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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162142
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】基材処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20231031BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20231031BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20231031BHJP
   C23C 16/04 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/316 X
H01L21/318 B
C23C16/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023070385
(22)【出願日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】63/334,838
(32)【優先日】2022-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋矢
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA13
4K030AA14
4K030AA16
4K030AA18
4K030BA29
4K030BA40
4K030BA41
4K030BA44
4K030BB12
4K030BB14
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA05
4K030EA03
4K030FA01
4K030FA10
4K030GA02
4K030HA01
4K030JA01
4K030JA05
4K030JA09
4K030JA10
4K030JA11
4K030JA16
4K030JA18
4K030LA02
4K030LA15
5F004AA02
5F004AA06
5F004EA06
5F004EA07
5F058BA08
5F058BA20
5F058BB10
5F058BC02
5F058BC08
5F058BC10
5F058BD04
5F058BD10
5F058BD13
5F058BE10
5F058BF07
5F058BF21
5F058BF23
5F058BF24
5F058BF25
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF37
5F058BF39
5F058BH16
5F058BJ10
(57)【要約】
【課題】反応器内でプラズマを使用する基材処理方法において基材の下層への損傷を最小化するための方法を提供する。
【解決手段】ライナー層がフォトレジスト下層の上に形成され、その後にSiOパターニング層をその上に形成することが続く、基材処理方法が提供される。実施形態によれば、ケイ素含有層を提供することによってライナー層が形成され、その後に、高周波RF電力および低周波RF電力をまとめて同時に提供することによって活性化された不活性ガスが続く。それ故に、フォトレジスト下層の損失は、デバイス性能に影響を与えない範囲内に最小化される場合があり、またライナー層の厚さが薄い一方で、ウェットエッチング特性および微細なパターン間の幅は一定に保持される場合がある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材処理方法であって、
パターン化された構造上にライナー層を形成する第一段階と、
前記ライナー層上に堆積層を形成する第二段階と、を含み、
前記ライナー層を形成する前記第一段階が、二周波数RF電力を提供することによって実行される、基材処理方法。
【請求項2】
前記ライナー層を形成するための前記第一段階が、
パターン化された構造を有する基材を反応器に提供する第一の工程と、
第一の反応物質を前記基材に提供し、かつ第一の原料層を前記パターン化された構造上に形成する第二の工程と、
二周波数RF電力を前記第一の原料層に提供する第三の工程と、
前記第一の原料層を第二の原料層に変換する第四の工程と、を含み、
第三の反応物質が、前記第二の工程から前記第四の工程の全体を通して連続的に提供される、請求項1に記載の基材処理方法。
【請求項3】
二周波数RF電力を提供する前記第三の工程が、低周波RF電力および高周波RF電力を同時に提供する、請求項2に記載の基材処理方法。
【請求項4】
RF電力の低周波が、300kHzから~500kHzの範囲であり、かつ
RF電力の高周波数が、5MHz~60MHzの範囲である、請求項3に記載の基材処理方法。
【請求項5】
前記第一の反応物質が、ケイ素、窒素、および炭素を含む、請求項2に記載の基材処理方法。
【請求項6】
前記第一の反応物質が、TSA、(SiHN;DSO、(SiH;DSMA、(SiHNMe;DSEA、(SiHNEt;DSIPA、(SiHN(iPr);DSTBA、(SiHN(tBu);DEAS、SiHNEt;DTBAS、SiHN(tBu);BDEAS、SiH(NEt;BDMAS、SiH(NMe;BTBAS、SiH(NHtBu);BITS、SiH(NHSiMe;DIPAS、SiHN(iPr);TEOS、Si(OEt);SiCl;HCD、SiCl;3DMAS、SiH(N(Me);BEMAS、SiH[N(Et)(Me)];AHEAD、Si(NHEt);TEAS、Si(NHEt);Si;DCS、SiHCl;SiHI;SiH;またはその混合物もしくは誘導体のうちの少なくとも1つを備える、請求項5に記載の基材処理方法。
【請求項7】
前記第一の原料層が、前記二周波数RF電力によって活性化される前記第三の反応物質によって解離され、かつ前記第二の原料層に変換される、請求項2に記載の基材処理方法。
【請求項8】
前記第二の原料層が、個々のケイ素元素、窒素元素、炭素元素、またはそれらの混合物を含む、請求項7に記載の基材処理方法。
【請求項9】
前記第二の原料層が、SiCN層を含む、請求項7に記載の基材処理方法。
【請求項10】
前記第三の反応物質が、Ar、He、もしくはN、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の基材処理方法。
【請求項11】
前記ライナー層上に前記堆積層を形成する前記第二段階が、
第一の反応物質を提供し、かつ前記パターン化された構造上に形成された前記ライナー層上に第三の原料層を形成する第五の工程と、
第二の反応物質を前記第三の原料層に提供する第六の工程と、
前記反応器に高周波RF電力を提供し、前記第二の反応物質を活性化させる第七の工程と、
前記第三の原料層を前記第二の反応物質と反応させることによって化合物を形成するための第八の工程と、を含む、請求項1に記載の基材処理方法。
【請求項12】
前記第三の原料層が、前記第一の原料層と同じ材料である、請求項11に記載の基材処理方法。
【請求項13】
前記第一の反応物質が、TSA、(SiHN;DSO、(SiH;DSMA、(SiHNMe;DSEA、(SiHNEt;DSIPA、(SiHN(iPr);DSTBA、(SiHN(tBu);DEAS、SiHNEt;DTBAS、SiHN(tBu);BDEAS、SiH(NEt;BDMAS、SiH(NMe;BTBAS、SiH(NHtBu);BITS、SiH(NHSiMe;DIPAS、SiHN(iPr);TEOS、Si(OEt);SiCl;HCD、SiCl;3DMAS、SiH(N(Me);BEMAS、SiH[N(Et)(Me)];AHEAD、Si(NHEt);TEAS、Si(NHEt);Si;DCS、SiHCl;SiHI;SiH;またはその混合物もしくは誘導体のうちの少なくとも1つを備える、請求項11に記載の基材処理方法。
【請求項14】
前記第二の反応物質が、O、O、CO、HO、NO、NO、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の基材処理方法。
【請求項15】
前記第二の反応物質が、N、NO、NO、NH、N、N、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の基材処理方法。
【請求項16】
前記化合物が、酸化ケイ素または窒化ケイ素のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の基材処理方法。
【請求項17】
前記ライナー層のうちの少なくとも一部が、活性化された第二の反応物質によって化合物に変換される、請求項11に記載の基材処理方法。
【請求項18】
前記ライナー層全体が、活性化された第二の反応物質によって化合物に変換される、請求項17に記載の基材処理方法。
【請求項19】
前記ライナー層の前記厚さが、10Åである、または10Åより大きい、請求項1に記載の基材処理方法。
【請求項20】
前記パターン化された構造の損失が、5Å未満である、請求項11に記載の基材処理方法。
【請求項21】
前記パターン化された構造が、フォトレジスト、炭素材料、または非晶質ケイ素のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の基材処理方法。
【請求項22】
前記パターン化された構造の幅が、ほぼ同じである、請求項11に記載の基材処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基材を処理するための方法に関し、より具体的には、反応器内でプラズマを使用する処理中の基材の下層への損傷を最小化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体回路のライン幅が縮小するにつれ、従来の熱的なプロセスにおいて熱履歴から半導体デバイスを保護するために低温プロセスに対する要求が増加してきている。
【0003】
プラズマ強化原子層堆積(PEALD)法は、反応物質ガスを活性化し、低温で三次元パターン構造上の膜厚さおよび均一性の正確な制御を容易にするためにプラズマを使用するため、PEALD法は、低温プロセスでしばしば使用されている。例えば、PEALD法は、プラズマによって酸素反応物質ガスを活性化することによって、低温においてパターニング層としてのSiO層形成を容易にする。
【0004】
酸化物層(例えば、SiO層)が、炭素を含むフォトレジスト(PR)パターン構造の上にPEALD法によって堆積されたパターニング層として使用される時、フォトレジスト下層は、酸素ラジカルの強い反応性に起因して損傷される場合がある。下層への損傷は、SiO層がある特定の厚さに堆積されるまで継続する場合がある。一般的に、5Å未満の下層の損傷は、デバイス性能に著しく影響を与えない範囲内である場合があるため、許容される場合がある。しかしながら、ウェットエッチング耐性が高いSiO層を堆積させるために高強度のRF電力が印加される場合、下層の損傷はデバイス性能に著しい影響を与える場合がある。それ故に、高いRF電力が印加されるプロセス条件の場合には、下層の損傷が最小化され、かつ損傷がデバイス性能に著しく影響を与えない範囲内である基材処理方法が必要とされる場合がある。
【0005】
従来の基材処理方法では、保護層としてのライナー膜が、その問題を解決するためにフォトレジスト上に形成される場合がある。ライナー層は、酸素ラジカルを提供することなく、フォトレジスト上に原料材料を吸着することによって形成される。例えば、アミノシランケイ素原料が提供され、続いて活性化Arガスの提供が続いてもよい。ライナー層がフォトレジスト上に形成される際に、活性化Arガスは、ケイ素原料ガスおよびSiCN層を解離する。その後、Si原料と酸素プラズマとが交互かつ連続的に提供されて、SiCN層上のパターニング層としてSiO層を形成し、またSiCN層の少なくとも一部は、酸素ラジカルと反応することによってSiO層に変換される。しかしながら、フォトレジスト下層は、高活性の酸素ラジカルによって依然として損傷される。この問題を解決するには、SiCN層の厚さを増加してもよいが、これはSiCN層をSiO層に混合させることにもなり、結果的にSiO層全体を通して不均一なSiO層特性をもたらす。結果として、異なる組成を有する2つの膜が積み重ねられるため、膜のウェットエッチング特性は膜全体を通して均一にならない場合がある。また、半導体デバイスがさらに縮小し、かつ半導体デバイスのパターン化された構造間の間隔がより狭くなるにつれて、より薄いSiOパターニング層が、パターン化された構造上に形成されることも必要とされる場合がある。したがって、SiCN層が厚くなる場合、SiO層全体は、SiCN層と、SiCN層から完全に変換されないSiO層とを一緒に含むようになり、それ故にSiO層のウェットエッチング特性は均一ではない。加えて、SiO層の厚さは、必要とされる薄い厚さを超える場合がある。逆に、SiCN層が薄い場合、フォトレジスト下層は、フォトレジスト層の損失、フォトレジストの部分的な変形などによって示されるように、活性酸素ラジカルから直接的に損傷される場合がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、反応器内でプラズマを使用する基材処理方法において基材の下層への損傷を最小化するための方法を提供する。
【0007】
1つ以上の実施形態では、基材処理方法は、ライナー層を形成する第一段階および堆積層を形成する第二段階を含んでもよい。
【0008】
1つ以上の実施形態では、ライナー層を形成する第一段階は、第一の反応物質および第三の反応物質を、パターン化された構造に提供することと、パターン化された構造の表面上に第一の原料層を形成することからなる。
【0009】
1つ以上の実施形態では、ライナー層を形成する第一段階において、低周波RF電力および高周波RF電力が第一の原料層に同時に提供され、一方で第三の反応物質が提供され、また第一の原料層は解離され、活性化された第三の反応物質によって第二の原料層に変換される。
【0010】
1つ以上の実施形態では、堆積層を形成する第二段階は、第一の反応物質を提供し、かつライナー層上に第三の原料層を形成することと、第三の原料層に第二の反応物質を提供することからなる。
【0011】
1つ以上の実施形態では、堆積層を形成する第二段階では、第二の反応物質が提供される間に高周波RF電力が提供され、第三の原料層を活性化された第二の反応物質と反応させることによって化合物を形成する。
【0012】
1つ以上の実施形態では、ライナー層の少なくとも一部は、活性化された第二の反応物質によって化合物に変換される。
【0013】
もう1つの実施形態では、活性化された第二の反応物質によるパターン化された構造の損失は、5Å未満である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示のある特定の実施形態の上記およびその他の態様、特徴、および利点は、添付図面と併せて以下の記述からより明らかとなる。
【0015】
図1図1は、本開示の基材処理方法のフローチャートである。
図2図2は、図1によるプロセスタイミンググラフである。
図3A図3Aは、既存のプロセスによる下層の損失の図である。
図3B図3Bは、既存のプロセスによる下層の損失の図である。
図3C図3Cは、本開示の基材処理方法による下層の損失の図である。
図4図4は、SiCNライナー層の厚さによる、様々なプロセス条件による炭素損失の図である。
図5図5は、フォトレジストを含むパターン化された構造上にSiOパターニング層を形成する図である。
図6図6は、本開示の基材処理方法を実行するための基材処理装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、上述の問題を解決する方法に関し、より具体的には、保護層として薄い厚さを有するライナー層を形成して、下層への損傷を最小化する方法に関する。
【0017】
本開示の実施形態では、二周波数RF電力が、炭素含有フォトレジスト層上にライナー層を形成するために提供されてもよい。より具体的には、ライナー層は、低周波RF電力および高周波RF電力を同時に提供することによって形成されてもよい。低周波RF電力の供給は、ライナー層の密度および硬度が改善されうるという点で技術的利点を有する場合があり、一方で下層の損傷を最小化する場合がある。高周波RF電力の供給は、ラジカル生成を促進し、かつ高い均一性および高い膜成長速度を達成する技術的利点を有する場合がある。
【0018】
図1は、本開示による基材処理方法のフローチャートを示す。より具体的には、図1は、基材上に形成されたパターン化された構造上にライナー層および堆積層を形成する方法を示す。パターン化された構造は、フォトレジストのうちの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、フォトレジストは、炭素材料(ハードマスクおよびスピンオン炭素など)または非晶質ケイ素のうちの少なくとも1つを含んでもよい。図1では、一例として、パターン化された構造がフォトレジストとして図示されている。ライナー層は保護層であってもよく、また堆積層はパターニング層であってもよい。各工程の記述は、以下のようにより詳細に提供される。
【0019】
第一の工程S1:基材が反応器に装填される。基材は、その上に形成されたパターン化された構造を含んでもよく、またパターン化された構造は、炭素含有フォトレジストを備えてもよい。
【0020】
第二の工程S2:第一の原料層は、第一の反応物質を供給することによって形成されてもよい。第一の反応物質は、ケイ素含有ガスであってもよい。例えば、第一の反応物質は、アミノシラン、ヨードシラン、またはハロゲン化物のうちの少なくとも1つを含んでもよい。第一の原料層は、フォトレジスト上に第一の反応物質を吸着することによって形成されてもよい。また、第三の反応物質は、プロセス全体を通して、すなわち、第二の工程から第八の工程まで全体を通して、一緒に連続的に提供されてもよい。第三の反応物質は、Ar、He、またはNなどの不活性ガスを含んでもよい。第三の反応物質は、第一の反応物質を基材へ運んでもよく、または第一の反応物質の反応空間への均一な供給を容易にしてもよい。
【0021】
第三の工程S3:低周波RF電力および高周波RF電力が同時に提供され、第三の反応物質の活性化がもたらされる。
【0022】
第四の工程S4:活性化された第三の反応物質は、フォトレジスト上に吸着された第一の原料層を解離させる場合がある。次いで、解離された第一の原料層は、第二の原料層に変換されてもよい。第二の原料層は、第一の反応物質の分子の断片からなってもよい。例えば、アミノシラン原料ガス(第一の反応物質として)が提供され、第一の原料層としてフォトレジスト上に吸着される場合、第二の原料層は、個々のケイ素元素、炭素元素、窒素元素、水素元素、およびリガンド(アルキル基など)の断片を含有してもよい。第一の原料層は、解離されて、第二の原料層に変換されてもよく、また第二の原料層は、活性化された第三の反応物質のイオン衝撃効果に起因して、フォトレジスト上で高密度化されてもよい。
【0023】
第二の工程S2から第四の工程S4は、複数回、例えば、M回繰り返されてもよく、また第三の反応物質は、第二の工程S2から第四の工程S4の全体を通して連続的に提供されてもよい。第二の工程S2から第四の工程S4は、ライナー層を形成するための段階と称される場合がある。ライナー層は、堆積層を形成するための以下の段階において、活性種からフォトレジスト下層を保護するための保護層であってもよい。例示的な実施形態では、パージ工程は、第二の工程S2と第三の工程S3との間、および第三の工程S3と第四の工程S4との間に提供されてもよい。
【0024】
第五の工程S5:第三の原料層は、第一の反応物質を第二の原料層に供給することによって第二の原料層上に形成されてもよい。第一の反応物質は、ケイ素含有ガスであってもよく、またアミノシラン、ヨードシラン、またはハロゲン化物のうちの少なくとも1つを含んでもよい。第三の原料層は、第一の反応物質を第二の原料層上に吸着することによって形成されてもよい。第三の原料層は、第一の原料層と同じ材料であってもよく、また第三の反応物質が一緒に供給されてもよい。第三の反応物質は、ArまたはNなどの不活性ガスであってもよく、また第一の反応物質を基材へ運び、反応空間における第一の反応物質の均一な供給を容易にする場合がある。
【0025】
第六の工程S6:第二の反応物質が、反応器に提供されてもよい。第二の反応物質は、第三の原料層と化学的に反応しない場合があるが、活性化された時には、第三の原料層と化学的に反応する場合がある。それ故に、第二の反応物質は、反応性パージガスと称されてもよい。
【0026】
本開示の1つの実施形態では、第二の反応物質は、酸素を含有してもよい。例えば、第二の反応物質は、O、CO、NO、NO、O、HO、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0027】
本開示の別の実施形態では、第二の反応物質は窒素を含有してもよい。例えば、第二の反応物質は、N、NO、NO、NH、N、N、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含んでもよい。第三の反応物質は、第六の工程S6から第七の工程S7まで連続的に提供されてもよい。
【0028】
第七の工程S7:高周波RF電力が、反応器に提供されてもよい。高RF電力は、第二の反応物質を活性化してもよい。代替的な実施形態では、低周波RF電力および高周波RF電力は一緒に提供されてもよい。
【0029】
八工程S8:活性化された第二の反応物質および第三の原料層は、互いに化学的に反応し、第二の原料層上に堆積層を形成する。1つの実施形態では、堆積層は、酸化ケイ素(SiO×)層または窒化ケイ素(Si×)または任意の絶縁材料層などのパターニング層であってもよい。別の実施形態では、第六の工程S6から八工程S8は、同時に実行されてもよい。
【0030】
第五の工程S5および八工程S8は、複数回、例えば、N回繰り返されてもよく、また第三の反応物質は、第二の工程S5から第四の工程S8まで全体を通して連続的に提供されてもよい。第五の工程S5から八工程S8は、堆積層を形成するための段階と称される場合がある。選択的な実施形態では、パージ工程が、第四の工程S4と第五の工程S5との間、および第五の工程S5と第六の工程S6との間、および第六の工程S6と第七の工程S7との間、および第七の工程S7と八工程S8との間、および八工程S8の後に提供されてもよい。別の実施形態では、第二の反応物質および第三の反応物質は、第五の工程S5から八工程S8の全体を通して連続的に提供されてもよい。
【0031】
第九の工程S9:第一の工程S1~S4、すなわち、ライナー層を形成するための段階、および第五の工程S5~八工程S8、すなわち、堆積層を形成するための段階が完了した後、基材処理プロセスは終了してもよい。
【0032】
図1に記述される開示の実施形態によれば、ライナー層を形成する段階において形成されるライナー層のうちの少なくとも一部は、堆積層を形成する段階の間に提供される酸素ラジカルに曝露され、かつ化学反応してもよく、またライナー層の一部の化学組成は変化してもよい。例えば、ライナー層は、第二の原料層からなる要素だけでなく、酸素ラジカルと反応することによって形成される化合物も含んでもよい。
【0033】
図2は、本開示の一実施形態によるプロセスタイミンググラフの図である。
【0034】
図2の第一段階は、図1の工程2(S2)から工程4(S4)、ライナー層を形成するための段階に対応する。より詳細には、図2のタイミング工程T1およびタイミング工程T3は、図1の第二の工程S2および第三の工程S3にそれぞれ対応してもよい。
【0035】
図2の第二段階は、図2の工程5(S5)から工程8(S8)、堆積層を形成するための段階に対応する。より詳細には、図2のタイミング工程T2およびT7は、図1の第五の工程S5および第七の工程S7にそれぞれ対応してもよい。代替的な実施形態では、低周波RF電力だけでなく、高周波RF電力も、第二段階のタイミング工程T7の間に一緒に提供されてもよい。例えば、低周波RF電力は、300kHz~500kHzのRF電力、または好ましくは320kHz~470kHz、またはより好ましくは340kHz~430kHzであってもよく、また高周波RF電力は、5MHz~60MHzのRF電力、または好ましくは7MHz~45MHz、またはより好ましくは10MHz~30MHzであってもよい。
【0036】
タイミング工程T1およびT5の間に提供される第一の反応物質は、アミノシラン、ヨードシラン、またはハロゲン化物などのケイ素(Si)を含有してもよい。例えば、第一の反応物質は、TSA、(SiHN;DSO、(SiH;DSMA、(SiHNMe;DSEA、(SiHNEt;DSIPA、(SiHN(iPr);DSTBA、(SiHN(tBu);DEAS、SiHNEt;DTBAS、SiHN(tBu);BDEAS、SiH(NEt;BDMAS、SiH(NMe;BTBAS、SiH(NHtBu);BITS、SiH(NHSiMe;DIPAS、SiHN(iPr);TEOS、Si(OEt);SiCl;HCD、SiCl;3DMAS、SiH(N(Me);BEMAS、SiH[N(Et)(Me)];AHEAD、Si(NHEt);TEAS、Si(NHEt);Si、DCS、SiHCl;SiHI;SiH;またはその混合物もしくは誘導体のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0037】
それ故に、保護層としてのSiCNライナー層は、図1および図2の実施形態による第一段階の間、フォトレジスト上に形成されてもよい。
【0038】
図2のタイミング工程T2とT5との間に提供される第二の反応物質は、酸素(O)を含有してもよい。例えば、第二の反応物質は、化合物、すなわち酸化物層を形成するために、O、O、CO、HO、NO、NO、またはその混合物もしくは誘導体のうちの少なくとも1つを含んでもよい。別の実施形態では、図2のタイミング工程T2およびT5の間に提供される第二の反応物質は、窒素(N)を含有してもよい。例えば、第二の反応物質は、化合物、すなわち、窒化層を形成するために、N、NO、NO、NH、N、N、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0039】
タイミング工程T1~T8の間に提供される第三の反応物質は、不活性ガスであってもよい。例えば、第三の反応物質は、Ar、He、またはN、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0040】
ライナー層を形成するための段階の間に提供される高周波RF電力は、活性化された第三の反応物質(Arイオンなど)のイオン密度を増加させる場合があり、また一緒に提供される低周波RF電力は、イオン衝撃効果に起因してライナー層の膜の高密度化に寄与する場合がある。結果として、フォトレジストの下にある層への損傷を最小化することに貢献する。それ故に、本開示による基材処理方法は、(1)ライナー層がイオン密度の増加に起因して高密度化される場合がある、(2)パターン化された構造上の膜のコンフォーマル性が改善される場合がある、および(3)高周波RF電力および低周波RF電力を同時に提供することによって、下層の損傷が減少する場合がある、という点で、技術的利点を有する場合がある。
【0041】
図2の実施形態によれば、基材上に形成されたSiCNライナー層の一部は、堆積層形成段階の間に酸素ラジカルと反応してもよく、また化学組成が変化してもよい。例えば、SiCNライナー層の少なくとも一部は、SiO層に変換されてもよい。
【0042】
図3A図3B、および図3Cは、従来の基材処理方法および本開示の基材処理方法による、下層の損失の程度を示す。
【0043】
図3Aおよび図3Bは、SiOパターニング層が、従来の基材処理方法によって、パターン化された構造のフォトレジスト層上に形成されることを示す。図3Cは、SiOパターニング層が、本開示の基材処理方法によってフォトレジスト層上に形成されることを示す。
【0044】
図3Aでは、高周波RF電力のみを提供することによって、PEALDによってフォトレジスト層上にライナー層を形成することなくSiO層が形成される場合、SiO層に面するライナー層の一部は、酸素ラジカルによって損傷され、それ故に、フォトレジストを構成する炭素元素は失われ、またSiO層が、酸素ラジカルによってフォトレジスト層内に形成される。その場合、SiO層のその後の選択的なエッチングプロセスでは、フォトレジスト層の一部は一緒にエッチングされて失われる場合があり、微細なパターン間の幅は均一でない場合があり、またデバイスの欠陥につながる場合がある。
【0045】
図3Bでは、第一段階の間に高周波RF電力のみを提供することによってフォトレジスト層上に10ÅのSiCNライナー層が形成され、その後、第二段階の間にその上にSiOパターニング層の堆積が続く。図3aと比較する場合、SiCNライナー層は、酸素ラジカルに起因してSiO層に変換され、10Åの薄いSiCN層厚さに起因して、変換されたSiO層内にはいかなる残留SiCN層も残留しない。しかし、フォトレジスト層は依然として酸素ラジカルによって損傷され、それ故にフォトレジスト層の中の炭素元素は、酸素ラジカルと反応してCOを形成して失い、SiO層がフォトレジスト層内に形成される。その場合、SiO層のその後の選択的なエッチングプロセスでは、フォトレジスト層の一部は一緒にエッチングされて失われる場合があり、微細なパターン間の幅は均一でない場合があり、またデバイスの欠陥につながる場合がある。
【0046】
図3Cでは、第一段階の間に高周波RF電力および低周波RF電力を同時に提供することによってフォトレジスト層上に10ÅのSiCNライナー層が形成され、その後、第二段階の間にその上にSiOパターニング層の堆積が続く。図3Aおよび図3Bと比較した時、SiCNライナー層から変換されたSiO層が10Åと薄いにもかかわらず、デバイス性能に影響を与えない範囲内で、下層の損失が著しく低減される。したがって、本開示の基材処理方法は、フォトレジスト下層の損失が著しく低減し、またいかなる残留SiCN層もSiO層内に残らないという技術的利点を有する場合がある。それ故に、パターン化された構造上に形成されたSiOパターニング層間の均一なウェットエッチング特性が達成されてもよく、また微細なパターン構造の幅は、後続の選択的なエッチングプロセスにおいて一定に保持される場合があり、またデバイス欠陥が防止される場合がある。
【0047】
図4は、ライナー層が形成されていない場合、高周波RF電力のみを提供してライナー層が形成される場合、および高周波RF電力および低周波RF電力を同時に提供してライナー層が形成される場合の、SiCNライナー層の厚さによる様々なプロセス条件による、フォトレジスト下層における炭素損失の図である。
【0048】
図4では、600ÅのSiOパターニング層が、SiCNライナー層なしで、またはそれぞれ5Å、10Å、および20ÅのSiCNライナー層を有して、カーボンハードマスク膜上に形成される。5Å未満の下層の損失がデバイス性能に影響を与えないと仮定する場合、高周波RF電力および低周波RF電力を一緒に提供することによって、10ÅのSiCNライナー層が形成され、その後PEALDによってその上にSiOパターニング層の形成が続くプロセス条件は、4.2Åの下層の損失を示す。すなわち、5Å未満では、それ故に下層の損失が、デバイス性能に影響を与えない範囲を下回って制御される場合がある。
【0049】
加えて、SiCNライナー層がより厚い時、例えば、20Åであり、かつSiCNライナー層が、高周波RF電力のみ、または高周波RF電力および低周波RF電力を一緒に提供することによって形成され、その後PEALDによってその上にSiOパターニング層の形成が続く時、下層の損失は、それぞれ5Åおよび1Å未満である場合がある。すなわち、5Å未満では、それ故に下層の損失が、デバイス性能に影響を与えない範囲を下回って制御される場合がある。
【0050】
図5は、本開示によるフォトレジストを備えるパターン化された構造上にSiOパターニング層を形成する図を図示する。
【0051】
図5の工程1では、ケイ素原料ガスおよびArガスが、基材上に形成されたパターン化された構造1に供給される。パターン化された構造は、フォトレジストであってもよく、また炭素元素からなってもよい。ケイ素原料分子は、パターン化された構造の表面上に熱的にかつコンフォーマルに吸着され、パターン化された構造の表面に沿って原料層(第一の原料層)3を形成する。Arガスは、図5aから図5dの全体を通して連続的に供給される。
【0052】
図5の工程2では、低周波RF電力および高周波RF電力が同時に提供され、基材上にArプラズマをその場で生成する。活性化されたArラジカルおよびイオンは原料層3のケイ素原料分子を攻撃し、かつ解離し、原料層3は、第二の層5、すなわちSiCNライナー層に変換される。SiCNライナー層は、10Åまたは10Åより大きい厚さを有してもよい。第二の原料層は、ケイ素元素、炭素元素、水素元素、およびリガンドからなるアルキル基などのケイ素原料分子の成分の混合物である。第二の原料層は、Arラジカルおよびイオンの衝撃効果によって高密度化される。
【0053】
図5の工程3では、ケイ素原料ガスおよびArガスが、第二の原料層5、すなわち、パターン化された構造1上に形成されたライナー層上に供給されて吸着され、第三の原料層7を形成する。第三の原料層7は、第一の原料層3と同じであってもよい。第三の原料層7のケイ素原料分子は、パターン化された構造1の表面に沿って第二の原料層5の表面上に熱的に、かつコンフォーマルに吸着される。
【0054】
図5の工程4では、酸素ガスが反応器に供給され、反応器に供給される高周波RF電力によって活性化される。第三の原料層は、酸素ラジカルおよびイオンと反応し、また堆積層9(すなわち、SiO層)に変換される。この工程では、第二の原料層5、すなわち、SiCNライナー層は、酸素ラジカルおよびSiCN層の中に浸透したイオンによって堆積層SiOに変換される場合があり、いかなるSiCN層も残らない。しかし、ケイ素原料ガスおよび酸素ガスを繰り返し供給することによって形成されたSiO層の増加した厚さによるシールド効果に起因して、フォトレジスト下層1は失われない。すなわち、パターン化された構造の幅はほぼ同じである(W1=W2=W3=W4)。
【0055】
表1は、本開示の1つの実施形態による、SiCNライナー層およびSiO堆積層のためのプロセス条件を示す。
【表1】
【0056】
図6は、本開示の基材処理方法を実行するための基材処理装置の概略図である。
【0057】
図6では、基材40は基材支持体30上に配置されてもよく、またガス供給ユニット20は、基材40にガスを供給するように構成された反応器10に提供される。基材支持体30は、基材40に熱エネルギーを供給する加熱ブロックを備えてもよい。ガス供給ユニット20は、シャワーヘッドであってもよい。ガスは、外側からガス供給ユニット20を通して基材40に供給されてもよい。
【0058】
プロセスガスは、排気ポンプであってもよい排気ユニット80を通して排出される。ガス供給ユニット20は、RF電力供給ユニットに接続される。RF電力供給ユニットは、マッチングネットワーク50、高周波RF電力発生器60、および/または低周波RF電力発生器70を備えてもよい。RF電力は、反応器に提供されてもよく、また本開示によるRF電力の強度は、PCコントローラ(図示せず)などのプログラマブル制御ユニットによって工程別に制御されてもよい。
【0059】
当然のことながら、本明細書に記述される実施形態は、限定の目的でではなく、記述的な意味でのみ考慮される。各実施形態内の特徴または態様の記述は、典型的に、他の実施形態における他の類似の特徴または態様のために使用可能なものとして考慮されるべきである。図面を参照しながら1つ以上の実施形態が記述されているが、当業者であれば、以下の特許請求の範囲によって定義されるような本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更が、その中でなされてもよいことを理解するであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
第八の工程S8:活性化された第二の反応物質および第三の原料層は、互いに化学的に反応し、第二の原料層上に堆積層を形成する。1つの実施形態では、堆積層は、酸化ケイ素(SiO×)層または窒化ケイ素(Si×)または任意の絶縁材料層などのパターニング層であってもよい。別の実施形態では、第六の工程S6から第八の工程S8は、同時に実行されてもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
第五の工程S5および第八の工程S8は、複数回、例えば、N回繰り返されてもよく、また第三の反応物質は、第五の工程S5から第八の工程S8まで全体を通して連続的に提供されてもよい。第五の工程S5から第八の工程S8は、堆積層を形成するための段階と称される場合がある。選択的な実施形態では、パージ工程が、第四の工程S4と第五の工程S5との間、および第五の工程S5と第六の工程S6との間、および第六の工程S6と第七の工程S7との間、および第七の工程S7と第八の工程S8との間、および第八の工程S8の後に提供されてもよい。別の実施形態では、第二の反応物質および第三の反応物質は、第五の工程S5から第八の工程S8の全体を通して連続的に提供されてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
第九の工程S9:第一の工程S1~S4、すなわち、ライナー層を形成するための段階、および第五の工程S5~第八の工程S8、すなわち、堆積層を形成するための段階が完了した後、基材処理プロセスは終了してもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
図2の第一段階は、図1第二の工程S2から第四の工程S4、ライナー層を形成するための段階に対応する。より詳細には、図2のタイミング工程T1およびタイミング工程T3は、図1の第二の工程S2および第三の工程S3にそれぞれ対応してもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
図2の第二段階は、図第五の工程S5から第八の工程S8、堆積層を形成するための段階に対応する。より詳細には、図2のタイミング工程T5およびT7は、図1の第五の工程S5および第七の工程S7にそれぞれ対応してもよい。代替的な実施形態では、低周波RF電力だけでなく、高周波RF電力も、第二段階のタイミング工程T7の間に一緒に提供されてもよい。例えば、低周波RF電力は、300kHz~500kHzのRF電力、または好ましくは320kHz~470kHz、またはより好ましくは340kHz~430kHzであってもよく、また高周波RF電力は、5MHz~60MHzのRF電力、または好ましくは7MHz~45MHz、またはより好ましくは10MHz~30MHzであってもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
図5の工程1では、ケイ素原料ガスおよびArガスが、基材上に形成されたパターン化された構造1に供給される。パターン化された構造は、フォトレジストであってもよく、また炭素元素からなってもよい。ケイ素原料分子は、パターン化された構造の表面上に熱的にかつコンフォーマルに吸着され、パターン化された構造の表面に沿って原料層(第一の原料層)3を形成する。Arガスは、図5の工程1から工程4の全体を通して連続的に供給される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
図5の工程2では、低周波RF電力および高周波RF電力が同時に提供され、基材上にArプラズマをその場で生成する。活性化されたArラジカルおよびイオンは第一の原料層3のケイ素原料分子を攻撃し、かつ解離し、第一の原料層3は、第二の原料層5、すなわちSiCNライナー層に変換される。SiCNライナー層は、10Åまたは10Åより大きい厚さを有してもよい。第二の原料層は、ケイ素元素、炭素元素、水素元素、およびリガンドからなるアルキル基などのケイ素原料分子の成分の混合物である。第二の原料層は、Arラジカルおよびイオンの衝撃効果によって高密度化される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材処理方法であって、
パターン化された構造上にライナー層を形成する第一段階と、
前記ライナー層上に堆積層を形成する第二段階と、を含み、
前記ライナー層を形成する前記第一段階が、二周波数RF電力を提供することによって実行される、基材処理方法。
【請求項2】
前記ライナー層を形成するための前記第一段階が、
前記パターン化された構造を有する基材を反応器に提供する第一の工程と、
第一の反応物質を前記基材に提供し、かつ第一の原料層を前記パターン化された構造上に形成する第二の工程と、
前記二周波数RF電力を前記第一の原料層に提供する第三の工程と、
前記第一の原料層を第二の原料層に変換する第四の工程と、を含み、
第三の反応物質が、前記第二の工程から前記第四の工程の全体を通して連続的に提供される、請求項1に記載の基材処理方法。
【請求項3】
前記二周波数RF電力を提供する前記第三の工程が、低周波RF電力および高周波RF電力を同時に提供する、請求項2に記載の基材処理方法。
【請求項4】
前記低周波RF電力が、300kHzから~500kHzの範囲であり、かつ
前記高周波RF電力が、5MHz~60MHzの範囲である、請求項3に記載の基材処理方法。
【請求項5】
前記第一の反応物質が、ケイ素、窒素、および炭素を含む、請求項2に記載の基材処理方法。
【請求項6】
前記第一の反応物質が、TSA、(SiHN;DSO、(SiH;DSMA、(SiHNMe;DSEA、(SiHNEt;DSIPA、(SiHN(iPr);DSTBA、(SiHN(tBu);DEAS、SiHNEt;DTBAS、SiHN(tBu);BDEAS、SiH(NEt;BDMAS、SiH(NMe;BTBAS、SiH(NHtBu);BITS、SiH(NHSiMe;DIPAS、SiHN(iPr);TEOS、Si(OEt);SiCl;HCD、SiCl;3DMAS、SiH(N(Me);BEMAS、SiH[N(Et)(Me)];AHEAD、Si(NHEt);TEAS、Si(NHEt);Si;DCS、SiHCl;SiHI;SiH;またはその混合物もしくは誘導体のうちの少なくとも1つを備える、請求項5に記載の基材処理方法。
【請求項7】
前記第一の原料層が、前記二周波数RF電力によって活性化される前記第三の反応物質によって解離され、かつ前記第二の原料層に変換される、請求項2に記載の基材処理方法。
【請求項8】
前記第二の原料層が、個々のケイ素元素、窒素元素、炭素元素、またはそれらの混合物を含む、請求項7に記載の基材処理方法。
【請求項9】
前記第二の原料層が、SiCN層を含む、請求項7に記載の基材処理方法。
【請求項10】
前記第三の反応物質が、Ar、He、もしくはN、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の基材処理方法。
【請求項11】
前記ライナー層上に前記堆積層を形成する前記第二段階が、
第一の反応物質を提供し、かつ前記パターン化された構造上に形成された前記ライナー層上に第三の原料層を形成する第五の工程と、
第二の反応物質を前記第三の原料層に提供する第六の工程と、
前記反応器に高周波RF電力を提供し、前記第二の反応物質を活性化させる第七の工程と、
前記第三の原料層を前記第二の反応物質と反応させることによって化合物を形成するための第八の工程と、を含む、請求項1に記載の基材処理方法。
【請求項12】
前記第三の原料層が、前記第一の原料層と同じ材料である、請求項11に記載の基材処理方法。
【請求項13】
前記第一の反応物質が、TSA、(SiHN;DSO、(SiH;DSMA、(SiHNMe;DSEA、(SiHNEt;DSIPA、(SiHN(iPr);DSTBA、(SiHN(tBu);DEAS、SiHNEt;DTBAS、SiHN(tBu);BDEAS、SiH(NEt;BDMAS、SiH(NMe;BTBAS、SiH(NHtBu);BITS、SiH(NHSiMe;DIPAS、SiHN(iPr);TEOS、Si(OEt);SiCl;HCD、SiCl;3DMAS、SiH(N(Me);BEMAS、SiH[N(Et)(Me)];AHEAD、Si(NHEt);TEAS、Si(NHEt);Si;DCS、SiHCl;SiHI;SiH;またはその混合物もしくは誘導体のうちの少なくとも1つを備える、請求項11に記載の基材処理方法。
【請求項14】
前記第二の反応物質が、O、O、CO、HO、NO、NO、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の基材処理方法。
【請求項15】
前記第二の反応物質が、N、NO、NO、NH、N、N、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の基材処理方法。
【請求項16】
前記化合物が、酸化ケイ素または窒化ケイ素のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の基材処理方法。
【請求項17】
前記ライナー層のうちの少なくとも一部が、前記活性化された第二の反応物質によって化合物に変換される、請求項11に記載の基材処理方法。
【請求項18】
前記ライナー層全体が、前記活性化された第二の反応物質によって化合物に変換される、請求項17に記載の基材処理方法。
【請求項19】
前記ライナー層の前記厚さが、10Åである、または10Åより大きい、請求項1に記載の基材処理方法。
【請求項20】
前記パターン化された構造の損失が、5Å未満である、請求項11に記載の基材処理方法。
【請求項21】
前記パターン化された構造が、フォトレジスト、炭素材料、または非晶質ケイ素のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の基材処理方法。
【請求項22】
前記第一の工程において前記パターン化された構造の幅が、前記第二の工程において前記パターン化された構造の幅とほぼ同じである、請求項11に記載の基材処理方法。
【外国語明細書】