(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161925
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】横形製袋充填機における横シール装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/16 20060101AFI20231031BHJP
B65B 51/22 20060101ALI20231031BHJP
B65B 51/10 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B65B51/16
B65B51/22 100
B65B51/10 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072580
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】玉川 幸司
(72)【発明者】
【氏名】飯田 健雄
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 充洋
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA13
3E094BA11
3E094CA08
3E094CA12
3E094CA22
3E094DA08
3E094FA14
3E094GA05
3E094GA07
3E094GA13
3E094HA15
(57)【要約】
【課題】一対のシール体を別々の駆動モータにより回転駆動する横シール装置において、同期位置合わせのためのセット運転の際に良好な同期位置合わせを実施し得る横形製袋充填機における横シール装置を提供する。
【解決手段】ホーン17の第1回転軸21を支持する第1支持部材22a,22bに対し、アンビル18の第2回転軸23を支持する第2支持部材24a,24bが、エアシリンダ38によって第1支持部材22a,22bに向けて付勢される。第1回転軸21を回転する第1駆動モータ29と、第2回転軸23を回転する第2駆動モータ32との同期セット運転の要求信号が出力されると、エアシリンダ38の付勢を解除し、ホーン17とアンビル18との相互間隔を拡げる。同期セット運転が完了すると、エアシリンダ38の付勢によりホーン17とアンビル18との相互間隔を接近させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状包装材の搬送路を挟んで相互に反対方向に回転する一対のシール体によって、筒状包装材中に供給された物品を挟む前後で挟持して筒状包装材の搬送方向と交差する方向へ横シールを施す横形製袋充填機における横シール装置において、
一方のシール体が配設された第1回転軸を回転する第1駆動モータと、
他方のシール体が配設された第2回転軸を回転する第2駆動モータと、
前記第1回転軸および第2回転軸の一方を他方に付勢して両回転軸を接近し、付勢解除により両回転軸を離間する付勢手段と、
前記第1駆動モータと第2駆動モータとの同期セット運転の要求信号を受けて、前記付勢手段に付勢解除信号を出力して、前記第1回転軸と第2回転軸とを離間することで一対のシール体の相互間隔を拡げ、前記同期セット運転の完了により前記付勢手段に付勢信号を出力して、一対のシール体で筒状包装材を挟持して横シールを施すことが可能なシール体の相互間隔となるよう、前記第1回転軸と第2回転軸とを接近させる制御手段と、を備えた
ことを特徴とする横形製袋充填機における横シール装置。
【請求項2】
前記第1回転軸における一方のシール体の両側の軸端側で、第1回転軸を回転自在に支持する第1支持部材と、
前記第2回転軸における他方のシール体の両側の軸端側で、第2回転軸を回転自在に支持する第2支持部材と、を備え、
前記付勢手段は、前記第1支持部材および第2支持部材の一方を他方に付勢するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の横形製袋充填機における横シール装置。
【請求項3】
前記第1支持部材の下方に、前記第2支持部材が接近・離間移動可能に支持され、
該第2支持部材の下方に配置したベース部材に、第2支持部材を第1支持部材に付勢する前記付勢手段を設けたことを特徴とする請求項2記載の横形製袋充填機における横シール装置。
【請求項4】
一方のシール体を振動発生手段により超音波振動するホーンとすると共に、他方のシール体をアンビルとして構成し、
前記ホーンとアンビルとで挟持した前記筒状包装材に超音波振動による横シールを施すよう構成したことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の横形製袋充填機における横シール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横形製袋充填機において、相互に反対方向に回転する一対のシール体によって筒状包装材に横シールを施す横シール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
横形製袋充填機などの包装機では、原反ロールから引き出されて製袋手段で案内されるフィルム(包装材)は、幅方向の両端縁部が合掌状に重合されて筒状に成形され、その重合部にフィルムの搬送方向に向けた縦シールを施すと共に、筒状フィルム中へ供給された各物品の前後位置において搬送方向と交差する横シールを施してピロー包装品を得ている。包装機において筒状フィルムに横シールを施す横シール装置として、筒状フィルムの搬送路を挟んで一対のシール体が対向配置され、該一対のシール体を別々の駆動モータによって相互に反対方向に回転することで、両シール体のシール面が相対向して噛み合う際に筒状フィルムを挟持して横シールを施すよう構成された横シール装置が、特許文献1として提案されている。
【0003】
特許文献1の横シール装置では、シール体のシール面に付着したフィルムの溶融カスや、シール体に物品が噛み込んだ時に付着した物品のカスなどを取り去るために、メンテナンスモード設定時のスイッチング操作による出力信号に基づいて制御手段は、シール体が停止した運転停止状態から、清掃時に両シール体同士が互いに邪魔にならず、ワイヤーブラシを両シール体のシール面に当て易く清掃し易い位置となるシール面の向きで停止するよう、両シール体を回転して停止するように、夫々の駆動モータを駆動制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の横シール装置のように、一対のシール体を別々の駆動モータで回転する構成において、何らかの要因によって回転位置の同期状態が崩れた場合には、同期位置合わせを行うためのセット運転が必要になる。このセット運転の際に、シール体が相互に非同期のまま噛合してしまうと、シール面に形成されたシール目が正しい噛合関係とはならずに、シール目形成部が損傷するなどの不具合が発生することがある。
【0006】
本発明の目的は、一対のシール体を別々の駆動モータにより回転駆動する横シール装置において、シール体の同期セット運転を良好に行うことができる横形製袋充填機における横シール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明の横形製袋充填機における横シール装置は、
筒状包装材(10)の搬送路を挟んで相互に反対方向に回転する一対のシール体(17,18)によって、筒状包装材(10)中に供給された物品(11)を挟む前後で挟持して筒状包装材(10)の搬送方向と交差する方向へ横シールを施す横形製袋充填機における横シール装置において、
一方のシール体(17)が配設された第1回転軸(21)を回転する第1駆動モータ(29)と、
他方のシール体(18)が配設された第2回転軸(23)を回転する第2駆動モータ(32)と、
前記第1回転軸(21)および第2回転軸(23)の一方を他方に付勢して両回転軸(21,23)を接近し、付勢解除により両回転軸(21,23)を離間する付勢手段(26)と、
前記第1駆動モータ(29)と第2駆動モータ(32)との同期セット運転の要求信号を受けて、前記付勢手段(26)に付勢解除信号を出力して、前記第1回転軸(21)と第2回転軸(23)とを離間することで一対のシール体(17,18)の相互間隔を拡げ、前記同期セット運転の完了により前記付勢手段(26)に付勢信号を出力して、一対のシール体(17,18)で筒状包装材(10)を挟持して横シールを施すことが可能なシール体(17,18)の相互間隔となるよう、前記第1回転軸(21)と第2回転軸(23)とを接近させる制御手段(40)と、を備えたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、第1および第2駆動モータの同期セット運転を行う信号により、一対のシール体の相互間隔が拡がるので、同期セット運転でシール体が異なる回転方向や、位相が異なる回転を行っても、シール体におけるシール面に形成されたシール目同士が正しい噛合状態とは異なって噛み合ってしまうことはなく、シール面のシール目が目潰れするなど、損傷してしまうのを防ぐことができる。また、同期セット運転中にシール体が噛合位置を通過するよう回転した場合でも、搬送停止中の筒状包装材をシール体で挟持して搬送上流へ押し戻したり、あるいは搬送下流へ引っ張って包装材を引き千切ってしまったりするようなことがない。更には、セット運転時に回転するシール体が筒状包装材に供給されている物品に間接的に接触するなどして、筒状包装材中の物品の位置がずれてしまう不具合も防止できる。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記第1回転軸(21)における一方のシール体(17)の両側の軸端側で、第1回転軸(21)を回転自在に支持する第1支持部材(22a,22b)と、
前記第2回転軸(23)における他方のシール体(18)の両側の軸端側で、第2回転軸(23)を回転自在に支持する第2支持部材(24a,24b)と、を備え、
前記付勢手段(26)は、前記第1支持部材(22a,22b)および第2支持部材(24a,24b)の一方を他方に付勢するよう構成したことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、シール体の両側で回転軸を支持する支持部材同士を接近・離間移動することで、一対のシール体の姿勢を変化することなく接近・離間することができ、筒状包装材の挟持状態が変化して横シール不良を招くことがない。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記第1支持部材(22a,22b)の下方に、前記第2支持部材(24a,24b)が接近・離間移動可能に支持され、
該第2支持部材(24a,24b)の下方に配置したベース部材(15)に、第2支持部材(24a,24b)を第1支持部材(22a,22b)に付勢する前記付勢手段(26)を設けたことを特徴とする。
請求項3の発明によれば、横シール装置における下方の空所へ、付勢手段を収めるように配置することで、装置上方に有効利用可能な空間領域を確保することができる。
【0010】
請求項4に係る発明では、一方のシール体(17)を振動発生手段(19)により超音波振動するホーン(17)とすると共に、他方のシール体(18)をアンビル(18)として構成し、
前記ホーン(17)とアンビル(18)とで挟持した前記筒状包装材(10)に超音波振動による横シールを施すよう構成したことを特徴とする。
請求項4の発明によれば、超音波振動によって筒状包装材を横シールするよう構成したので、シール体が高温とならず、筒状包装材を挟持するタイミングとの関係でシール体が停止する場合に、シール体が筒状包装材に接触しないようにする包装材のやけど防止対策を講じる必要がなくなり、付勢手段にエアシリンダを用いる場合は、その付勢ストロークが少ないコンパクトなシリンダを選定でき、装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、各シール体を回転する駆動モータの同期位置合わせのための同期セット運転に際し、シール体に設けられたシール目形成部などが損傷したり、筒状包装材中の物品の位置がずれたりするなどの不具合を起こすことなく、良好な同期位置合わせを実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】横シール装置の概略正面図であって、ホーンとアンビルとが接近している状態を示している。
【
図3】横シール装置の概略正面図であって、ホーンとアンビルとが離間している状態を示している。
【
図4】横シール装置の概略斜視図であって、一部の部材を透過して示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る横形製袋充填機における横シール装置の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例0014】
横形製袋充填機(包装機)は、原反ロールから引き出した帯状フィルム(包装材)を、その長手方向両端縁部を合掌状に重合して筒状フィルム(筒状包装材)10として成形する製袋手段と、筒状フィルム10に向けて物品11を所定間隔毎に供給する供給コンベヤと、前記合掌状に重合した筒状フィルム10の重合部にフィルム搬送方向に向けた縦シールを施す縦シール装置と、前記筒状フィルム10の重合部を挟持して縦シール装置に向けて筒状フィルム10を搬送するフィルム搬送手段と、筒状フィルム10中に所定間隔毎に供給された物品11の前後位置で筒状フィルム10を挟持し、フィルム搬送方向と交差する方向(幅方向)に横シール・切断を施す横シール装置と、の夫々を備える。横シール装置では、縦シール装置により重合部に縦シールが施された縦シール部が袋胴部に折り重なる状態で、筒状フィルム10を横シール・切断する。また、包装機は、横シール装置のフィルム搬送方向の前後に、物品11を、筒状フィルム10を介して下側から支持して下流側に搬送する搬送コンベヤ12と搬出コンベヤ13とが設けられ、横シール・切断されて上流側の筒状フィルム10から切り離された袋詰め製品(ピロー包装品)として搬出コンベヤ13によって次工程に搬出するよう構成される。
【0015】
図1~
図4に示す如く、前記横シール装置は、底枠14に配設されたベース部材15に、筒状フィルム10の搬送路を挟んで相互に反対方向に回転する一対のシール体としてのホーン17およびアンビル18と、ホーン17を超音波振動する振動発生手段19と、を備えるシールユニット20が配設される。該シールユニット20は、ホーン17において左右に延出する第1回転軸21を回転自在に支持する一対の第1支持部材22a,22bと、アンビル18の左右に延出する第2回転軸23を回転自在に支持する一対の第2支持部材24a,24bと、を備え、前記第1回転軸21と第2回転軸23とを接近・離間可能に、ホーン17およびアンビル18の左右側方において対応する右側第1支持部材22aと右側第2支持部材24aと、左側第1支持部材22bと左側第2支持部材24bとが、対向配置される。本実施例では、搬送路を挟んで上側にホーン17が配置されると共に、下側にアンビル18が配置されて、第1支持部材22a,22bの下面(対向面)と第2支持部材24a,24bの上面(対向面)とが所定の間隔を隔てて対面するよう配設される。また、シールユニット20は、ホーン17およびアンビル18の左右で対向する一方の支持部材24a,24bを、他方の支持部材22a,22bに対して接近・離間移動可能に支持するガイド手段25と、該ガイド手段25に移動可能に支持された一方の支持部材24a,24bを他方の支持部材22a,22bに向けて付勢するエアシリンダからなる付勢手段26と、を備える。実施例では、ホーン(一方のシール体)17を支持する第1支持部材22a,22bに対し、アンビル(他方のシール体)18を支持する第2支持部材24a,24bをガイドシャフト36からなるガイド手段25に沿うよう移動可能に支持して、第2支持部材24a,24bを第1支持部材22a,22bに接近・離間移動可能に構成すると共に、付勢手段26によって第2支持部材24a,24bを第1支持部材22a,22bに向けて付勢するよう構成される。
【0016】
図2、
図4に示す如く、前記シールユニット20は、前記一対の第1支持部材22a,22bを連結する連結部材27に配設されてベルト-プーリ伝達手段からなる第1連繋機構28によって第1回転軸21を駆動するサーボモータからなる第1駆動モータ29と、前記一対の第2支持部材24a,24bが立設された支持ベース30に配設されてベルト-プーリ伝達手段からなる第2連繋機構31によって第2回転軸23を駆動するサーボモータからなる第2駆動モータ32と、を備え、両駆動モータ29,32によってホーン17とアンビル18とを、その回転位置と回転速度を同期して相互に反対方向に回転駆動する。また、連結部材27に前記振動発生手段19が支持されており、該振動発生手段19は、超音波を発生するコンバータや、超音波を増幅するブースタなどを備え、ホーン17を所定の振幅で超音波振動するよう構成され、前記フィルム搬送手段で搬送される筒状フィルム10を、ホーン17とアンビル18とにより所定圧力で挟持して、超音波振動にて筒状フィルム10の搬送方向と交差する幅方向に横シールを施すよう構成される。
【0017】
図1~
図4に示す如く、前記ホーン17は、前記第1回転軸21の軸端側において、前記連結部材27で門型に連結された前記一対の第1支持部材22a,22bに軸受を介して回転自在に支持される。ホーン17は、第1回転軸21に所定角度毎に複数(実施例では180°間隔で2つ)のシールヘッド33が放射状に設けられ、各シールヘッド33の外周面には、外周面から回転軸側に凹む溝部を挟んでシールヘッド33の回転方向となる前後幅方向に離間して一対のシール面が設けられる。前記アンビル18は、前記第2回転軸23の軸端側において、前記一対の第2支持部材24a,24bに軸受を介して回転自在に支持される。アンビル18は、前記ホーン17の各シールヘッド33と対をなす各シールバー34が、第2回転軸23から所定角度毎に突出して設けられる。アンビル18内には切断手段35が配設され、シールバー34の突出端には、切断手段35を出没可能に貫通孔が形成される。各シールバー34の貫通孔を挟む前後両側に、ホーン17のシール面と対をなすシール面が筒状フィルム10の幅方向に延びるように形成されている。そして、筒状フィルム10中に所定間隔毎に供給された物品11を挟む前後位置において、回転するホーン17のシールヘッド33とアンビル18のシールバー34とにより搬送中の筒状フィルム10を挟持して、ホーン17から発せられる超音波振動により、包装材のシーラントが溶融し、筒状フィルム10の搬送方向と交差して、密封された横シール部が形成される。シールヘッド33およびシールバー34の各シール面には、横シールに際して所定のシール目を筒状フィルム10の横シール部に形成するシール目形成部が設けられている。
【0018】
図1に示す如く、前記切断手段35は、各シールバー側に刃部35aを備えると共に、前記支持ベース30に配設されて切断手段35を径方向に往復移動するサーボモータなどのモータを駆動源とする図示しない往復動手段に連繋されている。往復動手段は、前記シール面で筒状フィルム10を挟持するタイミングにおいて切断手段35を作動し、アンビル18のシール面から径方向に刃部35aが瞬間的に突出して、シール面で挟持される筒状フィルム10を、該筒状フィルム10の幅方向に切断するよう構成される。なお、切断手段35は、アンビル18のシール面から刃部35aを突出して筒状フィルム10を切断する際には、刃部35aは、前記ホーン17の溝部に非接触で受け入れられる。
【0019】
図1、
図2に示す如く、前記ベース部材15には、前記筒状フィルム10の搬送路を挟む左右両側に、フィルム搬送方向前後に離間する一対のガイドシャフトからなるガイド部材36,36を備えた前記ガイド手段25が夫々配設され、各ガイド手段25に、上下方向で対向する前記第1支持部材22a,22bおよび第2支持部材24a,24bが支持される。ガイドシャフト36は、ベース部材15に立設された所定高さ寸法の大径部37から上方に小径部が延出し、ガイドシャフト36の延出端部が第1支持部材22a,22bの下部に止着されており、第1支持部材22a,22bは、ベース部材15に対して一対のガイドシャフト36,36によって定位置に支持されている。そして、一対のガイドシャフト36,36における大径部37,37と第1支持部材22a,22bとの間に、第2支持部材24a,24bが、ガイドシャフト36,36に沿って第1支持部材22a,22bと接近・離間するよう上下方向に移動可能に支持される。フィルム搬送方向前後に離間する一対のガイドシャフト36,36の中間位置には、前記付勢手段26を構成するエアシリンダ38がベース部材15に夫々配設されており、両エアシリンダ38,38の上方に延出するピストンロッドが、前記支持ベース30に配設された第2支持部材24a,24bの直下を上方へ押圧可能に夫々連結されている。すなわち、第2支持部材24a,24bの夫々は、エアシリンダ38によって、第1支持部材22a,22bに向けて所定圧力で下方から付勢されるよう構成してある。
【0020】
図5に示す如く、前記2基のエアシリンダ38,38は、エア供給源からのエア流路を切り替えてエアシリンダ38,38のピストンロッドを延出および引き込み動作する電磁弁44と、エアの圧力を制御する電空レギュレータ39に接続され、エアシリンダ38,38は、ピストンロッドをシリンダ本体から延出して、電空レギュレータ39により圧力制御された付勢力によって、第2支持部材24a,24bを第1支持部材22a,22bに付勢する状態と、ピストンロッドをシリンダ本体に引き込んで第2支持部材24a,24bの付勢を解除して第1支持部材22a,22bから第2支持部材24a,24bを離間する状態とに切り換えられる。すなわち、エアシリンダ38,38による付勢状態では、
図2に示す如く、第1支持部材22a,22bに第1回転軸21を介して支持されるホーン17と、第2支持部材24a,24bに第2回転軸23を介して支持されるアンビル18とは相互間隔が接近して、シールヘッド33とシールバー34とによる筒状フィルム10の挟持が可能となる。また、エアシリンダ38,38による付勢解除状態では、
図3に示す如く、第1支持部材22a,22bに第1回転軸21を介して支持されるホーン17と、第2支持部材24a,24bに第2回転軸23を介して支持されるアンビル18との相互間隔が拡がることで、シールヘッド33とシールバー34とのシール面同士が噛み合わない位置まで離間するよう構成される。また、エアシリンダ38,38の付勢解除状態では、アンビル18のシール面から、前記刃部35aが突出した位置に位置付いた際に、ホーン17とアンビル18とが異なる位相で回転した際にも、アンビル18のシール面から突出する前記刃部35aが、ホーン17のシールヘッド33やホーン17の外縁部に接触干渉しない、ホーン17とアンビル18との離間間隔に設定される。実施例では、エアシリンダ38,38と、電空レギュレータ39と、電磁弁44とから前記付勢手段26が構成される。
【0021】
図5に示す如く、包装機の制御手段40に、前記第1駆動モータ29、第2駆動モータ32、電磁弁44、電空レギュレータ39、ブザーやランプなどの報知手段41が接続される。また制御手段40には、電源スイッチ42や、包装機の運転を開始する起動スイッチ43などの各種スイッチ類や包装機の(運転中などに)異常の検知を行う各種センサなどが接続される。包装機の運転中または停止中に、ホーン17とアンビル18との回転位相の位置同期状態が崩れた時に同期エラー信号(同期セット運転の要求信号)が制御手段40へ入力された場合、その他の各種条件で、前記ホーン17とアンビル18との同期セット運転の要求信号が制御手段40へ信号入力された場合に、該制御手段40は、操作パネルなどのディスプレイの画面にエラー情報を表示すると共に、同期セット運転の実施を促すよう報知する。制御手段40に同期セット運転の要求信号が入力されると、該制御手段40から電磁弁44には付勢解除信号が出力され、前記2基のエアシリンダ38,38の付勢を解除してホーン17とアンビル18との相互間隔が拡がる状態となって、ホーン17とアンビル18との回転位相の位置同期状態が崩れたまま待機状態となる。位置同期状態が崩れた原因に対して適切な対処がなされた後に、ホーン17とアンビル18との同期セット運転が実行される。同期セット運転は、エラー報知の解除操作後に、続いて、作業者による包装機の起動スイッチ操作により行われる。シールヘッド33とシールバー34との両シール面が夫々横方向に向く位置が、ホーン17とアンビル18との夫々の原点位置として設定されている。同期セット運転により、前記駆動モータ29,32が夫々低速で回転作動されて、ホーン17とアンビル18が前記原点位置に達することで前記第1駆動モータ29と第2駆動モータ32の回転が停止する。そして、同期セット運転が完了すると、制御手段40は、電磁弁44に付勢信号を出力し、2基のエアシリンダ38,38により第2支持部材24a,24bを第1支持部材22a,22bに向けて電空レギュレータ39により所定圧を保持して付勢することで、ホーン17とアンビル18との相互間隔が接近して狭まり、シールヘッド33とシールバー34とにより筒状フィルム10を挟持して該筒状フィルム10に横シールを施し得る状態に復帰させる。その際に付勢される圧力は、電空レギュレータ39による所定圧に保持される。
【0022】
ここで、包装機の運転中または電源ON状態での停止中にホーン17とアンビル18との回転位相の位置同期状態が崩れてしまう状態とは、例えば、ホーン17とアンビル18とで物品11を噛み込んで、第1および第2駆動モータ29,32に負荷が掛かって同期ずれが生じた状態、停止中のメンテナンス作業などにおいて、ホーン17とアンビル18の回転位置を作業者が手回しして変更したことで同期ずれが生じた状態、何らかの要因で筒状フィルム10に搬送不良が生じて横シール装置との同期ずれが生じた状態などである。ホーン17とアンビル18との回転位相の位置同期状態が崩れた、同期ずれは、第1および第2駆動モータ29,32やホーン17およびアンビル18の回転部に配設された原点センサ45a,45bの検出時の駆動モータ29,32に設けたエンコーダの回転角度信号がずれた場合、その他に、筒状フィルム10のレジマーク検出不良信号が発信された場合(レジマークを検出できない場合や一定時間間隔でレジマークを検出できない場合)や、各駆動モータ29,32自体の動作不良などで同期状態ではなくなっていると制御手段40が判断した場合には、同期セット運転の要求信号が入力されたとして処理する。すなわち、制御手段40は、駆動モータ29,32やフィルム搬送手段に設けたエンコーダや、レジマークセンサなどの各種の検出機器からの信号に基づいて、各種の同期ずれが発生したものと判断した場合に、前記電磁弁44に付勢解除信号を出力すると共に、同期セット運転を促す報知を行わせる。
【0023】
包装機の運転準備として、前記電源スイッチ42のON操作によって電源ON信号(同期セット運転の要求信号)が制御手段40に入力されると、包装運転に先立ち、各同期作動機構に対して同期セット運転を実行させるための信号が出力される。制御手段40に同期セット運転の要求信号が入力されると、操作パネルの画面表示には、セット運転操作を行うことを促す表示がなされる。作業者の運転準備が整っている段階であれば、作業者が包装機の起動スイッチ43を押すことで、同期セット運転が開始される。同期セット運転において、サーボモータで各作動機構が駆動制御される供給コンベヤとフィルム搬送手段および横シール装置を駆動する夫々のサーボモータが作動して、各機構の同期セット運転が低速で行われる。制御手段40は、品種変更などで異なる包装条件に切り替え設定された後などにおいて、起動スイッチ43を押すON操作時に出力される運転開始信号については、同期セット運転の要求信号と判断して処理する。そして、制御手段40は、電源ON信号や、品種変更後の運転開始信号などの同期セット運転の要求信号が入力された(要求信号を制御手段40が受けた)場合に、前記電磁弁44に切り替え信号(付勢解除信号)を出力してシリンダのピストンロッドが引き込み作動され、第2支持部材24a,24bの第1支持部材22a,22bへの付勢力が解除されるよう構成される。
【0024】
次に、実施例に係る横形製袋充填機における横シール装置の作用について説明する。
【0025】
電源スイッチ42をONした後の包装機(横形製袋充填機)の運転中または停止中において、前記制御手段40に同期セット運転の要求信号が入力された場合や、各種の検出機器からの信号に基づいて各種の同期状態の崩れが検出されて、制御手段40が、横シール装置のホーン(一方のシール体)17とアンビル(他方のシール体)18との回転位相の同期ずれが生じたと判断する(同期セット運転の要求信号を受けたと判断する)と、運転中であれば各機構を停止すると共に、前記電磁弁44に付勢解除信号を出力し、停止中であれば電磁弁44に付勢解除信号を出力する。付勢解除信号が電磁弁44に入力されると、2基のエアシリンダ38,38のピストンロッドがシリンダ本体に引き込まれるように作動し、前記第1支持部材22a,22bから第2支持部材24a,24bを離間することで、前記ホーン17とアンビル18との相互間隔が拡がる(
図3参照)。そして、作業者が前記した同期セット運転の開始操作を行うべく、起動スイッチ43を押すON操作を行うことで、制御手段40は、前記第1駆動モータ29および第2駆動モータ32を低速で作動して、ホーン17とアンビル18との回転位置の位相にずれが無い、同期した位置となるように、前記原点位置まで復帰させる同期セット運転を行わせる。同期セット運転が完了すると、制御手段40は電磁弁44に付勢信号を出力し、該電磁弁44は、2基のエアシリンダ38,38を、ピストンロッドがシリンダ本体から延出するように動作し、第2支持部材24a,24bを第1支持部材22a,22bに向けて付勢することで、ホーン17とアンビル18との相互間隔を自動的に接近させ、前記シールヘッド33とシールバー34とで筒状フィルム10を所定圧で挟持可能な状態となって包装機の運転開始を待機する(
図2参照)。
【0026】
実施例の横シール装置では、ホーン17とアンビル18との回転位置の位置同期状態が崩れた場合など、前記制御手段40に同期セット運転の要求信号が入力された際に、ホーン17とアンビル18との相互間隔を拡げた上で、第1駆動モータ29および第2駆動モータ32を低速で作動して同期セット運転を行うよう構成した。すなわち、ホーン17のシール面とアンビル18のシール面とは、噛み合い状態になることなく一定の距離で離間しているので、ホーン17のシールヘッド33とアンビル18のシールバー34とが、回転位相が異なったまま衝突するようなことがなく、シール面が接触干渉してシール目形成部が目潰れや欠損などを生じて損傷してしまうことを防止することができる。また、同期セット運転の際に、フィルム搬送が停止状態にある場合であっても、ホーン17のシールヘッド33とアンビル18のシールバー34とが原点位置まで復帰する際の回転時において、両シール面で筒状フィルム10を挟持して搬送方向下流へ過度に引っ張って引き千切ってしまったり、搬送方向上流へ引き戻して縮めてしまったりすることもなく、その際に、筒状フィルム10中に供給された物品11の位置ずれが生じてしまうのを防止することができる。
【0027】
実施例の横シール装置では、第1回転軸21をホーン17の両側で回転可能に支持する第1支持部材22a,22bを、第2回転軸23をアンビル18の両側で回転可能に支持する第2支持部材24a,24bに対して接近・離間移動可能に支持し、第1支持部材22a,22bに対して第2支持部材24a,24bを接近・離間移動することで、ホーン17とアンビル18との相互間隔を可変するよう構成したので、ホーン17とアンビル18の姿勢を変化することなく接近・離間することができ、筒状フィルム10の挟持状態が変化して横シール不良を招くことがない。
【0028】
前記付勢手段26のエアシリンダ38,38を、第2支持部材24a,24bの下方に配置されたベース部材15に配設するよう構成したので、横シール装置における下方の空所へ、エアシリンダ38,38を収めるように配置することができ、エアシリンダ38,38をシールユニット20の上方へ突出させることなく、装置上方に有効利用可能な空間領域を確保することができる。また、ホーン17とアンビル18とにより、超音波振動によって筒状フィルム10を横シールする超音波シール方式としたので、ホーン17およびアンビル18は高温とならず、筒状フィルム10を挟持するタイミングとの関係でホーン17およびアンビル18が停止する場合に、ホーン17およびアンビル18が筒状フィルム10に接触しないようにする包装材のやけど防止対策を講じる必要がなくなる。すなわち、筒状フィルム10のやけど防止対策のために付勢ストロークの大きなエアシリンダ38,38を採用する必要はなく、付勢ストロークが少ないコンパクトなシリンダを選定でき、装置の小型化を図ることができる。また、横シール装置のメンテナンス時において、ホーン17のシールヘッド33とアンビル18のシールバー34とは加熱によって温度上昇することがないので、直ちにメンテナンス作業に取り掛かることができ、メンテナンスの対応時間を短縮することができる。
【0029】
横シール装置の同期セット運転は、搬送停止中の筒状フィルム10に悪影響を及ぼすことなく他の機構とは独立して行うことができるので、ホーン17およびアンビル18の回転移動に合わせて事前にセッティングした筒状フィルム10を搬送しつつ下流まで送り出す必要がなく、同期セット運転のためにフィルムの無駄な消費を無くすことができる。また、供給コンベヤやフィルム搬送手段などの各機構と共に同期位置合わせを行う際に、横シール装置の同期セット運転を、フィルム搬送手段の同期位置合わせ搬送動作と切り離して行っても、前記フィルム搬送が停止状態にある場合と同様に、筒状フィルム10を引き千切ってしまったり、筒状フィルム中の物品相互の間隔がずれてしまったりする不都合が生じるのを防ぐことができ、同期位置合わせ後に直ちに正常運転に移行可能な待機状態とすることができる。
【0030】
ここで、本実施例の如く切断手段35として、一対のシール体17,18のシール面同士が噛み合うタイミングで、何れか一方のシール体18の内部に収容している切断刃をシール面から突出することで、シール面で挟持している筒状フィルム10を切断する、所謂「突き切り」方式の切断手段を採用している構成の横シール装置では、シール体相互の回転位相の位置同期状態が崩れた場合、切断刃の刃先がシール体のシール面から突出したまま回転して他方のシール体に接触干渉してしまうことが想定される。実施例の横シール装置の同期セット運転では、切断手段35の同期がなされるまで、2基のエアシリンダ38,38のピストンロッドがシリンダ本体に引き込まれて、ホーン17とアンビル18との相互間隔は拡がっているので、同期セット運転時にホーン17とアンビル18とが同期するまでの回転状態においてアンビル18におけるシールバー34のシール面から飛び出た切断手段35の切部35aが、ホーン17との回転位相が一致していない状態で回転する際のシールヘッド33や溝部以外のホーン17の外縁部に接触するのを防ぐことができ、切断手段35やホーン17が損傷するのを回避することができる。
【0031】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) シールユニット20は、ホーン17とアンビル18とからなる超音波シール方式に限らず、シール体にヒータなどの加熱源を配設した加熱シール方式であってもよい。加熱シール方式のシール体を採用する場合に、エアシリンダ38,38による一対のシール体の離間位置を、該シール体の回転軌跡が筒状フィルム10に接触しない範囲とすることで、シール体がフィルムに接触、挟持するなどしてフィルムを溶かしてしまうことを防止することができる。
(2) 回転軸21,23に設けるシールヘッド33やシールバー34は、180度間隔で2つ設ける構成に限らず、シールヘッド33やシールバー34が、1つまたは3つ以上で回転軸21,23から放射状に設けられるものであってもよく、切断手段35の刃部35aは、シールバー34の配設数に対応していればよい。
(3) 一対のシール体(ホーン17とアンビル18)は、上下の関係に限らず左右の関係で配置されるなど、回転軸21,23が水平方向または垂直方向に配置される構成を採用することができる。
(4) 一方の支持部材24a,24bを他方の支持部材22a,22bに付勢する向きは、上から下であってもよい。また、第1支持部材22a,22bと第2支持部材24a,24bとを左右に並ぶように配置した場合は、何れか一方を他方へ付勢する付勢手段26の配置とすればよい。
【0032】
(5) 付勢手段26は、駆動モータでカムレバーやリンク機構に連繋して、一対のシール体を離間状態と接近状態とに切り替える機構等、各種の手段を採用することができる。
(6) 切断手段35は、シールバー34のシール面から突出する突き切り方式に代えて、シール面から突出して設けられた切り刃と他方のシール面に設けられた受け刃のフラットな受け面とにより筒状フィルム10を押し切る当て切り方式の切断手段を採用することができる。
(7) 切断手段35を往復移動する往復動手段は、モータによって動作する構成に限らず、アンビル18の回転に合わせてカムリンク機構などの機械的連繋手段やエアシリンダ、その他の往復動手段などによって切断手段35を往復動作する構成などを採用することができる。