IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TMTマシナリー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-糸加工機 図1
  • 特開-糸加工機 図2
  • 特開-糸加工機 図3
  • 特開-糸加工機 図4
  • 特開-糸加工機 図5
  • 特開-糸加工機 図6
  • 特開-糸加工機 図7
  • 特開-糸加工機 図8
  • 特開-糸加工機 図9
  • 特開-糸加工機 図10
  • 特開-糸加工機 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162119
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】糸加工機
(51)【国際特許分類】
   D02G 1/02 20060101AFI20231031BHJP
   D02G 1/04 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
D02G1/02 101
D02G1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042059
(22)【出願日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2022072512
(32)【優先日】2022-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】堀本 尭幸
(72)【発明者】
【氏名】北川 重樹
【テーマコード(参考)】
4L036
【Fターム(参考)】
4L036AA01
4L036PA05
4L036PA18
4L036UA21
(57)【要約】
【課題】コストを低減可能とし、且つ、糸走行方向に関する加熱部材の温度の高く維持する。
【解決手段】第1加熱装置13は、熱源51と、熱源51によって加熱される加熱部52と、熱源51の温度を制御する制御装置100と、を備えている。加熱部52は、少なくとも所定の延在方向に延びた、走行中の糸を接触させるための接糸面56が設けられた接糸部54と、熱源51で発生する熱を受けて接糸部54を加熱するための加熱部材53と、を有する。加熱部材53は、アルミニウムを含む金属で構成され、制御装置100は、加熱部材53の温度が320℃以下に制限されるよう熱源51の温度を制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成繊維からなる走行中の糸を加熱する加熱装置を有する糸加工機であって、
前記加熱装置は、熱源と、前記熱源によって加熱される加熱部と、前記熱源の温度を制御する制御部と、を備え、
前記加熱部は、
前記走行中の糸を接触させるための接糸面が設けられた接糸部と、
前記熱源で発生する熱を受けて前記接糸部を加熱するための加熱部材と、を有し、
前記加熱部材は、アルミニウムを含む金属で構成され、
前記制御部は、
前記加熱部材の温度が320℃以下に制限されるよう前記熱源の温度を制御することを特徴とする糸加工機。
【請求項2】
前記接糸部は、少なくとも鉛直方向に交わる延在方向に延びており、
前記加熱装置は、前記接糸面が少なくとも下側を向くように、且つ、鉛直方向及び前記延在方向の両方と平行な断面において、前記接糸面の水平方向に対する傾き角度が-60°~+60°の間に収まるように設置されることを特徴とする請求項1に記載の糸加工機。
【請求項3】
前記熱源は、電流が供給されることにより発熱し、
前記加熱部材の温度を検出するセンサと、
前記熱源に電流を供給可能な電流付与回路と、をさらに備えており、
前記制御部は、前記センサの検出値に基づいて前記電流付与回路を制御し、前記熱源に電流を供給する状態と電流を供給しない状態とを切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の糸加工機。
【請求項4】
前記加熱部材の温度が400℃以上且つ450℃以下の所定温度となったときに前記熱源に供給する電流を遮断する遮断器をさらに有していることを特徴とする請求項3に記載の糸加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸を加熱する加熱装置を備えた糸加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
合成繊維からなる糸に合糸加工や仮撚加工等の種々の加工を施す糸加工機において糸を加熱する加熱装置が、従来から知られている。例えば特許文献1には、シーズヒータ等の発熱体(熱源)により加熱されるヒータブロック(加熱部材)を備えた加熱装置が開示されている。かかる加熱装置においては、加熱部材により温められた糸走行空間内を糸が走行する。これにより、走行空間内の気体により糸が所定の加工温度に加熱される。すなわち、当該加熱装置は、非接触式の加熱装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-220755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、上述のような加熱装置においては、加熱部材の素材として、耐熱温度が比較的高い黄銅が使用される。ここで、外乱による加熱部材の温度変動を少なくするために、加熱部材はある程度大きな熱容量を有していることが好ましい。しかしながら、黄銅は比熱が比較的低いので、黄銅製の加熱部材の熱容量をある程度確保しようとすると加熱部材の質量が大きくなり、コストが増大する。
【0005】
また、上述のような加熱装置においては、加熱部材における糸走行方向に関する所定位置(コントロール点)の温度が所定の温度となるように制御される。しかしながら、黄銅は熱伝導率が比較的低いので、黄銅製の加熱部材では、糸走行方向に関してコントロール点から離れた部分の温度の低下度合が大きくなる。
【0006】
本発明の目的は、コストを低減可能であり、且つ、糸走行方向に関する加熱部材の温度の高く維持できる糸加工機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明にかかる糸加工機は、合成繊維からなる走行中の糸を加熱する加熱装置を有する糸加工機であって、前記加熱装置は、熱源と、前記熱源によって加熱される加熱部と、前記熱源の温度を制御する制御部と、を備えている。前記加熱部は、前記走行中の糸を接触させるための接糸面が設けられた接糸部と、前記熱源で発生する熱を受けて前記接糸部を加熱するための加熱部材と、を有し、前記加熱部材は、アルミニウムを含む金属で構成される。前記制御部は、前記加熱部材の温度が320℃以下に制限されるよう前記熱源の温度を制御する。
【0008】
本発明では、糸を接糸面に接触させて加熱する接触方式であるので、非接触方式の場合に比べて、熱源の設定温度を低くすることができる。すなわち、加熱部材の温度が320℃以下であっても糸を適正に加熱することができる。したがって、加熱部材の素材として、融点が比較的低いアルミニウムを使用することができる。アルミニウムは、比熱が比較的高く且つ比重が比較的小さいので、黄銅に比べて小さな質量である程度の熱容量を確保することができる。よって、コストを削減することができる。また、アルミニウムは、黄銅に比べて熱伝導率が高いので、糸走行方向に関する加熱部材の温度の高く維持できる。
【0009】
なお、熱源は、例えばニクロム線等の電熱線に電流を流すことで発熱する抵抗加熱式の熱源である。抵抗加熱式の熱源の一例としては、シーズヒータが挙げられる。
【0010】
第2の発明にかかる糸加工機では、前記接糸部は、少なくとも鉛直方向に交わる延在方向に延びており、前記加熱装置は、前記接糸面が少なくとも下側を向くように、且つ、鉛直方向及び前記延在方向の両方と平行な断面において、前記接糸面の水平方向に対する傾き角度が-60°~+60°の間に収まるように設置される。
【0011】
本発明では、断糸が発生したときには、糸を自重で接糸面から速やかに離れさせることができる。これにより、断糸が発生した際に、糸が加熱装置内で融解して加熱装置に付着するのを回避できる。
【0012】
第3の発明にかかる糸加工機では、前記熱源は、電流が供給されることにより発熱し、前記加熱部材の温度を検出するセンサと、前記熱源に電流を供給可能な電流付与回路と、をさらに備えており、前記制御部は、前記センサの検出値に基づいて前記電流付与回路を制御し、前記熱源に電流を供給する状態と電流を供給しない状態とを切り替える。
【0013】
本発明では、熱源に供給する電流や電圧の大きさを制御する場合に比べて、制御を簡素化してコストを低減することができる。
【0014】
第4の発明にかかる糸加工機では、前記加熱部材の温度が400℃以上且つ450℃以下の所定温度となったときに前記熱源に供給する電流を遮断する遮断器をさらに備えている。
【0015】
本発明では、センサの故障等により制御部により加熱部材の温度が制御できなくなった場合であっても、加熱部材の温度が400℃以上且つ450℃以下の所定温度となったときに、遮断器によって熱源に供給する電流を遮断することができる。したがって、加熱部材の温度の上昇を抑え、加熱部材の強度が低下するのを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態にかかる仮撚加工機の側面図である。
図2】糸の経路に沿って仮撚加工機を展開した模式図である。
図3】第1加熱装置を示す図である。
図4図3のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図4のV-V線に沿う断面図である。
図6図4のVI-VI線に沿う断面図である。
図7】接糸面の水平方向に対する傾き角度の定義を示す説明図である。
図8】(a)、(b)は、接糸面の水平方向に対する傾き角度の限度を示す説明図である。
図9】実施例及び比較例にかかる各加熱部材を使用した際の接糸面の温度分布を示すグラフである。
図10】実施例及び比較例にかかる各加熱部材を使用した際の消費電力を示すグラフである。
図11】アルミニウム及び黄銅の各物性値を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好適な一実施形態に係る仮撚加工機1について、図1を参照しつつ説明する。なお、図1の紙面垂直方向を機台長手方向とし、紙面左右方向を機台幅方向とする。機台長手方向及び機台幅方向の両方と直交する方向を、重力の作用する上下方向(鉛直方向)とする。機台長手方向及び機台幅方向は、水平方向と略平行な方向である。
【0018】
(仮撚加工機の全体構成)
仮撚加工機1は、例えばナイロン(ポリアミド系繊維)やポリエステル等の合成繊維からなる糸Yを仮撚加工可能に構成されている。仮撚加工機1は、糸Yを供給するための給糸部2と、給糸部2から供給された糸Yを仮撚加工する加工部3と、加工部3によって加工された糸Yを巻取ボビンBwに巻き取る巻取部4とを備える。給糸部2、加工部3及び巻取部4が有する各構成要素は、機台長手方向において複数配列されている(図2参照)。機台長手方向は、給糸部2から加工部3を通って巻取部4に至る糸道によって形成される、糸Yの走行面(図1の紙面)と直交する方向である。
【0019】
給糸部2は、複数の給糸パッケージPsを保持するクリールスタンド5を有する。給糸部2は、加工部3に複数の糸Yを供給する。加工部3は、給糸パッケージPsから供給された糸Yを仮撚りする。加工部3は、糸走行方向の上流側から順に、第1フィードローラ11、撚止ガイド12、第1加熱装置13(本発明の「加熱装置」に相当)、冷却装置14、仮撚装置15、第2フィードローラ16、交絡装置17、第3フィードローラ18、第2加熱装置19、第4フィードローラ20が配置された構成となっている。巻取部4は、複数の巻取装置21を有する。各巻取装置21は、加工部3で仮撚加工された糸Yを巻取ボビンBwに巻き取って巻取パッケージPwを形成する。
【0020】
仮撚加工機1は、機台幅方向に間隔を置いて配置された主機台8及び巻取台9を有する。主機台8及び巻取台9は、機台長手方向に略同じ長さに延設されている。主機台8及び巻取台9は、機台幅方向において互いに対向するように配置されている。主機台8の上部と巻取台9の上部とは、支持フレーム10によって連結されている。加工部3を構成する各装置は、主に主機台8や支持フレーム10に取り付けられている。巻取部4を構成する各装置は、巻取台9に取り付けられている。主機台8と巻取台9と支持フレーム10とによって、作業者が各装置に対して糸掛け等の作業を行うための作業空間Aが形成されている。糸道は、糸Yが主に作業空間Aの周りを走行するように形成されている。
【0021】
仮撚加工機1は、互いに対向配置された1組の主機台8及び巻取台9を含むスパンと呼ばれる単位ユニットを有する。1つのスパンには、加工部3を構成する各装置を通るように糸道が形成されている加工ユニット(錘とも呼ばれる)が、機台長手方向に複数並んで配置されている。これによって、1つのスパンでは、機台長手方向に並んだ状態で走行する複数の糸Yに対して、同時に仮撚加工を行うことができる。仮撚加工機1は、スパンが、主機台8における機台幅方向の中心線Cを対称軸として、紙面左右対称に配置されている。主機台8は左右のスパンで共通のものとなっている。
【0022】
(加工部の構成)
加工部3の構成について、図1及び図2を参照しつつ説明する。第1フィードローラ11は、給糸部2に装着された給糸パッケージPsから糸Yを解舒して第1加熱装置13へ送るように構成されている。第1フィードローラ11は、例えば、図2に示すように、1本の糸Yを第1加熱装置13へ送るように構成されている。或いは、第1フィードローラ11は、隣り合う複数の糸Yをそれぞれ糸走行方向における下流側へ送ることが可能に構成されていても良い。撚止ガイド12は、仮撚装置15で糸Yに付与された撚りが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側に伝播しないように構成されている。
【0023】
第1加熱装置13は、第1フィードローラ11から送られてきた糸Yを所定の加工温度に加熱するための装置である。第1加熱装置13は、例えば、図2に示すように、2本の糸Yを加熱可能に構成されている。第1加熱装置13のより詳細については後述する。
【0024】
冷却装置14は、第1加熱装置13で加熱された糸Yを冷却するように構成されている。冷却装置14は、例えば、図2に示すように、1本の糸Yを冷却するように構成されている。或いは、冷却装置14は、複数の糸Yを同時に冷却可能に構成されていても良い。仮撚装置15は、冷却装置14の糸走行方向下流側に配置され、糸Yに撚りを付与するように構成されている。仮撚装置15は、例えば、いわゆるディスクフリクション方式の仮撚装置であるが、これには限られない。第2フィードローラ16は、仮撚装置15で処理された糸Yを交絡装置17へ送るように構成されている。第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度は、第1フィードローラ11による糸Yの搬送速度よりも速い。これにより、糸Yは、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸仮撚される。
【0025】
交絡装置17は、糸Yに交絡を付与するように構成されている。交絡装置17は、例えば、空気流によって糸Yに交絡を付与する公知のインターレースノズルを有する。
【0026】
第3フィードローラ18は、交絡装置17よりも糸走行方向における下流側を走行している糸Yを第2加熱装置19へ送るように構成されている。第3フィードローラ18は、例えば、図2に示すように、1本の糸Yを第2加熱装置19へ送るように構成されている。或いは、第3フィードローラ18は、隣り合う複数の糸Yをそれぞれ糸走行方向における下流側へ送ることが可能に構成されていても良い。なお、第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度は、第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩される。
【0027】
第2加熱装置19は、第3フィードローラ18から送られてきた糸Yを加熱するように構成されている。第2加熱装置19は、鉛直方向に沿って延びており、1つのスパンに1つずつ設けられている。第4フィードローラ20は、第2加熱装置19によって加熱された糸Yを巻取装置21へ送るように構成されている。第4フィードローラ20は、例えば、図2に示すように、1本の糸Yを巻取装置21へ送ることが可能に構成されている。或いは、第4フィードローラ20は、隣り合う複数の糸Yをそれぞれ糸走行方向における下流側へ送ることが可能に構成されていても良い。第4フィードローラ20による糸Yの搬送速度は、第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩される。
【0028】
以上のように構成された加工部3では、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸された糸Yが、仮撚装置15によって撚られる。仮撚装置15により形成される撚りは、撚止ガイド12までは伝播するが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側には伝播しない。延伸されつつ撚りが付与された糸Yは、第1加熱装置13で加熱されて熱固定された後、冷却装置14で冷却される。仮撚装置15よりも糸走行方向下流側では糸Yは解撚されるが、上記の熱固定によって糸Yが波状に仮撚りされた状態が維持される(すなわち、糸Yの捲縮が維持される)。
【0029】
仮撚りが施された糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩されながら、交絡装置17によって交絡が付与された後、糸走行方向下流側へ案内される。さらに、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩されながら、第2加熱装置19で熱処理される。最後に、第4フィードローラ20から送られた糸Yが巻取装置21によって巻き取られる。
【0030】
(巻取部の構成)
巻取部4の構成について、図2を参照しつつ説明する。巻取部4は、複数の巻取装置21を有する。各巻取装置21は、1つの巻取ボビンBwに糸Yを巻取可能に構成されている。巻取装置21は、支点ガイド41と、トラバース装置42と、クレードル43とを有する。支点ガイド41は、糸Yが綾振りされる際の支点となるガイドである。トラバース装置42は、トラバースガイド45によって糸Yを綾振りすることが可能に構成されている。クレードル43は、巻取ボビンBwを回転自在に支持するように構成されている。クレードル43の近傍には、接触ローラ46が配置されている。接触ローラ46は、巻取パッケージPwの表面に接触して接圧を付与する。以上のように構成された巻取部4では、上述した第4フィードローラ20から送られた糸Yが各巻取装置21によって巻取ボビンBwに巻き取られ、巻取パッケージPwが形成される。
【0031】
(第1加熱装置の構成)
次に、第1加熱装置13のより具体的な構成について、図3図6をさらに参照しつつ説明する。図3に示すように、第1加熱装置13は、機台長手方向と直交する所定の延在方向に延びている。延在方向は、上下方向(鉛直方向)に交わる方向である。以下の説明においては、機台長手方向及び延在方向の両方と直交する方向を高さ方向とする。
【0032】
第1加熱装置13は、走行する糸Yを加熱するように構成されている。本実施形態では、第1加熱装置13は、例えば2本の糸Y(糸Ya、Yb:図4参照)を加熱可能に構成されている。
【0033】
第1加熱装置13は、図4及び図5に示すように、熱源51、加熱部52、加熱部52の温度を検出するセンサ57、電流付与回路58、サーモスタット70、断熱材59、ボックス60、及び、制御装置100を主に有する。第1加熱装置13は、熱源51によって加熱された加熱部52に走行中の糸Ya、Ybを接触させることによって、糸Ya、Ybを同時に加熱する。
【0034】
熱源51は、例えばニクロム線等の電熱線に電流を流すことで発熱する抵抗加熱式の熱源である。抵抗加熱式の熱源の一例としては、電熱線(例えばコイル)と、電熱線を囲むパイプとを有するシーズヒータが挙げられる。熱源51は、延在方向に沿って延びている。熱源51の加熱長(延在方向に沿う長さ)は、例えば1.0mである。熱源51は、電流付与回路58に接続されている。電流付与回路58は、熱源51の電熱線に電流を流すための回路である。熱源51は、電流付与回路58によって電熱線に電流が供給されることによりジュール熱を発生させる。
【0035】
電流付与回路58は、制御装置100と電気的に接続されている。なお、制御装置100は、第1加熱装置13の電流付与回路58の他にも、仮撚加工機1を構成する装置と電気的に接続されていても良い。制御装置100は、センサ57の出力信号に基づいて電流付与回路58のON/OFFを制御(PWM制御)し、熱源51の電熱線に電流を供給する状態と電流を供給しない状態とを切り替える。具体例としては、センサ57の検出値が目標温度よりも十分に低い場合は、制御装置100は、電熱線に電流が供給される状態を維持する。そして、センサ57の検出値が目標温度に近づくと、電熱線に電流を供給する状態の時間と電熱線に電流を供給しない状態との時間を調整し、目標温度を超えないように制御する。一方、センサ57の検出値が目標温度よりも十分に高い場合は、制御装置100は、電熱線に電流を供給しない状態を維持する。そして、センサ57の検出値が目標温度に近づくと、電熱線に電流を供給しない状態の時間と電熱線に電流を供給する状態との時間を調整し、目標温度を下回らないように制御する。なお、上述の目標温度は、糸Yの種類、糸Yの銘柄(太さ)、糸Yの走行速度等の運転条件に応じて適宜設定されるものである。
【0036】
上述のように、制御装置100は、熱源51の温度(第1加熱装置13の加熱温度)を制御可能である。なお、制御装置100による温度制御のコントロール点は、加熱部52においてセンサ57が設けられている部分(延在方向の中央部分)である。
【0037】
また、制御装置100は、第1加熱装置13の加熱温度の上限を管理する。すなわち、制御装置100は、センサ57の検出値が320℃以下に制限されるように制御する。具体例としては、制御装置100は、センサ57の検出値が320℃以下の所定の上限温度まで上昇したときに、電熱線に電流を供給しない状態として熱源51の温度を下げる。なお、上述の上限温度は固定値であり、糸Yの種類、糸Yの銘柄(太さ)、糸Yの走行速度等の運転条件により変更されるものではない。
【0038】
サーモスタット70は、電流付与回路58と熱源51との間に配置されている。サーモスタット70は、加熱部材53の温度が400℃以上且つ450℃以下の所定の異常温度となったときに、電流付与回路58と熱源51との間の回路を物理的に遮断する。これにより、熱源51に供給する電流が遮断される。すなわちサーモスタット70は、本発明の「遮断器」に相当する。
【0039】
加熱部52は、熱源51が生成する熱によって加熱されるように構成されている。加熱部52は、図5に示すように、熱源51に沿って延在方向に延びている。加熱部52は、例えば、2つの加熱部材53(加熱部材53a、53b)と、2つの接糸部54(接糸部54a、54b)と、を有する。加熱部材53a及び接糸部54aは、糸Yaを加熱するための部材である。加熱部材53b及び接糸部54bは、糸Ybを加熱するための部材である。糸Yaを加熱するための部材と糸Ybを加熱するための部材は、例えば、機台長手方向において、熱源51を挟んで互いに反対側の位置に配置されている。
【0040】
糸Yaを加熱するための部材について説明する。加熱部材53aは、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されている。加熱部材53aは、熱源51に沿って延在方向に延びている。加熱部材53aは、熱源51に接触するように配置されている。加熱部材53aは、例えば、熱源51の機台長手方向における一方側(図4の紙面左側)に配置されている。加熱部材53aは、例えば、延在方向に延びたスリット55(スリット55a)を有する。スリット55aは、延在方向と直交する断面において逆U字状のスリットである。スリット55aは、高さ方向における一方側(図4の紙面上側)とは反対の他方側(図4の紙面下側)が開口している。スリット55a内には、接糸部54(接糸部54a)が収容されている。
【0041】
接糸部54aは、糸Yaが走行するための糸道を形成している部材である。接糸部54aは、例えばSUS製の長尺の部材である。接糸部54aは、少なくとも延在方向に延びている。接糸部54aは、加熱部材53aと接触した状態で加熱部材53aに固定されている。接糸部54aは、加熱部材53aを介して熱源51から伝わる熱によって昇温される。接糸部54aは、糸Yを接触させるための接糸面56(接糸面56a)を有する。接糸面56aは、少なくとも高さ方向における他方側を向いている。接糸面56aは、図6に示すように、機台長手方向と直交する断面において、例えば高さ方向の他方側へ凸状に膨らんだ略U字状に湾曲している。接糸面56aは、図4に示すように、延在方向から見たときに、例えば高さ方向の一方側へ凸状に膨らんだ逆U字状に湾曲している。
【0042】
また、糸Ybを加熱するための部材について説明する。加熱部材53bは、例えば、熱源51の機台長手方向における他方側(図4の紙面右側)に配置されている。加熱部材53bは、熱源51と接触している。加熱部材53bは、スリット55aと同様の形状のスリット55bを有する。スリット55b内には、接糸部54aと同様の構造の接糸部54bが収容されている。接糸部54bは、接糸面56aと同様の形状の接糸面56bを有する。さらなる詳細については省略する。
【0043】
センサ57は、図4及び図5に示すように、加熱部52における高さ方向の一方側の端部に配置されている。より詳細には、センサ57は、図4に示すように、加熱部材53a、53bにおける高さ方向の一方側の端面に跨って形成された凹部52a内に配置されている。これにより、センサ57は、加熱部52における加熱部材53の温度を検出する。センサ57は、高さ方向に関して熱源51の一方側に配置されている。センサ57は、図5に示すように、加熱部52における延在方向の中央部分において、熱源51と高さ方向に関して重なる位置に配置されている。
【0044】
加熱部52は、ボックス60に収容されている。ボックス60は、延在方向を長手方向とする直方体形状を有する中空の部材である。ボックス60における高さ方向の他方側の側壁には開口61が形成されている。開口61により、2つの加熱部材53にそれぞれ形成されたスリット55内の空間が、ボックス60外の空間と連通している。また、ボックス60における延在方向の両端の側壁には、開口62、63がそれぞれ形成されている。開口62、63により、2つの加熱部材53にそれぞれ形成されたスリット55内の空間が、ボックス60外の空間と連通している。
【0045】
ボックス60と、ボックス60内に収容された加熱部52との間のすき間を埋めるように、複数の断熱材59が配置されている。加熱部52の機台長手方向の両側の壁面、及び、高さ方向の両側の壁面は、複数の断熱材59によって覆われている。加熱部52の延在方向の両側の壁面は断熱材59によって覆われておらず、外気に晒されている。また、断熱材59は、高さ方向に関してスリット55の他方側には配置されていない。
【0046】
これにより、図4及び図6に示すように、スリット55内に収容された接糸部54における接糸面56の高さ方向における他方側の(より正確には、下側の)空間は、開放されている。「開放されている」とは、第1加熱装置13において、接糸面56の下側への延長線上に部材が配置されておらず、断糸時に糸Yが自重で第1加熱装置13から脱落可能な空間が形成されていることを意味する。
【0047】
ここで、糸Yが正常に走行している状態において、糸Yが接糸面56に確実に接触するように、第1加熱装置13と撚止ガイド12との位置関係及び第1加熱装置13と冷却装置14との位置関係が適切に設定されている。すなわち、接糸面56に沿って走行している糸Yに対して、少なくとも高さ方向において接糸面56側への力が加えられようになっている。これにより、糸Yが接糸面56から離れてしまうことが防止される。
【0048】
以上の構成を有する第1加熱装置13においては、糸Yは、走行しながら接糸面56と接触することにより、接糸面56を介して加熱部52から熱を受け取る(接触方式)。これにより、糸Yが加熱される。糸Yの種類、糸Yの銘柄(太さ)、糸Yの走行速度及び加熱温度を適切に設定することにより、糸Yの温度を最適な加工温度にすることができる。第1加熱装置13においては、加熱温度と加工温度は必ずしも一致しない。加熱温度は、加工温度の目標値よりも高く設定されることが多い。
【0049】
(第1加熱装置の配置)
第1加熱装置13の配置について、図7及び図8をさらに参照しつつ、より具体的に説明する。
【0050】
上述のように、機台長手方向に直交する断面(言い換えると、上下方向及び延在方向の両方と平行な断面)において、接糸面56は略U字状に湾曲している。より詳しくは、接糸面56の延在方向における中央部(図7に示す点P0の近傍部分)は、延在方向と略平行である。接糸面56の延在方向における中央部の両側部分は、延在方向に対して傾いている。接糸面56の延在方向における一方側の端(図7に示す点P1)の近傍部分及び他方側の端(図7に示す点P2)の近傍部分が、延在方向に対して最も大きく傾いている。例えば、図7に示すように、延在方向が水平方向と略平行になるように第1加熱装置13が配置されているとき、機台長手方向と直交する断面において、点P0の近傍部分が水平方向と略平行である。また、このとき、点P1の近傍部分及び点P2の近傍部分が水平方向に対して大きく傾いている。
【0051】
図7に示すように、機台長手方向と直交する断面において、点P1の近傍部分の水平方向に対する傾き角度を角度θ1とする。また、当該断面において、点P2の近傍部分の水平方向に対する傾き角度を角度θ2とする。以下、角度θ1、θ2の詳細な定義について説明する。
【0052】
角度θ1は、機台長手方向と直交する断面において、接糸面56の点P1を通る接線のうち延在方向における一方側の部分(接線T1)と、機台幅方向に沿って延びる略水平な直線L1とのなす角度である。接線T1が直線L1よりも上側に位置しているとき(図7及び図8(a)参照)、角度θ1は正の値を有するものとする。接線T1が直線L1よりも下側に位置しているとき(図8(b)参照)、角度θ1は負の値を有するものとする。
【0053】
角度θ2は、機台長手方向と直交する断面において、接糸面56の点P2を通る接線のうち延在方向における一方側の部分(接線T2)と、機台幅方向に沿って延びる略水平な直線L2とのなす角度である。接線T2が直線L2よりも上側に位置しているとき(図8(a)参照)、角度θ2は正の値を有するものとする。接線T2が直線L2よりも下側に位置しているとき(図7及び図8(b)参照)、角度θ2は負の値を有するものとする。機台長手方向と直交する断面において、接糸面56の、点P1と点P2との間の部分の水平方向に対する傾き角度は、角度θ1と角度θ2との間の値を有する。
【0054】
本実施形態において、接糸面56の水平方向に対する傾き角度は、-60°~+60°の間に収まっている。より具体的には、接糸面56の点P1から点P2に亘る全ての部分(つまり、接糸面56の延在方向における全ての部分)の傾き角度が、水平方向に対して-60°~+60°の間に収まっている。本実施形態では、角度θ1及び角度θ2の両方が-60°~+60°の間に収まっているとき、接糸面56全体の水平方向に対する傾き角度は、-60°~+60°の間に収まっている。
【0055】
以上のように、第1加熱装置13において接糸面56の下側(真下)の空間が開放されており、且つ、機台長手方向と直交する断面において、接糸面56の水平方向に対する傾き角度が所定の範囲に収まっている。このため、仮撚加工機1の稼働中に断糸が生じたとき、糸Yを自重で速やかに接糸面56から離れさせ、さらには、第1加熱装置13から糸Yを脱落させることが可能になる。このため、断糸時に糸Yが第1加熱装置13に融着するのを回避できる。
【0056】
(比較試験)
本願発明者は、本実施形態のように加熱部材の素材としてアルミニウムを使用した場合(実施例)と、加熱部材の素材として黄銅を使用した場合(比較例)と、で比較試験を行った。図9は、実施例及び比較例にかかる加熱部材をそれぞれ使用し、設定温度を100℃、200℃、300℃とした場合(センサで検出される加熱部の温度(コントロール点の温度)が100℃、200℃、300℃となるように制御した場合)の、接糸面の延在方向に関する温度分布を示すグラフである。なお、実施例においても比較例においても、加熱部材の熱容量は2904J/Kである。
【0057】
図9のグラフから、いずれの設定温度での試験でも、加熱部材の素材としてアルミニウムを使用した場合(実施例)は、加熱部材の素材として黄銅を使用した場合(比較例)に比べて、接糸面における延在方向の両端部の温度の低下度合が小さくなっている。すなわち、実施例は比較例に比べて、コントロール点から離れた位置での接糸面の温度の低下度合が小さい。これは、後述するように、アルミニウムの熱伝導率が、黄銅の熱伝導率に比べて高いためである。
【0058】
図10は、実施例及び比較例にかかる加熱部材をそれぞれ使用し、無負荷状態(糸Yの加熱を行わない状態)で設定温度を100℃、200℃、300℃とした場合の、消費電力を示すグラフである。図10に示すように、実施例のように加熱部材の素材としてアルミニウムを使用した場合も、比較例のように加熱部材の素材として黄銅を使用した場合と、消費電力はほとんど変わらない。
【0059】
(アルミニウム及び黄銅の物性値)
ここで、上述の比較試験において実施例にかかる加熱部材の素材として使用したアルミニウムと、比較例にかかる加熱部材の素材として使用した黄銅との、融点、比熱、比重及び熱伝導率の各物性値を、図11の表に示す。なお、アルミニウムの各物性値は20℃でのものである。また、黄銅は、亜鉛の含有率が30パーセントの73黄銅である。図11に示すように、アルミニウムの融点は660℃であり、黄銅(1205℃)よりも低い。アルミニウムの比熱は900J/kg℃であり、黄銅(385J/kg℃)よりも大きい。アルミニウムの比重は2.7g/cm3であり、黄銅(8.56g/cm3)よりも小さい。アルミニウムの熱伝導率は204W/mk、黄銅(99W/mk)よりも大きい。
【0060】
(実施形態の特徴)
以上のように、本実施形態の仮撚加工機1は、合成繊維からなる走行中の糸Yを加熱する第1加熱装置13を有する仮撚加工機1であって、第1加熱装置13は、熱源51と、熱源51によって加熱される加熱部52と、熱源51の温度を制御する制御装置100と、を備えている。加熱部52は、走行中の糸を接触させるための接糸面56が設けられた接糸部54と、熱源51で発生する熱を受けて接糸部54を加熱するための加熱部材53と、を有する。加熱部材53は、アルミニウムを含む金属で構成され、制御装置100は、加熱部材53の温度が320℃以下に制限されるよう熱源51の温度を制御する。
【0061】
上述の構成によると、第1加熱装置13は、糸Yを接糸面56に接触させて加熱する接触方式であるので、非接触方式の場合に比べて、加熱温度を低くすることができる。すなわち、加熱部材53の温度が320℃以下であっても糸Yを適正に加熱することができる。したがって、加熱部材53の素材として、融点が比較的低いアルミニウムを使用することができる。アルミニウムは、比熱が比較的高く且つ比重が比較的小さいので、黄銅に比べて小さな質量である程度の熱容量を確保することができる。よって、コストを削減することができる。また、アルミニウムは、黄銅に比べて熱伝導率が高いので、糸走行方向に関する加熱部材53の温度の高く維持できる。
【0062】
また、本実施形態の仮撚加工機1では、接糸部54は、少なくとも鉛直方向に交わる延在方向に延びており、第1加熱装置13は、接糸面56が少なくとも下側を向くように、且つ、鉛直方向及び延在方向の両方と平行な断面において、接糸面56の水平方向に対する傾き角度が-60°~+60°の間に収まるように設置される。したがって、断糸が発生したときには、糸Yを自重で接糸面56から速やかに離れさせることができる。これにより、断糸が発生した際に、糸Yが第1加熱装置13内で融解して第1加熱装置13に付着するのを回避できる。
【0063】
さらに、本実施形態の仮撚加工機1では、熱源51は、電流が供給されることにより発熱する。そして、加熱部材53の温度を検出するセンサ57と、熱源51の電熱線に電流を供給可能な電流付与回路58と、を備えている。制御装置100は、センサ57の検出値に基づいて電流付与回路58のON/OFFを制御して、熱源51に電流を供給する状態と電流を供給しない状態とを切り替える。したがって、熱源51に供給する電流や電圧の大きさを制御する場合に比べて、制御を簡素化してコストを低減することができる。
【0064】
加えて、本実施形態の仮撚加工機1は、加熱部材53の温度が400℃以上且つ450℃以下の異常温度となったときに熱源51に供給する電流を遮断するサーモスタット70を備えている。センサ57の故障等により制御装置100により加熱部材53の温度が制御できなくなった場合には、加熱部材53の温度が上限温度よりも高くなるおそれがある。本実施形態の加熱部材53は、アルミニウムを含む金属で構成されている。ここで、純度99%以上の純アルミニウムの融点は660℃である。Al-Cu系のアルミニウム合金の融点は500℃~640℃である。Al-Mn系のアルミニウム合金の融点は640℃である。Al-Si系のアルミニウム合金の融点は530℃~570℃である。Al-Mg系のアルミニウム合金の融点は570℃~650℃である。Al-Mg-Si系のアルミニウム合金の融点は580℃~650℃である。Al-Zn-Mg系のアルミニウム合金の融点は480℃~640℃である。そして、本実施形態では、加熱部材53の温度が400℃以上且つ450℃以下の異常温度となったときに、サーモスタット70によって熱源51に供給する電流を遮断することができる。したがって、アルミニウムを含む金属で構成された加熱部材53の温度の上昇を抑え、溶融又は溶融に近い状態となるのを防ぐことができる。よって、加熱部材53の強度が低下するのを避けることができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0066】
上述の実施形態においては、加熱部材53の温度が400℃以上且つ450℃以下の異常温度となったときに、サーモスタット70によって熱源51に供給する電流を遮断する場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、サーモスタット70に替えて温度ヒューズを採用してもよい。また、サーモスタット70や温度ヒューズ等の遮断器が設けられていなくてもよい。
【0067】
さらに、上述の実施形態では、センサ57は、加熱部材53a、53bにおける高さ方向の一方側の端面に跨って形成された凹部52a内に配置されており、熱源51と高さ方向に重なる位置に配置されている場合について説明した。しかしながら、センサ57の配置はこれに限定されるものではない。すなわち例えば、センサ57は、機台長手方向に関して熱源51と並ぶ位置に配置されていてもよい。センサ57は、熱源51の近傍に配置されていることが好ましい。
【0068】
また、上述の実施形態においては、第1加熱装置13は、接糸面56が少なくとも下側を向くように、且つ、鉛直方向及び延在方向の両方と平行な断面において、接糸面56の水平方向に対する傾き角度が-60°~+60°の間に収まるように設置される場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、接糸面56は、上側を向いていてもよい。さらに、接糸面56の水平方向に対する傾き角度は-60°~+60°の間に収まっていなくてもよい。
【0069】
加えて、上述の実施形態では、本発明を糸Yに仮撚加工を施す仮撚加工機1に適用する場合について説明したが、これには限定されない。本発明は、仮撚加工に限定されず、合糸加工等の種々の加工を合成繊維からなる糸に施す糸加工機に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 仮撚加工機(糸加工機)
13 第1加熱装置(加熱装置)
51 熱源
52 加熱部
53 加熱部材
54 接糸部
56 接糸面
57 センサ
58 電流付与回路
70 サーモスタット(遮断器)
100 制御装置(制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11