IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーワイディー カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図1
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図2
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図3
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図4
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図5
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図6
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図7
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図8
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図9
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図10
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図11
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図12
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図13
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図14
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図15
  • 特開-動力電池パック及び電気自動車 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162215
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】動力電池パック及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/209 20210101AFI20231031BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20231031BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/244 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023127425
(22)【出願日】2023-08-04
(62)【分割の表示】P 2021540126の分割
【原出願日】2019-06-21
(31)【優先権主張番号】201910021244.0
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910020967.9
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910021246.X
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910021248.9
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910021247.4
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910020925.5
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】何▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼▲華▼▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】江文▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼志佩
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼▲衛▼▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】唐江▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】朱燕
(72)【発明者】
【氏名】王信月
(72)【発明者】
【氏名】何科峰
(57)【要約】      (修正有)
【課題】空間利用率が高く、エネルギー密度が大きく、航続能力が強く、信頼性が高く、コストが低く、品質が高いなどの利点を有する動力電池パックを提供する。
【解決手段】動力電池パック10は、パック本体200と、前記パック本体200内に直接配置され配列された複数の単電池100と、を含む。前記単電池100は、前記パック本体200の第1の側から前記パック本体200の第2の側まで延び、前記第1の側と前記第2の側が対向して設けられ、前記パック本体200の第1の側に第1の側壁が設けられ、第2の側に第2の側壁が設けられる。前記単電池100の一端が前記第1の側壁に支持され、他端が前記第2の側壁に支持される。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パック本体と、
前記パック本体内に直接配置され配列された複数の単電池と、を含み、前記単電池は、
前記パック本体の第1の側から前記パック本体の第2の側まで延び、前記第1の側と第2
の側が対向して設けられ、
前記パック本体の第1の側に第1の側壁が設けられ、第2の側に第2の側壁が設けられ
、前記単電池の一端が前記第1の側壁に支持され、他端が前記第2の側壁に支持されるこ
とを特徴とする、動力電池パック。
【請求項2】
前記第1の側と第2の側は、前記パック本体のエッジに位置することを特徴とする、請
求項1に記載の動力電池パック。
【請求項3】
前記単電池の長手方向は、前記パック本体の幅方向に沿って延び、前記第1の側は、前
記パック本体の幅方向に沿った一側であり、前記第2の側は、前記パック本体の幅方向に
沿った他側であることを特徴とする、請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項4】
前記複数の単電池の体積の和V1と前記動力電池パックの体積V2は、
V1/V2≧55%
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項5】
V1/V2≧60%
であることを特徴とする、請求項4に記載の動力電池パック。
【請求項6】
前記パック本体内に収容空間が形成され、前記複数の単電池が前記収容空間内に直接整
列して配置され、前記複数の単電池の体積の和V1と前記収容空間の容積V0は、
81%≦V1/V0≦97%
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項7】
前記パック本体内に収容空間が形成され、前記複数の単電池が前記収容空間内に直接整
列して配置され、前記収容空間は、底面を有し、前記複数の単電池の前記底面での正射影
の面積の和S1と前記底面の面積S0は、
72%≦S1/S0≦88%
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項8】
前記単電池の長手方向は、前記動力電池パックの幅方向に沿うように配置され、複数の
前記単電池は、前記動力電池パックの長手方向に沿って配列され、
前記パック本体は、前記動力電池パックの幅方向に、1つの前記単電池のみを収容する
ことを特徴とする、請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項9】
前記単電池の長手方向は、前記動力電池パックの幅方向に沿うように配置され、複数の
前記単電池は、前記動力電池パックの長手方向に沿って配列され、
前記動力電池パックの幅方向に、前記単電池の一端とそれに隣接するパック本体のサイ
ドビームとの間の最近接距離は、L1であり、前記単電池の他端とそれに隣接するパック
本体のサイドビームとの間の最近接距離は、L2であり、前記単電池の長さL0は、
L1+L2<L0
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項10】
前記単電池の長手方向は、前記動力電池パックの幅方向に沿うように配置され、複数の
前記単電池は、前記動力電池パックの長手方向に沿って配列され、
前記単電池は、前記動力電池パックの幅方向に沿って、前記パック本体の一側から他側
まで延びることを特徴とする、請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項11】
前記パック本体は、前記動力電池パックの幅方向の両側に位置するサイドビームを含み
、前記単電池の長手方向の両端は、前記サイドビームに支持され、
前記パック本体は、前記動力電池パックの長手方向の両端に位置するエンドビームを含
み、前記エンドビームは、それに隣接する単電池に対して内向きの押圧力を提供すること
を特徴とする、請求項8~10のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項12】
前記単電池は、長手方向が前記動力電池パックの幅方向に沿うように配置され、複数の
前記単電池は、前記動力電池パックの長手方向に沿って配列され、前記パック本体内に前
記動力電池パックの高さ方向に沿って少なくとも2層の電池アレイを含むことを特徴とす
る、請求項1~10のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項13】
前記単電池の長手方向は、前記動力電池パックの長手方向に沿うように配置され、複数
の前記単電池は、前記動力電池パックの幅方向に沿って配列され、
前記パック本体は、前記動力電池パックの長手方向に、1つの前記単電池のみを収容す
ることを特徴とする、請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項14】
前記単電池の長手方向は、前記動力電池パックの長手方向に沿うように配置され、複数
の前記単電池は、前記動力電池パックの幅方向に沿って配列され、
前記動力電池パックの長手方向に、前記単電池の一端とそれに隣接するパック本体のエ
ンドビームとの間の最近接距離は、L3であり、前記単電池の他端とそれに隣接するパッ
ク本体のエンドビームとの間の最近接距離は、L4であり、前記単電池の長さL0は、
L3+L4<L0
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項15】
前記単電池の長手方向は、前記動力電池パックの長手方向に沿うように配置され、複数
の前記単電池は、前記動力電池パックの幅方向に沿って配列され、
前記単電池は、前記動力電池パックの長手方向に沿って、前記パック本体の一端から他
端まで延びることを特徴とする、請求項1に記載の動力電池パック。
【請求項16】
前記パック本体は、前記動力電池パックの長手方向の両端に位置するエンドビームを含
み、前記単電池の長手方向の両端は、前記エンドビームに支持され、
前記パック本体は、前記動力電池パックの幅方向の両側に位置するサイドビームを含み
、前記サイドビームは、それに隣接する単電池に対して内向きの押圧力を提供することを
特徴とする、請求項13~15のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項17】
前記単電池は、長手方向が前記動力電池パックの長手方向に沿うように配置され、複数
の前記単電池は、前記動力電池パックの幅方向に沿って配列され、前記パック本体内に前
記動力電池パックの高さ方向に沿って少なくとも2層の電池アレイを含むことを特徴とす
る、請求項13~15のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項18】
前記パック本体は、車体に合わせて接続された車両用トレイを含むことを特徴とする、
請求項1~10、13~15のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項19】
前記動力電池パックの幅方向における前記パック本体の幅Fは、500mm~1500
mmであることを特徴とする、請求項1~110、13~15のいずれか一項に記載の動
力電池パック。
【請求項20】
電池管理システム及び/又は電池熱管理システムをさらに含むことを特徴とする、請求
項1~110、13~15のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項21】
前記パック本体は、電気自動車に形成されることを特徴とする、請求項1~10、13~
15のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項22】
前記動力電池パックは、幅方向が車体の幅方向に沿うとともに長手方向が車体の長手方
向に沿うように配置され、或いは、
前記動力電池パックは、幅方向が車体の長手方向に沿うとともに長手方向が車体の幅方
向に沿うように配置されることを特徴とする、請求項1~10、13~15のいずれか一
項に記載の動力電池パック。
【請求項23】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体は、長さL、幅H及び厚さDを有し、前
記電池本体の長さLは、幅Hより大きく、前記電池本体の幅Hは、厚さDより大きく、前
記電池本体の長さLと幅Hは、
L/H=4~21
を満たすことを特徴とする、請求項1~10、13~15のいずれか一項に記載の動力電
池パック。
【請求項24】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長さLと前記電池本体の厚さDは、L
/D=23~208を満たすことを特徴とする、請求項1~10、13~15のいずれか
一項に記載の動力電池パック。
【請求項25】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長さLと前記電池本体の体積Vは、
L/V=0.0005~0.002mm-2
を満たすことを特徴とする、請求項1~10、13~15のいずれか一項に記載の動力電
池パック。
【請求項26】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の幅Hと前記電池本体の体積Vは、
H/V=0.0001~0.00015mm-2
を満たすことを特徴とする、請求項1~10、13~15のいずれか一項に記載の動力電
池パック。
【請求項27】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の厚さDと前記電池本体の体積Vは、
D/V=0.0000065~0.00002mm-2
を満たすことを特徴とする、請求項1~10、13~15のいずれか一項に記載の動力電
池パック。
【請求項28】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長さLと前記電池本体の表面積Sは、
L/S=0.002~0.005mm-1
を満たすことを特徴とする、請求項1~10、13~15のいずれか一項に記載の動力電
池パック。
【請求項29】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の表面積Sと前記電池本体の体積Vは、
S/V=0.1~0.35mm-1
を満たすことを特徴とする、請求項1~10、13~15のいずれか一項に記載の動力電
池パック。
【請求項30】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長さLは、600mm~2500mm
であることを特徴とする、請求項1~10、13~15のいずれか一項に記載の動力電池
パック。
【請求項31】
前記単電池は、アルミニウムシェル角形電池であり、電池本体及び防爆弁を含み、前記
防爆弁が前記電池本体の長手方向の少なくとも一端に設けられることを特徴とする、請求
項1~10、13~15のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項32】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長手方向の両端に防爆弁がぞれぞれ設
けられ、前記電池本体の両端の防爆弁は、異なる排気通路により排気することを特徴とす
る、請求項1~10、13~15のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか一項に記載の動力電池パックを含むことを特徴とする、電気
自動車。
【請求項34】
前記動力電池パックは、前記電気自動車の底部に設けられ、前記パック本体は、前記電
気自動車のシャーシに固定接続されることを特徴とする、請求項33に記載の電気自動車
【請求項35】
前記電気自動車は、前記電気自動車の底部に設けられた1つの動力電池パックを含み、
前記動力電池パックは、幅方向が前記電気自動車の車体の幅方向に沿うとともに長手方向
が前記電気自動車の車体の長手方向に沿うように配置されることを特徴とする、請求項3
3又は34に記載の電気自動車。
【請求項36】
前記パック本体の幅Fと車体の幅Wは、50%≦F/W≦80%を満たすことを特徴と
する、請求項35に記載の電気自動車。
【請求項37】
前記単電池は、電池本体を含み、前記動力電池パックの幅方向における前記電池本体の
長さLと車体の幅Wは、46%≦L/W≦76%を満たすことを特徴とする、請求項36
に記載の電気自動車。
【請求項38】
前記車体の幅Wは、500mm~2000mmであることを特徴とする、請求項36又
は37に記載の電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディー・カンパニー・リミテッドが2019年1月9日に提出した、
中国特許出願第「201910021244.0」、「201910020967.9」
、「201910021246.X」、「201910021248.9」、「2019
10021247.4」及び「201910020925.5」号の優先権を主張するも
のであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、電池の技術分野に関し、具体的には、動力電池パック及び前記動力電池パック
を有する電気自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術において、例えば、電気自動車に適用される動力電池パックは、主に、パック
本体と、パック本体内に取り付けられ、それぞれが複数の単電池からなる複数の電池モジ
ュールとを含む。
【0004】
電気自動車の航続能力に対するユーザの要求が徐々に高まっているにつれて、車体の底
部の空間が限られている場合、従来技術における動力電池パックを採用すれば、内部空間
の利用率が低くなり、動力電池パックのエネルギー密度が需要を満たすことができず、こ
れも電気自動車の発展を制限する重要な要因となってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
関連する従来技術において、図1に示すように、動力電池パック10’のパック本体2
00’’は、幅方向クロスビーム500’及び長手方向クロスビーム600’によって、
複数の電池モジュール400’の取付領域に分割されることが多く、例えば、CN107
925028Aに開示された組電池における電池モジュール400’は、ねじなどの方式
により、幅方向クロスビーム500’又は長手方向クロスビーム600’に固定される。
電池モジュール400’は、順に配列された複数の単電池を含み、複数の単電池は、配列
されて電池アレイを形成し、電池アレイの外部に端板及び/又は側板が設けられ、一般的
には、端板と側板を同時に含み、端板と側板は、固定されて電池アレイを収容する空間を
囲む。同時に、端板と側板は、電池アレイの固定を実現するために、ねじにより接続され
るか、又はタイロッドなどの他の接続部材により接続される。
【0006】
発明者は、試験及び分析により、電池モジュール400’がねじなどの構造により幅方
向クロスビーム500’又は長手方向クロスビーム600’に固定される場合、空間が無
駄になり、また、ねじなどの接続部材を増加させるため、重量が高くなり、なお、電池モ
ジュール400’が端板と側板の組み合わせにより設計され、端板と側板がいずれも一定
の厚さ及び高さを有するため、パック本体200’’の内部空間が無駄になり、パック本
体200’’の体積利用率が低くなることを見出した。一般的な場合には、上記従来技術
における動力電池パック10’は、パック本体200’’内の単電池の体積の和とパック
本体200’’の体積との比がいずれも50%程度であり、更に40%まで低い。
【0007】
上記従来技術の実施例に係る動力電池パック10’によれば、電池モジュール400’
の端板、側板、及び動力電池パック10’の内部の接続取付形態などは、いずれもパック
本体200’’の内部空間の利用率を低下させ、その結果、動力電池パック10’では、
単電池の体積の和とパック本体200’’の体積との比が低すぎて、そのエネルギー密度
が電気自動車の航続能力に対するユーザの絶えず増大する需要を満たすことができず、こ
れは、電気自動車の発展を制限する重要な要因となってきている。なお、煩雑な組立過程
があり、組立工程が複雑であり、先に電池モジュールに組み立て、次に電池モジュールを
パック本体内に取り付ける必要があるため、手間や物資などのコストを増加させ、同時に
、複数回の組立工程が必要であるため、動力電池パックの組立過程において、不良品発生
の確率が高まり、複数回の組立により、動力電池パックが緩み、取付が強固にならない可
能性が大きくなり、動力電池パックの品質に悪影響を及ぼし、かつ動力電池パックの安定
性及び信頼性を低下させる。
【0008】
本願は、少なくとも従来技術における技術的課題の1つを解決しようとする。したがっ
て、本願は、空間利用率が高く、エネルギー密度が大きく、航続能力が強く、信頼性が高
く、コストが低く、品質が高いなどの利点を有する動力電池パックを提供することを1つ
の目的とする。
【0009】
本願は、前記動力電池パックを有する電気自動車をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の第1の態様の実施例に係る動力電池パックは、パック本体と、前記パック本体内
に直接配置され配列された複数の単電池と、を含み、前記単電池は、前記パック本体の第
1の側から前記パック本体の第2の側まで延び、前記第1の側と第2の側が対向して設け
られ、前記パック本体の第1の側に第1の側壁が設けられ、第2の側に第2の側壁が設け
られ、前記単電池の一端が前記第1の側壁に支持され、他端が前記第2の側壁に支持され
る。
【0011】
本願に係る動力電池パックは、複数の単電池をパック本体内に直接配置し配列すること
により、従来の電池パックにおける、電池モジュールを取り付ける様々な取付構造を省略
し、パック本体の内部空間の利用率を向上させ、パック本体の内部の単電池の体積の和を
増加させ、換言すれば、単電池の体積とパック本体の体積との比を増加させ、一定の体積
空間内に、より多くの単電池を組み立てて、動力電池パックのエネルギー密度を向上させ
ることを実現する。同時に、組立過程が簡単で、工程が簡単であり、手間や物資などのコ
ストを低減し、また、組立工程が少なくなり、動力電池パックの組立過程において、不良
品発生の確率を低減し、緩みが発生し、取付が強固にならない可能性が小さくなり、動力
電池パックの品質を向上させ、かつ電池パックの安定性及び信頼性を向上させる。また、
単電池は、一端が第1の側壁に支持され、他端が第2の側壁に支持され、単電池自体は、
支持構造として、第1の側壁及び第2の側壁に支持されることによりそれ自体が有する重
力を支持するため、従来の電池パックにおける、電池モジュールを取り付ける様々な取付
構造を省略することができる。
【0012】
本願の第2の態様の実施例に係る電気自動車は、本願の第1の態様の実施例に記載の動
力電池パックを含む。
【発明の効果】
【0013】
本願の実施例に係る電気自動車は、本願の第1の態様の実施例に記載の動力電池パック
を利用することにより、電池の占有空間を拡大することなく航続能力を向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来技術における動力電池パックの分解図である。
図2】本願の実施例に係る動力電池パックの断面図である。
図3】本願の実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
図4】本願の実施例に係る動力電池パックの分解図である。
図5】本願の実施例に係る単電池の概略構成図である。
図6】本願の実施例に係る動力電池パックの電池アレイの配列方式概略図である。
図7】本願の別の実施例に係る動力電池パックの電池アレイの配列方式概略図である。
図8】本願の実施例に係る動力電池パックのパック本体が電気自動車に形成された概略構成図である。
図9】本願の実施例に係る電気自動車の概略構成図である。
図10】本願の実施例に係る電気自動車の分解図である。
図11図2におけるG領域の拡大図である。
図12】本願の第1の代替的な実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
図13】本願の第2の代替的な実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
図14】本願の第3の代替的な実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
図15】本願の第4の代替的な実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
図16】本願の第5の代替的な実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は図面に示され、全体を通して同
一又は類似する符号は、同一又は類似する部品、若しくは同一又は類似する機能を有する
部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本願を解
釈するものに過ぎず、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0016】
なお、本願の説明において、用語「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ
」、「内」、「外」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づ
くものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置
又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならな
いことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解すべき
ではない。
【0017】
また、本願の説明において、「複数」とは、2つ以上を意味する。
【0018】
従来技術における動力電池パックの現状を考慮して、本願は、空間利用率が高く、エネ
ルギー密度が大きく、航続能力が高いなどの利点を有する動力電池パック及びそれを有す
る電気自動車を提供する。
【0019】
本願の第1の態様の実施例に係る動力電池パック10は、パック本体200及び複数の
単電池100を含む。複数の単電池100は、パック本体200内に直接配置され配列さ
れる。単電池100は、パック本体200の第1の側からパック本体200の第2の側ま
で延び、上記第1の側と第2の側が対向して設けられる。上記第1の側と第2の側は、パ
ック本体200のエッジに位置する。
【0020】
例えば、単電池100の長手方向は、パック本体200の幅方向に沿って延び、上記第
1の側は、パック本体200の幅方向に沿った一側であり、上記第2の側は、パック本体
200の幅方向に沿った他側である。
【0021】
なお、上記直接配置配列における「直接」とは、収容チャンバー内の複数の単電池10
0が収容チャンバー内に取り付けられる前に、電池モジュールとして予め組み立てられず
、組立過程において、複数の単電池100を収容チャンバー内に配置することにより、取
付を実現する。例えば、単電池100で形成された電池アレイには、端板及び側板などの
構造が設けられない(例えば、図1に示す構造であり、まず単電池を電池モジュールに構
成し、次にパック本体内に入れる)。
【0022】
本願に係る動力電池パック10は、複数の単電池100をパック本体200内の複数の
収容チャンバー内に直接配置し配列することにより、従来の電池パックにおける、電池モ
ジュールを取り付ける様々な取付構造を省略し、パック本体の内部空間の利用率を向上さ
せ、パック本体200の内部の単電池100の体積の和を増加させ、換言すれば、単電池
100の体積とパック本体200の体積との比を増加させ、一定の体積空間内に、より多
くの単電池100を組み立てて、動力電池パック10のエネルギー密度を向上させること
を実現する。同時に、組立過程が簡単で、工程が簡単であり、手間や物資などのコストを
低減し、また、組立工程が少なくなり、動力電池パック10の組立過程において、不良品
発生の確率を低減し、緩みが発生し、取付が強固にならない可能性が小さくなり、動力電
池パック10の品質を向上させ、かつ動力電池パック10の安定性及び信頼性を向上させ
る。
【0023】
以下、図面を参照して、本願の実施例に係る動力電池パック10を説明する。
【0024】
図2図16に示すように、本願の実施例に係る動力電池パック10は、パック本体2
00と、複数の単電池100とを含む。
【0025】
いくつかの実施例において、例えば、業界の一般的なパック本体200の構造において
、トレイ210及び上部カバー220が含まれ、トレイ210及び上部カバー220は共
に複数の単電池100の収容空間を画定し、複数の単電池100は、トレイ210に設け
られ、かつ上部カバー220によりカバーされる。該実施例において、トレイ210は、
上側が開口したボックス本体であってよく、上部カバー220は、平板状であり、トレイ
210の上側開口を密封し、業界の一般的な解決手段において、トレイ210は、上側が
開口したボックス本体であり、上部カバー220は、それと対向する、下側が開口したボ
ックス本体であり、トレイ210の上側開口は、上部カバー220の下側開口に対応し、
組立時、両者を整列して内部収容空間に対するパッケージを実現する。
【0026】
当然のことながら、別のいくつかの特別な実施例において、例えば単電池全体の防水性
能が高く、又はパック本体が電気自動車に直接形成される場合、上部カバーを設ける必要
がなく、1つのトレイだけで複数の単電池で構成された電池アレイを支持すればよい。さ
らにいくつかの実施例において、パック本体において、その周囲に位置するサイドビーム
又はフレームを設ける必要がなく、パック本体が、平板により近く、フレームがなく、単
電池を該平板に直接的に設けるか、又は平板にクロスビームを設け、次にクロスビームで
単電池を固定する。より具体的には、パック本体を、単電池を支持し、単電池で形成され
た電池アレイを電気自動車に取り付けるブラケットとして想定してよく、完全なパック本
体に限定する必要がない。
【0027】
複数の単電池100は、パック本体200内に設けられ、パック本体200は、複数の
単電池100を収容するケースとして理解することができ、例えば、トレイ210及び上
部カバー220を含むことができ、トレイ210及び上部カバー220は共に複数の単電
池100の収容空間を画定し、複数の単電池100は、トレイ210に設けられ、かつ上
部カバー220によりカバーされ、該収容空間は、仕切られていない空間全体である。換
言すれば、図14及び図16に示すように、パック本体200内に動力電池パック10の
幅方向Bに沿って延びる幅方向クロスビーム500が設けられておらず、動力電池パック
10の長手方向Aに沿って延びる長手方向クロスビーム600も設けられておらず、単電
池100の長手方向の端部は、パック本体200により支持される。
【0028】
例えば、パック本体200の第1の側に第1の側壁が設けられ、第2の側に第2の側壁
が設けられ、単電池100の一端が上記第1の側壁に支持され、他端が上記第2の側壁に
支持される。
【0029】
本願の他のいくつかの実施例において、パック本体200は、底板を有してもよく、単
電池100は、上記底板に支持される。
【0030】
本願のいくつかの具体的な実施例において、図2図16に示すように、本願の実施例
に係る動力電池パック10は、パック本体200と、複数の単電池100とを含む。
【0031】
複数の単電池100は、パック本体200内に設けられ、パック本体200は、複数の
単電池100を収容するケースとして理解することができ、例えば、トレイ210及び上
部カバー220を含むことができ、トレイ210及び上部カバー220は共に複数の単電
池100の収容空間を画定し、複数の単電池100は、トレイ210に設けられ、かつ上
部カバー220によりカバーされ、すなわち、収容空間内に設けられる。上記複数の単電
池100の体積の和V1と上記収容空間の容積V0は、81%≦V1/V0≦97%を満
たす。
【0032】
当業者であれば理解できるように、V1は、各単電池100の体積と単電池100の数
との積であり、V0とは、パック本体200の総体積からトレイ底板、トレイ底板の周囲
を囲む4つのフレーム及び上部カバーなどのケース体積と内部電池管理システム及び他の
配電モジュールが占める体積を引いて、実際に残される、単電池100、幅方向クロスビ
ーム500及び長手方向クロスビーム600を収容できる体積を指す。
【0033】
本願の実施例に係る動力電池パック10は、上記パック本体200内に収容空間が形成
され、上記複数の単電池100が上記収容空間内に直接配置され配列され、単電池100
の体積の和と収容空間の容積との比、すなわち、81%≦V1/V0≦97%、例えば、
81%≦V1/V0≦92%を限定することにより、動力電池パック10の空間利用率を
向上させて、動力電池パック10内により多くの単電池100を配置し、すなわち単位空
間内により多くのエネルギー供給構造を配置することができ、その結果、エネルギー密度
を向上させて、占有空間を拡大することなく航続能力を向上させることができる。
【0034】
本願のいくつかの具体例において、図2図16に示すように、本願の実施例に係る動
力電池パック10は、パック本体200と、複数の単電池100とを含む。
【0035】
本願の実施例に係る動力電池パック10は、単電池100の長さと単電池の長さ延在方
向における車体の寸法との比、すなわち46%≦L0/X≦75%を限定することにより
、車体の空間を十分に利用して、車体の単位空間内により多くの単電池100を配置し、
すなわち、単位空間内により多くのエネルギー供給構造を配置することができ、その結果
、エネルギー密度を向上させて、占有空間を拡大することなく航続能力を向上させること
ができる。
【0036】
本願のいくつかの具体的な実施例において、図2図16に示すように、本願の実施例
に係る動力電池パック10は、パック本体200と、複数の単電池100とを含む。
【0037】
複数の単電池100は、パック本体200内に設けられ、パック本体200は、複数の
単電池100を収容するケースとして理解することができ、例えば、トレイ210及び上
部カバー220を含んでよく、トレイ210及び上部カバー220は、共に複数の単電池
100の収容空間を画定し、複数の単電池100は、トレイ210に設けられ、かつ上部
カバー220によりカバーされ、即ち、収容空間内に設けられ、上記収容空間は、底面を
有し、該底面は、即ち収容空間を画定する底壁の部分である。本願の具体的な実施例にお
いて、上記パック本体200内に収容空間が形成され、上記複数の単電池が上記収容空間
内に直接配置され配列され、複数の単電池100の上記底面での正射影の面積の和S1と
上記底面の面積S0は、72%≦S1/S0≦88%を満たす。
【0038】
当業者であれば理解できるように、S1は、各単電池100の底面への正射影の面積と
単電池100の数との積であり、S0は、底面の面積であり、なお、ここで底面の面積と
は、底面の全体の平坦面積を指し、いくつかの凹凸構造の表面積を含まず、換言すれば、
底面の水平面への正射影の面積として理解することができる。
【0039】
本願の実施例に係る動力電池パック10は、単電池100の底面への正射影の面積の和
と底面の面積との比、即ち、72%≦S1/S0≦88%を限定することにより、動力電
池パック10の空間利用率を向上させ、動力電池パック10内に、より多くの単電池10
0を配置し、即ち、単位空間内に、より多くのエネルギー供給構造を配置するため、エネ
ルギー密度を向上させて、占有空間を拡大することなく航続能力を向上させることができ
る。
【0040】
本願のいくつかの具体例において、複数の単電池100の体積の和V1と動力電池パッ
ク10の体積V2は、V1/V2≧55%を満たす。
【0041】
当業者であれば理解できるように、V1は、各単電池100の体積と単電池100の数
との積であり、V2は、動力電池パック10の外郭によって画定された立体形状の全体積
であり、即ち、動力電池パック10の内部空間を含む体積であり、即ち、動力電池パック
10の外郭によって空間上で囲まれた立体領域の体積である。V1/V2は、空間利用率
として定義できる。
【0042】
本願の実施例に係る動力電池パック10は、単電池100の体積の和と動力電池パック
10の体積との比、即ち、V1/V2≧55%を限定することにより、動力電池パック1
0の空間利用率を向上させ、動力電池パック10内に、より多くの単電池100を配置し
、即ち、単位空間内に、より多くのエネルギー供給構造を配置するため、エネルギー密度
を向上させて、占有空間を拡大することなく航続能力を向上させることができる。
【0043】
本願のいくつかの実施例において、単電池100の体積の和と動力電池パック10の体
積との比は、V1/V2≧60%を満たし、本願のいくつかの実施例において、単電池1
00の体積の和と動力電池パック10の体積との比は、≧65%を満たす。
【0044】
試験により見出すように、本願の実施例に係る動力電池パック10及び中国特許文献C
N107925028Aに開示された組電池を試験対象とし、両者はいずれも電力量が7
3kwhのLPF(リン酸鉄リチウム電池)を例とし、使用過程において、いずれもPD
U(電源分配ユニット)を配置する必要があるため、両者にいずれもPDUを配置して比
較する。本願の実施例に係る動力電池パック10は、空間利用率が62.5%であり、エ
ネルギー密度が281wh/Lであり、中国特許文献CN107925028Aに開示さ
れた組電池は、空間利用率が51%であり、エネルギー密度が257wh/Lである。以
上より、中国特許文献CN107925028Aに開示された組電池は、空間利用率及び
エネルギー密度の面でいずれも本願の実施例に係る動力電池パック10より低く、その航
続能力も本願の実施例に係る動力電池パック10よりはるかに低い。
【0045】
当業者であれば理解できるように、いくつかの要因の影響により、例えば、トレイの底
部の衝突防止空間及び液冷システム、保温材料、絶縁保護材、熱安全補助部品、火炎排出
及び排気通路、高圧配電モジュールなどを含む周辺部品がパック本体200の内部空間を
占有するため、V1/V2の最大値は、一般的に80%であり、即ちV1/V2≦80%
である。
【0046】
以下、図面を参照して、本願の具体的な実施例に係る動力電池パック10を説明し、動
力電池パック10は、長手方向が矢印Aで示され、幅方向が矢印Bで示され、高さ方向が
矢印Cで示される。
【0047】
本願のいくつかの具体的な実施例において、図2図4に示すように、単電池100は
、長手方向が動力電池パック10の幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100
は、動力電池パック10の長手方向Aに沿って配列され、このように、動力電池パック1
0の空間利用率を55%、60%又はそれ以上に設定することに役立つ。
【0048】
本願のいくつかの具体例において、図3及び図4に示すように、動力電池パック10の
幅方向Bに、単電池100とパック本体200の側壁との間の距離は、単電池100の長
さより小さく、具体的には、動力電池パック10の幅方向Bに、単電池100の一端とそ
れ(単電池100の上記一端)に隣接するパック本体200のサイドビームとの間の最近
接距離はL1であり、単電池100の他端とそれ(単電池100の上記他端)に隣接する
パック本体200のサイドビームとの間の最近接距離はL2であり、単電池100の長さ
L0は、L1+L2<L0を満たす。このように、動力電池パック10の幅方向Bに、追
加の別の単電池100を収容することができない。
【0049】
換言すれば、パック本体200は、動力電池パック10の幅方向Bに、1つの単電池1
00のみを収容する。すなわち、動力電池パック10の幅方向Bに、単電池100は、2
つ又は2つ以上の数で配置することができない。
【0050】
理解できるように、動力電池パック10の幅方向Bに、パック本体200の両側は、サ
イドビームであり、動力電池パック10の長手方向Aに、パック本体200の両端は、エ
ンドビームである。
【0051】
本願のいくつかの具体例において、図3及び図4に示すように、単電池100の長さは
、動力電池パック10の幅方向B全体に延び、すなわち、動力電池パック10の幅方向B
に沿って、単電池100は、パック本体200の一側から他側まで延び、単電池100の
長さは、動力電池パック10の幅方向Bに充填され、パック本体200は、動力電池パッ
ク10の幅方向Bに2つ又は2つ以上の単電池100を配置することができず、単電池1
00の長手方向の両端は、パック本体200の幅方向Bの対向する両側壁に適合し、例え
ば、パック本体200に固定することができる。これにより、パック本体200の内部に
幅方向クロスビーム及び長手方向クロスビームを必要とせず、接続された単電池100に
より直接的に補強リブの役割を担い、パック本体200の構造を大幅に簡略化し、かつ補
強リブの占有する空間と単電池100の取付構造の占有する空間を減少させて、空間利用
率を向上させ、航続能力を向上させる。
【0052】
本願のいくつかの具体例において、パック本体200は、動力電池パック10の幅方向
Bの両側に位置するサイドビームを含み、単電池100の長手方向の両端は、上記サイド
ビームに支持され、パック本体200は、動力電池パック10の長手方向Aの両端に位置
するエンドビームを含み、上記エンドビームは、それに隣接する単電池100に対して内
向きの押圧力を提供する。
【0053】
図3及び図4に示すように、パック本体200は、第1のサイドビーム201、第2の
サイドビーム202、第1のエンドビーム203及び第2のエンドビーム204を有し、
第1のサイドビーム201、第2のサイドビーム202、第1のエンドビーム203、第
2のエンドビーム204は、順に首尾接続され、第1のサイドビーム201と第2のサイ
ドビーム202は、動力電池パック10の幅方向Bに対向し、第1のエンドビーム203
と第2のエンドビーム204は、動力電池パック10の長手方向Aに対向する。第1のサ
イドビーム201及び第2のサイドビーム202は、単電池100の長手方向の両端に支
持力を提供し、すなわち、単電池100の一端が第1のサイドビーム201に支持され、
かつ他端が第2のサイドビーム202に支持される。第1のエンドビーム203及び第2
のエンドビーム204は、単電池100の厚さ方向の両側に押圧力を提供し、すなわち、
第1のエンドビーム203は、第1のエンドビーム203に隣接して設けられた単電池1
00に第2のエンドビーム204に向かう作用力を印加し、第2のエンドビーム204は
、第2のエンドビーム204に隣接して設けられた単電池100に第1のエンドビーム2
03に向かう作用力を印加し、このように、複数の単電池100は、動力電池パック10
の長手方向Aに沿って第1のエンドビーム203と第2のエンドビーム204との間に緊
密に配列され、かつ互いに貼り合わせることができる。また、第1のエンドビーム203
及び第2のエンドビーム204は、動力電池パック10の長手方向Aに複数の単電池10
0を位置規制することができ、特に、単電池100が僅かに膨張すると、単電池100に
対して緩衝し内向きの圧力を提供するという作用を果たし、単電池100の膨張量及び変
形量が大きすぎることを防止することができる。
【0054】
本願のいくつかの具体例において、図7に示すように、単電池100は、長手方向が動
力電池パック10の幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100は、動力電池パ
ック10の長手方向Aに沿って配列されて電池アレイを形成し、パック本体200内に動
力電池パック10の高さ方向Cに沿って少なくとも2層の電池アレイを含む。これにより
、単電池100の数を最適化することにより、空間利用率を向上させてエネルギー密度を
向上させ、かつBIC、低電圧サンプラーの集積化を実現しやすい。
【0055】
本願のいくつかの具体的な実施例において、図15及び図16に示すように、単電池1
00は、長手方向が動力電池パック10の長手方向Aに沿うように配置され、複数の単電
池100は、動力電池パック10の幅方向Bに沿って配列され、このように、動力電池パ
ック10の空間利用率を50%、60%又はそれ以上に設定することに役立つ。
【0056】
本願のいくつかの具体例において、図15及び図16に示すように、動力電池パック1
0の長手方向Aに、単電池100とパック本体200の端壁との間の距離は、単電池10
0の長さより小さい。具体的には、動力電池パック10の長手方向Aに、単電池100の
一端とそれ(単電池100の上記一端)に隣接するパック本体200のエンドビームとの
間の最近接距離は、L3であり、単電池100の他端とそれ(単電池100の上記他端)
に隣接するパック本体200のエンドビームとの間の最近接距離は、L4であり、単電池
100の長さL0は、L3+L4<L0を満たす。このように、動力電池パック10の長
手方向Aに、追加の別の単電池100を収容することができない。
【0057】
換言すれば、パック本体200は、動力電池パック10の長手方向Aに、1つの単電池
100のみを収容する。すなわち、動力電池パック10の長手方向Aに、単電池100は
、2つ又は2つ以上の数で配置することができない。
【0058】
理解できるように、動力電池パック10の幅方向Bに、パック本体200の両側は、サ
イドビームであり、動力電池パック10の長手方向Aに、パック本体200の両端は、エ
ンドビームである。
【0059】
本願のいくつかの具体例において、図15及び図16に示すように、単電池100の長
さは、動力電池パック10の長手方向A全体に延び、すなわち、動力電池パック10の長
手方向Aに沿って、単電池100は、パック本体200の一端から他端まで延び、単電池
100の長さは、動力電池パック10の長手方向Aに充填され、パック本体200は、動
力電池パック10の長手方向Aに2つ又は2つ以上の単電池100を配置することができ
ず、単電池100の長手方向の両端は、パック本体200の長手方向Aの対向する両端壁
に適合し、例えば、パック本体200に固定することができる。これにより、パック本体
200の内部に幅方向クロスビーム及び長手方向クロスビームを必要とせず、接続された
単電池100により直接的に補強リブの役割を担い、パック本体200の構造を大幅に簡
略化し、かつ補強リブの占有する空間と単電池100の取付構造の占有する空間を減少さ
せて、空間利用率を向上させ、航続能力を向上させる。
【0060】
本願のいくつかの具体例において、パック本体200は、動力電池パック10の長手方
向Aの両端に位置するエンドビームを含み、単電池100の長手方向の両端は、上記エン
ドビームに支持され、パック本体200は、動力電池パック10の幅方向Bの両側に位置
するサイドビームを含み、上記サイドビームは、それに隣接する単電池100に対して内
向きの押圧力を提供する。
【0061】
図16に示すように、パック本体200は、第1のサイドビーム201、第2のサイド
ビーム202、第1のエンドビーム203及び第2のエンドビーム204を有し、第1の
サイドビーム201、第2のサイドビーム202、第1のエンドビーム203、第2のエ
ンドビーム204は、順に首尾接続され、第1のサイドビーム201と第2のサイドビー
ム202は、動力電池パック10の幅方向Bに対向し、第1のエンドビーム203と第2
のエンドビーム204は、動力電池パック10の長手方向Aに対向する。第1のエンドビ
ーム203及び第2のエンドビーム204は、単電池100の長手方向の両端に支持力を
提供し、すなわち、単電池100の一端が第1のエンドビーム203に支持され、かつ他
端が第2のエンドビーム204に支持される。第1のサイドビーム201及び第2のサイ
ドビーム202は、単電池100の厚さ方向の両側に押圧力を提供し、すなわち、第1の
サイドビーム201は、第1のサイドビーム201に隣接して設けられた単電池100に
第2のサイドビーム202に向かう作用力を印加し、第2のサイドビーム202は、第2
のサイドビーム202に隣接して設けられた単電池100に第1のサイドビーム201に
向かう作用力を印加し、このように、複数の単電池100は、動力電池パック10の幅方
向Bに沿って第1のサイドビーム201と第2のサイドビーム202との間に緊密に配列
され、かつ互いに貼り合わせることができる。また、第1のサイドビーム201及び第2
のサイドビーム202は、動力電池パック10の幅方向Bに複数の単電池100を位置規
制することができ、特に、単電池100が僅かに膨張すると、単電池100に対して緩衝
し内向きの圧力を提供するという作用を果たし、単電池100の膨張量及び変形量が大き
すぎることを防止することができる。
【0062】
本願のいくつかの具体例において、図15に示すように、単電池100は、長手方向が
動力電池パック10の長手方向Aに沿うように配置され、複数の単電池100は、動力電
池パック10の幅方向Bに沿って配列されて電池アレイを形成し、パック本体200内に
動力電池パック10の高さ方向Cに沿って少なくとも2層の電池アレイを含む。これによ
り、単電池100の数を最適化することにより、空間利用率を向上させてエネルギー密度
を向上させ、かつBIC、低電圧サンプラーの集積化を実現しやすい。
【0063】
本願のいくつかの具体的な実施例において、複数の単電池100は、複数の電池アレイ
400に組み立てることができ、複数の電池アレイ400は、動力電池パック10の長手
方向Aに沿って配列されてもよく(図6に示す)、動力電池パック10の幅方向Bに沿っ
て配列されてもよく(図15に示す)、動力電池パック10の高さ方向Cに沿って多層構
造を形成するように配列されてもよく(図7に示す)、換言すれば、単電池100が動力
電池パック10の幅方向Bに沿って延びるか又は長手方向Aに沿って延びるかにかかわら
ず、複数の単電池100は、いずれも動力電池パック10の高さ方向Cに沿って多層に配
列することができる。当然のことながら、複数の電池アレイ400は、動力電池パック1
0の長手方向A及び高さ方向Cに沿って同時に配列されてもよく、動力電池パック10の
幅方向A及び高さ方向Cに沿って同時に配列されてもよい。これにより、電池アレイ40
0の数を最適化することにより、空間利用率を向上させてエネルギー密度を向上させ、か
つBIC、低電圧サンプラーの集積化を実現しやすい。なお、本願の実施例における電池
アレイ400には、端板及び側板等の構造が設けられない。
【0064】
従来技術において、単電池の寸法が小さく、長さが短く、単電池の対向する両端が、パ
ック本体200’’内の対向して設けられた2つの側壁に嵌合することができないため、
パック本体200’’内に長手方向クロスビーム600’及び/又は幅方向クロスビーム
500’(図1に示す)を設ける必要があり、このように、単電池の組立が容易になる。
単電池を電池モジュール400’の形態でパック本体200’’内に取り付けた後、動力
電池パック10’の幅方向に沿って複数の単電池が存在し、すなわち、単電池は、対向し
て設けられた2つの側壁の間に延びず、対向して設けられた2つの長手方向クロスビーム
600’又は幅方向クロスビーム500’の間に延び、電池モジュールは、締結具により
隣接する長手方向クロスビーム600’及び/又は幅方向クロスビーム500’に固定さ
れる。
【0065】
従来技術におけるパック本体200’’内に長手方向クロスビーム600’及び/又は
幅方向クロスビーム500’が設けられ、長手方向クロスビーム600’及び/又は幅方
向クロスビーム500’が、パック本体200’’内の、単電池を収容するための大量の
取付空間を占めるため、パック本体200’’の空間利用率が低く、一般的に、単電池の
体積の和とパック本体200’’の体積との比は約40%であり、さらにより低く、すな
わち、従来技術におけるパック本体200’’内に、単電池を取り付けるための空間が4
0%程度のみであるため、パック本体200’’に収容可能な単電池の数が限られ、動力
電池パック10’全体の容量、電圧が制限され、動力電池パック10’の航続能力が低い
【0066】
本願の実施例に係る動力電池パック10は、パック本体200内の長手方向クロスビー
ム及び/又は幅方向クロスビームの使用を減少させ、さらにパック本体200内に長手方
向クロスビーム及び/又は幅方向クロスビームを設置しなくてもよく、このように、長手
方向クロスビーム及び/又は幅方向クロスビームがパック本体200内に占める空間を減
少させ、パック本体200の空間利用率を向上させる一方、電池アレイ400内の端板及
び側板の使用を低減し、端板及び側板がパック本体200に占める空間を低減することに
より、パック本体200の空間利用率を向上させることができる。多くの単電池100を
パック本体200内にできるだけ配置することにより、動力電池パック全体の容量、電圧
及び航続能力を向上させる。
【0067】
また、パック本体200内に長手方向クロスビーム及び/又は幅方向クロスビームをさ
らに配置する必要がないため、パック本体200の製造プロセスを簡略化し、単電池10
0の組立の複雑度を低減し、生産コストを低減する一方、パック本体200及び動力電池
パック10全体の重量を軽減し、動力電池パック10の軽量化を実現する。特に、動力電
池パック10が電気自動車に取り付けられる場合、電気自動車の航続能力を向上させ、電
気自動車の軽量化を実現することもできる。
【0068】
また、単電池100自体は、パック本体200の構造強度を補強するために用いられ、
すなわち、パック本体200内にその構造強度を補強する補強構造をさらに設ける必要が
なく、補強構造に代えて単電池100自体でパック本体200の構造強度を確保し、パッ
ク本体200が外力の作用下で変形しにくいことを確保することができる。中国特許文献
CN107925028Aに開示された組電池に比べて、パック本体200は、単電池1
00を収容し保護する作用を果たすだけでなく、単電池100を支持し、動力電池パック
10全体の耐荷重能力を向上させることができ、単電池100の長さは、動力電池パック
10の強度に補強作用を果たす。また、単一の単電池100の表面積が増加することによ
り、単電池100の放熱面積を増大させ、単電池100の放熱速度を向上させ、さらに動
力電池パック10全体の安全性を向上させ、動力電池パック10をより安全で確実にする
ことができる。
【0069】
本願のいくつかの具体的な実施例において、図9及び図10に示すように、上記パック
本体200は、中国特許文献CN107925028Aに開示された組電池のケースと異
なり、特に寸法及び荷重支持の態様において、パック本体200は、車両本体/車体と係
合する、単電池100を収容し担持する構造を形成するように、車体と係合して接続され
た車両用トレイ210を含んでよく、該車両用トレイ210は、独立して製造される、単
電池100を収容し取り付けるトレイである。単電池100を車両用トレイ210内に取
り付けた後、該車両用トレイ210を締結具により車体に取り付けることができ、例えば
、電気自動車のシャーシに吊り下げて、収容及び荷重支持の作用を果たす。
【0070】
動力電池パック10を、車両に使用されて電気エネルギーを供給する動力電池パックと
して使用する場合、単電池100の長手方向を車体の幅方向、すなわち、車両の左右方向
に沿うように配置することができ、この場合、単電池100の長さが車両の幅に合わせる
ように、単電池100の電池本体110の長さLは、600mm~2500mmであって
もよく、600mm~1500mmとなるように選択されてよい。
【0071】
本願のいくつかの具体例において、図8に示すように、パック本体200は、電気自動
車に直接形成されてもよく、すなわち、パック本体200は、電気自動車の任意の適切な
位置に形成され、単電池100を取り付ける装置である。例えば、パック本体200は、
電気自動車のシャーシに形成されてよい。
【0072】
本願のいくつかの具体的な実施例において、動力電池パック10が電気自動車に配置さ
れる場合、中国特許文献CN107925028Aに開示された組電池と異なり、動力電
池パック10は、電池管理システム(BMS)、電池コネクタ、電池サンプラー及び電池
熱管理システムのうちの少なくとも1つなどの車両用電池に必要な部材を含み、動力電池
パック10は、幅方向Bが車体の幅方向、即ち車両の左右方向に沿うとともに長手方向が
車体の長手方向、即ち車両の前後方向に沿うように配置される。当然のことながら、本願
は、これに限定されず、動力電池パック10を、幅方向Bが車体の長手方向に沿うととも
に長手方向Aが車体の幅方向に沿うように配置してよい。
【0073】
当業者であれば理解できるように、単電池100の動力電池パック10内での方向配置
及び動力電池パック10の電気自動車での方向配置は、異なる形式で組み合わせることが
でき、例えば、単電池100は、長手方向が動力電池パック10の幅方向Bに沿うように
配置されてもよく、長手方向が動力電池パック10の長手方向Aに沿うように配置されて
もよく、動力電池パック10は、幅方向Bが車体の幅方向に沿うように配置されてもよく
、幅方向Bが車体の長手方向に沿うように配置されてもよく、さらに、例えば、動力電池
パック10は、幅方向Bが車体の幅方向に沿うように配置されるか又は車体の長手方向に
沿うように配置されるにかかわらず、単電池100は、長手方向が車体の幅方向に沿うよ
うに配置される。単電池100、動力電池パック10及び車体の相対的な配置方向は、実
際の応用に応じて設定することにより、異なる要求を満たすことができる。
【0074】
以下、図面を参照して、本願の実施例に係る単電池100を説明する。
【0075】
以下の具体的な実施例において、長さL、幅H及び厚さDの単位は、いずれもミリメー
トル(mm)であり、表面積Sの単位は、平方ミリメートル(mm)であり、体積Vの
単位は、立方ミリメートル(mm)であり、エネルギーEの単位は、ワット時(Wh)
である。
【0076】
図5に示すように、本願の実施例に係る単電池100は、電池本体110を含み、電池
本体110は、タブなどの小さな寸法の突出構造を除いた本体部分として理解できる。電
池本体110は、長さL、幅H及び厚さDを有する。
【0077】
電池本体110の長さLは、電池本体110の幅Hより大きく、電池本体110の幅H
は、電池本体110の厚さDより大きく、電池本体110の長さLと電池本体110の幅
Hは、L/H=4~20を満たし、9~13となるように選択されてよい。
【0078】
電気自動車の開発において、単電池の電圧プラトーに対する要求が所定であることによ
り、単電池の体積は一定値になり、すなわち、ある電圧プラットフォームに達する場合、
同じ化学系材料を使用する上で、その単電池に収容された材料の量が一定であるため、体
積は一定である。本願の実施例に係る単電池100は、電池本体110の長さLと幅Hと
の比を設計することにより、一定の体積で電池本体110を合理的に扁平化することがで
き、動力電池パック内での全体的な配列に役立つ(例えば、本願の上記実施例に係る動力
電池パック10の配列を実現する)ことにより、動力電池パックの空間利用率を向上させ
、動力電池パックのエネルギー密度を向上させて、動力電池パックの航続能力を向上させ
る一方、単電池100が十分に大きな放熱面積を有することを保証し、内部の熱量をタイ
ムリーに外部に伝導して、熱量が内部に集まることを防止することにより、高いエネルギ
ー密度に適合し、航続能力の向上をサポートすることができる。
【0079】
単電池100の動力電池パック内での配列を最適化し、かつ単電池100の放熱能力を
向上させるために、電池本体110の長さLと厚さDは、L/D=23~200を満たす
【0080】
本願のいくつかの具体的な実施例において、図5に示すように、電池本体110は、一
定の構造強度を有するように、外面が平滑な直方体形状に構成され、例えば、電池用電極
体を角形電池ケース内に入れ、蓋板で電池ケースの開口部分を密封し、電解液を注入する
。アルミプラスチック複合膜の電池と比較して、本願の実施例に係る単電池100は、熱
伝導性能が高く、従来の電池熱管理構造と組み合わせて、大きな寸法の構造による放熱問
題を効果的に回避することができる。円柱状電池と比較して、空間利用率がより高く、製
造組立プロセスがより簡単である。
【0081】
本願の実施例に係る単電池100が動力電池パック10のパック本体200内に配置さ
れる場合、電池本体110は、長手方向及び厚さ方向が水平方向に沿って延び、幅方向が
垂直方向に沿って延びることができ、即ち、単電池100が縦に立てて配置され、該水平
方向及び垂直方向は、いずれも動力電池パック10を使用する場合(例えば、電気自動車
に適用する場合)の方向を基準とする。
【0082】
本願のいくつかの具体例において、単電池100の動力電池パック10内での配列を最
適化して、エネルギー密度を向上させ、航続能力を向上させ、パック本体200の限られ
た空間内に、電池本体110の配列をよりコンパクトにし、エネルギーをより集中させる
ために、単電池100の他のパラメータを設計する。
【0083】
例えば、電池本体110の長さLと電池本体110の体積Vは、L/V=0.0005
~0.002mm-2を満たし、電池本体110の幅Hと電池本体110の体積Vは、H
/V=0.0001~0.00015mm-2を満たし、電池本体110の厚さDと電池
本体110の体積Vは、D/V=0.0000065~0.00002mm-2を満たす
。これにより、一定の体積の電池本体110に対して、長さL、幅H及び厚さDのそれぞ
れと体積Vとの比を設計することにより、単位数量のエネルギーの空間での分布を最適化
し、このように、パック本体200内の配置に役立つ。
【0084】
電池本体110の長さLと電池本体110の表面積Sは、L/S=0.002~0.0
05mm-1を満たし、電池本体110の長さLと電池本体110のエネルギーEは、L
/E=0.8~2.45mm・Wh-1を満たし、L/E=1.65~2.45mm・W
-1となるように選択されてよい。これにより、単電池100がその長手方向にパック
本体200の対向する両辺を跨ぐことに役立ち、このように、動力電池パック10の航続
能力を向上させ、かつ単電池100の構造強度及び放熱効果を両立させる。
【0085】
本願のいくつかの他の例において、電池本体110の表面積Sと電池本体110の体積
Vは、S/V=0.1~0.35mm-1を満たす。これにより、十分な放熱面積を保証
して放熱効果を保証するだけでなく、単電池100の体積比を低減することができ、複数
の単電池100の動力電池パック10での配置のコンパクト化に役立つ。
【0086】
電池本体110の表面積Sと電池本体110のエネルギーEとは、S/E≦1000m
・Wh-1を満たす。このように、単電池100の表面の放熱が十分であり、特に三
元又は高ニッケル三元正極材料を採用する場合、電池内部の熱量をタイムリーに伝導する
ことを保証することができ、電池の安全に役立つ。また、本願の実施例における単電池1
00は、外面が平滑な角形電池であり、一定の構造強度を有し、金属熱伝導性が良好であ
り、波形により表面積を増加させる電池と比較して、プロセス及び後期の組立の難度が小
さい。
【0087】
本願のいくつかの具体的な実施例において、図5に示すように、単電池100は、第1
の端子101及び第2の端子102をさらに含む。
【0088】
第1の端子101は、電池本体110の長手方向での一端に設けられ、第2の端子10
2は、電池本体110の長手方向での他端に設けられる。換言すれば、単電池100の長
手方向は、単電池100の内部の電流方向であってよく、すなわち、単電池100の内部
の電流方向は、矢印Bにより示すとおりである。このように、電流方向が単電池100の
長手方向と同じであるため、単電池100の有効放熱面積がより大きく、放熱効率がより
高い。ここで、第1の端子101は、単電池100の正極タブに接続され、第2の端子1
02は、単電池100の負極タブに接続され、或いは、第1の端子101は、単電池10
0の負極タブに接続され、第2の端子102は、単電池100の正極タブに接続される。
【0089】
本願のいくつかの具体例において、図5に示すように、単電池100は、防爆弁103
をさらに含む。
【0090】
防爆弁103は、電池本体110の長手方向での少なくとも1端に設けられる。単電池
100が故障して膨張すると、その内部は、防爆弁103内の反転シートを突き破るのに
十分な気圧を有することにより、単電池100を短絡させ、単電池100の安全を保証し
、単電池100が爆発することを防止することができる。
【0091】
当業者であれば理解できるように、防爆弁103を設けることは、アルミニウムケース
電池だけでなく、パウチ電池にも適用することができ、また、防爆弁103は、電池本体
100の端部以外の他の位置に設けられてよい。
【0092】
本願のいくつかの具体的な実施例において、電池本体110の長手方向での両端にぞれ
ぞれ防爆弁103が設けられ、電池本体110の両端の防爆弁103は、異なる排気通路
222により排気する。
【0093】
例えば、図2図5及び図11に示すように、単電池100の第1のサイドビーム20
1に向かう第1の端に防爆弁103が設けられ、第1のサイドビーム201の内部に排気
通路222が設けられ、第1のサイドビーム201の各単電池100の防爆弁103に対
応する位置のそれぞれに吸気口221が設けられ、吸気口221が排気通路222に連通
し、パック本体200に排気通路222に連通する排気孔が設けられ、及び/又は、単電
池100の第2のサイドビーム202に向かう第2の端に防爆弁103が設けられ、第2
のサイドビーム202の内部に排気通路222が設けられ、第2のサイドビーム202の
各単電池100の防爆弁103に対応する位置のそれぞれに吸気口221が設けられ、吸
気口221が排気通路222に連通し、パック本体200に排気通路222に連通する排
気孔が設けられる。
【0094】
従来技術において、単電池の使用過程において、その内部の気圧がある程度まで上昇す
れば、防爆弁が開き、単電池の内部の火炎、煙又はガスが防爆弁を通って排出され、動力
電池パックの内部に集まり、タイムリーに排出できなければ、単電池に対して二次的な損
傷を与える。本願の実施例において、第1のサイドビーム201及び/又は第2のサイド
ビーム202に、単電池100の防爆弁103に対応する吸気口221が設けられ、かつ
第1のサイドビーム201及び/又は第2のサイドビーム202の内部に排気通路222
が設けられるため、単電池100の内部の気圧が上昇すると、その防爆弁103が開き、
その内部の火炎、煙又はガスなどが直接的に吸気口221を通って第1のサイドビーム2
01及び/又は第2のサイドビーム202内の排気通路222に入り、かつ排気孔を通っ
て第1のサイドビーム201及び又は第2のサイドビーム202から排出され、例えば、
排気孔を通って大気中に排出され、このように、該火炎、煙又はガスがパック本体200
の内部に集まらず、該火炎、煙又はガスが単電池100に対して二次的なダメージを与え
ることを回避する。
【0095】
また、複数の単電池100における各単電池100は、一端が第1のサイドビーム20
1内の排気通路222により排気し、他端が第2のサイドビーム202内の排気通路22
2により排気し、このように、単電池100の両端は、異なる通路により排気し、排気距
離を増加させ、交互排気を形成することにより、温度を低下させることができる。
【0096】
以下、図面を参照して、本願の実施例に係る電気自動車1を説明し、該電気自動車は、
動力電池パックを使用して電気エネルギーを提供することにより、走行を駆動する必要が
ある商用車、特種車、電動自転車、電動バイク、電動スクーターなどの電気自動車を含ん
でよい。
【0097】
図9及び図10に示すように、本願の実施例に係る電気自動車1は、本願の上記実施例
に係る動力電池パック10を含み、パック本体200は、電気自動車に一体成形されても
よく、独立して製造される、単電池100を収容し取り付ける車両用トレイであってもよ
い。
【0098】
本願の実施例に係る電気自動車1は、本願の上記実施例に係る動力電池パック10を利
用することにより、電池の占有空間を拡大することなく航続能力を向上させることができ
る。
【0099】
本願のいくつかの具体的な実施例において、図9及び図10に示すように、動力電池パ
ック10は、電気自動車1の底部に設けられ、パック本体200は、電気自動車1のシャ
ーシに固定接続される。電気自動車1のシャーシでの取付空間が大きいため、動力電池パ
ック10を電気自動車1のシャーシに設けることにより、単電池100の数をできるだけ
増加させて、電気自動車1の航続能力を向上させることができる。
【0100】
本願のいくつかの具体例において、図9及び図10に示すように、電気自動車1は、電
気自動車1の底部に設けられた1つの動力電池パック10を含み、パック本体200は、
電気自動車1のシャーシに固定接続され、動力電池パック10は、幅方向が電気自動車1
の車体の幅方向、即ち電気自動車1の左右方向に沿うとともに長手方向が電気自動車1の
車体の長手方向、即ち電気自動車1の前後方向に沿うように配置される。他の実施例にお
いて、電気自動車1は、電気自動車1の底部に設けられた複数の動力電池パック10を含
んでよく、該複数の電池パック10の形状及び寸法は、同じであっても異なってもよく、
各動力電池パック10は、電気自動車1のシャーシの形状及び寸法に応じて調整でき、複
数の動力電池パック10は、車体の長手方向、即ち前後方向に沿って配列される。
【0101】
本願のいくつかの具体例において、パック本体200の幅Fと車体の幅Wとの比は、5
0%≦F/W≦80%を満たし、本実施例において、車体の幅方向に沿って1つのパック
本体200のみを設けることで実現することができ、パック本体200が複数である場合
、複数のパック本体200は、車体の長手方向に沿って配列される。一般的には、大部分
の車両にとって、車体の幅Wが500mm~2000mm、例えば500mm、1600
mm、1800mm、2000mmであり、車体の長さが500mm~5000mmであ
り、乗用車にとって、乗用車の幅が一般的に500mm~1800mmであり、車体の長
さが500mm~4000mmである。
【0102】
本願のいくつかの他の実施例において、パック本体200の幅Fは、500mm~15
00mmであり、中国特許文献CN107925028Aに開示された組電池のケースよ
りはるかに大きく、CN107925028Aのような組電池の電池アレイ400を収容
し、航続能力を保証し、かつ車体の寸法に適合することに役立つ。
【0103】
本願のいくつかの具体例において、単電池100は、電池本体110を含み、電池本体
110の長さLと車体の幅Wとの比は、46%≦L/W≦76%を満たす。本実施例にお
いて、車体の幅方向に沿って1つの単電池100のみを設けることで実現することができ
る。他の可能な実施形態において、このような寸法要求を満たす場合、長手方向に複数の
電池アレイ400又は複数の単電池100を設けることで実現することができる。いくつ
かの実施例において、電池本体110の長さLは、400mm~1500mmである。
【0104】
本願の実施例に係る単電池100、動力電池パック10及び電気自動車1の他の構成及
び操作は、当業者にとって既知であるため、ここで詳細に説明しない。
【0105】
以下、比較例1及び実施例1~3、比較例2及び実施例4~5、比較例3及び実施例6
~7により説明し、本願の実施例に係る動力電池パック10は、単電池100の配列及び
寸法パラメータなどを設計することにより、エネルギー密度などの態様で向上する。
【0106】
以下の実施例及び比較例において、いずれも電力が73kwhのリン酸鉄リチウム電池
を例とする。
【0107】
比較例1及び実施例1~3において、動力電池パックの総体積は、213Lであり、パ
ック本体の長さ=1380、幅=1005、厚さ=13であり、トレイ及び上部カバーな
どのケースの体積と、内部の電池管理システム及び他の配電モジュールが占める体積との
和は、58Lであり、実際に残される、単電池及び/又は幅方向クロスビームor長手方
向クロスビームを収容できる体積は、155Lである。
比較例1
【0108】
従来技術における動力電池パック10’は、図1に示すように、パック本体200’’
内に、2つの幅方向クロスビーム500’及び1つの長手方向クロスビーム600’が設
けられ、2つの幅方向クロスビーム500’及び1つの長手方向クロスビーム600’が
、単電池を6つの組電池400’に仕切っており、各組電池400’が、いずれも組電池
のケースを有する。
【実施例0109】
本願の実施例に係る電池パック10において、図12に示すように、単電池100は、
長手方向が動力電池パックの幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100が動力
電池パック10の長手方向Aに沿って配列され、パック本体200は、動力電池パックの
幅方向Bにおいて2つの単電池100を収容する。パック本体200内に、1つの幅方向
クロスビーム500及び1つの長手方向クロスビーム600が設けられ、幅方向クロスビ
ーム500は、動力電池パック10の幅方向Bに沿って延び、複数の単電池100は、動
力電池パック10の長手方向Aに沿って配列されて電池アレイを形成し、幅方向クロスビ
ーム500は、電池アレイを動力電池パック10の長手方向Aに沿って2つの部分に分割
する。また、複数の単電池100は、動力電池パックの幅方向Bに沿って2列の電池アレ
イとして配置され、長手方向クロスビーム600は、隣接する2列の電池アレイの間に位
置する。動力電池パック10の幅方向Bの両側に位置するパック本体200の第1のビー
ム201及び第2のビーム202は、単電池100に支持力を提供し、動力電池パック1
0の長手方向Aの両側に位置するパック本体200の第3のビーム203及び第4のビー
ム204は、隣接する単電池100に内向きの押圧力を提供する。該動力電池パック10
の電池アレイに端板及び側板が設けられない。
【実施例0110】
本願の実施例に係る動力電池パック10において、図13に示すように、単電池100
は、長手方向が動力電池パックの幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100が
動力電池パック10の長手方向Aに沿って配列され、パック本体200は、動力電池パッ
クの幅方向Bにおいて1つの単電池100を収容し、単電池100は、動力電池パック1
0の幅方向Bにおいてパック本体200の一側から他側まで延びる。パック本体200内
に1つの幅方向クロスビーム500が設けられ、長手方向クロスビーム600が設けられ
ておらず、幅方向クロスビーム500は、動力電池パック10の幅方向Bに沿って延び、
複数の単電池100は、動力電池パック10の長手方向Aに沿って配列されて電池アレイ
を形成し、幅方向クロスビーム500は、電池アレイを動力電池パック10の長手方向A
に沿って2つの部分に分割する。動力電池パック10の幅方向Bの両側に位置するパック
本体200の第1のビーム201及び第2のビーム202は、単電池100に支持力を提
供し、動力電池パック10の長手方向Aの両側に位置するパック本体200の第3のビー
ム203及び第4のビーム204は、隣接する単電池100に内向きの押圧力を提供する
。該動力電池パック10の電池アレイに端板及び側板が設けられない。
【実施例0111】
本願の実施例に係る動力電池パック10において、図14に示すように、単電池100
は、長手方向が動力電池パックの幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100が
動力電池パック10の長手方向Aに沿って配列され、パック本体200は、動力電池パッ
クの幅方向Bにおいて1つの単電池100を収容し、単電池100は、動力電池パック1
0の幅方向Bにおいてパック本体200の一側から他側まで延びる。パック体200内に
幅方向クロスビーム500及び長手方向クロスビーム600が設けられていない。動力電
池パック10の幅方向Bの両側に位置するパック本体200の第1のビーム201及び第
2のビーム202は、単電池100に支持力を提供し、動力電池パック10の長手方向A
の両端に位置するパック本体200の第3のビーム203及び第4のビーム204は、隣
接する単電池100に内向きの押圧力を提供する。該動力電池パック10の電池アレイに
端板及び側板が設けられない。
【0112】
当業者であれば、上記比較例1と実施例1~3を比較して分かるように、従来技術にお
ける動力電池パック10’と比較して、本願の実施例に係る動力電池パック10は、単電
池100の配列、寸法パラメータ及び他の要因の設計により、空間利用率が従来の動力電
池パックの制限を打破できることにより、より高いエネルギー密度を実現する。
【0113】
比較例2及び実施例4~5において、動力電池パックの総体積は、310Lであり、パ
ック本体の長さ=1580、幅=1380、厚さ=137であり、トレイ及び上部カバー
などのケースの体積と、内部の電池管理システム及び他の配電モジュールが占める体積と
の和は、89Lであり、実際に残される、単電池及び/又は幅方向クロスビームor長手
方向クロスビームを収容できる体積は、221Lである。
比較例2
【0114】
従来技術における動力電池パック10’は、図1に示すように、パック本体200’’
内に、2つの幅方向クロスビーム500’及び1つの長手方向クロスビーム600’が設
けられ、2つの幅方向クロスビーム500’及び1つの長手方向クロスビーム600’が
、単電池を6つの電池モジュール400’に仕切っており、各組電池400’が、いずれ
も側板及び端板を有する。
【実施例0115】
本願の実施例に係る動力電池パック10において、図15に示すように、単電池100
は、長手方向が動力電池パックの長手方向Aに沿うように配置され、複数の単電池100
が動力電池パック10の幅方向Bに沿って配列され、パック本体200は、動力電池パッ
クの長手方向Aにおいて1つの単電池100を収容し、単電池100は、動力電池パック
10の長手方向Aにおいてパック本体200の一側から他側まで延びる。パック本体20
0内に1つの長手方向クロスビーム600が設けられ、幅方向クロスビーム500が設け
られておらず、長手方向クロスビーム600は、動力電池パック10の長手方向Aに沿っ
て延び、複数の単電池100は、動力電池パック10の幅方向Bに沿って配列されて電池
アレイを形成し、長手方向クロスビーム600は、電池アレイを動力電池パック10の幅
方向Bに沿って2つの部分に分割する。動力電池パック10の長手方向Aの両端に位置す
るパック本体200の第3のビーム203及び第4のビーム204は、単電池100に支
持力を提供し、動力電池パック10の幅方向Bの両側に位置するパック本体200の第1
のビーム201及び第2のビーム202は、隣接する単電池100に内向きの押圧力を提
供する。該動力電池パック10の電池アレイに端板及び側板が設けられない。
【実施例0116】
本願の実施例に係る動力電池パック10において、図16に示すように、単電池100は
、長手方向が動力電池パックの長手方向Aに沿うように配置され、複数の単電池100が
動力電池パック10の幅方向Bに沿って配列され、パック本体200は、動力電池パック
の長手方向Aにおいて1つの単電池100を収容し、単電池100は、動力電池パック1
0の長手方向Aにおいてパック本体200の一側から他側まで延びる。パック体200内
に幅方向クロスビーム500及び長手方向クロスビーム600が設けられていない。動力
電池パック10の長手方向Aの両端に位置するパック本体200の第3のビーム203及
び第4のビーム204は、単電池100に支持力を提供し、動力電池パック10の幅方向
Bの両側に位置するパック本体200の第1のビーム201及び第2のビーム202は、
隣接する単電池100に内向きの押圧力を提供する。該動力電池パック10の電池アレイ
に端板及び側板が設けられない。
【0117】
比較例3及び実施例6において、動力電池パックの総体積は、414Lであり、パック
本体の長さ=2130、幅=1380、厚さ=137であり、トレイ及び上部カバーなど
のケースの体積と、内部の電池管理システム及び他の配電モジュールが占める体積との和
は、58Lであり、実際に残される、単電池及び/又は幅方向クロスビームor長手方向
クロスビームを収容できる体積は、312Lである。
【0118】
実施例7において、動力電池パックの総体積は、508Lであり、パック本体の長さ=
2630、幅=1380、厚さ=137であり、トレイ及び上部カバーなどのケースの体
積と、内部の電池管理システム及び他の配電モジュールが占める体積との和は、119L
であり、実際に残される、単電池及び/又は幅方向クロスビームor長手方向クロスビー
ムを収容できる体積は、389Lである。
比較例3
【0119】
従来技術における動力電池パック10’は、図1に示すように、パック本体200’’
内に、2つの幅方向クロスビーム500’及び1つの長手方向クロスビーム600’が設
けられ、2つの幅方向クロスビーム500’及び1つの長手方向クロスビーム600’が
、単電池を6つの組電池400’に仕切っており、各組電池400’が、いずれも組電池
のケースを有する。
【実施例0120】
及び
【実施例0121】
本願の実施例に係る動力電池パック10において、図16に示すように、単電池100
は、長手方向が動力電池パックの長手方向Aに沿うように配置され、複数の単電池100
が動力電池パック10の幅方向Bに沿って配列され、パック本体200は、動力電池パッ
クの長手方向Aにおいて1つの単電池100を収容し、単電池100は、動力電池パック
10の長手方向Aにおいてパック本体200の一側から他側まで延びる。パック体200
内に幅方向クロスビーム500及び長手方向クロスビーム600が設けられていない。動
力電池パック10の長手方向Aの両端に位置するパック本体200の第3のビーム203
及び第4のビーム204は、単電池100に支持力を提供し、動力電池パック10の幅方
向Bの両側に位置するパック本体200の第1のビーム201及び第2のビーム202は
、隣接する単電池100に内向きの押圧力を提供する。該動力電池パック10の電池アレ
イに端板及び側板が設けられない。
【0122】
実施例1~7と比較例1~3の具体的なパラメータを表1に示す。
【表1】
【0123】
当業者であれば、上記比較例1と実施例1~3を比較して分かるように、従来技術にお
ける動力電池パック10’と比較して、本願の実施例に係る動力電池パック10は、単電
池100の配列、寸法パラメータ及び他の要因の設計により、空間利用率が従来の動力電
池パックの制限を打破できることにより、より高いエネルギー密度を実現する。
【0124】
当業者であれば、上記比較例2と実施例4~5、比較例3と実施例6~7を比較して分
かるように、本願の実施例に係る動力電池パック10は、単電池100の配列、寸法パラ
メータ及び他の要因の設計により、空間利用率が従来の動力電池パックの制限を打破でき
ることにより、より高いエネルギー密度を実現する。また、このようなエネルギー密度の
向上は、動力電池パックの全体積の上昇に伴って拡大され、即ち、動力電池パックの体積
が大きいほど、本願の実施例の技術手段によるエネルギー密度の向上効果が顕著となる。
【0125】
本明細書の説明において、用語「具体的な実施例」、「具体例」などを参照する説明は
、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の
少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語
の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。
【0126】
本願の実施例を例示し説明したが、当業者であれば理解できるように、本願の原則及び主
旨から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形を行
うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその等価範囲で限定される。
【符号の説明】
【0127】
従来技術において、
動力電池パック10’、パック本体200’’、電池モジュール400’、長手方向ク
ロスビーム600’、幅方向クロスビーム500’
本願において、
電気自動車1、動力電池パック10、単電池100、電池本体110、パック本体20
0、トレイ210、上部カバー220、第1のサイドビーム201、第2のサイドビーム
202、第1のエンドビーム203、第2のエンドビーム204、排気通路222、吸気
口221、電池アレイ400、第1の端子101、第2の端子102、防爆弁103、長
手方向クロスビーム600、幅方向クロスビーム500、動力電池パック10の長手方向
A、動力電池パック10の幅方向B、電池動力パック10の高さ方向C、電池本体110
の長さL、電池本体110の幅H、電池本体110の厚さD、車体の幅W、パック本体2
00の幅F。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パック本体と、
前記パック本体内に直接配置され配列された複数の単電池と、を含み、前記単電池は、
前記パック本体の第1の側から前記パック本体の第2の側まで延び、前記第1の側と第2
の側が対向して設けられ、
前記パック本体の第1の側に第1の側壁が設けられ、第2の側に第2の側壁が設けられ
、前記単電池の一端が前記第1の側壁に支持され、他端が前記第2の側壁に支持されるこ
とを特徴とする、動力電池パック。
【外国語明細書】