(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162275
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】メッキ用途のための放射線硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 220/28 20060101AFI20231031BHJP
C08F 220/56 20060101ALI20231031BHJP
C08F 220/20 20060101ALI20231031BHJP
C08F 220/22 20060101ALI20231031BHJP
C09D 11/30 20140101ALI20231031BHJP
C23C 18/20 20060101ALI20231031BHJP
C23C 18/32 20060101ALI20231031BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
C08F220/28
C08F220/56
C08F220/20
C08F220/22
C09D11/30
C23C18/20 A
C23C18/32
H05K3/18 D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023133232
(22)【出願日】2023-08-18
(62)【分割の表示】P 2022513145の分割
【原出願日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】19193583.2
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】593194476
【氏名又は名称】アグフア-ゲヴエルト,ナームローゼ・フエンノートシヤツプ
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ,ロマーヌ
(72)【発明者】
【氏名】コルテス・サラザール,フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】レンズ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】ファン・アールト,フベルトゥス
(72)【発明者】
【氏名】ロキュフィエ,ヨハン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】PCBsの製造におけるメッキレジストとして、さらに特定的にENIG法において十分に働くメッキレジストとして用いることができる放射線硬化性組成物、およびメッキ製品の製造方法を提供する。
【解決手段】放射線硬化性組成物は、a)カルボン酸基、リン酸基又はホスホン酸基を含む少なくとも1種の一官能基性(メタ)アクリレート;b)アクリルアミド;c)少なくとも1種の多官能基性(メタ)アクリレートを含み、さらにC6-C20アルキル(メタ)アクリレート、フッ素化(メタ)アクリレート及びシリコーン(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも0.1重量%の液体浸透制御モノマーを含むことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)カルボン酸基、リン酸基又はホスホン酸基を含む少なくとも1種の一官能基性(メタ)アクリレート;
b)アクリルアミド;
c)少なくとも1種の多官能基性(メタ)アクリレート
を含む放射線硬化性組成物であって、放射線硬化性組成物がさらにC6-C20アルキル(メタ)アクリレート、フッ素化(メタ)アクリレート及びシリコーン(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも0.1重量%の液体浸透制御モノマーを含むことを特徴とする放射線硬化性組成物。
【請求項2】
液体浸透制御モノマーの量が組成物の合計重量に対して少なくとも1重量%である請求項1に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項3】
液体浸透制御モノマーがフッ素化アクリレート及びシリコーンアクリレートから選ばれる請求項1又は2に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項4】
アクリルアミドがアクリロイルモルホリンである請求項1ないし3のいずれかに記載の放射線硬化性組成物。
【請求項5】
カルボン酸基、リン酸基又はホスホン酸基を含む一官能基性(メタ)アクリレートがアクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、2-アクリロイルエチルスクシネート及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェートからなる群より選ばれる請求項1ないし4のいずれかに記載の放射線硬化性組成物。
【請求項6】
多官能基性(メタ)アクリレートがジプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール(2xプロポキシル化)ジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジトリメチロイルプロパンテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群より選ばれる請求項1ないし5のいずれかに記載の放射線硬化性組成物。
【請求項7】
組成物がUV硬化性インキジェットインキである請求項1ないし6のいずれかに記載の放射線硬化性組成物。
【請求項8】
-基材上に請求項1ないし7のいずれかに記載の放射線硬化性組成物を印刷して硬化させることにより、基材上に保護領域を形成し;
-基材の非保護領域をメッキし;
-硬化した放射線硬化性組成物を基材の保護領域から少なくとも部分的に剥離する
段階を含むメッキ製品の製造方法。
【請求項9】
メッキ段階に3.5と6.5の間のpHを有する溶液を用いる請求項8に記載のメッキ製品の製造方法。
【請求項10】
基材が銅である請求項8又は9に記載のメッキ製品の製造方法。
【請求項11】
メッキ製品がプリント基板(PCB)である請求項8ないし10のいずれかに記載のメッ
キ製品の製造方法。
【請求項12】
メッキ段階が無電解ニッケル浸漬金(ENIG)表面仕上げを含む請求項8ないし11のいずれかに記載のメッキ製品の製造方法。
【請求項13】
UV線を用いて硬化を行う請求項8ないし12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
剥離段階をアルカリ性溶液中で行う請求項8ないし13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
保護領域の厚さが少なくとも15μmである請求項8ないし14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術的分野
本発明は例えばPCB製造において用いられるような種々のメッキ用途における使用のための放射線硬化性組成物、好ましくはUV硬化性インキジェットインキに関する。
【背景技術】
【0002】
発明のための背景技術
プリント基板(PCBs)の製造ワークフローは、プロセス段階の量を減少させるためならびにPCBsの製造のコスト及び環境的影響を低下させるために、徐々に標準的なワークフローからデジタルワークフローに移っている。デジタルワークフローはさらに、有意にコストを増加させずに短期間製造の可能性又は個別の部分の製造さえ許す。アナログワークフローからデジタルワークフローに進むことは、かくして明白な経済的及び環境的利益を有する。
【0003】
インキジェット印刷は、エッチレジストからはんだマスクを経てレジェンド印刷に進むPCB製造法の種々の段階のための好ましいデジタル製造法の1つとして提案された。好ましいインキジェットインキはUV硬化性インキジェットインキである。
【0004】
PCB製造において、例えば銅メッキ、ニッケルメッキ、金メッキなどのようないくつかのメッキ法も用いられる。
【0005】
ENIG(無電解ニッケル浸漬金)メッキ法は、PCB製造において通常用いられる表面仕上げ法である。
【0006】
ENIG法は優れたはんだ付け性及び酸化への優れた保護を与えるためにPCB内の露出された銅領域上にニッケルと金の薄層を付着させること(deposition)からなる。
【0007】
ENIG法に伴う問題の1つは、金のような高価な金属の使用の故のそのコストである。露出された銅領域のすべてを保護する必要はないので、デジタルワークフローはより費用対効果が高いであろう。そのようなデジタルワークフローは種々の表面仕上げ、例えばENIG及び浸漬錫を有するPCBsの製造も可能にする。
【0008】
そのようなデジタルワークフローを実施するために、メッキされる必要のない銅部分の上に保護層を付着させる必要がある。次いで露出された銅部分の上のみにニッケル及び金の付着を行い、最後に最終的な基板を得るために保護層を除去し(剥離され)なければならない。
【0009】
インキジェットインキをエッチレジスト、はんだマスク、レジェンドインキ又はメッキレジストとして用いる場合、種々の基材に対する噴射されて硬化したインキジェットインキの接着は非常に重要である。さらに、エッチレジスト又はメッキレジストとして用いられる場合、インキ層(保護層)はエッチング又はメッキの後に完全に除去されねばならない。
【0010】
ENIG法におけるメッキレジストとして用いられる場合、保護層のための課題は、ENIG法の間に用いられる強く且つ様々な条件(pH、温度)に耐えながら剥離(stripping)段階の間に完全に除去されることである。
【0011】
特許文献1(Agfa Gevaert NV)は、導電性パターンの作製のためのエッチング-抵抗性UV硬化性インキジェットインキを開示している。インキの重合可能組成物は15ないし70重量%のアクリルアミド;20ないし75重量%の多官能基性アクリレート;及びカルボン酸基、リン酸基又はホスホン酸基を含む1ないし15重量%の一官能基性(メタ)アクリレートからなる。類似のUV硬化性インキジェットインキは装飾目的のための型押し部分の製造に関して特許文献2(Agfa NV及びAgfa Gevaert NV)において、及び金属製品のデジタル二次加工に関して特許文献3(Agfa Gevaert NV)において開示されている。後者の用途において、デジタル二次加工はエッチング又はメッキ段階を含むことができる。しかしながら金属製品の製造のためにメッキを用いる実施例は開示されておらず、メッキ浴の特定の組成について、特にpH値に関しての情報は開示されていない。開示されているすべてのエッチング抵抗性インキジェットインキは中ないし強アルカリ性剥離段階が続く酸性エッチング段階(3未満のpH)と適合性である。
【0012】
PCBsの製造におけるインキジェット法の用途の範囲を拡大するために、特にENIGメッキ法におけるメッキレジストとして十分に働くインキジェットインキが必要である。
【0013】
今回、本発明に従う放射線硬化性組成物が本発明の目的を実現できることが見いだされた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2016/050504号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2016/050372号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2016/050371号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
発明の概略
本発明の目的は、PCBsの製造におけるメッキレジストとして、さらに特定的にENIG法において十分に働くメッキレジストとして用いることができる放射線硬化性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は請求項1に従う放射線硬化性組成物により実現される。
【0017】
本発明の別の目的は、PCBsの製造方法を提供することである。
【0018】
本発明の目的は、請求項9に従う方法により実現される。
【0019】
本発明のさらなる目的は、下記の記述から明らかになるであろう。
【0020】
発明の詳細な記述
定義
例えば一官能基性重合可能化合物中の「一官能基性」という用語は、重合可能な化合物が1個の重合可能な基を含むことを意味する。
【0021】
例えば二官能基性重合可能化合物中の「二官能基性」という用語は、重合可能な化合物
が2個の重合可能な基を含むことを意味する。
【0022】
例えば多官能基性重合可能化合物中の「多官能基性」という用語は、重合可能な化合物が2個より多い重合可能な基を含むことを意味する。
【0023】
「アルキル」という用語は、アルキル基中の炭素原子の各数に関して可能なすべての変形、すなわちメチル、エチル、3個の炭素原子の場合:n-プロピル及びイソプロピル;4個の炭素原子の場合:n-ブチル、イソブチル及び第3級ブチル;5個の炭素原子の場合:n-ペンチル、1,1-ジメチル-プロピル、2,2-ジメチルプロピル及び2-メチルブチルなどを意味する。
【0024】
他に特定しなければ、置換又は非置換アルキル基は好ましくはC1ないしC6-アルキル基である。
【0025】
他に特定しなければ、置換又は非置換アルケニル基は好ましくはC2ないしC6-アルケニル基である。
【0026】
他に特定しなければ、置換又は非置換アルキニル基は好ましくはC2ないしC6-アルキニル基である。
【0027】
他に特定しなければ、置換又は非置換アルカリール基は好ましくは1、2、3又はそれより多いC1ないしC6-アルキル基を含むフェニル又はナフチル基である。
【0028】
他に特定しなければ、置換又は非置換アラルキル基は好ましくはフェニル基又はナフチル基を含むC7ないしC20-アルキル基である。
【0029】
他に特定しなければ、置換又は非置換アリール基は好ましくはフェニル基又はナフチル基である。
【0030】
他に特定しなければ、置換又は非置換ヘテロアリール基は好ましくは1、2又は3個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子又はそれらの組み合わせにより置換された5又は6-員環である。
【0031】
例えば置換アルキル基中の「置換」という用語は、アルキル基がそのような基中に通常存在する原子、すなわち炭素及び水素以外の原子により置換されていることができることを意味する。例えば置換アルキル基はハロゲン原子又はチオール基を含むことができる。非置換アルキル基は炭素原子及び水素原子のみを含む。
【0032】
他に特定しなければ、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アラルキル基、置換アルカリール基、置換アリール及び置換ヘテロアリール基は好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル及び第3級ブチル、エステル、アミド、エーテル、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、スルホキシド、スルホン、スルホネートエステル、スルホンアミド、-Cl、-Br、-I、-OH、-SH、-CN及び-NO2からなる群より選ばれる1個以上の置換基により置換されてい
る。
【0033】
放射線硬化性組成物
本発明に従う放射線硬化性組成物は:
a)アクリルアミド;
b)カルボン酸基、リン酸基又はホスホン酸基を含む少なくとも1種の一官能基性(メタ
)アクリレート;
c)少なくとも1種の多官能基性(メタ)アクリレート
を含み、放射線硬化性組成物はさらにd)長鎖アルキル(メタ)アクリレート、フッ素化(メタ)アクリレート及びシリコーン(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも0.1重量%の液体浸透制御モノマー(liquid penetrating controlling monomer)を含むことを特徴とする。
【0034】
放射線硬化性組成物はさらに光開始系、着色剤、高分子分散剤、重合抑制剤、難燃剤又は界面活性剤のような他の成分を含むことができる。
【0035】
放射線硬化性組成物をいずれの型の放射線によっても、例えば電子ビーム線により硬化させることができるが、好ましくはUV線により、より好ましくはUV LEDsからのUV線により硬化させる。放射線硬化性組成物はかくして好ましくはUV硬化性組成物である。
【0036】
放射線硬化性組成物は、好ましくは放射線硬化性インキジェットインキ、より好ましくはUV硬化性インキジェットインキである。
【0037】
信頼できる工業的なインキジェット印刷のために、インキジェットインキの粘度は好ましくはすべて1000s-1のせん断速度において45℃で20mPa.s以下、より好ましくは45℃で1mPa.sと18mPa.sの間、そして最も好ましくは45℃で4mPa.sと14mPa.sの間である。
【0038】
好ましい噴射温度は10℃と70℃の間、より好ましくは20℃と55℃の間そして最も好ましくは25℃と50℃の間である。
【0039】
優れた画質及び接着のために、インキジェットインキの表面張力は好ましくは25℃において18ないし70mN/mの範囲内、より好ましくは25℃において20ないし40mN/mの範囲内である。
【0040】
アクリルアミド
本発明に従う放射線硬化性組成物はアクリルアミドを含む。
【0041】
アクリルアミドの量は、好ましくは少なくとも7.5ないし60重量%、より好ましくは少なくとも15ないし50重量%そして最も好ましくは少なくとも20ないし40重量%のアクリルアミドであり、すべての重量パーセンテージ(重量%)は放射線硬化性組成物の合計重量に基づく。
本明細書で言及されるアクリルアミドは式Iに従う化学構造を有し、
【化1】
式中、
R
1は水素又はメチル基を示し、
R
2及びR
3は水素、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換アラルキル基、置換若しくは非置換アルカリール基、置換若しくは非
置換アリール基又は置換若しくは非置換ヘテロアリール基を示し、
R
2及びR
3は5ないし8員環の形成に必要な原子を示すことができる。
【0042】
好ましくは、R1は水素を示し、R2及びR3は5ないし8員環の形成に必要な原子を有
する。
【0043】
1種類のアクリルアミド又はアクリルアミドの混合物を用いることができる。
【0044】
好ましいアクリルアミドを表1に開示する。
【表1】
【0045】
式Iに従う非常に好ましいアクリルアミドはアクリロイルモルホリン(ACMO)であ
る。
【0046】
酸基含有(メタ)アクリレート
本発明に従う放射線硬化性組成物はカルボン酸基、リン酸基又はホスホン酸基;あるいはそれらの混合物を含む(メタ)アクリレートを含む。
【0047】
カルボン酸基、リン酸基又はホスホン酸基を含む(メタ)アクリレートの量は、好ましくは1重量%と25重量%の間、より好ましくは3重量%と20重量%の間、最も好ましくは5重量%と15重量%の間であり、すべての重量パーセンテージ(重量%)は放射線硬化性組成物の合計重量に基づく。
【0048】
そのようなカルボン酸基、リン酸基又はホスホン酸基を含む(メタ)アクリレートは種々の基材上における噴射されて硬化した放射線硬化性組成物の接着を向上させることができることが観察された。従ってこれらの化合物は接着促進剤とも呼ばれる。
【0049】
カルボン酸基含有(メタ)アクリレートの適した例は式(II)により示される化合物を含み:
【化2】
式中、
nは0又は1であり、
R
4は水素原子、置換若しくは非置換アルキル基及び置換若しくは非置換アリール基から
なる群より選ばれ、
L
1は20個以下の炭素原子を含む2価の連結基を示し、但しL
1は脂肪族炭素原子を介してカルボン酸に連結し、
XはO又はNR
7を示し、
R
7は水素原子、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルケニル基、置
換若しくは非置換アルキニル基、置換若しくは非置換アルカリール基、置換若しくは非置換アラルキル基及び置換若しくは非置換(ヘテロ)アリール基からなる群より選ばれ、
R
7及びL
1は5ないし8員環の形成に必要な原子を示すことができ、
R
5及びR
6は独立して水素、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アリール基及び置換若しくは非置換ヘテロアリール基からなる群より選ばれる。
【0050】
R4は好ましくは水素原子又は置換若しくは非置換C1ないしC4アルキル基、より好
ましくは水素原子又はメチル基であり、水素原子が特に好ましい。
【0051】
Xは好ましくは酸素原子又はNHであり、酸素原子が特に好ましい。
【0052】
L1は好ましくは置換若しくは非置換アルキレン基を示し、非置換アルキレン基が特に
好ましい。
【0053】
式IIに従う接着促進剤又はその塩は、放射線硬化性インキジェットインキの他の重合可能な化合物と共重合することができる。
【0054】
式IIに従う接着促進剤の例を表2に示す。
【表2-1】
【0055】
【0056】
リン酸基又はホスホン酸基を含む(メタ)アクリレートの好ましい例には2-(メタク
リロイルオキシ)エチルホスフェート、ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート、ビス-(2-メタクリロイルオキシエチル)ホスフェートが含まれる。
【0057】
リン酸基を含む(メタ)アクリレートの好ましい例は式P-1又はP-2に従う化合物であり:
【化3】
式中、RはC
nH
2n+1を示し、nは6と18の間の整数を示す。
【0058】
リン酸基を含む(メタ)アクリレートの好ましい例を表3に開示する。
【表3】
【0059】
UV硬化性インキジェットインキの特に好ましい態様において、カルボン酸基、リン酸基又はホスホン酸基を含む(メタ)アクリレートはアクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、2-アクリロイルエチルスクシネート及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート又はそれらの混合物からなる群より選ばれる。
【0060】
多官能基性アクリレート
本発明に従う放射線硬化性組成物は多官能基性アクリレートを含む。
【0061】
多官能基性アクリレートの量は好ましくは15重量%と65重量%の間、好ましくは2
0重量%と55重量%の間そして最も好ましくは30重量%と50重量%の間の多官能基性アクリレートであり、すべての重量パーセンテージ(重量%)は放射線硬化性組成物の合計重量に基づく。
【0062】
1種類の多官能基性アクリレート又は多官能基性アクリレートの混合物を用いることができる。
【0063】
好ましい態様において、多官能基性アクリレートはジプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール(2xプロポキシル化)ジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジトリメチロイルプロパンテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群より選ばれる。
【0064】
UV硬化性インキジェットインキの最も好ましい態様において、多官能基性アクリレートはネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレートを含む。
【0065】
液体浸透制御モノマー
放射線硬化性組成物は、長鎖アルキル(メタ)アクリレート、フッ素化(メタ)アクリレート及びシリコーン(メタ)アクリレート又はそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも0.1重量%の液体浸透制御モノマーを含み、重量%は放射線硬化性組成物の合計重量に対する。
【0066】
液体浸透制御モノマーの量は、好ましくは少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%、最も好ましくは少なくとも1重量%であり、少なくとも1.5重量%が特に好ましく、すべての重量パーセンテージ(重量%)は放射線硬化性組成物の合計重量に基づく。
【0067】
液体浸透制御モノマーの量は、好ましくは0.1重量%と10重量%の間、より好ましくは0.5重量%と7.5重量%の間、最も好ましくは1.5重量%と5重量%の間であり、すべての重量パーセンテージ(重量%)は放射線硬化性組成物の合計重量に基づく。
【0068】
長鎖アルキル(メタ)アクリレート
長鎖アルキル(メタ)アクリレートはC6-C22アルキル(メタ)アクリレート、より好ましくはC8-C20アルキル(メタ)アクリレート、最も好ましくはC12-C18アルキル(メタ)アクリレートである。
【0069】
本明細書で用いられる場合、C6-C22、C8-C20、C12-C18アルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ6ないし22、8ないし20及び12ないし18個の炭素原子のアルキル基を有する(メタ)アクリルエステルのアルキルエステルを意味する。
【0070】
本明細書で言及するアルキル鎖は直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基を含むことができる。
【0071】
そのようなアルキル(メタ)アクリレートの例にはラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート又はイコシル(メタ)アクリレートが含ま
れる。
【0072】
特に好ましい長鎖アクリレートはラウリルアクリレートである。
【0073】
種々の長鎖アルキル(メタ)アクリレートの混合物を用いることができる。
【0074】
フッ素化(メタ)アクリレート
本明細書で用いられるフッ素化(メタ)アクリレートはフッ素原子で官能基化された、好ましくは少なくとも2個のフッ素原子で官能基化された、より好ましくは少なくとも3個のフッ素原子で官能基化されたアルキル鎖を含む(メタ)アクリレートを意味する。
【0075】
本明細書で言及されるアルキル鎖は直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基を含むことができる。
【0076】
フッ素化重合可能化合物の例には2,2,2-トリフルオロエチル-α-フルオロアクリレート(TFEFA)、2,2,2-トリフルオロエチル-メタクリレート(TFEMA)、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル-α-フルオロアクリレート(TFPFA)、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル-メタクリレート(TFPMA)、2,2,3,3,3ペンタフルオロプロピル-α-フルオロアクリレート(PFPFA)、2,2,3,3,3ペンタフルオロプロピル-メタクリレート(PFPMA)、1H,1H-ペルフルオロ-n-オクチルアクリレート、1H,1H-ペルフルオロ-n-デシルアクリレート、1H,1H-ペルフルオロ-n-オクチルメタクリレート、1H,1H-ペルフルオロ-n-デシルメタクリレート、1H,1H,6H,6H-ペルフルオロ-1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1H,1H,6H,6H-ペルフルオロ-1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、2-(N-ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチルアクリレート、2(Nエチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチルアクリレート、2(Nエチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチルメタクリレート、C8F17CH2CH2OCH2CH2-OOC-CH=CH2及びC8F17CH2CH2O
CH2CH2-OOC-C(CH3)=CH2が含まれる。
【0077】
好ましいフッ素化(メタ)アクリレートはMEGAFACETM RS-75、MEGAFACETM RS-72-K、MEGAFACETM RS-76-E、MEFAFACETM 76-NS、MEGAFACETM 78、MEGAFACETM RS-90、MEFAFACETM RS-55、MEFAFACETM RS-56のようなDIC Corporationから入手可能なMEGAFACETM RSシリーズである。
【0078】
特に好ましいフッ素化(メタ)アクリレートは2,2,2-トリフルオロエチル-メタクリレートである。
【0079】
種々のフッ素化(メタ)アクリレートの混合物を用いることができる。
【0080】
シリコーン(メタ)アクリレート
本明細書で用いられるシリコーン(メタ)アクリレートは、Si原子を含む少なくとも1個の基を含む(メタ)アクリレートを意味する。
【0081】
好ましいシリコーン(メタ)アクリレートは式S-1に従う化学構造を有し、
【化4】
式中、
R
8及びR
9は互いに独立して任意に置換されていることができるアルキル基又は任意に置換されていることができるアリール基を示し;
nは1と50の間の整数を示す。
【0082】
好ましくは、R8及びR9はアルキル基、より好ましくはメチル基を示す。
【0083】
好ましくは、nは1と25の間、より好ましくは2と15の間の整数を示す。
【0084】
好ましいシリコーンアクリレートはポリエーテル修飾された(メタ)アクリレート化ポリジメチルシロキサン又はポリエステル修飾された(メタ)アクリレート化ポリジメチルシロキサンである。
【0085】
好ましい商業的に入手可能なシリコーン(メタ)アクリレートには:CytecからのシリコーンジアクリレートであるEbecrylTM 350;すべてBYK Chemieにより製造されるポリエーテル修飾されたアクリレート化ポリジメチルシロキサンBYKTM UV3500及びBYKTM UV3530、ポリエステル修飾されたアクリレート化ポリジメチルシロキサンBYKTM UV3570;EVONIKからのTegoTM Rad 2100、TegoTM Rad 2200N、TegoTM Rad 2250N、TegoTM Rad 2300、TegoTM Rad 2500、TegoTM Rad 2600及びTegoTM Rad 2700、TegoTM RC711;すべてChisso Corporationにより製造されるSilaplaneTM FM7711、SilaplaneTM FM7721、SilaplaneTM FM7731、SilaplaneTM FM0711、SilaplaneTM FM0721、SilaplaneTM FM0725、SilaplaneTM TM0701、SilaplaneTM TM0701T;すべてGelest,Incにより製造されるDMS-R05、DMS-R11、DMS-R18、DMS-R22、DMS-R31、DMS-U21、DBE-U22、SIB1400、RMS-044、RMS-033、RMS-083、UMS-182、UMS-992、UCS-052、RTT-1011及びUTT-1012ならびにすべてSiltechにより製造されるSILMERTM ACR D208、SILMERTM Di-50、SILMERTM Di1508、SILMERTM Di-2510、SILMERTM Di-4515-O、SILMERTM ACR Di-10が含まれる。
【0086】
種々のシリコーン(メタ)アクリレートの混合物を用いることができる。
【0087】
他のモノマー
放射線硬化性組成物は、上記のモノマーに加えて他のモノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーを含むことができる。
【0088】
好ましい態様において、そのようなモノマー、オリゴマー又はプレポリマーは重合可能な基としてアクリレート基を含む。
【0089】
好ましいモノマー及びオリゴマーは欧州特許第A 1911814号明細書中の[0106]ないし[0115]節中に挙げられているものである。
【0090】
他のモノマーは好ましくは一官能基性モノマー、より好ましくは一官能基性アクリレート又はメタクリレートである。
【0091】
光開始剤
放射線硬化性組成物は好ましくは光開始剤を含む。
【0092】
フリーラジカル光開始剤は化学線に暴露されるとフリーラジカルの形成によりモノマー及びオリゴマーの重合を開始させる化学化合物である。ノリッシュI型開始剤は励起後に開裂し、すぐに開始ラジカルを与える開始剤である。ノリッシュII型開始剤は化学線により活性化され、実際の開始フリーラジカルになる第2の化合物からの水素引き抜きによりフリーラジカルを形成する光開始剤である。この第2の化合物は重合相乗剤又は共開始剤と呼ばれる。I型及びII型光開始剤の両方を単独で又は組み合わせて本発明において用いることができる。
【0093】
適した光開始剤は、CRIVELLO,J.V.,et al.Photoinitiators for Free Radical,Cationic and Anionic Photopolymerization.2nd edition,BRADLEY,G.編集,London,UK:John Wiley and Sons Ltd,1998.p.276-293に開示されている。
【0094】
フリーラジカル光開始剤の特定の例は以下の化合物又はそれらの組み合わせを含むことができるが、それらに限られない:ベンゾフェノン及び置換ベンゾフェノン;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン;ベンジルジメチルケタール;ビス(2,6-ジメチルベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド;2,4,6トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド;2,4,6-トリメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;及び2,4,6-トリメチルベンゾイルジ-フェニルホスフィネート。
【0095】
2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン;2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン又は5,7-ジヨード-3-ブトキシ-6-フルオレン。
【0096】
適した市販のフリーラジカル光開始剤には、例えばIGMからのOmniradTM、OmnipolTM及びEsacureTM型光開始剤が含まれる。そのような光開始剤の例はOmnirad 379、Omnirad 369、Omnirad 819、Omnirad 184、Omnirad 2959、Omnipol ASA及びEsacure KIP 150である。
【0097】
光開始剤の好ましい量は放射線硬化性インキジェットインキの合計重量の0.1-20重量%、より好ましくは2-15重量%そして最も好ましくは3-10重量%である。
【0098】
感光度をさらに向上させるために、放射線硬化性インキジェットはさらに共開始剤を含むことができる。共開始剤の適した例を3つの群に分類することができる:1)メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミ
ン及びN-メチルモルホリンのような第3級脂肪族アミン;(2)アミルパラジメチル-アミノベンゾエート、2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)-エチルベンゾエート、エチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート及び2-エチルヘキシル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートのような芳香族アミン;ならびに(3)ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えばジエチルアミノエチルアクリレート)又はN-モルホリノアルキル-(メタ)アクリレート(例えばN-モルホリノエチル-アクリレート)のような(メタ)アクリレート化アミン。好ましい共開始剤はアミノベンゾエートである。
【0099】
着色剤
放射線硬化性組成物は実質的に無色の組成物であることができるが、好ましくは放射線硬化性組成物は少なくとも1種の着色剤を含む。着色剤は一時的なマスクを導電パターンの作製者に明確に見えるようにし、質の視覚検査を可能にする。
【0100】
着色剤は顔料又は染料であることができるが、好ましくはUV硬化性インキジェットインキのインキジェット印刷法の間のUV硬化段階により漂白されない染料である。
【0101】
顔料はブラック、ホワイト、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、オレンジ、バイオレット、ブルー、グリーン、ブラウン、それらの混合物などであることができる。着色顔料をHERBST,Willy,et al.Industrial Organic Pigments,Production,Properties,Applications,3rd edition.Wiley-VCH,2004,ISBN 3527305769により開示されているものから選ぶことができる。
【0102】
適した顔料は国際公開第2008/074548号パンフレットの[0128]ないし[0138]節に開示されている。
【0103】
インキジェットインキ中の顔料粒子は、インキジェット印刷装置を介する、特に吐出ノズルにおけるインキの自由な流れを許すのに十分に小さくなければならない。最大色濃度のため、及び沈降を遅らせるためにも小さい粒子を用いるのが望ましい。最も好ましくは、平均顔料粒度は150nm以下である。顔料粒子の平均粒度は、好ましくは動的光散乱の原理に基づくBrookhaven Instruments Particle Sizer BI90plusを用いて決定される。
【0104】
一般に染料は顔料より高い光退色を示すが、噴射性に問題を起こさない。アンスラキノン染料はUV硬化性インキジェット印刷において用いられる通常のUV硬化条件下で小さい光退色しか示さないことが見いだされた。
【0105】
好ましい態様において、放射線硬化性組成物中の着色剤はLANXESSからのMacrolexTM Blue 3R(CASRN 325781-98-4)のようなアンスラキノン染料である。
【0106】
他の好ましい染料にはクリスタルバイオレット及び銅フタロシアニン染料が含まれる。
【0107】
好ましい態様において、着色剤は放射線硬化性組成物の合計重量に基づいて0.5ないし6.0重量%、より好ましくは1.0ないし2.5重量%の量で存在する。
【0108】
高分子分散剤
放射線硬化性組成物中の着色剤が顔料である場合、放射線硬化性組成物は、顔料の分散のために好ましくは分散剤、より好ましくは高分子分散剤を含む。
【0109】
適した高分子分散剤は2種のモノマーのコポリマーであるが、それらは3、4、5種又はそれより多種のモノマーさえ含むことができる。高分子分散剤の性質は、モノマーの性質及びポリマー中におけるそれらの分布の両方に依存する。コポリマー分散剤は、好ましくは以下のポリマー組成を有する:
ランダム重合したモノマー(例えばモノマーA及びBがABBAABABに重合した);交互重合したモノマー(例えばモノマーA及びBがABABABABに重合した);
グラジエント(gradient)(テーパード(tapered))重合したモノマー(例えばモノマーA及びBがAAABAABBABBBに重合した);
それぞれのブロックのブロック長(2、3、4、5個又はそれより多くさえ)が高分子分散剤の分散能力に重要であるブロックコポリマー(例えばモノマーA及びBがAAAAABBBBBBに重合した);
グラフトコポリマー(グラフトコポリマーは、主鎖に結合した高分子側鎖を有する高分子主鎖から成る);ならびに
これらのポリマーの混合形態、例えばブロック様グラジエントコポリマー。
【0110】
適した高分子分散剤は、欧州特許第A 1911814号明細書中の「分散剤」についての節、より特定的に[0064]ないし[0070]及び[0074]ないし[0077]に挙げられている。
【0111】
高分子分散剤の市販の例は以下である:
BYK CHEMIE GMBHから入手可能なDISPERBYKTM分散剤;
NOVEONから入手可能なSOLSPERSETM分散剤;
EVONIKからのTEGOTM DISPERSTM分散剤;
MUENZING CHEMIEからのEDAPLANTM分散剤;
LYONDELLからのETHACRYLTM分散剤;
ISPからのGANEXTM分散剤;
CIBA SPECIALTY CHEMICALS INCからのDISPEXTM及びEFKATM分散剤;
DEUCHEMからのDISPONERTM分散剤;ならびに
JOHNSON POLYMERからのJONCRYLTM分散剤。
【0112】
重合抑制剤
放射線硬化性組成物はインキの熱安定性を向上させるために少なくとも1種の抑制剤を含むことができる。
【0113】
適した重合抑制剤にはフェノール型酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、燐光体型酸化防止剤、通常(メタ)アクリレートモノマー中で用いられるヒドロキノンモノメチルエーテル及びヒドロキノンが含まれる。t-ブチルカテコール、ピロガロール、2,6-ジ-tert.ブチル-4-メチルフェノール(=BHT)及びフェノチアジンも用いることができる。
【0114】
適した市販の抑制剤は、例えばSumitomo Chemical Co.Ltdにより製造されるSumilizerTM GA-80、SumilizerTM GM及びSumilizerTM GS;Rahn AGからのGenoradTM 16、GenoradTM 18及びGenoradTM 22;Ciba Specialty ChemicalsからのIrgastabTMUV10及びIrgastabTMUV22、TinuvinTM 460及びCGS20;Kromachem LtdからのFlorstabTM UV領域(UV-1、UV-2、UV-5及びUV-8)、Cytec Solvay GroupからのAdditolTM S領域(S100、S110、S120及び
S130)ならびにPTZである。
【0115】
抑制剤は好ましくは重合可能な抑制剤である。
【0116】
これらの重合抑制剤の過剰の添加は硬化速度を下げ得るので、ブレンドする前に重合を妨げることができる量を決定するのが好ましい。重合抑制剤の量は好ましくは放射線硬化性組成物全体の5重量%未満、より好ましくは3重量%未満である。
【0117】
界面活性剤
放射線硬化性組成物は少なくとも1種の界面活性剤を含むことができるが、好ましくは界面活性剤は存在しない。
【0118】
界面活性剤はアニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性イオン性であることができ、通常放射線硬化性インキジェットインキの合計重量に基づいて1重量%未満の合計量で加えられる。
【0119】
適した界面活性剤にはフッ素化界面活性剤、高級アルコールの脂肪酸塩、エステル塩、高級アルコールのアルキルベンゼンスルホネート塩、スルホスクシネートエステル塩及びホスフェートエステル塩(例えばナトリウムドデシルベンゼンスルホネート及びナトリウムジオクチルスルホスクシネート)、高級アルコールのエチレンオキシド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキシド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物ならびにアセチレングリコール及びそのエチレンオキシド付加物(例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルならびにAIR PRODUCTS & CHEMICALS INCから入手可能なSURFYNOLTM 104、104H、440、465及びTG)が含まれる。
【0120】
好ましい界面活性剤はフッ素系界面活性剤(フッ素化炭化水素のような)及びシリコーン界面活性剤から選ばれる。シリコーン界面活性剤は好ましくはシロキサンであり、アルコキシル化されていることができ、ポリエーテル修飾されていることができ、ポリエーテル修飾ヒドロキシ官能基性であることができ、アミン修飾されていることができ、エポキシ修飾されていることができ、及び他の修飾がされているか又はそれらの組み合わせであることができる。好ましいシロキサンは高分子性、例えばポリジメチルシロキサンである。
【0121】
好ましい市販のシリコーン界面活性剤にはBYK ChemieからのBYKTM 333及びBYKTM UV3510ならびにEvonik IndustriesからのTego Rad 2100が含まれる。
【0122】
好ましくは、界面活性剤は放射線硬化性インキジェットインキの合計重量に基づいて0ないし0.1重量%の量で放射線硬化性インキジェットインキ中に存在する。
【0123】
難燃剤
放射線硬化性組成物は少なくとも1種の難燃剤を含むことができるが、好ましくは難燃剤は存在しない。
【0124】
好ましい難燃剤は、アルミナ三水和物(Alumina Trihydrate)及びベーマイト(Boehmite)のような無機難燃剤ならびに有機ホスフェート(例えばトリフェニルホスフェート(TPP)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)(RDP)、ビスフェノールAジフェニルホスフェート(BADP)及びトリクレシルホスフェート(TCP));有機ホスホネート(例えばジメチルメチルホスホネート(DM
MP));ならびに有機ホスフィネート(例えばアルミニウムジメチルホスフィネート)のような有機燐光体化合物である。
【0125】
他の好ましい有機燐光体化合物は米国特許第8273805号明細書に開示されている。
【0126】
メッキ製品の製造方法
本発明に従うメッキ製品の製造方法は:
-基材上に上記の放射線硬化性組成物を印刷して硬化させることにより、基材上に保護領域を形成し;
-基材の非保護領域をメッキし;
-硬化した放射線硬化性組成物を基材の保護領域から少なくとも部分的に除去する
段階を含む。
【0127】
金属メッキ法において、基材の表面上に金属の薄層を付着させる。
【0128】
表面上に上記の放射線硬化性組成物を適用し、硬化させ、それにより基材の表面上に保護領域を形成することにより、基材の表面上にメッキレジストが与えられる。次いで基材の非保護領域上に金属をメッキする。メッキの後、硬化した放射線硬化性組成物を次いで少なくとも部分的に基材の保護領域から除去する。
【0129】
好ましい態様において、0.5と6.5の間のpH、より好ましくは3.5と6.5の間のpHを有する溶液をメッキ段階において用いる。
【0130】
硬化は好ましくはUV線を用いて行われる。
【0131】
印刷は好ましくはインキジェット印刷である。
【0132】
硬化した放射線硬化性組成物を少なくとも部分的に除去する剥離段階は、アルカリ性溶液中で行われる。
【0133】
保護領域、すなわち印刷されて硬化したインキ層の厚さは好ましくは5μmと50μmの間、より好ましくは10μmと40μmの間、最も好ましくは15μmと30μmの間である。
【0134】
特に下記のENIG法のために、比較的厚い保護領域は向上したENIG抵抗性を生じ得ることが観察された。
【0135】
基材は金属又は他の材料であることができる。金属メッキは物体を装飾するため、腐食の抑制のため、はんだ付け性を向上させるため、硬くするため、摩擦を低下させるため、接着を向上させるため、導電率を変えるため、IR反射率を向上させるため、放射線遮蔽のため及び他の目的のために用いられ得る。
【0136】
特に好ましい基材は銅である。
【0137】
金属メッキは電気メッキによるか又は無電解メッキにより行われ得る。
【0138】
電気メッキは、溶解金属カチオンを還元し、それらが基材上に薄い金属コーティングを形成するようにするために電流を用いる方法である。基材は方法において陰極として働く。
【0139】
電気メッキ法において用いられ得る金属の例には銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、錫及び亜鉛が含まれる。
【0140】
電気メッキにより得られる付着した金属層の厚さは意図される用途に従って変わることができ、メッキ浴中に含まれる金属の濃度、電流密度などを調整することにより制御され得る。
【0141】
化学メッキ又は自己触媒メッキとしても既知の無電解メッキは、外部電力を使用せずに水溶液中の化学反応を含むメッキ法である。無電解法のための水溶液は、付着させることが意図されている金属のイオン及び還元剤を含み、式
【化5】
を有する化学反応が起こり得ることが必要である。
【0142】
原則的にいずれの水素に基づく還元剤を用いることもできるが、還元剤半電池の酸化還元電位は液体化学において固有のエネルギー障壁を克服するのに十分に高くなければならない。例えば無電解ニッケルメッキは一般に還元剤として次亜リン酸塩を用いるが、銀、金及び銅のような他の金属のメッキは典型的に低分子量アルデヒドを用いる。
【0143】
電気メッキを超えるこの方法の主な利益は電力源が必要でなく、それにより製造コストが減少することである。前記方法は多様な表面の形及び型をメッキすることもできる。欠点は、メッキプロセスが通常比較的遅く、金属の厚い付着物を生じ得ないことである。
【0144】
特に好ましい態様において、メッキ製品はプリント基板(PCB)である。
【0145】
別の特に好ましい態様において、メッキ段階は無電解ニッケル浸漬金(ENIG)表面仕上げを含む。
【0146】
ENIG表面仕上げ
典型的に、PCB基板にいわゆる表面仕上げが適用される。そのようなPCB表面仕上げは部品(components)とPCBの間に臨界面(critical interface)を形成する。仕上げは露出した銅回路を酸化から保護し、PCBの寿命を延ばし、部品をPCBに組み立てる(はんだ付けする)時にはんだ付け可能な表面を与える。
【0147】
ホットエア・ソルダーレベリング(Hot Air Solder Leveling)(HASL)、浸漬錫、浸漬銀、電解金、有機性はんだ付性防腐剤(organic solderability preservative)(OSP)、無電解ニッケル浸漬金(ENIG)及び無電解ニッケル無電解パラジウム浸漬金のようないくつかの表面仕上げが存在する。
【0148】
ENIGは、鉛を含まない必要性及び平らな表面を必要とする複雑な表面部品の増加のような大きな工業的傾向への答えであるので、それは最も普及した表面仕上げになった。
【0149】
ENIGは、7-240μmのニッケル上の2-8μmの金の二層金属コーティングである。
【0150】
ニッケルコーティングは銅への障壁であり、部品が実際にはんだ付けされる表面である。
【0151】
金コーティングは保存の間にニッケルコーティングを保護し、薄い金付着物に必要な低い接触抵抗を与えもする。
【0152】
無電解ニッケルはパラジウム触媒銅表面上におけるニッケルの無電解メッキを指す。
【0153】
無電解ニッケルメッキは、銅表面上にニッケル-リンの平らな層を付着させる自己触媒反応である。
【0154】
方法はメッキ溶液の浴中に基材を浸漬することを含み、そこで水和次亜リン酸ナトリウム(NaPO2H2.H2O)のような還元剤が材料のイオンと反応し、ニッケル合金を付
着させる。
【0155】
合金の冶金学的性質はリンのパーセンテージに依存し、それは1-4%(低リン)から5-10%(中リン)を経て11-14%(高リン)までの範囲であることができる。ENIGのために、典型的に中リン無電解ニッケルが用いられる。
【0156】
メッキの前に材料の表面は一系列の化学品の適用により洗浄される。表面上に残される望ましくない固体は劣ったメッキを引き起こす。それぞれの予備処理化学品の適用後、表面を水で2ないし3回濯ぎ、完全に化学品を除去する。
【0157】
典型的な洗浄溶液は、Atotechから入手可能なProselect SF、Dowから入手可能なRonaclean HCP208、Umicoreから入手可能なCleaner 865又はCleaner ACLのような酸洗浄溶液;及びAtotechから入手可能なMicroetch SF、Mac Dermit Enthoneから入手可能なMacuprep G4又はG5あるいはUmicoreから入手可能なMicroetch 910のようなマイクロエッチング溶液である。
【0158】
銅表面の洗浄及び/又はマイクロエッチングの後、次いで貴金属、好ましくは塩化パラジウムの溶液を用いて銅表面を活性化する。
【0159】
典型的なパラジウム活性化浴はAtotechから入手可能なAuNiACT、DOWから入手可能なRonamerse SMT触媒CF、Mac Dermit Enthoneから入手可能なPlanar予備開始剤又はすべてUmicoreから入手可能なAccemulta MNK 4、Accemulta MFD 5及びActivator 915及びActivator KAT 451である。
【0160】
無電解ニッケル付着は、Atotechから入手可能なAuNiEN、DOWから入手可能なDuraposit SMT820、Mac Dermit Enthoneから入手可能なPlanar Ni part DF又はすべてUmicoreから入手可能なNDF-2、Nimuden NPR 4及びNimuden NPR8バージョン2のようなニッケルメッキ浴中で行われる。
【0161】
浸漬金法はニッケルの酸化(除去)及び浴からの金イオンの還元(付着)に基づく。メッキが自己触媒的方法でないと同様にそれは自己触媒的方法でないので、Niコーティングの最上層のみが金により置き換えられる。
【0162】
この浸漬金法は、Atotechから入手可能なAuNic IG plus、Dow
から入手可能なAurolectroless SMT520、Mac Dermit Enthoneから入手可能なPlanar浸漬金又はすべてUmicoreから入手可能なTHP-14、Gobright TCL61、Gobright TAM 55及びGobright TLA77のような金浴中で行われる。
【0163】
かくしてENIG法は洗浄、エッチング、活性化、メッキ、浸漬のような多種類の段階からなる。専用の浴が用いられるすべてのこれらの段階は種々の時間及び温度で行われる。例えば種々の浴のpHは0.5(パラジウム活性化浴)から5.5(金浸漬浴)までの範囲であることができ、ニッケルメッキ及び金浸漬のために85℃の温度が用いられる。
【0164】
ENIG法を行うのに必要な多くの段階は、方法の合計時間が1時間より長いことがあり得るようにしている。
【0165】
メッキレジストにより形成されるPCB上の保護領域はENIG法のこれらの過酷な条件に抵抗しなければならない。例えば保護領域はENIG法の間に除去されてはならない。特に比較的高いpH(3.5と6.5の間)を有する浴を用いる金浸漬処理はインキ層の保護に対して厳しい処理であることが観察された。
【0166】
しかしながら、ENIG法の完了後、保護領域はいわゆる剥離浴中で少なくとも部分的に基材から除去される。
【0167】
エッチレジスト又はメッキレジストの除去
メッキ後、硬化した放射線組成物を少なくとも部分的に表面から除去しなければならない。好ましい態様において、硬化した放射線硬化性組成物は表面から完全に除去される。
【0168】
硬化した放射線組成物の剥離又は可溶化により除去を行うことができる。
【0169】
本発明に従う硬化した放射線硬化性組成物は剥離浴と呼ばれるアルカリ性溶液により除去される。
【0170】
そのようなアルカリ性剥離浴は通常8と14の間のpHを有する、好ましくは9より高い、より好ましくは10より高い、最も好ましくは11より高いpHを有する水溶液である。
【0171】
インキジェット印刷装置
プリントヘッドに対して相対的に動いている基材上にノズルを介して制御されたやり方で小さい液滴を吐出する1個以上のプリントヘッドにより、放射線硬化性インキジェットインキを噴射することができる。
【0172】
インキジェット印刷系のために好ましいプリントヘッドは圧電ヘッドである。圧電インキジェット印刷は圧電セラミック変換器に電圧が適用される場合のその動きに基づく。電圧の適用はプリントヘッド中の圧電セラミック変換器の形を変え、空隙を形成し、それが次いでインキで満たされる。電圧が再び取り除かれると、セラミックはその最初の形に膨張し、プリントヘッドからインキ滴を吐出する。
【0173】
しかしながら本発明に従うインキジェット印刷法は圧電インキジェット印刷に縛られない。他のインキジェットプリントヘッドを用いることができ、それには連続型のような種々の型が含まれる。
【0174】
インキジェットプリントヘッドは通常動いているインキ受容体表面を横切って横方向で
前後に走査する。多くの場合、インキジェットプリントヘッドは戻り道に印刷しない。より高い処理量を得るために二方向印刷が好ましい。別の好ましい印刷法は「シングルパス印刷法(single pass printing process)」による方法であり、それはページ幅のインキジェットプリントヘッド又はインキ受容体表面の幅全体を覆う複数の千鳥配列された(staggered)インキジェットプリントヘッドの使用により行われ得る。シングルパス印刷法において、インキジェットプリントヘッドは通常静止したままであり、インキ受容体表面がインキジェットプリントヘッドの下を輸送される。
【0175】
硬化装置
放射線硬化性インキジェットインキを電子線又は紫外線のような化学線に暴露することにより、それを硬化させることができる。好ましくは、放射線硬化性インキジェットインキは紫外線により、より好ましくはUV LED硬化の使用により硬化する。
【0176】
インキジェット印刷において、硬化手段をインキジェットプリンターのプリントヘッドと組み合わせて配置し、それと一緒に移動させ、硬化性の液体が噴射された直後に硬化放射線に暴露されるようにすることができる。
【0177】
そのような配置において、プリントヘッドに連結され且つそれと一緒に移動するのに十分に小さい放射線源を与えることは、UV LEDsを除いて困難であり得る。従って光ファイバー束(fibre optic bundle)又は内面反射性フレキシブルチューブ(internally reflective flexible tube)のような柔軟性放射線伝導性手段により放射線源に連結された静止固定放射線源、例えば硬化UV光源を用いることができる。
【0178】
あるいはまた、放射線ヘッド上の鏡を含む鏡の配置により固定源から放射線ヘッドに化学線を供給することができる。
【0179】
放射線源は硬化するべき基材を横切って横に延びる長い放射線源であることもできる。それは、プリントヘッドにより形成される画像の連続的な列が放射線源の下を段階的に又は連続的に通過するように、プリントヘッドの横軸路(transverse path)に隣接していることができる。
【0180】
発せられる光の一部が光開始剤又は光開始剤系により吸収され得る限り、高又は低圧水銀ランプ、冷陰極管、ブラックライト、紫外LED、紫外レーザー及びフラッシュライトのようないずれの紫外光源も放射線源として用いることができる。これらの中で好ましい源は300-400nmの主波長を有する比較的長波長のUV-寄与(relatively long wavelength UV-contribution)を示すものである。特定的にUV-A光源は、それを用いて光散乱が減少し、より有効な内部硬化を生ずるので好ましい。
【0181】
UV線は一般にUV-A、UV-B及びUV-Cとして以下の通りに分類される:
●UV-A:400nmないし320nm
●UV-B:320nmないし290nm
●UV-C:290nmないし100nm
【0182】
好ましい態様において、放射線硬化性インキジェットインキはUV LEDsにより硬化する。好ましくはインキジェット印刷装置は、好ましくは360nmより長い波長を有する1個以上のUV LEDs、好ましくは380nmより長い波長を有する1個以上のUV LEDsそして最も好ましくは約395nmの波長を有するUV LEDsを含む
。
【0183】
さらに、異なる波長又は照度の2つの光源を連続的に又は同時に用いてインキ画像を硬化させることが可能である。例えば第一のUV源をUV-C、特に260nm-200nmの領域において豊富であるように選択することができる。次いで第二のUV源はUV-Aにおいて豊富であることができ、例えばガリウムがドーピングされたランプであることができるか、又はUV-A及びUV-Bの両方において高い異なるランプであることができる。2つのUV源の使用は利点、例えば速い硬化速度及び高い硬化度を有することが見いだされた。
【0184】
硬化を助長するために、インキジェット印刷装置は多くの場合に1個以上の酸素枯渇装置を含む。酸素枯渇装置は、硬化環境中の酸素濃度を低下させるために、窒素又は他の比較的不活性な気体(例えばCO2)のブランケットを調整可能な位置及び調整可能な不活
性気体濃度で配置する。残留酸素レベルは通常200ppmのように低く保たれるが、一般に200ppmないし1200ppmの範囲内である。
【0185】
やはり硬化を助長するために、UV硬化段階の後に熱的段階を保護層に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0186】
実施例
材料
以下の実施例において用いられるすべての材料は、他にことわらなければALDRICH CHEMICAL Co.(ベルギー)及びACROS(ベルギー)のような標準的な供給源から容易に入手可能であった。用いられた水は脱イオン水であった。
【0187】
ACMOはRahnから入手可能なアクリロイルモルホリンである。
【0188】
CEA 70LSはMiwon Specialty Chemical CoからMiramer CEAとして入手可能な2-カルボキシエチルアクリレートである。
【0189】
CN146はArkemaから入手可能な酸性一官能基性アクリルオリゴマーである。
【0190】
AAGはBASF SEから入手可能な高純度アクリル酸(Acrylic Acid
Glacial)である。
【0191】
NPG-HPDはArkemaからSartomerTM SR606Aとして入手可能なネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレートである。
【0192】
ITXはLambsonからのSpeedcureTM ITX、イソプロピルチオキサントン異性体の混合物である。
【0193】
TPO-LはLambsonからのSpeedcureTM TPO-L、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネートである。
【0194】
EHDBAはRahnからGenocureTM EHAとして入手可能な4-ジメチルアミン-安息香酸2-エチル-ヘキシルエステルである。
【0195】
ContrastはBayer A.G.により供給されるMacrolex blue 3Rである。
【0196】
INHIBは表4に従う組成を有する重合抑制剤を形成する混合物である。
【表4】
【0197】
DPGDAはARKEMAからSartomer SR508として入手可能なジプロピレンジアクリレートである。
【0198】
CupferronTM ALはWAKO CHEMICALSからのアルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンである。
【0199】
Light Ester M 3FはKYOEISHA CHEMICAL Coから入手可能なトリフルオロエチルメタクリレートである。
【0200】
Light Acrylate LAはKYOEISHA CHEMICAL Coから入手可能なラウリルアクリレートである。
【0201】
Light Acrylate SAはKYOEISHA CHEMICAL Coから入手可能なステアリルアクリレートである。
【0202】
Megaface RS 76 EはDIC Corporationから入手可能なMEK/酢酸エチル/MIBK中のフルオロ、親水性、親油性及びUV反応性基を有するオリゴマーである。
【0203】
Megaface RS 76 NSはDIC corporationから入手可能なDPGDA中のフルオロ、親水性、親油性及びUV反応性基を有するオリゴマーである。
【0204】
Silmer ACR DI-1508はSiltech Corpから入手可能な水分散性二官能基性シリコーンアクリレートプレポリマーである。
【0205】
Silmer ACR DI-2510はSiltech Corpから入手可能な100%活性架橋性シリコーンアクリレートプレポリマーである。
【0206】
Mecbrite CA-95MHはMEC Europeから入手可能なマイクロエッチング洗浄剤(micro etch cleaner)である。
【0207】
Umicore cleaner 865はUmicoreから入手可能な銅表面のた
めの洗浄溶液である。
【0208】
Accemulta MNK-4-MはUmicoreから入手可能なPCB用途のためのパラジウム触媒である。
【0209】
Nimuden NPR-4はUmicoreから入手可能なPCB用途のための酸無電解ニッケルメッキ浴である。
【0210】
Gobright TAM-55はUmicoreから入手可能なPCB用途のための浸漬金浴である。
【0211】
方法
基材の予備処理
まず第一に、基材(例えばPCB基板)をオーブン中で150℃において1時間焼いた。
【0212】
次いで回転噴霧器(rotaspray)中でマイクロエッチング浴Mecbrite
CA-95MHを使用することにより表面を処理し、インキの優れた接着を得るために必要な特定の粗さを銅に与えた。
【0213】
基材から約1μmの厚さの銅を除去し、それは22-24℃において60秒間マイクロエッチング溶液を噴霧することによって行われた。
【0214】
次いですぐに脱塩水を90秒間噴霧して基材を濯ぎ、マイクロエッチングを停止させた。
【0215】
最後に酸化銅の形成を避けるために可能な限り早く空気流を用いて基材を乾燥した。
【0216】
インキジェット印刷
Konica Minoltaプリントヘッド(KM1024 SHB)が備えられたMicrocraft MJP2013K1プリンターを用いてインキジェットインキをPCB基板上に印刷した。その後、予備処理された基材上に45℃において720x1440 dpiの解像度で、4ないし12回通過を用いてインキを印刷し、5%と100%の間のピンキュア化(pincure)(UV LED,395nm,8Wランプ出力)を用いて与えられた層厚さに達せしめ、100%のピン硬化を用いる余分の通過が続いた。インキはメッキ法から保護されねばならない部分、すなわちニッケル及び金が必要でないすべての銅部分の上のみに印刷される。インキは常にはんだマスク及び銅の両方の上に印刷される。
【0217】
ENIGメッキ
まず第一に、基板を40℃で4分間、酸洗浄剤(Umicore cleaner 865)の浴中に浸漬した。次いで基板を取り出し、室温(RT)で90秒間、脱イオン水(DW)の濯ぎ浴中に浸漬した。
【0218】
第二に、水中に8.5重量%のNa2S2O8及び±3.2重量%のH2SO4(98%)
を含むマイクロエッチング浴中に基板を26-33℃の温度で100秒間浸漬した。次いで基板を取り出し、RTで90秒間、DWの濯ぎ浴中に浸漬した。
【0219】
第三に、基板を約30℃の温度で90秒間、パラジウム活性化剤浴(Accemulta MKN 4)中に浸漬した。次いで基板を取り出し、RTで90秒間、DWの濯ぎ浴
中に浸漬した。
【0220】
次いで基板を約85℃の温度で35分間、ニッケル浴(Nimuden NPR 4)中に浸漬した。次いで基板を取り出し、RTで90秒間、DWの濯ぎ浴中に浸漬した。
【0221】
最後に基板を約80℃の温度で12分間、金浴(Gobright TAM 55)中に浸漬した。次いで基板を取り出し、RTで90秒間、DWの濯ぎ浴中に浸漬した。
【0222】
剥離
メッキ法の後、NaOH 5%の剥離溶液の結果インキが除去された。剥離は50℃で1ないし5分間、NaOH溶液を噴霧して実現された。インキが十分に洗浄されたら、基板をDWで90秒間濯いだ。
【0223】
それで選択的ENIGが達成され、基板はPCB製造の次の段階に進むことができる。
【0224】
ENIG抵抗性
印刷されたインキジェットインキのENIG抵抗性を、0(優)から4(劣)までの得点を用いて評価した:
0はインキ層への損傷がないことを意味する。
1は無損傷のインキ層の下に泡が存在することを意味する。
2はインキ層の部分的な除去を意味する。
3はインキ層の完全な除去を意味する。
【0225】
剥離
印刷されたインキジェットインキの剥離様式を以下の得点を用いて視覚的に評価した:+は剥離の後にインキが完全に除去されることを意味する。
-は剥離の後にインキが除去されないか又は部分的のみに除去されることを意味する。
【実施例0226】
比較の及び本発明の放射線硬化性組成物COMP-01及びINV-01ないしINV-06を表5に従って調製した。重量パーセンテージ(重量%)はすべて放射線硬化性組成物の合計重量に基づく。
【表5-1】
【0227】
【0228】
上記の通りに放射線硬化性組成物を印刷し、硬化させた。各通過の間に5%のランプ出力でピン硬化し、最後に100%の硬化の通過を経た試料に関し、上記の通りに評価されたENIG抵抗性及び剥離性を表6にまとめる。
【表6】
【0229】
表6から、本発明に従う放射線硬化性組成物がENIG法において十分に働いていることが明らかになる。
実施例1のUV硬化性インキジェットインキを上記の通りに、しかし今回は720x1440dpiの解像度で種々の通過において印刷した。4回通過は5μmと10μmの間の厚さに相当し、8回通過は15μmと20μmの間の厚さに相当する。
表7から、8回通過のインキの層のENIG抵抗性は4回通過のインキの層のENIG抵抗性と比較してより優れていることが明らかになる。両方の層の剥離性は十分である。