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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161921
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】充填装置
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/28 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
B67C3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072572
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】西納 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】加森 慎也
(72)【発明者】
【氏名】北山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】季羽 瑞穂
【テーマコード(参考)】
3E079
【Fターム(参考)】
3E079AB01
3E079BB08
3E079CC01
3E079DD02
3E079DD50
3E079DE04
3E079FF03
3E079FF16
3E079GG01
3E079GG02
(57)【要約】
【課題】胴径の異なる容器の充填に用いられる充填装置において、胴径の大きさに関わらず高い充填能力を維持する。
【解決手段】充填装置は、液体を貯留する充填液タンクと充填バルブ26を備える。充填バルブ26は、内部に弁座33が設けられた充填ノズル32と、弁座33に着座する弁体39Aが形成されるとともに、充填ノズル32の内周面との間に形成される液通路30を流れる液体に旋回力を付与する旋回フィン50が外周部に設けられたバルブロッド34と、バルブブロッド34を昇降させて弁体39Aを開閉するサーボシリンダ40と、サーボシリンダ40を制御する制御装置42とを有する。制御装置42は、充填を行う容器の胴径に応じて弁座と弁体との開度を変更可能とし、胴径が小さい小型容器を充填する際には小開度で充填を行い、小型容器よりも胴径が大きい大型容器を充填する際には大開度で充填を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する充填液タンクと、
下方に容器の口部に当接するシール部材が設けられた充填バルブとを備え、
前記充填バルブは、
内部に弁座が設けられて下端部に液体の流出口が形成された充填ノズルと、
前記弁座に着座する弁体が形成されるとともに、前記充填ノズルの内周面との間に形成される液通路を流れる液体に旋回力を付与する旋回フィンが外周部に設けられたバルブロッドと、
前記バルブロッドを昇降させて前記弁体を開閉する駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、充填を行う容器の胴径に応じて前記弁座と弁体との開度を変更可能とし、胴径が小さい小型容器を充填する際には小開度で充填を行い、前記小型容器よりも胴径が大きい大型容器を充填する際には大開度で充填を行う
ことを特徴とする充填装置。
【請求項2】
前記制御手段が、充填を行う容器の胴径に応じた流量と開度の関係を記憶した記憶部を備え、充填する容器の種類に応じて開度を記憶部から選択することを特徴とする請求項1に記載の充填装置。
【請求項3】
前記容器が、上端に口部が形成された筒状部と、前記筒状部に繋がる拡径部と、前記拡径部に繋がる胴部とを有し、
前記バルブロッドの下端部に下方に向けて広がる傾斜面が設けられ、
前記弁体を開放した状態では、前記バルブロッドの下端部の前記傾斜面が前記充填ノズルの下端部の流出口よりも下方に突出して容器の前記筒状部内に位置し、
前記旋回フィンで旋回された充填液の旋回流を、前記傾斜面によって容器の筒状部の内周面に案内することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器にガス充填液を充填する充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスを含有するガス充填液をボトルに充填する装置として、充填時の泡立ちを抑制するために、充填バルブのバルブロッドに旋回フィンを設け、ガス充填液を旋回させながら容器に供給する構成が知られている(特許文献1)。同充填バルブでは、旋回流の遠心力を利用し充填液をボトル肩部へと導くことでボトルの内壁側面に沿って充填液を供給し、泡の発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-094098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充填バルブは、異なる種類の容器で兼用されることが望ましい。特許文献1の充填バルブを胴径の小さい小型容器と胴径の大きい大型容器で兼用する場合、小型容器に対して高速で大型容器に充填するのに好適な比較的大きな流量で充填を行うと、旋回流が強くなり小型容器の内壁側面に沿って充填される液体が底にあたって跳ね上がり泡立ちが発生するので、泡立ちやすい液体を充填する際の泡立ちを抑えるために、大型容器であっても充填バルブの流量は小型容器に合わせて設定されている。しかし、同構成では流量が小型容器に合わせられているため大型容器に充填を行う際の充填能力が、大型容器専用の充填バルブと比較して低くなる。
【0005】
本発明は、胴径の異なる容器の充填に用いられる充填装置において、胴径の大きさに関わらず高い充填能力を維持することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である充填装置は、液体を貯留する充填液タンクと、下方に容器の口部に当接するシール部材が設けられた充填バルブとを備え、前記充填バルブは、内部に弁座が設けられて下端部に液体の流出口が形成された充填ノズルと、前記弁座に着座する弁体が形成されるとともに、前記充填ノズルの内周面との間に形成される液通路を流れる液体に旋回力を付与する旋回フィンが外周部に設けられたバルブロッドと、前記バルブロッドを昇降させて前記弁体を開閉する駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、充填を行う容器の胴径に応じて前記弁座と弁体との開度を変更可能とし、胴径が小さい小型容器を充填する際には小開度で充填を行い、前記小型容器よりも胴径が大きい大型容器を充填する際には大開度で充填を行うことを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明である充填装置は、第1の発明において、前記制御手段が、充填を行う容器の胴径に応じた流量と開度の関係を記憶した記憶部を備え、充填する容器の種類に応じて開度を記憶部から選択することを特徴としている。
【0008】
本発明の第3の発明である充填装置は、第1または第2の発明において、前記容器が、上端に口部が形成された筒状部と、前記筒状部に繋がる拡径部と、前記拡径部に繋がる胴部とを有し、前記バルブロッドの下端部に下方に向けて広がる傾斜面が設けられ、前記弁体を開放した状態では、前記バルブロッドの下端部の前記傾斜面が前記充填ノズルの下端部の流出口よりも下方に突出して容器の前記筒状部内に位置し、前記旋回フィンで旋回された充填液の旋回流を、前記傾斜面によって容器の筒状部の内周面に案内することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、胴径の異なる容器の充填に用いられる充填装置において、胴径の大きさに関わらず高い充填能力を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である充填装置の一部の構成を示す平面図である。
図2】本実施形態のフィラの構成を模式的に示す側面図である。
図3】本実施形態の充填バルブの縦断面図である。
図4】充填バルブの先端部の拡大図断面図である。
図5】胴径が小さい容器へ充填行う充填バルブの縦断面図である。
図6】胴径が大きい容器に充填を行う充填バルブの縦断面図である。
図7】制御装置とサーボシリンダの関係を示すブロック図である。
図8】制御装置の記憶部に保存されるテーブルの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である充填ラインの一部構成を概略的に示す平面図である。
【0012】
本実施形態の充填ライン10は、ガスを含有する液体であるガス充填液(例えば炭酸ガス飲料)を容器Vに充填する充填設備である。充填ライン10は、ホイール式のリンサ12、フィラ(充填装置)14、キャッパ16を備える。
【0013】
リンサ12においてその内面と外面が洗浄された容器Vは、供給ホイール13を介してフィラ14に受け渡され、ガス充填液が容器Vに充填される。
【0014】
充填が完了した容器Vは、中間ホイール15を介してキャッパ16に受け渡され、キャップが装着される。キャッピングが終了した容器Vは、排出ホイール18を介して排出コンベヤ20へと受け渡され下流側の処理装置へと排出される。
【0015】
容器Vは、例えば首部にフランジを有する樹脂製のボトル(例えばPETボトル)であり、リンサ12からキャッパ16までの各ホイールにおいて、容器Vはグリッパによりフランジの下方と上方が交互に把持されて搬送される。なお、排出ホイール18以降はボトル底面をコンベヤ搬送面で支持されて搬送される。
【0016】
図2、本実施形態のフィラ14の構成を模式的に示す側面図である。フィラ14は、フィラ本体22と、フィラ本体22の上方に設けられた充填液タンク24を備える。フィラ本体22は回転ホイールから構成され、その外周には多数の充填バルブ26が配置される。また、回転ホイールには、各充填バルブ26に対応して容器Vを保持するグリッパが配置される(不図示)。
【0017】
充填液タンク24には、ガス充填液Fが、液供給通路24Aを通して供給される。また、充填液タンク24のヘッドスペースには、ガス供給通路24Bを通して図示しない加圧装置から加圧ガスが供給される(加圧手段)。充填する際には、炭酸ガスなどの加圧ガスが供給され、充填液タンク24内のヘッドスペースは、例えば約0.3MPaに維持される。
【0018】
充填液タンク24の底部には、ロータリージョイント30Bを介して充填バルブ26に充填液を供給する液通路30が接続される。液通路30は、フィラ本体22において分岐され、流量計30Aを通して各充填バルブ26に供給される。充填バルブ26は、容器Vの口部に気密的に密接し、充填液を容器Vに供給する。
【0019】
次に図3の充填バルブ26の縦断面図を参照して本実施形態の充填バルブ26の構成について説明する。充填バルブ26は外殻部を構成する中空のノズル本体(充填ノズル)32と、ノズル本体32内に昇降自在に配置され、ノズル本体32との間に液通路30を形成するとともに、液通路30の開閉を行う液バルブ31を構成するバルブロッド34を備える。充填バルブ26は、所定のタイミングで液バルブ31を開閉し、容器Vに充填液を注入する。
【0020】
バルブロッド34には、充填液タンク24のヘッドスペースの気相と、密閉された容器Vの気相とを連通するためのガス通路36が設けられる。各充填バルブ26のガス通路36は、ガスバルブ36Aを介してガスマニホールド36Bに接続され、ロータリージョイント30Bを通して1本のガス通路36に統合されて充填液タンクの頂部に接続される。
【0021】
また、ガス通路36のガスバルブ36Aよりも充填バルブ26側には、密閉された容器Vの内部空間を外部へと連通するためのスニフト通路38が接続される。各ガス通路36に接続されたスニフト通路38には、各々スニフトバルブ38Aが設けられ、スニフト用マニホールド38Bを介して1本のスニフト通路38に統合されて外部に開放される。
【0022】
ノズル本体32は、下部外殻部材32Aと、バルブロッド34を昇降させる上部外殻部材32Bとから構成される。充填液Fを充填バルブ26に供給する液通路30は、下部外殻部材32Aの上部側面に接続される。
【0023】
バルブロッド34と下部外殻部材32Aの間には、バルブロッド34を取り囲むように充填液Fを流通させる環状の液通路30が形成され、バルブロッド34の下端は、下部外殻部材32Aの下端から僅かに下方に突出する。
【0024】
バルブロッド34の中心には、長手方向に沿ってガス通路36が設けられ、前述したように、容器Vをガスバルブ36Aを介して充填液タンク24のヘッドスペースに連通するとともに、スニフト通路38に接続され、スニフトバルブ38Aを介して外部へと連通される。
【0025】
バルブロッド34には、その下端部構成する細径部34Aと、その上方に位置する中径部34Bと、更にその上方に位置する大径部34Cとを備える。細径部34Aと中径部34Bとの間には両者を連絡する第1縮径部39Aが設けられ、中径部34Bと大径部34Cとの間には両者を連絡する第2縮径部39Bが設けられる。
【0026】
下部外殻部材32Aの内周面は、細径部34A、中径部34B、大径部34Cと第1、第2縮径部39A、39Bの形状に合わせた形状とされ、下部外殻部材32Aとバルブロッド34の間には液通路30が形成される。
【0027】
バルブロッド34は、上部外殻部材32Bの上方においてサーボシリンダ40により保持され、下部外殻部材32A内を昇降可能とされる。サーボシリンダ40の駆動は制御装置42により制御され、制御装置42は、充填を行う容器Vの胴部の径に応じた流量と開度の関係を記憶した記憶部を備える。後述するように、制御装置42は、充填する容器Vの種類に対応する開度を記憶部から読み取り、その大きさに合わせてその駆動が制御される。
【0028】
第1縮径部39Aは、下部外殻部材32Aの内周面で形成される弁座33との間で弁体として機能し、両者は液バルブ31を構成する。バルブロッド34が上昇されると液バルブ31が開放され、バルブロッド34が下降されると液バルブ31が閉鎖される。また、第2縮径部39Bと下部外殻部材32Aと隙間は、バルブロッド34の昇降により拡縮され、バルブロッド34が下降されると狭くなり、バルブロット34が上昇されると広くなることで液通路30を流通する充填液Fの流量を調整することができる。
【0029】
なお、液通路30をバルブロッド34の駆動部から隔離するために、下部外殻部材32A内のバルブロッド34の外周には、バルブロッド34の周囲を覆い、バルブロッド34の昇降に合わせて上下に伸縮する円筒状の蛇腹44の下端部が気密的に装着され、蛇腹44の上端部は上部外殻部材32Bの下端に気密的に取り付けられる。すなわち、液通路30は、蛇腹44により、上部外殻部材32Bとバルブロッド34の摺動部から隔絶される。
【0030】
また、前述したように、バルブロッド34内部に形成されたガス通路36は、ガスバルブ36Aを介して充填液タンク24のヘッドスペースに連通可能であるとともにスニフトバルブ38Aを介して外部に開放可能である。
【0031】
バルブロッド34の下端部には、下方に向けて放射状に外側に広がるフレア部46が設けられ、これにより細径部34Aの下端外周面に傾斜面が形成される。また、中径部34Bにおいて第1縮径部39Aより上方には、その外周部に螺旋状に形成されたフィン(旋回フィン)50が複数設けられる。これにより中径部34Bの外周面と下部外殻部材32Aの間には旋回流路が形成される。なお、図4の充填バルブ26の先端部の拡大図断面図に示されるように、下部外殻部材32Aの下端部の流出口の外周には、充填時に容器Vの口部Vmに押接され、容器Vの口部Vmを密閉するリング状のシール部材52が設けられる。
【0032】
次に、図5図8を参照して、本実施形態のフィラ14における充填作業について説明する。
【0033】
フィラ14は異なる胴径の容器Vに対して、各容器Vに対応する充填作業が可能である。すなわち、本実施形態の充填ライン10では、胴径が相対的に小さい容器V1と、胴径が相対的に大きい容器V2が取り扱われる。図5は、胴径が小さい容器V1に充填を行う充填バルブ26の縦断面図であり、図6は、胴径が大きい容器V2に充填を行う充填バルブ26の縦断面図である。前述したように、容器V1、V2は、例えばPETボトルなど樹脂製のボトルであり、上端に口部Vmが形成された筒状部と、筒状部に繋がる拡径部と、拡径部に繋がる胴部を備え、筒状部の内径は拡径部によって胴部の内径まで比較的急激に拡大する。
【0034】
各容器Vに対応する充填作業は、サーボシリンダ40等を用いて制御装置42により制御される。制御装置42では、作業者により充填作業開始前に、取り扱われる容器Vに対応する充填作業の設定が行われる。充填作業の設定は、例えば取り扱われる容器Vや充填液の種類に対応して行われる。
【0035】
図7は、制御装置42とサーボシリンダ40の関係を示すブロック図である。制御装置42は、サーボシリンダ指令部42Aと記憶部42Bを備える。サーボシリンダ指令部42Aは、記憶部42Bのデータを参照してサーボシリンダ40に制御指令を送信し、バルブロッド34のリフト量を制御する。
【0036】
記憶部42Bには、例えば図8に模式的に示されるテーブルが記憶されてる。テーブルには、例えば容器Vの種類と、これに対応する流量、開度、充填量が記録されている。サーボシリンダ指令部42Aは、同テーブルを参照するとともに流量計30Aからの信号に基づき、選択された容器Vに合わせたバルブロッド34の昇降を行う。なお、図8では、3種類の容器に対して流量、開度、充填量が記憶されたテーブルを例示しているが、容器の種類の数は任意である。また、同一の容量の容器であっても、例えば形状の違いなどに基づき、流量や開度が異なってもよい。
【0037】
相対的に胴径が小さい容器V1への充填作業では、サーボシリンダ40によりバルブロッド34が僅かに持ち上げられ、液バルブ31が開放されて充填液Fが液バルブ31を通って流通され充填バルブ26の下端の流出口から容器V1内へと供給される。一方、相対的に胴径が大きい容器V2への充填作業では、サーボシリンダ40によりバルブロッド34が胴径が小さい容器V1のときよりも高く持ち上げられ、液バルブ31はより大きく開放される。また、第2縮径部39Bと下部外殻部材32Aの間の隙間も胴径が小さい容器V1に対する充填作業のときよりも拡大される。これにより、胴径が大きい容器V2に対する充填作業では、胴径が小さい容器V1のときに比べて充填液Fの流量が大きくなり、単位時間当たりでより多くの充填液Fを容器V2に供給でき、充填時間が増大するのを防止できる。
【0038】
なお、各充填作業において、バルブロッド34の先端のフレア部46は、下部外殻部材32Aの下端の流出口から突出し、容器V1、V2の口部Vmの円筒部内に位置し、フレア部46の傾斜面が広がり始める上端の位置は、バルブロッド34が充填時の弁体を開放した状態で、容器V1、V2の口部Vmの上端の位置とほぼ同じレベルとなる。
【0039】
充填作業中、容器V1、V2の口部Vmの上端は下部外殻部材32Aの下端に設けられたシール部材52に押し当てられ、これにより容器V1、V2内が周囲の雰囲気に対して気密され密閉される。ガス充填液の充填作業では、液バルブ31を開く前に、ガスバルブ36Aが開かれた状態とされるとともにスニフトバルブ38Aが閉じられた状態とされ、容器V1、V2と充填液タンク24のヘッドスペースが同じ圧力になってから液バルブ31が開かれ、液バルブ31が開かれている間、同状態が維持される。これにより加圧された充填液タンク24内の充填液Fは液通路30を通して容器V1、V2内へと注入されるとともに、容器V1、V2内の気体はガス通路36を通って充填液タンク24のヘッドスペースに還流する。
【0040】
液バルブ31が開放されたことにより液通路30を流れ落ちる充填液Fには、フィン50により形成された螺旋流路により、接線方向流速成分が与えられ、液通路30内を旋回しながら流れ落ちる。充填液Fが流出口に達すると、旋回流の遠心力に加えフレア部46の傾斜面の広がりにより、充填液Fは接線方向速度成分を有したままバルブロッド34の中心側から外側へと放射状に拡散され、容器V1、V2の円筒部内周面へと放出される。フィン50により生成される旋回流による遠心力が弱い充填開始期間は、充填液Fの旋回作用とフレア部46の傾斜面の作用により容器V1、V2の筒状部の内周面に充填液Fを案内し、その後、旋回流が十分に発達すると旋回作用で生じる遠心力で充填液Fが容器V1、V2の筒状部の内周面へと案内される。
【0041】
充填作業は、フィラ14の回転ホイールの回転と並行して行われ、各充填バルブ26へ供給される充填液Fの流量は流量計30Aにおいて計測される。容器V1、V2への供給量が各々の充填量(所定量)に達するとサーボシリンダ40によりバルブロッド34が下降され液バルブ31が閉じられる。その後、ガスバルブ36Aが閉じられるとともに、スニフトバルブ38Aが開かれ、容器V1、V2内の圧力が外部の圧力(外気圧)とされる。
【0042】
以上のように、本実施形態の充填装置では、容器の胴径に応じて充填液の流量を調整できるため、容器の胴径に合わせて適切な流量を設定することが可能であり、容器内における充填液の泡立ちを抑えながら高い充填能力を維持することができる。
【0043】
本実施形態では、記憶部に容器の種類に応じた流量、開度、充填量を記録し、作業者が取り扱われる容器の種類を選択することで充填作業を制御していたが、作業者が取り扱われる容器に合わせて流量、開度、充填量などを個別に設定する構成であってもよい。また、泡立ちやすいノンガス充填液の充填時においても容器の胴径に応じて流量を調整しても良い。さらに、バルブロッド34を昇降させる機構はサーボシリンダに限るものではなく、バルブロッド34を複数の高さに位置させることができる多段式のエアーシリンダ機構を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 充填ライン
14 フィラ(充填装置)
24 充填液タンク
24A 液供給通路
24B ガス供給通路
26 充填バルブ
30 液通路
30A 流量計
31 液バルブ
32 ノズル本体(充填ノズル)
33 弁座
34 バルブロッド
36 ガス通路
36A ガスバルブ
38 スニフト通路
38A スニフトバルブ
39A 第1縮径部(弁体)
40 サーボシリンダ(駆動手段)
42 制御装置(制御手段)
50 フィン(旋回フィン)
52 シール部材
F 充填液
V 容器
V1 相対的に胴径が小さい容器
V2 相対的に胴径が大きい容器
Vm 口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8