(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162324
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】酸化分解を介する超吸収性ポリマーの分解
(51)【国際特許分類】
C08J 11/10 20060101AFI20231031BHJP
C08F 8/06 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
C08J11/10
C08F8/06
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023137500
(22)【出願日】2023-08-25
(62)【分割の表示】P 2022509184の分割
【原出願日】2020-08-19
(31)【優先権主張番号】19193221.9
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(72)【発明者】
【氏名】アルセン、シモニャン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ポリ(アクリル酸)系超吸収性ポリマー(SAP)の単位質量当たりのエネルギー及び電力が少なく、例えば比較的低温などの温和な条件で、環境上問題があると考えられる化学物質を使用せずに、短時間で、分解又は脱重合して、可溶性の直鎖状又は分岐鎖状のポリ(アクリル酸)(PAA)にする方法を提供する。
【解決手段】架橋されたポリ(アクリル酸)系超吸収性ポリマー(SAP)を、可溶性ポリアクリル酸ポリマーに分解するための方法であって、
a)SAPを提供する工程と、
b)少なくとも1つのカチオン及び少なくとも1つのアニオンを含む酸化性水溶性塩を提供する工程と、
c)水性担体を提供する工程と、
d)前記SAPを、前記酸化性水溶性塩及び前記水性担体と混合する工程と、
e)前記混合物を、30℃~200℃の温度に加熱して、前記SAPを、可溶性ポリアクリル酸ポリマーに分解する工程と、を含む、方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋されたポリ(アクリル酸)系超吸収性ポリマー(SAP)を、可溶性ポリアクリル酸ポリマーに分解するための方法であって、
a)SAPを提供する工程と、
b)少なくとも1つのカチオン及び少なくとも1つのアニオンを含む酸化性水溶性塩を提供する工程と、
c)水性担体を提供する工程と、
d)前記SAPを、前記酸化性水溶性塩及び前記水性担体と混合する工程と、
e)前記混合物を、30℃~200℃の温度に加熱して、前記SAPを、可溶性ポリアクリル酸ポリマーに分解する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記酸化性水溶性塩が、方法工程d)の前に、又は方法工程d)において、前記水性担体中に溶解される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水性担体の中に溶解した前記酸化性水溶性塩を含む、前記水性担体の少なくとも50重量%が、方法工程d)及び/又はe)において、前記SAPに吸収される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記SAPが、SAP1グラム当たり5g~25gの液体の総量を吸収し、前記液体の総量が、工程a)において提供される前記SAPに含まれる液体の量と、方法工程d)及びe)において吸収される水性担体の量との合計である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
方法工程c)において提供される前記水性担体の量が、提供される全ての水性担体の吸収時に、工程a)において提供される前記SAPを、前記SAPのCRCの少なくとも20%まで膨潤させることを可能にし、前記CRCは、EDANA法NWSP241.0.R2に従って測定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアニオンが、ペルオキシジスルフェート、ペルオキシモノスルフェート、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシジホスフェート、ペルオキシジボレート、及びこれらの混合物、並びに組み合わせからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記カチオンが、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、NH4
+、有機置換アンモニウム、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Al3+、1+~3+の酸化状態の遷移金属カチオン、及びこれらの混合物並びに組み合わせからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化性水溶性塩が、前記酸化性水溶性塩の総重量に対して、少なくとも50重量%のアルカリ性過硫酸塩を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、過酸化水素を添加する工程を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
酸化性水溶性塩とSAPとの比が、SAP1グラム当たり0.001g~0.05gの酸化性塩である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
水性担体とSAPとの比が、乾燥SAP1グラム当たり2g~20gの水性担体である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程a)において提供される前記SAPが、乾燥SAPであるか、又は乾燥SAP1グラム当たり0.05g~10gに膨潤されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程a)において提供される前記SAPが、EDANA法NWSP241.0.R2に従って測定される場合、10g/g~50g/gのCRC値を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記混合SAP、酸化性水溶性塩、及び前記水性担体が、方法工程e)の前記温度で10分間~3時間維持される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記混合物が工程e)において加熱される前記温度が、前記酸化性水溶性塩の分解温度よりも少なくとも10℃低い、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記SAPが、工程a)において粒子形態で提供される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
添加剤が、方法工程d)において添加され、添加剤の総量が、前記水性担体の重量に基づいて、10重量%以下である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
工程a)において提供される前記SAPが、消費後の吸収性衛生製品由来の消費後にリサイクルされたSAPであり、前記方法が、
(i)前記消費後のSAPが前記消費後の吸収性衛生製品から20重量%未満の固体混入物質を含むように、前記消費後にリサイクルされたSAPを、前記消費後の吸収性衛生製品から分離する工程であって、工程(i)が、工程a)の前に実施される、
工程を更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、
f)水溶液中の前記可溶性ポリアクリル酸ポリマーを、工程c)によって得られた前記混合物中の他の化合物及び成分から分離する工程を更に含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ポリ(アクリル酸)系超吸収性ポリマー(superabsorbent polymer、SAP)の酸化分解に関し、特に、消費者使用後のSAPのリサイクルに有用である。酸化性水溶性塩を使用して、SAPを分解する。
【背景技術】
【0002】
おむつ及びパンツ、婦人衛生物品などの吸収性衛生製品(absorbent-hygiene products、AHP)のリサイクルは、持続可能性に関する世界的な課題という観点から必要である。多くの消費者向け企業は、リサイクルされた材料を100%使用して、消費者廃棄物及び製造廃棄物の埋め立てをゼロにするように努めている。これらの目標に加えて、リサイクルを成功させることは、環境、経済の活性化、人々の健康及び水質の改善、並びに世界の発展途上地域の消費者が必要とするエネルギーの生成に役立つ。
【0003】
AHPの主成分は、典型的には、超吸収性ポリマー(SAP)であるが、少量の成分は、接着剤、セルロース繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエステルである。AHPのリサイクルは、それらの使用中に蓄積された汚れからAHPを洗浄すること、及び様々な成分をリサイクルされた材料流に分離することを伴う。より具体的には、リサイクルされたSAP材料流は、AHPよりも要求が低い用途で使用され得(リサイクルされたSAPは、バージンSAPと比較して劣った特性を有するため)、かつ/又は本質的に直鎖状若しくは分岐鎖状の架橋されていないポリ(アクリル酸)(poly(acrylic acid)、PAA)に変換され得る。次いで、このPAAは、様々な用途に供給材料として使用され得る。例えば、PAAは、水処理又は腐食防止などの用途において、そのままで使用され得るか、又はPAAは、使用され得るか若しくは更にエステル化され得、次いで、接着剤、コーティングなどにおいて使用され得る。これらの用途は、バージンアクリル酸系化合物を、リサイクルされたSAP由来の化合物で置換することによって、SAPを他の生成物にリサイクルする取り組みの一環である。全ての場合において、目的は、バージン材料と同じ特性を達成することである。
【0004】
リサイクルされたSAPは、消費後にリサイクルされた(post-consumer recycled、PCR)SAP又は工業生産後にリサイクルされた(post-industrial recycled、PIR)SAPであり得る。リサイクルされたAHPからリサイクルされたSAP材料流を生成するプロセスの非限定的な例は、2015年8月4日に発行された米国特許第9,095,853(B2)号、及び2015年10月13日に発行された同第9,156,034(B2)号に開示及び特許請求されており、いずれも、Fater S.p.A(イタリア)に付与された。
【0005】
ほとんどのSAPは、ポリ(アクリル酸)に基づくものであり、架橋された網状組織材料である。アクリル酸及び架橋剤からSAPを生成するために使用される手順の非限定的な例は、2013年2月26日に発行され、日本触媒株式会社(日本)に付与された米国特許第8,383,746(B2)号、及び2017年11月21日に発行され、BASF SE(ドイツ)に付与された米国特許第9,822,203(B2)号に開示されている。
【0006】
直鎖状ポリマーを分解又は脱重合する試みでは多くの参考文献が存在し、ポリマー網状組織に架橋された分岐鎖状PAAを含むSAPを脱重合する取り組みでは数少ない参考文献が存在する。これらの取り組みにおいて使用されるエネルギーの典型的な形態(単一形態のエネルギー又は組み合わせのいずれか)は、超音波、UV、機械的(すなわち、拡張力/伸長力の存在下、例えば、Caruso,M.M.,et al.,Chem.Rev.,109(2009),5755-5798)、熱的(例えば、McNeill,I.C.,and Sadeghi,S.M.,Polymer Degrad.Stability,29(1990),233-246)、及びマイクロ波である。
【0007】
しかしながら、工業生産後にリサイクルされた(PIR)SAP(例えば、製造時に選別されて、消費者に提供されていない未使用のAHP由来、又は例えば、SAPが必要な性能基準を満たさない場合のSAP製造プロセス由来)を分解する、具体的には、消費後のAHP由来(すなわち、AHPが使用された後)の消費後にリサイクルされた(PCR)SAPを分解する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第9,095,853(B2)号
【特許文献2】米国特許第9,156,034(B2)号
【特許文献3】米国特許第8,383,746(B2)号
【特許文献4】米国特許第9,822,203(B2)号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Caruso,M.M.,et al.,Chem.Rev.,109(2009),5755-5798)
【非特許文献2】McNeill,I.C.,and Sadeghi,S.M.,Polymer Degrad.Stability,29(1990),233-246)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、リサイクルされたSAPを、SAPの単位質量当たりのエネルギー及び電力が少なく、例えば比較的低温などの温和な条件で、環境上問題があると考えられる化学物質を使用せずに、短時間で、分解又は脱重合して、可溶性の直鎖状又は分岐鎖状のポリ(アクリル酸)(PAA)にする必要性が存在する。SAPの単位質量当たりの低エネルギーが要求されるのは、SAPのリサイクル及びPAAへのその分解又は脱重合が、SAPからPAAへの変換の間に消費されるエネルギーが、プロピレンから化石由来のアクリル酸(ペトロAA)を作製する際に使用されるエネルギー(AA1kg当たり約50MJ)よりも低い場合のみ有益であるという事実から生じる。次いで、リサイクルされたSAPから生成されたPAAは、接着剤、コーティング、水処理、織物ケアなどの他の用途の材料に誘導体化され得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、架橋されたポリ(アクリル酸)系超吸収性ポリマー(SAP)を、可溶性ポリアクリル酸ポリマーに分解するための方法に関する。方法は、
a)SAPを提供する工程と、
b)少なくとも1つのカチオン及び少なくとも1つのアニオンを含む酸化性水溶性塩を提供する工程と、
c)水又は生理的食塩水(すなわち、水1リットル当たり0.90重量%のNaClを含む溶液)などの水性担体を提供する工程と、
d)SAPを、酸化性水溶性塩及び水性担体と混合する工程と、
e)混合物を、30℃~200℃の温度に加熱して、SAPを、可溶性ポリアクリル酸ポリマー(PAA)に分解する工程と、を含む。
【0012】
酸化性水溶性塩は、方法工程d)において、又は好ましくは方法工程d)の前に、水性担体中に溶解し得る。
【0013】
少なくとも1つのアニオンは、ペルオキシジスルフェート、ペルオキシモノスルフェート、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシジホスフェート、ペルオキシジボレート、及びこれらの混合物、並びに組み合わせからなる群から選択され得る。好ましくは、少なくとも1つのアニオンは、ペルオキシジスルフェートである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】工程分解前後の実施例A17の写真であり、すなわち、左は、以下に記載される実験手順の工程5後の試料を示す写真であり、右は、実験手順が完了した後の試料を示す写真である。
【
図2】工程分解前後の比較例C1及びC2の写真であり、すなわち、左は、以下に記載される実験手順の工程5後の試料を示す写真であり、右は、実験手順が完了した後の試料を示す写真である。見てわかるように、実施例C1及びC2では分解は起こらなかった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
本明細書で使用される場合、「超吸収性ポリマー」は、遠心保持容量(Centrifuge Retention Capacity、CRC)試験方法(EDANA法NWSP241.0.R2)を使用して測定される場合、それらの重量の少なくとも10倍の0.9%食塩水溶液を吸収し得る、架橋されたポリ(アクリル酸)系超吸収性ポリマーである、吸収性材料を指す。これらのポリマーは、典型的には、粒子形態(「超吸収性ポリマー粒子」)で使用される。「粒子」という用語は、顆粒、繊維、フレーク、球体、粉末、小板、並びに超吸収性ポリマー粒子の当業者に公知の他の形状及び形態を指す。
【0016】
超吸収性ポリマー粒子は、球状の超吸収性ポリマー粒子、又は楕円状の超吸収性ポリマー粒子、又は不規則状の超吸収性ポリマー粒子、又は繊維状の超吸収性ポリマー粒子、すなわち細長い針状の超吸収性ポリマー粒子であり得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、「ポリ(アクリル酸)」又は「PAA」という用語は、モノマー単位としてアクリル酸を含む本質的に架橋されていないポリ(アクリル酸)分子を指す。SAPとは対照的に、PAAは、水溶性である。本発明のPAAは、直鎖状又は分岐鎖状であり得る。本発明のPAAは、本発明の反応機構に起因して、酸素含有側基又は末端基を含み得る。PAAは、分解のために本発明の方法に提供されるSAPを作製する場合に使用された架橋剤の非常に少量の反応生成物を更に含み得る。本発明に提供されるSAPは、アクリル酸の量に基づいて、0.2モル%未満の架橋剤の反応生成物を含み得る。本発明の目的のために、PAAは、アクリル酸のポリマー及びアクリル酸のオリゴマーを含む。好ましくは、PAAは、最大10MDa、より好ましくは最大10MDaの平均分子量Mwを有するポリマーである。より好ましくは、PAAは、少なくとも1kDa、又は少なくとも5kDa、又は少なくとも10kDaの平均分子量を有するポリマーである。
【0018】
本明細書で使用される場合、「分解」という用語は、脱重合、脱架橋、分子骨格破壊の作用、又は上記の作用の任意の組み合わせを介するSAPのPAAへの変換を指す。本発明の目的のために、分解、リサイクル、及び変換という用語は、それらがSAPのPAAへの変換を指す限り、互換的に使用される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「吸収性衛生製品」、「AHP」という用語は、身体滲出物を吸収及び封じ込めるデバイスを指し、より具体的には、着用者の身体に対して又はその近位に配置して、身体から排出される様々な滲出物を吸収及び封じ込めるデバイスを指す。吸収性物品としては、おむつ(例えば、乳幼児用おむつ及び成人失禁用おむつ)、吸収性パンツ、吸収性インサート、生理用ナプキン若しくはパンティーライナーなどの婦人用保護吸収性物品などが挙げられる。「滲出物」という用語としては、尿、血液、膣排泄物、汗、及び糞便が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好ましいAHPは、おむつ、吸収性パンツ、及び/又は婦人用保護吸収性物品である。本発明の方法のために提供され得る、工業生産後又は消費後のSAPが得られる可能性のあるAHPは、使い捨てであり得る。
【0020】
「使い捨て」は、通常の意味では、様々な期間にわたって限定された使用回数、例えば、20回未満の使用、10回未満の使用、5回未満の使用、又は2回未満の使用の後に、処分又は廃棄される物品を意味するのに使用される。使い捨て吸収性物品が、個人衛生用途のためのおむつ、パンツ、生理用ナプキン、生理用パッド、又はウェットワイプである場合、使い捨て吸収性物品は、(ほとんどの場合)1回の使用後に処分されることが意図され得る。
【0021】
分解方法
予期せぬことに、SAPは、SAPを酸化性水溶性塩(以下、「塩」と称する)と混合することによって、特にアクリル酸のポリマーの形態で、可溶性PAAに分解され得ることが見出された。塩は、少なくとも1つのカチオン及び少なくとも1つのアニオンを含む。SAP及び塩は、水又は生理的食塩水などの水性担体と混合される。
【0022】
混合物を30℃~200℃の温度(以下、「高温」と称する)に加熱することによって、アニオンの少なくとも一部がラジカルに分解される。
【0023】
高温は、少なくとも35℃、又は少なくとも40℃、又は少なくとも50℃、又は少なくとも60℃、又は少なくとも70℃、又は少なくとも80℃であり得る。高温は、190℃未満、又は180℃未満、又は150℃未満であり得る。一般に、200℃を超える高温では、SAPは、制御されていない様式で分解及び崩壊を始めるが、これは、本発明にとって望ましくない。
【0024】
加熱すると、塩の水素原子が、より具体的には、塩のアニオンの水素原子が除去され、アニオンがラジカルを形成する。混合物が加熱される高温は、塩の(ラジカル形成につながる)分解温度よりも少なくとも10℃低くなり得るか、又は混合物は、少なくとも分解温度である高温に加熱され得るか、又は塩の分解温度よりも少なくとも10℃高い高温に加熱され得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、「分解温度」は、水中での10時間の半減期温度のことで、例えば、過硫酸アンモニウムでは69℃、過硫酸カリウムでは60℃である。
【0026】
したがって、異なる塩(具体的には、異なるアニオン)は、異なる分解温度を有するため、最適な温度範囲の選択は、とりわけ塩の選択に依存する。形成されたラジカルは、例えば、SAPのポリマー鎖に含まれる脂肪族C-H基と反応することによって、SAPと反応し得る。このラジカル反応の結果として、SAPのポリマー鎖は分解され、分解されたSAPポリマー鎖において、炭素中心ラジカルが形成される。反応はまた、SAPのカルボキシル基においても行われ得、炭素中心ラジカルももたらされる。更に代替的又は追加的には、反応は、窒素原子において起こり得、これは、SAPを最初に作製するために使用された架橋剤によって含まれ得る。窒素原子において反応が起こる場合、炭素中心ラジカルの代わりに窒素中心ラジカルが形成される。
【0027】
理論に拘束されることを望むものではないが、以下の反応スキームは、SAPの可溶性PAA(すなわち、以下の「脱架橋ポリマー生成物」)への分解プロセスを例示的に示すと考えられ、
【0028】
【化1】
(水性媒体中のサルフェート及び水酸ラジカルの生成)
【0029】
【化2】
式中、Rは、H、又はアルカリ性カチオン、アンモニウムカチオン、又は架橋残基である。
【0030】
混合物は、高温で10分間~5時間、好ましくは10分間~4時間、より好ましくは10分間~3時間維持され得る。より短い時間は、経済的な観点から好ましい。より短いプロセス時間は、例えば、より高い塩濃度、より高い温度(しかしながら、200℃未満)、及び/又はSAPと塩との最適化混合によって得ることができる。混合物が高温に保たれる時間はまた、望ましい分解の程度(すなわち、プロセスによって得られるPAAの平均分子量)に依存する。一般に、SAPが分解され、その結果、不溶性SAPが存在しないか、又はわずかな量しか存在しないと、全てのSAPが可溶性PAAに分解されたことを示し、混合物は、高温で維持される必要がなくなり、温度は、室温(25℃)以下に下げられ得る。
【0031】
SAP、塩、及び水性担体は、塩が部分的又は完全に水性担体に溶解されるように、例えば、塩と水性担体とを予備混合することによって、混合され得る。水性担体の中に溶解した塩を含む水性担体は、次いで、溶解した塩を含む水性担体をSAP上に噴霧することなどによって、SAPと混合され得る。SAP上に溶解した塩を含む水性担体を噴霧した後、例えば、SAPの量、すなわちSAPの層の厚さに応じて、混合物は更に混合されてもよく、又は更に混合されなくてもよい。SAPが水性担体及び溶解した塩と適切に接触するように、溶解した塩を含む水性担体が、SAPの薄層上に噴霧される場合、更なる混合は、必要ない場合がある。
【0032】
代替的には、水性担体と塩とを予備混合して、塩を水性担体中に溶解させることは、塩が水性担体にのみ溶解するように、水性担体及び塩を別々にSAPに提供することも可能である。
【0033】
SAPと混合された後。重要なことに、塩は、SAPと接触した後、又は好ましくはSAPと接触する前に、水性担体に溶解し得る必要がある。
【0034】
水性担体は、水性担体を塩及びSAPと混合する前に、高温に予熱され得る。そのような予熱は、分解方法を加速させ得る。代替的には、水性担体は、塩とSAPとを混合する前に、高温未満の温度に予熱され得る。なお更に代替的には、水性担体は、塩とSAPとを混合する前に、予熱されない場合があり、水性担体、塩、及びSAPが混合された後に、高温への加熱が行われる。
【0035】
SAPと混合する前に、塩が水性担体に溶解される場合、アニオンが早期にラジカルを形成し、その結果アニオンが自己分解によって分解し、続いてSAPとの混合後にSAPの分解に利用できなくなることを回避するために、水性担体は、高温未満の温度に予熱され得る。しかしながら、塩が水性担体に短時間しか溶解されない場合、又はSAPと混合する直前に溶解される場合は、SAPと混合する前に、水性担体は、高温に予熱され得る。予熱は、塩が水性担体に溶解する時間を速め得る。
【0036】
代替的又は追加的には、SAPは、水性担体と塩とを混合する前に、高温又は高温未満の温度に予熱され得る。予熱されたSAPは、SAPのより短い膨潤時間をもたらし得、したがって、水性担体及び溶解した塩のSAP粒子への吸収を促進し、より速い分解を可能にする。溶解した塩のSAPへのより速い吸収はまた、SAP内の溶解した塩の均質な分散を改善し得、これは、より均質な分解を助け得、したがって、SAPの分解されていない細片が混合物中に残ることを回避する。
【0037】
更に代替的には、方法工程d)において得られた混合物は、水性担体の中に溶解した塩を含む水性担体の少なくとも50重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも90重量%、又は全てが、SAPに吸収された後にのみ高温に加熱され得る。それにもかかわらず、高温未満の温度までの何らかの予熱は、既に行われている場合がある。
【0038】
塩とSAPとの比は、SAP1グラム当たり0.001gの塩~0.05gの塩であり得るか、又はSAP1グラム当たり0.005gの塩~0.03gの塩であり得るか、又はSAP1グラム当たり0.01gの塩~0.03gの塩であり得る。
【0039】
水性担体とSAPとの比は、SAP1グラム当たり2g~20gの水性担体であり得るか、又はSAP1グラム当たり5g~15gの水性担体であり得る。
【0040】
SAPは、方法工程a)において乾燥状態、又はSAP1グラム当たり20g未満、又は15g未満、又は10g未満、又は5g未満の液体(水又は生理的食塩水など)での膨潤状態で提供され得る。
【0041】
(SAPが乾燥SAPとして提供されない場合)方法工程a)において、提供されるような膨潤SAPに含まれる液体を含む、方法工程e)におけるSAPに吸収される(すなわち、含まれる)液体の総量、及び方法工程e)において、SAPに吸収され、したがってSAPによって含まれる水性担体の量は、SAP1グラム当たり2g~25gであり得るか、又はSAP1グラム当たり2g~20gであり得るか、又はSAP1グラム当たり5g~15gであり得るか、又はSAP1グラム当たり8g~13gであり得る。本明細書で使用される場合、「乾燥SAP」とは、SAPが、SAP1グラム当たり0.20g未満、好ましくはSAP1グラム当たり0.15g未満の液体含有量(「水分含有量」と称される)を有することを意味する。SAPの水分含有量は、EDANA水分含有量試験方法NWSP230.0.R2(15)に従って、又は水分分析装置(Mettler Toledo製のHX204、乾燥温度130℃、開始超吸収体重量3.0g(±0.5g)、停止基準1mg/140秒)を介して測定される。超吸収性ポリマー粒子の水分含有量が、3重量%超である場合、SAPを、<3重量%の水分レベルまで、例えば105℃のオーブンで3時間、又は例えば120℃のオーブンで2時間乾燥させる。
【0042】
SAPを効率的に分解するために塩が使用され得ることを確実にするために、方法工程d)及びe)において、水性担体の中に溶解した塩を含む水性担体の有意な量が、SAPに吸収されることが望ましい。水性担体の中に溶解した塩を含む、工程c)において提供される水性担体の少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも90重量%、又は100重量%が、SAPに吸収され得る。方法工程d)及びe)における、水性担体の中に溶解した塩を含む水性担体の吸収とは、中に溶解した塩を含む水性担体が、方法工程d)においてのみ吸収され得るか(これは、特に100重量%が吸収される場合である)、又は方法工程e)において大部分が吸収され得るか(これは、SAP、塩、及び水性担体が混合される場合に、既に加熱が開始している場合であり得る)、又は方法工程d)において、中に溶解した塩を含む水性担体の一部がSAPに吸収され、方法工程e)において、中に溶解した塩を含む水性担体の別の一部がSAPに吸収されることを意味する。
【0043】
方法工程a)において提供されるSAPは、10g/g~50g/g、又は10g/g~40g/gの遠心保持容量(CRC)値を有し得る。リサイクルされたAGMの場合は、乾燥させた後、CRC試験方法(EDANA法NWSP241.0.R2)に従って測定される場合、CRCを測定する必要がある。
【0044】
方法工程a)において提供されるSAPが、消費後にリサイクルされたSAPである場合、SAP(の試料)を最初に乾燥させた後、この試料についてCRCを測定して、SAPのCRCを決定する必要がある。
【0045】
塩の少なくとも1つのアニオンは、ペルオキシジスルフェート、ペルオキシモノスルフェート、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシジホスフェート、ペルオキシジボレート、又はこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0046】
塩の少なくとも1つのカチオンは、カチオンがラジカルに解離しないという点で重要ではない。したがって、カチオンの選択は、カチオンがラジカルを形成しないため、分解プロセスに直接影響を及ぼさない。少なくとも1つのカチオンは、水性担体に十分な溶解度を有するように選択され得、比較的低コストで利用可能であるべきである。少なくとも1つのカチオンは、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、NH4
+、有機置換アンモニウム、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Al3+、1+~3+の酸化状態の遷移金属カチオン、又はこれらの混合物(例えば、異なるカチオンを有する異なる塩の組み合わせ)からなる群から選択され得る。最も好ましいのは、1つ以上のアルカリ性カチオン及びNH4
+カチオンである。
【0047】
塩の総重量に対して、少なくとも50%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%、又は100%が、アルカリ性過硫酸塩であり得る。
【0048】
過酸化水素が、本方法において添加され得る。過酸化水素は、PAAの時間当たりの収率、すなわち、分解速度を増加させるのに役立ち得る。過酸化水素はまた、分解された混入物質を脱色するのに役立ち得る。過酸化水素は、SAPと混合する前に、塩を水性担体に溶解した状態で、又は溶解しない状態で、別個の水溶液としてSAPに添加され得るか、又は水性担体中に添加され得る。本発明の方法において使用される過酸化水素の量は、塩の重量に基づいて10重量%~200重量%であり得るか、又は塩の重量に対して20重量%~100重量%であり得るか、又は塩の重量に対して30重量%~80重量%であり得る。
【0049】
方法工程e)は、3~7のpHで実施され得る。典型的には、この範囲のpHを得るために、更に特別な手段は必要ではない。過硫酸塩ラジカルは、例えば、7を超えるpHで安定性が低い。
【0050】
添加剤が、本発明の方法において使用され得る。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、又はこれらの混合物などの低分子量アルコールは、方法工程c)において提供される水性担体に添加され得るか、又は方法工程d)の混合物に添加され得る。これらの添加剤は、水性担体及びその中に溶解した塩と共に、SAPの初期湿潤性をサポートし得る。それらはまた、細菌混入に対する水性担体の安定性を改善し得る。抗菌添加剤などの他の添加剤も添加され得る。添加剤の総量は、水性担体の重量に基づいて、10重量%以下、又は8重量%以下、又は5重量%以下、又は3重量%以下であり得る。
【0051】
本発明の方法は、連続プロセスにおいて又はバッチプロセスとして実施され得る。概して、連続プロセスは、多くの場合、商業的/コスト的観点から好ましい。連続プロセスでは、SAPは、例えば、担体ベルトなど連続流で、例えば、提供され得、水性担体及び塩は、例えば、水性担体及び塩(及び任意選択的に過酸化水素)をSAP上に噴霧することによって、SAPと混合される。SAP、塩、及び水性担体の混合物は、方法工程d)の後に(例えば、水性担体の中に溶解した塩を含む水性担体が、部分的又は完全にSAPに吸収された後に)、ベルト上に移され、連続的又はバッチ様式で加熱され得る。
【0052】
代替的には、(水性担体を槽内に提供する前後に、中に溶解した塩を含む)水性担体は、バッチ槽又は同様の容器内に提供され得る。次いで、SAPは、既に水性担体及び溶解した塩で満たされている槽内に添加され得、SAPは、水性担体及びその中に溶解した塩を吸収するために放置され得、同時に又は続いて、混合物は、高温に加熱され得る。
【0053】
SAPの場合、特に乾燥SAP粒子として提供される場合、空気は、粒子間に、すなわち、それらが液体を吸収し膨潤する際に、SAP粒子間の隙間に「閉じ込められる」傾向がある傾向がある。したがって、膨潤SAPは、液体中で「浮遊する」傾向がある。SAPが分解されるにつれて、可溶化されたPAAは、槽内に沈み得、そこで、それは(連続的に)除去され得る。分解されていないSAP又は部分的に分解されたSAPが、(一部のSAPが槽内に沈み得るために)PAAと共に除去されることを回避するために、メッシュなどが槽内に設置されて、分解されていない又は完全に分解されたSAP粒子が、槽の底部に更に沈むのを防ぎ得る、なぜなら、それらが、より完全に分解され、メッシュを通過し得るまで、それらは、メッシュに捕捉されるためである。
【0054】
代替的には、SAP、塩、及び水性担体の混合物はまた、膨潤SAP粒子が槽の地面に向かって沈み、可溶性PAA、すなわち本方法の生成物が槽の上部から除去され得るように、撹拌され得る。
【0055】
溶液の中に可溶化されたPAAを含む得られた溶液は、溶液に所望され得る任意の後処理のために、例えば、ポンプを介して、異なる槽、パイプ、又は任意の他の適切なデバイスに移送され得る。可能な後処理は、濾過、脱塩、又は多数の他の処理である。
【0056】
分解プロセスのエネルギー消費は、とりわけ高温に依存する。高温が高いほど、時間当たりのエネルギー消費が高い(すなわち、より高い高温での短いプロセス時間は、比較的長いプロセス時間を有する比較的低い高温よりも少ないエネルギーを全体的に必要とし得る)。例えば、エネルギー消費量は、断熱槽内のバッチプロセスについて、約100℃の高温で、約3.5MJ/kgの乾燥AGMである、すなわち、高温への加熱が1回のみ行われるプロセスである。
【0057】
方法工程a)において提供されるSAP
方法工程a)において提供されるSAPは、粒子形態であり得る。
【0058】
本方法において提供されるSAPは、バージンSAP、消費後にリサイクルされたSAP(post-consumer recycled SAP、PCR SAP)、工業生産後にリサイクルされたSAP(post-industrial recycled SAP、PIR SAP)、又はこれらの材料の組み合わせであり得る。「消費後のSAP」及び「消費後にリサイクルされたSAP」(PCR SAP)は、本明細書では互換的に使用され、本明細書で使用される場合、AHPによって含まれたSAPを指し、AHPは、消費者によって使用されている(例えば、失禁ユーザによって着用されている)。使用後、AHPは、リサイクルされ、PCR SAPは、AHPから単離される。しかしながら、本発明の方法については、消費後のAHPの他の成分が、本発明の方法について提供される消費後のSAPによって含まれないように、SAPが精製されることは必要ではない。
【0059】
「工業生産後のSAP」及び「工業生産後にリサイクルされたSAP」(PIR SAP)は、本明細書では互換的に使用され、本明細書で使用される場合、AHPによって含まれ得るか、又は含まれ得ないSAPを指す。PIR SAPは、以前に使用されていない、例えば、消費者によって使用されたAHPによって含まれていなかった。その代わりに、PIR SAPは、例えば、それらは欠陥があるために、生産中に選別されたAHPに由来し得る。PIR SAPはまた、例えば、それらが必要な性能目標(容量、白色度など)を満たさないために、SAP生産中に選別され得る。したがって、後者のシナリオについて、PIR SAPは、以前にAHPによって含まれなかった。
【0060】
SAPの典型的な特性は、機械的特性、膨潤容量、塩水流伝導率(saline flow conductivity、SFC)、圧力に対する吸収(absorption against pressure、AAP)、残留モノマー、抽出物、及びシリンダ保持容量(cylinder retention capacity、CRC)である。また、本発明の目的のために、SAPは、イタコン酸、アクリルアミドなどの他のコモノマーを含み得る。コモノマーの量は、乾燥SAPの総重量当たり、2.0重量%未満、又は1.5重量%未満、又は1.0重量%未満、又は0.5重量%未満であり得る。
【0061】
SAPは、典型的には、均質溶液重合プロセス、又は逆エマルジョン若しくは懸濁重合などの多相重合技術を使用して調製される。重合反応は、一般に、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、トリアクリレート、エチレングリコールデ(メタ)アクリレート、トリアリルアミンなどの比較的少量の二官能性又は多官能性モノマーの存在下で行われる。二官能性又は多官能性モノマー化合物は、アクリレートポリマー鎖を軽く架橋するのに役立ち、それによって、SAPを水不溶性でありながら、水膨潤性にする。更に、SAPは、ジ/ポリ-エポキシド、ジ/ポリ-アルコール、ジ/ポリ-ハロアルカンなどの好適な架橋剤との反応によって、重合後に表面架橋され得る。本発明の方法に提供されるSAPは、粒子形態であり得る。粒子形態は、粉砕などの任意の典型的なサイズ低減技術を用いた材料のスラブから生成され得る。
【0062】
SAPは、完全に中和されていない状態(その場合、DN=0)、完全に中和された状態(この場合、DN=100%)、又は部分的に中和された状態であり得る。本発明の一実施形態では、SAPは、約50%超のDNを有する。本発明の別の実施形態では、SAPは、約65%~約75%のDNを有する。本発明の更に別の実施形態では、SAPは、約75%超のDNを有する。本発明のなお更に別の実施形態では、SAPは、約50%未満のDNを有する。
【0063】
本発明の方法に提供されるSAPは、乾燥形態であり得るか、又は水、食塩水、又は尿(例えば、PCR SAP中の尿)で部分的に膨潤されている場合がある。したがって、SAPは、水、食塩水、又は尿で0.05g/g~20g/g、好ましくは0.05g/g~15g/g、より好ましくは0.10g/g~10g/g、より好ましくは0.20g/g~5g/g、更により好ましくは0.50g/g~2g/gに膨潤されている場合がある。完全乾燥(すなわち、0g/gの水、食塩水、又は尿)は、完全乾燥SAPが、水性担体の中に溶解した塩を含む水性担体を吸収するのにより長い時間がかかるため、本発明の方法にとっては有利ではない場合がある。一方、本方法に提供される場合、過度に膨潤されている(又は更に完全に膨潤されている)SAPはまた、水性担体中に溶解した塩がSAPに吸収されるまでの時間の増加につながり得る。本方法に提供されるSAPは、(EDANA法NWSP241.0.R2に従って、遠心保持容量「CRC」として測定される場合)10g/g~50g/gの吸収容量CRCを有し得る。
【0064】
方法工程c)において提供される水性担体の量は、工程a)において提供されるSAPが、
提供される全ての水性担体の吸収時に、そのCRCの少なくとも20%、又は少なくとも30%、50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%に膨潤し得るような量であり得る。SAPが乾燥した状態ではなく、予備膨潤している状態で提供される場合(以下の更なる詳細を参照)、所望の程度のSAP充填、すなわち所望のCRCを得るために必要な水性担体が少なくなる。
【0065】
液体が吸収されると、SAPのポリマー網状組織内のポリマー鎖は、脱絡み合いが始まる。そのような脱絡み合いによって、ポリマー網状組織は、塩のアニオンから形成されたラジカルにアクセスし易くなる。したがって、分解が改善される。工程c)において提供される水性担体の量が、水性担体の吸収時にSAPがそのCRCの少なくとも20%まで膨潤し得ない場合、SAPのポリマー網状組織内のポリマー鎖が、十分に脱絡み合いができず、分解がより遅くなるか又は全体的に効果が薄れる。
【0066】
本発明の分解方法の場合、消費後のSAPの使用は、バージンSAPの使用よりも有益であり得る。先に膨潤したポリマー網状組織中のポリマー鎖、次いで少なくとも部分的に再乾燥させたSAPは、既に脱絡み合いが行われている。再膨潤、したがって新たな脱絡み合いは、バージンSAPの膨潤に対してより速いと考えられている。先に膨潤して、次いで再乾燥させたSAPは、再乾燥後に膨潤させた場合、バージンSAPから初めてSAPを膨潤させた場合に測定されたCRCと比較して、より高いCRCを有することがわかった。
【0067】
消費後のSAPが、本発明の方法に部分的に膨潤した形態で提供される場合、消費後のSAPの乾燥には時間とエネルギーがかかることを考えると、本方法で使用するためにSAPを完全に乾燥させる必要がないことも有利な点である。しかしながら、消費後のSAPは、本発明の方法に提供する前に、滅菌され得る。
【0068】
消費後のSAP又は工業生産後のSAPが、AHPから単離されて、本発明の方法に提供される場合、SAPは、AHPの他の成分が存在しないように、精製される必要は必ずしもない。その代わりに、SAPは、合成繊維材料又はフィルム(例えば、繊維、シート、フィルム、及び繊維層)、セルロース繊維、接着剤、インク、染料、界面活性剤などの、AHPの他の成分が混入し得ることが見出された。これらの混入物質の量は、SAP及び混入物質の混合物の20重量%以下であり得るか、又は15重量%以下であり得るか、又は10重量%以下、又は5重量%以下、又は2重量%以下、又は1重量%以下であり得る。
【0069】
消費後のSAPが、依然として、例えば、尿又は他の液体で膨潤されている場合、SAPと混入物質との混合物の重量による、混入物質の量を計算するとき、SAPによって含まれるこの尿又は他の液体は、考慮されない。
【0070】
SAPが本発明の乾燥SAPとして提供される場合、消費後SAPの平均粒子径は、例えば、粉砕、研削、又は他の好適な手段によって、任意選択的に低減され得る。本発明に提供される乾燥SAP(PCR SAP、PIR SAP、又はバージン製SAP)のD50平均粒子径は、ISO法13322-2に従って測定される場合、100μm~1,000μmであり得る。乾燥SAPの粒子径分布(particle size distribution、PSD)は、40μm~5,000μm、又は50μm~2,000、又は50μm~1,000μm、又は50μm~800μmであり得る。
【0071】
SAPが、例えば、リサイクル後に乾燥されていないか、又は一部しか乾燥されていない消費後SAPのように、事前に膨潤した形状で提供される場合、SAPは、粉砕に供されて、SAPの表面積を増加させ得、それによって、水性担体の中に溶解した塩を含む水性担体のより速い吸収を可能にし得る。そのようなより速い吸収は、次に、SAPのより速い分解をもたらし得る。粉砕は、例えば、湿式研削によって行われ得る。
【0072】
粒子径が小さいほど、SAPへの溶解した塩の、速く、均質な吸収に役立ち得、SAPのより速く、より完全な分解をもたらす。
【0073】
水溶液中の可溶性ポリアクリル酸ポリマーを、混合物中の他の化合物及び成分から分離する任意の方法工程f):
SAPがPAAに分解されると、PAAは、(場合によっては残りの未分解の)SAP、塩、水性担体、及び任意の更なる成分(過酸化水素など)の混合物から分離され得る。混合物は、固体の不溶性成分として、混合物中に存在し得る一定量の未分解SAPを依然として含み得る。
【0074】
PAAは、多数のプロセスを介して混合物から抽出され得る。これらのプロセスの非限定的な例は、水蒸発、PAAの濾過、水抽出などである。また、塩は、当業者に既知である任意の脱塩技術を介して除去され得る。脱塩プロセスの非限定的な例は、膜プロセス(例えば、逆浸透、順浸透、電気透析の逆転(EDR)、ナノ濾過など)、凍結脱塩、太陽熱脱塩、地熱脱塩、イオン交換、波力脱塩などである。同じ技術はまた、一般に、混合物中の他の低分子量化合物、例えば、接着剤、インク、染料、界面活性剤、及びこれらの化合物の分解生成物など、消費後AHPの他の典型的な化合物を除去するためにも適用され得る。
【0075】
例えば、混合物から固体化合物及び成分を排除するために、すなわち、水溶液中の可溶性ポリアクリル酸ポリマーを、工程c)によって得られた混合物中の他の化合物及び成分から分離する方法工程d)のために、濾過が使用され得る。固体化合物及び成分は、合成繊維素材又はフィルム(繊維、シート/フィルム/繊維層)及びセルロースなどの、消費後AHPに残存する不溶性SAP及び他の成分であり得る。特に、合成繊維材料又はフィルムなどの、消費後AHPの他の成分によって含まれるポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン)は、水性担体に可溶性又は膨潤性ではない。それらは、塩と無視できる程度にしか反応し得ない、すなわち、ポリオレフィンは、本発明の方法では、分解されないか又は軽微にしか分解されない。同じことがPETにも当てはまり、これはまた、合成繊維材料又はフィルムによって含まれ得る。したがって、これらの材料は、混合物中の固体成分として残り、濾過され得る。
【0076】
PEG、例えば、界面活性剤に含まれる、消費後AHP中の別の典型的な構成要素は、本発明の方法によって分解される。しかしながら、PEGは、典型的には、比較的低分子量の分子に分解され、これは、PAAの分子量よりも有意に小さい。したがって、PEGの低分子量反応生成物は、例えば上記の技術によって、可溶性PAAポリマーから分離され得る。
【0077】
代替的又は追加的には、PAA、(場合によっては残りの部分の)SAP、塩、及び水性担体の、消費後AHPの化合物を含み得る混合物は、PAAが沈殿して混合物から分離するような、PAAが溶解しない共溶媒中で更に混合され得る。共溶媒中でのそのような混合の前に、混合物中の固体化合物は、濾過によって除去され得る。
【0078】
本方法によって得られたPAA
本発明の分解方法によって得られたPAAは、様々な分子量を有し得る。PAAは、オリゴマーを含み得るか、又は含み得ない。好ましくは、PAAは、オリゴマーを含ない、すなわち、PAAは、ポリマーのみに関する。PAAの平均分子量Mwは、最大10MDa、又は最大5MDaであり得る。PAAの平均分子量Mwは、少なくとも10kDa、又は少なくとも20kDaであり得る。PAAは、直鎖状又は分枝鎖状であり得る。しかしながら、PAAは、架橋されておらず、したがって、それらは水溶性である。
【0079】
本発明の方法によって得られるPAAは、接着剤、コーティング、水処理などの他の用途に使用され得るか、又は他の用途の材料に誘導体化され得る。本発明の一実施形態では、PAAは、そのまま又は誘導体化されて、接着剤中で使用される。本発明の更に別の実施形態では、PAAは、そのまま又は誘導体化されて、織物ケア用途で使用される。本発明のなお更に別の実施形態では、PAAは、そのまま又は誘導体化されて、水処理用途で使用される。
【実施例0080】
実験手順
SAPのいくつかの試料を、本発明の方法に供した。全ての実施例に使用されるSAPは、27.6g/gの容量(CRC)、0.4%の水分含有量を有するポリアクリル酸系SAPであり、D50平均粒子径は、ISO法13322-2に従って測定される場合、398μmであった(粒子径分布PSDは、63~710umであった)。SAPの圧力に対する吸収(AAP)は、EDANA法WSP442.2-02によって決定される場合、25.5g/gであった。EDANA WSP442.2-02からの偏差では、0.7psiの圧力が適用される(一方、EDANA法は、0.3psiのみの圧力を指定する)。
【0081】
以下に使用される脱イオン水は、MilliporeQである。電気伝導率を、CELL、#50010522を備えず、XS InstrumentsのCell VPT51-01 C=0.1を備えた、ラボ導電率計COND 70 INSTRUMENTを用いて、又はWTWのTetraCon(登録商標)325を備えた、LF320/Set、#300243を介して測定した。伝導率は、0℃で、<160μS/cmである。したがって、電気伝導率を測定するための同様の機器が使用され得る。実施例において使用される脱イオン水は、水性担体を表す。試料中の脱イオン水(=水性担体)の実際の量を、表1の列「m_w_合計」で示す。
【0082】
特に明記しない限り、実験手順は、23℃±2℃の温度及び45%±10%の相対湿度の標準条件で気候調整された室内で行われた。
【0083】
手順:
1. 過硫酸カリウム(potassium persulfate、KPS)の0.5重量%ストック溶液を、5.0gの乾燥塩(Sigma-Aldrich、>=99.0%純度、商品番号216224-500G)を、1Lのプラスチック製ボトル(HDPE、Nalgene(商標)製)内の995.0gの脱イオン水(すなわち、水性担体)中で撹拌することで完全に溶解することによって調製した。KPS塩の完全な溶解は、溶液中に目に見える塩の結晶が残らない場合に観察される。
【0084】
2. 過酸化水素(hydrogen peroxide、HPO)の1.0重量%のストック溶液(30.0g)を調製し、プラスチック製スナップオンキャップが付いた40mlのガラス製バイアルに、1.0gの30重量%のHPO(別名、ペルヒドロール、Sigma-Aldrich、商品番号216763-500ML)を、29.0gの脱イオン水に添加して新鮮な状態(24時間以内)で使用した。
【0085】
3. 全ての実施例の場合、2.00g±0.02gの重量「M0」の乾燥SAPの量を、天秤で測定して、40ml容積のガラス製バイアルに入れた。
【0086】
4. これとは別に、各実施例の質量「Ms0」で、上記ポイント2に記載されたように、水性担体の中に希釈された塩を含む水性担体のそれぞれの量を、100mlのガラス製ビーカー(パイレックス)に用意し、それらは、0.5重量%の酸化性塩のそれぞれのストック溶液(「m_塩_溶液」)(全ての溶液の密度は、1.0g/mlであった)、及び追加の脱イオン水(「m_水」)のそれぞれの量(ml)(すなわち、水性担体の更なる量)を含み、表1に示されるようなHPOを含むこれらの実施例の場合、1.0重量%の過酸化水素溶液(「m_HPO」)を、10mlのプラスチック製ピペットチップを備えたエッペンドルフ社製ピペットで測定し、その結果、塩の場合「w_塩」、HPOの場合「w_HPO」という有効最終重量濃度が、表1に示されるように得られる。
【0087】
5. ポイント4で調製されたような、水性担体の中に溶解した塩を含む水性担体の量「Ms0」を、全てのSAP粒子が、水性担体の中に溶解した塩を含む水性担体と接触するように、ガラス製バイアル内の乾燥SAPに添加した。各実施例についての量「Ms0」を表1に示す。必要に応じて手でわずかに振盪して、各試料中の全てのSAP粒子の濡れ及び均一な膨潤を改善した。典型的には、水性担体の中に溶解した塩を含む水性担体の完全な量が、SAPに吸収されるまで、10秒~60秒かかった。したがって、SAP中の溶解した塩を含む水性担体の量は、Ms0/M0であった。
【0088】
6. 次いで、ガラス製バイアル内の試料を、スナップオンプラスチック製キャップで閉じ、10分間放置した。
【0089】
7. 循環オーブン(Binder GmbH、ドイツ、Modell FED 720)を、表1の「温度T」の列に示される温度(すなわち「高温」)に予熱した。温度に達した時点で、バイアルの中に入れた試料を含むそれぞれのバイアルを、アルミトレイの上に配置し、クロノメーターを開始する。
【0090】
8. 表1の列「時間」に示される時間が経過した後、ガラス製バイアル内のそれぞれの試料を取り出し、10分間冷却させた。
【0091】
9. その後、試料を、ガラス製バイアルから遠心分離バイアル(スクリューキャップ付きプラスチック製の100ml遠心分離バイアル)に移した。遠心分離バイアルを、ラボ遠心分離機(BIOshield(商標)720ロータを備えたMultifuge X1m Thermo Scientific(商標))に入れて、5000rpmで30分間遠心分離した(この設定は、4528gの力に相当する)。遠心分離によって、分解中に形成された透明な溶液から、SAPの任意の残りの分解されていない、不溶性部分を沈殿させた。液体が形成されていないことが観察された場合、例えば比較例C1~C4では、遠心分離を実施しなかった。
【0092】
10. 全ての遠心分離された試料について、透明な溶液をデカントし、別個のガラス製バイアル(40ml)に入れ、したがって、SAPの任意の残りの分解されていない、不溶性部分から分離した。
【0093】
11. 透明な溶液「Ms」のネット重量を測定した。質量「m_a」を有する透明な溶液のアリコート部分を、5mlのプラスチック製シリンジを介して、事前計量された空の(スナップオンキャップのない)重量「m_sc」の10mlのガラス製バイアル中で測定する。次いで、透明な溶液を含む10mlのバイアルを、40℃、圧力10~50mbarの真空オーブン(Heraeus Vacutherm型、Thermo Scientific(商標))に3時間入れて、水の実質的な蒸発を確実にする。乾燥ポリマー残渣を秤量し、その質量「Mp」を使用して、以下の式を介する分解の収率「%Y」を計算する。
Y=100*(MpxMs)/(m_axM0)(重量%)
したがって、収率Yは、SAP分解液の生成物として抽出された可溶性ポリマーと、初期の乾燥SAPの量との比を表す。SAPがポリアクリル酸の架橋された網状組織であることを考えると、抽出された可溶性ポリマーは、実質的に可溶性ポリアクリル酸であった。
【0094】
12. 試料A8の試験条件は、試験手順の再現性を決定するために、試料A18**と同一であった。
【0095】
詳細及び結果を表1に示す。
【0096】
【表1】
*)過硫酸ナトリウムNa
2S
2O
8を用いたA15を除き、全ての実施例で過硫酸カリウムK
2S
2O
8を用いた。
**)A18は、再現性を確認するために、A8選択肢/条件を繰り返す。
【0097】
比較例C1~C4は、いかなる塩も用いることなく行われた。
【0098】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0099】
あらゆる相互参照又は関連特許若しくは関連出願を含む、本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0100】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
前記水性担体の中に溶解した前記酸化性水溶性塩を含む、前記水性担体の少なくとも50重量%が、方法工程d)及び/又はe)において、前記SAPに吸収される、請求項2に記載の方法。
前記SAPが、SAP1グラム当たり5g~25gの液体の総量を吸収し、前記液体の総量が、工程a)において提供される前記SAPに含まれる液体の量と、方法工程d)及びe)において吸収される水性担体の量との合計である、請求項3に記載の方法。
方法工程c)において提供される前記水性担体の量が、提供される全ての水性担体の吸収時に、工程a)において提供される前記SAPを、前記SAPのCRCの少なくとも20%まで膨潤させることを可能にし、前記CRCは、EDANA法NWSP241.0.R2に従って測定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。