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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162268
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】情報収集装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20231031BHJP
   A47K 13/24 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
A47K13/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132845
(22)【出願日】2023-08-17
(62)【分割の表示】P 2021140226の分割
【原出願日】2021-08-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年1月12日、NECプラットフォームズ株式会社が、東北エンゼル株式会社に本サニタリー利用記録システムを公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山本 健史
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕和
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 潤平
(72)【発明者】
【氏名】大石 一敏
(72)【発明者】
【氏名】片柳 広
(72)【発明者】
【氏名】山口 慶太
(72)【発明者】
【氏名】小原 健良
(57)【要約】
【課題】既に流通しているどのような便器及び便座に対しても便器に取り付けることが可能で、且つ、排泄物の情報を排出口の排便についてまで収集することが可能な情報収集装置を提供する。
【解決手段】情報収集装置10は、便器1における排泄物の情報を収集する情報収集部24と、情報収集部24を配設する筐体21と、を備える。情報収集装置10は、便器1の縁部1cの上面に一部を載置して縁部1cを挟み縁部1cの内側と縁部1cの外側とを橋架する橋架部品40と、橋架部品40における縁部1cの内側方向の端部41に取り付けられ且つ筐体21を取り付ける取付具30と、を備える。情報収集装置10は、端部41から筐体21までの、縁部1cの内側を形成する内壁に沿った方向の距離を変更する変更機構を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器における排泄物の情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部を配設する筐体と、
前記便器の縁部の上面に一部を載置して、前記縁部を挟み、前記縁部の内側と前記縁部の外側とを橋架する橋架部品と、
前記橋架部品における前記縁部の内側方向の端部に取り付けられ、且つ、前記筐体を取り付ける取付具と、
前記端部から前記筐体までの、前記縁部の内側を形成する内壁に沿った方向の距離を変更する変更機構と、
を備えた、情報収集装置。
【請求項2】
前記変更機構は、前記橋架部品と前記取付具とを固定し、前記筐体と前記取付具とを固定する機構であって、固定される前記取付具として、前記内壁に沿った方向の長さが異なる複数の取付具の中から選択された取付具を用いることで、前記距離を変更する機構である、
請求項1に記載の情報収集装置。
【請求項3】
前記変更機構は、前記端部に対する前記筐体の位置を、前記内壁に沿った方向にスライドさせるスライド機構を備える、
請求項1又は2に記載の情報収集装置。
【請求項4】
前記変更機構は、前記取付具に設けられた、前記内壁に沿った方向の長さを伸縮する伸縮機構である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報収集装置。
【請求項5】
前記取付具は、前記筐体を、前記縁部の内側の位置で、且つ、便座を前記縁部の上面に載置した場合における前記便座の鉛直方向下側の位置に配置されるように取り付ける治具である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報収集装置。
【請求項6】
前記情報収集部を制御する制御部と、
前記便器の外側に配置されるための筐体であって、前記制御部を収納する外側筐体と、
をさらに備えた、
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報収集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報収集装置及び装置取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、便器の上方に配設される便座と、便座の裏面に設けられ、排泄時における便鉢の内部空間を撮像する画像センサと、画像センサで撮像した対象画像へ人体が写ることを防止する写り込み防止部と、を備えた便座装置が記載されている。また、特許文献1には、便座に使用者が着座したときを検出する荷重センサ等の着座センサと連動し、着座が検出されたときに便鉢の内部空間を画像センサで撮像するように制御する技術も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/060212号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の便座装置は、排泄物の撮影用の画像センサ及び照明部が便座の裏面に固定される装置であり、且つ、便座の裏面にあり便器の縁部の上面と接する弾性部材の凸部の配置間隔によっては同じ画像センサ及び照明部を取り付けができない場合がある。これは、流通している便座の種類によってこの配置間隔が異なり、配置間隔によっては画像センサ及び照明部が上記凸部に干渉してしまうためである。よって、特許文献1に記載の便座装置では、排泄物の撮影のために既に流通している便器や便座のタイプごとに専用品を開発する必要があった。
【0005】
さらに、排泄物を排出口の排便まで認識させるためには便器後方に設置する必要が生じる。しかしながら、特許文献1に記載の便座装置ではそのような位置への設置が困難であり、排泄物を排出口の排便まで撮影することは困難である。
【0006】
本開示の目的は、既に流通しているどのような便器及び便座に対しても便器に取り付けることが可能で、且つ、排泄物の情報を排出口の排便についてまで収集することが可能な情報収集装置及び装置取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様に係る情報収集装置は、トイレの便器の使用者が前記便器の縁部の上面に載置された便座に着座したことを検知する着座センサと、前記便器における排泄物の情報を収集する情報収集部と、を備える。前記情報収集装置は、前記情報収集部及び前記着座センサを配設する筐体と、前記便器の縁部の上面に一部を載置して、前記縁部を挟み、前記縁部の内側と前記縁部の外側とを橋架する橋架部品と、を備える。前記情報収集装置は、前記橋架部品における前記縁部の内側方向の端部に取り付けられ、且つ、前記筐体を取り付ける取付具と、前記端部から前記筐体までの、前記縁部の内側を形成する内壁に沿った方向の距離を変更する変更機構と、を備える。
【0008】
本開示の第2の態様に係る装置取付方法は、橋架部品の一部をトイレの便器の縁部の上面に載置して、前記橋架部品で前記縁部を挟むことで前記縁部の内側と前記縁部の外側とを橋架するステップを備える。前記装置取付方法は、前記橋架部品における前記縁部の内側方向の端部に取付具を取り付けるステップを備える。前記装置取付方法は、前記便器の使用者が前記縁部の上面に載置された便座に着座したことを検知する着座センサと、前記便器における排泄物の情報を収集する情報収集部と、を配設した筐体を、前記取付具に取り付けるステップを備える。前記装置取付方法は、変更機構を用いて、前記端部から前記筐体までの、前記縁部の内側を形成する内壁に沿った方向の距離を変更するステップを備える。前記変更機構は、前記橋架部品と前記取付具とを固定し、前記筐体と前記取付具とを固定する機構である。前記変更機構は、固定される前記取付具として、前記内壁に沿った方向の長さが異なる複数の取付具の中から選択された取付具を用いることで、前記距離を変更する機構である。
【0009】
本開示の第3の態様に係る装置取付方法は、橋架部品の一部をトイレの便器の縁部の上面に載置して、前記橋架部品で前記縁部を挟むことで前記縁部の内側と前記縁部の外側とを橋架するステップと、前記橋架部品における前記縁部の内側方向の端部に取付具を取り付けるステップと、備える。前記装置取付方法は、前記便器の使用者が前記縁部の上面に載置された便座に着座したことを検知する着座センサと、前記便器における排泄物の情報を収集する情報収集部と、を配設した筐体を、前記取付具に取り付けるステップを備える。前記装置取付方法は、変更機構を用いて、前記端部から前記筐体までの、前記縁部の内側を形成する内壁に沿った方向の距離を変更するステップを備える。前記変更機構は、前記端部に対する前記筐体の位置を、前記内壁に沿った方向にスライドさせるスライド機構である。
【0010】
本開示の第4の態様に係る装置取付方法は、橋架部品の一部をトイレの便器の縁部の上面に載置して、前記橋架部品で前記縁部を挟むことで前記縁部の内側と前記縁部の外側とを橋架するステップを備える。前記装置取付方法は、前記橋架部品における前記縁部の内側方向の端部に取付具を取り付けるステップを備える。前記装置取付方法は、前記便器の使用者が前記縁部の上面に載置された便座に着座したことを検知する着座センサと、前記便器における排泄物の情報を収集する情報収集部と、を配設した筐体を、前記取付具に取り付けるステップを備える。前記装置取付方法は、変更機構を用いて、前記端部から前記筐体までの、前記縁部の内側を形成する内壁に沿った方向の距離を変更するステップを備える。前記変更機構は、前記取付具に設けられた、前記内壁に沿った方向の長さを伸縮する伸縮機構である。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、既に流通しているどのような便器及び便座に対しても便器に取り付けることが可能で、且つ、排泄物の情報を排出口の排便についてまで収集することが可能な情報収集装置及び装置取付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る情報収集装置を設置した便器の一構成例を示す上面図である。
図2図1の便器において蓋部及び給水タンクを加えた構成例を示す斜視図である。
図3図1の情報収集装置における取付具の一例を示す斜視図である。
図4図1の情報収集装置における取付具の一例を示す側面図である。
図5図1の情報収集装置の便器への設置の様子を示す斜視図である。
図6図1の情報収集装置の便器への設置の様子を示す斜視図である。
図7図1の情報収集装置の便器への設置の様子を示す斜視図である。
図8図1の情報収集装置の便器への設置の様子を示す斜視図である。
図9】実施形態2に係る情報収集装置の一構成例を示す上面図である。
図10】実施形態3に係る情報収集装置の一構成例を示す上面図である。
図11】実施形態4に係る情報収集装置を設置した便器の一構成例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付すことがあり、重複する説明は適宜省略される。
【0014】
<実施形態1>
実施形態1について、図1を参照しながら説明する。図1は、実施形態1に係る情報収集装置を設置した便器の一構成例を示す上面図で、図2は、図1の便器において蓋部及び給水タンクを加えた構成例を示す斜視図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る情報収集装置10は、トイレの便器1に設置されるものであり、筐体21、着座センサ22、情報収集部24、取付具30、橋架部品(橋架部材)40、及び、制御部(図示せず)を備えることができる。この制御部は、着座センサ22及び情報収集部24を制御することができる。
【0016】
便器1は、その側面との間に滞水部分1dを形成するための縁部1cを備えることができ、縁部1cから連なる平面部1bを備えることもできる。この平面部1bには、便座2を設置することができる。例えば、平面部1bには、便座2を取り付けるための凹部又は孔部でなる取付部1eが形成され、便座2には取付部1eに嵌合する形状の凸部が設けられている。あるいは、便座2と便器1とが取付部1eに嵌合する形状の棒状部材を介して取り付け可能となっている。なお、図2に示すように、便器1には給水タンク1fが設けられている場合がある。
【0017】
便座2は、このように平面部1bに取り付けられることができる。便座2は、平面部1bに対応する位置に取り付けられる取付部2aと、便器1の縁部1cの上面に対して当接させたり離間させたりすることが可能なように取付部2aにヒンジで取り付けられた便座本体2bと、を備えることができる。さらに、便座2は、便座本体2bの裏面(座面の裏側の面)に取り付けられた凸部2cを備えることができる。つまり、便座2は、使用者が便座2を使用する際には縁部1cの上面と凸部2cにおいて接するように開閉可能に設置されることができる。なお、便器1や便座2は図示するものに限らず、それらの形状は問わない。また、便器1に設置可能な便座2の形状は1つとは限らず、設置者が適宜選択して設置することができる。凸部2cはゴム等の弾性部材を含んで構成されることができ、ゴム足などと称されることもある。また、図2に示すように、便座2は蓋部2fを備えることができ、蓋部2fは開閉可能に便座本体2bに対して取り付けられることができる。
【0018】
筐体21は、着座センサ22及び情報収集部24の全体又はセンサ面以外などの部分を内蔵することで、着座センサ22及び情報収集部24を配設する筐体であり、便器1の縁部1cの上面に載置する載置部23も配設されることができる。筐体21は、便器1の内側に配置される筐体であるため、以下では内側筐体21と称する。また、内側筐体21には、情報収集部24による収集対象の排泄物を照明するために照明用LED(light emitting diode)等の照明部を備えることもできる。
【0019】
少なくとも内側筐体21、着座センサ22、及び情報収集部24により、センサボックス(センサユニット)20を構成する。センサボックス20は、被介護者等の排泄物の情報(排泄情報)を収集する情報収集部24が実装されるため、排泄検知ユニット(排泄情報収集ユニット)、あるいはサニタリセンサ(サニタリ利用記録センサ)、あるいはトイレセンサと称することもできる。また、情報収集装置10自体をサニタリセンサあるいはトイレセンサと称することもある。
【0020】
着座センサ22は、トイレの便器1の使用者が便器1の縁部1cの上面に載置された便座2に着座したことを検知する。以下、着座センサ22が距離センサであることを前提に説明するが、例えば、便座2の裏面と便器1の縁部1cの上面との間において、載置部23に配置する重量センサとすることもできる。
【0021】
着座センサ22は、距離センサとすることができ、便座2の内側の方向にある物体までの距離を測定する。測定は、便器1に設置された便座2が便器1の縁部1cの上面に載置された場合に少なくとも実施されることができる。距離センサは、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、光学センサなどを採用することができる。距離センサは、光学センサを採用する場合、内側筐体21に設けられた穴から光(可視光に限らない)の送受信が行えるように、送受信素子を配置しておけばよい。ここでの送受信素子は、送信素子と受信素子とが別個に構成されていてもよいし、一体化されていてもよい。
【0022】
距離センサで測定対象となる物体は、使用者の臀部となり、無論、使用者がトイレを使用していない場合に測定対象の物体は存在しない、あるいは遠方の壁や天井などとなる。距離センサにおける測距方式は問わず、光学式の距離センサに限ったものではない。また、距離センサは測距センサと称することもできる。なお、便座2が縁部1cの上面に載置されたことを便座2の裏面による押下で検出する(又は検出して着座センサ22を可動させる)スイッチを、距離センサを配設する内側筐体21に設けておくこともできる。
【0023】
情報収集部24は、便器1における排泄物の情報を収集する。情報収集部24は、例えば、排泄物の形状、色などの排泄物の内容を、光学レンズを介して収集する撮像装置又は光学的に距離を計測する距離センサなどとすることができる。図2では、情報収集部24としてカメラを排泄物が排泄される方向に向けて内側筐体21に配設した例を挙げている。排泄情報とは、排泄の内容を示す情報とすることができ、より単純な例では、排泄物が大便(糞)であるか小便(尿)であるかを示す情報とすることができる。排泄情報には、排泄物の色を示す情報、固形物であるのであればその形状など、他の情報を含むこともできる。情報収集部24は、排泄物の情報として、単に排泄の有無を検知して収集する構成だけであってもよい。
【0024】
情報収集部24は、便器の滞水部分を含む領域(排泄範囲)を収集範囲とすることができ、この排泄範囲は排泄予定範囲と称することもできる。このような排泄範囲を撮像範囲に含めるように情報収集部24を設置しておくことで、撮像される撮像データには被写体として排泄物等が含まれることとなる。情報収集部24における情報収集面を内側筐体21の開口部から露出させておくなどして、便器1の溜まりの部分(排泄物が排泄される領域)から情報を収集できるように、情報収集部24は配設される。上記情報収集面とは、例えばカメラの場合にはレンズ面、センサの場合には検出面などが該当する。無論、上記の排泄範囲は、使用者が映り込まないような範囲とすることが好ましく、またレンズ等も使用者から見えないように情報収集部24が設置されることが好ましい。
【0025】
情報収集部24を備えることで、トイレの使用者から聞き取る必要なく使用者が排泄した排泄物の情報を収集することができる。なお、着座センサ22も着座状態を示す情報を収集するため、情報収集部の一部とすることもできる。
【0026】
また、図1及び図2では、制御部がセンサボックス20の外部に設けられ、内側筐体21から導出されたコード26に接続された例を挙げている。コード26は便座本体2bにおける凸部2cが存在しない領域に這わせて、便器1の外側に出される。なお、コード26の代わりに無線通信を用いることもできる。
【0027】
上述した制御部は、着座センサ22及び情報収集部24と有線又は無線通信により接続され、着座センサ22及び情報収集部24を制御する。この制御部は、内側筐体21に設けられること、つまりセンサボックス20に備えることもできるが、外側筐体43又はその他の、便器1の外側に配置されるために設けた外側筐体に設けられることもできる。
【0028】
上述した制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、作業用メモリ、及びプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。このプログラムは、例えば着座や離座の判定、排泄情報の収集等の処理をCPUに実行させるためのプログラムとすることができる。また、上述した制御部は、例えば集積回路(Integrated Circuit)によって実現することもできる。
【0029】
取付具30及び橋架部品40は、内側筐体21を便器1に取り付ける部品である。取付具30は金属製とすること、つまり金具とすることができるが、その材料は問わない。また、橋架部品40の材料も基本的に問わない。
【0030】
橋架部品40は、便器1の縁部1cの上面に一部を載置して、縁部1cを挟み、縁部1cの内側と縁部1cの外側とを橋架する部品であり、例えばクランプ機構とすることができる。取付具30は、橋架部品40における縁部1cの内側方向の端部41に取り付けられ、且つ、内側筐体21を取り付ける部品である。橋架部品40と取付具30とにより内側筐体21を便器1に取り付けることができる。
【0031】
そして、本実施形態に係る情報収集装置10は、端部41から内側筐体21までの、縁部1cの内側を形成する内壁に沿った方向の距離を変更する変更機構を備える。なお、この距離は、上記内壁が曲面(つまり楕円型の便器)であっても平面(矩形便器)であっても、その面に沿った距離として定義してもよいし、直線距離として定義してもよい。
【0032】
本実施形態では、上記変更機構の一例として、次のような変更機構を挙げて説明する。即ち、上記変更機構は、橋架部品40と取付具30とを固定し、内側筐体21と取付具30とを固定する機構である。そして、上記変更機構は、固定される取付具30として、上記内壁に沿った方向の長さが異なる複数の取付具の中から選択された取付具を用いることで、上記距離を変更する機構である。つまり、変更機構は、複数長さの取付具の中から便器1及び便座2に合うような長さの取付具を選び、それを取り付けることで、上記距離を変更する。
【0033】
ここで、図3及び図4を参照しながら、情報収集装置10に適用可能な上記変更機構を構成する取付具30及び橋架部品40の一例について説明する。図3は、図1の情報収集装置10における取付具30及び橋架部品40の一例を示す斜視図である。図4は情報収集装置10における取付具30及び橋架部品40の一例を示す側面図である。
【0034】
橋架部品40は、センサボックス20を便器1の縁部1cに固定するための金具とすることができ、図3の上図及び下図に示すように、先端部41、橋架部42、及び外側筐体43を備えることができる。外側筐体43にはハンドル(後述のダイヤル式ノブ43f)が設けられており、このハンドルを回して便器1の縁部1cを挟み込んで固定する。この挟み込むための固定用クランプ機構の例については図4を参照しながら後述する。また、先端部41には、図3の上図で示すように取付具30aをネジ等で固定するための固定部41bが設けられており、この固定部41bは、図3の下図で示すように長さの異なる取付具30bをネジ等で固定することも可能となっている。
【0035】
取付具30は、例えば板状又は棒状の部材とすることができ、その一端が橋架部品40の先端部41に取り付けられ、他端が内側筐体21に取り付けられる。取付具30の長手方向の形状は、便器1の縁部1cの内側の形状(図1の例では丸み)を想定し、同様の形状とすることができる。つまり、取付具30は、縁部1cの内側を形成する内壁に沿った形状の延伸部を備え、内側筐体21はその延伸部の先端部に取り付けられることができる。
【0036】
本実施形態では取付具30を2以上用意しておく。ここでは取付具30aを長いタイプ、取付具30bを短いタイプとして説明するが、3種類以上の取付具30を予め準備しておくこともできる。取付具30a,30bはいずれも、センサボックス20と橋架部品40を接続するためのアタッチメントである。設置者は、長いタイプの取付具30aと短いタイプの取付具30bとのいずれか一方を選択し、選択した取付具を使用して、センサボックス20と橋架部品40を接続することが可能である。
【0037】
取付具30aには、橋架部品40を端部41で固定する孔等の固定部30aaが設けられるとともに、内側筐体21を固定する孔等の固定部30abが設けられている。一方で、短いタイプの取付具30bには、橋架部品40の端部41と内側筐体21とを同時に固定する孔等の固定部30bbが設けられている。
【0038】
橋架部品40における固定用クランプ機構の例について説明する。
固定用クランプ機構は、図4に示すように、L字状に曲げた連結板等の連結部材と、先端部41との間で便器1の縁部1cを挟持するためスライド部材43cと、スライド部材43cを水平方向にスライドさせるための収納部43dと、を備えることができる。先端部41及び橋架部42は、連結板等の連結部材をL字状に曲げて形成することができる。先端部41は、便器1の縁部1cに引っ掛けるための部材となる。外側筐体43は筐体本体43aを備え、筐体本体43aは固定化金具等の固定用クランプ機構を保護するカバーともなる。橋架部42における先端部41とは反対側は、筐体本体43aに固定される。
【0039】
また、固定用クランプ機構は、スライド部材43cを図4の上図と下図との間で水平方向に移動させることが可能なように、収納部43dに1又は複数のスライド溝43eを備えることができる。また、固定用クランプ機構は、この移動量の調整及び固定のためにダイヤル式ノブ43fがスライド方向を中心に回動可能に設けられている。ダイヤル式ノブ43fを採用することで、軽い力でダイヤルを回すだけの調整のみで、工具が不要で簡単に着脱が可能になる。また、ダイヤル式ノブ43fとして、トルクリミッター付きノブを使用することで正常設置の確認が容易にできる。但し、ダイヤル式ノブ43fの代わりに、調整用のノブと固定用の部材とを設けることもできる。
【0040】
また、スライド部材43cの便器1側(先端部41側)には縁部1cの挟持用に弾性部材43gを設けておくことができ、先端部41の筐体本体43a側にも縁部1cの挟持用に弾性部材41aを設けておくことができる。弾性部材43g,41aの形状や材質は両者による縁部1cが強固に挟持でき縁部1cとの接触部分でずれないようなものであればよい。また、両者間の距離も縁部1cとして想定される最大限の長さが、スライド部材43cを最大限収納部43dに収納したとき(図4の下図の状態)に確保できればよい。
【0041】
橋架部42は、便器1の縁部1cの上面に少なくとも一部を載置して縁部1cを挟んだ状態で、縁部1cの内側と縁部1cの外側とを橋架する部位となる。橋架部42は、先端部41と外側筐体43とを繋ぎ、縁部1cの上面に載置する部分であり、横架部あるいはわたりと称することもできる。このように、橋架部品40は、橋架部42を介して縁部1cの内側との間の距離を調整して挟持することで、先端部41と外側筐体43とにおいて縁部1cに固定される。これにより、橋架部品40は、縁部1cの幅の大小に対応させることができる。
【0042】
また、図4では、先端部41の筐体本体43aとは反対側に取付具30(この例では取付具30a又は30b)を固定する例を挙げているが、取付具30は先端部41と弾性部材41aとの間に固定することもできる。つまり、先端部41には、内側筐体21が取り付けられた取付具30が取り付けられる構造をもたせておけばよい。
【0043】
これにより、縁部1cの形状などの便器1の形状に依らず、確実に情報収集装置10の内側筐体21を固定して設置することができる。なお、固定用クランプ機構は、その主な部品が外側筐体43に備えられた例を挙げているが、このような固定が可能な機構であれば、固定用クランプ機構の形状や構成部品は問わない。また、図4では固定用クランプ機構としてC型クランプを用いた例を挙げたが、これに限ったものではない。
【0044】
また、このような固定用クランプ機構を採用することで、小型で溝も少なく、拭き掃除も容易にすることができ、清掃時間も削減することができる。また、固定用クランプ機構は、弾性部材43g,41aを除き金属製とすることが強度の点から望ましいが、例えば収納部43d及び/又はスライド部材43cは樹脂などの他の材質で構成しておくこともできる。
【0045】
上述の説明から分かるように、情報収集装置10の主に内側筐体21の便器1への取り付け/取り外しは、ダイヤル式ノブ43fを時計回り/反時計回りに回転させることで実施することができる。取り付け時には、先端部41に取付具30を取り付け、図4の下図のような状態から、橋架部42の先端部41(実際には弾性部材41a)を便器1の縁部1cに引っ掛けた後、固定のため反時計回りにダイヤル式ノブ43fを回転させる。これにより、図4の上図のようにスライド部材43cと先端部41との間の距離を縮めて設置することができる。取付具30と内側筐体21との取り付けはこれに先立ち実施しておいてもよいし、上記の回転による固定後に実施してもよい。取り外し時には、固定解除のため、時計回りにダイヤル式ノブ43fを回転させることで、図4の下図のような状態として構造物の固定が解除され、取り外し可能となる。特に、ダイヤル式ノブ43fとしてトルクリミッター付きノブを使用することで、着脱の正常設置確認を容易に行うことができる。
【0046】
以上、このような固定用クランプ機構を備えることで、工具を使用することなく且つトイレの便器を専用品に交換することなく、市場にある多種多様な便器1に情報収集装置10を簡易に設置すること及び取り外すことができる。また、ダイヤル式ノブ43fを回動させることで、開閉の操作にかける力が小さくても、大きな力で便器1とセンサボックス20を容易に取り付け、取り外しすることが可能となる。また、便器のタイプ毎に装置シリーズを追加する必要がなく、装置のベンダーはその管理費を削減することができる。また、上述のような固定用クランプ機構を備えることで、例えば便器1の清掃時に簡単に取り外し、再設置することができる。また、上述のような固定用クランプ機構を備えることで、清掃のために手袋している状態の清掃員にも容易に取り外し及び再設置を行うことができ、清掃作業の効率を向上させることができる。
【0047】
また、トイレによって便器の脇に手すりがあるタイプも存在するが、情報収集装置10は、このようなタイプに対しても、外側筐体43の横幅を特段薄くしなくても設置することができる。また、例えば、別途、上記制御部を備えた制御ボックスを便器1の後方側面等に配することもできるため、便器1に取り付ける部品は特段薄くしなくても設置することができる。
【0048】
また、橋架部品40の例は、これに限らず、例えば便器1の側面と外側筐体43に該当する部分との間に設置したクランプ機構であってもよい。このクランプ機構は、便器1の側面と外側筐体43に該当する部分の便器1側の面とに当接し、それらの間の長さを調整する機構とすることができる。
【0049】
次に、図5図8も併せて参照しながら、取付具30及び橋架部品40による情報収集装置10の取付方法の一例について説明する。図5図8は、情報収集装置10の便器1への設置の様子を示す斜視図である。
【0050】
本実施形態に係る装置取付方法は、次の橋架ステップ、第1取付ステップ、及び第2取付ステップ、及び変更ステップを備える。
【0051】
橋架ステップは、橋架部品40の一部をトイレの便器1の縁部1cの上面に載置して、橋架部品40で縁部1cを挟むことで縁部1cの内側と縁部1cの外側とを橋架する。第1取付ステップは、橋架部品40における縁部1cの内側方向の端部41に取付具30を取り付ける。第2取付ステップは、着座センサ22及び情報収集部24を配設した内側筐体21を取付具30に取り付ける。変更ステップは、上述した変更機構を用いて(つまり使用する取付具30を選択することで)、端部41から内側筐体21までの、縁部1cの内側を形成する内壁に沿った方向の距離を変更する。
【0052】
これらのステップの順序は、最終的な取付時において第1取付ステップの前に変更ステップが実行される点及び第2取付ステップの前に変更ステップが実行される点を除き、問わない。なお、変更ステップは、元々適切な取付具30が選択されていた場合には結果的に実施されないこともある。
【0053】
これらのステップの順序の一具体例について説明する。
まず、図5に示すように、センサボックス20と橋架部品40を取付具30aで固定した状態で、センサボックス20を便器1の内部の後ろ側の位置に合わせるように、橋架部品40を便器1に装着する(図5の白抜き矢印参照)。次いで、図6に示すように、装着後、橋架部品40のハンドル(ダイヤル式ノブ43f)を回して橋架部42の使用幅を狭め便器1の縁部1cを挟み込み固定する。
【0054】
ここで、図7に示すように、センサボックス20を便器1に取り付ける際に、便座2の凸部2cが橋架部品40と干渉してしまうと、便座及び橋架部品40を破損してしまう恐れがあるため、取付けすることができない。橋架部品40をずらして取り付けることは可能であるが、例えば2cm以上もずらしてしまうと、センサボックス20が最適な固定位置から外れてしまうため正確な排泄物検知ができなくなる。
【0055】
これを回避するための対応策として、図8に示すように、取付具30aの替わりに取付具30bを内側筐体21及び橋架部品40に取り付けて使用する。これにより、便座2の凸部2cと干渉することなくセンサボックス20を最適な位置に固定することが可能となる。
【0056】
このように、センサボックス20と橋架部品40の間を取付具30a,30bのうちの選択された方で結合させる構造とすることで、便座1の凸部1c(ゴム足部分)と干渉することなく正確な位置にセンサボックス20が取付可能となる。そして、このようにセンサボックス20を最適な位置(排出口の排便についてまでの排泄物の情報を収集できる位置)に設置することが可能となることで、正確な排泄物検知と着座検知を行うことができる。また、使用する取付具30を変更可能にすることで、市場に存在する主要メーカの多種便座に対応することができる。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る情報収集装置10によれば、既に流通しているどのような便器及び便座に対しても便器に取り付けることが可能で、且つ、排泄物の情報を排出口の排便についてまで収集することができる。即ち、本実施形態に係る情報収集装置10によれば、便器1の形状に依らず上記距離を調整しながら取り付けることができる構造であるため、様々な形状の便器において最適な位置にセンサボックス20を設置することが可能である。例えば、本実施形態によれば、要介護者宅のトイレの環境に左右されずに最適な位置にセンサボックス20を設置することができる。よって、本実施形態によれば、情報収集装置の形状などが異なる種類数を増やす必要なく、様々な形状の便器に対して最適な位置にセンサボックス20を取り付けることができ、情報収集装置10の管理費用や製造費用を抑えることができる。
【0058】
また、取付具30は、図1で例示したように、内側筐体21を、縁部1cの内側の位置で、且つ、便座2を縁部1cの上面に載置した場合における便座2の鉛直方向下側の位置に配置されるように取り付ける部品とすることができる。つまり、取付具30及び橋架部品40により、内側筐体21は、全体又は少なくとも着座センサ22が、上側から見た場合において、縁部1cの内側の位置で且つ縁部1cの上面に載置した便座2の陰になるように配置されるように取り付けられることができる。取付具30及び橋架部品40はそのような内側筐体21の取り付けが可能な形状をもつことになる。なお、この例でも内側筐体21の形状は問わないが、この例では、少なくとも取付具30及び橋架部品40との兼ね合いにより、便座2に対する上述のような位置関係を保てる形状としておく。
【0059】
このような配置を採用することで、着座センサ22及び情報収集部24が便座2に隠れた位置に配置され、特にセンサ面が便座2に隠れた位置に配置されるため、特に上向き加減に配される着座センサ22のセンサ面について清掃作業を容易にできる。また、このような配置例においても、例えば、便器と便座の様々な組み合わせに対応して、このような配置にするように変更機構で距離を変更できるため、有益である。
【0060】
また、本実施形態は、例えば、トイレの便器に排泄物や着座等の検知機能を配備した構造物を配置することがあるヘルスケアや医療介護の分野での好適に利用することができる。
【0061】
<実施形態2>
実施形態2について、図9を参照しながら実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1で説明した様々な例が適用できる。図9は、実施形態2に係る情報収集装置の一構成例を示す上面図である。
【0062】
本実施形態における変更機構は、端部41に対する内側筐体21の位置を、縁部1cの内側を形成する内壁に沿った方向にスライドさせるスライド機構である。このスライド機構は、図9の上図と下図との違いで示すように、端部41の部分に取付具31(取付具30に対応)を挿抜可能な状態で貫通させるなどして、端部41に対する内側筐体21の位置をスライドさせることが可能な機構とすることができる。あるいは、このスライド機構は、図示しないが、取付具31に対して内側筐体21をスライドさせる機構とすることもできる。また、スライド機構は、多段階の位置で係止できるように構成しておくことで、センサボックス20の位置の固定も容易になり設置後のセンサボックス20の位置ずれも生じ難く、検出精度を落とすことがない。
【0063】
本実施形態に係る装置取付方法は、次の橋架ステップ、第1取付ステップ、及び第2取付ステップ、及び変更ステップを備える。これらのステップの順序は問わない。
【0064】
橋架ステップは、橋架部品40の一部をトイレの便器1の縁部1cの上面に載置して、橋架部品40で縁部1cを挟むことで縁部1cの内側と縁部1cの外側とを橋架する。第1取付ステップは、橋架部品40における縁部1cの内側方向の端部41に取付具31を取り付ける。第2取付ステップは、着座センサ22及び情報収集部24を配設した内側筐体21を取付具31に取り付ける。変更ステップは、スライド機構を用いて、端部41から内側筐体21までの、縁部1cの内側を形成する内壁に沿った方向の距離を変更する。
【0065】
また、本実施形態においては、実施形態1で説明した取付具の取り替えも適用できる。例えば、互いに長さの異なる取付具31を複数用意しておけば、取付具31の長さとスライド量とにより適切な長さに設置することができる。
【0066】
<実施形態3>
実施形態3について、図10を参照しながら実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1,2で説明した様々な例が適用できる。図10は、実施形態3に係る情報収集装置の一構成例を示す上面図である。
【0067】
本実施形態における変更機構は、取付具32に設けられた伸縮機構である。この伸縮機構は、縁部1cの内側を形成する内壁に沿った方向の長さを伸縮する機構である。この伸縮機構は、図10の上図と下図との違いで示すように、2つの部材32a,32bにより取付具32(取付具30を伸縮可能にしたもの)を構成し、部材32aに対する部材32bの位置を変えることで伸縮させる。例えば、部材32bを筒状に構成し、さらに部材32aを部材32bより小径の筒として構成し、部材32aが部材32bの内部に嵌挿できるようにしておく。これにより、部材32bに部材32aを挿入する長さによって取付具32の長さを変えることができる。
【0068】
無論、部材32a,32bの形状は筒状に限ったものではなく、取付具32として伸縮が可能なものであればよい。また、3つ以上の部材で取付具32を構成することもできる。また、伸縮機構は、多段階の位置で係止できるように構成しておくことで、センサボックス20の位置の固定も容易になり設置後のセンサボックス20の位置ずれも生じ難く、検出精度を落とすことがない。
【0069】
本実施形態に係る装置取付方法は、次の橋架ステップ、第1取付ステップ、及び第2取付ステップ、及び変更ステップを備える。これらのステップの順序は問わない。
【0070】
橋架ステップは、橋架部品40の一部をトイレの便器1の縁部1cの上面に載置して、橋架部品40で縁部1cを挟むことで縁部1cの内側と縁部1cの外側とを橋架する。第1取付ステップは、橋架部品40における縁部1cの内側方向の端部41に取付具32を取り付ける。第2取付ステップは、着座センサ22及び情報収集部24を配設した内側筐体21を取付具32に取り付ける。変更ステップは、伸縮機構を用いて、端部41から内側筐体21までの、縁部1cの内側を形成する内壁に沿った方向の距離を変更する。
【0071】
また、本実施形態においては、実施形態1で説明した取付具の取り替えも適用できる。例えば、互いに最大長及び/又は最小長の異なる取付具32を複数用意しておけば、取付具32の長さと伸縮量とにより適切な長さに設置することができる。さらに、本実施形態においては、実施形態2で説明したスライド機構も適用できる。例えば、スライド機構を併せて具備しておけば、取付具32の長さと伸縮量とにより適切な長さに設置することができる。
【0072】
<実施形態4>
実施形態4について、図11を参照しながら実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1~3で説明した様々な例が適用できる。図11は、実施形態4に係る情報収集装置を設置した便器の一構成例を示す側面図である。
【0073】
本実施形態に係る情報収集装置(以下、本装置)は、実施形態1に係る情報収集装置において、使用者を判別する機能をもたせ、収集した排泄情報を使用者別に管理できるようにしたものである。
【0074】
図11に示すように、本装置は、便器1又はその外側に分散して設置されるものであり、センサボックス20が取付具30及び橋架部品40により便器1の縁部1cに取り付けられている。本装置は、さらに上述した制御部として制御部61を備えた制御ボックス60と、撮像装置71及び人感センサ72を備えた人検知/識別ボックス70と、を備えることができる。なお、図11では便座2に蓋部が設けられていない例を示している。
【0075】
撮像装置71は、トイレの使用者の顔を撮像する装置であり、例えば、静止画及び/又は動画を撮影するカメラとすることができる。また、撮像装置71は、可視光カメラに限らず、赤外光カメラ等であってもよい。撮像装置71は、トイレの使用者の顔を撮像可能なように例えばレンズを人検知/識別ボックス70から露出させておくこともできるが、顔が撮影できればよい。
【0076】
人感センサ72は、撮像装置71の起動又は撮影のタイミングを得るために設けることができる。人感センサ72は、特定領域(人感センサ72の測定領域範囲)に人が存在すること(人の入退室)を検知するセンサであり、その検知方式を問わず、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、光学センサなどを採用することができる。人感センサ72は、トイレの使用者を検知可能なように検知面を人検知/識別ボックス70から露出させておくこともできるが、人が検知できればよい。
【0077】
センサボックス20内の情報収集部24はカメラとすることができ、撮像装置71もカメラとすることができ、それぞれ第1カメラ24、第2カメラ71と称して説明する。
【0078】
制御ボックス60は、制御部61を収納する収納筐体(外側筐体の一部)とすることができ、センサボックス20にケーブルK1(コード26)により接続されて、便器1の側面1aの横側などに配置されることができる。
【0079】
制御部61は、センサボックス20内の着座センサ22や第1カメラ24、及び人検知/識別ボックス70内の第2カメラ71や人感センサ72を制御する。例えば、制御部61は、人感センサ72での検知結果を受け取ることができ、第2カメラ71に撮像を指示することや撮像された画像を受け取ることができ、第1カメラ24に排泄物の情報を収集するように指示することや収集された情報を受け取ることができる。着座センサ22、第1カメラ24、人感センサ72、及び第2カメラ71は、制御部61に有線で接続された例を挙げているが、無線通信により接続されることもできる。また、制御ボックス60は、各センサからの情報分析するためのCPUや、サーバ(図示せず)と通信するためのWiFi(登録商標。以下同様。)インタフェース等の通信部を配備しておくことができる。
【0080】
人検知/識別ボックス70は、外側筐体の外側に配設された別筐体として設けることができ、ケーブルK2により制御ボックス60の制御部61に接続され、トイレの壁W(トイレの扉を開けた正面にある壁)に配置されることができる。無論、制御ボックス60及び人検知/識別ボックス70の形状や配置は図11に示すものに限らず、例えば制御ボックス60は便器1の後方に設置されることもできる。
【0081】
本装置は、無線接続されたサーバ(図示せず)とともにシステムを構成することができる。また、このシステムには、サーバに無線接続された、トイレの使用者の監視者がもつ端末装置(図示せず)を備えることができる。なお、これらの接続は例えば1つの無線LAN(Local Area Network)内で行うことができる。このシステムでは、排泄物の記録、端末装置への排泄物情報の提示(通知等)、及び排泄予測を、本装置、サーバ、及び端末装置が連携しながら行うことができる。記録や提示、予測等はどのような構成で実現してもよく、ここでは説明を省略するが、本装置は、トイレ設置型の記録と通知及び排泄予想システムとして、又はその情報収集を担う装置として機能することができ、トイレセンサと称することもできる。また、本装置は、排便排尿観察装置と称することができ、情報の記憶まで行う場合には排便排尿観察記録装置と称することができる。
【0082】
人感センサ72は、特定領域に人を検知した場合、検知結果を制御部61に送信する。この検知結果は、制御部61によりWiFiインタフェースを介してサーバに送信されることができる。また、制御部61は、この検知結果を受けて、第2カメラ71への撮影指示を行うことができる。
【0083】
第2カメラ71は、トイレの使用者を識別するために使用者の顔画像を撮影して顔画像データを得るカメラの例であり、使用者の顔を撮像範囲に含めるように設置されることができる。制御部61は、人感センサ72での人検知結果を得て、あるいは顔を撮像するなどしてサーバに使用者を認証させた結果を得て、着座センサ22に計測の指示を行うこともできる。
【0084】
着座センサ22は、制御部61からの指示に基づき又は常時、対象物(便器1の使用者の臀部)との距離を計測する。制御部61は、この計測結果を得て、閾値の値を超えて一定時間経過した場合に対象物が便座に着座したことを検知する。また、着座後に、対象物の距離が変動した場合、使用者が便座から退座したことが検知される。制御部61は、着座を検知した段階で第1カメラ24に撮像の指示を行い、離座を検知した段階で撮影の終了を指示するように制御することができる。
【0085】
第1カメラ24は、排泄物を撮像し、撮像データを制御部61に送信するカメラの一例であり、トイレの便器1における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように設置されている。なお、人検知/識別ボックス70を使用者が着座した際の正面に位置する場所に設けておくことで、着座前に顔を撮影する代わりに着座後に顔を撮影することもでき、その場合、人感センサ72を省略することもできる。
【0086】
また、制御ボックス60には、Bluetooth(登録商標。以下同様。)モジュールを備えておくこともできる。Bluetoothモジュールは、使用者を識別するための識別データを、使用者が保持するBluetoothタグから受信する受信機の一例であり、他の近距離通信規格に基づくモジュールに置き換えることもできる。使用者が保持するBluetoothタグは、使用者毎に異なるIDとしておき、例えばリストバンド等に埋め込むなどして、使用者に保持させておくことができる。
【0087】
上述したWiFiインタフェースは、取得した各種データをサーバへ送信する通信部(通信機器)の一例であり、他の通信規格を採用するモジュールに置き換えることもできる。第2カメラ71で取得された顔画像データやBluetoothモジュールで得られた識別データは、制御部61によりWiFiインタフェースを介してサーバに送信されることができる。また、制御部61は、使用者が着座した状態であると検知した場合、WiFiインタフェースを介して、サーバ又は使用者を監視する監視者の端末装置に通知することもできる。これにより、監視者にトイレの使用を通知することができ、必要に応じて監視者にトイレに向かわせることができる。
【0088】
制御部61及びサーバは、第1カメラ24で撮像された撮像データに基づき排泄情報を得る。この場合、撮像データから排泄情報を得る主な処理は、サーバが担うことができる。例えば、サーバは、学習済みモデルに撮像データを入力し、排泄情報を取得する。そして、サーバは、例えば、撮像データに、便器及びその洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、排泄情報の少なくとも一部として得る。
【0089】
サーバは、第2カメラ71で取得された顔画像データを、WiFiインタフェースを介して受信し、予め記憶された認証用データと、例えばその特徴点などを比較して顔認証処理を行い、合致した認証用データに関連付けられた識別データを得る。このように、サーバは、識別データ(使用者を識別する識別データ)を得ること、つまり使用者を特定することができる。
【0090】
そして、サーバは、本装置から撮像データとともに撮像データ取得時の便器1の使用者の顔画像データを得ることができるため、その顔画像データに基づき使用者が識別でき、内部の記憶装置に使用者毎の排泄情報を管理することができる。また、サーバは、使用者毎に提示情報の生成を行うこともできる。この顔認証処理により、最も近似した使用者を、現在のトイレの使用者として特定することができる。このように、上述した識別データは、便器1又は便器1が設置された部屋(トイレの個室)において、第2カメラ71で撮像された顔画像データに基づき、顔認証処理を実行することで、使用者を識別したデータとすることができる。なお、第2カメラ71で撮像した顔画像データは、プライバシーを考慮して保存しないようにしておくことが好ましい。
【0091】
そして、端末装置は、その提示情報を使用者毎に出力することができる。また、サーバは、使用者毎に1又は複数の提示対象者(例えば使用者が要介護者の場合には担当の監視者)を予め定めておけば、その提示対象者が使用している端末装置に提示情報を出力することができる。監視者としては、介護士が挙げられ、場合によっては医師も挙げられるが、介護士でなくても介助者も挙げることができる。また、本システムの適用環境によっては、監視者はそれ以外であってもよい。
【0092】
さらに、サーバは、Bluetoothモジュールで得られた識別データ(個人認証用データ)を、WiFiインタフェースを介して受信し、予め記憶された認証用の識別データと比較してユーザ認証を行う。なお、例えば、自身のBluetoothタグを保持する介護士と、自身のBluetoothタグを保持する要介護者と、が一緒にトイレに入室した場合などには、後者を使用者として選択するようにしておけばよい。このように、サーバは、識別データ(使用者を識別する識別データ)を得ること、つまり使用者を特定することができる。
【0093】
そして、サーバは、本装置から撮像データとともに撮像データ取得時の便器1の使用者を識別する識別データを得ることができるため、その識別データに基づき、内部の記憶装置に使用者毎の排泄情報を管理することができる。また、サーバは、使用者毎に提示情報の生成を行うこともできる。そして、端末装置は、その提示情報を使用者毎に出力することができる。また、サーバは、使用者毎に1又は複数の提示対象者を予め定めておけば、その提示対象者が使用している端末装置に提示情報を出力することができる。
【0094】
なお、この例では、顔画像データ及び識別データの2種類のデータから使用者を特定しており、2つの特定機能を有すると言えるが、無論、いずれか一方でも使用者の特定は可能である。例えば、本システムにおいて双方の特定機能を備えておき、運用時にいずれか一方を選択することができる。あるいは、本システムにおいていずれか一方の特定機能のみを備えておくこともできる。
【0095】
<他の実施形態>
各実施形態において、情報収集装置やそれを備えた便器やサーバ(サーバ装置)について、並びにその利用方法について説明したが、例示したものに限らない。例えば、情報収集装置、便器、便座における各部材の形状や部材間の位置関係などは、特に言及した位置関係以外については各部材の機能が果たせるものであればよい。また、情報収集装置における装置取付方法についても、例えば他のステップを追加したものなどであってもよい。
【0096】
なお、本開示は上記の各実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 便器
1a 側面
1b 平面部
1c 縁部
1d 滞水部分
1e 取付部
1f 給水タンク
2 便座
2a 取付部
2b 便座本体
2c 凸部
2f 蓋部
10 情報収集装置(排泄情報収集装置)
20 センサボックス(センサユニット)
21 筐体(内側筐体)
22 距離センサ
23 載置部
24 情報収集部(第1カメラ)
26 コード
30、30a、30b、31、32 取付具
30aa、30ab、30bb 固定部
32a、32b 部材
40 橋架部品
41 先端部
41a、43g 弾性部材
42 橋架部
43 外側筐体
43a 筐体本体
43c スライド部材
43d 収納部
43e スライド溝
43f ダイヤル式ノブ
60 制御ボックス
61 制御部
70 人検知/識別ボックス
71 撮像装置(第2カメラ)
72 人感センサ
K1、K2 ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11