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特開2023-161978光ファイバ組込シート、光ファイバの設置方法、および貼付装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161978
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】光ファイバ組込シート、光ファイバの設置方法、および貼付装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/353 20060101AFI20231031BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20231031BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G01D5/353 B
C09J7/38
G02B6/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072653
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠斗
(72)【発明者】
【氏名】田中 亜樹子
(72)【発明者】
【氏名】平 陽兵
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 直樹
(72)【発明者】
【氏名】今井 道男
(72)【発明者】
【氏名】玉野 慶吾
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 進太郎
(72)【発明者】
【氏名】十川 貴行
【テーマコード(参考)】
2F103
2H038
4J004
【Fターム(参考)】
2F103BA01
2F103BA04
2F103CA07
2F103EC09
2F103GA14
2F103GA15
2H038AA05
2H038AA07
4J004EA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】設置対象への貼り付けが完了するまでの仮固定性が十分な光ファイバ組込シート等を提供する。
【解決手段】本発明は、センサとして用いる光ファイバを組込んだ光ファイバ組込シートであって、基材11と、粘着剤層12と、粘接着剤層13と、がこの順に積層され、前記粘接着剤層には前記光ファイバ14の少なくとも一部が埋設されており、前記粘着剤層は前記粘接着剤層よりも幅が広い、光ファイバ組込シートに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサとして用いる光ファイバを組込んだ光ファイバ組込シートであって、
基材と、粘着剤層と、粘接着剤層と、がこの順に積層され、
前記粘接着剤層には前記光ファイバの少なくとも一部が埋設されており、
前記粘着剤層は前記粘接着剤層よりも幅が広い、
光ファイバ組込シート。
【請求項2】
前記粘着剤層の幅(cm)をX、前記粘接着剤層の幅(cm)をYとした場合に、0.05≦Y/X≦0.95である、請求項1に記載の光ファイバ組込シート。
【請求項3】
前記粘接着剤層にシート引裂き用の線材が設けられている、請求項1または2に記載の光ファイバ組込シート。
【請求項4】
請求項1または2に記載の光ファイバ組込シートを、前記粘着剤層および前記粘接着剤層により設置対象に粘着させ、その後に硬化させた前記粘接着剤層により設置対象に接着させる、光ファイバの設置方法。
【請求項5】
前記設置対象に、前記粘接着剤層との化学反応により前記粘接着剤層を硬化させるプライマーを塗布した後、前記プライマーの塗布位置で前記設置対象に前記光ファイバ組込シートを貼付ける、請求項4に記載の光ファイバの設置方法。
【請求項6】
前記粘接着剤層に、前記粘接着剤層との化学反応により前記粘接着剤層を硬化させるプライマーを塗布した後、前記設置対象に前記粘接着剤層を接触させて、前記光ファイバ組込シートを貼付ける、請求項4に記載の光ファイバの設置方法。
【請求項7】
前記光ファイバ組込シートを巻き付けたリールと、押えローラとを有する貼付装置を用い、
前記リールから巻き出された前記光ファイバ組込シートを前記押えローラによって前記設置対象側に押さえつつ、前記貼付装置を前記光ファイバ組込シートの貼付方向に移動させることで、前記光ファイバ組込シートの貼付を行う、請求項4に記載の光ファイバの設置方法。
【請求項8】
請求項1または2に記載の光ファイバ組込シートを設置対象に貼付けるための貼付装置であって、
前記光ファイバ組込シートを巻き付けたリールと、
前記リールから巻き出された前記光ファイバ組込シートを前記設置対象側に押さえるための押えローラと、
を有する貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを組込んだ光ファイバ組込シート、光ファイバの設置方法およびこれに用いる光ファイバ組込シートの貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバには、レーザによるパルス光を入射した際に観測される散乱光等を分析することで、光ファイバの全長にわたる歪分布や温度分布を測定できるという特性がある。
【0003】
この特性を活かし、構造物の変形検出や温度測定を目的とした光ファイバセンサが現在実用化されている。例えば特許文献1には、コンクリート構造物の変形(損傷)を光ファイバの歪により検出するため、光ファイバをシートの間に固定したセンサをコンクリート表面に接着材で貼付ける例が記載されている。また特許文献2には、設置用部材に光ファイバを固定した光ファイバセンサを、設置用部材に設けた接合材で構造物に接着し、光ファイバの歪から構造物の変形検出を行う例が記載されている。
【0004】
特許文献1では光ファイバをシートの間に固定し、特許文献2では光ファイバをシート状の設置用部材に固定しており、シートや設置用部材を設置対象に貼付けることで設置作業に要する労力の軽減を図っている。しかしながら、センサの製造にコストを要し、また設置対象と光ファイバの間にシートや設置用部材が介在するので設置対象の変形等がセンサの測定結果に反映されにくい可能性もある。
【0005】
そこで、特許文献3では、センサとして用いる光ファイバを組込んだ光ファイバ組込シートを開示する。光ファイバは接着層に埋設されており光ファイバと設置対象の間にシート等が介在することがないので、設置対象の変形等が光ファイバの測定結果に反映されやすく、層構成としても簡易で低コストである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-131025号公報
【特許文献2】特開2002-48516号公報
【特許文献3】特開2021-148713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の光ファイバ組込シートでは、設置対象に対する仮固定性に関し、さらなる向上の余地が残されていることが分かってきた。特許文献3に記載の光ファイバ組込シートにおいては、接着層が粘着性を有することにより、同シートを設置対象に仮固定することができ、その後、接着層が硬化することで、同シートが設置対象に固定される。もっとも、例えば天井などへの貼り付けの場合、接着層の粘着性のみでは仮固定が不十分となり、接着層の硬化が完了するまでに同シートが剥れてしまうおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明は、設置対象への貼り付けが完了するまでの仮固定性が十分な光ファイバ組込シート等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
【0010】
[1]
センサとして用いる光ファイバを組込んだ光ファイバ組込シートであって、
基材と、粘着剤層と、粘接着剤層と、がこの順に積層され、
前記粘接着剤層には前記光ファイバの少なくとも一部が埋設されており、
前記粘着剤層は前記粘接着剤層よりも幅が広い、
光ファイバ組込シート。
[2]
前記粘着剤層の幅(cm)をX、前記粘接着剤層の幅(cm)をYとした場合に、0.05≦Y/X≦0.95である、前記[1]に記載の光ファイバ組込シート。
[3]
前記粘接着剤層にシート引裂き用の線材が設けられている、前記[1]または[2]に記載の光ファイバ組込シート。
[4]
前記[1]~[3]のいずれか1に記載の光ファイバ組込シートを、前記粘着剤層および前記粘接着剤層により設置対象に粘着させ、その後に硬化させた前記粘接着剤層により設置対象に接着させる、光ファイバの設置方法。
[5]
前記設置対象に、前記粘接着剤層との化学反応により前記粘接着剤層を硬化させるプライマーを塗布した後、前記プライマーの塗布位置で前記設置対象に前記光ファイバ組込シートを貼付ける、前記[4]に記載の光ファイバの設置方法。
[6]
前記粘接着剤層に、前記粘接着剤層との化学反応により前記粘接着剤層を硬化させるプライマーを塗布した後、前記設置対象に前記粘接着剤層を接触させて、前記光ファイバ組込シートを貼付ける、前記[4]に記載の光ファイバの設置方法。
[7]
前記光ファイバ組込シートを巻き付けたリールと、押えローラとを有する貼付装置を用い、
前記リールから巻き出された前記光ファイバ組込シートを前記押えローラによって前記設置対象側に押さえつつ、前記貼付装置を前記光ファイバ組込シートの貼付方向に移動させることで、前記光ファイバ組込シートの貼付を行う、前記[4]~[6]のいずれか1に記載の光ファイバの設置方法。
[8]
前記[1]~[3]のいずれか1に記載の光ファイバ組込シートを設置対象に貼付けるための貼付装置であって、
前記光ファイバ組込シートを巻き付けたリールと、
前記リールから巻き出された前記光ファイバ組込シートを前記設置対象側に押さえるための押えローラと、
を有する貼付装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光ファイバ組込シートは、粘接着剤層と、粘接着剤層よりも幅が広い粘着剤層を備えるため、設置対象に対する十分な仮固定性が得られる。そのため粘接着剤層の硬化が完了するまでに、同シートの剥離を抑制できる。また、光ファイバの設置作業に係る労力を軽減でき、かつ、低コストで好適にセンシングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態の第1の光ファイバ組込シートを示す図である。
図2図2は、本発明の別の実施形態の第2の光ファイバ組込シートを示す図である。
図3図3は、本発明の別の実施形態の第3の光ファイバ組込シートを示す図である。
図4図4は、光ファイバの設置対象3にプライマー9を塗布する方法を示す図である。
図5図5は、光ファイバ14の設置方法を示す図である。
図6図6は、貼付装置5aを示す図である。
図7図7は、設置対象3のひび割れ部分3a付近を示す断面図である。
図8図8は、光ファイバ組込シート1aを示す図である。
図9図9は、光ファイバ組込シート1cを示す図である。
図10図10は、光ファイバ組込シート1d、1eを示す図である。
図11図11は、実施例における粘着力の測定結果を示す図である。
図12図12は、実施例におけるテープ繰出力の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、範囲を示す「A~B」は、「A以上B以下」を意味する。また、本明細書において、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」は、それぞれ同義語として扱う。
【0014】
また、本明細書において「粘着剤」とは、固化せずに剥離抵抗力を発揮するものをいう。具体的には、粘着剤は、感圧性接着剤(pressure-sensitive adhesive)ともいい、室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する材料をいう。ここでいう粘着剤は、「C.A.Dahlquist,“Adhesion:Fundamentals and Practice”,McLaren & Sons,(1966)P.143」に定義されているとおり、一般的に、複素引張弾性率E(1Hz)<10dyne/cmを満たす性質を有する材料(典型的には、25℃において上記性質を有する材料)であり得る。また、「粘着剤層」とは、粘着剤で形成された層をいう。また、「粘着性」とは、粘着剤が有する上記特性を意味する。
【0015】
また、本明細書において「粘接着剤」とは、上記粘着剤の機能を有し、かつ硬化することで剥離抵抗力が増大する材料をいう。また「粘接着剤層」とは、粘接着剤で形成された層をいう。
【0016】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際の製品のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
【0017】
(1.光ファイバ組込シート)
本発明の実施形態の光ファイバ組込シートは、センサとして用いる光ファイバを組込んだ光ファイバ組込シートであって、基材と、粘着剤層と、粘接着剤層と、がこの順に積層され、粘接着剤層には光ファイバの少なくとも一部が埋設されており、粘着剤層は粘接着剤層よりも幅が広いことを特徴とする。
【0018】
本発明の一実施形態の光ファイバ組込シートは、その粘接着剤層を光ファイバ設置対象に接触させることで、光ファイバ設置対象に粘着され、その後、粘接着剤層が徐々に硬化することにより、同シートは光ファイバ設置対象に固定される。ここで、図1の(a)に示すように、同シートが備える粘着剤層12は、粘接着剤層13よりも幅が広いため、同シートを粘接着剤層13を介して設置対象に貼り付ける際に、粘着剤層12が設置対象面と粘接着剤層13とで形成される段差に追従して、光ファイバ14の設置対象に粘着される。このように、同シートは粘接着剤層13に加え、粘着剤層12も光ファイバ14の設置対象に粘着されるため、十分な仮固定性が得られ、粘接着剤層13の硬化が完了するまでに同シートが剥離してしまうのを抑制できる。
ここで、「仮固定」とは、粘接着剤層13の硬化が完了するまでに、粘着剤層12および粘接着剤層13の粘着性により、光ファイバ組込シートを光ファイバ14の設置対象に一時的に固定することを意味する。
【0019】
また、本発明の一実施形態の光ファイバ組込シートを、その粘接着剤層および粘着剤層により光ファイバの設置対象に粘着させ、その後に粘接着剤層により接着させることで、十分な仮固定性が得られるため、光ファイバの設置作業に要する労力を軽減できる。
【0020】
また、光ファイバ組込シートの基材、粘着剤層、及び粘接着剤層が光ファイバの防護層として機能し、外部からの接触に対する光ファイバの損傷リスクを低減できる。
【0021】
さらに、光ファイバの少なくとも一部は上記の粘接着剤層に埋設されており、設置対象の変形等が、硬化した粘接着剤層を介して、光ファイバの測定結果に反映されやすく、層構成としても簡易で低コストである。
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0023】
(1.1.第1の光ファイバ組込シート)
図1は本発明の一実施形態に係る第1の光ファイバ組込シートを示す図である。第1の光ファイバ組込シートは、センサとして用いる光ファイバ14を組み込んだ帯状のシート材であり、光ファイバ14の設置対象の変形を光ファイバ14の歪により検出する。
【0024】
図1の(a)は第1の光ファイバ組込シートの長手方向と直交する断面を見た図であり、図1の(b)は第1の光ファイバ組込シートを図1の(a)の上方から見た図である。図1の(a)に示すように、第1の光ファイバ組込シートは基材11と粘着剤層12と粘接着剤層13が積層された構成を有し、光ファイバ14の少なくとも一部は粘接着剤層13に埋設される。光ファイバ14の少なくとも一部が粘接着剤層13に埋設されることで、光ファイバと設置対象の間にシート等が介在することがないので、設置対象の変形等が光ファイバの測定結果に反映されやすくなる。
【0025】
(基材)
基材11の材質は特に限定されず、樹脂フィルム等、光ファイバ組込シートの使用態様等に応じて適宜選択することができる。樹脂フィルムを構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ノルボルネン構造等の脂肪族環構造を有するモノマーに由来するポリシクロオレフィン、ナイロン6、ナイロン66、部分芳香族ポリアミド等のポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PU)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー等の樹脂を用いることができる。上記樹脂フィルムは、このような樹脂の1種を単独で含む樹脂材料を用いて形成されたものであってもよく、2種以上がブレンドされた樹脂材料を用いて形成されたものであってもよい。上記樹脂フィルムは、無延伸であってもよく、延伸(例えば一軸延伸または二軸延伸)されたものであってもよい。
【0026】
光ファイバ組込シートを屋外など太陽光に対する露光環境下で使用する場合には、基材11に既知の耐紫外線性を有する材料を用いることで、太陽光による光ファイバ組込シートの劣化を防止できる。また光ファイバ組込シートをコンクリート内などコンクリートとの接触環境下で使用する場合には、基材11に既知の耐アルカリ性を有する材料を用いることで、コンクリートのアルカリ成分による光ファイバ組込シートの劣化を防止できる。
【0027】
基材11の厚さは、特に限定されず、光ファイバ組込シートの使用態様等に応じて選択し得る。基材11の厚さは、例えば1000μm以下であってよく、500μm以下でもよく、100μm以下でもよく、70μm以下でもよく、50μm以下でもよく、25μm以下でもよく、10μm以下でもよく、5μm以下でもよい。基材の厚さが小さくなると、光ファイバ組込シートの柔軟性や設置対象の表面形状への追従性が向上する傾向にある。また、取扱い性や加工性等の観点から、基材11の厚さは、例えば2μm以上であってよく、5μm以上でもよく、10μm以上でもよく、20μm以上でもよく、35μm以上でもよく、55μm以上でもよい。
【0028】
(粘着剤層)
粘着剤層12は、主に光ファイバ組込シートを設置対象に仮固定するための層である。粘着剤層12は、基材11の片面で基材11の全幅に亘って設けてもよいし、あるいは全幅に亘って設けなくてもよい。また、粘着剤層12は後述する粘接着剤層13よりも幅が広い。粘着剤層12は粘接着剤層13よりも幅が広いことにより、同シートを、粘接着剤層13を介して設置対象に貼り付ける際に、粘着剤層12が設置対象面と粘接着剤層13とで形成される段差に追従して、光ファイバ14の設置対象に粘着される。そして、粘着剤層12は粘接着剤層13とともに、光ファイバ14の設置対象に粘着されるため、同シートの粘着力を高めることができ、十分な仮固定性が得られ、粘接着剤層13の硬化が完了するまでのシートの剥離を抑制できる。
【0029】
なお、上記「幅」とは光ファイバ組込シートの長手方向と平面において直交する方向の長さをいい、図1の(a)の左右方向の長さに対応する。
【0030】
図1の(a)に示すように、粘着剤層12の幅(cm)をX、後述する粘接着剤層13の幅(cm)をYとした場合に、Y/Xは0.95以下であるのが好ましく、0.9以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましい。Y/Xが上記範囲であることにより、粘着剤層12による仮固定性が十分に得られる。
また、Y/Xは0.05以上であるのが好ましく、0.1以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましい。Y/Xが上記範囲であることにより、シートの繰出力の増加が抑えられ、作業性が向上し、光ファイバに過剰な応力が生じるのを抑制できる。
【0031】
また、粘着剤層12の幅(cm)Xは、1cm以上が好ましく、1.5cm以上がより好ましく、また、5cm以下が好ましく、3cm以下がより好ましい。粘着剤層12の幅Xが1cm以上であることにより、貼り付け面積が増え、接着力が向上するため、光ファイバ組込シートの接着性という点で有利である。また粘着剤層12の幅Xが5cm以下であることにより、光ファイバ組込シートをロール状にした際の重量増加や手作業での貼り付け性の悪化を回避できるため、ハンドリング性という点で有利である。
【0032】
粘着剤層12には、既知の粘着剤を用いることができ、例えば、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、ビニルアルキルエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ウレタン系ポリマー、フッ素系ポリマー、エポキシ系ポリマーなどのベースポリマーを含む粘着剤が挙げられる。なかでも、粘着力、耐候性の点から、アクリル系ポリマーを含む粘着剤(アクリル系粘着剤)が好ましい。なお、かかるポリマーは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
また光ファイバ14の設置対象がコンクリート部材である場合には、粘着剤層12に既知の耐アルカリ性を有する材料を用いることで、コンクリートのアルカリ成分による光ファイバ組込シートの劣化を防止できる。
【0034】
粘着剤層12の厚みは、例えば、200μm以上、好ましくは、400μm以上、より好ましくは、600μm以上であり、また、例えば、1400μm以下、好ましくは、1200μm以下、より好ましくは、1000μm以下である。粘着剤層12の厚みが200μm以上であることにより、光ファイバが粘着剤層に包埋され、外部からの圧力などが緩和されるため、光ファイバを十分に保護できるという点で有利である。また粘着剤層12の厚みが1400μm以下であることにより、光ファイバ組込シートをロール状にした際の重量増加や手作業での貼り付け性の悪化を回避できるため、ハンドリング性という点で有利である。
【0035】
(粘接着剤層)
粘接着剤層13は、主に光ファイバ組込シートを設置対象に粘着及び固定するための層である。粘接着剤層13には既知の粘接着剤を用いることができ、なかでも、後述するプライマーとの化学反応により硬化する材料が粘接着剤層13として用いられるのが好ましい。例えば、主成分としてエポキシ樹脂を含有し、層を形成できる2液型接着剤の主剤であることができる。エポキシ樹脂以外に含有できる成分としては、例えば、シリコーン化合物、ポリプロピレングリコ-ルなどのポリオール化合物、ウレタン樹脂等が挙げられる。粘接着剤は、エポキシ樹脂を主成分として含有することにより、設置対象に強固に接着することができる。ここで「主成分」とは、質量基準で組成物や層中に最も多く含有される成分を意味する。
【0036】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのビスフェノール系エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロ型エポキシ樹脂、脂環族系エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートエポキシ樹脂、ヒダントインエポキシ樹脂、グリシジルエーテル系エポキシ樹脂、およびグリシジルアミノ系エポキシ樹脂等が挙げられる。
またエポキシ樹脂としては、3官能以上の多官能エポキシ樹脂を使用することもできる。このような多官能エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニル型ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、および脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0037】
エポキシ樹脂としては、好ましくは、ビスフェノール系エポキシ樹脂、より好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂は、単独で用いることができ、また2種以上を併用することもできる。
なお、多官能エポキシ樹脂を用いる場合は、エポキシ樹脂全体に対し、1~50質量%が好ましく、3~30質量%がさらに好ましい。
【0038】
エポキシ樹脂は、常温で、液状、半固形状および固形状のいずれの形態であってもよいが、好ましくは、半固形状のエポキシ樹脂の単独使用、および、液状のエポキシ樹脂と固形状のエポキシ樹脂との併用が挙げられる。これにより、粘接着剤組成物からタックのある層状の粘接着剤層を確実に形成できる。
【0039】
常温で液状のエポキシ樹脂は、具体的には、25℃で液状である。液状のエポキシ樹脂の粘度は、25℃において、例えば、30Pa・s以上、好ましくは、80Pa・s以上であり、例えば、500Pa・s以下、好ましくは、300Pa・s以下である。
【0040】
常温で固形状のエポキシ樹脂は、具体的には、25℃で固形状である。固形状のエポキシ樹脂の軟化点は、例えば、70℃以上、好ましくは、75℃以上である。
【0041】
液状のエポキシ樹脂と固形状のエポキシ樹脂とを併用する場合、液状のエポキシ樹脂の固形状のエポキシ樹脂に対する配合割合(液状のエポキシ樹脂/固形状のエポキシ樹脂)は、例えば、1.0以上、好ましくは、1.5以上であり、また、例えば、4.0以下、好ましくは、3.0以下である。
【0042】
液状のエポキシ樹脂の固形状のエポキシ樹脂に対する配合割合が、上記の下限以上であれば、粘接着剤組成物の粘度を低減させて、塗膜のムラの発生を防止して、均一な粘接着剤層を得ることができる。液状のエポキシ樹脂の固形状のエポキシ樹脂に対する配合割合が、上記の上限以下であれば、タックのある層状の粘接着剤層を得ることができる。
【0043】
粘接着剤層中のエポキシ樹脂の含有量は、好ましくは、30~99質量%であり、より好ましくは、50~90質量%である。
【0044】
また光ファイバ14の設置対象がコンクリート部材である場合には、粘接着剤層13に既知の耐アルカリ性を有する材料を用いることで、コンクリートのアルカリ成分による光ファイバ組込シートの劣化を防止できる。
【0045】
粘接着剤層13の幅(cm)Yは、0.2cm以上が好ましく、0.5cm以上がより好ましく、また、3cm以下が好ましく、2.5cm以下がより好ましい。粘接着剤層13の幅(cm)Yが0.2cm以上であることで十分に光ファイバ組込シートを設置対象に粘着及び固定することが可能であり、3cm以下であることで、光ファイバ組込シート全体の幅が増加することによるハンドリング性の悪化を防ぎ、またプライマーの塗布が必要な面積を小さく抑えることができる。
【0046】
粘接着剤層13の厚みは、例えば3μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、例えば100μm以下、好ましくは90μm以下、より好ましくは75μm以下である。粘接着剤層13の厚みが3μm以上であることにより、硬化前の剥離強度、及び硬化後の耐衝撃性が優れるという点で有利である。また粘接着剤層13の厚みが100μm以下であることにより、下記で説明するプライマーが粘接着剤層13に浸透しやすくなり、これにより硬化速度が向上するという点で有利である。
【0047】
(光ファイバ)
光ファイバ14はガラス等により構成される線状部材である。光ファイバ14にはセンサ用の既知のファイバ部材を用いることができる。光ファイバ14は、その長手方向を光ファイバ組込シートの長手方向に合わせて配置され、その少なくとも一部は、粘接着剤層に埋設される。また、光ファイバ14の少なくとも一部は粘着剤層に埋設されていてもよい。
【0048】
(はく離ライナー)
本実施形態の光ファイバ組込シートにおいては、使用時まで上記粘着剤層12や粘接着剤層13がはく離ライナー(セパレータ、剥離フィルム)により保護されていてもよい。
【0049】
はく離ライナーとしては、慣用の剥離紙などを使用でき、特に限定されないが、例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素系ポリマーからなる低接着性基材、無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。
剥離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等が挙げられる。
フッ素系ポリマーからなる低接着性基材のフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。
無極性ポリマーからなる低接着性基材の無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等が挙げられる。なお、はく離ライナーは公知ないし慣用の方法により形成することができる。また、はく離ライナーの厚さ等も特に制限されない。
【0050】
(1.2.第2の光ファイバ組込シート)
図2は本発明の別の実施形態に係る第2の光ファイバ組込シートを示す図である。第2の光ファイバ組込シートは、センサとして用いる複数本の光ファイバ24(第1光ファイバ24a、第2光ファイバ24b)を組み込んだ帯状のシート材である。なお、図2では、2本の光ファイバ24が同シートに組み込まれているが、本数はこれに限定されず3本以上であってよい。
また、本実施形態の第2の光ファイバ組込シートの各構成に関しては、特段の説明がない限り、上述した第1の光ファイバ組込シートの実施形態に関する説明がそのまま当てはまる。
【0051】
図2の(a)は第2の光ファイバ組込シートの長手方向と直交する断面を見た図であり、図2の(b)は第2の光ファイバ組込シートを図2の(a)の上方から見た図である。図2の(a)に示すように、第2の光ファイバ組込シートは基材21と粘着剤層22と粘接着剤層23が積層された構成を有し、複数本の光ファイバ24(第1光ファイバ24a、第2光ファイバ24b)はいずれも、それらの少なくとも一部が粘接着剤層23に埋設される。
【0052】
(1.3.第3の光ファイバ組込シート)
図3は本発明の別の実施形態に係る第3の光ファイバ組込シートを示す図である。第3の光ファイバ組込シートは、粘着剤層32上に複数の粘接着剤層33(第1粘接着剤層33a、第2粘接着剤層33b)を備えており、それぞれの粘接着剤層33に、センサとして用いる複数本の光ファイバ34(光ファイバ34a、光ファイバ34b)の一部が埋没するように組み込まれた帯状のシート材である。なお、図3では、2つの粘接着剤層それぞれに対し、一本の光ファイバの少なくとも一部が埋没するように組み込まれているが、粘接着剤層や光ファイバの数はこれに限定されず、それぞれ2以上または3以上であってよい。また、1つの粘接着剤層について、複数本の光ファイバの一部が埋没するように組み込まれていてもよい。
また、本実施形態の第3の光ファイバ組込シートの各構成に関しては、特段の説明がない限り、上述した第1の光ファイバ組込シートの実施形態に関する説明がそのまま当てはまる。
【0053】
図3の(a)は第3の光ファイバ組込シートの長手方向と直交する断面を見た図であり、図3の(b)は第3の光ファイバ組込シートを図3の(a)の上方から見た図である。図3の(a)に示すように、第3の光ファイバ組込シートは基材31と粘着剤層32と粘接着剤層33(第1粘接着剤層33a、第2粘接着剤層33b)が積層された構成を有し、光ファイバ34aの少なくとも一部は、第1粘接着剤層33aに埋設され、光ファイバ34bの少なくとも一部は、第2粘接着剤層33bに埋設される。
【0054】
また、第3の光ファイバ組込シートにおいて、粘接着剤層33の幅Y(cm)とは、複数の粘接着剤層の幅の合計を意味し、例えば図3の(a)においては、第1粘接着剤層33aの幅Y1と、第2粘接着剤層33bの幅Y2との合計(Y1+Y2)を意味するものとする。
【0055】
(2.光ファイバの設置方法)
次に、光ファイバ組込シート1を用いた光ファイバ14の設置方法について説明する。本実施形態では、光ファイバ組込シート1を、粘着剤層12および粘接着剤層13により光ファイバ14の設置対象に粘着させ、その後に前記粘接着剤層13により設置対象に接着させることで光ファイバ14の設置を行う。設置対象は例えば構造物の柱や梁、桁、床、壁等を構成するコンクリート部材や鋼材などであるが、特に限定されない。
【0056】
光ファイバ14の設置方法の一実施形態としては、設置対象3に、粘接着剤層13との化学反応により粘接着剤層を13硬化させるプライマー9を塗布した後、プライマー9の塗布位置で設置対象に光ファイバ組込シート1を貼付ける態様が挙げられる。
【0057】
本態様では、光ファイバを設置する際、まず図4に示すように、設置対象3における光ファイバの設置面にプライマー9を塗布する。本実施形態では設置対象3の下面に光ファイバ14の設置を行うものとし、プライマー9は当該下面に塗布するが、光ファイバの設置面(プライマー9の塗布面)は特に限定されない。
【0058】
プライマー9は、光ファイバ組込シート1の貼付位置に合わせて帯状に塗布される。図4の(a)はプライマー9の塗布位置をその長手方向に沿って見た断面であり、図4の(b)は図4の(a)の線A-Aに沿った断面である。
【0059】
前記したように、本実施形態では、プライマー9として、粘接着剤層13との化学反応により粘接着剤層13を硬化させる材料が用いられる。プライマー9は、例えばエポキシ樹脂硬化剤が用いられる。特に限定しないが、例えば、イミダゾール化合物、アミン化合物などが挙げられる。
【0060】
イミダゾール化合物としては、例えば、メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール(IBMI12)、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール(1B2MZ)、1,2-ジメチルイミダゾール(1,2DMZ)、1-ブチルイミダゾール(1BZ)、1-デシル-2-メチルイミダゾール(1D2MZ)、1-オクチルイミダゾール(1OZ)、2-エチル-4-メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、イソプロピルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール(2E4MZ)、1-フェニルイミダゾール(1PZ)、ウンデシルイミダゾール、ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイ
ミダゾールなどが挙げられ、硬化速度の観点から、1位置換イミダゾール化合物が好ましい。
【0061】
アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、それらのアミンアダクト、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンが挙げられる。
【0062】
プライマー9としては、エポキシ樹脂に対して触媒活性を有する硬化剤が好ましく、その具体例としてはイミダゾール化合物が挙げられる。
プライマー9は、単独で用いることができ、2種以上を併用することもできる。硬化剤が固形状であれば、必要により、溶媒で硬化剤を溶解して、ワニスを調製して用いてもよい。
【0063】
ただし、以上に挙げた材料は一例であり、プライマー9と粘接着剤層13の材料の組み合わせは、プライマー9と粘接着剤層13との化学反応により粘接着剤層13を硬化させることができれば特に限定されず、その化学反応の種類も特に限定されない。
【0064】
こうしてプライマー9の塗布を行った後、光ファイバ組込シート1をその粘着剤層12および粘接着剤層13により設置対象3に粘着させる。その後、プライマー9が粘接着剤層13に浸透することで、粘接着剤層13が硬化し、粘接着剤層13により設置対象3に接着させる。光ファイバ組込シート1はプライマー9の塗布位置で設置対象3に貼付けられ、この時光ファイバ14の位置をプライマー9の塗布位置に合わせる。
【0065】
光ファイバの設置方法の別の実施形態としては、粘接着剤層13に、粘接着剤層13との化学反応により粘接着剤層13を硬化させるプライマー9を塗布した後、設置対象3に粘接着剤層13を接触させて、光ファイバ組込シート1を貼付ける態様が挙げられる。
【0066】
本態様では、光ファイバ14を設置する際、まず、粘接着剤層13の表面に、化学反応により粘接着剤層13を硬化させるプライマー9を塗布する。プライマー9の塗布を行った後、光ファイバ組込シート1をその粘着剤層12および粘接着剤層13により設置対象3に粘着させる。プライマー9が粘接着剤層13に浸透することで、粘接着剤層13が硬化し、粘接着剤層13により設置対象3に接着させる。
【0067】
また本実施形態では、光ファイバ組込シート1の貼付を行う際、図5の(a)に示す貼付装置5を用いてもよい。
【0068】
貼付装置5は、本体51、取付材52、押えローラ53、リール54等を有する。本体51は棒状の部材であり、その先端部に押えローラ53が設けられる。リール54は光ファイバ組込シート1をロール状に巻き付けたものであり、取付材52を介して本体51の長手方向の中間部に取付けられる。
【0069】
作業者は、本体51の押えローラ53と反対側の端部である基端部を掴み、リール54から巻き出された光ファイバ組込シート1を押えローラ53によって設置対象3に押さえつつ、貼付装置5を図5の(a)の矢印aに示す光ファイバ組込シート1の貼付方向(光ファイバ組込シート1を貼付けて行く方向)に移動させる。
【0070】
この際、押えローラ53とリール54は、光ファイバ14の設置面と直交する面(図5の(a)に示す面)内でそれぞれ矢印b、cに示すように回転し、リール54から巻き出された光ファイバ組込シート1の粘着剤層12および粘接着剤層13が押えローラ53によって順次設置対象3に粘着または接着される。リール54の回転抵抗Tを適切な値に設定することで、光ファイバ組込シート1の光ファイバ14に上記回転抵抗Tに由来する一定の初期張力を与えつつ貼付作業を実施できる。
【0071】
光ファイバ組込シート1をプライマー9の塗布位置で設置対象3に貼付けることで、粘接着剤層13がプライマー9との化学反応により硬化し、図5の(b)に例示するように粘接着剤層13の硬化部分131が形成される。硬化部分131は少なくとも光ファイバ14の周囲の一部に形成されるが、硬化部分131の形成範囲はプライマー9の塗布幅、塗布量等により異なり、特に限定されることはない。
【0072】
こうして粘接着剤層13を硬化させることで、光ファイバ14が設置対象3に強固に固定され、光ファイバ14と設置対象3との一体性が向上する。
【0073】
なお、設置対象3に貼付した光ファイバ組込シート1が屋外など太陽光に対する露光環境下にある場合や、設置対象3の下面にコンクリートが打設されるなどして光ファイバ組込シート1がコンクリートとの接触環境下となる予定の場合は、図5の(c)に示すように被覆材7で光ファイバ組込シート1を被覆してもよい。前者の場合は被覆材7に耐紫外線性を有する材料を用い、後者の場合は被覆材7に耐アルカリ性を有する材料を用いることで、光ファイバ組込シート1の劣化を好適に防止できる。
【0074】
以上のようにして光ファイバ14が設置対象3に設置される。その後、粘接着剤層13に埋設された光ファイバ14の端部を取出して図示しない測定機器に接続し、設置対象3の変形を光ファイバ14の歪から検出する。この際の測定手法としてはBOTDR(Brillouin Optical Time Domain Reflectometer)、BOCDA(Brillouin Optical Correlation Domain Analysis)、FBG(Fiber Bragg Grating)等が既知であるが、いずれの手法も適用でき、各手法に応じた光ファイバ14と測定機器を用いればよい。
【0075】
以上に説明した本実施形態によれば、光ファイバ組込シート1をその粘着剤層12および粘接着剤層13により設置対象3に粘着させ、その後に粘接着剤層13により接着させることで、光ファイバ組込シート1の粘着力を高めることができ、十分な仮固定性が得られ、粘接着剤層13の硬化が完了するまでのシートの剥離を抑制できる。
また、光ファイバ組込シート1をその粘着剤層12および粘接着剤層13により設置対象3に粘着させ、その後に粘接着剤層13により接着させることで、光ファイバ14の設置作業に要する労力を軽減でき、少人数での合理的な設置作業が可能になる。
また光ファイバ組込シート1の基材11や粘着剤層12や粘接着剤層13が光ファイバ14の防護層として機能し、設置作業中および設置後において外部からの接触に対する光ファイバ14の損傷リスクを低減できる。
さらに、光ファイバ14はその少なくとも一部が上記の粘接着剤層13に埋設されており光ファイバ14と設置対象3の間にシート等が介在することがないので、設置対象3の変形が光ファイバ14による測定結果に反映されやすく好適にセンシングを行うことができ、層構成としても簡易で低コストである。
【0076】
また本実施形態では、光ファイバ14が埋設された粘接着剤層13をプライマー9との反応により硬化させることで、光ファイバ14と設置対象3との一体性が向上し、容易に外れたりすることが無く耐久性が向上する。
【0077】
さらに本実施形態では、光ファイバ組込シート1の貼付時に前記した貼付装置5を用いることで、光ファイバ組込シート1の貼付作業がさらに簡単になり一人での作業も可能で、貼付精度も向上する。また光ファイバ組込シート1の光ファイバ14に一定の初期張力を与えつつ貼付作業を実施できるので、光ファイバ14の全長に亘って一定の初期歪を導入し、測定結果のばらつきを防止することができる。
【0078】
ただし、貼付装置5を用いずに光ファイバ組込シート1の貼付を行うことも可能であり、また上記の貼付装置5に替えて図6に示す貼付装置5aを用いることもできる。
図6の貼付装置5aは、前記の貼付装置5にプライマー塗布装置57を追加することで、1回の作業でプライマー9の塗布と光ファイバ組込シート1の貼付を行えるようにし、光ファイバの設置作業を更に軽減するものである。なお、貼付装置5aは、上述した光ファイバの設置態様のうち、設置対象3に、粘接着剤層との化学反応により粘接着剤層を硬化させるプライマー9を塗布した後、プライマー9の塗布位置で設置対象3に光ファイバ組込シート1を貼付ける態様の場合に用いることができる。
【0079】
プライマー塗布装置57は貼付装置5aの本体51の中間部から延びる支持材55の先端に取付けられており、更に図6の例では貼付装置5aの走行を補助する補助ローラ58が取付材56を介して本体51の中間部に取付けられる。押えローラ53、プライマー塗布装置57、補助ローラ58は、光ファイバ組込シート1の貼付方向aにこの順で配置される。
【0080】
作業者は、本体51の基端部を掴み、押えローラ53、プライマー塗布装置57、補助ローラ58を設置対象3に押し当て、リール54から巻き出した光ファイバ組込シート1を押えローラ53で設置対象3側に押さえつつ、貼付装置5aを光ファイバ組込シート1の貼付方向aに移動させる。これにより、プライマー塗布装置57によるプライマー9の塗布が光ファイバ組込シート1の貼付に先行して行われ、これら一連の作業を一人で実施できる。支持材55にはスプリングなどを用いた伸縮機構を設けてもよく、これによりプライマー塗布装置57を設置対象3の表面の凹凸に追従させ、必要な量のプライマー9の塗布を常に行うことができる。
【0081】
また、本実施形態では設置対象3に塗布したプライマー9により光ファイバ組込シート1の粘接着剤層13を硬化させるが、プライマー9を塗布せずに光ファイバ組込シート1の粘接着剤層13を設置対象3に接着してもよい。この場合、プライマー9との化学反応により粘接着剤層13を硬化させる必要は無い。
【0082】
プライマー9を塗布せずに光ファイバ組込シート1の粘接着剤層13を設置対象3に接着させる場合と、プライマー9により粘接着剤層13を硬化させる場合とでは、後者の方が、設置対象3の変形により光ファイバ14に歪が生じた箇所をより鋭敏に検出できる。
【0083】
その理由を図7の(a)、(b)に示すように設置対象3にひび割れ3aが生じる場合を例にとって説明する。図7の(a)、(b)は光ファイバ14の長手方向に沿った断面を示したものである。
【0084】
すなわち、プライマーを塗布せずに光ファイバ組込シート1の粘接着剤層13を設置対象3に接着した図7の(a)のケースでは、設置対象3のひび割れ3aが、ひび割れ3aの位置を中心としたある程度の長さLの範囲の光ファイバ14の歪ε(伸び)に反映され、この範囲の単位長さ当たりの歪εは緩和され小さくなる。一方、プライマーにより粘接着剤層13を硬化させた図7の(b)のケースでは、光ファイバ14が設置対象3に強く固定されるため、設置対象3のひび割れ3aが、ひび割れ近傍の短い長さLの範囲の光ファイバ14の歪εにしか反映されず、当該範囲外の光ファイバ14は設置対象3に強固に固定されているため歪が生じない。そのため、上記長さLの範囲の光ファイバ14の単位長さ当たりの歪εは大きくなり、これを鋭敏に検出できるようになる。
【0085】
このように、光ファイバ14が埋設された粘接着剤層13をプライマー9との反応により硬化させることで、光ファイバ14と設置対象3との一体性が向上し、設置対象3の変形を鋭敏に検知することができる。ただし、些細で問題にならない程度の変形をノイズとして検出したり、測定値が測定可能範囲を超えたり、光ファイバ14が損傷したりする恐れもあり、プライマー9を塗布せずに粘接着剤層13を設置対象3に接着するほうが望ましい場合もある。またこのほうが設置対象3の表面の凹凸や設置対象3の変形にも追従しやすい。
【0086】
従って、どちらの方法を採用するかは測定目的や設置対象3等を考慮して定めればよく、粘接着剤層13の材料等も、プライマー9により硬化させる場合はその硬化部分131の剛性、そうでない場合は粘接着剤層13自体の剛性が測定目的や設置対象3等に応じた適切な値となるように選定すればよい。
【0087】
また、基材11も前記に限ることはなく、炭素繊維シート、アラミドシート等を用いた高強度の層としてもよい。また基材11の長手方向に目盛りを設け、光ファイバ組込シート1の貼付長を把握できるようにしてもよい。
【0088】
さらに、光ファイバ組込シートの構成も前記したものに限定されず、例えば図8の光ファイバ組込シート1aに示すように、前記した光ファイバ14に加え、温度測定を目的としたセンサ用途の光ファイバ15を粘接着剤層またはその硬化部分131に更に埋設してもよい。光ファイバ15はその長手方向に沿った温度分布を測定するためのものであり、光ファイバ組込シート1aの長手方向に沿って光ファイバ14と平行に配置される。
【0089】
図8の例では、粘接着剤層またはその硬化部分131に筒体16を埋設し、温度測定用の光ファイバ15を筒体16内に挿通することで、光ファイバ15と粘接着剤層またはその硬化部分131との縁が切られる。光ファイバ15の外径は筒体16の内径より小さく、光ファイバ15を若干の弛みをもって配置するなどして歪を防止する。この場合、光ファイバ15で測定した光ファイバ15の長手方向の温度分布を用い、光ファイバ14による測定結果の温度補正を実施でき、より正確な設置対象3の変形検出が可能となる。
【0090】
また、温度測定を目的とした上記の光ファイバ15のみを粘接着剤層またはその硬化部分131に埋設してもよく、この場合も、光ファイバ15と設置対象3の間にシート等が介在しないことにより、設置対象3近傍の温度が光ファイバ15による測定結果に反映されやすいという利点がある。
【0091】
また、光ファイバ14の測定機器への接続作業を簡単に行うため、図9の(a)の光ファイバ組込シート1cに示すように、光ファイバ14の近傍に、光ファイバ14の長手方向に沿ったシート引裂き用の線材17を埋設してもよい。
【0092】
線材17には例えば鋼やステンレスを用いることができ、光ファイバ組込シート1cの貼付後、例えば粘接着剤層がプライマー9により完全に硬化する前に、光ファイバ組込シート1cの長手方向の端部から突出した線材17の端部、あるいは基材11等に切り込みを入れて光ファイバ組込シート1cから取り出した線材17の端部を、図9の(a)の矢印dに示すように光ファイバ組込シート1cの外部すなわち基材11側に引っ張る。これにより図9の(b)に示すように光ファイバ組込シート1cが引き裂かれることで引裂部111が形成され、内部の光ファイバ14の取出しが容易になり、測定機器への接続作業が簡単になる。
【0093】
また、上述したとおり、光ファイバ14の本数も1本に限らず、図10の(a)の光ファイバ組込シート1dに示すように複数本(図の例では2本)の光ファイバ14を光ファイバ組込シート1dの長手方向に沿って平行に設けることも可能である。この場合、1本の光ファイバ14が断線しても他の光ファイバ14で測定を継続できるため、断線により測定不可となるリスクが低減される。また、BOCDAによる測定を行う場合などでは、2本の光ファイバ14の同じ側の端部同士を光コネクタ(不図示)等で連結し、測定に必要な光ファイバ14の往復路を容易に構成することもできる。
【0094】
また、光ファイバ14は一方向にのみ設けるものに限らず、図10の(b)の光ファイバ組込シート1eに示すように複数本の光ファイバ14を異なる方向に組み込んでもよい。図10の(b)の例では光ファイバ14が平面において直交する2方向に配置されており、各方向の測定を同時に行うことができる。建設現場で光ファイバを多方向に正確に配置するのは困難であるが、あらかじめ光ファイバ14を多方向に組み込んだ光ファイバ組込シート1eを用いれば、所望の方向に正確に光ファイバ14を設置することができる。
【0095】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【実施例0096】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用いてより詳細に説明する。
【0097】
(粘着力の測定)
光ファイバ組み込みシートの粘接着剤層および粘着剤層の粘着面を、厚さ2.0mmのSS400板に配置した。貼り合わせた後に、2kgのローラーを1往復して圧着した。貼り合せてから、3分後に、引張圧縮試験機(装置名「TG-1kN」、ミネベア社製)にて、剥離角度180°、剥離速度300mm/分で剥離接着力(N)を測定し、以下の式により粘着力を求めた。
粘着力(N/10mm)=剥離接着力(N)/粘着剤層の幅X(cm)
求めた粘着力は以下のように評価した。
◎:粘着力が1.00N/10mm以上
〇:粘着力が0.75N/10mm以上1.00N/10mm未満
×:粘着力が0.75N/10mm未満
結果を表1および図11に示す。
【0098】
(テープ繰出力の測定)
PVDF面とアクリル樹脂面を有する樹脂フィルム(クレハエクストロン社製、KFCフィルム,FT-50Y)のうちPVDF面側に、光ファイバ組み込みシートの粘接着剤層および粘着剤層の粘着面を配置した。貼り合わせた後に、2kgのローラーを1往復して圧着した。圧着して24時間後に、引張圧縮試験機(装置名「TG-1kN」、ミネベア社製)にて、剥離角度180°、剥離速度300mm/分で剥離接着力(N)を測定した。
テープ繰出力(N/10mm)=剥離接着力(N)/粘着剤層の幅X(cm)
求めたテープ繰出力は以下のように評価した。
◎:テープ繰出力が4.00N/10mm以下
〇:テープ繰出力が5.00N/10mm以下4.00N/10mm超
×:テープ繰出力が5.00N/10mm超
結果を表2および図12に示す。
【0099】
実施例1
(粘接着剤層)
液状の多官能フェノールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「jER152」、三菱ケミカル株式会社製)20質量%、固形状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「jER1256」、三菱ケミカル株式会社製)30質量%、アクリルゴム粒子分散ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「アクリセット BPA 328」、日本触媒社製、アクリルゴム粒子:20質量%、平均粒子径=200~300nm)50質量%となるように混合して粘接着剤組成物を調製し、エポキシ樹脂濃度が60%になるようにメチルエチルケトンを加えて希釈し、粘接着剤組成物を調製した。
これを乾燥後の厚みが50μmとなるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)(商品名「ダイアホイルMRF#38」、三菱ケミカル社製)の剥離処理面に塗工し、80℃で3分、加熱して乾燥させ、粘接着剤層を得た。その後、粘接着剤層を、別のポリエチレンテレフタレートフィルムに、粘接着剤層が2枚のポリエチレンテレフタレートフィルムに挟まれるように、接触させ、粘接着剤シートを得た。
【0100】
(粘着剤層)
粘着剤として、両面粘着テープ(商品名「ハイパージョイントH9008」、日東電工社製、厚み0.8mm)を使用した。
【0101】
(基材)
基材として、樹脂フィルム(クレハエクストロン社製、KFCフィルム,FT-50Y、厚み:50μm)を使用した。なお、上記樹脂フィルムには、PVDF面と、アクリル樹脂面がある。
【0102】
(光ファイバ)
光ファイバとして、アクリル樹脂被覆(外径Φ500μm)のものを使用した。
【0103】
(プライマー)
プライマーとして、1,2-ジメチルイミダゾールの80質量%エタノール溶解液(四国化成社製)を使用した。
【0104】
(光ファイバ組み込みシートの作製)
まず、基材におけるアクリル樹脂面上に、下記表1中の幅となるように両面粘着テープを貼り付け、粘着剤層を形成した。つづいて、光ファイバを粘着剤層の幅方向の中央に位置するように積層した。そして、下記表1中の幅となるように上記で調製した粘接着剤シートの幅を調整し、PETフィルムを剥がし、光ファイバを取り囲むようにして、粘着剤層上に貼り付け、すべての層を積層させたのち、2kgのローラーを1往復して圧着し、実施例1の光ファイバ組み込みシートを得た。なお、基材は粘着剤層と同様の幅とした。
【0105】
実施例2~7、比較例1
粘着剤層の幅X、および粘接着剤層の幅Yを表1に示すように変更した点を除いては、実施例1と同様にして、実施例2~7および比較例1の光ファイバ組み込みシートを得た。
【0106】
【表1】
【0107】
表1の結果から、実施例の光ファイバ組み込みシートは、粘着剤層が粘接着剤層よりも幅が広く、粘着力が高いため、設置対象への貼り付けが完了するまでの仮固定性が十分であることがわかった。また、実施例の光ファイバ組み込みシートはテープの繰出力が低いため、作業性が高く、光ファイバへの過剰な応力を抑制できることがわかった。
一方、比較例の光ファイバ組み込みシートは、粘着剤層と粘接着剤層の幅が同じであるため、粘着力が低く、設置対象への貼り付けが完了するまでの仮固定性が十分ではないことがわかった。
【符号の説明】
【0108】
1、1a、1c、1d、1e:光ファイバ組込シート
3:設置対象
5、5a:貼付装置
7:被覆材
9:プライマー
11、21、31:基材
12、22、32:粘着剤層
13、23、33、33a、33b:粘接着剤層
14、24、34、34a、34b:光ファイバ
16:筒体
17:線材
51:本体
52、56:取付材
53:押えローラ
54:リール
55:支持材
57:プライマー塗布装置
58:補助ローラ
111:引裂部
131:硬化部分
図1
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図3
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