058SA08
4D058TA06
(57)【要約】
【課題】フィルタにおける粒子状物質の堆積の偏りを抑制する。
【解決手段】排気ガス浄化装置は、エンジンに接続された排気流路に設けられるフィルタと、前記フィルタの下流側の端部のうちの、粒子状物質の偏堆積が予想される領域にガスを噴射する噴射部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに接続された排気流路に設けられるフィルタと、
前記フィルタの下流側の端部のうちの、粒子状物質の偏堆積が予想される領域にガスを噴射する噴射部と、
を備える、排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記噴射部により前記ガスが噴射されることで、前記フィルタに堆積した粒子状物質は、前記フィルタの上流側に移動し、
前記フィルタの上流側に移動した粒子状物質は、前記エンジンから排気された排気ガスによって、前記フィルタに再度捕捉される、請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記排気流路は、
前記フィルタが設けられる大径流路と、
前記大径流路よりも下流側に設けられ、前記大径流路よりも小径である小径流路と、
を有し、
前記噴射部は、前記フィルタの下流側の端部のうち、前記大径流路と前記小径流路との段差部と対向する領域に前記ガスを噴射する、請求項1または2に記載の排気ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンから排気される排気ガスには、煤等の粒子状物質(PM:Particulate Matter)が含まれる。このため、車両の排気流路には、粒子状物質を取り除くフィルタとして、DPF(Diesel Particulate Filter)やGPF(Gasoline Particulate Filter)が設けられている(例えば、特許文献1)。このようなフィルタでは、フィルタに形成された孔で粒子状物質を捕捉することにより、排気ガスから粒子状物質を取り除く。フィルタは、使用を継続するに従って粒子状物質によって目詰まりする。
【0003】
そこで、フィルタの前後の差圧を測定する差圧センサを車両に設けておき、差圧に基づいて、フィルタにおける粒子状物質の堆積量を推定する。そして、差圧が所定値以上となったら、堆積量が所定量以上であると推定して、フィルタに対し再生処理が実行される。再生処理は、フィルタに空気を送り、粒子状物質を燃焼させてフィルタから除去する処理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、排気流路の形状等によって、フィルタにおいて粒子状物質が偏って堆積してしまう場合がある。そうすると、再生処理において、粒子状物質が相対的に多く堆積した箇所が想定外に高温となり、フィルタに不具合が生じてしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、フィルタにおける粒子状物質の堆積の偏りを抑制することが可能な排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一実施の形態に係る排気ガス浄化装置は、
エンジンに接続された排気流路に設けられるフィルタと、
前記フィルタの下流側の端部のうちの、粒子状物質の偏堆積が予想される領域にガスを噴射する噴射部と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フィルタにおける粒子状物質の堆積の偏りを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る車両の構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るGPFを説明する図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る領域を説明する図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る噴射部によるガスの噴射処理について説明する図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るフィルタ管理方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料、数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る車両100の構成を示す概略図である。なお、
図1中、破線の矢印は、信号の流れを示す。
【0012】
図1に示すように、車両100は、エンジン110と、吸気流路120と、排気流路130と、排気ガス浄化装置150と、マフラ160と、を含む。
【0013】
車両100は、エンジン110を駆動源として備える。エンジン110は、ガソリンエンジンである。ただし、本発明に係る車両は、この例に限定されず、例えば、エンジン110に加えてモータを駆動源として備えるハイブリッド車両であってもよい。
【0014】
エンジン110の吸気ポートには、吸気マニホールドが連通される。吸気マニホールドの集合部には、吸気流路(吸気管)120が連通される。
【0015】
エンジン110の排気ポートには排気マニホールドが連通される。排気マニホールドの集合部には、排気流路(排気管)130が連通される。エンジン110から排気された排気ガスは、排気流路130を流れる。以下、排気ガスの流れ方向の上流を単に「上流」という場合がある。また、排気ガスの流れ方向の下流を単に「下流」という場合がある。
【0016】
排気流路130には、後述する排気ガス浄化装置150の触媒装置210、GPF220、および、圧力センサ240、242と、マフラ160とが設けられる。
【0017】
触媒装置210は、排気流路130におけるエンジン110とマフラ160との間に設けられる。GPF220は、排気流路130における触媒装置210とマフラ160との間に設けられる。圧力センサ240は、排気流路130における触媒装置210とGPF220との間に設けられる。圧力センサ242は、排気流路130におけるGPF220とマフラ160との間に設けられる。排気ガス浄化装置150については、後に詳述する。
【0018】
[排気ガス浄化装置150]
続いて、本実施形態に係る排気ガス浄化装置150について説明する。排気ガス浄化装置150は、エンジン110から排気された排気ガスを浄化する。本実施形態において、排気ガス浄化装置150は、触媒装置210と、GPF220と、圧力センサ240、242と、噴射部250と、制御装置260とを含む。
【0019】
触媒装置210は、例えば、三元触媒(Three-Way Catalyst)を含む。三元触媒は、例えば、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒成分である。触媒装置210は、エンジン110から排出された排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物を除去する。
【0020】
GPF220(フィルタ)は、エンジン110から排出された排気ガス中の粒子状物質(煤)を捕捉する。
【0021】
図2は、本発明の実施形態に係るGPF220を説明する図である。なお、本実施形態にかかる
図2~
図4では、垂直に交わるX軸、Y軸、Z軸を図示の通り定義している。また、
図2、
図3中、矢印は、排気ガスの流れを示す。
【0022】
図2に示すように、排気流路130は、上流小径流路132と、拡径流路134と、大径流路136と、縮径流路138と、下流小径流路140とを有する。
【0023】
上流小径流路132は、触媒装置210の下流側に接続される流路である。拡径流路134は、上流小径流路132の下流側に接続される流路である。拡径流路134は、上流側から下流側に向かうに従って径が漸増する。
【0024】
大径流路136は、拡径流路134の下流側に接続される流路である。大径流路136は、上流小径流路132よりも大径である。大径流路136は、例えば、円筒形状である。本実施形態において、GPF220は、大径流路136に設けられる。
【0025】
縮径流路138(段差部)は、大径流路136の下流側に接続される流路である。縮径流路138は、上流側から下流側に向かうに従って径が漸減する。下流小径流路140(小径流路)は、縮径流路138の下流側に接続される流路である。下流小径流路140は、大径流路136よりも小径である。本実施形態おいて、下流小径流路140の径は、上流小径流路132の径と実質的に等しい。
【0026】
また、本実施形態において、上流小径流路132および下流小径流路140は、同軸である。一方、大径流路136の中心軸は、下流小径流路140の中心軸と異なる。例えば、大径流路136の中心軸は、下流小径流路140の中心軸よりも車体側に配される。これにより、車両100が走行する際に、大径流路136と道路(地面)との間隔を確保することができる。したがって、大径流路136が道路に接触してしまう事態を回避することができる。なお、本実施形態において、大径流路136の中心軸は、下流小径流路140の中心軸と平行である。
【0027】
GPF220は、上記したように、大径流路136に設けられる。GPF220は、ウォールフロー型のフィルタである。GPF220は、フィルタ壁222と、第1封止部224と、第2封止部226とを含む。
【0028】
フィルタ壁222は、複数の孔を有する壁である。本実施形態において、フィルタ壁222は、第1壁222aと、第2壁222bとで構成される。第1壁222aは、
図2中、XY面上に設けられるとともに、Y軸方向に延在する。第2壁222bは、
図2中、YZ面上に設けられるとともに、Y軸方向に延在する。2つの第1壁222aと、2つの第2壁222bに囲繞された空間がセルCとして形成される。
【0029】
したがって、複数のセルCは、大径流路136内において、中心軸方向(
図2中、Y軸方向)に延在するとともに、中心軸方向と直交する方向(
図2中、X軸方向およびZ軸方向)に並列して形成される。なお、セルCの数に限定はない。
【0030】
第1封止部224は、複数のセルCのうち、第1セル群に分類されるセルCAにおける下流側の開口を封止する。第2封止部226は、第1セル群のセルCAに隣接する第2セル群に分類されるセルCBにおける上流側の開口を封止する。セルCAとセルCBとは交互に配される。したがって、GPF220に到達した排気ガスは、セルCAに導入され、セルCAを区画するフィルタ壁222を通過して、セルCBに導入される。つまり、セルCBには、セルCAを通過した排気ガスが導入される。そして、セルCBに導入された排気ガスは、セルCBの下流側の開口を通じてマフラ160(
図1参照)に導かれることとなる。
【0031】
圧力センサ240は、触媒装置210とGPF220との間の圧力を検出する。圧力センサ242は、GPF220とマフラ160との間の圧力を検出する。
【0032】
噴射部250は、GPF220の下流側の端部のうちの、粒子状物質の偏堆積が予想される領域Rにガスを噴射する。ガスは、例えば、空気である。噴射部250は、例えば、エンジン110の停止中にガスを噴射する。本実施形態において、噴射部250は、ノズル252と、ブロワ254とを含む。ノズル252の開口は、領域Rに臨む。ブロワ254は、ノズル252にガスを供給する。
【0033】
領域Rは、GPF220のうちの他の領域と比較して粒子状物質が堆積しやすい領域である。換言すれば、領域Rにおける粒子状物質の堆積量は、他の領域と比較して多い。領域Rは、実験、または、排気流路130の形状およびGPF220の設置態様に基づいたシミュレーションによって決定される。
【0034】
図3は、本発明の実施形態に係る領域Rを説明する図である。なお、
図3、
図4中、黒丸は、粒子状物質を示す。上記したように、本実施形態に係る大径流路136の中心軸は、上流小径流路132および下流小径流路140の中心軸よりも車体側に配される。このため、GPF220の中心軸も、上流小径流路132および下流小径流路140の中心軸よりも車体側に配される。
【0035】
そうすると、排気ガスに含まれる粒子状物質は、GPF220における縮径流路138と対向する領域であって車体側の領域に多く堆積(偏堆積)する。したがって、本実施形態において、噴射部250は、GPF220の下流側の端部のうち、縮径流路138と対向する領域であって車体側の領域Rにガスを噴射する。
【0036】
図4は、本発明の実施形態に係る噴射部250によるガスの噴射処理について説明する図である。
図4中、矢印は、噴射部250によって噴射されたガスの流れを示す。
【0037】
図4に示すように、エンジン110の停止中に、噴射部250によって領域Rに向けてガスが噴射されると、GPF220に堆積した粒子状物質は、GPF220の上流側に移動する。換言すれば、噴射部250は、GPF220に堆積した粒子状物質を逆流させる。
【0038】
そして、エンジン110が再始動されると、GPF220の上流側に移動した粒子状物質は、エンジン110から排気された排気ガスによって、GPF220に再度捕捉される。これにより、排気ガス浄化装置150は、GPF220における粒子状物質の堆積分布を平均化させることができる。したがって、排気ガス浄化装置150は、GPF220における粒子状物質の堆積の偏りを抑制することが可能となる。
【0039】
図1に戻って説明すると、制御装置260は、1つまたは複数のプロセッサ262と、プロセッサ262に接続される1つまたは複数のメモリ264と、を有する。プロセッサ262は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。メモリ264は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。ROMは、CPUが使用するプログラムおよび演算パラメータ等を記憶する記憶素子である。RAMは、CPUにより実行される処理に用いられる変数およびパラメータ等のデータを一時記憶する記憶素子である。
【0040】
制御装置260は、車両100に設けられる各装置(例えば、エンジン110、圧力センサ240、242等)と通信を行う。制御装置260と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。
【0041】
図5は、本発明の実施形態に係る制御装置260の機能構成の一例を示すブロック図である。例えば、
図6に示すように、制御装置260は、信号取得部270と、堆積量推定部272と、噴射制御部274と、エンジン制御部276と、記憶部280とを有する。なお、信号取得部270、堆積量推定部272、噴射制御部274、および、エンジン制御部276により行われる以下で説明する処理を含む各種処理は、プロセッサ262によって実行され得る。詳細には、メモリ264に記憶されているプログラムをプロセッサ262が実行することにより、各種処理が実行される。
【0042】
信号取得部270は、圧力センサ240、242の検出値を取得する。また、信号取得部270は、エンジン110が停止中であるか否かの情報を取得する。
【0043】
堆積量推定部272は、圧力センサ240、242の検出値に基づき、GPF220における粒子状物質の堆積量を推定する。具体的に説明すると、堆積量推定部272は、圧力センサ240の検出値と圧力センサ242の検出値との差分を算出する。差分は、GPF220の上流側と下流側との差圧(以下、単に「差圧」という)である。そして、堆積量推定部272は、差分(差圧)に基づき、GPF220における粒子状物質の堆積量を推定する。
【0044】
堆積量推定部272は、差圧が閾値圧力以上である場合に、GPF220への粒子状物質の堆積量が閾値量以上となったと推定する。なお、閾値圧力は、差圧と、粒子状物質の堆積量とに基づいて予め決定される。例えば、堆積量が、再生処理において異常燃焼させずに粒子状物質を燃焼できる堆積量の最大値である場合の差圧を閾値圧力に決定する。閾値圧力を示す情報は、記憶部280に保持される。
【0045】
噴射制御部274は、噴射部250を制御して、ガスを噴射される。噴射制御部274は、例えば、エンジン110が停止中であり、かつ、前回噴射処理を行ってから所定時間が経過した場合に、ガスを噴射させる。
【0046】
エンジン制御部276は、エンジン110を制御する。本実施形態において、エンジン制御部276は、GPF220への粒子状物質の堆積量が閾値量以上となった場合に、エンジン110に対し燃料カットして、再生処理を実行する。
【0047】
[フィルタ管理方法]
図6は、本発明の実施形態に係るフィルタ管理方法の処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態において、所定の時間間隔毎に生じる割込によってフィルタ管理方法が繰り返し遂行される。
【0048】
図6に示すように、フィルタ管理方法は、堆積量判定処理S110と、経過時間判定処理S120と、停止中判定処理S130と、噴射処理S140と、再生処理S150とを含む。以下、各処理について詳述する。
【0049】
[堆積量判定処理S110]
堆積量推定部272は、GPF220への粒子状物質の堆積量が閾値量以上となったか否かを判定する。その結果、堆積量が閾値量以上になったと判定した場合には(S110におけるYES)、堆積量推定部272は、再生処理S150に処理を移す。一方、堆積量が閾値量以上になっていない、つまり、閾値量未満であると判定した場合には(S110におけるNO)、堆積量推定部272は、経過時間判定処理S120に処理を移す。
【0050】
[経過時間判定処理S120]
噴射制御部274は、前回噴射処理S140を行ってから所定時間が経過したか否かを判定する。その結果、所定時間が経過したと判定した場合、噴射制御部274は、停止中判定処理S130に処理を移す。一方、所定時間が経過していないと判定した場合、噴射制御部274は、当該フィルタ管理方法を終了する。なお、1度も噴射処理を行っていない場合、噴射制御部274は、停止中判定処理S130に処理を移す。
【0051】
[停止中判定処理S130]
噴射制御部274は、エンジン110が停止中であるか否かを判定する。その結果、エンジン110が停止中であると判定した場合には(S130におけるYES)、噴射制御部274は、噴射処理S140に処理を移す。一方、エンジン110が停止中ではないと判定した場合には(S130におけるNO)、噴射制御部274は、当該フィルタ管理方法を終了する。
【0052】
[噴射処理S140]
噴射制御部274は、噴射部250を制御して、領域Rにガスを噴射させる。
【0053】
[再生処理S150]
エンジン制御部276は、エンジン110に対し燃料カットを開始して、再生処理を実行する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る排気ガス浄化装置150は、噴射部250を備える。噴射部250によってガスが噴射されることにより、領域Rに堆積した粒子状物質をGPF220の上流側に移動させることができる。そして、排気ガスの流れによって、GPF220の上流側に移動した粒子状物質を分散させてGPF220に再度捕捉させることができる。これにより、排気ガス浄化装置150は、GPF220における粒子状物質の堆積の偏りを抑制することが可能となる。
【0055】
また、GPF220は、噴射部250によってガスが噴射されることにより、GPF220の上流側に移動した粒子状物質を再度捕捉する。このため、排気ガス浄化装置150は、粒子状物質を捕集するための別途の装置を備えずとも、排気ガスから粒子状物質を取り除くことができる。
【0056】
また、上記したように、噴射部250は、エンジン110の停止中にガスを噴射する。これにより、噴射部250は、排気ガスの流れに逆らってガスを噴射する事態を回避することができる。したがって、噴射部250を構成するブロワ254の動力を低減することが可能となる。
【0057】
また、上記したように、噴射部250は、粒子状物質の堆積量が閾値量に到達するまでの間、複数回ガスを噴射する。これにより、排気ガス浄化装置150は、GPF220における粒子状物質の堆積の偏りをより抑制することが可能となる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0059】
例えば、上記実施形態では、排気流路130の上流小径流路132、拡径流路134、大径流路136、縮径流路138、および、下流小径流路140の中心軸が平行である場合を例に挙げた。しかし、上流小径流路132、拡径流路134、大径流路136、縮径流路138、および、下流小径流路140のうち、いずれか1または複数の中心軸は、他の中心軸と平行でなくてもよい。
【0060】
また、上記実施形態において、上流小径流路132と下流小径流路140とが同軸である場合を例に挙げた。しかし、上流小径流路132の中心軸と下流小径流路140の中心軸とは異なっていてもよい。
【0061】
また、上記実施形態において、排気流路130の大径流路136の中心軸が、下流小径流路140の中心軸と異なる場合を例に挙げた。しかし、大径流路136と下流小径流路140とは同軸であってもよい。また、上流小径流路132、拡径流路134、大径流路136、縮径流路138、および、下流小径流路140のうち、いずれか1または複数は同軸であってもよい。
【0062】
いずれにせよ、噴射部250は、GPF220の下流側の端部のうちの、粒子状物質の偏堆積が予想される領域Rにガスを噴射すればよい。例えば、噴射部250は、GPF220の下流側の端部のうちの、大径流路136と下流小径流路140との段差部と対向する領域R、つまり、下流小径流路140に対して径方向外側の領域Rにガスを噴射してもよい。
【0063】
また、上記実施形態において、噴射部250によって噴射されるガスとして空気を例に挙げた。しかし、噴射部250によって噴射されるガスは、排気ガスの性状を悪化させることがないガスであればよい。
【0064】
また、上記実施形態において、噴射部250が、エンジン110の停止中にガスを噴射する場合を例に挙げた。しかし、噴射部250は、エンジン110の稼働中にガスを噴射してもよい。
【0065】
また、上記実施形態において、排気ガス浄化装置150は、圧力センサ240、242、および、堆積量推定部272を備える場合を例に挙げた。しかし、圧力センサ240、242、および、堆積量推定部272は、必須の構成ではない。制御装置260は、前回再生処理を実行してからのエンジン110の累積運転時間に基づいて、閾値量を推定してもよい。
【0066】
また、上記実施形態において、噴射部250が1のノズル252を備える場合を例に挙げた。しかし、噴射部250は、ノズル252を複数備えてもよい。例えば、複数のノズル252は、GPF220の周方向に等間隔で設けられてもよい。また、領域Rが複数ある場合、領域Rごとにノズル252を設けてもよい。
【0067】
また、上記実施形態において、エンジン110がガソリンエンジンである場合を例に挙げた。しかし、エンジン110は、ディーゼルエンジンであってもよい。エンジン110がディーゼルエンジンである場合、排気流路130には、GPF220に代えてDPFが設けられる。この場合、DPFが本発明のフィルタとして機能する。
【符号の説明】
【0068】
110 エンジン
130 排気流路
136 大径流路
138 縮径流路(段差部)
140 下流小径流路(小径流路)
150 排気ガス浄化装置
220 GPF(フィルタ)
250 噴射部