(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162112
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】注射器セット
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
A61M5/32 500
A61M5/32 510F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024973
(22)【出願日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2022072597
(32)【優先日】2022-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390029676
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】八島 拓弥
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066NN02
4C066NN07
4C066NN08
(57)【要約】
【課題】保護具を針基に抜け止め状態で取り付けることができ、保護具の使用時の利便性を向上させることができる注射器セットを提供する。
【解決手段】注射器セット1は、針基3及び保護カバー10を備えている。保護カバー10は、取付部11の第1及び第2突起11f,11gが針基3の環状溝31eに嵌合することにより、針基3に取り付けられている。第1突起11fは、環状溝31eの一方の壁に摺接し、第2突起11gは、環状溝31eの他方の壁に摺接している。一対の第1突起11f,11f及び一対の第2突起11g,11gは2回回転対称性を有するように配置されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射針及びシリンジが取り付けられる針基と、
当該針基に取り付けられる取付部を有し、前記注射針を覆う状態で保護するための保護具と、を備えた注射器セットにおいて、
前記針基の外周面には、互いに嵌合可能な凹部及び複数の凸部の一方が形成されており、
前記取付部は、前記凹部及び前記複数の凸部の他方が内周面に形成された内孔を有し、前記凹部及び前記複数の凸部が互いに嵌合した状態で前記針基に取り付けられており、
前記凹部は、前記針基の前記外周面又は前記取付部の前記内周面の周方向に沿って円環状に形成されており、
前記複数の凸部は、前記凹部に嵌合している状態で先端部が当該凹部の軸線方向の一方の壁に摺接する一対の第1凸部と、各々が当該一対の第1凸部の間に配置され、前記凹部に嵌合している状態で先端部が当該凹部の軸線方向の他方の壁に摺接する一対の第2凸部とを有しており、
前記一対の第1凸部及び前記一対の第2凸部は、前記取付部の内周面において前記内孔の中心を挟んで対向する位置を含むように延在している、又は、前記針基の外周面において前記針基の中心を挟んで対向する位置を含むように延在していることを特徴とする注射器セット。
【請求項2】
請求項1に記載の注射器セットにおいて、
前記一対の第1凸部及び前記一対の第2凸部の少なくとも一方は、前記取付部の前記内孔又は前記針基の中心軸線周りの2回回転対称性を有していることを特徴とする注射器セット。
【請求項3】
請求項2に記載の注射器セットにおいて、
前記一対の第1凸部の各々及び前記一対の第2凸部の各々は、前記取付部の前記内孔又は前記針基の中心軸線周りに互いに等間隔で配置されていることを特徴とする注射器セット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の注射器セットにおいて、
前記針基の前記外周面及び前記取付部の前記内周面には、互いに嵌合可能な他の凹部及び複数の他の凸部が、前記凹部及び前記複数の凸部に対して軸線方向に離間して配置されていることを特徴とする注射器セット。
【請求項5】
請求項1に記載の注射器セットにおいて、
前記保護具は、
前記注射針を覆わない非カバー位置と、前記注射針の少なくとも針先を含む所定部位を覆うカバー位置と、当該カバー位置に対して前記非カバー位置と反対側に位置して前記取付部に係止されるロック位置との間で移動可能に構成された保護カバー部と、
前記保護カバー部と前記取付部の間に設けられ、前記保護カバー部を前記非カバー位置と前記カバー位置との間で回動させるように構成されたヒンジ部と、
をさらに有し、
前記保護カバー部は、前記ヒンジ部側の内面に仮止め凹部を有しており、当該仮止め凹部は、当該保護カバー部の回動方向に沿って延びる一対の側壁を有しており、
前記取付部は、前記保護カバー部が前記非カバー位置から前記カバー位置に回動する際、当該カバー位置よりも手前の位置から前記保護カバー部の前記凹部の前記一対の側壁に摺接した状態で当該仮止め凹部に圧入される仮止め凸部をさらに有していることを特徴とする注射器セット。
【請求項6】
請求項1に記載の注射器セットにおいて、
前記保護具は、
前記注射針を覆わない非カバー位置と、前記注射針の少なくとも針先を含む所定部位を覆うカバー位置と、当該カバー位置に対して前記非カバー位置と反対側に位置して前記取付部に係止されるロック位置との間で移動可能に構成された保護カバー部と、
前記保護カバー部と前記取付部の間に設けられ、前記保護カバー部を前記非カバー位置と前記カバー位置との間で回動させるとともに、前記保護カバー部が前記カバー位置にあるときに、当該保護カバー部を前記非カバー位置と反対側に押圧するように構成されたヒンジ部と、
をさらに有し、
前記取付部は、前記保護カバー部が前記非カバー位置から前記カバー位置に回動する際、当該カバー位置よりも手前の手前位置で前記保護カバー部の第1当接部が当接する被当接部をさらに有していることを特徴とする注射器セット。
【請求項7】
請求項6に記載の注射器セットにおいて、
前記取付部の前記被当接部は、前記保護カバー部が前記カバー位置から前記ロック位置まで回動した際、前記保護カバー部が前記ロック位置に保持されるように、前記保護カバー部の第1当接部と異なる第2当接部と当接するように構成されていることを特徴とする注射器セット。
【請求項8】
請求項1に記載の注射器セットにおいて、
前記保護具は、
前記注射針を覆わない非カバー位置と、前記注射針の少なくとも針先を含む所定部位を覆うカバー位置と、当該カバー位置に対して前記非カバー位置と反対側に位置して前記取付部に係止されるロック位置との間で移動可能に構成された保護カバー部と、
前記保護カバー部と前記取付部の間に設けられ、前記保護カバー部を前記非カバー位置と前記カバー位置との間で回動させるように構成されたヒンジ部と、
をさらに有し、
前記取付部は、互いに対向するように設けられた一対の第1仮止め凸部を有しており、
前記保護カバー部は、前記非カバー位置から前記カバー位置に回動する際、当該カバー位置よりも手前の位置から前記取付部の前記一対の第1仮止め凸部に当接してから当該一対の第1仮止め凸部を乗り越えるように設けられた一対の第2仮止め凸部を有しており、
前記保護カバー部は、前記カバー位置にある場合、前記取付部に対して前記カバー位置に保持されることを特徴とする注射器セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射針を保護する保護具を備えた注射器セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、注射器セットとして特許文献1に記載されたものが知られている。この注射器セットは、注射針を保護するための保護具及び針基などを備えている。針基は、4つのリブを外周面に備えており、これらのリブは、針基の軸線方向に沿って延びている。
【0003】
一方、保護具は、保護カバー部及び取付部を備えている。この取付部には、内孔が形成されており、この内孔の壁には、4つの切欠き溝が形成されている。この注射器セットでは、針基が取付部の内孔に挿入され、4つのリブが4つの切欠き溝に嵌合することにより、保護具が針基に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の注射器セットによれば、4つのリブが4つの切欠き溝に嵌合することにより、保護具が針基に取り付けられている関係上、保護具を針基に対して軸線方向に移動させるような力が作用した場合、保護具が針基から抜けるおそれがある。また、同じ理由により、保護具が針基に取り付けられた後、保護具と針基の位置関係が変更できず、保護具を使用する際の利便性が低いという問題もある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、保護具を針基に抜け止め状態で取り付けることができ、保護具の使用時の利便性を向上させることができる注射器セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、注射針及びシリンジが取り付けられる針基と、針基に取り付けられる取付部を有し、注射針を覆う状態で保護するための保護具と、を備えた注射器セットにおいて、針基の外周面には、互いに嵌合可能な凹部及び複数の凸部の一方が形成されており、取付部は、凹部及び複数の凸部の他方が内周面に形成された内孔を有し、凹部及び複数の凸部が互いに嵌合した状態で針基に取り付けられており、凹部は、針基の外周面又は取付部の内周面の周方向に沿って円環状に形成されており、複数の凸部は、凹部に嵌合している状態で先端部が凹部の軸線方向の一方の壁に摺接する一対の第1凸部と、各々が一対の第1凸部の間に配置され、凹部に嵌合している状態で先端部が凹部の軸線方向の他方の壁に摺接する一対の第2凸部とを有しており、
一対の第1凸部及び一対の第2凸部は、取付部の内周面において内孔の中心を挟んで対向する位置を含むように延在している、又は、針基の外周面において針基の中心を挟んで対向する位置を含むように延在していることを特徴とする。
【0008】
この注射器セットによれば、針基の外周面に形成された凹部及び複数の凸部の一方と、取付部の内孔の内周面に形成された凹部及び複数の凸部の他方とが互いに嵌合した状態で、取付部が針基に取り付けられている。この凹部は、針基の外周面又は取付部の内周面の周方向に沿って円環状に形成されており、複数の凸部における一対の第1凸部及び一対の第2凸部は、取付部の内周面において取付部の中心を挟んで対向する位置を含むように延在しているか、又は、針基の外周面において針基の中心を挟んで対向する位置を含むように延在している。それにより、取付部及び針基を、針基の中心軸線周りに相対的に回動可能な状態にできるとともに、その回動時、円滑な回動状態を確保することができる。その結果、保護具を使用する際、保護具を針基に対して相対的に回動させることで、保護具の位置を、保護具によって注射針を覆う動作を実施しやすい状態にすることができ、保護具の使用時の利便性を向上させることができる。
【0009】
また、注射針及びシリンジなどが針基に取り付けられた後、薬液が注射器に注入される際、保護具を針基の中心軸線周りに回転させることにより、保護具がシリンジの目盛に重ならないようにすることができる。さらに、複数の凸部における一対の第1凸部は、凹部に嵌合している状態で先端部が凹部の軸線方向の一方の壁に摺接し、一対の第2凸部は、各々が一対の第1凸部の間に配置され、凹部に嵌合している状態で先端部が凹部の軸線方向の他方の壁に摺接する。それにより、取付部を針基に抜け止め状態で堅固に取り付けることができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の注射器セットにおいて、一対の第1凸部及び一対の第2凸部の少なくとも一方は、取付部の内孔又は針基の中心軸線周りの2回回転対称性を有していることを特徴とする。
【0011】
この注射器セットによれば、一対の第1凸部及び一対の第2凸部の少なくとも一方が、取付部の内孔又は針基の中心軸線周りの2回回転対称性を有しているので、取付部及び針基が針基の中心軸線周りに相対的に回動する際の円滑性を向上させることができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の注射器セットにおいて、一対の第1凸部の各々及び一対の第2凸部の各々は、取付部の内孔又は針基の中心軸線周りに互いに等間隔で配置されていることを特徴とする。
【0013】
この注射器セットによれば、一対の第1凸部の各々及び一対の第2凸部の各々は、取付部の内孔又は針基の中心軸線周りに互いに等間隔で配置されているので、取付部及び針基が針基の中心軸線周りに相対的に回動する際の円滑性をさらに向上させることができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載の注射器セットにおいて、針基の外周面及び取付部の内周面には、互いに嵌合可能な他の凹部及び複数の他の凸部が、凹部及び複数の凸部に対して軸線方向に離間して配置されており、他の凹部は、周方向に沿って円環状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
この注射器セットによれば、針基の外周面及び取付部の内周面には、互いに嵌合可能な他の凹部及び複数の他の凸部が、凹部及び複数の凸部に対して軸線方向に離間して配置されており、この他の凹部は、周方向に沿って円環状に形成されている。それにより、取付部及び針基が針基の中心軸線周りに相対的に回動する際、両者が相対的にがたつくのを回避でき、さらに安定した回動状態を確保することができる。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1に記載の注射器セットにおいて、保護具は、注射針を覆わない非カバー位置と、注射針の少なくとも針先を含む所定部位を覆うカバー位置と、カバー位置に対して非カバー位置と反対側に位置して取付部に係止されるロック位置との間で移動可能に構成された保護カバー部と、保護カバー部と取付部の間に設けられ、保護カバー部を非カバー位置とカバー位置との間で回動させるように構成されたヒンジ部と、をさらに有し、保護カバー部は、ヒンジ部側の内面に仮止め凹部を有しており、仮止め凹部は、保護カバー部の回動方向に沿って延びる一対の側壁を有しており、取付部は、保護カバー部が非カバー位置からカバー位置に回動する際、カバー位置よりも手前の位置から保護カバー部の凹部の一対の側壁に摺接した状態で仮止め凹部に圧入される仮止め凸部をさらに有していることを特徴とする。
【0017】
この注射器セットによれば、ユーザによって、保護カバー部が非カバー位置からカバー位置に回動される際、取付部の仮止め凸部が、カバー位置よりも手前の位置から保護カバー部の仮止め凹部の一対の側壁に摺接した状態で仮止め凹部に圧入される。それにより、ユーザは、仮止め凸部が仮止め凹部の一対の側壁に圧入される際の抵抗によって、保護カバー部がカバー位置に近い位置まで移動したことを察知することができ、過度な力によって保護カバー部がカバー位置まで回動されるのを回避することができる。
【0018】
また、仮止め凸部が仮止め凹部に圧入されることにより、ユーザによって保護カバー部がカバー位置から非カバー位置側に意図的に回動させられたり、大きな外力が保護カバー部に作用したりしない限り、保護カバー部はカバー位置に保持されることになる。その結果、保護カバーによる注射針の保護機能を高めることができる。
【0019】
請求項6に係る発明は、請求項1に記載の注射器セットにおいて、保護具は、注射針を覆わない非カバー位置と、注射針の少なくとも針先を含む所定部位を覆うカバー位置と、カバー位置に対して非カバー位置と反対側に位置して取付部に係止されるロック位置との間で移動可能に構成された保護カバー部と、保護カバー部と取付部の間に設けられ、保護カバー部を非カバー位置とカバー位置との間で回動させるとともに、保護カバー部がカバー位置にあるときに、保護カバー部を非カバー位置と反対側に押圧するように構成されたヒンジ部と、をさらに有し、取付部は、保護カバー部が非カバー位置からカバー位置に回動する際、カバー位置よりも手前の手前位置で保護カバー部の第1当接部が当接する被当接部をさらに有していることを特徴とする。
【0020】
この注射器セットによれば、ユーザによって、保護カバー部が非カバー位置からカバー位置に回動される際、保護カバー部の第1当接部は、カバー位置よりも手前の手前位置で取付部の被当接部に当接する。それにより、ユーザは、第1当接部が被当接部に当接するときの圧力によって、保護カバー部がカバー位置に近い手前位置まで移動したことを察知することができ、過度な力によって保護カバー部がカバー位置まで回動されるのを回避することができる。
【0021】
また、保護カバー部は、カバー位置にあるときに、ヒンジ部によって、非カバー位置と反対側に押圧するように構成されている。それにより、ユーザによって保護カバー部がカバー位置から非カバー位置側に意図的に回動させられたり、大きな外力が保護カバー部に作用したりしない限り、保護カバー部はカバー位置に保持されることになる。その結果、保護カバーによる注射針の保護機能を高めることができる。
【0022】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の注射器セットにおいて、取付部の被当接部は、保護カバー部がカバー位置からロック位置まで回動した際、保護カバー部がロック位置に保持されるように、保護カバー部の第1当接部と異なる第2当接部と当接するように構成されていることを特徴とする。
【0023】
この注射器セットによれば、保護カバー部がカバー位置からロック位置まで回動した際、取付部の被当接部が、保護カバー部がロック位置に保持されるように、保護カバー部の第1当接部と異なる第2当接部と当接する。それにより、保護カバー部がロック位置からカバー位置と反対側に向かって回動するのを回避することができ、保護具の破損を回避することができる。
【0024】
請求項8に係る発明は、請求項1に記載の注射器セットにおいて、保護具は、注射針を覆わない非カバー位置と、注射針の少なくとも針先を含む所定部位を覆うカバー位置と、カバー位置に対して非カバー位置と反対側に位置して取付部に係止されるロック位置との間で移動可能に構成された保護カバー部と、保護カバー部と取付部の間に設けられ、保護カバー部を非カバー位置とカバー位置との間で回動させるように構成されたヒンジ部と、をさらに有し、取付部は、互いに対向するように設けられた一対の第1仮止め凸部を有しており、保護カバー部は、非カバー位置からカバー位置に回動する際、カバー位置よりも手前の位置から取付部の一対の第1仮止め凸部に当接してから一対の第1仮止め凸部を乗り越えるように設けられた一対の第2仮止め凸部を有しており、保護カバー部は、カバー位置にある場合、取付部に対してカバー位置に保持されることを特徴とする。
【0025】
この注射器セットによれば、ユーザによって、保護カバー部が非カバー位置からカバー位置に回動される際、保護カバー部の一対の第2仮止め凸部は、カバー位置よりも手前の手前位置で取付部の一対の第1仮止め凸部に当接してから一対の第1仮止め凸部を乗り越える。それにより、ユーザは、一対の第2仮止め凸部が一対の第1仮止め凸部に当接するときの圧力によって、保護カバー部がカバー位置に近い手前位置まで移動したことを察知することができ、過度な力によって保護カバー部がカバー位置まで回動されるのを回避することができる。
【0026】
さらに、一対の第2仮止め凸部が一対の第1仮止め凸部にしてからこれを乗り越えてゆく構成である関係上、両者の当接状態を調整することにより、ユーザが保護カバー部を非カバー位置からカバー位置まで回動させるのに必要な力を適切な値に設定することができる。
【0027】
また、保護カバー部は、カバー位置にある場合、取付部に対してカバー位置に保持される。それにより、ユーザによって保護カバー部がカバー位置から非カバー位置側に意図的に回動させられたり、大きな外力が保護カバー部に作用したりしない限り、保護カバー部はカバー位置に保持されることになる。その結果、保護カバーによる注射針の保護機能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る注射器セットの正面図である。
【
図7】
図6のY1-Y1線に沿う取付部の断面を示す図である。
【
図8】保護カバーを針基に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図9】
図8のY2-Y2線に沿う断面を示す図である。
【
図10】
図8のY3-Y3線に沿う針基及び取付部の断面を示す図である。
【
図12A】保護カバー部がカバー位置にあるときの正面図である。
【
図12B】保護カバー部がカバー位置にあるときの断面図である。
【
図13】保護カバー部がカバー位置にあるときの取付部周辺を示す正面図である。
【
図14】保護カバー部がカバー位置にあるときの取付部周辺を示す斜視図である。
【
図15A】保護カバー部がロック位置にあるときの正面図である。
【
図15B】保護カバー部がロック位置にあるときの断面図である。
【
図16】保護カバー部がロック位置にあるときの左側面図である。
【
図17】保護カバー部の下端部が取付部に当接した状態の部分断面斜視図である。
【
図18】保護キャップを注射器セットに取り付けた状態を示す正面図である。
【
図20】保護キャップを注射器セットに取り付けた状態を示す部分断面図である。
【
図21】第2実施形態に係る注射器セットの保護カバーの斜視図である。
【
図22】第2実施形態に係る注射器セットの保護カバーの左側面図である。
【
図23】第3実施形態に係る注射器セットの針基及び保護カバーの斜視図である。
【
図24A】保護カバー部がカバー位置の手前の位置にある状態を示す図である。
【
図24B】保護カバー部が取付部の突起に当接した状態を示す図である。
【
図25A】保護カバー部がカバー位置にある状態を示す図である。
【
図25B】保護カバー部がカバー位置からロック位置側に押圧された状態を示す図である。
【
図26】第4実施形態に係る注射器セットの保護カバーの斜視図である。
【
図27】保護カバーがカバー位置の手前の位置にある状態を示す斜視図である。
【
図28】保護カバーがカバー位置の手前の位置にある状態を示す左側面図である。
【
図29】保護カバーがカバー位置にある状態を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る注射器セットについて説明する。
図1に示すように、本実施形態の注射器セット1は、注射針2、針基3、シリンジ4、プランジャ5及び保護カバー10を備えている。この注射器セット1では、注射針2、シリンジ4及び保護カバー10が針基3に取り付けられている。
【0030】
針基3は、
図2~3Bに示すように、基部30及び先端部31を備えており、これらの基部30及び先端部31は一体に構成されている。なお、以下の針基3の説明では、便宜上、
図3Aの左側を「左」、右側を「右」という。
【0031】
基部30は、外周面が円柱面状で、左方に向かうほど、その外径が漸減する形状を有している。基部30の左端部には、環状溝30aが形成されている。この環状溝30aは、基部30の周方向に沿って延びており、その断面が正面視円弧状に形成されている。保護カバー10が針基3に取り付けられる際、この環状溝30aに保護カバー10の後述する第3突起11hが嵌合する。なお、本実施形態では、環状溝30aが他の凹部に相当する。
【0032】
また、先端部31は、先端基部31a、フランジ部31b、4つの第1リブ31c及び4つの第2リブ31dを備えており、これらの要素31a~31dは一体に構成されている。先端基部31aは、外周面が円柱面状で、基部30から左方に延びているとともに、左方に向かうほど、その外径が漸減する形状を有している。
【0033】
フランジ部31bは、先端基部31aの基部30寄りの位置において、先端基部31aから径方向の外方に突出するように設けられており、その外端面が針基3の軸線方向から見て円形に形成されている。フランジ部31bの外端面は、基部30の左端部の外周面よりも小径に構成されている。
【0034】
4つの第1リブ31cは、先端基部31aから径方向の外方に突出するとともに、基部30とフランジ部31bの間において両者を接続するように延びている。4つの第1リブ31cは、針基3の中心軸線周りの4回回転対称性を有するように配置されており、各第1リブ31cの外端面は、フランジ部31bの外端面よりも小径に構成されている。
【0035】
以上の構成により、針基3では、先端基部31a、フランジ部31b、基部30及び第1リブ31cの間において、環状溝31eが画成されている。保護カバー10が針基3に取り付けられる際、この環状溝31eには、保護カバー10の後述する第1突起11f及び第2突起11gが嵌合する。なお、本実施形態では、環状溝31eが凹部に相当する。
【0036】
また、4つの第2リブ31dは、先端基部31aから径方向の外方に突出し、フランジ部31bから左方に延びた後、途中で先端基部31aからの突出量が減少する形状を有している。4つの第2リブ31dの各々は、針基3の軸線方向から見て、その中心が4つの第1リブ31cの各々の中心と一致するように配置されている。すなわち、4つの第2リブ31dは、針基3の中心軸線周りの4回回転対称性を有するように配置されている。
【0037】
各第2リブ31dの途中には、切欠き部31fが形成されている。後述する保護キャップ6が針基3に取り付けられる際、この切欠き部31fには、保護キャップ6の後述する環状突起6bが嵌合する。
【0038】
一方、
図3Bに示すように、針基3の内部には、3つの孔32a~32cが形成されており、これらの孔32a~32cは互いに連通している。孔32aは、軸線方向から見て断面円形に形成され、先端基部31aの左端から右方に延びるとともに、右方に向かうほど、小径になるように構成されている。注射針2は、この孔32aに挿入されることにより、針基3に取り付けられる。
【0039】
また、孔32cは、軸線方向から見て断面円形に形成され、基部30の右端から左方に延びるとともに、左方に向かうほど、小径になるように構成されている。シリンジ4は、この孔32cに挿入されることにより、針基3に取り付けられる。また、孔32bは、孔32aと孔32cを繋ぐように延びている。注射器セット1の使用時、シリンジ4内の薬液は、この孔32bを通って注射針2側に送り込まれる。
【0040】
次に、
図4~16を参照しながら、保護カバー10について説明する。なお、
図4は保護カバー10の正面図であり、以下の説明では、
図4の左側を「左」、右側を「右」、上側を「上」、下側を「下」、手前側を「前」、奥側を「後ろ」という。
【0041】
保護カバー10は、注射器セット1の搬送時などに注射針2を保護するためのものである。なお、本実施形態では、保護カバー10が保護具に相当する。保護カバー10は、取付部11、ヒンジ部12及び保護カバー部13を備えており、これらの要素11~13は一体に構成されている。
【0042】
この保護カバー10では、保護カバー部13が
図1に示す非カバー位置と、
図12Aに示すカバー位置と、
図15Aに示すロック位置との間で回動可能に構成されている。
【0043】
取付部11は、保護カバー10を針基3に取り付けるためのものである。取付部11は、基部11a及び円筒部11bを有している。基部11aは、板状に形成されており、その左端部には、係止部11c及びリブ11dが設けられている。
【0044】
係止部11cは、基部11aから左方に突出し、基部11aよりも厚さが薄くなっている。係止部11cは、その上面の前後端部が斜め下がりの斜面になっている。係止部11cには、保護カバー10がロック位置にあるときに、後述するように、保護カバー部13の係止爪13d,13dがスナップ嵌めされる。リブ11dは、係止部11cの中央の位置から斜め下がりに円筒部11bまで延びている。
【0045】
円筒部11bは、基部11aの中央部から下方に突出しており、内孔11eを有している。この内孔11eは、円筒部11b及び基部11aを貫通して上下方向に延びており、この内孔11eには、保護カバー10が針基3に取り付けられる際、針基3が差し込まれる。
【0046】
この内孔11eは、平面視したときの断面が円形に構成されており、その上側部は、下側部よりも大径の座ぐり孔状に形成されている。内孔11eの内周面には、
図5及び
図7に示すように、一対の第1突起11f,11f、一対の第2突起11g,11g及び8個の第3突起11hが形成されている。
【0047】
なお、本実施形態では、第1突起11fが凸部及び第1凸部に相当し、第2突起11gが凸部及び第2凸部に相当し、第3突起11hが他の凸部に相当する。
【0048】
一対の第1突起11f,11fは、
図5~7及び
図9に示すように、内孔11eの中心軸線周りの2回回転対称性を有するように配置されている。一対の第1突起11f,11fは、内孔11eの内周面の同じ高さの位置に対向するように設けられており、内孔11eの内周面から中心に向かって斜め上がりの姿勢で突出している。
【0049】
また、一対の第2突起11g,11gは、
図5及び
図7に示すように、内孔11eの中心軸線周りの2回回転対称性を有するように配置されている。さらに、4つの突起11f,11f,11g,11gは、内孔11eの中心軸線周りに互いに等間隔で配置されている。
【0050】
一対の第2突起11g,11gは、内孔11eの内周面の一対の第1突起11f,11fと同じ高さの位置に対向するように設けられており、内孔11eの内周面から中心に向かって横向きに突出している。
【0051】
さらに、
図7に示すように、8個の第3突起11hは、内孔11eの内周面における第1突起11f及び第2突起11gよりも下方の位置において、周方向に等間隔で配置されている。各第3突起11hは、正面視したときの断面が円弧状に形成されている。
【0052】
この注射器セット1では、保護カバー10の取付部11が針基3に取り付けられる際、針基3が取付部11の円筒部11bに下方から差し込まれる。その際、針基3の先端基部31aが一対の第2突起11g,11g及び一対の第1突起11f,11fを乗り越えながら上方に移動することにより、
図1に示すように、保護カバー10の取付部11が針基3に取り付けられる。
【0053】
そして、保護カバー10の取付部11が針基3に取り付けられた状態では、
図9に示すように、一対の第1突起11f,11fは、その先端部がフランジ部31bの側面31b1に摺接する状態で、環状溝31eに嵌合する。その際、一対の第1突起11f,11fの先端部は、第1リブ31cの頂面に対して間隔を存する状態となる。
【0054】
また、
図10に示すように、一対の第2突起11g,11gは、その先端部が基部30の端面30bに摺接する状態で、環状溝31eに嵌合する。その際、一対の第2突起11g,11gの先端部は、前述した第1リブ31cの頂面に対して間隔を存する状態となる。
【0055】
さらに、8個の第3突起11hが針基3の環状溝30aに摺接する状態で嵌合する。また、保護カバー10の取付部11の下端部が基部30の段部30cに摺接した状態となることで、針基3を取付部11に取り付けた際、針基3の取付部11に対するがたつきが抑制される。
【0056】
以上の構成により、取付部11は、針基3に対して抜け止め状態でかつ針基3の中心軸線周りに回動自在の状態で取り付けられる。
【0057】
一方、ヒンジ部12は、取付部11の右端部と保護カバー部13の左側の上端部との間に設けられており、ヒンジ部12を介して、取付部11及び保護カバー部13は互いに接続されている。このヒンジ部12は、外力が保護カバー部13に作用したときに、保護カバー部13を非カバー位置とカバー位置との間で回動させるものである。
【0058】
図11に示すように、ヒンジ部12は、一対の外側ヒンジ部12a,12a及び内側ヒンジ部12bを備えている。一対の外側ヒンジ部12a,12aは、前後方向に間隔を存した状態で、取付部11の右端部と保護カバー部13の左上端部との間に延びている。
【0059】
外側ヒンジ部12a,12aの各々は、取付部11側から保護カバー部13側に板状に延びてから肉厚がより薄い薄板状になる形状を有している。この各外側ヒンジ部12aの薄板状の端部は、屈曲部12cになっており、保護カバー部13が回動する際、各外側ヒンジ部12aは、この屈曲部12cを中心として屈曲変形するように構成されている。それにより、保護カバー部13は、屈曲部12cに沿って延在する回動軸線周りに回動自在に構成されている。
【0060】
保護カバー部13の外側ヒンジ部12a,12aとの接続部には、一対の突起13m,13mが設けられている(1つのみ図示)。各突起13mは、互いに平行な左右の端面を有しており、保護カバー部13の上下方向に所定長さで延びている。
【0061】
また、内側ヒンジ部12bは、平面視した状態で一対の外側ヒンジ部12a,12aの間に配置され、取付部11の外側ヒンジ部12aよりも下側の部位と、保護カバー部13外側ヒンジ部12aよりも下側の部位との間に延びている。
【0062】
内側ヒンジ部12bは、第1ヒンジ部12b1及び第2ヒンジ部12b2を備えている。これらの第1及び第2ヒンジ部12b1,12b2は、板状で互いに一体に形成されており、両者の間の角度が鋭角になる状態で両者の一端部が接続されている。また、第1ヒンジ部12b1の他端部は、取付部11に接続され、第2ヒンジ部12b2の他端部は、保護カバー部13に接続されている。
【0063】
一方、保護カバー部13は、
図4及び
図6に示すように、前後一対の側壁13a,13a、横側壁13b及び下壁13cを備えており、これらの4つの壁13a~13cによって箱状に構成されている。一対の側壁13a,13aは、互いに対向しながら上下方向に延びており、下側に向かうほど、両者の間隔が漸減するとともに、両者の間隔が2段階に変化する形状を有している。具体的には、一対の側壁13a,13aの上側部分の間隔は、下側部分よりも広くなっている。
【0064】
横側壁13bは、一対の側壁13a,13aの左端部間に延びており、下壁13cは、一対の側壁13a,13aの下端部間に延びている。
【0065】
また、一対の側壁13a,13aの右上端部には、一対の係止爪13d,13dが設けられている。これらの係止爪13d,13dは、上方に突出した後、互いに近接する方向に斜め下がりに延びる形状を有している。
【0066】
この保護カバー部13は、ヒンジ部12を介して、
図1に示す非カバー位置と
図12Aに示すカバー位置との間で回動可能に構成されている。このように保護カバー部13が回動する際、ヒンジ部12は、以下に述べるように動作する。
【0067】
例えば、保護カバー部13が
図1に示す非カバー位置にある場合において、例えば、ユーザが保護カバー部13を
図1中の反時計回りに押圧した場合、外側ヒンジ部12a,12aは、屈曲部12c,12cを中心として屈曲変形を開始する。それに伴い、内側ヒンジ部12bは、第1ヒンジ部12b1及び第2ヒンジ部12b2の間の角度(以下「ヒンジ角」という)が大きくなるように弾性変形し、それに起因して、保護カバー部13を押し戻そうとする付勢力が保護カバー部13に作用する。
【0068】
この付勢力に抗しながら、保護カバー部13が
図1中の反時計回りにさらに回動した際、保護カバー部13は、弾性変形状態から元に戻ろうとする内側ヒンジ部12bの付勢力によって、外側ヒンジ部12a,12aを屈曲部12c,12cを中心として屈曲変形させながら、
図1中の反時計回りに回動する。そして、保護カバー部13は、最終的に
図12Aに示すカバー位置に到達する。
【0069】
保護カバー部13がカバー位置にある場合、外側ヒンジ部12a,12aは、
図13に示すように、屈曲部12cを中心として二つ折りになった状態となる。さらに、保護カバー部13は、外力が作用しない限り、内側ヒンジ部12bの付勢力によって、カバー位置に保持される。このように保護カバー部13がカバー位置にある場合、
図12Bに示すように、注射針2はその全体が保護カバー部13によって覆われた状態となる。
【0070】
また、保護カバー部13がカバー位置にある場合において、例えば、ユーザが保護カバー部13を
図12A中の左側に押圧した際には、ヒンジ部12及び保護カバー部13が弾性変形することにより、保護カバー部13は、
図15Aに示すロック位置まで回動する。
【0071】
このように保護カバー部13がロック位置まで回動する際、保護カバー部13の一対の係止爪13d,13dは、両者の間の間隔が広がるように弾性変形しながら係止部11cの前後両端を乗り越えることにより、
図16に示すように、係止部11cにスナップ嵌めされる。それにより、保護カバー部13は、取付部11に抜け止め状態で係止される。
【0072】
このように保護カバー部13がロック位置にある場合、
図15Bに示すように、注射針2はその全体が保護カバー部13によって覆われた状態となる。
【0073】
また、保護カバー部13がロック位置にある場合において、外力により保護カバー部13が
図15A中の左側に押圧された際、
図17に示すように、保護カバー部13の下端部が取付部11の基部11aの表面に当接する(
図17中のA部参照)。それにより、保護カバー部13は、ロック位置に保持され、保護カバー部13の注射針2への接触が回避されることになる。
【0074】
さらに、保護カバー部13がロック位置にある状態で、保護カバー部13が
図16中の左右方向に移動した場合、係止爪13d,13dの一方が係止部11cに当接することにより、保護カバー部13が停止される。それにより、保護カバー部13の破損などが回避される。
【0075】
以上のように、第1実施形態の注射器セット1によれば、保護カバー10の取付部11の第1突起11f,11f及び第2突起11g,11gが、針基3の環状溝31eに嵌合した状態で、取付部11が針基3に取り付けられる。この環状溝31eは、針基3の外周面に周方向に沿って円環状に形成されており、第1突起11f,11f及び第2突起11g,11gは、取付部11の内孔11eの内周面から中心に向かって突出している。
【0076】
それにより、取付部11を、針基3の中心軸線周りに相対的に回動可能な状態にできるとともに、その回動時、円滑な回動状態を確保することができる。その結果、保護カバー10を使用する際、保護カバー10を針基3に対して相対的に回動させることで、保護カバー10の位置を、保護カバー10によって注射針を覆う動作を実施しやすい状態にすることができ、保護カバー10の使用時の利便性を高めることができる。また、注射針2及びシリンジ4などが針基3に取り付けられた後、薬液が注射器に注入される際、保護カバー10を針基3の中心軸線周りに回転させることにより、保護カバー10がシリンジ4の目盛に重ならないようにすることができる。
【0077】
さらに、第1突起11f,11fは、環状溝31eに嵌合している状態でフランジ部31bの側面31b1に摺接し、第2突起11g,11gは、環状溝31eに嵌合している状態で基部30の端面30bに摺接するように構成されている。それにより、取付部11を針基3に抜け止め状態で堅固に取り付けることができる。
【0078】
また、第1突起11f,11f及び第2突起11g,11gは、内孔11eの中心軸線周りに互いに等間隔で配置されているので、取付部11及び針基3が針基3の中心軸線周りに相対的に回動する際の円滑性をさらに向上させることができる。
【0079】
これに加えて、取付部11は、その8個の第3突起11hが針基3の環状溝30aに摺接しながら嵌合する状態で、針基3に取り付けられている。これらの第3突起11hは、第1突起11f,11f及び第2突起11g,11gに対して、取付部11の軸線方向に離間した位置に配置されている。それにより、取付部11及び針基3が針基3の中心軸線周りに相対的に回動する際、両者が相対的にがたつくのを回避でき、さらに安定した回動状態を確保することができる。
【0080】
なお、第1実施形態の注射器セット1において、
図18~20に示す保護キャップ6を用いてもよい。この保護キャップ6は、薬液を注射器内に充填する前に予め注射針2を覆うように注射器セット1に装着されるものであり、基部6aを有している。この基部6aは、先細りの円筒状に形成され、その先端部が閉塞されているとともに、基端部側が開放されている。
【0081】
この基部6aの基端部側の内周面には、環状突起6bが形成されており、この環状突起6bは、断面円弧状で周方向に沿って延びている。保護キャップ6は、注射器セット1に装着される際、
図20に示すように、注射針2を覆う状態で、環状突起6bが針基3の切欠き部31fに嵌合する。それにより、保護キャップ6は、抜け止め状態で注射器セット1に装着された状態となる。
【0082】
このように、保護キャップ6が薬液の充填前に注射器セット1に装着された場合、薬液の充填前において、保護カバー部13が何らかの理由により誤作動し、注射針2が保護されない状態になるのを回避することができる。さらに、保護カバー10が
図18に示す状態から図中の反時計回りに誤って回動した場合でも、保護カバー10がロック位置まで回動するのを防止することができる。
【0083】
なお、第1実施形態は、一対の第1凸部及び一対の第2凸部としての第1突起11f及び第2突起11gを取付部11に、凹部としての環状溝31eを針基3にそれぞれ設けた例であるが、これとは逆に、一対の第1凸部及び一対の第2凸部を針基3に、凹部を取付部11にそれぞれ設けてもよい。
【0084】
また、第1実施形態は、複数の他の凸部としての第3突起11hを取付部11に、他の凹部としての環状溝30aを針基3にそれぞれ設けた例であるが、これとは逆に、複数の他の凸部を針基3に、他の凹部を取付部11にそれぞれ設けてもよい。
【0085】
また、複数の他の凸部としての第3突起11hの数は、8個に限らず、2~7個又は9個以上であってもよい。さらに、第3突起11hを内孔11eの内周面の第1突起11f及び第2突起11gよりも上側に配置してもよく、その場合には、環状溝30aを針基3の先端基部31a側に配置すればよい。
【0086】
さらに、第1実施形態は、凹部として、断面矩形の環状溝31eを用いた例であるが、凹部はこれに限らず、周方向に沿って円環状に形成されているものであればよい。例えば、凹部として断面台形の溝を用い、一対の第1凸部が溝の軸線方向の一方の壁に摺接し、一対の第2凸部が溝の軸線方向の他方の壁に摺接するように構成してもよい。
【0087】
一方、第1実施形態は、一対の第1凸部として、2回回転対称性を有する第1突起11f,11fを用いた例であるが、本発明の一対の第1凸部は、これらに限らず、取付部の内周面において内孔の中心を挟んで対向する位置を含むように延在しているもの、又は、針基の外周面において針基の中心を挟んで対向する位置を含むように延在しているものであればよい。例えば、第1突起11f,11fの一方の周方向に延在する長さと、第1突起11f,11fの他方の周方向に延在する長さが異なるように構成してもよい。
【0088】
また、第1実施形態は、一対の第2凸部として、2回回転対称性を有する第2突起11g,11gを用いた例であるが、本発明の一対の第2凸部は、これらに限らず、取付部の内周面において内孔の中心を挟んで対向する位置を含むように延在しているもの、又は、針基の外周面において針基の中心を挟んで対向する位置を含むように延在しているものであればよい。例えば、第2突起11g,11gの一方の周方向に延在する長さと、第2突起11g,11gの他方の周方向に延在する長さが異なるように構成してもよい。
【0089】
さらに、第1実施形態は、一対の第1凸部及び一対の第2凸部として、2回回転対称性を有する第1突起11f,11f及び第2突起11g,11gを用いた例であるが、本発明の一対の第1凸部及び一対の第2凸部はこれらに限らず、一対の第1凸部及び一対の第2凸部の少なくとも一方が2回回転対称性を有しているものであればよい。例えば、第1突起11f,11fのみが2回回転対称性を有するように構成したり、第2突起11g,11gのみが2回回転対称性を有するように構成したりしてもよい。
【0090】
一方、第1実施形態は、保護具としての保護カバー10を針基3に取り付ける構成として、針基3が保護カバー10の取付部11の内孔11eに嵌合する構成を用いた例であるが、保護具を針基に取り付ける構成はこれに限らず、保護具が針基に取り付けられるものであればよい。例えば、保護具の取付部として、特開2019-198364号公報に記載された構成のものを用いてもよい。
【0091】
また、第1実施形態は、保護カバー部がカバー位置にあるときに注射針2全体をカバーするように構成した例であるが、これに代えて、保護カバー部13がカバー位置にあるときに注射針2の少なくとも針先を含む所定部位を覆うように構成してもよい。例えば、保護カバー部13が、注射針2の針先から注射針2の根元よりも手前の部位を覆うように構成してもよい。
【0092】
次に、
図21~22を参照しながら、本発明の第2実施形態の注射器セット1Aについて説明する。第2実施形態の注射器セット1Aは、第1実施形態の注射器セット1と比較して、保護カバー10A(保護具)の構成のみが異なっているので、以下、異なる点を中心に説明する。また、第1実施形態と同一の構成に対しては同じ符号を付すとともに、その説明を省略する。
【0093】
図21~22に示すように、本実施形態の保護カバー10Aでは、中央突起11kが取付部11の基部11aに設けられている。この中央突起11kは、基部11aにおけるヒンジ部12と内孔11eとの間の部位において、基部11aから上方に突出している。
【0094】
中央突起11kは、前後方向に横長の板状のものであり、上縁部及び平面視したときの四隅部に丸面取りが施された形状を有している。なお、本実施形態では、中央突起11kが仮止め凸部に相当する。
【0095】
また、保護カバー部13の前後一対の側壁13a,13aは、ヒンジ部12側の部分がそれ以外の部分よりも幅の狭い一対の側壁13a1,13a1となっている。保護カバー部13の内側には、これらの側壁13a1,13a1及び横側壁13bによって、断面矩形の凹部13kが形成されている。
【0096】
この凹部13kは、保護カバー部13の延設方向に延びており、凹部13kの幅すなわち側壁13a1,13a1間の幅が中央突起11kの幅よりも若干狭く構成されている。なお、本実施形態では、凹部13kが仮止め凹部に相当する。
【0097】
この保護カバー10Aでは、保護カバー部13が非カバー位置からカバー位置に回動する際、カバー位置よりも若干手前の位置において、中央突起11kが凹部13kに圧入され始める状態となる。そして、保護カバー部13がカバー位置にある状態では、
図22に示すように、中央突起11kが凹部13kの両側の側壁13a1,13a1に圧入された状態になるとともに、横側壁13bに当接した状態となる。
【0098】
それにより、保護カバー部13がカバー位置にある場合、保護カバー部13は、何らかの外力が保護カバー部13に作用しない限り、ロック位置側又は非カバー位置側に回動することなく、カバー位置に保持される。
【0099】
以上のように、第2実施形態の注射器セット1Aによれば、ユーザによって、保護カバー部13が非カバー位置からカバー位置に回動される際、取付部11の中央突起11kが、カバー位置よりも手前の位置から、保護カバー部13の凹部13kにおける一対の側壁13a1,13a1に摺接した状態で凹部13kに圧入される。
【0100】
それにより、ユーザは、中央突起11kが凹部13kの一対の側壁13a1,13a1に圧入される際の抵抗によって、保護カバー部13がカバー位置に近い位置まで移動したことを察知することができ、過度な力によって保護カバー部13がカバー位置まで回動されるのを回避することができる。
【0101】
また、保護カバー部13がカバー位置にある状態では、中央突起11kが凹部13kに圧入された状態になることにより、ユーザによって保護カバー部13がカバー位置から非カバー位置側に意図的に回動させられない限り、保護カバー部13がカバー位置に保持されることになる。その結果、注射針2の保護機能を高めることができる。
【0102】
これに加えて、保護カバー部13がカバー位置にある状態では、取付部11の中央突起11kが、凹部13kの横側壁13bに当接した状態となる。それにより、ユーザによって保護カバー部13がカバー位置からロック位置側に意図的に回動させられない限り、保護カバー部13がカバー位置に保持されることになる。その結果、保護カバー部13が、外力などに起因して意図せずにロック位置側に回動するのを抑制することができる。
【0103】
なお、第2実施形態は、仮止め凸部及び仮止め凹部として、中央突起11k及び凹部13kを用いた例であるが、本発明の仮止め凸部及び仮止め凹部はこれらに限らず、保護カバー部が非カバー位置からカバー位置に回動する際、カバー位置よりも手前の位置から保護カバー部の凹部の一対の側壁に摺接した状態で仮止め凹部に圧入されるものであればよい。例えば、仮止め凸部として円柱状のものを用い、仮止め凹部として、断面円弧状のものを用いてもよい。
【0104】
次に、
図23~25Bを参照しながら、本発明の第3実施形態の注射器セット1Bについて説明する。第3実施形態の注射器セット1Bは、第1実施形態の注射器セット1と比較して、保護カバー10B(保護具)の構成のみが異なっているので、以下、異なる点を中心に説明する。また、第1実施形態と同一の構成に対しては同じ符号を付すとともに、その説明を省略する。
【0105】
本実施形態の保護カバー10Bの場合、
図23に示すように、前後一対の突起11m,11mが取付部11の基部11aに設けられている。これらの突起11m,11mは、角柱状で基部11aから上方に突出しているとともに、基部11aの前後端部にそれぞれ配置されている。突起11m,11mの各々は、上端部及び両側端部が丸面取りされた形状を有している。なお、本実施形態では、突起11mが被当接部に相当する。
【0106】
この保護カバー10Bでは、保護カバー部13が非カバー位置からカバー位置に回動する際、
図24Aに示すように、保護カバー部13がカバー位置よりも手前の位置に達した際、保護カバー部13の側壁13aの下縁部13ax,13ax(1つのみ図示)が取付部11の突起11m,11m(1つのみ図示)に近接した状態となる。
【0107】
そして、保護カバー部13が
図24Aに示す位置から
図24Bに示す位置まで図中の反時計回りに回動した際、側壁13aの下縁部13ax,13axが突起11m,11mの左上端部に当接する。さらに、保護カバー部13が
図24Bに示す位置から図中の反時計回りに回動すると、側壁13aの下縁部13ax,13axと取付部11の突起11m,11mとの当接状態が解除される。なお、本実施形態では、下縁部13axが第1当接部に相当する。
【0108】
そして、保護カバー部13がカバー位置に到達した場合、
図25Aに示すように、取付部11の突起11m,11mは、保護カバー部13の側壁13aに当接しない状態となるとともに、保護カバー部13の突起13m,13mに近接した状態となる。なお、本実施形態では、突起13mが第2当接部に相当する。
【0109】
さらに、
図25Bに示すように、保護カバー部13がカバー位置からロック位置まで回動した場合、保護カバー部13の突起13m,13mが取付部11の突起11m,11mに当接する状態となる。したがって、保護カバー部13は、ロック位置から図中の反時計回りに誤って回動することがなく、ロック位置に保持される。
【0110】
以上のように、第3実施形態の注射器セット1によれば、ユーザによって、保護カバー部13が非カバー位置からカバー位置に回動される際、保護カバー部13の下縁部13ax,13axは、カバー位置よりも手前の手前位置で取付部11の突起11m,11mに当接する。それにより、ユーザは、保護カバー部13の下縁部13ax,13axが突起11m,11mに当接するときの圧力/衝撃によって、保護カバー部13がカバー位置に近い手前位置まで移動したことを察知することができ、過度な力によって保護カバー部13がカバー位置まで回動されるのを回避することができる。
【0111】
また、保護カバー部13は、カバー位置にあるときに、ヒンジ部12によって、非カバー位置と反対側に押圧するように構成されている。それにより、ユーザによって保護カバー部13がカバー位置から非カバー位置側に意図的に回動させられたり、大きな外力が作用したりしない限り、保護カバー部13はカバー位置に保持されることになる。その結果、注射針2の保護機能を高めることができる。
【0112】
さらに、保護カバー部13がカバー位置からロック位置まで回動した際、取付部11の突起11m,11mが、保護カバー部13がロック位置に保持されるように、保護カバー部13の突起13m,13mと当接する。それにより、保護カバー部13は、ロック位置から図中の反時計回りに誤って回動することがなく、ロック位置に保持される。その結果、注射針2の保護機能をさらに高めることができる。
【0113】
なお、第3実施形態は、被当接部として、一対の突起11m,11mを用いた例であるが、本発明の非当接部は、これらに限らず、保護カバー部が非カバー位置からカバー位置に回動する際、カバー位置よりも手前の手前位置で保護カバー部の第1当接部が当接するものであればよい。例えば、非当接部として、一対の突起11m,11mの一方のみを用いてもよい。
【0114】
また、第3実施形態は、保護カバー部の第1当接部として、保護カバー部13の下縁部13ax,13axを用いた例であるが、本発明の第1当接部は、これらに限らず、保護カバー部が非カバー位置からカバー位置に回動する際、カバー位置よりも手前の手前位置で、取付部の被当接部に当接するものであればよい。例えば、第1当接部として、保護カバー部13の下縁部13ax,13axの一方のみを用いてもよく、その場合には、一方の下縁部13axが、一方の突起11mに当接するように構成すればよい。
【0115】
さらに、第3実施形態は、保護カバー部の第2当接部として、保護カバー部13の突起13m,13mを用いた例であるが、本発明の第2当接部は、これらに限らず、保護カバー部がカバー位置からロック位置まで回動した際、取付部の被当接部に当接するものであればよい。例えば、一対の突起13m,13mの一方を省略し、残りの突起13mを第2当接部として用いてもよい。
【0116】
次に、
図26~29を参照しながら、本発明の第4実施形態の注射器セット1Cについて説明する。第4実施形態の注射器セット1Cは、第2実施形態の注射器セット1Aの保護カバー10Aと比較して、保護カバー10C(保護具)の一部の構成のみが異なっているので、以下、異なる点を中心に説明する。また、第2実施形態と同一の構成に対しては同じ符号を付すとともに、その説明を省略する。
【0117】
図26~29に示すように、本実施形態の保護カバー10Cの場合、取付部11が基部11nを有しており、この基部11nは、その前後方向の幅が保護カバー10Aの基部11aよりも広くなっている。これは、ユーザが保護カバー10Cの取付部11を針基3に取り付ける際、指で取付部11を押しながら針基3を円筒部11bに嵌合させる際の動作をより容易に実施するためである。
【0118】
また、本実施形態の保護カバー10Cの場合、保護カバー10Aの突起11kに代えて、係止突起11pが取付部11の基部11nに設けられている。この係止突起11pは、基部11nにおけるヒンジ部12と内孔11eとの間の部位において、基部11nから上方に突出している。
【0119】
係止突起11pは、前後方向に横長の板状のものであり、その前後方向の幅が凹部13kの左右側壁13a1,13a1の内面間の幅よりも所定値分、小さく構成されている。係止突起11pは、一対の突起11r,11rを有しており、これらの突起11r,11rは、係止突起11pの左右両側の壁から突出している。突起11r,11rの各々は、その外表面が左右方向から見て断面円弧状に形成されている。
【0120】
また、保護カバー部13における一対の側壁13a1,13a1のヒンジ12側の端部には、一対の突起13r,13rが設けられている。これらの一対の突起13r,13rは、前後方向に所定長さで延びており、その外表面が左右方向から見て断面円弧状に形成されている。なお、本実施形態では、突起11rが第1仮止め凸部に相当し、突起13rが第2仮止め凸部に相当する。
【0121】
この保護カバー10Cでは、保護カバー部13が非カバー位置からカバー位置に回動する際、カバー位置よりも若干手前の位置(図示せず)において、保護カバー部13の突起13r,13rが係止突起11pの突起11r,11rに当接する。そして、保護カバー部13がその位置からカバー位置まで回動した場合、保護カバー部13の突起13r,13rが係止突起11pの突起11r,11rを乗り越えることになる。また、保護カバー部13がカバー位置にある状態では、
図29に示すように、突起13r,13rが係止突起11pの突起11r,11rに係止された状態となるとともに、係止突起11pが横側壁13bに当接した状態となる(図示せず)。
【0122】
それにより、保護カバー部13がカバー位置にある場合、保護カバー部13は、何らかの外力が保護カバー部13に作用しない限り、ロック位置側又は非カバー位置側に回動することなく、カバー位置に保持される。
【0123】
以上のように、第4実施形態の注射器セット1Cによれば、取付部11の基部11nは、その前後方向の幅が保護カバー10Aの基部11aよりも広くなっており、それにより、ユーザが保護カバー10Cの取付部11を針基3に取り付ける際、指で取付部11を押しながら、針基3を円筒部11bに嵌合させる際の動作をより容易に実施することができる。
【0124】
また、ユーザによって、保護カバー部13が非カバー位置からカバー位置に回動される際、保護カバー部13の突起13r,13rが、カバー位置よりも手前の位置から、取付部11の係止突起11pの突起11r,11rに当接し、これらを乗り越えた後、突起11r,11rによって係止される。
【0125】
それにより、ユーザは、保護カバー部13の突起13r,13rが、係止突起11pの突起11r,11rに当接して乗り越える際の抵抗によって、保護カバー部13がカバー位置に近い位置まで移動したことを察知することができ、過度な力によって保護カバー部13がカバー位置まで回動されるのを回避することができる。
【0126】
また、突起13r,13r及び突起11r,11rの高さを調整することによって、突起13r,13rが突起11r,11rを乗り越える際の抵抗を調整することができる。
【0127】
さらに、保護カバー部13がカバー位置にある状態では、突起13r,13rが、突起11r,11rによって係止されるとともに、係止突起11pが横側壁13bに当接した状態となることにより、ユーザによって保護カバー部13がカバー位置から非カバー位置側に意図的に回動させられない限り、保護カバー部13がカバー位置に保持されることになる。その結果、注射針2の保護機能を高めることができる。
【0128】
これに加えて、保護カバー部13がカバー位置にある状態では、取付部11の係止突起11pが横側壁13bに当接した状態となる。それにより、ユーザによって保護カバー部13がカバー位置からロック位置側に意図的に回動させられない限り、保護カバー部13がカバー位置に保持されることになる。その結果、保護カバー部13が、外力などに起因して意図せずにロック位置側に回動するのを抑制することができる。
【0129】
なお、第4実施形態の注射器セット1Cにおいて、保護カバー部13がカバー位置まで回動する際、保護カバー部13の突起13r,13rが、突起11r,11rを乗り越えた後、突起11r,11rに当接しない状態にあって、突起11r,11rが一対の側壁13a1,13a1の内面によって両側から挟持されることによって、保護カバー部13が取付部11に対してカバー位置に保持されるように構成してもよい。また、保護カバー部13の突起13r,13rが、突起11r,11rを乗り越えた後、突起11r,11rに当接しない状態にあって、係止突起11pの左右側壁を両側から挟持することによって、保護カバー部13が取付部11に対してカバー位置に保持されるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0130】
1 注射器セット
2 注射針
3 針基
30a 環状溝(他の凹部)
31e 環状溝(凹部)
4 シリンジ
10 保護カバー(保護具)
11 取付部
11e 内孔
11f 第1突起(凸部、第1凸部)
11g 第2突起(凸部、第2凸部)
11h 第3突起(他の凸部)
12 ヒンジ部
13 保護カバー部
13a1 側壁
1A 注射器セット
10A 保護カバー(保護具)
11k 中央突起(仮止め凸部)
13k 凹部(仮止め凹部)
1B 注射器セット
10B 保護カバー(保護具)
11m 突起(被当接部)
13ax 下縁部(第1当接部)
13m 突起(第2当接部)
1C 注射器セット
10C 保護カバー(保護具)
11r 突起(第1仮止め凸部)
13r 突起(第2仮止め凸部)