(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161920
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】照明制御システム、照明システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/17 20200101AFI20231031BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20231031BHJP
H05B 47/175 20200101ALI20231031BHJP
【FI】
H05B47/17
H05B47/155
H05B47/175
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072569
(22)【出願日】2022-04-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・令和3年(2021年)7月5日 https://news.panasonic.com/jp/topics/204302.html にて公開 ・令和3年(2021年)7月5日 https://www.hanshin.co.jp/company/press/detail/3229 にて公開 ・令和3年(2021年)12月28日 https://mobile.twitter.com/TigersDreamlink/status/1475708089949044736 https://hanshintigers.jp/news/topics/info_7815.html にて公開 ・令和4年(2022年)2月17日(令和4年(2022年)2月20日(電子版)) 日経産業新聞 令和4年(2022年)2月17日付第1面、第3面 (https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF1437G0U2A210C2000000/) にて公開 ・令和4年(2022年)3月9日 阪神甲子園球場での2022年度より実施の照明演出のメディア向けお披露目会にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 浩暁
(72)【発明者】
【氏名】久米 嶺
(72)【発明者】
【氏名】濱野 博司
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA04
3K273PA05
3K273PA09
3K273QA15
3K273QA25
3K273RA02
3K273RA05
3K273RA08
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA32
3K273TA40
3K273TA41
3K273TA47
3K273TA52
3K273TA62
3K273UA02
3K273UA17
3K273VA01
(57)【要約】
【課題】照明と空間演出との両方を行うことができる照明制御システム、照明システム、及びプログラムを提供する。
【解決手段】照明制御システムA1は、面状に配置された複数の照明装置B1を各別に制御する制御装置1を備える。複数の照明装置B1のそれぞれが照射する照明光は対象空間R1に照射される。制御装置1は、動作モードとして、照明光によって対象空間R1を所定の照明環境とする照明モードと、照明光によって対象空間R1の空間演出を行う演出モードとを切替可能に有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状に配置された複数の照明装置を各別に制御する制御装置を備え、
前記複数の照明装置のそれぞれが照射する照明光は対象空間に照射され、
前記制御装置は、
動作モードとして、前記照明光によって前記対象空間を所定の照明環境とする照明モードと、前記照明光によって前記対象空間の空間演出を行う演出モードとを切替可能に有する
照明制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記空間演出として、前記照明光で生成した文字、図形、及び模様の少なくとも1つを、前記対象空間内の人に提示する
請求項1の照明制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記複数の照明装置のそれぞれの状態を、点灯状態又は消灯状態に切り替える
請求項1又は2の照明制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記複数の照明装置のそれぞれを調光する
請求項1又は2の照明制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記複数の照明装置のそれぞれの調光レベルの範囲を、0.5%以上、かつ、100%以下とする
請求項4の照明制御システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記複数の照明装置のそれぞれを調色する
請求項1又は2の照明制御システム。
【請求項7】
面状に配置された複数の照明装置と、
前記複数の照明装置を各別に制御する制御装置と、を備え、
前記複数の照明装置のそれぞれが照射する照明光は対象空間に照射され、
前記制御装置は、
動作モードとして、前記照明光によって前記対象空間を所定の照明環境とする照明モードと、前記照明光によって前記対象空間の空間演出を行う演出モードとを切替可能に有する
照明システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記空間演出として、前記照明光で生成した文字、図形、及び模様の少なくとも1つを、前記対象空間内の人に提示する
請求項7の照明システム。
【請求項9】
前記複数の照明装置は、第1方向に沿って直線状に配置された少なくとも2つの照明装置でそれぞれ構成される複数の照明群を構成し、
前記複数の照明群は、前記第1方向に交差する第2方向に並べて配置される
請求項7又は8の照明システム。
【請求項10】
前記第1方向と前記第2方向とは直交する
請求項9の照明システム。
【請求項11】
前記複数の照明装置は、鉄塔に設置される
請求項7又は8の照明システム。
【請求項12】
1つ以上のプロセッサに、面状に配置された複数の照明装置を各別に制御する制御装置の動作モードを、前記複数の照明装置のそれぞれが照射する照明光によって対象空間を所定の照明環境とする照明モードと、前記照明光によって前記対象空間の空間演出を行う演出モードとに切替可能とする処理を行わせる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御システム、照明システム、及びプログラムに関する。より詳細には、照明光を利用して空間演出を行う照明制御システム、照明システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の照明制御システムは、複数の照明器具を制御するためのものであり、照明器具は、例えば、体育館、グランド施設、競技場等の各種施設の照明器具である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各種施設(対象空間)では、施設内の人への演出効果を得るためには、空間演出を行う専用の演出システムが必要であった。この結果、各種施設には、照明システムと演出システムとの両方が必要になっていた。
【0005】
本開示の目的は、照明と空間演出との両方を行うことができる照明制御システム、照明システム、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る照明制御システムは、面状に配置された複数の照明装置を各別に制御する制御装置を備える。前記複数の照明装置のそれぞれが照射する照明光は対象空間に照射される。前記制御装置は、動作モードとして、前記照明光によって前記対象空間を所定の照明環境とする照明モードと、前記照明光によって前記対象空間の空間演出を行う演出モードとを切替可能に有する。
【0007】
本開示の一態様に係る照明システムは、面状に配置された複数の照明装置と、前記複数の照明装置を各別に制御する制御装置と、を備える。前記複数の照明装置のそれぞれが照射する照明光は対象空間に照射される。前記制御装置は、動作モードとして、前記照明光によって前記対象空間を所定の照明環境とする照明モードと、前記照明光によって前記対象空間の空間演出を行う演出モードとを切替可能に有する。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、1つ以上のプロセッサに、面状に配置された複数の照明装置を各別に制御する制御装置の動作モードを、照明モードと、演出モードとに切替可能とする処理を行わせる。前記照明モードは、前記複数の照明装置のそれぞれが照射する照明光によって対象空間を所定の照明環境とする。前記演出モードは、前記照明光によって前記対象空間の空間演出を行う。
【発明の効果】
【0009】
本開示の照明制御システム、照明システム、及びプログラムは、照明と空間演出との両方を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る照明制御システム及び照明システムのシステム構成図である。
【
図2】
図2は、同上の照明システムが備える複数の照明装置の正面図である。
【
図3】
図3は、同上の照明システムが備える照明設備の設置例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の照明システムにおける演出照明の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、同上の照明システムにおける演出照明の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、同上の照明システムにおける演出照明の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、同上の照明システムにおける演出照明の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示の実施形態に係る照明制御システム、照明システム、及びプログラムを詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
(1)概要
本開示の実施形態に係る照明制御システムA1は、面状に配置された複数の照明装置B1を各別に制御し、複数の照明装置B1のそれぞれから放射される照明光を利用して空間演出を行う(
図1参照)。複数の照明装置B1は、例えば、野球場、サッカー場、ラグビー場、陸上競技場などの競技施設に設置される投光器であり、競技者が競技を行うグランド及びフィールド、並びに観戦する観客が存在する観客席などの対象空間R1を照明する用途(投光照明、あるいはスタジアム照明とも呼ばれる。)に用いられる。ただし、照明装置B1は、体育館などの屋内施設に用いられてもよく、この場合、競技者が競技を行う屋内施設内のスペースが対象空間R1となる。また、複数の照明装置B1から放射される照明光の光色(色温度)が2種類以上であっても構わない。
【0013】
本実施形態における「空間演出」とは、例えば、縦横に並べて設置された複数の照明装置B1が各別に点灯、消灯、調光、及び調色されることにより、文字、図形、模様などを表示することである。「空間演出」では、複数の照明装置B1の各状態を各別に点灯状態又は消灯状態に切り替えるだけでもよいし、複数の照明装置B1を各別に調光するだけでもよいし、複数の照明装置B1を各別に調色するだけでもよい。すなわち、「空間演出」では、照明装置B1の点灯・消灯、調光、及び調色の少なくとも1つを制御することで実現されればよい。
【0014】
このような「空間演出」は、対象空間R1内の競技者及び観客などの人H1に対して行われる。例えば、「空間演出」は、野球の試合における攻守交代の時間、サッカー及びラグビーの試合におけるハーフタイムのように競技者が競技していないときに観客を退屈させずに競技を盛り上げることを目的に行われる。なお、本実施形態において、空間演出のために照明光を照射する照明を演出照明と呼ぶ。一方、対象空間R1での競技者が競技しやすく、観客が競技を見やすくなるように、競技中にグランド等に照明光を照射する投光照明(スタジアム照明)をベース照明と呼ぶ。
【0015】
実施形態に係る照明制御システムA1は、制御装置1を備える。制御装置1は、面状に配置された複数の照明装置B1を各別に制御する。複数の照明装置B1のそれぞれが照射する照明光は対象空間R1に照射される。制御装置1は、動作モードとして、照明光によって対象空間R1を所定の照明環境とする照明モードと、照明光によって対象空間R1の空間演出を行う演出モードとを切替可能に有する。したがって、照明制御システムA1は、動作モードとして照明モード及び演出モードを有することで、対象空間R1の照明と空間演出との両方を行うことができる。
【0016】
また、照明制御システムA1、及び複数の照明装置B1は、照明システムA10の少なくとも一部を構成する。すなわち、照明システムA10は、照明制御システムA1と、複数の照明装置B1と、を備える。したがって、照明システムA10も、動作モードとして照明モード及び演出モードを有することで、対象空間R1の照明と空間演出との両方を行うことができる。
【0017】
(2)詳細
実施形態に係る照明制御システムA1(以下、照明制御システムA1と略す。)は、
図1に示すように、制御装置1、通信装置2、入力装置3、及び記憶装置4を備えている。照明制御システムA1は、複数の照明装置B1を有する照明設備C1を設置した野球場で使用される。ただし、照明制御システムA1は、サッカー場、ラグビー場、陸上競技場などの野球場以外の競技施設、あるいは、バスケットボール、バレーボールなどの競技が行われる体育館のような競技施設で使用されても構わない。
【0018】
(2-1)照明設備
照明設備C1は、複数の照明装置B1を備える。複数の照明装置B1はそれぞれ、投光照明(スタジアム照明)用の投光器であり、照明設備C1は、例えば756台の照明装置B1を備える。照明装置B1の1台当たりの光束は、例えば30000ルーメン以上である。そして、複数の照明装置B1は、面状に配置される。具体的に、複数の照明装置B1は、第1方向に沿って直線状に配置された少なくとも2つの照明装置B1でそれぞれ構成される複数の照明群を構成し、複数の照明群は、第1方向に交差する第2方向に並べて配置されることが好ましい。
【0019】
図2は、照明設備C1の一例を示す。
図2では、水平方向X1を第1方向とし、水平方向X1に直交する鉛直方向Y1を第2方向とする。照明設備C1では、複数の照明装置B1は、水平方向X1に沿って直線状に配置された少なくとも2つの照明装置B1でそれぞれ構成される複数の照明群9を構成している。そして、複数の照明群9は、鉛直方向Y1に並べて配置されている。なお、第1方向は水平方向に限定されず、第2方向は鉛直方向に限定されない。また、第2方向は、第1方向に斜めに交差してもよい。
【0020】
照明設備C1は、各照明群9を構成する照明装置B1の数を同数として、複数の照明群9を鉛直方向Y1に並べて配置することで、複数の照明装置B1を矩形状に配置した矩形状となる(
図3参照)。また、照明設備C1は、各照明群9を構成する照明装置B1の数を異ならせて、複数の照明群9を鉛直方向Y1に並べて配置することで、複数の照明装置B1を円形に配置した円形状としてもよい。すなわち、複数の照明装置B1の配置を適宜設定することで、照明設備C1の形状を任意の形状(矩形状、円形状、台形状、扇形状など)とすることができる。本実施形態では、照明設備C1の形状を特定の形状に限定しない。
【0021】
照明設備C1は、
図3に示すように、例えば野球場の内外野の観客席の外側に建てられた鉄塔(照明塔)D1の上端に設置される。例えば、鉄塔D1の高さ寸法は15m以上であり、照明設備C1は野球場のグランドから15m以上の高さに設置され、野球場のグランド及び観客席を含む対象空間R1に照明光を照射する。したがって、照明設備C1は、対象空間R1を野球場などの競技場として、空間演出を行うことができる。なお、照明設備C1は、一部の内野席の上方に設置された屋根のへりに設置される場合もある。
【0022】
(2-2)通信装置
照明制御システムA1は、複数の通信装置2を備える。複数の通信装置2のうち1つの通信装置2は、第1通信ケーブルLs1を介して制御装置1と通信可能に接続される。第1通信ケーブルLs1は、3心又は5心の電気ケーブルが好適である。さらに、複数の通信装置2のそれぞれは、非シールドより対線からなるLANケーブルLxを介して、他の通信装置2と通信可能に接続される。また、複数の通信装置2のそれぞれは、第2通信ケーブルLs2を介して複数の照明装置B1と通信可能に接続される。第2通信ケーブルLs2は、第1通信ケーブルLs1と同様の3心又は5心の電気ケーブルが好適である。
【0023】
複数の通信装置2のうち1つの通信装置2は、第1通信ケーブルLs1を通信媒体とし、制御装置1との間でDMX(Digital Multiplex)512Aの規格に準拠した信号(以下、DMX信号と呼ぶ。)を送受信する。複数の通信装置2同士は、LANケーブルLxを通信媒体とし、イーサネット(登録商標)の規格に準拠した信号(以下、LAN信号と呼ぶ。)を送受信することができる。そして、複数の通信装置2のそれぞれは、第2通信ケーブルLs2を通信媒体とし、複数の照明装置B1との間でDMX信号を送受信することができる。つまり、通信装置2は、制御装置1から送信されるDMX信号を各照明装置B1に中継する機能と、制御装置1から送信されるDMX信号をLAN信号に変換して他の通信装置2に送信する機能と、を有している。なお、このような信号変換機能を有する通信装置2は、例えば、DMXノードと呼ばれる通信機器で実現可能である。
【0024】
ただし、通信装置2は、照明制御に適した通信プロトコルによって通信すればよく、DMX512A以外にもDALI(登録商標)(Digital Addressable Lighting Interface:IEC62386参照)などの規格に準拠した通信プロトコルで通信してもよい。
【0025】
(2-3)入力装置
入力装置3は、キーボード、マウス、タッチパネル、などのヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)を有し、これらのHMIを用いた作業者による操作入力を受け付ける。また、入力装置3は、受け付けた操作入力に対応した操作データをDMX信号に変換する。さらに、入力装置3は、変換したDMX信号を、第3通信ケーブルLs3を介して制御装置1に送信する。入力装置3は、調光操作卓又はパーソナルコンピュータで実現可能である。ただし、入力装置3がパーソナルコンピュータで実現される場合、入力装置3と制御装置1の通信は、例えば、RS232-Cなどの汎用のシリアル通信で行われる。
【0026】
入力装置3が受け付ける操作入力は、複数の照明装置B1のそれぞれの動作状態(点灯、消灯、調光、調色)を組み合わせたパターン(制御パターン)を作成するためのデータである。当該データは、個々の照明装置B1に割り当てられた固有のID、動作状態の継続時間、などを含んでいる。入力装置3は、操作入力から取得したデータに基づいて制御パターンを生成し、生成した制御パターンをDMX信号によって制御装置1に送信する。制御装置1は、入力装置3で作成された制御パターンのデータを記憶装置4に格納する。
【0027】
(2-4)記憶装置
記憶装置4は、例えば、電気的に書換可能な不揮発性の半導体メモリを有する。記憶装置4は、第4通信ケーブルLs4を介して制御装置1と通信可能に接続される。記憶装置4は、第4通信ケーブルLs4を介して制御装置1に送信する制御パターンのデータを記憶する。制御パターンには、照明モードの制御パターンである照明制御パターン、及び演出モードの制御パターンである演出制御パターンが含まれる。記憶装置4に格納される照明制御パターン及び演出制御パターンのそれぞれは少なくとも1つであり、複数であってもよい。なお、記憶装置4は、HDD(ハードディスクドライブ)、SSD(ソリッドステートドライブ)、メモリカードなどの記憶媒体で構成されて制御装置1と一体に設けられても構わない。
【0028】
(2-5)制御装置
制御装置1は、1つ以上のプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムを含む。制御装置1は、コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを1つ以上のプロセッサが実行することによって実現される。プログラムは、メモリにあらかじめ記録されてもよい。また、プログラムは、電気通信回線を通じて提供されてもよい。さらに、プログラムは、プロセッサが読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。プロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1つ以上の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1つ以上のプロセッサ及び1つ以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0029】
なお、制御装置1、通信装置2、入力装置3及び記憶装置4は、1つの筐体内に収容されても構わないし、2つ以上の筐体に分散して収容されても構わない。また、後述する制御装置1の一部の機能がクラウドコンピューティング等によって実現されても構わない。
【0030】
制御装置1は、タイマによる内部トリガ、並びにDMX信号及び接点入力等による外部トリガに応じて、記憶装置4からいずれかの制御パターンのデータを読み出す。さらに、制御装置1は、記憶装置4から読み出した制御パターンのデータをDMX信号によって第1通信ケーブルLs1を介して通信装置2に送信する。通信装置2は、制御装置1から受信するDMX信号を第2通信ケーブルLs2を介して複数の照明装置B1に中継する。さらに、通信装置2は、DMX信号をLAN信号に変換し、LANケーブルLxを介して他の通信装置2に送信する。他の通信装置2は、LANケーブルLxを介して受信するLAN信号をDMX信号に再変換し、当該DMX信号を第2通信ケーブルLs2を介して複数の照明装置B1に中継する。
【0031】
具体的に、制御装置1は、制御パターンのデータに基づいて、複数の照明装置B1のそれぞれを個別に、点灯・消灯制御、調光制御、及び調色制御する。点灯・消灯制御は、複数の照明装置B1のそれぞれの状態を、個別に点灯状態又は消灯状態に切り替える。調光制御は、複数の照明装置B1のそれぞれを個別に調光する。調色制御は、複数の照明装置B1のそれぞれを個別に調色する。特に、制御装置1は、照明装置B1を調光する場合、調光レベルの範囲を、0.5%以上、かつ、100%以下とすることが好ましい。なお、調光レベルとは、照明装置B1の定格点灯時の明るさ(光束)を100%とし、消灯時の明るさを0%としたときの明るさの比(光束比)を表している。
【0032】
そして、制御装置1は、動作モードとして、照明モードと、演出モードとを切替可能に有する。制御装置1は、内部トリガ又は外部トリガによって、動作モードを、照明モード又は演出モードに切り替える。制御装置1は、動作モードが照明モードであれば、記憶装置4から照明制御パターンのデータを読み出す。制御装置1は、動作モードが演出モードであれば、記憶装置4から演出制御パターンのデータを読み出す。
【0033】
制御装置1は、動作モードが照明モードであれば、点灯・消灯制御、調光制御、及び調色制御を行うことで、対象空間R1の照明環境を幅広く変化させることができる。また、制御装置1は、動作モードが演出モードであれば、点灯・消灯制御、調光制御、及び調色制御を行うことで、対象空間R1の空間演出を幅広く変化させることができる。
【0034】
(照明モード)
照明モードは、照明光によって対象空間R1を所定の照明環境とする動作モードである。照明モードで動作する制御装置1は、照明設備C1の照明光によって試合中のグランド及び観客席を照明するベース照明を行わせる。照明モードで動作する制御装置1は、記憶装置4から照明制御パターンのデータを読み出し、照明制御パターンのデータに基づいて複数の照明装置B1のそれぞれの点灯、消灯、調光、及び調色を個別に制御する。この結果、対象空間R1での競技者が競技しやすく、観客が競技を見やすくなるように、対象空間R1の照度、光色、及び照明範囲などの照明環境が調整される。例えば、照明モードで動作する制御装置1は、複数の照明装置B1のそれぞれの調光レベルを65%より高くすることで、対象空間R1における照度を高くし、競技及び観戦を行うための視認性を確保することが好ましい。
【0035】
(演出モード)
演出モードは、照明光によって対象空間R1内の空間演出を行う動作モードである。演出モードで動作する制御装置1は、照明設備C1の照明光によって空間演出のための演出照明を行わせる。演出モードで動作する制御装置1は、記憶装置4から演出制御パターンのデータを読み出し、演出制御パターンのデータに基づいて複数の照明装置B1のそれぞれの点灯、消灯、調光、及び調色を個別に制御する。具体的には、照明設備C1を表示装置とし、1台の照明装置B1を表示装置の1画素(1ドット)に見立てる。そして、複数の照明装置B1を1台1台個別に点灯、消灯、調光、及び調色することで、競技施設などの広大な対象空間R1では表現することが難しかったドット絵のような文字、図形、及び模様を、照明設備C1(
図2参照)で表現できるようになった。すなわち、照明制御システムA1は、照明設備C1を電光掲示板に見立て、複数の照明装置B1の各状態を個別に制御することにより、文字、図形、模様などを静止画又は動画で表示させる。照明制御システムA1は、面状に配置された複数の照明装置B1の各状態を個別に制御することによって、文字、図形、模様などをより細緻に生成し、文字、図形、模様などに様々な動きを付与することができる。この結果、観客を退屈させずに競技を盛り上げるように、対象空間R1の照度、光色、及び照明範囲などの照明環境が調整される。
【0036】
また、演出モードで動作する制御装置1は、複数の照明装置B1のそれぞれの調光レベルを65%とすることで、複数の照明装置B1で表す文字、図形、及び模様を見やすくすることが好ましい。
【0037】
以下、演出照明の具体例について、
図4-
図7を用いて説明する。なお、
図4-
図7において、点灯している照明装置B1を示す四角を白抜きとし、消灯している照明装置B1を示す四角にドットを付している。
【0038】
制御装置1は、空間演出として、照明光で生成した文字E1(
図4参照)、文字E2(
図5参照)、図形E3(
図6参照)、及び模様E4(
図7参照)の少なくとも1つを、対象空間R1内の人に提示することが好ましい。この場合、照明制御システムA1は、空間演出の幅が大きく広がることで、より臨場感やエンターテインメント性のある対象空間R1を実現できる。
【0039】
図4では、制御装置1は、演出照明として、照明施設C1に「GO」などの文字E1を表示させている。制御装置1は、文字E1に相当する照明装置B1を消灯させ、文字E1の周囲の照明装置B1を点灯させる。すなわち、文字E1は消灯している照明装置B1で表され、文字E1の周囲の照明装置B1は電球色(又は白色)で点灯している。したがって、文字E1は、電球色(又は白色)の背景に形成された黒い文字として人の目に映る。制御装置1は、文字E1をアニメーション動画のように動かしたり、点滅させたり、色を切り替えたりしてもよい。また、文字は、アルファベット、ひらがな、カタカナ、漢字、数字、及び記号などのいずれでもよく、特定の文字に限定されない。
【0040】
図5では、制御装置1は、演出照明として、照明施設C1に「GO」などの文字E2を表示させている。制御装置1は、文字E2に相当する照明装置B1を点灯させ、文字E2の周囲の照明装置B1を消灯させる。すなわち、文字E2は電球色(又は白色)で点灯している照明装置B1で表され、文字E2の周囲の照明装置B1は消灯しており、
図5の演出照明は、
図4の演出照明を反転させたものになる。したがって、文字E2は、黒色の背景に形成された電球色(又は白色)の文字として人の目に映る。制御装置1は、文字E2をアニメーション動画のように動かしたり、点滅させたり、色を切り替えたりしてもよい。
【0041】
図6では、制御装置1は、演出照明として、照明施設C1に動物などの図形E3を表示させている。制御装置1は、図形E3に相当する照明装置B1を消灯させ、図形E3の周囲の照明装置B1を点灯させる。すなわち、図形E3は消灯している照明装置B1で表され、図形E3の周囲の照明装置B1は電球色(又は白色)で点灯している。したがって、図形E3は、電球色(又は白色)の背景に形成された黒い図形として人の目に映る。制御装置1は、図形E3をアニメーション動画のように動かしたり、点滅させたり、色を切り替えたりしてもよい。また、制御装置1は、図形E3と同様の図形を反転表示させてもよい。また、図形は、動物、人、及び乗り物などのいずれでもよく、特定の図形に限定されない。
【0042】
図7では、制御装置1は、演出照明として、照明施設C1に四角の模様E4を表示させている。制御装置1は、模様E4に相当する照明装置B1を消灯させ、模様E4の周囲の照明装置B1を点灯させる。すなわち、模様E4は消灯している照明装置B1で表され、模様E4の周囲の照明装置B1は電球色(又は白色)で点灯している。したがって、模様E4は、電球色(又は白色)の背景に形成された黒い図形として人の目に映る。制御装置1は、模様E4をアニメーション動画のように動かしたり、点滅させたり、色を切り替えたりしてもよい。また、制御装置1は、模様E4と同様の図形を反転表示させてもよい。また、模様は、四角、円、及び星形などのいずれでもよく、特定の模様に限定されない。
【0043】
(3)実施形態に係る照明制御システムの利点
上述のように照明制御システムA1は、試合中のグランド及び観客席を照明するベース照明だけでなく、空間演出のための演出照明を行わせるためにも複数の照明装置B1を各別に制御する。しかして、照明制御システムA1は、複数の照明装置B1を制御して、攻守交代の時間のように試合の進行が止まっているときに観客を退屈させずに競技を盛り上げる空間演出を行うことができる。
【0044】
また、複数の照明装置B1を表示装置(電光掲示板)に見立てることで、照明光による空間演出にサインとしての役割を持たせることが可能になった。
【0045】
(4)実施形態に係るプログラム
実施形態に係るプログラムは、1つ以上のプロセッサに、制御装置1の動作モードを、照明光によって対象空間R1を所定の照明環境とする照明モードと、照明光によって対象空間R1内の空間演出を行う演出モードとに切替可能とする処理を行わせる。なお、実施形態に係るプログラムを実行する1以上のプロセッサは、照明制御システムA1が備えるコンピュータシステムのプロセッサでもよい。あるいは、実施形態に係るプログラムを実行する1以上のプロセッサは、クラウドコンピューティングで実現されてもよい。
【0046】
実施形態に係るプログラムによれば、汎用のコンピュータシステム等を用いて、実施形態に係る照明制御システムA1と同等の機能を実現することができる。しかして、実施形態に係るプログラムは、動作モードとして照明モード及び演出モードを有することで、対象空間R1の照明と空間演出との両方を行うことができる、という利点がある。
【0047】
(5)まとめ
本開示の第1の態様に係る照明制御システム(A1)は、面状に配置された複数の照明装置(B1)を各別に制御する制御装置(1)を備える。複数の照明装置(B1)のそれぞれが照射する照明光は対象空間(R1)に照射される。制御装置(1)は、動作モードとして、照明光によって対象空間(R1)を所定の照明環境とする照明モードと、照明光によって対象空間(R1)の空間演出を行う演出モードとを切替可能に有する。
【0048】
第1の態様に係る照明制御システム(A1)は、対象空間(R1)の照明と空間演出との両方を行うことができる。
【0049】
本開示の第2の態様に係る照明制御システム(A1)では、第1の態様において、制御装置(1)は、空間演出として、照明光で生成した文字(E1、E2)、図形(E3)、及び模様(E4)の少なくとも1つを、対象空間(R1)内の人に提示することが好ましい。
【0050】
第2の態様に係る照明制御システム(A1)は、空間演出の幅が大きく広がることで、より臨場感やエンターテインメント性のある対象空間(R1)を実現できる。
【0051】
本開示の第3の態様に係る照明制御システム(A1)では、第1又は第2の態様において、制御装置(1)は、複数の照明装置(B1)のそれぞれの状態を、点灯状態又は消灯状態に切り替えることが好ましい。
【0052】
第3の態様に係る照明制御システム(A1)は、対象空間(R1)の空間演出を幅広く変化させることができる。
【0053】
本開示の第4の態様に係る照明制御システム(A1)では、第1乃至第3の態様のいずれか1つにおいて、制御装置(1)は、複数の照明装置(B1)のそれぞれを調光することが好ましい。
【0054】
第4の態様に係る照明制御システム(A1)は、対象空間(R1)の空間演出を幅広く変化させることができる。
【0055】
本開示の第5の態様に係る照明制御システム(A1)では、第4の態様において、制御装置(1)は、複数の照明装置(B1)のそれぞれの調光レベルの範囲を、0.5%以上、かつ、100%以下とすることが好ましい。
【0056】
第5の態様に係る照明制御システム(A1)は、対象空間(R1)の空間演出を幅広く変化させることができる。
【0057】
本開示の第6の態様に係る照明制御システム(A1)では、第1乃至第5の態様のいずれか1つにおいて、制御装置(1)は、複数の照明装置(B1)のそれぞれを調色することが好ましい。
【0058】
第6の態様に係る照明制御システム(A1)は、対象空間(R1)の空間演出を幅広く変化させることができる。
【0059】
本開示の第7の態様に係る照明システム(A10)は、面状に配置された複数の照明装置(B1)と、複数の照明装置(B1)を各別に制御する制御装置(1)と、を備える。複数の照明装置(B1)のそれぞれが照射する照明光は対象空間(R1)に照射される。制御装置(1)は、動作モードとして、照明光によって対象空間(R1)を所定の照明環境とする照明モードと、照明光によって対象空間(R1)の空間演出を行う演出モードとを切替可能に有する。
【0060】
第7の態様に係る照明システム(A10)は、対象空間(R1)の照明と空間演出との両方を行うことができる。
【0061】
本開示の第8の態様に係る照明システム(A10)では、第7の態様において、制御装置(1)は、空間演出として、照明光で生成した文字(E1、E2)、図形(E3)、及び模様(E4)の少なくとも1つを、対象空間(R1)内の人に提示することが好ましい。
【0062】
第8の態様に係る照明システム(A10)は、空間演出の幅が大きく広がることで、より臨場感やエンターテインメント性のある対象空間(R1)を実現できる。
【0063】
本開示の第9の態様に係る照明システム(A10)では、第7又は第8の態様において、複数の照明装置(B1)は、第1方向に沿って直線状に配置された少なくとも2つの照明装置(B1)でそれぞれ構成される複数の照明群(9)を構成する。そして、複数の照明群(9)は、第1方向に交差する第2方向に並べて配置されることが好ましい。
【0064】
第9の態様に係る照明システム(A10)は、複数の照明装置(B1)を表示装置(電光掲示板)に見立てることができる。
【0065】
本開示の第10の態様に係る照明システム(A10)では、第9の態様において、第1方向と第2方向とは直交することが好ましい。
【0066】
第10の態様に係る照明システム(A10)は、複数の照明装置(B1)を表示装置(電光掲示板)に見立てることができる。
【0067】
本開示の第11の態様に係る照明システム(A10)では、第7又は第8の態様において、複数の照明装置(B1)は、鉄塔(D1)に設置されることが好ましい。
【0068】
第11の態様に係る照明システム(A10)は、対象空間(R1)を競技場として、空間演出を行うことができる。
【0069】
本開示の第12の態様に係るプログラムは、1つ以上のプロセッサに、面状に配置された複数の照明装置(B1)を各別に制御する制御装置(1)の動作モードを、複数の照明装置(B1)のそれぞれが照射する照明光によって対象空間(R1)を所定の照明環境とする照明モードと、照明光によって対象空間(R1)の空間演出を行う演出モードとに切替可能とする処理を行わせる。
【0070】
第12の態様に係るプログラムは、対象空間(R1)の照明と空間演出との両方を行うことができる。
【符号の説明】
【0071】
A1 照明制御システム
A10 照明システム
B1 照明装置
D1 鉄塔
R1 対象空間
E1、E2 文字
E3 図形
E4 模様
1 制御装置
9 照明群