(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161875
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】電気的接続装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
H01R13/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072490
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】井上 直
(72)【発明者】
【氏名】松浦 淳
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB07
5E021FC06
5E021FC40
5E021JA05
5E021JA11
(57)【要約】
【課題】リセプタクルコネクタにプラグコネクタがクリアランスを介して嵌合する電気的接続装置に関し、リセプタクルコネクタの機器への取り付け部分の破損及びリセプタクルコネクタの破損を抑制できる、電気的接続装置を提供する。
【解決手段】リセプタクルコネクタ12のリセプタクル側ハウジング16には、リセプタクルコネクタ12の開口18の奥側に配置されて、開口18に挿入されたプラグコネクタ11の端部14cと当接する内壁21aを有する受け部21が設けられる。受け部21には、幅方向X2における両側において、プラグコネクタ11の端部14cから作用する力を逃がす逃がし部21bが設けられる。逃がし部21bは、プラグコネクタ11の端部14cから作用する力の伝達を避けるようにプラグコネクタ11の端部14cとの当接を防ぐことで、プラグコネクタ11の端部14cから作用する力を逃がす。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグコネクタと、前記プラグコネクタが嵌合して接続するリセプタクルコネクタと、を備えた電気的接続装置であって、
前記リセプタクルコネクタは、複数のリセプタクル側コンタクトと、複数の前記リセプタクル側コンタクトを保持するリセプタクル側ハウジングと、を有し、前記プラグコネクタがクリアランスを介して挿入されて嵌合する開口が設けられ、
前記クリアランスは、前記プラグコネクタが前記リセプタクルコネクタに嵌合する方向である嵌合方向に垂直な方向であって複数の前記リセプタクル側コンタクトが並んで配置される方向である幅方向において設定されており、
前記リセプタクル側ハウジングには、前記開口の奥側に配置されて、前記開口に挿入された前記プラグコネクタの端部と当接する内壁を有する受け部が設けられ、
前記受け部には、前記幅方向における両側において、前記開口に挿入される前記プラグコネクタの端部から作用する力を逃がす逃がし部が設けられ、
前記逃がし部は、前記プラグコネクタの端部から作用する力の伝達を避けるように前記プラグコネクタの端部との当接を防ぐことで、又は、前記プラグコネクタの端部から作用する力を緩和することで、前記プラグコネクタの端部から作用する力を逃がすように構成されていることを特徴とする、電気的接続装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気的接続装置であって、
前記逃がし部は、
前記受け部における前記幅方向の両側において、前記開口の奥側に向かって凹む凹部として設けられ、
前記プラグコネクタの端部からの力の伝達を避けるように前記プラグコネクタの端部との当接を防ぐことで、前記プラグコネクタの端部からの力を逃がすように構成されていることを特徴とする、電気的接続装置。
【請求項3】
プラグコネクタと、前記プラグコネクタが嵌合して接続するリセプタクルコネクタと、を備えた電気的接続装置であって、
前記プラグコネクタは、複数のプラグ側コンタクトと、複数の前記プラグ側コンタクトを保持するプラグ側ハウジングと、を有し、前記リセプタクルコネクタに設けられた開口に対してクリアランスを介して挿入されて嵌合するように構成され、
前記クリアランスは、前記プラグコネクタが前記リセプタクルコネクタに嵌合する方向である嵌合方向に垂直な方向であって複数の前記プラグ側コンタクトが並んで配置される方向である幅方向において設定されており、
前記プラグ側ハウジングにおける前記開口に挿入される先端側の端部には、
前記リセプタクルコネクタにおける前記開口の奥側の内壁に対して当接する当接部と、
前記当接部に対して前記幅方向における両側に配置されて、前記開口に挿入される前記プラグコネクタに対して前記内壁から作用する力を逃がす逃がし部と、
が設けられ、
前記逃がし部は、前記リセプタクルコネクタの前記内壁から作用する力の伝達を避けるように前記リセプタクルコネクタの前記内壁との当接を防ぐことで、又は、前記リセプタクルコネクタの前記内壁から作用する力を緩和することで、前記リセプタクルコネクタの前記内壁から作用する力を逃がすように構成されていることを特徴とする、電気的接続装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電気的接続装置であって、
前記逃がし部は、
前記プラグ側ハウジングにおける前記開口に挿入される先端側の端部における前記幅方向の両側において、前記当接部に対して、前記プラグ側ハウジングが前記開口に挿入される先端側と反対側に向かって段状に凹むように設けられ、
前記リセプタクルコネクタの前記内壁から作用する力の伝達を避けるように前記リセプタクルコネクタの前記内壁との当接を防ぐことで、前記リセプタクルコネクタの前記内壁から作用する力を逃がすように構成されていることを特徴とする、電気的接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグコネクタと、プラグコネクタが嵌合して接続するリセプタクルコネクタと、を備えた電気的接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気信号或いは電力の伝送のために2つの機器を電気的に接続する際には、プラグコネクタと、プラグコネクタが嵌合して接続するリセプタクルコネクタと、を備えた電気的接続装置が用いられている。2つの機器のうちの一方にプラグコネクタが取り付けられ、2つの機器のうちの他方にリセプタクルコネクタが取り付けられ、プラグコネクタがリセプタクルコネクタに嵌合して接続されることで、2つの機器が電気的に接続される。
【0003】
2つの機器を電気的に接続する電気的接続装置のプラグコネクタ及びリセプタクルコネクタは、通常、複数のコンタクトをそれぞれ備えている。プラグコネクタ及びリセプタクルコネクタにおいては、プラグコネクタとリセプタクルコネクタとが嵌合する方向である嵌合方向に垂直な方向である幅方向に沿って、複数のコンタクトが並んで配置されている。このため、プラグコネクタ及びリセプタクルコネクタは、いずれも、幅方向に延びた形態で構成されている。そして、2つの機器を接続するための電気的接続装置においては、特定のプラグコネクタ及びリセプタクルコネクタによる嵌合しか許容しない構成となることを避け、不特定のプラグコネクタ及びリセプタクルコネクタの嵌合も可能にすることが求められる場合も多くある。このような電気的接続装置は、リセプタクルコネクタの開口に対して、幅方向において設定されたクリアランスを介して、プラグコネクタが挿入されて嵌合するように構成されている。このような電気的接続装置に関して、例えば、特許文献1に開示された構成が知られている。
【0004】
特許文献1に開示された構成においては、リセプタクルコネクタは、プラグコネクタが挿入される開口を形成する筒状のシェルと、シェルの内側に配置されて複数のコンタクトを保持するハウジングと、を備えている。ハウジングには、リセプタクルコネクタの開口に挿入されるプラグコネクタの端部と当接する内壁が設けられている。プラグコネクタの端部と当接するリセプタクルコネクタのハウジングの内壁は、ハウジングに保持される複数のコンタクトが並ぶ方向である幅方向に亘って平坦に広がるように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された構成においては、リセプタクルコネクタの開口に対して、幅方向において設定されたクリアランスを介して、プラグコネクタが挿入されて嵌合する際、プラグコネクタがリセプタクルコネクタの開口に対して斜めに傾いて挿入されて嵌合する場合がある。即ち、プラグコネクタとリセプタクルコネクタとが嵌合する方向である嵌合方向に対して、プラグコネクタのリセプタクルコネクタの開口への挿入方向が斜めに傾いた状態で、プラグコネクタがリセプタクルコネクタの開口に挿入される場合がある。
【0007】
上記のように、プラグコネクタが嵌合方向に対して斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタの開口に挿入されると、挿入されたプラグコネクタの先端側の端部は、リセプタクルコネクタの開口の奥側におけるハウジングの内壁に対して、斜めに傾いた状態で突き当たることになる。この場合、挿入されるプラグコネクタの先端側の端部における幅方向の一方側の縁部分が、リセプタクルコネクタの開口の奥側のハウジングの内壁における幅方向の一方側の端部付近の部分に対して、局所的に突き当たることになる。このように、リセプタクルコネクタの開口の奥側のハウジングの内壁の幅方向の一方側の端部付近に局所的な突き当りが生じると、リセプタクルコネクタには、幅方向における中央の位置を中心として回転させるようなねじれ方向の負荷が大きく生じることになる。
【0008】
一方、リセプタクルコネクタにおける複数のコンタクトは、リセプタクルコネクタが取り付けられている機器に対して電気的に接続されているだけではなく機械的にも固定されて接続されている。例えば、特許文献1に開示された構成では、リセプタクルコネクタにおける複数のコンタクトのそれぞれは、リセプタクルコネクタが取り付けられる機器の基板に対して半田付けによって、機械的に固定されて接続される。したがって、リセプタクルコネクタの開口の奥側のハウジングの内壁の幅方向の一方側の端部付近に局所的な突き当りが生じ、リセプタクルコネクタにねじれ方向の負荷が大きく生じると、機器に対して固定された複数のコンタクトの部分に大きな負荷が生じることになる。
【0009】
プラグコネクタの局所的な突き当りによってリセプタクルコネクタにねじれ方向の負荷が生じてコンタクトに大きな負荷が生じると、コンタクトと機器との固定部分に損傷が生じ、リセプタクルコネクタの機器への取り付け部分の破損を招く虞がある。例えば、リセプタクルコネクタのコンタクトが機器の基板に対して半田付けされている場合であれば、半田クラックが生じ、リセプタクルコネクタの基板への取付け部分の破損を招く虞がある。また、プラグコネクタの局所的な突き当りによってリセプタクルコネクタにねじれ方向の負荷が生じてコンタクトに大きな負荷が生じると、機器に固定されたコンタクトを保持するハウジングに損傷が生じ、リセプタクルコネクタの破損を招く虞もある。
【0010】
また、プラグコネクタが取り付けられた機器と、リセプタクルコネクタが取り付けられた機器とは、通常、接続される動作と接続が解除される動作とが繰り返し行われる。このため、プラグコネクタはリセプタクルコネクタの開口に対して繰り返し挿抜され、プラグコネクタとリセプタクルコネクタとは、嵌合動作と嵌合が解除される動作とが繰り返し行われることになる。したがって、プラグコネクタのリセプタクルコネクタへの嵌合動作が繰り返されると、プラグコネクタの局所的な突き当りによってリセプタクルコネクタにねじれ方向の負荷が生じてコンタクトに大きな負荷が生じることも繰り返されることになる。このため、繰り返し行われる嵌合動作により、コンタクトと機器との固定部分の損傷が蓄積し、リセプタクルコネクタの機器への取り付け部分の破損を招き易くなる虞がある。更に、繰り返し行われる嵌合動作により、機器に固定されたコンタクトを保持するハウジングの損傷が蓄積し、リセプタクルコネクタの破損を招き易くなる虞がある。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、リセプタクルコネクタの開口に対して、幅方向において設定されたクリアランスを介して、プラグコネクタが挿入されて嵌合する電気的接続装置に関し、リセプタクルコネクタの機器への取り付け部分の破損が生じることを抑制できるとともに、リセプタクルコネクタが破損することも抑制することができる、電気的接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面に係る電気的接続装置は、プラグコネクタと、前記プラグコネクタが嵌合して接続するリセプタクルコネクタと、を備えた電気的接続装置に関する。そして、本発明のある局面に係る電気的接続装置は、前記リセプタクルコネクタは、複数のリセプタクル側コンタクトと、複数の前記リセプタクル側コンタクトを保持するリセプタクル側ハウジングと、を有し、前記プラグコネクタがクリアランスを介して挿入されて嵌合する開口が設けられ、前記クリアランスは、前記プラグコネクタが前記リセプタクルコネクタに嵌合する方向である嵌合方向に垂直な方向であって複数の前記リセプタクル側コンタクトが並んで配置される方向である幅方向において設定されており、前記リセプタクル側ハウジングには、前記開口の奥側に配置されて、前記開口に挿入された前記プラグコネクタの端部と当接する内壁を有する受け部が設けられ、前記受け部には、前記幅方向における両側において、前記開口に挿入される前記プラグコネクタの端部から作用する力を逃がす逃がし部が設けられ、前記逃がし部は、前記プラグコネクタの端部から作用する力の伝達を避けるように前記プラグコネクタの端部との当接を防ぐことで、又は、前記プラグコネクタの端部から作用する力を緩和することで、前記プラグコネクタの端部から作用する力を逃がすように構成されている。
【0013】
この構成によると、リセプタクルコネクタの開口に挿入されたプラグコネクタの端部と当接する内壁を有するリセプタクル側ハウジングの受け部には、幅方向における両側において、プラグコネクタの端部から作用する力を逃がす逃がし部が設けられている。このため、プラグコネクタが嵌合方向に対して斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタの開口に挿入された場合、挿入されたプラグコネクタの先端側の端部における幅方向の縁部分は、リセプタクルコネクタの受け部の逃がし部へと向かうことになる。即ち、斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタの開口に挿入されたプラグコネクタの先端側の端部における幅方向の両側の縁部分のうちの開口の奥側に向かって傾いている縁部分は、リセプタクル側ハウジングの受け部に設けられた逃がし部へと向かうことになる。このため、斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタの開口に挿入されたプラグコネクタの先端側の端部の幅方向の縁部分が受け部の内壁に突き当たることが防止される。
【0014】
そして、逃がし部は、プラグコネクタの端部から作用する力の伝達を避けるようにプラグコネクタの端部との当接を防ぐことで、又は、プラグコネクタの端部から作用する力を緩和することで、プラグコネクタの端部から作用する力を逃がすように構成されている。このため、逃がし部へと向かったプラグコネクタの先端側の端部における幅方向の縁部分からリセプタクルコネクタの開口の奥側のリセプタクル側ハウジングに対しては、力が伝達されない状態又は力が緩和されて作用する状態となる。これにより、リセプタクルコネクタの開口の奥側のリセプタクル側ハウジングの幅方向の一方側の端部付近に対してプラグコネクタの端部からの局所的な突き当りが発生することが防止される。このため、リセプタクルコネクタにおいて、幅方向における中央の位置を中心として回転させるようなねじれ方向の負荷が生じることが抑制されることになる。そして、リセプタクルコネクタにねじれ方向の負荷が生じることが抑制されるため、リセプタクルコネクタが取り付けられた機器に対して固定されたリセプタクル側コンタクトの部分に負荷が生じることが抑制されることになる。これにより、リセプタクル側コンタクトと機器との固定部分に損傷が生じることが抑制され、リセプタクルコネクタの機器への取り付け部分の破損が生じることが抑制されることになる。また、機器に固定されたリセプタクル側コンタクトを保持するリセプタクル側ハウジングに損傷が生じることが抑制され、リセプタクルコネクタが破損することも抑制されることになる。
【0015】
よって、上記の構成によると、プラグコネクタが嵌合方向に対して斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタの開口に挿入された場合であっても、リセプタクルコネクタの機器への取り付け部分の破損が生じることを抑制でき、リセプタクルコネクタが破損することも抑制することができる。また、プラグコネクタのリセプタクルコネクタへの嵌合動作が繰り返される場合であっても、リセプタクル側コンタクトと機器との固定部分の損傷が蓄積することが抑制され、リセプタクルコネクタの機器への取り付け部分の破損を生じることが抑制される。そして、機器に固定されたリセプタクル側コンタクトを保持するリセプタクル側ハウジングの損傷が蓄積することも抑制され、リセプタクルコネクタが破損することも抑制される。
【0016】
したがって、上記の構成によると、リセプタクルコネクタの開口に対して、幅方向において設定されたクリアランスを介して、プラグコネクタが挿入されて嵌合する電気的接続装置に関し、リセプタクルコネクタの機器への取り付け部分の破損が生じることを抑制できるとともに、リセプタクルコネクタが破損することも抑制することができる。
【0017】
(2)前記逃がし部は、前記受け部における前記幅方向の両側において、前記開口の奥側に向かって凹む凹部として設けられ、前記プラグコネクタの端部からの力の伝達を避けるように前記プラグコネクタの端部との当接を防ぐことで、前記プラグコネクタの端部からの力を逃がすように構成されていてもよい。
【0018】
この構成によると、プラグコネクタの端部からの力の伝達を避けるようにプラグコネクタの端部との当接を防ぐことで、プラグコネクタの端部からの力を逃がす逃がし部の構造を、受け部における幅方向の両側で開口の奥側に向かって凹む凹部として形成した簡素な構造で構成することができる。
【0019】
(3)また、上記目的を達成するための本発明のある局面に係る電気的接続装置は、プラグコネクタと、前記プラグコネクタが嵌合して接続するリセプタクルコネクタと、を備えた電気的接続装置に関する。そして、本発明のある局面に係る電気的接続装置は、前記プラグコネクタは、複数のプラグ側コンタクトと、複数の前記プラグ側コンタクトを保持するプラグ側ハウジングと、を有し、前記リセプタクルコネクタに設けられた開口に対してクリアランスを介して挿入されて嵌合するように構成され、前記クリアランスは、前記プラグコネクタが前記リセプタクルコネクタに嵌合する方向である嵌合方向に垂直な方向であって複数の前記プラグ側コンタクトが並んで配置される方向である幅方向において設定されており、前記プラグ側ハウジングにおける前記開口に挿入される先端側の端部には、前記リセプタクルコネクタにおける前記開口の奥側の内壁に対して当接する当接部と、前記当接部に対して前記幅方向における両側に配置されて、前記開口に挿入される前記プラグコネクタに対して前記内壁から作用する力を逃がす逃がし部と、が設けられ、前記逃がし部は、前記リセプタクルコネクタの前記内壁から作用する力の伝達を避けるように前記リセプタクルコネクタの前記内壁との当接を防ぐことで、又は、前記リセプタクルコネクタの前記内壁から作用する力を緩和することで、前記リセプタクルコネクタの前記内壁から作用する力を逃がすように構成されている。
【0020】
この構成によると、リセプタクルコネクタの開口に挿入されるプラグ側ハウジングの先端側の端部には、リセプタクルコネクタの開口の奥側の内壁に当接する当接部と、当接部の幅方向における両側に配置されてリセプタクルコネクタの内壁から作用する力を逃がす逃がし部と、が設けられている。このため、プラグコネクタが嵌合方向に対して斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタの開口に挿入された場合、プラグコネクタのプラグ側ハウジングの先端側の端部における幅方向の両側に設けられた逃がし部の一方が、リセプタクルコネクタの開口の奥側の内壁へと向かうことになる。即ち、斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタの開口に挿入されたプラグ側ハウジングの先端側の端部における幅方向の両側の逃がし部のうちの開口の奥側に向かって傾いている逃がし部が、リセプタクルコネクタの開口の奥側の内壁へと向かうことになる。
【0021】
そして、逃がし部は、リセプタクルコネクタの内壁から作用する力の伝達を避けるようにリセプタクルコネクタの内壁との当接を防ぐことで、又は、リセプタクルコネクタの内壁から作用する力を緩和することで、リセプタクルコネクタの内壁から作用する力を逃がすように構成されている。このため、リセプタクルコネクタの内壁へと向かったプラグコネクタの先端側の端部における幅方向の両側の逃がし部のうちの一方に対して、リセプタクルコネクタの内壁からは、力が伝達されない状態又は力が緩和されて作用する状態となる。これにより、リセプタクルコネクタの開口の奥側の内壁の幅方向の一方側の端部付近に対してプラグコネクタの端部からの局所的な突き当りが発生することが防止される。このため、リセプタクルコネクタにおいて、幅方向における中央の位置を中心として回転させるようなねじれ方向の負荷が生じることが抑制されることになる。そして、リセプタクルコネクタにねじれ方向の負荷が生じることが抑制されるため、リセプタクルコネクタが取り付けられた機器に対して固定されたリセプタクル側コンタクトの部分に負荷が生じることが抑制されることになる。これにより、リセプタクル側コンタクトと機器との固定部分に損傷が生じることが抑制され、リセプタクルコネクタの機器への取り付け部分の破損が生じることが抑制されることになる。また、機器に固定されたリセプタクル側コンタクトを保持するリセプタクル側ハウジングに損傷が生じることが抑制され、リセプタクルコネクタが破損することも抑制されることになる。
【0022】
よって、上記の構成によると、プラグコネクタが嵌合方向に対して斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタの開口に挿入された場合であっても、リセプタクルコネクタの機器への取り付け部分の破損が生じることを抑制でき、リセプタクルコネクタが破損することも抑制することができる。また、プラグコネクタのリセプタクルコネクタへの嵌合動作が繰り返される場合であっても、リセプタクル側コンタクトと機器との固定部分の損傷が蓄積することが抑制され、リセプタクルコネクタの機器への取り付け部分の破損を生じることが抑制される。そして、機器に固定されたリセプタクル側コンタクトを保持するリセプタクル側ハウジングの損傷が蓄積することも抑制され、リセプタクルコネクタが破損することも抑制される。
【0023】
したがって、上記の構成によると、リセプタクルコネクタの開口に対して、幅方向において設定されたクリアランスを介して、プラグコネクタが挿入されて嵌合する電気的接続装置に関し、リセプタクルコネクタの機器への取り付け部分の破損が生じることを抑制できるとともに、リセプタクルコネクタが破損することも抑制することができる。
【0024】
(4)前記逃がし部は、前記プラグ側ハウジングにおける前記開口に挿入される先端側の端部における前記幅方向の両側において、前記当接部に対して、前記プラグ側ハウジングが前記開口に挿入される先端側と反対側に向かって段状に凹むように設けられ、前記リセプタクルコネクタの前記内壁から作用する力の伝達を避けるように前記リセプタクルコネクタの前記内壁との当接を防ぐことで、前記リセプタクルコネクタの前記内壁から作用する力を逃がすように構成されていてもよい。
【0025】
この構成によると、リセプタクルコネクタの内壁からの力の伝達を避けるようにリセプタクルコネクタの内壁との当接を防ぐことで、リセプタクルコネクタの内壁からの力を逃がす逃がし部の構造を、プラグ側ハウジングの先端側の端部における幅方向の両側で先端側と反対側に向かって段状に凹む部分として形成した簡素な構造で構成することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、リセプタクルコネクタの開口に対して、幅方向において設定されたクリアランスを介して、プラグコネクタが挿入されて嵌合する電気的接続装置に関し、リセプタクルコネクタの機器への取り付け部分の破損が生じることを抑制できるとともに、リセプタクルコネクタが破損することも抑制することができる、電気的接続装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電気的接続装置の斜視図であって、電気的接続装置のプラグコネクタとリセプタクルコネクタとが嵌合しておらず接続されていない状態を示す図である。
【
図2】プラグコネクタとリセプタクルコネクタとが嵌合して接続された状態の電気的接続装置を示す図であって、
図2(A)は、平面図であり、
図2(B)は、側面図である。
【
図3】電気的接続装置の断面図であって、
図3(A)は、
図2(A)のA-A線矢視位置での断面図であり、
図3(B)は、
図2(A)のB-B線矢視位置での断面図である。
【
図4】電気的接続装置の断面図であって、
図2(B)のC-C線矢視位置での断面図である。
【
図5】リセプタクルコネクタを示す図であって、
図5(A)は斜視図であり、
図5(B)は側面図である。
【
図6】リセプタクルコネクタの断面図であって、
図6(A)は
図5(B)のD-D線矢視位置での断面図であり、
図6(B)は
図5(B)のE-E線矢視位置での断面図である。
【
図7】リセプタクルコネクタを示す図であって、
図7(A)は、正面図であり、
図7(B)は、
図7(A)のF-F線矢視位置での断面図であり、
図7(C)は、
図7(A)のG-G線矢視位置での断面図である。
【
図8】電気的接続装置の断面図であって、プラグコネクタがリセプタクルコネクタに嵌合して接続される動作を説明するための図である。
【
図9】電気的接続装置の断面図であって、プラグコネクタがリセプタクルコネクタに嵌合して接続される動作を説明するための図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る電気的接続装置の断面図であって、プラグコネクタとリセプタクルコネクタとが嵌合して接続された状態を示す図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る電気的接続装置の断面図であって、電気的接続装置のプラグコネクタとリセプタクルコネクタとが嵌合しておらず接続されていない状態を示す図である。
【
図12】第3実施形態の電気的接続装置の断面図であって、プラグコネクタがリセプタクルコネクタに嵌合して接続される動作を説明するための図である。
【
図13】本発明の第4実施形態に係る電気的接続装置の斜視図であって、電気的接続装置のプラグコネクタとリセプタクルコネクタとが嵌合しておらず接続されていない状態を示す図である。
【
図14】第4実施形態の電気的接続装置の平面図であって、電気的接続装置のプラグコネクタとリセプタクルコネクタとが嵌合しておらず接続されていない状態を示す図である。
【
図15】第4実施形態の電気的接続装置の側面図であって、プラグコネクタとリセプタクルコネクタとが嵌合しておらず接続されていない状態を示す図である。
【
図16】第4実施形態の電気的接続装置の断面図であって、
図15のH-H線矢視位置での断面図である。
【
図17】第4実施形態の電気的接続装置の断面図であって、プラグコネクタとリセプタクルコネクタとが嵌合して接続された状態を示す図である。
【
図18】第4実施形態の電気的接続装置の断面図であって、プラグコネクタがリセプタクルコネクタに嵌合して接続される動作を説明するための図である。
【
図19】本発明の第5実施形態に係る電気的接続装置の平面図であって、電気的接続装置のプラグコネクタとリセプタクルコネクタとが嵌合しておらず接続されていない状態を示す図である。
【
図20】第5実施形態の電気的接続装置の断面図であって、電気的接続装置のプラグコネクタとリセプタクルコネクタとが嵌合しておらず接続されていない状態を示す図である。
【
図21】第5実施形態の電気的接続装置の断面図であって、プラグコネクタがリセプタクルコネクタに嵌合して接続される動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、プラグコネクタとプラグコネクタが嵌合して接続するリセプタクルコネクタとを備えた電気的接続装置として、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0029】
[第1実施形態]
(電気的接続装置の概略構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気的接続装置1の斜視図であって、電気的接続装置1のプラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とが嵌合しておらず接続されていない状態を示す図である。
図2は、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とが嵌合して接続された状態の電気的接続装置1を示す図であって、
図2(A)は、平面図であり、
図2(B)は、側面図である。
図3は、電気的接続装置1の断面図であって、
図3(A)は、
図2(A)のA-A線矢視位置での断面図であり、
図3(B)は、
図2(A)のB-B線矢視位置での断面図である。
図4は、電気的接続装置1の断面図であって、
図2(B)のC-C線矢視位置での断面図である。尚、
図3及び
図4では、電気的接続装置1におけるプラグコネクタ11の一部及びリセプタクルコネクタ12の断面を示している。また、
図3及び
図4では、プラグコネクタ11の断面については、全体的に斜線のハッチングを付すことで、詳細な形状の図示を省略した形態で模式的に示している。
【0030】
図1乃至
図4を参照して、電気的接続装置1は、プラグコネクタ11と、プラグコネクタ11が嵌合して接続するリセプタクルコネクタ12と、を備えて構成され、2つの機器(図示省略)を電気的に接続するために用いられる。プラグコネクタ11は、電気的に接続される2つの機器のうちの一方の機器に対して取り付けられ、例えば、一方の機器に備えられる基板(図示省略)に対して半田付けにより取り付けられて固定される。尚、プラグコネクタ11には、複数のプラグ側コンタクト13が設けられており、複数のプラグ側コンタクト13が、上記の一方の機器の基板に対して半田付けされることで、上記の一方の機器に対してプラグコネクタ11が取り付けられる。リセプタクルコネクタ12は、電気的に接続される2つの機器のうちの他方の機器に対して取り付けられ、例えば、他方の機器に備えられる基板(図示省略)に対して半田付けにより取り付けられて固定される。尚、リセプタクルコネクタ12には、複数のリセプタクル側コンタクト15とシェル17とが設けられており、複数のリセプタクル側コンタクト15とシェル17とが、上記の他方の機器の基板に対してそれぞれ半田付けされることで、上記の他方の機器に対してリセプタクルコネクタ32が取り付けられる。2つの機器のうちの一方の機器にプラグコネクタ11が取り付けられ、2つの機器のうちの他方の機器にリセプタクルコネクタ12が取り付けられた状態で、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とが接続されることで、2つの機器が電気的に接続される。
【0031】
図1乃至
図4を参照して、プラグコネクタ11は、複数のプラグ側コンタクト13と、プラグ側ハウジング14と、を備えて構成されている。複数のプラグ側コンタクト13は、導電性を有する金属材料で形成され、プラグ側ハウジング14にそれぞれ保持される。複数のプラグ側コンタクト13は、プラグ側ハウジング14において、長手方向が互いに平行に延びるとともに2列に並んだ状態で、保持される。プラグ側ハウジング14は、絶縁性を有する合成樹脂材料で形成され、複数のプラグ側コンタクト13を保持している。プラグコネクタ11は、リセプタクルコネクタ12に対して嵌合して接続するように構成されている。
【0032】
図1乃至
図4を参照して、リセプタクルコネクタ12は、複数のリセプタクル側コンタクト15と、リセプタクル側ハウジング16と、シェル17と、を備えて構成されている。複数のリセプタクル側コンタクト15は、導電性を有する金属材料で形成され、リセプタクル側ハウジング16にそれぞれ保持される。複数のリセプタクル側コンタクト15は、リセプタクル側ハウジング16において、長手方向が互いに平行に延びるとともに2列に並んだ状態で、保持される。リセプタクル側ハウジング16は、絶縁性を有する合成樹脂材料で形成され、複数のリセプタクル側コンタクト15を保持している。シェル17は、導電性を有する金属材料で形成され、リセプタクル側ハウジング16の外周を覆う筒状に設けられている。尚、リセプタクルコネクタ12には、プラグコネクタ11が嵌合する開口18が設けられている。プラグコネクタ11がリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入されて嵌合することで、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とが接続される。
【0033】
以下、電気的接続装置1のさらに詳細な構成について説明する。尚、以下の説明では、
図1乃至
図4及び後述の図面において両端矢印X1、両端矢印X2、及び両端矢印X3で示すように、電気的接続装置1における嵌合方向X1、幅方向X2、及び高さ方向X3を定義する。
【0034】
嵌合方向X1は、プラグコネクタ11がリセプタクルコネクタ12に嵌合する方向として構成される。即ち、嵌合方向X1は、プラグコネクタ11がリセプタクルコネクタ12に嵌合する際に、プラグコネクタ11がリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入される方向と平行な方向として構成される。
【0035】
幅方向X2は、嵌合方向X1に垂直な方向であって、嵌合した状態のプラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とにおいて複数のプラグ側コンタクト13と複数のリセプタクル側コンタクト15とがそれぞれ並んで配置される方向として構成される。このため、幅方向X2は、プラグコネクタ11においては、嵌合方向X1に垂直な方向であって複数のプラグ側コンタクト13がプラグ側ハウジング14において並んで配置される方向として構成される。そして、幅方向X2は、リセプタクルコネクタ12においては、嵌合方向X1に垂直な方向であって複数のリセプタクル側コンタクト15がリセプタクル側ハウジング16において並んで配置される方向として構成される。
【0036】
高さ方向X3は、嵌合方向X1及び幅方向X2の両方に垂直な方向として構成される。このため、高さ方向X3は、プラグコネクタ11においては、嵌合方向X1及び幅方向X2の両方に垂直な方向として構成される。そして、高さ方向X3は、リセプタクルコネクタ12においても、嵌合方向X1及び幅方向X2に垂直な方向として構成される。
【0037】
(プラグコネクタ)
図1乃至
図4を参照して、プラグコネクタ11は、複数のプラグ側コンタクト13と、複数のプラグ側コンタクト13を保持するプラグ側ハウジング14と、を備えて構成されている。複数のプラグ側コンタクト13のそれぞれは、例えば、長手方向を有する板バネ状に形成されており、長手方向が嵌合方向X1に沿って延びた状態で、プラグ側ハウジング14に保持されている。また、複数のプラグ側コンタクト13は、嵌合方向X1に沿って互いに平行に延びた状態で、且つ、幅方向X2に沿って並んだ状態で、プラグ側ハウジング14に保持されている。尚、本実施形態では、複数のプラグ側コンタクト13は、幅方向X2に沿って2列に並んで配置されている。
【0038】
各プラグ側コンタクト13は、長手方向における一方の端部側において、リセプタクルコネクタ12の各リセプタクル側コンタクト15に対して接触して電気的に接続されるように構成されている。また、各プラグ側コンタクト13は、長手方向における他方の端部側において、プラグコネクタ11が取り付けられる機器の基板に対して半田付けにより接続されるように構成されている。尚、各プラグ側コンタクト13における長手方向の一方の端部側の部分は、プラグ側ハウジング14の内側においてプラグ側ハウジング14の内部で露出するように配置されている。そして、各プラグ側コンタクト13における長手方向の一方の端部側の部分には、プラグコネクタ11がリセプタクルコネクタ12に嵌合した際に、リセプタクルコネクタ12の各リセプタクル側コンタクト15に対して接触するバネ接点部が設けられている。
【0039】
プラグ側ハウジング14は、複数のプラグ側コンタクト13を保持するとともに、リセプタクルコネクタ12の開口18に挿入されることでリセプタクルコネクタ12に嵌合するように構成されている。プラグ側ハウジング14には、嵌合方向X1に沿ってプラグ側ハウジング14の内部を貫通するコンタクト保持孔19が複数設けられている。プラグ側ハウジング14における複数のコンタクト保持孔19に対して複数のプラグ側コンタクト13がそれぞれ圧入されていることで、複数のプラグ側コンタクト13がプラグ側ハウジング14に保持されている。また、プラグ側ハウジング14における複数のコンタクト保持孔19は、幅方向X2に沿って2列に並んで設けられており、複数のコンタクト保持孔19に複数のプラグ側コンタクト13がそれぞれ圧入されて保持されていることで、プラグ側ハウジング14において、複数のプラグ側コンタクト13が幅方向X2に沿って2列に並んで配置されている。
【0040】
また、プラグ側ハウジング14には、嵌合方向X1における一方側の部分であって、リセプタクルコネクタ12の開口18に挿入される先端側の部分として、開口挿入部分14aが設けられている。開口挿入部分14aは、リセプタクルコネクタ12の開口18の内周形状に略対応した外周形状を有し、嵌合方向X1に沿って延びるように設けられている。尚、開口挿入部分14aの幅方向X2における寸法は、リセプタクルコネクタ12の開口18の内周の幅方向X2における寸法よりも小さく設定されている。このため、
図4を参照して、開口挿入部分14aは、リセプタクルコネクタ12の開口18に対して、幅方向X2において設定されたクリアランスC1を介して挿入されるように形成されている。
【0041】
また、
図3を参照して、プラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aには、開口挿入部分14aがリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入される先端側に向かって開口する挿入穴14bが設けられている。挿入穴14bは、開口挿入部分14aが開口18に挿入された際に、リセプタクルコネクタ12において開口18の内側に配置されたリセプタクル側ハウジング16における後述のコンタクト保持部20が挿入される穴として設けられている。尚、コンタクト保持部20は、リセプタクル側ハウジング16においてリセプタクル側コンタクト15を保持する部分として設けられている。挿入穴14bは、開口挿入部分14aの内側において、嵌合方向X1に沿って延びるとともに幅方向X2に沿って広がった穴として設けられている。開口挿入部分14aにおける挿入穴14bの内側では、プラグ側コンタクト13における長手方向の一方の端部側の部分が露出している。プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12との嵌合の際には、開口挿入部分14aが開口18に挿入され、開口18の内側において、リセプタクル側ハウジング16のコンタクト保持部20が開口挿入部分14aの挿入穴14bに対して挿入される状態となる。そして、開口挿入部分14aの挿入穴14bで露出した各プラグ側コンタクト13とリセプタクル側ハウジング16のコンタクト保持部20に保持された各リセプタクル側コンタクト15とが接触する。
【0042】
また、
図1、
図3及び
図4を参照して、開口挿入部分14aにおけるリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入される先端側の端部14cは、開口18に挿入された際に、開口18の奥側において、リセプタクル側ハウジング16の一部である後述の受け部21と当接するように設けられている。開口挿入部分14aが開口18に挿入された際に開口挿入部分14aの端部14cが開口18の奥側でリセプタクル側ハウジング16の受け部21と当接することで、リセプタクルコネクタ12に嵌合したプラグコネクタ11の嵌合方向X1におけるリセプタクルコネクタ12に対する位置決めがなされることになる。
【0043】
(リセプタクルコネクタ)
図5は、リセプタクルコネクタ12を示す図であって、
図5(A)は斜視図であり、
図5(B)は側面図である。
図6は、リセプタクルコネクタ12の断面図であって、
図6(A)は
図5(B)のD-D線矢視位置での断面図であり、
図6(B)は
図5(B)のE-E線矢視位置での断面図である。
図7は、リセプタクルコネクタ12を示す図であって、
図7(A)は、正面図であり、
図7(B)は、
図7(A)のF-F線矢視位置での断面図であり、
図7(C)は、
図7(A)のG-G線矢視位置での断面図である。
【0044】
図1乃至
図7を参照して、リセプタクルコネクタ12は、複数のリセプタクル側コンタクト15と、リセプタクル側ハウジング16と、シェル17と、を備えて構成されている。複数のリセプタクル側コンタクト15は、リセプタクル側ハウジング16に保持されており、リセプタクル側ハウジング16は、シェル17の内側に配置されてシェル17に固定されている。シェル17は、金属製であり、リセプタクルハウジング16の外周を覆う筒状に設けられており、外部に対する保護機能と電磁波を遮蔽するシールド機能とを発揮するために設けられている。
【0045】
リセプタクルコネクタ12は、プラグコネクタ11が嵌合することでプラグコネクタ11と接続されるように構成されており、プラグコネクタ11がクリアランスC1を介して挿入されて嵌合する開口18が設けられている。リセプタクルコネクタ12の開口18は、リセプタクル側ハウジング16を覆う筒状に設けられたシェル17の開口として形成されており、リセプタクルコネクタ12の嵌合方向X1における一方側で開口した筒状のシェル17の開口として形成されている。
【0046】
プラグコネクタ11がリセプタクルコネクタ12の開口18に嵌合する際には、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aが、開口18に挿入される。
図4を参照して、プラグコネクタ11の開口挿入部分14aは、リセプタクルコネクタ12の開口18に対して、クリアランスC1を介して挿入される。クリアランスC1は、リセプタクルコネクタ12の開口18にプラグコネクタ11の開口挿入部分14aが挿入された状態における開口18の内周と開口挿入部分14aの外周との間の隙間として構成される。そして、クリアランスC1は、幅方向X2において設定されている。
【0047】
リセプタクルコネクタ12における複数のリセプタクル側コンタクト15のそれぞれは、例えば、細長く延びる板状に形成されており、長手方向を有し、長手方向が嵌合方向X1に沿って延びた状態で、リセプタクル側ハウジング16に保持されている。また、複数のリセプタクル側コンタクト15は、嵌合方向X1に沿って互いに平行に延びた状態で、且つ、幅方向X2に沿って並んだ状態で、リセプタクル側ハウジング16に保持されている。尚、本実施形態では、複数のリセプタクル側コンタクト15は、幅方向X2に沿って2列に並んで配置されている。
【0048】
図3を参照して、複数のリセプタクル側コンタクト15のそれぞれには、接点部15aと基板接続部15bとが設けられている。接点部15aは、リセプタクル側コンタクト15において、長手方向における一方の端部側の部分として設けられ、プラグコネクタ11の各プラグ側コンタクト13に対して電気的に接続される部分として構成されている。本実施形態では、接点部15aは、嵌合方向X1に沿って細長く板状に延びる接点部として設けられている。基板接続部15bは、リセプタクル側コンタクト15において、長手方向における他方の端部として設けられ、リセプタクルコネクタ12が取り付けられる機器の基板に対して接続される部分として構成されている。基板接続部15bは、リセプタクルコネクタ12が取り付けられる機器の基板に対して、半田付けによって接続される。
【0049】
図1、
図3乃至
図7を参照して、リセプタクル側ハウジング16は、シェル17の内側に配置されて、シェル17に対して固定されている。リセプタクル側ハウジング16は、シェル17の内側において、複数のリセプタクル側コンタクト15を保持するように構成されている。また、リセプタクル側ハウジング16は、リセプタクルコネクタ12の開口18の奥側において、開口18から挿入されるプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cと当接し、リセプタクルコネクタ12に嵌合したプラグコネクタ11の嵌合方向X1における位置決めをするように構成されている。
【0050】
図1、
図3乃至
図7を参照して、リセプタクル側ハウジング16には、コンタクト保持部20と受け部21とが設けられている。コンタクト保持部20は、複数のリセプタクル側コンタクト15を保持する部分として設けられている。コンタクト保持部20は、シェル17の内側において、後述の受け部21から片持ち状に突出して延びるように設けられており、嵌合方向X1に沿って板状に延びるように形成されている。また、コンタクト保持部20は、シェル17の内側で、開口18の奥側に配置された後述の受け部21から開口18の入口側に向かって嵌合方向X1に沿って板状に延びるように設けられている。プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12との嵌合の際には、プラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aが開口18に挿入され、開口18の内側において、リセプタクル側ハウジング16のコンタクト保持部20が開口挿入部分14aの挿入穴14bに対して挿入される状態となる。
【0051】
また、
図3を参照して、コンタクト保持部20には、複数のコンタクト保持孔20aとコンタクト保持溝20bとが設けられている。コンタクト保持孔20aとコンタクト保持溝20bとは、嵌合方向X1に沿って直列に並ぶとともに、連通して設けられている。コンタクト保持溝20bに連通するコンタクト保持孔20aに対して、リセプタクル側コンタクト15が圧入されていることで、リセプタクル側コンタクト15がコンタクト保持部20に保持されている。また、コンタクト保持部20における複数のコンタクト保持孔20aは、幅方向X2に沿って2列に並んで設けられており、複数のコンタクト保持孔20aに複数のリセプタクル側コンタクト15がそれぞれ圧入されていることで、コンタクト保持部20において、複数のリセプタクル側コンタクト15が幅方向X2に沿って2列に並んで配置されている。
【0052】
コンタクト保持孔20aに連通するコンタクト保持溝20bは、コンタクト保持孔20aに圧入されたリセプタクル側コンタクト15の接点部15aが配置されるように構成されている。そして、コンタクト保持溝20bは、コンタクト保持部20において高さ方向X3に開口している。このため、コンタクト保持部20に保持されたリセプタクル側コンタクト15におけるコンタクト保持溝20bに配置された部分である接点部15aは、シェル17の内側で露出するように配置されている。プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12との嵌合の際には、プラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aが開口18に挿入され、コンタクト保持部20が開口挿入部分14aの挿入穴14bに挿入される状態となる。そして、この状態では、コンタクト保持部20において露出したリセプタクル側コンタクト15が、開口挿入部分14aの挿入穴14bで露出した各プラグ側コンタクト13に対して接触する。
【0053】
図3、
図4、
図6、及び
図7を参照して、リセプタクル側ハウジング16の受け部21は、リセプタクルコネクタ12の開口18の奥側に配置され、シェル17に対して固定されている。そして、受け部21は、開口18に挿入されるプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cと当接する内壁21aを有し、プラグコネクタ11の端部14cを受ける部分として設けられている。受け部21の内壁21aは、開口18の奥側において嵌合方向X1に対して垂直な面に沿って延びる壁面を有している。そして、内壁21aは、受け部21から突出するコンタクト保持部20に対して高さ方向X3における両側にそれぞれ設けられている。更に、内壁21aは、受け部21において、幅方向X2における中央部分の壁部として設けられている。
【0054】
プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12との嵌合の際には、プラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aが開口18に挿入される。そして、開口18に挿入されたプラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aの端部14cは、開口18の奥側において、受け部21の内壁21aと当接する。開口挿入部分14aの端部14cと受け部21の内壁21aとが当接することで、リセプタクルコネクタ12に嵌合したプラグコネクタ11の嵌合方向X1におけるリセプタクルコネクタ12に対する位置決めがなされることになる。
【0055】
図3、
図4、
図6、及び
図7を参照して、受け部21には、幅方向X2における両側において、リセプタクルコネクタ12の開口18に挿入されるプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力を逃がす逃がし部21bが設けられている。逃がし部21bは、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力の伝達を避けるようにプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cとの当接を防ぐことで、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力を逃がすように構成されている。
【0056】
また、逃がし部21bは、受け部21における幅方向X2の両側において、リセプタクルコネクタ12の開口18の奥側に向かって凹む凹部として設けられている。また、逃がし部21bは、受け部21において、内壁21aに対して幅方向X2における両側にそれぞれ設けられている。更に、本実施形態では、内壁21aに対して幅方向X2における両側のそれぞれに設けられた逃がし部21bは、内壁21aから開口18の奥側に向かって段状に凹むように形成されている。このため、
図4に示すように、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とが嵌合し、開口18に挿入されたプラグ側ハウジング14の端部14cがリセプタクル側ハウジング16の受け部21の内壁21aと当接した状態では、プラグ側ハウジング14の端部14cと受け部21の逃がし部21bとの間には、隙間が形成されることになる。
【0057】
(プラグコネクタとリセプタクルコネクタとの嵌合接続)
次に、上述した電気的接続装置1のプラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とが嵌合して接続される動作について説明する。プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12との接続は、電気的に接続される2つの機器(図示省略)のうちの一方に対してプラグコネクタ11が取り付けられ、2つの機器のうちの他方に対してリセプタクルコネクタ12が取り付けられた状態で行われる。
【0058】
図8は、電気的接続装置1の断面図であって、プラグコネクタ11がリセプタクルコネクタ12に嵌合して接続される動作を説明するための図である。尚、
図8は、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とが嵌合して接続される前の状態において、
図2(B)のC-C線矢視位置に対応する位置での断面図を示している。また、
図8では、プラグコネクタ11の断面については、全体的に斜線のハッチングを付すことで、詳細な形状の図示を省略した形態で模式的に示している。プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12との嵌合接続の際には、
図8において矢印Tで示すように、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aが、リセプタクルコネクタ12の開口18に対して挿入される。
【0059】
プラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aが、リセプタクルコネクタ12の開口18に挿入されると、開口挿入部分14aの挿入穴14bにリセプタクル側ハウジング16のコンタクト保持部20が挿入される。そして、コンタクト保持部20に保持された複数のリセプタクル側コンタクト15と、プラグ側ハウジング14に保持された複数のプラグ側コンタクト13とがそれぞれ接触し、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とが電気的に接続される。また、開口18に挿入されたプラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aの端部14cが、開口18の奥側において、リセプタクル側ハウジング16の受け部21の内壁21aと当接する。開口挿入部分14aの端部14cと受け部21の内壁21aとが当接することで、プラグコネクタ11がリセプタクルコネクタ12に対して嵌合方向X1において位置決めされ、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12との嵌合接続が完了することになる。
【0060】
プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12との嵌合接続の際、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14が、リセプタクルコネクタ12の開口18に対して、嵌合方向X1と平行に挿入されると、プラグコネクタ11は、開口18に対して斜めに傾くことなく挿入され、リセプタクルコネクタ12に嵌合して接続される。そして、
図4に示すように、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cが、リセプタクルコネクタ12のリセプタクル側ハウジング16の受け部21の内壁21aに対して、内壁21aにおける幅方向X2の全長に亘って当接した状態で、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とが嵌合した状態となる。
【0061】
一方、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12との嵌合接続の際、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14が、リセプタクルコネクタ12の開口18に対して、斜めに傾いた状態で挿入される場合がある。即ち、嵌合方向X1に対して、プラグコネクタ11のリセプタクルコネクタ12の開口18への挿入方向が斜めに傾いた状態で、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14がリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入される場合がある。
【0062】
図9は、電気的接続装置1の断面図であって、プラグコネクタ11がリセプタクルコネクタ12に嵌合して接続される動作を説明するための図である。また、
図9は、プラグコネクタ11がリセプタクルコネクタ12の開口18に対して斜めに傾いた状態で挿入される場合について説明するための図である。尚、
図9は、プラグコネクタ11がリセプタクルコネクタ12の開口18に対して斜めに挿入されて嵌合する状態において、
図2(B)のC-C線矢視位置に対応する位置での断面図を示している。また、
図9では、プラグコネクタ11の断面については、全体的に斜線のハッチングを付すことで、詳細な形状の図示を省略した形態で模式的に示している。
【0063】
プラグコネクタ11がリセプタクルコネクタ12の開口18に対して斜めに傾いた状態で挿入される場合は、
図9に示すように、プラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aは、開口18に対し、嵌合方向X1に対して斜めに傾いた状態で、挿入される。このとき、プラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aの先端側の端部14cにおける幅方向X2の縁部分14dは、リセプタクル側ハウジング16の受け部21に設けられた逃がし部21bへと向かうことになる。即ち、斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入されたプラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aの先端側の端部14cにおける幅方向X2の両側の縁部分14dのうちの開口18の奥側に向かって傾いている縁部分14dは、リセプタクル側ハウジング16の受け部21に設けられた逃がし部21bへと向かうことになる。
【0064】
開口18に対して斜めに傾いて挿入された開口挿入部分14aの先端側の端部14cにおける幅方向X2の縁部分14dが向かう逃がし部21bは、受け部21において、内壁21aに対して、開口18の奥側に向かって凹むように設けられている。このため、開口挿入部分14aの先端側の端部14cにおける幅方向X2の縁部分14dは、逃がし部21bとは当接しない状態となる。即ち、逃がし部21bでは、プラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力の伝達を避けるようにプラグ側ハウジング14の端部14cとの当接が防止され、プラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力が逃がされることになる。そして、プラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aの先端側の端部14cは、幅方向X2における中央側の部分において、リセプタクル側ハウジング16の受け部21の内壁21aに当接することになる。これにより、斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入されたプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の先端側の端部14cの幅方向の縁部分14dがリセプタクルコネクタ12の受け部21の内壁21aに突き当たることが防止される。
【0065】
プラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aの端部14cが、幅方向X2における中央側の部分において、受け部21の内壁21aに当接すると、開口挿入部分14aは、その端部14cが内壁21aに沿うように、揺動する。これにより、開口18に対して斜めに傾いて挿入された開口挿入部分14aの傾きが修正される。そして、
図4に示すように、プラグ側ハウジング14の端部14cが、受け部21の内壁21aに対して、内壁21aにおける幅方向X2の全長に亘って当接した状態で、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とが嵌合した状態となる。即ち、開口18に対して斜めに傾いて挿入されたプラグコネクタ11の傾きが修正され、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とが嵌合方向X1と平行に嵌合した状態となる。
【0066】
(本実施形態の作用及び効果)
本実施形態によると、リセプタクルコネクタ12の開口18に挿入されたプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cと当接する内壁21aを有するリセプタクル側ハウジング16の受け部21には、幅方向X2における両側において、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力を逃がす逃がし部21bが設けられている。このため、プラグコネクタ11が嵌合方向X1に対して斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入された場合、挿入されたプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の先端側の端部14cにおける幅方向X2の縁部分14dは、リセプタクルコネクタ12の受け部21の逃がし部21bへと向かうことになる。即ち、斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入されたプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の先端側の端部14cにおける幅方向X2の両側の縁部分14dのうちの開口18の奥側に向かって傾いている縁部分14dは、リセプタクル側ハウジング16の受け部21に設けられた逃がし部21bへと向かうことになる。このため、斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入されたプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の先端側の端部14cの幅方向X2の縁部分14dが受け部21の内壁21aに突き当たることが防止される。
【0067】
そして、逃がし部21bは、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力の伝達を避けるようにプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cとの当接を防ぐことで、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力を逃がすように構成されている。このため、逃がし部21bへと向かったプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の先端側の端部14cにおける幅方向X2の縁部分14dからリセプタクルコネクタ12の開口18の奥側のリセプタクル側ハウジング16に対しては、力が伝達されない状態となる。これにより、リセプタクルコネクタ12の開口18の奥側のリセプタクル側ハウジング16の幅方向X2の一方側の端部付近に対してプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cからの局所的な突き当りが発生することが防止される。このため、リセプタクルコネクタ12において、幅方向X2における中央の位置を中心として回転させるようなねじれ方向の負荷が生じることが抑制されることになる。そして、リセプタクルコネクタ12にねじれ方向の負荷が生じることが抑制されるため、リセプタクルコネクタ12が取り付けられた機器に対して固定されたリセプタクル側コンタクト15の部分に負荷が生じることが抑制されることになる。これにより、リセプタクル側コンタクト15と機器との固定部分に損傷が生じることが抑制され、リセプタクルコネクタ12の機器への取り付け部分の破損が生じることが抑制されることになる。また、機器に固定されたリセプタクル側コンタクト15を保持するリセプタクル側ハウジング16に損傷が生じることが抑制され、リセプタクルコネクタ12が破損することも抑制されることになる。
【0068】
よって、本実施形態によると、プラグコネクタ11が嵌合方向X1に対して斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入された場合であっても、リセプタクルコネクタ12の機器への取り付け部分の破損が生じることを抑制でき、リセプタクルコネクタ12が破損することも抑制することができる。また、プラグコネクタ11のリセプタクルコネクタ12への嵌合動作が繰り返される場合であっても、リセプタクル側コンタクト15と機器との固定部分の損傷が蓄積することが抑制され、リセプタクルコネクタ12の機器への取り付け部分の破損を生じることが抑制される。そして、機器に固定されたリセプタクル側コンタクト15を保持するリセプタクル側ハウジング16の損傷が蓄積することも抑制され、リセプタクルコネクタ12が破損することも抑制される。
【0069】
したがって、本実施形態によると、リセプタクルコネクタ12の開口18に対して、幅方向X2において設定されたクリアランスC1を介して、プラグコネクタ11が挿入されて嵌合する電気的接続装置1に関し、リセプタクルコネクタ12の機器への取り付け部分の破損が生じることを抑制できるとともに、リセプタクルコネクタ12が破損することも抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態によると、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cからの力の伝達を避けるようにプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cとの当接を防ぐことで、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cからの力を逃がす逃がし部21bの構造を、受け部21における幅方向X2の両側で開口18の奥側に向かって凹む凹部として形成した簡素な構造で構成することができる。
【0071】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係る電気的接続装置2の断面図であって、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とが嵌合して接続された状態を示す図である。尚、
図10では、電気的接続装置2におけるプラグコネクタ11の一部及びリセプタクルコネクタ12の断面を示している。また、
図10では、プラグコネクタ11の断面については、全体的に斜線のハッチングを付すことで、詳細な形状の図示を省略した形態で模式的に示している。第2実施形態の電気的接続装置2は、一部の構成を除いて、第1実施形態の電気的接続装置1と同様に構成されている。尚、以下の第2実施形態の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0072】
第2実施形態の電気的接続装置2は、第1実施形態の電気的接続装置1と同様に、プラグコネクタ11とプラグコネクタ11が嵌合して接続するリセプタクルコネクタ12とを備えた電気的接続装置として構成されている。プラグコネクタ11は、複数のプラグ側コンタクト13と、プラグ側ハウジング14と、を備えて構成されている。リセプタクルコネクタ12は、複数のリセプタクル側コンタクト15と、リセプタクル側ハウジング16と、シェル17と、を備えて構成されている。リセプタクルコネクタ12には、プラグコネクタ11がクリアランスC1を介して挿入されて嵌合する開口18が設けられている。また、リセプタクルコネクタ12のリセプタクル側ハウジング16には、開口18の奥側に配置され、開口18に挿入されたプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cと当接する内壁21aを有する受け部21が設けられている。ただし、電気的接続装置2は、リセプタクルコネクタ12の受け部21に設けられる逃がし部22の構成において、第1実施形態の電気的接続装置1と異なっている。
【0073】
図10に示すように、電気的接続装置2のリセプタクルコネクタ12のリセプタクル側ハウジング16の受け部21には、幅方向X2における両側において、開口18に挿入されるプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力を逃がす逃がし部22が設けられている。逃がし部22は、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力の伝達を避けるようにプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cとの当接を防ぐことで、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力を逃がすように構成されている。
【0074】
また、逃がし部22は、受け部21における幅方向X2の両側において、受け部21を嵌合方向X1に沿って貫通する貫通孔として設けられている。また、逃がし部22は、受け部21において、内壁21aに対して幅方向X2における両側にそれぞれ設けられている。また、逃がし部22は、内壁21aに対して幅方向X2における両側において、コンタクト保持部20に対して高さ方向X3における両側にそれぞれ設けられている。
【0075】
上述した第2実施形態の電気的接続装置2によると、リセプタクルコネクタ12の受け部21に設けられて、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力を逃がす逃がし部22は、受け部21において幅方向X2の両側に形成された貫通孔として設けられる。プラグコネクタ11が嵌合方向X1に対して斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入された場合、挿入されたプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の先端側の端部14cにおける幅方向X2の縁部分14dは、受け部21に設けられた逃がし部22へと向かうことになる。逃がし部22は、貫通孔として設けられているため、逃がし部22へと向かったプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の先端側の端部14cにおける幅方向X2の縁部分14dからリセプタクルコネクタ12の開口18の奥側のリセプタクル側ハウジング16に対しては、力が伝達されない状態となる。これにより、リセプタクルコネクタ12の開口18の奥側のリセプタクル側ハウジング16の幅方向X2の一方側の端部付近に対してプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cからの局所的な突き当りが発生することが防止される。このため、リセプタクルコネクタ12において、幅方向X2における中央の位置を中心として回転させるようなねじれ方向の負荷が生じることが抑制されることになる。そして、リセプタクルコネクタ12にねじれ方向の負荷が生じることが抑制されるため、リセプタクルコネクタ12が取り付けられた機器に対して固定されたリセプタクル側コンタクト15の部分に負荷が生じることが抑制されることになる。これにより、リセプタクル側コンタクト15と機器との固定部分に損傷が生じることが抑制され、リセプタクルコネクタ12の機器への取り付け部分の破損が生じることが抑制されることになる。また、機器に固定されたリセプタクル側コンタクト15を保持するリセプタクル側ハウジング16に損傷が生じることが抑制され、リセプタクルコネクタ12が破損することも抑制されることになる。
【0076】
したがって、第2実施形態によると、リセプタクルコネクタ12の開口18に対して、幅方向X2において設定されたクリアランスC1を介して、プラグコネクタ11が挿入されて嵌合する電気的接続装置2に関し、リセプタクルコネクタ12の機器への取り付け部分の破損が生じることを抑制できるとともに、リセプタクルコネクタ12が破損することも抑制することができる。
【0077】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図11は、本発明の第3実施形態に係る電気的接続装置3の断面図であって、電気的接続装置3のプラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とが嵌合しておらず接続されていない状態を示す図である。尚、
図11では、電気的接続装置3におけるプラグコネクタ11の一部及びリセプタクルコネクタ12の断面を示している。また、
図11では、プラグコネクタ11の断面については、全体的に斜線のハッチングを付すことで、詳細な形状の図示を省略した形態で模式的に示している。第3実施形態の電気的接続装置3は、一部の構成を除いて、第1実施形態の電気的接続装置1と同様に構成されている。尚、以下の第3実施形態の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0078】
第3実施形態の電気的接続装置3は、第1実施形態の電気的接続装置1と同様に、プラグコネクタ11とプラグコネクタ11が嵌合して接続するリセプタクルコネクタ12とを備えた電気的接続装置として構成されている。プラグコネクタ11は、複数のプラグ側コンタクト13と、プラグ側ハウジング14と、を備えて構成されている。リセプタクルコネクタ12は、複数のリセプタクル側コンタクト15と、リセプタクル側ハウジング16と、シェル17と、を備えて構成されている。リセプタクルコネクタ12には、プラグコネクタ11がクリアランスC1を介して挿入されて嵌合する開口18が設けられている。また、リセプタクルコネクタ12のリセプタクル側ハウジング16には、開口18の奥側に配置され、開口18に挿入されたプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cと当接する内壁21aを有する受け部21が設けられている。ただし、電気的接続装置3は、リセプタクルコネクタ12の受け部21に設けられる逃がし部23の構成において、第1実施形態の電気的接続装置1と異なっている。
【0079】
図11に示すように、電気的接続装置3のリセプタクルコネクタ12のリセプタクル側ハウジング16の受け部21には、幅方向X2における両側において、開口18に挿入されるプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力を逃がす逃がし部23が設けられている。逃がし部23は、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力を緩和することで、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力を逃がすように構成されている。
【0080】
逃がし部23は、受け部21における幅方向X2の両側に設けられており、内壁21aに対して幅方向X2における両側にそれぞれ設けられている。逃がし部23は、リセプタクル側ハウジング16において、リセプタクル側ハウジング16における逃がし部23以外の部分とは異なる材料で構成されており、リセプタクル側ハウジング16における逃がし部23以外の部分よりも弾性変形し易い材料で構成された弾性部材として設けられている。リセプタクル側ハウジング16における逃がし部23以外の部分は、合成樹脂材料で構成されている。一方、逃がし部23は、エラストマー材料で構成されており、例えば、ゴム材料で構成されている。ゴム材料で構成された逃がし部23は、受け部21において、内壁21aに対する幅方向X2における両側で、受け部21に一体的に固定されて設けられている。
【0081】
図12は、電気的接続装置3の断面図であって、プラグコネクタ11がリセプタクルコネクタ12に嵌合して接続される動作を説明するための図である。また、
図12は、プラグコネクタ11がリセプタクルコネクタ12の開口18に対して斜めに傾いた状態で挿入される場合について説明するための図である。尚、
図12では、電気的接続装置3におけるプラグコネクタ11の一部及びリセプタクルコネクタ12の断面を示している。また、
図12では、プラグコネクタ11の断面については、全体的に斜線のハッチングを付すことで、詳細な形状の図示を省略した形態で模式的に示している。
【0082】
プラグコネクタ11がリセプタクルコネクタ12の開口18に対して斜めに傾いた状態で挿入される場合は、
図12に示すように、プラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aは、開口18に対し、嵌合方向X1に対して斜めに傾いた状態で、挿入される。このとき、プラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aの先端側の端部14cにおける幅方向X2の縁部分14dは、リセプタクル側ハウジング16の受け部21に設けられた逃がし部23へと向かうことになる。即ち、斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入されたプラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aの先端側の端部14cにおける幅方向X2の両側の縁部分14dのうちの開口18の奥側に向かって傾いている縁部分14dは、リセプタクル側ハウジング16の受け部21に設けられた逃がし部23へと向かうことになる。
【0083】
開口18に対して斜めに傾いて挿入された開口挿入部分14aの先端側の端部14cにおける幅方向X2の縁部分14dが向かう逃がし部23は、合成樹脂材料で構成されたリセプタクル側ハウジング16の逃がし部23以外の部分とは異なり、容易に弾性変形するゴム材料等のエラストマー材料で構成されている。このため、開口挿入部分14aの先端側の端部14cにおける幅方向X2の縁部分14dが逃がし部23に当接すると、逃がし部23が弾性変形することで、縁部分14dから逃がし部23へと作用する衝撃が吸収され、縁部分14dから受け部21へと作用する力が緩和されることになる。即ち、逃がし部23では、プラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力が緩和され、プラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力が逃がされることになる。そして、プラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aの先端側の端部14cは、幅方向X2における中央側の部分において、リセプタクル側ハウジング16の受け部21の内壁21aに当接することになる。これにより、斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入されたプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の先端側の端部14cの幅方向の縁部分14dがリセプタクルコネクタ12の受け部21の内壁21aに突き当たることが防止される。
【0084】
プラグ側ハウジング14の開口挿入部分14aの端部14cが、幅方向X2における中央側の部分において、受け部21の内壁21aに当接すると、開口挿入部分14aは、その端部14cが内壁21aに沿うように、揺動する。これにより、開口18に対して斜めに傾いて挿入された開口挿入部分14aの傾きが修正される。そして、プラグ側ハウジング14の端部14cが、受け部21の内壁21aに対して、内壁21aにおける幅方向X2の全長に亘って当接した状態で、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とが嵌合した状態となる。即ち、開口18に対して斜めに傾いて挿入されたプラグコネクタ11の傾きが修正され、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ12とが嵌合方向X1と平行に嵌合した状態となる。
【0085】
上述した第3実施形態の電気的接続装置3によると、リセプタクルコネクタ12の開口18に挿入されたプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cと当接する内壁21aを有するリセプタクル側ハウジング16の受け部21には、幅方向X2における両側において、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力を逃がす逃がし部23が設けられている。このため、プラグコネクタ11が嵌合方向X1に対して斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入された場合、挿入されたプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の先端側の端部14cにおける幅方向X2の縁部分14dは、リセプタクルコネクタ12の受け部21の逃がし部23へと向かうことになる。即ち、斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入されたプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の先端側の端部14cにおける幅方向X2の両側の縁部分14dのうちの開口18の奥側に向かって傾いている縁部分14dは、リセプタクル側ハウジング16の受け部21に設けられた逃がし部23へと向かうことになる。このため、斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入されたプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の先端側の端部14cの幅方向X2の縁部分14dが受け部21の内壁21aに突き当たることが防止される。
【0086】
そして、逃がし部23は、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力を緩和することで、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cから作用する力を逃がすように構成されている。このため、逃がし部23へと向かったプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の先端側の端部14cにおける幅方向X2の縁部分14dからリセプタクルコネクタ12の開口18の奥側のリセプタクル側ハウジング16に対しては、力が緩和されて作用する状態となる。これにより、リセプタクルコネクタ12の開口18の奥側のリセプタクル側ハウジング16の幅方向X2の一方側の端部付近に対してプラグコネクタ11のプラグ側ハウジング14の端部14cからの局所的な突き当りが発生することが防止される。このため、リセプタクルコネクタ12において、幅方向X2における中央の位置を中心として回転させるようなねじれ方向の負荷が生じることが抑制されることになる。そして、リセプタクルコネクタ12にねじれ方向の負荷が生じることが抑制されるため、リセプタクルコネクタ12が取り付けられた機器に対して固定されたリセプタクル側コンタクト15の部分に負荷が生じることが抑制されることになる。これにより、リセプタクル側コンタクト15と機器との固定部分に損傷が生じることが抑制され、リセプタクルコネクタ12の機器への取り付け部分の破損が生じることが抑制されることになる。また、機器に固定されたリセプタクル側コンタクト15を保持するリセプタクル側ハウジング16に損傷が生じることが抑制され、リセプタクルコネクタ12が破損することも抑制されることになる。
【0087】
よって、第3実施形態によると、プラグコネクタ11が嵌合方向X1に対して斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ12の開口18に挿入された場合であっても、リセプタクルコネクタ12の機器への取り付け部分の破損が生じることを抑制でき、リセプタクルコネクタ12が破損することも抑制することができる。また、プラグコネクタ11のリセプタクルコネクタ12への嵌合動作が繰り返される場合であっても、リセプタクル側コンタクト15と機器との固定部分の損傷が蓄積することが抑制され、リセプタクルコネクタ12の機器への取り付け部分の破損を生じることが抑制される。そして、機器に固定されたリセプタクル側コンタクト15を保持するリセプタクル側ハウジング16の損傷が蓄積することも抑制され、リセプタクルコネクタ12が破損することも抑制される。
【0088】
したがって、第3実施形態によると、リセプタクルコネクタ12の開口18に対して、幅方向X2において設定されたクリアランスC1を介して、プラグコネクタ11が挿入されて嵌合する電気的接続装置3に関し、リセプタクルコネクタ12の機器への取り付け部分の破損が生じることを抑制できるとともに、リセプタクルコネクタ12が破損することも抑制することができる。
【0089】
[第4実施形態]
(電気的接続装置の概略構成)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図13は、本発明の第4実施形態に係る電気的接続装置4の斜視図であって、電気的接続装置4のプラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが嵌合しておらず接続されていない状態を示す図である。
図14は、電気的接続装置4の平面図であって、プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが嵌合しておらず接続されていない状態を示す図である。
図15は、電気的接続装置4の側面図であって、プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが嵌合しておらず接続されていない状態を示す図である。
図16は、電気的接続装置4の断面図であって、
図15のH-H線矢視位置での断面図である。
図17は、電気的接続装置4の断面図であって、プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが嵌合して接続された状態を示す図である。
【0090】
図13乃至
図17を参照して、電気的接続装置4は、プラグコネクタ31と、プラグコネクタ31が嵌合して接続するリセプタクルコネクタ32と、を備えて構成され、2つの機器(図示省略)を電気的に接続するために用いられる。プラグコネクタ31は、電気的に接続される2つの機器のうちの一方の機器に対して複数の電線50を介して取り付けられる。尚、プラグコネクタ31には、複数のプラグ側コンタクト33が設けられている。そして、複数のプラグ側コンタクト33が、複数の電線50に対してそれぞれ接続され、複数の電線50が、複数のプラグ側コンタクト33にそれぞれ接続された端部とは反対側の端部において上記の一方の機器に対して接続されることで、プラグコネクタ31は、複数の電線50を介して上記の一方の機器に対して取り付けられる。リセプタクルコネクタ32は、電気的に接続される2つの機器のうちの他方の機器に対して取り付けられ、例えば、他方の機器に備えられる基板(図示省略)に対して半田付けにより取り付けられて固定される。尚、リセプタクルコネクタ32には、複数のリセプタクル側コンタクト37が設けられており、複数のリセプタクル側コンタクト37が、上記の他方の機器の基板に対してそれぞれ半田付けされることで、上記の他方の機器に対してリセプタクルコネクタ32が取り付けられる。2つの機器のうちの一方の機器に電線50を介してプラグコネクタ31が取り付けられ、2つの機器のうちの他方の機器にリセプタクルコネクタ32が取り付けられた状態で、プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが接続されることで、2つの機器が電気的に接続される。
【0091】
図13乃至
図17を参照して、プラグコネクタ31は、複数のプラグ側コンタクト33と、プラグ側ハウジング34と、ロックアーム35と、を備えて構成されている。複数のプラグ側コンタクト33は、導電性を有する金属材料で形成され、プラグ側ハウジング34にそれぞれ保持される。複数のプラグ側コンタクト33は、プラグ側ハウジング34において、長手方向が互いに平行に延びるとともに2列に並んだ状態で、保持される。プラグ側ハウジング34は、絶縁性を有する合成樹脂材料で形成され、複数のプラグ側コンタクト33を保持している。プラグコネクタ31は、プラグ側ハウジング34がリセプタクルコネクタ32に対して嵌合することで、リセプタクルコネクタ32に対して嵌合して接続するように構成されている。ロックアーム35は、プラグ側ハウジング34と一体に設けられ、プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32に接続した際にプラグコネクタ31をリセプタクルコネクタ32にロックするために設けられている。
【0092】
図13乃至
図17を参照して、リセプタクルコネクタ32は、複数のリセプタクル側コンタクト37と、リセプタクル側ハウジング38と、を備えて構成されている。複数のリセプタクル側コンタクト37は、導電性を有する金属材料で形成され、リセプタクル側ハウジング38にそれぞれ保持される。複数のリセプタクル側コンタクト37は、リセプタクル側ハウジング38において、長手方向が互いに平行に延びるとともに2列に並んだ状態で、保持される。リセプタクル側ハウジング38は、絶縁性を有する合成樹脂材料で形成され、複数のリセプタクル側コンタクト37を保持している。尚、リセプタクルコネクタ32には、プラグコネクタ31が嵌合する開口39が設けられている。プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32の開口39に挿入されて嵌合することで、プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが接続される。
【0093】
以下、電気的接続装置4のさらに詳細な構成について説明する。尚、以下の説明では、
図13乃至
図17及び後述の図面において両端矢印X1、両端矢印X2、及び両端矢印X3で示すように、電気的接続装置4における嵌合方向X1、幅方向X2、及び高さ方向X3を定義する。
【0094】
嵌合方向X1は、プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32に嵌合する方向として構成される。即ち、嵌合方向X1は、プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32に嵌合する際に、プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32の開口39に挿入される方向と平行な方向として構成される。
【0095】
幅方向X2は、嵌合方向X1に垂直な方向であって、嵌合した状態のプラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とにおいて複数のプラグ側コンタクト33と複数のリセプタクル側コンタクト37とがそれぞれ並んで配置される方向として構成される。このため、幅方向X2は、プラグコネクタ31においては、嵌合方向X1に垂直な方向であって複数のプラグ側コンタクト33がプラグ側ハウジング34において並んで配置される方向として構成される。そして、幅方向X2は、リセプタクルコネクタ32においては、嵌合方向X1に垂直な方向であって複数のリセプタクル側コンタクト37がリセプタクル側ハウジング38において並んで配置される方向として構成される。
【0096】
高さ方向X3は、嵌合方向X1及び幅方向X2の両方に垂直な方向として構成される。このため、高さ方向X3は、プラグコネクタ31においては、嵌合方向X1及び幅方向X2の両方に垂直な方向として構成される。そして、高さ方向X3は、リセプタクルコネクタ32においても、嵌合方向X1及び幅方向X2に垂直な方向として構成される。
【0097】
(プラグコネクタ)
図13乃至
図17を参照して、プラグコネクタ31は、複数のプラグ側コンタクト33と、複数のプラグ側コンタクト33を保持するプラグ側ハウジング34と、プラグ側ハウジング34に一体に設けられたロックアーム35と、を備えて構成されている。
【0098】
複数のプラグ側コンタクト33のそれぞれは、例えば、メス型のコンタクトとして設けられており、長手方向を有する筒状に設けられた部分と、筒状の部分の内側に設けられたバネ接点部とを備えたコンタクトとして構成されている。そして、複数のプラグ側コンタクト33のそれぞれは、長手方向が嵌合方向X1に沿って延びた状態で、プラグ側ハウジング34に保持されている。また、複数のプラグ側コンタクト33は、嵌合方向X1に沿って互いに平行に延びた状態で、且つ、幅方向X2に沿って並んだ状態で、プラグ側ハウジング34に保持されている。尚、本実施形態では、複数のプラグ側コンタクト33は、幅方向X2に沿って2列に並んで配置されている。
【0099】
各プラグ側コンタクト33は、長手方向における一方の端部側において、リセプタクルコネクタ32の各リセプタクル側コンタクト37に対して接触して電気的に接続されるように構成されている。また、各プラグ側コンタクト33は、長手方向における他方の端部側において、プラグコネクタ31が取り付けられる機器に接続される電線50に対して、例えば、圧着により接続されるように構成されている。尚、各プラグ側コンタクト33は、電線50に接続された状態で、プラグ側ハウジング34に対して圧入されて保持される。
【0100】
プラグ側ハウジング34は、複数のプラグ側コンタクト33を保持するとともに、リセプタクルコネクタ32の開口39に挿入されることでリセプタクルコネクタ32に嵌合するように構成されている。プラグ側ハウジング34には、嵌合方向X1に沿ってプラグ側ハウジング34の内部を貫通するコンタクト保持孔36が複数設けられている。プラグ側ハウジング34における複数のコンタクト保持孔36に対して複数のプラグ側コンタクト33がそれぞれに圧入されていることで、複数のプラグ側コンタクト33がプラグ側ハウジング34に保持されている。また、プラグ側ハウジング34における複数のコンタクト保持孔36は、幅方向X2に沿って2列に並んで設けられている。そして、複数のコンタクト保持孔36に複数のプラグ側コンタクト33がそれぞれ圧入されて保持されていることで、プラグ側ハウジング34において、複数のプラグ側コンタクト33が幅方向X2に沿って2列に並んで配置されている。
【0101】
また、プラグ側ハウジング34は、リセプタクルコネクタ32の開口39に挿入されて嵌合するように構成されており、リセプタクルコネクタ32の開口39の内周形状に略対応した外周形状を有している。尚、プラグ側ハウジング34の幅方向X2における寸法は、リセプタクルコネクタ32の開口39の内周の幅方向X2における寸法よりも小さく設定されている。このため、
図17を参照して、プラグ側ハウジング34は、リセプタクルコネクタ32の開口39に対して、幅方向X2において設定されたクリアランスC2を介して挿入されて嵌合するように構成されている。
【0102】
また、
図13乃至
図17を参照して、プラグ側ハウジング34におけるリセプタクルコネクタ32の開口39に挿入される先端側の端部34aには、当接部34bと逃がし部34cとが設けられている。当接部34bは、プラグ側ハウジング34がリセプタクルコネクタ32の開口39に挿入されて嵌合する際に、リセプタクルコネクタ32の開口39の奥側における後述の内壁40に対して当接する部分として設けられている。尚、リセプタクルコネクタ32の開口39の奥側の内壁40は、リセプタクルコネクタ32のリセプタクル側ハウジング38の一部であって、リセプタクルコネクタ32の開口39の奥側に配置された壁部として設けられている。当接部34bは、プラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の中央の部分として設けられている。
【0103】
逃がし部34cは、プラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおいて、当接部34bに対して幅方向X2における両側に配置されている。逃がし部34cは、リセプタクルコネクタ32の開口39に挿入されるプラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34に対してリセプタクルコネクタ32のリセプタクル側ハウジング38の内壁40から作用する力を逃がすための部分として設けられている。逃がし部34cは、リセプタクルコネクタ32のリセプタクル側ハウジング38の内壁40から作用する力の伝達を避けるようにリセプタクルコネクタ32のリセプタクル側ハウジング38の内壁40との当接を防ぐことで、リセプタクルコネクタ32のリセプタクル側ハウジング38の内壁40から作用する力を逃がすように構成されている。
【0104】
また、逃がし部34cは、プラグ側ハウジング34におけるリセプタクルコネクタ32の開口39に挿入される先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側に設けられている。また、逃がし部34cは、プラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおいて、当接部34bに対して幅方向X2における両側にそれぞれ設けられている。そして、逃がし部34cは、プラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側において、当接部34bに対して、プラグ側ハウジング34がリセプタクルコネクタ32の開口39に挿入される先端側と反対側に向かって段状に凹むように設けられている。このため、
図17に示すように、プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが嵌合し、開口39に挿入されたプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aの当接部34bがリセプタクル側ハウジング38の内壁40と当接した状態では、プラグ側ハウジング34の先端側の端部34aの逃がし部34cとリセプタクル側ハウジング38の内壁40との間には、隙間が形成されることになる。
【0105】
プラグ側ハウジング34と一体に設けられたロックアーム35は、プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32に接続した際にプラグコネクタ31をリセプタクルコネクタ32にロックするために設けられている。ロックアーム35は、プラグ側ハウジング34の高さ方向X3における一方の壁面側に設けられ、例えば、シーソー状の形態の操作レバー式のロック機構として設けられている。ロックアーム35は、プラグ側ハウジング34がリセプタクルコネクタ32に嵌合した際に、リセプタクルコネクタ32に対して係合するように構成されている。ロックアーム35がリセプタクルコネクタ32に係合することで、リセプタクルコネクタ32に嵌合したプラグ側ハウジング34の抜け止めが図られる。これにより、プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32に接続された状態で、プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32に対してロックされることになる。
【0106】
(リセプタクルコネクタ)
図13乃至
図17を参照して、リセプタクルコネクタ32は、複数のリセプタクル側コンタクト37と、リセプタクル側ハウジング38と、を備えて構成されている。複数のリセプタクル側コンタクト37のそれぞれは、例えば、オス型のコンタクトとして設けられており、長手方向を有し、長手方向が嵌合方向X1に沿って延びた状態で、リセプタクル側ハウジング38に保持されている。また、複数のリセプタクル側コンタクト37は、嵌合方向X1に沿って互いに平行に延びた状態で、且つ、幅方向X2に沿って並んだ状態で、リセプタクル側ハウジング38に保持されている。尚、本実施形態では、複数のリセプタクル側コンタクト37は、幅方向X2に沿って2列に並んだ状態で配置されている。
【0107】
図13、
図14、
図16、及び
図17を参照して、複数のリセプタクル側コンタクト37のそれぞれには、接点部37aと基板接続部37bとが設けられている。接点部37aは、リセプタクル側コンタクト37において、長手方向における一方の端部側の部分として設けられ、プラグコネクタ31の各プラグ側コンタクト33に対して電気的に接続される部分として構成されている。本実施形態では、接点部37aは、嵌合方向X1に沿って細長くピン状に延びる接点部として設けられている。基板接続部37bは、リセプタクル側コンタクト37において、長手方向における他方の端部として設けられ、リセプタクルコネクタ32が取り付けられる機器の基板に対して接続される部分として構成されている。基板接続部37bは、リセプタクルコネクタ32が取り付けられる機器の基板に対して、半田付けによって接続される。
【0108】
図13乃至
図17を参照して、リセプタクル側ハウジング38は、複数のリセプタクル側コンタクト37を保持するとともに、プラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34が嵌合するように構成されている。リセプタクル側ハウジング38にプラグ側ハウジング34が嵌合することで、リセプタクルコネクタ32にプラグコネクタ31が嵌合して接続される。
【0109】
リセプタクル側ハウジング38には、プラグコネクタ11のプラグ側ハウジング34がクリアランスC1を介して挿入されて嵌合する開口39が設けられている。本実施形態では、リセプタクルコネクタ32の開口39は、リセプタクル側ハウジング38に設けられた開口39として構成されている。リセプタクル側ハウジング38の開口39は、リセプタクル側ハウジング38において、嵌合方向X1における一方側で開口するように設けられている。開口39は、開口39に挿入されるプラグ側ハウジング34の断面形状に対応して、略矩形形状の断面で開口するように設けられている。
【0110】
プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32との嵌合の際には、プラグ側ハウジング34がリセプタクル側ハウジング38の開口39に挿入される。
図17を参照して、プラグ側ハウジング34は、リセプタクル側ハウジング38の開口39に対して、クリアランスC2を介して挿入される。クリアランスC2は、リセプタクル側ハウジング38の開口39にプラグ側ハウジング34が挿入された状態において、開口39の内側の側面であって開口39における幅方向X2の両端の側面と、プラグ側ハウジング34の外側の側面であってプラグ側ハウジング34における幅方向X2の両端の側面との間の隙間として、構成される。即ち、クリアランスC2は、幅方向X2において設定されている。
【0111】
図16及び
図17を参照して、リセプタクル側ハウジング38には、開口39の奥側に配置されて複数のリセプタクル側コンタクト37を保持する内壁40が設けられている。内壁40は、リセプタクル側ハウジング38の内側において、開口39の奥側に配置され、幅方向X2及び高さ方向X3に沿って平坦に広がる壁部として設けられている。このため、内壁40は、開口39の奥側において嵌合方向X1に対して垂直な面に沿って延びる壁面を有している。そして、内壁40は、開口39に挿入されるプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aの当接部34bに対して当接するように構成されている。
【0112】
プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32との嵌合の際には、プラグ側ハウジング34がリセプタクル側ハウジング38の開口39に挿入される。そして、開口39に挿入されたプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aの当接部34bが、開口39の奥側において、内壁40と当接する。プラグ側ハウジング34の端部34aの当接部34bが内壁40と当接することで、リセプタクルコネクタ32に嵌合したプラグコネクタ31の嵌合方向X1におけるリセプタクルコネクタ32に対する位置決めがなされることになる。
【0113】
また、
図13及び
図16を参照して、リセプタクル側ハウジング38の内壁40には、嵌合方向X1に沿って内壁40を貫通するコンタクト保持孔41が複数設けられている。内壁40に設けられた複数のコンタクト保持孔41に対して複数のリセプタクル側コンタクト37がそれぞれ圧入されていることで、複数のリセプタクル側コンタクト37がリセプタクル側ハウジング38の内壁40に保持されている。また、内壁40に設けられた複数のコンタクト保持孔41は、幅方向X2に沿って2列に並んで設けられている。そして、複数のコンタクト保持孔41に複数のリセプタクル側コンタクト37がそれぞれ圧入されて保持されていることで、リセプタクル側ハウジング38において、複数のリセプタクル側コンタクト37が幅方向X2に沿って2列に並んで配置されている。
【0114】
プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32との嵌合の際には、プラグ側ハウジング34がリセプタクル側ハウジング38の開口39に挿入される。このとき、開口39の内側に配置された複数のリセプタクル側コンタクト37は、開口39に挿入されたプラグ側ハウジング34の端部34aにおいて開口する複数のコンタクト保持孔36にそれぞれ挿入された状態となる。そして、プラグ側ハウジング34のコンタクト保持孔36に挿入されたオス型のリセプタクル側コンタクト37が、コンタクト保持孔36に保持されたメス型のプラグ側コンタクト33に対して嵌合して接触する。これにより、プラグコネクタ31の複数のプラグ側コンタクト33とリセプタクルコネクタ32の複数のリセプタクル側コンタクト37とが、それぞれ電気的に接続される。
【0115】
また、
図13及び
図14を参照して、リセプタクル側ハウジング38には、プラグコネクタ31におけるロックアーム35と係合するロック係合部42が設けられている。ロック係合部42は、リセプタクル側ハウジング38の高さ方向X3における一方の壁面から突起状に突出する凸部として設けられている。ロック係合部42は、プラグ側ハウジング34がリセプタクル側ハウジング38の開口39に嵌合した際に、プラグ側ハウジング34と一体に設けられたロックアーム35に対して係合するように構成されている。ロック係合部42とロックアーム35とが係合することで、リセプタクル側ハウジング38に嵌合したプラグ側ハウジング34の抜け止めが図られる。これにより、プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32に接続された状態で、プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32に対してロックされることになる。
【0116】
(プラグコネクタとリセプタクルコネクタとの嵌合接続)
次に、上述した電気的接続装置4のプラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが嵌合して接続される動作について説明する。プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32との接続は、電気的に接続される2つの機器(図示省略)のうちの一方に対してプラグコネクタ31が複数の電線50を介して取り付けられ、2つの機器のうちの他方に対してリセプタクルコネクタ32が取り付けられた状態で行われる。
【0117】
プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32との嵌合接続の際には、
図16において矢印Tで示すように、プラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34が、リセプタクルコネクタ32のリセプタクル側ハウジング38の開口39に対して挿入される。プラグ側ハウジング34が、リセプタクル側ハウジング38の開口39に挿入されると、プラグ側ハウジング34の複数のコンタクト保持孔36に複数のリセプタクル側コンタクト37がそれぞれ挿入される。そして、複数のリセプタクル側コンタクト37が、複数のプラグ側コンタクト33にそれぞれ接触し、プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが電気的に接続される。また、開口39に挿入されたプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aの当接部34bが、開口39の奥側において、リセプタクル側ハウジング38の内壁40と当接する。プラグ側ハウジング34の当接部34bとリセプタクル側ハウジング38の内壁40とが当接することで、プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32に対して嵌合方向X1において位置決めされ、プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32との嵌合接続が完了することになる。
【0118】
プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32との嵌合接続の際、プラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34が、リセプタクルコネクタ32の開口39に対して、嵌合方向X1と平行に挿入されると、プラグコネクタ31は、開口39に対して斜めに傾くことなく挿入され、リセプタクルコネクタ32に嵌合して接続される。そして、
図17に示すように、プラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aの当接部34bが、リセプタクルコネクタ32のリセプタクル側ハウジング38の内壁40に対して、当接部34bにおける幅方向X2の全長に亘って当接した状態で、プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが嵌合した状態となる。
【0119】
一方、プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32との嵌合接続の際、プラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34が、リセプタクルコネクタ32の開口39に対して、斜めに傾いた状態で挿入される場合がある。即ち、嵌合方向X1に対して、プラグコネクタ31のリセプタクルコネクタ32の開口39への挿入方向が斜めに傾いた状態で、プラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34がリセプタクルコネクタ32の開口39に挿入される場合がある。
【0120】
図18は、電気的接続装置4の断面図であって、プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32に嵌合して接続される動作を説明するための図である。また、
図18は、プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32の開口39に対して斜めに傾いた状態で挿入される場合について説明するための図である。尚、
図18は、プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32の開口39に対して斜めに挿入されて嵌合する状態において、
図15のH-H線矢視位置に対応する位置での断面図を示している。
【0121】
プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32の開口39に対して斜めに傾いた状態で挿入される場合は、
図18に示すように、プラグ側ハウジング34は、開口39に対し、嵌合方向X1に対して斜めに傾いた状態で、挿入される。このとき、プラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側に設けられた逃がし部34cの一方が、リセプタクル側ハウジング38の開口39の奥側の内壁40へと向かうことになる。即ち、斜めに傾いた状態でリセプタクル側ハウジング38の開口39に挿入されたプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側の逃がし部34cのうちの開口39の奥側に向かって傾いている逃がし部34cが、開口39の奥側の内壁40へと向かうことになる。
【0122】
開口39に対して斜めに傾いて挿入されたプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側の逃がし部34cは、当接部34bに対して、開口39の奥側と反対側に向かって段状に凹むように設けられている。このため、プラグ側ハウジング34の端部34aにおける幅方向X2の両側のうちの一方の逃がし部34cであって内壁40へと向かう逃がし部34cは、内壁40と当接しない状態となる。即ち、逃がし部34cでは、リセプタクル側ハウジング38の内壁40から作用する力の伝達を避けるようにリセプタクル側ハウジング38の内壁40との当接が防止され、リセプタクル側ハウジング38の内壁40から作用する力が逃がされることになる。そして、プラグ側ハウジング34の先端側の端部34aは、幅方向X2における中央側の当接部34bにおいて、リセプタクル側ハウジング38の内壁40に対して当接することになる。これにより、リセプタクル側ハウジング38の開口39の奥側の内壁40の幅方向X2の一方側の端部付近に対してプラグ側ハウジング34の端部34aからの局所的な突き当りが発生することが防止される。
【0123】
プラグ側ハウジング34の先端側の端部34aが、幅方向X2における中央側の当接部34bにおいて、リセプタクル側ハウジング38の内壁40に当接すると、プラグ側ハウジング34は、その端部34aの当接部34bが内壁40に沿うように、揺動する。これにより、開口39に対して斜めに傾いて挿入されたプラグ側ハウジング34の傾きが修正される。そして、
図17に示すように、プラグ側ハウジング34の端部34aの当接部34bが、リセプタクル側ハウジング38の内壁40に対して、当接部34bにおける幅方向X2の全長に亘って当接した状態で、プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが嵌合した状態となる。即ち、開口39に対して斜めに傾いて挿入されたプラグコネクタ31の傾きが修正され、プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが嵌合方向X1と平行に嵌合した状態となる。
【0124】
(実施形態の作用及び効果)
本実施形態によると、リセプタクルコネクタ32の開口39に挿入されるプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aには、リセプタクルコネクタ32の開口39の奥側の内壁40に当接する当接部34bと、当接部34bの幅方向X2における両側に配置されてリセプタクルコネクタ32の内壁40から作用する力を逃がす逃がし部34cと、が設けられている。このため、プラグコネクタ31が嵌合方向X1に対して斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ32の開口39に挿入された場合、プラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側に設けられた逃がし部34cの一方が、リセプタクルコネクタ32の開口39の奥側の内壁40へと向かうことになる。即ち、斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ32の開口39に挿入されたプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側の逃がし部34cのうちの開口39の奥側に向かって傾いている逃がし部34cが、リセプタクルコネクタ32の開口39の奥側の内壁40へと向かうことになる。
【0125】
そして、逃がし部34cは、リセプタクルコネクタ32の内壁40から作用する力の伝達を避けるようにリセプタクルコネクタ32の内壁40との当接を防ぐことで、リセプタクルコネクタ32の内壁40から作用する力を逃がすように構成されている。このため、リセプタクルコネクタ32の内壁40へと向かったプラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側の逃がし部34cのうちの一方に対して、リセプタクルコネクタ32の内壁40からは、力が伝達されない状態となる。これにより、リセプタクルコネクタ32の開口39の奥側の内壁40の幅方向X2の一方側の端部付近に対してプラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34の端部34aからの局所的な突き当りが発生することが防止される。このため、リセプタクルコネクタ32において、幅方向X2における中央の位置を中心として回転させるようなねじれ方向の負荷が生じることが抑制されることになる。そして、リセプタクルコネクタ32にねじれ方向の負荷が生じることが抑制されるため、リセプタクルコネクタ32が取り付けられた機器に対して固定されたリセプタクル側コンタクト37の部分に負荷が生じることが抑制されることになる。これにより、リセプタクル側コンタクト37と機器との固定部分に損傷が生じることが抑制され、リセプタクルコネクタ32の機器への取り付け部分の破損が生じることが抑制されることになる。また、機器に固定されたリセプタクル側コンタクト37を保持するリセプタクル側ハウジング38に損傷が生じることが抑制され、リセプタクルコネクタ32が破損することも抑制されることになる。
【0126】
よって、本実施形態によると、プラグコネクタ31が嵌合方向X1に対して斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ32の開口39に挿入された場合であっても、リセプタクルコネクタ32の機器への取り付け部分の破損が生じることを抑制でき、リセプタクルコネクタ32が破損することも抑制することができる。また、プラグコネクタ31のリセプタクルコネクタ32への嵌合動作が繰り返される場合であっても、リセプタクル側コンタクト37と機器との固定部分の損傷が蓄積することが抑制され、リセプタクルコネクタ32の機器への取り付け部分の破損を生じることが抑制される。そして、機器に固定されたリセプタクル側コンタクト37を保持するリセプタクル側ハウジング38の損傷が蓄積することも抑制され、リセプタクルコネクタ32が破損することも抑制される。
【0127】
したがって、本実施形態によると、リセプタクルコネクタ32の開口39に対して、幅方向X2において設定されたクリアランスC2を介して、プラグコネクタ31が挿入されて嵌合する電気的接続装置4に関し、リセプタクルコネクタ32の機器への取り付け部分の破損が生じることを抑制できるとともに、リセプタクルコネクタ32が破損することも抑制することができる。
【0128】
また、本実施形態によると、リセプタクルコネクタ32の内壁40からの力の伝達を避けるようにリセプタクルコネクタ32の内壁40との当接を防ぐことで、リセプタクルコネクタ32の内壁40からの力を逃がす逃がし部34cの構造を、プラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側で先端側と反対側に向かって段状に凹む部分として形成した簡素な構造で構成することができる。
【0129】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図19は、本発明の第5実施形態に係る電気的接続装置5の平面図であって、電気的接続装置5のプラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが嵌合しておらず接続されていない状態を示す図である。
図20は、電気的接続装置5の断面図であって、プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが嵌合しておらず接続されていない状態を示す図である。第5実施形態の電気的接続装置5は、一部の構成を除いて、第4実施形態の電気的接続装置4と同様に構成されている。尚、以下の第5実施形態の説明においては、前述の第4実施形態と異なる点について説明し、第4実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0130】
第5実施形態の電気的接続装置5は、第4実施形態の電気的接続装置4と同様に、プラグコネクタ31とプラグコネクタ31が嵌合して接続するリセプタクルコネクタ32とを備えた電気的接続装置として構成されている。プラグコネクタ31は、複数のプラグ側コンタクト33と、プラグ側ハウジング34と、ロックアーム35と、を備えて構成されている。リセプタクルコネクタ32は、複数のリセプタクル側コンタクト37と、リセプタクル側ハウジング38と、を備えて構成されている。また、プラグコネクタ31は、リセプタクルコネクタ32のリセプタクル側ハウジング38に設けられた開口39に対してクリアランスC2を介して挿入されて嵌合するように構成されている。また、プラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34におけるリセプタクルコネクタ32の開口39に挿入される先端側の端部34aには、リセプタクルコネクタ32における開口39の奥側の内壁40に対して当接する当接部34bが設けられている。ただし、電気的接続装置5は、プラグ側ハウジング34の先端側の端部34aに設けられる逃がし部43の構成において、第4実施形態の電気的接続装置4と異なっている。
【0131】
図19及び
図20に示すように、電気的接続装置5のプラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aには、当接部34bに対して幅方向X2における両側に配置されて、開口39に挿入されるプラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34に対してリセプタクル側ハウジング38の内壁40から作用する力を逃がす逃がし部43が設けられている。逃がし部43は、リセプタクルコネクタ32のリセプタクル側ハウジング38の内壁40から作用する力を緩和することで、リセプタクルコネクタ32のリセプタクル側ハウジング38の内壁40から作用する力を逃がすように構成されている。
【0132】
逃がし部43は、プラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側に設けられており、当接部34bに対して幅方向X2における両側にそれぞれ設けられている。逃がし部43は、プラグ側ハウジング34において、プラグ側ハウジング34における逃がし部43以外の部分とは異なる材料で構成されており、プラグ側ハウジング34における逃がし部43以外の部分よりも弾性変形し易い材料で構成された弾性部材として設けられている。プラグ側ハウジング34における逃がし部43以外の部分は、合成樹脂材料で構成されている。一方、逃がし部43は、エラストマー材料で構成されており、例えば、ゴム材料で構成されている。ゴム材料で構成された逃がし部43は、プラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおいて、当接部34bに対する幅方向X2における両側で、プラグ側ハウジング34の端部34aに一体的に固定されて設けられている。
【0133】
図21は、電気的接続装置5の断面図であって、プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32に嵌合して接続される動作を説明するための図である。また、
図21は、プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32の開口39に対して斜めに傾いた状態で挿入される場合について説明するための図である。
【0134】
プラグコネクタ31がリセプタクルコネクタ32の開口39に対して斜めに傾いた状態で挿入される場合は、
図21に示すように、プラグ側ハウジング34は、開口39に対し、嵌合方向X1に対して斜めに傾いた状態で、挿入される。このとき、プラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側に設けられた逃がし部43の一方が、リセプタクル側ハウジング38の開口39の奥側の内壁40へと向かうことになる。即ち、斜めに傾いた状態でリセプタクル側ハウジング38の開口39に挿入されたプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側の逃がし部43のうちの開口39の奥側に向かって傾いている逃がし部43が、開口39の奥側の内壁40へと向かうことになる。
【0135】
開口39に対して斜めに傾いて挿入されたプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側の逃がし部43は、合成樹脂材料で構成されたリセプタクル側ハウジング38の逃がし部43以外の部分とは異なり、容易に弾性変形するゴム材料等のエラストマー材料で構成されている。このため、プラグ側ハウジング34の端部34aにおける幅方向X2の両側のうちの一方の逃がし部43に対してリセプタクル側ハウジング38の内壁40が当接すると、逃がし部43が弾性変形することで、内壁40から逃がし部43へと作用する衝撃が吸収され、内壁40からプラグ側ハウジング34の端部34aへと作用する力が緩和されることになる。即ち、逃がし部43では、リセプタクル側ハウジング38の内壁40から作用する力が緩和され、リセプタクル側ハウジング38の内壁40から作用する力が逃がさされることになる。そして、プラグ側ハウジング34の先端側の端部34aは、幅方向X2における中央側の当接部34bにおいて、リセプタクル側ハウジング38の内壁40に対して当接することになる。これにより、リセプタクル側ハウジング38の開口39の奥側の内壁40の幅方向X2の一方側の端部付近に対してプラグ側ハウジング34の端部34aからの局所的な突き当りが発生することが防止される。
【0136】
プラグ側ハウジング34の先端側の端部34aが、幅方向X2における中央側の当接部34bにおいて、リセプタクル側ハウジング38の内壁40に当接すると、プラグ側ハウジング34は、その端部34aの当接部34bが内壁40に沿うように、揺動する。これにより、開口39に対して斜めに傾いて挿入されたプラグ側ハウジング34の傾きが修正される。そして、プラグ側ハウジング34の端部34aの当接部34bが、リセプタクル側ハウジング38の内壁40に対して、当接部34bにおける幅方向X2の全長に亘って当接した状態で、プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが嵌合した状態となる。即ち、開口39に対して斜めに傾いて挿入されたプラグコネクタ31の傾きが修正され、プラグコネクタ31とリセプタクルコネクタ32とが嵌合方向X1と平行に嵌合した状態となる。
【0137】
上述した第5実施形態の電気的接続装置5によると、リセプタクルコネクタ32の開口39に挿入されるプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aには、リセプタクルコネクタ32の開口39の奥側の内壁40に当接する当接部34bと、当接部34bの幅方向X2における両側に配置されてリセプタクルコネクタ32の内壁40から作用する力を逃がす逃がし部43と、が設けられている。このため、プラグコネクタ31が嵌合方向X1に対して斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ32の開口39に挿入された場合、プラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側に設けられた逃がし部43の一方が、リセプタクルコネクタ32の開口39の奥側の内壁40へと向かうことになる。即ち、斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ32の開口39に挿入されたプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側の逃がし部43のうちの開口39の奥側に向かって傾いている逃がし部43が、リセプタクルコネクタ32の開口39の奥側の内壁40へと向かうことになる。
【0138】
そして、逃がし部43は、リセプタクルコネクタ32の内壁40から作用する力を緩和することで、リセプタクルコネクタ32の内壁40から作用する力を逃がすように構成されている。このため、リセプタクルコネクタ32の内壁40へと向かったプラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34の先端側の端部34aにおける幅方向X2の両側の逃がし部43のうちの一方に対して、リセプタクルコネクタ32の内壁40からは、力が緩和されて作用する状態となる。これにより、リセプタクルコネクタ32の開口39の奥側の内壁40の幅方向X2の一方側の端部付近に対してプラグコネクタ31のプラグ側ハウジング34の端部34aからの局所的な突き当りが発生することが防止される。このため、リセプタクルコネクタ32において、幅方向X2における中央の位置を中心として回転させるようなねじれ方向の負荷が生じることが抑制されることになる。そして、リセプタクルコネクタ32にねじれ方向の負荷が生じることが抑制されるため、リセプタクルコネクタ32が取り付けられた機器に対して固定されたリセプタクル側コンタクト37の部分に負荷が生じることが抑制されることになる。これにより、リセプタクル側コンタクト37と機器との固定部分に損傷が生じることが抑制され、リセプタクルコネクタ32の機器への取り付け部分の破損が生じることが抑制されることになる。また、機器に固定されたリセプタクル側コンタクト37を保持するリセプタクル側ハウジング38に損傷が生じることが抑制され、リセプタクルコネクタ32が破損することも抑制されることになる。
【0139】
よって、第5実施形態によると、プラグコネクタ31が嵌合方向X1に対して斜めに傾いた状態でリセプタクルコネクタ32の開口39に挿入された場合であっても、リセプタクルコネクタ32の機器への取り付け部分の破損が生じることを抑制でき、リセプタクルコネクタ32が破損することも抑制することができる。また、プラグコネクタ31のリセプタクルコネクタ32への嵌合動作が繰り返される場合であっても、リセプタクル側コンタクト37と機器との固定部分の損傷が蓄積することが抑制され、リセプタクルコネクタ32の機器への取り付け部分の破損を生じることが抑制される。そして、機器に固定されたリセプタクル側コンタクト37を保持するリセプタクル側ハウジング38の損傷が蓄積することも抑制され、リセプタクルコネクタ32が破損することも抑制される。
【0140】
したがって、第5実施形態によると、リセプタクルコネクタ32の開口39に対して、幅方向X2において設定されたクリアランスC2を介して、プラグコネクタ31が挿入されて嵌合する電気的接続装置5に関し、リセプタクルコネクタ32の機器への取り付け部分の破損が生じることを抑制できるとともに、リセプタクルコネクタ32が破損することも抑制することができる。
【0141】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0142】
(1)前述の第1乃至第3実施形態では、リセプタクルコネクタ12において、リセプタクル側ハウジング16の外周を覆う筒状のシェル17が設けられ、リセプタクルコネクタ12の開口18がシェルの開口として形成された形態を例示したが、この例の通りでなくてもよい。リセプタクルコネクタ12において、シェル17が設けられておらず、リセプタクル側ハウジング16に開口18が設けられた形態が実施されてもよい。
【0143】
(2)前述の第4及び第5実施形態では、リセプタクルコネクタ32において、リセプタクル側ハウジング38を筒状に覆う金属製のシェルが設けられておらず、リセプタクルコネクタ32の開口39がリセプタクル側ハウジング38の開口39として形成された形態を例示したが、この通りでなくてもよい。リセプタクルコネクタ32において、リセプタクル側ハウジング38を筒状に覆う金属製のシェルが設けられ、リセプタクルコネクタ32の開口39がシェルの開口として形成される形態が実施されてもよい。
【0144】
(3)前述の第1乃至第5実施形態では、プラグコネクタにおいては複数のプラグ側コンタクトが幅方向に沿って2列に並んで配置され、リセプタクルコネクタにおいては複数のリセプタクルコネクタが幅方向に沿って2列に並んで配置された形態を例示したが、この通りでなくてもよい。プラグコネクタにおいては複数のプラグ側コンタクトが幅方向に沿って1列に並んで配置され、リセプタクルコネクタにおいては複数のリセプタクルコネクタが幅方向に沿って1列に並んで配置された形態が実施されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明は、プラグコネクタと、プラグコネクタが嵌合して接続するリセプタクルコネクタと、を備えた電気的接続装置として、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0146】
1、2、3、4、5 電気的接続装置
11、31 プラグコネクタ
12、32 リセプタクルコネクタ
13、33 プラグ側コンタクト
14、34 プラグ側ハウジング
14c、34a 端部
15、37 リセプタクル側コンタクト
16、38 リセプタクル側ハウジング
18、39 開口
21 受け部
21a、40 内壁
21b、22、23、34c、43 逃がし部
34c 当接部
C1、C2 クリアランス
X1 嵌合方向
X2 幅方向