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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162092
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】最適化方法とそのサーバ
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20231031BHJP
   G06N 99/00 20190101ALI20231031BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20231031BHJP
   H04W 16/00 20090101ALI20231031BHJP
【FI】
H04W56/00 110
G06N99/00 180
H04W24/08
H04W16/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146722
(22)【出願日】2022-09-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】111115835
(32)【優先日】2022-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】504429600
【氏名又は名称】緯創資通股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WISTRON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】陳 志明
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD25
5K067DD57
5K067EE10
5K067FF05
5K067HH21
(57)【要約】
【課題】 分散ユニットの無線ユニットパラメータを最適化すること。
【解決手段】 最適化方法は、分散ユニットから受信した観測データに従って制約付き因果関係グラフを生成するステップと、制約付き因果関係グラフを用いて有限領域表現計画を実行して、最適化の後に複数の無線ユニットパラメータについての作用データを生成するステップと、作用データを分散ユニットへ出力するステップと、を含む。制約付き因果関係グラフの複数の因果関係変数の数と制約付き因果関係グラフの因果関係構造は、一度に決定される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散ユニットから受信した観測データに従って制約付き因果関係グラフを生成するステップであって、前記制約付き因果関係グラフの複数の因果関係変数の数と前記制約付き因果関係グラフの因果関係構造とが一緒に決定される、ステップと、
前記制約付き因果関係グラフを用いて有限領域表現計画を実行して、最適化された複数の無線ユニットパラメータに関連する作用データを生成するステップと、
前記作用データを前記分散ユニットに出力するステップと、を含む最適化方法。
【請求項2】
前記分散ユニットから受信した前記観測データに従って前記制約付き因果関係グラフを生成する前記ステップは、
前記観測データを基礎データに変換するステップと、
前記制約付き因果関係グラフを前記基礎データから最大事後および点推定に基づいて生成するステップと、を含む、請求項1に記載の最適化方法。
【請求項3】
前記観測データは、前記分散ユニットのログファイルである、請求項1に記載の最適化方法。
【請求項4】
前記制約付き因果関係グラフを用いて前記有限領域表現計画を実行する前記ステップは、
初期状態と前記制約付き因果関係グラフを用いて前記有限領域表現計画を実行するステップであって、前記初期状態は、構造的因果関係モデルまたはベイズネットワークに従って別の因果関係グラフから生成される、ステップを含む、請求項1に記載の最適化方法。
【請求項5】
分散ユニットから受信した観測データに従って制約付き因果関係グラフを生成することであって、前記制約付き因果関係グラフの複数の因果関係変数の数と前記制約付き因果関係グラフの因果関係構造とが一緒に決定される、生成することと、
前記制約付き因果関係グラフを用いて有限領域表現計画を実行して、最適化された複数の無線ユニットパラメータに関連する作用データを生成することと、
前記作用データを前記分散ユニットに出力することと、の命令を記憶するように構成された記憶回路と、
記憶デバイスに結合し、前記記憶回路に記憶された前記命令を実行するように構成された処理回路と、を備えるサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最適化方法及びそのサーバに関し、より詳細には、無線ユニットパラメータの設定の効率及び精度を改善する最適化方法及びそのサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
異なるベンダーは、異なる方法で無線ユニットおよび分散ユニットを実装する可能性があり、異なるベンダーからの無線ユニットおよび分散ユニット間の統合またはマルチベンダー相互運用性を困難または不可能にする。第5世代移動体ネットワーク(5G)ユーザシナリオでは、あるベンダの無線ユニットが別のベンダの分散ユニットに接続されるとき、ワーキンググループ4(WG4)相互運用性テスト(IOT)にリストされた無線ユニットパラメータが手動で分散ユニットに設定され、非常に時間がかかりエラーが発生しやすい。
【0003】
例えば、無線ユニットと分散ユニットが同一のベンダからの場合、無線ユニットと分散ユニットは、信号を送信するタイミングおよび信号を受信するタイミングに関してマッチングされる。しかし、無線ユニットと分散ユニットが異なるベンダからの場合、制御プレーン(Cプレーン)とユーザプレーン(Uプレーン)のタイミングの調整をサポートするために、オープン無線アクセスネットワーク(O-RAN)インタフェースは、制御プレーンメッセージが、ユーザプレーンメッセージが到着する可能性のある最新の時刻にいくらかの時間(例えば、表1にリストされたTcp_adv_dlによる)だけ先立って、無線ユニットに到着しなければならないことを規定する。無線ユニットと分散ユニットとの間のインタフェースは非常に遅延に敏感であるので、無線ユニットと分散ユニットとの間の厳密な同期を達成するために、無線ユニットパラメータを正しく設定しなければならない。
【0004】
従って、無線ユニットパラメータの設定の効率と精度に関しては、まだ改善の余地がある。
【発明の概要】
【0005】
従って、本発明の主要な目的は、無線ユニットパラメータを設定する効率及び精度を改善するための最適化方法及びそのサーバを提供することである。
【0006】
本発明の一実施形態は、分散ユニットから受信した観測データに従って制約付き因果関係グラフを生成して、制約付き因果関係グラフの複数の因果関係変数の数と制約付き因果関係グラフの因果関係構造とを一緒に決定することと、制約付き因果関係グラフを用いて有限領域表現計画を実行して、最適化された複数の無線ユニットパラメータに関連する作用データを生成することと、作用データを分散ユニットに出力することと、を含む最適化方法を開示する。
【0007】
本発明の一実施形態は、命令を記憶するように構成された記憶回路と、記憶デバイスに結合し、記憶回路に記憶された命令を実行するように構成された処理回路とを備えるサーバを開示する。この命令は、分散ユニットから受信した観測データに従って制約付き因果関係グラフを生成することであって、制約付き因果関係グラフの複数の因果関係変数の数と制約付き因果関係グラフの因果関係構造とが一緒に決定される、生成することと、制約付き因果関係グラフを用いて有限領域表現計画を実行して、最適化された複数の無線ユニットパラメータに関連する作用データを生成することと、作用データを分散ユニットに出力することと、を含む。
【0008】
本発明のこれらおよび他の目的は、種々の図面に示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による通信システムの概略図である。
図2】本発明の一実施形態による最適化方法のフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態による基礎データ及び因果関係グラフの一部の概略図である。
図4】本発明の一実施形態による状態及び因果関係グラフの一部の概略図である。
図5】本発明の一実施形態による計画ツリーの概略図である。
図6】本発明の一実施形態による、深層学習モデルを用いた(一般的な)因果関係グラフの取得/導出方法の概略図である。
図7】本発明の一実施形態による通信システムの一部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態による通信システム10の概略図である。通信システム10は、サーバ10SVR、分散ユニット(DU)10DU、および無線ユニット(RU)10RUを含んでもよい。
【0011】
一実施形態では、分散ユニット10DUおよび無線ユニット10RUは、異なるベンダーから来てもよい。あるベンダの無線ユニット10RUが別のベンダの分散ユニット10DUに接続される場合、サーバ10SVRは、アルゴリズム(例えば、図2に示す最適化方法20)を用いて最も可能な/最適化された無線ユニットパラメータを選択して(例えば、各無線ユニットパラメータに対して最もありそうな/最適化された値を決定して)、分散ユニット10DUに無線ユニットパラメータ(すなわち、無線ユニット10RUに対するパラメータ)を手動で適用することの非効率性および高いエラー率を回避することができる。従って、選択された無線ユニットパラメータは、分散ユニット10DU内で最適に設定されてもよい。
【0012】
図2を参照されたい。図2は、本発明の一実施形態による最適化方法20のフローチャートである。最適化方法20は、コードにコンパイルされ、それは処理回路によって実行され、記憶回路に記憶されてもよい。処理回路によって実行され、記憶回路に記憶され得る得る。最適化方法20のステップは以下の通りである:
【0013】
ステップS200:開始する。
【0014】
ステップS202:分散ユニット10DUから受信した観測データ10bに従って制約付き因果関係グラフを生成し、ここで、制約付き因果関係グラフの複数の因果関係変数の数と制約付き因果関係グラフの因果関係構造とを併せて決定する。
【0015】
ステップS204: 制約付き因果関係グラフを用いて有限領域表現計画を実行して、最適化された複数の無線ユニットパラメータについての作用データ10cを生成する。
【0016】
ステップS206:作用データ10cを分散ユニット10DUに出力する。
【0017】
ステップS208:終了する。
【0018】
図1において、サーバ10SVRは、因果関係推論モジュール110Rおよび因果関係計画モジュール120Pを含んでもよい。図2のステップS202~S206は、因果関係計画モジュール120Pによって実行されてもよい。
【0019】
ステップS202において、因果関係計画モジュール120Pは、分散ユニット10DUから観測データ10bを受信してもよい。観測データ10bは、システムまたはネットワークの性能の説明に関連してもよい。一実施形態では、観測データ10bは、分散ユニット10DUのログファイルであってもよい。一実施形態では、因果関係計画モジュール120Pは、観測データ10bを基礎データに変換してもよい。
【0020】
ステップS202において、因果関係計画モジュール120Pは、基礎データから制約付き因果関係グラフを導出/取得してもよい。因果関係計画モジュール120Pは、最大事後(MAP)および点推定に基づく最適化のための因果関係モデルを選択してもよい。従って、制約付き因果関係グラフの因果関係変数(または、因果関係変数の数)と制約付き因果関係グラフの因果関係構造は、一緒に(一度に、または一遍に)決定/発見/作成される。因果関係変数と因果関係構造を同時に決定することは、まず因果関係変数を決定し、次に因果関係構造を決定することによって生じる問題を回避することができる。
【0021】
例えば、図3は、本発明の一実施形態による基礎データ30gおよび因果関係グラフCGの一部の概略図である。図3において、(a)及び(b)は、それぞれ、基礎データ30g及び因果関係グラフCGの2つの可能性を示す。因果関係グラフCGは、最適化方法20のための制約付き因果関係グラフとして機能し得る。図3において、因果関係グラフCGの因果関係構造は、因果関係変数cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcvの間の関係を示し得る。観測関数f(i-1)、f、f(j-1)、およびfを用いて、基礎データ30gのデータw(i-1)、w、w(j-1)、およびwを、因果関係変数cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcvにマッピングして、因果関係変数cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcvと、基礎データ30gのデータw(i-1)、w、w(j-1)、およびwとの間の関係を提供してもよい。因果関係変数cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcvは、分散ユニット10DUと無線ユニット10RUとの間のユーザシナリオに従って定義/選択される。一実施形態では、因果関係変数cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcvは、手動的/人工的に定義され得る(例えば、専門家によって提供され得る)。ここで、iとjは正の整数である。
【0022】
ステップS202において、因果関係計画モジュール120Pは、基礎データ30gのデータwを観測関数fと因果関係グラフCGの因果関係構造に割り当てることの事後確率P(f,C|w)を最大化して、基礎データ30gのデータwに基づいて、対応する因果関係構造と対応する因果関係変数cvを決定/導出してもよい。従って、因果関係モデルの推論は、(例えば、因果関係構造についての)ベイズネットワークを観測関数f(i-1)、f、f(j-1)、およびfと組み合わせることによって説明することができる。なお、因果関係変数cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcvと、因果関係グラフCGの因果関係構造が共に取得/決定される(すなわち、因果関係変数cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcvは、因果関係構造に沿って/併せて学習される)ため、因果関係変数cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcvと、因果関係構造とは互いに相互作用/影響/制約される可能性がある。
【0023】
一実施形態では、事後確率P(f,C|w,Int)は、ベイズの規則に従いP(f,C|w,Int)∝P(f,C)P(w|f,C,Int)を満たすことができる。ここで、fは対応する観測関数を表し、Cは対応する因果関係構造を表し、wは基礎データ30gの一部を表し、Intは干渉を表す。一実施形態では、事後確率P(f,C|w)は、P(f,C)P(w|f,C)または
【数1】
に比例してもよく、ここで、st-1は、時刻t-1における状態を示し、Tは、現在時刻を示し、γは0.5でもよいが、これに限定されない。一実施形態では、P(w|f,C)は、
【数2】
であってもよい。一実施形態では、
【数3】
は、
【数4】
または
【数5】
であってもよく、ここで、si,tは、時刻tおける因果関係変数cvの状態を示してもよく、Nは、全ての因果関係変数(例えば、cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcvを含む)の総数を示してもよく、Nは正の整数であり、
【数6】
は、基礎データ30g内の因果関係変数cvの状態sと互換性のあるデータwのデータ量を示してもよい。一実施形態では、本発明は、データ量
【数7】
を最小化する因果関係変数cvを選択/見つけることができ、その結果、頻繁に使用される基礎データ30g内のデータ(例えば、データw)は、まれに使用されるものよりも細かい部分に切断することができる。
【0024】
上記のように、ベイズ確率機構は、因果関係変数(例えば、因果関係変数cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcvを含む)の数、因果関係変数の状態、因果関係変数の因果関係構造、および因果関係変数に対する観測関数(例えば、観測関数f(i-1)、f、f(j-1)、およびfを含む)を組み合わせ、関連する結合推論を引き出して、基礎データ30gを説明/解釈し、それによって、因果関係グラフCGを作成することができる。因果関係グラフCGの(例えば、cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcvを含む)因果関係変数(または因果関係変数の数)と因果関係構造(例えば、因果関係構造C)は、同時に決定されるので、因果関係計画モジュール120Pは、図3の(a)を(b)から区別することができ、その逆も可能である。
【0025】
図3に示すように、各因果関係変数(例えば、因果関係変数cv)は、観測関数(例えば、観測関数f)に対応し得る。一実施形態では、観測関数(例えば、観測関数f)は、因果関係意味生成(CSG)モデルを使用して計算/導出されて、高次元の環境変数(例えば、基礎データ30g)から低次元の状態属性(例えば、因果関係変数cvの状態の属性)を予測してもよい。さらに、因果関係意味生成モデルは、変動要因が因果関係変数(例えば、因果関係変数cv)の原因であるとみなすことを回避し、因果関係変数の原因である意味要因を正しく決定することができる。一実施形態では、因果関係意味生成モデルは、主として因果関係不変性原理に基づいており、変分ベイズを含む。
【0026】
一実施形態では、観測関数fはsi,t=f(w,t)を満たし得る。一実施形態では、観測関数fは、多変量ガウス分布を用いて実施することができ、例えば、観測関数fは、
【数8】
を満たすことができる。あるいは、観測関数fは、
【数9】
と関係してもよく、ここで、zは、基礎データ30g内の(因果関係変数cvに寄与しない)データを示し、
【数10】
およびμνは、ゼロベクトルとして固定された手段を示し、Σは、コレスキー分解によってパラメータ化されて、例えばΣ=LLを満たしてもよい。行列Lは、正の対角成分を有する下三角行列であってもよく、例えば、パラメータ化されて、
【数11】
満たしてもよい。行列
【数12】
およびLzzの各々は、より小さい下三角行列であってもよい。行列
【数13】
は任意の行列であってもよい。行列
【数14】
およびLzzの各々は、(指数写像によって保証される)正の対角成分と(正の対角成分を含まない)下三角行列の和によってパラメータ化されてもよい。
【0027】
別の実施形態では、観測関数(例えば、観測関数f)は、深層学習モデルを使用して計算/導出されて、高次元の環境変数(例えば、基礎データ30g)から低次元の状態属性(例えば、因果関係変数cvの状態の属性)を予測してもよい。しかしながら、意味要因に加えて、深層学習モデルは、変動要因を因果関係変数(例えば、因果関係変数cv)の原因として誤って判断することがある。
【0028】
図1に示すように、因果関係計画モジュール120Pは、有限領域表現(FDR)計画モジュール122FDRを含んでもよい。
【0029】
ステップS204において、有限領域表現計画モジュール122FDRは、制約付き因果関係グラフ(例えば、因果関係グラフCG)を利用して、有限領域表現計画を動的に実行してもよい。有限領域表現計画において、事前状態は、どの状況(例えば、状態)で作用が行われ得るかを定義する。作用は、状態を変化させ、新しい状態を生成し(すなわち、ある結果を作り出し)、それによって最終的にある目標状態(例えば、目標状態sg)を達成することができる。有限領域表現計画の解は、探索空間における初期状態(例えば、初期状態e0)から目標状態(例えば、目標状態sg)への計画である。一実施形態では、有限領域表現計画の解は有向グラフであってもよい。
【0030】
一実施形態では、有限領域表現計画タスクは、II=(V、A、c、I、G)であってもよく、ここで、Vは状態変数の有限集合を示すことができ、Aは作用の有限集合を示すことができ、cは損失関数を示すことができ、Iは初期状態を示すことができ、Gは目標状態を示すことができる。例えば、図4は、本発明の一実施形態による、状態uおよびvならびに因果関係グラフCG(II)の一部の概略図である。図4において、(a)および(b)は、それぞれ、因果関係グラフCG(II)の2つの可能性を示している。状態uが状態vと等しくなく、かつ、a∈Aを満たす作用aが存在して、「事前状態pre_a(u)と結果eff_a(v)の両方が定義されるようなa∈Aが存在する」または「結果eff_a(u)と結果eff_a(v)の両方が定義されるようなa∈Aが存在する」場合には、有限領域表現計画タスクIIの因果関係グラフCG(II)は、頂点Vおよび弧/経路(例えば、経路(u,v))を有する有向グラフであリ得る。状態uとvの間に経路(u,v)が存在し得る。事前状態pre_a(u)は、作用aが与えられた場合の(事前状態としての)頂点uの状態(事前状態)を示し得る。結果eff_a(v)は、作用aが与えられた場合の(結果としての)頂点vの(結果)状態を示し得る。言い換えると、本発明において、有限領域表現計画タスクIIの因果関係グラフは、制約付き因果関係グラフである。制約付き因果関係グラフは、ユーザのシナリオに従って最適化されて、検索空間における他の可能性を排除することができ、それによって性能を改善し、計算を削減し、電力消費を低減することができる。
【0031】
一実施形態では、ステップS204において、アルゴリズムを使用して制約付き因果関係グラフが構築/作成された後、制約因果関係関係グラフは、有限領域表現計画モジュール122FDRの有限領域表現計画を実行するために、計画領域記述ライブラリ(PDDL)(すなわち、システムの記述)の領域ファイルに変換/転換され得る。換言すれば、本発明の領域ファイルは、手動的/人工的に定義され得ない(例えば、専門家によって提供され得ない)。
【0032】
一実施形態では、領域ファイルは、作用を記述するように構成することができ、問題ファイルは、初期状態および目標状態を記述するように構成することができる。一実施形態において、領域ファイルの内容は、以下を含み得る。
【0033】
precond_1->action_1->effect_1
【0034】
precond_2->action_2->effect_2
【0035】
...
【0036】
precond_n->action_n->effect_n
【0037】
precond_1からprecond_nまでの状態を事前状態として使用してもよい。Action_1からaction_nまでは作用であり得る。effect_1からeffect_nまでの状態を結果として使用してもよい。ここでnは正の整数である。状態effect_iは、action_iが状態precond_iに作用した後に発生してもよい。一実施形態では、precond_i->action_i->effect_iは、因果関係グラフ(例えば、因果関係グラフCGまたはCG(II))の一部に対応し得る。例えば、図4の(a)に示す因果関係グラフCG(II)では、原因となる状態uは事前状態precond_iに対応し、結果となる状態vは結果effect_iに対応し得る。言い換えれば、因果関係グラフは、状態と作用の構造を提示し得る。
【0038】
一実施形態では、結果effect_1は状態precond_3の原因であり得、結果effect_3は状態precond_7の原因であり得る。従って、有限領域表現計画の解は、少なくとも、作用action_1、action_3、action_7の(作用)シーケンスを含んでもよいが、例えば、作用action_2を含み得ない。
【0039】
例えば、図5は、本発明の一実施形態による計画ツリー50の概略図である。有限領域表現計画モジュール122FDRのプランナが領域ファイルを読み込むと、プランナは、領域ファイルに対応する計画ツリー50(または制約付き因果関係グラフ)を生成することができる。計画ツリー50は、有向グラフとして表すことができる。計画ツリー50の経路(すなわち、図5の矢印)は、作用であり、計画ツリー50の頂点は、状態である。各状態は、状態変数の集合によって表されてもよく、各作用は、状態変数の集合をマッピングする関数によって表されてもよい。経路は、状態の依存性を示し得る。作用act1に対しては、初期状態e0を事前状態として使用し、状態e1を結果として使用してもよい。作用act11に関しては、作用act1の結果(すなわち、状態e1)を事前状態として使用し、状態e11を結果として使用してもよい。計画ツリー50は、探索スペースとして機能し得る。有限領域表現計画モジュール122FDRの解は、初期状態e0から始まり目標状態sgで終わる計画ツリー50内の作用の(順序付けられた)シーケンスであってもよい。例えば、アクションact1のブランチは、現在(環境)の状態に従って、有限領域表現計画モジュール122FDRの解ではないと決定される一方で、作用act2およびact3のブランチは、有限領域表現計画モジュール122FDRの解であると決定される。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
一実施形態では、特定の作用は、過去の状態(例えば、状態e11)が現在の状態(例えば、状態e1)から達成可能であり得るように、可逆的であり得る。一実施形態では、2つの隣接状態(例えば、状態e1、e11)の間にループが形成されてもよい。一実施形態では、特定の状態(例えば、状態e11)は、非確定的状態であってもよい。
【0041】
一実施形態では、プランナは、有限領域表現計画モジュール122FDRの解を見つけるために、探索アルゴリズム(ベスト・ファースト探索、反復深化探索、ヒル・クライミング探索、または貪欲ベスト・ファースト探索など)を使用して探索を実行することができる。
【0042】
ステップS204において、因果関係推論モジュール110Rは、初期状態e0を因果関係計画モジュール120Pに提供することができる。因果関係計画モジュール120Pは、初期状態e0を出発点として使用し、有限領域表現計画を実行するために制約付き因果関係グラフに依存してもよい。
【0043】
図1に示すように、因果関係推論モジュール110Rは、構造的因果関係モデル(SCM)モジュール112SCMまたはベイズネットワークモジュール112Bを含んでもよい。ステップS204において、因果関係推論モジュール110Rは、構造的因果関係モデルモジュール112SCMまたはベイズネットワークモジュール112Bに(一般的)因果関係グラフを入力して、初期状態e0を出力することができる。因果関係推論モジュール110Rは、構造的因果関係モデルまたはベイズネットワークに従って(一般的な)因果関係グラフを検証または処理し、次いで、現在の状態を予測/推測し、現在の状態を因果関係計画モジュール120Pの初期状態e0として使用してもよい。換言すれば、初期状態e0をどのように決定するかに関して、本発明は、因果関係グラフを制約することなく、因果関係推論を用いることができる。本発明は、一般的因果関係グラフを用いて働く構造的因果関係モデルまたはベイズネットワークを使用し、次いで、現在の状態を予測(すなわち推論)し、次いで、それを因果関係計画の初期状態に供給することができる。一般的因果関係グラフは、制約のない因果関係グラフであってもよいが、別の実施形態では、一般的因果関係グラフは、制約付き因果関係グラフであってもよい。
【0044】
一実施形態では、因果関係推論モジュール110Rは、構造的因果関係モデルモジュール112SCMおよびベイズネットワークモジュール112Bのうちの1つのみを含む/使用する/構成することができる。構造的因果関係モデルモジュール112SCMおよびベイズネットワークモジュール112Bの他方は、因果関係推論モジュール110Rから除去/不存在とすることができる。
【0045】
一実施形態では、因果関係グラフCGと同様に、因果関係推論モジュール110Rは、最大事後および点推定に基づいて、分散ユニット10DUの観測データ10b(または観測データ10bから変換されたデータ)から(一般的)因果関係グラフを取得/導出することができる。
【0046】
一実施形態では、因果関係推論モジュール110Rは、深層学習モデルに基づいて、分散ユニット10DUの観測データ10b(または観測データ10bから変換されたデータ)から(一般的)因果関係グラフを取得/導出することができる。例えば、図6は、本発明の一実施形態による深層学習モデルを用いた(一般的)因果関係グラフを取得/導出する方法の概略図である。(一般的)因果関係グラフには、CVからCVまでの因果関係変数を含めることができ、ここで、nは正の整数である。図6において、状態vからvまでの属性は、特徴ベクトルを形成するための因果関係変数CV1を構成し得る。ここで、mは正の整数である。因果関係変数CV1は、深層学習モデルの入力層に対応し得る。因果関係変数CV~CVn-1は、それぞれ、活性化関数によって処理された深層学習モデルの隠れ層HD2~HDn-1の出力であり、活性化関数の各々は、その対応する入力の加重和が、隠れ層内のその対応するノードからその対応する出力にどのように変換されるかを定義し、その対応するノードの内部処理内または内部処理後に使用される。因果関係変数CVnは予測状態であり得、因果関係変数CVnは深層学習モデルの出力層に対応し得る。図6に示されるように、図6の上部に示される深層学習モデルは、図6の下部に示される因果関係グラフに対応し得る。
【0047】
上述のように、サーバ10SVRのソフトウェアのアルゴリズムは、因果関係推論および因果関係計画に分割されてもよい。因果関係推論では、高次元環境変数から初期状態を推論または推定することができる。因果関係計画では、初期状態に応じて計画が行われ、現在の状態が考慮されてもよい。因果関係計画では、最も実現可能/最適化された無線ユニットパラメータが計画されるか、見出される。
【0048】
ステップS206において、因果関係推論モジュール110Rは、最も実現可能/最適化された無線ユニットパラメータが分散ユニット10DUに設定されるように、作用データ10cを分散ユニット10DUに出力することができる。無線ユニットパラメータが分散ユニット10DUに適用される場合、異なるベンダの分散ユニット10DUおよび無線ユニット10RUが、統合されてもよく、または協調して協働してもよい。
【0049】
一実施形態では、作用データ10cは、有限領域表現計画の解を含んでもよく、またはそれに関連してもよく、例えば、作用データ10cは、有限領域表現計画の解におけるすべての作用を含んでもよい。一実施形態では、作用データ10cは、最も実現可能/最適化された無線ユニットパラメータを含んでもよく、またはそれに関連してもよい。
【0050】
一実施形態では、ステップS206において最も実現可能/最適化された無線ユニットパラメータが分散ユニット10DU内に設定された後、アルゴリズムの判断に基づいて最適であるのではなく、分散ユニット10DU内に設定された無線ユニットパラメータがテスト後に最適であるように、設定された無線ユニットパラメータが手動で微調整されてもよい。無線ユニットパラメータが分散ユニット10DUに対して設定されると、分散ユニット10DUと、分散ユニット10DUとは異なるベンダからの無線ユニット10RUとが統合され、協調することができる。
【0051】
図7は、本発明の一実施形態による通信システム70の一部の概略図である。通信システム70は、サーバ70SVRおよび分散ユニット70DUを含むことができる。
【0052】
分散ユニット70DUは、アプリケーションモジュール782pおよびシステムモジュール782sを含んでもよい。アプリケーションモジュール782pは、イベントの信号をシステムモジュール782sに出力し、システムモジュール782からコマンドを受信することができる。システムモジュール782sは、観測データ10bをサーバ70SVRに出力し、サーバ70SVRから作用データ10cを受信することができる。
【0053】
サーバ70SVRは、コントローラ722c、スケジューラ722s、プランナ722p、およびポリシーメーカモジュール722pmを含むことができる。コントローラ722cは、受け取った観測データ10bを拡張可能マークアップ言語(XML)フォーマットに変換し、それに応じて拡張可能マークアップ言語フォーマットの実行状態をスケジューラ722sに出力することができる。スケジューラ722sは、可変長の拡張可能なマークアップ言語フォーマットを固定長のフォーマットに変換することができ、それに応じて、反応性信号(例えば、基礎データ30g)をプランナ722pに出力することができる。
【0054】
プランナ722pは、初期状態e0、目標信号、スケジューラ722sからの反応性信号、およびポリシーメーカモジュール722pmからのシステムの記述に従って、それ/それらが何であるかについてのスケジュールされていない計画をスケジューラ722sへ出力することができる。スケジューラ722は、それに応じて、いつ/どのようにそれ/それらができるかについてのスケジュールされた計画をコントローラ722cへ出力することができる。
【0055】
一実施形態では、実現可能な/最適化された無線ユニットパラメータがステップS206で分散ユニット10DUに設定された後(または、分散ユニット10DUに設定された実現可能な/最適化された無線ユニットパラメータが手動で微調整された後)、プランナ722pは、反応性信号に従って再計画するかどうかを決定することができる。プランナ722pが、設定された無線ユニットパラメータを再度調整する必要があると判断した場合、サーバ70SVRは、分散ユニット70DUに調整された作用データ10cを出力して、分散ユニット70DU内の無線ユニットパラメータをリセットすることができる。
【0056】
一実施形態では、無線ユニットと分散ユニットとの間のインタフェースは、eCPRIインタフェースであってもよいが、これに限定されない。例えば、CPRIインタフェースを採用してもよい。
【0057】
一実施形態では、サーバ10SVRは、Oracleアクセスマネージャ(OAM)サーバであってもよい。
【0058】
一実施形態では、記憶回路は、画像データまたは命令を記憶するように構成される。記憶回路は、加入者識別モジュール(SIM)、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ディスク読取り専用メモリ(CD-ROM/DVD-ROM/BD-ROM)、磁気テープ、ハードディスク、光データ記憶デバイス、不揮発性記憶デバイス、非一時的コンピュータ読取り可能媒体であり得るが、これらに限定されない。
【0059】
一実施形態では、処理回路は、記憶回路に記憶された命令を実行するように構成される。処理回路は、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、または特定用途向け集積回路(ASIC)であってもよいが、これらに限定されない。
【0060】
表1に、相互運用性試験(IOT)プロファイルの一部を示す。表1によれば、どの項目が無線ユニットパラメータに含まれ得る/であり得るか、どのオープン無線アクセスネットワーク(O-RAN)仕様セクションに項目が関連するか、および項目がどの設定範囲内である得るかを見出すことができる。ただし、無線ユニットパラメータは、表1に示すものに限定されない。表1によれば、無線ユニットパラメータは制約される可能性がある。
【0061】
【表1-1】
【0062】
【表1-2】
【0063】
要約すると、無線ユニットパラメータを手動で設定することの非効率性および高いエラー率を回避するために、本発明は、現在の状態を推論し、無線ユニットパラメータを手動で適用する代わりに、分散ユニット上に無線ユニットパラメータを最適なように設定するために取るべきアクションを計画し得る。
【0064】
当業者は、本発明の教示を保持しつつ、デバイスおよび方法の多くの修正および変更を行うことができることを容易に理解するであろう。従って、上記の開示は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されると解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7