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特開2023-162248中性子捕捉治療システムおよび粒子線発生装置用のターゲット
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  • 特開-中性子捕捉治療システムおよび粒子線発生装置用のターゲット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162248
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】中性子捕捉治療システムおよび粒子線発生装置用のターゲット
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20231031BHJP
   G21K 5/02 20060101ALI20231031BHJP
   G21K 5/08 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
A61N5/10 H
G21K5/02 N
G21K5/08 N
A61N5/10 K
A61N5/10 Z
G21K5/08 C
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130566
(22)【出願日】2023-08-10
(62)【分割の表示】P 2022038857の分割
【原出願日】2017-07-13
(31)【優先権主張番号】201611213272.5
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201621425423.9
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710389070.4
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201720599511.9
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710384698.5
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201720600916.X
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710384408.7
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201720599639.5
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710383772.1
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201720599162.0
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710389061.5
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201720600026.9
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】515153495
【氏名又は名称】南京中硼▲聯▼康医▲療▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Neuboron Medtech Ltd.
【住所又は居所原語表記】3rd Floor, Block 6, NO. 568, Longmian Ave, Jiangning District, Nanjing, Jiangsu 211112 China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼渊豪
(72)【発明者】
【氏名】蔡▲慶▼▲ウェン▼
(72)【発明者】
【氏名】陳▲韋▼霖
(57)【要約】      (修正有)
【課題】中性子捕捉治療システムおよび中性子線発生装置用のターゲットを提供する。
【解決手段】中性子捕捉治療システム100は、中性子発生装置10およびビーム整形体20を含み、中性子発生装置は、加速器11およびターゲットTを含み、加速器の加速によって発生した荷電粒子線Pは、ターゲットと作用して中性子線Nを発生させ、ターゲットは、作用層、ベース層および放熱層を含み、作用層は、荷電粒子線と作用して中性子線を発生させ、ベース層は、作用層を支持し、放熱層は、複数の管が並んで構成された管状部材を含む。管状部材の中心線に垂直な断面において、作用層を支持するベース層と接続される部分の、又は、管状部材が同時にベース層である場合には作用層と接続される部分の、管状部材の側面の外面の輪郭は円弧形状であり、管状部材の各管上の作用層は、少なくとも管の外周の1/4を覆う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性子捕捉治療システムであって、前記中性子捕捉治療システムは、中性子発生装置お
よびビーム整形体を含み、前記中性子発生装置は、加速器およびターゲットを含み、前記
加速器による荷電粒子の加速によって発生した荷電粒子線は前記ターゲットと作用して中
性子線を発生させ、前記ビーム整形体は、反射体、減速体、熱中性子吸収体、放射シール
ドおよびビーム出口を含み、前記減速体は、前記ターゲットから発生した中性子を熱外中
性子エネルギー領域に減速させ、前記反射体は、熱外中性子ビームの強度を増加させるよ
うに、前記減速体を取り囲み、かつ偏向された中性子を前記減速体に戻させ、前記熱中性
子吸収体は、治療中に浅い正常組織への過剰な線量を避けるように熱中性子を吸収するた
めに使用され、前記放射シールドは、漏れた中性子および光子を遮断して非照射領域の正
常組織線量を低減させるように、前記ビーム出口を取り囲み、射体の後部に設けられ、前
記ターゲットは、作用層、ベース層および放熱層を含み、前記作用層は、荷電粒子線と作
用して中性子線を発生させ、前記ベース層は、前記作用層を支持し、前記放熱層は、複数
の管が並んで構成された管状部材を含み、
前記管状部材の中心線に垂直な断面において、前記作用層を支持する前記ベース層と接
続される部分の、又は、前記管状部材が同時に前記ベース層である場合には前記作用層と
接続される部分の、前記管状部材の側面の外面の輪郭は円弧形状であり、前記管状部材の
各管上の作用層は、少なくとも管の外周の1/4を覆うことを特徴とする、中性子捕捉治
療システム。
【請求項2】
前記中性子捕捉治療システムは、治療テーブルおよびコリメータをさらに含み、前記中
性子発生装置が発生した中性子ビームは、前記ビーム整形体によって前記治療テーブル上
の患者に照射され、放射シールド装置は、前記患者とビーム出口との間に設けられ、前記
ビーム出口から出たビームの患者の正常組織への放射を遮断し、前記コリメータは、前記
ビーム出口の後部に設けられて中性子線を集中させ、前記ビーム整形体内に第一、第二冷
却管が設けられ、前記ターゲットは、冷却入口、冷却出口、および冷却入口と冷却出口と
の間に配置された冷却通路を有し、前記第一冷却管の一端は前記ターゲットの冷却入口に
、前記第二冷却管の一端は前記ターゲットの冷却出口に、それぞれ接続され、前記第一冷
却管および前記第二冷却管の他端は外部冷却源に接続され、前記管状部材の各管の内部が
前記冷却通路の少なくとも一部を構成することを特徴とする、
請求項1に記載の中性子捕捉治療システム。
【請求項3】
前記ターゲットは、前記ビーム整形体内に配置され、前記加速器は、荷電粒子線を加速
させる加速管を有し、前記加速管は、荷電粒子線の方向に沿って、前記反射体を貫通し前
記減速体に挿入されるように、前記ビーム整形体に挿入されており、前記ターゲットは、
前記減速体内に設けられ、かつ前記加速管の端部に位置し、前記第一、第二冷却管は、前
記加速管と前記反射体および減速体との間に設けられることを特徴とする、
請求項2に記載の中性子捕捉治療システム。
【請求項4】
前記管状部材の隣接する管の間に、接続部が形成されていることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の中性子捕捉治療システム。
【請求項5】
粒子線発生装置用のターゲットであって、前記ターゲットは、作用層、ベース層および
放熱層を含み、前記作用層は、荷電粒子線と作用して中性子線を発生させ、前記ベース層
は、前記作用層を支持し、前記放熱層は、複数の管が並んで構成された管状部材を含み、
前記管状部材の中心線に垂直な断面において、前記作用層を支持する前記ベース層と接
続される部分の、又は、前記管状部材が同時に前記ベース層である場合には前記作用層と
接続される部分の、前記管状部材の側面の外面の輪郭は円弧状であり、前記管状部材の各
管上の作用層は、少なくとも管の外周の1/4を覆い、前記管状部材の隣接する管の間に
は接続部が形成されていることを特徴とする、
粒子線発生装置用のターゲット。
【請求項6】
前記粒子線発生装置は中性子線発生装置であり、前記作用層の材料は、Liまたはその
合金であり、前記作用層は、入射陽子ビームとの7Li(p、n)7Be核反応によって
中性子を発生させ、または、前記作用層の材料は、Beまたはその合金であり、前記作用
層は、入射陽子ビームとの9Be(p、n)9B核反応によって中性子を発生させる、こ
とを特徴とする、
請求項5に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【請求項7】
前記ターゲットは、酸化防止層をさらに含み、前記酸化防止層の材料は、Al、Ti、
Beおよびそれらの合金、またはステンレス鋼の少なくとも1つを含み、前記作用層とベ
ース層との間に接着層が設けられ、前記接着層の材料は、Cu、Al、MgまたはZnの
少なくとも1つを含み、
前記放熱層は、熱伝導材料、又は、熱伝導性であって、かつ、Fe、TaまたはVの少
なくとも1つを含む材料で製造され、
前記ベース層は、Fe、TaまたはVの少なくとも1つを含む材料で製造され、
前記熱伝導材料は、Cu、Fe、Alのうちの少なくとも1つを含み、
前記放熱層は前記ベース層に接続され、前記作用層は前記ベース層に接続されることを
特徴とする、
請求項5に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【請求項8】
前記管状部材は、同時に前記ベース層であり、前記管状部材の材料は、Taである、
請求項5に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【請求項9】
前記ベース層の材料は、Ta-W合金であり、前記Ta-W合金中のWの重量割合は、
2.5%~20%であり、前記陽子線のエネルギーは、1.881MeV~10MeVで
あり、前記ベース層の厚さは、少なくとも50μmであることを特徴とする、
請求項5に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【請求項10】
前記接続部は、ベース層、作用層および酸化防止層で構成されることを特徴とする、
請求項5~8のいずれか1項に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【請求項11】
前記放熱層は、支持部材をさらに含み、前記支持部材の材料は、Cuであり、前記管状
部材は、前記支持部材と溶接され、または脱着可能に接続され、または一体成形されてお
り、前記支持部材および/または管状部材は、冷却通路を有することを特徴とする、
請求項5~8のいずれか1項に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【請求項12】
前記支持部材は、前記管状部材の両端に設けられた第一支持部および第二支持部を含み
、前記第一支持部は、冷却入口および第一冷却通路を有し、前記第二支持部は、冷却出口
および第二冷却通路を有し、冷却媒体は、前記冷却入口から前記第一冷却通路を介して前
記管状部材の各管の内部に入り、続いて前記第二冷却通路を介して前記冷却出口から排出
され、前記冷却媒体は、水であり、前記支持部材は、前記第一、第二支持部に接続された
第三支持部をさらに含み、前記第三支持部は、前記管状部材の前記作用層に接続された片
側に対向する向こう側に接触し、前記第三支持部は、冷却通路を有し、冷却媒体は、前記
支持部材のみ、または、前記管状部材の各管の内部と支持部材の第三支持部の両方、また
は、管の内部と支持部材の第一、第二および第三支持部の両方を通過することを特徴とす
る、
請求項11に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、放射線照射システムに関し、特に中性子捕捉治療システムに関し、
本発明の別の態様は、放射線照射システム用のターゲットに関し、特に粒子線発生装置用
のターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
原子科学の発展に従って、例えば、コバルト60、線形加速器、電子ビームなどの放射線
療法は、すでにがん治療の主な手段の一つとなった。しかし、従来の光子または電子療法
は、放射線そのものの物理的条件の制限で腫瘍細胞を殺すとともに、ビーム経路上の大量
の正常組織に損傷を与える。また、腫瘍細胞により放射線に対する感受性の度合いが異な
っており、従来の放射線療法では、放射線耐性の高い悪性腫瘍(例、多形神経膠芽腫(g
lioblastoma multiforme)、黒色腫(melanoma))に対
する治療効果が良くない。
【0003】
腫瘍の周囲の正常組織への放射線損傷を軽減するすために、化学療法(chemoth
erapy)における標的療法が、放射線療法に用いられている。また、放射線耐性の高
い腫瘍細胞に対し、現在では生物学的効果比(relative biological
effectiveness、RBE)の高い放射線源が積極的に開発されている(例
えば、陽子線治療、重粒子治療、中性子捕捉療法など)。このうち、中性子捕捉療法は、
上記の2つの構想を結びつけたものである。例えば、ホウ素中性子捕捉療法では、ホウ素
含有薬物が腫瘍細胞に特異的に集まり、高精度な中性子ビームの制御と合わせることで、
従来の放射線と比べて、より良いがん治療オプションを提供する。
【0004】
加速器ホウ素中性子捕捉治療において、加速器ホウ素中性子捕捉治療は加速器で陽子ビ
ームを加速させ、前記陽子ビームは、ターゲット核カレンの反発力に打ち勝つのに十分な
エネルギーまで加速され、前記ターゲットと反応して中性子を発生させ、したがって、中
性子を発生させる過程において、ターゲットは非常に高いエネルギーレベルの加速された
陽子線の照射を受け、ターゲットの温度が大幅に上昇し、同時にターゲットの金属部分が
発泡しやすくて、それによってターゲットの耐用年数に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、上記問題を解決する新たな技術的解決手段を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、中性子捕捉治療システムを提供し、中
性子発生装置およびビーム整形体を含み、前記中性子発生装置は加速器およびターゲット
を含み、前記加速器の加速によって発生した荷電粒子線は前記ターゲットと作用して中性
子線を発生させ、前記ビーム整形体は反射体、減速体、熱中性子吸収体、放射シールドお
よびビーム出口を含み、前記減速体は前記ターゲットから発生した中性子を熱外中性子エ
ネルギー領域に減速させ、前記反射体は、熱外中性子ビームの強度を増加させるように、
前記減速体を取り囲み、かつ偏向された中性子を前記減速体に戻させ、前記熱外中性子吸
収体は、治療中に浅い正常組織への過剰な線量を避けるように熱中性子を吸収するために
使用され、前記放射シールドは、漏れた中性子および光子を遮断して非照射領域の正常組
織線量を低減させるように、前記ビーム出口を取り囲み、反射体の後部に設けられ、前記
ターゲットは、作用層、ベース層および放熱層を含み、前記作用層は荷電粒子線と作用し
て中性子線を発生させ、前記ベース層は前記作用層を支持し、前記放熱層は複数の管が並
んで構成された管状部材を含む。管状部材を採用する放熱構造は、放熱面を増加させ、放
熱効果を向上させ、ターゲット耐用年数の延長に役立つ。
【0007】
本発明の別の態様は、粒子線発生装置用のターゲットを提供し、前記ターゲットは、作
用層、ベース層および放熱層を含み、前記作用層は前記粒子線を発生させるために使用さ
れ、前記ベース層は前記作用層を支持し、前記放熱層は複数の管が並んで構成された管状
部材を含む。管状部材を採用する放熱構造は、放熱面を増加させ、放熱効果を向上させ、
ターゲット耐用年数の延長に役立つ。
【0008】
本発明の別の態様は、中性子捕捉治療システムを提供し、中性子発生装置およびビーム
整形体を含み、前記中性子発生装置は加速器およびターゲットを含み、前記加速器の加速
によって発生した荷電粒子線は前記ターゲットと作用して中性子線を発生させ、前記ビー
ム整形体は反射体、減速体、熱中性子吸収体、放射シールドおよびビーム出口を含み、前
記減速体は前記ターゲットから発生した中性子を熱外中性子エネルギー領域に減速させ、
前記反射体は、熱外中性子ビームの強度を増加させるように、前記減速体を取り囲み、か
つ偏向された中性子を前記減速体に戻させ、前記熱外中性子吸収体は、治療中に浅い正常
組織への過剰な線量を避けるように熱中性子を吸収するために使用され、前記放射シール
ドは、漏れた中性子および光子を遮断して非照射領域の正常組織線量を低減させるように
、前記ビーム出口を取り囲み、反射体の後部に設けられ、前記ターゲットは、冷却入口、
冷却出口、および冷却入口と冷却出口との間に配置された冷却通路を有し、前記冷却通路
内に少なくとも1つの突起が設けられ、前記突起は冷却面を有する。冷却通路内で流通す
る冷却媒体をターゲットの放熱として使用されることによって、放熱効果を向上させ、冷
却通路内に突起を設けることによって、放熱面をさらに増加させ、および/または渦巻き
が形成され、ターゲット耐用年数の延長に役立つ。
【0009】
本発明の別の態様は、粒子線発生装置用のターゲットを提供し、前記ターゲットは、作
用層、ベース層および放熱層を含み、前記作用層は前記粒子線を発生させるために使用さ
れ、前記ベース層は前記作用層を支持し、前記放熱層は冷却媒体を流通させるための冷却
通路を有し、前記冷却通路内に少なくとも1つの突起が設けられ、前記突起は冷却面を有
する。冷却通路内で流通する冷却媒体をターゲットの放熱として使用されることによって
、放熱効果を向上させ、冷却通路内に突起を設けることによって、放熱面をさらに増加さ
せ、および/または渦巻きが形成され、ターゲット耐用年数の延長に役立つ。
【0010】
本発明の別の態様は、中性子線発生装置用のターゲットを提供し、前記ターゲットは、
作用層およびベース層を含み、前記作用層は入射粒子線と作用して前記中性子線を発生さ
せ、前記ベース層は入射粒子線によって引き起こされる発泡を抑制できるし、前記作用層
を支持することができ、前記作用層は第一作用層および第二作用層を含み、入射粒子線は
入射方向に沿って順に前記第一作用層および第二作用層を通り抜ける。粒子線の入射方向
に沿って配置された第二作用層および第二作用層を採用し、中性子の収率を高めることが
できる。
【0011】
本発明の別の態様は、中性子捕捉治療システムを提供し、中性子発生装置およびビーム
整形体を含み、前記中性子発生装置は加速器およびターゲットを含み、前記加速器の加速
によって発生した荷電粒子線は前記ターゲットと作用して中性子線を発生させ、前記ビー
ム整形体は反射体、減速体、熱中性子吸収体、放射シールドおよびビーム出口を含み、前
記減速体は前記ターゲットから発生した中性子を熱外中性子エネルギー領域に減速させ、
前記反射体は、熱外中性子ビームの強度を増加させるように、前記減速体を取り囲み、か
つ偏向された中性子を前記減速体に戻させ、前記熱外中性子吸収体は、治療中に浅い正常
組織への過剰な線量を避けるように熱中性子を吸収するために使用され、前記放射シール
ドは、漏れた中性子および光子を遮断して非照射領域の正常組織線量を低減させるように
、前記ビーム出口を取り囲み、反射体の後部に設けられ、前記ターゲットは、作用層およ
びベース層を含み、前記作用層は入射粒子線と作用して前記中性子線を発生させ、前記ベ
ース層は入射粒子線によって引き起こされる発泡を抑制できるし、前記作用層を支持する
ことができ、前記作用層は第一作用層および第二作用層を含み、入射粒子線は入射方向に
沿って順に前記第一作用層および第二作用層を通り抜ける。粒子線の入射方向に沿って配
置された第二作用層および第二作用層を採用し、中性子の収率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の実施例における中性子捕捉治療システムの概略図である。
図2図2は本発明の実施例におけるターゲットの概略図である。
図3図3図2におけるターゲットの部分拡大概略図である。
図4図4図2における方向Aから見たターゲットの放熱層の概略図である。
図5a図5aは図2におけるターゲットの放熱通路内壁の第一実施例の概略図である。
図5b図5bは図2におけるターゲットの放熱通路内壁の第一実施例の軸線B-Bに沿った概略図である。
図6a図6aは図2におけるターゲットの放熱通路内壁の第二実施例の概略図である。
図6b図6bは図2におけるターゲットの放熱通路内壁の第二実施例の軸線C-Cに沿った概略図である。
図7図7図2におけるターゲットの放熱通路内壁の第三実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下は、図面を結合して本発明をさらに説明し、当業者は明細書の文字を参照して実施
することができるようにする。
【0014】
図1に示すとおり、本実施例における中性子捕捉治療システムは、好ましくはホウ素中
性子捕捉治療システム100であり、中性子発生装置10、ビーム整形体20、コリメー
タ30および治療テーブル40を含む。中性子発生装置100は加速器11およびターゲ
ットTを含み、加速器11は荷電粒子(陽子、重陽子など)を加速し、陽子などの荷電粒
子線Pを発生させ、荷電粒子線PをターゲットTに照射してターゲットTと反応させて中
性子線(中性子ビーム)Nを発生させ、ターゲットTは、好ましくは金属ターゲットであ
る。必要な中性子の収率とエネルギー、供給可能な加速荷電粒子のエネルギーと電流の大
きさ、金属ターゲットの物理化学的特性に応じて、適切な核反応を選択し、常に議論され
る核反応はLi(p、n)BeおよびBe(p、n)Bであり、この両方はいず
れも吸熱反応である。この2つの核反応のエネルギー閾値はそれぞれ1.881MeVお
よび2.055MeVであり、ホウ素中性子捕捉治療の理想的な中性子源はkeVエネル
ギーレベルの熱外中性子であるため、理論的には閾値をわずかに上回るエネルギーを持つ
陽子を用いて金属リチウムターゲットを衝撃し、比較的低いエネルギーの中性子を発生す
ることができ、あまり減速処理することなく臨床的に使用することができるが、リチウム
金属(Li)およびベリリウム(Be)という2つのターゲットと閾値エネルギーの陽子
との作用断面が高くなく、十分に大きな中性子束を発生するために、一般に比較的高いエ
ネルギーの陽子を選択して核反応を誘発する。理想的なターゲットは、高い中性子収率を
有し、発生した中性子エネルギー分布は熱外中性子エネルギー領域に近く(以下に詳述す
る)、あまり強い放射線の発生はなく、安全かつ安価で操作しやすく、かつ高温耐性など
の特性を有するが、実際にはすべての要件を満たす核反応を見つけることは不可能である
。当業者には周知のように、ターゲットTは、Li、Be以外の金属材料、例えばTaま
たはW、およびそれらの合金で製造することができる。加速器11は、線形加速器、回転
加速器、同期加速器、同期回転加速器であってもよい。
【0015】
中性子発生装置10が発生した中性子ビームNは順にビーム整形体20およびコリメー
タ30を通過して治療テーブル40上の患者200に照射する。ビーム整形体20は中性
子発生装置10が発生した中性子ビームNのビーム品質を調整することができ、コリメー
タ30は、中性子ビームNを集中させるために使用され、中性子ビームNが治療中に高度
の標的性を備えさせる。ビーム整形体20は、さらに反射体21、減速体22、熱中性子
吸収体23、放射シールド24およびビーム出口25を含み、中性子発生装置10が発生
した中性子はエネルギースペクトルが非常に広いため、熱外中性子が治療ニーズを満たす
ことに加えて、操作者または患者へのダメージを回避するために、可能な限り他の種類の
中性子および光子含有量を低減させる必要があり、したがって、中性子発生装置10から
出た中性子は、減速体22を介してその中の高速中性子エネルギーを熱外中性子エネルギ
ー領域に調整する必要があり、減速体22と高速中性子との作用断面が大きく、熱外中性
子との作用断面が小さい材料で製造され、本実施例において、減速体22はDO、Al
、Fluental、CaF、LiCO、MgFおよびAlのうちの
少なくとも1つで製造され、反射体21は減速体22を取り囲み、かつ減速体22を通り
抜けて周囲へ分散した中性子を中性子ビームNに戻して中性子の利用率を向上させ、中性
子反射能力の強い材料で製造され、本実施例において、反射体21はPbまたはNiのう
ちの少なくとも1つで製造され、減速体22の後部に1つの熱中性子吸収体23を有し、
熱中性子との作用断面が大きい材料で製造され、本実施例において、熱中性子吸収体23
はLi-6で製造され、熱中性子吸収体23は減速体22に通り抜けた熱中性子を吸収し
て中性子ビームN中の熱中性子の含有量を低減させ、治療中に浅い正常組織に過剰な線量
をもたらすことを回避し、放射シールド24はビーム出口25を取り囲んで反射体の後部
に設けられ、ビーム出口25の外から漏れた中性子および光子を遮断するために使用され
、放射シールド24の材料は光子遮断材料および中性子遮断材料のうちの少なくとも1つ
を含み、本実施例において、放射シールド24の材料は光子遮断材料鉛(Pb)および中
性子遮蔽材料ポリエチレン(PE)を含む。理解できるように、治療が必要する熱外中性
子ビームを獲得できれば、ビーム整形体20は他の構造があってもよい。コリメータ30
はビーム出口25の後部に設けられ、コリメータ30から出た熱外中性子ビームは患者2
00に照射され、浅い正常組織を介して熱中性子に減速されて腫瘍細胞Mに到達し、コリ
メータ30は除去してまたは他の構造で置き換えることも可能であることが理解されたく
、中性子ビームはビーム出口25から直接患者200に照射する。本実施例において、患
者200とビーム出口25との間にまた放射シールド装置50が設けられ、ビーム出口2
5から出たビームが患者の正常組織への放射を遮断し、放射シールド装置50を設置しな
くてもよいと理解されたい。
【0016】
患者200がホウ素含有(B-10)薬剤を服用または注入した後、ホウ素含有薬剤が
腫瘍細胞Mに選択的に集まり、続いてホウ素含有(B-10)薬剤が熱中性子に対して高
い捕捉断面を有する特性を利用して、10B(n、α)Li中性子捕捉および核分裂反
応により、2つの重荷電粒子、HeとLiが発生される。2つの荷電粒子の平均エネ
ルギーは約2.33MeVであり、高線形伝達(Linear Energy Tran
sfer、LET)、短距離の特性を有し、α短粒子の線形エネルギー伝達および範囲は
、それぞれ150keV/μm、8μmであり、Li重荷電粒子は175keV/μm
、5μmであり、2つの粒子の合計範囲は約1つのセルのサイズに相当し、したがって、
生物によって引き起こされる放射線損傷は細胞レベルに限定され、正常組織にあまりにも
大きな損傷を与えない前提で、腫瘍細胞を局所的に殺す目的を達成することができる。
【0017】
以下は図2図3および図4を参照してターゲットTの構造を詳細に説明する。
【0018】
ターゲットTは加速器11とビーム整形体20との間に設置され、加速器11は荷電粒
子線Pを加速させる加速管111を有し、本実施例において、加速管11は荷電粒子線P
の方向に沿ってビーム整形体20に進入し、かつ順に反射体21および減速体22を通り
抜けて、より良い中性子ビーム品質を得るように、ターゲットTは減速体22内に設置さ
れかつ加速管111の端部に設置される。
【0019】
ターゲットTは、放熱層12、ベース層13および作用層14を含み、作用層14は荷
電粒子線Pと作用して中性子線を発生し、ベース層13は作用層14を支持する。本実施
例において、作用層14の材料はLiまたはその合金であり、荷電粒子線Pは陽子線であ
り、ターゲットTは、作用層14の片側に位置して作用層の酸化を防止するための酸化防
止層15をさらに含み、ベース層13は、入射した陽子線による発泡を同時に抑制するこ
とができ、荷電粒子線Pは入射方向に沿って順に酸化防止層15、作用層14およびベー
ス層13を通り抜ける。酸化防止層15の材料は、同時に、作用層によって容易に腐食さ
れないことと、陽子線の損失および陽子線による熱損失を低減することを考慮して、たと
えばAl、Tiおよびその合金またはステンレス鋼の少なくとも一種を含む。本実施例に
おいて、酸化防止層15は、同時に陽子と原子核反応を起こすことが可能な材料であり、
上記の機能を果たす同時に、中性子収率をさらに高めることができ、このとき、酸化防止
層は同時に作用層の一部であり、たとえばBeまたはその合金を採用すると、入射した陽
子ビームのエネルギーは、LiおよびBeとの核反応のエネルギー閾値より高く、それぞ
れ2つの異なる核反応、Li(p、n)BeとBe(p、n)Bを発生できる。
また、Beは、高い融点および良好な熱伝導率を有し、その融点が1287℃であり、熱
伝導率が201W/(mK)であり、Li(融点が181℃であり、熱伝導率が71W/
(mK))と比較して、耐熱性および放熱性に大きな利点があり、ターゲットの耐用年数
をさらに延ばし、かつそれと陽子との核反応の閾値は約2.055MeVであり、陽子ビ
ームを用いた加速器中性子源の大部分のエネルギーはいずれも該反応閾値より高く、ボー
リウムターゲットもリチウムターゲット以外の最適な選択である。Alなどの他の材料の
酸化防止層と比べ、中性子の収率はBeの存在により改善される。本実施例において、陽
子線のエネルギーは、2.5MeV~5MeVであり、リチウムターゲットと比較的高い
作用断面が発生するとともに、あまり多くの高速中性子を発生しなくて、より良いビーム
品質を得ることができる。作用層14の厚さは80μm~240μmであり、陽子と十分
に反応することができ、厚過ぎてエネルギー堆積を引き起こし、ターゲットの放熱性能に
影響を及ぼすことはない。上記効果を達成すると共に比較的低い製造コストが確保され、
酸化防止層15の厚さは5μm~25μmである。比較実験では、2.5MeV、3Me
V、3.5MeV、4MeV、4.5MeV、5MeVの陽子ビームがターゲットTの面
に垂直な方向から順に酸化防止層14、作用層14(Li)およびベース層13(Ta、
詳細は後述する)に入射することをモンテカルロソフトでシミュレートし、酸化防止層1
5の材料をAlとBeで比較し、酸化防止層15の厚さをそれぞれ5μm、10μm、1
5μm、20μm、25μmとし、作用層14の厚さをそれぞれ80μm、120μm、
160μm、200μm、240μmとし、ベース層12の厚さが中性子の収率にほとん
ど影響を与えず、実際の状況に応じて調整することができ、得られた中性子収率(すなわ
ち、各陽子によって発生された中性子の数)を表1および表2に示す。AlよりBeをリ
チウムターゲット抗酸化層とする中性子収率の増加率の計算結果を表3に示し、この結果
から、Beを抗酸化層材料とする場合、中性子収率はAlより顕著に向上され、取得可能
な中性子収率は7.31E-05n/プロトン~5.61E-04n/プロトンである。
【0020】
【表1】

【0021】
【表2】
【0022】
【表3】

放熱層12は、熱伝導性材料(例えば、Cu、Fe、Al等の熱伝導性の良い材料)ま
たは熱伝導および発泡抑制の両方が可能な材料で製造され、ベース層13は発泡抑制の材
料で製造され、発泡抑制の材料または熱伝導でも発泡抑制でもよい材料は、Fe、Taま
たはVの少なくとも1つを含む。放熱層は、平らな形状のような様々な構造を有すること
ができ、本実施例において、放熱層12は、管状部材121および支持部材122を含み
、管状部材121および支持部材122の材料はいずれもCuであり、放熱性が高く、か
つ、コストが安く、管状部材121は複数の管で並べて構成され、かつ支持部材122に
よって位置決めして取り付け、支持部材122はボルトまたはネジなどの締結部材によっ
て減速体22の内または加速管111の端部に固定され、ターゲットの交換を容易にする
ために、他の取り外し可能な接続を使用してもよいことが理解されたい。管の構造は、放
熱面積を増加させ、放熱効果を改善し、ターゲットの耐用年数を延ばすのに役立つ。放熱
層12はさらに冷却媒体が流通する冷却通路Pを有し、本実施例では、冷却媒体は水であ
り、管状部材121を構成する管の内部の少なくとも一部が冷却通路Pを形成し、冷却媒
体が管の内部を流れてその熱を取り去り、管の内部が冷却通路として放熱効果をさらに向
上させ、ターゲットの耐用年数を延ばす。実際のターゲットの大きさに応じて管の形状、
数、大きさが決定されるが、図では4本の円形管のみが模式的に図示され、それは正方形
管、多角形管、楕円管などおよびそれらの組み合わせであってもよい。隣接する管は、そ
れらの外面が互いに接触するように接近してもよく、離間してもよい。管の内孔断面形状
は、円形、多角形、楕円形などの様々な形状であってもよく、異なる断面も異なる形状を
有することができる。管状部材が実際の製造中に各管の直径が比較的小さく、かつ内部に
冷却通路があるため、従来の生産プロセスは困難であり、本実施例では、小さな構造およ
び複雑な構造の形成のための管状部品を得るために付加製造を採用する。まず、管状部材
に対して3次元モデリングを行い、管状部材の3次元モデルデータをコンピュータシステ
ムに入力し、かつ2次元スライスデータに層化し、コンピュータ制御の付加製造システム
により原料(例えば、銅粉末)を層毎に積層製造し、最終的には積層後の3次元製品を得
る。
【0023】
ベース層13はTaで製造される場合、ある程度の放熱効果があり、同時に発泡を減少
させることができ、陽子とLiとの非弾性散乱によるγ放出を抑制し、および過剰な陽子
がターゲットを通過するのを防止する。本実施例において、ベース層13の材料はTa-
W合金であり、上記Taの優れた性能を維持すると同時に、純タンタルの強度が低く、熱
伝導性が低いという欠点が明らかに改善することができ、作用層14の核反応によって発
生した熱をベース層によって時間的に導出することができ、このとき、放熱層は、少なく
とも部分的にベース層と同じ材料または一体構造を採用することができる。ベース層の発
泡抑制という特性を確保するためにTa-W合金中のWの重量割合は2.5%~20%で
あり、同時にベース層はより高い強度および熱伝導率を有し、ターゲットの耐用年数をさ
らに延ばす。粉末冶金、鍛造、プレスなどを採用し、Ta-W合金(例えば、Ta-2.
5wt%W、Ta-5.0wt%W、Ta-7.5wt%W、Ta-10wt%W、Ta
-12wt%W、Ta-20wt%Wなど)を板状のベース層13に製造し、陽子線エネ
ルギーが1.881MeV~10MeVである場合、過剰な陽子を十分に吸収するために
ベース層の厚さが少なくとも50μmである。
【0024】
本実施例において、ターゲットTの製造プロセスは以下のとおりである、
S1、ベース層13上に液状のリチウム金属を注入して作用層14を形成し、蒸着また
はスパッタリングなどで処理してもよく、リチウムとルテニウムとの間に非常に薄い接着
層16を設けてもよく、接着層16の材料はCu、Al、MgまたはZnの少なくとも1
つを含み、同様に蒸着またはスパッタリング等の処理を採用でき、ベース層と作用層との
接着を向上させる。
【0025】
S2、ベース層13および放熱層12の管状部材121に対してHIP(Hot Is
ostatic Pressing、熱間静水圧プレス)処理を行う。
【0026】
S3、酸化防止層15を同時にHIP処理または他のプロセスによってベース層13を
閉じて1つのキャビディを形成し、および/または作用層14を取り囲む。
【0027】
S4、支持部材122と筒状部材121を溶接、圧着等の方式によって接続される。
【0028】
上記ステップS1、S2、S3、S4は特定の順序がなく、例えば、最初に酸化防止層
15とベース層13に対してHIP処理を行い、または他のプロセスによってベース層1
3を1つのキャビディに形成させ、続いて液状のリチウム金属を該キャビディ内に注入し
て作用層14を形成する。支持部材122も省略することができ、複数の管を溶接または
他の方式によって順に接続して一体に固定すればよいことが理解されたい。各管上のベー
ス層13、作用層14、酸化防止層15はそれぞれ成形し、続いて管状部材と支持部材1
22を位置決めして接続し、接続した後に各管上に形成されたベース層13、作用層14
、酸化防止層15の全体が不連続であってもよく、隣接する管の間に接続部17を形成す
る必要があり、接続部17もベース層13、作用層14および酸化防止層15で構成され
、ターゲット全体は複数の単独の作用部分に分割され、金属酸化防止層の発泡現象をさら
に低減させ、このとき、S4における支持部材122と管状部材121との接続は取り外
し可能な方式を採用してもよく、このようにしてターゲットTを部分的に交換することが
でき、ターゲットの耐用年数を延ばし、患者の治療コストを低減させる。各管上のベース
層13、作用層14、酸化防止層15はまた全体成形してから管状部材に接続することが
できることを理解されたく、このようにして接続した後にターゲットTの作用層が全体的
に連続であり、荷電粒子線PとターゲットTとの反応に役立ち、このとき、支持部材12
2と管状部材121はまた一体的に付加製造で製造することができ、加工、組み立ての難
しさを低減させる。ベース層13、作用層14、酸化防止層15により形成された全体は
、管の中心線に垂直な断面の形状は様々であってもよく、例えば、管状部材に接続された
ベース層13、作用層14および抗酸化層15の側面の外面の輪郭と一致し、本実施例に
おいて円弧形状であり、ターゲットTと荷電粒子Pとの作用面積および放熱層12とベー
ス層13との接触および熱伝導の面積を増加させる。各管上の作用層14は少なくとも管
の外周の1/4を覆い、すなわち、円周方向に作用層と管の中心線との間の角度αは少な
くとも45度である。
【0029】
本実施例において、支持部材122は第一支持部1221および第二支持部1222を
含み、管状部材121の両端に対称に設けられ、それぞれ冷却入口INおよび冷却出口O
UTを備え、冷却通路Pは冷却入口INと冷却出口OUTに連通している。冷却通路Pは
、第一支持部上の第一冷却通路P1、第二支持部上の第二冷却通路P2、および管状部材
121を構成する管の内部に形成された第三冷却通路P3を含む。冷却媒体は、第一支持
部1221上の冷却入口INから第一冷却通路P1を通って同時に管状部材121を構成
する各管の内部に入り、続いて第二支持部上の第二冷却通路P2を通って冷却出口OUT
から排出される。ターゲットTは、高エネルギーレベルの加速陽子ビームの照射を受けて
温度が上昇して加熱し、前記ベース層および放熱層は熱を伝導し、かつ管状部材および支
持部材内を流通する冷却媒体を介して熱を放出し、それによって材料Tを冷却させる。
【0030】
第一冷却通路P1および第二冷却通路P2はまた他の設定を採用することもできること
が理解されたく、例えば、第一支持部1221上の冷却入口INから入った冷却媒体は管
状部材121を構成する各管の内部に順に通過し、最後に第二支持部上の冷却出口OUT
から排出される。冷却媒体は、支持部材を介さずに管状部材に直接出入りすることができ
、このとき、冷却入口INと冷却出口OUTを管状部材121に設けてもよく、各管は順
に接続して冷却通路Pを形成し、冷却媒体は各管の内部を順に流す。
【0031】
支持部材122は第一、第二支持部1221、1222に接続された第三支持部122
3を含んでもいい、第三支持部1223が管状部材121の作用層14に接続された片側
に対向する向こう側に接触し、第三支持部1223は冷却通路Pを構成する第四冷却通路
を備えてもよく、このとき、冷却媒体は管状部材121の各管の内部を通過せずに支持部
材122のみを通過することができ、各管の内部は支持部材122内の冷却通路にいずれ
も連通せず、支持部材122内の冷却通路は、可能な限り管と接触する領域を通過するよ
うに螺旋形状のような様々な配列が存在してもよい。冷却媒体はまた管の内部と支持部材
の第三支持部の両方、または管の内部と支持部材の第一、第二および第三支持部の両方を
通過することができる。
【0032】
本実施例において、第一、第二冷却管D1、D2は、加速管111と反射体21および
減速体22との間に配置され、第一、第二冷却管D1、D2の一端はターゲットTの冷却
入口INおよび冷却出口OUTにそれぞれ接続され、他端が外部冷却源に接続される。第
一、第二冷却管はまた、他の方式でビーム整形体内に配置することができ、また、ビーム
整形体の外側にターゲットを配置するときにキャンセルすることもできることが理解され
たい。
【0033】
引き続き図5図7を参照し、放熱面を増加させ、および/または渦を形成して放熱効
果を高めるように冷却面Sを有する1つ以上の突起123を冷却通路P内に配置すること
ができ、冷却面Sは、冷却媒体が冷却流路Pを流通するときに突起123と接触可能な面
であり、突起123は、冷却流路Pの内壁Wから冷却媒体の流れ方向Dに垂直または傾斜
した方向へ突出したが、突起123は他の方式で冷却流路Pの内壁Wから突出することが
できることを理解されたい。冷却媒体の流れ方向Dに垂直な方向に、突起123が冷却流
路Pの内壁Wから延在した最大距離L1は、延在方向において反対側の内壁Wまで延在す
る距離L2の半分未満であり、突起123は、冷却通路Pにおける冷却媒体の自由な流れ
に影響を与えず、すなわち、突起は、1つの冷却通路をいくつかの実質的に独立した(冷
却媒体は互いに影響しない)冷却通路に分割するよう機能しない。
【0034】
図5aおよび5bに示す冷却通路の第一実施例では、突起123は冷却通路Pの内壁W
から冷却媒体の流れ方向Dと垂直な方向に突出し、冷却通路Pの内壁Wは円筒面であり、
突起123は、冷却媒体の流れ方向Dに直線状に延在する帯状部材であり、冷却通路Pの
内壁Wは、他の形状であってもよく、突起123は冷却通路Pの内壁Wから冷却媒体の流
れ方向に沿って螺旋状または他の形状で延在してもよいことを理解されたい。図における
突起は10個であり、かつ内壁Wに沿って周方向に均一に分布し、突起は他の数であって
もよく、または作用層またはベース層に接触する冷却通路の内壁Wにのみ配置されてもよ
く、少なくとも2つの隣接する突起の形状および/または突出長さも異なってもよい。冷
却媒体の流れ方向Dに垂直な方向における突起123の断面形状は、矩形、台形、三角形
などであってもよく、冷却媒体の流れ方向に、パルス状、鋸歯状または波状など、異なる
断面形状またはサイズが異なってもよい。突起123の冷却面Sにサブ突起1231が設
けられ、本実施例では、サブ突起1231は、冷却媒体の流れ方向Dに垂直な方向での断
面形状は鋸歯状であり、かつ冷却媒体の流れ方向Dに沿って延在し、また、放熱面を大き
くすることができれば、サブ突起の形状も様々であることが理解されたい。本実施例にお
いて、サブ突起1231は、突起123の冷却面の1つに概略的にのみ配置されるが、サ
ブ突起1231は、突起123の他のいずれの冷却面上に配置されてもよいことが理解さ
れたい。
【0035】
図6aおよび6bに示すのは冷却通路の第二実施例であって、以下では、第一実施例と
の相違点についてのみ説明し、突起123は、冷却媒体の流れ方向に隔離して配置したリ
ングであり、リングの少なくとも一部であってもよいことが理解されたい。図におけるリ
ングの数および冷却通路の長さは例示的なものに過ぎず、実際の条件に従って調整するこ
とができる。本実施例において、リングの端面は、冷却媒体の流れ方向Dに垂直な平面で
あり、冷却媒体の流れ方向Dと傾斜した平面またはテーパ面または曲面であってもよい。
【0036】
図7を参照し、冷却通路の第三実施例において、冷却通路P内に少なくとも1つの第二
壁124が配置されて冷却通路Pを少なくとも2つの独立したサブ通路P’、P”に分割
され、少なくとも2つの隣接するサブ通路の冷却媒体の流れ方向が異なり、放熱効率を向
上させる。本実施例において、第二壁124は第一実施例の基礎上に円筒状であり、かつ
各突起123を通り抜けて、円筒状の第二壁124の内部にサブ通路P’が形成され、同
時に各2つの隣接する突起123と第二壁124との間に1つのサブ通路P”が形成され
、それによりサブ通路P’の周りに10個のサブ通路P”が形成され、サブ通路P’およ
び少なくとも1つのサブ通路P”内の冷却媒体の流れ方向が異なり、少なくとも2つの隣
接するサブ通路P”における冷却媒体の流通方向も異なってもよい。第二壁は、突起の異
なる設置に応じて他の設置方式を有することができることが理解されたい。冷却通路内の
突起およびその上のサブ突起は製造上の難しさをさらに増大させるため、突起および/ま
たは第二壁は別々に成形してから管内に挿入して位置決めし、または全体として付加製造
によって製造される。
【0037】
同時に放熱層12をベース層13とすることができることを理解されたく、このとき、
放熱層12は少なくとも一部が熱伝導および発泡抑制可能な材料で製造され、例えば、T
aまたはTa-W合金からなる管状部材121およびCuからなる支持部材122を採用
して、作用層14は、TaまたはTa-W合金管に蒸着またはスパッタリングなどのプロ
セスによって接続され、TaまたはTa-W合金管はベース層12および放熱層13の両
方として機能する。本実施例において、ターゲットTは、全体として矩形の板状である。
ターゲットTも円盤状であってもよいことを理解されたく、第一支持部および第二支持部
は全周または円周の一部を構成し、このときに管の長さは異なってもよい。ターゲットT
は、他の固体形状であってもよい。ターゲットTはまた、ターゲットの変更を容易にし、
または粒子線とターゲットを均一に相互作用させるために、加速器またはビーム整形体に
対して移動可能であってもよい。作用層14はまた液体(液体金属)を使用することがで
きる。
【0038】
本発明のターゲットは、中性子の発生が粒子線とターゲットとの核反応に基づくもので
あれば、医療分野および非医療分野の他の中性子発生装置にも適用可能であり、異なる核
反応に基づいてターゲット物質も異なって、また他の粒子線発生装置にも適用することが
できることを理解されたい。
【0039】
本発明における“管状部材”は、複数の個々の管が配列し、かつ接続部材または接続プ
ロセスによって接続して形成された全体であり、1枚または複数枚の板状部材で形成し、
または組み合わせて中空部を形成して得られた中空部付きの物体を本発明の管状部材とし
て理解されるべきではない。
【0040】
当業者は本発明を理解しやすいように、以上には本発明の説明的な発明を実施するため
の形態を描述したが、明らかであるように、本発明は発明を実施するための形態の範囲に
限らず、当業者であれば、各種の変化が添付の特許請求の範囲によって限定した若しくは
確定した本発明の精神と範囲内にあれば、これらの変化は明らかに、いずれも本発明の要
求した保護範囲内にある。
【0041】
<付記>
以下に、関連する発明について記す。
【0042】
(付記1)
中性子捕捉治療システムであって、前記中性子捕捉治療システムは、中性子発生装置お
よびビーム整形体を含み、前記中性子発生装置は、加速器およびターゲットを含み、前記
加速器の加速によって発生した荷電粒子線は前記ターゲットと作用して中性子線を発生さ
せ、前記ビーム整形体は、反射体、減速体、熱中性子吸収体、放射シールドおよびビーム
出口を含み、前記減速体は、前記ターゲットから発生した中性子を熱外中性子エネルギー
領域に減速させ、前記反射体は、熱外中性子ビームの強度を増加させるように、前記減速
体を取り囲み、かつ偏向された中性子を前記減速体に戻させ、前記熱外中性子吸収体は、
治療中に浅い正常組織への過剰な線量を避けるように熱中性子を吸収するために使用され
、前記放射シールドは、漏れた中性子および光子を遮断して非照射領域の正常組織線量を
低減させるように、前記ビーム出口を取り囲み、反射体の後部に設けられ、前記ターゲッ
トは、作用層、ベース層および放熱層を含み、前記作用層は、荷電粒子線と作用して中性
子線を発生させ、前記ベース層は、前記作用層を支持し、前記放熱層は、複数の管が並ん
で構成された管状部材を含むことを特徴とする、中性子捕捉治療システム。
【0043】
(付記2)
前記中性子捕捉治療システムは、治療テーブルおよびコリメータをさらに含み、前記中
性子発生装置が発生した中性子ビームは、前記ビーム整形体によって前記治療テーブル上
の患者に照射され、放射シールド装置は、前記患者とビーム出口との間に設けられ、前記
ビーム出口から出たビームが患者の正常組織への放射を遮断し、前記コリメータは、前記
ビーム出口の後部に設けられて中性子線を集中させ、前記ビーム整形体内に第一、第二冷
却管が設けられ、前記ターゲットは、冷却入口、冷却出口、および冷却入口と冷却出口と
の間に配置された冷却通路を有し、前記第一、第二冷却管の一端はそれぞれ前記ターゲッ
トの冷却入口および冷却出口に接続され、他端は外部冷却源に接続され、前記管状部材の
各管の内部が前記冷却通路の少なくとも一部を構成することを特徴とする、
付記1に記載の中性子捕捉治療システム。
【0044】
(付記3)
前記ターゲットは、前記ビーム整形体内に配置され、前記加速器は、荷電粒子線を加速
させる加速管を有し、前記加速管は、荷電粒子線の方向に沿って前記ビーム整形体に進入
し、かつ順に前記反射体および減速体を通り抜け、前記ターゲットは、前記減速体内に設
けられ、かつ前記加速管の端部に位置し、前記第一、第二冷却管は、前記加速管と前記反
射体および減速体との間に設けられることを特徴とする、
付記2に記載の中性子捕捉治療システム。
【0045】
(付記4)
粒子線発生装置用のターゲットであって、前記ターゲットは、作用層、ベース層および
放熱層を含み、前記作用層は、荷電粒子線と作用して中性子線を発生させ、前記ベース層
は、前記作用層を支持し、前記放熱層は、複数の管が並んで構成された管状部材を含むこ
とを特徴とする、粒子線発生装置用のターゲット。
【0046】
(付記5)
前記粒子線発生装置は中性子線発生装置であり、前記作用層の材料は、Liまたはその
合金であり、前記作用層は、入射陽子ビームとのLi(p、n)Be核反応によって
中性子を発生させ、または、前記作用層の材料は、Beまたは他の合金であり、前記作用
層は、入射陽子ビームとのBe(p、n)B核反応によって中性子を発生させる、こ
とを特徴とする、
付記4に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0047】
(付記6)
前記ターゲットは、酸化防止層をさらに含み、前記酸化防止層の材料は、Al、Ti、
Beおよびそれらの合金、またはステンレス鋼の少なくとも1つを含み、前記作用層とベ
ース層との間に接着層が設けられ、前記接着層の材料は、Cu、Al、MgまたはZnの
少なくとも1つを含み、前記放熱層は、熱伝導材料又は熱伝導性かつ発泡抑制可能な材料
で製造され、前記ベース層は、発泡抑制の材料で製造され、発泡抑制の材料または熱伝導
でも発泡抑制でもよい材料は、Fe、TaまたはVの少なくとも1つを含み、熱伝導材料
は、Cu、Fe、Alのうちの少なくとも1つを含み、前記放熱層と前記ベース層は、H
IPプロセスによって接続され、前記作用層と前記ベース層は、キャスティング、蒸着ま
たはスパッタリングプロセスによって接続されることを特徴とする、
付記4に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0048】
(付記7)
前記管状部材は、同時に前記ベース層であり、前記管状部材の材料は、Taであり、前
記作用層と前記管状部材は、蒸着またはスパッタリングプロセスによって接続されること
を特徴とする、
付記4に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0049】
(付記8)
前記ベース層の材料は、Ta-W合金であり、前記Ta-W合金中のWの重量割合は、
2.5%~20%であり、前記陽子線のエネルギーは、1.881MeV~10MeVで
あり、前記ベース層の厚さは、少なくとも50μmであることを特徴とする、
付記4に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0050】
(付記9)
前記管状部材の各管上の作用層は、少なくとも管の外周の1/4を覆い、円周方向に作
用層と管の中心線との間の角度は、少なくとも45度であり、前記管状部材は、隣接する
管の間に接続部が形成され、前記接続部は、ベース層、作用層および酸化防止層で構成さ
れることを特徴とする、
付記4~7のいずれか1項に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0051】
(付記10)
前記放熱層は、支持部材をさらに含み、前記支持部材の材料は、Cuであり、前記管状
部材は、前記支持部材と溶接され、または脱着可能に接続され、または全体として付加製
造で製造され、前記支持部材および/または管状部材は、冷却通路を有することを特徴と
する、
付記4~7のいずれか1項に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0052】
(付記11)
前記支持部材は、前記管状部材の両端に設けられた第一支持部および第二支持部を含み
、前記第一支持部は、冷却入口および第一冷却通路を有し、前記第二支持部は、冷却出口
および第二冷却通路を有し、冷却媒体は、前記冷却入口から前記第一冷却通路を介して前
記管状部材の各管の内部に入り、続いて前記第二冷却通路を介して前記冷却出口から排出
され、前記冷却媒体は、水であり、前記支持部材は、前記第一、第二支持部に接続された
第三支持部をさらに含み、前記第三支持部は、前記管状部材の前記作用層に接続された片
側に対向する向こう側に接触し、前記第三支持部は、冷却通路を有し、冷却媒体は、前記
支持部材のみ、または、前記管状部材の各管の内部と支持部材の第三支持部の両方、また
は、管の内部と支持部材の第一、第二および第三支持部の両方を通過することを特徴とす
る、
付記9に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0053】
(付記12)
中性子捕捉治療システムであって、前記中性子捕捉治療システムは、中性子発生装置お
よびビーム整形体を含み、前記中性子発生装置は、加速器およびターゲットを含み、前記
加速器の加速によって発生した荷電粒子線は、前記ターゲットと作用して中性子線を発生
させ、前記ビーム整形体は、反射体、減速体、熱中性子吸収体、放射シールドおよびビー
ム出口を含み、前記減速体は、前記ターゲットから発生した中性子を熱外中性子エネルギ
ー領域に減速させ、前記反射体は、熱外中性子ビームの強度を増加させるように、前記減
速体を取り囲み、かつ偏向された中性子を前記減速体に戻させ、前記熱外中性子吸収体は
、治療中に浅い正常組織への過剰な線量を避けるように熱中性子を吸収するために使用さ
れ、前記放射シールドは、漏れた中性子および光子を遮断して非照射領域の正常組織線量
を低減させるように、前記ビーム出口を取り囲み、反射体の後部に設けられ、前記ターゲ
ットは、冷却入口、冷却出口、および冷却入口と冷却出口との間に設けられた冷却通路を
有し、前記冷却通路内に少なくとも1つの突起が設けられ、前記突起は冷却面を有するこ
とを特徴とする、
中性子捕捉治療システム。
【0054】
(付記13)
粒子線発生装置用のターゲットであって、前記ターゲットは、作用層、ベース層および
放熱層を含み、前記作用層は、前記粒子線を発生させるために使用され、前記ベース層は
、前記作用層を支持し、前記放熱層は、冷却媒体を流通させるための冷却通路を有し、前
記冷却通路内に少なくとも1つの突起が設けられ、前記突起は冷却面を有することを特徴
とする、
粒子線発生装置用のターゲット。
【0055】
(付記14)
前記粒子線発生装置は、中性子線発生装置であり、前記作用層の材料は、Liまたはそ
の合金であり、前記作用層は、入射陽子ビームとのLi(p、n)Be核反応によっ
て中性子を発生させ、または、前記作用層の材料は、Beまたは他の合金であり、前記作
用層は、入射陽子ビームとのBe(p、n)B核反応によって中性子を発生させる、
ことを特徴とする、
付記13に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0056】
(付記15)
前記突起は、冷却流路の内壁から冷却媒体の流れ方向に垂直または傾斜した方向へ突出
し、前記突起は、前記冷却通路の内壁から冷却媒体の流れ方向に螺旋状または線状に延在
し、または、冷却媒体の流れ方向に離間して分布されたリングまたはリングの一部である
ことを特徴とする、
付記13に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0057】
(付記16)
前記突起と前記冷却通路は一体的であって、または前記突起は単独で成形されて前記冷
却通路内に取り付けられ、前記冷却面上にサブ突起が設けられることを特徴とする、
付記13に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0058】
(付記17)
前記突起の冷却媒体の流れ方向に垂直な方向における断面形状は、長方形、台形または
三角形であり;異なる断面形状または大きさが異なり、冷却媒体の流れ方向にパルス状、
鋸歯状または波状であることを特徴とする、
付記15に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0059】
(付記18)
冷却媒体の流れ方向に垂直な方向に、前記突起が冷却流路の内壁から延在する最大距離
は、該延在方向において反対側の内壁まで延在する距離の半分未満であり、少なくとも2
つの隣接する突起の形状および/または突出する長さが異なることを特徴とする、
付記15に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0060】
(付記19)
前記突起の少なくとも一部は、作用層またはベース層と接触する冷却通路の内壁に設け
られることを特徴とする、
付記15に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0061】
(付記20)
前記冷却通路内に少なくとも1つの第二壁が配置されて前記冷却通路は少なくとも2つ
の独立したサブ通路に分割され、少なくとも2つの隣接するサブ通路の冷却媒体の流れ方
向が異なることを特徴とする、
付記13に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0062】
(付記21)
前記放熱層は、複数の管が並んで構成された管状部材を含み、前記管の内部の少なくと
も一部は、前記冷却通路を形成し、前記管は、付加製造で製造され、前記冷却通路の内壁
は、円筒面であり、前記突起は、前記冷却通路の内壁から冷却媒体の流れ方向に垂直な方
向に突出し、かつ、冷却媒体の流れ方向に直線状に延在する帯状部材であり、前記突起は
、複数個であり、かつ、前記冷却通路の内壁に沿って均等に分配されることを特徴とする

付記13に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0063】
(付記22)
中性子線発生装置用のターゲットであって、前記ターゲットは、作用層およびベース層
を含み、前記作用層は、入射粒子線と作用して前記中性子線を発生させ、前記ベース層は
、入射粒子線によって引き起こされる発泡を抑制でき、かつ、前記作用層を支持すること
ができ、前記作用層は、第一作用層および第二作用層を含み、入射粒子線は、入射方向に
沿って順に前記第一作用層および第二作用層を通り抜けることを特徴とする、
中性子線発生装置用のターゲット。
【0064】
(付記23)
前記第一、第二作用層の材料は、いずれも前記入射粒子線と核反応を発生可能な材料で
あり、前記第一、第二作用層の材料は、異なることを特徴とする、
付記22に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【0065】
(付記24)
前記第一作用層の材料は、Beまたはその合金であり、前記第二作用層の材料は、Li
またはその合金であり、前記入射粒子線は、陽子線であり、前記第一、第二作用層は、そ
れぞれ前記陽子線とのBe(p、n)BおよびLi(p、n)Be核反応によっ
て中性子を発生し、前記陽子線のエネルギーは、2.5MeV~5MeVであり、中性子
収率は、7.31E-05n/プロトン~5.61E-04n/プロトンであることを特
徴とする、
付記23に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【0066】
(付記25)
前記第一作用層の厚さは、5μm~25μmであり、前記第二作用層の厚さは、80μ
m~240μmであることを特徴とする、
付記22に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【0067】
(付記26)
前記第二作用層は、キャスティング、蒸着またはスパッタリングプロセスによってベー
ス層に接続され、前記第一作用層は、HIP処理によってベース層を封止して1つのキャ
ビティを形成しおよび/または第二作用層を取り囲むことを特徴とする、
付記22に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【0068】
(付記27)
前記第二作用層とベース層との間に接着層が設けられ、前記接着層の材料は、Cu、A
l、MgまたはZnの少なくとも1つを含むことを特徴とする、
付記22に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【0069】
(付記28)
前記ターゲットは、放熱層をさらに含み、前記放熱層は、冷却通路を含み、前記冷却通
路は、付加製造によって製造されることを特徴とする
付記22に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【0070】
(付記29)
前記ベース層は、発泡抑制の材料で製造され、前記放熱層は、熱伝導材料または熱伝導
性かつ発泡抑制可能な材料で製造され、発泡抑制の材料または熱伝導でも発泡抑制でもよ
い材料は、Fe、TaまたはVの少なくとも1つを含み、熱伝導材料は、Cu、Fe、A
lのうちの少なくとも1つを含み、前記放熱層と前記ベース層は、HIPプロセスによっ
て接続されることを特徴とする、
付記28に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0071】
(付記30)
前記放熱層およびベース層の少なくとも一部は、同じ材料であり、または、一体的であ
り、前記同じ材料はTaまたはTa-W合金であることを特徴とする、
付記28に記載の粒子線発生装置用のターゲット。
【0072】
(付記31)
中性子捕捉治療システムであって、中性子発生装置およびビーム整形体を含み、前記中
性子発生装置は、加速器およびターゲットを含み、前記加速器の加速によって発生した荷
電粒子線は、前記ターゲットと作用して中性子線を発生させ、前記ビーム整形体は、反射
体、減速体、熱中性子吸収体、放射シールドおよびビーム出口を含み、前記減速体は、前
記ターゲットから発生した中性子を熱外中性子エネルギー領域に減速させ、前記反射体は
、熱外中性子ビームの強度を増加させるように、前記減速体を取り囲み、かつ偏向された
中性子を前記減速体に戻させ、前記熱外中性子吸収体は、治療中に浅い正常組織への過剰
な線量を避けるように熱中性子を吸収するために使用され、前記放射シールドは、漏れた
中性子および光子を遮断して非照射領域の正常組織線量を低減させるように、前記ビーム
出口を取り囲み、前記反射体の後部に設けられ、前記ターゲットが付記22~30のいず
れか1項に記載のターゲットであることを特徴する、中性子捕捉治療システム。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性子線発生装置用のターゲットであって、前記ターゲットは、作用層およびベース層を含み、前記作用層は、入射粒子線と作用して中性子線を発生させ、前記ベース層は、前記入射粒子線によって引き起こされる発泡を抑制可能で、かつ、前記作用層を支持し、前記作用層は、第一作用層および第二作用層を含み、前記入射粒子線は、入射方向に沿って順に前記第一作用層および前記第二作用層を通り抜けることを特徴とする、
中性子線発生装置用のターゲット。
【請求項2】
前記第一作用層及び前記第二作用層の材料は、いずれも前記入射粒子線と核反応する材料であり、前記第一作用層の材料と前記第二作用層の材料とは異なることを特徴とする、
請求項1に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【請求項3】
前記第一作用層の材料は、BeまたはBe合金であり、前記第二作用層の材料は、LiまたはLi合金であり、前記入射粒子線は、陽子線であり、前記第一作用層及び前記第二作用層は、それぞれ前記陽子線との Be(p、n) Bおよび Li(p、n) Be核反応によって中性子を発生し、前記陽子線のエネルギーは、2.5MeV~5MeVであり、中性子収率は、7.31E-05n/プロトン~5.61E-04n/プロトンであることを特徴とする、
請求項2に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【請求項4】
前記第一作用層の厚さは、5μm~25μmであり、前記第二作用層の厚さは、80μm~240μmであることを特徴とする、
請求項1に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【請求項5】
前記第二作用層は、前記ベース層に接続され、
前記第一作用層は、前記ベース層を封止して1つのキャビティを形成する、および/または、前記第二作用層を取り囲む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【請求項6】
前記第二作用層と前記ベース層との間に接着層が設けられ、前記接着層の材料は、Cu、Al、MgまたはZnの少なくとも1つを含むことを特徴とする、
請求項1に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【請求項7】
前記ターゲットは、放熱層をさらに含み、前記放熱層は、冷却通路を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【請求項8】
前記放熱層は、複数の管を並べて構成された管状部材を含むことを特徴とする、
請求項7に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【請求項9】
前記冷却通路内には、少なくとも1つの突起が設けられ、
前記突起は冷却面を有し、
前記突起の少なくとも一部は、前記作用層または前記ベース層と接触する前記冷却通路の内壁に設けられる、
ことを特徴とする、請求項8に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【請求項10】
前記ベース層は、前記入射粒子線によって引き起こされる発泡を抑制可能な材料で製造され、前記放熱層は、熱伝導材料、または、熱伝導性かつ前記入射粒子線によって引き起こされる発泡を抑制可能な材料で製造され、前記入射粒子線によって引き起こされる発泡を抑制可能な前記材料、または、熱伝導かつ前記入射粒子線によって引き起こされる発泡を抑制可能な前記材料は、Fe、TaまたはVの少なくとも1つを含み、前記熱伝導材料は、Cu、Fe、Alのうちの少なくとも1つを含み、前記放熱層と前記ベース層に接続されることを特徴とする、
請求項7に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【請求項11】
前記放熱層および前記ベース層の少なくとも一部は、同一材料であり、または、一体的であり、前記同一材料はTaまたはTa-W合金であることを特徴とする、
請求項7に記載の中性子線発生装置用のターゲット。
【請求項12】
中性子捕捉治療システムであって、中性子発生装置およびビーム整形体を含み、前記中性子発生装置は、加速器およびターゲットを含み、前記加速器による荷電粒子の加速によって発生した荷電粒子線は、前記ターゲットと作用して中性子線を発生させ、前記ビーム整形体は、反射体、減速体、熱中性子吸収体、放射シールドおよびビーム出口を含み、前記減速体は、前記ターゲットから発生した中性子を熱外中性子エネルギー領域に減速させ、前記反射体は、熱外中性子ビームの強度を増加させるように、前記減速体を取り囲み、かつ偏向された中性子を前記減速体に戻し、前記熱中性子吸収体は、治療中に浅い正常組織への過剰な線量を避けるように熱中性子を吸収するために使用され、前記放射シールドは、漏れた中性子および光子を遮断して非照射領域の正常組織線量を低減させるように、前記ビーム出口を取り囲み、かつ、前記反射体の後部に設けられ、前記ターゲットが請求項1~11のいずれか1項に記載のターゲットであることを特徴する、中性子捕捉治療システム。