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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016234
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/04 20210101AFI20230126BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230126BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230126BHJP
【FI】
G03B11/04 B
G03B17/02
H04N5/225 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120419
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】潮 亮佐
(72)【発明者】
【氏名】澤登 孝司
(72)【発明者】
【氏名】渡部 伸昭
【テーマコード(参考)】
2H083
2H100
5C122
【Fターム(参考)】
2H083CC02
2H083CC22
2H083CC45
2H100AA61
5C122EA07
5C122EA54
5C122GE11
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】ユーザに画像を撮られていないといった安心感を与えることができ、かつ限られたスペースであっても搭載可能な小型の開閉装置を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】カメラモジュール20が羽根部材33によって覆われるため、ユーザに画像を撮られていないといった安心感を与えることが可能となる。また、ベース部材31がモジュール基板19の第1面19aに装着され、カバー部材50の長手方向一側がベース部材31に装着されるとともに、カバー部材50の長手方向他側がモジュール基板19の第1面19aに支持されている。これにより、ベース部材31をカバー部材50の長手方向他側にまで長く延ばす必要がなくなり、ベース部材31を短縮化(小型化)して羽根開閉装置30をより小型化することが可能となる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のフレーム部材と、
前記フレーム部材に収容され、当該フレーム部材に設けられた開口部と対向する検知装置および発光装置の少なくともいずれか一方と、
前記フレーム部材に収容され、前記開口部を開閉する開閉装置と、
を備えた電子機器であって、
前記開閉装置は、
前記開口部を開閉する羽根部材と、
前記羽根部材を往復移動させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを保持し、かつ前記フレーム部材に設けられた装着面に装着されるベース部材と、
前記羽根部材を覆うように設けられ、長手方向一側が前記ベース部材に装着され、長手方向他側が前記装着面に支持されるカバー部材と、
を有することを特徴とする、
電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記カバー部材は、
前記羽根部材を覆う本体部と、
前記本体部から前記装着面に向けて延び、かつ前記装着面に支持される脚部と、
を備えていることを特徴とする、
電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記脚部には、前記本体部の長手方向に折り曲げられた補強部が設けられていることを特徴とする、
電子機器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記カバー部材とともに前記羽根部材を収容する羽根室を形成する仕切り板が設けられ、前記仕切り板の長手方向一側が前記ベース部材に固定され、前記仕切り板の長手方向他側が前記カバー部材に固定されていることを特徴とする、
電子機器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記フレーム部材に一対の前記開口部が設けられ、これらの前記開口部に一対の前記検知装置がそれぞれ対向していることを特徴とする、
電子機器。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記フレーム部材に一対の前記開口部が設けられ、一方の前記開口部に前記検知装置が対向し、他方の前記開口部に前記発光装置が対向していることを特徴とする、
電子機器。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記フレーム部材に一対の前記開口部が設けられ、これらの前記開口部に一対の前記発光装置がそれぞれ対向していることを特徴とする、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置や発光装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコンやスマートフォン等の電子機器にはカメラユニットが搭載されている。カメラユニットを搭載する電子機器においては、カメラユニットのレンズと対向するフレーム部材の開口部が常に開放され、常に撮影可能となっているものが多い。この場合、ユーザがウィルス対策等の管理を確りとしていないと、悪意を持った第三者に乗っ取られてカメラユニットが操作されることが起こり得る。これにより、個人情報等がカメラユニットを介してネットワーク上に流出してしまうといった問題が生じる。
【0003】
このような問題の対策の1つとして、例えば、特許文献1には、カメラユニットを搭載した電子機器に利用可能な開閉装置(シャッタ装置)が記載されている。特許文献1の開閉装置は、カメラユニットを形成するレンズを物理的にシャッタで遮蔽する構造となっており、これにより、電子機器を利用する正当なユーザは、開閉装置によりレンズが遮蔽されているのか否かを目視することができ、ひいてはカメラユニットの非作動状態を確認して安心感を得ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0249415号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電子機器には、カメラユニット以外に、受光センサや発光装置なども搭載されていることがあるが、ユーザは、カメラユニット以外のセンサ等が自身を撮影しない装置であることを外観のみで識別することは困難である。すなわち、ユーザは、カメラユニット以外のセンサ等をカメラユニットと勘違いすることが考えられる。この場合、カメラユニットを開閉装置で遮蔽したとしても、ユーザは意図せずに撮影されているのではないかという不安を感じる可能性がある。
【0006】
また、電子機器の小型化が進むに連れて、開閉装置を含むカメラユニットを搭載できるスペースも小さくなっており、特許文献1に記載の開閉装置では、電子機器の小型化への対応に限界が生じていた。具体的には、特許文献1に記載の開閉装置においては、その長手方向の全域に亘ってベースが設けられ、当該ベースにキャップが装着されている。特に、ベースは、略直方体形状に形成されており、その容積が大きく、開閉装置の大部分を占めていた。これが開閉装置全体の小型化に対する阻害要因となっていた。
【0007】
本発明の第一の目的は、ユーザに画像を撮られていないといった安心感を与えることが可能な電子機器を提供することである。
【0008】
本発明の第二の目的は、限られたスペースであっても搭載可能な小型の開閉装置を備えた電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様では、中空のフレーム部材と、前記フレーム部材に収容され、当該フレーム部材に設けられた開口部と対向する検知装置および発光装置の少なくともいずれか一方と、前記フレーム部材に収容され、前記開口部を開閉する開閉装置と、を備えた電子機器であって、前記開閉装置は、前記開口部を開閉する羽根部材と、前記羽根部材を往復移動させるアクチュエータと、前記アクチュエータを保持し、かつ前記フレーム部材に設けられた装着面に装着されるベース部材と、前記羽根部材を覆うように設けられ、長手方向一側が前記ベース部材に装着され、長手方向他側が前記装着面に支持されるカバー部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、検知装置、発光装置が羽根部材によって覆われるため、ユーザに画像を撮られていないといった安心感を与えることが可能となる。
【0011】
また、ベース部材がフレーム部材の装着面に装着され、カバー部材の長手方向一側がベース部材に装着されるとともに、カバー部材の長手方向他側がフレーム部材の装着面に支持されている。これにより、ベース部材をカバー部材の長手方向他側にまで長く延ばす必要がなくなり、ベース部材を短縮化(小型化)して開閉装置をより小型化することが可能となる。よって、電子機器を形成するフレーム部材をより細くする等して、電子機器の機能性およびデザイン性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】カメラユニットを搭載したノートパソコンの概要図である。
図2図1のカメラユニットを示す斜視図である。
図3図2のA-A線に沿う断面図である。
図4図1のカメラユニットの分解斜視図である。
図5A】アクチュエータユニットの斜視図(表側)である。
図5B】アクチュエータユニットの斜視図(裏側)である。
図6A】アクチュエータユニットの動作説明図(CLOSE)である。
図6B】アクチュエータユニットの動作説明図(OPEN)である。
図7A】羽根部材の動作説明図(OPEN)である。
図7B】羽根部材の動作説明図(CLOSE)である。
図8】実施の形態2のカメラユニットを示す斜視図である。
図9図8のカメラユニットの分解斜視図である。
図10】実施の形態3のカメラユニットを示す分解斜視図である。
図11A】フォトリフレクタの動作説明図(OPEN)である。
図11B】フォトリフレクタの動作説明図(CLOSE)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1はカメラユニットを搭載したノートパソコンの概要図を、図2図1のカメラユニットを示す斜視図を、図3図2のA-A線に沿う断面図を、図4図1のカメラユニットの分解斜視図を、図5Aはアクチュエータユニットの斜視図(表側)を、図5Bはアクチュエータユニットの斜視図(裏側)を、図6Aはアクチュエータユニットの動作説明図(CLOSE)を、図6Bはアクチュエータユニットの動作説明図(OPEN)を、図7Aは羽根部材の動作説明図(OPEN)を、図7Bは羽根部材の動作説明図(CLOSE)をそれぞれ示している。
【0015】
図1に示されるように、ノートパソコン(電子機器)10は、ユーザによって操作される複数のキー11やタッチパッド12を備えたキーボード部13と、複数のキー11やタッチパッド12の操作情報やインターネット上の画像あるいは映像等を表示するディスプレイ部14と、を備えている。そして、これらのキーボード部13およびディスプレイ部14は、それぞれ略平板状に形成されており、図示しない蝶番(ヒンジ)を介して互いに折り曲げるようにして開閉可能となっている。
【0016】
ディスプレイ部14には、液晶カラーモニター等からなるディスプレイ15と、当該ディスプレイ15の周囲に設けられる中空のフレーム部材16と、を備えている。フレーム部材16は、ディスプレイ15の周縁を支持して当該ディスプレイ15を保護する。また、フレーム部材16の内部には、ディスプレイ15に駆動電流を供給するフレキシブル基板(図示せず)や、例えば、オンライン会議等で使用可能なカメラユニット17が収容されている。そして、フレーム部材16のカメラユニット17との対向部分には、小窓(開口部)18が設けられている。小窓18はフレーム部材16の内外を連通させており、小窓18にはカメラユニット17のレンズ部21b(図2および図3参照)が対向している。これによりユーザは、小窓18を介してレンズ部21bを目視可能となっている。
【0017】
図2ないし図4に示されるように、フレーム部材16に収容されるカメラユニット17は、フレーム部材16の内部に固定されるモジュール基板19と、当該モジュール基板19に装着(実装)されたカメラモジュール(検知装置)20と、フレーム部材16の小窓18(図1参照)を開閉する羽根開閉装置(開閉装置)30と、を備えている。羽根開閉装置30は、カメラモジュール20が実装されたモジュール基板19に固定された状態で、カメラユニット17としてノートパソコン10のフレーム部材16に収容される。これにより、カメラ機能を有するノートパソコン10が実現される。
【0018】
モジュール基板19は、PCB(printed circuit board)であって、黄銅等の薄膜からなる導体配線がそれぞれプリントされた第1面(表面)19aおよび第2面(裏面)19bを備えている。そして、モジュール基板19の第1面19aに、カメラモジュール20および羽根開閉装置30が固定されている。具体的には、これらのカメラモジュール20および羽根開閉装置30は、第1面19aに接着剤等により精度良くかつ強固に固定されている。一方、モジュール基板19の第2面19bは、フレーム部材16に接着剤等により精度良くかつ強固に固定されている。このように、モジュール基板19はフレーム部材16に一体となるように固定されており、モジュール基板19の第1面19aは、本発明における装着面に相当する。
【0019】
カメラモジュール20は、レンズユニット21を備えており、レンズユニット21は、モジュール基板19の第1面19aに固定される基部21aと、略円柱形状に形成されたレンズ部21bとを有している。また、基部21aの内部には撮像素子(図示せず)が収容され、レンズ部21bの内部には凸レンズ(図示せず)が収容されている。ここで、当該ノートパソコン10を含む昨今の電子機器の高機能化に伴い、高解像度の撮像素子が採用されている。撮像素子は、高解像度のもの程大型となるため、カメラモジュール20も大型化が避けられない。よって、カメラユニット17を小型化することは、昨今の電子機器の開発において重要な条件となっている。
【0020】
また、モジュール基板19の長手方向における基部21aの両隣には、レンズユニット21をモジュール基板19に固定するための固定部材22が配置される。固定部材22は、例えば、樹脂製の接着剤などである。
【0021】
図2ないし図4に示されるように、羽根開閉装置30は、モジュール基板19の第1面19aに装着(固定)されるベース部材31と、ベース部材31に保持されるアクチュエータユニット(アクチュエータ)40と、ベース部材31に載置される仕切り板32と、ベース部材31およびカメラモジュール20を覆うカバー部材50と、カバー部材50と仕切り板32との間に移動自在に設けられ、フレーム部材16の小窓18を開閉する羽根部材33と、を備えている。
【0022】
ベース部材31は、モジュール基板19の長手方向に延び、モジュール基板19の長手方向にカメラモジュール20と並んで配置されている。ベース部材31は、プラスチック等の樹脂材料により複数の凹凸を備えた略直方体形状に形成されている。そして、ベース部材31の長手方向におけるカメラモジュール20側とは反対側(長手方向一側)には、アクチュエータユニット40を収容するアクチュエータ収容凹部31aが設けられている。
【0023】
また、ベース部材31の長手方向におけるカメラモジュール20側(長手方向他側)には、仕切り板32が載置され、かつ当該仕切り板32の長手方向中央部を支持する仕切り板支持部31bが設けられている。さらに、ベース部材31の長手方向において、アクチュエータ収容凹部31aと仕切り板支持部31bとの間には、アクチュエータユニット40の駆動レバー47が揺動自在に収容されるレバー収容凹部31cが設けられている。
【0024】
ここで、アクチュエータ収容凹部31a、仕切り板支持部31bおよびレバー収容凹部31cのモジュール基板19の板厚方向におけるそれぞれの深さ寸法は、仕切り板支持部31b、レバー収容凹部31cおよびアクチュエータ収容凹部31aの順番で、階段状に徐々に深くなっている。
【0025】
図3および図4に示されるように、ベース部材31の周囲には、ベース部材31の外側に突出するようにして、合計3つの引っ掛け爪31d(図示では2つのみ示す)が一体に設けられている。これらの引っ掛け爪31dは、断面が略三角形形状となっており、それぞれの引っ掛け爪31dには、カバー部材50に設けられた係合部51cが引っ掛けられるようになっている。すなわち、引っ掛け爪31dおよび係合部51cによってスナップフィットが形成される。そして、カバー部材50およびベース部材31は、互いに合計3つの係合部分を備えており、カバー部材50はベース部材31に対して、がたつくことなく強固に固定される。
【0026】
アクチュエータ収容凹部31aには、アクチュエータユニット40に設けられた挿通孔42a(図5Aおよび図5B参照)に挿通され、かつアクチュエータユニット40のアクチュエータ収容凹部31aに対する位置決めを行う位置決め凸部31eが一体に設けられている。これにより、アクチュエータユニット40は、アクチュエータ収容凹部31aの内部にがたつくことなく固定される。よって、アクチュエータユニット40の駆動力を、効率良く羽根部材33に伝達することが可能となっている。
【0027】
また、仕切り板支持部31bには、モジュール基板19の板厚方向に突出するようにして、一対のガイド突起31fが一体に設けられている。これらのガイド突起31fは、モジュール基板19の長手方向と交差する幅方向(短手方向)に互いに対向しており、一対のガイド突起31fの間には、それぞれのガイド突起31fにガイドされた状態で、羽根部材33が摺動自在に設けられている。これにより、羽根部材33は、モジュール基板19の短手方向に振れることなく長手方向に真っ直ぐに移動可能となっている。よって、アクチュエータユニット40に掛かる負荷が軽減され、アクチュエータユニット40のトルク不足による動作不良等が抑制される。
【0028】
さらに、レバー収容凹部31cには、アクチュエータユニット40の駆動レバー47を揺動自在に支持する支持ピン31gが一体に設けられている。これにより、駆動レバー47は、レバー収容凹部31cの内部において、支持ピン31gを中心に揺動自在となっている。
【0029】
アクチュエータユニット40は、羽根部材33をモジュール基板19の長手方向に往復移動させる駆動源であって、図5Aおよび図5Bに示されるように、略U字形状に形成された金属製(磁性体)のヨーク41を備えている。ヨーク41は、第1腕部41aおよび第2腕部41bを有しており、第1腕部41aが、プラスチック等の樹脂材料(非磁性体)からなるコイルボビン42に固定されている。そして、第1腕部41aには、コイルボビン42を介してコイル(銅線)43が所定の巻き数で巻回されている。ここで、コイルボビン42には、黄銅等の導電体からなる第1接続端子T1および第2接続端子T2が設けられている。これらの第1,第2接続端子T1,T2の一端側は、コイル43の両端にそれぞれ電気的に接続され、第1,第2接続端子T1,T2の他端側は、フレキシブル基板44(図4図7Aおよび図7B参照)を介してモジュール基板19に電気的に接続されている。
【0030】
これにより、コイル43に流れる駆動電流の向きを正方向または逆方向に切り替えることで、磁性体である第1腕部41aが「N極」または「S極」に磁化される。一方、磁性体である第2腕部41bは、第1腕部41aが「N極」に磁化されると「S極」となり、第1腕部41aが「S極」に磁化されると「N極」となる(図6Aおよび図6B参照)。これにより、アクチュエータユニット40を形成するマグネットレバー45が、第1,第2腕部41a,41bの極性の切り替わりに応じて揺動される。
【0031】
ここで、コイルボビン42には、アクチュエータユニット40を、ベース部材31のアクチュエータ収容凹部31a(図3および図4参照)に位置決めするための挿通孔42aが設けられている。すなわち、当該挿通孔42aには、ベース部材31の位置決め凸部31e(図4参照)が差し込まれるようになっている。
【0032】
アクチュエータユニット40を形成するマグネットレバー45は、ベース部材31を形成するアクチュエータ収容凹部31aに一体に設けられた揺動軸31h(図3参照)に揺動自在に支持されている。そして、アクチュエータユニット40をアクチュエータ収容凹部31aに組み付けた状態において、マグネットレバー45は、第1腕部41aと第2腕部41bとの間に配置される。
【0033】
マグネットレバー45は、プラスチック等の樹脂材料からなり、図6Aおよび図6Bに示されるように、環状に形成されたレバー本体45aと、先端側がフォーク(fork)状に形成された駆動爪45bと、を備えている。そして、駆動爪45bの先割れの部分には、駆動レバー47の入力側凸部47b(図5B参照)が入り込むようになっている。一方、レバー本体45aには、当該レバー本体45aと同軸となるように、環状のロータマグネット46が固定されている。つまり、ロータマグネット46は、第1腕部41aと第2腕部41bとの間において、揺動自在に配置されている。ここで、ロータマグネット46は、所謂プラスチックマグネットであって、高精度で成形可能な上に脆さがなく、「欠け」等の心配がない。
【0034】
図5B図6Aおよび図6Bに示されるように、ロータマグネット46には、その径方向外側に突出するようにしてマグネット突起46aが一体に設けられている。そして、ロータマグネット46は、その周方向において180度間隔で「N極」および「S極」に着磁されている。ここで、マグネット突起46aは「N極」となっており、かつ駆動爪45bに向けて突出されている。これにより、マグネット突起46aは、第1,第2腕部41a,41bの極性の切り替わりに応じて、第1,第2腕部41a,41bのそれぞれに吸引されたり反発されたりする。
【0035】
なお、第1,第2腕部41a,41bは、コイル43に流れる駆動電流の向きを正方向または逆方向に切り替えることで「N極」または「S極」に磁化されて、吸引力および反発力を発生する一方で、コイル43を無通電の状態にすると第1,第2腕部41a,41bは単なる金属(磁性体)の状態となる。したがって、例えば、コイル43に駆動電流を流して第1腕部41aにマグネット突起46aを吸引させた後に、コイル43への駆動電流の供給を止める(無通電の状態にする)と、その状態が保持される(無通電保持)。これは、マグネット突起46aの磁力により、無極となった磁性体の第1腕部41aが吸引されるからである。よって、コイル43に一時的に駆動電流を流すだけで良いので、消費電力を抑えることが可能となる。
【0036】
図5Aおよび図5Bに示されるように、アクチュエータユニット40は、プラスチック等の樹脂材料からなり、略L字形状に形成された駆動レバー47を備えている。駆動レバー47は、マグネットレバー45と駆動対象である羽根部材33との間に設けられ、マグネットレバー45の揺動運動を羽根部材33の直動運動に変換する機能を有する。駆動レバー47は、略L字形状に形成されたレバー本体47aを備え、レバー本体47aの長手方向一側には、駆動爪45bの先割れの部分に入り込む入力側凸部47bが設けられている。また、レバー本体47aの長手方向他側には、羽根部材33の傾斜孔33c(図4参照)に入り込む出力側凸部47cが設けられている。
【0037】
また、レバー本体47aの長手方向における入力側凸部47bと出力側凸部47cとの間には、ベース部材31の支持ピン31g(図4参照)に揺動自在に支持される孔47dが設けられている。これにより、揺動軸31h(図3参照)を中心にマグネットレバー45が揺動すると、支持ピン31gを中心に駆動レバー47が揺動される。
【0038】
図4に示されるように、仕切り板32は、金属からなる薄い板をプレス加工等することで長尺の板状に形成されており、羽根開閉装置30の長手方向全域に亘って延びている。仕切り板32の長手方向一側(図中左側)は、ベース部材31に固定(装着)されており、仕切り板32の長手方向他側(図中右側)は、カバー部材50に固定(装着)されている。仕切り板32の長手方向他側には、第1開口32aが設けられ、当該第1開口32aは、仕切り板32をその板厚方向に貫通している。第1開口32aの中心部分は、レンズユニット21の光軸P1上に配置され、かつノートパソコン10のフレーム部材16に設けられた小窓18(図1参照)と対向している。
【0039】
これにより、レンズユニット21は小窓18と対向され、当該小窓18を介してレンズユニット21に光が入射するようになっている。言い換えれば、仕切り板32の第1開口32aは、レンズユニット21に入射する光の量を決める口径としての機能を有する。このため、仕切り板32は、口径板と呼ばれることもある。ここで、仕切り板32を省略することもできるが、その場合には、カバー部材50の第2開口51hが口径として機能することになる。
【0040】
また、仕切り板32の長手方向一側には、仕切り板32の板厚方向に貫通した一対の第1孔部32bが設けられている。これらの第1孔部32bのうちの一方には、位置決め凸部31eが挿通される。また、他方の第1孔部32bには、アクチュエータユニット40のコイルボビン42に設けられた凸部42bが挿通される。これにより、仕切り板32の長手方向一側は、ベース部材31およびコイルボビン42の双方に、がたつくことなく精度良く固定される。したがって、アクチュエータユニット40により駆動される羽根部材33を、仕切り板32に対してスムーズに移動させることが可能となっている。
【0041】
ここで、仕切り板32の長手方向において、他方の第1孔部32bと第1開口32aとの間には、略円弧形状にくり抜かれた第1円弧孔32cが設けられている。当該第1円弧孔32cにおいても、仕切り板32の板厚方向に貫通して設けられ、第1円弧孔32cの内側には、駆動レバー47の出力側凸部47c(図5A参照)が、移動自在に設けられている。そして、出力側凸部47cの先端側(図4中上側)は、仕切り板32を越えて当該仕切り板32とカバー部材50との間に配置された羽根部材33にまで到達している。なお、出力側凸部47cは、仕切り板32に対して非接触の状態となっている。これにより、アクチュエータユニット40に掛かる負荷を軽減している。
【0042】
さらに、仕切り板32の第1開口32aよりも長手方向他側(図4の右側)には、カバー部材50の支持孔51fに支持される支持突起32dが一体に設けられている。この支持突起32dは、仕切り板32の幅寸法よりも幅狭となるように、仕切り板32の長手方向他側に突出されている。これにより、カバー部材50に設けられた幅狭の支持孔51fに対して、仕切り板32の長手方向から支持突起32dを差し込むことができる。なお、カバー部材50の支持孔51fは、支持突起32dの裏面32e(仕切り板32の裏面32e)を支持している。これに対し、仕切り板32の表面32fは、カバー部材50に設けられた仕切り板押さえ凸部51gによって支持されている。
【0043】
これにより、仕切り板32とカバー部材50との間に、羽根部材33を移動自在に収容する羽根室RM(図3参照)が形成される。すなわち、仕切り板32は、カバー部材50とともに羽根室RMを形成している。よって、羽根部材33は、羽根室RMの内部においてスムーズに移動可能となっている。これによっても、アクチュエータユニット40に掛かる負荷が軽減されている。
【0044】
図4に示されるように、羽根部材33は、プラスチック等の樹脂材料からなる薄い板であって、その長手方向における長さ寸法は、仕切り板32の長さ寸法の略半分となっている。このように、仕切り板32を金属製とし、羽根部材33を樹脂製とすることで、仕切り板32に対する羽根部材33の移動をスムーズにしている。これにより、アクチュエータユニット40に掛かる負荷が軽減され、アクチュエータユニット40の焼損等が抑えられる。
【0045】
羽根部材33の長手方向一側(図中左側)には、羽根部材33の長手方向(羽根部材33の移動方向)に真っ直ぐに延びる長孔33aが設けられ、当該長孔33aは、羽根部材33の板厚方向に貫通されている。そして、羽根開閉装置30を組み立てた状態において、長孔33aには、コイルボビン42の凸部42bが移動自在に入り込んでいる。そして、長孔33aは、羽根部材33の往復移動(開閉動作)を案内するとともに、羽根部材33の移動量を規制する機能を有している。
【0046】
このように、羽根部材33の長手方向一側が凸部42bにより案内され、羽根部材33の長手方向他側が一対のガイド突起31fにより案内されている。したがって、羽根部材33は、羽根開閉装置30の長手方向に真っ直ぐに精度良く移動可能となっている。
【0047】
また、羽根部材33の長手方向他側(図中右側)には、仕切り板32の第1開口32aを遮蔽可能なシャッタ部33bが設けられている。当該シャッタ部33bは、羽根部材33の移動に伴って、第1開口32aの全域を遮蔽可能となっている(図7B参照)。これにより、レンズユニット21への光の入射が遮られる。
【0048】
さらに、図4に示されるように、羽根部材33の長手方向において、長孔33aとシャッタ部33bとの間には、羽根部材33の長手方向および短手方向の双方に対して傾斜された傾斜孔33cが設けられている。当該傾斜孔33cにおいても、羽根部材33の板厚方向に貫通されている。そして、傾斜孔33cの内側には、駆動レバー47の出力側凸部47c(図5A参照)が、摺動自在に入り込んでいる。これにより、駆動レバー47の揺動に伴い、出力側凸部47cが傾斜孔33cの内側を摺動しながら往復移動して、その結果、羽根部材33が羽根開閉装置30の長手方向に往復移動される。
【0049】
ここで、羽根部材33と駆動レバー47との間には仕切り板32が配置されているので、駆動レバー47と羽根部材33とが接触することはない。よって、駆動レバー47の揺動運動が羽根部材33の直動運動に対して悪影響を与えることはない。また、羽根部材33とレンズユニット21との間にも仕切り板32が配置されているので、羽根部材33がレンズユニット21に接触することもない。よって、レンズユニット21に傷が付くこと等が効果的に抑えられる。
【0050】
図4に示されるように、カバー部材50は、金属板をプレス加工等することで所定形状に形成されており、仕切り板32と同様に羽根開閉装置30の長手方向全域に亘って延びている。カバー部材50の長手方向一側(図中左側)は、ベース部材31に装着(固定)されており、カバー部材50の長手方向他側(図中右側)は、モジュール基板19の第1面19aに支持されている。カバー部材50は、板状に形成された長尺のカバー本体(本体部)51を備えており、当該カバー本体51は羽根部材33を覆っている。より具体的には、カバー本体51は、羽根開閉装置30の長手方向におけるアクチュエータユニット40側を覆う第1カバー部51aと、羽根開閉装置30の長手方向におけるカメラモジュール20側を覆う第2カバー部51bと、を有している。
【0051】
第1カバー部51aには、合計3つの係合部51cが一体に設けられている。これらの係合部51cは、第1カバー部51a(カバー本体51)からベース部材31に向けて延びており、ベース部材31に設けられた3つの引っ掛け爪31dにそれぞれ引っ掛けられる。これにより、カバー部材50は、ベース部材31に対して強固に固定される。
【0052】
これに対し、第2カバー部51bの長手方向他側には、カバー本体51の長手方向他側からモジュール基板19の第1面19aに向けて延びた脚部51dが一体に設けられている。脚部51dの先端側は、モジュール基板19の第1面19aに接触して支持されている。また、脚部51dには、カバー本体51の長手方向に折り曲げられた一対の補強部51e(図7Aおよび図7B参照)が一体に設けられ、これらの補強部51eの先端側においても、モジュール基板19の第1面19aに接触されている。そして、一対の補強部51eを含む脚部51dは、光軸P1と交差する方向の断面が略U字形状に形成されている。これにより、脚部51dの剛性が高められ、脚部51dが外側(カメラモジュール20側とは反対側)に倒れることが防止される。すなわち、第2カバー部51bの光軸P1の方向における剛性が十分に確保される。
【0053】
さらに、脚部51dの基端側には、略四角形形状にくり抜かれた支持孔51fが設けられている。支持孔51fは、カバー部材50の板厚方向に貫通しており、当該支持孔51fの内側には、仕切り板32の支持突起32dが入り込むようになっている。具体的には、支持孔51fには、支持突起32dが、カバー部材50の長手方向一側から入り込むようになっている(図7Aおよび図7B参照)。これにより、仕切り板32の裏面32e(図3参照)が支持孔51fに支持されて、仕切り板32のカメラモジュール20(レンズユニット21)側への移動や撓みが抑制されている。
【0054】
また、第2カバー部51bの長手方向他側で、かつ脚部51dの近傍には、仕切り板押さえ凸部51gが一体に設けられている。当該仕切り板押さえ凸部51gは、仕切り板32の表面32fに向けて所定高さで突出されており、支持突起32dを支持孔51fに差し込んだ状態で、仕切り板押さえ凸部51gは仕切り板32の表面32fに押し付けられる。これにより、仕切り板32の長手方向他側が、カバー部材50の長手方向他側にがたつくことなく固定され、かつ仕切り板32とカバー部材50との間に精度良く羽根室RM(図3参照)が形成される。なお、羽根室RMの光軸P1の方向における厚み寸法は、仕切り板押さえ凸部51gの突出高さによって決定される。
【0055】
ここで、支持孔51fの内側に差し込まれた支持突起32dは、カバー部材50に対して接着剤(図示せず)により抜けないように強固に固定される。このとき、支持孔51fに対して所定量の接着剤を流し込むが、支持孔51fに流し込まれた接着剤は、仮にその量が多かったとしても、仕切り板押さえ凸部51gによって堰き止められる。そのため、接着剤が羽根室RMの内部に流れ込むことがない。したがって、不良品の発生等が効果的に抑えられる。
【0056】
さらに、図4に示されるように、第2カバー部51b(カバー本体51の長手方向他側)には、第2開口51hが設けられ、当該第2開口51hは、第2カバー部51bをその板厚方向に貫通している。第2開口51hの中心部分は、レンズユニット21の光軸P1上に配置され、かつノートパソコン10のフレーム部材16に設けられた小窓18(図1参照)と対向している。
【0057】
ここで、カバー部材50の第2開口51hは、仕切り板32の第1開口32aと同じ開口形状および開口面積となっており、これらは互いに光軸P1の方向において重ねられている。そして、第1開口32aと第2開口51hとの間において、羽根部材33のシャッタ部33bが移動自在となっている。
【0058】
また、第1カバー部51a(カバー部材50の長手方向一側)には、カバー本体51の板厚方向に貫通した一対の第2孔部51kが設けられている。これらの第2孔部51kのうちの一方には、ベース部材31の位置決め凸部31eが挿通される。また、他方の第2孔部51kには、コイルボビン42の凸部42bが挿通される。これにより、カバー部材50の長手方向一側は、ベース部材31およびコイルボビン42の双方を、がたつくことなく精度良く支持する。よって、アクチュエータユニット40により駆動される羽根部材33を、羽根室RMの内部においてスムーズに移動させることが可能となっている。
【0059】
さらに、第1カバー部51aの第2カバー部51b寄りの部分で、かつ他方の第2孔部51kと第2開口51hとの間には、略円弧形状にくり抜かれた第2円弧孔51mが設けられている。当該第2円弧孔51mにおいても、カバー本体51の板厚方向に貫通して設けられ、第2円弧孔51mの内側には、駆動レバー47の出力側凸部47c(図5A参照)が、移動自在に設けられている。第2円弧孔51mは、仕切り板32の第1円弧孔32cと同じ形状となっており、これにより出力側凸部47cは、カバー部材50に対しても非接触の状態となっている。よって、アクチュエータユニット40に掛かる負荷が軽減される。
【0060】
ここで、カバー部材50をベース部材31に対して、引っ掛け爪31dおよび係合部51cによって固定したが、このような固定構造に限らず、例えば、固定ねじ等を用いてカバー部材50をベース部材31に固定することもできる。
【0061】
このように、カバー部材50の長手方向他側に脚部51dを設け、当該脚部51dをモジュール基板19の第1面19aに支持させたことで、カバー部材50の長手方向他側をベース部材31に支持させずに済む。すなわち、カバー部材50の長手方向全域に亘ってベース部材31を設ける必要がなくなり、ベース部材31の短縮化が図れるようになる。また、ベース部材31の短縮化を図れる分、カメラユニット17を大型化させることなく、高解像度の撮像素子(大型)を備えたカメラモジュール20(図3参照)を採用することも可能となる。
【0062】
次に、以上のように形成したカメラユニット17を形成する羽根開閉装置30の動作について図6A図6B図7Aおよび図7Bを用いて詳細に説明する。
【0063】
[開(OPEN)→閉(CLOSE)]
図7Aに示されるように、羽根開閉装置30が「OPEN」の状態で、かつコイル43への通電が「OFF」の場合には、アクチュエータユニット40は、図6Aに示される状態となっている。具体的には、マグネット突起46aがその磁力によりヨーク41の第1腕部41aを吸引した状態、つまりマグネット突起46aが第1腕部41a寄りの部分に配置された状態となっている。よって、羽根部材33が図7Aに示されるように「OPEN」の状態で保持される。
【0064】
そして、コイル43に駆動電流を供給して、コイル43に流れる駆動電流の向きを「正方向」とすると、図6Aに示されるように、第1腕部41aが「N極」となり、第2腕部41bが「S極」となる。これにより、「N極」に着磁されたマグネット突起46aが、第1腕部41aに反発され、かつ第2腕部41bに吸引される。よって、図中矢印R1に示されるように、マグネットレバー45が時計回り方向に揺動して、これに伴い駆動レバー47が図中矢印R2のように反時計回り方向に揺動される。
【0065】
これにより、駆動レバー47の出力側凸部47cが、図6Aの破線の位置に移動する(図6Bの状態となる)。よって、図7Aに示されるように、傾斜孔33cの長手方向におけるシャッタ部33b側に配置されていた出力側凸部47cが、図7Bに示されるように、傾斜孔33cの長手方向における長孔33a側に移動する。したがって、羽根部材33がカバー部材50の長手方向他側(脚部51d側)に移動して、図7Bに示されるように、シャッタ部33bが仕切り板32の第1開口32aを閉塞し、かつレンズ部21bを覆い隠す。
【0066】
これにより、カバー部材50の第2開口51hを通る光は、羽根部材33のシャッタ部33bに遮られてレンズ部21bに届くことがない。よって、当該状態においてカメラモジュール20がユーザの意図に反して動作したとしても、画像や映像を取得することができず、ひいてはユーザが意図しない画像や映像が取得されてネット上に流出すること等が確実に防止される。
【0067】
[閉(CLOSE)→開(OPEN)]
図7Bに示されるように、羽根開閉装置30が「CLOSE」の状態で、かつコイル43への通電が「OFF」の場合には、アクチュエータユニット40は、図6Bに示される状態となっている。具体的には、マグネット突起46aがその磁力によりヨーク41の第2腕部41bを吸引した状態、つまりマグネット突起46aが第2腕部41b寄りの部分に配置された状態となっている。よって、羽根部材33が図7Bに示されるように「CLOSE」の状態で保持される。
【0068】
そして、コイル43に駆動電流を供給して、コイル43に流れる駆動電流の向きを「逆方向」とすると、図6Bに示されるように、第2腕部41bが「N極」となり、第1腕部41aが「S極」となる。これにより、「N極」に着磁されたマグネット突起46aが、第2腕部41bに反発され、かつ第1腕部41aに吸引される。よって、図中矢印R3に示されるように、マグネットレバー45が反時計回り方向に揺動して、これに伴い駆動レバー47が図中矢印R4のように時計回り方向に揺動される。
【0069】
これにより、駆動レバー47の出力側凸部47cが、図6Bの破線の位置に移動する(図6Aの状態となる)。よって、図7Bに示されるように、傾斜孔33cの長手方向における長孔33a側に配置されていた出力側凸部47cが、図7Aに示されるように、傾斜孔33cの長手方向におけるシャッタ部33b側に移動する。したがって、羽根部材33がカバー部材50の長手方向一側(フレキシブル基板44側)に移動して、図7Aに示されるように、シャッタ部33bが仕切り板32の第1開口32aを開放し、かつレンズ部21bを開放する。
【0070】
これにより、カバー部材50の第2開口51hを通る光は、仕切り板32の第1開口32aを介してレンズ部21bに届く。よって、当該状態においてカメラモジュール20をユーザの意図により動作させることで、画像や映像を取得することが可能となる。
【0071】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、カメラモジュール20が羽根部材33によって覆われるため、ユーザに画像を撮られていないといった安心感を与えることが可能となる。また、ベース部材31がモジュール基板19の第1面19aに装着され、カバー部材50の長手方向一側がベース部材31に装着されるとともに、カバー部材50の長手方向他側がモジュール基板19の第1面19aに支持されている。これにより、ベース部材31をカバー部材50の長手方向他側にまで長く延ばす必要がなくなり、ベース部材31を短縮化(小型化)して羽根開閉装置30をより小型化することが可能となる。よって、ノートパソコン10を形成するフレーム部材16をより細くする等して、ノートパソコン10の機能性およびデザイン性を向上させることが可能となる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、カバー部材50は、羽根部材33を覆うカバー本体51と、カバー本体51からモジュール基板19の第1面19aに向けて延び、かつ第1面19aに支持される脚部51dとを備え、当該脚部51dには、カバー本体51の長手方向に折り曲げられた一対の補強部51eが設けられている。よって、脚部51dの剛性が高められ、脚部51dが外側(カメラモジュール20側とは反対側)に倒れることを防止できる。つまり、第2カバー部51bの光軸P1の方向における剛性を十分に高めることができる。
【0073】
次に、本発明の実施の形態2について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0074】
図8は実施の形態2のカメラユニットを示す斜視図を、図9図8のカメラユニットの分解斜視図をそれぞれ示している。
【0075】
図8および図9に示されるように、実施の形態2のカメラユニット60では、モジュール基板19の長手方向において、第1カメラモジュール61と第2カメラモジュール62とを並べて設けている。なお、第1,第2カメラモジュール61,62は、いずれも本発明における検知装置に相当する。これに伴い、モジュール基板19の長手方向における羽根開閉装置30の長さ寸法も、実施の形態1のカメラユニット17(図2ないし図4参照)に比して長くなっている。具体的には、仕切り板32,羽根部材33およびカバー部材50の長さ寸法が長くなっている。ただし、ベース部材31およびそれに保持されるアクチュエータユニット40は、実施の形態1と同じである。
【0076】
図9に示されるように、仕切り板32の長手方向における第1開口32aと第1円弧孔32cとの間には、第3開口32gが設けられている。第3開口32gにおいても、第1開口32aと同様に、仕切り板32をその板厚方向に貫通している。そして、第3開口32gの中心部分は、第2カメラモジュール62のレンズユニット62aの光軸P2上に配置されている。なお、光軸P2上には、ノートパソコン10のフレーム部材16に設けられた他の小窓(図示せず)の中心部分が配置される。
【0077】
また、図9に示されるように、羽根部材33の長手方向におけるシャッタ部33bと傾斜孔33cとの間には、羽根開口33dと他のシャッタ部33eとが並んで設けられている。羽根開口33dはシャッタ部33b側に配置され、他のシャッタ部33eは傾斜孔33c側に配置されている。そして、羽根開閉装置30が「OPEN」の状態において、光軸P2上に羽根開口33dが配置され、ひいてはレンズユニット62aが開放される。これに対し、羽根開閉装置30が「CLOSE」の状態になると、光軸P2上に他のシャッタ部33eが配置され、ひいてはレンズユニット62aが遮蔽される。なお、第1,第2カメラモジュール61,62の開閉動作は、羽根部材33の往復移動により同期して行われる。
【0078】
さらに、図9に示されるように、カバー部材50の長手方向における第2開口51hと第2円弧孔51mとの間には、他の仕切り板押さえ凸部51nと第4開口51pとが並んで設けられている。他の仕切り板押さえ凸部51nは第2開口51h側に配置され、第4開口51pは第2円弧孔51m側に配置されている。そして、他の仕切り板押さえ凸部51nは、羽根部材33の羽根開口33dを越えて突出し、仕切り板32の第1開口32aと第3開口32gとの間の表面32fに押し付けられている。これにより、当該部分(第4開口51pの部分)においても、仕切り板32とカバー部材50との間に精度良く羽根室RM(図3参照)が形成される。なお、他の仕切り板押さえ凸部51nの突出高さは、仕切り板押さえ凸部51gの突出高さと同じ突出高さである。また、第4開口51pの中心部分は、光軸P2上に配置されている。
【0079】
さらに、図9に示されるように、カバー部材50の長手方向において、カバー部材50の幅方向に対向配置された一対の係合部51cと脚部51dとの間には、一対の補強柱51sが設けられている。これらの補強柱51sにおいても、一対の係合部51cと同様に互いにカバー部材50の幅方向に対向配置され、かつ係合部51cや脚部51dと同様にモジュール基板19の第1面19aに向けて延びている。そして、一対の補強柱51sの先端側は、図8に示されるように第1面19aに接触して支持されている。また、それぞれの補強柱51sには、他方の補強柱51sに向けて窪んだ窪み部51t(図示では一方のみ示す)が一体に設けられ、これによりそれぞれの補強柱51sの強度が十分に確保されている。よって、カバー部材50に対して光軸P1,P2の方向から押圧力が作用しても、カバー部材50が歪んで羽根部材33が動作不能になることが効果的に抑えられる。
【0080】
ここで、実施の形態2においては、上述したように、第1カメラモジュール61および第2カメラモジュール62(いずれも本発明における検知装置)を備え、これらを開閉する羽根開閉装置30を備えたノートパソコン10(図1参照)を例に挙げて説明した。ただし、これに換えて、以下に示される[変形例1]および[変形例2]のようにすることもできる。
【0081】
[変形例1]
実施の形態2の変形例1は、第1カメラモジュール61にLEDライト70(図9の括弧内の符号参照)を並べて設けている。この場合、ノートパソコン10のフレーム部材16(図1参照)に、一対の小窓18(図示では一方のみ示す)を設け、一方の小窓18に第1カメラモジュール61を対向させ、他方の小窓18にLEDライト70を対向させる。このような変形例1では、ノートパソコン10の使用環境が暗くても、ユーザを明るく照らすことが可能となり、鮮明な画像を提供しつつオンライン会議等を実施することが可能となる。ここで、LEDライト70は、本発明における発光装置に相当する。
【0082】
[変形例2]
また、実施の形態2の変形例2は、第1,第2カメラモジュール61,62に換えて、LEDライト70および他のLEDライト80(図9の括弧内の符号参照)を並べて設けている。この場合、上述の変形例1と同様に、ノートパソコン10のフレーム部材16に、一対の小窓18を設け、それぞれの小窓18に、LEDライト70および他のLEDライト80をそれぞれ対向させる。このような変形例2では、ユーザによりノートパソコン10の作動状態、例えば、ネットワークに対して通信状態であるか否か、また、内蔵バッテリーの残量が十分であるか否か、を容易に把握することが可能となる。ここで、LEDライト80においても、本発明における発光装置に相当する。
【0083】
そして、これらのLEDライト70,80は、カメラモジュールに類似する形状である(図9参照)ため、羽根開閉装置30によりLEDライト70,80を遮蔽することで、ユーザに画像を撮られていないといった安心感を与えることが可能となる。
【0084】
以上のように形成した変形例1および変形例2を含む実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、一対のカメラモジュール(検知装置),一対のLEDライト(発光装置),カメラモジュールとLEDライトの組み合わせ(検知装置および発光装置)を実現することができ、ひいてはノートパソコン10をはじめとする電子機器の多種多様化に、容易に対応することが可能となる。
【0085】
次に、本発明の実施の形態3について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0086】
図10は実施の形態3のカメラユニットを示す分解斜視図を、図11Aはフォトリフレクタの動作説明図(OPEN)を、図11Bはフォトリフレクタの動作説明図(CLOSE)をそれぞれ示している。
【0087】
図10図11Aおよび図11Bに示されるように、実施の形態3のカメラユニット90では、実施の形態1に比して、ベース部材91の形状が異なっている。具体的には、ベース部材91の長手方向一側(図中左側)には、フォトリフレクタ収容凹部91aが設けられている。よって、モジュール基板19の長手方向におけるベース部材91の長さ寸法は、実施の形態1のベース部材31(図2参照)に比して長くなっている。具体的には、フォトリフレクタ収容凹部91aは、アクチュエータ収容凹部31aに対して、レバー収容凹部31c側とは反対側に配置されている。
【0088】
そして、フォトリフレクタ収容凹部91aの内部には、フォトリフレクタ92が収容されている。フォトリフレクタ92は、図11Bの破線矢印に示されるように、カバー部材50(図10参照)に向けて赤外光を照射するとともに、自身で照射した赤外光を受光することで、フォトリフレクタ92の照射方向(図中上側)に障害物があるか否かを検出する。なお、フォトリフレクタ92の駆動電流は、フレキシブル基板44を介してモジュール基板19から供給される。
【0089】
また、図10図11Aおよび図11Bに示されるように、羽根部材33の長手方向一側(図中左側)には、当該羽根部材33の往復移動に応じてフォトリフレクタ92上を遮蔽し得るセンサ被覆部33fが一体に設けられている。そして、センサ被覆部33fは、図11Aに示されるように、羽根開閉装置30が「OPEN」の状態において、フォトリフレクタ92上を遮蔽し、図11Bに示されるように、羽根開閉装置30が「CLOSE」の状態において、フォトリフレクタ92上を開放する。ここで、カバー部材50のフォトリフレクタ92との対向部分は黒色(図示せず)となっており、フォトリフレクタ92から照射された赤外光の殆どを吸収するようになっている。したがって、羽根開閉装置30が「CLOSE」の状態(図11B参照)では、フォトリフレクタ92による受光量が少なくなる。
【0090】
これに対し、センサ被覆部33fのフォトリフレクタ92との対向部分は赤外光と同色の赤色(図示せず)となっており、フォトリフレクタ92から照射された赤外光の殆どを反射するようになっている。したがって、羽根開閉装置30が「OPEN」の状態(図11A参照)では、フォトリフレクタ92による受光量が多くなる。このように、「OPEN」の状態と「CLOSE」の状態とで生じる光量差を検知することで、羽根開閉装置30の「OPEN」の状態または「CLOSE」の状態を検出することが可能となっている。
【0091】
なお、図10図11Aおよび図11Bに示されるように、羽根部材33の長さ寸法が長くなった分、羽根部材33を振れることなくスムーズに往復移動させる工夫が必要となる。そこで、本実施の形態では、羽根部材33の長手方向におけるセンサ被覆部33fと長孔33aとの間に、長孔33aと同様の他の長孔33gを設け、当該他の長孔33gの内側に、位置決め凸部31eを摺動自在に入り込むようにしている。これにより、羽根部材33の長手方向一側が位置決め凸部31eにガイドされて、羽根部材33の全体を振れることなくスムーズに往復移動させることが可能となる。
【0092】
また、ベース部材91がその長手方向一側に長くなったことに伴い、フォトリフレクタ収容凹部91aの近傍に、カバー部材50に設けられた第3孔部51v(図10参照)に差し込み固定される差し込み凸部91bを設けている。これにより、カバー部材50の長手方向全域を、モジュール基板19の長手方向に真っ直ぐに沿わせることが可能となる。このように、実施の形態3では、フォトリフレクタ収容凹部91aおよびこれに収容されるフォトリフレクタ92を設けたことで、羽根部材33およびカバー部材50の長さ寸法がいずれも長くなっている。
【0093】
以上のように形成した実施の形態3においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態3では、羽根部材33の開閉状態を検知可能なフォトリフレクタ92を設けたので、羽根部材33が「OPEN」の状態にあるのか「CLOSE」の状態にあるのかを、ノートパソコン10にフィードバックさせることができ、ひいては羽根開閉装置30の動作状態を正確に管理することが可能となる。
【0094】
本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上述の各実施の形態では、電子機器としてノートパソコン10であるものを示したが、本発明はこれに限らず、スマートフォンやタブレット端末等にも適用することができる。
【0095】
また、検知装置としてのカメラモジュール20,第1カメラモジュール61および第2カメラモジュール62は、赤外線カメラやUSB接続によりコントロールされる撮像カメラ等、あらゆる形式のカメラを含む。さらに、検知装置には、電子機器を形成するディスプレイのバックランプの照度を自動で調整するために用いられる受光センサや、店頭に設置される電子機器に搭載され、入店者の体温を計測する温度センサ等を含み、要は電子機器の外部にある情報を電子機器に内部に取り込める検知装置であればその形式は問わない。また、上述した実施の形態1において、検知装置としてのカメラモジュール20に代えて、キーボード部13(図1参照)を照らすLEDライト等の発光体からなる発光装置を採用することもできる。これにより、カメラモジュールに類似する形状のLEDライト等の発光体が、羽根開閉装置30により遮蔽されて、ユーザに画像を撮られていないといった安心感を与えることが可能となる。
【0096】
さらに、羽根部材33が「CLOSE」の状態であることを外部に明確に知らせるために、シャッタ部33b(33e)の表面に「閉」の文字を施したり、シャッタ部33b(33e)の表面を視認性の高い赤色等で着色したりすることもできる。これにより、意図しない画像や映像の取得からユーザが保護されていることを、外部から容易に認識することが可能となる。
【0097】
その他、上述した各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上述した各実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0098】
10…ノートパソコン(電子機器)、11…キー、12…タッチパッド、13…キーボード部、14…ディスプレイ部、15…ディスプレイ、16…フレーム部材、17…カメラユニット、18…小窓(開口部)、19…モジュール基板、19a…第1面(装着面)、19b…第2面、20…カメラモジュール(検知装置)、21…レンズユニット、21a…基部、21b…レンズ部、22…固定部材、30…羽根開閉装置(開閉装置)、31…ベース部材、31a…アクチュエータ収容凹部、31b…仕切り板支持部、31c…レバー収容凹部、31d…引っ掛け爪、31e…位置決め凸部、31f…ガイド突起、31g…支持ピン、31h…揺動軸、32…仕切り板、32a…第1開口、32b…第1孔部、32c…第1円弧孔、32d…支持突起、32e…裏面、32f…表面、32g…第3開口、33…羽根部材、33a…長孔、33b…シャッタ部、33c…傾斜孔、33d…羽根開口、33e…他のシャッタ部、33f…センサ被覆部、33g…他の長孔、40…アクチュエータユニット(アクチュエータ)、41…ヨーク、41a…第1腕部、41b…第2腕部、42…コイルボビン、42a…挿通孔、42b…凸部、43…コイル、44…フレキシブル基板、45…マグネットレバー、45a…レバー本体、45b…駆動爪、46…ロータマグネット、46a…マグネット突起、47…駆動レバー、47a…レバー本体、47b…入力側凸部、47c…出力側凸部、47d…孔、50…カバー部材、51…カバー本体(本体部)、51a…第1カバー部、51b…第2カバー部、51c…係合部、51d…脚部、51e…補強部、51f…支持孔、51g…仕切り板押さえ凸部、51h…第2開口、51k…第2孔部、51m…第2円弧孔、51n…他の仕切り板押さえ凸部、51p…第4開口、51s…補強柱、51t…窪み部、51v…第3孔部、60…カメラユニット、61…第1カメラモジュール(検知装置)、62…第2カメラモジュール(検知装置)、62a…レンズユニット、70,80…LEDライト(発光装置)、90…カメラユニット、91…ベース部材、91a…フォトリフレクタ収容凹部、91b…差し込み凸部、92…フォトリフレクタ、P1,P2…光軸、RM…羽根室、T1…第1接続端子、T2…第2接続端子
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B