(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162245
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】異常検知システム、分電盤、異常検知方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/52 20200101AFI20231031BHJP
G01R 31/54 20200101ALI20231031BHJP
G01R 31/56 20200101ALI20231031BHJP
G01R 31/58 20200101ALI20231031BHJP
H02B 1/42 20060101ALI20231031BHJP
H02H 7/26 20060101ALI20231031BHJP
H02H 3/50 20060101ALI20231031BHJP
H02H 3/06 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G01R31/52
G01R31/54
G01R31/56
G01R31/58
H02B1/42
H02H7/26 C
H02H7/26 D
H02H7/26 A
H02H3/50 D
H02H3/06 B
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130316
(22)【出願日】2023-08-09
(62)【分割の表示】P 2019211838の分割
【原出願日】2019-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博
(72)【発明者】
【氏名】澤田 知行
(72)【発明者】
【氏名】松田 啓史
(72)【発明者】
【氏名】塩川 明実
(57)【要約】
【課題】配線の配線異常を検知しやすくすること。
【解決手段】異常検知システム100は、取得部711と、検知部712と、を備える。取得部711は、分電盤1に接続された回路C1に印加される電圧に関する電圧情報を取得する。検知部712は、取得部711で取得した電圧情報に基づいて回路C1における配線C11の配線異常を検知する。検知部712は、第1判定機能と、第2判定機能と、を含む複数の判定機能を有する。第1判定機能は、電圧情報が閾値を超えた場合に配線異常が発生したと判定する機能である。第2判定機能は、第1判定機能とは異なる判定手法により配線異常が発生したか否かを判定する機能である。第2判定機能では、検知部712は、電圧情報と複数の閾値とを比較することで、配線異常が発生したか否かを判定し、閾値毎に異なる条件にて配線異常が発生したか否かを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分電盤に接続された回路に印加される電圧に関する電圧情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得した前記電圧情報に基づいて前記回路における配線の配線異常を検知する検知部と、を備え、
前記検知部は、
前記電圧情報が閾値を超えた場合に前記配線異常が発生したと判定する第1判定機能と、
前記第1判定機能とは異なる判定手法により前記配線異常が発生したか否かを判定する第2判定機能と、を含む複数の判定機能を有し、
所定のトリガに応じて前記複数の判定機能のうちのいずれか1つの判定機能にて前記配線異常を検知し、
前記第2判定機能では、前記検知部は、前記電圧情報と複数の閾値とを比較することで、前記配線異常が発生したか否かを判定し、閾値毎に異なる条件にて前記配線異常が発生したか否かを判定する、
異常検知システム。
【請求項2】
前記第2判定機能では、前記検知部は、前記第1判定機能の前記閾値とは異なる閾値と前記電圧情報とを比較することで、前記配線異常が発生したか否かを判定する、
請求項1に記載の異常検知システム。
【請求項3】
前記第2判定機能では、前記検知部は、前記第1判定機能の前記閾値を超えた回数が所定時間において所定回数を超えたか否かにより、前記配線異常が発生したか否かを判定する、
請求項1又は2に記載の異常検知システム。
【請求項4】
前記配線異常が発生したか否かを判定する前記所定時間は、可変である、
請求項3記載の異常検知システム。
【請求項5】
前記第2判定機能では、前記検知部は、前記電圧情報の積算値が所定積算値を超えたか否かにより、前記配線異常が発生したか否かを判定する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の異常検知システム。
【請求項6】
前記検知部は、前記所定のトリガとして前記電圧情報が所定の条件を満たすと、前記第2判定機能にて前記配線異常の検知を行う、
請求項1~5のいずれか1項に記載の異常検知システム。
【請求項7】
前記取得部は、前記回路に流れる電流に関する電流情報を更に取得し、
前記検知部は、前記電圧情報及び前記電流情報に基づいて、前記配線異常が検知された前記回路を遮断するか否かを判定する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の異常検知システム。
【請求項8】
前記検知部にて前記配線異常が検知され、かつ、前記配線異常が検知された前記回路を流れる電流が閾値電流を超えると、当該回路が接続される分岐ブレーカを遮断させる遮断制御部を更に備える、
請求項7記載の異常検知システム。
【請求項9】
前記検知部にて前記配線異常が検知されると、主幹ブレーカを遮断させる遮断制御部を更に備える、
請求項7記載の異常検知システム。
【請求項10】
前記遮断制御部は、流れる電流又は通過する電力が所定値よりも小さい前記回路を遮断状態から復帰させる、
請求項8又は9に記載の異常検知システム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の異常検知システムと、
前記異常検知システムを収容する分電盤用キャビネットと、を備える、
分電盤。
【請求項12】
分電盤に接続された回路に印加される電圧に関する電圧情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記電圧情報に基づいて前記回路における配線の配線異常を検知する検知ステップと、を有し、
前記検知ステップは、
前記電圧情報が閾値を超えた場合に前記配線異常が発生したと判定する第1判定ステップと、
前記第1判定ステップとは異なる判定手法により前記配線異常が発生したか否かを判定する第2判定ステップと、を含む複数の判定ステップを有し、
所定のトリガに応じて前記複数の判定ステップのうちのいずれか1つの判定ステップにて前記配線異常を検知し、
前記第2判定ステップでは、前記電圧情報と複数の閾値とを比較することで、前記配線異常が発生したか否かを判定し、閾値毎に異なる条件にて前記配線異常が発生したか否かを判定する、
異常検知方法。
【請求項13】
1以上のプロセッサに、
請求項12記載の異常検知方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に異常検知システム、分電盤、異常検知方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、分電盤に接続されている回路に含まれる配線の異常を検知する異常検知システム、分電盤、異常検知方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャビネットの内部に、内器として主幹開閉器と複数の分岐開閉器とを収納した分電盤が開示されている。主幹開閉器及び分岐開閉器はそれぞれ漏電保護機能を有している。主幹開閉器及び分岐開閉器の漏電保護機能が漏電を検出すると、接点部を強制的に開極させて、回路を保護している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、配線の配線異常を検知しやすくなる異常検知システム、分電盤、異常検知方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る異常検知システムは、取得部と、検知部と、を備える。前記取得部は、分電盤に接続された回路に印加される電圧に関する電圧情報を取得する。前記検知部は、前記取得部で取得した前記電圧情報に基づいて前記回路における配線の配線異常を検知する。前記検知部は、第1判定機能と、第2判定機能と、を含む複数の判定機能を有する。前記第1判定機能は、前記電圧情報が閾値を超えた場合に前記配線異常が発生したと判定する機能である。前記第2判定機能は、前記第1判定機能とは異なる判定手法により前記配線異常が発生したか否かを判定する機能である。前記検知部は、所定のトリガに応じて前記複数の判定機能のうちのいずれか1つの判定機能にて前記配線異常を検知する。前記第2判定機能では、前記検知部は、前記電圧情報と複数の閾値とを比較することで、前記配線異常が発生したか否かを判定し、閾値毎に異なる条件にて前記配線異常が発生したか否かを判定する。
【0006】
本開示の一態様に係る分電盤は、上記の異常検知システムと、前記異常検知システムを収容する分電盤用キャビネットと、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係る異常検知方法は、取得ステップと、検知ステップと、を有する。前記取得ステップは、分電盤に接続された回路に印加される電圧に関する電圧情報を取得するステップである。前記検知ステップは、前記取得ステップで取得した前記電圧情報に基づいて前記回路における配線の配線異常を検知するステップである。前記検知ステップは、第1判定ステップと、第2判定ステップと、を含む複数の判定ステップを有する。前記第1判定ステップは、前記電圧情報が閾値を超えた場合に前記配線異常が発生したと判定するステップである。前記第2判定ステップは、前記第1判定ステップとは異なる判定手法により前記配線異常が発生したか否かを判定するステップである。前記検知ステップは、所定のトリガに応じて前記複数の判定ステップのうちのいずれか1つの判定ステップにて前記配線異常を検知する。前記第2判定ステップでは、前記電圧情報と複数の閾値とを比較することで、前記配線異常が発生したか否かを判定し、閾値毎に異なる条件にて前記配線異常が発生したか否かを判定する。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の異常検知方法を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、配線の配線異常を検知しやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る異常検知システム及び異常検知システムが用いられる分電盤の概略構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は、同上の分電盤において蓋体及びカバーが外された状態を正面から見た説明図である。
【
図3】
図3は、同上の異常検知システムの検知部が有する第1判定機能の一例の説明図である。
【
図4】
図4は、同上の異常検知システムの検知部が有する第2判定機能の一例の説明図である。
【
図5】
図5は、同上の異常検知システムの検知部が有する第2判定機能の一例の説明図である。
【
図6】
図6は、同上の異常検知システムの検知部が有する第2判定機能の一例の説明図である。
【
図7】
図7は、同上の異常検知システムの遮断制御部において参照する回路を流れる電流と回路に印加される電圧との相関図である。
【
図8】
図8は、同上の異常検知システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図9】
図9は、同上の異常検知システムの検知部が有する第1判定機能の他の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)概要
本実施形態の異常検知システム100は、
図1に示すように、分電盤1に接続されている回路C1に含まれる配線C11の配線異常を検知するために用いられる。異常検知システム100は、取得部711と、検知部712と、を備えている。本実施形態では、異常検知システム100の構成要素は、分電盤1の内部に配置される監視ユニット7(後述する)が有している。
【0012】
取得部711は、分電盤1に接続された回路C1に印加される電圧に関する電圧情報を取得する。本開示でいう「分電盤に接続された回路」は、分電盤1の内部に設置されている主幹ブレーカ3、分岐ブレーカ4、感震ブレーカ5、及び連系ブレーカ6を含み得る。また、本開示でいう「分電盤に接続された回路」は、分岐ブレーカ4の二次側に電気的に接続されるコンセント22若しくは電気機器24、又は分岐ブレーカ4の二次側に直接、電気的に接続される電気機器23を含み得る。さらに、本開示でいう「分電盤に接続された回路」は、連系ブレーカ6の二次側に電気的に接続される分散電源21を含み得る。以下では、主幹ブレーカ3、分岐ブレーカ4、感震ブレーカ5、及び連系ブレーカ6を特に区別しない場合、「開閉器2」という。本実施形態では、電圧情報は、主幹ブレーカ3の二次側の回路にて電圧計測装置を用いて計測することで得られる、主幹ブレーカ3の二次側電圧に関する情報である。
【0013】
検知部712は、取得部711で取得した電圧情報に基づいて、回路C1における配線C11の配線異常を検知する。本開示でいう「配線異常」は、回路C1に含まれている配線C11における絶縁劣化又は半断線等の異常を含み得る。本開示でいう「半断線」は、断線しかかっている状態を意味し、具体的には、配線C11がより線であれば、より線を構成する複数本の素線のうちの一部の素線が断線した状態である。
【0014】
配線異常は、一例として、配線C11が一対の電線で構成される場合に、一対の電線間が短絡することでアーク(いわゆるパラレルアーク)が発生することを含み得る。パラレルアークは、例えば施設500にある器物(例えば、家具等)の端縁に配線C11が引っ掛かることで被覆が損傷したり、ステップル等の金属製の部材で配線C11を挟み込んだりすることで生じ得る。また、パラレルアークは、例えば配線C11に過電流が流れて被覆が溶融したり、動物が配線C11を噛んだりすることで生じ得る。その他、パラレルアークは、配線C11が長期的に紫外線を浴び続けることで劣化した場合にも生じ得る。
【0015】
また、配線異常は、一例として、配線C11が一対の電線で構成される場合に、一対の電線のうちの一方が半断線することでアーク(いわゆるシリーズアーク)が発生することを含み得る。シリーズアークは、例えば配線C11を繰り返し曲げられたり、配線C11を過度な力で引っ張られたりすることで生じ得る。
【0016】
検知部712は、第1判定機能と、第2判定機能と、を含む複数の判定機能を有している。
【0017】
第1判定機能は、電圧情報が閾値Th1(
図3参照)を超えた場合に配線異常が発生したと判定する機能である。本実施形態では、検知部712は、第1判定機能においては、主幹ブレーカ3の二次側電圧に関する電圧値が閾値Th1を超えるか否かにより、配線C11に配線異常が発生したか否かを判定する。
【0018】
第2判定機能は、第1判定機能とは異なる判定手法により配線異常が発生したか否かを判定する機能である。つまり、検知部712は、第2判定機能においては、主幹ブレーカ3の二次側電圧と閾値Th1とを比較する手法以外の手法により、配線C11に配線異常が発生したか否かを判定する。
【0019】
そして、検知部712は、所定のトリガに応じて複数の判定機能のうちのいずれか1つの判定機能にて配線異常を検知する。本開示でいう「所定のトリガ」は、一例として、監視ユニット7にて分電盤1のユーザによる所定の操作入力を受け付けることである。例えば、検知部712は、ユーザによる所定の操作入力に応じて、第1判定機能及び第2判定機能のうちのいずれか1つの判定機能により、配線C11の配線異常を検知する。
【0020】
上述のように、本実施形態では、検知部712は、第1判定機能の他に、第2判定機能を含む複数の判定機能を有している。このため、検知部712は、仮に第1判定機能では配線C11の配線異常の発生を判定できない場合であっても、第2判定機能では配線C11の配線異常の発生を判定することができる可能性がある。したがって、本実施形態では、単一の機能(ここでは、第1判定機能)のみにより配線C11の配線異常が発生したか否かを判定する態様と比較して、配線C11の配線異常を検知しやすい、という利点がある。
【0021】
(2)詳細
以下、本実施形態の異常検知システム100及び異常検知システム100を備える分電盤1について
図1及び
図2を用いて詳細に説明する。
【0022】
分電盤1の分電盤用キャビネット10(
図2参照)は、例えば、戸建て住宅又は集合住宅の住戸等の施設500に設置されて使用される。なお、分電盤1が設置される施設500は、戸建て住宅又は集合住宅の各住戸に限定されず、非住宅の建物(例えば、工場、商業用ビル、オフィスビル、病院、学校等)に設置されてもよい。
【0023】
以下の説明では、特に断りがない限り、
図2においてX軸方向を左右方向、Z軸方向を上下方向と規定する。また、X軸方向及びZ軸方向とそれぞれ直交する方向を前後方向と規定する。さらに、X軸方向の正の向きを右側、Z軸方向の正の向きを上側と規定する。ただし、これらの方向は一例であり、分電盤用キャビネット10及び分電盤1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0024】
(2.1)分電盤
まず、分電盤1について説明する。分電盤1は、
図1に示すように、異常検知システム100と、異常検知システム100を収容する分電盤用キャビネット10と、を備えている。分電盤用キャビネット10は、
図2に示すように、主幹ブレーカ3と、複数の開閉器2と、監視ユニット7と、電流計測装置8と、バックアップ電源9(
図1参照)と、を収容する。ここで、開閉器2は、複数の分岐ブレーカ4と、感震ブレーカ5と、連系ブレーカ6と、を含んでいる。なお、分電盤用キャビネット10が、監視ユニット7、電流計測装置8、及びバックアップ電源9を収容することは必須ではなく、監視ユニット7、電流計測装置8及びバックアップ電源9の少なくとも一部が分電盤用キャビネット10外にあってもよい。
【0025】
分電盤用キャビネット10は、前面が開口した箱状のボディ11(
図2参照)と、ボディ11の開口を塞ぐカバーと、を備えている。
図2においては、カバーの図示を省略している。分電盤用キャビネット10は、例えば建物の壁110(
図2参照)等、建物を構成する部材に取り付けられる。なお、分電盤用キャビネット10は、壁110に設けられた取付孔に一部又は全体が埋め込まれた状態で取り付けられてもよい。分電盤用キャビネット10は、例えば、平均的な身長の子供では手が届かないような高さ位置であって、平均的な身長の大人であれば操作が可能なような高さ位置に設けられる。
【0026】
また、分電盤用キャビネット10は、分電盤用キャビネット10が壁110に取り付けられた状態でカバーの前面を覆う蓋体を更に備える。蓋体は、閉位置と開位置との間で移動可能な状態でカバーに取り付けられる。閉位置は、カバーの前面を覆う位置である。開位置は、カバーの前面の少なくとも一部を覆わない位置である。なお、蓋体は、ある方向からカバーを見た場合にカバーの前面の一部を覆っていればよく、本実施形態では、閉位置にある蓋体は、カバーを前方から見た場合にカバーの前面の略全体を覆っている。
【0027】
分電盤用キャビネット10の内部には、
図2に示すように、主幹ブレーカ3、複数の分岐ブレーカ4、感震ブレーカ5、連系ブレーカ6、監視ユニット7、及び電流計測装置8が収容されている。主幹ブレーカ3、複数の分岐ブレーカ4、感震ブレーカ5、連系ブレーカ6、監視ユニット7、及び電流計測装置8は、ボディ11に直接又は取付用の部品等を介して取り付けられている。
図2は、分電盤用キャビネット10の内部における主幹ブレーカ3、複数の分岐ブレーカ4、感震ブレーカ5、連系ブレーカ6、監視ユニット7、及び電流計測装置8の配置を示しているが、これらの配置は一例であり、適宜変更が可能である。また、
図2ではバックアップ電源9の図示を省略しているが、バックアップ電源9は分電盤用キャビネット10の内部の適宜の位置に配置されていればよい。
【0028】
主幹ブレーカ3は、分電盤用キャビネット10の内部において、左右方向の中央よりもやや左側の位置に配置されている。なお、分電盤用キャビネット10の内部での主幹ブレーカ3の位置は、例えば中央よりも右側等、他の位置であってもよい。主幹ブレーカ3は、一次側端子と二次側端子との間に電気的に接続された接点31(
図1参照)を備える。主幹ブレーカ3は、接点31をオン又はオフにするための操作レバーを前面に備えている。また、主幹ブレーカ3は、例えば接点31に漏電電流が流れる異常状態を検出する検出部32(
図1参照)を備えている。主幹ブレーカ3は、検出部32にて接点31に漏電電流が流れる異常状態を検出すると、接点31を開極させる。これにより、主幹ブレーカ3は、主幹ブレーカ3の二次側の回路への電力供給を遮断し、回路を保護している。また、主幹ブレーカ3は、検出部32にて短絡電流又は過負荷電流等の過電流を検出すると、接点31を開極させる。また、主幹ブレーカ3の検出部32は、単相三線式配線における中性線の欠相状態を検出する機能を有する。そして、主幹ブレーカ3は、検出部32が中性線の欠相状態を検出すると、接点31を開極させる。なお、主幹ブレーカ3は、所定の制限値を超える電流が流れると、接点31を開極させるリミッタ機能を備えていてもよい。
【0029】
主幹ブレーカ3の二次側端子には、単相三線式配線における第1電圧極(L1相)の導電バー、第2電圧極(L2相)の導電バー、及び中性極(N相)の導電バーが接続されている。各導電バーは、導電部材により左右方向に長い長尺板状に形成されており、分電盤用キャビネット10の内部において、上下方向の中央であって主幹ブレーカ3の右側の位置に配置されている。
【0030】
複数の分岐ブレーカ4は、各導電バーの上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ左右方向に並ぶように配置されている。本実施形態では、
図2に示すように、各導電バーの上側には、12個の分岐ブレーカ4が左右方向に並ぶように配置されている。また、各導電バーの下側には、11個の分岐ブレーカ4が左右方向に並ぶように配置されている。
【0031】
各分岐ブレーカ4は、一対の一次側端子と、一対の二次側端子と、を備えている。各分岐ブレーカ4は、一次側端子と二次側端子との間に電気的に接続される接点を有している。各分岐ブレーカ4の前面には、各分岐ブレーカ4が内蔵する接点をオン又はオフにするための操作レバーが設けられている。
【0032】
分岐ブレーカ4には、100V用と200V用とがある。100V用の分岐ブレーカ4が備える一対の一次側端子は、第1電圧極の導電バー及び第2電圧極の導電バーのうちの一方と、中性極の導電バーとにそれぞれ電気的に接続される。200V用の分岐ブレーカ4が備える一対の一次側端子は、第1電圧極の導電バーと、第2電圧極の導電バーとにそれぞれ電気的に接続される。また、分岐ブレーカ4の二次側端子には、対応する配線C11が電気的に接続される。各分岐ブレーカ4の二次側端子に接続された配線C11には、例えば、照明器具、給湯設備等の電気機器23、コンセント22(
図1参照)又は壁スイッチ等の配線器具が負荷として1つ以上接続される。したがって、分電盤1は、分岐ブレーカ4の二次側端子に配線C11を介して接続された電気機器23、又はコンセント22に接続された電気機器24(例えば空調機器又はテレビ受像機等)等に電力を供給することができる。
【0033】
また、分岐ブレーカ4は、分岐ブレーカ4が内蔵する接点に、短絡電流又は過負荷電流等の過電流が流れる異常状態を検出する検出部41(
図1参照)を備えている。分岐ブレーカ4は、検出部41にて接点に過電流が流れる異常状態を検出すると、接点を開極させる。これにより、分岐ブレーカ4は、分岐ブレーカ4の二次側の回路への電力供給を遮断し、回路を保護している。また、検出部41は、分岐ブレーカ4に接続された配線C11の漏電状態を検出する機能を備えている。そして、分岐ブレーカ4は、検出部41が漏電の発生を検出すると、接点を開極させる。
【0034】
感震ブレーカ5は、導電バーの下側において、分岐ブレーカ4と左右方向に並ぶように配置されている。感震ブレーカ5は、分電盤用キャビネット10に加わる振動を検出する感震センサ51を有している。感震センサ51が所定の基準値(例えば震度5の地震動)を超える大きさの振動を検出すると、感震ブレーカ5は回路を遮断する遮断動作を行う。感震ブレーカ5は、例えば第1電圧極又は第2電圧極と中性極との間を比較的低抵抗のインピーダンス要素を介して電気的に接続することで疑似的な漏電状態を発生させる。感震ブレーカ5が疑似的な漏電状態を発生させると、主幹ブレーカ3の検出部32が、感震ブレーカ5が発生させた疑似的な漏電状態を検出し、主幹ブレーカ3が接点31を開極させる。これにより、地震等によって分電盤用キャビネット10に基準値を超える大きさの振動が加わると、主幹ブレーカ3の二次側に接続された回路への電力供給を遮断することができる。
【0035】
連系ブレーカ6には、施設500に設けられた分散電源21が接続される。連系ブレーカ6は、主幹ブレーカ3の二次側端子に電気的に接続された導電バーと、分散電源21との間に電気的に接続される。連系ブレーカ6の接点がオンになると、分散電源21が系統電源20と連系して負荷に電力を供給することができる。一方、連系ブレーカ6の接点がオフになると、分散電源21が系統電源20から解列される。連系ブレーカ6は、例えば漏電の発生を検出する検出機能を有している。連系ブレーカ6の検出機能が漏電の発生を検出すると、連系ブレーカ6は遮断動作を行い、分散電源21を系統電源20から解列させる。なお、連系ブレーカ6は、短絡電流等の過電流を検出する検出機能を備えていてもよく、連系ブレーカ6の検出機能が過電流を検出すると、連系ブレーカ6が遮断動作を行うように構成されてもよい。
【0036】
電流計測装置8は、複数の分岐ブレーカ4の各々に接続された負荷(電気機器23,24等)に流れる電流を計測するように構成されている。電流計測装置8は、例えば、基板と、複数のコイルと、を有している。基板は、左右方向に長い板状である。基板には、複数の孔が形成されている。複数の孔には、導電バーから延びて分岐ブレーカ4の一次側端子に接続される端子がそれぞれ挿入される。コイルは、例えばロゴスキコイルであり、基板の孔の周りに形成されている。本実施形態では、電流計測装置8は、複数の分岐ブレーカ4及び連系ブレーカ6の各々に流れる電流を計測する。ここにおいて、電流計測装置8(電流センサ)は、分電盤1が設置される施設500で使用されるエネルギーを管理するエネルギーマネジメントシステムに用いられるセンサと共用される。なお、電流計測装置8はロゴスキコイルを有する態様に限定されず、例えば、変流器(カレントトランス)、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子等の磁気抵抗素子、シャント抵抗等のセンサを有する態様でもよい。
【0037】
バックアップ電源9は、ニッケル水素電池又はリチウムイオン電池等の二次電池であるバッテリ91と、バッテリ91を充電する充電回路とを含む。バックアップ電源9の充電回路は、主幹ブレーカ3の一次側から電力の供給を受けて、バッテリ91を充電する。バックアップ電源9は、系統電源20が停電した場合に、バッテリ91を電源として監視ユニット7等に電力を供給する。したがって、系統電源20が停電した場合でも、監視ユニット7は、バックアップ電源9から電力の供給を受けて動作することができる。系統電源20の正常時には、監視ユニット7は、主幹ブレーカ3の一次側(系統電源20)から電力の供給を受けて動作する。
【0038】
ここで、開閉器2は、通信部201を更に備えている。通信部201は、監視ユニット7の第1通信部72(後述する)と通信可能に構成されている。通信部201は、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、監視ユニット7との間で信号を授受する。ここでは、複数の開閉器2の各々には固有のアドレスが設定されている。つまり、通信部201は、開閉器2に設定されたアドレス(メモリ等に記憶されたアドレス)を用いて、監視ユニット7と通信を行う。
【0039】
本実施形態では、通信部201と監視ユニット7とは、互いに双方向に通信可能であって、通信部201から監視ユニット7への信号の送信、及び監視ユニット7から通信部201への信号の送信の両方が可能である。
【0040】
また、本実施形態では、通信部201は、電流計測装置8の基板を、監視ユニット7との間の通信経路の少なくとも一部に用いる。言い換えれば、基板の導電層が、通信部201と監視ユニット7との間の通信経路の一部を構成する。通信部201と基板との間の通信方式は、例えば、RS-485、又は有線LAN等の通信規格に準拠した有線通信を適宜採用可能である。
【0041】
(2.2)異常検知システム
次に、異常検知システム100について
図1を用いて説明する。本実施形態では、既に述べたように、異常検知システム100の構成要素は監視ユニット7に含まれているので、以下では、監視ユニット7の説明と併せて、異常検知システム100について説明する。
【0042】
監視ユニット7は、分電盤用キャビネット10の内部において、主幹ブレーカ3の左側に配置されている。監視ユニット7は、主幹ブレーカ3の一次側から電力の供給を受けて動作するので、主幹ブレーカ3が遮断動作を行った場合でも動作が可能である。なお、系統電源20が停電した場合には、監視ユニット7は、バックアップ電源9から電力の供給を受けるので、系統電源20の停電時でも動作が可能である。
【0043】
より詳しくは、本実施形態の監視ユニット7は、制御部71と、第1通信部72と、第2通信部73と、記憶部74と、を備えている。
【0044】
第1通信部72は、施設500に設置されたコントローラ25等との間で通信を行う。コントローラ25は、HEMS(Home Energy Management System)に対応する機器(以下、HEMS対応機器という)の制御又は監視を行う。つまり、コントローラ25は、監視ユニット7と通信を行うことによって、複数の分岐ブレーカ4に接続された複数の負荷(電気機器23,24等)の各々での瞬時電力や電力量を取得することができ、HEMS対応機器を制御又は監視することができる。コントローラ25は、分電盤用キャビネット10の外部に配置されている。ここに、HEMS対応機器は、例えばスマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、エアコン、照明器具、給湯装置、冷蔵庫、又はテレビ受像機等を含む。なお、HEMS対応機器は、これらの機器に限定されない。
【0045】
第1通信部72とコントローラ25との間の通信方式は、例えば、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信である。第1通信部72とコントローラ25との間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信であってもよい。また、第1通信部72とコントローラ25との間の通信における通信プロトコルは、例えば、Ethernet(登録商標)、ECHONET Lite(登録商標)等である。
【0046】
また、既に述べたように、第1通信部72は、電流計測装置8の基板の導電層の一部を用いて、各開閉器2の通信部201との間で通信を行う。
【0047】
第2通信部73は、インターネットのような広域ネットワーク200を介して、管理サーバ300及び情報端末400と通信する通信機能を有している。ここにおいて、情報端末400は、例えば分電盤1のユーザが携帯する端末であり、例えばスマートフォン又はタブレット型のコンピュータである。また、情報端末400は、例えばデスクトップ型又はラップトップ型のパーソナルコンピュータ等であってもよい。
【0048】
記憶部74は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の電気的に書換え可能な不揮発性メモリ、及びRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリ等を備える。記憶部74は、配線C11に配線異常が発生した場合における検知部712の検知結果を記憶する。
【0049】
制御部71は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、制御部71としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0050】
制御部71は、取得部711、検知部712、出力部713、及び遮断制御部714の機能を備える。
【0051】
取得部711は、分電盤1内の主幹ブレーカ3及び分岐ブレーカ4の少なくとも一方を通過する電力を計測する。本実施形態の監視ユニット7は、主幹ブレーカ3に流れる電流を計測する主幹電流計測装置、及び電流計測装置8と電気的に接続されている。ここに、主幹電流計測装置は、例えばカレントトランス(CT)からなる電流センサを備えている。取得部711は、電流計測装置8が計測した複数の分岐ブレーカ4及び連系ブレーカ6の各々に流れる電流値を、電流計測装置8から受け取る。つまり、取得部711は、分電盤1に接続された複数の回路C1の各々に流れる電流に関する電流情報を取得する。さらに、取得部711は、主幹電流計測装置が計測した電流値を主幹電流計測装置から受け取る。取得部711は、電流計測装置8、及び主幹電流計測装置が計測した電流値のそれぞれを電力値(瞬時電力値)に変換する。また、取得部711は、収集した瞬時電力のデータを所定時間に亘って積算した電力量のデータを演算する機能を有している。
【0052】
また、本実施形態では、取得部711は、主幹ブレーカ3の二次側の回路にて電圧計測装置が計測した、第1電圧極と中性極との線間電圧、第2電圧極と中性極との線間電圧、及び第1電圧極と第2電圧極との線間電圧の電圧値を、電圧計測装置から受け取る。つまり、取得部711は、分電盤1に接続された回路C1に印加される電圧に関する電圧情報(主幹ブレーカ3の二次側の回路にて2極間に印加される電圧の電圧値)を取得する。
【0053】
検知部712は、分電盤1に接続されている回路C1に含まれる配線C11における配線異常を検知する。検知部712は、取得部711で取得した回路C1に印加される電圧に関する電圧情報に基づいて、いずれかの回路C1に含まれる配線C11の配線異常を検知する。検知部712で検知された配線C11の配線異常に関する検知結果は、記憶部74に記憶される。
【0054】
本実施形態では、検知部712は、配線C11の配線異常として、アークの発生を検知することが可能である。具体的には、検知部712は、アーク短絡保護遮断器(AFCI:Arc Fault Circuit Interrupter)と同様の技術により、配線C11でアークが発生しているか否かを判定することができる。すなわち、アーク短絡保護遮断器では、電子回路を使用して、配線C11で発生するアークに特有の電流特性及び電圧特性を認識し、配線C11で発生するアークを検知できる。これと同様の原理により、検知部712は、配線C11でアークが発生しているか否かを判定することが可能である。
【0055】
ここで、本実施形態では、検知部712は、第1判定機能と、第2判定機能と、を含む複数の判定機能を有している。そして、検知部712は、所定のトリガとしてのユーザによる操作入力に応じて、複数の判定機能のうちのいずれか1つの判定機能にて配線異常を検知する。本実施形態では、例えば監視ユニット7に備え付けの操作部(一例として、ディップスイッチ)をユーザが操作することにより、検知部712が用いる判定機能を切り替えることが可能である。
【0056】
第1判定機能では、検知部712は、取得部711にて取得した電圧情報と、閾値Th1(
図3参照)とを比較する。そして、検知部712は、電圧情報が閾値Th1を超えた場合に、配線C11にアークが発生した、つまり配線C11に配線異常が発生したと判定する。例えば、第1電圧極と第2電圧極とをつなぐ電路、第1電圧極と中性極とをつなぐ電路、及び第2電圧極と中性極とをつなぐ電路には、それぞれコンデンサ及び抵抗を直列に接続したCR回路が並列に接続される。そして、検知部712は、これらCR回路の各々について、抵抗の両端に印加される電圧の電圧値が閾値Th1を超えると、対応するCR回路につながっている配線C11にアークが発生した、つまり配線C11に配線異常が発生したと判定する。つまり、検知部712は、これらの電路において、アークの発生に起因する高周波ノイズが発生した場合に、配線C11に配線異常が発生したと判定する。以下、特に断りの無い限り、上記電圧値を「電圧情報」という。
【0057】
第2判定機能では、検知部712は、第1判定機能とは異なる判定手法により、配線C11にアークが発生したか否か、つまり配線C11に配線異常が発生したか否かを判定する。以下、第2判定機能について列挙する。本実施形態では、検知部712の有する複数の判定機能には、以下に列挙する全ての第2判定機能が含まれていてもよいし、一部の第2判定機能のみが含まれていてもよい。つまり、検知部712は、複数の判定機能として、第1判定機能と、1つの第2判定機能と、を少なくとも有していればよい。
【0058】
第2判定機能では、検知部712は、電圧情報と複数の閾値Th2とを比較することで、配線異常が発生したか否かを判定してもよい。例えば、
図4に示すように、検知部712は、取得部711にて取得した電圧情報と、複数(ここでは、3つ)の閾値Th2とを比較する。3つの閾値Th2は、小さい方から順に「第1閾値Th21」、「第2閾値Th22」、及び「第3閾値Th23」とする。
【0059】
そして、検知部712は、閾値Th2ごとに配線C11に配線異常が発生したと判定する条件を異ならせている。例えば、検知部712は、電圧情報が第1閾値Th21を超えた回数が所定時間において5回を超えた場合、配線C11に配線異常が発生したと判定する。また、例えば、検知部712は、電圧情報が第2閾値Th22を超えた回数が所定時間において2回を超えた場合、配線C11に配線異常が発生したと判定する。また、例えば、検知部712は、電圧情報が第3閾値Th23を1回でも超えると、配線C11に配線異常が発生したと判定する。
【0060】
また、第2判定機能では、検知部712は、第1判定機能の閾値Th1とは異なる閾値Th2と電圧情報とを比較することで、配線異常が発生したか否かを判定してもよい。例えば、検知部712は、取得部711にて取得した電圧情報と、
図4に示すような閾値Th2とを比較する。閾値Th2は、第1判定機能の閾値Th1と異なっていればよく、第1閾値Th21~第3閾値Th23のうちのいずれか1つの閾値であってもよいし、これらの閾値とは異なる閾値であってもよい。そして、検知部712は、電圧情報が閾値Th2を超えると、配線C11に配線異常が発生したと判定する。
【0061】
また、第2判定機能では、検知部712は、第1判定機能の閾値Th1を超えた回数が所定時間において所定回数を超えたか否かにより、配線異常が発生したか否かを判定してもよい。例えば、検知部712は、判定期間(所定時間)T1(
図3参照)において、電圧情報が閾値Th1を超えた回数が所定回数を超えた場合に、配線C11に配線異常が発生したと判定する。
【0062】
ここで、配線異常が発生したか否かを判定する判定期間T1は、可変であってもよい。判定期間T1は、例えばユーザが監視ユニット7を操作することにより適宜設定することが可能である。例えば、
図6に示すように、検知部712は、判定期間T1を更に長くした判定期間T2において、配線C11に配線異常が発生するか否かを判定してもよい。この態様では、判定期間T1では電圧情報が閾値Th1を超えた回数が所定回数に達しない場合でも、判定期間T2では電圧情報が閾値Th1を超えた回数が所定回数に達すれば、検知部712は、配線C11に配線異常が発生したと判定することができる。
【0063】
また、第2判定機能では、検知部712は、電圧情報の積算値が所定積算値Th3を超えたか否かにより、配線異常が発生したか否かを判定してもよい。例えば、
図5に示すように、検知部712は、取得部711にて取得した電圧情報の積算値と、所定積算値Th3とを比較する。
図5に示す例では、電圧情報の瞬時値を実線で、電圧情報の積算値を一点鎖線で表している。電圧情報の積算値は、例えばオペアンプ等の演算増幅器を用いた積分回路に電圧情報を入力することで得られる。そして、検知部712は、電圧情報の積算値が所定積算値Th3を超えると、配線C11に配線異常が発生したと判定する。
【0064】
出力部713は、検知部712での検知結果に応じた出力を行う。本実施形態では、出力部713は、少なくとも配線C11の配線異常の発生時に、配線異常に関する検知結果を提示する処理を実行する。例えば、出力部713は、監視ユニット7に備え付けの表示装置(例えば、液晶ディスプレイ等)、又は監視ユニット7に接続された表示装置に文字列及び/又は画像を表示することにより、ユーザに対して検知結果を視覚的に提示する。また、例えば、出力部713は、監視ユニット7に備え付けのLED(Light Emitting Diode)等の固体発光素子を含む光源を点灯させることにより、ユーザに対して検知結果を視覚的に提示する。また、例えば、出力部713は、監視ユニット7に備え付けのスピーカ、又は監視ユニット7に接続されたスピーカから音声メッセージを出力することにより、ユーザに対して検知結果を聴覚的に提示する。
【0065】
また、出力部713は、第2通信部73を介して、検知部712の検知結果をユーザの有する情報端末400に送信する。一例として、出力部713は、検知部712にて配線C11の配線異常が検知されると、検知結果を含む信号を、第2通信部73を介して情報端末400へ送信する。ユーザは、情報端末400を操作して、例えばメールを閲覧したり、情報端末400にインストールされている監視システム100用のアプリケーションを起動したりすることにより、検知部712の検知結果を知ることができる。
【0066】
遮断制御部714は、回路C1を制御するための制御信号を回路C1へ出力する。つまり、遮断制御部714は、複数の回路C1の各々を制御することが可能である。本開示でいう「回路C1の制御」は、回路C1への電力供給の遮断、回路C1の復旧、及び回路C1を流れる電流の制限等を含み得る。一例として、遮断制御部714は、分岐ブレーカ4に制御信号を出力することで、分岐ブレーカ4に内蔵の接点を開極させることで、分岐ブレーカ4を含む回路C1への電力供給を遮断させることが可能である。
【0067】
本実施形態では、遮断制御部714は、例えば検知部712にて配線C11の配線異常が検知されるという第1遮断条件を満たした場合に、配線異常が検知された配線C11を含む回路C1に、回路C1への電力供給を遮断させるための制御信号を出力する。ここで、配線C11にてアークが発生すると、アークの発生に起因して電気火災等が生じる可能性がある。そこで、本実施形態では、配線C11の配線異常を検知した場合に、回路C1への電力供給を遮断することで、電気火災の発生を未然に防ぐことが可能である。
【0068】
また、本実施形態では、遮断制御部714は、以下に示す第2遮断条件を満たした場合に、配線異常が検知された配線C11を含む回路C1に、制御信号を出力することも可能である。第1遮断条件及び第2遮断条件のいずれを採用するかは、例えば監視ユニット7に備え付けの操作部をユーザが操作することにより、選択可能である。
【0069】
第2遮断条件を満たすか否かを判定する際には、検知部712は、電圧情報のみならず、電流情報を参照する。つまり、取得部711は、回路C1に流れる電流に関する電流情報を更に取得する。そして、検知部712は、電圧情報及び電流情報に基づいて、配線異常が検知された回路C1を遮断するか否かを判定する。具体的には、検知部712は、電圧情報に基づいて配線C11の配線異常が発生したか否かを判定する。そして、検知部712は、配線C11の配線異常が発生したと判定した場合に、電流情報が閾値電流を超えると、第2遮断条件を満たしたと判定する。すると、遮断制御部714は、配線異常が検知された配線C11を含む回路C1に、制御信号を出力する。つまり、遮断制御部714は、検知部712にて配線異常が検知され、かつ、配線異常が検知された回路C1を流れる電流が閾値電流を超えると、当該回路C1が接続される分岐ブレーカ4を遮断させる。
【0070】
以下、遮断制御部714による第2遮断条件に基づく制御の一例について、
図7を参照して説明する。
図7に示す例では、検知部712は、2つの電圧閾値Th41,Th42と電圧情報との比較、及び2つの電流閾値Th51,Th52と電流情報との比較に基づいて、第2遮断条件を満たすか否かを判定している。具体的には、検知部712は、電圧情報が電圧閾値Th41以下であり、かつ、電流情報が電流閾値Th51以下であれば(
図7の空白領域を参照)、正常であると判定する。
【0071】
一方、検知部712は、電圧情報が電圧閾値Th42を超える、又は電流情報が電流閾値Th52を超える場合(
図7の斜線領域を参照)、第2遮断条件を満たしたと判定する。また、検知部712は、電圧情報が電圧閾値Th41を超え、かつ、電流情報が電流閾値Th51を超える場合も(
図7の斜線領域を参照)、第2遮断条件を満たしたと判定する。つまり、第2遮断条件を満たした場合、検知部712は、電気火災が発生するリスクが有る、と判定する。
【0072】
その他の場合(
図7のドット領域を参照)、検知部712は、配線異常に関する検知結果に加えて、ユーザに対して注意喚起を促す情報を出力部713に提示させる。つまり、この場合、検知部712は、配線C11に配線異常は発生しているが、電気火災が発生するリスクが比較的低い、と判定する。この場合、遮断制御部714により回路C1への電力供給が遮断されないので、例えば照明器具、冷蔵庫、ワインセラー、又は救命装置等の電力供給が途絶えることが好ましくない回路C1への電力供給を維持しやすい。
【0073】
また、本実施形態では、遮断制御部714は、遮断させた回路C1を復帰させる場合であって、対象となる回路C1が複数存在する場合、以下のように回路C1を遮断状態から復帰させる。つまり、遮断制御部714は、流れる電流又は通過する電力が所定値よりも小さい回路C1を遮断状態から復帰させる。例えば、遮断制御部714は、取得部711にて取得した電流情報が所定値よりも小さい回路C1を復帰させる。このように、本実施形態では、遮断制御部714は、配線C11の配線異常が再び発生するリスクが比較的低い回路C1を、遮断状態から優先して復帰させる。
【0074】
本実施形態では、監視ユニット7には、主幹ブレーカ3が遮断動作を行った場合でも主幹ブレーカ3の一次側から電力が供給される。このため、系統電源20が停電していない場合、制御部71は動作可能である。また、監視ユニット7には、系統電源20の停電時にはバックアップ電源9から電力が供給される。このため、系統電源20が停電している場合でも、制御部71は動作可能である。なお、本実施形態では、監視ユニット7の外部にバックアップ電源9が設けられているが、監視ユニット7にバックアップ電源9が内蔵されていてもよい。
【0075】
(3)動作
以下、本実施形態の異常検知システム100の動作について
図8を用いて説明する。以下では、検知部712は、複数の判定機能として、第1判定機能と、「(2.2)異常検知システム」で説明した複数の第2判定機能のうちの1つの第2判定機能と、を有している、と仮定する。また、以下では、遮断制御部714は、第1遮断条件を満たした場合に、回路C1への電力供給を遮断する、と仮定する。
【0076】
まず、取得部711は、電圧計測装置から計測値を定期的に受け取ることにより、電圧情報を定期的に取得する(S1)。電圧情報を取得する周期は、例えば数msである。処理S1は、後述する取得ステップST1に相当する。
【0077】
次に、検知部712は、第1判定機能を採用している場合(S2:Yes)、第1判定条件を満たすと(S3:Yes)、配線C11に配線異常が発生していると判定する(S5)。第1判定条件は、電圧情報が閾値Th1を超えることである。一方、検知部712は、第2判定機能を採用している場合(S4:Yes)、第2判定条件を満たすと(S4:Yes)、配線C11に配線異常が発生していると判定する(S5)。第2判定条件は、ここでは、電圧情報が閾値Th1を超えた回数が所定回数を超えることである。処理S3は、後述する検知ステップST2の第1判定ステップST31に相当し、処理S4は、後述する検知ステップST2の第2判定ステップST32に相当し、処理S5は後述する検知ステップST2に含まれる。
【0078】
検知部712にて配線C11の配線異常の発生が検知されると、遮断制御部714は、配線異常が検知された配線C11を含む回路C1に制御信号を出力することで、当該回路C1への電力供給を遮断する(S6)。そして、出力部713は、配線C11の配線異常に関する検知結果を提示する処理を実行する(S7)。
【0079】
上述のように、本実施形態では、検知部712は、第1判定機能の他に、第2判定機能を含む複数の判定機能を有している。このため、検知部712は、仮に第1判定機能では配線C11の配線異常の発生を判定できない場合であっても、第2判定機能では配線C11の配線異常の発生を判定することができる可能性がある。例えば、回路C1に印加されている電圧に重畳するアークの発生に伴う高周波成分が、第1判定機能では判定できない程に微小であっても、第2判定機能であれば判定することが可能な場合がある。また、例えば、第1判定機能では判定できない程、回路C1に印加されている電圧にノイズが混入している場合でも、第2判定機能であれば判定することが可能な場合がある。
【0080】
したがって、本実施形態では、単一の機能(ここでは、第1判定機能)のみにより配線C11の配線異常が発生したか否かを判定する態様と比較して、配線C11の配線異常を検知しやすい、という利点がある。
【0081】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、異常検知システム100と同等の機能は、異常検知方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0082】
一態様に係る異常検知方法は、取得ステップST1と、検知ステップST2と、を有する。取得ステップST1は、分電盤1に接続された回路C1に印加される電圧に関する電圧情報を取得するステップである。検知ステップST2は、取得ステップST1で取得した電圧情報に基づいて回路C1における配線C11の配線異常を検知するステップである。検知ステップST2は、第1判定ステップST31と、第2判定ステップST32と、を含む複数の判定ステップを有する。第1判定ステップST31は、電圧情報が閾値Th1を超えた場合に配線異常が発生したと判定するステップである。第2判定ステップST32は、第1判定ステップST31とは異なる判定手法により配線異常が発生したか否かを判定するステップである。検知ステップST2は、所定のトリガに応じて複数の判定ステップのうちのいずれか1つの判定ステップにて配線異常を検知する。また、一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の異常検知方法を実行させる。
【0083】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0084】
本開示における異常検知システム100は、例えば、検知部712等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における異常検知システム100としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0085】
また、異常検知システム100における複数の機能が、1つの筐体(監視ユニット7)に集約されていることは異常検知システム100に必須の構成ではなく、異常検知システム100の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、検知部712等、異常検知システム100の少なくとも一部の機能は、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、上述の実施形態のように、異常検知システム100の全ての機能が、1つの筐体(監視ユニット7)に集約されていてもよい。
【0086】
上述の実施形態において、監視ユニット7は、第2通信部73を備えていなくてもよい。つまり、異常検知システム100は、インターネット等の広域ネットワーク200を介して管理サーバ300及び情報端末400と通信する通信機能を有していなくてもよい。この態様では、ユーザに対する検知部712の検知結果の提示は、分電盤1のみで行われることになる。
【0087】
上述の実施形態において、監視ユニット7は、出力部713を備えていなくてもよい。つまり、異常検知システム100は、検知部712の検知結果を提示する機能を有していなくてもよい。
【0088】
また、上述の実施形態において、1つの電路に対して、2つのCR回路を並列に接続してもよい。この態様では、一方のCR回路は、他方のCR回路に備えられたコンデンサのインピーダンスの周波数特性とは異なる周波数特性を有するコンデンサを備えている。そして、検知部712は、第2判定機能にて、2つのCR回路の両方で抵抗の両端に印加される電圧が閾値を超えた場合に、配線C11にアークが発生したと判定してもよい。なお、この態様では、2つのCR回路の各々が備えるコンデンサのインピーダンスの周波数特性は同じであってもよい。
【0089】
上述の実施形態において、検知部712は、例えば
図9に示すように、電圧情報のピーク値を保持し、保持したピーク値を閾値Th1等と比較することにより、配線C11の配線異常が発生しているか否かを判定してもよい。
図9に示す例では、電圧情報の瞬時値を実線で、ピークホールド回路により保持されたピーク値を一点鎖線で表している。電圧情報のピーク値は、例えばオペアンプ等の演算増幅器を用いたピークホールド回路に電圧情報を入力することで保持される。
【0090】
上述の実施形態において、検知部712は、第1判定機能にて配線C11の配線異常が発生していると判定した場合に、自動的に第2判定機能にて更に配線C11の配線異常が発生しているか否かを判定してもよい。つまり、検知部712は、所定のトリガとして電圧情報が所定の条件を満たすと、第2判定機能にて配線異常の検知を行ってもよい。ここでは、所定のトリガは、一例として第1判定機能にて配線C11の配線異常が発生していると判定することであるが、他のトリガであってもよい。例えば、所定のトリガは、電圧情報が閾値Th1を超えている時間が所定時間を経過することであってもよい。
【0091】
上述の実施形態において、遮断制御部714は、検知部712にて配線C11の配線異常が発生していると判定されると、対応する分岐ブレーカ4を遮断させているが、これに限らない。例えば、遮断制御部714は、検知部712にて配線異常が検知されると、主幹ブレーカ3を遮断させてもよい。
【0092】
上述の実施形態では、第1判定機能及び第2判定機能の各々において、閾値Th1,Th2及び判定期間T1,T2は可変であってもよい。つまり、閾値Th1,Th2及び判定期間T1,T2は、いずれも例えばユーザが監視ユニット7を操作することにより適宜設定されてもよい。
【0093】
上述の実施形態において、検知部712は、例えば機械学習された分類器を用いて、配線C11の配線異常を検知する態様であってもよい。分類器は、一例として第2判定機能であれば、電圧情報を入力データとして、配線C11の配線異常の有無を出力する。なお、分類器は、異常検知システム100の使用中において、再学習を実行可能であってもよい。
【0094】
分類器は、例えばSVM(Support Vector Machine)等の線形分類器の他、ニューラルネットワークを用いた分類器、又は多層ニューラルネットワークを用いた深層学習(ディープラーニング)により生成される分類器を含み得る。分類器が学習済みのニューラルネットワークを用いた分類器である場合、学習済みのニューラルネットワークは、例えばCNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)、又はBNN(Bayesian Neural Network:ベイズニューラルネットワーク)等を含み得る。この場合、検知部712は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路に、学習済みのニューラルネットワークを実装することで実現される。
【0095】
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る異常検知システム(100)は、取得部(711)と、検知部(712)と、を備える。取得部(711)は、分電盤(1)に接続された回路(C1)に印加される電圧に関する電圧情報を取得する。検知部(712)は、取得部(711)で取得した電圧情報に基づいて回路(C1)における配線(C11)の配線異常を検知する。検知部(712)は、第1判定機能と、第2判定機能と、を含む複数の判定機能を有する。第1判定機能は、電圧情報が閾値(Th1)を超えた場合に配線異常が発生したと判定する機能である。第2判定機能は、第1判定機能とは異なる判定手法により配線異常が発生したか否かを判定する機能である。検知部(712)は、所定のトリガに応じて複数の判定機能のうちのいずれか1つの判定機能にて配線異常を検知する。
【0096】
この態様によれば、配線(C11)の配線異常を検知しやすい、という利点がある。
【0097】
第2の態様に係る異常検知システム(100)では、第1の態様において、第2判定機能では、電圧情報と複数の閾値(Th2)とを比較することで、配線異常が発生したか否かを判定する。
【0098】
この態様によれば、第1判定機能と比較して、配線(C11)の配線異常の検知精度の向上が期待できる、という利点がある。
【0099】
第3の態様に係る異常検知システム(100)では、第1又は第2の態様において、第2判定機能では、検知部(712)は、第1判定機能の閾値(Th1)とは異なる閾値(Th2)と電圧情報とを比較することで、配線異常が発生したか否かを判定する。
【0100】
この態様によれば、第1判定機能と比較して、配線(C11)の配線異常の検知精度の向上が期待できる、という利点がある。
【0101】
第4の態様に係る異常検知システム(100)では、第1~第3のいずれかの態様において、第2判定機能では、検知部(712)は、第1判定機能の閾値(Th1)を超えた回数が所定時間において所定回数を超えたか否かにより、配線異常が発生したか否かを判定する。
【0102】
この態様によれば、第1判定機能と比較して、配線(C11)の配線異常の検知精度の向上が期待できる、という利点がある。
【0103】
第5の態様に係る異常検知システム(100)では、第4の態様において、配線異常が発生したか否かを判定する判定期間(T1)は、可変である。
【0104】
この態様によれば、第1判定機能と比較して、配線(C11)の配線異常の検知精度の向上が期待できる、という利点がある。
【0105】
第6の態様に係る異常検知システム(100)では、第1~第5のいずれかの態様において、第2判定機能では、検知部(712)は、電圧情報の積算値が所定積算値(Th3)を超えたか否かにより、配線異常が発生したか否かを判定する。
【0106】
この態様によれば、第1判定機能と比較して、配線(C11)の配線異常の検知精度の向上が期待できる、という利点がある。
【0107】
第7の態様に係る異常検知システム(100)では、第1~第6のいずれかの態様において、検知部(712)は、所定のトリガとして電圧情報が所定の条件を満たすと、第2判定機能にて配線異常の検知を行う。
【0108】
この態様によれば、ユーザが手動で第2判定機能に切り替えずとも、第2判定機能を利用することができる、という利点がある。
【0109】
第8の態様に係る異常検知システム(100)では、第1~第7のいずれかの態様において、取得部(711)は、回路(C1)に流れる電流に関する電流情報を更に取得する。検知部(712)は、電圧情報及び電流情報に基づいて、配線異常が検知された回路(C1)を遮断するか否かを判定する。
【0110】
この態様によれば、配線(C11)の配線異常が検知されると直ぐに配線異常が検知された回路(C1)を遮断する場合と比較して、電力供給が途絶えることが好ましくない回路(C1)への電力供給を維持しやすい、という利点がある。
【0111】
第9の態様に係る異常検知システム(100)は、第8の態様において、遮断制御部(714)を更に備える。遮断制御部(714)は、検知部(712)にて配線異常が検知され、かつ、配線異常が検知された回路(C1)を流れる電流が閾値電流を超えると、当該回路(C1)が接続される分岐ブレーカ(4)を遮断させる。
【0112】
この態様によれば、配線(C11)の配線異常が検知されると直ぐに配線異常が検知された回路(C1)を遮断する場合と比較して、電力供給が途絶えることが好ましくない回路(C1)への電力供給を維持しやすい、という利点がある。
【0113】
第10の態様に係る異常検知システム(100)は、第8の態様において、遮断制御部(714)を更に備える。遮断制御部(714)は、検知部(712)にて配線異常が検知されると、主幹ブレーカ(3)を遮断させる。
【0114】
この態様によれば、全ての回路(C1)への電力供給を遮断することで、少なくとも1以上の回路(C1)への電力供給を維持させる場合と比較して、安全性の向上が期待できる、という利点がある。
【0115】
第11の態様に係る異常検知システム(100)では、第9又は第10の態様において、遮断制御部(714)は、流れる電流又は通過する電力が所定値よりも小さい回路(C1)を遮断状態から復帰させる。
【0116】
この態様によれば、比較的配線(C11)の配線異常の発生リスクの低い回路(C1)への電力供給を再開できるので、利便性の向上が期待できる、という利点がある。
【0117】
第12の態様に係る分電盤(1)は、第1~第11のいずれかの態様の異常検知システム(100)と、異常検知システム(100)を収容する分電盤用キャビネット(10)と、を備える。
【0118】
この態様によれば、配線(C11)の配線異常を検知しやすい、という利点がある。
【0119】
第13の態様に係る異常検知方法は、取得ステップ(ST1)と、検知ステップ(ST2)と、を有する。取得ステップ(ST1)は、分電盤(1)に接続された回路(C1)に印加される電圧に関する電圧情報を取得するステップである。検知ステップ(ST2)は、取得ステップ(ST1)で取得した電圧情報に基づいて回路(C1)における配線(C11)の配線異常を検知するステップである。検知ステップ(ST2)は、第1判定ステップ(ST31)と、第2判定ステップ(ST32)と、を含む複数の判定ステップを有する。第1判定ステップ(ST31)は、電圧情報が閾値(Th1)を超えた場合に配線異常が発生したと判定するステップである。第2判定ステップ(ST32)は、第1判定ステップ(ST31)とは異なる判定手法により配線異常が発生したか否かを判定するステップである。検知ステップ(ST2)は、所定のトリガに応じて複数の判定ステップのうちのいずれか1つの判定ステップにて配線異常を検知する。
【0120】
この態様によれば、配線(C11)の配線異常を検知しやすい、という利点がある。
【0121】
第14の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第13の態様の異常検知方法を実行させる。
【0122】
この態様によれば、配線(C11)の配線異常を検知しやすい、という利点がある。
【0123】
第2~第11の態様に係る構成については、異常検知システム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0124】
100 異常検知システム
1 分電盤
10 分電盤用キャビネット
3 主幹ブレーカ
711 取得部
712 検知部
714 遮断制御部
C1 回路
C11 配線
ST1 取得ステップ
ST2 検知ステップ
ST31 第1判定ステップ
ST32 第2判定ステップ
T1,T2 判定期間
Th1,Th2 閾値
Th3 所定積算値