(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162097
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】エクステンダー、および外科的手術システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20231031BHJP
A61B 17/70 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
A61B17/56
A61B17/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166404
(22)【出願日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2022072656
(32)【優先日】2022-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】加藤 弘一
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL31
4C160LL57
4C160LL63
4C160LL69
(57)【要約】
【課題】インナー部が内部に倒れ込むことによる不都合を低減する。
【解決手段】エクステンダー(1)は、筒状で、上方の第1端とは反対側の下方に位置する第2端に、スクリューが嵌合するアウター部(30)と、外周側が内周側よりも第1端側に突出した形状を有する端面(41)を持ち、互いに対向するように配された少なくとも一対のインナー部(40)と、インナー部(40)の端面(41)と接する押込み部(20)とを備え、押込み部(20)は、端面(41)の内周側に少なくとも一部が位置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状で、上方の第1端とは反対側の下方に位置する第2端に、スクリューが嵌合するアウター部と、
前記アウター部の内側に配置され、外周側が内周側よりも前記第1端側に突出した形状を有する端面を持ち、互いに対向するように配された少なくとも一対のインナー部と、
前記アウター部の内面に少なくとも一部が位置するとともに、前記インナー部の前記端面と接する押込み部と、を備え、
前記押込み部は、前記端面の内周側に少なくとも一部が位置する、エクステンダー。
【請求項2】
前記アウター部の前記第1端に挿入される操作部を備え、
前記操作部は、前記押込み部と嵌合して該押込み部を前記アウター部の内面円周方向に回転可能であり、
前記押込み部は、外周に雄ネジが設けられ、前記アウター部の前記第1端の内周に設けられた雌ネジと螺合し、前記操作部による回転により前記第2端方向へ移動するとき、前記インナー部を前記第2端方向に押し込む、請求項1に記載のエクステンダー。
【請求項3】
前記端面は、前記筒の軸に沿った断面が、外周側が内周側よりも前記第1端側に突出したテーパ形状である、請求項1に記載のエクステンダー。
【請求項4】
前記端面は、前記筒の軸に沿った断面が、外周側が内周側よりも前記第1端側に突出した階段形状である、請求項1に記載のエクステンダー。
【請求項5】
前記端面は、前記筒の軸に沿った断面が、外周側が内周側よりも前記第1端側に突出し、該第1端側に凹の曲線状である、請求項1に記載のエクステンダー。
【請求項6】
前記端面は、前記筒の軸の周縁部に、軸に垂直な平面を有する、請求項1に記載のエクステンダー。
【請求項7】
前記インナー部の前記アウター部側の面には、凸部が設けられているとともに、前記アウター部には、前記凸部と対応する位置に孔が設けられており、
前記凸部が設けられている面は、該凸部が軸中心の方向に押下されたときに押し戻す方向に付勢される板バネとなっている、請求項2に記載のエクステンダー。
【請求項8】
前記操作部は、前記押込み部に嵌合したとき、前記板バネの位置に到達する長さの軸部を有する、請求項7に記載のエクステンダー。
【請求項9】
前記操作部は、前記軸部の径方向に突出した凸部を有し、
前記押込み部は、前記凸部と嵌合する凹部が配されている、請求項8に記載のエクステンダー。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のエクステンダーと、
前記エクステンダーの前記第1端に嵌合するカウンタートルクと、を含み、
前記エクステンダーは、前記アウター部の断面が円であるとともに、前記アウター部の前記第1端の外周面が円周部と前記円の円周から欠けた部分である欠缺部とから成り、
前記カウンタートルクは、前記エクステンダーの前記第1端と嵌合する嵌合部を備え、
前記嵌合部は、
C字状で、前記エクステンダーの前記アウター部の前記第1端の一部を前記C字状の内周面で覆うことにより、当該第1端と嵌合するものであり、
前記内周面は、前記エクステンダーと嵌合したときに前記欠缺部を含む前記第1端と当接する当接領域、および該当接領域から前記エクステンダーの軸方向に延在する曲面領域を有し、
前記曲面領域は、前記エクステンダーと嵌合する前に、前記円周部と当接する、
外科的手術システム。
【請求項11】
前記曲面領域は、前記当接領域の前記軸方向の両方向に延在している、請求項10に記載の外科的手術システム。
【請求項12】
前記軸に垂直な面において、前記嵌合部の前記C字状の開口部分の距離は、前記エクステンダーの前記第1端の断面の直径よりも小さい、請求項10に記載の外科的手術システム。
【請求項13】
前記当接領域のうち、前記エクステンダーの前記円周部と当接する領域は、前記曲面領域と面一である、請求項10に記載の外科的手術システム。
【請求項14】
前記C字状の開口部分近傍における前記曲面領域の前記軸方向の長さは、前記C字状の開口部分に近づくに従って短くなっている、請求項10に記載の外科的手術システム。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか1項に記載のエクステンダーと、
前記エクステンダーと嵌合するリダクションツールとを含み、
前記リダクションツールは、
筒状で、前記エクステンダーと嵌合するときに該エクステンダーを覆う本体部と、
前記本体部の筒の内部で該筒の軸方向に可動であり、円柱状で端部に前記アウター部と嵌合する嵌合部を備えるとともに、該嵌合部とは反対側の外周面に雄ネジを有する可動部と、
円筒で、内周面に前記可動部の前記雄ネジと螺合する雌ネジを有し、前記本体部の一端で円周方向に回転可能に保持され、回転に伴って前記雌ネジに前記雄ネジを螺合することにより前記可動部を前記本体部の前記筒の軸方向に進出させるハンドル部とを備え、
前記ハンドル部は、側面に複数の貫通孔を備える、
外科的手術システム。
【請求項16】
前記貫通孔は、偶数個であり、前記円筒の中心軸を挟んで対向するように配されている、請求項15に記載の外科的手術システム。
【請求項17】
前記貫通孔は6個である、請求項16に記載の外科的手術システム。
【請求項18】
前記ハンドル部は、前記可動部が挿入される側とは反対側に、該可動部が前記ハンドル部から突出することを防止するストッパを備える、請求項15に記載の外科的手術システム。
【請求項19】
前記ストッパは、断面が多角形で、前記可動部の前記円筒の直径よりも径が小さい補助孔が配されている、請求項18に記載の外科的手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、手術に用いるエクステンダーおよび該エクステンダーを含む外科的手術システムに関する。
【背景技術】
【0002】
外科的手術を行う際に使用される術器具としてエクステンダーと呼ばれる器具がある。脊椎の手術に使用されるエクステンダーは、例えば、筒状の手術器具であり、小さい傷口で、ペディクルスクリューを脊椎に挿入することができるものである。エクステンダーの1つとして、ロッキングキャップ、ナット、アウター、インナーで構成されているものがある。
【0003】
また、エクステンダーが不必要に動くことを抑制するように、エクステンダーを固定するカウンタートルク、脊椎のリダクションを行うために、エクステンダーに嵌合して使用されるリダクションツールも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エクステンダーをペディクルスクリューに固定するとき、ナットでインナーをペディクルスクリュー方向へ押し込むことになる。このナットでインナーを押し込むとき、インナーが内側方向に倒れ込むことは望ましくない。例えば、脊椎の手術において、最終的に脊椎を固定するとき、筒状のエクステンダーの内部を通して、ロッドを固定するためのセットスクリューをセットすることになるが、このセットスクリューが通り難くなるためである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るエクステンダーは、筒状で、上方の第1端とは反対側の下方に位置する第2端に、スクリューが嵌合するアウター部と、前記アウター部の内側に配置され、外周側が内周側よりも前記第1端側に突出した形状を有する端面を持ち、互いに対向するように配された少なくとも一対のインナー部と、前記アウター部の内面に少なくとも一部が位置するとともに、前記インナー部の前記端面と接する押込み部と、を備え、前記押込み部は、前記端面の内周側に少なくとも一部が位置する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、インナー部の端面の外周側が内周側よりも第1端側に突出した形状であるので、押込み部でインナー部を押し込んだときに、インナー部が内周側、すなわち、一対のインナー部が対向している方向に倒れ込むことがない。よって、インナー部が内部に倒れ込むことによる不都合を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態に係るエクステンダーの概要を示す外観図である。
【
図2】上記エクステンダーの詳細を示す分解斜視図である。
【
図3】上記エクステンダーにおける押込み部とアウター部との関係を示す図である。
【
図4】上記エクステンダーにおける押込み部とインナー部との関係を示す図である。
【
図5】上記インナー部における端面の別の例を示す図である。
【
図6】本開示の実施形態に係るカウンタートルクの概要を示す外観図である。
【
図7】カウンタートルクの嵌合部の詳細を示す図である。
【
図9】カウンタートルクをエクステンダーに嵌合させる流れを示す図である。
【
図10】本開示の実施形態に係るリダクションツールの概要を示す外観図である。
【
図11】リダクションツールのハンドル部の貫通孔の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔概要〕
まず、本実施形態に係るエクステンダー1の概要について説明する。本実施形態において、エクステンダー1は、人体の脊椎固定手術に用いられる手術器具を想定している。エクステンダー1は、ペディクルスクリュー(スクリュー)50を脊椎に挿入する際に、ペディクルスクリュー50に取り付けて用いるものである。エクステンダー1を用いることにより、皮膚の切開範囲(傷口)を小さくしつつ、ペディクルスクリュー50を脊椎に挿入することができる。エクステンダー1は、脊椎手術に用いられる手術器具に限定されず、あらゆる外科的手術に応用することができる。
【0010】
図1に、エクステンダー1の外観、およびエクステンダー1にペディクルスクリュー50が取り付けられた状態を示す。
図1の101は、エクステンダー1からペディクルスクリュー50が取り外された状態を示し、
図1の102は、エクステンダー1にペディクルスクリュー50が取り付けられた状態を示す。
【0011】
図1に示すように、エクステンダー1は、例えば、全体として筒状に設定される。エクステンダー1の筒状は、例えば、外形が円柱状となるように設定されている。エクステンダー1は、筒状の角部が面取りされていてもよく、これにより医師(手術者)または患者が不意に怪我することを防ぐことができる。エクステンダー1は、長手方向における長さを、例えば、術式、医師(手術者)または患者に応じて適宜設定することができる。エクステンダー1は、円柱状に限定されず、四角柱状に設定してもよい。
【0012】
ペディクルスクリュー50は、エクステンダー1の一方の端部(後述するアウター部30の第2端32側:
図2)に取り付けられる。エクステンダー1に取り付けられたペディクルスクリュー50は、エクステンダー1の他方の端部(後述するアウター部30の第1端31側:
図2)から挿入された操作部10が操作されることにより、インナー部40が下方に移動し、エクステンダー1に固定される。
【0013】
本実施形態では、操作部10が挿入される側をエクステンダー1の上側、ペディクルスクリュー50が取り付けられる側をエクステンダー1の下側とも呼ぶ。
【0014】
〔エクステンダー1の詳細〕
次に、
図2および
図3を参照して、エクステンダー1の詳細に説明する。
図2は、エクステンダー1の詳細を示す分解斜視図である。
図2に示すように、エクステンダー1は、アウター部30、インナー部40、および押込み部20を含む。インナー部40および押込み部20は、アウター部30の内部に配され、押込み部20の押込みによりインナー部40がアウター部30の軸方向に移動するものである。軸とは、筒状のアウター部30における筒の軸のことをいう。例えば、
図4に示す符号AXがアウター部30の筒の軸にあたる。筒の軸としては、これに限定されるものではなく、例えば、筒の最外周面に対する軸を用いることができる。
【0015】
(アウター部30)
アウター部30は、筒状であり、対向する位置において周壁の一部が、U字状に欠けた形状である。U字状に欠けた部分は、U字部分37と直線部分38とを含む。ここでは、側壁の一部がU字状に欠けた形状を例に挙げて説明するが、アウター部30はこれに限られるものではない。アウター部30において、側壁の一部が欠けた形状はU字状でなくてもよいし、欠けのない完全な筒状であってもよい。
【0016】
アウター部30の第1端31側の内側には、雌ネジ34が設けられている。雌ネジ34は、押込み部20の外面に設けられた雄ネジ21(後述する)と螺合するものである。
【0017】
また、アウター部30の第2端32側の内側には、第1係合部35が設けられている。第1係合部35は、ペディクルスクリュー50の第2係合部53(後述する)と係合することにより、エクステンダー1とペディクルスクリュー50とを係合させるものである。
【0018】
また、アウター部30の側壁には、インナー部40の第2凸部42(後述する)が突出する孔部33が設けられている。また、孔部33の近傍の外面には、ロック表示36がされている。ロック表示36は、アンロック位置表示36a、およびロック位置表示36bが含まれ、第2凸部42が何れの位置にあるかによって、ペディクルスクリュー50がエクステンダー1にロックされているか否かを示す。
【0019】
(押込み部20)
押込み部20は、筒状であり、外面に雄ネジ21が配されている。そして、操作部10が挿入される側、すなわち上側の端部に、操作部10の第1凸部13が嵌合する凹部22が設けられている。また、押込み部20の下側である底面23は、インナー部40の端面41のテーパ形状に沿った平面であり(
図4の404参照)、インナー部40の端面41に接する。押込み部20の底面23側の内側には第4係合部24(
図4参照)が設けられている。
【0020】
押込み部20は、少なくとも一部がアウター部30の内側に配されるものであり、雄ネジ21がアウター部30の雌ネジ34に螺合する。より詳細に、
図3を参照して説明する。
図3は、アウター部30と押込み部20との関係を示す図である。
図3に示すように、押込み部20の外面には雄ネジ21が設けられている。この雄ネジ21は、アウター部30の上側の内側に設けられた雌ネジ34と螺合するようになっている。押込み部20の外径は、アウター部30に挿入可能な長さである。そして、押込み部20をアウター部30内に挿入して、回転させると、押込み部20がアウター部30内をアウター部30の軸に沿って移動することになる。
【0021】
これにより、押込み部20を回転させながら、アウター部30の軸方向に移動させることが可能となる。押込み部20がアウター部30内で移動することにより、押込み部20とインナー部40とは一体となってアウター部30内を移動する。
【0022】
(インナー部40)
インナー部40は、アウター部30の内側に配することができるように、短手方向の断面が湾曲した板状である。そして、2個のインナー部40が一対で、アウター部30の内側に、互いに対向するように配されている。
【0023】
インナー部40は、押込み部20の底面23が接する端面41を有する。また、インナー部40の外面(アウター部30と接する面)には、第2凸部42が設けられている。第2凸部42は、インナー部40がアウター部30の内側に配されたとき、アウター部30の孔部33に嵌まる位置に設けられている。また、第2凸部42が配置されている部分は板バネ43となっており、第2凸部42を軸中心方向に押下したときに押し返す方向に付勢されている。
【0024】
また、インナー部40の端部46には、固定部44が設けられている。固定部44は、端部46の両端に、下側に突出するように設けられている。固定部44が下側に移動して、ペディクルスクリュー50の本体部51の一部を挟み込むことにより、ペディクルスクリュー50は、エクステンダー1と固定される。
【0025】
インナー部40の長手方向の側面の一部は、外面方向に突出した突出形状45となっている。インナー部40がアウター部30の内側に配されたときに、突出形状45が、アウター部30の周壁のU字状に欠けた部分の直線部分38を挟み込むことにより、インナー部40の移動を安定させている。
【0026】
(操作部10)
操作部10は、押込み部20と嵌合して押込み部20を回転させるものである。
図2に示すように、操作部10は、本体部15と軸部11とを含み、本体部15には、使用者が把持する把持部16を備えるともに、貫通孔12が設けられている。貫通孔12は、例えば、把持部16を把持しただけでは押込み部20を回転させにくい等の場合に、棒等を貫通させ、当該棒を用いることにより、押込み部20の回転を容易にさせるものである。
【0027】
また、本体部15には、押込み部20の凹部22に嵌合する第1凸部13が設けられている。
【0028】
軸部11は、押込み部20の内部に挿入される部分であり、挿入されたときに、インナー部40の第2凸部42に相当する位置まで到達する長さを有する。
【0029】
(ペディクルスクリュー50)
ペディクルスクリュー50は、脊椎固定手術時に椎弓根に挿入され、ペディクルスクリュー50間にロッド(図示せず)が渡されることにより、脊椎を固定するものである。ペディクルスクリュー50は、本体部51およびネジ部52から成る。本体部51は、筒状であり、外側に第2係合部53が設けられるとともに、内側に雌ネジ54が設けられている。
【0030】
第2係合部53は、アウター部30の第1係合部35と係合することにより、アウター部30とペディクルスクリュー50とを係合させる。雌ネジ54は、ロッドを固定するためのセットスクリュー(図示せず)をセットするときに用いられる。
【0031】
〔押込み部20とインナー部40との詳細〕
次に、
図4を参照して、押込み部20とインナー部40との接触面の詳細について説明する。
図4は、押込み部20とインナー部40との接触面の詳細を示す図である。
【0032】
図4の401は、エクステンダー1を側面から見た図を示す。
図4の402は、401と同じ方向から見たエクステンダー1の側面で、アウター部30を取り外した状態を示す。
図4の403は、402の領域IVの部分をエクステンダー1の軸に沿って切ったときの、軸中心を含む断面を示す。
図4の404は、403の一部を拡大したものである。また、
図4の405は、403の別の例を示す。
【0033】
図4の403に示すように、押込み部20とインナー部40とは、押込み部20の底面23と、インナー部40の端面41とが接触することにより、押込み部20がアウター部30の内部に押し込まれたときに、インナー部40が移動する。また、逆に、押込み部20がアウター部30の外部に引っ張られたときは、押込み部20の第4係合部24と、インナー部40の第3係合部47とが係合していることにより、押込み部20とインナー部40とが一体となって移動する。
【0034】
また、
図4の403に示すように、インナー部40の端面41の外周(インナー部40の最外周)は、押込み部20の外周と面一となるように設定されている。これによって、インナー部40の操作性を向上させることができる。インナー部40の形状は、これに限定されることはなく、
図4の405に示すように、インナー部40Aの端面41Aの外周面が押込み部20の外周面よりも外側に突出するように設定されていてもよい。これにより、インナー部40Aの位置を把握しやすくすることができる。この場合、押込み部20の底面23は、端面41のテーパ形状に沿った平面ではなく、軸に垂直な平面であってもよい。
【0035】
そして、
図4に示すように、インナー部40の端面41は、軸に沿った断面が、外周側が内周側よりも上側(第1端31側)に突出したテーパ形状となっている。インナー部40の端面41は、テーパ形状が、例えば、軸に平行な断面視において、直線状に設定されている。テーパ形状は、軸に垂直な面に対して、例えば、15°以上45°以下に傾斜するように設定されている。これにより、インナー部40が押込み部20の平面の底面23により下側に押し込まれたときに、インナー部40が内周側、すなわちインナー部40が対向する方向に倒れてしまうおそれを減少させることができる。
【0036】
脊椎の固定手術では、第2端32に嵌合しているペディクルスクリュー50が脊椎に挿入された後、脊椎を固定するためのロッド(図示せず)が取り付けられる。ロッドは、セット部材を用いてセットされるが、このセット部材は、エクステンダー1のアウター部30の内面に対向して配されているインナー部40の間を通過させて、ペディクルスクリュー50まで到達させる。
【0037】
上述したように、インナー部40の端面41の外周側が内周側よりも第1端31側に突出した形状である。これにより、押込み部20でインナー部40を押し込んだときに、インナー部40が内周側、すなわち一対のインナー部が対向している方向に倒れ込むことがない。よって、インナー部40が内部に倒れ込んで、セット部材を通す通路が狭くなり、セット部材をペディクルスクリュー50まで到達させることができなくなるおそれを減少させることができる。
【0038】
〔変形例〕
上述した端面41は、軸に沿った断面が、外周側が内周側よりも第1端31側に突出したテーパ形状であったが、端面41は、外周側が内周側よりも上側に突出した形状であればよい。例えば、
図5の501、501aに示すように、端面41aは、軸に沿った断面が、外周側が内周側よりも上側に突出した階段形状であってもよい。ここで、501aは、501の領域V1を拡大した図である。この場合、押込み部20の底面23aは、端面41aの階段形状に合わせた形状であってよい。すなわち、底面23aも階段形状であってよい。これにより、インナー部40が押込み部20の底面23により下側に押し込まれたときに、インナー部40が内周側、すなわちインナー部40が対向する方向に倒れてしまうおそれを減少させることができる。
【0039】
また、
図5の502、502aに示すように、端面41bは、軸に沿った断面が、外周側が内周側よりも上側に突出し、上側に凹の曲線状であってもよい。ここで、502aは、502の領域V2を拡大した図である。この場合、押込み部20の底面23bは、端面41bの曲線状に合わせた形状であってよい。すなわち、底面23bは下側に凸の曲線状であってよい。これにより、インナー部40が押込み部20の底面23により下側に押し込まれたときに、インナー部40が内周側、すなわちインナー部40が対向する方向に倒れてしまうおそれを減少させることができる。
【0040】
さらに、
図5の503、503aに示すように、端面41cは、外側すなわちアウター部30の内周側に、軸に垂直な平面411を有してもよい。ここで、503aは、503の領域V3を拡大した図である。この場合、押込み部20の底面23cは、端面41cの形状に合わせた形状であってよい。すなわち、底面23cは、外側すなわちアウター部30の内周側に、軸に垂直な平面を有していてもよい。これにより、インナー部40が押込み部20の底面23により下側に押し込まれたときに、インナー部40が内周側、すなわちインナー部40が対向する方向に倒れてしまうおそれを減少させることができる。
【0041】
〔カウンタートルク〕
次に、
図6~
図9を参照してカウンタートルク2について説明する。カウンタートルク2は、エクステンダー1の第1端31に嵌合して、エクステンダー1を固定することにより、エクステンダー1が無用な動きしてしまうおそれを低減するものである。
【0042】
図6の601にカウンタートルク2の概要を示す外観図を示す。
図6に示すように、カウンタートルク2は、嵌合部201、持ち手接続部202、および持ち手203を含む。ここでは、エクステンダー1とカウンタートルク2とが嵌合したときにエクステンダー1の軸となる方向をz方向、z方向に垂直で、カウンタートルク2の持ち手接続部202の軸方向をy方向、y方向およびz方向に垂直な方向をz方向とする。
【0043】
また、
図6の602にエクステンダー1の第1端31を示す。エクステンダー1は、アウター部30の断面が円であり、アウター部30の第1端31の外周面が円周部312と円の円周から欠けた部分である欠缺部311とから成る。
【0044】
カウンタートルク2の持ち手接続部202は、軸状であり、軸の一端に軸の径よりも太い径を有する持ち手203が備えられている。また、持ち手接続部202の他端に嵌合部201が備えられている。
【0045】
嵌合部201は、C字状で、曲面領域211および当接領域212を備える。より詳細には、嵌合部201は、エクステンダー1のアウター部30の第1端31の一部をC字状の内周面で覆うことにより、エクステンダー1の第1端31と嵌合する。C字状の内周面は、エクステンダー1と嵌合したとき、欠缺部311を含む第1端31と当接する当接領域212、および当接領域212からエクステンダー1の軸方向に延在する曲面領域211を有する。
【0046】
曲面領域211は、エクステンダー1と嵌合する前に、エクステンダー1の円周部312と当接するものである。
【0047】
図7を参照して、カウンタートルク2の嵌合部201の詳細について説明する。
図7は、カウンタートルク2の嵌合部201の詳細を示す図である。
図7の701は、嵌合部201の斜視図であり、702は、嵌合部201を+z方向、すなわち、エクステンダー1とカウンタートルク2とが嵌合したときのエクステンダー1の軸方向から見た図である。
【0048】
図7の701に示すように、嵌合部201は、当接領域212および当接領域212から延在する曲面領域211を有する。そして、当接領域212のうち、エクステンダー1の円周部と当接する領域214は、曲面領域211と面一となっている。
【0049】
また、C字状の開口部分213近傍における曲面領域211の軸方向の長さは、C字状の開口部分213に近づくに従って短くなっている。
図7の701に示す例では、曲面領域211の軸方向の長さは、開口部分213に近い部分の長さLH2の方が、開口部分213から遠い部分の長さLH1よりも短くなっている。
【0050】
また、
図7の702に示すように、嵌合部201は、+z方向から見た形状がC字状である。
【0051】
また、上述したカウンタートルク2は、
図8の801に示すように、曲面領域211は、嵌合部201の当接領域212の軸方向の一方に延在していた。これに限らず、例えば、
図8の802に示すように、曲面領域211は、当接領域212の軸方向の両方向に延在していてもよい。両方向に延在することにより、カウンタートルク2の使用者は、カウンタートルク2の向きの気にすることなく使用することが可能となる。
【0052】
次に、
図9を参照して、カウンタートルク2をエクステンダー1に嵌合させる方法について説明する。
図9は、カウンタートルク2をエクステンダー1に嵌合させる流れを示す図である。
【0053】
図9の901に示すように、まず、エクステンダー1の軸方向の第1端31側からカウンタートルク2の嵌合部201をかぶせるように嵌める。このとき、
図9の902に示すように、カウンタートルク2の曲面領域211が、エクステンダー1の円周部312に当接し、そのままエクステンダー1の軸を中心として、カウンタートルク2を回転させることが可能となる。カウンタートルク2を軸方向に押下するようにして、カウンタートルク2を左右方向に回転させると、
図9の903に示すように、カウンタートルク2の当接領域212とエクステンダー1の欠缺部311および円周部312とが当接する位置で、カウンタートルク2がエクステンダー1の軸方向に進む。これにより、エクステンダー1とカウンタートルク2とが嵌合する。
【0054】
また、エクステンダー1とカウンタートルク2とが嵌合した後は、エクステンダー1の軸から離れる方向にカウンタートルク2が抜けないように、軸に垂直な面において、嵌合部201のC字状の開口部分の距離は、エクステンダー1の第1端31の断面の直径よりも小さくなっている。
【0055】
また、上述したエクステンダー1とエクステンダー1の第1端31に嵌合するカウンタートルク2とを含むシステムを外科的システムと呼んでもよい。外科的手術システムは、以下のように記載できる。
【0056】
外科的手術システムは、エクステンダー1と、エクステンダー1の第1端31に嵌合するカウンタートルク2とを含む。
【0057】
エクステンダー1は、アウター部30の断面が円であるとともに、アウター部30の第1端31の外周面が円周部312と円の円周から欠けた部分である欠缺部311とから成る。
【0058】
また、上述したように、カウンタートルク2は、エクステンダー1の第1端31と嵌合する嵌合部201を備える。嵌合部201は、C字状で、エクステンダー1のアウター部30の第1端31の一部をC字状の内周面で覆うことにより、第1端31と嵌合するものである。C字状の内周面は、エクステンダー1と嵌合したときに欠缺部311を含む第1端31と当接する当接領域212、および当接領域212からエクステンダー1の軸方向に延在する曲面領域211を有する。曲面領域211は、エクステンダー1と嵌合する前に、円周部312と当接する。
【0059】
これにより、カウンタートルク2の嵌合部201をエクステンダー1に嵌合させるときに、カウンタートルク2の曲面領域211をエクステンダー1の第1端31の円周部312に容易に沿わせることができる。そして、その状態でカウンタートルク2を軸に垂直な平面で回転させると、エクステンダー1の第1端31の欠缺部311と当接できる位置で、カウンタートルク2が自然と軸方向に移動し、カウンタートルク2の当接領域212とエクステンダー1の第1端31とが嵌合する。これにより、エクステンダー1をカウンタートルク2によって固定することができる。よって、エクステンダー1を固定するときに、エクステンダー1との嵌合を容易に行うことができる。
【0060】
〔リダクションツール〕
次に、
図10および
図11を参照して、リダクションツール3について説明する。リダクションツール3は、エクステンダー1と嵌合して、エクステンダー1を、軸を維持した状態で軸方向に移動させることにより、ペディクルスクリュー50が挿入された脊椎を元の位置に戻すリダクションを行うものである。
【0061】
図10の1001はリダクションツール3の概要を示す外観図である。また、1002は、1001で示すリダクションツール3をX-Xで切った断面を示す。
【0062】
図10の1001に示すように、リダクションツール3は、筒状の本体部302と本体部302の一端で円周方向に回転可能の保持されるハンドル部301とを備える。
【0063】
本体部302の筒の内部には筒の軸方向に可動な可動部304が備えられている。可動部304は、円柱状であり、端部にアウター部30と嵌合する嵌合部303を備えるとともに、嵌合部303とは反対側の外周面に雄ネジ305を有する。
【0064】
ハンドル部301は、円筒で、内周面に可動部304の雄ネジ305と螺合する雌ネジ306を有する。ハンドル部301は、回転に伴って可動部304の雄ネジ305に雌ネジ306を螺合することにより可動部304を本体部302の筒の軸方向に進出させる。
【0065】
また、ハンドル部301は、側面に複数の貫通孔307を備えている。
【0066】
リダクションツール3の使用者は、ハンドル部301を本体部302の円周方向に回転させて使用する。ハンドル部301を回転させると、可動部304が本体部302の軸方向に進出し、可動部304と嵌合しているエクステンダー1が軸方向に移動する。エクステンダー1が移動することにより、エクステンダー1と嵌合しているペディクルスクリュー50が軸方向に引っ張られて、ペディクルスクリュー50が挿入されている脊椎がリダクションされることになる。
【0067】
図10に示す例では、貫通孔307は6個備えられている。
図10の1002に、1001のX-Xで切った断面を示す。1002に示すように、貫通孔307は、ハンドル部301の円筒の中心軸を挟んで対向するように配されている。換言すれば、軸を中心として回転対称に配されている。例えば、貫通孔307Aと貫通孔307Bとは円筒の中心軸を挟んで対向するようになっている。貫通孔307は、6個に限られず、偶数個であれば、円筒の中心軸を挟んで対向するよう配することができる。
【0068】
図11に、貫通孔307が12個の場合の例を示す。
図11の1101は、貫通孔307が12個の場合のハンドル部301の斜視図であり、
図11の1102は、1101で示すハンドル部301をXI-XIで切ったときの断面を示す。
図11の1102で示すように、例えば、貫通孔307Cと貫通孔307Dとは円筒の中心軸を挟んで対向するように、換言すれば、軸を中心として回転対称に配されている。
【0069】
貫通孔307がハンドル部301の円筒の中心軸を挟んで対向するように配されていることにより、貫通孔307の形成を容易にすることができる。貫通孔307を形成するために、ハンドル部301の側面からドリル等で孔を開けるときに、ハンドル部301にドリルを貫通させれば、1度の作業で2個の貫通孔307を形成することができるためである。
【0070】
上述ように貫通孔307を偶数個とすれば、貫通孔307を形成するための作業の負担が軽減されるが、貫通孔307を奇数個であってもよい。貫通孔307が奇数個であっても、リダクションツール3として機能は十分に発揮される。
【0071】
また、ハンドル部301は、可動部304が挿入される側とは反対側に、可動部304がハンドル部301から突出することを防止するストッパ308を備えている。また、ストッパ308は、断面が多角形で、可動部304の円筒の直径よりも径が小さい補助孔309が配されている。
【0072】
また、上述したエクステンダー1とエクステンダー1に嵌合するリダクションツール3とを含むシステムを外科的手術システムと呼んでもよい。外科的手術システムは、以下のように記載できる。
【0073】
外科的手術システムは、エクステンダー1と、エクステンダー1と嵌合するリダクションツール3とを含む。
【0074】
リダクションツール3は、本体部302、可動部304とハンドル部301とを備える。
【0075】
本体部302は、筒状で、エクステンダー1と嵌合するときにエクステンダー1を覆う。
【0076】
可動部304は、本体部302の筒の内部で該筒の軸方向に可動であり、円柱状で端部にアウター部30と嵌合する嵌合部303を備えるとともに、嵌合部303とは反対側の外周面に雄ネジ305を有する。
【0077】
ハンドル部301は、円筒で、内周面に可動部304の雄ネジ305と螺合する雌ネジ306を有し、本体部302の一端で円周方向に回転可能に保持され、回転に伴って雄ネジ305に雌ネジ306を螺合することにより可動部304を本体部302の筒の軸方向に進出させる。また、ハンドル部301は、側面に複数の貫通孔307を備える。
【0078】
上記の構成は、ハンドル部301の側面に貫通孔307を設けるのみなので製造を容易に行うことができる。また、貫通孔307によりグリップ力を維持することができる。また、貫通孔307を設けるのみなので、ハンドル部301を把持する手が器具に挟まれる等のおそれも少なく、安全に配慮したリダクションツール3を実現できる。
【0079】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係るエクステンダー1は、筒状で、上方の第1端31とは反対側の下方に位置する第2端32に、ペディクルスクリュー50(スクリュー)が嵌合するアウター部30と、前記アウター部30の内側に配置され、外周側が内周側よりも前記第1端側に突出した形状を有する端面(41、41a、41b、41c、41X)を持ち、互いに対向するように配された少なくとも一対のインナー部40と、前記アウター部30の内面に少なくとも一部が位置するとともに、前記インナー部40の前記端面(41、41a、41b、41c)と接する押込み部20とを備え、前記押込み部20は、前記端面(41、41a、41b、41c、41X)の内周側に少なくとも一部が位置する。
【0080】
本開示の態様2に係るエクステンダー1は、前記態様1において、前記アウター部30の前記第1端31に挿入される操作部10を備え、前記操作部10は、前記押込み部20と嵌合して該押込み部20を前記アウター部30の内面円周方向に回転可能であり、前記押込み部20は、外周に雄ネジ21が設けられ、前記アウター部30の前記第1端31の内周に設けられた雌ネジ34と螺合し、前記操作部10による回転により前記第2端32方向へ移動するとき、前記インナー部40を前記第2端32方向に押し込むものであってもよい。
【0081】
本開示の態様3に係るエクステンダー1は、前記態様1または2において、前記端面41は、前記筒の軸に沿った断面が、外周側が内周側よりも前記第1端31側に突出したテーパ形状であってもよい。
【0082】
本開示の態様4に係るエクステンダー1は、前記態様1または2において、前記端面41aは、前記筒の軸に沿った断面が、外周側が内周側よりも前記第1端側に突出した階段形状であってもよい。
【0083】
本開示の態様5に係るエクステンダー1は、前記態様1または2において、前記端面41bは、前記筒の軸に沿った断面が、外周側が内周側よりも前記第1端31側に突出し、該第1端31側に凹の曲線状であってもよい。
【0084】
本開示の態様6に係るエクステンダー1は、前記態様1または2において、前記端面41cは、前記筒の軸の周縁部に、軸に垂直な平面411を有してもよい。
【0085】
本開示の態様7に係るエクステンダー1は、前記態様1~6の何れかにおいて、前記インナー部40の前記アウター部30側の面には、第2凸部42が設けられているとともに、前記アウター部30には、前記第2凸部42と対応する位置に孔部33が設けられており、前記第2凸部42が設けられている面は、該第2凸部42が軸中心の方向に押下されたときに押し戻す方向に付勢される板バネ43となっていてもよい。
【0086】
本開示の態様8に係るエクステンダー1は、前記態様1~7の何れかにおいて、前記操作部10は、前記押込み部20に嵌合したとき、前記板バネ43の位置に到達する長さの軸部11を有していてもよい。
【0087】
本開示の態様9に係るエクステンダー1は、前記態様1~8の何れかにおいて、前記操作部10は、前記軸部11の径方向に突出した第1凸部13を有し、前記押込み部20は、前記第1凸部13と嵌合する凹部22が配されていてもよい。
【0088】
本開示の態様10に係る外科的手術システムは、前記態様1~9の何れかに記載のエクステンダー1と、前記エクステンダー1の前記第1端31に嵌合するカウンタートルク2と、を含み、前記エクステンダー1は、前記アウター部30の断面が円であるとともに、前記アウター部30の前記第1端31の外周面が円周部312と前記円の円周から欠けた部分である欠缺部311とから成り、前記カウンタートルク2は、前記エクステンダー1の前記第1端31と嵌合する嵌合部201を備え、前記嵌合部201は、C字状で、前記エクステンダー1の前記アウター部30の前記第1端31の一部を前記C字状の内周面で覆うことにより、当該第1端31と嵌合するものであり、前記内周面は、前記エクステンダー1と嵌合したときに前記欠缺部311を含む前記第1端31と当接する当接領域212、および該当接領域212から前記エクステンダー1の軸方向に延在する曲面領域211を有し、前記曲面領域211は、前記エクステンダー1と嵌合する前に、前記円周部312と当接する。
【0089】
本開示の態様11に係る外科的手術システムは、前記態様10において、前記曲面領域211は、前記当接領域212の前記軸方向の両方向に延在している。
【0090】
本開示の態様12に係る外科的手術システムは、前記態様10において、前記軸に垂直な面において、前記嵌合部201の前記C字状の開口部分の距離は、前記エクステンダー1の前記第1端31の断面の直径よりも小さい。
【0091】
本開示の態様13に係る外科的手術システムは、前記態様10において、前記当接領域212のうち、前記エクステンダー1の前記円周部312と当接する領域は、前記曲面領域211と面一である。
【0092】
本開示の態様14に係る外科的手術システムは、前記態様10において、前記C字状の開口部分近傍における前記曲面領域211の前記軸方向の長さは、前記C字状の開口部分に近づくに従って短くなっている。
【0093】
本開示の態様15に係る外科的手術システムは、前記態様1~9の何れかに記載のエクステンダー1と、前記エクステンダー1と嵌合するリダクションツール3とを含み、前記リダクションツール3は、筒状で、前記エクステンダー1と嵌合するときに該エクステンダー1を覆う本体部302と、前記本体部302の筒の内部で該筒の軸方向に可動であり、円柱状で端部に前記アウター部30と嵌合する嵌合部303を備えるとともに、該嵌合部303とは反対側の外周面に雄ネジ305を有する可動部304と、円筒で、内周面に前記可動部304の前記雄ネジ305と螺合する雌ネジ306を有し、前記本体部302の一端で円周方向に回転可能に保持され、回転に伴って前記雌ネジ306に前記雄ネジ305を螺合することにより前記可動部304を前記本体部302の前記筒の軸方向に進出させるハンドル部301とを備え、前記ハンドル部301は、側面に複数の貫通孔307を備える。
【0094】
本開示の態様16に係る外科的手術システムは、前記態様15において、前記貫通孔307は、偶数個であり、前記円筒の中心軸を挟んで対向するように配されている。
【0095】
本開示の態様17に係る外科的手術システムは、前記態様16において、前記貫通孔307は6個である。
【0096】
本開示の態様18に係る外科的手術システムは、前記態様15において、前記ハンドル部301は、前記可動部304が挿入される側とは反対側に、該可動部304が前記ハンドル部301から突出することを防止するストッパ308を備える。
【0097】
本開示の態様19に係る外科的手術システムは、前記態様18において、前記ストッパ308は、断面が多角形で、前記可動部304の前記円筒の直径よりも径が小さい補助孔309が配されている。
【0098】
以上、本開示に係る発明について、諸図面および実施例に基づいて説明してきた。しかし、本開示に係る発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。すなわち、本開示に係る発明は本開示で示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示に係る発明の技術的範囲に含まれる。つまり、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。また、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【符号の説明】
【0099】
1 エクステンダー
10 操作部
11 軸部
12 貫通孔
13 第1凸部(凸部)
20 押込み部
21 雄ネジ
22 凹部
30アウター部
31 第1端
32 第2端
33 孔部
34 雌ネジ
35 第1係合部
36 ロック表示
40、40X インナー部
41、41a、41b、41c、41X 端面
42 第2凸部(凸部)
43 板バネ
44 固定部
47 第3係合部
50 ペディクルスクリュー(スクリュー)
51 本体部
52 ネジ部
53 第2係合部