(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162340
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】卵パックの移載装置
(51)【国際特許分類】
B65B 5/10 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
B65B5/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139416
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2020203120の分割
【原出願日】2019-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2018024764
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】南部 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】阿部 圭介
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単位時間内に、より多くの卵パックを収容空間に移載することができる卵パックの移載装置を提供する。
【解決手段】一時待機領域(21)に集められた複数個の卵パック(P)を収容空間(A)に移載する卵パックの移載装置(1)であって、保持部(11)と制御部(3)とを備えている。制御部(3)は、複数個の卵パック(P)を保持し、収容空間(A)としてのケース(C)内における第1位置において、複数個の卵パック(P)のうちの一の卵パック(P)を保持した状態を解除した後、保持部(11)を移動させて、ケース(C)内における第1位置とは異なる第2位置において、複数個の卵パック(P)のうちの他の卵パック(P)を保持した状態を解除する動作を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一時待機領域に集められた複数個の卵パックを収容空間に移載する卵パックの移載装置であって、
一の卵パックおよび他の卵パックを含む複数個の前記卵パックを保持し、保持した複数個の前記卵パックを前記収容空間まで移動する保持部と、
前記卵パックを保持する動作、保持した前記卵パックおよび前記収容空間の少なくともいずれかを移動させる動作、および、前記卵パックを保持した状態を解除する動作を含む前記保持部の動作を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、複数個の前記卵パックを保持し、前記収容空間内における第1位置において、前記一の卵パックを保持した状態を解除した後、前記保持部を移動させて、前記収容空間内における前記第1位置とは異なる第2位置において、前記他の卵パックを保持した状態を解除する動作を制御する、卵パックの移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、順次搬送されてきた卵パックを卵パック用のケースまたはロールインナーに設けられた収容空間に移載する卵パックの移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
卵パックを卵パック用のケース等に詰める卵パックの箱詰め装置が知られている。この種の卵パックの箱詰め装置では、一時待機領域に、ケースの一段分に相当する卵パックが並べられる。その後、並べられた卵パックの配置関係を維持した状態で、卵パックがケース内に詰められる。
【0003】
ケースには種々の大きさおよび形状がある。また、卵パックには種々の大きさおよび形状がある。このため、ケースと卵パックとの組み合わせのバリエーションは多岐にわたる。卵パックの箱詰め装置には、そのようなバリエーションに対応することが要求される。卵パックの箱詰め装置では、ケースと卵パックとの組み合わせのバリエーションに対応しようとすると、一時待機領域の大型化、一時待機領域の上流側に配置されるコンベヤの大型化、卵パックの整列機構の複雑化が生じることが想定される。さらに、その大型化と複雑化に伴って、コストが上昇することが想定される。なお、卵パックを卵パック用の容器に充填する手法を開示した特許文献として、たとえば、特許文献1がある。
【0004】
このような問題への対応策として、一回の箱詰め動作によって箱詰めする卵パックの数を一段分の卵パックの数よりも少なくして箱詰めする卵パックの箱詰め装置が開発されている。この卵パックの箱詰め装置では、たとえば、ヘッド部が任意に作動する慣用の多関節ロボットを用いて、ケース内の一段分として収容される卵パックが、2回の箱詰め動作、または、3回の箱詰め動作によって収容されることになる。
【0005】
具体的には、ケース内の一段分の卵パックの数が5つの場合には、たとえば、3つの卵パックと2つの卵パックとに分けて箱詰めされる。一時待機領域に集められた3つの卵パックがヘッド部に保持される。3つの卵パックを保持したヘッド部は、一時待機領域からケースまで移動し、保持状態が解除されて3つの卵パックのケース内に収容される。保持状態が解除されたヘッド部は、ケースから一時待機領域まで移動する。次に、一時待機領域に集められた2つの卵パックがヘッド部に保持される。2つの卵パックを保持したヘッド部は、一時待機領域からケースまで移動し、保持状態が解除されて2つの卵パックのケース内に収容される。こうして、ケース内の一段目の5つの卵パックがケース内に収容される。以下、同様の動作を繰り返すことによって、一段目の卵パックの上に、二段目の5つの卵パックが収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5802932号
【特許文献2】国際公開第2011/162601号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の卵パックの箱詰め装置では、1回の箱詰め動作に対して、ヘッド部は、一時待機領域とケースとの間を一往復移動する。このため、ケース内における一段分の卵パックを、2回以上の複数回の箱詰め動作によってケースに収納しようとすると、ヘッド部は、一時待機領域とケースとの間を複数回にわたって往復移動することになる。その結果、単位時間内にケースに収納することができる卵パックの数に限界が生じることになる。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、単位時間内に、より多くの卵パックをケース等を含む収容空間に移載することができる卵パックの移載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る卵パックの移載装置は、一時待機領域に集められた複数個の卵パックを収容空間に移載する卵パックの移載装置であって、保持部と制御部とを備えている。保持部は、一の卵パックおよび他の卵パックを含む複数個の卵パックを保持し、保持した複数個の卵パックを収容空間まで移動する。制御部は、卵パックを保持する動作、保持した卵パックおよび収容空間の少なくともいずれかを移動させる動作、および、卵パックを保持した状態を解除する動作を含む保持部の動作を制御する。制御部は、複数個の卵パックを保持し、収容空間内における第1位置において、一の卵パックを保持した状態を解除した後、保持部を移動させて、収容空間内における第1位置とは異なる第2位置において、他の卵パックを保持した状態を解除する動作を制御する。
【0010】
制御部によって制御される保持部の動作は、第2位置として、第1位置とは異なる高さ位置において、他の卵パックを保持した状態を解除する動作を含むことが望ましい。
【0011】
制御部によって制御される保持部の動作は、第2位置として、一の卵パックの上に他の卵パックを積み重ねた位置において、他の卵パックを保持した状態を解除する動作を含むことが望ましい。
【0012】
制御部によって制御される保持部の動作は、保持した卵パックの向きを変える動作を含むことが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る卵パックの移載装置によれば、単位時間内にケースに収容することのできる卵パックの数を増やすことができる。
【0014】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る卵パックの移載装置を模式的に示す正面図である。
【
図2】
図1に示す卵パックの移載装置の動作を説明するための側面図である。
【
図3】
図1に示す卵パックの移載装置による卵パックの移載動作の一工程を示す側面図である。
【
図4】
図3に示す工程の後に行われる工程を示す側面図である。
【
図5】
図4に示す工程の後に行われる工程を示す側面図である。
【
図6】
図5に示す工程の後に行われる工程を示す側面図である。
【
図7】同実施形態において、変形例1に係る卵パックの移載装置による卵パックの移載動作の一工程を示す側面図である。
【
図8】同実施形態において、
図7に示す工程の後に行われる工程を示す側面図である。
【
図9】同実施形態において、
図8に示す工程の後に行われる工程を示す側面図である。
【
図10】同実施形態において、
図9に示す工程の後に行われる工程を示す側面図である。
【
図11】同実施形態において、変形例2に係る卵パックの移載装置を模式的に示す平面図である。
【
図12】同実施形態において、変形例2に係る卵パックの移載装置による卵パックの移載動作の一工程を示す側面図である。
【
図13】同実施形態において、
図12に示す工程の後に行われる工程を示す側面図である。
【
図14】同実施形態において、
図13に示す工程の後に行われる工程を示す側面図である。
【
図15】同実施形態において、
図14に示す工程の後に行われる工程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態に係る卵パックの移載装置の一例について説明する。
図1および
図2に示すように、卵パックの移載装置1は、搬送されてきた複数の卵パックをケースを含む所定の収容空間Aに移載する。卵パックの移載装置1は、一時待機領域21に集められた卵パックPを卵パック用の収容空間Aに移載する。卵パックの移載装置1は、保持部11、ヘッド部14、保持解除部12、真空機構13および制御部3を備えている。ここでは、卵パックPが収容される収容空間Aは、箱状のケースC内に形成されている。
【0017】
保持部11は複数の卵パックPを保持する。保持部11は、第1吸着部材15および第2吸着部材によって構成される。第1吸着部材15は、たとえば、隣接する2つの卵パックPを保持することができる。第2吸着部材16は、たとえば、2つの卵パックPを保持することができる。
【0018】
第1吸着部材15および第2吸着部材16は、真空機構13に接続されている。第1吸着部材15および第2吸着部材16と、真空機構13との間に、保持解除部12が設けられている。保持解除部12は、保持解除部12aと保持解除部12bとを含む。第1吸着部材15では、保持解除部12aによって保持状態が解除される。第2吸着部材16では、保持解除部12bによって保持状態が解除される。
【0019】
第1吸着部材15および第2吸着部材16のそれぞれは、上下方向に伸縮可能な蛇腹構造である。卵パックを吸着した状態では、第1吸着部材15および第2吸着部材16は、縮んだ状態になる。一方、卵パックを吸着していない状態では、第1吸着部材15および第2吸着部材16は、重力によって伸びた状態になる。
【0020】
保持部11はヘッド部14に取り付けられている。ヘッド部14は、一時待機領域21とケースCとの間を移動する。ヘッド部14として、たとえば、6軸垂直多関節ロボット等の、任意に作動する慣用の多関節ロボットが適用される。この他に、ヘッド部14としては、X軸、Y軸およびZ軸に対して、任意に移動することができるロボットまたは装置など種々のものを採用することができる。
【0021】
卵パックの移載装置1は、搬送装置2とともに、卵パックの移載システム10を構成する。搬送装置2は、たとえば、ベルトコンベヤである。搬送装置2の下流側には、一時待機領域21が設けられている。搬送装置2の上流側には、卵をパックに収容する包装装置(図示せず)が配置されている。
【0022】
包装装置によって卵がパックに収容された卵パックが、搬送装置2によって一時待機領域21にまで搬送される。一時待機領域21には、卵パックの動きを規制するストッパ22が設けられている。設定された所定個数の卵パックが一時待機領域21に集まった状態で、一旦、搬送装置2は停止し、卵パックの移載作業が開始される。この作業(動作)については後述する。
【0023】
卵パックの移載装置1の動作は、制御部3によって制御される。制御部3は、保持部11によって保持された卵パックPの保持状態と移動とを制御する。制御部3は、保持部11によって保持された複数の卵パックPのうち一の卵パックPと他の卵パックPとについて、別々に保持状態が解除されるように制御する。制御部3は、一の卵パックPを保持する状態を解除した後に、他の卵パックPを保持する状態が解除されるように制御する。制御部3は、一の卵パックPを保持する状態を解除した後に、他の卵パックPを保持する状態を解除する前に、他の卵パックPを移動させる制御をする。
【0024】
制御部3は、ケースC内に先に載置された一の卵パックPとは異なる高さ位置に、他の卵パックPが載置されるように制御する。制御部3は、収容空間Aにすでに収容されている卵パックPによって形成されている段差Sの上段側S1に一の卵パックを載置する動作を行い、その後、段差Sの下段側S2に他の卵パックPを載置する動作が行われるように制御する。
【0025】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)、内部メモリ、入出力インターフェース、AD変換部等の専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータによって構成される。内部メモリに格納されたプログラムにしたがって、CPUおよびその周辺機器が協働することによって、制御部3としての機能が発揮される。
【0026】
次に、卵パックの移載装置1の動作の一例について説明する。
搬送装置2によって、上流側から搬送された卵パックPが、下流側の一時待機領域21に集められる。一時待機領域21に、たとえば、4つの卵パックP(縦2個×横2個)が集まった状態で、移載動作が開始される。
【0027】
まず、集められた卵パックPの上方にヘッド部14が移動する。次に、ヘッド部14が下降して、第1吸着部材15が、4つの卵パックPのうちの2つの卵パックPに接触し、第2吸着部材16が、残りの2つの卵パックPに接触する。次に、真空機構13を動作させる。真空機構13によって第1吸着部材15および第2吸着部材16のそれぞれが真空引きを開始する。4つの卵パックPが保持部11に保持される。
【0028】
次に、卵パックPを保持した保持部11が、一時待機領域21からケースCの上方にまで移動する。次に、ヘッド部14が下降し、たとえば、第1吸着部材15に保持されている2つの卵パックPが、ケースCの第1側壁C1に沿って載置される位置において、保持解除部12を動作させる。保持解除部12によって真空引きが停止する。第1吸着部材15および第2吸着部材16のそれぞれの吸着状態が解除されて、最初の4つの卵パックPがケースC内に収容される。
図3に示されているケースCには、手前の2つの卵パックPが示されている。
【0029】
卵パックPを開放した保持部11は、ケースCから一時待機領域21に移動する。一時待機領域21に、たとえば、4つの卵パックPが集まった状態で、保持部11が下降して、第1吸着部材15が、2つの卵パックPに接触し、第2吸着部材16が、残りの2つの卵パックPに接触する。次に、真空機構13によって第1吸着部材15および第2吸着部材16のそれぞれが真空引きを開始し、4つの卵パックPが保持部11に保持される。
【0030】
次に、
図4に示すように、卵パックPを保持した保持部11が、一時待機領域21からケースCの上方にまで移動する。次に、ヘッド部14が下降する。第1吸着部材15に保持されている2つの卵パックPが、第1側壁C1に沿って載置される位置において、保持解除部12のうち保持解除部12aを動作させる。保持解除部12aによって第1吸着部材15の吸着状態が解除されて、最初に収容された卵パックPの上に、第1側壁C1に沿ってさらに2つの卵パックPが収容される。言い換えると、最初に収容された卵パックPによって形成された段差Sの上段側S1に、さらに2つの卵パックPが載置されることになる。
【0031】
次に、
図5に示すように、残りの2つの卵パックPを保持した保持部11が、まだ卵パックPが載置されていないケースC内の領域S3の上方にまで移動する。第2吸着部材16に保持されている2つの卵パックPが、第2側壁C2に沿って載置される位置において、保持解除部12のうち保持解除部12bを動作させる。保持解除部12bによって第2吸着部材の吸着状態が解除されて、2つの卵パックPがケースC内の領域S3に載置される。言い換えると、ケースC内に既に収容されている卵パックPによって形成された段差Sの下段側S2に、2つの卵パックPが載置されることになる。
【0032】
卵パックPを開放した保持部11は、ケースCから一時待機領域21に移動する。一時待機領域21に、たとえば、4つの卵パックPが集まった状態で、保持部11が下降して、第1吸着部材15が、2つの卵パックPに接触し、第2吸着部材16が、残りの2つの卵パックPに接触する。次に、真空機構13によって第1吸着部材15および第2吸着部材16のそれぞれが真空引きを開始し、4つの卵パックPが保持部11に保持される。
【0033】
次に、
図6に示すように、卵パックPを保持した保持部11が、一時待機領域21からケースCの上方にまで移動する。次に、ヘッド部14が下降する。第2吸着部材16に保持されている2つの卵パックPが、第2側壁C2に沿って載置される位置において、保持解除部12を動作させる。保持解除部12によって真空引きが停止する。第1吸着部材15および第2吸着部材16のそれぞれの吸着状態が解除されて、4つの卵パックPが、すでに載置されている4つの卵パックPを上に載置される。言い換えると、4つの卵パックPは、まだ2段目の卵パックPが載置されていないケースC内の領域S4に載置されることになる。ケースC内への卵パックの移載動作が完了した後、保持部11は、ケースCから一時待機領域21に移動する。
【0034】
本実施形態に係る卵パックの移載装置1は、保持部11、ヘッド部14、保持解除部12、真空機構13および制御部3を備え、一時待機領域21に集められた卵パックPを収容空間AとしてのケースCに移載する。卵パックPをケースCに移載する際には、1回の移載動作の間に、ケースC内に既に収容されている卵パックPによって形成された段差Sの上段側S1に一の卵パックを載置する動作と、段差Sの下段側S2に卵パックPを載置する動作とが行われる。
【0035】
これにより、従来の卵パックの箱詰め装置と比較すると、ケースC内に卵パックPを収容する動作において、ヘッド部が一時待機領域とケースとの間を往復移動する回数を減らすことができ、単位時間内にケースCに収容することのできる卵パックの数を増やすことができる。従来の卵パックの箱詰め装置では、
図3~
図6に示される工程に対応する工程において、ケースCに卵パックPを収容させようとすると、ヘッド部は一時待機領域とケースとの間を4往復する必要があるのに対して、実施形態に係る卵パックの移載装置1では、ヘッド部14は一時待機領域21とケースCとの間を3往復することで、ケースC内に卵パックPを収容することができる。
【0036】
さらに、従来の卵パックの箱詰め装置と比べて、一時待機領域21または上流側に配置される搬送装置2を大きくすることなく、種々のバリエーションに対応することができ、使用可能な空間に制約の多い卵の包装施設に好適に用いることができる。
【0037】
また、保持部11は、真空機構13に接続されたそれぞれ複数の第1吸着部材15および第2吸着部材16であり、卵パックPを上方から吸着する。そのため、卵パックPを下方または側方から保持する保持部に比べて、既にケースC内に収容されている卵パックP、ケースCの第1側壁C1、または第2側壁C2に保持部11が干渉しにくくなる。
【0038】
保持解除部12のうち保持解除部12aは、第1吸着部材15に保持されている一の卵パックPが、第1側壁C1に沿って載置される位置において動作することで、一の卵パックを保持する状態が解除される。保持解除部12のうち保持解除部12bは、第2吸着部材16に保持されている他の卵パックPが、第2側壁C2に沿って載置される位置において動作することで、他の卵パックを保持する状態が解除される。これにより、卵パックPはケースCの第1側壁C1または第2側壁C2に沿ってそれぞれ配置されることになり、卵パックPの位置決めが容易になる。
【0039】
(変形例1)
次に、変形例1に係る卵パックの移載装置について説明する。変形例1に係る卵パックの移載装置は、
図1に示される卵パックの移載装置1の構成と基本的に同じ構成を備えている。このため、同一部材には同一符号を付し、必要である場合を除き、その説明を繰り返さないこととする。変形例1に係る卵パックの移載装置1では、卵パックを収容空間Aへ収容する収容順序が、前述した卵パックの移載装置による収容順序と異なる。
【0040】
変形例1に係る卵パックの移載装置1は、保持部11と制御部3とを備え、卵パックPを卵パック用の収容空間Aに移載する(
図7等参照)。卵パック用の収容空間Aは、箱状のケースCの内部に形成されている。
【0041】
制御部3は、保持部11によって保持された一の卵パックPと他の卵パックPとについて、別々に保持状態が解除されるように制御する。制御部3は、一の卵パックPを保持する状態を解除した後に、他の卵パックPを保持する状態を解除する前に、他の卵パックPを移動させる制御をする。制御部3は、先に収容空間A内に収容された一の卵パックPとは異なる高さ位置に、他の卵パックPが収容されるように制御する。
【0042】
変形例1に係る卵パックの移載装置1では、制御部3は、収容空間A内に先に収容された一の卵パックPの上に、他の卵パックPが収容されるように制御する。さらに、制御部3は、一の卵パックPが収容された後、他の卵パックPの向きを変えるよう制御する。
【0043】
次に、変形例1に係る卵パックの移載装置1の動作の一例について説明する。
一時待機領域21に、たとえば、4つの卵パックPが集まった状態で、移載動作が開始される。まず、集められた卵パックPの上方にヘッド部14が移動する。次に、ヘッド部14が下降して、第1吸着部材15が、4つの卵パックPのうちの2つの卵パックPに接触し、第2吸着部材16が、残りの2つの卵パックPに接触する。次に、真空機構13を動作させる。真空機構13によって第1吸着部材15および第2吸着部材16のそれぞれが真空引きを開始する。4つの卵パックPが保持部11に保持される。
【0044】
次に、卵パックPを保持した保持部11が、一時待機領域21からケースCの上方にまで移動する。次に、
図7に示すように、ヘッド部14が下降し、4つの卵パックPがケースCの底板C3の上に載置される。次に、第1吸着部材15に保持されている2つの卵パックPが、ケースCの第1側壁C1に沿って載置される位置において、保持解除部12のうち保持解除部12aを動作させる(
図1参照)。保持解除部12aによって第1吸着部材15の吸着状態が解除されて、第1側壁C1に沿って2つの卵パックPが収容される。
【0045】
次に、
図8に示すように、残りの2つの卵パックPを保持した保持部11が上方に移動し、ほぼ180度水平方向に回転することによって、ヘッド部14の向きが変えられる。次に、
図9に示すように、ヘッド部14が下降する。第2吸着部材16に保持されている2つの卵パックPが、第1側壁C1に沿って載置される位置において、保持解除部12のうち保持解除部12bを動作させる。
【0046】
保持解除部12bによって第2吸着部材の吸着状態が解除されて、2つの卵パックPが、ケースC内に先に収容された2つの卵パックPの上に載置される。卵パックPを開放した保持部11は、ケースCから一時待機領域21に移動する。次に、一時待機領域21に4つの卵パックPが集まった状態で、4つの卵パックが保持部11に保持される。その後、
図4の左から4番目の図に示すように、卵パックPを保持した保持部11が、一時待機領域21からケースCの上方にまで移動して、ケースC内の残りの空間に卵パックPを収容する動作が行われる。
【0047】
変形例1に係る卵パックの移載装置1では、単位時間内にケースCに収容することのできる卵パックの数を増やすことができる効果を含む卵パックの移載装置1と同様の効果、または、その効果に準じた効果を得ることができる。
【0048】
(変形例2)
次に、変形例2に係る卵パックの移載装置について説明する。変形例2に係る卵パックの移載装置は、変形例1に係る卵パックの移載装置1の構成と基本的に同じ構成を備えている。このため、同一部材には同一符号を付し、必要である場合を除き、その説明を繰り返さないこととする。変形例2に係る卵パックの移載装置では、収容空間Aの形状と収容空間Aへの卵パックの収容(配置)の仕方が異なる。
【0049】
図11および
図12等に示すように、変形例2に係る卵パックの移載装置1では、収容空間Aは、ロールインナーRの底板上または棚板R1上に形成されている。ロールインナーRは、運搬に加えて店頭での展示も可能な台車である。
図11等では、説明の便宜上、ロールインナーRの一段分だけが示されている。なお、ロールインナーRに卵パックPを載置する前に、一旦、たとえば、トレイ等に卵パックPを移載するようにしてもよい。この場合には、収容空間Aは、トレイ上に形成されることになる。
【0050】
変形例2に係る卵パックの移載装置1は、保持部11と制御部3とを備え、卵パックPを卵パック用の収容空間Aに移載する(
図11および
図12等参照)。
【0051】
制御部3は、保持部11によって保持された一の卵パックPと他の卵パックPとについて、別々に保持状態が解除されるように制御する。制御部3は、一の卵パックPを保持する状態を解除した後に、他の卵パックPを保持する状態を解除する前に、他の卵パックPを移動させる制御をする。制御部3は、先に収容空間A内に収容された一の卵パックPと同じ高さ位置、または、一の卵パックPとは異なる高さ位置に、他の卵パックPが収容されるように制御する。制御部3は、一の卵パックPが収容された後、他の卵パックPの向きを変えるよう制御する。
【0052】
次に、変形例2に係る卵パックの移載装置1の動作の一例について説明する。
卵パックの移載装置1では、収容空間A内の1段分を卵パックを載置するのに、卵パックを移載する動作を、たとえば、4回等、複数回に分けて行われる。一時待機領域21に、たとえば、3個(縦3列×横1列)等、所定数の卵パックPが集まった状態で、移載動作が開始される。第1吸着部材15は、一端に位置する1つの卵パックPに対応する。第2吸着部材16は、他端に位置する1つの卵パックと、一端と他端との間の中央に位置する1つの卵パックとの2つの卵パックPに対応する。なお、一時待機領域21には、ガイド23が配置されている。
【0053】
1回目の移載動作では、まず、一時待機領域21に3つの卵パックPが集められた状態で、ヘッド部14が集められた卵パックPの上方に移動する。次に、ヘッド部14が下降して、第1吸着部材15が、一端に位置する卵パックPに接触する。第2吸着部材16が、他端と中央とにそれぞれ位置する卵パックPに接触する。次に、真空機構13を動作させることで、3つの卵パックPが保持部11に保持される。次に、卵パックPを保持した保持部11が、一時待機領域21から収容空間Aの上方に移動する。
【0054】
次に、
図12に示すように、保持部11が下降し、3つの卵パックPがロールインナーRの棚板R1に載置される。次に、第1吸着部材15に対応する保持解除部12aを動作させる。保持解除部12aによって真空引きが停止し、第1吸着部材15の吸着状態が解除される。
【0055】
次に、
図13に示すように、第2吸着部材16に吸着された2つの卵パックPを保持した保持部11が上方に移動する。次に、ほぼ90度水平方向に回転することによって、
図14に示すように、ヘッド部14の向きが変えられる。次に、
図15に示すように、ヘッド部14が下降し、ヘッド部14に保持された2つの卵パックPが、ロールインナーRの側壁R2に沿って載置される位置において、第2吸着部材16に対応する保持解除部12bを動作させる。保持解除部12bによって第2吸着部材16の吸着状態が解除されて、2つの卵パックPが、ロールインナーRの棚板R1に載置される。こうして、1回目の移載動作が終了する。
【0056】
1回目の移載動作が終了すると、保持部11は、ロールインナーRから一時待機領域21に移動し、次に、2回目の移載動作が行われる。2回目の移載動作は、1回目の移載動作に準じて行われる。3回目以降の移載動作についても、それぞれ1回目の移載動作に準じて行われる。
図11では、たとえば、4回の移載動作によってロールインナーRに収容された卵パックPの配置態様の一例が示されている。卵パックPのうち、卵パックP1は1回目の移載動作によって移載された卵パックPである。卵パックP2は2回目の移載動作によって移載された卵パックPである。卵パックP3は3回目の移載動作によって移載された卵パックPである。卵パックP4は4回目の移載動作によって移載された卵パックPである。
【0057】
変形例2に係る卵パックの移載装置1では、単位時間内にケースCに収容することのできる卵パックの数を増やすことができる効果を含む卵パックの移載装置1と同様の効果、または、その効果に準じた効果を得ることができる。
【0058】
なお、本発明に係る卵パックの移載装置は、上述した実施形態には限られない。
卵パックの移載装置では、収容空間Aの1段分の卵パックPを収容するための移載動作を、たとえば、3回以上に分けて行うようにしてもよい。また、1回の移載動作によって移載される卵パックPの個数も、上述した実施形態に挙げた個数に限られない。
【0059】
一の卵パックPの個数と他の卵パックPの個数とは、同数であってもよいし、異なっていてもよい。また、一の卵パックPおよび他の卵パックPのそれぞれの個数は、1個であってもよいし、複数個であってもよい。
【0060】
収容空間Aにおいて卵パックを上下方向に複数段重ねて収納させる場合に、各段ごとに卵パックの個数または卵パックの並べ方が異なることがある。卵パックの移載装置では、このような収容態様に対応できるように、一つの段に収容する卵パックの個数および並べ方と、他の段に収容する卵パックの個数および並べ方とが異なるように設定できることが望ましい。収容空間Aに積み上げられる卵パックPの段数は、図示された段数に限られない。
【0061】
一時待機領域21としては、搬送装置が併設されておらず、卵パックを搬送させる機構を備えていない、たとえば、台等であってもよい。また、一時待機領域21に搬送装置が併設されている場合に、一時待機領域21への卵パックの集積度合いに応じて、搬送装置の動作を行うことが望ましいが、必ずしもその必要はない。
【0062】
保持部11としては、第1吸着部材15および第2吸着部材16に替えて、または、第1吸着部材15等に加えて、卵パックを側面側および下面側から支えて保持する1対のアーム部を備えるようにしてもよい。そのようなアームの一例を開示した特許文献として、特許文献2がある。
【0063】
卵パックPの大きさおよび形状としては、卵のサイズおよび卵の個数等に応じた大きさおよび形状が適宜選択される。卵パックそのものとしては、フラットパック以外にレギュラーパックまたはモールドパックであってもよい。
【0064】
卵パックが収容される収容空間が形成されるケースとしては、卵が入った卵パックを収容することができれる容器であればよく、輸送用の段ボール箱、または、プラスチック製のコンテナ等を適用することができる。ケースは、蓋を備えていなくてもよい。
【0065】
また、一の卵パックを保持した状態を解除する動作と、他の卵パックを保持した状態を解除する動作との間に、保持部を移動させずに、収容空間が形成されるケース等を移動させるようにしてもよい。さらに、一の卵パックを保持した状態を解除する動作と、他の卵パック保持した状態を解除する動作との間に、保持部を移動させる動作と、収容空間が形成されるケース等を移動させる動作との双方の動作を行うようにしてもよい。
【0066】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0067】
実施形態に係る卵パックの移載装置は、以下の態様を含む。
(付記1)
一時待機領域に集められた複数個の卵パックを保持し、保持した複数個の前記卵パックを収容空間に移載する卵パックの移載装置であって、
前記一時待機領域に集められた一の卵パックおよび他の卵パックを含む複数個の前記卵パックを保持し、保持した複数個の前記卵パックを前記収容空間まで移動させる保持部と、
前記保持部によって保持された前記卵パックの保持状態を解除する保持解除部と
を備え、
前記保持解除部は、保持した複数の前記卵パックのすべてを前記収容空間内に収容するまでの間に、
前記収容空間内に収容されたさらに他の卵パックによって形成された段差の上段側において、前記一の卵パックを保持した状態を解除し、
前記一の卵パックを保持した状態を解除した後に、前記段差の下段側において、前記他の卵パックを保持した状態を解除する、卵パックの箱詰め装置。
【0068】
(付記2)
付記1記載の卵パックの移載装置であって、
前記保持部は、前記卵パックを上方から吸着する、真空機構に接続された吸着部材である。
【0069】
(付記3)
付記1または2に記載の卵パックの移載装置であって、
前記収容空間はケースによって形成され、
前記保持解除部は、
前記ケースにおける一の側壁に前記一の卵パックを沿わせた位置において、前記一の卵パックの保持状態を解除し、
前記ケースにおける他の側壁に前記他の卵パックを沿わせた位置において、前記他の卵パックの保持状態を解除する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、卵が入った卵パックを収容空間に収容する卵パックの移載装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 卵パックの移載装置、3 制御部、11 保持部、12、12a、12b 保持解除部、13 真空機構、14 ヘッド部、15 第1吸着部材、16 第2吸着部材、21 一時待機領域、P、P1、P2、P3、P4 卵パック、C ケース、C1 第1側壁、C2 第2側壁、S1 上段側、S2 下段側、A 収容空間。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵パックの移載装置であって、
一の卵パックおよび他の卵パックを保持して移動する保持部を備え、
前記保持部は、収容空間内における第1位置に前記一の卵パックおよび前記他の卵パックを移動させ、第1位置において、前記一の卵パックを保持した状態を解除した後、前記収容空間内における前記第1位置とは異なる第2位置に前記他の卵パックを移動させ、第2位置において、前記他の卵パックを保持した状態を解除する、卵パックの移載装置。