(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161900
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
B65D47/08 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072536
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100191145
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA32
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB01
3E084CC08
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB01
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA02
3E084FC07
3E084FC08
3E084GA06
3E084GB06
3E084GB12
3E084HA03
3E084HB01
3E084HC01
3E084HD01
3E084LA01
3E084LA18
3E084LB02
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】 ヒンジキャップ内の内圧が上昇しても、移行栓の引上部付近が浮き上がらず、上蓋とキャップ本体との係合部分に隙間が生じないヒンジキャップを提供すること。
【解決手段】 容器本体Dに装着され、注出筒6を有するキャップ本体Aと、キャップ本体AにヒンジCを介して連設される上蓋Bとからなるヒンジキャップであって、キャップ本体Aは、注出筒6の内周を閉鎖する隔壁5と、隔壁5に破断可能な薄肉弱化部8によって画成され、上蓋Bの開蓋時に薄肉弱化部8が破断され、キャップ本体A側から上蓋B側に移行される移行栓9とを備え、移行栓9は、注出方向側に引上部12を有し、上蓋Bは、移行栓9の引上部12と係着する係着部39を有し、隔壁5は、注出方向側の薄肉弱化部8に沿って形成される肉厚部18を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体に装着され、注出筒を有するキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連設される上蓋とからなるヒンジキャップであって、
キャップ本体は、注出筒の内周を閉鎖する隔壁と、隔壁に破断可能な薄肉弱化部によって画成され、上蓋の開蓋時に薄肉弱化部が破断され、キャップ本体側から上蓋側に移行される移行栓とを備え、
移行栓は、注出方向側に引上部を有し、
上蓋は、移行栓の引上部と係着する係着部を有し、
隔壁は、注出方向側の薄肉弱化部に沿って形成される肉厚部を有することを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
肉厚部は、少なくとも注出筒側または薄肉弱化部側に傾斜面を有することを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
肉厚部は、平面視で注出方向側に向けて幅狭したハの字形状であることを特徴とする請求項1または2に記載のヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジキャップに関し、とくに、上蓋を開蓋するだけで開封できる移行栓を備えるヒンジキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、容器本体に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連設される上蓋とからなるヒンジキャップにおいて、容器本体の密封性を確保するため、キャップ本体の隔壁に注出口の開口予定部として、破断可能な薄肉弱化部によって画成され、プルリングなどを設けた開栓部を形成していた。
【0003】
このため、開栓部を開封するには、上蓋を開けた後、プルリングなどを引っ張り上げて開栓部を除去する作業が必要となり、手間がかかるとともに、力の弱い利用者にとっては開封に苦労するという問題があった。
このため、プルリングを省略し、開栓部としての移行栓に立設された引上壁を上蓋から垂設された係合壁に係合させて、上蓋の開蓋とともに、引上壁ごと移行栓を引っ張り上げて薄肉弱化部を破断し、開封するヒンジキャップが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のヒンジキャップでは、内容液を耐熱充填後、高温シャワーで殺菌、さらに水冷却が行われると、ヒンジキャップ内の内圧が上昇し、薄肉弱化部が破断することはないが、移行栓の引上部付近が浮き上がり、引上部と上蓋の頂壁が連結されているため、上蓋とキャップ本体との係合部分に隙間が生じ、ヒンジキャップ内に冷却水を吸い込む不具合があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、ヒンジキャップ内の内圧が上昇しても、移行栓の引上部付近が浮き上がらず、上蓋とキャップ本体との係合部分に隙間が生じないヒンジキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、ヒンジキャップとして、容器本体に装着され、注出筒を有するキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連設される上蓋とからなるヒンジキャップであって、キャップ本体は、注出筒の内周を閉鎖する隔壁と、隔壁に破断可能な薄肉弱化部によって画成され、上蓋の開蓋時に薄肉弱化部が破断され、キャップ本体側から上蓋側に移行される移行栓とを備え、移行栓は、注出方向側に引上部を有し、上蓋は、移行栓の引上部と係着する係着部を有し、隔壁は、注出方向側の薄肉弱化部に沿って形成される肉厚部を有することを特徴とする構成を採用する。
【0008】
ヒンジキャップの実施形態として、肉厚部は、少なくとも注出筒側または薄肉弱化部側に傾斜面を有することを特徴とする構成を採用し、また、肉厚部は、平面視で注出方向側に向けて幅狭したハの字形状であることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヒンジキャップは、上記構成を採用することにより、注出方向側の隔壁を補強することで移行栓の変形を抑制し、ヒンジキャップ内の内圧が上昇しても上蓋が浮き上がらず、閉蓋状態を維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例のヒンジキャップを容器本体に装着した状態を示す図で、(a)は上蓋閉蓋時の側面断面図で、(b)はキャップ本体の上面図である。
【
図2】本発明の実施例のヒンジキャップを成形した開蓋状態を示す図で、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
【
図3】
図1(b)の要部拡大図で、(a)は開封前、(b)は開封後の図である。
【
図4】
図1(b)のO-O線切断面の状態を示す図で、(a)はキャップ本体の隔壁に肉厚部を形成しない時の拡大図で、(b)は肉厚部を形成した時の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明のヒンジキャップについて、以下の実施例に示した図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、
図1(a)でみて、左方向を「注出方向側」とし、右方向を「ヒンジ側」とし、上方向を「上」とし、下方向を「下」とする。
【実施例0012】
図1において、Aは容器本体Dに装着されるキャップ本体、Bはキャップ本体AにヒンジCを介して開閉自在に連設された上蓋である。
容器本体Dは、上部に口部1を備え、口部1の外周には、係合突条2が設けられている。
本実施例では、容器本体Dは、ガラスびんを想定している。なお、容器本体Dは、合成樹脂製の容器形態でもよい。
【0013】
図1~
図3(a)に示すように、キャップ本体Aは、容器本体Dの口部1を封鎖する隔壁5と、隔壁5の外縁上面から立設された注出筒6と、隔壁5の外縁に設けられ、口部1に装着される装着部7とから構成されている。
【0014】
隔壁5は、注出筒6の内周側に、使用時に注出口10を開口するため、破断可能な薄肉弱化部8によって画成された移行栓9が設けられている。
薄肉弱化部8は、薄肉弱化部8の破断を容易にするために、隔壁5の注出方向側に角度αの角部を有する正面側部8aが形成されており、抜栓後、注出口10の注出方向側に角度αで角部が尖った液案内部10aが形成される。
なお、角度αは、50~80°の鋭角である。
【0015】
移行栓9は、注出方向側が角度αで角部が尖った先端部11aとなる底壁11が薄肉弱化部8によって区画され、底壁11の上面には、注出方向側の先端部11aに略円筒状の引上部12が立設され、引上部12を除き、薄肉弱化部8の内側に沿って保持立壁13が立設されている。
引上部12の背面側には、その上部から底壁11上面に向けて補強リブ14が設けられている。
本実施例では、引上部12の上面には、引上部12を覆うように、段部15を介して上方に山形状の係着突部16が設けられている。
【0016】
隔壁5の注出方向側の上面には、注出筒6の内周から薄肉弱化部8の正面側部8aに沿って、少なくとも係着突部16の位置まで平面視でハの字形状に両側に延びる肉厚部18が突設される。
肉厚部18は、断面が山形状をなし、抜栓後の注出口10に形成される液案内部10aの両側から上方に延びる内側面18a(薄肉弱化部側)と、内側面18aの上端部である頂部18cからそれぞれ外側かつ注出筒6側に下方に傾斜して延びる傾斜面18b(注出筒側)とを備えている。
なお、肉厚部18の断面形状は、山形状に限らないので、必ずしも傾斜面を設ける必要はないが、肉厚部18の頂部18cに傾斜面やR形状を設けておけば、内容液が回収し易くなる。
【0017】
装着部7は、隔壁5の外周縁から垂設され、外周が容器本体Dの口部1の内周に挿入される内筒20と、内周が口部1の外周に係合する外筒21と、内筒20と外筒21の上端部で連設された環状の上壁22とを備え、上壁22の上部には、蓋係合部23が立設され、蓋係合部23の上部から外方に突出する膨出部23aが設けられている。
【0018】
外筒21は、外周の背面側の上端部周辺にヒンジCが連設され、内周下部には、口部1の外周に設けられた係合突条2と係合する係合突部24が突設されている。
【0019】
外筒21には、
図1(b)および
図2(a)に示すように、ヒンジCから見て左側の近傍の外周面に平面視で略V字状の外周切り込み部25が上方から切り込まれ、外周切り込み部25の内周側の上部の薄肉部を隔てた位置を起点として背面側の円周方向に所定の範囲(本実施例では350°程)延びるように、スリット溝26が上下を貫くように設けられ、外周切り込み部25とスリット溝26の終点との間が連結部27となっている。
スリット溝26の下端は、少なくとも、背面側のヒンジCがある範囲と、連結部27側の所定範囲の弱化底壁28と、弱化底壁28と連結部27との間の所定範囲に間隔を開けて複数配設される弱化片29とで連結されている。
【0020】
このため、本実施例のヒンジキャップは、容器の廃棄時に、ヒンジCを介して上蓋Bを引き下げると、外周切り込み部25が縦方向引き裂きライン、スリット溝26下端の弱化底壁28および弱化片29が周方向引き裂きラインとなり、外筒21は、外周切り込み部25を起点に周方向に破断され、最後に連結部27で連結されたひも状となり、連結部27の部分が集中して引っ張られ、係合突部24と容器本体Dの口部1との係合が外されていき、簡単にヒンジキャップを容器本体Dから引き離し、分別して廃棄することができる。
【0021】
上蓋Bは、
図1および
図2に示すように、平坦な頂壁30と、頂壁30の周縁から垂下された側周壁31とを備え、側周壁31の外周には、背面側の下端にヒンジCが連設され、注出方向側の下部に把手部32が突設されている。
【0022】
頂壁30は、下面から密封筒35と、密封筒35の内側に保持受壁36と、保持受壁36の内周の背面側中央に当接リブ37と、が垂設され、また、密封筒35内の注出方向側に、係合穴部38が開口され、係合穴部38内周は、下部に段部を設けて、引上部12の上部の係着突部16と係合する係着部39が設けられている。
密封筒35は、閉蓋時に、外周がキャップ本体Aの注出筒6の内周に密接するように設けられ、また、保持受壁36は、下端が移行栓9の保持立壁13の上端と係合または当接するように、少なくとも、保持立壁13が立設された範囲に設けられ、当接リブ37は、先端部外側が保持立壁13の内側上端に近接または当接するように設けられている。
【0023】
本実施例では、
図1(a)に示すように、閉蓋時において、係着突部16の上部は、係合穴部38を突き抜けており、溶融等による抜け止め加工によって、係着突部16の上部は、係合穴部38を埋めるように拡げられ、係着突部16は、係着部39上面に係着される。
なお、本実施例では、引上部12の上方に係着突部16を設け、さらに上蓋Bに係合穴部38を開口し、成形後の閉蓋時に、係着突部16の上部を抜け止め加工によって係着部39に係着させているが、これに限らず、引上部12と上蓋Bの係着部39とを係着させる方法によっては、上蓋Bに係合穴部38を開口しなくてもよいし、また、別部材の挿入体を係合穴部38から挿入して引上部12と係合させる形態でもよく、さらに、上蓋Bから下方に突出させた係着部を底壁11に開口された引上部または底壁11の下方から突出させた引上部に挿入または嵌合もしくは溶着させる形態でもよく、要は、両者をしっかり係着できるものであれば、どのような方法でもよい。
【0024】
側周壁31の内周には、キャップ本体Aの蓋係合部23および膨出部23aと係合して閉蓋状態を維持する係合凹部40が周設されている。
【0025】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、金型を用いた射出成形によって、
図2に示す開蓋状態で一体成形で製造する。
次に、キャップ本体Aに連設された上蓋BをヒンジCを介して回動することにより、キャップ本体Aにセットして
図1(a)に示す閉蓋状態にする。
【0026】
その際、キャップ本体Aの移行栓9の引上部12に形成された係着突部16は、上蓋Bの頂壁30に形成された係着部39内に挿入され、係着突部16の上部は、係合穴部38に達するとともに、係着突部16の下部外周は、係着部39内周に収まる。
移行栓9の保持立壁13の上端が上蓋Bの保持受壁36の下端と係合または当接するとともに、保持立壁13の内周に当接リブ37の外周が当接または近接する。
【0027】
上蓋Bの密封筒35は、キャップ本体Aの注出筒6に密接してシール部を形成するとともに、キャップ本体Aの蓋係合部23と、上蓋Bの係合凹部40とが嵌合して閉蓋状態となる。
閉蓋状態で、係着突部16の上部は、溶融等により抜け止め加工が施され、係着突部16は、係着部39に係着され、上蓋Bの頂壁30にキャップ本体Aの移行栓9が装着される。
【0028】
次に、閉蓋されたヒンジキャップは、50℃~60℃程度の内容液が充填された容器本体Dの口部1に打栓して装着され、ヒンジキャップを装着した容器となる。
なお、本実施例では、ヒンジキャップの容器本体Dへの装着を打栓としているが、ねじによる螺着であっても構わない。
【0029】
本実施例のヒンジキャップは、打栓後に殺菌や洗浄のために高温の温水シャワー等(例えば、70℃以上)をかけた際に、上蓋B内の空気が暖められ内圧が高くなり、キャップ本体Aに対して上蓋Bを浮き上がらせようとする。
上蓋Bの浮き上がりに対し、上蓋Bの内方の注出方向側に装着される移行栓9の引上部12を介して、底壁11の先端部11aが引っ張られ、先端部11a付近の薄肉弱化部8の正面側部8aおよびそれに連設される隔壁5の注出方向側も上に引っ張られる。
【0030】
このため、従来のヒンジキャップでは、移行栓9の引上部12を介して、底壁11の先端部11aが引き上げられることにより、
図4(a)に示すように、隔壁5の注出方向側が注出筒6から薄肉弱化部8に向けて右上がり変形してしまい、移行栓9の注出方向側が持ち上げられ、上蓋Bがキャップ本体Aから浮き上がり、蓋係合部23と係合凹部40との係合部分に隙間を生じて外部からシャワー水を吸い込んでしまうことがある。
【0031】
これに対して、本実施例のヒンジキャップでは、隔壁5の注出方向側上面には、薄肉弱化部8の正面側部8aを挟んで両側に肉厚部18が突設されているので、その部分の隔壁5の肉厚が厚くなり、移行栓9の引上部12を介して、底壁11の先端部11aが引き上げられても、
図4(b)に示すように、隔壁5の変形が阻止され、移行栓9が持ち上がらず、蓋係合部23と係合凹部40との係合部分に隙間を生じるのを阻止できる。
【0032】
本実施例のヒンジキャップを最初に使用する際には、ヒンジキャップの上蓋Bの把手部32に指を掛け持ち上げると、上蓋Bは、ヒンジCを支点に注出方向側から持ち上げられ、上蓋Bの蓋係合部23とキャップ本体Aの係合凹部40との嵌合が外され、開蓋していく。
さらに、上蓋Bの開蓋を継続することによって、キャップ本体Aの隔壁5に設けられた薄肉弱化部8が破断し、移行栓9は、隔壁5から除去された後、上蓋Bに移行して支持される一方、キャップ本体Aは、
図3(b)に示すように、隔壁5から除去された移行栓9の跡が注出口10となって、容器本体D内の内容液の注出が可能となる。
【0033】
本実施例では、引上部12の背面側に補強リブ14が設けられているため、注出方向側の薄肉弱化部8に応力が集中し、薄肉弱化部8の破断が容易となり、また、注出方向側の底壁11の先端部11aおよび薄肉弱化部8の正面側部8aは、尖った形状になっており、注出方向側の薄肉弱化部8の角部へ応力が集中し、簡単に移行栓9を抜栓できるようになっている。
【0034】
注出口10が開口した隔壁5は、注出口10の注出方向側に向けてV字状の液案内部10aとなり、また、両側の肉厚部18の内側面18aが連続するので、注出方向に容器を傾けた際に、液案内部10aおよびその周辺で隔壁5から注出筒6内周に出る内容液を案内して、注出筒6から安定して注出することができる。
【0035】
内容液の注出後、容器を直立状態に戻すと、注出筒6内周に付着した液が流下し、隔壁5の液案内部10aから内方に戻されるとともに、両側の肉厚部18の傾斜面18bに流れ、それぞれの傾斜により両側に案内され、注出口10の両側部から内容液が回収されるので、注出口10の液案内部10aの尖った部分付近に内容液が溜まってしまうということがない。
【0036】
本実施例では、隔壁5の薄肉弱化部8および移行栓9の底壁11の注出方向側に、角度α(50~80°の鋭角)の角部を設けた正面側部8aおよび先端部11aを形成し、移行栓9抜栓後に注出口10に角度αの尖った角部のV字状となる液案内部10aを設けたが、抜栓時に薄肉弱化部8が破断し易く、抜栓後に注出口10から液を案内し易くなれば、隔壁5の薄肉弱化部8および移行栓9の底壁11の先端部11aも尖ってなくても緩やかな角部であったり、円弧であったりしてもよい。
【0037】
また、隔壁5の上面に設けた肉厚部18の形状は、薄肉弱化部8および移行栓9の底壁11の注出方向側の両側に沿って形成できればよいので、それぞれの内側面18aの形状は、ハの字形状のように直線的な形状でなくとも、薄肉弱化部8の形状に合わせて、円弧状などの湾曲する形状であってもよい。
【0038】
肉厚部18は、打栓後の上蓋B内の内圧上昇の際、キャップ本体Aの隔壁5の注出方向側を変形させず、上蓋Bが浮き上がらないようにできればよいので、肉厚部18の肉厚は1.6mm以上とすることが望ましい。
【0039】
内容液の使用後は、上蓋Bをキャップ本体Aに再び閉蓋することで、上蓋Bの密封筒35と注出筒6とでシール部が形成されるとともに、キャップ本体Aの蓋係合部23と、上蓋Bの係合凹部40とが嵌合して、ヒンジキャップ内を再度密封することができ、繰り返し上蓋Bを開閉して使用することができる。
また、移行栓9は、保持立壁13の外周が上蓋Bの保持受壁36の内周と係合または当接して保持されるので、移行栓9の底壁11によってキャップ本体Aの隔壁5の注出口10が閉鎖される。
本発明のヒンジキャップは、注出方向側の隔壁を補強することにより移行栓の変形を抑制したので、ヒンジキャップ内の内圧が上昇しても移行栓の引上部付近が浮き上がらず、上蓋とキャップ本体との係合部分に隙間が生じないようにできるので、殺菌のために高温シャワーをしてもシャワー水を吸い込まないヒンジキャップとして広い範囲に適用できる。