(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162225
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】配線基板および配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20231031BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20231031BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K3/18 E
H01Q1/38
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128830
(22)【出願日】2023-08-07
(62)【分割の表示】P 2019195479の分割
【原出願日】2018-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2017229272
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018045941
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018053281
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 綱一
(72)【発明者】
【氏名】武 誠司
(72)【発明者】
【氏名】松浦 大輔
(57)【要約】 (修正有)
【課題】導電性と透明性を向上した電波送受信機能を有し、アンテナパターン領域を視認しづらく、アンテナパターン領域における電流分布をより均一化し、アンテナ特性を向上させることが可能な、配線基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】配線基板10は、透明性を有する基板100と、基板の上面に配置され、第1方向D2に延長し、基板と接する裏面と裏面の反対側を向く表面とを有する複数の第1の配線200と、基板の上面に配置され、第1方向と交差する第2方向D3に延長し、基板と接する裏面と裏面の反対側を向く表面とを有する第2の配線300と、を備えている。第1の配線は、第1方向に延長し、第1の配線の裏面と隣接する一対の側面209、210を有し、一対の側面は、それぞれ内側に向けて凹んでいる。第2の配線は、第2方向)に延長し、第2の配線の裏面と隣接する一対の側面を有し、一対の側面は、それぞれ内側に向けて凹んでいる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板であって、
透明性を有する基板と、
前記基板上に配置され、アンテナとしての機能をもつ複数のアンテナ配線を含むアンテナパターン領域と、を備え、
前記アンテナパターン領域の幅方向中央部の開口率が、前記アンテナパターン領域の幅方向縁部の開口率よりも高い、配線基板。
【請求項2】
前記アンテナパターン領域の幅方向中央部における前記複数のアンテナ配線のピッチが、前記アンテナパターン領域の幅方向縁部における前記複数のアンテナ配線のピッチよりも広い、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記アンテナパターン領域の幅方向中央部に、前記アンテナ配線が設けられない空隙部が形成されている、請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記空隙部に、前記アンテナ配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミーパターン領域が形成されている、請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
前記アンテナパターン領域は、前記空隙部を介して分離された第1パターン領域および第2パターン領域を有し、前記第1パターン領域および第2パターン領域は、前記アンテナパターン領域の幅方向両縁部にそれぞれ配置され、前記第1パターン領域および第2パターン領域は、中央パターン領域によって互いに電気的に接続されている、請求項3に記載の配線基板。
【請求項6】
前記中央パターン領域と、前記第1パターン領域および第2パターン領域との間に、それぞれ前記アンテナパターン領域の幅方向に対して斜めに形成された傾斜部を有する接続パターン領域が設けられている、請求項5に記載の配線基板。
【請求項7】
前記アンテナパターン領域には、給電部が電気的に接続され、前記給電部の前記幅方向中央部における長さが、前記給電部の前記幅方向縁部における長さよりも長い、請求項1に記載の配線基板。
【請求項8】
配線基板であって、
透明性を有する基板と、
前記基板上に配置され、アンテナとしての機能をもつ複数のアンテナ配線を含むアンテナパターン領域と、
前記アンテナパターン領域に電気的に接続された給電部と、を備え、
前記給電部の幅方向中央部における長さが、前記給電部の幅方向縁部における長さよりも長い、配線基板。
【請求項9】
配線基板の製造方法であって、
透明性を有する基板を準備する工程と、
前記基板上に、アンテナとしての機能をもつ複数のアンテナ配線を含むアンテナパターン領域を形成する工程と、を備え、
前記アンテナパターン領域の幅方向中央部の開口率が、前記アンテナパターン領域の幅方向縁部の開口率よりも高い、配線基板の製造方法。
【請求項10】
配線基板の製造方法であって、
透明性を有する基板を準備する工程と、
前記基板上に、アンテナとしての機能をもつ複数のアンテナ配線を含むアンテナパターン領域と、前記アンテナパターン領域に電気的に接続された給電部とを形成する工程と、を備え、
前記給電部の幅方向中央部における長さが、前記給電部の幅方向縁部における長さよりも長い、配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、配線基板および配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、スマートフォン、タブレット等の携帯端末機器の高機能、小型化、薄型化および軽量化が進んでいる。これら携帯端末機器は、複数の通信帯域を使用するため、通信帯域に応じた複数のアンテナが必要とされる。例えば、携帯端末機器には、電話用アンテナ、WiFi(Wireless Fidelity)用アンテナ、3G(Generation)用アンテナ、4G(Generation)用アンテナ、LTE(Long Term Evolution)用アンテナ、Bluetooth(登録商標)用アンテナ、NFC(Near Field Communication)用アンテナ等の複数のアンテナが搭載されている。しかしながら、携帯端末機器の小型化に伴い、アンテナの搭載スペースは限られており、アンテナ設計の自由度は狭まっている。また、限られたスペース内にアンテナを内蔵していることから、電波感度が必ずしも満足できるものではない。
【0003】
このため、携帯端末機器の表示領域に搭載することができるフィルムアンテナが開発されている。このフィルムアンテナは、透明基材上にアンテナパターンが形成された透明アンテナにおいて、アンテナパターンが、不透明な導電体層の形成部としての導体部と非形成部としての多数の開口部とによるメッシュ状の導電体メッシュ層によって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-66610号公報
【特許文献2】特許第5636735号明細書
【特許文献3】特許第5695947号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施形態は、導電性と透明性を向上した電波送受信機能を有する配線基板およびその製造方法を提供することを目的の一つとする。
【0006】
また、従来のフィルムアンテナにおいては、透明基材上に1つ又は複数のメッシュアンテナが搭載されるが、透明基材上にアンテナパターンが形成された領域と、アンテナパターンが形成されない領域との両方が存在する。この場合、アンテナパターンが形成されない領域が存在することにより、アンテナパターンが形成された領域が見え易くなってしまう。
【0007】
本実施形態は、アンテナパターン領域を視認しづらくすることが可能な、配線基板および配線基板の製造方法を提供することを目的の一つとする。
【0008】
また、従来のフィルムアンテナにおいては、透明基材上に1つ又は複数のメッシュアンテナが搭載される。このメッシュアンテナを用いて送受信を行っている間、メッシュアンテナの縁側にいくほど電流値が高くなり、中央側にいくほど電流値が低くなる傾向がある。このため、各メッシュアンテナにおける電流分布が均一にならず、アンテナ特性を十分に向上させることは難しい。
【0009】
本実施形態は、アンテナパターン領域における電流分布をより均一化し、アンテナ特性を向上させることが可能な、配線基板および配線基板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一実施形態による配線基板は、透明性を有する基板と、前記基板の上面に配置され、第1方向に延長し、前記基板と接する裏面と前記裏面の反対側を向く表面とを有する複数の第1の配線と、前記基板の上面に配置され、前記第1方向と交差する第2方向に延長し、前記基板と接する裏面と前記裏面の反対側を向く表面とを有する第2の配線と、を備え、前記第1の配線は、前記第1方向に延長し、前記第1の配線の裏面と隣接する一対の側面を有し、前記第1の配線の一対の側面は、それぞれ内側に向けて凹み、前記第2の配線は、前記第2方向に延長し、前記第2の配線の裏面と隣接する一対の側面を有し、前記第2の配線の一対の側面は、それぞれ内側に向けて凹んでいる。
【0011】
本開示の一実施形態による配線基板は、透明性を有する基板と、前記基板の上面に配置され、第1方向に延長し、前記基板と接する裏面と前記裏面の反対側を向く表面とを有する複数の第1の配線と、前記基板の上面に配置され、前記第1方向と交差する第2方向に延長し、前記基板と接する裏面と前記裏面の反対側を向く表面とを有する第2の配線と、を備え、前記第1の配線は、前記第1方向に延長し、前記第1の配線の裏面と隣接する一対の側面を有し、前記第2の配線は、前記第2方向に延長し、前記第2の配線の裏面と隣接する一対の側面を有し、前記第1の配線の1つの側面と前記第2の配線の1つの側面とは、湾曲面によって連続的に接続されている。
【0012】
本開示の一実施形態による配線基板は、透明性を有する基板と、前記基板の上面に配置され、第1方向に延長し、前記基板と接する裏面と前記裏面の反対側を向く表面とを有する複数の第1の配線と、前記基板の上面に配置され、前記第1方向と交差する第2方向に延長し、前記基板と接する裏面と前記裏面の反対側を向く表面とを有する第2の配線と、を備え、前記第2の配線の裏面の線幅は、前記第1の配線の裏面の線幅より小さい。
【0013】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第1の配線の裏面の線幅は、前記第1の配線の表面の線幅より大きく、前記第2の配線の裏面の線幅は、前記第2の配線の表面の線幅より大きくてもよい。
【0014】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第2の配線は、前記第2方向に延長し、前記第2の配線の裏面と隣接する一対の側面を有し、前記第2の配線の表面と各側面とのなす角は、前記第2の配線の裏面と各側面とのなす角の外角よりも小さくてもよい。
【0015】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第1の配線は、前記第1方向に延長し、前記第1の配線の裏面と隣接する一対の側面を有し、前記第1の配線の表面と各側面とのなす角は、前記第1の配線の裏面と各側面とのなす角の外角よりも小さくてもよい。
【0016】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第1の配線と前記第2の配線との交点は、前記基板の上面と、前記第1の配線の裏面と隣接する面と、前記第2の配線の裏面と隣接する面とが形成する角部のうち少なくとも1つにおいて、それらの間を連続する湾曲面を含んでもよい。
【0017】
本開示の一実施形態による配線基板において、電波送受信機能を有してもよい。
【0018】
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法は、基板の上面に導電層を形成し、第1方向に延長する第1のトレンチと、第2方向に延長する第2のトレンチと、を有する絶縁層を形成し、前記第1のトレンチに配置された第1の導電体と、前記第2のトレンチに配置された第2の導電体と、を形成し、前記絶縁層を除去し、前記基板の上面が露出するように前記導電層を除去し、前記第1の導電体と前記第2の導電体から、第1の配線と第2の配線とを形成すること、を含む。
【0019】
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法において、前記第1の配線は、前記第1方向に延長し、前記第1の配線の裏面と隣接する一対の側面を有し、前記第1の配線の一対の側面は、それぞれ内側に向けて凹み、前記第2の配線は、前記第2方向に延長し、前記第2の配線の裏面と隣接する一対の側面を有し、前記第2の配線の一対の側面は、それぞれ内側に向けて凹んでもよい。
【0020】
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法において、前記第1の配線は、前記第1方向に延長し、前記第1の配線の裏面と隣接する一対の側面を有し、前記第2の配線は、前記第2方向に延長し、前記第2の配線の裏面と隣接する一対の側面を有し、前記第1の配線の1つの側面と前記第2の配線の1つの側面とは、湾曲面によって連続的に接続されてもよい。
【0021】
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法において、前記第2の配線の裏面の線幅は、前記第1の配線の裏面の線幅より小さくてもよい。
【0022】
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法において、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとを有する絶縁層を形成することは、インプリント法を用いてもよい。
【0023】
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法において、前記第1の配線と、前記第2の配線と、を形成する方法は、前記導電層をスパッタリング法によって形成し、前記第1の配線と前記第2の配線を電解メッキ法によって形成し、前記基板の上面が露出するように、前記導電層はウェットエッチングによって除去してもよい。
【0024】
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法において、前記第1の配線と前記第2の配線との表面を黒化処理してもよい。
【0025】
本開示の実施形態によると、導電性と透明性を向上した配線基板およびその製造方法を提供することができる。
【0026】
本開示の一実施形態による配線基板は、配線基板であって、透明性を有する基板と、前記基板上に配置され、複数の配線を含む配線パターン領域と、前記配線パターン領域の周囲に配置され、前記配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミーパターン領域と、を備え、前記配線パターン領域および前記ダミーパターン領域は、それぞれ所定の単位パターン形状の繰り返しから構成され、前記ダミーパターン領域の単位パターン形状は、前記配線パターン領域の単位パターン形状の一部が欠落した形状であり、前記ダミーパターン領域内に、前記ダミー配線から離間した追加パターンが配置されている。
【0027】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記ダミー配線は、第1ダミー配線部分と第2ダミー配線部分とを有し、前記第1ダミー配線部分と前記第2ダミー配線部分とは、互いに平面方向に離間して配置されていても良い。
【0028】
本開示の一実施形態による配線基板は、配線基板であって、透明性を有する基板と、前記基板上に配置され、複数の配線を含む配線パターン領域と、前記配線パターン領域の周囲に配置され、前記配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミーパターン領域と、を備え、前記ダミー配線は、平面視略L字状である。
【0029】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記ダミーパターン領域内に、前記ダミー配線から離間した追加パターンが配置されていても良い。
【0030】
本開示の一実施形態による配線基板は、配線基板であって、透明性を有する基板と、前記基板上に配置され、複数の配線を含む配線パターン領域と、前記配線パターン領域の周囲に配置され、前記配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミーパターン領域と、を備え、前記ダミー配線は、第1ダミー配線部分と第2ダミー配線部分とを有し、前記第1ダミー配線部分と前記第2ダミー配線部分とは、前記配線に対して斜めに配置されている。
【0031】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記ダミーパターン領域の開口率は、前記配線パターン領域の開口率より大きくても良い。
【0032】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記ダミーパターン領域の開口率は、87%以上100%未満の範囲であっても良い。
【0033】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記ダミーパターン領域の開口率と、前記配線パターン領域の開口率との差が1%以下であっても良い。
【0034】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記配線パターン領域は、前記複数の配線を連結する複数の連結配線を含んでも良い。
【0035】
本開示の一実施形態による配線基板において、電波送受信機能を有してもよい。
【0036】
本開示の実施形態によると、配線パターン領域を視認しづらくすることができる。
【0037】
本開示の一実施形態による配線基板は、配線基板であって、透明性を有する基板と、前記基板上に配置され、アンテナとしての機能をもつ複数のアンテナ配線を含むアンテナパターン領域と、を備え、前記アンテナパターン領域の幅方向中央部の開口率が、前記アンテナパターン領域の幅方向縁部の開口率よりも高い。
【0038】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記アンテナパターン領域の幅方向中央部における前記複数のアンテナ配線のピッチが、前記アンテナパターン領域の幅方向縁部における前記複数のアンテナ配線のピッチよりも広くても良い。
【0039】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記アンテナパターン領域の幅方向中央部に、前記アンテナ配線が設けられない空隙部が形成されていても良い。
【0040】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記空隙部に、前記アンテナ配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミーパターン領域が形成されていても良い。
【0041】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記アンテナパターン領域は、前記空隙部を介して分離された第1パターン領域および第2パターン領域を有し、前記第1パターン領域および第2パターン領域は、前記アンテナパターン領域の幅方向両縁部にそれぞれ配置され、前記第1パターン領域および第2パターン領域は、中央パターン領域によって互いに電気的に接続されていても良い。
【0042】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記中央パターン領域と、前記第1パターン領域および第2パターン領域との間に、それぞれ前記アンテナパターン領域の幅方向に対して斜めに形成された傾斜部を有する接続パターン領域が設けられていても良い。
【0043】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記アンテナパターン領域には、給電部が電気的に接続され、前記給電部の前記幅方向中央部における長さが、前記給電部の前記幅方向縁部における長さよりも長くても良い。
【0044】
本開示の一実施形態による配線基板は、配線基板であって、透明性を有する基板と、前記基板上に配置され、アンテナとしての機能をもつ複数のアンテナ配線を含むアンテナパターン領域と、前記アンテナパターン領域に電気的に接続された給電部と、を備え、前記給電部の幅方向中央部における長さが、前記給電部の幅方向縁部における長さよりも長い。
【0045】
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法は、配線基板の製造方法であって、透明性を有する基板を準備する工程と、前記基板上に、アンテナとしての機能をもつ複数のアンテナ配線を含むアンテナパターン領域を形成する工程と、を備え、前記アンテナパターン領域の幅方向中央部の開口率が、前記アンテナパターン領域の幅方向縁部の開口率よりも高い。
【0046】
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法は、配線基板の製造方法であって、透明性を有する基板を準備する工程と、前記基板上に、アンテナとしての機能をもつ複数のアンテナ配線を含むアンテナパターン領域と、前記アンテナパターン領域に電気的に接続された給電部とを形成する工程と、を備え、前記給電部の幅方向中央部における長さが、前記給電部の幅方向縁部における長さよりも長い。
【0047】
本開示の実施形態によると、アンテナパターン領域における電流分布をより均一化し、アンテナ特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の一例を示す上面図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図である。
【
図3】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の第1変形例を示す断面図である。
【
図4】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の第2変形例を示す断面図である。
【
図5】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の第3変形例を示す断面図である。
【
図6】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の第4変形例を示す断面図である。
【
図7】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の第5変形例を示す上面図である。
【
図8】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の第5変形例を示す断面図である。
【
図9】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の第6変形例を示す上面図である。
【
図10】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の第6変形例を示す断面図である。
【
図11】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図である。
【
図12】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図である。
【
図13】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の製造方法の変形例を示す断面図である。
【
図14】本開示の第1の実施形態に係る無線通信モジュールを示す上面図である。
【
図15】本開示の第1の実施形態に係る無線通信モジュールの変形例を示す上面図である。
【
図16】本開示の第1の実施形態に係る配線基板断面の電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図17】本開示の第1の実施形態に係る配線基板断面の電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図18】
図18は、第2の実施形態による配線基板を示す平面図。
【
図19】
図19は、第2の実施形態による配線基板を示す拡大平面図(
図18のXIX部拡大図)。
【
図20】
図20は、第2の実施形態による配線基板を示す断面図(
図19のXX-XX線断面図)。
【
図21】
図21は、第2の実施形態による配線基板を示す断面図(
図19のXXI-XXI線断面図)。
【
図22】
図22は、第2の実施形態による配線基板を示す断面図(
図19のXXII-XXII線断面図)。
【
図23】
図23(a)-(h)は、第2の実施形態による配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図24】
図24は、第2の実施形態による画像表示装置を示す平面図。
【
図25】
図25は、第2の実施形態に係る配線基板の変形例を示す拡大平面図(
図19に対応する図)。
【
図26】
図26は、第2の実施形態に係る配線基板の変形例を示す拡大平面図(
図19に対応する図)。
【
図27】
図27は、第2の実施形態に係る配線基板の変形例を示す拡大平面図(
図19に対応する図)。
【
図28】
図28は、第2の実施形態に係る配線基板の変形例を示す拡大平面図(
図19に対応する図)。
【
図29】
図29は、第2の実施形態に係る配線基板の変形例を示す拡大平面図。
【
図30】
図30は、第2の実施形態に係る配線基板の変形例を示す拡大平面図。
【
図31】
図31は、第2の実施形態に係る配線基板の変形例を示す拡大平面図。
【
図32】
図32は、第2の実施形態に係る配線基板の変形例を示す拡大平面図。
【
図33】
図33は、第2の実施形態に係る配線基板の変形例を示す拡大平面図。
【
図34】
図34は、第2の実施形態に係る配線基板の変形例を示す拡大平面図。
【
図35】
図35は、第2の実施形態に係る配線基板の変形例を示す拡大平面図。
【
図36】
図36は、第2の実施形態に係る配線基板の変形例を示す拡大平面図。
【
図37】
図37は、第2の実施形態に係る配線基板の変形例を示す拡大平面図。
【
図38】
図38は、第3の実施形態による配線基板を示す平面図。
【
図39】
図39は、第3の実施形態による配線基板を示す拡大平面図(
図38のXXXIX部拡大図)。
【
図40】
図40(a)(b)は、第3の実施形態による配線基板を示す拡大平面図(それぞれ
図39のXLA部およびXLB部拡大図)。
【
図41】
図41は、第3の実施形態による配線基板を示す断面図(
図40のXLI-XLI線断面図)。
【
図42】
図42は、第3の実施形態による配線基板を示す断面図(
図40のXLII-XLII線断面図)。
【
図43】
図43(a)-(h)は、第3の実施形態による配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図44】
図44は、第3の実施形態による画像表示装置を示す平面図。
【
図45】
図45は、第3の実施形態の変形例1による配線基板を示す拡大平面図(
図39に対応する図)。
【
図46】
図46は、第3の実施形態の変形例2による配線基板を示す拡大平面図(
図39に対応する図)。
【
図47】
図47は、第3の実施形態の変形例3による配線基板を示す拡大平面図(
図39に対応する図)。
【
図48】
図48は、第3の実施形態の変形例4による配線基板を示す拡大平面図(
図39に対応する図)。
【
図49】
図49は、第3の実施形態の変形例5による配線基板を示す拡大平面図(
図39に対応する図)。
【
図50】
図50は、第3の実施形態の変形例6による配線基板を示す拡大平面図(
図39に対応する図)。
【
図51】
図51は、第3の実施形態において、均一なメッシュ状のアンテナパターンおよび均一なプレート状のアンテナパターンに流れる電流値を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
【0050】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、第1の実施形態に係る配線基板及びその製造方法について説明する。但し、本実施形態に係る配線基板及びその製造方法は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明するが、上下方向が逆転してもよい。また、本実施形態において、配線の「表面」とは、配線から見て基板が設けられた側の面と反対側の面をいう。配線の「裏面」とは、配線から見て基板が設けられた側の面をいう。配線の「側面」とは、「表面」と「裏面」の間に位置する面であって、配線の長手方向に対して側方を向く面をいう。
【0051】
図1または
図2を用いて、本実施形態に係る配線基板10の構成について説明する。
【0052】
[配線基板の構成]
図1は、本実施形態に係る配線基板の一例を示す上面図である。
図2は、本実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図である。
図2(A)は、
図1の鎖線A-A’における拡大断面図である。
図2(B)は、
図1の鎖線B-B’における拡大断面図である。
図1に示すように、配線基板10は、基板100と、第1の配線200と、第2の配線300とを備える。第1の配線200と、第2の配線300とは、基板100の上面に配置される。本実施形態において、第1の配線200は2本、第2の配線300は1本配置したがこれに限定されない。第1の配線200は2本以上、第2の配線300は1本以上配置されればよい。
【0053】
図1に示すように、第1の配線200の平面形状は、基板100の第1側102から、第1側102とは反対側の第2側104(第1の配線200の長手方向、第1方向、D2逆方向)に向かって複数のラインがそれぞれ独立に延長するラインアンドスペース形状を例示した。第2の配線300の平面形状は、第1の配線200が延長する方向と直交する方向(第2の配線300の長手方向、第2方向、D3方向)に向かって1本のラインが延長する形状を例示した。すなわち、第2の配線300は、2本の第1の配線200と直交する。また、第1の配線200は第2の配線300より長い。配線基板10が電波送受信機能を有する場合、第1の配線200は、アンテナとしての機能をもち、第2の配線300は、複数の第1の配線200を連結する機能をもつ。各第1の配線200は、アンテナの周波数帯に対応する方向(D2方向)に延びており、第2の配線300は、第1の配線200に直交する方向(D3方向)に延びている。しかしながらこの形状に限定されず、第1の配線200および第2の配線300の平面形状は、複数のラインがそれぞれ交差又は連結すればよい。例えば、第1の配線200の方向と第2の配線300の方向は鋭角に交差してもよく、鈍角に交差してもよい。第1の配線200および第2の配線300が複数配置される場合、それらの平面形状は、この繰り返し形状となる。すなわち、第1方向に延長する第1の配線200および第2方向に延長する第2の配線300によって規則的な格子または網目形状が形成される。しかしながらこれに限定されず、この繰り返し形状は基板100上で均一でなくてもよい。また、
図1では、基板100が方形であるが、この形に限定されない。
【0054】
図2(A)に示すように、第1の配線200は、基板100と接する裏面(第1面)201と、裏面201の反対側を向く表面(第2面)202とを有する。
図2(B)に示すように、第2の配線300は、基板100と接する裏面(第3面)303と、裏面303の反対側を向く表面(第4面)304とを有する。
図1、
図2(A)および
図2(B)に示すように、第2の配線300の表面304の線幅は、第1の配線200の表面202の線幅より小さい。また、第2の配線300の裏面303の線幅は、第1の配線200の裏面201の線幅より小さい。ここで線幅とは、それぞれの配線が延長する方向と垂直に交わる断面において、基板100の上面と平行な幅を意味する。すなわち、本実施形態において第1の配線200の表面202及び裏面201の線幅は、それぞれ表面202及び裏面201のD3方向における長さを示し、第2の配線300の表面304及び裏面303の線幅は、それぞれ表面304及び裏面303のD2方向における長さを示す。第2の配線300の表面304及び裏面303の線幅を、それぞれ第1の配線200の表面202及び裏面201の線幅より小さく配置することで、電波送受信機能を有する第1の配線200の信頼性を保持しつつ、第1の配線200の断線などに対応する予備の第2の配線300の視認性を抑制することができる。このため配線基板10の導電性と透明性を向上することができる。なお、上記に限らず、第2の配線300の表面304の線幅が、第1の配線200の表面202の線幅と同一であっても良い。また、第2の配線300の裏面303の線幅が、第1の配線200の裏面201の線幅と同一であっても良い。
【0055】
図2(A)に示すように、第1の配線200の裏面201の線幅は第1の配線200の表面202の線幅より大きい。
図2(B)に示すように、第2の配線300の裏面303の線幅は第2の配線300の表面304の線幅より大きい。第1の配線200および第2の配線300において、基板100と接する面の線幅を基板100と接する面の反対側を向く面の線幅より大きく配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200および第2の配線300の視認性を抑制しつつ、基板100と第1の配線200および第2の配線300との密着性を向上することができる。さらに第1の配線200および第2の配線300の、それぞれの配線が延長する方向と垂直に交わる断面の面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10の透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0056】
図2(A)に示すように、第1の配線200は、第1の配線200の方向に延長し、裏面201と隣接する一対の側面(第9面、第10面)209、210とを有する。第1の配線200において、裏面201と一方の側面209がなす角度と、裏面201と他方の側面210がなす角度はそれぞれ鋭角である。第1の配線200において、裏面201と一方の側面209がなす角度と、裏面201と他方の側面210がなす角度は同じである。すなわち、第1の配線200が延長する方向と垂直に交わる断面において、第1の配線200は、その延長方向(D2方向)を中心として線対称である。
【0057】
図2(B)に示すように、第2の配線300は、第2の配線300の方向に延長し、裏面303と隣接する一対の側面(第5面、第6面)305、306とを有する。第2の配線300において、裏面303と一方の側面305がなす角度と、裏面303と他方の側面306がなす角度はそれぞれ鋭角である。第2の配線300において、裏面303と一方の側面305がなす角度と、裏面303と他方の側面306がなす角度は同じである。すなわち、第2の配線300が延長する方向と垂直に交わる断面において、第2の配線300は、その延長方向(D3方向)を中心として線対称である。
【0058】
第1の配線200の材料と、第2の配線300の材料とは、導電性を有する金属材料であればよい。本実施形態において第1の配線200の材料と、第2の配線300の材料とは銅であるが、これに限定されない。第1の配線200の材料と、第2の配線300の材料とは、例えば、金、銀、銅、白金、錫、アルミニウム、鉄、ニッケルなどの金属材料(含む合金)を用いることができる。
【0059】
本実施形態において、第1の配線200の線幅(裏面201、および表面202の線幅)は、上記条件を満たす限り特に限定されず、用途に応じて適宜選択できる。例えば、第1の配線200の線幅は0.1μm以上5.0μm以下の範囲で選択することができる。第2の配線300の線幅(裏面303、および表面304の線幅)は、上記条件を満たす限り特に限定されず、用途に応じて適宜選択できる。例えば、第2の配線300の線幅は0.1μm以上5.0μm以下の範囲で選択することができる。第1の配線200および第2の配線300の高さは特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができ、例えば0.1μm以上5.0μm以下の範囲で選択することができる。
【0060】
図には示さなかったが、第1の配線200と第2の配線300は、基板100と接する面以外の表面を黒化処理することが好ましい。特に、第1の配線200と第2の配線300のそれぞれについて、基板100と接する面の反対側を向く面は黒化処理することが好ましい。本実施形態において、第1の配線200の表面202、および第2の配線300の表面304は、それぞれの配線材料の酸化物皮膜である酸化銅を含む。しかしながらこれに限定されず、第1の配線200の側面209、側面210、および第2の配線300の側面305、側面306もさらに黒化処理することがより好ましい。また、黒化処理の方法としては、金属配線の酸化、硫化、あるいは黒化ニッケルめっき法など公知の黒化処理の方法にて形成することができる。黒色樹脂被膜などを形成することで黒化処理してもよい。第1の配線200と第2の配線300の表面を黒化処理することで、第1の配線200と第2の配線300の光反射を抑制することができ、配線基板10の外光吸収、コントラスト向上を図ることができる。
【0061】
図には示さなかったが、基板100と第1の配線200との間、および基板100と第2の配線300との間に、さらに密着層を配置してもよい。密着層の材料としては、例えば、インジウム-亜鉛酸化物(IZO:Indium-Zinc-Oxide)等を用いることができる。基板100と第1の配線200との間、および基板100と第2の配線300との間に、密着層を配置することで、基板100と第1の配線200、および基板100と第2の配線300との密着性をさらに向上することができる。
【0062】
基板100の材料は、可視光線領域での透明性および電気絶縁性を有する材料であればよい。本実施形態において基板100の材料はポリエチレンテレフタレートであるが、これに限定されない。基板100の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、或いは、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂材料等の有機絶縁性材料を用いることが好ましい。また、基板100の材料としては、用途に応じてガラス、セラミックス等を適宜選択することもできる。なお、基板100は、単一の層によって構成された例を図示したが、これに限定されず、複数の基材又は層が積層された構造であってもよい。また、基板100はフィルム状であっても、板状であってもよい。このため、基板100の厚さは特に制限はなく、用途に応じて適宜選択できる。
【0063】
以上のように、本実施形態に係る配線基板10は、基板100に第2の配線300の裏面303及び表面304の線幅を、それぞれ第1の配線200の裏面201及び表面202の線幅より小さく配置することで、電波送受信機能を有する第1の配線200の信頼性を保持しつつ、D1方向に平面視したときの第2の配線300の視認性を抑制することができる。第1の配線200および第2の配線300において、基板100と接する面の線幅を、基板100と接する面の反対側を向く面より大きく配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200および第2の配線300の視認性を抑制しつつ、基板100と第1の配線200および第2の配線300との密着性を向上することができる。さらに第1の配線200および第2の配線300の、それぞれの配線が延長する方向と垂直に交わる断面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10の透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0064】
本実施形態に係る配線基板10は、無線通信用回路と接続することで、無線通信モジュールとして表示装置に搭載することができる。配線基板10は、基板100を表示装置の表示領域に対向するよう、表示領域の上面に配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200および第2の配線300の視認性を抑制することができる。このため、透明性、信頼性、導電性を向上した電波送受信機能を有する配線基板を備える表示装置を提供することができる。
【0065】
配線基板10が電波送受信機能を有する場合、配線基板10は、電話用アンテナ、WiFi用アンテナ、3G用アンテナ、4G用アンテナ、LTE用アンテナ、Bluetooth(登録商標)用アンテナ、NFC用アンテナ等のいずれかの機能を有していても良い。あるいは、配線基板10は電波送受信機能を有していなくても良く、この場合、配線基板10は、例えばホバリング(使用者がディスプレイに直接触れなくても操作可能となる機能)、指紋認証、ヒーター、ノイズカット(シールド)等の機能を果たしても良い。
【0066】
次に、本実施形態による配線基板の各種変形例について説明する。
【0067】
<第1変形例>
図1及び
図2に示す形態において、第2の配線300が延長する方向と垂直に交わる断面において、第2の配線300はその長手方向(D3方向)を中心として線対称である。一方、本変形例において、第2の配線300aが延長する方向と垂直に交わる断面において、第2の配線300aはその長手方向(D3方向)を中心として非対称である。
【0068】
図3を用いて、本変形例に係る配線基板10aの構成について説明する。ここで、本変形例に係る配線基板10aの構成は、第2の配線300の断面形状以外、
図1及び
図2に示す配線基板10の構成と同様である。このため、
図1及び
図2に示す形態と同様である部分は、その詳しい説明を省略する。
【0069】
[配線基板の構成]
図3は、本変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。
図1に示す形態と同様に、本変形例に係る配線基板10aは、基板100aと、第1の配線200aと、第2の配線300aとを備える。
図3(A)は、
図1の鎖線A-A’における拡大断面図である。
図3(B)は、
図1の鎖線B-B’における拡大断面図である。
【0070】
図3(A)に示すように、第1の配線200aは、基板100aと接する裏面(第1面)201aと、裏面201aの反対側を向く表面(第2面)202aとを有する。
図3(B)に示すように、第2の配線300aは、基板100aと接する裏面(第3面)303aと、裏面303aの反対側を向く表面(第4面)304aとを有する。
図3(A)および
図3(B)に示すように、第2の配線300aの表面304aの線幅は、第1の配線200aの表面202aの線幅より小さい。また、第2の配線300aの裏面303aの線幅は、第1の配線200aの裏面201aの線幅より小さい。第2の配線300aの表面304a及び裏面303aの線幅を、それぞれ第1の配線200aの表面202a及び裏面201aの線幅より小さく配置することで、電波送受信機能を有する第1の配線200aの信頼性を保持しつつ、第1の配線200aの断線などに対応する予備の第2の配線300aの視認性を抑制することができる。このため配線基板10aの導電性と透明性を向上することができる。
【0071】
図3(A)に示すように、第1の配線200aの裏面201aの線幅は第1の配線200aの表面202aの線幅より大きい。
図3(B)に示すように、第2の配線300aの裏面303aの線幅は第2の配線300aの表面304aの線幅より大きい。第1の配線200aおよび第2の配線300aにおいて、基板100aと接する面の線幅を基板100aと接する面の反対側を向く面の線幅より大きく配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200aおよび第2の配線300aの視認性を抑制しつつ、基板100aと第1の配線200aおよび第2の配線300aとの密着性を向上することができる。さらに第1の配線200aおよび第2の配線300aの、それぞれの配線が延長する方向と垂直に交わる断面の面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10aの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0072】
図3(A)に示すように、第1の配線200aは、第1の配線200aの方向に延長し、裏面201aと隣接する一対の側面(第9面、第10面)209a、210aとを有する。第1の配線200aにおいて、裏面201aと一方の側面209aがなす角度と、裏面201aと他方の側面210aがなす角度はそれぞれ鋭角である。第1の配線200aにおいて、裏面201aと一対の側面209aがなす角度と、裏面201aと他方の側面210aがなす角度は同じである。すなわち、第1の配線200aが延長する方向と垂直に交わる断面において、第1の配線200aは、その延長方向(D2方向)を中心として線対称である。
【0073】
図3(B)に示すように、第2の配線300aは、第2の配線300aの方向に延長し、裏面303aと隣接する一対の側面(第5面、第6面)305a、306aとを有する。第2の配線300aにおいて、裏面303aと一方の側面305aがなす角度と、裏面303aと他方の側面306aがなす角度はそれぞれ鋭角である。第2の配線300aにおいて、裏面303aと他方の側面306aがなす角度は、裏面303aと一方の側面305aがなす角度より小さい。すなわち、第2の配線300aが延長する方向と垂直に交わる断面において、第2の配線300aは、その延長方向(D3方向)を中心として非対称である。第2の配線300aにおいて、裏面303aと他方の側面306aがなす角度を、裏面303aと一方の側面305aがなす角度より小さく配置することで、裏面303aの線幅が大きくなり、D1方向に平面視したときの第2の配線300aの一方の側面305aの視認性を抑制しつつ、基板100aと第2の配線300aとの密着性を向上することができる。さらに第2の配線300aの配線が延長する方向と垂直に交わる断面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10aの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0074】
以上のように、本変形例に係る配線基板10aは、基板100aに第2の配線300aの裏面303a及び表面304aの線幅を、それぞれ第1の配線200aの裏面201a及び表面202aの線幅より小さく配置することで、電波送受信機能を有する第1の配線200aの信頼性を保持しつつ、D1方向に平面視したときの第2の配線300aの視認性を抑制することができる。第1の配線200aおよび第2の配線300aにおいて、基板100aと接する面の線幅を、基板100aと接する面の反対側を向く面より大きく配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200aおよび第2の配線300aの視認性を抑制しつつ、基板100aと第1の配線200aおよび第2の配線300aとの密着性を向上することができる。第2の配線300aにおいて、裏面303aと他方の側面306aがなす角度を、裏面303aと一方の側面305aがなす角度より小さく配置することで、D1方向に平面視したときの第2の配線300aの一方の側面305aの視認性を抑制しつつ、基板100aと第2の配線300aとの密着性を向上することができる。さらに第1の配線200aおよび第2の配線300aの、それぞれの配線が延長する方向と垂直に交わる断面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10aの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0075】
本変形例に係る配線基板10aは、無線通信用回路と接続することで、無線通信モジュールとして表示装置に搭載することができる。配線基板10aは、基板100aを表示装置の表示領域に対向するよう、表示領域の上面に配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200aおよび第2の配線300aの視認性を抑制することができる。配線基板10aは、第1の配線200aの方向が表示領域の縦方向に、第2の配線300aの一方の側面305aが表示領域の上方向(光の入射方向)になるよう配置することで、第2の配線300aの他方の側面306aによる光の反射を抑制することができる。このため、透明性、信頼性、導電性を向上した電波送受信機能を有する配線基板を備える表示装置を提供することができる。
【0076】
<第2変形例>
図1及び
図2に示す形態において、第2の配線300が延長する方向と垂直に交わる断面において、第2の配線300はその長手方向(D3方向)に対称である。一方、本変形例において、第2の配線300bが延長する方向と垂直に交わる断面において、第2の配線300bはその長手方向(D3方向)を中心として非対称である。
【0077】
図4を用いて、本変形例に係る配線基板10bの構成について説明する。ここで、本変形例に係る配線基板10bの構成は、第2の配線300の断面形状以外、
図1及び
図2に示す配線基板10の構成と同様である。このため、
図1及び
図2に示す形態と同様である部分は、その詳しい説明を省略する。
【0078】
[配線基板の構成]
図4は、本変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。
図1に示す形態と同様に、本変形例に係る配線基板10bは、基板100bと、第1の配線200bと、第2の配線300bとを備える。
図4(A)は、
図1の鎖線A-A’における拡大断面図である。
図4(B)は、
図1の鎖線B-B’における拡大断面図である。
【0079】
図4(A)に示すように、第1の配線200bは、基板100bと接する裏面(第1面)201bと、裏面201bの反対側を向く表面(第2面)202bとを有する。
図4(B)に示すように、第2の配線300bは、基板100bと接する裏面(第3面)303bと、裏面303bの反対側を向く表面(第4面)304bとを有する。
図4(A)および
図4(B)に示すように、第2の配線300bの表面304bの線幅は、第1の配線200bの表面202bの線幅より小さい。また、第2の配線300bの裏面303bの線幅は、第1の配線200bの裏面201bの線幅より小さい。第2の配線300bの表面304b及び裏面303bの線幅を、それぞれ第1の配線200bの表面202b及び裏面201bの線幅より小さく配置することで、電波送受信機能を有する第1の配線200bの信頼性を保持しつつ、第1の配線200bの断線などに対応する予備の第2の配線300bの視認性を抑制することができる。このため配線基板10bの導電性と透明性を向上することができる。
【0080】
図4(A)に示すように、第1の配線200bの裏面201bの線幅は第1の配線200bの表面202bの線幅より大きい。
図4(B)に示すように、第2の配線300bの裏面303bの線幅は第2の配線300bの表面304bの線幅より大きい。第1の配線200bおよび第2の配線300bにおいて、基板100bと接する面の線幅を基板100bと接する面の反対側を向く面の線幅より大きく配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200bおよび第2の配線300bの視認性を抑制しつつ、基板100bと第1の配線200bおよび第2の配線300bとの密着性を向上することができる。さらに第1の配線200bおよび第2の配線300bの、それぞれの配線が延長する方向と垂直に交わる断面の面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10bの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0081】
図4(A)に示すように、第1の配線200bは、第1の配線200bの方向に延長し、裏面201bと隣接する一対の側面(第9面、第10面)209b、210bとを有する。第1の配線200bにおいて、裏面201bと一方の側面209bがなす角度と、裏面201bと他方の側面210bがなす角度はそれぞれ鋭角である。第1の配線200bにおいて、裏面201bと一方の側面209bがなす角度と、裏面201bと他方の側面210bがなす角度は同じである。すなわち、第1の配線200bが延長する方向と垂直に交わる断面において、第1の配線200bは、その延長方向(D2方向)を中心として線対称である。
【0082】
図4(B)に示すように、第2の配線300bは、第2の配線300bの方向に延長し、裏面303bと隣接する一対の側面(第5面、第6面)305b、306bとを有する。第2の配線300bにおいて、裏面303bと一方の側面305bがなす角度と、裏面303bと他方の側面306bがなす角度はそれぞれ鋭角である。第2の配線300bにおいて、裏面303bと他方の側面306bがなす角度は、裏面303bと一方の側面305bがなす角度より小さい。本変形例に係る第2の配線300bの一方の側面305bは、内側(D2方向マイナス側)に向けて凹んでいる。一方の側面305bは、表面304bと隣接する上側側面(第7面)307bを含む。
図4(B)において、表面304bと上側側面307bがなす角度は約90°である。しかしながらこれに限定されず、表面304bと上側側面307bがなす角度は、裏面303bと一方の側面305bとがなす角度の外角(裏面303bと一方の側面305bとがなす角度を180°から減じた角度)より小さければよい。表面304bと上側側面307bがなす角度は、60°以上90°以下の範囲であることが好ましい。すなわち、第2の配線300bにおいて一方の側面305bには、裏面303bと一方の側面305bとがなす角度の外角より小さい角度で表面304bと接続する形状(上側側面307b)が含まれている。しかしながらこれに限定されず、一方の側面305bにはさらに異なる面が含まれてもよく、一方の側面305bを構成する各面は角部(交線)を形成してもよく、曲面で連続的に接続されていてもよい。第2の配線300bが延長する方向と垂直に交わる断面において、第2の配線300bは、その延長方向(D3方向)を中心として非対称である。第2の配線300bにおいて、裏面303bと他方の側面306bがなす角度を、裏面303bと一方の側面305bがなす角度より小さく配置することで、裏面303bの線幅が大きくなり、D1方向に平面視したときの第2の配線300bの一方の側面305bの視認性を抑制しつつ、基板100bと第2の配線300bとの密着性を向上することができる。第2の配線300bにおいて、表面304bと上側側面307bとがなす角度が裏面303bと一方の側面305bとがなす角度の外角より小さいことで、D1方向に平面視したときの第2の配線300bの上側側面307bの視認性を抑制することができる。さらに第2の配線300bの配線が延長する方向と垂直に交わる断面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10bの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0083】
以上のように、本変形例に係る配線基板10bは、基板100bに第2の配線300bの裏面303b及び表面304bの線幅を、それぞれ第1の配線200bの裏面201b及び表面202bの線幅より小さく配置することで、電波送受信機能を有する第1の配線200bの信頼性を保持しつつ、D1方向に平面視したときの第2の配線300bの視認性を抑制することができる。第1の配線200bおよび第2の配線300bにおいて、基板100bと接する面の線幅を、基板100bと接する面の反対側を向く面より大きく配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200bおよび第2の配線300bの視認性を抑制しつつ、基板100bと第1の配線200bおよび第2の配線300bとの密着性を向上することができる。第2の配線300bにおいて、裏面303bと他方の側面306bがなす角度を、裏面303bと一方の側面305bがなす角度より小さく配置することで、D1方向に平面視したときの第2の配線300bの一方の側面305bの視認性を抑制しつつ、基板100bと第2の配線300bとの密着性を向上することができる。第2の配線300bにおいて、表面304bと上側側面307bとがなす角度が裏面303bと一方の側面305bとがなす角度の外角より小さいことで、D1方向に平面視したときの第2の配線300bの上側側面307bの視認性を抑制することができる。さらに第1の配線200bおよび第2の配線300bの、それぞれの配線が延長する方向と垂直に交わる断面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10bの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0084】
本変形例に係る配線基板10bは、無線通信用回路と接続することで、無線通信モジュールとして表示装置に搭載することができる。配線基板10bは、基板100bを表示装置の表示領域に対向するよう、表示領域の上面に配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200bおよび第2の配線300bの視認性を抑制することができる。配線基板10bは、第1の配線200bの方向が表示領域の縦方向に、第2の配線300bの上側側面307bが表示領域の上方向(光の入射方向)になるよう配置することで、第2の配線300bの他方の側面306bによる光の反射を抑制することができる。このため、透明性、信頼性、導電性を向上した電波送受信機能を有する配線基板を備える表示装置を提供することができる。
【0085】
<第3変形例>
図1及び
図2に示す形態において、第2の配線300が延長する方向と垂直に交わる断面において、第2の配線300はその長手方向(D3方向)に対称である。一方、本変形例において、第2の配線300cが延長する方向と垂直に交わる断面において、第2の配線300cはその長手方向(D3方向)を中心として非対称である。
【0086】
図5を用いて、本変形例に係る配線基板10cの構成について説明する。ここで、本変形例に係る配線基板10cの構成は、第1の配線200および第2の配線300の断面形状以外、
図1及び
図2に示す配線基板10の構成と同様である。このため、
図1及び
図2に示す形態と同様である部分は、その詳しい説明を省略する。
【0087】
[配線基板の構成]
図5は、本変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。
図1に示す形態と同様に、本変形例に係る配線基板10cは、基板100cと、第1の配線200cと、第2の配線300cとを備える。
図5(A)は、
図1の鎖線A-A’における拡大断面図である。
図5(B)は、
図1の鎖線B-B’における拡大断面図である。
【0088】
図5(A)に示すように、第1の配線200cは、基板100cと接する裏面(第1面)201cと、裏面201cの反対側を向く表面(第2面)202cとを有する。
図5(B)に示すように、第2の配線300cは、基板100cと接する裏面(第3面)303cと、裏面303cの反対側を向く表面(第4面)304cとを有する。
図5(A)および
図5(B)に示すように、第2の配線300cの表面304cの線幅は、第1の配線200cの表面202cの線幅より小さい。また、第2の配線300cの裏面303cの線幅は、第1の配線200cの裏面201cの線幅より小さい。第2の配線300cの表面304c及び裏面303cの線幅を、それぞれ第1の配線200cの表面202c及び裏面201cの線幅より小さく配置することで、電波送受信機能を有する第1の配線200cの信頼性を保持しつつ、第1の配線200cの断線などに対応する予備の第2の配線300cの視認性を抑制することができる。このため配線基板10cの導電性と透明性を向上することができる。
【0089】
図5(A)に示すように、第1の配線200cの裏面201cの線幅は第1の配線200cの表面202cの線幅より大きい。
図5(B)に示すように、第2の配線300cの裏面303cの線幅は第2の配線300cの表面304cの線幅より大きい。第1の配線200cおよび第2の配線300cにおいて、基板100cと接する面の線幅を基板100cと接する面の反対側を向く面の線幅より大きく配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200cおよび第2の配線300cの視認性を抑制しつつ、基板100cと第1の配線200cおよび第2の配線300cとの密着性を向上することができる。さらに第1の配線200cおよび第2の配線300cの、それぞれの配線が延長する方向と垂直に交わる断面の面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10cの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0090】
図5(A)に示すように、第1の配線200cは、第1の配線200cの方向に延長し、裏面201cと隣接する一対の側面(第9面、第10面)209c、210cとを有する。第1の配線200cにおいて、裏面201cと一方の側面209cがなす角度と、裏面201cと他方の側面210cがなす角度はそれぞれ鋭角である。第1の配線200cにおいて、裏面201cと一方の側面209cがなす角度と、裏面201cと他方の側面210cがなす角度は同じである。本変形例に係る第1の配線200cの一方の側面209cは、内側(D3方向プラス側)に向けて凹んでいる。一方の側面209cは、表面202cと隣接する上側側面(第11面)211cを含む。第1の配線200cの他方の側面210cは、内側(D3方向マイナス側)に向けて凹んでいる。他方の側面210cは、表面202cと隣接する上側側面(第12面)212cを含む。
図5(A)において、表面202cと上側側面211cがなす角度、および表面202cと上側側面212cがなす角度は約90°である。しかしながらこれに限定されず、表面202cと上側側面211cがなす角度は、裏面201cと一方の側面209cとがなす角度の外角より小さければよい。表面202cと上側側面211cがなす角度は、60°以上90°以下の範囲であることが好ましい。表面202cと上側側面212cがなす角度は、裏面201cと他方の側面210cとがなす角度の外角より小さければよい。表面202cと上側側面212cがなす角度は、60°以上90°以下の範囲であることが好ましい。すなわち、第1の配線200cにおいて一方の側面209cには、裏面201cと一方の側面209cとがなす角度の外角より小さい角度で表面202cと接続する形状(上側側面211c)が含まれている。第1の配線200cにおいて他方の側面210cには、裏面201cと他方の側面210cとがなす角度の外角より小さい角度で表面202cと接続する形状(上側側面212c)が含まれている。しかしながらこれに限定されず、一方の側面209cおよび他方の側面210cにはさらに異なる面が含まれてもよく、一方の側面209cおよび他方の側面210cを構成する各面は角部(交線)を形成してもよく、曲面で連続的に接続されていてもよい。すなわち、第1の配線200cが延長する方向と垂直に交わる断面において、第1の配線200cは、その延長方向(D2方向)を中心として線対称である。第1の配線200cにおいて、表面202cと上側側面211cとがなす角度が裏面201cと一方の側面209cとがなす角度の外角より小さく、表面202cと上側側面212cとがなす角度が裏面201cと他方の側面210cとがなす角度の外角より小さいことで、D1方向に平面視したときの第1の配線200cの上側側面211cおよび上側側面212cの視認性を抑制することができる。さらに第1の配線200cの配線が延長する方向と垂直に交わる断面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10cの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0091】
図5(B)に示すように、第2の配線300cは、第2の配線300cの方向に延長し、裏面303cと隣接する一対の側面(第5面、第6面)305c、306cとを有する。第2の配線300cにおいて、裏面303cと一方の側面305cがなす角度と、裏面303cと他方の側面306cがなす角度はそれぞれ鋭角である。第2の配線300cにおいて、裏面303cと他方の側面306cがなす角度は、裏面303cと一方の側面305cがなす角度より小さい。本変形例に係る第2の配線300cの一方の側面305cは、内側(D2方向マイナス側)に向けて凹んでいる。一方の側面305cは、表面304cと隣接する上側側面(第7面)307cを含む。第2の配線300cの他方の側面306cは、内側(D2方向プラス側)に向けて凹んでいる。他方の側面306cは、表面304cと隣接する上側側面(第8面)308cを含む。
図5(B)において、表面304cと上側側面307cがなす角度、および表面304cと上側側面308cがなす角度は約90°である。しかしながらこれに限定されず、表面304cと上側側面307cがなす角度は、裏面303cと一方の側面305cとがなす角度の外角より小さければよい。表面304cと上側側面307cがなす角度は、60°以上90°以下の範囲であることが好ましい。表面304cと上側側面308cがなす角度は、裏面303cと他方の側面306cとがなす角度の外角より小さければよい。表面304cと上側側面308cがなす角度は、60°以上90°以下の範囲であることが好ましい。すなわち、第2の配線300cにおいて一方の側面305cには、裏面303cと一方の側面305cとがなす角度の外角より小さい角度で表面304cと接続する形状(上側側面307c)が含まれている。第2の配線300cにおいて他方の側面306cには、裏面303cと他方の側面306cとがなす角度の外角より小さい角度で表面304cと接続する形状(上側側面308c)が含まれている。しかしながらこれに限定されず、一方の側面305cおよび他方の側面306cにはさらに異なる面が含まれてもよく、一方の側面305cおよび他方の側面306cを構成する各面は角部(交線)を形成してもよく、曲面で連続的に接続されていてもよい。第2の配線300cが延長する方向と垂直に交わる断面において、第2の配線300cはその延長方向(D3方向)を中心として非対称である。第2の配線300cにおいて、裏面303cと他方の側面306cがなす角度を、裏面303cと一方の側面305cがなす角度より小さく配置することで、裏面303cの線幅が大きくなり、D1方向に平面視したときの第2の配線300cの一方の側面305cの視認性を抑制しつつ、基板100cと第2の配線300cとの密着性を向上することができる。第2の配線300cにおいて、表面304cと上側側面307cとがなす角度が裏面303cと一方の側面305cとがなす角度の外角より小さく、表面304cと上側側面308cとがなす角度が裏面303cと他方の側面306cとがなす角度の外角より小さいことで、D1方向に平面視したときの第2の配線300cの上側側面307cおよび上側側面308cの視認性を抑制することができる。さらに第2の配線300cの配線が延長する方向と垂直に交わる断面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10cの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0092】
以上のように、本変形例に係る配線基板10cは、基板100cの第2の配線300cの表面304cの線幅を、第1の配線200cの表面202cの線幅より小さく配置することで、電波送受信機能を有する第1の配線200cの信頼性を保持しつつ、D1方向に平面視したときの第2の配線300cの視認性を抑制することができる。第1の配線200cおよび第2の配線300cにおいて、基板100cと接する面の線幅を基板100cと接する面の反対側を向く面より大きく配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200cおよび第2の配線300cの視認性を抑制しつつ、基板100cと第1の配線200cおよび第2の配線300cとの密着性を向上することができる。第1の配線200cにおいて、表面202cと上側側面211cとがなす角度が裏面201cと一方の側面209cとがなす角度の外角より小さく、表面202cと上側側面212cとがなす角度が裏面201cと他方の側面210cとがなす角度の外角より小さいことで、D1方向に平面視したときの第1の配線200cの上側側面211cおよび上側側面212cの視認性を抑制することができる。第2の配線300cにおいて、裏面303cと他方の側面306cがなす角度を、裏面303cと一方の側面305cがなす角度より小さく配置することで、D1方向に平面視したときの第2の配線300cの一方の側面305cの視認性を抑制しつつ、基板100cと第2の配線300cとの密着性を向上することができる。第2の配線300cにおいて、表面304cと上側側面307cとがなす角度が裏面303cと一方の側面305cとがなす角度の外角より小さく、表面304cと上側側面308cとがなす角度が裏面303cと他方の側面306cとがなす角度の外角より小さいことで、D1方向に平面視したときの第2の配線300cの上側側面307cおよび上側側面308cの視認性を抑制することができる。さらに第1の配線200cおよび第2の配線300cの、それぞれの配線が延長する方向と垂直に交わる断面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10cの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0093】
また、本変形例によれば、第1の配線200cの側面209c、210cが内側に向けて凹み、第2の配線300cの側面305c、306cが内側に向けて凹んでいるので、第1の配線200c及び第2の配線300cを斜めの視野角で見たときの最大幅を抑えることができる。これにより、例えばディスプレイの表面上で第1の配線200c及び第2の配線300cを見えにくくすることができ、使用者が第1の配線200c及び第2の配線300cを肉眼で認識しにくくすることができる。また、一般に、交流電流を配線に流したとき、周波数が高くなるほど、配線の中心部分には電流が流れにくくなり、配線の表面を電流が流れるようになる(表皮効果)。本変形例において、第1の配線200c及び第2の配線300cの各側面を凹ませることにより、第1の配線200c及び第2の配線300cの断面の広い領域にわたって電流を流すことが可能となる。このため、第1の配線200c及び第2の配線300cの断面を効率良く利用することができる。さらに、第1の配線200c及び第2の配線300cの各側面を凹ませることにより、D1方向に対して斜めに入射する光がD1方向に反射しにくくなるため、第1の配線200c及び第2の配線300cを肉眼で認識しにくくすることができる。
【0094】
本変形例に係る配線基板10cは、無線通信用回路と接続することで、無線通信モジュールとして表示装置に搭載することができる。配線基板10cは、基板100cを表示装置の表示領域に対向するよう、表示領域の上面に配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200cおよび第2の配線300cの視認性を抑制することができる。配線基板10cは、第1の配線200の方向が表示領域の縦方向に、第2の配線300cの上側側面307cが表示領域の上方向(光の入射方向)になるよう配置することで、第2の配線300cの他方の側面306cによる光の反射を抑制することができる。このため、透明性、信頼性、導電性を向上した電波送受信機能を有する配線基板を備える表示装置を提供することができる。
【0095】
<第4変形例>
図1及び
図2に示す形態において、第2の配線300が延長する方向と垂直に交わる断面において、第2の配線300はその長手方向(D3方向)に対称である。一方、本変形例において、第2の配線300dが延長する方向と垂直に交わる断面において、第2の配線300dはその長手方向(D3方向)を中心として非対称である。
【0096】
図6を用いて、本変形例に係る配線基板10dの構成について説明する。ここで、変形例に係る配線基板10dの構成は、第1の配線200および第2の配線300の断面形状以外、
図1及び
図2に示す配線基板10の構成と同様である。このため、
図1及び
図2に示す形態と同様である部分は、その詳しい説明を省略する。
【0097】
[配線基板の構成]
図6は、本変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。
図1に示す形態と同様に、本変形例に係る配線基板10dは、基板100dと、第1の配線200dと、第2の配線300dとを備える。
図6(A)は、
図1の鎖線A-A’における拡大断面図である。
図6(B)は、
図1の鎖線B-B’における拡大断面図である。
【0098】
図6(A)に示すように、第1の配線200dは、基板100dと接する裏面(第1面)201dと、裏面201dの反対側を向く表面(第2面)202dとを有する。
図6(B)に示すように、第2の配線300dは、基板100dと接する裏面(第3面)303dと、裏面303dの反対側を向く表面(第4面)304dとを有する。
図6(A)および
図6(B)に示すように、第2の配線300dの表面304dの線幅は、第1の配線200dの表面202dの線幅より小さい。また、第2の配線300dの裏面303dの線幅は、第1の配線200dの裏面201dの線幅より小さい。第2の配線300dの表面304d及び裏面303dの線幅を、それぞれ第1の配線200dの表面202d及び裏面201dの線幅より小さく配置することで、電波送受信機能を有する第1の配線200dの信頼性を保持しつつ、第1の配線200dの断線などに対応する予備の第2の配線300dの視認性を抑制することができる。このため配線基板10dの導電性と透明性を向上することができる。
【0099】
図6(A)に示すように、第1の配線200dの裏面201dの線幅は第1の配線200dの表面202dの線幅より大きい。
図6(B)に示すように、第2の配線300dの裏面303dの線幅は第2の配線300dの表面304dの線幅より大きい。第1の配線200dおよび第2の配線300dにおいて、基板100dと接する面の線幅を基板100dと接する面の反対側を向く面の線幅より大きく配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200dおよび第2の配線300dの視認性を抑制しつつ、基板100dと第1の配線200dおよび第2の配線300dとの密着性を向上することができる。さらに第1の配線200dおよび第2の配線300dの、それぞれの配線が延長する方向と垂直に交わる断面の面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10dの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0100】
図6(A)に示すように、第1の配線200dは、第1の配線200dの方向に延長し、裏面201dと隣接する一対の側面(第9面、第10面)209d、210dとを有する。第1の配線200dにおいて、裏面201dと一方の側面209dがなす角度と、裏面201dと他方の側面210dがなす角度はそれぞれ鋭角である。第1の配線200dにおいて、裏面201dと一方の側面209dがなす角度と、裏面201dと他方の側面210dがなす角度は同じである。本変形例に係る第1の配線200dの一方の側面209dは、内側(D3方向プラス側)に向けて凹んでいる。一方の側面209dは、表面202dと隣接する上側側面(第11面)211dを含む。第1の配線200dの他方の側面210dは、内側(D3方向マイナス側)に向けて凹んでいる。他方の側面210dは、表面202dと隣接する上側側面(第12面)212dを含む。
図6(A)において、表面202dと上側側面211dがなす角度、および表面202dと上側側面212dがなす角度は約90°である。しかしながらこれに限定されず、表面202dと上側側面211dがなす角度は、裏面201dと一方の側面209dとがなす角度の外角より小さければよい。表面202dと上側側面211dがなす角度は、60°以上90°以下の範囲であることが好ましい。表面202dと上側側面212dがなす角度は、裏面201dと他方の側面210dとがなす角度の外角より小さければよい。表面202dと上側側面212dがなす角度は、60°以上90°以下の範囲であることが好ましい。すなわち、第1の配線200dにおいて一方の側面209dには、裏面201dと一方の側面209dとがなす角度の外角より小さい角度で表面202dと接続する形状(上側側面211d)が含まれている。第1の配線200dにおいて他方の側面210dには、裏面201dと他方の側面210dとがなす角度の外角より小さい角度で表面202dと接続する形状(上側側面212d)が含まれている。しかしながらこれに限定されず、一方の側面209dおよび他方の側面210dにはさらに異なる面が含まれてもよく、一方の側面209dおよび他方の側面210dを構成する各面は角部(交線)を形成してもよく、曲面で連続的に接続されていてもよい。本変形例に係る第1の配線200dは、第1の配線200dの方向に直交する方向に延長し、表面202dと隣接する面との間で、表面の面方向に突出する凸部dをさらに有する。すなわち、第1の配線200dは、表面202dと上側側面211dとの間、表面202dと上側側面212dとの間にD3方向に突出する凸部dを有する。すなわち、第1の配線200dが延長する方向と垂直に交わる断面において、第1の配線200dは、その延長方向(D2方向)を中心として線対称である。第1の配線200dにおいて、表面202dと上側側面211dとがなす角度が裏面201dと一方の側面209dとがなす角度の外角より小さく、表面202dと上側側面212dとがなす角度が裏面201dと他方の側面210dとがなす角度の外角より小さいことで、D1方向に平面視したときの第1の配線200dの上側側面211dおよび上側側面212dの視認性を抑制することができる。さらに第1の配線200dの配線が延長する方向と垂直に交わる断面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10dの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0101】
図6(B)に示すように、第2の配線300dは、第2の配線300dの方向に延長し、裏面303dと隣接する一対の側面(第5面、第6面)305d、306dとを有する。第2の配線300dにおいて、裏面303dと一方の側面305dがなす角度と、裏面303dと他方の側面306dがなす角度はそれぞれ鋭角である。第2の配線300dにおいて、裏面303dと他方の側面306dがなす角度は、裏面303dと一方の側面305dがなす角度より小さい。本変形例に係る第2の配線300dの一方の側面305dは、内側(D2方向マイナス側)に向けて凹んでいる。一方の側面305dは、表面304dと隣接する上側側面(第7面)307dを含む。第2の配線300dの他方の側面306dは、内側(D2方向プラス側)に向けて凹んでいる。他方の側面306dは、表面304dと隣接する上側側面(第8面)308dを含む。
図6(B)において、表面304dと上側側面307dがなす角度、および表面304dと上側側面308dがなす角度は約90°である。しかしながらこれに限定されず、表面304dと上側側面307dがなす角度は、裏面303dと一方の側面305dとがなす角度の外角より小さければよい。表面304dと上側側面307dがなす角度は、60°以上90°以下の範囲であることが好ましい。表面304dと上側側面308dがなす角度は、裏面303dと他方の側面306dとがなす角度の外角より小さければよい。表面304dと上側側面308dがなす角度は、60°以上90°以下の範囲であることが好ましい。すなわち、第2の配線300dにおいて一方の側面305dには、裏面303dと一方の側面305dとがなす角度の外角より小さい角度で表面304dと接続する形状(上側側面307d)が含まれている。第2の配線300dにおいて他方の側面306dには、裏面303dと他方の側面306dとがなす角度の外角より小さい角度で表面304dと接続する形状(上側側面308d)が含まれている。しかしながらこれに限定されず、一方の側面305dおよび他方の側面306dにはさらに異なる面が含まれてもよく、一方の側面305dおよび他方の側面306dを構成する各面は角部(交線)を形成してもよく、曲面で連続的に接続されていてもよい。本変形例に係る第2の配線300dは、第2の配線300dの方向に直交する方向に延長し、表面304dと隣接する面との間で、表面の面方向に突出する凸部dをさらに有する。すなわち、第2の配線300dは、表面304dと上側側面307dの間、表面202dと上側側面308dとの間にD2方向に突出する凸部dを有する。第2の配線300dが延長する方向と垂直に交わる断面において、第2の配線300dはその延長方向(D3方向)を中心として非対称である。第2の配線300dにおいて、裏面303dと他方の側面306dがなす角度を、裏面303dと一方の側面305dがなす角度より小さく配置することで、裏面303dの線幅が大きくなり、D1方向に平面視したときの第2の配線300dの一方の側面305dの視認性を抑制しつつ、基板100dと第2の配線300dとの密着性を向上することができる。第2の配線300dにおいて、表面304dと上側側面307dとがなす角度が裏面303dと一方の側面305dとがなす角度の外角より小さく、表面304dと上側側面308dとがなす角度が裏面303dと他方の側面306dとがなす角度の外角より小さいことで、D1方向に平面視したときの第2の配線300dの上側側面307dおよび上側側面308dの視認性を抑制することができる。さらに第2の配線300dの配線が延長する方向と垂直に交わる断面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10dの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0102】
以上のように、本変形例に係る配線基板10dは、基板100dの第2の配線300dの表面304dの線幅を、第1の配線200dの表面202dの線幅より小さく配置することで、電波送受信機能を有する第1の配線200dの信頼性を保持しつつ、D1方向に平面視したときの第2の配線300dの視認性を抑制することができる。第1の配線200dおよび第2の配線300dにおいて、基板100dと接する面の線幅を基板100dと接する面の反対側を向く面より大きく配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200dおよび第2の配線300dの視認性を抑制しつつ、基板100dと第1の配線200dおよび第2の配線300dとの密着性を向上することができる。第1の配線200dにおいて、表面202dと上側側面211dとがなす角度が裏面201dと一方の側面209dとがなす角度の外角より小さく、表面202dと上側側面212dとがなす角度が裏面201dと他方の側面210dとがなす角度の外角より小さいことで、D1方向に平面視したときの第1の配線200dの上側側面211dおよび上側側面212dの視認性を抑制することができる。第2の配線300dにおいて、裏面303dと他方の側面306dがなす角度を、裏面303dと一方の側面305dがなす角度より小さく配置することで、D1方向に平面視したときの第2の配線300dの一方の側面305dの視認性を抑制しつつ、基板100dと第2の配線300dとの密着性を向上することができる。第2の配線300dにおいて、表面304dと上側側面307dとがなす角度が裏面303dと一方の側面305dとがなす角度の外角より小さく、表面304dと上側側面308dとがなす角度が裏面303dと他方の側面306dとがなす角度の外角より小さいことで、D1方向に平面視したときの第2の配線300dの上側側面307dおよび上側側面308dの視認性を抑制することができる。さらに第1の配線200dおよび第2の配線300dの、それぞれの配線が延長する方向と垂直に交わる断面積が増加することによって、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10dの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0103】
本変形例に係る配線基板10dは、無線通信用回路と接続することで、無線通信モジュールとして表示装置に搭載することができる。配線基板10dは、基板100dを表示装置の表示領域に対向するよう、表示領域の上面に配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200dおよび第2の配線300dの視認性を抑制することができる。配線基板10dは、第1の配線200の方向が表示領域の縦方向に、第2の配線300dの上側側面307dが表示領域の上方向(光の入射方向)になるよう配置することで、第2の配線300dの他方の側面306dによる光の反射を抑制することができる。配線基板10dは表示領域の上面に配置するとき、基板100dの上面を覆うように保護膜が配置される。第1の配線200dおよび第2の配線300dが凸部dを有することで、第1の配線200dおよび第2の配線300dと、保護膜との密着性を向上することができる。このため、透明性、信頼性、導電性を向上した電波送受信機能を有する配線基板を備える表示装置を提供することができる。
【0104】
<第5変形例>
本変形例に係る配線基板10eは、
図1及び
図2に示す形態に係る配線基板10と同様の基板100eと、第1の配線200eと、第2の配線300eと、を有する。本変形例に係る配線基板10eは、第1の配線200eと第2の配線300eとの交点に湾曲面(湾曲部)eを含む。
【0105】
図7および
図8を用いて、本変形例に係る配線基板10eの構成について説明する。ここで、本変形例に係る配線基板10eの構成は、第1の配線200eおよび第2の配線300eの交点における湾曲面e以外、
図1及び
図2に示す配線基板10の構成と同様である。このため、
図1及び
図2に示す形態と同様である部分は、その詳しい説明を省略する。
【0106】
[配線基板の構成]
図7は、本変形例に係る配線基板の一例を示す上面図である。
図7は、
図1の領域Cにおける拡大上面図である。
図8は、本変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。
図8(A)は、
図7の鎖線D-D’における拡大断面図である。
図8(B)は、
図7の鎖線E-E’における拡大断面図である。
【0107】
図7に示すように、配線基板10eは、基板100eと、第1の配線200eと、第2の配線300eとを備える。本変形例において、第1の配線200eと、第2の配線300eとは直交する。しかしながらこれに限定されず、第1の配線200eおよび第2の配線300eの平面形状は、交差又は連結すればよい。
図7および
図8に示すように、基板100eの上面と、第1の配線200eの裏面(第1面)201eと隣接する側面と、第2の配線300eの裏面(第3面)303eと隣接する側面とは平面視で4つの角部を形成する。本変形例においては、基板100eの上面と、第1の配線200eの他方の側面(第10面)210eと、第2の配線300eの他方の側面(第6面)306eとが形成する角部において、それらの面を連続する湾曲面eを含む。すなわち湾曲面eは、第1の配線200eの他方の側面210eと、第2の配線300eの他方の側面306eとを連続的に接続している。この湾曲面eは、第1の配線200eの方向に垂直な断面、第2の配線300eの方向に垂直な断面のいずれにおいても、内側に湾曲した形状をもつ。しかしながらこれに限定されず、湾曲面eは、基板100eの上面と、第1の配線200eの裏面201eと隣接する側面と、第2の配線300eの裏面303eと隣接する側面とが形成する平面視で4つの角部のうちの1つ以上に配置されればよい。すなわち、湾曲面eを含む角部の第1の配線200eの方向と垂直に交わる断面において、第1の配線200eはその長手方向(D2方向)を中心として非対称である。湾曲面eを含む角部の第2の配線300eの方向と垂直に交わる断面において、第2の配線300eはその長手方向(D3方向)非対称である。第2の配線300eの方向に垂直な断面において、湾曲面eの曲率半径は、第2の配線300eの高さの20%以上であることが好ましい。
【0108】
基板100eの上面と、第1の配線200eの裏面201eと隣接する側面と、第2の配線300eの裏面303eと隣接する側面とが形成する角部において湾曲面eを有することで、裏面201eおよび裏面303eの線幅が大きくなり、基板100eと第1の配線200e、および基板100eと第2の配線300eとの密着性を向上することができる。さらに第1の配線200eおよび第2の配線300eの、それぞれの配線が延長する方向と垂直に交わる断面積が増加することによって、D1方向に平面視したときの第1の配線200eの表面(第2面)202eおよび第2の配線300eの表面(第4面)304eの視認性を抑制しつつ、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10eの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0109】
本変形例に係る配線基板10eは、無線通信用回路と接続することで、無線通信モジュールとして表示装置に搭載することができる。配線基板10eは、基板100eを表示装置の表示領域に対向するよう、表示領域の上面に配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200eおよび第2の配線300eの視認性を抑制することができる。配線基板10eは、第1の配線200eの方向が表示領域の縦方向に、湾曲面eが表示領域の下方向になるよう配置することで、湾曲面eによる光の反射を抑制することができる。このため、透明性、信頼性、導電性を向上した電波送受信機能を有する配線基板を備える表示装置を提供することができる。
【0110】
<第6変形例>
本変形例に係る配線基板10fは、第1変形例に係る配線基板10a(
図3)と同様の基板100fと、第1の配線200fと、第2の配線300fと、を有する。本変形例に係る配線基板10fは、第1の配線200fと第2の配線300fとの交点に湾曲面fを含む。
【0111】
図9および
図10を用いて、本変形例に係る配線基板10fの構成について説明する。ここで、本変形例に係る配線基板10fの構成は、第1の配線200fおよび第2の配線300fの交点における湾曲面f以外、
図3に示す第1変形例に係る配線基板10aの構成と同様である。このため、第1変形例と同様である部分は、その詳しい説明を省略する。
【0112】
[配線基板の構成]
図9は、本変形例に係る配線基板の一例を示す上面図である。
図9は、
図1の領域Cにおける拡大上面図である。
図10は、本変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。
図10(A)は、
図9の鎖線D-D’における拡大断面図である。
図10(B)は、
図9の鎖線E-E’における拡大断面図である。
【0113】
図9に示すように、配線基板10fは、基板100fと、第1の配線200fと、第2の配線300fとを備える。本変形例において、第1の配線200fと、第2の配線300fとは直交する。しかしながらこれに限定されず、第1の配線200fおよび第2の配線300fの平面形状は、交差又は連結すればよい。
図9および
図10に示すように、基板100fの上面と、第1の配線200fの裏面(第1面)201fと隣接する側面と、第2の配線300fの裏面(第3面)303fと隣接する側面とは平面視で4つの角部を形成する。本変形例においては、基板100fの上面と、第1の配線200fの一方の側面(第9面)209fと、第2の配線300fの他方の側面(第6面)306fとが形成する角部において、それらの面を連続する湾曲面fを含む。すなわち湾曲面fは、第1の配線200fの一方の側面209fと、第2の配線300fの他方の側面306fとを連続的に接続している。さらに基板100fの上面と、第1の配線200fの他方の側面(第10面)210fと、第2の配線300fの他方の側面306fとが形成する角部において、それらの面を連続する湾曲面fを含む。すなわち湾曲面fは、第1の配線200fの他方の側面210fと、第2の配線300fの他方の側面306fとを連続的に接続している。しかしながらこれに限定されず、湾曲面fは、基板100fの上面と、第1の配線200fの裏面201fと隣接する側面と、第2の配線300fの裏面303fと隣接する側面とが形成する平面視で4つの角部のうちの1つ以上に配置されればよい。湾曲面fは、基板100fの上面と、第1の配線200fの裏面201fと隣接する側面と、第2の配線300fの他方の側面306fとが形成する2つの角部のうちの1つ以上に配置されることがより好ましい。すなわち、湾曲面fを含む角部の第1の配線200fの方向と垂直に交わる断面において、第1の配線200fはその長手方向(D2方向)を中心として線対称である。湾曲面fを含む角部の第2の配線300fの方向と垂直に交わる断面において、第2の配線300fはその長手方向(D3方向)を中心として非対称である。第2の配線300eの方向に垂直な断面において、湾曲面fの曲率半径は、第2の配線300eの高さの20%以上であることが好ましい。
【0114】
基板100fの上面と、第1の配線200fの裏面201fと隣接する側面と、第2の配線300fの他方の側面306fとが形成する角部において湾曲面fを有することで、裏面201fおよび裏面303fの線幅が大きくなり、基板100fと第1の配線200f、および基板100fと第2の配線300fとの密着性を向上することができる。さらに第1の配線200fおよび第2の配線300fの、それぞれの配線が延長する方向と垂直に交わる断面積が増加することによって、D1方向に平面視したときの第1の配線200fの表面(第2面)202fおよび第2の配線300fの表面(第4面)304fの視認性を抑制しつつ、配線抵抗を抑制することができる。このため配線基板10fの透明性、信頼性、導電性を向上することができる。
【0115】
本変形例に係る配線基板10fは、無線通信用回路と接続することで、無線通信モジュールとして表示装置に搭載することができる。配線基板10fは、基板100fを表示装置の表示領域に対向するよう、表示領域の上面に配置することで、D1方向に平面視したときの第1の配線200fおよび第2の配線300fの視認性を抑制することができる。配線基板10fは、第1の配線200fの方向が表示領域の縦方向に、湾曲面fが表示領域の下方向になるよう配置することで、湾曲面fによる光の反射を抑制することができる。このため、透明性、信頼性、導電性を向上した電波送受信機能を有する配線基板を備える表示装置を提供することができる。
【0116】
[配線基板10の製造方法]
図11および
図12を用いて、本実施形態及び各変形例に係る配線基板の製造方法を説明する。
図11および
図12において、上記実施形態及び各変形例に示す要素と同じ要素には同一の符号を付した。ここで、
図1乃至
図10に示す形態と同様である部分は、その詳しい説明を省略する。
【0117】
図11(A)は、本実施形態に係る配線基板の製造方法において、基板100の上面に導電層400を形成する工程を示す図である。
図11(A)に示すように、基板100上の略全面に導電層400を形成する。本実施形態において導電層400の厚さは、200nmである。しかしながらこれに限定されず、導電層400の厚さは10nm以上1000nm以下の範囲で適宜選択することができる。本実施形態において導電層400は、銅を用いてスパッタリング法によって形成する。導電層400を形成する方法としては、プラズマCVD法を用いることもできる。
【0118】
図11(B)は、本実施形態に係る配線基板の製造方法において、基板100の上面に絶縁層500を形成する工程を示す図である。
図11(B)に示すように、基板100上の略全面に絶縁層500を形成する。絶縁層500の厚さは、1200nmである。しかしながらこれに限定されず、絶縁層500の厚さは500nm以上2500nm以下の範囲で適宜選択することができる。絶縁層500は電気絶縁性を有する材料であればよい。
【0119】
図11(C)は、本実施形態に係る配線基板の製造方法において、絶縁層500の上面に、第1の配線200を配置する第1のトレンチ510および第2の配線300を配置する第2のトレンチ520(図示せず)を形成する工程を示す図である。
図11(C)に示すように、本実施形態において第1のトレンチ510および第2のトレンチ520は、インプリント法により形成する。絶縁層500を軟化させ、第1のトレンチ510および第2のトレンチ520に対応する突起部を有する型600を圧入する。その状態で絶縁層500を硬化させ、型600を絶縁層500から剥離することで、
図11(D)に示す断面構造の絶縁層500を得ることができる。
【0120】
第1のトレンチ510は第1の配線200に対応し、第2のトレンチ520は第2の配線300に対応する。したがって、第1方向に延長する第1のトレンチ510と、第2方向に延長する第2のトレンチ520は直交する。また、第1のトレンチ510は第2のトレンチ520より長く、第1のトレンチ510の開口幅は第2のトレンチ520の開口幅より大きく形成する。ここで開口幅とは、それぞれのトレンチが延長する方向と垂直に交わる断面において、基板100の上面と平行な開口部における幅を意味する。第1のトレンチ510および第2のトレンチ520のアスペクト比は、用途に応じて適宜選択できる。ここで、第1のトレンチ510および第2のトレンチ520のアスペクト比は、開口部幅に対する深さとして定義される。第1のトレンチ510および第2のトレンチ520のアスペクト比が小さすぎると、配線基板10における第1の配線200および第2の配線300の微細パターンを形成することが困難になる。第1のトレンチ510および第2のトレンチ520のアスペクト比が大きすぎると、導電体を第1のトレンチ510および第2のトレンチ520に充填することが困難になる。なお、第1のトレンチ510の開口幅を第2のトレンチ520の開口幅と同一にしても良い。
【0121】
インプリント法によって第1のトレンチ510および第2のトレンチ520を形成する時、型600を絶縁層500から剥離する方向は、より長い第1の配線200(第1のトレンチ510)が延長する方向が好ましい。型600を絶縁層500から剥離する方向は、第2の配線300の一方の側面305から他方の側面306方向であることがより好ましい。すなわち、型600を絶縁層500から剥離する方向は、基板100の第1側102から第2側104(第1の配線200の方向、第1方向、D2逆方向)であることがより好ましい。このように絶縁層500を形成することで、前述した実施形態及び各変形例に係る第1の配線200および第2の配線300の断面形状を形成することができる。しかしながらこれに限定されず、前述した実施形態及び各変形例に係る配線基板10の製造方法においては、絶縁層500をフォトリソグラフィ法により形成してもよい。この場合、フォトリソグラフィ法により、第1の配線200および第2の配線300が形成される領域の導電層400を露出するようにレジストパターンを形成する。
【0122】
図11(D)に示すように、絶縁層500に形成される第1のトレンチ510および第2のトレンチ520の底部には、絶縁材料の残渣が残ることがある。このため過マンガン酸塩溶液やN-メチル-2-ピロリドンを用いたウェット処理や、酸素プラズマを用いたドライ処理を行うことによって、絶縁材料の残渣を除去する。絶縁材料の残渣を除去することによって、
図12(A)に示すように導電層400を露出した第1のトレンチ510および第2のトレンチ520を形成することができる。
【0123】
図12(B)は、本実施形態に係る配線基板の製造方法において、第1の配線200に対応する第1の導電体410および第2の配線300に対応する第2の導電体420(図示せず)を形成する工程を示す図である。
図12(A)で形成された絶縁層500の第1のトレンチ510および第2のトレンチ520を、第1の導電体410および第2の導電体420で充填する。本実施形態において、絶縁層500の第1のトレンチ510および第2のトレンチ520は、導電層400をシード層として、電解メッキ法を用いて銅で充填する。さらに第1の導電体410および第2の導電体420は、絶縁層500の上面(基板100とは反対側)に突出するように形成される。第1の導電体410および第2の導電体420は、絶縁層500の上面において、第1のトレンチ510の開口幅および第2のトレンチ520の開口幅より大きく形成される。本実施形態において、第1の導電体410および第2の導電体420の突出部は断面視で半円型に形成され、第1の導電体410および第2の導電体420の断面形状はきのこ型に形成される。しかしながらこれに限定されず、第1の導電体410および第2の導電体420は、絶縁層500の上面において、開口幅より絶縁層500の面方向に突出し、積層方向に突出すればよい。例えば、第1の導電体410および第2の導電体420の突出部は直方体に形成され、第1の導電体410および第2の導電体420の断面形状はT字型に形成されてもよい。第1の導電体410および第2の導電体420の絶縁層500の上面における積層方向(D1方向)の高さは、第1のトレンチ510の第2のトレンチ520の積層方向(D1方向)の高さの5%以上80%以下であることが好ましい。
【0124】
図12(C)は、本実施形態に係る配線基板の製造方法において、絶縁層500を除去する工程を示す図である。
図12(C)に示すように、過マンガン酸塩溶液やN-メチル-2-ピロリドンを用いたウェット処理や、酸素プラズマを用いたドライ処理を行うことによって、基板100上の絶縁層500を除去する。
【0125】
図12(D)は、本実施形態に係る配線基板の製造方法において、導電層400を除去する工程を示す図である。
図12(D)に示すように、過酸化水素水を用いたウェット処理を行うことによって、基板100の上面が露出するように導電層400をエッチングする。このとき第1の導電体410および第2の導電体420もエッチングによって成形される。このように第1の導電体410および第2の導電体420を成形することで、前述した実施形態及び各変形例に係る第1の配線200および第2の配線300の断面形状を形成することができる。
【0126】
図には示さなかったが、第1の配線200と第2の配線300は、基板100と接する面以外の表面を黒化処理することが好ましい。本実施形態においては、第1の配線200の表面(第2面)202、および第2の配線300の表面(第4面)304を、それぞれの配線材料の酸化物皮膜である酸化銅を形成することで黒化処理する。第1の配線200と第2の配線300の表面を黒化処理することで、第1の配線200と第2の配線300の光反射を抑制することができ、配線基板10の外光吸収、コントラスト向上を図ることができる。
【0127】
以上のように、本実施形態に係る配線基板10の製造方法によると、導電体を絶縁層より積層方向に厚く形成し、ウェットエッチングで成形するという簡易な方法によって、前述した実施形態及び各変形例に係る第1の配線200および第2の配線300の断面形状を形成することができる。このため透明性、信頼性、導電性を向上した配線基板10を製造することができる。
【0128】
次に、
図13(A)-(D)を用いて、配線基板の製造方法の変形例について説明する。
図13(A)-(D)は、配線基板の製造方法の変形例を示す図であり、
図12(A)-(D)に対応する図である。
【0129】
まず、上述した
図11(A)-(D)に示す工程と同様にして、導電層400を露出した、第1のトレンチ510および第2のトレンチ520を形成する(
図13(A))。
【0130】
次に、
図13(B)に示すように、第1の配線200に対応する第1の導電体410および第2の配線300に対応する第2の導電体420(図示せず)を形成する。すなわち、導電層400をシード層として、電解メッキ法を用いて、絶縁層500の第1のトレンチ510および第2のトレンチ520を銅で充填する。この場合、第1の導電体410および第2の導電体420は、絶縁層500の上面(基板100とは反対側)よりも低くなるように形成される。このとき、第1の導電体410および第2の導電体420の上面は断面視で半円型に形成される。
【0131】
続いて、
図13(C)に示すように、例えば過マンガン酸塩溶液やN-メチル-2-ピロリドンを用いたウェット処理や、酸素プラズマを用いたドライ処理を行うことによって、基板100上の絶縁層500を除去する。
【0132】
その後、
図13(D)に示すように、例えば過酸化水素水を用いたウェット処理を行うことによって、基板100の上面が露出するように導電層400をエッチングする。このとき第1の導電体410および第2の導電体420もエッチングによって成形される。具体的には、エッチング条件(エッチング液の種類、濃度、エッチングの時間)等を適宜設定することにより、第1の導電体410および第2の導電体420の形状(側面の形状や湾曲面の形状等)を調整することができる。このようにして、前述した実施形態及び各変形例に係る第1の配線200および第2の配線300の断面形状を形成することができる。
【0133】
次に、前述した実施形態及び各変形例に係る配線基板に無線通信用回路を接続した無線通信モジュールの一例について説明する。
図14を用いて、本実施形態に係る無線通信モジュール20Aの構成について説明する。ここで、
図1乃至
図13に示す形態と同様である部分は、その詳しい説明を省略する。
【0134】
[無線通信モジュールの構成]
図14は、本実施形態に係る無線通信モジュールの一例を示す上面図である。
図14に示すように、無線通信モジュール20Aは、配線基板10gと、回路700gとを有する。回路700gは無線通信用の回路であって、配線基板10gの複数の第1の配線200gと接続する。
【0135】
配線基板10gは、基板100gと、第1の配線200gと、第2の配線300gとを備える。第1の配線200gと、第2の配線300gとは、基板100gの上面に配置される。本実施形態において、第1の配線200gは4本、第2の配線300gは4本配置したがこれに限定されない。第1の配線200gは2本以上、第2の配線300gは1本以上配置されればよい。
【0136】
図14に示すように、第1の配線200gのD1方向にみた平面形状は、基板100gの第1側102から、第1側102とは反対側の第2側104(第1の配線200gの長手方向、第1方向、D2逆方向)に向かって複数のラインがそれぞれ独立に延長するラインアンドスペース形状を例示した。第2の配線300gのD1方向にみた平面形状は、第1の配線200gの方向と直交する方向(第2の配線300gの長手方向、第2方向、D3方向)に向かって複数のラインがそれぞれ独立に延長するラインアンドスペース形状を例示した。すなわち、第1方向に延長する第1の配線200gおよび第2方向に延長する第2の配線300gによって規則的な格子または網目形状が形成される。複数の第1の配線200gと複数の第2の配線300gは、直交する。第1の配線200gは第2の配線300gより長い。また、複数の第2の配線300gの間隔は、複数の第1の配線200gの間隔より大きい。しかしながらこの形状に限定されず、第1の配線200gおよび第2の配線300gの平面形状は、複数のラインがそれぞれ交差又は連結すればよい。例えば、第1の配線200gの方向と第2の配線300gの方向は鋭角に交差してもよく、鈍角に交差してもよい。また、この繰り返し形状は基板100g上で均一でなくてもよい。ここで、基板100gの上面において、複数の第1の配線200gと複数の第2の配線300gとが配置されない領域を配線基板10gの開口としたとき、開口率(可視光透過率)は80%以上であることが好ましい。開口率が80%未満であると、配線基板10gの透過性が悪くなる。複数の第2の配線300gの間隔を、複数の第1の配線200gの間隔より大きく配置することで、電波送受信機能を有する第1の配線200gの導電性を保持しつつ、第1の配線200gの断線などに対応する予備の第2の配線300gの視認性を抑制することができる。このため配線基板10gの導電性と透明性を向上することができる。
【0137】
図15は、変形例に係る無線通信モジュールの一例を示す上面図である。
図15に示すように、無線通信モジュール20Aは、例えばNFC(Near Field Communication)用のモジュールであり、配線基板10gと、回路700gとを有する。この場合、配線基板10gは、全体として平面視で渦巻き状に形成された配線領域106gを有している。この配線領域106gは、複数の第1の配線200g及び複数の第2の配線300gを含む。すなわち、配線領域106gの内側で、第1の配線200g及び第2の配線300gがメッシュ状又は格子状に形成されている。この場合、配線基板10gの透明性が高められているので、例えばNFC用の配線基板10gを表示画面上に配置することも可能となる。
【0138】
なお、本開示は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。本開示の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の配線基板を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0139】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【0140】
[実施例]
上述した本開示の一実施形態に係る配線基板が備える第1の配線200および第2の配線300の構造をより詳細に説明する。
【0141】
[参考例1]
参考例1に係る配線基板における第1の配線200および第2の配線300の各パラメータは以下の通りである。
第1の配線200の幅: 1μm
第1の配線200の高さ: 1μm
第1の配線200の間隔: 20μm
第2の配線300の幅: 2μm
第2の配線300の高さ: 1μm
第2の配線300の間隔: 20μm
【0142】
本開示の参考例1に係る配線基板は、各配線の幅および間隔(ピッチ)以外第6変形例(
図9及び
図10)に係る配線基板と同様であることから、その詳しい説明は省略する。配線基板の製造工程は
図11乃至
図13に示す形態と同様であるので、説明を省略する。
【0143】
参考例1の配線基板を用いて、第1の配線200および第2の配線300の交点を電子顕微鏡(SEM)で観察した。参考例1の配線基板の上面を、電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した写真を
図16に示す。参考例1の第1の配線200および第2の配線300の交点を、電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した写真を
図17に示す。
【0144】
図17は、参考例1における第1の配線200および第2の配線300の交点の電子顕微鏡写真である。
図17(A)および(B)に示すように、参考例1に係る配線基板10は、第1の配線200および第2の配線300の交点において、2つの湾曲面を含む。基板100の上面と、第1の配線200の一方の側面209と、第2の配線300の他方の側面306とが形成する角部において、それらの面を連続する湾曲面fを含むことが観察された。さらに、基板100の上面と、第1の配線200の他方の側面210と、第2の配線300の他方の側面306とが形成する角部において、それらの面を連続する湾曲面fを含むことが観察された。
【0145】
<第2の実施形態>
次に、
図18乃至
図37により、第2の実施形態について説明する。
図18乃至
図37は第2の実施形態を示す図である。
【0146】
本実施形態において、「X方向」とは、アンテナパターン領域の長手方向に対して垂直な方向であり、アンテナ配線の周波数帯に対応する長さの方向に対して垂直な方向である。「Y方向」とは、X方向に垂直かつアンテナパターン領域の長手方向に対して平行な方向であり、アンテナ配線の周波数帯に対応する長さの方向に対して平行な方向である。「Z方向」とは、X方向およびY方向の両方に垂直かつ配線基板の厚み方向に平行な方向である。また、「表面」とは、Z方向プラス側の面であって、基板に対してアンテナ配線が設けられた面をいう。「裏面」とは、Z方向マイナス側の面であって、基板に対してアンテナ配線が設けられた面と反対側の面をいう。なお、本実施形態において、配線パターン領域20が、電波送受信機能(アンテナとしての機能)を有するアンテナパターン領域20である場合を例にとって説明するが、配線パターン領域20は電波送受信機能(アンテナとしての機能)を有していなくても良い。
【0147】
[配線基板の構成]
図18乃至
図22を参照して、本実施形態による配線基板の構成について説明する。
図18乃至
図22は、本実施形態による配線基板を示す図である。
【0148】
図18に示すように、本実施形態による配線基板10は、例えば画像表示装置のディスプレイ上に配置されるものである。このような配線基板10は、透明性を有する基板11と、基板11上に配置されたアンテナパターン領域(配線パターン領域)20と、基板11上でアンテナパターン領域20の周囲に配置されたダミーパターン領域30と、を備えている。また、アンテナパターン領域20には、給電部40が電気的に接続されている。
【0149】
このうち基板11は、平面視で略長方形状であり、その長手方向がY方向に平行であり、その短手方向がX方向に平行となっている。基板11は、透明性を有するとともに略平板状であり、その厚みは全体として略均一となっている。基板11の長手方向(Y方向)の長さL1は、例えば100mm以上200mm以下の範囲で選択することができ、基板11の短手方向(X方向)の長さL2は、例えば50mm以上100mm以下の範囲で選択することができる。
【0150】
基板11の材料は、可視光線領域での透明性および電気絶縁性を有する材料であればよい。本実施形態において基板11の材料はポリエチレンテレフタレートであるが、これに限定されない。基板11の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、或いは、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂材料等の有機絶縁性材料を用いることが好ましい。また、基板11の材料としては、用途に応じてガラス、セラミックス等を適宜選択することもできる。なお、基板11は、単一の層によって構成された例を図示したが、これに限定されず、複数の基材又は層が積層された構造であってもよい。また、基板11はフィルム状であっても、板状であってもよい。このため、基板11の厚さは特に制限はなく、用途に応じて適宜選択できるが、一例として、基板11の厚み(Z方向)T
1(
図20参照)は、例えば10μm以上200μm以下の範囲とすることができる。
【0151】
図18において、アンテナパターン領域20は、基板11上に複数(3つ)形成されており、それぞれ異なる周波数帯に対応している。すなわち、複数のアンテナパターン領域20は、その長さ(Y方向の長さ)L
aが互いに異なっており、それぞれ特定の周波数帯に対応した長さを有している。なお、対応する周波数帯が低周波であるほどアンテナパターン領域20の長さL
aが長くなっている。配線基板10が例えば画像表示装置90のディスプレイ91(後述する
図24参照)上に配置される場合、各アンテナパターン領域20は、電波送受信機能を有する場合、電話用アンテナ、WiFi用アンテナ、3G用アンテナ、4G用アンテナ、LTE用アンテナ、Bluetooth(登録商標)用アンテナ、NFC用アンテナ等のいずれかに対応していても良い。あるいは、配線基板10が電波送受信機能を有していない場合、各配線パターン領域20は、例えばホバリング(使用者がディスプレイに直接触れなくても操作可能となる機能)、指紋認証、ヒーター、ノイズカット(シールド)等の機能を果たしても良い。
【0152】
各アンテナパターン領域20は、それぞれ平面視で略長方形状である。各アンテナパターン領域20は、その長手方向がY方向に平行であり、その短手方向がX方向に平行となっている。各アンテナパターン領域20の長手方向(Y方向)の長さLaは、例えば3mm以上100mm以下の範囲で選択することができ、各アンテナパターン領域20の短手方向(X方向)の幅Waは、例えば1mm以上10mm以下の範囲で選択することができる。
【0153】
アンテナパターン領域20は、それぞれ金属線が格子形状または網目形状に形成され、X方向およびY方向に均一な繰り返しパターンを有している。すなわち
図19に示すように、アンテナパターン領域20は、X方向に延びる部分(後述するアンテナ連結配線22の一部)とY方向に延びる部分(後述するアンテナ配線21の一部)とから構成されるL字状の単位パターン形状20aの繰り返しから構成されている。
【0154】
図19に示すように、各アンテナパターン領域20は、アンテナとしての機能をもつ複数のアンテナ配線(配線)21と、複数のアンテナ配線21を連結する複数のアンテナ連結配線(連結配線)22とを含んでいる。具体的には、複数のアンテナ配線21と複数のアンテナ連結配線22とは、全体として一体となって、規則的な格子形状または網目形状を形成している。各アンテナ配線21は、アンテナの周波数帯に対応する方向(Y方向)に延びており、各アンテナ連結配線22は、アンテナ配線21に直交する方向(X方向)に延びている。アンテナ配線21は、所定の周波数帯に対応する長さL
a(上述したアンテナパターン領域20の長さ)を有することにより、主としてアンテナとしての機能を発揮する。一方、アンテナ連結配線22は、これらのアンテナ配線21同士を連結することにより、アンテナ配線21が断線したり、アンテナ配線21と給電部40とが電気的に接続しなくなったりする不具合を抑える役割を果たす。
【0155】
各アンテナパターン領域20においては、互いに隣接するアンテナ配線21と、互いに隣接するアンテナ連結配線22とに取り囲まれることにより、複数の開口部23が形成されている。また、アンテナ配線21とアンテナ連結配線22とは互いに等間隔に配置されている。すなわち複数のアンテナ配線21は、互いに等間隔に配置され、そのピッチP1は、例えば0.01mm以上1mm以下の範囲とすることができる。また、複数のアンテナ連結配線22は、互いに等間隔に配置され、そのピッチP2は、例えば0.01mm以上1mm以下の範囲とすることができる。このように、複数のアンテナ配線21と複数のアンテナ連結配線22とがそれぞれ等間隔に配置されていることにより、各アンテナパターン領域20内で開口部23の大きさにばらつきがなくなり、アンテナパターン領域20を肉眼で視認しにくくすることができる。また、アンテナ配線21のピッチP1は、アンテナ連結配線22のピッチP2と等しい。このため、各開口部23は、それぞれ平面視略正方形状となっており、各開口部23からは、透明性を有する基板11が露出している。このため、各開口部23の面積を広くすることにより、配線基板10全体としての透明性を高めることができる。なお、各開口部23の一辺の長さL3は、例えば0.01μm以上1μm以下の範囲とすることができる。なお、各アンテナ配線21と各アンテナ連結配線22とは、互いに直交しているが、これに限らず、互いに鋭角または鈍角に交差していてもよい。また、開口部23の形状は、全面で同一形状同一サイズとするのが好ましいが、場所によって変えるなど全面で均一としなくても良い。
【0156】
図20に示すように、各アンテナ配線21は、その長手方向に垂直な断面(X方向断面)が略長方形形状又は略正方形形状となっている。この場合、アンテナ配線21の断面形状は、アンテナ配線21の長手方向(Y方向)に沿って略均一となっている。また、
図21に示すように、各アンテナ連結配線22の長手方向に垂直な断面(Y方向断面)の形状は、略長方形形状又は略正方形形状であり、上述したアンテナ配線21の断面(X方向断面)形状と略同一である。この場合、アンテナ連結配線22の断面形状は、アンテナ連結配線22の長手方向(X方向)に沿って略均一となっている。アンテナ配線21とアンテナ連結配線22の断面形状は、必ずしも略長方形形状又は略正方形形状でなくても良く、例えば表面側(Z方向プラス側)が裏面側(Z方向マイナス側)よりも狭い略台形形状、あるいは、長手方向両側に位置する側面が湾曲した形状であっても良い。
【0157】
本実施形態において、アンテナ配線21の線幅W
1(X方向の長さ、
図20参照)およびアンテナ連結配線22の線幅W
2(Y方向の長さ、
図21参照)は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択できる。例えば、アンテナ配線21の線幅W
1は0.1μm以上5.0μm以下の範囲で選択することができ、アンテナ連結配線22の線幅W
2は、0.1μm以上5.0μm以下の範囲で選択することができる。また、アンテナ配線21の高さH
1(Z方向の長さ、
図20参照)およびアンテナ連結配線22の高さH
2(Z方向の長さ、
図21参照)は特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができ、例えば0.1μm以上5.0μm以下の範囲で選択することができる。
【0158】
アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22の材料は、導電性を有する金属材料であればよい。本実施形態においてアンテナ配線21およびアンテナ連結配線22の材料は銅であるが、これに限定されない。アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22の材料は、例えば、金、銀、銅、白金、錫、アルミニウム、鉄、ニッケルなどの金属材料(含む合金)を用いることができる。
【0159】
再度
図18を参照すると、ダミーパターン領域30は、各アンテナパターン領域20の周囲を取り囲むように設けられており、各アンテナパターン領域20のうち、給電部40側(Y方向マイナス側)を除く周方向全域(X方向プラス側、X方向マイナス側、Y方向プラス側)を取り囲むように形成されている。この場合、ダミーパターン領域30は、基板11上であって、アンテナパターン領域20および給電部40を除く略全域にわたって配置されている。このダミーパターン領域30は、アンテナパターン領域20とは異なり、実質的にアンテナとしての機能を果たすことはない。
【0160】
図19に示すように、ダミーパターン領域30は、所定の単位パターン形状をもつダミー配線30aの繰り返しから構成されている。すなわち、ダミーパターン領域30は、複数の同一形状のダミー配線30aを含んでおり、各ダミー配線30aは、それぞれアンテナパターン領域20(アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22)から電気的に独立している。また、複数のダミー配線30aは、ダミーパターン領域30内の全域にわたって規則的に配置されている。複数のダミー配線30aは、互いに平面方向に離間するとともに、基板11上に突出して島状に配置されている。すなわち各ダミー配線30aは、アンテナパターン領域20、給電部40および他のダミー配線30aから電気的に独立している。このダミー配線30aは、それぞれ平面視略L字状であり、Y方向に延びる第1ダミー配線部分31と、X方向に延びる第2ダミー配線部分32とを有している。このうち第1ダミー配線部分31は、所定の長さL
4(Y方向の長さ)を有し、第2ダミー配線部分32は、所定の長さL
5(X方向の長さ)を有し、これらは互いに等しい(L
4=L
5)。
【0161】
X方向に互いに隣接するダミー配線30a同士の間には空隙部33aが形成され、Y方向に互いに隣接するダミー配線30a同士の間には空隙部33bが形成されている。この場合、ダミー配線30a同士は互いに等間隔に配置されている。すなわちX方向に互いに隣接するダミー配線30a同士は、互いに等間隔に配置され、そのギャップG1は、例えば1μm以上20μm以下の範囲とすることができる。同様に、Y方向に互いに隣接するダミー配線30a同士は、互いに等間隔に配置され、そのギャップG2は、例えば1μm以上20μm以下の範囲とすることができる。なお、ギャップG1、G2の最大値は、それぞれ上述したピッチP1、P2の0.8倍以下としてもよい。この場合、ダミー配線30aのX方向のギャップG1は、ダミー配線30aのY方向のギャップG2と等しい(G1=G2)。
【0162】
本実施形態において、ダミー配線30aは、上述したアンテナパターン領域20の単位パターン形状20aの一部が欠落した形状をもつ。すなわち、ダミー配線30aの形状は、アンテナパターン領域20のL字状の単位パターン形状20aから、上述した空隙部33a、33bを除いた形状となる。すなわち、ダミーパターン領域30の複数のダミー配線30aと複数の空隙部33a、33bとを併合した形状が、アンテナパターン領域20を形成する格子形状または網目形状に相当する。このように、ダミーパターン領域30のダミー配線30aが、アンテナパターン領域20の単位パターン形状20aの一部が欠落した形状とすることにより、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との相違を目視で認識しにくくすることができ、基板11上に配置されたアンテナパターン領域20を見えにくくすることができる。
【0163】
図19において、Y方向にアンテナパターン領域20とダミーパターン領域30とが隣接している。このアンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との境界近傍において、第1ダミー配線部分31がアンテナ配線21の延長上に形成されている。このため、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との相違が目視で視認しにくくなっている。また、図示していないが、X方向にアンテナパターン領域20とダミーパターン領域30とが隣接する場所においても、同様の理由で、第2ダミー配線部分32がアンテナ連結配線22の延長上に形成されていることが好ましい。
【0164】
図22に示すように、各ダミー配線30aの第1ダミー配線部分31は、その長手方向(Y方向)に垂直な断面(X方向断面)が略長方形形状又は略正方形形状となっている。また、
図21に示すように、各ダミー配線30aの第2ダミー配線部分32は、その長手方向(X方向)に垂直な断面(Y方向断面)が略長方形形状又は略正方形形状となっている。この場合、第1ダミー配線部分31の断面形状はアンテナ配線21の断面形状と略同一であり、第2ダミー配線部分32の断面形状はアンテナ連結配線22の断面形状と略同一である。
【0165】
本実施形態において、第1ダミー配線部分31の線幅W
3(X方向の長さ、
図22参照)は、アンテナ配線21の線幅W
1と略同一であり、第2ダミー配線部分32の線幅W
4(Y方向の長さ、
図21参照)は、アンテナ連結配線22の線幅W
2と略同一となっている。また、第1ダミー配線部分31の高さH
3(Z方向の長さ、
図22参照)および第2ダミー配線部分32の高さH
4(Z方向の長さ、
図21参照)についても、それぞれアンテナ配線21の高さH
1およびアンテナ連結配線22の高さH
2と略同一となっている。
【0166】
ダミー配線30aの材料は、アンテナ配線21の材料およびアンテナ連結配線22の材料と同一の金属材料を用いることができる。
【0167】
ところで、本実施形態において、アンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30は、それぞれ所定の開口率A1、A2を有する。このうちアンテナパターン領域20の開口率A1は、例えば85%以上99.9%以下の範囲とすることができる。また、ダミーパターン領域30の開口率A2は、例えば87%以上100%未満の範囲とすることができる。この場合、ダミーパターン領域30の開口率A2は、アンテナパターン領域20の開口率A1よりも大きい(A2>A1)。これにより、配線基板10の透明性を確保することができる。なお、これに限らず、ダミーパターン領域30の開口率A2は、アンテナパターン領域20の開口率A1よりも小さくても良い(A2<A1)。
【0168】
また、ダミーパターン領域30の開口率A2とアンテナパターン領域20の開口率A1との差(|A2-A1|)は、0%超7%以下の範囲とすることが好ましく、0%超1%以下の範囲とすることがさらに好ましい。このように、ダミーパターン領域30の開口率A2とアンテナパターン領域20の開口率A1との差を小さくすることにより、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との境界を見えづらくし、アンテナパターン領域20の存在を肉眼で認識しにくくすることができる。
【0169】
さらに、アンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30の全体の開口率A3(アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30を合わせた開口率)は、例えば87%以上100%未満の範囲とすることができる。配線基板10の全体の開口率A3をこの範囲とすることにより、配線基板10の導電性と透明性を確保することができる。
【0170】
なお、開口率とは、所定の領域(アンテナパターン領域20、ダミーパターン領域30、または、アンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30)の単位面積に占める、開口領域(アンテナ配線21、アンテナ連結配線22、ダミー配線30a等の金属部分が存在せず、基板11が露出する領域)の面積の割合(%)をいう。
【0171】
再度
図18を参照すると、給電部40は、アンテナパターン領域20に電気的に接続されている。この給電部40は、略長方形状の導電性の薄板状部材からなる。給電部40の長手方向はX方向に平行であり、給電部40の短手方向はY方向に平行である。また、給電部40は、基板11の長手方向端部(Y方向マイナス側端部)に配置されている。給電部40の材料は、例えば、金、銀、銅、白金、錫、アルミニウム、鉄、ニッケルなどの金属材料(含む合金)を用いることができる。この給電部40は、配線基板10が画像表示装置90(
図24参照)に組み込まれた際、画像表示装置90の無線通信用回路92と電気的に接続される。なお、給電部40は、基板11の表面に設けられているが、これに限らず、給電部40の一部又は全部が基板11の周縁よりも外側に位置していても良い。
【0172】
[配線基板の製造方法]
次に、
図23(a)-(h)を参照して、本実施形態による配線基板の製造方法について説明する。
図23(a)-(h)は、本実施形態による配線基板の製造方法を示す断面図である。
【0173】
まず、
図23(a)に示すように、基板11を準備し、この基板11の表面の略全域に導電層51を形成する。本実施形態において導電層51の厚さは、200nmである。しかしながらこれに限定されず、導電層51の厚さは10nm以上1000nm以下の範囲で適宜選択することができる。本実施形態において導電層51は、銅を用いてスパッタリング法によって形成する。導電層51を形成する方法としては、プラズマCVD法を用いても良い。
【0174】
次に、
図23(b)に示すように、基板11の表面の略全域に光硬化性絶縁レジスト52を供給する。この光硬化性絶縁レジスト52としては、例えばエポキシ系樹脂等の有機樹脂を挙げることができる。
【0175】
続いて、凸部53aを有する透明なインプリント用のモールド53を準備し(
図23(c))、このモールド53と基板11とを近接させて、モールド53と基板11との間に光硬化性絶縁レジスト52を展開する。次いで、モールド53側から光照射を行い、光硬化性絶縁レジスト52を硬化させることにより、絶縁層54を形成する。これにより、絶縁層54の表面に、凸部53aが転写された形状をもつトレンチ54aが形成される。トレンチ54aは、アンテナ配線21、アンテナ連結配線22およびダミー配線30aに対応する平面形状パターンを有する。
【0176】
その後、モールド53を絶縁層54から剥離することにより、
図23(d)に示す断面構造の絶縁層54を得る。モールド53を絶縁層54から剥離する方向は、より長いアンテナ配線21が延長するY方向とすることが好ましい。
【0177】
このように、絶縁層54の表面に、インプリント法によってトレンチ54aを形成することにより、トレンチ54aの形状を微細なものとすることができる。なお、これに限らず、絶縁層54をフォトリソグラフィ法により形成しても良い。この場合、フォトリソグラフィ法により、アンテナ配線21、アンテナ連結配線22およびダミー配線30aに対応する導電層51を露出するようにレジストパターンを形成する。
【0178】
図23(d)に示すように、絶縁層54のトレンチ54aの底部には、絶縁材料の残渣が残ることがある。このため過マンガン酸塩溶液やN-メチル-2-ピロリドンを用いたウェット処理や、酸素プラズマを用いたドライ処理を行うことによって、絶縁材料の残渣を除去する。このように、絶縁材料の残渣を除去することによって、
図23(e)に示すように導電層51を露出したトレンチ54aを形成することができる。
【0179】
次に、
図23(f)に示すように、絶縁層54のトレンチ54aを、導電体55で充填する。本実施形態において、導電層51をシード層として、電解メッキ法を用いて絶縁層54のトレンチ54aを銅で充填する。
【0180】
続いて、
図23(g)に示すように、絶縁層54を除去する。この場合、過マンガン酸塩溶液やN-メチル-2-ピロリドンを用いたウェット処理や、酸素プラズマを用いたドライ処理を行うことによって、基板11上の絶縁層54を除去する。
【0181】
その後、
図23(h)に示すように、基板11の表面上の導電層51を除去する。この際、過酸化水素水を用いたウェット処理を行うことによって、基板11の表面が露出するように導電層51をエッチングする。このようにして、基板11と、基板11上に配置されたアンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30と、を有する配線基板10が得られる。この場合、アンテナパターン領域20は、アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22を含み、ダミーパターン領域30は、ダミー配線30aを含む。上述した導電体55は、アンテナ配線21と、アンテナ連結配線22と、ダミー配線30aとを含んでいる。
【0182】
[本実施形態の作用]
次に、このような構成からなる配線基板の作用について述べる。
【0183】
図24に示すように、配線基板10は、ディスプレイ91を有する画像表示装置90に組み込まれる。配線基板10は、ディスプレイ91上に配置される。このような画像表示装置90としては、例えばスマートフォン、タブレット等の携帯端末機器を挙げることができる。配線基板10のアンテナパターン領域20は、給電部40を介して画像表示装置90の無線通信用回路92に電気的に接続される。このようにして、アンテナパターン領域20を介して、所定の周波数の電波を送受信することができ、画像表示装置90を用いて通信を行うことができる。なお、ダミーパターン領域30は、アンテナパターン領域20から離間し、電気的に独立しているので、ダミーパターン領域30が設けられていることによって電波の送受信に影響が生じるおそれはない。
【0184】
本実施形態によれば、配線基板10は、透明性を有する基板11と、基板11上に配置され、アンテナとしての機能をもつ複数のアンテナ配線21を含むアンテナパターン領域20を有するので、配線基板10の透明性が確保されている。これにより、配線基板10がディスプレイ91上に配置されたとき、アンテナパターン領域20の開口部23からディスプレイ91を視認することができるので、ディスプレイ91の視認性が妨げられることがない。
【0185】
また、本実施形態によれば、アンテナパターン領域20の周囲に、アンテナ配線21から電気的に独立した複数のダミー配線30aを含むダミーパターン領域30が配置されている。このように、アンテナパターン領域20の周囲にダミーパターン領域30を配置することにより、アンテナパターン領域20とそれ以外の領域との境界を不明瞭にすることができる。これにより、ディスプレイ91の表面上でアンテナパターン領域20を見えにくくすることができ、画像表示装置90の使用者がアンテナパターン領域20を肉眼で認識しにくくすることができる。
【0186】
また、本実施形態によれば、アンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30は、それぞれ所定の単位パターン形状の繰り返しから構成され、ダミーパターン領域30の単位パターン形状(ダミー配線30a)は、アンテナパターン領域20の単位パターン形状20aの一部が欠落した形状となっている。これにより、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との境界を不明瞭にすることができ、ディスプレイ91の表面上でアンテナパターン領域20を肉眼で認識しにくくすることができる。
【0187】
また、本実施形態によれば、ダミーパターン領域30の開口率A2は、アンテナパターン領域20の開口率A1より大きい。これにより、アンテナパターン領域20を認識しにくくしつつ、配線基板10の透明性を確保することができる。
【0188】
また、本実施形態によれば、アンテナパターン領域20は、複数のアンテナ配線21を連結する複数のアンテナ連結配線22を含む。これにより、アンテナ配線21を断線しにくくすることができ、アンテナ配線21のアンテナとしての機能が低下することを抑制することができる。
【0189】
(変形例)
次に、
図25乃至
図37を参照して、配線基板の各種変形例について説明する。
図25乃至
図37は、配線基板の各種変形例を示す図である。
図25乃至
図37に示す各変形例は、アンテナパターン領域20および/またはダミーパターン領域30の構成が異なるものであり、他の構成は上述した実施形態と略同一である。
図25乃至
図37において、
図18乃至
図24に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0190】
(変形例1)
図25は、変形例1による配線基板10Aを示している。
図25において、配線基板10Aのダミーパターン領域30は、所定の単位パターン形状をもつ複数のダミー配線30aを含んでいる。各ダミー配線30aは、それぞれアンテナパターン領域20(アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22)から電気的に独立している。このダミー配線30aは、それぞれY方向に延びる第1ダミー配線部分31と、X方向に延びる第2ダミー配線部分32とを有している。この場合、各ダミー配線30aの第1ダミー配線部分31と、第2ダミー配線部分32とは、互いに平面方向に離間して配置されている。
【0191】
各ダミー配線30aの第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32との間には、空隙部33cが形成されている。また、ダミー配線30aに空隙部33cを補ったと仮定した場合に、X方向に互いに隣接するダミー配線30a同士の間と、Y方向に互いに隣接するダミー配線30a同士の間には、それぞれ空隙部33a、33bが形成されている。
ダミーパターン領域30のダミー配線30aは、アンテナパターン領域20の単位パターン形状20aの一部が欠落した形状をもつ。すなわち、ダミー配線30aの形状は、アンテナパターン領域20のL字状の単位パターン形状20aから空隙部33a、33b、33cを除いた形状となる。なお、ダミーパターン領域30の開口率A2は、例えば85%以上100%未満の範囲とすることができる。
【0192】
このように、各ダミー配線30aの第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とが、互いに平面方向に離間して配置されていることにより、ダミーパターン領域30の開口率を更に高め、配線基板10Aの透明性を向上することができる。
【0193】
(変形例2)
図26は、変形例2による配線基板10Bを示している。
図26において、配線基板10Bのダミーパターン領域30は、所定の単位パターン形状をもつ複数のダミー配線30aを含んでいる。各ダミー配線30aは、それぞれアンテナパターン領域20(アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22)から電気的に独立している。このダミー配線30aは、それぞれX方向およびY方向に対して斜めに延びる第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とを有している。各ダミー配線30aの第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とは、互いに平面方向に離間して配置されている。この場合、第1ダミー配線部分31の長手方向は、アンテナ配線21の長手方向に対して45°傾斜するように配置されている。また、第2ダミー配線部分32の長手方向は、第1ダミー配線部分31の長手方向に対して直交する方向に位置している。なお、ダミーパターン領域30の開口率A2は、例えば85%以上100%未満の範囲とすることができる。
【0194】
このように、各ダミー配線30aの第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とを、アンテナ配線21に対して斜めに配置したことにより、回折格子による干渉縞の発生を抑制することができる。
【0195】
(変形例3)
図27は、変形例3による配線基板10Cを示している。
図27において、配線基板10Cのアンテナパターン領域20は、アンテナとしての機能をもつ複数のアンテナ配線21と、複数のアンテナ配線21を連結する複数のアンテナ連結配線22とを含んでいる。この場合、アンテナ配線21のピッチP
1は、アンテナ連結配線22のピッチP
2よりも小さい(P
1<P
2)。例えば、アンテナ配線21のピッチP
1は、0.01mm以上1mm以下の範囲とすることができ、アンテナ連結配線22のピッチP
2は、例えば0.03mm以上1mm以下の範囲とすることができる。また、各開口部23は、それぞれ平面視で、Y方向がX方向よりも長い略長方形形状となっている。このように、各開口部23の面積をより広くすることにより、配線基板10C全体としての透明性を更に高めることができる。
【0196】
また、ダミーパターン領域30は、所定の単位パターン形状をもつ複数のダミー配線30aを含んでいる。各ダミー配線30aは、それぞれアンテナパターン領域20(アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22)から電気的に独立している。このダミー配線30aは、それぞれY方向に延びる一対の第1ダミー配線部分31a、31bと、X方向に延びる第2ダミー配線部分32とを有している。この場合、各ダミー配線30aの第1ダミー配線部分31aと、第1ダミー配線部分31bと、第2ダミー配線部分32とは、互いに平面方向に離間して配置されている。
【0197】
各ダミー配線30aの第1ダミー配線部分31aと第2ダミー配線部分32との間には、空隙部33cが形成されている。また、第1ダミー配線部分31a、31bの間には、空隙部33dが形成されている。さらに、ダミー配線30aに空隙部33c、33dを補ったと仮定した場合に、X方向に互いに隣接するダミー配線30a同士の間と、Y方向に互いに隣接するダミー配線30a同士の間には、それぞれ空隙部33a、33bが形成されている。この場合、ダミーパターン領域30のダミー配線30aは、アンテナパターン領域20の単位パターン形状20aの一部が欠落した形状をもつ。すなわち、ダミー配線30aの形状は、アンテナパターン領域20のL字状の単位パターン形状20aから空隙部33a~33dを除いた形状となる。なお、ダミーパターン領域30の開口率A2は、例えば90%以上100%未満の範囲とすることができる。
【0198】
このように、アンテナパターン領域20およびダミーパターン領域30の開口領域(アンテナ配線21、アンテナ連結配線22、ダミー配線30a等の金属部分が存在せず、基板11が露出する領域)を広くすることにより、配線基板10Cの透明性を向上することができる。
【0199】
(変形例4)
図28は、変形例4による配線基板10Dを示している。
図28において、配線基板10Dのダミーパターン領域30は、所定の単位パターン形状をもつ複数のダミー配線30aを含んでいる。各ダミー配線30aは、それぞれアンテナパターン領域20(アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22)から電気的に独立している。このダミー配線30aは、それぞれX方向およびY方向に対して斜めに延びる一対の第1ダミー配線部分31a、31bと、X方向およびY方向に対して斜めに延びる第2ダミー配線部分32とを有している。各ダミー配線30aの第1ダミー配線部分31aと、第1ダミー配線部分31bと、第2ダミー配線部分32とは、互いに平面方向に離間して配置されている。この場合、一対の第1ダミー配線部分31a、31bの長手方向は、アンテナ配線21の長手方向に対して45°傾斜するように配置されている。また、第2ダミー配線部分32の長手方向は、各第1ダミー配線部分31a、31bの長手方向に対して直交する方向に位置している。なお、ダミーパターン領域30の開口率A2は、例えば90%以上100%未満の範囲とすることができる。
【0200】
このように、各ダミー配線30aの第1ダミー配線部分31a、31bと、第2ダミー配線部分32とを、アンテナ配線21に対して斜めに配置したことにより、回折格子による干渉縞の発生を抑制することができる。
【0201】
(変形例5)
図29は、変形例5による配線基板10Eを示している。
図29において、配線基板10Eのダミーパターン領域30は、所定の単位パターン形状をもつ複数のダミー配線30aを含んでいる。各ダミー配線30aは、それぞれアンテナパターン領域20(アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22)から電気的に独立している。このダミー配線30aは、それぞれY方向に延びる複数(4つ)の第1ダミー配線部分31cと、X方向に延びる複数(4つ)の第2ダミー配線部分32cとを有している。この場合、複数の第1ダミー配線部分31cはY方向に互いに離間して配置され、複数の第2ダミー配線部分32cはX方向に互いに離間して配置されている。
【0202】
ダミー配線30aの第1ダミー配線部分31aと第2ダミー配線部分32cとの間の交点部分には、空隙部33eが形成されている。また、複数の第1ダミー配線部分31cの間には、空隙部33fが形成されている。さらに、複数の第2ダミー配線部分32cの間には、それぞれ空隙部33gが形成されている。この場合、ダミーパターン領域30のダミー配線30aは、アンテナパターン領域20の単位パターン形状20aの一部が欠落した形状をもつ。すなわち、ダミー配線30aの形状は、アンテナパターン領域20のL字状の単位パターン形状20aから空隙部33e~33gを除いた形状となる。
【0203】
本変形例において、ダミーパターン領域30内には、ダミーパターン領域30のダミー配線30aから離間した追加パターン34が配置されている。この場合、追加パターン34は、複数の第1ダミー配線部分31c及び複数の第2ダミー配線部分32cからX方向及びY方向の両方に離れて配置されている。この場合、各追加パターン34は、それぞれY方向に平行に直線状に延びている。また、1つのダミー配線30aに対して複数(4つ)の追加パターン34が配置されている。この複数(4つ)の追加パターン34の合計面積は、各ダミー配線30aの空隙部33e~33gの面積に近づけることが好ましい。なお、追加パターン34の材料は、ダミー配線30aの材料と同一の金属材料を用いることができる。
【0204】
このように、ダミーパターン領域30内に追加パターン34を配置することにより、ダミーパターン領域30の開口率A2とアンテナパターン領域20の開口率A1との差(|A2-A1|)を0に近づけることができる。具体的には、開口率A2と開口率A1との差を0%以上1%以下の範囲とすることができる。これにより、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との境界を不明瞭にすることができ、アンテナパターン領域20を肉眼で認識しにくくすることができる。
【0205】
(変形例6)
図30は、変形例6による配線基板10Fを示している。
図30において、ダミーパターン領域30内には、ダミーパターン領域30のダミー配線30aから離間した追加パターン34が配置されている。この場合、各追加パターン34は、それぞれX方向及びY方向に対して傾斜して直線状に延びている。また、
図30において、1つのダミー配線30aに対して複数(4つ)の追加パターン34が配置されている。他の構成は、
図29に示す配線基板10E(変形例5)と略同一である。
【0206】
(変形例7)
図31は、変形例7による配線基板10Gを示している。
図31において、ダミー配線30aは、それぞれY方向に延びる複数(2つ)の第1ダミー配線部分31cと、X方向に延びる複数(2つ)の第2ダミー配線部分32cとを有している。また、各追加パターン34は、それぞれX方向及びY方向に対して傾斜して直線状に延びている。この場合、1つのダミー配線30aに対して複数(2つ)の追加パターン34が配置されている。他の構成は、
図29に示す配線基板10E(変形例5)と略同一である。
【0207】
(変形例8)
図32は、変形例8による配線基板10Hを示している。
図32において、ダミー配線30aは、それぞれY方向に延びる複数(2つ)の第1ダミー配線部分31cと、X方向に延びる複数(2つ)の第2ダミー配線部分32cとを有している。このうち1つの第1ダミー配線部分31cと1つの第2ダミー配線部分32cとが互いに連結され、平面視L字形状の部分を構成している。この場合、各追加パターン34は、それぞれY方向に対して平行に直線状に延びている。また、1つのダミー配線30aに対して複数(2つ)の追加パターン34が配置されている。他の構成は、
図29に示す配線基板10E(変形例5)と略同一である。
【0208】
(変形例9)
図33は、変形例9による配線基板10Iを示している。
図33において、各追加パターン34は、それぞれX方向及びY方向に対して傾斜して直線状に延びている。この場合、1つのダミー配線30aに対して複数(2つ)の追加パターン34が配置されている。他の構成は、
図32に示す配線基板10H(変形例8)と略同一である。
【0209】
(変形例10)
図34は、変形例10による配線基板10Jを示している。
図34において、各追加パターン34は、それぞれ平面視十字形状を有している。この場合、1つのダミー配線30aに対して1つの追加パターン34が配置されている。他の構成は、
図29に示す配線基板10E(変形例5)と略同一である。
【0210】
(変形例11)
図35は、変形例11による配線基板10Kを示している。
図35において、各追加パターン34は、それぞれ平面視ドット形状を有している。この場合、1つのダミー配線30aに対してドット状の複数の追加パターン34が配置され、複数の追加パターン34は、X方向及びY方向の両方に沿って整列されている。他の構成は、
図31に示す配線基板10G(変形例7)と略同一である。
【0211】
(変形例12)
図36は、変形例12による配線基板10Lを示している。
図36において、各追加パターン34は、それぞれ平面視十字形状を有している。この場合、1つのダミー配線30aに対して1つの追加パターン34が配置されている。他の構成は、
図32に示す配線基板10H(変形例8)と略同一である。
【0212】
(変形例13)
図36は、変形例13による配線基板10Mを示している。
図36において、各追加パターン34は、それぞれ平面視ドット形状を有している。この場合、1つのダミー配線30aに対してドット状の複数の追加パターン34が配置され、複数の追加パターン34は、X方向及びY方向の両方に沿って整列されている。他の構成は、
図32に示す配線基板10H(変形例8)と略同一である。
【0213】
なお、図示していないが、
図18乃至
図28に示す配線基板10、10A~10Dにおいても、それぞれダミーパターン領域30内に追加パターン34を設けても良い。
【0214】
<第3の実施形態>
次に、
図38乃至
図51により、第3の実施形態について説明する。
図38乃至
図51は第3の実施形態を示す図である。
図38乃至
図51において、
図18乃至
図37に示す第2の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0215】
[配線基板の構成]
図38乃至
図42を参照して、本実施形態による配線基板の構成について説明する。
図38乃至
図42は、本実施形態による配線基板を示す図である。
【0216】
図38に示すように、本実施形態による配線基板10は、例えば画像表示装置のディスプレイ上に配置されるものである。このような配線基板10は、透明性を有する基板11と、基板11上に配置されたアンテナパターン領域20と、を備えている。また、アンテナパターン領域20には、給電部40が電気的に接続されている。
【0217】
このうち基板11の構成は、第2の実施の形態の場合と略同様である。
【0218】
各アンテナパターン領域20は、それぞれ平面視で略長方形状である。各アンテナパターン領域20は、その長手方向がY方向に平行であり、その短手方向(幅方向)がX方向に平行となっている。各アンテナパターン領域20の長手方向(Y方向)の長さLaは、例えば3mm以上100mm以下の範囲で選択することができ、各アンテナパターン領域20の短手方向(幅方向)の幅Waは、例えば1mm以上10mm以下の範囲で選択することができる。
【0219】
アンテナパターン領域20は、それぞれ金属線が格子形状または網目形状に形成され、X方向およびY方向に繰り返しパターンを有している。すなわちアンテナパターン領域20は、X方向に延びる部分(後述するアンテナ連結配線22の一部)とY方向に延びる部分(後述するアンテナ配線21の一部)とから構成されるL字状の単位パターン形状20a(
図40参照)の繰り返しから構成されている。
【0220】
図39に示すように、各アンテナパターン領域20は、アンテナとしての機能をもつ複数のアンテナ配線21と、複数のアンテナ配線21を連結する複数のアンテナ連結配線22とを含んでいる。具体的には、複数のアンテナ配線21と複数のアンテナ連結配線22とは、全体として一体となって、格子形状または網目形状を形成している。各アンテナ配線21は、アンテナの周波数帯に対応する方向(長手方向、Y方向)に延びており、各アンテナ連結配線22は、アンテナ配線21に直交する方向(幅方向、X方向)に延びている。アンテナ配線21は、所定の周波数帯に対応する長さL
a(上述したアンテナパターン領域20の長さ、
図38参照)を有することにより、主としてアンテナとしての機能を発揮する。一方、アンテナ連結配線22は、これらのアンテナ配線21同士を連結することにより、アンテナ配線21が断線したり、アンテナ配線21と給電部40とが電気的に接続しなくなったりする不具合を抑える役割を果たす。
【0221】
各アンテナパターン領域20においては、互いに隣接するアンテナ配線21と、互いに隣接するアンテナ連結配線22とに取り囲まれることにより、複数の開口部23が形成されている。また、アンテナパターン領域20は、幅方向(X方向)中央部20cと、一対の幅方向(X方向)縁部20e1、20e2とを有している。幅方向中央部20cとは、アンテナパターン領域20の幅方向(X方向)両端縁から幅方向に沿って等距離にある部分をいう。なお、幅方向中央部20cおよび幅方向縁部20e1、20e2は、それぞれ一定程度の幅(X方向の長さ)を有していても良い。例えば、幅方向中央部20cおよび幅方向縁部20e1、20e2は、アンテナパターン領域20の幅Waの5%以上30%以下程度の範囲の幅(X方向の長さ)を有する領域であっても良い。
【0222】
図40(a)(b)に示すように、複数のアンテナ配線21は、アンテナパターン領域20の幅方向(X方向)に互いに間隔(ピッチP
1)を空けて配置されている。この場合、複数のアンテナ配線21は、アンテナパターン領域20の幅方向(X方向)中央部20cと、幅方向(X方向)縁部20e
1、20e
2とで、互いに異なる間隔で配置されている。すなわち複数のアンテナ配線21は、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cで広いピッチP
1Aで配置され、幅方向縁部20e
1、20e
2でピッチP
1Aよりも狭いピッチP
1Bで配置されている(P
1A>P
1B)。なお、複数のアンテナ配線21のピッチP
1は、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cで最も広く(ピッチP
1A)、幅方向縁部20e
1、20e
2(ピッチP
1B)で最も狭くなっている。具体的には、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cにおけるアンテナ配線21のピッチP
1Aは、例えば0.05mm以上1mm以下の範囲とすることができる。アンテナパターン領域20の幅方向縁部20e
1、20e
2におけるアンテナ配線21のピッチP
1Bは、例えば0.01mm以上0.3mm以下の範囲とすることができる。
【0223】
複数のアンテナ配線21のピッチP1は、各幅方向縁部20e1、20e2におけるピッチP1Bから、幅方向中央部20cおけるピッチP1Aまで、徐々に変化していても良い。あるいは、複数のアンテナ配線21は、各幅方向縁部20e1、20e2近傍の領域において均一なピッチP1Bで配置され、幅方向中央部20c近傍の領域において均一なピッチP1Aで配置されても良い。また、本実施形態において、一方の幅方向縁部20e1におけるアンテナ配線21のピッチP1Bは、他方の幅方向縁部20e2におけるアンテナ配線21のピッチP1Bと等しい。しかしながら、これに限らず、一方の幅方向縁部20e1と他方の幅方向縁部20e2とでアンテナ配線21のピッチP1Bが互いに異なっていても良い。
【0224】
複数のアンテナ連結配線22は、アンテナパターン領域20の長手方向(Y方向)に互いに等間隔に配置されている。複数のアンテナ連結配線22のピッチP2は、例えば0.01mm以上1mm以下の範囲とすることができる。各開口部23は、それぞれ平面視略長方形形状または略正方形形状となっており、その面積は各幅方向縁部20e1、20e2側に位置する開口部23よりも、幅方向中央部20c側に位置する開口部23の方が大きい。また、各開口部23からは、透明性を有する基板11が露出している。このため、各開口部23の面積を広くすることにより、配線基板10全体としての透明性を高めることができる。なお、各アンテナ配線21と各アンテナ連結配線22とは、互いに直交しているが、これに限らず、互いに鋭角または鈍角に交差していてもよい。また、アンテナ連結配線22のピッチP2は、アンテナパターン領域20の長手方向(Y方向)に均一であるが、これに限らず長手方向(Y方向)に不均一としても良い。
【0225】
図41及び
図42に示すように、各アンテナ配線21及び各アンテナ連結配線22の断面形状は、第2の実施の形態の場合と略同様である。また、アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22の材料についても、第2の実施の形態の場合と同様のものを用いることができる。
【0226】
ところで、本実施形態において、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cは、それぞれ所定の開口率Acを有し、アンテナパターン領域20の幅方向縁部20e1、20e2は、それぞれ所定の開口率Aeを有する。このうち幅方向中央部20cにおける開口率Acは、例えば87%以上100%未満の範囲とすることができる。また、幅方向縁部20e1、20e2における開口率Aeは、例えば85%以上99%以下の範囲とすることができる。上述したように、複数のアンテナ配線21は、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cで相対的に広いピッチP1Aで配置され、幅方向縁部20e1、20e2で相対的に狭いピッチP1Bで配置されている。このため、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cにおける開口率Acは、アンテナパターン領域20の幅方向縁部20e1、20e2における開口率Aeよりも大きくなっている(Ac>Ae)。これにより、後述するように、アンテナパターン領域20における電流分布をより均一化し、アンテナ特性を向上させることができる。
【0227】
また、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cにおける開口率Acとアンテナパターン領域20の幅方向縁部20e1、20e2における開口率Aeとの差(|Ac-Ae|)は、0%超15%以下の範囲とすることが好ましい。このように、開口率Acと開口率Aeとの差を上記範囲とすることにより、アンテナパターン領域20におけるアンテナとしての機能を保持しつつ、アンテナパターン領域20での電流分布をより均一化することができる。
【0228】
さらに、アンテナパターン領域20の全体の開口率Atは、例えば87%以上100%未満の範囲とすることができる。配線基板10の全体の開口率Atをこの範囲とすることにより、配線基板10の導電性と透明性を確保することができる。
【0229】
なお、開口率とは、所定の領域(例えばアンテナパターン領域20の一部)の単位面積に占める、開口領域(アンテナ配線21、アンテナ連結配線22等の金属部分が存在せず、基板11が露出する領域)の面積の割合(%)をいう。
【0230】
また、給電部40の構成は、第2の実施の形態の場合と略同様である。
【0231】
[配線基板の製造方法]
次に、
図43(a)-(h)を参照して、本実施形態による配線基板の製造方法について説明する。
図43(a)-(h)は、本実施形態による配線基板の製造方法を示す断面図である。
【0232】
まず、
図43(a)に示すように、基板11を準備し、この基板11の表面の略全域に導電層51を形成する。本実施形態において導電層51の厚さは、200nmである。しかしながらこれに限定されず、導電層51の厚さは10nm以上1000nm以下の範囲で適宜選択することができる。本実施形態において導電層51は、銅を用いてスパッタリング法によって形成する。導電層51を形成する方法としては、プラズマCVD法を用いても良い。
【0233】
次に、
図43(b)に示すように、基板11の表面の略全域に光硬化性絶縁レジスト52を供給する。この光硬化性絶縁レジスト52としては、例えばエポキシ系樹脂等の有機樹脂を挙げることができる。
【0234】
続いて、凸部53aを有する透明なインプリント用のモールド53を準備し(
図43(c))、このモールド53と基板11とを近接させて、モールド53と基板11との間に光硬化性絶縁レジスト52を展開する。次いで、モールド53側から光照射を行い、光硬化性絶縁レジスト52を硬化させることにより、絶縁層54を形成する。これにより、絶縁層54の表面に、凸部53aが転写された形状をもつトレンチ54aが形成される。トレンチ54aは、アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22に対応する平面形状パターンを有する。
【0235】
その後、モールド53を絶縁層54から剥離することにより、
図43(d)に示す断面構造の絶縁層54を得る。モールド53を絶縁層54から剥離する方向は、より長いアンテナ配線21が延長するY方向とすることが好ましい。
【0236】
このように、絶縁層54の表面に、インプリント法によってトレンチ54aを形成することにより、トレンチ54aの形状を微細なものとすることができる。なお、これに限らず、絶縁層54をフォトリソグラフィ法により形成しても良い。この場合、フォトリソグラフィ法により、アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22に対応する導電層51を露出するようにレジストパターンを形成する。
【0237】
図43(d)に示すように、絶縁層54のトレンチ54aの底部には、絶縁材料の残渣が残ることがある。このため過マンガン酸塩溶液やN-メチル-2-ピロリドンを用いたウェット処理や、酸素プラズマを用いたドライ処理を行うことによって、絶縁材料の残渣を除去する。このように、絶縁材料の残渣を除去することによって、
図43(e)に示すように導電層51を露出したトレンチ54aを形成することができる。
【0238】
次に、
図43(f)に示すように、絶縁層54のトレンチ54aを、導電体55で充填する。本実施形態において、導電層51をシード層として、電解メッキ法を用いて絶縁層54のトレンチ54aを銅で充填する。
【0239】
続いて、
図43(g)に示すように、絶縁層54を除去する。この場合、過マンガン酸塩溶液やN-メチル-2-ピロリドンを用いたウェット処理や、酸素プラズマを用いたドライ処理を行うことによって、基板11上の絶縁層54を除去する。
【0240】
その後、
図43(h)に示すように、基板11の表面上の導電層51を除去する。この際、過酸化水素水を用いたウェット処理を行うことによって、基板11の表面が露出するように導電層51をエッチングする。このようにして、基板11と、基板11上に配置されたアンテナパターン領域20と、を有する配線基板10が得られる。この場合、アンテナパターン領域20は、アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22を含む。上述した導電体55は、アンテナ配線21と、アンテナ連結配線22とを含んでいる。このとき、導電体55の一部によって、給電部40が形成されても良い。あるいは、平板状の給電部40を別途準備し、この給電部40をアンテナパターン領域20に電気的に接続しても良い。
【0241】
[本実施形態の作用]
次に、このような構成からなる配線基板の作用について述べる。
【0242】
図44に示すように、配線基板10は、ディスプレイ91を有する画像表示装置90に組み込まれる。配線基板10は、ディスプレイ91上に配置される。このような画像表示装置90としては、例えばスマートフォン、タブレット等の携帯端末機器を挙げることができる。配線基板10のアンテナパターン領域20は、給電部40を介して画像表示装置90の無線通信用回路92に電気的に接続される。このようにして、アンテナパターン領域20を介して、所定の周波数の電波を送受信することができ、画像表示装置90を用いて通信を行うことができる。
【0243】
ところで、一般に、アンテナパターン領域20を用いて電波を送受信している間、アンテナパターン領域20を流れる電流値は幅方向(X方向)に均一にならない。具体的には、アンテナパターン領域20の幅方向縁部20e1、20e2を流れる電流値は、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cを流れる電流値よりも大きくなる。
【0244】
図51は、参考例として、均一なメッシュ状のアンテナパターンと、均一なプレート状のアンテナパターンとで、流れる電流値を算出したものである。
図51において、横軸はアンテナパターンの幅方向の位置を示しており、横軸の左端がアンテナパターンの幅方向縁部であり、横軸の右端がアンテナパターンの幅方向中央部である。また、縦軸はアンテナパターンを流れる電流値を示している。
図51から明らかなように、アンテナパターンを均一なメッシュ状および均一なプレート状とした場合、いずれもアンテナパターンの幅方向中央部よりもアンテナパターンの幅方向縁部の方が電流値が大きい。この場合、アンテナパターンにおける電流分布が均一にならないため、アンテナ特性を十分に向上させることは難しい。
【0245】
これに対して本実施形態においては、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cにおける開口率Acを、アンテナパターン領域20の幅方向縁部20e1、20e2における開口率Aeよりも高くしている(Ac>Ae)。すなわち、電流値が高い幅方向縁部20e1、20e2におけるアンテナ配線21の密度(ピッチP1A)を、電流値が低い幅方向中央部20cにおけるアンテナ配線21の密度(ピッチP1B)よりも高くしている。これにより、アンテナパターンのメッシュが均一である場合と比較して、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cと幅方向縁部20e1、20e2とで電流分布が均一化されるため、アンテナ特性をより向上させることができる。
【0246】
また、本実施形態によれば、配線基板10は、透明性を有する基板11と、基板11上に配置され、アンテナとしての機能をもつ複数のアンテナ配線21を含むアンテナパターン領域20とを有するので、配線基板10の透明性が確保されている。これにより、配線基板10がディスプレイ91上に配置されたとき、アンテナパターン領域20の開口部23からディスプレイ91を視認することができ、ディスプレイ91の視認性が妨げられることがない。
【0247】
また、本実施形態によれば、アンテナパターン領域20は、複数のアンテナ配線21を連結する複数のアンテナ連結配線22を含む。これにより、アンテナ配線21を断線しにくくすることができ、アンテナ配線21のアンテナとしての機能が低下することを抑制することができる。
【0248】
(変形例)
次に、
図45乃至
図50を参照して、配線基板の各種変形例について説明する。
図45乃至
図50は、配線基板の各種変形例を示す図である。
図45乃至
図50に示す変形例は、アンテナパターン領域20および/または給電部40の構成が異なるものであり、他の構成は上述した
図38乃至
図44に示す実施形態と略同一である。
図45乃至
図50において、
図38乃至
図44に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0249】
(変形例1)
図45は、変形例1による配線基板10Pを示している。
図45において、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cに、空隙部61が形成されている。空隙部61は、平面視略長方形形状であり、その長手方向がY方向に平行となっている。空隙部61には、アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22が設けられておらず、基板11が露出している。この空隙部61の幅W
b(X方向の長さ)は、アンテナパターン領域20の幅W
aの例えば20%以上80%以下程度の範囲としても良い。
【0250】
アンテナパターン領域20は、空隙部61を介して分離された第1パターン領域20fと第2パターン領域20gとを有している。第1パターン領域20fおよび第2パターン領域20gには、それぞれ金属線が格子形状または網目形状に形成されている。第1パターン領域20fおよび第2パターン領域20gは、それぞれ複数のアンテナ配線21と、複数のアンテナ連結配線22とを含んでいる。
【0251】
アンテナパターン領域20の幅方向両縁部20e
1、20e
2は、第1パターン領域20fおよび第2パターン領域20gにそれぞれ配置されている。すなわちX方向マイナス側の幅方向縁部20e
1は、第1パターン領域20fに配置され、X方向プラス側の幅方向縁部20e
2は、第2パターン領域20gに配置されている。第1パターン領域20fおよび第2パターン領域20gの幅W
c(X方向の長さ)は、それぞれアンテナパターン領域20の幅W
aの例えば10%以上40%以下程度の範囲としても良い。なお、
図45において、第1パターン領域20fの幅W
cと第2パターン領域20gの幅W
cとが互いに等しいが、これらが互いに異なっていても良い。
【0252】
また、第1パターン領域20fおよび第2パターン領域20gは、中央パターン領域20hによって互いに電気的に接続されている。中央パターン領域20hには、それぞれ金属線が格子形状または網目形状に形成されている。中央パターン領域20hは、それぞれ複数のアンテナ配線21と、複数のアンテナ連結配線22とを含んでいる。また、中央パターン領域20hは、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cに配置されている。中央パターン領域20hの幅(X方向の長さ)は、空隙部61の幅Wbに等しい。また、中央パターン領域20hのY方向の長さLbは、例えば0.05mm以上5.0mm以下の範囲で選択することができる。
【0253】
図45において、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cにおける開口率Acは、幅方向縁部20e
1、20e
2における開口率Aeよりも高くなっている。すなわち、アンテナパターン領域20(中央パターン領域20h)の幅方向中央部20cにおけるアンテナ配線21のピッチは、アンテナパターン領域20(第1パターン領域20fおよび第2パターン領域20g)の幅方向縁部20e
1、20e
2におけるアンテナ配線21のピッチよりも広くなっている。これにより、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cと幅方向縁部20e
1、20e
2とで、電流分布を均一化することができる。さらに、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cに空隙部61が形成されていることにより、配線基板10の透明性を向上することができる。
【0254】
(変形例2)
図46は、変形例2による配線基板10Qを示している。
図46に示す配線基板10Qは、
図45(変形例1)に示す配線基板10Pの空隙部61に、ダミーパターン領域30を形成したものである。このダミーパターン領域30は、第1パターン領域20fと第2パターン領域20gとの間に設けられている。ダミーパターン領域30は、アンテナパターン領域20とは異なり、実質的にアンテナとしての機能を果たすことはない。
【0255】
ダミーパターン領域30は、所定の単位パターン形状をもつダミー配線30aの繰り返しから構成されている。すなわち、ダミーパターン領域30は、複数の同一形状のダミー配線30aを含んでおり、各ダミー配線30aは、それぞれアンテナパターン領域20(アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22)から電気的に独立している。また、複数のダミー配線30aは、ダミーパターン領域30内の全域にわたって規則的に配置されている。複数のダミー配線30aは、互いに平面方向に離間するとともに、基板11上に突出して島状に配置されている。すなわち各ダミー配線30aは、アンテナパターン領域20、給電部40および他のダミー配線30aから電気的に独立している。各ダミー配線30aは、それぞれ平面視略L字状である。なお、ダミー配線30aの幅(X方向の長さ)は、アンテナ配線21のピッチに合わせ、ダミーパターン領域30の幅方向(X方向)中央部から幅方向(X方向)側縁部に向けて徐々に狭くなっていても良い。
【0256】
この場合、ダミー配線30aは、上述したアンテナパターン領域20の単位パターン形状20a(
図40(a)参照)の一部が欠落した形状をもつ。すなわち、ダミー配線30aの形状は、アンテナパターン領域20のL字状の単位パターン形状20aの一部を除いた形状となる。これにより、アンテナパターン領域20とダミーパターン領域30との相違を目視で認識しにくくすることができ、基板11上に配置されたアンテナパターン領域20を見えにくくすることができる。
【0257】
このように、空隙部61にアンテナパターン領域20から電気的に独立したダミーパターン領域30が配置されていることにより、アンテナパターン領域20と空隙部61との境界を不明瞭にすることができる。これにより、ディスプレイ91の表面上でアンテナパターン領域20を見えにくくすることができ、画像表示装置90の使用者がアンテナパターン領域20を肉眼で認識しにくくすることができる。
【0258】
(変形例3)
図47は、変形例3による配線基板10Rを示している。
図47において、給電部40の幅方向中央部40cにおける長さ(Y方向の長さ)L
cが、給電部40の各幅方向縁部40e
1、40e
2における長さ(Y方向の長さ)L
dよりも長くなっている。すなわち給電部40は平面視で三角形形状であり、給電部40の(Y方向の長さ)長さは、幅方向中央部40cから各幅方向縁部40e
1、40e
2に向けて徐々に短くなっている。給電部40は、アンテナパターン領域20に電気的に接続される直線状の長辺41aと、長辺41aにそれぞれ連結された一対の直線状の短辺41b、41cとを有している。なお、給電部40の平面形状は、三角形形状に限られるものではない。例えば、短辺41b、41cを階段状または円弧等の弧状に形成しても良い。
【0259】
このように、給電部40の幅方向中央部40cにおける長さLcを、各幅方向縁部40e1、40e2における長さLdよりも長くすることにより、給電部40の幅方向中央部40cに電流が集中しやすくなっている。これにより、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cと幅方向縁部20e1、20e2とで電流分布がより均一化されるため、アンテナ特性をより向上させることができる。また、電流が集中しやすい給電部40の幅方向中央部40cの長さLcを長くすることにより、給電部40に生じる熱を分散させ、給電部40の温度上昇を抑えることができる。さらに、給電部40の全体の面積を減らすことができるので、配線基板10の軽量化を図ることができる。
【0260】
(変形例4)
図48は、変形例4による配線基板10Sを示している。
図48において、アンテナパターン領域20の幅方向中央部20cに、アンテナ配線21およびアンテナ連結配線22が設けられていない空隙部61が形成されている。また、アンテナパターン領域20は、空隙部61を介して分離された第1パターン領域20fと第2パターン領域20gとを有している。このアンテナパターン領域20の構成は、
図45(変形例1)に示す配線基板10Pのアンテナパターン領域20の構成と略同一である。
【0261】
また、給電部40は、三角形形状であり、給電部40の幅方向中央部40cにおける長さ(Y方向の長さ)が、給電部40の各幅方向縁部40e
1、40e
2における長さ(Y方向の長さ)よりも長くなっている。この給電部40の構成は、
図47(変形例3)に示す配線基板10Rの給電部40の構成と略同一である。
【0262】
この場合、配線基板10の透明性を向上することができるとともに、アンテナパターン領域20の電流分布をより均一化することができる。
【0263】
(変形例5)
図49は、変形例5による配線基板10Tを示している。
図49において、アンテナパターン領域20の中央パターン領域20hと、第1パターン領域20fおよび第2パターン領域20gとの間に、それぞれ接続パターン領域20m、20nが設けられている。一方の接続パターン領域20mは、中央パターン領域20hと第1パターン領域20fとの間に設けられ、他方の接続パターン領域20nは、中央パターン領域20hと第2パターン領域20gとの間に設けられている。接続パターン領域20m、20nは、それぞれ平面視略三角形形状であり、アンテナパターン領域20の幅方向(X方向)に対して斜めに形成された傾斜部20p、20qを有している。傾斜部20p、20qは、それぞれ直線状に延びているが、これに限らず、曲線状または階段状に延びていても良い。また接続パターン領域20m、20nは、中央パターン領域20hおよび第2パターン領域20gと同様、格子形状または網目形状に形成されたアンテナ配線21およびアンテナ連結配線22を含んでいる。このほかの構成は、
図48(変形例4)に示す配線基板10Sの構成と略同一である。
【0264】
この場合、配線基板10の透明性を向上することができるとともに、アンテナパターン領域20の電流分布をより均一化することができる。
【0265】
(変形例6)
図50は、変形例6による配線基板10Uを示している。
図50において、各アンテナパターン領域20は、アンテナとしての機能をもつ複数のアンテナ配線21と、複数のアンテナ配線21を連結する複数のアンテナ連結配線22とを含んでいる。この場合、複数のアンテナ配線21は、互いに等間隔に配置されている。また、複数のアンテナ連結配線22は、互いに等間隔に配置されている。なお、給電部40の構成は、
図47(変形例3)に示す配線基板10Rの給電部40の構成と略同一である。
【0266】
このように、複数のアンテナ配線21と複数のアンテナ連結配線22とがそれぞれ等間隔に配置されていることにより、各アンテナパターン領域20内で開口部23の大きさにばらつきがなくなり、アンテナパターン領域20を肉眼で視認しにくくすることができる。また、アンテナパターン領域20の電流分布をより均一化することができる。
【0267】
上記実施形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。