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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161923
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072578
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 俊樹
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316CC04
5E316CC05
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC13
5E316CC32
5E316CC37
5E316CC38
5E316DD25
5E316DD33
5E316FF13
5E316FF14
5E316HH07
5E316JJ02
(57)【要約】
【課題】配線基板の特性向上。
【解決手段】実施形態の配線基板は、第1絶縁層111の表面S1に形成されている接続パッドP1と、表面S1の上に形成されている第2絶縁層110と、第1面A及び第2面Bを有していて第2面Bを第1絶縁層111に向けて第2絶縁層110の開口110a内に配置されている配線体WSと、を含んでいる。配線体WSは、第1面Aに複数の第1導体パッドOPを備えると共に、第2面Bに露出する第2導体パッドIPを備え、第2導体パッドIPと接続パッドP1とが導電性の接続部4を介して接しており、第2導体パッドIPにおける接続パッドP1との対向面FS2と第1面Aとの距離は、表面S1と第2絶縁層110の上面S2との距離よりも短く、表面S1と第1面Aとの距離は、表面S1と上面S2との距離と略等しく、表面S1と第2面Bとの隙間Gが接続部4の複数の粒子41及び絶縁性樹脂42によって充填されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の表面に形成されていて導電性を有する接続パッドと、
前記表面の上に形成されていて、前記第1絶縁層と反対方向を向く上面、及び前記接続パッドを露出させる開口を有する第2絶縁層と、
部品搭載面を構成する第1面及び前記第1面の反対面である第2面を有すると共に1以上の配線層を含んでいて前記第2面を前記第1絶縁層に向けて前記開口内に配置されている配線体と、
を含む配線基板であって、
前記配線体は、前記第1面に形成されている複数の第1導体パッドと、前記複数の第1導体パッドのいずれかに電気的に接続されていて前記第2面に露出する第2導体パッドと、を備え、
前記部品搭載面は、前記複数の第1導体パッドの一部をそれぞれ含んでいる第1部品領域及び第2部品領域を含み、
前記第1部品領域内の前記第1導体パッドと前記第2部品領域内の前記第1導体パッドとは前記配線層を介して接続されており、
前記第2導体パッドと前記接続パッドとが導電性の接続部を介して接しており、
前記第2導体パッドにおける前記接続パッドとの対向面と前記第1面との距離は、前記第1絶縁層の前記表面と前記第2絶縁層の前記上面との距離よりも短く、
前記第1絶縁層の前記表面と前記配線体の前記第1面との距離は、前記表面と前記第2絶縁層の前記上面との距離と略等しく、
前記接続部は、金属部を有する複数の粒子、及び絶縁性樹脂を含み、
前記第1絶縁層の前記表面と前記配線体の前記第2面との隙間が前記複数の粒子及び前記絶縁性樹脂によって充填されている。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1絶縁層の前記表面と前記配線体の前記第1面との距離は、25μm以上、45μm以下である。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、前記第2導体パッドと前記接続パッドとの間の前記接続部の厚さは2μm以上、5μm以下である。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、
前記配線基板は複数の前記接続パッドを含み、
前記接続パッド同士が前記絶縁性樹脂によって絶縁されている。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板であって、前記配線体は、層間絶縁層を介して積層されている複数の配線層を前記1以上の配線層として含んでいる。
【請求項6】
請求項5記載の配線基板であって、
前記配線体は、さらに、互いに異なる前記層間絶縁層を貫いて前記複数の配線層それぞれ同士を接続する複数のビア導体を含み、
前記複数のビア導体は、平面視で互いに重なるように形成されている。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板であって、さらに、前記接続パッドを含む導体層と、前記導体層上に形成されていて前記第2絶縁層を貫く導体ポストと、を含んでおり、
前記導体ポストは、前記第1部品領域内又は前記第2部品領域内に位置する端面を前記導体層と反対側に有しており、
前記導体ポストの前記端面と前記第1絶縁層の前記表面との距離は、前記第1導体パッドにおける前記第1絶縁層側と反対側の表面と前記第1絶縁層の前記表面との距離と略等しい。
【請求項8】
請求項1記載の配線基板であって、
前記部品搭載面は、さらに、前記複数の第1導体パッドの一部を含んでいる第3部品領域を含み、
前記第3部品領域内の前記第1導体パッドは、前記第1部品領域内の前記第1導体パッド及び前記第2部品領域内の前記第1導体パッドの少なくとも一方と前記配線層を介して接続されている。
【請求項9】
請求項1記載の配線基板であって、前記1以上の配線層は、前記配線基板における最も小さい配線幅及び最も小さい配線間距離を有する配線群を含んでいる。
【請求項10】
請求項1記載の配線基板であって、
前記配線体は、さらに、前記1以上の配線層それぞれの間に介在する層間絶縁層を含み、
前記配線体に含まれる前記1以上の配線層の一部又は全部は、前記層間絶縁層に形成されている溝を充填する導体によって構成されている。
【請求項11】
請求項1記載の配線基板であって、前記配線体に含まれる配線群は、配線幅及び配線間距離それぞれについて3.0μm以下の最小値を有し、前記配線群内の各配線のアスペクト比は、1.8以上、且つ、6.0以下である。
【請求項12】
請求項1記載の配線基板であって、
前記配線体は、さらに、前記1以上の配線層それぞれの間に介在する層間絶縁層を含み、
前記層間絶縁層の周波数1GHzにおける誘電正接は0.03以下であり、且つ、比誘電率は3.3以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、主配線板のソルダーレジスト層に設けられる開口内に配線構造体が配置される配線板が開示されている。配線構造体は、その一方の表面(上面)に導体パッドを有している。この導体パッドには、MPU、DRAMなどの半導体部品が搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-82334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の配線板では、配線構造体内の導体層と主配線板内の導体層とが、所望の短い経路で接続され得ないことがある。また、主配線板において配線構造体が配置される開口の直下に形成されている導体パターンと、配線構造体に搭載される半導体部品の特定の回路素子とが所望の短い経路で接続され得ないことがある。そのため、配線板において、半導体部品が備える電気的特性が安定して発揮され得ないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の表面に形成されていて導電性を有する接続パッドと、前記表面の上に形成されていて、前記第1絶縁層と反対方向を向く上面、及び前記接続パッドを露出させる開口を有する第2絶縁層と、部品搭載面を構成する第1面及び前記第1面の反対面である第2面を有すると共に1以上の配線層を含んでいて前記第2面を前記第1絶縁層に向けて前記開口内に配置されている配線体と、を含んでいる。そして、前記配線体は、前記第1面に形成されている複数の第1導体パッドと、前記複数の第1導体パッドのいずれかに電気的に接続されていて前記第2面に露出する第2導体パッドと、を備え、前記部品搭載面は、前記複数の第1導体パッドの一部をそれぞれ含んでいる第1部品領域及び第2部品領域を含み、前記第1部品領域内の前記第1導体パッドと前記第2部品領域内の前記第1導体パッドとは前記配線層を介して接続されており、前記第2導体パッドと前記接続パッドとが導電性の接続部を介して接しており、前記第2導体パッドにおける前記接続パッドとの対向面と前記第1面との距離は、前記第1絶縁層の前記表面と前記第2絶縁層の前記上面との距離よりも短く、前記第1絶縁層の前記表面と前記配線体の前記第1面との距離は、前記表面と前記第2絶縁層の前記上面との距離と略等しく、前記接続部は、金属部を有する複数の粒子、及び絶縁性樹脂を含み、前記第1絶縁層の前記表面と前記配線体の前記第2面との隙間が前記複数の粒子及び前記絶縁性樹脂によって充填されている。
【0006】
本発明の実施形態によれば、内部の導電体と搭載される部品との接続経路が短く、そのため所望の電気的特性が得られ易い配線基板が提供されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
図2図1のII部の拡大図。
図3図1のIII部の拡大図。
図4】本発明の一実施形態における配線体の他の例を示す断面図。
図5A】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図5B】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図5C】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図5D】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図5E】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図6A】一実施形態における配線体の製造工程の一例を示す断面図。
図6B】一実施形態における配線体の製造工程の一例を示す断面図。
図6C】一実施形態における配線体の製造工程の一例を示す断面図。
図6D】一実施形態における配線体の製造工程の一例を示す断面図。
図6E】一実施形態における配線体の製造工程の一例を示す断面図。
図6F】一実施形態における配線体の製造工程の一例を示す断面図。
図6G】一実施形態における配線体の製造工程の一例を示す断面図。
図7】本発明の他の実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。図1には、本実施形態の配線基板の一例である配線基板1の断面図が示されている。なお、配線基板1は本実施形態の配線基板の一例に過ぎない。例えば、本実施形態の配線基板の積層構造、並びに、本実施形態の配線基板に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数は、図1の配線基板1の積層構造、及び配線基板1に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数に限定されない。また、以下の説明で参照される各図面では、開示される実施形態が理解され易いように特定の部分が拡大して描かれていることがあり、大きさや長さに関して、各構成要素が互いの間の正確な比率で描かれていない場合がある。
【0009】
図1に示されるように、配線基板1は、絶縁層101と、絶縁層101の両面に形成されている導体層102とを含むコア基板100を含んでいる。コア基板100の両面それぞれの上には絶縁層及び導体層が交互に積層されている。具体的には、コア基板100の一方の面F1上に、絶縁層11、導体層12、絶縁層111、及び導体層112が積層されている第1ビルドアップ部10が形成されている。一方、コア基板100の他方の面F2上には、絶縁層21及び導体層22が積層されている第2ビルドアップ部20が形成されている。すなわち、配線基板1は、絶縁層111、及び絶縁層111の表面S1上に形成されている導体層112を含んでいる。絶縁層111は、第1ビルドアップ部10を構成する絶縁層のうち最も外側の絶縁層であって「第1絶縁層111」とも称される。導体層112は、第1ビルドアップ部10を構成する導体層のうち最も外側の導体層であって「第1導体層112」とも称される。
【0010】
なお、実施形態の配線基板の説明では、絶縁層101から遠い側は、「上」、「上側」、「外側」、又は、単に「外」とも称される。一方、絶縁層101に近い側は、「下」、「下側」、「内側」、又は単に「内」とも称される。また、実施形態の配線基板の各構成要素においてコア基板100と反対側を向く表面は「上面」とも称され、コア基板100側を向く表面は「下面」とも称される。なお、配線基板1の厚さ方向は、単に「Z方向」とも称される。
【0011】
配線基板1が有する各導体層102、12、112、22は、任意の導体パターンを含んでいる。特に、第1導体層112は、複数の導体パッドP1を含んでいる。導体パッドP1は、後述する配線体WS内の配線との電気的接続に用いられる。そのため、導体パッドP1は「接続パッドP1」とも称される。第1導体層112に含まれる接続パッドP1は導電性を有している。このように配線基板1は、第1絶縁層111の表面に形成されていて導電性を有する複数の接続パッドP1を含んでいる。図1の例において第1導体層112は、第1絶縁層111の表面S1から突出しており、従って接続パッドP1も表面S1から突出している。接続パッドP1が表面S1から突出しているので、接続パッドP1と配線体WSとが、より確実に接続されると考えられる。
【0012】
配線基板1は、さらに、第1絶縁層111の表面S1及び第1導体層112の上に形成されている第2絶縁層110を含んでいる。第2絶縁層110は第1絶縁層111を覆っており、図示されていないが、第1導体層112を覆っていてもよい。第2絶縁層110は、第1絶縁層111と反対方向を向く上面S2を有している。第2絶縁層110は、さらに、第2絶縁層110をその厚さ方向に貫く貫通孔であって接続パッドP1を露出させる開口110aを有している。図1の例では複数の接続パッドP1が開口110a内に露出している。一方、第2ビルドアップ部20上には、第3絶縁層210が形成されている。第3絶縁層210には開口210aが形成され、開口210aからは第2ビルドアップ部20における最も外側の導体層22の導体パッド22pが露出している。第2絶縁層110及び第3絶縁層210は、配線基板1の最外の層間絶縁層及び導体層を覆うソルダーレジスト層であり得る。
【0013】
配線基板1は、さらに、第2絶縁層110の開口110a内に配置されている配線体WSを含んでいる。配線体WSは、上面(第1面A)及び第1面Aの反対面である下面(第2面B)を有していて第2面Bを第1絶縁層111に向けて開口110a内に配置されている。配線体WSは、第1面Aに形成されている複数の導体パッドOP(第1導体パッド)を備えている。導体パッドOPは、配線基板1と、配線基板1に搭載される外部の部品との接続に用いられる部品搭載用の導体パッドである。すなわち、配線体WSの第1面Aは、配線基板1における部品搭載面ISを構成する。図1には、複数の導体パッドOPを用いて部品E1~E3が配線基板1に搭載される例が示されている。
【0014】
配線体WSは、さらに、第2面Bに複数の導体パッドIP(第2導体パッド)を備えており、導体パッドIPは第2面Bに露出している。複数の導体パッドIPは、第1導体層112の複数の接続パッドP1と接続されている。図1の例では、導体パッドIPは、配線体WSの複数の導体パッドOPのいずれかと電気的に接続されている。従って図1の例において導体パッドOPに外部の部品E1~E3が接続されると、導体パッドIPは、導体パッドOPを介して外部の部品E1~E3のいずれかと電気的に接続される。
【0015】
配線基板1を構成する絶縁層101、11、111、21は、それぞれ、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)又はフェノール樹脂などの絶縁性樹脂を用いて形成され得る。各絶縁層101、11、111、21は、ガラス繊維などの補強材(芯材)、及び/又は、シリカ若しくはアルミナなどの無機フィラーを含んでいてもよい。ソルダーレジスト層であり得る第2絶縁層110及び第3絶縁層210は、例えば、感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを用いて形成され得る。
【0016】
絶縁層101には、絶縁層101の両側の導体層102同士を接続するスルーホール導体103が形成されている。絶縁層11、111、21のそれぞれには、絶縁層11、111、21それぞれを挟む導体層同士を接続するビア導体13、23が形成されている。図1の例のスルーホール導体103は、絶縁層101をその厚さ方向に貫く貫通孔の内壁に沿う筒状の形体を有している。筒状のスルーホール導体103の内部(空洞部)は、例えばエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂、又は金属粒子を含む導電性樹脂などからなる充填体104で充填されている。
【0017】
導体層102、12、112、22、ビア導体13、23、及びスルーホール導体103は、銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成され、例えば、銅箔などの金属箔、及び/又は、めっき若しくはスパッタリングなどで形成される金属膜によって構成され得る。導体層102、12、112、22、ビア導体13、23、及びスルーホール導体103は、図1では単層構造で示されているが、2以上の金属層、例えば、金属箔、無電解めっき膜若しくはスパッタリング膜、及び電解めっき膜を含む多層構造を有し得る。
【0018】
配線体WSの第1面Aによって構成される部品搭載面ISは、外部の各部品が配置される領域である部品領域を有しており、図1の例では、部品搭載面ISは、部品領域EA1(第1部品領域)、部品領域EA2(第2部品領域)、及び部品領域EA3(第3部品領域)を含んでいる。部品領域EA1、EA2、EA3に、部品E1、E2、E3が、それぞれ配置される。部品領域EA1、EA2、EA3は、それぞれ、配線体WSの複数の導体パッドOPの一部を含んでいる。すなわち、複数の導体パッドOPは、3つの部品領域EA1、EA2、EA3に亘って配置されていて、部品領域EA1、EA2、EA3それぞれに位置している。導体パッドOPは、例えば、はんだなどの導電性の接合材(図示せず)を介して、部品E1、部品E2、及び部品E3それぞれの電極と電気的及び機械的に接続され得る。
【0019】
配線基板1に搭載され得る部品E1~E3としては、例えば、半導体集積回路装置やトランジスタなどの能動部品のような電子部品が例示される。すなわち、配線基板1及び部品E1~E3によって、MCM(Multi Chip Module)が構成され得る。部品E1は、例えば、論理回路を組み込んだロジックチップなどの集積回路、又は、MPU(Micro Processor Unit)などの処理装置であり得、部品E2、E3は、例えば、HBM(High Bandwidth Memory)などのメモリ素子などであり得る。
【0020】
なお、配線基板1における部品搭載面ISと反対側の表面は、外部の配線基板(例えば任意の電気機器のマザーボード)などの外部要素に配線基板1自体が実装される場合に、外部要素に接続される接続面であり得る。導体パッド22pは、任意の基板、電気部品、又は機構部品などと接続され得る。
【0021】
図2及び図3を参照して、配線体WSの構成、及び配線体WSと複数の接続パッドP1との接続構造が、さらに説明される。図2図1のII部の拡大図であり、図3は、図1のIII部の拡大図である。
【0022】
図2に示されるように、配線体WSは、1以上の配線層(図2の例では配線層320~322を含む複数の配線層)と層間絶縁層31とを含んでいる。図2の例では、第2面B側から順に、配線層320、3つの配線層321、及び、配線層322が設けられており、各配線層の間に層間絶縁層31が介在している。複数の配線層320~322は、層間絶縁層31を介して積層されている。配線層320は複数の導体パッドIPを含み、配線層322は、複数の導体パッドOPを含んでいる。各層間絶縁層31には、各層間絶縁層31を貫くビア導体33が形成されている。ビア導体33は、各層間絶縁層31を挟む配線層同士を接続している。配線体WS内の配線層320~322は、導体層102、12、112、22(図1参照)とは、異なるプロセスで形成され得る。そのため、配線層320~322それぞれは、導体層112などが含み得る配線よりも微細で高密度に配置されている配線を含み得る。
【0023】
配線体WSの第1面Aは、複数の層間絶縁層31のうちの最も第1面A側に位置する層間絶縁層31の表面(上面)によって構成されている。第2面Bは、最も第2面B側に位置する層間絶縁層31の表面(下面)によって構成されている。図2では、配線層320は第2面Bを構成する層間絶縁層31に埋め込まれているので、第2面Bは、最も第2面側の層間絶縁層31の下面と、導体パッドIPの表面(下面)のような配線層320の表面(下面)によって構成されている。一方、配線層322は配線体WSの第1面Aから突出しており、導体パッドOPも第1面Aから突出している。
【0024】
導体パッドOPの表面には、下地層PS1、及び下地層PS1の上の接続層PS2の2層から構成される金属層PSが形成されている。下地層PS1は、例えば無電解めっきや電解めっきなどによって形成されていてニッケルなどの金属を含んでおり、接続層PS2と導体パッドOPとの間のバリア層として機能する。接続層PS2も、無電解めっきや電解めっきなどで形成されているが、接続層PS2は、例えばすずのような、比較的融点の低い金属を含んでおり、さらに銀や銅などを数%程度の含有量で含んでいてもよい。接続層PS2は、好ましくは、部品E1~E3と導体パッドOSとの接続の際に溶解し、部品E1~E3と導体パッドOSとの電気的及び機械的接続に寄与する。
【0025】
層間絶縁層31は、例えば、エポキシ樹脂、又はフェノール樹脂などの絶縁性樹脂を用いて形成され得る。層間絶縁層31は、フッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリエステル樹脂(PE)、及び変性ポリイミド樹脂(MPI)のうちのいずれかを含んでもよい。配線層320~322、及び、ビア導体33を構成する導体としては、銅やニッケルなどが例示される。配線層320~322、及びビア導体33は、金属膜層(例えば無電解銅めっき膜層)NP(図3参照)、及びめっき膜層(例えば電解銅めっき膜)EP(図3参照)を含む2層構造を有している。
【0026】
図2の例の配線体WSにおいて3つの配線層321は、各配線層321の下側の層間絶縁層31、すなわち各配線層321よりも前に形成されている層間絶縁層31の上面に埋め込まれている。これら3つの配線層321は、各配線層321の下側の層間絶縁層31の上面に形成された溝を充填する導体によって構成されている。下側の層間絶縁層31に埋め込まれている配線層321は、比較的配線幅及び配線間距離の小さい配線群FWを有し得る。配線層321は、配線基板1を構成する配線において最も小さい配線幅及び配線間距離を有する配線群FWを含み得る。配線体WS内を伝播する電気信号に対して、より適切な特性インピーダンスを有する配線が備えられることがある。また、配線体WS内における配線の密度が向上し、配線設計の自由度が向上することがある。
【0027】
配線体WSが有する配線群FWの各配線の配線幅LWの最小値は、例えば3.0μm以下であり得、配線群FWの配線間距離GWの最小値は、例えば3.0μm以下であり得る。さらに、配線群FWの各配線のアスペクト比は、例えば、1.8以上、且つ、6.0以下であり得る。
【0028】
なお、図2の例では、配線体WSに含まれる1以上の配線層320~322のうち、3つの配線層321が、それぞれの下側の層間絶縁層31に埋め込まれており、そのうちの1層が配線群FWを備えている。しかし、3つの配線層321のそれぞれが、配線基板1において最も小さい配線幅及び配線間距離を有する配線群FWを備えていてもよい。また、配線体WSは、下側の層間絶縁層に埋め込まれている配線層を任意の数で含み得る。図2の例にように配線体WSに含まれる1以上の配線層320~322の一部が下側の層間絶縁層31に埋め込まれていてもよく、1以上の配線層320~322の全部が下側の層間絶縁層31に埋め込まれていてもよい。なお、配線体WSの第1面Aを構成する層間絶縁層31の上面に配線層322が埋め込まれている場合、その層間絶縁層31の上面と配線層322の上面(例えば導体パッドOPの上面)とによって、配線体WSの第1面Aが構成される。
【0029】
配線体WSが備える配線群FWには高周波信号が伝送されることがある。従って、高周波信号の伝送に有利な特性を有している層間絶縁層31が好ましく、誘電率及び誘電正接の小さい材料で形成されている層間絶縁層31が好ましいことがある。例えば、層間絶縁層31は、周波数1GHzにおいて、3.3以下の比誘電率及び0.03以下の誘電正接を有し上得る。
【0030】
図2に示されるように、配線体WSの複数の導体パッドOPのうち、中央寄りの9個の導体パッドOPは、部品領域EA1内に位置し、その左側の4つの導体パッドOPは部品領域EA2に位置し、残る4つの導体パッドOPは部品領域EA3に位置している。すなわち、配線基板1の使用時に、中央寄りの9個の導体パッドOPは部品E1と、その左側の4つの導体パッドOPは部品E2と、残る4つの導体パッドOPは部品E3と、それぞれ接続され得る。
【0031】
図2に例示の配線体WSは、複数の導体パッドOPそれぞれ同士を電気的に接続する配線BWを含んでいる。図2の例では、3つの配線層321のうち、第2面B側の2つの配線層321が配線BWを含んでいる。配線BWは、その両端部のような2つの部分でビア導体33を介して複数の導体パッドOPのいずれかと接続されている。実施形態の配線基板1では、部品領域EA1~EA3のうちの少なくとも2つの部品領域内の導体パッドOP同士が、配線体WS内のいずれかの配線層を介して接続される。図2の例では、部品領域EA1に配置されている導体パッドOPの一部と部品領域EA2に配置されている導体パッドOPの一部とが、配線層321の配線BWを介して電気的に接続されている。また、部品領域EA1に配置されている導体パッドOPの一部と、部品領域EA3に配置されている導体パッドOPの一部とが、配線層321の配線BWを介して電気的に接続されている。このような構成により、配線基板1の使用時に図示されるように3つの部品E1、E2、E3が搭載される場合において、隣り合う部品同士のそれぞれが短い経路で電気的に接続されると考えられる。そのため、部品E1~E3それぞれにおいて安定した動作が得られ易いと考えられる。
【0032】
なお、実施形態の配線基板1では、図2の例において、部品領域EA1に配置されている導体パッドOPの一部又は全部が、配線層320~321のいずれかを介して、部品領域EA2に配置されている導体パッドOPの一部若しくは全部とだけ電気的に接続されていてもよく、部品領域EA3に配置されている導体パッドOPの一部若しくは全部とだけ電気的に接続されていてもよい。また、部品領域EA2に配置されている導体パッドOPの一部又は全部と、部品領域EA3に配置されている導体パッドOPの一部又は全部とが、配線層320~322のいずれかを介して電気的に接続されていてもよい。その場合、部品領域EA1に配置されている導体パッドOPが、部品領域EA2に配置されている導体パッドOP及び部品領域EA3に配置されている導体パッドOPのいずれか又は両方と電気的に接続されなくてもよい。
【0033】
前述したように、配線体WSにおいて、導体パッドIPと導体パッドOPとは電気的に接続されている。図2の例において具体的には、導体パッドIPと導体パッドOPは配線体WSを構成する配線層320~322及びビア導体33を介して電気的に接続されている。そして、本実施形態では、配線体WSの導体パッドIPと、第2絶縁層110の開口110aに露出する接続パッドP1とが、導電性の接続部4を介して接している。すなわち、導体パッドIPと接続パッドP1とが電気的に接続されている。そのため、配線層320~322のような配線体WSを構成する配線層と、第1導体層112のような配線体WSと別個に形成されている導体層とを、短い経路で電気的に接続することができる。
【0034】
また、導体パッドIPと接続パッドP1とが電気的に接続されることにより、第1導体層112と配線体WSの導体パッドOPも、ビア導体33のような配線体WS内の導電体を介して電気的に接続されている。そのため、接続パッドP1のような平面視で配線体WSの直下に設けられている導体層112や導体層12(図1参照)の導体パターンと、配線基板1の使用時に搭載される部品E1~E3のような電子部品とを短い経路で電気的に接続できることがある。なお、「平面視」は、実施形態の配線基板をその厚さ方向(Z方向)と平行な視線で見ることを意味している。
【0035】
特に、配線体WSの直下に設けられている導体パターンと、部品E1~E3などの電子部品において配線体WSを挟んでその導体パターンの真上に位置する特定の回路素子とを短い経路で接続できることがある。このように、実施形態の配線基板1では、配線基板1の使用時に、内部の導体層などの導電体と、配線基板1に搭載される部品とが短い経路で接続され得るので、搭載される部品の電気的特性が、低下することなく安定して発揮され易いと考えられる。そのため所望の電気的特性が得られ易いと考えられる。
【0036】
本実施形態では、接続部4は、複数の粒子41と絶縁性樹脂42とを含んでいる。複数の粒子41及び絶縁性樹脂42は、第1絶縁層111の表面S1と配線体WSの第2面Bとの隙間Gを充填している。すなわち、接続部4は表面S1と第2面Bとの間に介在している。絶縁性樹脂42は接着剤として機能する。絶縁性樹脂42によって、第1絶縁層111の表面S1と配線体WSの第2面Bとが接着されている。同様に、絶縁性樹脂42によって、接続パッドP1における導体パッドIPとの対向面FS1と、導体パッドIPにおける接続パッドP1との対向面FS2とが接着されている。また、図2及び図3の例では、絶縁性樹脂42によって、複数の接続パッドP1のうちの隣接する接続パッドP1同士が絶縁されており、同様に、絶縁性樹脂42によって、複数の導体パッドIPのうちの隣接する導体パッドIP同士が絶縁されている。しかし、接続パッドP1の対向面FS1と導体パッドIPの対向面FS2とは接続部4の粒子41を介して接触している。
【0037】
図3に示されるように、接続部4が含む粒子41は、中心部分を構成するコア部41aと、コア部41aを覆う金属部41bと、金属部41bを覆って粒子41の表面部分を構成する被覆部41cと、を有している。図3に示されるように、接続パッドP1と導体パッドIPとの間の粒子41は、接続パッドP1及び導体パッドIPから押圧されることによって、接続パッドP1と導体パッドIPそれぞれとの接触部で潰れた扁平な形状を有している。この接触部それぞれにおいて金属部41bが粒子41の表面に露出しており、露出する金属部41bによって、接続パッドP1と導体パッドIPが電気的に接続されている。金属部41bは、例えばニッケル、銅又は金などで構成される。絶縁性樹脂42としては、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの熱硬化性樹脂が例示される。接続部4は、例えば、所謂異方性導電フィルムや異方性導電シートなどを用いて設けられる。
【0038】
なお、本実施形態以外の実施形態において接続部4は、一部又は全部として導電体を含む任意の構造、形体、及び性状を有し得る。例えば、そのような実施形態において接続パッドP1と導体パッドIPとは、金属間の超音波接合によって接合されていてもよい。その場合、接続部4は、接続パッドP1及び導体パッドIPそれぞれの対向面における摩擦による変形部分(原子間結合が生じている部分)によって構成され得る。接続部4が含む導電体は、例えば、部品E1~E3と配線基板1との接続に用いられる、はんだなどの接続材(図示せず)や、その接続に寄与する金属層PSの接続層PS2よりも高い融点を有する金属で構成されてもよい。
【0039】
図2図3の例の配線基板1において導体パッドIPと接続パッドP1とは、配線体WSの配置前に接続パッドP1上にはんだや金などの金属で形成される接続用のバンプを用いずに接続されている。すなわち、実施形態の配線基板1では、配線体WSは、好ましくはバンプレスで接続パッドP1に接続されている。配線体WSと接続パッドP1とが接続用の金属パンプを介して接続されると、接続パッドP1と導体パッドIPとの間に、その金属バンプに基づく比較的厚い接続層が形成され易い。そのため、所望の厚さ(薄さ)の配線基板や、その配線基板上に搭載された電子部品を含む所望の厚さ(薄さ)の電子部品モジュールが得られないことがある。
【0040】
しかし本実施形態では、配線体WSが、例えば図3などに例示の接続部4によって接続パッドP1に接続されているので、比較的薄い配線基板1や、配線基板1を用いた比較的薄い電子部品モジュールが得られると考えられる。所望の薄さの配線基板1及び配線基板1を含む電子部品モジュールが得られることがある。
【0041】
このように配線体WSが接続されている配線基板1における、配線体WSの各面、第1及び第2の絶縁層111、110の各面、並びに接続パッドIPの対向面FS1の間のZ方向における位置関係が、引き続き図3を参照して説明される。
【0042】
図3に示されるように、配線体WSの導体パッドIPにおける接続パッドP1との対向面FS2と配線体WSの第1面Aとの距離D3は、第1絶縁層111の表面S1と第2絶縁層110の上面S2との距離D1よりも短い。一方、第1絶縁層111の表面S1と配線体WSの第1面Aとの距離D2と、第1絶縁層111の表面S1と第2絶縁層110の上面S2との距離D1とは略等しい。すなわち、距離D1と距離D2とが略等しいので、配線体WSの第1面Aから突出する導体パッドOPを除いて、配線体WSの略全体が、配線基板1の最外層を構成する第2絶縁層110の開口110a内に収容されている。従って、配線体WSの具備による厚さの増大なく、配線体WSに含まれる微細な配線を含む配線基板1が実現されている。距離D1と略等しい距離D2(第1絶縁層111の表面S1と配線体WSの第1面Aとの距離)は、例えば、25μm以上、45μm以下である。
【0043】
さらに、そのように距離D1と距離D2との略同一の関係のもとで、距離D3が距離D1よりも短いので、接続パッドP1と電気的に接する導体パッドIPと、第1絶縁層111の表面S1との間には隙間Gが存在している。隙間Gが存在するので、接続パッドP1と導体パッドIPとがより確実に接続されるように、接続パッドP1を表面S1から突出させることができる。図3などの例では、現に接続パッドP1が表面S1から突出しており、導体パッドIPとの間のより確実な接続が実現されていると考えられる。このように本実施形態では、部分的に微細な配線を含み、搭載部品との間に短い接続経路を有し、しかも、比較的薄い配線基板が実現され得る。
【0044】
さらに、図3の例では、距離D3は、接続パッドP1の対向面FS1と第2絶縁層110の上面S2との間のZ方向における距離D4(対向面FS1に対する上面S2の高さ)よりも小さい。そのため、接続パッドP1の対向面FS1と導体パッドIPの対向面FS2との間にも隙間G1が生じている。従って、対向面FS1と対向面FS2との間に、金属部41bを含む粒子41を介在させることができ、そのため、より確実な接続パッドP1と導体パッドIPの電気的接続が実現されていると考えられる。隙間G1の長さ(導体パッドIPと接続パッドP1との間における接続部4の厚さ)は、例えば、2μm以上、5μm以下である。なお、図3の例では、接続パッドP1は、その表面に、例えばニッケル層、パラジウム層、及び金層の3層を含む表面処理層PSSを備えている。接続パッドP1が図3の例のように表面処理層PSSを備えている場合は、対向面FS1は、図3に示されるように、表面処理層PSSにおける導体パッドIPとの対向面である。なお、接続パッドP1は、3以外の任意の層数の表面処理層を有し得る。
【0045】
また、図3に示されるように、図1図3に例示の配線体WSは、互いに異なる層間絶縁層31を貫く複数のビア導体33を含んでいる。複数のビア導体33それぞれによって配線層320と配線層321とが接続されるか、配線層321同士が接続されるか、配線層321と配線層322とが接続されている。これら互いに異なる層間絶縁層31を貫く複数のビア導体33は、平面視で互いに重なるように形成されていてスタックビア導体を構成している。図3の例では、導体パッドIPと導体パッドOPとがスタックビア導体によって接続されている。従って、接続パッドP1と、例えば部品E3(図1参照)とが略最短の経路で電気的に接続されることがある。
【0046】
図4には、図1図3の例の配線体WSの変形例である配線体WS1が示されている。図4の例の配線体WS1では、配線層320~322のいずれも、下側の層間絶縁層31に埋め込まれていない。このように実施形態の配線基板1は、下側の層間絶縁層31に埋め込まれている配線層を含まない配線体WS1を含んでいてもよい。図4に示される配線体WS1では、配線体WS1を構成する配線層320及び3つの配線層321は、それぞれの上側の層間絶縁層31内に向けて突出し、配線層322は、図2などに示される配線層322と同様に、配線体WS1の第1面Aから突出している。
【0047】
図5A図5Eを参照して、図1に示される配線基板1が製造される場合を例に、実施形態の配線基板を製造する方法が説明される。先ず、図5Aに示されるように、コア基板100が用意される。コア基板100の用意では、例えば、絶縁層101を含む両面銅張積層板が用意される。そしてサブトラクティブ法などによって所定の導体パターンを含む導体層102が絶縁層101の両面に形成されると共に、スルーホール導体103が絶縁層101内に形成される。スルーホール導体103の空洞部には、エポキシ樹脂などを注入することによって充填体104が形成される。
【0048】
図5Bに示されるように、コア基板100の一方の面F1上に絶縁層11が形成され、絶縁層11上に導体層12が形成される。コア基板100の他方の面F2上には絶縁層21が形成され、絶縁層21上に導体層22が形成される。例えば絶縁層11、21は、フィルム状の絶縁性樹脂を、コア基板100上に熱圧着することによって形成される。導体層12、22は、例えばレーザー光の照射による絶縁層11、21への貫通孔の形成の後に、セミアディティブ法などの任意の方法を用いて形成される。導体層12、22の形成と共に、絶縁層11、21に形成された貫通孔の内部にはビア導体13、23が形成される。
【0049】
図5Cに示されるように、コア基板100の一方の面F1側において、絶縁層及び導体層の積層が繰り返され、第1ビルドアップ部10が形成される。コア基板100の他方の面F2側では絶縁層及び導体層の積層が繰り返され、第2ビルドアップ部20が形成される。第1ビルドアップ部10における最外の導体層(第1導体層112)は、接続パッドP1を含むように形成される。第2ビルドアップ部20における最外の導体層22には、導体パッド22pが設けられる。接続パッドP1及び導体パッド22pの表面には、例えば、無電解めっきにより、ニッケル層、パラジウム層、及び金層の3層を含む表面処理層PSS(図3参照)が形成され得る。
【0050】
図5Dに示されるように、第1ビルドアップ部10上に第2絶縁層110が形成され、第2ビルドアップ部20上には第3絶縁層210が形成される。第2絶縁層110には、接続パッドP1を露出させる開口110aが形成される。第3絶縁層210には導体パッド22pを露出させる開口210aが形成される。例えば、スプレーコーティング、カーテンコーティング、又はフィルム貼り付けなどによって、感光性を有するエポキシ樹脂膜が形成されることで第2及び第3絶縁層110、210が形成され、露光及び現像により開口110a及び開口210aが形成され得る。
【0051】
図5Eに示されるように、例えば後述される方法で形成された配線体WSが、開口110a内に配置され、配線体WSの導体パッドIPと第1導体層112の接続パッドP1とが電気的に接続される。図5Eには、図2及び図3に例示されたような導電体を含む粒子と絶縁性樹脂とを含む樹脂フィルム40を用いる方法が示されている。なお、導体パッドIPと接続パッドP1との電気的な接続に、例えば前述した超音波接合が用いられる場合、開口110a内への配線体WSの配置後、配線体WSに超音波が加えられる。その超音波振動によって導体パッドIP及び接続パッドP1の金属原子同士が原子間結合するまで近接し、導体パッドIPと接続パッドP1とが接合される。
【0052】
図5Eの例では、樹脂フィルム40が開口110a内に配置される。樹脂フィルム40は、適宜、加熱によって第1絶縁層111及び第1導体層112と仮接着される。その上に、配線体WSが第2面Bを開口110aの底面に向けて載置され、加熱及び加圧される。樹脂フィルム40内の絶縁性樹脂が、加熱及び加圧による溶融後、再硬化することによって配線体WSと第1絶縁層111及び第1導体層112とが接着される。また、導体パッドIPと接続パッドP1とに挟まれて押圧された樹脂フィルム40内の粒子が変形することによって粒子内の金属部41b(図3参照)が露出する。露出した金属部41bを介して導体パッドIPと接続パッドP1とが接することによって、両パッドが互いに電気的に接続される。配線体WSは、先に図3を参照して説明された距離D1と距離D2とが略等しくなるように、開口110a内に配置されて固着される。その結果、図1の例の配線基板1が完成する。
【0053】
次に、図2に示される配線体WSを例に、実施形態の配線基板に含まれる配線体の形成方法が、図6A図6Iを参照して説明される。先ず、図6Aに示されるように、例えばガラス基板である、表面の平坦性が良好な第1支持基板GS1が用意される。なお、配線体の形成では、1枚の第1支持基板GS1上に、複数の配線体が形成され得る。図6A図6Iの例でも複数の配線体が連結状態で形成されるが、そのうちの1つの形成個所だけが図示されている。また、配線体の形成方法に関する以下の説明では、第1支持基板GS1に近い側は「下」もしくは「下側」と称され、第1支持基板GS1から遠い側は「上」もしくは「上側」と称される。従って、配線体を構成する各要素における第1支持基板GS1側を向く面は「下面」と称され、第1支持基板GS1と反対側と向く面は「上面」とも称される。
【0054】
第1支持基板GS1の一方の表面には、例えば光照射により着脱が可能な、アゾベンゼン系高分子接着剤を含む接着層AL1が設けられ、接着層AL1上に金属膜層NPが形成される。金属膜層NPは、例えば、無電解めっき又はスパッタリングなどによって形成される金属膜(好ましくは銅膜)である。金属膜層NPは比較的薄い金属箔の接着により形成されてもよい。
【0055】
図6Bに示されるように、支持基板GS1上に、接着層AL1を介して、金属膜層NP(図6A参照)と電解めっき膜層EP(図3参照)とを含む配線層320が形成される。配線層320は、導体パッドIPを含むように形成される。配線層320の形成では、例えばめっきレジスト(図示せず)が金属膜層NP上に形成され、このめっきレジストに導体パッドIPの形成領域に応じた開口が例えばフォトリソグラフィ技術により形成される。次いで、金属膜層NPを給電層として用いる電解めっきによりめっきレジストの開口内に電解めっき膜が形成される。その後、めっきレジストが除去され、めっきレジストの除去により露出する金属膜層NPがエッチングで除去される。図6Bに示される配線層320が得られる。
【0056】
図6Cに示されるように、配線層320を覆う層間絶縁層31が形成される。層間絶縁層31は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの絶縁性樹脂を用いて形成される。フッ素樹脂、LCP、PTFE樹脂、PE樹脂、又はMPI樹脂が用いられてもよい。
【0057】
層間絶縁層31には溝T1、T2が形成される。溝T1はビア導体33が形成されるべき位置に形成され、層間絶縁層31を貫通して配線層320を露出させる。溝T2は層間絶縁層31内に埋め込まれる配線層321の配線パターンに対応する位置に形成される。溝T1、T2は、例えばエキシマレーザーを用いるレーザー加工によって形成される。そして、層間絶縁層31及び溝T1から露出する配線層320の上面全体を被覆するように金属膜層NPが形成され、金属膜層NPを給電層として用いる電解めっきによって電解めっき膜層EPが形成される。溝T1内にビア導体33が形成され、溝T2内に配線層321が形成される。
【0058】
図6Dに示されるように、電解めっき膜層EP及び金属膜層NP(図6C参照)の一部が研磨により除去される。互いに分離された所望の配線パターンを含む配線層321が得られる。電解めっき膜層EP及び金属膜層NPの研磨は、例えば化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により行われる。そして、その研磨によって露出する層間絶縁層31及び形成された配線層321の上面に、さらに層間絶縁層31の形成及び配線層321の形成が繰り返される。
【0059】
図6Eに示されるように、最も上側の配線層321上に、配線体WSの最も上側の層間絶縁層31が形成される。この層間絶縁層31に開口33aが形成され、例えばセミアディティブ法によって配線層322が形成されると共に、開口33a内にビア導体33が形成される。配線層322は、複数の導体パッドOPを含むように形成される。導体パッドOPの上面には、例えば、ニッケルを含む下地層PS1と、すずを含む接続層PS2とを含む金属層PSが無電解めっき又は電解めっきなどによって形成される。
【0060】
図6Fに示されるように、配線層322の上に第2支持基板GS2が取り付けられる。第2支持基板GS2は、例えばガラス板で構成されており、その一方の面を配線層322側に向けて、配線層322との間に接着層AL2を介在させて取り付けられる。接着層AL2は、例えば接着層AL1と同様の材料から構成される。1つの第1支持基板GS1上に複数の配線体WSが形成されている場合は、その複数の配線体WS全体に、1つの第2支持基板GS2が取り付けられてもよい。
【0061】
図6Gに示されるように、第1支持基板GS1が取り外される。導体パッドIPの下面及び導体パッドIPを覆う層間絶縁層31の下面、すなわち配線体WSの第2面Bが露出する。第1支持基板GS1は、例えば接着層AL1にレーザー光が照射されて接着層AL1が軟化した後、導体パッドIP及び層間絶縁層31から剥離される。なお、第2面B側に残留し得る接着層AL1は洗浄により除去され得る。連結状態の複数の配線体WSに1つの第2支持基板GS2が取り付けられている場合は、連結状態の複数の配線体WSが、第2支持基板GS2と共に個片化される。例えば、ダイシングソーによって所定の切断線Cに沿って第2支持基板GS2及び連結状態の配線体WSが切断される。それぞれが第2支持基板GS2を第1面A側に備えた個々の配線体WSが得られる。
【0062】
個々の配線体WSは、図5Eを参照して説明されたように、第2絶縁層110の開口110a内に配置され、導体パッドIPと接続パッドP1とが電気的に接続される。その後、第2支持基板GS2は、第1支持基板GS1の剥離と同様の方法で取り外される。図1に示される配線基板1が完成する。
【0063】
なお、図4の例の配線体WS1が形成される場合には、図6C及び図6Dを参照して説明された配線層321の形成方法ではなく、前述した最も上側の層間絶縁層31及び配線層322の形成方法と同様の方法で配線層321が形成される。例えば、セミアディティブ法によって配線層321が形成される。
【0064】
図7には、図1に例示の一実施形態とは異なる他の実施形態の配線基板の一例である配線基板1aが示されている。配線基板1aは、導体ポストMPを含んでいる点と、2つの配線体WS2を含んでいる点で、図1の配線基板1と異なっている。これらの点を除いて、配線基板1aは、図1の配線基板1と同様の材料を用いて形成されていて同様の構成要素を含むと共に同様の構造を有している。配線基板1aにおける図1の配線基板1と同様の構成要素には、図7において、図1に付されている符号と同じ符号が付されるか適宜省略され、同様の構成要素、構造及び材料についての繰り返しとなる説明は省略される。
【0065】
配線基板1aは、図1の配線基板1と同様に、第1絶縁層111と、接続パッドP1と、第2絶縁層110と、第1面A及び第2面Bを有していて第1面Aに複数の導体パッドOPを備えると共に第2面Bに導体パッドIPを備える配線体WS2と、を含んでいる。導体パッドIPと接続パッドP1とは、図3を参照して説明された接続部4と同様の導電性の接続部を介して接している。導体パッドIPの対向面FS2と配線体WS2の第1面Aとの距離は、第1絶縁層111の表面S1と第2絶縁層110の上面S2との距離よりも短く、第1絶縁層111の表面S1と配線体WS2の第1面Aとの距離は、表面S1と第2絶縁層110の上面S2との距離と略等しい。
【0066】
そして、配線基板1aは、接続パッドP1を含む第1導体層112を図1の配線基板1と同様に含むと共に、第1導体層112上に形成されている導体ポストMPを含んでいる。導体ポストMPは、第2絶縁層110を貫いて第2絶縁層110の上面S2から突出している。導体ポストMPは、第1導体層112と反対側の端面MPaを有しており、導体ポストMPのうちの第1導体層112と反対側の端面MPaを含む部分が第2絶縁層110の上面S2から突出している。導体ポストMPは、例えば銅やニッケルなどの適切な導電性を有する金属で形成されている。
【0067】
配線基板1aに含まれる第1導体層112は、接続パッドP1に加えて、導体ポストMPとの接続用の導体パッドである接続パッドP2を含んでいる。接続パッドP2の上に導体ポストMPが形成されている。一方、配線基板1aに含まれる第2絶縁層110は、接続パッドP2上に第2絶縁層110を貫く開口110bを有している。導体ポストMPは、開口110bを充填する、例えば無電解めっき膜やスパッタリング膜、若しくは電解めっき膜、又はこれら金属膜の積層体によって構成されている。
【0068】
図7の例の配線基板1aは複数の導体ポストMPを含んでおり、各導体ポストMPは、平面視で、部品領域EA1(第1部品領域)内、部品領域EA2(第2部品領域)内、又は部品領域EA3(第3部品領域)内に形成されている。すなわち、各導体ポストMPの端面MPaは、平面視で、部品領域EA1、部品領域EA2、及び部品領域EA3のいずれかの内部に位置しており、部品E1~部品E3それぞれの搭載用の導体パッドとして用いられ得る。従って、部品E1~E3それぞれには、配線体WS2の導体パッドOPに接続される電極と、導体ポストMPの端面MPaに接続される電極とが混在することがある。
【0069】
本実施形態の配線基板1aでは、第1絶縁層111の表面S1と導体ポストMPの端面MPaとの距離D5は、導体パッドOPにおける第1絶縁層111側と反対側の表面OPaと第1絶縁層111の表面S1との距離D6と略等しい。従って、部品E1~E3が、安定して配線基板1aに載置され得ると考えられる。なお、図1及び図7の例のように導体パッドOPが第1絶縁層111と反対側に金属層PSを備えている場合は、導体パッドOPの表面OPaは、金属層PSにおける第1絶縁層111側と反対側の表面である。しかし、導体パッドOPが金属層PSのような被膜を第1絶縁層111側と反対側に備えていない場合は、導体パッドOPの表面OPaは、導体パッドOPにおける第1絶縁層11側と反対側への露出面である。
【0070】
前述したように、配線基板1aは、2つの配線体WS2を含んでいる。2つの配線体WS2は、第2絶縁層110に個別に設けられた2つの開口110aに個別に配置されている。2つの配線体WSはそれぞれ、異なる2つの部品領域それぞれと平面視で部分的に重なるように配置されている。図7において左側の配線体WS2は、部品領域EA1及び部品領域EA2それぞれと部分的に重なるように配置されており、部品領域EA1に含まれる導体パッドOPと部品領域EA2に含まれる導体パッドOPとが、配線体WS2内の配線によって電気的に接続されている。一方、図7において右側の配線体WS2は、部品領域EA1及び部品領域EA3それぞれと部分的に重なるように配置されており、部品領域EA1に含まれる導体パッドOPと部品領域EA3に含まれる導体パッドOPとが、配線体WS2内の配線によって電気的に接続されている。このように、実施形態の配線基板は、複数の部品領域それぞれと部分的に重なるようにそれぞれが配置された複数の配線体を含んでいてもよい。
【0071】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。例えば、実施形態の配線基板は、接続パッドP1及び導体パッドIPをそれぞれ1つだけ備えていてもよい。部品搭載面は2以上の任意の数の部品領域を含み得る。配線体WSは任意の数の層間絶縁層及び配線層を有し得る。第1ビルドアップ部10及び第2ビルドアップ部20は任意の層数の絶縁層及び導体層を有し得る。また、実施形態の配線基板は、コア基板を有する態様に限定されない。
【符号の説明】
【0072】
1、1a 配線基板
110 第2絶縁層
110a、110b 開口
111 第1絶縁層
112 第1導体層
31 層間絶縁層
320~322 配線層
33 ビア導体
4 接続部
41 粒子
41b 金属部
42 絶縁性樹脂
A 配線体の第1面
B 配線体の第2面
D1 第1絶縁層の表面と第2絶縁層の上面との距離
D2 第1絶縁層の表面と配線体の第1面との距離
D3 第2導体パッドの対向面と配線体の第1面との距離
D5 第1絶縁層の表面と導体ポストの端面との距離
D6 第1導体パッドにおける第1絶縁層側と反対側の表面と第1絶縁層の表面との距離
EA1~EA3 部品領域(第1~第3部品領域)
FS2 第2導体パッドの対向面
FW 配線群
G 第1絶縁層の表面と配線体の第2面との隙間
G1 接続パッドの対向面と第2導体パッドの対向面との間の隙間
(導体パッドと接続パッドとの間の接続部の厚さ)
GW 配線群の配線間距離
IP 導体パッド(第2導体パッド)
IS 部品搭載面
LW 配線群の配線幅
MP 導体ポスト
MPa 端面
P1、P2 接続パッド
OP 導体パッド(第1導体パッド)
OPa 表面
S1 第1絶縁層の表面
S2 第2絶縁層の上面
WS、WS1、WS2 配線体
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7