(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161876
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサおよび積層セラミックコンデンサの実装構造
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20231031BHJP
H01G 2/06 20060101ALI20231031BHJP
H01G 4/35 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
H01G4/30 513
H01G4/30 201C
H01G4/30 550
H01G2/06 500
H01G4/30 201F
H01G4/35 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072494
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 友嘉
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082BB02
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低容量化及び直流抵抗が大きくなることを抑制した積層セラミックコンデンサ及びその実装構造を提供する。
【解決手段】積層セラミックコンデンサ10は、複数の誘電体層14と、複数の内部電極層16を含み、第1の主面12a及び第2の主面12b、第1の側面及び第2の側面並びに第1の端面12e及び第2の端面12fを有する積層体12と、第1の端面及び第2の端面上に配置される第1外部電極30a及び第2の外部電極30bと、第1の側面上に配置される第3の外部電極30cと、第2の側面上に配置される第4の外部電極30dと、を備える。複数の内部電極層16は、第1の端面及び第2の端面に露出する第1の内部電極層16aと、第1の側面及び第2の側面に露出する第2の内部電極層16bと、を有する。第2の内部電極層16bは、第2の主面12bから積層体12の積層方向xの1/3までの範囲内に配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の誘電体層と、前記誘電体層上に積層された複数の内部電極層とを含み、積層方向に相対する第1の主面および第2の主面と、前記積層方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、前記積層方向および前記幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を有する積層体と、
前記第1の端面上に配置される第1の外部電極と、
前記第2の端面上に配置される第2の外部電極と、
前記第1の側面上に配置される第3の外部電極と、
前記第2の側面上に配置される第4の外部電極と、
を備える積層セラミックコンデンサであって、
前記複数の内部電極層は、
前記第1の端面および前記第2の端面に露出する第1の内部電極層と、
前記第1の側面および前記第2の側面に露出する第2の内部電極層と、
を有し、
前記第2の内部電極層は、前記第2の主面から前記積層体の積層方向の1/3までの範囲内に配置される、
積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記誘電体層と前記第1の内部電極層が交互に積層された第1領域と
前記誘電体層を介して前記第1の内部電極層と前記第2の内部電極層とが交互に積層された第2領域と、を有し、
前記第2領域は前記第1領域よりも前記第2の主面側に位置している、
請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記第3の外部電極は、前記第2の主面上に前記第2の内部電極層と並行に形成された第1の折り返し部を有し、
前記第4の外部電極は、前記第2の主面上に前記第2の内部電極層と並行に形成された第2の折り返し部を有する、
請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
前記第3の外部電極と前記第4の外部電極とは、前記第2の主面上で連続して形成されている、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項5】
前記第1の内部電極層は前記第2の内部電極層よりも枚数が多い、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項6】
前記第3の外部電極および前記第4の外部電極の前記積層体の長さ方向の端部は、前記第1の側面および前記第2の側面に露出された前記第2の内部電極層の前記積層体の長さ方向の端部から5μm以上100μm以下に位置している、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項7】
前記第3の外部電極および前記第4の外部電極の前記積層体の積層方向の端部は、前記第1の側面および前記第2の側面に露出された最も第1の主面側の前記第2の内部電極層から5μm以上100μm以下に位置している、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項8】
実装基板と、
前記実装基板に実装された積層セラミックコンデンサと、
を備え、
前記積層セラミックコンデンサは請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサであり、
前記実装基板は、
基板のコア材と、
前記コア材上に配置された前記第1の外部電極と接続される第1の接続導体と、
前記コア材上に配置された前記第2の外部電極と接続される第2の接続導体と、
前記コア材上に配置された前記第3の外部電極と接続される第3の接続導体と、
前記コア材上に配置された前記第4の外部電極と接続される第4の接続導体と、
を有し、
前記積層セラミックコンデンサは、前記第2の主面が前記実装基板側に向くように実装される、積層セラミックコンデンサの実装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積層セラミックコンデンサおよび積層セラミックコンデンサの実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、高速で動作する集積回路部品(IC)に供給される電源電圧を安定化するために用いられるデカップリングコンデンサや、集積回路部品(IC)に供給される電源ラインのノイズ対策のために用いられる貫通型積層セラミックコンデンサが知られている。たとえば、貫通型積層セラミックコンデンサは、一般的に、互いに対向する第1および第2の主面、互いに対向する第1および第2の側面ならびに互いに対向する第1および第2の端面からなる外表面を有する、セラミック基体(積層体)を備える。セラミック基体の内部には、各々複数の第1の内部電極および第2の内部電極が積層方向において交互に配置されている。そして、第1の内部電極は、その両端が第1の端面および第2の端面に導出され、それぞれ第1の外部電極および第2の外部電極に接続されている。また、第2の内部電極は、その両端が第1の側面および第2の側面に導出され、それぞれ第3の外部電極および第4の外部電極に接続されている。
【0003】
このような貫通型積層セラミックコンデンサは、低容量化のため、内部電極の総数を少なくすることがある。この際、内部電極の総数を少なくすると直流抵抗(Rdc)が大きくなってしまい、貫通型積層セラミックコンデンサの発熱量が大きくなってしまうことがあった。
【0004】
そこで、静電容量が大きくなることを抑制しつつ、直流抵抗が大きくなることを抑制することが可能な構造として、特許文献1のように、信号用内部電極を複数枚連続して積層する構造が知られている。この特許文献1に記載の構造では、静電容量を低下させつつ、直流抵抗(Rdc)の値も小さくすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような構造において、静電容量部を上下に配置すると実装面側に遠い方の静電容量部にまで側面外部電極(第3および第4の外部電極)が接続されるため、側面外部電極が信号電極(第1の内部電極)付近の積層体を覆う面積も多くなり、十分な放熱効果を得ることができないという問題があった。また、実装基板への電流経路が長くなり低ESLの効果を十分に得ることができないという問題があった。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、低容量化および直流抵抗が大きくなることを抑制しつつ、さらに十分な放熱効果および低ESLの効果を十分に得ることができる積層セラミックコンデンサおよび積層セラミックコンデンサの実装構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る積層セラミックコンデンサは、積層された複数の誘電体層と、誘電体層上に積層された複数の内部電極層とを含み、積層方向に相対する第1の主面および第2の主面と、積層方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、積層方向
および幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を有する積層体と、第1の端面上に配置される第1の外部電極と、第2の端面上に配置される第2の外部電極と、第1の側面上に配置される第3の外部電極と、第2の側面上に配置される第4の外部電極と、を備える積層セラミックコンデンサであって、複数の内部電極層は、第1の端面および第2の端面に露出する第1の内部電極層と、第1の側面および第2の側面に露出する第2の内部電極層と、を有し、第2の内部電極層は、第2の主面から積層体の積層方向の1/3までの範囲内に配置される、積層セラミックコンデンサである。
【0009】
また、この発明に係る積層セラミックコンデンサの実装構造は、実装基板と、実装基板に実装された積層セラミックコンデンサと、を備え、積層セラミックコンデンサは本発明にかかる積層セラミックコンデンサであり、実装基板は、基板のコア材と、コア材上に配置された第1の外部電極と接続される第1の接続導体と、コア材上に配置された第2の外部電極と接続される第2の接続導体と、コア材上に配置された第3の外部電極と接続される第3の接続導体と、コア材上に配置された第4の外部電極と接続される第4の接続導体と、を有し、積層セラミックコンデンサは、第2の主面が実装基板側に向くように実装される、積層セラミックコンデンサの実装構造である。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、低容量化および直流抵抗が大きくなることを抑制しつつ、さらに十分な放熱効果および低ESLの効果を十分に得ることができる積層セラミックコンデンサおよび積層セラミックコンデンサの実装構造を提供することができる。
【0011】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。
【
図2】この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す上面図である。
【
図3】この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す下面図である。
【
図4】この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す側面図である。
【
図7】
図5の線VII-VIIにおける断面図である。
【
図8】
図5の線VIII-VIIIにおける断面図である。
【
図9】この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの第1の側面側の図解図である。
【
図10】この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの実装構造の一例を示す長さ方向の断面図である。
【
図11】この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの実装構造の一例を示す幅方向の断面図である。
【
図12】この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。
【
図13】この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す上面図である。
【
図14】この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す下面図である。
【
図15】この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す側面図である。
【
図17】
図12の線XVII-XVIIにおける断面図である。
【
図18】
図16の線XVIII-XVIIIにおける断面図である。
【
図20】この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの第1の側面側の図解図である。
【
図21】この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの実装構造の一例を示す長さ方向の断面図である。
【
図22】この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの実装構造の一例を示す幅方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
A.第1の実施の形態
1.積層セラミックコンデンサ
この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサ10について説明する。積層セラミックコンデンサ10は、貫通型積層セラミックコンデンサ(3端子型の積層セラミックコンデンサ)である。
【0014】
図1は、この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。
図2は、この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す上面図である。
図3は、この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す下面図である。
図4は、この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す側面図である。
図5は、
図1の線V-Vにおける断面図である。
図6は、
図1の線VI-VIにおける断面図である。
図7は、
図5の線VII-VIIにおける断面図である。
図8は、
図5の線VIII-VIIIにおける断面図である。
図9は、この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの第1の側面側の図解図である。
【0015】
図1ないし
図9に示すように、積層セラミックコンデンサ10は、たとえば、積層体12と、外部電極30とを含む。
【0016】
積層体12は、積層された複数の誘電体層14と、誘電体層14上に積層された複数の内部電極層16とを有する。さらに、積層体12は、積層方向xに相対する第1の主面12aおよび第2の主面12bと、積層方向xに直交する幅方向yに相対する第1の側面12cおよび第2の側面12dと、積層方向xおよび幅方向yに直交する長さ方向zに相対する第1の端面12eおよび第2の端面12fとを有する。
【0017】
積層体12は、直方体形状を有しており、積層体12は角部および稜線部に丸みがつけられていることが好ましい。角部は、積層体12の3面が交る部分であり、稜線部は、積層体12の2面が交る部分である。また、第1の主面12aおよび第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12d、ならびに第1の端面12eおよび第2の端面12fの一部または全部に凹凸などが形成されていてもよい。
【0018】
ここで、積層体12の長さ方向zの寸法をl寸法とし、積層体12の幅方向yの寸法をw寸法とし、積層体12の積層方向xの寸法をt寸法とする。積層体12の寸法は、特に限定されないが、l寸法が0.9mm以上1.6mm以下、w寸法が0.4mm以上0.8mm以下、t寸法が0.2mm以上0.6mm以下であることが好ましい。
【0019】
積層体12は、有効層部18と、積層方向xにおいて有効層部18を挟みこむように配置された第1の主面12a側に位置する第1の外層部20aおよび第2の主面12b側に位置する第2の外層部20bと、を有する。
【0020】
言い換えると、第1の外層部20aは、積層体12の第1の主面12a側に位置し、第1の主面12aと最も第1の主面12aに近い内部電極層16との間に位置する複数枚の誘電体層14の集合体である。また、第2の外層部20bは、積層体12の第2の主面12b側に位置し、第2の主面12bと最も第2の主面12bに近い内部電極層16との間に位置する複数枚の誘電体層14の集合体である。さらに、第1の外層部20aと第2の外層部20bとに挟まれた領域が有効層部18である。
【0021】
積層体12は、第1の主面12aおよび第2の主面12b同士を結ぶ積層方向xにおいて、誘電体層14と第1の内部電極層16aとが交互に積層された第1領域28aと、誘電体層14を介して第1の内部電極層16aと第2の内部電極層16bとが交互に積層された第2領域28bとを有する。また、第2領域28bは、第1領域28aよりも第2の主面12b側に位置している。第2領域28bが第1領域28aよりも第2の主面12b側に位置していることによって、静電容量を形成する第2領域28bから実装基板50への電流経路が短くなり、低ESL効果を得ることができる。
【0022】
なお、積層体12は、後述する第1の内部電極層16aの第1の対向部25aおよび第2の内部電極層16bの第2の対向部25bの幅方向yの一端と第1の側面12cとの間、および後述する第1の内部電極層16aの第1の対向部25aおよび第2の内部電極層16bの第2の対向部25bの幅方向yの一端と第2の側面12dとの間に位置し、第2の内部電極層16bの第1の延長部27aおよび第2の延長部27bを含む積層体12の側部(Wギャップ)22a、22bを有する。
【0023】
また、積層体12は、後述する第1の内部電極層16aの第1の対向部25aおよび第2の内部電極層16bの第2の対向部25bの長さ方向zの一端と第1の端面12eとの間、および後述する第1の内部電極層16aの第1の対向部25aおよび第2の内部電極層16bの第2の対向部25bの長さ方向zの一端と第2の端面12fとの間に位置し、第1の内部電極層16aの第1の引出部26aおよび第2の引出部26bを含む積層体12の端部(Lギャップ)24a、24bを有する。
【0024】
誘電体層14は、セラミック材料として、たとえば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、またはCaZrO3などの成分を含む誘電体セラミックを用いることができる。また、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分を添加したものを用いてもよい。
【0025】
誘電体層14の厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。また、積層される誘電体層14の枚数は、80枚以上200枚以下であることが好ましい。なお、この誘電体層14の枚数は、有効層部18の誘電体層14の枚数と、第1の外層部20aおよび第2の外層部20bの誘電体層14の枚数との総数である。
【0026】
(内部電極層)
内部電極層16は、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bを有する。
【0027】
第1の内部電極層16aは、複数の誘電体層14上に配置される。また、第1の内部電極層16aは、第1の端面12eおよび第2の端面12fに引き出されている。
【0028】
より詳細には、
図7に示すように、第1の内部電極層16aは、積層体12の第1の端
面12eと第2の端面12fとの間にわたって延び、その中央部にあたる第1の対向部25aと、第1の対向部25aから延び、積層体12の第1の端面12eに引き出される第1の引出部26aと、第1の対向部25aから延び、積層体12の第2の端面12fに引き出される第2の引出部26bとを有する。第1の対向部25aは、誘電体層14上の中央部に位置する。第1の引出部26aは、積層体12の第1の端面12eに露出し、第2の引出部26bは、積層体12の第2の端面12fに露出する。従って、第1の内部電極層16aは、積層体12の第1の側面12cおよび第2の側面12dには露出していない。
【0029】
第1の内部電極層16aの第1の対向部25a、第1の引出部26aおよび第2の引出部26bの形状は特に限定はされないが、平面視矩形状であることが好ましい。もっとも、コーナー部は丸められていてもよい。
【0030】
第2の内部電極層16bは、複数の誘電体層14上に配置される。また、第2の内部電極層16bは、第1の側面12cおよび第2の側面12dに引き出されている。第2の内部電極層16bは、第1の内部電極層16aが配置される誘電体層14とは異なる誘電体層14上に配置される。
【0031】
より詳細には、
図8に示すように、第2の内部電極層16bは、積層体12の第1の側面12cと第2の側面12dとの間にわたって延び、その中央部にあたる第2の対向部25bと、第2の対向部25bから延び、第1の側面12cに引き出される第1の延長部27aと、第2の対向部25bから延び、第2の側面12dに引き出される第2の延長部27bとを有する。そして、第2の対向部25bは、第1の端面12eの方向に延び、第2の端面12fの方向に延びるように矩形状に形成される。第2の対向部25bは、誘電体層14上の中央部に位置する。第1の延長部27aは、積層体12の第1の側面12cに露出し、第2の延長部27bは、積層体12の第2の側面12dに露出する。従って、第2の内部電極層16bは、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fには露出していない。
【0032】
第2の内部電極層16bの第2の対向部25b、第1の延長部27aおよび第2の延長部27bの形状は特に限定はされないが、平面視矩形状であることが好ましい。もっとも、コーナー部は丸められていてもよい。
【0033】
第1の内部電極層16aの第1の対向部25aと第2の内部電極層16bの第2の対向部25bとは対向している。本実施の形態では、第1の内部電極層16aの第1の対向部25aと第2の内部電極層16bの第2の対向部25bとが誘電体層14を介して対向することにより、静電容量が形成され、コンデンサの特性が発現する。
【0034】
第1の内部電極層16aの数は、第2の内部電極層16bの数よりも多いことが好ましい。第1の内部電極層16aの数が第2の内部電極層16bの数よりも多いことによって、直流抵抗が低減され、積層体12の温度上昇が低減されるという効果がある。
【0035】
第1の内部電極層16aの数は、特に限定されないが、たとえば、49枚以上100枚以下であることが好ましい。また、第2の内部電極層16bの数は、特に限定されないが、たとえば、1枚以上50枚以下であることが好ましい。したがって、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bの数は、あわせて50枚以上150枚以下であることが好ましい。
【0036】
第1の内部電極層16aの厚みは、特に限定されないが、たとえば、0.5μm以上1.1μm以下であることが好ましい。また、第2の内部電極層16bの厚みは、特に限定
されないが、たとえば、0.5μm以上1.1μm以下であることが好ましい。
【0037】
積層体12の第2領域28bの最も第1の主面12a側に位置する第2の内部電極層16bは、第2の主面12bから積層体12の積層方向xの1/3までの範囲内に位置している。言い換えると、積層体12の第2領域28bの最も第1の主面12a側に位置する第2の内部電極層16bと第2の主面12bとの間の長さd1は、積層体12の積層方向xの長さ寸法であるt寸法の1/3以下である。積層体12の第2領域28bの最も第1の主面12a側に位置する第2の内部電極層16bが第2の主面12bから積層体12の積層方向xの1/3の範囲内に位置していることによって、実装基板50への電流経路が短くなりESLを低減することができる。
【0038】
より好ましくは、第2領域28bは第1領域28aよりも第2の主面12b側に配置されていることが好ましい。これによって、第2領域28bを第2の主面12b側に近い位置に配置することができるため、より効果的にESLを低減させることができる。
【0039】
第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bは、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、Ag-Pd合金等の、それらの金属の少なくとも一種を含む合金などの適宜の導電材料により構成することができる。
【0040】
(外部電極)
積層体12の第1の端面12e側および第2の端面12f側、ならびに第1の側面12c側および第2の側面12d側には、外部電極30が配置される。外部電極30は、第1の外部電極30a、第2の外部電極30b、第3の外部電極30cおよび第4の外部電極30dを有する。
【0041】
第1の外部電極30aは、第1の端面12e上に配置されている。また、第1の外部電極30aは、第1の内部電極層16aに接続されている。さらに、第1の主面12aの一部および第2の主面12bの一部、第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部にも配置されていてもよい。
【0042】
第2の外部電極30bは、第2の端面12f上に配置されている。また、第2の外部電極30bは、第1の内部電極層16aに接続されている。さらに、第1の主面12aの一部および第2の主面12bの一部、第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部にも配置されていてもよい。
【0043】
第3の外部電極30cは、第1の側面12c上に配置されている。また、第3の外部電極30cは、第2の内部電極層16bに接続されている。さらに、第3の外部電極30cは、第1の側面12cに露出する第2の内部電極層16bを被覆する第1の被覆部30c1と、第2の主面12b上に第2の内部電極層16bと並行に形成された第1の折り返し部30c2と、を有していてもよい。第1の折り返し部30c2を有することによって、実装基板50との電気的接続信頼性をより維持することができる。
【0044】
第4の外部電極30dは、第2の側面12d上に配置されている。また、第4の外部電極30dは、第2の内部電極層16bに接続されている。さらに、第4の外部電極30dは、第2の側面12dに露出する第2の内部電極層16bを被覆する第2の被覆部30d1(不図示)と、第2の主面12b上に第2の内部電極層16bと並行に形成された第2の折り返し部30d2と、を有していてもよい。第2の折り返し部30d2を有することによって、実装基板50との電気的接続信頼性をより維持することができる。
【0045】
また、第3の外部電極30cおよび第4の外部電極30dの積層体12の長さ方向zの
端部は、積層体12の第1の側面12cおよび第2の側面12dに露出された第2の内部電極層16bの積層体12の長さ方向zの端部から5μm以上100μm以下に位置していることが好ましい。言い換えると、第3の外部電極30cおよび第4の外部電極30dの積層体12の長さ方向zの端部と、積層体12の第1の側面12cおよび第2の側面12dに露出された第2の内部電極層16bの積層体12の長さ方向zの端部との間の長さd2は、5μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0046】
さらに、第3の外部電極30cおよび第4の外部電極30dの積層体12の積層方向xの端部は、積層体12の第1の側面12cおよび第2の側面12dに露出された最も第1の主面12a側の第2の内部電極層16bから5μm以上100μm以下に位置していることが好ましい。言い換えると、第3の外部電極30cおよび第4の外部電極30dの積層体12の積層方向xの端部と、積層体12の第1の側面12cおよび第2の側面12dに露出された第2の内部電極層16bの積層体12の積層方向xの端部との間の長さd3は、5μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0047】
上記のように第3の外部電極30cおよび第4の外部電極30dを配置することで、第2の内部電極層16bと第3の外部電極30cおよび第4の外部電極30dとの電気的接続信頼性を維持しつつ、第3の外部電極30cおよび第4の外部電極30dが積層体12を覆う面積を減らすことができ、より放熱することができる。
【0048】
外部電極30は、積層体12の表面に配置される下地電極層32と、下地電極層32を覆うように配置されためっき層34とを含む。
【0049】
下地電極層32は、第1の下地電極層32a、第2の下地電極層32b、第3の下地電極層32cおよび第4の下地電極層32dを有する。
【0050】
めっき層34は、第1のめっき層34a、第2のめっき層34b、第3のめっき層34cおよび第4のめっき層34dを有する。
【0051】
言い換えると、第1の外部電極30aは、第1の下地電極層32aおよび第1のめっき層34aを有する。第2の外部電極30bは、第2の下地電極層32bおよび第2のめっき層34bを有する。第3の外部電極30cは、第3の下地電極層32cおよび第3のめっき層34cを有する。第4の外部電極30dは、第4の下地電極層32dおよび第4のめっき層34dを有する。
【0052】
第1の下地電極層32aは、積層体12の第1の端面12eの表面に配置され、第1の端面12eから延伸して第1の主面12a、第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12dのそれぞれの一部を覆うように形成される。
第2の下地電極層32bは、積層体12の第2の端面12fの表面に配置され、第2の端面12fから延伸して第1の主面12a、第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12dのそれぞれの一部を覆うように形成される。
なお、第1の下地電極層32aは、積層体12の第1の端面12eの表面のみに配置されてもよいし、第2の下地電極層32bは、積層体12の第2の端面12fの表面にのみ配置されてもよい。
【0053】
第3の下地電極層32cは、積層体12の第1の側面12cの表面に配置され、第1の側面12cから延伸して第2の主面12bを覆うように形成される。
第4の下地電極層32dは、積層体12の第2の側面12dの表面に配置され、第2の側面12dから延伸して第2の主面12bを覆うように形成される。
【0054】
下地電極層32は、焼付け層、導電性樹脂層、薄膜層等から選ばれる少なくとも1つを含む。
以下、下地電極層32を上記の焼付け層、導電性樹脂層、薄膜層とした場合の各構成について説明する。
【0055】
(焼付け層の場合)
焼付け層は、ガラス成分と金属成分とを含む。焼付け層のガラス成分は、B、Si、Ba、Mg、Al、Li等から選ばれる少なくとも1つを含む。焼付け層の金属成分としては、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。焼付け層は、複数層であってもよい。焼付け層は、ガラス成分および金属成分を含む導電性ペーストを積層体12に塗布して焼付けたものである。焼付け層は、内部電極層16および誘電体層14を有する積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時焼成したものでもよく、内部電極層16および誘電体層14を有する積層チップを焼成して積層体12を得た後に、積層体12に導電性ペーストを塗布して焼付けたものでもよい。なお、焼付け層を内部電極層16および誘電体層14を有する積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時に焼成する場合には、焼付け層は、ガラス成分の代わりに誘電体材料を添加したものを焼き付けて焼付け層を形成することが好ましい。
【0056】
第1の端面12eに位置する第1の下地電極層32aの積層方向xの中央部における第1の端面12eおよび第2の端面12fを結ぶ長さ方向zの厚みは、20μm以上50μm以下であることが好ましい。
また、第2の端面12fに位置する第2の下地電極層32bの積層方向xの中央部における第1の端面12eおよび第2の端面12fを結ぶ長さ方向zの厚みは、20μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0057】
第1の主面12aの一部および第2の主面12bの一部、ならびに第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部上に第1の下地電極層32aを設ける場合には、第1の主面12aおよび第2の主面12b上に位置する第1の下地電極層32aの第1の端面12eおよび第2の端面12fを結ぶ長さ方向zの中央部における第1の主面12aおよび第2の主面12bを結ぶ積層方向xの厚みは、例えば、5μm以上20μm以下であることが好ましい。さらに、第1の側面12cおよび第2の側面12d上に位置する第1の下地電極層32aの第1の端面12eおよび第2の端面12fを結ぶ長さ方向zの中央部における第1の側面12cおよび第2の側面12dを結ぶ幅方向yの厚みは、例えば、5μm以上20μm以下であることが好ましい。
また、第1の主面12aの一部および第2の主面12bの一部、ならびに第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部上に第2の下地電極層32bを設ける場合には、第1の主面12aおよび第2の主面12b上に位置する第2の下地電極層32bの第1の端面12eおよび第2の端面12fを結ぶ長さ方向zの中央部における第1の主面12aおよび第2の主面12bを結ぶ積層方向xの厚みは、例えば、5μm以上20μm以下であることが好ましい。さらに、第1の側面12cおよび第2の側面12d上に位置する第2の下地電極層32bの第1の端面12eおよび第2の端面12fを結ぶ長さ方向zの中央部における第1の側面12cおよび第2の側面12dを結ぶ幅方向yの厚みは、例えば、5μm以上20μm以下であることが好ましい。
【0058】
第1の側面12cに位置し、第3の下地電極層32cの第1の端面12eおよび第2の端面12fを結ぶ長さ方向zの中央部における第1の側面12cおよび第2の側面12dを結ぶ幅方向yの厚みは、20μm以上40μm以下であることが好ましい。
また、第2の側面12dに位置し、第4の下地電極層32dの第1の端面12eおよび第2の端面12fを結ぶ長さ方向zの中央部における第1の側面12cおよび第2の側面
12dを結ぶ幅方向yの厚みは、20μm以上40μm以下であることが好ましい。
【0059】
第2の主面12b上に位置する第3の下地電極層32cの第1の端面12eおよび第2の端面12fを結ぶ長さ方向zの中央部における第1の主面12aおよび第2の主面12bを結ぶ積層方向xの厚みは、例えば、5μm以上20μm以下であることが好ましい。
また、第2の主面12b上に位置する第4の下地電極層32dの第1の端面12eおよび第2の端面12fを結ぶ長さ方向zの中央部における第1の主面12aおよび第2の主面12bを結ぶ積層方向xの厚みは、例えば、5μm以上20μm以下であることが好ましい。
【0060】
(導電性樹脂層の場合)
導電性樹脂層は、焼付け層上に焼付け層を覆うように配置されるか、焼付け層を設けずに積層体12上に直接配置されてもよい。また、導電性樹脂層は、焼付け層上を完全に覆っていてもよいし、焼付け層の一部を覆っていてもよい。さらに、導電性樹脂層は、複数層であってもよい。
【0061】
導電性樹脂層は、熱硬化性樹脂および金属を含む。導電性樹脂層は、熱硬化性樹脂を含むため、例えばめっき膜や導電性ペーストの焼成物からなる焼付け層よりも柔軟性に富んでいる。このため、積層セラミックコンデンサ10に物理的な衝撃や熱サイクルに起因する衝撃が加わった場合であっても、導電性樹脂層が緩衝層として機能し、積層セラミックコンデンサ10へのクラックを防止することができる。
【0062】
導電性樹脂層に含まれる金属としては、Ag、Cu、Ni、Sn、Biまたは、それらを含む合金を使用することができる。また、金属粉の表面にAgコーティングされた金属粉を使用することもできる。金属粉の表面にAgコーティングされたものを使用する際には金属粉としてCu、Ni、Sn、Bi又はそれらの合金粉を用いることが好ましい。導電性金属にAgの導電性金属粉を用いる理由としては、Agは金属の中でもっとも比抵抗が低いため電極材料に適しており、Agは貴金属であるため酸化せず耐候性が高いためである。また、上記のAgの特性は保ちつつ、母材の金属を安価なものにすることが可能になるためである。
【0063】
さらに、導電性樹脂層に含まれる金属としては、Cu、Niに酸化防止処理を施したものを使用することもできる。なお、導電性樹脂層に含まれる金属としては、金属粉の表面にSn、Ni、Cuをコーティングした金属粉を使用することもできる。金属粉の表面にSn、Ni、Cuをコーティングされたものを使用する際には金属粉としてAg、Cu、Ni、Sn、Bi又はそれらの合金粉を用いることが好ましい。
【0064】
導電性樹脂層に含まれる金属は、主に導電性樹脂層の通電性を担う。具体的には、導電性フィラー同士が接触することにより、導電性樹脂層内部に通電経路が形成される。
【0065】
導電性樹脂層に含まれる金属は、球形状、扁平状などのものを用いることができるが、球形状金属粉と扁平状金属粉とを混合して用いるのが好ましい。
【0066】
導電性樹脂層の樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの公知の種々の熱硬化性樹脂を使用することができる。その中でも、耐熱性、耐湿性、密着性などに優れたエポキシ樹脂は最も適切な樹脂の一つである。
【0067】
また、導電性樹脂層には、熱硬化性樹脂とともに、硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤としては、ベース樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化剤として
は、フェノール系、アミン系、酸無水物系、イミダゾール系、活性エステル系、アミドイミド系など公知の種々の化合物を使用することができる。
【0068】
導電性樹脂層の厚みの最も厚い部分は、例えば20μm以上70μm以下であることが好ましい。
【0069】
(薄膜層の場合)
下地電極層32として薄膜層を設ける場合は、薄膜層は、スパッタリング法または蒸着法等の薄膜形成法により形成され、金属粒子が堆積された1μm以下の層である。
【0070】
めっき層34は、下地電極層32を覆うように配置されている。
【0071】
めっき層34としては、例えば、Cu、Ni、Sn、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0072】
めっき層34は、複数層により形成されていてもよい。この場合、めっき層34は、Niめっきと、Snめっきの2層構造であることが好ましい。Niめっき層は、下地電極層32が積層セラミックコンデンサ10を実装する際のはんだによって侵食されることを防止するために用いられる。また、Snめっき層は、積層セラミックコンデンサ10を実装する際の半田の濡れ性を向上させて、容易に実装することができるようにするために用いられる。めっき層34の一層あたりの厚みは、1μm以上6μm以下であることが好ましい。
【0073】
なお、下地電極層32を設けずにめっき層だけで外部電極30を形成してもよい。
以下、図示はしていないが、下地電極層32を設けずにめっき層を設ける構造について説明する。
【0074】
第1の外部電極30a、第2の外部電極30b、第3の外部電極30cおよび第4の外部電極30dのいずれかまたはそれぞれは、下地電極層32を設けずに、めっき層が積層体12の表面に直接形成されていてもよい。すなわち、積層セラミックコンデンサ10は、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bに電気的に接続されるめっき層を含む構造であってもよい。このような場合、前処理として積層体12の表面に触媒を配設した後で、めっき層が形成されてもよい。
【0075】
なお、下地電極層32を設けずに積層体12上に直接めっき層を形成する場合は、下地電極層32の厚みを削減した分を低背化、すなわち、薄型化または積層体12の厚み、すなわち有効層部18の厚みに転化できるため、薄型チップの設計自由度を向上させることができる。
【0076】
めっき層は、積層体12の表面に形成される下層めっき電極と、下層めっき電極の表面に形成される上層めっき電極とを含むことが好ましい。下層めっき電極および上層めっき電極はそれぞれ、例えば、Cu、Ni、Sn、Pb、Au、Ag、Pd、Bi又はZnなどから選ばれる少なくとも1種の金属または当該金属を含む合金を含むことが好ましい。さらに、下層めっき電極は、半田バリア性能を有するNiを用いて形成されることが好ましく、上層めっき電極は、半田濡れ性が良好なSnやAuを用いて形成されることが好ましい。
【0077】
また、例えば、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bがNiを用いて形成される場合、下層めっき電極は、Niと接合性のよいCuを用いて形成されることが好ましい。なお、上層めっき電極は必要に応じて形成されればよく、第1の外部電極30
a、第2の外部電極30b、第3の外部電極30cおよび第4の外部電極30dはそれぞれ、下層めっき電極のみで構成されてもよい。めっき層は、上層めっき電極を最外層としてもよいし、上層めっき電極の表面にさらに他のめっき電極を形成してもよい。
【0078】
ここで、下地電極層32を設けずにめっき層だけで外部電極30を形成する場合、下地電極層32を設けずに配置するめっき層の1層あたりの厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0079】
さらに、めっき層は、ガラスを含まないことが好ましい。めっき層の単位体積あたりの金属割合は、99体積%以上であることが好ましい。
【0080】
積層体12および外部電極30を含む積層セラミックコンデンサ10の長さ方向zの寸法をL寸法とする。L寸法は、1.0mm以上1.7mm以下であることが好ましい。
積層体12および外部電極30を含む積層セラミックコンデンサ10の積層方向xの寸法をT寸法とする。T寸法は、0.3mm以上m0.7mm以下であることが好ましい。
積層体12および外部電極30を含む積層セラミックコンデンサ10の幅方向yの寸法をW寸法とする。W寸法は、0.5mm以上0.9mm以下であることが好ましい。
【0081】
図1に示す積層セラミックコンデンサ10は、積層体12の第2領域28bの最も第1の主面12a側に位置する第2の内部電極層16bが第2の主面12bから積層体12の積層方向xの1/3までの範囲内に位置していることによって、実装基板50への電流経路が短くなりESLを低減することができる。
さらに、
図1に示す積層セラミックコンデンサ10は、第3の外部電極30cおよび第4の外部電極30dが積層体12を覆う面積を従来と比べて減らすことができ、より放熱することができる。
【0082】
2.積層セラミックコンデンサの実装構造
続いて、この発明の第1の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの実装構造について、
図10および
図11を参照して説明する。
【0083】
第1の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの実装構造100は、
図10および
図11に示すように、第1の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ10と実装基板50とを含む。実装基板50は、基板のコア材51及び導体ランド52を含む。基板のコア材51は、例えば、ガラス布(クロス)とガラス不織布とを混ぜ合わせた基材にエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を含侵させた材料からなる基板、又はセラミックスとガラスとを混合したシートを焼き付けて製造するセラミックス基板により構成される。なお、基板のコア材51は、単層からなる基板であっても、複数層を積層してなる基板として構成されていてもよい。
【0084】
基板のコア材51の厚みは特に限定されないが、例えば、200μm以上800μm以下とすることが好ましい。
【0085】
基板のコア材51の一方の主面は、導体ランド52が配設されるとともに積層セラミックコンデンサ10の実装面となる基板側実装面51aを構成する。
【0086】
導体ランド52は、第1の導体ランド52a、第2の導体ランド52b、第3の導体ランド52c、及び第4の導体ランド52dを含む。
【0087】
第1の導体ランド52aは、接合材54によって積層セラミックコンデンサ10の第1の外部電極30aと電気的に接続されるとともに機械的に接合される部位である。第2の
導体ランド52bは、接合材54によって積層セラミックコンデンサ10の第2の外部電極30bと電気的に接続されるとともに機械的に接合される部位である。第3の導体ランド52cは、接合材54によって積層セラミックコンデンサ10の第3の外部電極30cと電気的に接続されるとともに機械的に接合される部位である。第4の導体ランド52dは、接合材54によって積層セラミックコンデンサ10の第4の外部電極30dと電気的に接続されるとともに機械的に接合される部位である。
【0088】
なお、導体ランド52は、基板のコア材51の基板側実装面51aの反対側の主面に設けるようにしてもよい。
【0089】
導体ランド52の材質は特に限定されないが、例えば、銅、金、パラジウム、白金などの金属を用いることができる。また、導体ランド52の厚み、すなわち積層方向xにおける寸法は、特に限定されないが、例えば、20μm以上200μm以下とすることが好ましい。接合材54は、例えば、高耐熱用エポキシ系接着剤を用いることができる。
【0090】
なお、上記の説明において、実装基板50は本発明の実装基板に相当する。基板のコア材51は本発明の基板のコア材に相当する。基板側実装面51aは本発明の実装面に相当する。複数の導体ランド52は本発明の複数の接続導体に相当する。ただし、本発明の接続導体は、いわゆるランドのほか、積層セラミックコンデンサと実装基板との間に設けられて両者を電気的に接続可能な導体であれば、その他の用途、機能、形状、名称等によって限定されるものではない。
【0091】
図10および
図11に示す積層セラミックコンデンサの実装構造100は、積層セラミックコンデンサ10の第2の主面12bを基板側実装面51aに相対させるように実装基板50に実装される。これにより、第1の側面12c及び第2の側面12dから引き出される第1の延長部27a及び第2の延長部27bと実装基板50の基板側実装面51aまでとの距離が最短となった状態で、積層セラミックコンデンサ10と実装基板50との電気的接続が実現される。
【0092】
従って、
図10および
図11に示す積層セラミックコンデンサ10の実装構造100は、上記したこの発明の第1の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ10の種々の作用をそのまま反映して、積層セラミックコンデンサ10の第2の内部電極層16bから実装基板50までの電流経路を、従来と比べて短くとることができる。その結果、この発明の第1の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ10の種々の効果を反映して、積層セラミックコンデンサの実装構造における低ESL特性を向上させる効果を奏する。
【0093】
3.積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサ10の製造方法について説明する。
【0094】
まず、誘電体層用の誘電体シートおよび内部電極用の導電性ペーストが準備される。誘電体シートおよび内部電極層用の導電性ペーストは、バインダおよび溶剤を含む。バインダおよび溶剤は、公知のものであってもよい。
【0095】
誘電体シート上に、内部電極層用の導電性ペーストが、たとえば、スクリーン印刷やグラビア印刷などにより所定のパターンで印刷される。これにより、第1の内部電極層のパターンが形成された誘電体シート、および第2の内部電極層のパターンが形成された誘電体シートが準備される。
【0096】
より具体的には、第1の内部電極層を印刷するためのスクリーン版および第2の内部電
極層を印刷するためのスクリーン版を別々に準備し、2種類のスクリーン版をそれぞれ別々に印刷できる印刷機を使用して、それぞれの内部電極層のパターンを印刷することができる。
【0097】
ここで、第1の内部電極層が印刷されたシートを積層することで第1領域28aとなる部分が形成される。また、第1の内部電極層が印刷されたシートと第2の内部電極層が印刷されたシートとを交互に積層することで第2領域28bとなる部分が形成される。このとき、第1の内部電極層が印刷されたシートは、第2の内部電極層が印刷されたシートよりも多く積層される。
【0098】
次に、内部電極層のパターンが印刷されていない誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第1の主面12a側の第1の外層部20aとなる部分が形成される。その後、上述の工程により形成された第1領域28aとなる部分を第1の外層部20aとなる部分の上に積層する。次に、上述の工程により形成された第2領域28bとなる部分を第1領域28aとなる部分の上に積層する。その後、第2領域28bとなる部分の上に、内部電極層のパターンが印刷されていない誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第2の主面12b側の第2の外層部20bとなる部分が形成される。これにより、積層シートが作製される。ここで、第1領域28aとなる部分および第2領域28bとなる部分は、積層する順番を変更することで第1領域28aおよび第2領域28bを所望の位置に配置することができる。
【0099】
続いて、積層シートを静水圧プレスなどの手段により積層方向にプレスし積層ブロックが作製される。
【0100】
次に、積層ブロックが所定のサイズにカットされることにより、積層チップが切り出される。このとき、バレル研磨などにより積層チップの角部および稜線部に丸みがつけられてもよい。
【0101】
そして、切り出された積層チップが焼成されることにより、積層体12が作製される。焼成温度は、誘電体層14や内部電極層16の材料にもよるが、900℃以上1400℃以下であることが好ましい。
【0102】
(下地電極層)
続いて、焼成して得られた積層体12の第1の側面12c上に第3の外部電極30cの第3の下地電極層32cが形成され、積層体12の第2の側面12d上に第4の外部電極30dの第4の下地電極層32dが形成される。
【0103】
下地電極層32として焼付け層を形成する場合には、ガラス成分と金属成分とを含む導電性ペーストを塗布し、その後、焼付け処理を行い、下地電極層32として焼付け層が形成される。このときの焼付け処理の温度は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。本実施の形態では、下地電極層32は、焼付け層で形成している。
【0104】
ここで、焼付け層の形成方法としては、様々な方法を用いることができる。たとえば、第2の主面12bが下になるように、カメラやマグネットで積層体12の方向を揃え、その後、積層体12を保持治具で保持し、導電性ペーストをスリットや穴から押し出して塗布する工法を用いることができる。この工法の場合、導電性ペーストの押し出し量を多くすることで、第2の主面12b上だけでなく、第1の側面12cおよび第2の側面12dに露出された第2の内部電極層16bを覆うように、第1の側面12c上の一部および第2の側面12d上の一部にまで第3の下地電極層32cおよび第4の下地電極層32dを形成することができる。
【0105】
次に、焼成して得られた積層体12の第1の端面12e上に第1の外部電極30aの第1の下地電極層32aが形成され、積層体12の第2の端面12f上に第2の外部電極30bの第2の下地電極層32bが形成される。本実施の形態では、第1の下地電極層32aおよび第2の下地電極層32bは、DIP法を用いて第1の端面12e、第2の端面12fだけでなく、第1の主面12aの一部および第2の主面12bの一部、第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部にまで延びるように形成している。
【0106】
なお、焼付け処理は、第1の外部電極30aの第1の下地電極層32a、第2の外部電極30bの第2の下地電極層32b、第3の外部電極30cの第3の下地電極層32cおよび第4の外部電極30dの第4の下地電極層32dを同時に焼付けてもよいし、第1の外部電極30aの第1の下地電極層32aおよび第2の外部電極30bの第2の下地電極層32bと、第3の外部電極30cの第3の下地電極層32cおよび第4の外部電極30dの第4の下地電極層32dとを、それぞれ別々に焼き付けてもよい。
【0107】
(導電性樹脂層)
なお、下地電極層32を導電性樹脂層で形成する場合は、以下の方法で導電性樹脂層を形成することができる。なお、導電性樹脂層は、焼付け層の表面に形成されてもよく、焼付け層を形成せずに導電性樹脂層を単体で積層体12上に直接形成してもよい。
【0108】
導電性樹脂層の形成方法としては、熱硬化性樹脂および金属成分を含む導電性樹脂ペーストを焼付け層上もしくは積層体12上に塗布し、250℃以上550℃以下の温度で熱処理を行い、樹脂を熱硬化させ、導電性樹脂層を形成する。この時の熱処理時の雰囲気は、N2雰囲気であることが好ましい。また、樹脂の飛散を防ぎ、かつ、各種金属成分の酸化を防ぐため、酸素濃度は100ppm以下に抑えることが好ましい。
【0109】
なお、導電性樹脂ペーストの塗布方法としては、下地電極層32を焼付け層で形成する方法と同様、たとえば、導電性樹脂ペーストをスリットから押し出して塗布する工法を用いて形成することができる。
【0110】
(薄膜層)
また、下地電極層32を薄膜層で形成する場合は、マスキングなどを行い、外部電極30を形成したいところにスパッタリング法または蒸着法等の薄膜形成法により下地電極層32を形成することができる。薄膜層で形成された下地電極層32は金属粒子が堆積された1μm以下の層とする。
【0111】
(めっき層)
さらに、下地電極層32を設けずにめっき層だけで外部電極30を形成してもよい。その場合は、以下の方法で形成することができる。
【0112】
積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fにめっき処理を施し、第1の内部電極層16aの露出部に下層めっき電極を形成する。同様に、積層体12の第1の側面12cおよび第2の側面12dにめっき処理を施し、第2の内部電極層16bの露出部に下層めっき電極を形成する。めっき処理を行うにあたっては、電解めっき、無電解めっきのどちらを採用してもよいが、無電解めっきはめっき析出速度を向上させるために、触媒などによる前処理が必要となり、工程が複雑化するというデメリットがある。したがって、通常は、電解めっきを採用することが好ましい。めっき工法としては、バレルめっきを用いることが好ましい。また、必要に応じて、下層めっき電極の表面に形成される上層めっき電極を同様に形成してもよい。
【0113】
最後に、めっき層34が形成される。なお、めっき層34は、下地電極層32の表面に形成されてもよく、積層体12上に直接形成されてもよい。本実施の形態においては、めっき層34は、下地電極層32の表面に形成される。より詳細には、下地電極層32上に、下層めっき層としてNiめっき層および上層めっき層としてSnめっき層が形成される。めっき処理を行うにあたっては、電解めっき、無電解めっきのどちらを採用してもよい。ただし、無電解めっきはめっき析出速度を向上させるために、触媒などによる前処理が必要となり、工程が複雑化するというデメリットがある。したがって、通常は、電解めっきを採用することが好ましい。
【0114】
上述のようにして、本実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサ10が製造される。
【0115】
B.第2の実施の形態
この発明の第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの一例である積層セラミックコンデンサ110について説明する。
図12は、この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。
図13は、この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す上面図である。
図14は、この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す下面図である。
図15は、この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す側面図である。
図16は、
図12の線XVI-XVIにおける断面図である。
図17は、
図12の線XVII-XVIIにおける断面図である。
図18は、
図16の線XVIII-XVIIIにおける断面図である。
図19は、
図16の線XIX-XIXにおける断面図である。
図20は、この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの第1の側面側の図解図である。
【0116】
図12ないし
図20に示すように、第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ110は、積層体12と、外部電極130とを含む。積層セラミックコンデンサ110は、第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサ10の第3の外部電極30cおよび第4の外部電極30dが、第2の主面12bにおいて連続して配置されたものである。したがって、上記第1の実施の形態の構成要素に相当するものについては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略する。
【0117】
第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ110の外部電極130について説明する。外部電極130は、第1の端面12e側に配置される第1の外部電極130aと、第2の端面12f側に配置される第2の外部電極130bと、第1の側面12c側および第2の側面12d側に配置され、第2の主面12bにおいて連続するように配置される第3の外部電極130cと、を有する。
【0118】
第2の実施形態に係る外部電極130の第1の外部電極130aおよび第2の外部電極130bはそれぞれ、第1の実施形態に係る外部電極30の第1の外部電極30aおよび第2の外部電極30bに対応する。したがって、本実施の形態では、詳細な説明を省略する。
【0119】
第2の実施形態に係る外部電極130の第3の外部電極130cは、積層体12の第1の側面12cの一部、第2の側面12dの一部および第2の主面12bの一部に配置されている。また、第3の外部電極30cは、第2の主面12bにおいて連続して配置されている。さらに、第3の外部電極130cは、第2の内部電極層16bに接続されている。
【0120】
また、第3の外部電極130cの第1の側面12c上の長さ方向zの端部および第2の側面12d上の長さ方向zの端部は、積層体12の第1の側面12cおよび第2の側面1
2dに露出された第2の内部電極層16bの積層体12の長さ方向zの端部から5μm以上100μm以下に位置していることが好ましい。言い換えると、第3の外部電極130cの第1の側面12c上の積層体12の長さ方向zの端部および第2の側面12d上の積層体12の長さ方向zの端部と、積層体12の第1の側面12cおよび第2の側面12dに露出された第2の内部電極層16bの積層体12の長さ方向zの端部との間の長さd2’は、5μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0121】
さらに、第3の外部電極130cの第1の側面12c上の積層体12の積層方向xの端部および第2の側面12d上の積層体12の積層方向xの端部は、積層体12の第1の側面12cおよび第2の側面12dに露出された最も第1の主面12a側の第2の内部電極層16bから5μm以上100μm以下に位置していることが好ましい。言い換えると、第3の外部電極30cおよび第4の外部電極30dの積層体12の積層方向xの端部と、積層体12の第1の側面12cおよび第2の側面12dに露出された第2の内部電極層16bの積層体12の積層方向xの端部との間の長さd3’は、5μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0122】
上記のように第3の外部電極130cを配置することで、第2の内部電極層16bと第3の外部電極130cの電気的接続信頼性を維持しつつ、第3の外部電極130cが積層体12を覆う面積を減らすことができ、より放熱することができる。
また、上記のように第3の外部電極130cを配置することで、積層セラミックコンデンサ10を基板に実装した際に、仮に実装ずれが発生した場合でもセルフアライメント効果が働きやすいという効果がある。
【0123】
外部電極130は、積層体12の表面に配置される下地電極層132と、下地電極層132を覆うように配置されためっき層134とを含む。下地電極層132は、第1の下地電極層132a、第2の下地電極層132bおよび第3の下地電極層132cを有する。めっき層134は、第1のめっき層134a、第2のめっき層134bおよび第3のめっき層134cを有する。言い換えると、第1の外部電極130aは、第1の下地電極層132aおよび第1のめっき層134aを有する。第2の外部電極130bは、第2の下地電極層132bおよび第2のめっき層134bを有する。第3の外部電極130cは、第3の下地電極層132cおよび第3のめっき層134cを有する。第2の実施形態に係る外部電極130の下地電極層132およびめっき層134はそれぞれ、第1の実施形態に係る外部電極30の下地電極層32およびめっき層34に対応する。したがって、本実施の形態では、詳細な説明を省略する。
【0124】
2.積層セラミックコンデンサの実装構造
次に、この発明の第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの実装構造について、
図21および
図22に基づいて説明する。
【0125】
第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの実装構造200は、
図21および
図22に示すように、第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ110と実装基板50とを含む。実装基板50は、基板のコア材51及び導体ランド52を含む。実装基板50の基板のコア材51および導体ランド52は、第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの実装構造100と同じであるため、本実施の形態では、詳細な説明を省略する。
【0126】
図21および
図22に示す積層セラミックコンデンサの実装構造200は、積層セラミックコンデンサ110の第2の主面12bを基板側実装面51aに相対させるように実装基板50に実装される。これにより、第1の側面12c及び第2の側面12dから引き出される第1の延長部27a及び第2の延長部27bと実装基板50の基板側実装面51a
までとの距離が最短となった状態で、積層セラミックコンデンサ110と実装基板50との電気的接続が実現される。
【0127】
さらに、
図21および
図22に示す積層セラミックコンデンサの実装構造200は、積層体12の第2の主面12b側に第3の外部電極130cが連続して配置されているため、積層セラミックコンデンサ110の第2の主面12bを基板側実装面51aに相対させるように実装基板50に実装させることで、積層セラミックコンデンサ110を基板に実装した際に、仮に実装ずれが発生した場合でもセルフアライメント効果が働きやすいという効果がある。
【0128】
従って、
図21および
図22に示す積層セラミックコンデンサ110の実装構造200は、上記したこの発明の第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ110の種々の作用をそのまま反映して、積層セラミックコンデンサ110の第2の内部電極層16bから実装基板50までの電流経路を、従来と比べて短くとることができる。その結果、この発明の第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ110の種々の効果を反映して、積層セラミックコンデンサの実装構造における低ESL特性を向上させる効果を奏する。
【0129】
3.積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサ110の製造方法について説明する。なお、積層体12の作製方法は上記第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサ10の製造方法と同一である。したがって、積層体12に外部電極130を形成する方法から説明する。
【0130】
(下地電極層)
焼成して得られた積層体12の第1の側面12cおよび第2の側面12d上に第3の外部電極130cの第3の下地電極層132cが形成される。
【0131】
下地電極層132として焼付け層を形成する場合には、ガラス成分と金属成分とを含む導電性ペーストを塗布し、その後、焼付け処理を行い、下地電極層132として焼付け層が形成される。このときの焼付け処理の温度は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。本実施の形態では、下地電極層132は、焼付け層で形成している。
【0132】
ここで、焼付け層の形成方法としては、様々な方法を用いることができる。たとえば、第2の主面12bが下になるように、カメラやマグネットで積層体12の方向を揃え、その後、積層体12を保持治具で保持し、導電性ペーストをスリットや穴から押し出して塗布する工法を用いることができる。この工法の場合、導電性ペーストの押し出し量を多くすることで、第2の主面12b上だけでなく、第1の側面12cおよび第2の側面12dに露出された第2の内部電極層16bを覆うように、第1の側面12c上の一部および第2の側面12d上の一部にまで第3の下地電極層132cを形成することができる。
【0133】
また、ローラ転写法を用いて形成することもできる。ローラ転写法の場合、第2の主面12b上だけでなく、第1の側面12cおよび第2の側面12dに露出された第2の内部電極層16bを覆うように、第1の側面12c上の一部および第2の側面12d上の一部にまで第3の下地電極層132cを形成する場合、ローラ転写の際の押し付け圧力を強くすることで第1の側面12cおよび第2の側面12dに露出された第2の内部電極層16bを覆うように、第1の側面12c上の一部および第2の側面12d上の一部にまで第3の下地電極層132cを形成することが可能となる。
【0134】
次に、焼成して得られた積層体12の第1の端面12e上に第1の外部電極130aの
第1の下地電極層132aが形成され、積層体12の第2の端面12f上に第2の外部電極130bの第2の下地電極層132bが形成される。
【0135】
本実施の形態では、第1の下地電極層132aおよび第2の下地電極層132bは、DIP法を用いて第1の端面12e、第2の端面12fだけでなく、第1の主面12aの一部および第2の主面12bの一部、第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部にまで延びるように形成している。
【0136】
なお、焼付け処理は、第1の外部電極130aの第1の下地電極層132a、第2の外部電極130bの第2の下地電極層132bおよび第3の外部電極130cの第3の下地電極層132cを同時に焼付けてもよいし、第1の外部電極130aの第1の下地電極層132aおよび第2の外部電極130bの第2の下地電極層132bと、第3の外部電極130cの第3の下地電極層132cとを、それぞれ別々に焼き付けてもよい。
【0137】
(導電性樹脂層)
なお、下地電極層132を導電性樹脂層で形成する場合は、以下の方法で導電性樹脂層を形成することができる。なお、導電性樹脂層は、焼付け層の表面に形成されてもよく、焼付け層を形成せずに導電性樹脂層を単体で積層体12上に直接形成してもよい。
【0138】
導電性樹脂層の形成方法としては、熱硬化性樹脂および金属成分を含む導電性樹脂ペーストを焼付け層上もしくは積層体12上に塗布し、250℃以上550℃以下の温度で熱処理を行い、樹脂を熱硬化させ、導電性樹脂層を形成する。この時の熱処理時の雰囲気は、N2雰囲気であることが好ましい。また、樹脂の飛散を防ぎ、かつ、各種金属成分の酸化を防ぐため、酸素濃度は100ppm以下に抑えることが好ましい。
【0139】
なお、導電性樹脂ペーストの塗布方法としては、下地電極層132を焼付け層で形成する方法と同様、たとえば、導電性樹脂ペーストをスリットから押し出して塗布する工法やローラ転写法を用いて形成することができる。
【0140】
(薄膜層)
また、下地電極層132を薄膜層で形成する場合は、マスキングなどを行い、外部電極30を形成したいところにスパッタリング法または蒸着法等の薄膜形成法により下地電極層132を形成することができる。薄膜層で形成された下地電極層132は金属粒子が堆積された1μm以下の層とする。
【0141】
(めっき層)
さらに、下地電極層132を設けずにめっき層だけで外部電極130を形成してもよい。その場合は、以下の方法で形成することができる。
【0142】
積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fにめっき処理を施し、第1の内部電極層16aの露出部に下層めっき電極を形成する。同様に、積層体12の第1の側面12cおよび第2の側面12dにめっき処理を施し、第2の内部電極層16bの露出部に下層めっき電極を形成する。めっき処理を行うにあたっては、電解めっき、無電解めっきのどちらを採用してもよいが、無電解めっきはめっき析出速度を向上させるために、触媒などによる前処理が必要となり、工程が複雑化するというデメリットがある。したがって、通常は、電解めっきを採用することが好ましい。めっき工法としては、バレルめっきを用いることが好ましい。また、必要に応じて、下層めっき電極の表面に形成される上層めっき電極を同様に形成してもよい。
【0143】
最後に、めっき層134が形成される。なお、めっき層134は、下地電極層132の
表面に形成されてもよく、積層体12上に直接形成されてもよい。本実施の形態においては、めっき層134は、下地電極層132の表面に形成される。より詳細には、下地電極層132上に、下層めっき層としてNiめっき層および上層めっき層としてSnめっき層が形成される。めっき処理を行うにあたっては、電解めっき、無電解めっきのどちらを採用してもよい。ただし、無電解めっきはめっき析出速度を向上させるために、触媒などによる前処理が必要となり、工程が複雑化するというデメリットがある。したがって、通常は、電解めっきを採用することが好ましい。
【0144】
上述のようにして、本実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサ110が製造される。
【0145】
なお、以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0146】
この発明は、積層セラミックコンデンサおよび積層セラミックコンデンサの実装構造に関し、特に、低容量化および直流抵抗が大きくなることを抑制しつつ、さらに十分な放熱効果および低ESLの効果を十分に得ることができる積層セラミックコンデンサおよび積層セラミックコンデンサの実装構造として利用し得る。
【符号の説明】
【0147】
10,110 積層セラミックコンデンサ
12 積層体
12a 第1の主面
12b 第2の主面
12c 第1の側面
12d 第2の側面
12e 第1の端面
12f 第2の端面
14 誘電体層
16 内部電極層
16a 第1の内部電極層
16b 第2の内部電極層
18 有効層部
20a 第1の外層部
20b 第2の外層部
22a,22b Wギャップ
24a,24b Lギャップ
25a 第1の対向部
25b 第2の対向部
26a 第1の引出部
26b 第2の引出部
27a 第1の延長部
27b 第2の延長部
28a 第1領域
28b 第2領域
30 外部電極
30a 第1の外部電極
30b 第2の外部電極
30c 第3の外部電極
30d 第4の外部電極
30c1 第1の折り返し部
30d1 第2の折り返し部
30c2 第1の被覆部
30d2 第2の被覆部
32 下地電極層
32a 第1の下地電極層
32b 第2の下地電極層
32c 第3の下地電極層
32d 第4の下地電極層
34 めっき層
34a 第1のめっき層
34b 第2のめっき層
34c 第3のめっき層
34d 第4のめっき層
50 実装基板
51 基板のコア材
51a 基板側実装面
52 導体ランド
52a 第1の導体ランド
52b 第2の導体ランド
52c 第3の導体ランド
52d 第4の導体ランド
54 接合材
100,200 積層セラミックコンデンサの実装構造
130 外部電極
130a 第1の外部電極
130b 第2の外部電極
130c 第3の外部電極
132 下地電極層
132a 第1の下地電極層
132b 第2の下地電極層
132c 第3の下地電極層
134 めっき層
134a 第1のめっき層
134b 第2のめっき層
134c 第3のめっき層
x 積層方向
y 幅方向
z 長さ方向
L 積層セラミックコンデンサの長さ方向の寸法
W 積層セラミックコンデンサの幅方向の寸法
T 積層セラミックコンデンサの積層方向の寸法
l 積層体の長さ方向の寸法
w 積層体の幅方向の寸法
t 積層体の積層方向の寸法
d1 第2の主面と第2の内部電極層の端部との積層方向の長さ
d2 第1の実施の形態における第3の外部電極および第4の外部電極の端部と第2の内部電極層の端部との間の長さ方向の長さ
d3 第1の実施の形態における第3の外部電極および第4の外部電極の端部と第2の内部電極層の端部との間の積層方向の長さ
d2’ 第2の実施の形態における第3の外部電極および第4の外部電極の端部と第2の内部電極層の端部との間の長さ方向の長さ
d3’ 第2の実施の形態における第3の外部電極および第4の外部電極の端部と第2の内部電極層の端部との間の積層方向の長さ