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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161918
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】点灯装置、及び非常用照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/00 20220101AFI20231031BHJP
【FI】
H05B45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072567
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石塚 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩司
(72)【発明者】
【氏名】劉 宗威
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA03
3K273BA21
3K273BA26
3K273CA02
3K273EA06
3K273EA07
3K273EA25
3K273EA35
3K273EA36
3K273EA38
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA26
3K273FA30
3K273FA41
3K273GA03
3K273GA06
3K273GA12
3K273GA14
3K273GA15
3K273HA04
3K273HA10
3K273HA12
3K273HA18
(57)【要約】
【課題】 大型化を抑制しながら、常用電源が停電した直後でも制御電圧の低下を抑えることができる点灯装置、及び非常用照明器具を提供する。
【解決手段】 点灯装置1において、停電検出回路13は、常用電力によって生成された電圧である中間電圧Viが閾値未満になったときに商用交流電源P1の停電を検出する。制御回路14は、中間電圧Viを入力される負荷回路Kを制御する。制御電源回路15は、中間電圧Viから制御回路14を動作させるための制御電圧Vcを生成する。そして、制御回路14は、停電検出回路13が停電を検出すると、中間電圧Viによって負荷回路Kに流れる負荷電流Iaを調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常用電源から供給される常用電力で光源を点灯させる常用点灯回路と、
非常用電源から供給される非常用電力で前記光源を点灯させる非常用点灯回路と、
前記常用電力で前記非常用電源を充電する充電回路と、
前記常用電力によって生成された電圧である中間電圧が閾値未満になったときに前記常用電源の停電を検出する停電検出回路と、
前記中間電圧を入力される負荷回路を制御する制御回路と、
前記中間電圧から前記制御回路を動作させるための制御電圧を生成する制御電源回路と、を備え、
前記制御回路は、前記停電検出回路が前記停電を検出すると、前記中間電圧によって前記負荷回路に流れる負荷電流を調整する
点灯装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記停電検出回路が前記停電を検出すると、前記負荷電流を低減させる
請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記停電検出回路が前記停電を検出すると、前記負荷電流を遮断する
請求項1記載の点灯装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記停電検出回路が前記停電を検出してから遅延時間が経過した後に、前記負荷電流を調整する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項5】
前記中間電圧が印加されるコンデンサを更に備える
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項6】
前記常用電力による電流を調整可能に前記光源に供給する出力調整回路を更に備え、
前記負荷回路は、前記出力調整回路である
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項7】
前記負荷回路は、前記出力調整回路及び前記充電回路である
請求項6に記載の点灯装置。
【請求項8】
前記負荷回路は、前記充電回路である
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項9】
前記制御電源回路は、前記停電検出回路が前記停電を検出すると、前記非常用電力から前記制御電圧を生成する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項10】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の点灯装置と、
前記点灯装置によって点灯させられる前記光源と、
前記非常用電源と、
前記点灯装置、前記光源、及び前記非常用電源を収容する器体と、
を備える
非常用照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置、及び非常用照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の点灯装置は、コンバータ、定電圧回路、充電回路、制御電源回路、点灯回路、及び制御回路を備える。コンバータは、商用の電力系統などの外部電源から交流の入力電圧を供給され、交流の入力電圧を直流の第1中間電圧に変換する。定電圧回路は、コンバータが出力する直流の第1中間電圧を、直流の第2中間電圧に変換する。充電回路は、定電圧回路から第2中間電圧を供給され、電池へ充電電流を流すように構成されている。点灯回路は、外部電源の停電時に電池の放電電力で光源を点灯させるように構成されている。
【0003】
制御回路は、充電回路及び点灯回路を制御する制御機能、及び外部電源の停電を検出する停電検出機能を有する。そして、制御回路は、外部電源の通電時に、光源を消灯し、外部電源から供給される外部電力を用いて電池を充電する。また、制御回路は、外部電源の停電時に、電池の充電を停止し、電池の放電電力によって光源を点灯させる。
【0004】
制御電源回路は、外部電源の電圧又は電池の電圧を、直流の制御電圧に変換する。制御電源回路は、外部電源が通電しているときには外部電源の電圧から制御電圧を生成し、外部電源が停電しているときには電池の電圧から制御電圧を生成する。制御電圧は、制御回路を動作させるための電圧である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-22533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1のような点灯装置では、商用電源などの常用電源(外部電源)が停電すると、常用電源から制御電圧を生成できなくなる。そこで、点灯装置では、常用電源が停電すると、電池などの非常用電源から制御電圧を生成する。しかし、停電を検出してから、非常用電源から制御電圧を生成するまでには遅延があり、制御電圧が低下して、制御回路の動作が停止する可能性があった。
【0007】
そこで、従来の点灯装置は、制御電圧を蓄電するコンデンサを新たに備えたり、コンデンサの容量を大きくしたりする、などの対策を行う必要があった。しかしながら、コンデンサを新たに備えたり、コンデンサの容量を大きくしたりすると、点灯装置が大型化してしまうという課題があった。
【0008】
本開示の目的は、大型化を抑制しながら、常用電源が停電した直後でも制御電圧の低下を抑えることができる点灯装置、及び非常用照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る点灯装置は、常用点灯回路と、非常用点灯回路と、充電回路と、停電検出回路と、制御回路と、制御電源回路と、を備える。前記常用点灯回路は、常用電源から供給される常用電力で光源を点灯させる。前記非常用点灯回路は、非常用電源から供給される非常用電力で前記光源を点灯させる。前記充電回路は、前記常用電力で前記非常用電源を充電する。前記停電検出回路は、前記常用電力によって生成された電圧である中間電圧が閾値未満になったときに前記常用電源の停電を検出する。前記制御回路は、前記中間電圧を入力される負荷回路を制御する。前記制御電源回路は、前記中間電圧から前記制御回路を動作させるための制御電圧を生成する。前記制御回路は、前記停電検出回路が前記停電を検出すると、前記中間電圧によって前記負荷回路に流れる負荷電流を調整する。
【0010】
本開示の一態様に係る非常用照明器具は、上述の点灯装置と、前記点灯装置によって点灯させられる前記光源と、前記非常用電源と、前記点灯装置、前記光源、及び前記非常用電源を収容する器体と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本開示は、大型化を抑制しながら、常用電源が停電した直後でも制御電圧の低下を抑えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の実施形態に係る点灯装置を示すブロック図である。
図2図2は、同上の点灯装置を備える非常用照明器具の外観斜視図である。
図3図3は、同上の非常用照明器具の分解斜視図である。
図4図4は、同上の点灯装置の動作を示す波形図である。
図5図5は、比較例の点灯装置を示すブロック図である。
図6図6は、比較例の点灯装置の動作を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の実施形態に係る点灯装置1及び非常用照明器具A1について図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0014】
(1)概要
実施形態に係る点灯装置1は、図1に示すように、常用点灯回路10と、非常用点灯回路11と、充電回路12と、停電検出回路13と、制御回路14と、制御電源回路15と、を備える。常用点灯回路10は、商用交流電源P1(常用電源)から供給される常用電力でLED(Light Emitting Diode)2(光源)を点灯させる。非常用点灯回路11は、電池ユニットB1(非常用電源)から供給される非常用電力でLED2を点灯させる。充電回路12は、常用電力で電池ユニットB1を充電する。停電検出回路13は、常用電力によって生成された電圧である中間電圧Viが閾値Vt(図4参照)未満になったときに商用交流電源P1の停電を検出する。制御回路14は、中間電圧Viを入力される負荷回路Kを制御する。制御電源回路15は、中間電圧Viから制御回路14を動作させるための制御電圧Vcを生成する。そして、制御回路14は、停電検出回路13が停電を検出すると、中間電圧Viによって負荷回路Kに流れる負荷電流Iaを調整する。なお、図1では、負荷回路Kを出力調整回路16及び充電回路12としているが、図示しないセンサなどでもよく、特定の回路に限定されない。
【0015】
上述の点灯装置1は、常用電力から中間電圧Viを生成し、制御電圧Vcは中間電圧Viから生成される。中間電圧Viは負荷回路Kに入力され、負荷回路Kに負荷電流Iaが流れる。商用交流電源P1が停電すると、中間電圧Viは低下し、中間電圧Viが低下すると、制御電圧Vcが低下する。しかし、点灯装置1は、商用交流電源P1が停電すると、負荷電流Iaを調整することで中間電圧Viの低下を抑制するので、商用交流電源P1が停電した直後でも制御電圧Vcの低下を抑えることができる。
【0016】
(2)実施形態に係る非常用照明器具の詳細
実施形態に係る非常用照明器具A1(以下、非常用照明器具A1と略す。)について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する非常用照明器具A1は、事務所及び店舗などの建物の避難口又は避難口への通路に設置される避難口誘導灯である。ただし、実施形態に係る非常用照明器具は、避難口誘導灯に限定されず、例えば、建物内の階段室に設置される階段通路誘導灯、あるいは、室内の天井などに設置される非常灯などであっても構わない。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、図2に矢印で示す上下、前後及び左右の各方向を、非常用照明器具A1の上下、前後及び左右の各方向と定義する。
【0017】
非常用照明器具A1は、実施形態に係る点灯装置1(以下、点灯装置1と略す。)、器体A10、光源ユニットA11、表示ブロックA12、電池ユニットB1などを備えている(図2及び図3参照)。
【0018】
器体A10は、合成樹脂材料により、前面に開口部を有する四角形の箱状に形成されている(図3参照)。器体A10は、点灯装置1、電池ユニットB1、端子台90、取付板91などを収容している。
【0019】
取付板91は、金属材料によって板状に形成されている(図3参照)。取付板91は、器体A10の内底面にねじ止めされる。点灯装置1と端子台90は、取付板91にねじ止めされて器体A10内に収容される。また、点灯装置1と端子台90は電気的に接続されている。端子台90は、器体A10の底面に設けられている電源穴96(図3参照)から引き込まれる電源線と電気的に接続される。つまり、点灯装置1は、端子台90と電源線を通じて商用交流電源P1と電気的に接続される。
【0020】
電池ユニットB1は、取付板91に対して着脱可能に取り付けられる。なお、電池ユニットB1は、取付板91に取り付けられた状態で点灯装置1と電気的に接続される。
【0021】
表示ブロックA12は、表示パネル92と、導光板93と、保持体94と、を有する(図3参照)。
【0022】
表示パネル92は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料によって四角形の平板状に形成されている。ただし、表示パネル92は、石英ガラスなどの合成樹脂以外の透光性を有する材料で形成されても構わない。表示パネル92の前面(表示面920)には、避難誘導のためのピクトグラム921が表示されている(図2参照)。
【0023】
導光板93は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料によって四角形の平板状に形成されている。導光板93は、その前面を表示パネル92の後面と対向させるように表示パネル92の後方に配置される(図3参照)。導光板93の上面(入射面930)に、光源ユニットA11から放射される光が入射される。入射面930から入射する光は、導光板93内を導光されて導光板93の前面から出射される。そして、導光板93の出射面から出射する光によって表示パネル92が照らされる。
【0024】
保持体94は、透光性を有しない合成樹脂材料により、前面と上面が開放された四角形の箱状(枠状)に形成されている。保持体94は、導光板93の前方に表示パネル92を配置するようにして表示パネル92と導光板93を保持している(図3参照)。
【0025】
表示ブロックA12は、器体A10の開口部のうち、光源ユニットA11が取り付けられる上部を除いた残りの部分を覆うように器体A10に取り付けられる(図2参照)。
【0026】
光源ユニットA11は、光源となるLED2(図1参照)と、LED2から放射される光を導光する導光体と、LED2及び導光体を収容する筐体95と、を有している(図3参照)。
【0027】
筐体95は、下面と後面が開放された長尺の箱状に形成されている。LED2は、基板に実装されて筐体95の長手方向の一端部(右端部)に収容される。導光体は、長尺の角柱状に形成され、長手方向の一端面(右端面)をLED2に対向させ、かつ、長手方向に沿った側面(下面)を筐体95の下面の開口部分に向けた状態で筐体95に収容される。なお、LED2が実装された基板の一部(以下、突片97と呼ぶ。)が筐体95の後面から突出している(図3参照)。
【0028】
光源ユニットA11は、器体A10の前面上部に嵌め込むようにして器体A10に取り付けられる。このとき、器体A10の右上隅に設置されているコネクタ98に突片97が差込接続されることにより、光源ユニットA11(LED2)と点灯装置1がコネクタ98及び電線(不図示)を介して電気的に接続される。
【0029】
しかして、光源ユニットA11が器体A10に取り付けられた状態において、導光板93の入射面930と光源ユニットA11の出射口が上下方向に対向する。したがって、光源ユニットA11の出射口から出射する光のほぼ全部が、導光板93の入射面930から導光板93に入射する。導光板93に入射した光は、導光板93内を進行しながら保持体94の後面で全反射されて導光板93の出射面から前方へ出射して表示パネル92を照らすことができる。
【0030】
(3)実施形態に係る点灯装置の詳細
次に、図1のブロック図を参照して点灯装置1を詳細に説明する。
【0031】
点灯装置1は、常用点灯回路10、非常用点灯回路11、充電回路12、停電検出回路13、制御回路14、制御電源回路15、及び出力調整回路16などを備える。また、点灯装置1は、整流回路40、入力コンデンサ41、及びダイオードD1-D4などを更に備える。
【0032】
そして、点灯装置1は、商用交流電源P1を常用電源とし、電池ユニットB1を非常用電源とし、商用交流電源P1から供給される常用電力、及び電池ユニットB1から供給される非常用電力を用いて、LED2を点灯させる。また、点灯装置1は、商用交流電源P1から供給される常用電力を用いて電池ユニットB1を充電する。
【0033】
(3.1)整流回路、入力コンデンサ
整流回路40は、ダイオードブリッジである。整流回路40は、商用交流電源P1から入力される交流電圧Vac(例えば、周波数50Hz又は60Hz、実効値100V又は200Vの正弦波電圧)を全波整流する。整流回路40から出力される脈流電圧は、電解コンデンサからなる入力コンデンサ41によって平滑される。そして、入力コンデンサ41で平滑された直流電圧が常用点灯回路10に入力される。
【0034】
(3.2)常用点灯回路
常用点灯回路10は、商用交流電源P1から供給される常用電力を用いてLED2を点灯させる。本実施形態では、常用電力は、商用交流電源P1から整流回路40及び入力コンデンサ41を介して常用点灯回路10に供給される。
【0035】
常用点灯回路10は、トランスT1、スイッチング素子Q1、ダイオードD1、平滑コンデンサC1、及びコンバータ制御部10aを含む、いわゆる絶縁型のフライバックコンバータを有する。
【0036】
トランスT1の1次巻線N1の第1端が入力コンデンサ41の高電位側の端子と電気的に接続され、1次巻線N1の第2端がスイッチング素子Q1のドレイン端子と電気的に接続される。スイッチング素子Q1は、Nチャネル型の電界効果トランジスタである。スイッチング素子Q1のソース端子は入力コンデンサ41の低電位側の端子と電気的に接続される。また、スイッチング素子Q1のゲート端子は、コンバータ制御部10aと電気的に接続される。
【0037】
トランスT1の2次巻線N2の第1端はダイオードD1のアノードと電気的に接続され、2次巻線N2の第2端は平滑コンデンサC1の低電位側の端子と電気的に接続される。また、平滑コンデンサC1の高電位側の端子とダイオードD1のカソードが電気的に接続される。さらに、平滑コンデンサC1の高電位側の端子は、出力調整回路16を介してLED2のアノードと電気的に接続される。また、平滑コンデンサC1の低電位側の端子は、LED2のカソードと電気的に接続される。
【0038】
コンバータ制御部10aは、集積回路で構成される。コンバータ制御部10aは、LED2に流れる電流である点灯電流Ioを第1目標値に一致させるようにスイッチング素子Q1をPWM(パルス幅変調)制御する。コンバータ制御部10aは、点灯電流Ioを第1目標値に一致させることで、LED2を点灯させる。なお、コンバータ制御部10aとスイッチング素子Q1が1つの集積回路で構成されても構わない。
【0039】
本実施形態では、出力調整回路16が点灯電流Ioの大きさを検出し、点灯電流Ioの検出結果を含むフィードバック信号Y1をコンバータ制御部10aへ出力する。コンバータ制御部10aは、フィードバック信号Y1を受け取ることで、点灯電流Ioの大きさを監視して、点灯電流Ioをフィードバック制御できる。なお、点灯装置1は、点灯電流Ioを検出する電流検出回路を出力調整回路16とは別に備えていてもよい。電流検出回路は、LED2に直列接続されて、点灯電流Ioが流れる抵抗を含んで構成されることが好ましい。また、コンバータ制御部10aは、フィードバック信号Y1をフォトカプラを介して受け取ることが好ましい。
【0040】
常用点灯回路10は、入力コンデンサ41の両端電圧を入力されて、上述のようにスイッチング素子Q1をPWM制御することで、平滑コンデンサC1に直流の中間電圧Viを発生させる。すなわち、中間電圧Viは、常用電力によって生成された電圧である。
【0041】
(3.3)充電回路
充電回路12は、常用電力で電池ユニットB1を充電する。
【0042】
具体的に、充電回路12は、平滑コンデンサC1の中間電圧Viを入力とし、電池ユニットB1に充電電流Icを供給するスイッチング電源である。充電電流Icは、逆流防止用のダイオードD2を介しての電池ユニットB1に供給される。そして、充電回路12は、電池ユニットB1の電圧である電池電圧Vbを監視しながら充電電流Icを制御することで、電池ユニットB1を充電する。
【0043】
(3.4)出力調整回路
出力調整回路16は、スイッチ素子などを有する。出力調整回路16のスイッチ素子は、平滑コンデンサC1の高電位側の端子とLED2のアノードとの間に電気的に接続される。つまり、出力調整回路16のスイッチ素子は、平滑コンデンサC1とLED2との間を電気的に接続している給電路に挿入されており、出力調整回路16は、給電路を導通状態と遮断状態に択一的に切り替えることができる。したがって、出力調整回路16のスイッチ素子がオンしているとき、平滑コンデンサC1の中間電圧Viによって、点灯電流IoがLED2に供給され、LED2が点灯する。一方、出力調整回路16のスイッチ素子がオフしているとき、平滑コンデンサC1からLED2に供給される点灯電流Ioが遮断され、LED2が消灯する。なお、スイッチ素子は、電界効果トランジスタ、又はバイポーラトランジスタなどのトランジスタであることが好ましい。
【0044】
また、出力調整回路16は、点灯電流Ioの大きさを検出し、点灯電流Ioの検出結果を含むフィードバック信号Y1をコンバータ制御部10aへ出力する。
【0045】
(3.5)停電検出回路
停電検出回路13は、常用電力によって生成された電圧である中間電圧Viが閾値Vt(図4参照)未満になったときに、商用交流電源P1の停電を検出する。
【0046】
具体的に、停電検出回路13は、ツェナーダイオード及び抵抗などで構成される。そして、停電検出回路13は、中間電圧Viが閾値Vt以上であれば、商用交流電源P1は通電しており、停電していないと判定する。停電検出回路13は、中間電圧Viが閾値Vt未満であれば、商用交流電源P1は停電していると判定する。停電検出回路13は、停電の判定結果に基づく停電検出信号Y2を生成し、停電検出信号Y2を制御回路14へ出力する。制御回路14は、停電検出信号Y2に基づいて、商用交流電源P1が停電しているか否かを認識することができる。
【0047】
(3.6)非常用点灯回路
非常用点灯回路11は、電池ユニットB1から供給される非常用電力でLED2を点灯させる。本実施形態では、非常用電力は、電池ユニットB1から非常用点灯回路11に供給される。
【0048】
具体的に、非常用点灯回路11は、トランスとスイッチング素子を備えたフライバックコンバータを有し、電池ユニットB1の電池電圧Vbを昇圧又は降圧して出力する。非常用点灯回路11の高電位側の出力端子がLED2のアノードと電気的に接続され、非常用点灯回路11の低電位側の出力端子がLED2のカソードと電気的に接続される。そして、非常用点灯回路11は、LED2に流れる電流である点灯電流Ioを第2目標値に一致させるように出力を制御する。非常用点灯回路11は、点灯電流Ioを第2目標値に一致させることで、LED2を点灯させる。ただし、非常用点灯回路11の第2目標値は、常用点灯回路10の第1目標値よりも小さい値である。
【0049】
また、非常用点灯回路11が動作(電池電圧Vbの昇圧又は降圧)しているときは、非常用点灯回路11は、非常用電力を用いて制御電源回路15へ給電するために補助電圧Vgを生成する。非常用点灯回路11と制御電源回路15との間には、逆流防止用のダイオードD4が電気的に接続されており、補助電圧VgはダイオードD4を介して制御電源回路15に入力される。
【0050】
なお、非常用点灯回路11は、フライバックコンバータの代わりにフォワードコンバータを備えてもよい。
【0051】
(3.7)制御電源回路
制御電源回路15は、制御回路14を動作させるための制御電圧Vcを生成する。
【0052】
具体的に、制御電源回路15は、降圧型のシリーズレギュレータを有している。平滑コンデンサC1の高電位側の端子と制御電源回路15の高電位側の入力端子との間には、逆流防止用のダイオードD3が電気的に接続されており、中間電圧ViはダイオードD3を介して制御電源回路15に入力される。また、非常用点灯回路11と制御電源回路15との間には、逆流防止用のダイオードD4が電気的に接続されており、非常用点灯回路11が生成した補助電圧VgはダイオードD4を介して制御電源回路15に入力される。すなわち、制御電源回路15には、ダイオードD3、D4で構成されたOR回路によって中間電圧Vi及び補助電圧Vgのうち電圧値がより高い電圧が、制御入力電圧Vrとして入力される。そして、制御電源回路15は、中間電圧Vi又は補助電圧Vgを制御入力電圧Vrとし、制御入力電圧Vrから制御電圧Vcを生成し、制御電圧Vcを制御回路14へ出力する。
【0053】
(3.8)制御回路
制御回路14は、マイクロコントローラを有している。制御回路14は、制御電源回路15から制御電圧Vcを供給されて動作する。
【0054】
制御回路14は、停電検出回路13から停電検出信号Y2を受け取る。制御回路14は、停電検出信号Y2に基づいて、商用交流電源P1が停電しているか否かを認識できる。制御回路14は、商用交流電源P1が停電していなければ、常用時の動作モードで動作する。また、制御回路14は、商用交流電源P1が停電していれば、非常時の動作モードで動作する。
【0055】
常用時の動作モードにおいて、制御回路14は、コンバータ制御部10aに指示して常用点灯回路10を動作させるとともに、出力調整回路16を導通状態(スイッチ素子をオン状態)に切り替える。すなわち、常用時の動作モードでは、常用電力が平滑コンデンサC1に蓄電され、常用電力によってLED2に点灯電流Ioが供給される。また、制御回路14は、常用時の動作モードにおいて充電回路12を動作させる。さらに、制御回路14は、常用時の動作モードにおいては、非常点灯信号Y3を非常用点灯回路11に出力せず(非常点灯信号Y3をLレベルに維持し)、非常用点灯回路11を停止状態に維持する。しかして、常用時の動作モードでは、常用点灯回路10によってLED2が点灯(常用点灯)し、かつ、充電回路12によって電池ユニットB1が充電される。ここで、常用点灯回路10が動作することで中間電圧Viが生成されるので、制御電源回路15は、中間電圧Viを制御入力電圧Vrとして制御電圧Vcを生成し、制御回路14は動作可能となる。
【0056】
非常時の動作モードにおいて、制御回路14は、非常用点灯回路11に非常点灯信号Y3を出力する(非常点灯信号Y3をHレベルに維持する)。非常用点灯回路11は、非常点灯信号Y3がHレベルであれば、動作する。非常用点灯回路11が動作すると、電池ユニットB1の非常用電力が非常用点灯回路11を通じて制御電源回路15へ供給され、制御電源回路15は補助電圧Vgから制御電圧Vcを生成し、制御回路14は動作可能となる。すなわち、制御電源回路15は、停電検出回路13が停電を検出すると、非常用電力から制御電圧Vcを生成する。また、非常用点灯回路11が動作すると、電池ユニットB1の非常用電力が非常用点灯回路11を通じてLED2へ供給され、LED2が点灯する。しかして、非常用点灯回路11によってLED2が点灯(非常点灯)する。
【0057】
以下、常用時の動作モードから非常時の動作モードに切り替わるモード切替時の動作について詳述する。
【0058】
(3.9)モード切替時の動作
(3.9.1)比較例
図5は、比較例の点灯装置100のブロック構成を示す。点灯装置100では、点灯装置1の制御回路14の代わりに制御回路140を備える点が、点灯装置1とは異なる。制御回路140は、制御電源回路15が生成した制御電圧Vcを供給され、制御電圧Vcによって動作する。なお、点灯装置100について、図1に示す本実施形態の点灯装置1と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0059】
図6は、商用交流電源P1が停電する前後における点灯装置100の各部の電圧波形及び信号波形を示す。図6は、上段から順に、交流電圧Vac、中間電圧Vi、停電検出信号Y2、非常点灯信号Y3、非常用電圧Ve、補助電圧Vg、制御入力電圧Vrの各波形を示す。
【0060】
まず、図6において時間t10までは、商用交流電源P1が通電しており、交流電圧Vacが発生している。したがって、常用点灯回路10は、常用時の動作モードで動作し、平滑コンデンサC1に生じる中間電圧Viは電圧値V10(>0)となる。
【0061】
時間t10で商用交流電源P1が停電すると、交流電圧Vacが0(ゼロ)となり、平滑コンデンサC1への電荷の供給は停止する。しかし、出力調整回路16のスイッチ素子はオンしており、充電回路12は動作を継続している。したがって、時間t10の直後では、平滑コンデンサC1からLED2に点灯電流Ioが供給され続け、かつ、平滑コンデンサC1の中間電圧Viによって電池ユニットB1が充電され続けているので、中間電圧Viは急速に低下する。点灯電流Ioが大きい程、電池ユニットB1の充電電流が大きい程、又は平滑コンデンサC1の容量が小さい程、中間電圧Viが低下する傾きは急峻になる。
【0062】
そして、停電検出回路13は、時間t11において中間電圧Viが閾値Vt未満になると、商用交流電源P1の停電を検出し、停電検出信号Y2をLレベルからHレベルに遷移させる。制御回路140は、Hレベルの停電検出信号Y2を受け取ると、非常時の動作モードで動作し、非常点灯信号Y3をLレベルからHレベルに遷移させる。非常用点灯回路11は、Hレベルの非常点灯信号Y3を受け取ると、動作を開始する。
【0063】
しかしながら、非常用点灯回路11は、Hレベルの非常点灯信号Y3を受け取って動作を開始しても、すぐに非常用電圧Ve及び補助電圧Vgを出力できない。非常用点灯回路11が出力する非常用電圧Ve及び補助電圧Vgは、徐々に増加し、非常点灯信号Y3がHレベルに遷移してから立ち上がり時間trが経過した時点(図6の時間t13)で、定常値Ve1及び定常値Vg1にそれぞれ到達する。この立ち上がり時間trは、点灯装置100に含まれる回路の構成、制御回路140が実行するソフトウェア、並びに各信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間などによって決まる。立ち上がり時間trは、点灯電流Io、電池ユニットB1の充電電流、及び平滑コンデンサC1の容量には依存しない。
【0064】
そして、図6に示すように、時間t10直後の中間電圧Viが低下する傾きが急峻であると、補助電圧Vgが定常値Vg1に到達するまでに、中間電圧Viと補助電圧Vgとの両方が定常値Vg1未満になる状態が発生する。中間電圧Viと補助電圧Vgとの両方が定常値Vg1未満になる状態を「ディップ状態」とすると、ディップ状態では、制御入力電圧Vrが定常値Vg1未満となる。この結果、ディップ状態では、制御電源回路15が出力する制御電圧Vcが定格電圧値より低下し、制御回路140の動作が停止又は制御回路140が誤動作することがあった。なお、図6では、時間t12以前では中間電圧Viが補助電圧Vgより大きく、時間t12以後では補助電圧Vgが中間電圧Viより大きくなる。
【0065】
そこで、比較例では、平滑コンデンサC1の容量を大きくしたり、制御入力電圧Vrを保持するための新たなコンデンサを追加したりして、ディップ状態の発生を抑制していた。しかしながら、平滑コンデンサC1の容量を大きくしたり、新たなコンデンサを追加したりすることは、点灯装置100の大型化及びコストアップの要因となっていた。
【0066】
(3.9.2)本実施形態
そこで、本実施形態の点灯装置1は、以下のように動作する。
【0067】
図4は、商用交流電源P1が停電する前後における点灯装置1の各部の電圧波形及び信号波形を示す。図4は、上段から順に、交流電圧Vac、中間電圧Vi、停電検出信号Y2、非常点灯信号Y3、出力抑制信号Ya及び充電抑制信号Yb、非常用電圧Ve、補助電圧Vg、制御入力電圧Vrの各波形を示す。
【0068】
まず、図4において時間t1までは、商用交流電源P1が通電しており、交流電圧Vacが発生している。したがって、常用点灯回路10は、常用時の動作モードで動作し、平滑コンデンサC1に生じる中間電圧Viは電圧値V10(>0)となる。
【0069】
時間t1で商用交流電源P1が停電すると、交流電圧Vacが0(ゼロ)となり、平滑コンデンサC1への電荷の供給は停止する。しかし、出力調整回路16のスイッチ素子はオンしており、充電回路12は動作を継続している。したがって、時間t1の直後では、平滑コンデンサC1の中間電圧ViによってLED2に点灯電流Ioが供給され続け、かつ、中間電圧Viによって電池ユニットB1が充電され続けているので、中間電圧Viは徐々に低下する。
【0070】
そして、停電検出回路13は、時間t2において中間電圧Viが閾値Vt未満になると、商用交流電源P1の停電を検出し、停電検出信号Y2をLレベルからHレベルに遷移させる。制御回路14は、Hレベルの停電検出信号Y2を受け取ると、非常時の動作モードで動作し、非常点灯信号Y3をLレベルからHレベルに遷移させる。非常用点灯回路11は、Hレベルの非常点灯信号Y3を受け取ると、動作を開始する。非常用点灯回路11がHレベルの非常点灯信号Y3を受け取って動作を開始すると、非常用点灯回路11が出力する非常用電圧Ve及び補助電圧Vgは、徐々に増加し、動作を開始してから立ち上がり時間trが経過した時点(図4の時間t4)で、定常値Ve1及び定常値Vg1にそれぞれ到達する。
【0071】
そして、非常時の動作モードで動作する制御回路14は、非常点灯信号Y3をLレベルからHレベルに遷移させるとともに、中間電圧Viによって負荷回路Kに流れる負荷電流Iaを調整する。このとき、制御回路14は、立ち上がり時間trが経過するまで中間電圧Viが補助電圧Vgの定常値Vg1以上を維持するように、平滑コンデンサC1から負荷回路Kに流れる負荷電流Iaを調整することが好ましい。
【0072】
具体的に、本実施形態では、負荷回路Kとして、出力調整回路16を及び充電回路12を用いる。負荷回路Kである出力調整回路16を及び充電回路12を区別するときは、出力調整回路16を負荷回路K1、充電回路12を負荷回路K2と呼ぶ。また、平滑コンデンサC1から出力調整回路16(負荷回路K1)に流れる負荷電流IaをIa1、平滑コンデンサC1から充電回路12(負荷回路K2)に流れる負荷電流IaをIa2と呼ぶ。
【0073】
そして、制御回路14は、出力調整回路16(負荷回路K1)へ出力抑制信号Yaを出力する。出力調整回路16(負荷回路K1)は、出力抑制信号Yaに基づいて出力調整回路16のスイッチ素子をオン又はオフする。また、制御回路14は、充電回路12(負荷回路K2)へ充電抑制信号Ybを出力する。充電回路12(負荷回路K2)は、充電抑制信号Ybに基づいて動作又は停止する。
【0074】
制御回路14が常用時の動作モードで動作しているとき、出力抑制信号YaはLレベルである。したがって、出力調整回路16(負荷回路K1)は出力調整回路16のスイッチ素子をオンしており、平滑コンデンサC1から出力調整回路16(負荷回路K1)には負荷電流Ia1が流れる。すなわち、負荷電流Ia1が、点灯電流IoとしてLED2に供給される。
【0075】
そして、商用交流電源P1が停電し(時間t1)、停電検出信号Y2がHレベルになると(時間t2)、制御回路14は、非常時の動作モードで動作して、出力抑制信号YaをLレベルからHレベルに遷移させる(時間t3)。出力調整回路16(負荷回路K1)は、出力抑制信号YaがHレベルになると、出力調整回路16のスイッチ素子をオフにして、負荷電流Ia1を遮断する。出力調整回路16は、負荷電流Ia1を遮断することで、時間t3以後における負荷電流Iaを、時間t3以前における負荷電流Iaより低減させる。この結果、時間t3以後における平滑コンデンサC1の放電量は、時間t3以前における平滑コンデンサC1の放電量より低減し、時間t3以後における中間電圧Viの低下傾きは、時間t3以前における中間電圧Viの低下傾きより小さくなる。
【0076】
また、制御回路14が常用時の動作モードで動作しているとき、充電抑制信号YbはLレベルである。したがって、充電回路12(負荷回路K2)は動作し、平滑コンデンサC1から充電回路12(負荷回路K2)には負荷電流Ia2が流れる。すなわち、充電回路12(負荷回路K2)は、中間電圧Viを用いて電池ユニットB1に充電電流Icを供給している。
【0077】
そして、商用交流電源P1が停電し(時間t1)、停電検出信号Y2がHレベルになると(時間t2)、制御回路14は、非常時の動作モードで動作して、充電抑制信号YbをLレベルからHレベルに遷移させる(時間t3)。充電回路12(負荷回路K2)は、充電抑制信号YbがHレベルになると、動作を停止して充電電流Icをゼロにし、負荷電流Ia2をゼロにする。時間t3以後では負荷電流Ia2がゼロになることで、この結果、時間t3以後における平滑コンデンサC1の放電量は、時間t3以前における平滑コンデンサC1の放電量より低減し、時間t3以後における中間電圧Viの低下傾きは、時間t3以前における中間電圧Viの低下傾きより小さくなる。
【0078】
上述のように、非常時の動作モードで動作する制御回路14は、中間電圧Viによって負荷回路K(K1、K2)に流れる負荷電流Ia(Ia1、Ia2)を、常時の動作モードで動作しているときよりも低減させる。すなわち、非常時の動作モードで動作する制御回路14は、平滑コンデンサC1の放電量を低減させることで、立ち上がり時間trにおける中間電圧Viの低下量をより小さくする。したがって、中間電圧Viは、立ち上がり時間trが経過するまで補助電圧Vgの定常値Vg1以上を維持することができる。
【0079】
しかして、点灯装置1は、平滑コンデンサC1の容量を大きくしたり、新たなコンデンサを追加したりすることなく、立ち上がり時間trが経過するまで制御入力電圧Vrが定常値Vg1未満となることを抑制できる。この結果、制御電源回路15が出力する制御電圧Vcが定格電圧値より低下し難くなり、制御回路14の動作が停止又は誤動作することを抑制できる。したがって、点灯装置1は、大型化を抑制しながら、商用交流電源P1が停電した直後でも制御電圧Vcの低下を抑えることができる。
【0080】
また、制御回路14は、停電検出回路13が停電を検出してから遅延時間Td(図4参照)が経過した後に、負荷電流Iaを調整することが好ましい。具体的に、図4に示すように、停電検出回路13が時間t2において商用交流電源P1の停電を検出し、停電検出信号Y2をLレベルからHレベルに遷移させると、制御回路14は、停電検出信号Y2がHレベルに遷移してから遅延時間Tdが経過した時間t3に、出力抑制信号Ya及び充電抑制信号YbをLレベルからHレベルに遷移させる。この結果、負荷回路K(K1、K2)に流れる負荷電流Ia(Ia1、Ia2)が低減又はゼロになったことで中間電圧Viが上昇したとしても、停電状態から通常状態に復帰したと停電検出回路13が誤って検出する誤検出を抑制できる。
【0081】
なお、「負荷電流Iaを低減させる」とは、負荷電流Iaの大きさを小さくすること、及び負荷電流Iaの大きさをゼロにすること、の両方を含む。
【0082】
(4)変形例
上述の実施形態では、常用点灯回路10と非常用点灯回路11とは、同じLED2を点灯させる。しかしながら、常用点灯回路10と非常用点灯回路11とは、互いに異なる光源を点灯させてもよい。すなわち、点灯装置は、商用交流電源P1の通電時に点灯させる常用LEDと、商用交流電源P1の停電時に点灯させる非常用LEDと、を備えていてもよい。
【0083】
負荷回路Kは、出力調整回路16(負荷回路K1)及び充電回路12(負荷回路K2)のいずれか一方のみであってもよい。また、負荷回路Kは、平滑コンデンサC1の中間電圧Viで動作するセンサなどであってもよい。
【0084】
非常用照明器具A1は、防災照明器具に限定されない。非常用照明器具A1は、電池ユニットB1から非常電力を供給されて光源を点灯させる照明器具であればよい。非常用照明器具A1は、例えば照明光を照射して、空間の照度を調整するための照明器具であってもよい。
【0085】
制御回路14は、コンピュータシステムを備えることが好ましい。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御回路14としての機能の少なくとも一部が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリにあらかじめ記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む一乃至複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1つ以上のプロセッサ及び1つ以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1乃至複数の電子回路で構成される。
【0086】
光源は、LEDに限定されず、OLED(Organic Light Emitting Diode)などの他の固体発光素子であってもよい。
【0087】
点灯装置1は、制御入力電圧Vrを保持する小容量のコンデンサを更に備えていてもよい。
【0088】
(5)まとめ
以上のように、実施形態に係る第1の態様の点灯装置(1)は、常用点灯回路(10)と、非常用点灯回路(11)と、充電回路(12)と、停電検出回路(13)と、制御回路(14)と、制御電源回路(15)と、を備える。常用点灯回路(10)は、常用電源(P1)から供給される常用電力で光源(2)を点灯させる。非常用点灯回路(11)は、非常用電源(B1)から供給される非常用電力で光源(2)を点灯させる。充電回路(12)は、常用電力で非常用電源(B1)を充電する。停電検出回路(13)は、常用電力によって生成された電圧である中間電圧(Vi)が閾値(Vt)未満になったときに常用電源(P1)の停電を検出する。制御回路(14)は、中間電圧(Vi)を入力される負荷回路(K)を制御する。制御電源回路(15)は、中間電圧(Vi)から制御回路(14)を動作させるための制御電圧(Vc)を生成する。そして、制御回路(14)は、停電検出回路(13)が停電を検出すると、中間電圧(Vi)によって負荷回路(K)に流れる負荷電流(Ia)を調整する。
【0089】
上述の点灯装置(1)は、大型化を抑制しながら、常用電源(P1)が停電した直後でも制御電圧(Vc)の低下を抑えることができる。
【0090】
実施形態に係る第2の態様の点灯装置(1)では、第1の態様において、制御回路(14)は、停電検出回路(13)が停電を検出すると、負荷電流(Ia)を低減させることが好ましい。
【0091】
上述の点灯装置(1)は、制御電圧(Vc)の低下を抑えることができる。
【0092】
実施形態に係る第3の態様の点灯装置(1)では、第1の態様において、制御回路(14)は、停電検出回路(13)が停電を検出すると、負荷電流(Ia)を遮断することが好ましい。
【0093】
上述の点灯装置(1)は、制御電圧(Vc)の低下をより抑えることができる。
【0094】
実施形態に係る第4の態様の点灯装置(1)では、第1乃至第3の態様のいずれか1つにおいて、制御回路(14)は、停電検出回路(13)が停電を検出してから遅延時間(Td)が経過した後に、負荷電流(Ia)を調整することが好ましい。
【0095】
上述の点灯装置(1)は、負荷回路(K)に流れる負荷電流(Ia)が低減又はゼロになったことで中間電圧(Vi)が上昇したとしても、停電検出回路(13)の誤検出を抑制できる。
【0096】
実施形態に係る第5の態様の点灯装置(1)は、第1乃至第4の態様のいずれか1つにおいて、中間電圧(Vi)が印加されるコンデンサ(C1)を更に備えることが好ましい。
【0097】
上述の点灯装置(1)は、コンデンサ(C1)の容量を抑えながら、常用電源(P1)が停電した直後でも制御電圧(Vc)の低下を抑えることができる。
【0098】
実施形態に係る第6の態様の点灯装置(1)は、第1乃至第5の態様のいずれか1つにおいて、常用電力による電流を調整可能に光源(2)に供給する出力調整回路(16)を更に備えることが好ましい。負荷回路(K1)は、出力調整回路(16)である。
【0099】
上述の点灯装置(1)は、負荷回路(K1)として出力調整回路(16)を用いることで、常用電源(P1)が停電した直後でも制御電圧(Vc)の低下を抑えることができる。
【0100】
実施形態に係る第7の態様の点灯装置(1)では、第6の態様において、負荷回路(K)は、出力調整回路(16)及び充電回路(12)であることが好ましい。
【0101】
上述の点灯装置(1)は、負荷回路(K)として出力調整回路(16)及び充電回路(12)を用いることで、常用電源(P1)が停電した直後でも制御電圧(Vc)の低下をより抑えることができる。
【0102】
実施形態に係る第8の態様の点灯装置(1)では、第1乃至第5の態様のいずれか1つにおいて、負荷回路(K2)は、充電回路(12)であることが好ましい。
【0103】
上述の点灯装置(1)は、負荷回路(K2)として充電回路(12)を用いることで、常用電源(P1)が停電した直後でも制御電圧(Vc)の低下を抑えることができる。
【0104】
実施形態に係る第9の態様の点灯装置(1)では、第1乃至第8の態様のいずれか1つにおいて、制御電源回路(15)は、停電検出回路(13)が停電を検出すると、非常用電力から制御電圧(Vc)を生成することが好ましい。
【0105】
上述の点灯装置(1)は、常用電源(P1)が停電しても、動作することができる。
【0106】
実施形態に係る第10の態様の非常用照明器具(A1)は、第1乃至第9の態様のいずれか1つの点灯装置(1)と、点灯装置(1)によって点灯させられる光源(2)と、非常用電源(B1)と、点灯装置(1)、光源(2)、及び非常用電源(B1)を収容する器体(A10)と、を備える。
【0107】
上述の非常用照明器具(A1)は、大型化を抑制しながら、常用電源(P1)が停電した直後でも制御電圧(Vc)の低下を抑えることができる。
【符号の説明】
【0108】
1 点灯装置
10 常用点灯回路
11 非常用点灯回路
12 充電回路
13 停電検出回路
14 制御回路
15 制御電源回路
16 出力調整回路
2 LED(光源)
A1 非常用照明器具
A10 器体
K(K1、K2) 負荷回路
C1 平滑コンデンサ(コンデンサ)
P1 商用交流電源(常用電源)
B1 電池ユニット(非常用電源)
Vi 中間電圧
Vt 閾値
Vc 制御電圧
Ia(Ia1、Ia2) 負荷電流
Td 遅延時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6