(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016219
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】フローティング機構付き同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 24/38 20110101AFI20230126BHJP
H01R 12/91 20110101ALI20230126BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20230126BHJP
H01R 13/6473 20110101ALI20230126BHJP
【FI】
H01R24/38
H01R12/91
H01R13/631
H01R13/6473
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120395
(22)【出願日】2021-07-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】土屋 博崇
(72)【発明者】
【氏名】大澤 文雄
(72)【発明者】
【氏名】笹木 仁人
(72)【発明者】
【氏名】金谷 翼
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA08
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB11
5E021FB16
5E021FC23
5E021FC31
5E021HA05
5E223AA16
5E223AB26
5E223AB60
5E223BA12
5E223BA15
5E223CA13
5E223CC09
5E223GA08
5E223GA19
5E223GA42
5E223GA72
(57)【要約】
【課題】好適に可動インシュレータをソケット側に付勢することができ、且つ、整合されたインピーダンスを維持することができるフローティング機構付き同軸コネクタの提供。
【解決手段】このフローティング機構付き同軸コネクタ1は、中心導体7と摺動可能に嵌合され、且つ、インシュレータ収容部4内に軸方向で移動可能に収容された可動インシュレータ8と、インシュレータ収容部の奥側に配置された隔壁10と可動インシュレータ8との間に介在された付勢用ラバー部材9とを備え、付勢用ラバー部材9がプラグ2にソケット3を接続した際、ソケット3に押されて可動インシュレータ8が押し込まれ、弾性柱体10が円弧状に湾曲するようにしている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグの一端側にソケットが嵌合されるフローティング機構付き同軸コネクタにおいて、
前記プラグは、一端側に開口したインシュレータ収容部を有する導電性材からなるシェルと、該インシュレータ収容部の内側に保持された導電性材からなる外部導体と、前記シェルの内側に配置された導電性材からなる中心導体と、該中心導体と摺動可能に嵌合され、且つ、前記インシュレータ収容部内に軸方向で移動可能に収容された可動インシュレータと、前記インシュレータ収容部の奥側に配置された隔壁又は前記シェル内に固定された固定インシュレータと前記可動インシュレータとの間に介在された付勢用ラバー部材とを備え、
該付勢用ラバー部材は、互いに間隔を置いて対向する一対の支圧板と、両支圧板間を連結する複数の弾性柱体を備え、前記プラグに前記ソケットを接続した際、前記ソケットに押されて前記可動インシュレータが押し込まれ、前記弾性柱体が円弧状に湾曲するようにしたことを特徴としてなるフローティング機構付き同軸コネクタ。
【請求項2】
前記可動インシュレータは、外側面に前記インシュレータ収容部の内側面に突出したガイド用突条部が挿通されるガイド用溝を備え、前記ガイド用突条部に案内されて前記インシュレータ収容部内を軸方向に摺動し、
前記付勢用ラバー部材は、前記支圧板の側縁に前記ガイド用突条部が挿通されるガイド用凹部を備え、前記弾性柱体が該ガイド用凹部の側縁部に湾曲方向中心側を前記ガイド用突条部側に向けて配置されている請求項1に記載のフローティング機構付き同軸コネクタ。
【請求項3】
前記弾性柱体は、湾曲方向中心側に配置された板状の柱本体と、該柱本体の湾曲方向外側に突出した補強突条とを備えている請求項1又は2に記載のフローティング機構付き同軸コネクタ。
【請求項4】
前記柱本体の横幅は、前記補強突条の突出方向幅の2倍以上である請求項3に記載のフローティング機構付き同軸コネクタ。
【請求項5】
前記可動インシュレータは、前記中心導体が挿通される導体挿通孔と、該導体挿通孔と連通し、前記シェル内に固定された固定インシュレータが摺動可能に挿入された摺動孔とが形成されている請求項1~4の何れか一に記載のフローティング機構付き同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュール等のケース内に収容された電子部品と同軸ケーブル等のケーブルとを接続するフローティング機構付き同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載カメラ用カメラモジュール等のモジュールは、ケース内に収容されたモジュール本体がケースに取り付けられた同軸コネクタを介して同軸ケーブルと接続されるようになっている。
【0003】
この同軸コネクタは、ケース内に収容されたモジュール本体を構成する基板に接続されたソケットと、同軸ケーブルに接続されたプラグとを備え、プラグをケースに取り付けること、又は、プラグを取り付けたリアケースをフロントケースに組み付けることによって、プラグとソケットとが接続されるようになっている。
【0004】
プラグは、導電性金属材からなる筒状のシェルと、シェル内に収容される絶縁性樹脂からなるインシュレータと、インシュレータに保持された導電性金属材からなる中心導体とを備え、シェルの一端側にソケットが嵌合されるインシュレータ収容部が形成されている。
【0005】
インシュレータは、シェルの軸方向端面に開口したインシュレータ収容部の軸方向奥側に位置し、インシュレータ収容部の奥側内壁を成し、その軸方向端面から中心導体の先端部が突出し、ソケットをインシュレータ収容部に嵌合させることによって、シェルがソケットの外側導体と接触するとともに、中心導体がソケット側中心導体と接触するようになっている。
【0006】
一方、このプラグとソケットとの接続に際しては、ケース内に収容される基板の位置やプラグとケースとの取り付け公差等によって、接続されるプラグとソケットとの相対位置が軸方向で設計値とズレが生じる場合があり、このような場合でも着実に接続される必要がある。
【0007】
そこで、従来では、位置ズレを吸収するためにインシュレータ収容部に軸方向(接続方向)で所定の距離だけ余裕を設け、軸方向に生じた設計値と誤差を許容し、常にプラグとソケットとの接続が維持されるように構成されている。
【0008】
しかしながら、このようにインシュレータ収容部に軸方向(接続方向)で所定の距離だけ余裕を設けた場合、プラグとソケットの相対位置が設計値より遠いと、インシュレータの軸方向端面とソケットの端面との間に誘電率が樹脂よりも低い空気層が生じることから、整合されたインピーダンスに変化が生じるおそれがある。
【0009】
そこで、この種の同軸コネクタでは、インシュレータ収容部内に摺動可能に収容された可動インシュレータと、可動インシュレータとシェル内に保持された固定インシュレータ又はシェルの内壁との間に介在され、可動インシュレータをソケット側に付勢するコイルスプリングや板バネ等の金属製の弾性部材とを備え、常に可動インシュレータの端面がソケットの端面に当接するようにしたものが開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、金属製のコイルバネや板バネからなる弾性部材を中心導体の周りに配置するとインピーダンスの整合を阻害するおそれがあった。
【0012】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、好適に可動インシュレータをソケット側に付勢することができ、且つ、整合されたインピーダンスを維持することができるフローティング機構付き同軸コネクタの提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、プラグの一端側にソケットが嵌合されるフローティング機構付き同軸コネクタにおいて、前記プラグは、一端側に開口したインシュレータ収容部を有する導電性材からなるシェルと、該インシュレータ収容部の内側に保持された導電性材からなる外部導体と、前記シェルの内側に配置された導電性材からなる中心導体と、該中心導体と摺動可能に嵌合され、且つ、前記インシュレータ収容部内に軸方向で移動可能に収容された可動インシュレータと、前記インシュレータ収容部の奥側に配置された隔壁又は前記シェル内に固定された固定インシュレータと前記可動インシュレータとの間に介在された付勢用ラバー部材とを備え、該付勢用ラバー部材は、互いに間隔を置いて対向する一対の支圧板と、両支圧板間を連結する複数の弾性柱体を備え、前記プラグに前記ソケットを接続した際、前記ソケットに押されて前記可動インシュレータが押し込まれ、前記弾性柱体が円弧状に湾曲するようにしたことにある。
【0014】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記可動インシュレータは、外側面に前記インシュレータ収容部の内側面に突出したガイド用突条部が挿通されるガイド用溝を備え、前記ガイド用突条部に案内されて前記インシュレータ収容部内を軸方向に摺動し、前記付勢用ラバー部材は、前記支圧板の側縁に前記ガイド用突条部が挿通されるガイド用凹部を備え、前記弾性柱体が該ガイド用凹部の側縁部に湾曲方向中心側を前記ガイド用突条部側に向けて配置されていることにある。
【0015】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記弾性柱体は、湾曲方向中心側に配置された板状の柱本体と、該柱本体の湾曲方向外側に突出した補強突条とを備えていることにある。
【0016】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項3の構成に加え、前記柱本体の横幅は、前記補強突条の突出方向幅の2倍以上であることにある。
【0017】
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項1~4の何れか一の構成に加え、前記可動インシュレータは、前記中心導体が挿通される導体挿通孔と、該導体挿通孔と連通し、前記シェル内に固定された固定インシュレータが摺動可能に挿入された摺動孔とが形成されていることにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るフローティング機構付き同軸コネクタは、請求項1に記載の構成を具備することによって、好適に可動インシュレータをソケット側に付勢し、可動インシュレータとソケットとの間に空気層が形成されず、且つ、中心導体の周りに金属部材が配置されないので整合されたインピーダンスを維持することができる。
【0019】
また、本発明において、請求項2に記載の構成を具備することによって、弾性柱体の湾曲方向を好適に制御し、安定したフローティング状態を維持することができる。
【0020】
さらに、本発明において、請求項3乃至4に記載の構成を具備することによって、一定の付勢力を発揮するとともに、湾曲方向を好適に制御することができる。
【0021】
更にまた、本発明において、請求項5に記載の構成を具備することによって、中心導体の周りが樹脂材によって覆われ、インピーダンスの整合性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係るフローティング機構付き同軸コネクタの一例を示す分解斜視図である。
【
図4】(a)は同上のシェルを示す正面図、(b)は同底面図、(c)は同縦断面図である。
【
図5】(a)は同上の可動インシュレータを示す拡大平面図、(b)は同拡大正面図、(c)は同拡大縦断面図である。
【
図6】(a)は同上の付勢用ラバー部材を示す拡大斜視図、(b)は同拡大横断面図である。
【
図7】同上のフローティング機構付き同軸コネクタの動作を説明するための縦断面図であって、(a)はプラグとソケットの距離が大きい場合、(b)はプラグとソケットとの距離が短い場合の図である。
【
図8】同上の付勢用ラバー部材の動作を説明するための拡大断面図であって、(a)はプラグとソケットの距離が大きい場合、(b)はプラグとソケットとの距離が短い場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係るフローティング機構付き同軸コネクタの実施態様を
図1~
図8に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1はフローティング機構付き同軸コネクタである。
【0024】
フローティング機構付き同軸コネクタ(以下、同軸コネクタという)1は、
図1に示すように、同軸ケーブル等に接続されるプラグ2の一端側にソケット3が嵌合され、プラグ2とソケット3とが互いに電気的に接続されるようになっている。
【0025】
プラグ2は、
図2、
図3に示すように、一端側に開口したインシュレータ収容部4を有するシェル5と、インシュレータ収容部4の内側に保持された外部導体6と、シェル5の内側に配置された中心導体7と、インシュレータ収容部4内に軸方向で移動可能に収容された可動インシュレータ8と、可動インシュレータ8をソケット3側に付勢する付勢用ラバー部材9とを備えている。
【0026】
シェル5は、
図4に示すように、導電性金属材により異形筒状に一体形成され、隔壁10を介して丸孔状のケーブル接続部11と、角孔状のインシュレータ収容部4とが軸方向に連続して形成されている。
【0027】
隔壁10は、軸方向と直交する板状に形成され、中央に形成された丸孔状のインシュレータ挿通孔12を有している。
【0028】
ケーブル接続部11には、導電性金属材からなるピン状の中心導体7が保持された固定インシュレータ13と、円筒状の中間ラバー部材14と、有底筒状の絶縁性樹脂からなるケーブル側インシュレータ15が順次嵌合され、固定インシュレータ13、中間ラバー部材14及びケーブル側インシュレータ15によってシェル5の中央に同心配置に中心導体7が保持されている。
【0029】
固定インシュレータ13は、絶縁性樹脂により一体形成され、円筒状の突出部16と、突出部16の一端に張り出した鍔状のフランジ部17とを備え、突出部16が隔壁10のインシュレータ挿通孔12を貫通してインシュレータ収容部4内に突出し、フランジ部17が隔壁10に当接するようになっている。
【0030】
この固定インシュレータ13には、中心導体7が貫通した状態で保持され、中間ラバー部材14及びケーブル側インシュレータ15にフランジ部17が隔壁10側に押圧され、シェル5内に移動不能に固定されている。
【0031】
インシュレータ収容部4は、奥側が隔壁10によって閉じられ、他端が開口した角孔状に形成され、
図3に示すように、開口側より付勢用ラバー部材9及び可動インシュレータ8が収容され、外部導体6が開口部に嵌合・接続されている。
【0032】
このインシュレータ収容部4には、互いに対向する一対の内側面にガイド用突条部18,18が突設され、両ガイド用突条部18,18に案内されて可動インシュレータ8がインシュレータ収容部4内を軸方向に摺動できるようになっている。
【0033】
ガイド用突条部18,18は、両側部に平面状の側面部18a,18aが形成された軸方向に長い直方体状に形成され、可動インシュレータ8の側面部に形成されたガイド用溝19,19に挿通され、可動インシュレータ8を軸方向で案内するようになっている。
【0034】
このガイド用突条部18,18は、少なくとも軸方向で付勢用ラバー部材9の高さより長く形成され、常に側面部18a,18aが後述する弾性柱体20,20…の湾曲方向中心側Aに位置するように形成されている。
【0035】
尚、ここで湾曲方向とは、各弾性柱体20を基準に弾性柱体20が軸方向の圧縮力を受けて円弧状に湾曲して膨出する方向をいい、湾曲方向中心側とは、膨出する円弧の中心側(
図6、
図8に記載した矢印Aで示す側)をいい、湾曲方向外側とは、膨出する円弧の膨出する側((
図6、
図8に記載した矢印Bで示す側)をいう。
【0036】
可動インシュレータ8は、
図5に示すように、絶縁性樹脂からなる直方体状に形成され、一方(隔壁10側)の端部に外向きに張り出したフランジ部21を備え、外部導体6内に摺動可能に挿入され、且つ、フランジ部21が外部導体6によって抜け止めされている。
【0037】
この可動インシュレータ8は、中央を貫通し、中心導体7が挿通される導体挿通孔22と、導体挿通孔22の隔壁10側に配置された摺動孔23とが形成され、隔壁10よりインシュレータ収容部4内に突出した固定インシュレータ13の突出部16が摺動孔23内に摺動可能に挿入されるとともに、中心導体7と軸方向で摺動可能に嵌合されている。
【0038】
また、可動インシュレータ8は、側面部にガイド用突条部18,18に整合した軸方向に長いガイド用溝19,19が形成され、ガイド用溝19,19に挿通されたガイド用突条部18,18に沿ってインシュレータ収容部4内を軸方向に移動できるようになっている。
【0039】
付勢用ラバー部材9は、
図6に示すように、弾性を有するラバー材料によって一体に形成され、所定の間隔をおいて互いに軸方向で対向した矩形板状の一対の支圧板24,24と、支圧板24,24間を連結する複数の弾性柱体20,20…とを備え、各支圧板24,24がそれぞれ隔壁10及び可動インシュレータ8の端面に当接し、隔壁10に反力をとって可動インシュレータ8をソケット3側に付勢するようになっている。
【0040】
支圧板24,24は、インシュレータ収容部4の断面形状に整合した矩形板状に形成され、中央に固定インシュレータ13の突出部16が挿通されるインシュレータ貫通孔25を備え、それぞれ隔壁10及び可動インシュレータ8の端面に面で当接するようになっている。
【0041】
この支圧板24,24の側縁部には、ガイド用突条部18,18が挿通されるガイド用凹部26,26を備え、両支圧板24,24がガイド用突条部18,18に案内されて互いに軸方向で相対移動できるようになっている。
【0042】
弾性柱体20,20…は、湾曲方向中心側に配置された支圧板24,24間方向に長い板状の柱本体20aと、柱本体20aの湾曲方向外側に突出した突条状の補強突条20bとを備え、柱本体20aと補強突条20bとが断面L字状又は断面T字状が支圧板24,24間方向に連続する柱状に形成されている。
【0043】
各弾性柱体20,20…は、柱本体20aの表面(補強突条20bとは反対側の面)がガイド用凹部26,26の内側面と同一面となるように配置され、湾曲方向中心側Aがガイド用突条部18,18側に向けられた状態で両支圧板24,24のガイド用凹部26,26の側縁部間を連結している。
【0044】
尚、弾性柱体20,20…は、ガイド用凹部26の側縁部に配置されたことで、湾曲方向中心側Aにガイド用突条部18,18が常に配置されるので、ガイド用突条部18,18側への湾曲が規制され、円滑に補強突条20b側を湾曲方向外側Bとして円弧状に湾曲するようになっている。
【0045】
尚、円滑な湾曲と所定の反発力を得るためには、柱本体20aの横幅w1が補強突条20bの突出方向幅w2の2倍以上であることが望ましい。
【0046】
外部導体6は、導電性板材を打抜き・折り曲げ加工することにより角筒状に形成され、側面部には、切起こし加工によってソケット3の外部導体6と接続する板バネ状のコンタクト27,27…が形成されている。
【0047】
この外部導体6は、一方の端部外面に外向きに突出した係合片28,28が形成され、該係合片28,28がインシュレータ収容部4の内側面部と係合することにより、インシュレータ収容部4の内側に固定・接続され、可動インシュレータ8が外部導体6内部に移動可能に挿通されるとともに、フランジ部17が隔壁10側端面に当接して可動インシュレータ8が抜け止めされる。
【0048】
この同軸コネクタ1は、外部導体6内にソケット3が嵌まり込むと、ソケット3が可動インシュレータ8を奥側に押込み、外部導体6のコンタクト27,27…がソケット外部導体30に接触するとともに、中心導体7の先端がソケットハウジング31内に挿入され、ソケットコンタクト32と接触し、電気的に接続される。
【0049】
また、可動インシュレータ8が奥側に押し込まれると、隔壁10に当接した支圧板24に向けて可動インシュレータ8側の支圧板24が押圧され、両支圧板24,24間を連結する各弾性柱体20,20…が円弧状に湾曲し、付勢用ラバー部材9が隔壁10に反力をとって可動インシュレータ8をソケット3側に付勢する。
【0050】
よって、ケース内に収容される基板の位置やプラグ2とケースとの取り付け公差等によって、接続されるプラグ2とソケット3との相対位置が軸方向で設計値とズレが生じるような場合であっても、可動インシュレータ8の先端面は、常にソケット3の接続端面に当接した状態が維持され、可動インシュレータ8とソケット3との間に隙間(空気層)生じないので、インピーダンスの整合性を維持することができる。
【0051】
具体的には、プラグ2とソケット3との距離が設計値より大きい場合、
図7(a)に示すように、弾性柱体20,20…が伸びた状態となる位置まで可動インシュレータ8をソケット3側に押し出し、プラグ2とソケット3との距離が設計値より小さい場合、
図7(b)に示すように、弾性柱体20,20…が湾曲してその反力によって動インシュレータ8をソケット3側に押し出す。
【0052】
その際、付勢用ラバー部材9は、支圧板24,24が板状に形成され、隔壁10及び可動インシュレータ8の端面にそれぞれ面で接触しているので、可動インシュレータ8の押込みに伴う圧縮力が各弾性柱体20,20…に均等に分散され、各弾性柱体20,20…を好適に湾曲される。
【0053】
また、付勢用ラバー部材9は、
図8に示すように、各弾性柱体20,20…の湾曲方向中心側Aにガイド用突条部18,18が配置されているので、各弾性柱体20,20…の湾曲方向が規制され、安定した状態で湾曲するようになっている。
【0054】
さらに、付勢用ラバー部材9は、各弾性柱体20,20…が柱本体20aの湾曲方向外側Bに突出した補強突条20bを備え、柱本体20aの横幅w1が補強突条20bの突出方向幅w2の2倍以上となっているので、湾曲に伴う十分な反力を得て、可動インシュレータ8を好適な付勢力でソケット3側に付勢することができる。
【0055】
尚、上述の実施例では、付勢用ラバー部材9がシェル5の隔壁10に反力を取る場合について説明したが、固定インシュレータ13に反力を取るようにしてもよい。
【0056】
また、シェル5や外部導体6の態様は、上述の実施例の形状に限定されず、当業者が想到し得る如何なる態様をも採用することができ、例えば、インシュレータ収容部4を角孔状に形成した場合について説明したが、丸孔状であってもよく、それに伴い可動インシュレータ8を円筒状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 フローティング機構付き同軸コネクタ
2 プラグ
3 ソケット
4 インシュレータ収容部
5 シェル
6 外部導体
7 中心導体
8 可動インシュレータ
9 付勢用ラバー部材
10 隔壁
11 ケーブル接続部
12 インシュレータ挿通孔
13 固定インシュレータ
14 中間ラバー部材
15 ケーブル側インシュレータ
16 突出部
17 フランジ部
18 ガイド用突条部
19 ガイド用溝
20 弾性柱体
21 フランジ部
22 導体挿通孔
23 摺動孔
24 支圧板
25 インシュレータ貫通孔
26 ガイド用凹部
27 コンタクト
28 係合片
30 ソケット外部導体
31 ソケットハウジング
32 ソケットコンタクト