(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162349
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】プレゼンテーション評価システム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/38 20190101AFI20231031BHJP
G06F 16/35 20190101ALI20231031BHJP
【FI】
G06F16/38
G06F16/35
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139626
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2022041938の分割
【原出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】511113970
【氏名又は名称】株式会社インタラクティブソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】関根 潔
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プレゼンテーションを行った者(プレゼンテータ)を客観的に評価できるシステムを提供する。
【解決手段】インターネット又はイントラネットと接続された携帯端末及びサーバを含むプレゼンテーション評価システム1は,会話の内容を解析する音声解析部3と,プレゼンテーション資料に関する情報を記憶するプレゼンテーション資料関連情報記憶部5と,プレゼンテーション資料のページ毎のキーワードに関する情報を記憶するキーワード記憶部7と,キーワードの関連語を記憶する関連語記憶部9と,音声解析部3が解析した会話の内容又は会話を行った者を評価する評価部11とを含み,音声解析部3が解析した会話の内容に含まれるプレゼンテーション資料のページ毎のキーワードの数,関連語の数,キーワードの組み合わせ又は関連語の組み合わせに基づいて,会話の内容又は会話を行った者を評価する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
会話の内容を解析する音声解析部(3)と,
プレゼンテーション資料に関する情報を記憶するプレゼンテーション資料関連情報記憶部(5)であって,前記プレゼンテーション資料に関する情報は,前記プレゼンテーション資料の各ページを特定するための情報を含み,
前記プレゼンテーション資料のページ毎のキーワードを記憶するキーワード記憶部(7)と,
前記音声解析部(3)が解析した会話の内容又は会話を行った者を評価する評価部(11)を含み,
前記キーワード記憶部(7)は,前記キーワードの登場順に関するキーワード登場順情報と前記キーワードの登場順に対応した数値をさらに記憶し,
前記評価部(11)は,
前記音声解析部(3)が解析した会話の内容に含まれる,前記キーワードの数及び前記キーワードの登場順に対応した数値を用いて前記会話の内容又は会話者を評価するための値である評価値を求め,当該評価値を用いて,会話の内容又は会話を行った者を評価する,
プレゼンテーション評価システム(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のプレゼンテーション評価システム(1)であって,
前記評価部(11)は,
前記プレゼンテーション資料に含まれる特定のページに関して,前記音声解析部(3)が解析した会話の内容に含まれる,前記キーワードの数及び前記キーワードの登場順に対応した数値を用いて前記会話の内容又は会話者を評価するための値である評価値を求める,
プレゼンテーション評価システム(1)。
【請求項3】
請求項1に記載のプレゼンテーション評価システム(1)であって,
前記評価部(11)は,
前記音声解析部(3)が解析した会話の内容に含まれる,前記キーワードの数、前記キーワードの組合せ、及び前記キーワードの登場順に対応した数値を用いて前記会話の内容又は会話者を評価するための値である評価値を求める,
プレゼンテーション評価システム(1)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のプレゼンテーション評価システム(1)であって,
会話を行った者をグループ分けするグループ分け部(13)をさらに含み,
前記グループ分け部(13)は,前記評価値に基づいて、会話を行った者をグループ分けする,
プレゼンテーション評価システム(1)。
【請求項5】
請求項4に記載のプレゼンテーション評価システム(1)であって,
前記評価部(11)は,前記プレゼンテーション資料に含まれるページ毎に前記評価値を求め,
前記グループ分け部(13)がグループ分けしたグループのうち前記評価値が最も高いグループにおいて,前記評価値が高いグループの方が前記評価値が低いグループよりも前記評価値が高くなるページを,会話の内容又は会話を行った者を評価するための前記プレゼンテーション資料のページである評価用ページとして抽出するページ抽出部(15)をさらに有する,
プレゼンテーション評価システム(1)。
【請求項6】
請求項5に記載のプレゼンテーション評価システム(1)であって,
前記キーワード記憶部(7)が前記評価用ページに関して記憶するキーワードであって、前記グループ分け部(13)がグループ分けしたグループのうち前記評価値が最も多いグループにおいて,前記評価用ページに関して用いられているキーワードを評価用キーワードとして抽出する評価用キーワード抽出部(17)をさらに有する,
プレゼンテーション評価システム(1)。
【請求項7】
コンピュータを,
会話の内容を解析する音声解析部(3)と,
プレゼンテーション資料に関する情報を記憶するプレゼンテーション資料関連情報記憶部(5)であって,前記プレゼンテーション資料に関する情報は,前記プレゼンテーション資料の各ページを特定するための情報を含み,
前記プレゼンテーション資料のページ毎のキーワードを記憶するキーワード記憶部(7)と,
前記音声解析部(3)が解析した会話の内容又は会話を行った者を評価する評価部(11)を含み,
前記キーワード記憶部(7)は,前記キーワードの登場順に関するキーワード登場順情報と前記キーワードの登場順に対応した数値をさらに記憶し,
前記評価部(11)は,
前記音声解析部(3)が解析した会話の内容に含まれる,前記キーワードの数及び前記キーワードの登場順に対応した数値を用いて前記会話の内容又は会話者を評価するための値である評価値を求め,当該評価値を用いて,会話の内容又は会話を行った者を評価する,
プレゼンテーション評価システム(1)
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを格納したコンピュータが読み取ることができる情報記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,プレゼンテーション評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002-259635号公報には,議論参加者が議論する過程でなされた発言の中からキーワードを図形オブジェクトとテキストとの組み合わせにより表示するシステムが記載されている。
【0003】
特開2017-224052号公報には,音声解析端末を用いたプレゼンテーション支援装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-259635号公報
【特許文献2】特開2017-224052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プレゼンテーションを行った者(プレゼンテータ)を客観的に評価したり,複数のプレゼンテータをカテゴリー分けしたり,複数のページを含むプレゼンテーションのどのページを用いてプレゼンテータを評価することが効率的かを判断できるシステムが望まれる。この明細書に記載される発明のひとつは,上記の課題のいずれかひとつを解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に記載される発明のひとつは,キーワードや関連語の数や組み合わせ,グループ分けを通して,プレゼンテータを評価するために効率的な頁を容易に見出すことができるという知見に基づく。
【0007】
ある発明は,プレゼンテーション評価システム1に関する。このプレゼンテーション評価システム1は,音声解析部3と,プレゼンテーション資料関連情報記憶部5と,キーワード記憶部7と,関連語記憶部9と,評価部11と,を含む。
プレゼンテーション評価システム1は,例えば,コンピュータにより支援されるシステムであり,プレゼンテータのプレゼンテーションを評価する。
音声解析部3は,会話の内容を解析するための要素である。
プレゼンテーション資料関連情報記憶部5は,プレゼンテーション資料に関する情報を記憶するための要素である。
キーワード記憶部7は,プレゼンテーション資料のページ毎のキーワードに関する情報を記憶するための要素である。
関連語記憶部9は,上記の各キーワードの関連語を記憶するための要素である。
評価部11は,音声解析部3が解析した会話の内容又は会話を行った者を評価するための要素である。評価部11は,音声解析部が解析した会話の内容に含まれるプレゼンテーション資料のページ毎のキーワードの数,関連語の数,キーワードの組み合わせ,又は関連語の組み合わせに基づいて,会話の内容又は会話を行った者を評価する。
【0008】
上記の発明によれば,キーワード及び関連語の数又は組み合わせに基づいて会話の内容又は会話を行った者を評価できる。キーワードのみを用いて,会話の内容又は会話を行った者を評価すると,キーワードと実質的に同じ意味を有する関連語を用いた場合の評価が正当に評価されない。このため,キーワード及び関連語の数又は組み合わせに基づいて会話の内容又は会話を行った者を評価することで,より精度高く評価を行うことができる。評価部11は,例えば,キーワード及び関連語の数又は組み合わせに基づいて評価値を求めてもよい。そして,求めた評価値に基づいて,会話の内容又は会話を行った者を評価してもよい。なお,キーワードや関連語には係数をかけて,キーワードが用いられた場合の方が,評価値が高くなるようにしてもよい。また,特定の関連語を用いた場合の方が他の関連語を用いた場合よりも評価値が高くなるようにしてもよい。
【0009】
ページ毎のキーワード又は関連語の数又は組み合わせ(特に関連語の数又は組み合わせ)に基づいて,会話の内容又は会話を行った者を評価するものは,この明細書に記載される上記とは別の発明である。
【0010】
上記のプレゼンテーション評価システム1の好ましいものは,グループ分け部13をさらに有するものである。グループ分け部13は,音声解析部3が解析した会話の内容に含まれるプレゼンテーション資料のページ毎のキーワード及び関連語の数又は組み合わせに基づいて,会話を行った者をグループ分けするための要素である。
【0011】
この発明は,グループ分け部13をさらに有するので,例えば評価値に基づいて,プレゼンテータを効果的にグループ分けすることができる。
【0012】
上記のプレゼンテーション評価システム1の好ましいものは,ページ抽出部15をさらに有するものである。ページ抽出部15は,グループ分け部13がグループ分けしたグループについて,プレゼンテーション資料のページ毎のキーワード又は関連語の数又は組み合わせを用いて,会話の内容又は会話を行った者を評価するためのプレゼンテーション資料のページである評価用ページを抽出するための要素である。
【0013】
この発明は,ページ抽出部15を有するので,プレゼンテータを評価するためにふさわしい評価用ページを抽出できる。この評価用ページは,プレゼンテーション資料のある1頁であってもよいし,2頁以上であってもよい。
【0014】
上記のプレゼンテーション評価システム1の好ましいものは,キーワード記憶部7が,キーワードの登場順に関するキーワード登場順情報をさらに記憶する。また,キーワード記憶部7の好ましい例は,キーワードの組み合わせ順に関するキーワードの組み合わせ順情報をさらに記憶する。そして,評価部11が,音声解析部3が解析した会話の内容に含まれ,評価用ページにおけるキーワード及び関連語の数又は組み合わせに関する情報と,評価用ページにおけるキーワード登場順又は組み合わせ順情報とを用いて,会話の内容又は会話を行った者を評価する。この場合,例えば,評価用ページにおけるキーワード及び関連語の数又は組み合わせに関する情報と,評価用ページにおけるキーワード登場順又は組み合わせ順情報とを用いて,評価値を得て,その評価値を用いて,会話の内容又は会話を行った者を評価するようにしてもよい。
なお,システム1が,音声解析部が解析した会話の内容に含まれるプレゼンテーション資料のページ毎のキーワード及び関連語の数又は組み合わせや,プレゼンテーション資料のページ毎のキーワード登場順又は組み合わせ順情報を用いて会話の内容又は会話を行った者を評価してもよい。さらに,評価用ページでキーワード又は関連語を使用せず,異なるページへ進み,本来使用すべきキーワード又は関連語を評価用ページに戻って使用しても評価値を得ることができるようにしてもよい。
【0015】
上記のプレゼンテーション評価システム1の好ましいものは,評価用キーワード抽出部17と,不使用評価キーワード抽出部19と,不使用評価キーワード出力部21とをさらに有する。
評価用キーワード抽出部17は,グループ分け部がグループ分けしたグループのうちプレゼンテーション資料のページ毎のキーワードの数,関連語の数,キーワードの組み合わせの数,又は関連語の組み合わせの数が最も多いグループにおいて,評価用ページに関して用いられているキーワードを評価用キーワードとして抽出するための要素である。
不使用評価キーワード抽出部19は,不使用評価キーワードを抽出するための要素である。不使用評価キーワードは,音声解析部3が解析した会話の内容に含まれるキーワードであって,評価用ページの会話に含まれる用語に含まれないキーワードである。
不使用評価キーワード出力部21は,不使用評価キーワード抽出部19が抽出した不使用評価キーワードを出力するための要素である。
さらに,プレゼンテーション資料全体を通じて,使用頻度の高い若しくは低いキーワード又は関連語の数又は組み合わせから,プレゼンテータの得意又は不得意の傾向を提示してもよく,また,使用すべきキーワード又は関連語をレコメンドしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
この明細書に記載される発明によれば,例えば,プレゼンテーションを行った者(プレゼンテータ)を客観的に評価したり,複数のプレゼンテータをカテゴリー分けしたり,複数のページを含むプレゼンテーションのどのページを用いてプレゼンテータを評価することが効率的かを判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は,本発明のシステムを説明するためのブロック図である。
【
図2】
図2は,コンピュータの基本構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は,本発明のシステム例を示す概念図である。
【
図4】
図4は,成績優秀者によるキーワードの登録順を説明するための概念図である
【
図5】
図5は,成績優秀者ではないグループによるキーワードの登録順を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0019】
図1は,本発明のシステムを説明するためのブロック図である。本明細書に記載されるある発明は,プレゼンテーション評価システム1に関する。このシステムは,コンピュータを含んでおり,以下説明する各要素はコンピュータにより実装される要素である。コンピュータは,各種端末,携帯端末,ノート型パソコン,パーソナルコンピュータ,サーバ,及びコンピュータ-サーバシステムのいずれであってもよい。また,このシステムは,プロセッサにより実装されてもよいし,各種ハードウェアとプログラムなどのソフトウェアとの協動により実装されてもよい。
【0020】
図1に示されるように,このプレゼンテーション評価システム1は,音声解析部3と,プレゼンテーション資料関連情報記憶部5と,キーワード記憶部7と,関連語記憶部9と,評価部11と,を含む。このシステムは,グループ分け部13,ページ抽出部15,評価用キーワード抽出部17,不使用評価キーワード抽出部19,及び不使用評価キーワード出力部21のいずれか又は2つ以上の要素をさらに含むものである。
【0021】
図2は,コンピュータの基本構成を示すブロック図である。この図に示されるように,コンピュータは,入力部31,出力部33,制御部35,演算部37及び記憶部39を有しており,各要素は,バス41などによって接続され,情報の授受を行うことができるようにされている。例えば,記憶部には,制御プログラムが記憶されていてもよいし,各種情報が記憶されていてもよい。入力部から所定の情報が入力された場合,制御部は,記憶部に記憶される制御プログラムを読み出す。そして,制御部は,適宜記憶部に記憶された情報を読み出し,演算部へ伝える。また,制御部は,適宜入力された情報を演算部へ伝える。演算部は,受け取った各種情報を用いて演算処理を行い,記憶部に記憶する。制御部は,記憶部に記憶された演算結果を読み出して,出力部から出力する。このようにして,各種処理が実行される。以下説明する各要素は,コンピュータのいずれかの要素に対応していてもよい。出力部の例は,モニタや画面である。
【0022】
図3は,本発明のシステム例を示す概念図である。
図3に示されるように,本発明のシステム(本発明の装置を含むシステム)は,インターネット又はイントラネット43と接続された携帯端末45と,インターネット又はイントラネット43に接続されたサーバ47とを含むものであってもよい。もちろん,単体のコンピュータや携帯端末が,本発明の装置として機能してもよいし,複数のサーバが存在してもよい。
【0023】
プレゼンテーション評価システム1
プレゼンテーション評価システム1は,例えば,コンピュータにより支援されるシステムであり,会話の内容又は会話を行った者を評価する(例えば,プレゼンテータのプレゼンテーション)ために用いられる。このシステムは,例えば,評価値という指標を求めて,その指標を用いて会話の内容又は会話を行った者を評価する。会話の例は,MRと医師の会話や,患者と医者の会話,プレゼンテーションである。つまり,会話は双方向のものであってもよいし,一方向のものであってもよい。
【0024】
音声解析部3
音声解析部3は,会話の内容を解析するための要素であり,例えば,会話に含まれる単語を解析し,会話情報を得る。
例えば,マイクを介して,プレゼンテーション評価システムに音声が入力される。すると,プレゼンテーション評価システムは,会話(音声)を記憶部に記憶する。音声解析部3は,記憶部から会話(音声)を読み出し,会話に含まれる単語を解析し,会話情報を得る。会話情報の例は,音声を音情報に直したものである。なお,プレゼンテーション評価システムは,会話文に含まれる語句を変換するための変換語の候補を記憶したデータベースを有しており,その変換語の候補を用いて,会話を変換してもよい。
【0025】
プレゼンテーション資料関連情報記憶部5
プレゼンテーション資料関連情報記憶部5は,プレゼンテーション資料に関する情報を記憶するための要素である。
例えば,コンピュータの記憶部が,プレゼンテーション資料関連情報記憶部5として機能する。プレゼンテーション資料の例は,パワーポイント(登録商標)の各頁である。プレゼンテーション資料は,複数のページを含むあるパワーポイントなどの資料であってもよい。つまり,プレゼンテーション資料は,プレゼンテーションとして表示される表示要素を複数含む,一連のページ候補の集合であってもよい。プレゼンテーション資料は,コンピュータに格納され,表示部に表示されて話者本人,会話相手又は聴衆にプレゼンテーションを行うことができるようにされる資料である。
プレゼンテーション資料関連情報は,例えば,特定のプレゼンテーション資料を特定するための情報であるプレゼンテーション特定情報,及びプレゼンテーション資料の各頁を特定するための頁特定情報のいずれか又は両方を含む。
プレゼンテーション資料関連情報の例は,上記のプレゼンテーションの内容のほか,プレゼンテーションを呼び出すためのプレゼンテーションのID(識別番号),ページ番号情報,プレゼンテーションのカテゴリー情報,プレゼンテーションに関するタグ,プレゼンテーションに関するキーワード,プレゼンテーションの作成者情報,プレゼンテーションの作成日や更新日,プレゼンテーションのセキュリティ情報及びプレゼンテーションのソフトウェアに関する情報である。
【0026】
キーワード記憶部7
キーワード記憶部7は,プレゼンテーション資料のページ毎のキーワードに関する情報を記憶するための要素である。例えば,コンピュータの記憶部が,キーワード記憶部7として機能する。プレゼンテーション資料に関連した複数のキーワードの例は,パワーポイントの各頁に基づいて説明を行う際に用いることありうる用語である。記憶部は,パワーポイントなどのプレゼンテーション資料の各頁と関連して,複数のキーワードを格納する。記憶部は,プレゼンテーション資料の情報(例えば,ファイルIDやページ番号)と関連して,そのプレゼンテーション資料に関連した複数のキーワードを記憶する。関連語の例は,「糖尿病」,「新薬」,「XYZ」,「ABC」(他の治療剤の名称),「血糖値」,「副作用」,「血糖」,「緑内障」,「網膜症」,「インスリン」,「DC製薬」,「副作用」「添付文書」である。
【0027】
関連語記憶部9
関連語記憶部9は,上記の各キーワードの関連語を記憶するための要素である。例えば,コンピュータの記憶部が,関連語記憶部9として機能する。関連語は,キーワードと同じではないもののキーワードと関連する用語である。関連語は,キーワードと同じではないもののキーワードを意図する用語として会話において用いられる可能性のある用語であってもよい。関連語の例は,キーワードの同義語や類義語である。例えばキーワード「糖尿病」に関して,「I型」,「II型」,「生活習慣病」,「代謝異常」,「インスリン」である。なお,関連語記憶部9は,カテゴリーごとに複数の辞書が設けられていてもよい。そして,プレゼンテーション資料の情報(例えば,ファイルIDやページ番号)と関連してタグ情報が記憶される場合,そのタグ情報を用いて,適切な関連語記憶部9における辞書を選択し,選択した関連語辞書を用いて,関連語を読み出してもよい。
【0028】
評価部11は,音声解析部3が解析した会話の内容又は会話を行った者を評価するための要素である。評価部11は,音声解析部が解析した会話の内容に含まれるプレゼンテーション資料のページ毎のキーワードの数,関連語の数,キーワードの組み合わせ又は関連語の組み合わせに基づいて,会話の内容又は会話を行った者を評価する。例えば,コンピュータの記憶部,演算部,及び制御部が評価部11として機能する。この場合,例えば,記憶部にプログラムを記憶させ,プログラムの指令に基づき,評価値を求め,評価値を用いて,会話の内容又は会話を行った者を評価すればよい。評価部11の好ましい例は,音声解析部が解析した会話の内容に含まれるプレゼンテーション資料のページ毎のキーワードの数及び関連語の数に基づいて,会話の内容又は会話を行った者を評価する。
【0029】
例えば,評価部11は,記憶部から会話情報を読み出す。そして,評価部11は,例えば,各プレゼンテーション資料やそのページのIDや頁情報を用いて,キーワード記憶部7からプレゼンテーション資料のページ毎のキーワードに関する情報を読み出す。そして,評価部11は,読み出したキーワードに関する情報を用いて,関連語記憶部9からそれぞれのキーワードの関連語を読み出す。続いて,評価部11は,記憶部から読み出した会話情報に,キーワードや関連語が含まれているかを検討する演算処理を行う。そして,例えば,プレゼンテーション資料の頁ごとに,会話に含まれたキーワード,キーワードの数,関連語,及び関連語の数を記憶部に記憶する。例えば,各キーワードや関連語には,個別評価値が割り振られており,評価部11は,その個別評価値を合算して,ページごとの評価値や,プレゼンテーション全体の評価値を求める。そして,評価部11は,求めた各種の評価値を記憶部に記憶する。
【0030】
上記の発明によれば,キーワード及び関連語の数に基づいて会話の内容又は会話を行った者を評価できる。キーワードのみを用いて,会話の内容又は会話を行った者を評価すると,キーワードと実質的に同じ意味を有する関連語を用いた場合の評価が正当に評価されない。このため,キーワード及び関連語の数に基づいて会話の内容又は会話を行った者を評価することで,より精度高く評価を行うことができる。評価部11は,例えば,キーワードの組み合わせや関連語の組み合わせに基づいて評価値を求めてもよい。この場合,キーワードの組み合わせの数や関連語の組み合わせの数に基づいて,評価値を求めてもよい。そして,求めた評価値に基づいて,会話の内容又は会話を行った者を評価してもよい。なお,キーワードや関連語(又はこれらの組み合わせ)には係数をかけて,キーワードが用いられた場合の方が,評価値が高くなるようにしてもよい。また,特定の関連語を用いた場合の方が他の関連語を用いた場合よりも評価値が高くなるようにしてもよい。さらに所定の組み合わせを含む場合に評価値が高くなるようにしてもよい。
【0031】
ページ毎のキーワードの数,関連語の数,キーワードの組み合わせ又は関連語の組み合わせ(特に関連語の数又は関連語の組み合わせ)に基づいて,会話の内容又は会話を行った者を評価するものは,この明細書に記載される上記とは別の発明である。
【0032】
上記のプレゼンテーション評価システム1の好ましいものは,グループ分け部13をさらに有するものである。グループ分け部13は,音声解析部3が解析した会話の内容に含まれるプレゼンテーション資料のページ毎のキーワードの数,関連語の数,キーワードの組み合わせ又は関連語の組み合わせに基づいて,会話を行った者をグループ分けするための要素である。
【0033】
この発明は,グループ分け部13をさらに有するので,例えば評価値に基づいて,プレゼンテータ(会話者)を効果的にグループ分けすることができる。例えば,記憶部には,いくつのグループに分けるかが記憶されている。システムは,グループ数に関する情報を読み出し,評価値に基づいて,プレゼンテータをグループ分けしてもよい。また,システムは,評価値とグループの関係を記憶しておき,評価値に基づいて,対応するグループにプレゼンテータを振り分けてもよい。
【0034】
上記のプレゼンテーション評価システム1の好ましいものは,ページ抽出部15をさらに有するものである。ページ抽出部15は,グループ分け部13がグループ分けしたグループについて,プレゼンテーション資料のページ毎のキーワードの数,関連語の数,キーワードの組み合わせ,又は関連語の組み合わせを用いて,会話の内容又は会話を行った者を評価するためのプレゼンテーション資料のページである評価用ページを抽出するための要素である。
【0035】
この発明は,ページ抽出部15を有するので,プレゼンテータを評価するためにふさわしい評価用ページを抽出できる。この評価用ページは,プレゼンテーション資料のある1頁であってもよいし,2頁以上であってもよい。
【0036】
上記のシステムの別の態様は,評価部11が,音声解析部が解析した会話の内容に含まれるプレゼンテーション資料のページ毎のキーワードの数及び関連語の数に基づいて,会話の内容又は会話を行った者を評価するものである。そして,この態様のグループ分け部13は,キーワードの数及び関連語の数に基づいて,会話を行った者をグループ分けする。そして,この態様のページ抽出部15は,グループ分け部13がグループ分けしたグループについて,キーワードの数及び関連語の数を用いて,評価用ページを抽出する。
【0037】
上記のシステムの別の態様は,音声解析部3と,プレゼンテーション資料関連情報記憶部5と,キーワード記憶部7と,評価部11と,グループ分け部13とページ抽出部15を有するものである。そして,この態様の評価部11は,音声解析部3が解析した会話の内容に含まれる前記プレゼンテーション資料のページ毎のキーワードの数又はキーワードの組み合わせに基づいて,会話の内容又は会話を行った者を評価する。また,この態様のグループ分け部13は,キーワードの数又はキーワードの組み合わせに基づいて,会話を行った者をグループ分けする。そして,この態様のページ抽出部15は,グループ分け部13がグループ分けしたグループについて,キーワードの数,又はキーワードの組み合わせを用いて,評価用ページを抽出する。この態様では,キーワードの数のみに基づいて,グループ分けを行い,評価用ページを抽出してもよい。
【0038】
このように,このシステムは,プレゼンテーション資料のページ毎のキーワードの数,関連語の数,キーワードの組み合わせ,及び関連語の組み合わせのうち1つ又は2つ以上やさらにほかの要素を適宜用いて,評価値を求め,その評価値に基づいて,会話の内容又は会話を行った者を評価し,グループ分けし,評価用ページを抽出してもよい。
【0039】
上記のプレゼンテーション評価システム1の好ましいものは,キーワード記憶部7が,キーワードの登場順に関するキーワード登場順情報をさらに記憶する。そして,評価部11が,音声解析部3が解析した会話の内容に含まれ,評価用ページにおけるキーワード及び関連語の数に関する情報と,評価用ページにおけるキーワード登場順情報とを用いて,会話の内容又は会話を行った者を評価する。この場合,例えば,評価用ページにおけるキーワード及び関連語の数に関する情報と,評価用ページにおけるキーワード登場順情報とを用いて,評価値を得て,その評価値を用いて,会話の内容又は会話を行った者を評価するようにしてもよい。
なお,システム1が,音声解析部が解析した会話の内容に含まれるプレゼンテーション資料のページ毎のキーワード及び関連語の数又は組み合わせや,プレゼンテーション資料のページ毎のキーワード登場順又は組み合わせ順情報を用いて会話の内容又は会話を行った者を評価してもよい。
【0040】
上記のプレゼンテーション評価システム1の好ましいものは,評価用キーワード抽出部17と,不使用評価キーワード抽出部19と,不使用評価キーワード出力部21とをさらに有する。
評価用キーワード抽出部17は,グループ分け部がグループ分けしたグループのうちプレゼンテーション資料のページ毎のキーワード及び関連語の数又は組み合わせが最も多いグループにおいて,評価用ページに関して用いられているキーワードを評価用キーワードとして抽出するための要素である。
不使用評価キーワード抽出部19は,不使用評価キーワードを抽出するための要素である。不使用評価キーワードは,音声解析部3が解析した会話の内容に含まれるキーワードであって,評価用ページの会話に含まれる用語に含まれないキーワードである。
不使用評価キーワード出力部21は,不使用評価キーワード抽出部19が抽出した不使用評価キーワードを出力するための要素である。
不使用評価キーワード出力部21が,不使用評価キーワードを出力すると,例えば,システムは,不使用評価キーワードを評価用のキーワードから削除するようにしてもよい。このようにすることで,システムはキーワードマッチングの数を減らすことができ,会話や会話者の評価を迅速に行うことができることとなる。
【0041】
この発明は,コンピュータを上記したいずれかのシステムとして機能させるためのプログラムや,そのようなプログラムを格納したコンピュータが読み取ることができる情報記録媒体(例えば,DVD,CD-ROM,USBメモリ,ハードディスク,SIMカード)を含む。
【実施例0042】
以下実施例を用いて,この発明を具体的に説明する。もっとも,この発明は,以下の実施例に限定されず,公知の要素に基づいて適宜修正したものも,この発明に含まれる。
【0043】
この例では,ある企業のプロジェクトマネージャー(PM)がスライドをシステムに登録した。換言すると,あるスライドが,システムに入力され,システムはそのスライドを記憶部に記憶した。
【0044】
そのPMが,音声認識用キーワードをそのスライドの各ページについて設定した。換言すると,システムは,入力されたスライドの各ページについて,音声認識用キーワードを入力できるようにされている。そして,システムは,入力されたキーワードを,そのスライドの各ページと関連して記憶部に記憶した。
【0045】
プレゼンテータ(この例では200人のMR(医薬情報担当者))が各自の端末を用いて,そのスライドに基づいて,プレゼンテーションを行った。各端末には,音声端末(マイク)がついており,プレゼンテーションの音声が,システムに入力される。以下の処理は,各端末が行ってもよいし,各端末と通信可能なサーバによって,各種演算が行われてもよい。また,各端末にはカメラが設置され,動画が撮影され,動画がシステムに入力されてもよい。動画は,プレゼンテータを撮影してもよいし,聴衆(例えばMRの説明を受けている医者)を撮影してもよい。いずれにせよ,音声,又は動画が,入力部を経て,システムに入力される。入力された音声や動画は,記憶部に記憶されてもよい。
【0046】
システムの音声解析部が,会話(プレゼンテーション)の内容を解析した。システムが,スライドのページごとのキーワードを読み出し,ページごとに,設定されたキーワードがいくつ用いられたかで,グループ分けを行った。プレゼンテータの成績に基づくグルーピングは,表1の通りであった。グルーピングは,スライド全体のキーワードの発話率の高い順にグループ分けしたものを用いた。発話率が高い(キーワードをよく発言した)者がグループ7に属し,発話率が低い者がクループ1に属するように,グループ分けした。発話率は,グループに含まれるメンバーが,設定されたキーワードの何パーセントを発話したかについての平均をとったものである。表1では,すべてのページのキーワードのうち,何パーセントを発話したかを発話率とした。なお,プレゼンテータに関するデータベースが存在し,プレゼンテータの成績に基づくグルーピングがなされ,記憶されてもよい。
【0047】
【0048】
各頁のキーワード数,各グループのキーワードの発話率は,以下の表2の通りであった。表1では,各ページのキーワードのうち,何パーセントを発話したかを発話率とした。
【表2】
【0049】
表2に示される通り,13頁や18頁は,全体のグルーピングと同様の傾向を示すことが分かった。システムは,全体のグルーピング分けを行い,その後に,ページごとにグルーピングを行う。そして,グルーピングの傾向(数値の大きいグループのほうが,評価値や発話率が高まる)が一致するページを評価対象頁として抽出してもよい。このシステムは,13頁又は18頁を,評価対象頁(評価用ページ)として決定し,記憶部に記憶した。このように,評価対象頁を決定すると,それ以降の評価について,スライドのすべての情報を解析しなくても,評価対象頁におけるキーワードの発話率を評価するだけで,プレゼンテータの優秀さを評価できるため好ましい。
【0050】
なお,各キーワードについて,関連語を記憶しておき,その関連語が発話された場合にも,関連するキーワードが発話されたと解釈してもよい。例えば,強調することが望ましい,死亡例について,キーワード「ない」は,「なし」,「なく」,「ありません」などの関連語があり,それらの関連語がシステムに記憶されており,キーワード「ない」がシステムに入力された際に,自動的に,関連語が読み出されてもよい。そして,会話に,関連語があると解析された際には,自動的に,キーワードが発話されたとして処理されてもよい。
【0051】
この例では,キーワードの数に基づいて,発話率を求め,プレゼンテータを評価した。発話率ではなく,評価値を求めて,会話の内容又は会話を行った者を評価するようにしてもよい。評価値の例は,キーワードのみならず,関連語も発話されたか否か解析し,キーワードや関連語のそれぞれに点数を振っておき,評価値を求めるものである。また,評価値は,キーワードや関連語の数に基づいたものであってもよい。さらに,例えば,会話に,キーワードの組み合わせや関連語の組み合わせ(例えば,「糖尿病」と「改善」,「薬剤A」(薬剤名)と「添付文書」)が含まれる場合に,高い数値を与えるようにしてもよい。
【0052】
図4は,成績優秀者によるキーワードの登録順を説明するための概念図である。
図4に示される通り,成績優秀者は,各キーワードの発話率が高いだけではなく,キーワードを用いる順番についても規則性があることが分かった。このため,例えばキーワードAの次に,キーワードBが来た場合に,加点する,A→B→Cが来た場合に,さらに加点するといったように,キーワードの登録順に応じて数値を記憶し,その数値を加算して,評価値を求めるようにしてもよい。また,キーワード群AとBの後に,キーワード群CとDとが来た場合に,数値を加算し,評価値を求めるようにしてもよい。
【0053】
図5は,成績優秀者ではないグループによるキーワードの登録順を説明するための概念図である。
図4と
図5とを比較すると,成績優秀者は,会話におけるキーワードの出現順に規則性があるのに対し,そうでないグループはキーワードが出現してもその順番が一定ではないことがわかる。つまり,成績優秀者は,あるプレゼンテーション資料を説明する際に,用語を用いる順番に統一性があり,同じ文脈で説明していることがわかる。