(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016214
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】建造物の構造
(51)【国際特許分類】
E04F 13/07 20060101AFI20230126BHJP
E04B 1/34 20060101ALI20230126BHJP
E04F 15/16 20060101ALI20230126BHJP
E04F 15/18 20060101ALI20230126BHJP
E04B 9/22 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
E04F13/07 B
E04B1/34 Z
E04F15/16 C
E04F15/16 G
E04F15/18 W
E04B9/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120387
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000204192
【氏名又は名称】太陽工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】杉山 孝信
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 倫花
(72)【発明者】
【氏名】寺村 浩一
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 優樹
(72)【発明者】
【氏名】中原 圭仁
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA33
2E220BB02
2E220GA24X
2E220GA32X
(57)【要約】
【課題】デザイン性に優れた建築物の新規な構造を提供する。
【解決手段】壁、天井または床と、これらの内側または外側に、間隔を空けて設置され、少なくとも一部が透過して見える透過シートを備えた建造物の構造であって、前記壁、天井または床と、前記透過シートに、それぞれ模様が付されており、前記透過シート越しに見たとき、両方の模様が視覚的に作用して認識できる建造物の構造に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁、天井または床と、これらの内側または外側に、間隔を空けて設置され、少なくとも一部が透過して見える透過シートを備えた建造物の構造であって、
前記壁、天井または床と、前記透過シートに、それぞれ模様が付されており、前記透過シート越しに見たとき、両方の模様が視覚的に作用して認識できる建造物の構造。
【請求項2】
前記壁、天井または床が二重構造であって、前記透過シートが二重構造の一方である請求項1に記載の建造物の構造。
【請求項3】
前記透過シートが、メッシュ状シートまたは透明シートである請求項1または2に記載の建造物の構造。
【請求項4】
前記模様が立体的に認識できる請求項1~3のいずれか1項に記載の建造物の構造。
【請求項5】
前記透過シートに張力が印加されている請求項1~4のいずれか1項に記載の建造物の構造。
【請求項6】
前記壁、天井または床の模様が、印刷シートである請求項1~5のいずれか1項に記載の建造物の構造。
【請求項7】
前記壁、天井または床の模様が短冊上の濃淡模様であり、前記透過シートの模様が折線であって、壁面に凹凸を認識する請求項4~6のいずれか1項に記載の建造物の構造。
【請求項8】
前記外壁の模様と前記透過シートの模様が同じ模様であって、模様を立体的に形成する請求項4~6のいずれか1項に記載の建造物の構造。
【請求項9】
前記壁、天井または床と、前記透過シートとの間隔が、3~200cmである請求項1~8のいずれか1項に記載の建造物の構造。
【請求項10】
前記壁に窓を設置し、前記透過シートが窓を覆う請求項1~9のいずれか1項に記載の建造物の構造。
【請求項11】
前記壁、天井または床と、前記透過シートの間に照明を設置した請求項1~10のいずれか1項に記載の建造物の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デザインを施した建造物の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建造物の外部や内部を装飾するために、壁、天井、床等に直接、模様等のデザインを描いたり、デザインが印刷されたシート等を貼り付けて装飾することが行われている。しかしながら、直接デザインを付した部位のみしか装飾できず、デザインは平面的であって、必ずしも意匠性に優れるものではなかった。
【0003】
また、窓を有する外壁の場合には、窓部分には装飾を施すことができなかった。窓部分の装飾のために、デザインが描かれた印刷シート等を窓に貼り付けることが考えられるが、太陽光が遮られ、室内が暗くなるという問題や、窓を開けた際に、外壁と窓部分の柄がズレるという問題があった。さらに、窓に印刷されたシートを貼り付けると、建物内部から観察すると、大きな圧迫感を感じるという問題があった。
【0004】
特許文献1には、模様染色布とメッシュ布を重ね合わせたモアレ模様を有する二重布が開示されている。しかしながら、メッシュ布のメッシュそのものが視覚的作用を有する単なる生地であり、また、建造物の外壁等を装飾するものでもなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述の課題を解決するものであって、デザイン性に優れた建築物の新規な構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために、建築物の構造について検討を進めたところ、建造物の外壁の外側に、間隔を空けて透過シートを設置し、前記壁と、前記透過シートに、それぞれ模様を付すと、前記透過シート越しに見たとき、両方の模様が視覚的に作用して認識でき、デザイン性に優れていることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、壁、天井または床と、これらの内側または外側に、間隔を空けて設置され、少なくとも一部が透過して見える透過シートを備えた建造物の構造であって、
前記壁、天井または床と、前記透過シートに、それぞれ模様が付されており、前記透過シート越しに見たとき、両方の模様が視覚的に作用して認識できる建造物の構造に関する。
【0009】
前記壁、天井または床が二重構造であって、前記透過シートが二重構造の一方となるようにすることもできる。
【0010】
前記透過シートが、メッシュ状のシートまたは透明なシートであることが好ましい。
【0011】
前記模様が立体的に認識できることが好ましい。
【0012】
前記透過シートに張力が印加されていることが好ましい。
【0013】
前記壁、天井または床の模様が、印刷シートであることが好ましい。
【0014】
前記壁、天井または床の模様が短冊上の濃淡模様であり、前記透過シートの模様が折線であって、壁面に凹凸を認識することが好ましい。
【0015】
前記外壁の模様と前記透過シートの模様が同じ模様であって、模様を立体的に形成することが好ましい。
【0016】
前記壁、天井または床と、前記透過シートとの間隔が、3~200cmであることが好ましい。
【0017】
前記壁に窓を設置し、前記透過シートが窓を覆うことが好ましい。
【0018】
前記壁、天井または床と、前記透過シートの間に照明を設置することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の建造物の構造によれば、前記透過シート越しに見たとき、両方の模様が視覚的に作用して、たとえば立体的に認識でき、デザイン性に優れている。よって、建造物の装飾に最適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施形態における建築物の構造を有する建築物の斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における建造物の構造において、透過シートを取り除いた建造物の斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態における建造物の構造における透過シートの斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態における建築物の構造において、外壁に窓が存在する態様の正面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態における建造物、外壁および透過シートの正面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態における建造物、外壁および透過シートの正面図である。
【
図7】本発明の第4の実施形態における建造物、外壁および透過シートの正面図である。
【
図8】本発明の第5の実施形態における建造物、外壁および透過シートの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の建造物の構造は、壁、天井または床と、これらの内側または外側に、間隔を空けて設置され、少なくとも一部が透過して見える透過シートを備えた建造物の構造であって、前記壁、天井または床と、前記透過シートに、それぞれ模様が付されており、前記透過シート越しに見たとき、両方の模様が視覚的に作用して認識できることを特徴とする。
【0022】
壁等の外側に透過シートを設置した場合、建造物の外部から模様を視覚的に認識でき、壁等の内側に透過シートを設置した場合、建造物の内部から模様を視覚的に認識できる。
図1に、外壁1の外側に透過シート2を設置した本発明の建造物の構造の斜視図を示す。外壁1の外側に、透過シート2を保持する骨組みを組み立て、骨組みに透過シートを固定金具で固定する。
図1では、外壁の外側に透過シートを設けたが、外壁の内側に透過シートを設けることもでき、建造物の内部から模様を視覚的に認識することも可能である。
図1は、壁を例とした態様を示したが、壁の代わりに、天井や床の室内側に透過シートを設けることもできる。
【0023】
透過シートは、シート越しに外壁等が透けて見えることが必要である。透けて見える部位は、透過シートの一部であっても、全部であっても良い。透過シートとしては、たとえばメッシュ状シート、透明なシートなどが挙げられる。透明シートには、無色透明シート以外に、有色透明シート、半透明シート、糸入りシート等も含まれる。
【0024】
透過シートは、風等によって透過シートが大きく揺れることにより、壁等の透けて見える模様とのズレをできるだけ防止するために、張力を印加して固定することが好ましい。透過シートは、金具などで固定することができ、簡便に取り換えることも可能である。
【0025】
前記壁、天井または床が二重構造であって、前記透過シートが二重構造の一方となるようにすることもできる。壁、天井、床が二重構造である場合、たとえば、壁に内壁と外壁の2つの壁が存在する場合には、内壁または外壁の一方を透過シートにすることができる。外壁が透過シートであれば、建造物の外側から視覚的に認識でき内壁が透過シートであれば、建造物の内側から模様等を視覚的に認識することができる。天井に内側の天井と外側の屋根が存在する場合には、内側の天井を透過シートにするこができる。内天井が透過シートであれば、建造物の内側から模様等を視覚的に認識することができる。
【0026】
メッシュ状シートにおいて、目合いは0.1~200mmが好ましく、0.5~30mmがより好ましい。目合いの大きさを変えることによって、太陽光の取り込み量を変化させることができる。
【0027】
壁等とシートの間隔は、特に限定されないが、3~200cmが好ましく、5~50cmがより好ましい。3cm未満、または、200cmを超えると、視覚的作用による効果が小さくなる傾向がある。
【0028】
壁等と透過シートの両方の模様が視覚的に作用して認識することとは、たとえば立体的に認識できること、それぞれ単独の模様からは意図しない模様となることなどが挙げられる。
【0029】
前記壁等に付す模様は、壁等に直接描写することもできるが、直接描写することの代わりに、印刷シートを壁等に貼り付けても良く、また、印刷シートを壁等から少し間隔を空けて壁等の前面に設置することもできる。透過シートに付す模様も、直接、透過シートに描写することもできるが、インクジェットプリンタなどで印刷して模様を付すこともできる。
【0030】
壁等と透過シートに付す模様としては、たとえば以下のような模様が挙げられる。
(1)第1の実施形態
前記壁、天井または床の模様が短冊上の濃淡模様であり、前記透過シートの模様が折線である。
図5に具体的な模様を示すが、中央部が直線で、中央部から離れた部分は折れ線として、折れ曲がり角度を中央部からの距離に応じて大きくしたものである。このような模様を付すことによって、壁面に立体的に凹凸を認識することができる。
(2)第2の実施形態
前記外壁の模様が1本の植物の輪郭であり、前記透過シートの模様が最前面の葉である。
図6に具体的な模様を示す。このような模様を付すことによって、立体的な植物を認識することができる。
(3)第3の実施形態
前記外壁の模様が動物顔面の輪郭であり、前記透過シートの模様が顔の部位である。このような模様を付すことによって、目、鼻、口等が前面に認識でき、立体的な動物の顔面を形成することができる。
(4)第4の実施形態
前記外壁の模様と前記透過シートの模様を略同一の模様とする。
図7に、具体的な模様を示すが、右側の文字が略同一の模様に該当する。このような模様を付すことによって、文字等の平面的な模様を立体的に形成することができる。
(5)第5の実施形態
前記外壁の模様と前記透過シートの模様がともに幾何学的な模様とする。
図8に、具体的な模様を示すが、このような模様を付すことによって、幾何学的な模様を立体的に形成することができる。
【0031】
前記壁、天井または床等には、窓を設けることができる。窓を設置しても、透過シートに模様を付すことができるため、窓の設置部位にもデザインを付すことができる。また、透過シートは、太陽光を透過するために、室内を適度な明るさに保つことができる。さらに、窓を開けても、模様はずれることなく、外観を保つことができる。
【0032】
前記壁、天井または床と、前記透過シートの間に照明を設置することが好ましい。照明を設置することで、夜間でも模様を認識することができるとともに、昼夜で見え方を変化させることができる。また、外壁の外側に透過シートと照明を設置した場合、窓を通して、透過シートの模様を認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の建造物の構造は、高いデザイン性を有しているため、建築物の装飾として様々な建造物に展開することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 外壁
2 透過シート