(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162100
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】電子機器、電子機器の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/12 20200101AFI20231031BHJP
G06F 3/04845 20220101ALI20231031BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20231031BHJP
【FI】
G06F30/12
G06F3/04845
G06F3/0488
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195682
(22)【出願日】2022-12-07
(62)【分割の表示】P 2022072216の分割
【原出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】390002761
【氏名又は名称】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501065122
【氏名又は名称】エーアンドエー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189751
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友輔
(74)【代理人】
【識別番号】100227857
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 圭
(72)【発明者】
【氏名】木原 和信
【テーマコード(参考)】
5B146
5E555
【Fターム(参考)】
5B146DA00
5B146DG01
5E555AA04
5E555BA01
5E555BA70
5E555BB01
5E555BC07
5E555BC17
5E555BC18
5E555CA02
5E555CA12
5E555CB05
5E555CB12
5E555CB42
5E555CC02
5E555CC03
5E555DB11
5E555DC09
5E555DC11
5E555DC13
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】より操作性よくオブジェクトの複製配置を行える技術を提供する
【解決手段】表示されたオブジェクトを指定する操作である特定の操作を受け付ける受付手段と、
前記特定の操作を受け付けたことに応じて、前記特定の操作で指定されたオブジェクトを複製した複製オブジェクトを表示するように制御する制御手段と
を有することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示されたオブジェクトを指定する操作である特定の操作を受け付ける受付手段と、
前記特定の操作を受け付けたことに応じて、前記特定の操作で指定されたオブジェクトを複製した複製オブジェクトを表示するように制御する制御手段と
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記特定の操作は、ユーザー操作に応じて入力された位置に表示されたオブジェクトを指定する操作であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記特定の操作は単一の操作であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
ユーザーのモード変更操作に応じて特定の動作モードに変更する変更手段をさらに有し、
前記制御手段は、
前記特定の動作モードにおいて前記特定の操作を受け付けたことに応じて、前記特定の操作で指定されたオブジェクトを複製した複製オブジェクトを表示するように制御し、
前記特定の動作モードでない他の動作モードにおいて前記特定の操作を受け付けたことに応じて、前記特定の操作で指定されたオブジェクトを複製した複製オブジェクトを表示することなく、他の処理を行うように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御手段は、前記特定の動作モードにおいて、
第1のサイズのオブジェクトを指定する前記特定の操作を受け付けたことに応じて、前記特定の操作で指定された前記第1のサイズのオブジェクトを複製した複製オブジェクトを、複製元の前記第1のサイズのオブジェクトから所定距離ずらした位置に表示し、
前記第1のサイズと異なる第2のサイズのオブジェクトを指定する前記特定の操作を受け付けたことに応じて、前記特定の操作で指定された前記第2のサイズのオブジェクトを複製した複製オブジェクトを、複製元の前記第2のサイズのオブジェクトから前記所定距離ずらした位置に表示する
ように制御することを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御手段は、前記所定距離を、前記特定の動作モードに遷移してから最初に前記特定の操作によって指定されたオブジェクトのサイズに基づいて決定するように制御することを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記第1のサイズのオブジェクトを複製した複製オブジェクトを、複製元の前記第1のサイズのオブジェクトの前面側に重畳して表示し、
前記第2のサイズのオブジェクトを複製した複製オブジェクトを、複製元の前記第2のサイズのオブジェクトの前面側に重畳して表示する
ように制御することを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項8】
前記モード変更操作は、右クリックメニューから項目を選択する操作であることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御手段は、前記特定の動作モードにおいてオブジェクトの表示されていない領域を指定する操作があったことに応じて前記特定の動作モードを解除するように制御することを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項10】
前記制御手段は、前記特定の動作モードにおいて、元に戻す操作があったことに応じて、前記特定の動作モードに遷移してから行われた複数回の前記特定の操作に応じて表示された複数の複製オブジェクトを消去するように制御することを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項11】
前記オブジェクトは、CAD図面に含まれるオブジェクトであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項12】
前記特定の操作はマウスのクリックであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項13】
前記特定の操作はタッチパネルへのタッチであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項14】
表示されたオブジェクトを指定する操作である特定の操作を受け付ける受付ステップと、
前記特定の操作を受け付けたことに応じて、前記特定の操作で指定されたオブジェクトを複製した複製オブジェクトを表示するように制御する制御ステップと
を有することを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1乃至11のいずれか1項に記載された電子機器の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
前記特定の操作はマウスのクリックまたはタッチパネルへのタッチであることを特徴とする請求項15に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子機器、その制御方法、及びプログラムに関し、特に、オブジェクトの編集に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器において、オブジェクトのコピーやペースト、オブジェクトに色を付けたりといったオブジェクト編集が行われており、より操作性のよいオブジェクト編集方法が求められている。
【0003】
特許文献1には、コマンドウィンドウのCopyをクリックすると、既に配置されている要素のコピーが可能となる状態となることが提案されている。ここで、オペレータが、コピーしたい要素をクリックすると、該コピー対象要素の形状がラバーバンドで表示される。次に、オペレータが、マウスを用いてカーソルを移動させ、左ボタンをダブルクリックすると、該コピー対象要素は、カーソルの移動先にコピーされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の一般的なコピー&ペーストでは、コピーの指示とペーストの指示を別々の操作で指示する必要があり、操作手数を要していた。オブジェクトを複製して配置するコピーとペーストは何度も繰り返して操作する可能性のあるものであり、少しの操作手数であっても繰り返されるために大きな手間となっていた。特許文献1におけるコピーのコマンドも、コピーする際にはクリックを行い、コピーした要素を配置(すなわちペースト)する際には左ボタンをダブルクリックする必要があり、やはり、操作手数を要する。このように、オブジェクトを複製して配置する操作の操作性には改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、より操作性よくオブジェクトの複製配置を行える技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子機器は、
表示されたオブジェクトを指定する操作である特定の操作を受け付ける受付手段と、
前記特定の操作を受け付けたことに応じて、前記特定の操作で指定されたオブジェクトを複製した複製オブジェクトを表示するように制御する制御手段と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より操作性よくオブジェクトの複製配置を行える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】連続適用ツール処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に、本発明を適用可能な装置の一例としての電子機器100の構成の一例を示す。電子機器100は、パーソナルコンピュータ(以下、PC)などを用いて構成可能なものである。
【0011】
図1において、内部バス150に対してCPU101、メモリ102、不揮発性メモリ103、画像処理部104、ディスプレイ105、操作部106、記録媒体I/F107、外部I/F109、通信I/F110、カメラ部112が接続されている。内部バス150に接続される各部は、内部バス150を介して互いにデータのやりとりを行うことができるようにされている。
【0012】
メモリ102は、例えばRAM(半導体素子を利用した揮発性のメモリなど)からなる。CPU101は、例えば不揮発性メモリ103に格納されるプログラムに従い、メモリ102をワークメモリとして用いて、電子機器100の各部を制御する。不揮発性メモリ103には、画像データや音声データ、その他のデータ、CPU101が動作するための各種プログラムなどが格納される。不揮発性メモリ103は、例えばハードディスク(HD)やROMなどで構成される。
【0013】
画像処理部104は、CPU101の制御に基づいて、不揮発性メモリ103や記録媒体108に格納された画像データや、外部I/F109を介して取得した映像信号、通信I/F110を介して取得した画像、撮像された画像などに対して各種画像処理を施す。画像処理部104が行う画像処理には、A/D変換処理、D/A変換処理、画像データの符号化処理、圧縮処理、デコード処理、拡大/縮小処理(リサイズ)、ノイズ低減処理、色変換処理などが含まれる。画像処理部104は、特定の画像処理を施すための専用の回路ブロックで構成しても良い。また、画像処理の種別によっては、画像処理部104を用いずに、CPU101がプログラムに従って画像処理を施すことも可能である。
【0014】
ディスプレイ105は、CPU101の制御に基づいて、画像やGUI(Graphical User Interface)を構成するGUI画面などを表示する。CPU101は、プログラムに従い表示制御信号を生成し、ディスプレイ105に表示するための映像信号を生成してディスプレイ105に出力するように、電子機器100の各部を制御する。ディスプレイ105は、出力された映像信号に基づいて映像を表示する。なお、電子機器100自体が備える構成としては、ディスプレイ105に表示させるための映像信号を出力するためのインターフェースまでとし、ディスプレイ105は、外付けのモニタ(テレビなど)で構成してもよい。
【0015】
操作部106は、キーボードなどの文字情報入力デバイスや、マウスやタッチパネルといったポインティングデバイス、ボタン、ダイヤル、ジョイスティック、タッチセンサ、タッチパッドなどを含む、ユーザー操作を受け付けるための入力デバイスである。なお、タッチパネルは、ディスプレイ105に重ね合わせて平面的に構成され、接触された位置に応じた座標情報が出力されるようにした入力デバイスである。CPU101は、操作部106に含まれる位置入力部材に対するユーザー操作に応じて入力される画面上の位置(入力位置)を取得する。例えばマウス操作によって移動するマウスカーソルの位置を入力位置として取得する。あるいは、タッチパネルに対してタッチされた位置を入力位置として取得する。
【0016】
記録媒体I/F107は、メモリーカードやCD、DVDといった記録媒体108が装着可能とされ、CPU101の制御に基づき、装着された記録媒体108からのデータの読み出しや、当該記録媒体108に対するデータの書き込みを行う。外部I/F109は、外部機器と有線ケーブルや無線によって接続し、映像信号や音声信号の入出力を行うためのインターフェースである。通信I/F110は、外部機器やインターネット111などと通信して、ファイルやコマンドなどの各種データの送受信を行うためのインターフェースである。
【0017】
カメラ部112は、光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子(撮像センサ)等で構成されるカメラユニットである。カメラ部112には、ズームレンズやフォーカスレンズを含むレンズ群(撮影レンズ)、絞り機能を備えるシャッタ、撮像素子、撮像素子から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、撮像系を覆って汚れや破損を防止するバリアを含む。画像処理部104は、カメラ部112で撮像して取得したデータに対し、所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。画像処理部104により得られた演算結果に基づいて、CPU101が露光制御、測距制御、AWB(オートホワイトバランス)処理を行う。カメラ部112で撮像され、画像処理部104で画像処理された表示用の画像データは、ディスプレイ105により表示される。カメラ部112で撮像され、A/D変換器によって一度A/D変換され、メモリ102に蓄積されたデジタル信号をD/A変換器でアナログ変換し、ディスプレイ105に逐次転送して表示することで、ライブビュー表示(LV表示)を行える。カメラ部112は、静止画及び動画の撮影が可能である。
【0018】
図2は、電子機器100における編集ソフトウェア(CADアプリケーションソフトウェア、以下、単にCADソフトと称する)を起動した場合に実行されるオブジェクトの編集処理のフローチャートである。このフローチャートおける各処理は、CPU101が不揮発性メモリ103に格納されたプログラムをメモリ102に展開して実行することにより実現される。
図2の処理を実行可能なCADのソフトの起動指示があると
図2の処理が開始される。
図2は、CADソフトの処理である。
【0019】
S201では、CPU101は、ディスプレイ105に対して、初期表示を行うように制御する。例えば、
図3(a)に示すようなCADソフトの表示のためのウインドウを表示する。ウインドウには、戻るボタン310、終了ボタン311、図面表示領域300などが表示される。なお、後述する処理でなんらかの表示を行う処理の表示先は全てディスプレイ105であるものとする。
【0020】
S202では、CPU101は、ユーザーの操作部106の操作に応じて、ファイルを開くための指示が行われたか否かを判定する。ファイルは、例えば、
図3(a)の図面表示領域300に表示される対象となる図面のファイルである。図面のファイルに記録された図面は、例えば、CADソフトで作成されたCAD図面である。ファイルを開くための指示が行われた場合には、処理はS203に進み、ファイルを開くための指示が行われていない場合には、処理はS204に進む。
【0021】
S203では、CPU101は、指示された図面のファイルを不揮発性メモリ103から読み込み、読み込んだファイルの図面をディスプレイ105に表示するように制御する。
図3(a)の例では、図面表示領域300に、図面の要素(構成部品)として、図形であるオブジェクト301a、302a、303a、304aを含む図面が表示される。なお、この時点では
図3(a)の右クリックメニュー320は表示されていないものとする。
【0022】
S204では、CPU101は、ユーザーの操作部106の操作に応じて、オブジェクトの配置操作が行われたか否かを判定する。オブジェクトの配置操作には、オブジェクトの新規配置(描画、挿入)、移動、サイズ変更などが含まれる。オブジェクトの配置操作が行われた場合には、処理はS205に進み、オブジェクトの配置操作が行われていない場合には、処理はS206に進む。
【0023】
S205では、CPU101は、ユーザーの操作部106の操作に応じて、オブジェクトを図面上に配置し、オブジェクトが配置された図面をディスプレイ105に表示するように制御する。
【0024】
S206では、CPU101は、連続コピーツールを選択する操作があったか否かを判定する。より詳しくは、操作部106に含まれるマウスの右クリックをすることで表示される
図3(a)の右クリックメニュー320に含まれるメニュー項目321~S325のうち、連続コピーツールのメニュー項目322がクリックされたか否かを判定する。このように、連続コピーツールは、右クリックメニューから選択する。すなわち、連続コピーツールを利用する動作モードである連続コピーモードへのモード変更操作は、右クリックメニューからの項目の選択である。これにより、少ないマウス移動量で、キーボードなどのマウス以外の操作部材を操作することなく、素早く簡単に連続コピーツールを利用する(起動する)ことができる。連続コピーツールを選択する操作があった場合にはS207に進み、そうでない場合にはS219に進む。
【0025】
S207では、CPU101は、連続コピーモードに移行させ、連続コピーモードの表示を行う。具体的には、
図3(b)に示すように、情報バー314に「複製したい図形をクリックしてください。」との文字列で、連続コピーモードでの操作方法のガイダンスを表示する。また、マウスカーソルの表示形態を、通常の表示形態からオブジェクトの選択が可能な状態に対応する表示形態に変更する。これによってユーザーは、連続コピーツールの選択によって連続コピーモードに遷移したこと、およびどのような操作を行えばよいかを認識することができる。なお、
図3(b)におけるオブジェクト301aに対して寸法を図示しているが、これは後述するΔ(x、y)を説明するための図示であって、表示されるものではない。また、
図3(b)の表示例は、
図3(a)の表示状態から連続コピーモードに遷移した直後のものではなく、連続コピーモードに遷移してからオブジェクト301aを複製してオブジェクト301bを配置した後の表示例である。オブジェクト301bの配置の詳細は後述する。
【0026】
S208では、CPU101は、メモリ102に保持する変数Cを0に、Δ(x、y)をNULL(データ無し)に初期化(クリア)する。変数Cは、連続コピーモードに遷移してから複製されたオブジェクトの総数を表す変数である。Δ(x、y)は複製したオブジェクトを、複製元のオブジェクトからどの程度ずらした位置に配置するかを表す相対座標値である。
【0027】
S209では、CPU101は、図面表示領域300に表示された配置済みのオブジェクトの位置が選択されたか否かを判定する。例えば、
図3(a)のようにオブジェクト301a~304aが表示されている状態で連続コピーモードに遷移した直後であれば、オブジェクト301a~304aのいずれかの位置でクリックがされたか否かを判定する。すなわち、オブジェクトを指定するクリック操作の受付を行う。配置済みのオブジェクトの位置を選択する操作(オブジェクトを指定するクリック操作)があった場合はS210に進み、そうでない場合にはS214に進む。
【0028】
S210では、CPU101は、変数Cを1つインクリメントしてC=C+1とする。
【0029】
S211では、CPU101は、変数C=1であるか否かを判定する。すなわち、連続コピーモードに遷移してから最初の複製操作(配置済みオブジェクトの選択操作)であるか否かを判定する。C=1(最初の複製操作)である場合にはS212に進み、そうでない場合(2回目以降の複製操作)にはS213に進む。
【0030】
S212では、CPU101は、S209で選択された配置済オブジェクト(複製元のオブジェクト)のサイズに基づいて、ズラシ量Δ(x、y)を算出(決定)し、メモリ102に記録する。Δ(x、y)について
図3(b)を参照して説明する。配置済みのオブジェクト301aが複製元としてクリックされた場合には、このオブジェクト301aの横のサイズ(横幅、X1とする)、縦のサイズ(縦幅、Y1とする)に基づいてΔ(x、y)を算出する。具体的には、横幅と縦幅のそれぞれに所定の倍率Mを乗じた値(所定倍した値)とする。すなわち、Δ(x、y)=(X1*M、Y1*M)である。本実施形態ではM=0.10であるものとする。すなわち、Δx、Δyはそれぞれ、X1とY1の10分の1である。Mの値は、複製したオブジェクトを複製元のオブジェクトからどの程度ずらした位置に配置するかを決める変数であり、複製元と複製先のオブジェクトそれぞれの視認性、操作性を考慮し、0.08~0.20のいずれかに設定するのが好ましい。Mが小さすぎるとズラシ量が少なく、複製元と複製先の重なりが大きくなるため、重なった下のオブジェクトを選択し難くなり、操作性・視認性が低下する。また、Mが大きすぎるとズラシ量が大きく、複製元と複製先のオブジェクトの関係性を把握しにくくなる(複製元と複製先であることが理解しにくくなる)。また、他の関係のないオブジェクトに重なる量が大きくなるため、重なった下の他の関係のないオブジェクトの操作性、視認性が低下する。なお、S212で算出して記憶したΔ(x、y)は、連続コピーモードから抜けるまで、他のサイズの異なるオブジェクトを複製する場合にも適用する。この理由は後述する。
【0031】
S213では、CPU101は、S209で選択された配置済オブジェクトを複製して、ズラシ量Δ(x、y)の距離(所定距離)だけ複製元のオブジェクトからずらした位置に配置する。複製されたオブジェクトは、複製元のオブジェクトの上面側に重畳して表示する。これによって、複製元のオブジェクトと複製先のオブジェクトの関係性が認識しやすくなる。また、複製した複製オブジェクトをC番目の複製オブジェクトとしてメモリ102に記録する。
【0032】
図3(b)を用いてS213の処理を説明する。
図3(b)は、連続コピーモードに遷移してからオブジェクト301aがクリックされた場合の表示例である。オブジェクト301aを複製した複製オブジェクトであるオブジェクト301bが生成され、複製元のオブジェクト301aの基準位置(本実施形態では図形の左下)からΔ(x、y)だけ右上(x、yともに正の方向)にずらした位置に複製されたオブジェクト301bの基準位置が位置するように、オブジェクト301bを配置(表示)する。また、複製元のオブジェクト301aより前面側に複製先のオブジェクト301bが配置される。すなわち、複製元のオブジェクト301aに一部重畳して複製先のオブジェクト301bが配置される。なお、すでに連続コピーモードに遷移してから同一の複製元のオブジェクトを複製して生成された複製オブジェクトが配置されている場合もある。この場合には、最新の(最前面の)複製オブジェクトの位置からΔ(x、y)だけずらした位置に新たに複製した複製オブジェクトを配置する。すなわち、
図3(b)の状態からさらにオブジェクト301aがクリックされた場合には、オブジェクト301bの位置からΔ(x、y)だけずらした位置に、更なる複製オブジェクト301c(
図3(c)に図示)を配置することとなる。
【0033】
一方、S214では、CPU101は、元に戻す操作(戻るボタン310のクリックまたはキーボードのCtrlキー+Zキー押下)が行われたか否かを判定する。元に戻す操作があった場合にはS215に進み、そうでない場合にはS216に進む。
【0034】
S215では、CPU101は、1~C番目の複製オブジェクトを全て消去する。すなわち、今回連続コピーモードに遷移して以降、複数回のクリックによって複製された複数の複製オブジェクトをすべて消去する。このようにすることで、複製されたオブジェクトを1つ1つ削除する操作をせずとも、連続コピーモードの遷移前の状態に1操作で戻すことが可能である。なお、1~C番目の複製オブジェクトのすべてを消去するのではなく、最新の複製オブジェクト(N番目の複製オブジェクト)を1つだけ消去する設計としても良い。本実施形態ではその後、S216に進んで連続コピーモードを解除するものとするが、連続コピーモードを解除せずにS209に戻るおうにしても良い。
【0035】
S216では、連続コピーモードを解除する。すなわち、S207で表示した連続コピーモードの表示を解除し、通常の表示に戻す。
【0036】
S217では、CPU101は、図面上(図面表示領域300内)であって、オブジェクトが未配置の領域がクリックされたか否かを判定する。図面上のオブジェクト未配置の位置がクリックされた場合にはS216へ進んで連続コピーモードを解除し、そうでない場合にはS218へ進む。このように、図面上のオブジェクト未配置の領域をクリックするだけで連続コピーモードを解除できる。すなわち、所望のオブジェクト複製配置を所望の数だけ行った後、キーボード操作することなく簡単かつ少ない操作手数で連続コピーモード(オブジェクトをクリックするだけで複製配置できる状態)を解除することができる。
【0037】
S218では、CPU101は、連続コピーツールとは別のツールを選択する操作があったか否かを判定する。別のツールを選択する操作があった場合にはS216に進んで連続ピーモードを解除したうえで、選択された別のツールに応じた処理を行う。そうでない場合はS209に進む。
【0038】
以上説明したS206~S218が、連続コピーツールの処理である。連続コピーツールの効果について詳述する。
【0039】
図3(c)は、
図3(a)の状態から連続コピーモードに遷移し、オブジェクト301aを7つ複製して複製元と合わせて8つ(オブジェクト301a~301h)の配置とし、その後にオブジェクト302aを3つ複製して複製元と合わせて4つ(オブジェクト302a~302d)の配置とした場合の表示例である。この状態にするには、ユーザーは
図3(a)の状態から連続コピーモードに遷移させ、オブジェクト301aを7回クリックし、オブジェクト302aを3回クリックするだけでよい。すなわち、簡単で直感的な操作によって素早く所望のオブジェクトを所望の数だけ複製して配置することができる。
【0040】
また、さらに連続コピーツールの効果を説明するため、比較対象として、連続コピーツール(連続コピーモード)を用いずに似たようなことを行おうとした場合の、3つの操作方法を説明する。
【0041】
1つ目は、複製したいオブジェクト(複製元オブジェクト)を選択した状態で、キーボードのCtrlキーとCキーを同時に押下してコピーを行い、キーボードのCtrlキーとVキーを同時に押下するペースト操作を複製したい数だけ繰り返すという方法がある。しかしこれは、キーボード操作が必要であり、マウス操作だけで完結する連続コピーツールを用いたコピーよりも煩雑である。ユーザーは場合よってはマウスだけを用いて操作する必要がある。例えば片手に物を持った状態での操作などである。このような場合、キーボードとマウスの両方を使う操作では両手での操作が必要となり好ましくない。連続コピーツール(連続コピーモード)を用いた本実施形態によれば、マウス操作だけで複製元の指定とコピー&ペーストに相当する操作が可能であるため、マウスを持つ片手だけの操作が可能であり、使い勝手が良い。また、CtrlキーとCキーの同時押下でコピーを行い、キーボードのCtrlキーとVキーの同時押下でペーストをする方法では、コピーとペーストの2つの操作が必要となる。これに対し連続コピーツール(連続コピーモード)を用いた本実施形態によれば、複製元となるオブジェクトに1回クリックするだけでコピーとペーストが行われるため、より少ない操作手数で所望のオブジェクトを複製して配置することができる。
【0042】
2つ目は、複製したいオブジェクト(複製元オブジェクト)を選択した状態で、マウスの右クリックを行って右クリックメニューを表示させ、右クリックメニューの中の「コピー」を選択(左クリック)する。そしてさらに、マウスの右クリックを行って右クリックメニューを表示させ、右クリックメニューの中の「ペースト」を選択(左クリック)する操作である。これはマウスだけで完結する操作とすることが可能であるが、複製元を指定して複製を行って配置するまでに4回のクリック(左クリックと右クリックをそれぞれ2回)が必要となる。ペーストを繰り返すにしても、マウスの右クリックを行って右クリックメニューを表示させ、右クリックメニューの中の「ペースト」を選択(左クリック)する操作で2回のクリック操作(左右1回ずつ)が必要となる。これに対し連続コピーツール(連続コピーモード)を用いた本実施形態によれば、複製元となるオブジェクトに1回クリックするだけ(クリックという単一の操作だけ)でコピーとペーストが行われるため、より少ない操作手数で所望のオブジェクトを複製して配置することができる。1回の複製では数クリックの差といえども、同じオブジェクトを3つ以上の多くの数だけ複製する場合には、この操作手数の差はより大きくなり、大きな効果となる。
【0043】
3つ目は、複製したいオブジェクト(複製元オブジェクト)を選択した状態で、複製したい数の入力を受け付ける表示アイテムを表示し、キーボードでの数値入力や数値の増減ボタンのクリックに応じて複製数の入力を受け付け、入力された複製数の分だけ複製して配置する操作である。しかしこの操作は、複製したいオブジェクト毎に数値の入力が必要であり、複製したいオブジェクトを複製したい数だけクリックするだけ、という本実施形態の連続コピーモードの操作感と比較すると直感的ではなく、なおかつ煩雑である。すなわち、本実施形態の連続コピーモードの操作感は、より直感的で簡単である。
【0044】
また、上記1つ目~3つ目の方法のいずれにおいても、ズラシ量は本実施形態の連続コピーモードのようにはならず、本実施形態のズラシ量Δ(x、y)の効果は得られない。
【0045】
S212で算出して記憶したΔ(x、y)を、連続コピーモードから抜けるまで、他のサイズの異なるオブジェクトを複製する場合にも適用する理由(効果)を説明する。
【0046】
理由(効果)の1つ目は、複製した数の比較がしやすいことである。異なる種別の複製オブジェクトであっても、1つあたりのズラシ量が同じΔ(x、y)である。そのため、同一種別のオブジェクトを複数複製した場合、最下層のオブジェクト(複製元オブジェクト)から最上層のオブジェクト(最新の複製オブジェクト)までの距離は、どの種別(どのサイズ)のオブジェクトであってもΔ(x、y)に比例したものとなる。
図3(c)の例では、先にオブジェクト301a~301hの複製を行ったため、オブジェクト302a~302dの1つあたりのズラシ量も、オブジェクト301a~301hと同じとなっている。従ってオブジェクト301aの左下頂点から、オブジェクト301hの左下頂点までの距離は、Δ(x、y)×7となる。オブジェクト302aの左下頂点から、オブジェクト302dの左下頂点までの距離は、Δ(x、y)×3となる。この距離の差を目視で見ることで、概ね、オブジェクト302の群はオブジェクト301の群の半分程度の数まで複製できたことがわかる。ここが同じ距離だと目視で判別できれば、同じ数だけ複製できたことがわかる。ユーザーは頭の中で複製したい数を数えながらクリックを繰り返す操作を行うと想定されるが、これに、他のオブジェクトの複製オブジェクトの群との目視での比較を組み合わせることで、よりミスなく所望の数の複製を行うことができる。
【0047】
理由(効果)の2つ目は、複数の異なるオブジェクトの相対位置関係が保たれることである。
図3(d)、
図3(e)を用いてこの効果を詳述する。
図3(d)のようにオブジェクト301a~304aの4つの異なるオブジェクトを組み合わせた配置パターンを作成したとする。なお、オブジェクト301a~304aのそれぞれは、
図3(b)で説明したものと同一である。これに対し、連続コピーツールを用いて、オブジェクト301a~304aのそれぞれを3回クリックして3つずつ複製した(複製元と合わせて4つずつとなった)場合の例が
図3(e)である。いずれの複製オブジェクトも、ズラシ量は同じΔ(x、y)を用いるため、
図3(e)の最上層のオブジェクト301d~304dの相対的な位置関係(配置パターン)は、
図3(d)のオブジェクト301a~304aと同じ関係を保つ。すなわち、連続コピーツールを用いて、複製元のオブジェクト群(オブジェクト301a~304a)と同じ配置パターン(位置関係)のオブジェクト群(オブジェクト301d~304d)を複製することができる。このようにして複製した同一の配置パターンのオブジェクト群を用いて、例えば
図6(a)に示すような配置のオブジェクト群を作成することができる。この例は、タイルまたはブロックの配置模様の設計・デザインに用いた例である。
【0048】
【0049】
S219では、CPU101は、連続適用ツールを選択する操作があったか否かを判定する。より詳しくは、操作部106に含まれるマウスの右クリックをすることで表示される
図3(a)の右クリックメニュー320に含まれるメニュー項目321~S325のうち、連続適用ツールのメニュー項目324がクリックされたか否かを判定する。このように、連続適用ツールは、右クリックメニューから選択する。これにより、少ないマウス移動量で、キーボードなどのマウス以外の操作部材を操作することなく、素早く簡単に連続適用ツールを利用する(起動する)ことができる。連続適用ツールを選択する操作があった場合にはS220に進み、そうでない場合にはS221に進む。
【0050】
S220では、CPU101は、連続適用ツール処理を行う。連続適用ツール処理については
図4を用いて後述する。
【0051】
S221では、CPU101は、連続適用ツールの設定ツール(連続適用データセット)を選択する操作があったか否かを判定する。より詳しくは、操作部106に含まれるマウスの右クリックをすることで表示される
図3(a)の右クリックメニュー320に含まれるメニュー項目321~S325のうち、連続適用ツールの設定を行うためのメニュー項目であるメニュー項目325がクリックされたか否かを判定する。連続適用データセットを選択する操作があった場合にはS222に進み、そうでない場合にはS223に進む。
【0052】
S222では、CPU101は、連続適用設定処理を行う。連続適用設定処理については
図5を用いて後述する。
【0053】
S223では、CPU101は、その他の操作が行われたか否かを判定する。その他の操作が行われた場合にはS224に進んでその他の操作に応じた処理を行う。そうでない場合にはS225に進む。その他の操作として、例えば、連続削除ツールのメニュー項目321を選ぶ操作に応じた連続削除モードでの削除処理がある。連続削除ツールを用いた連続削除モードは、削除したいオブジェトを1回クリックするだけで、クリックしたオブジェクトを削除することが可能なモードである。また、その他の操作として、例えば、連続ペーストツールのメニュー項目323を選ぶ操作に応じた連続ペーストモードモードでのペースト処理がある。連続ペーストツールを用いた連続ペーストモードではまず、複製元のオブジェクトをクリックして指定(コピー)する。その後、それを複製した複製オブジェクトを配置したい位置として、図面表示領域300のうちオブジェクト未配置の位置を、複数個所順次クリックするだけで、クリックした位置にそれぞれ複製オブジェクトを配置(ペースト)できるモードである。
【0054】
また、S224で行うその他の操作として、連続コピーモードと連続適用モードのいずれとも異なる通常モードにおける、配置済みオブジェクトをクリックした操作に応じた処理がある。通常モードでは、配置済みオブジェクトがクリックされた場合、クリックに応じてクリックされたオブジェクトを複製して配置することはしない。また、通常モードでは、配置済みオブジェクトがクリックされた場合、クリックに応じてクリックされたオブジェクトに、連続適用ツールのデータセットに登録された機能を適用することはしない。通常モードでは、配置済みオブジェクトがクリックされた場合、クリックされたオブジェクトを選択状態とし、選択状態のオブジェクトに対して、選択されたことが識別可能な選択枠や操作パス(操作ハンドル)を表示する。操作パス(操作ハンドル)を操作することで、選択状態のオブジェクトのサイズ変更が可能である。また、選択状態のオブジェクトをドラッグすることで、選択状態のオブジェクトの配置される位置(表示位置)を変更可能である。オブジェクトを選択状態にして右クリックを行うことで、右クリックメニューにコピーのコマンドが表示される。
【0055】
S225では、CPU101は、ファイルを保存する操作があったか否かを判定する。ファイルを保存する操作があった場合には、S226に進み、不揮発性メモリ103にCADファイルを保存する。これによって、連続コピーツールで複製されたオブジェクトや、連続適用ツールによって処理を施されたオブジェクトを含む図面が保存される。
【0056】
S227では、CPU101は、CADファイルを閉じる(終了させる)操作があったか否かを判定する。CADファイルを閉じる(終了させる)操作が無い場合にはS202に戻って処理を繰り返し、CADファイルを閉じる(終了させる)操作があった場合には、CADソフトを閉じ、
図2の処理を終了する。
【0057】
図4に、連続適用ツール処理のフローチャートを示す。このフローチャートは、前述した
図2のS220の処理の詳細である。
【0058】
S401では、CPU101は、連続適用モードに移行させ、連続適用モードの表示を行う。具体的には、
図6(a)に示すように、情報バー314に「クリックしてください」との文字列で、連続適用モードでの操作方法のガイダンスを表示する。また、マウスカーソルの表示形態を、通常の表示形態からオブジェクトの選択が可能な状態に対応する表示形態に変更する。これによってユーザーは、連続適用ツールの選択によって連続適用モードに遷移したこと、およびどのような操作を行えばよいかを認識することができる。また、ダイアログボックス(以下、単にダイアログと称する)610に連続適用ツールでの操作ガイドを表示する。ダイアログ610には、操作方法611~613が表示される。操作方法611~613はそれぞれ操作方法を示す「Ctrl+Click」、「Alt+Click」、「Click」という文字列が表示されている。本実施形態では文字列で操作方法を表す例を説明するが、アイコン表記などの図形・記号による操作方法の表記でもよい。操作方法611は、前々回に適用した機能(処理)を適用するための操作方法を示している。操作方法612は、前回に適用した機能(処理)(直前に適用した機能と同じ機能)を適用するための操作方法を示している。操作方法613は、前回に適用した機能(処理)(直前に適用した機能と同じ機能)と異なる次の機能を適用するための操作方法を示している。また、操作方法611~613のそれぞれに対応付けて、適用順序(#1~#3)、適用される処理を示す文字列(茶、赤、灰)、適用される処理のサンプル・見本(ダイアログ内の右側の四角)が表示される。ユーザーはダイアログ610を見ることで、現時点でどのような操作を行えばどのような機能(処理)が適用されるかを認識して連続適用モードでの操作を行うことができる。
【0059】
S402では、CPU101は、図面表示領域300に表示された配置済みのオブジェクトの位置が選択(クリック)されたか否かを判定する。より詳しくは、クリックされた場合に、マウスカーソルによって入力されている位置(入力位置)を取得し、その位置が配置済みのオブジェクトの位置であるか否かを判定する。配置済みのオブジェクトの位置がクリックされた場合はS403に進み、そうでない場合にはS409に進む。
【0060】
S403では、CPU101は、不揮発性メモリ103を参照して連続適用ツールにいずれかの機能が登録されているか否かを判定する。未登録である場合にはS404に進み、機能が登録されている場合にはS405へ進む。
【0061】
S404では、CPU101は、機能の登録を促す表示を行う。例えば、「使用できるデータセットがありません。連続適用データセットの設定をご確認ください」というメッセージボックスを表示(通知)する。
【0062】
S405では、CPU101は、S402でクリックされたオブジェクトに、N番目の機能を適用する。変数Nは、連続適用データセットに予め登録された複数の機能の順序を示すナンバー(#)を特定するための変数である。CADソフトを起動した最初の初期値はN=1であるものとする。例えば、
図6(a)の例に置ける状況はN=1である。この状態でオブジェクト304aがクリックされると、オブジェクト304に#1の機能が適用され、オブジェクト304が茶色に着色される(塗りつぶされる)。なお、連続適用モードを解除しても変数Nは初期化せず、いったん連続適用モードを解除して、CADソフトを閉じることなく、再び連続適用モードに遷移した場合は、前回保持した変数Nを初期化することなく用いる。これによって、前回の続きのナンバー(順番)の機能から適用できる。
【0063】
S406では、CPU101は、変数Nをインクリメントし、N=N+1としてメモリ102に保持する。
【0064】
S407では、CPU101は、変数Nが、連続適用データセットに登録されたデータグループ(機能グループ)のうち現在選択されているグループに登録されている機能の最大ナンバー(最後の順序)であるNmaxを超えたか否かを判定する。Nmaxを超えていない場合にはS409に進み、超えた場合にはS408に進んでN=1とする。すなわち、最初の順序の機能へと循環させる。
【0065】
S409では、CPU101は、初期化操作がされたか否かを判定する。キーボードの所定のキーが押下されるか、表示された初期化ボタン(不図示)をクリックする操作があると初期化操作があったと判定し、S410に進み、そうでない場合にはS411に進む。
【0066】
S410では、CPU101は、メモリ102に保持した変数Nを初期化してN=1とする。
【0067】
S411では、CPU101は、図面表示領域300に表示された配置済みのオブジェクトの位置にマウスカーソルがある状態で、キーボードのAltキーを押下しながらクリックされたか(Alt+Clickの操作が行われたか)否かを判定する。オブジェクト上でAlt+Clickの操作が行われた場合にはS412に進み、そうでない場合にはS413に進む。
【0068】
S412では、CPU101は、S411でクリックされたオブジェクトに、N―1番目の機能を適用する。N=1の場合はNmaxの機能を適用する。すなわち、前回クリックで適用した機能と同じ機能を適用する。例えば、
図6(b)の例に置ける状況はN=2である。この状態でいずれかのオブジェクトがクリックされると、クリックされたオブジェクトに#1の機能が適用され、オブジェクトが茶色に着色される(塗りつぶされる)。
【0069】
S413では、CPU101は、図面表示領域300に表示された配置済みのオブジェクトの位置にマウスカーソルがある状態で、キーボードのCtrlキーを押下しながらクリックされたか(Ctrl+Clickの操作が行われたか)否かを判定する。オブジェクト上でCtrl+Clickの操作が行われた場合にはS414に進み、そうでない場合にはS415に進む。
【0070】
S414では、CPU101は、S413でクリックされたオブジェクトに、N―2番目の機能を適用する。N=1の場合はNmax-1、N=2の場合はNmaxの機能を適用する。すなわち、前回クリックで適用した機能の1つ前の順序の機能を適用する。例えば、
図6(b)の例に置ける状況はN=2である。この状態でいずれかのオブジェクトがクリックされると、クリックされたオブジェクトに#3の機能が適用され、オブジェクトが灰色に着色される(塗りつぶされる)。
【0071】
S415では、CPU101は、連続適用ツールの終了操作があったか否かを判定する。連続適用ツールの終了操作が無い場合にはS402へ進み、終了操作があった場合には連続適用ツール処理を終了し、
図2のS202に進む。連続適用ツールの終了操作は、図面表示領域300のうちオブジェクトの配置されていない位置のクリックか、別のツールの選択する操作であるものとする。
【0072】
上述した連続適用ツールを用いると、複数のオブジェクトを順次クリックすると、クリックしたオブジェクト(すなわちユーザーが任意に選択した位置のオブジェクト)に対して、設定されている機能グループ(機能群、処理群)の機能を順番に適用していくことができる。例えば、
図6(a)に示す状況(連続適用モードで、選択されている連続適用データセットに#1~#3の3の機能が登録されている場合)から、順次、オブジェクトをクリックすることで、
図3(b)の状態とすることができる。
図3(b)は、
図3(a)の状態から、オブジェクト304a、301a、303a、301c、302a、301b、303bという順番で順次オブジェクトがクリックされた場合の表示例である。一例としてこのように、まだら模様の設計・デザインなどを操作性良く行うことができる。
【0073】
連続適用ツールでは、複数のオブジェクトに対してそれぞれ異なる機能を適用したい場合に、それぞれのオブジェクトに対して何の機能を適用する(施す)のかをオブジェクト毎に選択する操作は必要ない。機能グループに登録された次の機能を適用したいオブジェクトを順番にクリックしていけばよいだけである。すなわち、複数のオブジェクトにそれぞれ異なる機能を適用する場合の操作性を向上させることができる。
【0074】
図5に、連続適用設定処理のフローチャートを示す。この処理は、
図2のS222の処理の詳細である。
【0075】
S501では、CPU101は、連続適用データセットの設定ダイアログを表示する。
図6(c)に、連続適用データセットの設定ダイアログの表示例を示す。領域631は、現在選択しているデータセット(機能グループ、機能群)を表示する領域であり、登録されている機能名が#と対応付けて順番に並べて表示されている。機能名はユーザーが任意に設定可能である。カーソル632は領域631に表示された機能群のうち、現在選択されている機能を示す。カーソル632は任意の機能に移動可能である。領域631には、追加ボタン631aを押下することにより機能を追加することが可能である。また、複製ボタン631bを押下することにより、カーソル632で選択している機能を複製して追加することができる。これにより、同じ機能を続けて適用するように全く同じ機能を登録したり、複製した機能の設定を一部変更して複製元と少し異なる機能を登録するといったことが可能である。削除ボタン631cがクリックされると、カーソル632でせんたくしている機能が領域631から(選択しているデータセットから)削除される。
【0076】
領域633は、カーソル632で選択してる機能名の機能の内容を設定する操作を受け付ける領域である。カーソル632で選択している1つの機能として、オブジェクトの面の属性としての色や模様、オブジェクトの線の色や太さと言った属性、文字の属性、その他属性の少なくとも1つを含む、複数の設定項目(複数種類のパラメータ)を組み合わせた設定を適用する機能を作成可能である。
【0077】
領域634は、カーソル632で選択している機能の名称を設定する領域である。領域634を選択して任意の文字列を入力することで、任意の名前に設定できる。
【0078】
領域635は、現在選択されているデータセットの名称を表示する領域である。データセットは複数登録可能である。領域634の右側の下向き記号をクリックすることにより、登録済みの複数のデータセット(複数の機能群)がプルダウンメニューとして表示され、任意のデータセットを選択可能である。また、領域634の文字領域をクリックして任意の文字列を入力することにより、データセット名も任意に設定可能である。
【0079】
S502では、CPU101は、領域631、領域633、領域634のいずれかに対する設定操作、すなわちデータセット(機能群)に対する機能の登録または編集操作が行われたか否かを判定する。設定操作があった場合にはS503に進み、そうでない場合にはS504に進む。
【0080】
S503では、CPU101は、領域631、領域633、領域634のいずれかに対する設定操作に応じた設定処理を行う。
【0081】
S504では、CPU101は、グループ名(データセット名)の入力操作(領域635に対する文字入力操作)があったか否かを判定する。グループ名の入力操作があった場合にはS505に進んで操作に応じてグループ名を入力し、そうでない場合はS506へ進む。
【0082】
S506では、CPU101は、選択している機能グループ(データセット)の変更操作があったか否かを判定する。機能グループ(データセット)の変更操作は、領域634の右側の下向き記号をクリックすることにより表示されるプルダウンメニューからデータセットを選択する操作である。機能グループ(データセット)の変更操作があった場合にはS507に進み、選択された機能グループ(データセット)に変更する。そうでない場合にはS508に進む。
【0083】
S508では、CPU101は、OKボタン636がクリックされたか否かを判定する。OKボタン636がクリックされた場合はS509に進み、そうでない場合には510に進む。
【0084】
S509では、CPU101は、S501~S507の処理で設定された内容を不揮発性メモリ103に保存(記録)し、設定ダイアログを非表示にして連続適用設定処理を終了し、
図2のS202に進む。
【0085】
S510では、CPU101は、キャンセルボタン637がクリックされたか否かを判定する。キャンセルボタン637がクリックされた場合は、S501~S507の処理で設定された内容を不揮発性メモリ103に保存(記録)することなく、設定ダイアログを非表示にして連続適用設定処理を終了し、
図2のS202に進む。そうでない場合にはS502に戻って処理を繰り返す。
【0086】
以上説明した本実施形態によれば、より操作性よくオブジェクトの編集を行うことが可能となる。
【0087】
なお、上述の実施形態では、PCにおけるクリック操作での説明をしたが、本発明は、タッチ操作可能なPC、タブレット端末、スマートフォンなどの電子機器にも適用可能である。タッチ操作に応じて上述の各種処理を行う場合は、上述したクリックを、画面をタッチする操作(表示領域上を指示、位置指定、位置入力する操作)に置き換えることで適用可能である。
【0088】
なお、CPU101が行うものとして説明した上述の各種制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェア(例えば、複数のプロセッサや回路)が処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0089】
なお、上述の実施形態においては、オブジェクトとして図面の要素(構成部品)である図形の例を説明したが、オブジェクトはこれに限るものではない。テキストや記号、表、表のセル、キャラクタなど、編集対象の要素であればどのようなオブジェクト(対象)にも本実施形態を適用可能である。
【0090】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0091】
また、上述した実施形態においては、本発明をPCにおけるCADアプリに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、何らかのオブジェクトの編集が可能な装置、ソフトウェアであれば適用可能である。例えば、CAD以外の各種作図ソフト、レイアウト編集ソフト、プレゼンテーションソフト、画像編集ソフト、グラフィックデザインソフト、文書作成ソフト、表計算ソフトなどに適用可能である。また、上述した実施形態においては、本発明を
図1の電子機器100に適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、何らかのオブジェクトの編集が行える電子機器であれば適用可能である。すなわち、本発明は、パーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、ディスプレイを備えるプリンタ装置、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダーなどに適用可能であ
【0092】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0093】
100 電子機器、101 CPU、102 メモリ、103 不揮発性メモリ、104 画像処理部、105 ディスプレイ、106 操作部、107 記録媒体I/F、108 記録媒体、109 外部I/F、110 通信I/F、111 インターネット、112 カメラ部、150 内部バス