(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161898
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】光伝送システム及び受信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 10/073 20130101AFI20231031BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
H04B10/073
H04J14/02 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072533
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 友彰
(72)【発明者】
【氏名】木山 敦之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】歩行田 祥人
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AD01
5K102LA02
5K102LA21
5K102LA31
5K102MH05
5K102MH13
5K102MH14
5K102MH22
5K102MH24
5K102NA02
5K102PB16
5K102PD17
5K102PH11
5K102RB12
5K102RB14
5K102RD28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】トランスポンダが未接続の状態でも運用パスのバンド状態を取得できる光伝送システム及び受信装置を提供する。
【解決手段】光伝送システム1は、運用パスの波長光を光導波路4に送信する送信ノード2A(2)と、光導波路4から波長光を受信する受信ノード2B(2)と、を有する。送信ノード2A(2)は、自然放出光を生成するASE光源13と、ASE光源13からの自然放出光からダミー波長光を生成して出力する波長選択部(WSS11)と、を有する。受信ノード2B(2)は、光導波路4から疎通するダミー波長光のスペクトルデータを抽出する抽出部(OCM23)を有する。光伝送システム1はさらに、抽出部が抽出したダミー波長光のスペクトルデータから運用パスのバンド状態を取得する取得部(パスバンド演算部26)を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運用パスの波長光を光導波路に送信する送信ノードと、前記光導波路から前記波長光を受信する受信ノードと、を有する光伝送システムであって、
前記送信ノードは、
自然放出光を生成する光源と、
前記光源からの前記自然放出光からダミー波長光を生成して出力する波長選択部と、を有し、
前記受信ノードは、
前記光導波路から疎通する前記ダミー波長光のスペクトルデータを抽出する抽出部を有し、
前記光伝送システムは、
前記抽出部にて抽出された前記ダミー波長光のスペクトルデータから運用パスのバンド状態を取得する取得部を有することを特徴とする光伝送システム。
【請求項2】
前記受信ノードは、
前記取得部を有することを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項3】
前記送信ノード及び前記受信ノードを監視する制御装置を有し、
前記制御装置は、
前記取得部を有することを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項4】
前記抽出部は、
光コヒーレント干渉を用いて、前記ダミー波長光のスペクトルデータを抽出する光チャネルモニタであることを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項5】
前記取得部は、
前記ダミー波長光のスペクトルデータのピークから所定値ダウンのバンド幅を前記バンド状態として取得することを特徴とする請求項4に記載の光伝送システム。
【請求項6】
前記送信ノードは、
トランスポンダと未接続の状態で前記運用パスの波長光の内、前記ダミー波長光を出力することを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項7】
前記送信ノードは、
トランスポンダと接続した状態で前記運用パスの波長光の内、前記トランスポンダが使用する波長光と異なる波長の前記ダミー波長光を出力することを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項8】
前記波長選択部は、
前記波長光の第1のスロット幅に比較して狭い第2のスロット幅の前記ダミー波長光を前記自然放出光から生成することを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項9】
送信ノードから光導波路を経て運用パスの波長光を受信する受信装置であって、
前記送信ノードから自然放出光で生成した任意波長のダミー波長光のスペクトルデータを、前記光導波路を疎通する前記ダミー波長光から抽出する抽出部と、
前記抽出部にて抽出された前記ダミー波長光のスペクトルデータから前記運用パスのバンド状態を取得する取得部と、
を有することを特徴とする受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システム及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図14は、従来の光伝送システム100の一例を示す説明図である。
図14に示す光伝送システム100は、送信ノード200A(200)と、受信ノード200B(200)と、中継ノード200C(200)と、制御装置300とを有する。光伝送システム100は、送信ノード200Aから中継ノード200Cを経て受信ノード200Bに運用パスの例えば、100GHzのスロット幅の波長光を波長多重光方式で送信する。光伝送システム100は、送信ノード200Aと中継ノード200Cとの間、中継ノード200Cと受信ノード200Bとの間を運用パスで光接続する光導波路400を有する。
【0003】
送信ノード200Aは、光導波路400上に配置された送信側のROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)である。送信ノード200Aは、MUX(Multiplexer)251と、送信装置210A(210)とを有する。MUX251は、トランスポンダTRPNと接続し、複数のトランスポンダTRPNからの波長光を多重する。送信装置210Aは、WSS(Wavelength Selective Switch)211と、光アンプ212と、OCM(Optical Channel Monitor)213と、通信インタフェース214と、OCM制御部215と、WSS制御部216とを有する。
【0004】
WSS211は、MUX251からの波長多重光を透過する波長選択スイッチである。WSS211の透過帯域は制御装置300からの指示で設定される。光アンプ212は、WSS211で透過した波長多重光を光増幅する。OCM213は、WSS211で透過した波長多重光の波長光毎のスペクトルデータを測定する。OCM213は、波長多重光から任意の波長光を透過する可変波長フィルタと、可変波長フィルタで透過した波長光を電気変換するPD(Photo Diode)とを有する。
【0005】
通信インタフェース214は、制御装置300との間を接続する制御線500を用いて制御装置300と通信する。OCM制御部215は、OCM213を制御する。OCM制御部215は、OCM213の測定結果である任意波長のスペクトルデータを、通信インタフェース214を通じて制御装置300に通知する。WSS制御部216は、WSS211を制御する。WSS制御部216は、通信インタフェース214を通じて制御装置300から設定透過帯域を取得し、取得した設定透過帯域をWSS211に設定する。
【0006】
受信ノード200Bは、光導波路400上に配置された受信側のROADMである。受信ノード200Bは、受信装置220Aと、DEMUX252とを有する。DEMUX252は、接続するトランスポンダTRPNに割り当てる波長光を多重波長光から分離する。受信装置220Aは、光アンプ221と、WSS222と、OCM223と、通信インタフェース224と、OCM制御部225と、WSS制御部226とを有する。
【0007】
光アンプ221は、光導波路400を通じて受信した波長多重光を光増幅する。WSS222は、光増幅後の波長多重光を透過する波長選択スイッチである。WSS222の透過帯域も、制御装置300からの指示で設定される。OCM223は、WSS222で透過した波長多重光の波長光毎のスペクトルデータを測定する。OCM223は、波長多重光から任意の波長光を透過する可変波長フィルタと、可変波長フィルタで透過した波長光を電気変換するPDとを有する。
【0008】
通信インタフェース224は、制御装置300との間を接続する制御線500を用いて制御装置300と通信する。OCM制御部225は、OCM223を制御する。OCM制御部225は、OCM223の測定結果である任意波長のスペクトルデータを、通信インタフェース224を通じて制御装置300に通知する。WSS制御部226は、WSS222を制御する。WSS制御部226は、通信インタフェース224を通じて制御装置300から設定透過帯域を取得し、取得した設定透過帯域をWSS222に設定する。
【0009】
中継ノード200Cは、送信ノード200Aと受信ノード200Bとの間の光導波路400上に配置された中継側のROADMである。中継ノード200Cは、受信装置220Bと、送信装置210Bとを有する。受信装置220Bも、光アンプ221と、WSS222と、OCM223と、通信インタフェース224と、OCM制御部225と、WSS制御部226とを有する。尚、受信装置220Bは、受信装置220Aの構成と同一である。送信装置210Bも、WSS211と、光アンプ212と、OCM213と、通信インタフェース214と、OCM制御部215と、WSS制御部216とを有する。尚、送信装置210Bは、送信装置210Aの構成と同一である。
【0010】
制御装置300は、送信ノード200A、受信ノード200B及び中継ノード200Cを監視制御する。制御装置300は、通信インタフェース310と、記憶部320と、制御部330とを有する。通信インタフェース310は、制御線500を用いて、送信ノード200A内の送信装置210Aと、中継ノード200C内の送信装置210B及び受信装置220Bと、受信ノード200B内の受信装置220Aと通信する。記憶部320は、各種情報を記憶する。制御部330は、制御装置300全体を制御する。制御部330は、設定部331と、監視部332とを有する。設定部331は、制御線500を用いて、送信ノード200A内の送信装置210A内のWSS211に任意の透過帯域を設定する。設定部331は、中継ノード200C内の送信装置210B内のWSS211及び受信装置220B内のWSS222に任意の透過帯域を設定する。設定部331は、受信ノード200B内の受信装置220A内のWSS222に任意の透過帯域を設定する。監視部332は、制御線500を用いて送信ノード200A内の送信装置210A内のOCM213の測定結果を監視する。監視部332は、中継ノード200C内の送信装置210B内のOCM213及び受信装置220B内のOCM223の測定結果を監視する。監視部332は、受信ノード200B内の受信装置220A内のOCM223の測定結果を監視する。
【0011】
従来の光伝送システム100では、トランスポンダTRPNを接続し、トランスポンダTRPNから発光する運用パス上の波長光を用いて送信ノード200Aと受信ノード200Bとの間の光導波路400を疎通する運用パスの波長光のパワーを取得する。その結果、制御装置300は、運用パスの波長光のパワーを認識して送信ノード200Aと受信ノード200Bとの間の通信状態を認識できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2019/151067号
【特許文献2】特開2006-333136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来の光伝送システム100は、トランスポンダTRPNが未接続の状態では、送信ノード200Aと受信ノード200Bとの間の光導波路400を疎通する運用パスの波長光のパワーは勿論のこと、運用パスのバンド状態を取得できない。特に、運用パスのバンド状態は運用パスの通信を評価する上で重要な指標である。
【0014】
一つの側面では、トランスポンダが未接続の状態でも運用パスのバンド状態を取得できる光伝送システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一つの態様の光伝送システムは、運用パスの波長光を光導波路に送信する送信ノードと、前記光導波路から前記波長光を受信する受信ノードと、を有する。前記送信ノードは、自然放出光を生成する光源と、前記光源からの前記自然放出光からダミー波長光を生成して出力する波長選択部と、を有する。前記受信ノードは、前記光導波路から疎通する前記ダミー波長光のスペクトルデータを抽出する抽出部を有する。前記光伝送システムは、前記抽出部にて抽出された前記ダミー波長光のスペクトルデータから運用パスのバンド状態を取得する取得部を有する。
【発明の効果】
【0016】
一つの側面によれば、トランスポンダが未接続の状態でも運用パスのバンド状態を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施例1の光伝送システムの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、送信装置の一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、ダミー波長光の生成方法の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、受信装置の一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、パスバンドの一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、制御装置の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施例1のパスバンドモニタ処理に関わる光伝送システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】
図8は、トランスポンダ実装前のダミー波長光のパスバンドをモニタする光伝送システムの一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、トランスポンダを実装した運用中のダミー波長光のパスバンドをモニタする光伝送システムの一例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、実施例2の光伝送システムの一例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、実施例2のパスバンドモニタ処理に関わる光伝送システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図14】
図14は、従来の光伝送システムの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本願の開示する光伝送システム及び受信装置の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例0019】
図1は、実施例1の光伝送システム1の一例を示す説明図である。
図1に示す光伝送システム1は、送信ノード2A(2)と、受信ノード2B(2)と、中継ノード2C(2)と、制御装置3とを有する。光伝送システム1は、送信ノード2Aから中継ノード2Cを経て受信ノード2Bに運用パスの例えば、100GHzのスロット幅の波長光を波長多重光方式で送信する。光伝送システム1は、送信ノード2Aと中継ノード2Cとの間、中継ノード2Cと受信ノード2Bとの間を運用パスで光接続する光導波路4を有する。
【0020】
送信ノード2Aは、光導波路4上に配置された送信側のROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)である。送信ノード2Aは、MUX(Multiplexer)51と、送信装置10A(10)とを有する。MUX51は、トランスポンダTRPNと接続し、複数のトランスポンダTRPNからの波長光を多重する。
図2は、送信装置10Aの一例を示す説明図である。
図2に示す送信装置10Aは、WSS(Wavelength Selective Switch)11と、光アンプ12と、ASE(Amplified Spontaneous Emission)光源13と、OCM(Optical Channel Monitor)14と、通信インタフェース15と、を有する。送信装置10Aは、OCM制御部16と、WSS制御部17とを有する。
【0021】
WSS11は、MUX51からの波長多重光を透過する波長選択部である。WSS11の透過帯域は制御装置3からの指示で設定される。光アンプ12は、WSS11で透過した波長多重光を光増幅する。ASE光源13は、ASE光を発光する光源である。OCM14は、WSS11で透過した波長多重光の波長光毎のスペクトルデータを測定する抽出部である。OCM14は、光コヒーレント干渉を用いて、ダミー波長光のスペクトルデータ(光パワー)を抽出するコヒーレントOCMである。尚、OCM14は、従来のOCM213及び223に比較して分解能が高い高性能のOCMである(例えば、米国特許第09490895号明細書参照)。
【0022】
通信インタフェース15は、制御装置3との間を接続する制御線5を用いて制御装置3と通信する。OCM制御部16は、OCM14を制御する。OCM制御部16は、OCM14の測定結果である任意波長のスペクトルデータを、通信インタフェース15を通じて制御装置3に通知する。WSS制御部17は、WSS11を制御する。WSS制御部17は、通信インタフェース15を通じて制御装置3から設定透過帯域を取得し、取得した設定透過帯域をWSS11に設定する。
【0023】
図3は、ダミー波長光の生成方法の一例を示す説明図である。
図3に示すASE光源13は、無入力の第1の光アンプ13Aと、第1の光アンプ13Aの出力を光増幅する第2の光アンプ13Bとを直列に接続する。そして、ASE光源13は、第2の光アンプ13Bの利得を調整することでブロードバンドのASE光を出力する。WSS11は、ASE光源13からのブロードバンドのASE光を入力し、トランスポンダTRPNの波長光に模したダミー波長光を透過出力する。
【0024】
受信ノード2Bは、光導波路4上に配置された受信側のROADMである。受信ノード2Bは、受信装置20A(20)と、DEMUX52とを有する。DEMUX52は、接続するトランスポンダTRPNに割り当てる波長光を多重波長光から分離する。
図4は、受信装置20Aの一例を示す説明図である。
図4に示す受信装置20Aは、光アンプ21と、WSS22と、OCM23と、通信インタフェース24と、OCM制御部25と、パスバンド演算部26と、WSS制御部27とを有する。
【0025】
光アンプ21は、光導波路4を通じて受信した波長多重光を光増幅する。WSS22は、光増幅後の波長多重光を透過する波長選択スイッチである。WSS22の透過帯域も、制御装置3からの指示で設定される。OCM23は、WSS22で透過した波長多重光の波長光毎のスペクトルデータを測定する。OCM23は、光コヒーレント干渉を用いて、ダミー波長光のスペクトルデータを抽出するコヒーレントOCMである。
【0026】
通信インタフェース24は、制御装置3との間を接続する制御線5を用いて制御装置3と通信する。OCM制御部25は、OCM23を制御する。OCM制御部25は、OCM23の測定結果であるダミー波長光のスペクトルデータを取得する。パスバンド演算部26は、ダミー波長光のスペクトルデータから運用パスのバンド状態であるパスバンドモニタ値を算出する取得部である。パスバンド演算部26は、制御線5を用いてパスバンドモニタ値を制御装置3に通知する。
【0027】
WSS制御部27は、WSS222を制御する。WSS制御部226は、通信インタフェース224を通じて制御装置300から設定透過帯域を取得し、取得した設定透過帯域をWSS222に設定する。
【0028】
図5は、パスバンドの一例を示す説明図である。パスバンド演算部26は、
図5に示すように、ダミー波長光のスペクトルのピークパワーから0.5dBダウンのパスバンド幅と、ピークパワーから3.0dBダウンのパスバンド幅とを算出する。
【0029】
中継ノード2Cは、送信ノード2Aと受信ノード2Bとの間の光導波路4上に配置された中継側のROADMである。中継ノード2Cは、受信装置20Bと、送信装置10Bとを有する。受信装置20Bも、光アンプ21と、WSS22と、OCM23と、通信インタフェース24と、OCM制御部25と、パスバンド演算部26と、WSS制御部27とを有する。尚、受信装置20Bは、受信装置20Aの構成と同一である。送信装置10Bも、WSS11と、光アンプ12と、ASE光源13と、OCM14と、通信インタフェース15と、OCM制御部16と、WSS制御部17とを有する。尚、送信装置10Bは、送信装置10Aの構成と同一である。
【0030】
図6は、制御装置3の一例を示す説明図である。
図6に示す制御装置3は、送信ノード2A、受信ノード2B及び中継ノード2Cを監視制御する。制御装置3は、通信インタフェース31と、記憶部32と、制御部33とを有する。通信インタフェース31は、制御線5を用いて、送信ノード2A内の送信装置10Aと、中継ノード2C内の送信装置10B及び受信装置20Bと、受信ノード2B内の受信装置20Aと通信する。記憶部32は、各種情報を記憶する。制御部33は、制御装置3全体を制御する。制御部33は、監視部33Aと、設定部33Bとを有する。設定部33Bは、制御線5を用いて、送信ノード2A内の送信装置10A内のWSS11、中継ノード2C内の送信装置10B内のWSS11及び受信装置20B内のWSS22、受信ノード2B内の受信装置20A内のWSS22に任意の透過帯域を設定する。監視部33Aは、制御線5を用いて、受信ノード2B内の受信装置20A及び中継ノード2C内の受信装置20B内のパスバンド演算部26のパスバンドモニタ値を受信し、受信したパスバンドモニタ値に基づき、運用パスのバンド状態を評価する。
【0031】
制御装置3は、光伝送システム1においてトランスポンダTRPNと未接続の状態で、ASE光源13から発光する運用パス上のダミー波長光を用いて送信ノード2Aと受信ノード2Bとの間の運用パスのバンド状態を取得する。更に、制御装置3は、取得した運用パスのバンド状態である、パスバンドモニタ値を図示せぬ表示部に表示する。その結果、制御装置3の利用者は、運用パスのパスバンドモニタ値を参照して接続する運用パスの通信状態をトランスポンダTRPN実装前に評価できる。
【0032】
次に実施例1の光伝送システム1の動作について説明する。
図7は、実施例1のパスバンドモニタ処理に関わる光伝送システム1の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
図7に示すパスバンドモニタ処理は、送信ノード2A内の送信装置10AからASE光源13によるダミー波長光を送信し、受信ノード2B内の受信装置20Aでダミー波長光のバンド状態をモニタする処理である。尚、説明の便宜上、光伝送システム1では、送信ノード2A及び受信ノード2BにトランスポンダTRPNが未接続の状態とする。
【0033】
制御装置3は、モニタ対象のチャネルの帯域設定指示を生成する(ステップS11)。帯域設定指示は、モニタ対象のチャネルであるダミー波長光を透過する透過帯域を各ノード2内の各WSS11、22に設定するコマンドである。帯域設定指示には、ダミー波長光の中心波長及びスロット幅に相当する。尚、スロット幅は、運用中に使用する第1のスロット幅として、例えば、100GHzとする。
【0034】
制御装置3は、制御線5を用いて、モニタ対象のチャネルの帯域設定指示を光伝送システム1内の送信ノード2Aに送信する(ステップS12A)。更に、制御装置3は、制御線5を用いて、モニタ対象のチャネルの帯域設定指示を光伝送システム1内の中継ノード2Cに送信する(ステップS12B)。更に、制御装置3は、制御線5を用いて、モニタ対象のチャネルの帯域設定指示を光伝送システム1内の受信ノード2Bに送信する(ステップS12C)。
【0035】
送信ノード2Aは、制御線5を用いて制御装置3からの帯域設定指示を受信した場合(ステップS13A)、帯域設定指示内の中心波長の第1のスロット幅を第2のスロット幅に変換する(ステップS14)。尚、第2のスロット幅は、運用に設定する100GHzよりも12.5GHz狭い87.5GHzである。第2のスロット幅は、運用のトランスポンダTRPNの波長光のスペクトルに似せると共に、複数波長を出力する場合には隣接波長との重なりを抑制できる。更に、送信ノード2Aは、変換後の中心波長及び第2のスロット幅をWSS11に設定する(ステップS15)。その結果、送信ノード2A内のWSS11は、中心波長から第2のスロット幅87.5GHzのダミー波長光をASE光から透過して出力することになる。
【0036】
更に、中継ノード2Cは、制御線5を用いて制御装置3から帯域設定指示を受信した場合(ステップS13B)、帯域設定指示内の中心波長及び第1のスロット幅をWSS1122に設定する(ステップS15A)。尚、第1のスロット幅は、運用時に使用する、例えば、100GHzである。その結果、中継ノード2C内のWSS11,22は、ダミー波長光を透過することになる。
【0037】
更に、受信ノード2Bは、制御線5を用いて制御装置3から帯域設定指示を受信した場合(ステップS13C)、帯域設定指示内の中心波長及び第1のスロット幅をWSS22に設定する(ステップS15B)。その結果、受信ノード2B内のWSS22は、ダミー波長光を透過することになる。
【0038】
送信ノード2Aは、ステップS15にてWSS11に中心波長及び第2のスロット幅の透過帯域を設定した後、ASE光源13からのASE光をWSS11で透過してダミー波長光を生成して光導波路4に送信する(ステップS16)。
【0039】
受信ノード2B内のOCM制御部25は、光導波路4を通じて送信ノード2Aからダミー波長光を受信した場合(ステップS17)、OCM23を通じてダミー波長光のスペクトルデータを測定して取得する(ステップS18)。
【0040】
受信ノード2B内のパスバンド演算部26は、OCM制御部25から取得したダミー波長光のスペクトルデータに基づき、ダミー波長光のピークから0.5dB及び3.0dBダウンのパスバンドモニタ値を算出する(ステップS19)。制御装置3は、制御線5を用いて、モニタ対象チャネルのパスバンドモニタ値要求を受信ノード2Bに通知する(ステップS20)。
【0041】
受信ノード2Bは、制御線5を用いて、パスバンドモニタ値要求を受信した場合(ステップS21)、モニタ対象チャネルのダミー波長光の0.5dB及び3.0dBダウンのパスバンドモニタ値を取得する(ステップS22)。受信ノード2Bは、制御線5を用いて、モニタ対象チャネルのダミー波長光のパスバンドモニタ値を制御装置3に送信する(ステップS23,S24)。
【0042】
制御装置3は、制御線5を用いて、モニタ対象チャネルのパスバンドモニタ値を受信した場合(ステップS25)、
図7に示す処理動作を終了する。その結果、制御装置3は、モニタ対象チャネルのパスバンドモニタ値を取得する。制御装置3は、ダミー波長光であるモニタ対象チャネルのパスバンドモニタ値に基づき、運用パスの通信状態をトランスポンダ実装前でも評価できる。
【0043】
図8は、トランスポンダTRPN実装前のダミー波長光のパスバンドをモニタする光伝送システム1の一例を示す説明図である。送信ノード2A及び受信ノード2Bは、トランスポンダTRPNが未接続の状態である。送信ノード2A内のWSS11は、トランスポンダTRPNが未接続の状態でも、ASE光源13からのASE光でダミー波長光を生成して出力する。そして、受信ノード2Bは、WSS22を通じてダミー波長光のスペクトルデータを取得し、ダミー波長光のスペクトルデータからパスバンドモニタ値を取得し、パスバンドモニタ値を制御装置3に通知する。その結果、制御装置3は、トランスポンダTRPNと未接続の場合でも、運用パスのダミー波長光のパスバンドモニタ値を取得できる。
【0044】
制御装置3は、パスバンドモニタ値が基準値よりも悪かった場合、例えば、バンド幅が細くなった場合、トランスポンダTRPN実装後にビットレートを下げて運用を開始することになる。また、制御装置3は、初めからビットレートの低いトランスポンダTRPNを選択して運用を開始しても良い。
【0045】
制御装置3は、パスバンドモニタ値が基準値以上の場合、例えば、バンド幅があまり細くなってない場合、ビットレートを高くして運用を開始する。また、制御装置3は、初めから高いビットレートをサポートするトランスポンダTRPNを選択して運用を開始しても良い。
【0046】
尚、制御装置3は、運用パスのパスバンドモニタ値を取得する場合を例示したが、パスバンドモニタ値や、OSNR(Optical Signal to Noise Ratio)やFiberInのパワーと組み合わせて運用パスの通信性能を評価しても良い。制御装置3は、例えば、パスバンドモニタ値や、OSNR(Optical Signal to Noise Ratio)やFiberInを伝送設計ツールに入力し、運用パスの通信性能を評価しても良い。
【0047】
図9は、トランスポンダTRPNを実装した運用中のダミー波長光のパスバンドをモニタする光伝送システム1の一例を示す説明図である。送信ノード2A及び受信ノード2BはトランスポンダTRPNと接続して運用中の状態である。送信ノード2A内のWSS11は、トランスポンダTRPNと接続して運用中の状態でも、トランスポンダTRPNが運用中の波長光と異なる未使用のダミー波長光を生成して出力する。そして、受信ノード2Bは、WSS22を通じてダミー波長光のスペクトルデータを取得し、ダミー波長光のスペクトルデータからパスバンドモニタ値を取得し、パスバンドモニタ値を制御装置3に通知する。その結果、制御装置3は、運用中でも、未使用の波長光であるダミー波長光のパスバンドモニタ値を取得することで、新たなトランスポンダTRPNの増設前に未使用の波長光のパスバンドモニタ値を事前に認識できる。
【0048】
実施例1の送信ノード2Aは、ASE光源13からのASE光からダミー波長光を生成して出力するWSS11を有する。受信ノード2Bは、光導波路4から疎通するダミー波長光のスペクトルデータをOCM23で抽出し、ダミー波長光のスペクトルデータから運用パスのパスバンドモニタ値を算出する。その結果、トランスポンダが未接続の状態でも、運用パスのパスバンドモニタ値を取得できる。
【0049】
受信ノード2Bは、パスバンド演算部26を有する。その結果、制御装置3側の演算処理負担を軽減できる。
【0050】
OCM23は、光コヒーレント干渉を用いて、ダミー波長光のスペクトルデータを抽出する。その結果、OCM23は、ダミー波長光のスペクトルデータを高精度に取得できる。
【0051】
パスバンド演算部26は、ダミー波長光のスペクトルデータのピークから所定値ダウンのバンド幅、0.5dBダウン及び3.0dBダウンのバンド幅をバンド状態として取得する。その結果、ROADMの通信評価の指標となるバンド幅でROADMの運用パスの通信性能を評価できる。
【0052】
WSS11は、ASE光源13からのASE光から波長光の第1のスロット幅に比較して狭い第2のスロット幅のダミー波長光を生成する。その結果、運用のトランスポンダTRPNの波長光のスペクトルに似せると共に、複数波長を出力する場合には隣接波長との重なりを抑制できる。
【0053】
尚、説明の便宜上、モニタ対象チャネルの単一中心波長のダミー波長光を例示したが、モニタ対象チャネルは複数本の中心波長のダミー波長光でも良く、適宜変更可能である。
【0054】
また、送信ノード2Aと受信ノード2Bとの間の運用パスのパスバンドモニタ値を取得する場合を例示した。しかしながら、中継ノード2C内の受信装置20B内のパスバンド演算部26は、ダミー波長光のパスバンドモニタ値を算出しても良い。その結果、送信ノード2Aと中継ノード2Cとの間の運用パスのパスバンドモニタ値を取得できる。また、中継ノード2C内の送信装置10B内のWSS11は、ASE光によるダミー波長光を生成し、受信装置20A内のパスバンド演算部26でダミー波長光のパスバンドモニタ値を算出しても良い。その結果、中継ノード2Cと受信ノード2Bとの間の運用パスのパスバンドモニタ値を取得できる。
【0055】
監視部33Aは、制御線5を用いて送信ノード2A内の送信装置10A内のOCM14、中継ノード2C内の送信装置10B内のOCM14及び受信装置20B内のOCM23、受信ノード2B内の受信装置20A内のOCM23の測定結果を取得しても良い。この場合、制御装置3は、光伝送システム1においてトランスポンダTRPNと未接続の状態で、ASE光源13から発光する運用パス上のダミー波長光を用いて送信ノード2Aと受信ノード2Bとの間の運用パスの波長光のパワーを取得できる。
【0056】
尚、実施例1の受信装置20では、ダミー波長光のスペクトルデータに基づき0.5dB及び3.0dBダウンのパスバンドモニタ値を算出するパスバンド演算部26を内蔵し、算出したパスバンドモニタ値を制御装置3に通知する場合を例示した。しかしながら、パスバンド演算部26は、受信装置20の代わりに制御装置3に内蔵しても良く、その実施の形態につきに、実施例2として以下に説明する。
制御装置3Aは、モニタ対象のチャネルの帯域設定指示を生成する(ステップS31)。帯域設定指示は、モニタ対象のチャネルであるダミー波長光を透過する透過帯域を各ノード2内の各WSS11,22に設定するコマンドである。帯域設定指示には、ダミー波長光の中心波長及びスロット幅に相当する。尚、スロット幅は、運用中に使用する第1のスロット幅として、例えば、100GHzとする。
制御装置3Aは、制御線5を用いて、モニタ対象のチャネルの帯域設定指示を光伝送システム内の送信ノード2Aに送信する(ステップS32A)。更に、制御装置3Aは、制御線5を用いて、モニタ対象のチャネルの帯域設定指示を光伝送システム1A内の中継ノード2C1に送信する(ステップS32B)。更に、制御装置3Aは、制御線5を用いて、モニタ対象のチャネルの帯域設定指示を光伝送システム1A内の受信ノード2B1に送信する(ステップS32C)。
送信ノード2Aは、制御線5を用いて、制御装置3Aからの帯域設定指示を受信した場合(ステップS33A)、帯域設定指示内の中心波長の第1のスロット幅を第2のスロット幅に変換する(ステップS34)。尚、第2のスロット幅は、運用に設定する100GHzよりも12.5GHz狭い87.5GHzである。更に、送信ノード2Aは、変換後の中心波長及び第2のスロット幅をWSS11に設定する(ステップS35)。その結果、送信ノード2A内のWSS11は、中心波長から第2のスロット幅87.5GHzのダミー波長光をASE光から透過して出力することになる。
更に、中継ノード2Cは、制御線5を用いて、制御装置3Aから帯域設定指示を受信した場合(ステップS33B)、帯域設定指示内の中心波長及び第1のスロット幅をWSS11,22に設定する(ステップS35A)。尚、第1のスロット幅は、運用時に使用する、例えば、100GHzである。その結果、中継ノード2C内のWSS11,22は、ダミー波長光を透過することになる。
更に、受信ノード2B1は、制御線5を用いて制御装置3Aから帯域設定指示を受信した場合(ステップS33C)、帯域設定指示内の中心波長及び第1のスロット幅をWSS22に設定する(ステップS35B)。その結果、中継ノード2C内のWSS11,22は、ダミー波長光を透過することになる。
送信ノード2Aは、ステップS35にてWSS11に中心波長及び第2のスロット幅の透過帯域を設定した後、ASE光源13からのASE光をWSS11で透過してダミー波長光を生成して光導波路4に送信する(ステップS36)。
受信ノード2B1内のOCM制御部25は、光導波路4を通じて送信ノード2Aからダミー波長光を受信した場合(ステップS37)、OCM23を通じてダミー波長光のスペクトルデータを測定して取得する(ステップS38)。
制御装置3Aは、制御線5を用いて、スペクトルデータ要求を受信ノード2B1に送信する(ステップS39)。受信ノード2B1は、制御線5を用いて、制御装置3Aからスペクトルデータ要求を受信した場合(ステップS41)、制御線5を用いてモニタ対象チャネルのダミー波長光のスペクトルデータを制御装置3Aに送信する(ステップS42,S43)。
実施例2の送信ノード2Aは、ASE光源13からのASE光からダミー波長光を生成して出力するWSS11を有する。受信ノード2B1は、光導波路4から疎通するダミー波長光のスペクトルデータをOCM23で抽出し、抽出したダミー波長光のスペクトルデータを制御装置3Aに通知する。制御装置3Aは、抽出したダミー波長光のスペクトルデータから運用パスのパスバンドモニタ値を算出する。その結果、制御装置3Aは、トランスポンダが未接続の状態でも、運用パスのパスバンドモニタ値を取得できる。
尚、光伝送システム1Aでは、トランスポンダTRPN実装前にASE光を使用したダミー波長光のパスバンドモニタ値を算出する場合を例示したが、運用中に未使用の波長光であるダミー波長光のパスバンドモニタ値を算出しても良く、適宜変更可能である。
また、送信ノード2Aと受信ノード2B1との間の運用パスのパスバンドモニタ値を取得する場合を例示した。しかしながら、制御装置3Aは、中継ノード2C1内の受信装置20B1からのダミー波長光のスペクトルデータに基づきパスバンドモニタ値を算出しても良い。その結果、送信ノード2Aと中継ノード2C1との間の運用パスのパスバンドモニタ値を取得できる。また、中継ノード2C1内の送信装置10B内のWSS11は、ASE光によるダミー波長光を生成し、制御装置3Aは、受信装置20A1からのダミー波長光のスペクトルデータに基づきパスバンドモニタ値を算出しても良い。その結果、中継ノード2C1と受信ノード2B1との間の運用パスのパスバンドモニタ値を取得できる。