(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162372
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】セラミックテープを製造するプロセス
(51)【国際特許分類】
C04B 35/64 20060101AFI20231031BHJP
C04B 35/486 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
C04B35/64
C04B35/486
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023140876
(22)【出願日】2023-08-31
(62)【分割の表示】P 2022023664の分割
【原出願日】2016-06-28
(31)【優先権主張番号】62/185,950
(32)【優先日】2015-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エドワード バディング
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ジョセフ ボートン
(72)【発明者】
【氏名】ジャックリーン レスリー ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ジョセフ カリー
(72)【発明者】
【氏名】ローマン イー ハーニー
(72)【発明者】
【氏名】ランリック ウェイン ケスター
(72)【発明者】
【氏名】トーマス デイル ケッチャム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アルバート オレニク
(72)【発明者】
【氏名】キャスリーン リッター オレニク
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー パーナネン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シルヴァーブラット
(72)【発明者】
【氏名】デル ジョセフ セイント ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスワナータン ヴェンカテスワラン
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン マイケル ジンク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】効率的に製造できる一方で、表面欠陥の数が少ないこと等により良好な機械的特性も有する、セラミックテープを製造するプロセスおよびセラミックテープを提供する。
【解決手段】製造ラインは、素地材料のテープを含み、これは炉を通るように配向され、これにより上記炉は、セッタボードを用いずに、有機バインダ材料をバーンオフしてから上記テープを部分的に焼結する。この製造ラインから得られる焼結済み物品は、薄く、かつ比較的大きな表面積を有してよく、また略未研磨である場合、焼結によって誘発される表面欠陥をわずかしか有しない。部分的に焼結済みのテープが上記製造ラインの第2の炉を通過する際に、部分的に焼結済みのテープに張力を印加することにより、結果として得られる焼結済み物品を成形してよい。炉は、好ましくは垂直に配向され、好ましくは連続的に稼働される。好ましくは、テープを形成するためにセラミック材料を使用する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックテープを製造するプロセスであって、
前記プロセスは:
(a)互いに部分的に焼結したセラミック粒子から形成されたテープを、炉の中に移動させ、また該炉を通して移動させるステップ;
(b)さらに、前記テープを、前記炉を通して移動させる際に焼結するステップ;および
(c)前記テープが焼結する際に、該テープに張力をかけて、該テープを成形するステップ;
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記テープに張力をかけるステップが複数の張力調節器により行われ、前記複数の張力調節器同士間のテープの張力が、前記複数の張力調節器同士間以外の位置におけるテープの張力より大きい、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記テープが焼結する際に、前記張力調節器同士間のテープの張力が該テープを平坦に保持する、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
焼結した前記テープが、破損することなく、20メガパスカルの張力を支持する、請求項1から3いずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
長い焼結済みセラミックテープであって、
長さが少なくとも10mであり、
幅が少なくとも10mmであり、
厚さが、少なくとも10μmであるとともに、500μmを超えず、
アルミナ、ジルコニア、リチウムガーネット、又はスピネルを含む、長い焼結済みセラミックテープ。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下で、2015年6月29日出願の米国仮特許出願第62/185,950号の優先権の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の内容は信頼できるものであり、参照によりその全体が本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示の態様は、有機バインダ中で結合した多結晶質セラミック粒子を含む素地テープ等の素地テープを焼結するためのプロセス、及びこのようなプロセスによって作製されたセラミックシート又はテープ等の焼結済み物品に関する。
【背景技術】
【0003】
セラミックの薄型シート、テープ又はリボンといった物品は、このセラミックが光に対して透過性である場合には導波路としての利用、コーティング若しくは積層してバッテリ及び他のコンポーネントに統合してよい基板としての利用、又は他の用途といった、多くの潜在的な使用法を有する。このような物品は、焼結済み材料の大型インゴットを形成するステップ、上記材料の小片又はプレートの切断ステップ、並びに対応する物品を所望の形状及び表面品質まで研磨するステップによって製造できる。研磨は、物品の表面のきず又は欠陥の除去に役立つが、時間及びリソースを消費する。
【0004】
このような物品は、テープキャスト、ゲルキャスト、又は有機バインダ中で結合した無機粒子のストリップ等の素地テープの焼結を含む他のプロセスによっても、製造できる。典型的には、素地テープをセッタボードと呼ばれる表面上に起き、炉内に入れ、この炉が有機バインダをバーンオフし、無機粒子を焼結する。セッタボードは典型的には、焼結プロセスに耐えられる耐火性材料から形成される。セッタボードは、バインダを除去する際に上記テープを支持する。
【0005】
出願人らは、焼結によって素地テープが収縮し、収縮中に素地テープがそれ自体の一部を、セッタボードを横切って引きずることを観察した。これにより、結果として得られる焼結済み物品の被支持側は、セッタボードの耐火性材料から焼結済み物品に転移した、引きずり溝(drag groove)、焼結済みデブリ、不純物パッチ等といった表面欠陥を有する。
図1及び2は、焼結中にセッタボードによって引き起こされた欠陥等の、焼結済みセラミック物品110、210上の表面欠陥112、212の例を示す。出願人らは、これらの欠陥が、応力集中及び割れ開始部位をもたらすことによって、各物品の強度を低下させると考えている。
【0006】
更に、極めて薄い焼結済み物品(例えばシート、テープ、リボン)を製造する際、出願人は、上記焼結済み物品がある時点で、研磨が不可能ではないにしても困難となるほど薄くなり得ると仮定している。従ってこのような物品に関して、当業者は、焼結中にセッタボードによって誘発される表面欠陥、又は切断によって引き起こされる欠陥を除去できなくなる場合がある。同様に、依然として薄いものの比較的厚い物品に関して、出願人は、上記物品がある時点で、研磨するには大きすぎる表面を有すると仮定している。表面積が大きい脆性及び/又は薄型シートを用いる場合の従来の研磨設備の制御は、厄介な及び/又は不可能なものであり得る。従って、薄型物品、特に、平坦性、平滑性及び/若しくは無欠陥表面といった一般的に研磨に関連する品質を有する、表面積が比較的大きい薄型物品は、従来の製造方法を用いて得ることができない場合があり、並びに/又は当業者は、製造の困難さ及び関連する物品あたりのコストの克服が強く妨げられるため、このような物品の製造の試みを回避する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
焼結されていてよい多結晶質セラミック、金属又は他の材料のテープ及びシート等の物品を作製するための設備及び製造プロセスに対して、需要が存在し、上記物品を効率的に、例えば過剰な研磨を行わずに製造できる一方で、表面欠陥の数が少ないこと等により、良好な機械的特性も有する。このような物品は:バッテリ内、プリント回路基板上等の基板として;ハンドヘルドデバイス用等の、ディスプレイ用のカバーシートとして、有用となり得、又は上記物品はその他の様式で有用となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
出願人は、素地テープを焼結するプロセスからセッタボードを取り除く技術を発見した。この場合、結果として得られる焼結済み物品は研磨しなくてよく、それでも良好な機械的特性を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される技術は連続製造ラインに関し、ここで連続テープは、有機バインダによって保持された無機粒子を含む素地セクションを含む。この製造ラインにおいて、素地セクションは、バインダをバーンオフ又は炭化して同一のテープの未結合セクションを形成するための、第1の高温位置に向けられる。次に上記製造ラインに沿って、未結合セクションは、無機粒子の少なくとも部分的な焼結のための第2の高温位置を通過する。上記第1及び第2の高温位置は、製造ライン上の同一の又は異なる炉によって加熱してよい。テープが第2の高温位置において部分的にしか焼結されていない場合にテープの焼結を完了するための第3の高温位置等といった、テープを更に加工するための追加の高温位置が、製造ライン上に存在してよい。第2の高温位置における部分的な焼結により、テープは、第3の高温位置において更に焼結を行うために、テープに張力を印加でき、ここで上記張力は、テープを平坦に保持し、これにより、特定の平坦な焼結済みシート、及び/又は焼結誘発型表面欠陥が少ないシートが容易に得られる。
【0009】
以上のことは、第2の高温位置を通過した後に素地テープを、セッタボードによる素地テープの支持が必要ないように配向すること、例えばテープを垂直に配向することによって、部分的に達成される。驚くべきことに、出願人は、テープのバインダをバーンオフ又は炭化しているにもかかわらず、未結合セクションの下方のテープの重量は、少なくとも部分的な焼結が発生する前に、未結合セクションにおいてテープを必ずしも切断する又は引き裂くことはないことを発見した。出願人は、テープは、セッタボードを用いずに、少なくとも部分的な焼結のために十分な時間、それ自体を一体に保持できることを発見した。その結果、焼結済み物品は、典型的にはセッタボードによって引き起こされる、焼結中に生成される、接触誘発型表面欠陥を有しない。焼結済み物品の両側の表面は、欠陥の数が一致しており、この数は、結果として得られる焼結済み物品が、より多くの表面欠陥を有する物品に対して改善された機械的特性、例えば増大した引張強度を有することができるよう、十分に小さい。
【0010】
追加の特徴及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」に記載され、またその一部は、当業者には「発明を実施するための形態」から容易に明らかとなるか、又は本記載及び特許請求の範囲並びに添付の図面に記載された実施形態を実施することによって認識されるだろう。以上の「発明の概要」及び以下の「発明を実施するための形態」はいずれも単なる例示であり、特許請求の範囲の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図したものであることを理解されたい。
【0011】
添付の図面は更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する。これらの図面は1つ以上の実施形態を図示し、「発明を実施するための形態」と併せて、様々な実施形態の原理及び動作を説明する役割を果たす。従って本開示は、以下の「発明を実施するための形態」を添付の図面と併せて解釈することにより、更に完全に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】表面欠陥を有するセラミック材料のデジタル画像
【
図2】表面欠陥を有するセラミック材料のデジタル画像
【
図3A】例示的な実施形態による製造ラインの概略図
【
図3B】
図3Aの製造ラインに沿った位置に対する温度を概念的に示すプロット
【
図5】例示的な実施形態による製造ラインの、テープを加工している際のデジタル画像
【
図6A】焼結済みセラミックの未研磨表面のデジタル画像
【
図6B】未研磨の焼結済みセラミックの概念的な側部プロファイル
【
図7A】焼結済みセラミックの研磨済み表面のデジタル画像
【
図7B】研磨された焼結済みセラミックの概念的な側部プロファイル
【
図8】例示的な実施形態による、材料の薄型焼結済みテープの形態の焼結済み物品の斜視図
【
図9】別の例示的な実施形態による製造ラインの概略側面図
【
図10】他の例示的な実施形態による製造ラインの斜視図
【
図11】他の例示的な実施形態による製造ラインの斜視図
【
図12】例示的な実施形態による製造ライン又はその一部分の概略図
【
図13】別の例示的な実施形態による製造ライン又はその一部分の概略図
【
図14】更に別の例示的な実施形態による製造ライン又はその一部分の概略図
【
図15】セッタボード上で焼結された薄型セラミックシートの、100倍の倍率での顕微鏡写真
【
図16】概ね
図15に示す点線の枠内からの、
図15と同一のシートの500倍の倍率での顕微鏡写真
【
図17】本明細書において開示されている本発明のプロセスを用いて作製された、部分的に焼結されたテープと完全に焼結されたテープとの比較(白色の紙の上に暗色の文字を重ねている)
【
図18】本明細書において開示されている本発明のプロセスを用いて作製された、部分的に焼結されたテープと完全に焼結されたテープとの比較(白色の紙の上に暗色の文字を重ねている)
【
図19】本明細書において開示されている本発明のプロセスを用いて焼結された薄型セラミックシートの、100倍の倍率での顕微鏡写真
【
図20】
図19と同一のシートの、500倍の倍率での顕微鏡写真
【
図21】幅方向(
図21)及び長さ方向(
図22)の高さプロファイルを伴う、例示的な実施形態によるテープの表面スキャン
【
図22】幅方向(
図21)及び長さ方向(
図22)の高さプロファイルを伴う、例示的な実施形態によるテープの表面スキャン
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の「発明を実施するための形態」、及び例示的な実施形態を詳細に図示する図面に移る前に、本発明の技術は、「発明を実施するための形態」に記載された、又は図面に図示された詳細又は方法論に限定されないことを理解されたい。例えば、当業者には理解されるように、図面のうちの1つに図示された実施形態に関連する、又はこれらの実施形態のうちの1つに関連する本文に記載されている、特徴及び属性は、図面のうちの別の1つに図示されている実施形態又は本文の他の箇所に記載されている実施形態にも良好に適用できる。
【0014】
図3A~3Bを参照すると、製造ライン310は、炉システム312と、炉システム312内へと延在する、側面図で示されたテープ314等の被加工物(例えばリボン、テープ、ウェブ、ライン、材料)とを含む。テープ314を、カーブ又はローラ316の周りにルーティングして、炉システム312に向かって配向してよい。例示的な実施形態によると、炉システム312は通路318を含み、これは、バインダバーンオフ位置B、及び/又は上記テープがバインダバーンオフ位置Bを通過した後にテープ314を少なくとも部分的に焼結するための焼結位置Cを含む。いくつかの実施形態では、バインダバーンオフ位置Bは焼結位置Cに隣接し、例えば製造ライン310に沿って焼結位置Cのすぐ上又は下、例えば1メートル以内、50センチメートル以内、10センチメートル以内にある。以下で議論するように、バインダバーンオフ位置Bと焼結位置Cとの近接配置により、焼結前にテープ314をバインダによって結合されていない状態とする時間/長さが削減される。
【0015】
例示的な実施形態によると、炉システム312の通路318は、テープ314が、炉システム312の、少なくともバインダのバーンオフを目的とするセクション(例えばバインダバーンオフ位置B)の表面322及び/又はテープ314の少なくとも部分的な焼結を目的とするセクション(例えば焼結位置C)の表面320と接触することなく、通路318を通って概ね垂直に延在できるように配向される。例えば通路318は、テープ314が概ね垂直に延在でき、また水平方向に対して45~135°、例えば60~120°、例えば90°±10°に配向された経路に沿って上方及び/又は下方に移動できるように、配向してよい。テープ314が焼結位置Cの表面320及び/又はバインダバーンオフ位置Bの表面322に接触することなく、テープ314がバインダバーンオフ位置B及び/又は焼結位置Cを通過すると、接触による材料の転移及び/又はテープ314のスコーリング若しくはその他の形状変化が低減されることにより、テープ314を炉システム312で加工する際のテープ314の表面品質が改善されると考えられる。
【0016】
例示的な実施形態によると、テープ314の第1のセクションは素地テープセクション314Aであり、これは製造ライン310に沿った位置Aに位置決めしてよい。例示的な実施形態によると、素地テープセクション314Aは、有機バインダ(例えばポリビニルブチラール、ジブチルフタレート、ポリアルキルカーボネート、アクリルポリマー、ポリエステル、シリコーン等)によって結合された多結晶質セラミック及び/又は鉱物(例えばアルミナ、ジルコニア、リチウムガーネット、スピネル)を含む。考えられる実施形態では、素地テープセクション314Aは、有機バインダ中で結合した金属粒子を含んでよい。他の考えられる実施形態では、素地テープセクション314Aは、有機バインダによって結合された、ガラス粒子(例えば高純度シリカ粒子、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス)又は他の無機粒子を含んでよい。考えられる実施形態では、素地テープセクション314Aは、有機バインダ中で結合したガラスセラミック粒子(例えばコーディエライト、LAS(リチウム‐アルミノシリケート)、ナシコン構造リン酸リチウム金属、セルシアン)を含んでよい。例示的な実施形態によると、素地テープセクション314Aは、約0.01~約25体積%の多孔率を有し、及び/又は上記無機粒子は、50~1000ナノメートルの中央粒径と、2~30m2/gのブルナウアー・エメット・テラー(Brunauer, Emmett and Teller:BET)表面積とを有する。他の考えられる実施形態では、上記材料は、無機バインダ若しくは他のバインダによって結合してよく、及び/又は上記材料は他のサイズ若しくは他の多孔率を有してよい。
【0017】
素地テープセクション314Aがバインダバーンオフ位置Bを通過する際、炉システム312は、酸化、揮発及び/又は架橋によって、素地テープセクション314Aからバインダ材料を、例えばバインダの少なくとも90%等、バインダの大半を、バーンオフする及び/又は炭化させるよう構成される。例示的な実施形態によると、素地テープセクション314Aは、バーンオフ位置Bを通して自立しており、バーンオフ位置Bの表面322に接触する必要がなく及び/又は接触しない。
【0018】
バインダバーンオフ位置Bを越えると、テープ314はもはや「素地(green)」ではなく、テープ314の第2のセクションは、未結合テープセクション314B(例えばバーンオフ済みテープセクション、炭化済みバインダテープセクション)となり、これは焼結されていなくてもよく、更にバインダを含まないか又は炭化したバインダを含んでよい。未結合テープセクション314Bは、有効な及び/又は未炭化のバインダを含まないため、当業者は、この未結合テープセクション314Bが、例えばバインダの不足によって、それ自体の重量、又は未結合テープセクション314Bの下方のテープ314の部分の重量により、簡単に崩壊するか又は落下すると予想できる。しかしながら出願人は、テープ314を適切に扱えば、例えばテープ314に対する張力を制御すれば、並びに/又はテープ314が、テープ314の無機材料(例えばセラミック粒子)の少なくとも部分的な焼結の前に屈曲及び/若しくは再配向されなければ、未結合テープセクション314Bが、バインダをバーンオフ及び/又は炭化しているにもかかわらず、無傷のままとなり得ることを発見した。
【0019】
引き続き
図3Aを参照すると、テープ314の未結合テープセクション314B部分は、焼結位置C内を及び/又は焼結位置Cの側を通過し、炉システム312は、未結合テープセクション314Bの多結晶質セラミック又は他の無機材料を少なくとも部分的に焼結するよう構成される。例えば、多結晶質セラミック粒子は、テープ314が依然として高い多孔率(例えば少なくとも10体積%、少なくとも30体積%)を有したまま、粒子が互いに結合又は融着するように、焼結でき、ここで「多孔率(porosity)」は、多結晶質セラミック等の無機材料が占有していないテープの体積の部分を指す。
【0020】
少なくとも部分的に焼結すると、テープ314の対応するセクションは、少なくとも部分的に焼結済みのテープセクション314Cとなる。少なくとも部分的に焼結済みのテープセクション314Cを部分的かつ不完全に焼結することにより、テープ314の強度を、後続のテープ314の成形が容易になるようにテープ314に張力を印加できる程度にまで、増大させることができる。例示的な実施形態によると、張力下において、テープ314の更なる焼結を行うことにより、特に平坦な、又は他の形状の焼結済み物品を製造する(概して
図5を参照)。
【0021】
例示的な実施形態によると、製造ライン310は張力調節器324を更に含み、これは、少なくとも部分的に焼結済みのテープセクション314Cと直接相互作用すること等によって、テープ314の張力に影響を及ぼす。張力調節器324は、テープ314の張力を制御して、張力調節器324の上方と下方とで分離させることができ、これにより、張力調節器324の両側においてテープ314の一部分の張力を異なるものとすることができる。いくつかの実施形態では、張力調節器324は空気軸受を含み、この空気軸受では、テープ314が製造ライン310を通って移動する方向に、又はその反対方向に空気を配向することによって、例えばテープ314の張力を調整できる。他の実施形態では、張力調節器324は、テープ314を押し引きしてテープ314の張力に影響を及ぼす、ニップローラを含む。更に他の実施形態では、張力調節器324はホイールであってよく(例えば
図12参照)、ここでは、上記ホイールの表面上の摩擦及び上記ホイールの回転が、テープ314の張力に影響を及ぼす。上述のように、テープ314の張力を用いて、例えば焼結位置C又は製造ライン310に沿った他の位置において、テープ314を焼結する際にテープ314を成形できる。更に、張力調節器324がテープ314に印加する張力(正又は負の量)により、テープセクション314Bの張力に影響を及ぼすことによって、該セクションを一体に保持するのを支援できる。
【0022】
ここで
図3Bを参照すると、テープ314の温度は、製造ライン310に沿ったテープ314の特定の部分の位置の関数として、テープ314の長さに沿って変動し得る。バインダバーンオフ位置Bに入る前の素地テープセクション314Aは、室温(例えば約25℃)等の第1の温度であってよい。バインダバーンオフ位置B付近では、テープ314の未結合テープセクション314Bの温度は、素地テープセクション314Aより高くてよく、例えば少なくとも200℃、少なくとも400℃であってよい。焼結位置C付近及び焼結位置Cでは、テープ314の温度は、バインダバーンオフ位置B付近のテープ314の温度より更に高くてよく、例えば焼結位置Cにおいて少なくとも800℃、少なくとも1000℃である。そして、製造ライン310に沿った焼結位置Cより後ろの位置にあるテープ314の部分は、焼結位置Cにあるテープ314の部分より、及び/又はバインダバーンオフ位置Bにあるテープ314の部分より低い温度であってよく、例えば室温である。
【0023】
図4を参照すると、炉システム410は、炉システム410を少なくとも部分的に通って、例えば炉システム410の深さL1を完全に通って延在する通路414を画定するガイド412を含む。いくつかの実施形態では、ガイド412は、耐火性材料から形成してよいチューブ又はシャフトであってよい。例示的な実施形態によると、通路414は一般に、略垂直に配向され、これにより、通路414を通って延在する細長い被加工物(例えば可撓性素地テープ、リボン、ライン;概して
図3Aのテープ314を参照)を、重力が真っ直ぐ引っ張ることができる、又は重力が上記細長い被加工物の長さに沿ってその他の様式で作用できる。炉システム410のいくつかの適用例において、上記被加工物は通路414より幅狭であってよく、またガイド412の表面に接触しないよう、通路414内に位置決めされてよい。炉システム410は、製造ライン310等の製造ライン内で使用できる。
【0024】
例示的な実施形態によると、炉システム410の通路414は、炉システム410を通って延在する深さ寸法L1と、深さ寸法L1に対して垂直な(
図4内へ、そして
図4から外へと延在する)幅寸法と、深さ寸法L1及び上記幅寸法の両方に対して垂直なギャップ寸法L2とを有する。例示的な実施形態によると、通路414の深さ寸法L1は上記幅寸法より大きく、上記幅寸法はギャップ寸法L2より大きい。例示的な実施形態によると、ギャップ寸法L2は、少なくとも1ミリメートル、例えば少なくとも2ミリメートル、少なくとも5ミリメートル、及び/又は500センチメートル以下である。いくつかの実施形態では、上記幅寸法及び上記ギャップ寸法は互いに等しく、従って通路414は円筒形である。
【0025】
図4を参照すると、炉システム410は、バインダバーンオフ位置B’及び焼結位置C’を含む。バーンオフ位置B’は、バインダ材料を被加工物から燃焼させるよう構成され、焼結位置C’は、被加工物を少なくとも部分的に焼結するよう構成される。例示的な実施形態によると、炉システム410は、電気抵抗加熱素子、ガス若しくはオイルバーナ、又は他の熱源といった熱源416を含む。いくつかの実施形態では、熱源416は、焼結位置C’の少なくとも1つの部分を取り囲み、及び/又は耐火性材料から形成してよいバリア若しくは壁418等によって、バーンオフ位置B’から隔離される。例示的な実施形態によると、炉システム410の熱源416は、バーンオフ位置B’の上方又は下方に位置決めされる。従って熱は、焼結位置C’からバインダバーンオフ位置B’へと相乗的に通過できる。他の実施形態では、バーンオフ位置Bは、焼結位置C’から隔離された熱源を有してよい。
【0026】
バインダバーンオフ位置B’に入る前の被加工物は、室温(例えば25℃)等の第1の温度であってよい。バインダバーンオフ位置B’付近では、被加工物の温度は室温より高くてよく、例えば少なくとも200℃、少なくとも400℃であってよい。被加工物が焼結位置C’に近づき、焼結位置C’を通過する際、被加工物の温度は、バインダバーンオフ位置B’付近の被加工物の温度より更に高くてよく、例えば少なくとも800℃、少なくとも1000℃である。被加工物の、焼結位置C’を超えて、焼結位置C’のバインダバーンオフ位置B'とは反対側にある部分は、更に低い温度であってよく、例えば室温であってよい。
【0027】
ここで
図5を参照すると、3モル%イットリア安定化ジルコニア(3YSZ)素地セラミックの成形物を、米国特許第8,894,920号明細書に記載されているように製造できる。一例では、この成形物から、幅2.5cm×長さ5mの材料の素地テープ512を切り出した。素地テープ512を円筒形ローラ514上に巻きつけた後、
図5に示すような炉システム516(
図4に示す炉システム410も参照)内へと、2インチ/分(5.08cm/分)という制御された速度で供給した。炉システム516の焼結位置C’’は、1200℃に保持された。バインダバーンオフ位置B’’は、バインダのバーンオフのための領域を提供するために、断熱され、アルミナ繊維ボードから構築された。バインダバーンオフ位置B’を、炉システム516の焼結位置C’’を出る高温ガスによって加熱した。
【0028】
図示されている構成510において出願人は、長さ10インチ(25.4cm)のバインダバーンオフ位置B’’(長さが垂直方向であるものとして図示されている)によって、テープ512を、最高約3インチ/分(7.62cm/分)で良好に供給できることを発見した。図示されている炉システム516の焼結位置C’’は12インチ(30.48cm)であり、これにより、焼結位置C’’にある合計時間は約4~6分であった。炉システム516の出口において、3YSZテープ512’は部分的に焼結され、相対密度約0.65を有していた。3YSZテープ512’は、取り扱いに十分な強度を有し、可撓性であり、厚さ約40マイクロメートルである。
図5に示すように、数メートルの焼結済みテープ512’を、支持用プラスチックキャリアフィルム518上へと再配向した。
【0029】
出願人は、ポリビニルブチラール(PVB)バインダに関してバインダバーンオフ位置B’’の温度を約200~600℃とするべきであることを発見した。出願人は、このバインダバーンオフ位置B’’が十分な長さを有することにより、炉システム516を通過するテープ速度を速くすることもできることを発見した。というのは、バインダバーンオフ位置B’’が短すぎる場合、バインダが過剰な速度で除去される場合があり、これは制御されないバインダ除去及びテープ512の破損を引き起こし得るためである。更に出願人は、バインダバーンオフ位置B’’の長さが、テープ512を良好に焼結できる速度に関連することを発見した。例示的な実施形態によると、バインダバーンオフ位置B’’の長さは、少なくとも2インチ(5.08cm)及び/又は50インチ(127cm)以下、例えば少なくとも4インチ(10.16cm)及び/又は20インチ(50.8cm)以下である。他の考えられる実施形態では、バインダバーンオフ位置B’’は、上述の範囲外の長さを有してもよい。
【0030】
引き続き
図5を参照すると、別の例では、この場合はアルミナ素地セラミックであるテープ512を、構成510を用いて製造及び焼成した。テープ512を成形するプロセスは、バッチ形成ステップ、粉砕ステップ、脱ガス(又は脱気)ステップ、濾過ステップ、及びテープ製造ステップを含んでいた。バッチ形成のために、アルミナ粉末を、バインダ、分散剤、可塑化剤及び消泡剤を含む水系テープ成形成分と混合した。使用される成分はPolymer Innovations製であり、水溶性のアクリル系バインダを含んでいた。
【0031】
粉砕に関しては、例えば:ボールミル粉砕、高せん断混合、摩擦粉砕、振動粉砕、ローラ粉砕及び同様の方法によって、バッチ形成済みの材料をミル内で粉砕及び混合した。この粉砕ステップにより、粒子の凝集を解き、均一で良好に分散したスラリーを生成する。いくつかの実施形態では、出願人は、Union Process製の摩擦ミル(撹拌ボールミルと呼ばれる場合もある)が、アルミナ粉末の凝集物又はナノ凝集物を解体することによって、脱凝集を促進できることを発見した。出願人は、摩擦ミルが、粉砕プロセス中の材料への高いエネルギ入力(これにより、他の技法に比べてバッチをより短い時間で、例えばボールミルを用いた場合の50~100時間に対して1~3時間で、より小さな粒子へと粉砕できる)により、他の粉砕プロセス及び設備を上回る便益を有すると考える。
【0032】
使用されたあるUnion Process製摩擦ミルは、合計容積750ミリリットル(mL)、実効容積/収容量250mLであった。タンクに130mLのスラリーと、740グラムの2mm99.9%純度アルミナ媒体(即ち摩砕媒体)とを装填した。粉砕プロセス中にタンクを15℃まで水冷することによって、過熱を回避し、1つ以上の溶媒の蒸発を低減した。スラリーを、初めは500回転/分(rpm)で5分間粉砕して、大きな凝集物を破壊し、その後速度を1300rpmまで上昇させて、1時間粉砕を行った。粉砕終了時、タンクを170rpmまで減速し、消泡剤を添加して、捕捉された空気を除去した。次にスラリーを、80~120メッシュのスクリーンを通して注ぎ出し、脱ガス前にスラリーから粉砕媒体を除去した。
【0033】
粉砕の後等の脱ガスに関しては、出願人は、粉砕された媒体をスラリーから濾し取ることができ、また真空を用いてスラリーを脱気/脱ガス処理して、これを行わなければ混合物中に気泡を含む場合がある粉砕済み産物から、捕捉された空気を除去できることを発見した。脱ガスは、乾燥機チャンバ、及びこれに続いてMazerustar真空遊星型ミキサを用いて達成できる。スラリーを乾燥機チャンバに装填し、最大10分間脱ガス処理してよい。初期脱ガス処理後、スラリーを遊星型ミキサに装填して、真空下で5分間動作させてよい。出願人は、Mazerustarミキサを削除した代替的な脱ガス手順では、乾燥機チャンバ内で更に高い真空を用いることになることを発見した。
【0034】
濾過に関しては、スラリーを濾過することによって、混合物からいずれの大型の汚染物質を除去した。これを行わなければ、このような汚染物質は、例えば焼結済み材料の光学的特性に悪影響を及ぼし得る。濾過は、50マイクロメートル、25マイクロメートル、10マイクロメートル又は1マイクロメートルフィルタを用いて達成できる。このようなフィルタは、例えばナイロン、繊維又は他の好適な材料製であってよい。
【0035】
テープ製造ステップに関しては、厚さおよそ50~150マイクロメートルのシリコーン被覆Mylar(登録商標)フィルム上で試料を成形した。出願人は、このシリコーンコーティングにより、乾燥後のテープ材料を容易に取り外すことができることを発見した。テープ512に関して好適な他のフィルムは例えば、Teflon(登録商標)、ガラス、金属ベルト、及び同様の代替材料であってよい。テープの製造を促進するために、スラリーに、約4~20ミル(約100~500マイクロメートル)の間隔を有するドクターブレード下を通過させることにより、セラミックテープの薄型シートを形成した。典型的には、8ミル(約200マイクロメートル)のブレード高さを使用した。成形用ブレードを、Mylar(登録商標)フィルムを横断するように、10mm/秒の速度で移動させた。この速度は、プロセス速度を上昇させるため、及びテープ512の厚さを修正するために、必要に応じて変化させてよい。乾燥後、上記テープの厚さは、100~150マイクロメートルであった。この状態のテープ512を、「素地テープ(green tape)」と呼ぶ。
【0036】
引き続き
図5を参照すると、長さ1.2メートル×厚さ120マイクロメートル及び幅1.2センチメートルのテープ512を、上述の素地成形物から切り出して取り外した。テープ512を円筒形ローラ514上に巻きつけた。次にテープ512を、1インチ(2.54cm)/分という制御された速度で、
図5に示すような炉システム516内へと供給した。テープ512は、バインダバーンオフ中にその自重によって一体に保持されるような十分な強度を有していた。炉システム516の焼結位置C’’を、1100℃の温度に維持した。炉システム516の出口において、アルミナテープ512’は部分的に焼結され、およそ0.7の相対密度を有していた。テープ512’の焼成後厚さは、約100マイクロメートルであった。
【0037】
図6A~6Bを参照すると、本明細書に開示されている本発明のプロセスに従って、本明細書に開示されている本発明の設備を用いて製造された材料は、従来のプロセスに従って製造された材料と区別できる。例示的な実施形態によると、焼結済み物品610(例えばシート、箔)は、第1の表面612(例えば上部、側部)と、第1の表面612と対向していてよい第2の表面614(例えば底部)とを含む。上記焼結済み物品は更に、第1の表面612と第2の表面614との間に延在する、材料の本体616を含む。
【0038】
物品610の厚さTは、第1の表面612と第2の表面614との間の距離として定義してよい。物品610の幅(概して
図8の焼結済みシート810の幅Wを参照)は、第1の表面612又は第2の表面614のうちの一方の、厚さTに対して垂直な第1の寸法として定義してよい。物品610の長さ(概して
図8の焼結済みシート810の長さLを参照)は、第1の表面612又は第2の表面614のうちの一方の、厚さT及び幅の両方に対して垂直な第2の寸法として定義してよい。例示的な実施形態によると、焼結済み物品610は、焼結済み材料の細長く薄いテープである。ジオメトリを少なくとも部分的な原因として、このような実施形態の一部は可撓性であり、これにより物品610は、マンドレル又はスプール(例えば直径1メートル以下、0.7メートル以下)の周りで屈曲でき、これは、製造、保管等に関して有益となり得る。他の実施形態では、焼結済み物品610は、例えば丸みを帯びた形状、環状、スリーブ又はチューブ状等の他の形状に成形でき、一定の厚さ等を有しなくてよい。
【0039】
例示的な実施形態によると、物品610の長さは、物品610の幅の2倍超であり、例えば少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍大きい。いくつかの実施形態では、物品610の幅は、上記本体の厚さTの2倍超であり、例えば少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍大きい。いくつかの実施形態では、物品610の幅は、少なくとも5ミリメートル、例えば少なくとも10mm、例えば少なくとも50mmである。いくつかの実施形態では、物品610の厚さTは、2センチメートル以下、例えば5ミリメートル以下、例えば2ミリメートル以下、例えば1ミリメートル以下、例えば500マイクロメートル以下、例えば200マイクロメートル以下である。例示的な実施形態によると、素地テープを炉内へと移動させて焼結する際、焼結は略均一に行われ、シートの長さ、幅及び厚さは、およそ30%減少し得る。従って、本明細書に開示される素地テープの寸法は、上述の焼結済み物品の寸法より30%大きくなり得る。薄型テープにより、製造ラインは迅速に動作できる。というのは、炉からの熱がこのようなテープに迅速に入り込み、テープを焼結できるためである。更に、薄型テープは可撓性であってよく、これにより製造ラインに沿った、屈曲及び方向の変更が促進される(概して例えば
図11を参照)。
【0040】
例示的な実施形態によると、焼結済み物品610は、略未研磨であり、従って
図6Aのデジタル画像に示されているように、及び
図6Bの側面図に概念的に示されているように、例えば顕微鏡で観察した場合に、第1の表面612及び第2の表面614のうちの一方又は両方が顆粒状プロファイルを有する。この顆粒状プロファイルは、本体616から概ね外向きに突出する粒子618を含み、この粒子618は、粒子618間の境界線620にある上記表面の凹状部分に対して、少なくとも25ナノメートル及び/又は100マイクロメートル以下の高さH(例えば平均高さ)、例えば少なくとも50ナノメートル及び/又は80マイクロメートル以下の高さHを有する。他の実施形態では、高さHはこれ以外の様式でサイズ設定されていてよい。
【0041】
この顆粒状プロファイルは、物品610がブールから切り出されたのではなく薄型テープとして焼結されたこと、及び各表面612、614が略未研磨であったことについて、焼結済み物品610の製造プロセスのインジケータとなる。更に、研磨済み表面と比較して、この顆粒状プロファイルは、ディスプレイのバックライトユニットのために光を散乱させる用途、コーティングの更に良好な接着のため又は培養物の成長のために表面積を増大させる用途といったいくつかの用途において、焼結済み物品610に便益を提供できる。考えられる実施形態では、未研磨表面612、614は、上記物品の長さに沿った1つの寸法における10ミリメートルの距離に亘って、約10~約1000ナノメートル、例えば約15~約800ナノメートルの粗度を有する。考えられる実施形態では、表面612、614のうちの一方又は両方は、単一の軸に沿った1cmの距離に亘って、約1nm~約10mmの粗度を有する。
【0042】
対照的に、焼結済み物品610と同一の材料の焼結済み物品710は、研磨済み表面712、714を含み、ここで、粒子の境界線は研磨によって概ね除去されている。考えられる実施形態では、本明細書に開示されているプロセスに従って製造された焼結済み物品610は、例えば目的とされる上記物品の特定の用途に応じて、
図7A~7Bに示すように研磨してよい。例えば、物品610を基板として使用する場合には、極度に平滑な表面は必要ない場合が多く、
図6A~6Bの未研磨表面で十分となり得るが、上記物品を鏡又はレンズとして使用する場合には、
図7A~7Bに示すような研磨が必要となり得る。しかしながら、本明細書に開示されているように、研磨は、特定の薄型物品、又は表面積が大きく薄い物品に関しては困難となり得る。
【0043】
出願人は、ブールから切り出された焼結済みセラミック又は他の材料のシートは、
図6A~6Bをの物品とは対照的に、その表面上に存在する、容易に識別可能な粒子境界線を有しない場合があると考えている。出願人は更に、ブールから切り出された物品は典型的には、切り出しによる粗い表面を補正するために研磨してよいと考えている。しかしながら出願人は、表面研磨は、焼結済みセラミック又は他の材料の極めて薄い物品に関して、特に困難又は厄介となり得、その困難の程度は、上記物品が薄くなるほど、及び上記物品の表面積が大きくなるほど、高くなると考えている。しかしながら、本開示の技術に従って製造される焼結済み物品は、このような制限によって受ける制約が比較的少なくなり得る。というのは本技術に従って製造される物品は、長さが長いテープとして連続的に製造できるためである。更に、本明細書に開示されているような炉システムの寸法は、より幅広の物品、例えば少なくとも2センチメートル、少なくとも5センチメートル、少なくとも10センチメートル、少なくとも50センチメートルの幅を有する物品を収容及び焼結できるように規模拡張できる。
【0044】
例示的な実施形態によると、焼結済み物品610は、顆粒状プロファイルを有し、またその表面612、614上で一貫した表面品質を有し、これは、「背景技術」において議論した、セッタボードを用いて製造された物品(典型的には片側がセッタボードとの接触(例えば接着及び/又は擦過)によって印を付けられ、もう片側はセッタボードに曝露されなくてよい)とは大きく異なり得る。焼結済み物品610がシート又はテープ(概して
図8に示すシート810を参照)の形状である実施形態のようないくつかの実施形態では、表面の一貫性とは、第1の表面1平方センチメートルあたりの表面欠陥の平均面積が、第2の表面1平方センチメートルあたりの表面欠陥の平均面積±50%以内、例えば第2の表面1平方センチメートルあたりの表面欠陥の平均面積±30%以内、例えば第2の表面1平方センチメートルあたりの表面欠陥の平均面積±20%以内となることであり、ここで「表面欠陥(surface defect)」は、
図1~2に示すように、各表面に沿った寸法が少なくとも15、10、及び/又は5マイクロメートルである擦過及び/又は接着である。
【0045】
例示的な実施形態によると、焼結済み物品610は高い表面品質を有し、これもまた、背景技術」において議論した、セッタボードを用いて製造された物品(セッタボードによる接着及び/又は擦過によって表面品質が低下し得る)とは大きく異なり得る。焼結済み物品610がシート又はテープ(概して
図8に示すシート810を参照)のいくつかの実施形態では、この表面品質とは、1平方センチメートルあたりの平均で、第1及び第2の表面の両方が、15、10、及び/又は5マイクロメートル超の寸法を有する表面欠陥を15、10、及び/又は5個未満、例えば1平方センチメートルあたりの平均でこのような表面欠陥を3個未満、例えば1平方センチメートルあたりの平均でこのような表面欠陥を1個未満しか有しないことである。従って、本明細書に開示されている技術に従って製造された焼結済み物品は、比較的高く一貫した表面品質を有し得る。出願人は、焼結済み物品610の比較的高く一貫した表面品質が、応力集中及び/又は割れ開始部位を減少させることにより、物品610の強度の増大を促進すると考えている。
【0046】
例示的な実施形態によると、物品610、及び素地テープの粒子の対応する材料は、多結晶質セラミックを含む。例示的な実施形態によると、物品610は、ジルコニア、アルミナ、スピネル(例えばMgAl2O4、ZnAl2O4、FeAl2O4、MnAl2O4、CuFe2O4、MgFe2O4、FeCr2O4)、ガーネット、コーディエライト、ムライト、ペロブスカイト、パイロクロア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、二ホウ化チタン、窒化ケイ素アルミナ、及び/又は酸窒化アルミニウムを含む(例えば、これらである、これらから本質的になる、少なくとも50重量%がこれらからなる)。いくつかの実施形態では、物品610は金属である。他の実施形態では、物品610は、粉末粒子から焼結したガラスである。いくつかの実施形態では、物品610は、IXガラス及び/又はガラスセラミックである。本明細書に開示されている材料は、合成物であってよい。
【0047】
ここで
図8を参照すると、いくつかの実施形態では、焼結済み物品は、本明細書に開示されている材料のシート810(例えば焼結済みテープ)の形態である。シート810は、表面814(例えば上部又は底部)及びこれに対向する別の表面、並びにこれら2つの表面814の間に延在する本体を含む(概して
図6A~6Bの物品610の側部612、614及び本体616を参照)。例示的な実施形態によると、シート810の幅Wは、表面814のうちの一方の、厚さT’に対して垂直な第1の寸法として定義される。例示的な実施形態によると、シート810は、少なくとも2つの、概ね垂直な長さ方向側縁部812を有する。シート810の長さLは、上部又は底部表面814のうちの一方の、厚さT’及び幅Wの両方に対して垂直な第2の寸法として定義される。長さLは、幅W以上であってよい。幅Wは、厚さT’以上であってよい。
【0048】
例示的な実施形態によると、厚さT’は、500マイクロメートル以下、例えば250マイクロメートル以下、例えば100マイクロメートル以下、及び/又は少なくとも20ナノメートルである。例示的な実施形態によると、シート810は、少なくとも10平方センチメートル、例えば少なくとも30平方センチメートル、例えば少なくとも100平方センチメートル、及び更には1000、5000、若しくはいくつかの実施形態では10,000平方センチメートルを超える表面積を有し;又は物品610の実施形態に関するもの等の、本明細書に開示されているジオメトリに従って、その他の様式でサイズ設定される。いくつかの実施形態では、シート810は、その長さLの1/4、1/5、1/6、1/7、1/8、1/9、1/10及び/又は1/20未満の幅Wを有する。このようなジオメトリは、直方体バッテリの基板としてのシート810の使用のため、及び/又はオーブン内でカーボンナノチューブを成長させるための表面としてのシート810の使用(この場合、シート810はオーブンの表面を埋めるものの、オーブンの実質的な容積を埋めることはない)のためといった特定の用途に関して、特に有用となり得る。
【0049】
例示的な実施形態によると、シート810は、多結晶質セラミック及び合成鉱物からなる群から選択される材料を含む(例えば上記材料から形成される、上記材料からなる、上記材料から本質的になる、50体積%超が上記材料からなる)。他の実施形態では、シート810は、本明細書に開示されているように、ガラス、金属又は他の材料を含む。更に、例示的な実施形態によると、シート810の材料は焼結済み形態であり、従って材料の粒子は互いに融着している(概して
図6Aを参照)。シート810は、顆粒状プロファイル(概して
図6A~6Bを参照)を有してよく、又は研磨されていてよい(概して
図7A~7Bを参照)。
【0050】
例えば、いくつかの実施形態では、シート810は、50~1000ナノメートルの中央粒径と、2~30m2/gのBET表面積とを有する、アルミナ粉末から作製される。シート810は、99.5~99.995重量%のアルミナのテープ成形アルミナ粉末と、約100~約1000百万分率の焼結用添加剤、例えば酸化マグネシウムとから作製される。いくつかの実施形態では、シート810は半透明である。シート810は、シート810の厚さが500mm以下である場合、約300nm~約800nmの波長において少なくとも30%の全透過率を有してよい。いくつかの実施形態では、シート810を通した全透過率は、シート810の厚さが500μm以下である場合、約300nm~約800nmの波長において約50%~約85%である。いくつかの実施形態では、シート810を通る拡散透過は、シート810の厚さが500μm以下である場合、約300nm~約800nmの波長において約10%~約60%である。考えられる実施形態では、シート810は、上で開示した範囲の波長において、ただし他の厚さ、例えば本明細書に開示されている他の厚さを有する場合に、上で開示した透過率のパーセンテージを有してよい。本明細書に開示されているアルミナ以外の材料もまた、このような半透明の焼結済み物品をもたらし得る。
【0051】
図9を参照すると、製造ライン910は、素地テープ922のソース912、炉システム914、張力調節器916、918、及び焼結済みテープ924のレシーバ920を含む。例示的な実施形態によると、素地テープ922のソース912は、個別に製造できるような、素地テープ922のロールの形態であってよい。ソース912から素地テープ922を、案内通路928等によって、炉システム914の第1の部分926内へと配向する。
図9に示すように、いくつかの実施形態では、素地テープ922は、素地テープ922が炉システム914のセッタボード及び/又は表面に接触しないよう、炉システム914を通る垂直軸に沿って配向される。
【0052】
炉システム914の第1の部分926は、バインダバーンオフ位置(概して
図3の製造ラインの位置Bを参照)と、テープ912を部分的に焼結するための位置(概して
図3の製造ラインの位置Cを参照)とを含んでよい。従って、第1のシステム914の第1の部分926を出るテープは、部分的に焼結済みであってよい。炉システム914の第1の部分926を通るテープ922の張力に、張力調節器916が影響を及ぼすことができ、この張力調節器916は、製造ライン910に沿った張力調節器916の両側のテープ922、932、924の張力を異なるものとすることができる。
図9に示すように、張力調節器916の下方に、炉システム914は第2の部分930を含む。
【0053】
例示的な実施形態によると、張力調節器916と張力調節器918との間のテープ932、924の張力は、張力調節器916と張力調節器918との間にないテープ922、932、924の張力より大きくてよい。いくつかの実施形態では、張力調節器916、918間の上昇した張力を用いて、テープ932を炉システム914の第2の部分930において焼結する際にテープ932を平坦に保持できる。例えば部分的に焼結済みのテープ932は、張力調節器916と張力調節器918との間のテープ932の張力によって屈曲又は平坦化するために十分な可撓性を有してよく、その一方で、部分的に焼結済みのテープ932は、部分的な焼結の結合により、破損を起こさずに上記張力を支持できる程度に十分に強靭であってよい。換言すれば、炉システム914の第2の部分930において、部分的に焼結済みのテープ932を最終密度まで焼結し、シート、テープ又はリボンを平坦化するために十分な張力下に保持して、無制約の焼結を行った場合に現れる場合がある縮れ、褶曲、反り等を排除する。例えば出願人は、幅1センチメートルのジルコニア又はアルミナの部分的に焼結済みのリボンが、1キログラム超、約20メガパスカルの張力を、破損することなく支持できることを発見した。
【0054】
従って、再び
図8を参照すると、考えられる実施形態では、シート810の未修飾表面は、単一の軸に沿った、例えばシート810の長さに沿った、1cmの距離に亘って、約0.1μm~約50μmの平坦度を有する。このような平坦度と、本明細書に開示されている材料の表面品質、表面の一貫性、大きな面積、薄い厚さ及び/又は材料特性とを併せることにより、シート、基板、焼結済みテープ、物品等を、ディスプレイ用の丈夫なカバーシート、高温基板、可撓性セパレータ及び他の用途といった様々な用途に関して特に有用なものとすることができる。
【0055】
ガーネットの、圧力荷重下でクリープ又は弛緩する能力は限られているため、ガーネットを、ガーネットの製造後に再成形するのは、困難となり得る。従ってガーネットは、従来のプロセスに従って薄く平坦なものとして製造するのが困難となり得る。これを実行するために、当業者は典型的には、素地本体を平坦な耐火性表面の間に挟んでいたが、これは典型的には、焼結済み物品の両側に多数の表面欠陥をもたらす。従って本開示の技術は、合成ガーネットの薄型シートを本明細書に開示されているように製造する際に特に有用であると考えられる。
【0056】
図10を参照すると、
図9の製造ライン910と同様の製造ライン1010は:素地テープ1022のソース1012;2つの別個の部分1026、1030を有する炉システム1014;張力調節器1016、1018;及び焼結済みテープ1024のレシーバ1020を含む。しかしながら、製造ライン1010を用いる場合、素地テープはライン1010上で連続的に製造される。更に、焼結済みテープ1024が炉システム1014の第2の部分1030から現れるときに、焼結済みテープ1024をストリップ1032(例えば長さ少なくとも5センチメートル、長さ少なくとも10センチメートル、及び/又は長さ5メートル以下、長さ3メートル以下)に切断する。続いてストリップ1032を積層、梱包、及び出荷できる。
【0057】
図11を参照すると、製造ライン1110は、テープ1112(例えば素地テープ)のソースを含む。このソースは、テープ1112のスプール1114の形態であり、ここでテープ1112は初め、例えばMylar等のポリマー性裏張り1116上にある。テープ1112が概ね水平に(例えば水平から30°以内、水平から10°以内で)スプール1114から出ると、分離位置1118においてポリマー性裏張り1116がテープ1112から剥がされ、分離スプール1120に巻きつけられる。続いてテープ1112は空気軸受1122を通り過ぎ、制御された量のサグを伴って、第1のガイド1124へと漸進的に再配向され、この第1のガイド1124はテープ1112を概ね垂直に(例えば垂直から30°以内、垂直から10°以内に)配向する。
【0058】
第1のガイド1124の後、素地の形態のテープ1112は、第1の炉1126内へと上向きに移動する(概して
図4に示す炉410を参照)。いくつかの実施形態では、第1の炉1126は、テープ1112の有機バインダを炭化又はバーンオフして、テープ1112の未結合セクションを形成する、低温炉である。第1の炉1126はまた、結果として得られたテープ1112の未結合セクションを部分的に焼結して、テープ1112の部分的に焼結済みのセクション1128を形成できる。上記第1の炉を通過した後、テープ1112を第2のガイド1130によって配向してよい。第1のガイド1124及び第2のガイド1130は、テープ1112が第1の炉1126の表面と接触しないように、テープ1112を、第1の炉1126を通る通路と整列させ、これにより、接着及び擦過に関連する表面欠陥の数が削減される。このようなテープ1112は依然として、不規則な粒子等との接触等を原因とする、多少の欠陥を有し得る。
【0059】
例示的な実施形態によると、第2のガイド1130の後、上記テープの部分的に焼結済みのセクション1128を、ホイール1132を覆うようにルーティングする。いくつかの実施形態では、ホイール1132は低摩擦表面1134を有し、部分的に焼結済みのセクション1128はこの低摩擦表面1134上を摺動する。ホイール1132と部分的に焼結済みのセクション1128との間の温度差により、ホイール1132と部分的に焼結済みのセクション1128との間のくっつき又は接着の阻止を支援できる。例示的な実施形態によると、ホイール1132は回転して、ホイール1132の両側のテープ1112に異なる張力を提供すること等によって、テープ1112の張力を制御する。
【0060】
例えばいくつかの例では、ホイール1132は、テープ1112がホイール1132上を摺動する方向(例えば反時計回り方向)に対向して(例えば時計回り方向に)回転して、ホイール1132のテープ1112が出て来る側においてテープ1112の張力を減少させ、またホイール1132のテープ1112が入って行く側においてテープ1112の張力を増大させ、この増大した張力は、テープ1112を受承するスプール等の張力調節器(概して
図3及び9を参照)、テープ1112を引っ張るロボットアーム(概して
図10を参照)、ローラ等によって、テープ1112の遠位端において維持される。テープ1112が第2の、比較的高温である場合がある炉1136を通過する際の、テープ1112の張力は、テープ1112が完全に焼結される際に、テープ1112を平坦に保持する。
【0061】
様々な例示的実施形態において示されている製造ライン、設備及び結果として得られる焼結済み物品の構造及び構成は、単なる例示である。本開示ではいくつかの実施形態についてしか詳細に記載されていないが、本明細書に記載の主題の新規の教示及び利点から実質的に逸脱することなく、多くの修正が可能である(例えばサイズ、寸法、構造、形状及び様々な要素の比率、パラメータの値、設置構成、材料の使用、色、配向)。一体として形成されるものとして図示されているいくつかの要素は、複数の部品又は要素で構成されていてよく、これらの要素の位置は、反転又はその他の様式で変更でき、個々の要素の性質若しくは数、又は位置を変化させる又は変更することができる。いずれのプロセス、論理アルゴリズム又は方法ステップの順序又はシーケンスは、代替実施形態に従って変更又は再配列してよい。本発明の技術の範囲から逸脱することなく、様々な例示的実施形態の設計、動作条件及び配置の他の置換、修正、変更及び省略も実施してよい。
【0062】
一時的に再び
図6を参照すると、顆粒状プロファイルは、本体616から概ね外向きに突出する粒子618を含み、この粒子618は、境界線620と粒子618との間の上記表面の凹状部分に対して、少なくとも5ナノメートル、例えば少なくとも10ナノメートル、例えば少なくとも20ナノメートル、例えば少なくとも25ナノメートル及び/又は200マイクロメートル以下、例えば100マイクロメートル以下、80マイクロメートル以下、50マイクロメートル以下の高さHを有する。
【0063】
図12を参照すると、部分的な焼結のための製造ライン1210は、テープ1212(例えば素地テープ)のソースを含む。上記ソースは、テープ1212のスプール1214の形態であり、ここでテープ1212は初め、例えばMylar等のポリマー性裏張り1216上にある。いくつかのこのような実施形態では、テープ1212はスプール1214から出てローラ1244及び真空ハグドラム1242を通り過ぎ、その後、分離位置1218においてポリマー性裏張り1216がテープ1212から引き剥がされ、張力デバイス1240によって張力を印加され、ローラ1246を通り過ぎて分離スプール1220に巻きつけられる。続いて、(裏張り1216を有しない)テープ1212は、炉1226のバインダバーンオフセクションB’’’へと移動する。いくつかのこのような実施形態では、テープ1212は、概ね垂直に配向されて、及び/又は炉1226に接触せずに、入ってゆく。
【0064】
分離位置1218の後、素地の形態のテープ1212は、炉1226内へと下向きに移動する(概して
図4に示す炉410を参照)。いくつかの実施形態では、炉1226のバインダバーンオフセクションB’’’は、テープ1212の有機バインダを炭化又はバーンオフして、テープ1212の未結合セクションを形成する、低温炉である。炉1226の高温部分C’’’はまた、結果として得られたテープ1212の未結合セクションを部分的に焼結して、テープ1212の部分的に焼結済みのセクション1228(炉1226を通って出る様子が
図12に示されている)を形成できる。
【0065】
炉1226を通過した後、テープ1212を、第2のガイドとして作用するローラ1252を横断して引っ張られるように配向してよい。分離位置1218及び出口ローラ1252は、テープ1212と、炉1226を通る通路とを整列させるテープ1212が炉1226の表面と接触しないように、テープ1212を、炉1226を通る通路と整列させ、これにより、接着及び擦過に関連する表面欠陥の数が削減される。例示的な実施形態によると、分離位置1218と、炉1226の出口又は出口付近にあるローラ1252又は他のガイドとは、互いに略垂直に、例えば垂直から15°以内、例えば10°以内の直線に沿って、整列される。
【0066】
このようなテープ1212は依然として、不規則な粒子、空気中の粒子等との接触等を原因とする、多少の欠陥を有し得ることを、出願人は注記する。出口ローラ1252は、低摩擦ポリマー材料で作製してよい。出口ローラ1252を通り過ぎた後、部分的に焼結済みのテープを、受承用スプール1250に巻きつけることができる。
【実施例0067】
実施例1
部分的に焼結済みのジルコニアテープの、長さ90フィート(27.432m)のテープを、
図12に概ね示されている装置を用いて作製した。この素地テープは、株式会社トーショー(日本)製ジルコニア粉末3YEを用いて、米国審査済登録特許第8,894,920号明細書に記載されているものと同様の様式で作製された。この素地テープを、幅約20cm超に成形し、またこの素地テープの厚さは約25マイクロメートルであった。続いてこのテープを、円形のカミソリの刃を用いて、幅約15mmに手動で切断した。この素地テープは、繰り出しスプール(概して
図12のスプール1214を参照)から分離位置(
図12の分離位置1218を参照)を越え、バインダバーンオフチムニー(
図12の炉1226のバーンオフセクションB’’’を参照)を通り、遷移ゾーン(
図12のゾーン「X’’’」を参照)を通り、そして高温炉(例えば
図12の炉1226のセクションC’’’)内へと移動した。
【0068】
図12の文脈において実施例1を参照すると、分離位置1218において、セラミックテープ1212をキャリアフィルム1216から取り外した。キャリアフィルム1216を、張力印加デバイス1240を越えて取り上げスプール1220上へと流した。バインダバーンオフセクションB’’’を、炉セクションC’’’からの高温空気によって受動的に加熱した。実施例1のために使用した炉及びバインダバーンオフチムニー内のチャネルは、プレート間に0.125~0.5インチ(3.175mm~1.27cm)のギャップ(概して
図4のギャップ414及びL2を参照)を有する平行なプレート状の、セラミック繊維ボードから作製された。上記チャネルの、上記ギャップに対して垂直な幅は、約3.5インチ(8.89cm)であった。上記バインダバーンオフセクションの長さは約17インチ(43.18cm)であり、上記バインダバーンオフセクションの下方の上記炉の長さは24インチ(60.96cm)であった。
【0069】
上記素地テープは、低温又は高温のいずれで炉を通過させることもできることを、出願人は注記する。高温で通過させる場合、出願人は、炉に関して1000℃付近の温度を設定し、また、3YSZ即ち3モル%イットリア安定化ジルコニア、正方相ジルコニア多結晶「TZP」、及び/又はアルミナ若しくは他のセラミックを同様の焼結温度で焼結又は部分的に焼結する場合、1インチ(2.54cm)/分のテープ速度を設定する。高温で通過させた後、テープが炉の底部から出た後で、温度を上昇させてテープ速度を増大させることができる。低温で通過させる場合、出願人は、炉を通した加熱中に、テープを0.25~1インチ(0.635~2.54cm)/分という低速で移動させる(即ち輸送する、搬送する)ことを推奨する。
【0070】
この実施例1では、テープは高温で通過させ、通過後、炉を加熱して1200℃に設定し、次にテープを、炉を通して8インチ(20.32cm)/分の速度で移動させた。バインダバーンオフチムニーは、約100~400℃の温度であった。上記素地テープを、2.25時間超に亘って炉を通して輸送し、連続した長さが約90フィート(27.432m)の、部分的に焼結済みのテープを得た。
【0071】
幅の焼結収縮は、約9.5~10.5%であった。この部分的に焼結済みのテープを、直径3.25インチ(8.255cm)のスプールに、割れを生じさせずに巻き取った。
【0072】
実施例2
長さ65フィート(19.812m)の部分的に焼結済みのジルコニアテープを、
図12に示した装置と同様の装置を用いて作製し、ここでも素地テープは、株式会社トーショー(日本)製ジルコニア粉末3YEを用いて、米国審査済登録特許第8,894,920号明細書に記載されているものと同様の様式で作製された。この素地テープを、幅約20cm超に成形した。この素地テープの厚さは約25マイクロメートルであった。続いてこの素地テープを、円形のカミソリの刃を用いて、幅約52mmに手動で切断した。
【0073】
次にこの素地テープを、繰り出しスプールから分離位置を越え、バインダバーンオフチムニーを通り、遷移ゾーンを通り、そして高温の、積極的に加熱された炉(例えば炉1226)内へと移動させた。バインダバーンオフセクションを、炉からの高温空気によって受動的に加熱した。炉及びバインダバーンオフチムニー内のチャネルは(ここでも)、プレート間に1/8~1/2インチ(3.175mm~1.27cm)のギャップを有する平行なプレート状の、セラミック繊維ボードから作製された。上記チャネルの幅は、約3 1/2インチ(8.89cm)であった。上記バインダバーンオフセクションの長さは約17インチ(43.18cm)であり、上記炉の長さは24インチ(60.96cm)であった。
【0074】
この実施例2では、通過後、テープを2インチ(5.08cm)/分の速度で炉を通して移動させながら、炉を1000℃、1025℃、1050℃、1075℃及び1100℃まで加熱した。バインダバーンオフチムニーは、約100~400℃の温度であった。テープを、個々の炉温度において、各温度に関して約1時間に亘って通過させた。炉を6.5時間超に亘って動作させ、連続した65フィート(19.812m)超(素地)の部分的に焼結済みのテープを炉に通過させた。
【0075】
テープの幅を横断する方向の焼結収縮は、炉の温度に依存し、以下の表1に列挙するようなものであった。平面から外れる多少の変形が発生し、表中の焼結収縮の変動は、部分的には、テープの平面から外れる変形によるものである。
【0076】
【0077】
本明細書に開示されている材料及びシステム等に関する、本明細書に開示されている様々な実施形態において、高温炉の温度は少なくとも800℃、例えば少なくとも1000℃である。素地テープは高温炉を、少なくとも1インチ(2.54cm)/分、例えば少なくとも2インチ(5.08cm)/分の速度で通過する。速度は、例えば炉の長さを増大させることによって増大し得る。高温炉を通過する素地テープの収縮は、少なくとも1.5%、例えばいくつかの実施形態では少なくとも2%、及び/又は20%以下、例えば15%以下であった。
【0078】
実施例3
長さ約60フィート(18.288m)の部分的に焼結済みのジルコニアテープを、
図12に示した装置と同様の装置を用いて作製し、ここでも素地テープは、株式会社トーショー(日本)製ジルコニア粉末3YEを用いて、米国審査済登録特許第8,894,920号明細書に記載されているものと同様の様式で作製された。この素地テープを、幅約20cm超に成形した。この素地テープの厚さは約25マイクロメートルであった。続いてこのテープを、円形のカミソリの刃を用いて、幅約35mmに手動で切断した。
【0079】
この素地テープを、繰り出しスプールから分離位置を越え、バインダバーンオフチムニーを通り、遷移ゾーンを通り、炉内へと移動させた。バインダバーンオフセクションを、炉からの高温空気によって受動的に加熱した。炉及びバインダバーンオフチムニー内のチャネルは、プレート間に1/8~1/2インチ(3.175mm~1.27cm)のギャップを有する平行なプレート状の、セラミック繊維ボードから作製された。上記チャネルの幅は、約3 1/2インチ(8.89cm)であった。上記バインダバーンオフセクションの長さは約17インチ(43.18cm)であり、上記炉の長さは24インチ(60.96cm)であった。
【0080】
この実施例3では、通過後、テープを4及び6インチ(10.16cm及び15.24cm)/分の速度で移動させながら、炉を1100℃、1150℃及び1200℃まで加熱した。バインダバーンオフチムニーは、約100℃~400℃の温度であった。各温度及び各テープ速度条件の約10フィートのテープを、部分的な焼結後に、破損しないように、直径3.25インチ(8.255cm)のスプール上に巻きつけた。
【0081】
焼結収縮を測定し、これを以下の表2に列挙する。ここでは平面から外れる多少の変形が発生し、表中の焼結収縮の変動は、部分的には、テープの平面から外れる変形によるものである。
【0082】
【0083】
実施例4
長さ175フィート(53.34m)の部分的に焼結済みのジルコニアテープを、
図12に示した装置を用いて作製した。ジルコニア素地テープは上述のように作製したが、このテープを、円形のカミソリの刃を用いて、幅約15mmに手動で切断した。このテープを、繰り出しスプールから分離位置を越え、バインダバーンオフチムニーを通り、遷移ゾーンを通り、炉内へと移動させた。1100℃~1200℃の温度及び4、6又は8インチ(10.16cm、15.24cm又は20.32cm)/分の速度を適用した。バインダバーンオフチムニーは、約100~400℃の温度であり、合計175フィート(53.34m)(素地)の部分的に焼結済みのテープを作製した。ギャップ
焼結収縮を測定し、これを以下の表3に列挙する。ここでは平面から外れる多少の変形が発生し、表中の焼結収縮の変動は、部分的には、テープの平面から外れる変形によるものである。1200℃及び8インチ(20.32cm)/分で作製したテープは、テープの長さに沿って1200mmに亘って測定した場合に、テープの長さ及び幅に亘って、全体として約0.6mmの、平面から外れる変形を有していた。
【0084】
【0085】
実施例5
長さ147フィート(44.8056m)の部分的に焼結済みのジルコニアテープを、
図12に示した装置と同様の装置を用いて作製した。ジルコニア素地テープを上述のように作製し、円形のカミソリの刃を用いて、約15mmに切断した。通過後に炉を加熱して1200℃に設定し、テープを8インチ(20.32cm)/分の速度で移動させたことを除いて、上記テープを上述のように処理した。バインダバーンオフチムニーは、約100℃~400℃の温度であった。素地テープを、3時間超に亘って炉を通して移動させ、連続した長さが147フィート(44.8056m)超(素地)の、部分的に焼結済みのテープを得た。
【0086】
ここで
図13を参照すると、部分的な焼結のための製造ライン1310は、部分的に焼結済みのテープ1312のソースを含む。このソースは、部分的に焼結済みのテープ1312のスプール1314の形態であり、ここでテープ1312は、間紙材料を有してよい。テープ1312はスプール1314からローラ1342に入り、ローラ1342を通り過ぎる。高温材料のプレート1346は、炉1326内に狭いチャネルを形成する。
【0087】
次にテープ1212は炉1326内へと移動し、テープ1312は概ね垂直であり、並びに/又は炉に接触せず、及び/若しくは炉の中央部分に沿って炉に接触しない。考えられる実施形態では、テープの縁部はガイド又は炉の表面に接触してよいが、本明細書に開示されているように、欠陥が少ないテープの中央部分を提供するために、後に除去してよい。いくつかのこのような実施形態では、テープの長さ方向縁部は、レーザによる又は機械的な痕跡といった、切断の跡を含む。
【0088】
炉1326を通過した後、最終的な焼結済みテープ1329を、張力デバイス1340を横断するように引っ張ってよい。入力ローラ1342及び張力デバイス1340は、テープ1312が炉1326の表面と接触しないよう、炉1326を通るチャネルと概ね直線状に整列され、いくつかのこのような実施形態ではこれによって、本明細書に記載されているように、接着及び擦過に関連する表面欠陥の数が削減される。張力デバイス1340を通り過ぎた後、最終的な焼結済みテープは2つのローラ1344を越えて、搬送デバイス1360(例えばローラ、軸受、トレッド)を通って移動する。搬送デバイス1360の後、最終的な焼結済みテープを、間紙材料を伴って又は伴わずに、巻き取ることができる。
【0089】
図14を参照すると、部分的な焼結のための製造ラインは、部分的に焼結済みのテープ1412のソースを含む。このソースは、部分的に焼結済みのテープ1412のスプール1414の形態であり、ここでテープ1412は、間紙材料を有してよい。テープ1412がスプール1414から入って来ると、テープ1412は炉1426内へと移動し、テープ1412は概ね垂直に配向される。テンショナー(例えばおもり1460、ローラ)を、部分的に焼結済みのテープに取り付けることによって、テープを引っ張り、及び/又は焼結中にテープを平坦に保持する。考えられる実施形態では、おもり1460は、テープ自体の長さであってよい。
【0090】
驚くべきことに、既に開示されているように、出願人は、バインダをバーンオフした短い長さの素地テープは、テープを落下させることなく、ある程度の張力を支持できることを発見した。バインダがバーンオフされているものの高温炉に入る前の、セクションの引張強度は、同一材料の、かつ同一寸法及び組成の素地テープから形成された、理想的な完全に焼結されたテープの引張強度のわずかな分数値であり、例えば20%未満、10%未満、5%未満であるが、それでもなお正の値、例えば少なくとも0.05%である。
【0091】
実施例6
幅15mm(素地)の部分的に焼結済みのテープを、実施例1に記載されているように作製した。この幅15mm(素地)、厚さ約25マイクロメートル(素地)の、部分的に焼結済みのテープのロールを、
図13に示すシステム1310と同様の装置(例えば第2の炉、第2の焼結位置)上に配置した。セラミックプレート1346は、炭化ケイ素製であった。プレート間のギャップは2~8mmであり、プレートの幅は4インチ(10.16cm)であった。炉の外寸は、長さ21インチ(53.34cm)であった。炉を1400℃(例えば実施例1の炉より少なくとも100℃高い、例えば少なくとも200℃高い、400℃高い温度)まで加熱した。
【0092】
実施例6では、(実施例1による)部分的に焼結済みのテープを、1400℃の炉に、1フィート(30.48cm)/分超で、手で迅速に通過させた。テープ1312を張力印加デバイス1340の周りに巻きつけるために十分なテープを、2つのローラ1344を通し、そして搬送デバイス1360を通して、スプール1314から供給した。
【0093】
通過後、テープを2インチ(5.08cm)/分で移動させた。張力デバイス1340によって、50グラム未満の張力を焼結テープに印加した。約9インチ(22.86cm)の密な最終焼結済みテープを製造した(例えば
図17~22の完全に焼結されたテープ2010を参照)。テープは半透明であり、このテープに接触するようにテキストを配置した場合に、このテープを通してテキストを読むことができる(
図17~18の完全に焼結されたテープ2010を参照;また
図17~18の部分的に焼結済みのテープ2012と比較)。このテープは、光の散乱による、場合によってはわずかな多孔率(例えば1%未満、例えば0.5%未満及び/又は少なくとも0.1%の多孔率)による、ある程度の白色のヘイズを有していた。
【0094】
横断方向のテープ収縮は、約24%であった。同一のタイプのテープ成形物の、バッチ焼成した材料は、約23%±約0.5%の焼結収縮を有していた。この実験のために使用される、部分的に焼結済みのテープは、ある程度の平面から外れる変形を有していたが、最終的な焼結後、テープは、テープの運動方向において平坦であった。ウェブ(テープ)横断方向において、ある程度の「C字型(C‐shaped)」の縮れが存在していた。完全に焼結されたテープの1cm×1cmの領域を、100倍の倍率の光学顕微鏡で検査した。最終焼結済みテープの両側を検査した。セッタボードには典型的な接着又は擦過による欠陥は、見つからなかった。
【0095】
図15に示すように、最終焼結済みテープは、約2.5cm未満の半径で屈曲させることができる。
【0096】
実施例7
図14に示されているものと同様の、2段階焼結装置を使用した。炉は高さ4インチ(10.16cm)しかなく、高温ゾーンは2インチ(5.08cm)であった。実施例3に関して記載されているものと同様の様式で作製された、幅30mm(素地)の部分的に焼結済みのテープを使用した。部分的な焼結の前、テープは厚さ約25マイクロメートルであった。部分的に焼結済みのテープのスプールを、炉の上方に配置し、ここで炉は、3/16インチ(0.47625cm)の狭いギャップを有し、また上部及び底部の炉の断熱部において幅3.5インチ(8.89cm)を有し、これによりテープを通過させることができる。テープを低温でギャップに通過させ、7.5グラムのおもりを取り付けた(概して
図14を参照)。炉を1450℃まで加熱し、炉が1450℃に到達したときに、テープの運動を開始した。テープを、上部から底部まで、0.5インチ(1.27cm)の速度で移動させた。約18インチ(45.72cm)の、完全に焼結された焼結済みジルコニアテープを作製した。このジルコニアテープは半透明であった。4インチ(10.16cm)の炉を用いる実施例7では、テープ、及びその完全に焼結された部分は、炉より長くなった。
【0097】
図15~16を参照すると、文脈及び比較のために、素地テープ(3モル%イットリア安定化ジルコニア)を、以上の実施例に記載されているように作製し、焼結中に素地テープを支持するためのアルミナセッタボードの使用を含む従来の焼結プロセスを用いて焼結して、セラミックテープ3010を形成した。
図15に示すように、セッタボードに起因する接着及び擦過による表面欠陥を、100倍の倍率で観察できる。シートは25マイクロメートル程度と極めて薄いため、接着又は擦過によって引き起こされる欠陥の多くは、焼結済みシートにピンホールを形成する。
図15に示すように、セッタボードに起因する接着及び擦過による欠陥は一般に、互いに共通の方向の楕円である。
【0098】
既に議論したように、セッタが誘発する欠陥は典型的には、セッタボードと接触した素地テープの焼結収縮によって引き起こされる表面特徴であり、セラミックは焼結収縮中に、それ自体の一部を、セッタボードを横切って引きずる。これにより、結果として得られる焼結済み物品の被支持側は、セッタボードの耐火性材料から焼結済み物品に転移した、引きずり溝、焼結済みデブリ、不純物パッチ、そしてセッタボードが材料を焼結済み物品から引き出す場合には表面のくぼみ等といった、表面欠陥を有する。このようなセッタボードによる欠陥を最小化することは、セラミック物品がその上に堆積される薄膜を有する場合に重要である。1つ以上の薄膜の層厚さがセッタボードによる欠陥の寸法と同様である場合、この薄膜はピンホールを有することになり得、又はセッタボードによる欠陥が1つ以上の薄膜層を横断することになり得る。
【0099】
図15~16のセラミックテープ3010を、本開示の、特に
図19~20に示す技術を用いて製造された
図17~22のセラミックテープ2010と比較するが、
図19~20はそれぞれ
図15~16と同一の倍率、100倍及び500倍であり、また
図15~16に関して使用したテープと同一の方法で作製された素地テープからのものである。より具体的には、セラミックテープ2010は、本明細書に開示されているように連続的に焼結され、炭化ケイ素中央チャネルを有する、実施例に記載されているような二次炉を、1400℃において2インチ(5.08cm)/分の速度で通過した。セラミックテープ3010をセラミックテープ2010と比較すると、両方のテープは表面に、例えば細長い起伏した線条及び傾斜(山/谷)のような、様々な成形の跡を示す。セラミックテープ3010は、本明細書において議論されているように、セッタボードの引きずりが、収縮するテープがセッタボード表面を横切って引きずられる際の表面のガウジングにより、複数の領域に特徴的な損傷パターンを生成する場合等に、セッタボードに関連する欠陥:結合した粒子、引き出し及びセッタボードの引きずりによる欠陥を、多数示す。
【0100】
図15~16及び
図19~20を参照すると、断面寸法が5μm超である結合した粒子が、表面の100倍での光学検査において容易に観察された(
図15及び19を参照)。より具体的には、約8cm
2の面積に亘って、1つのこのような粒子が、本明細書に開示されている技術を用いて焼結されたセラミックテープ2010の表面において観察されたが、同一の約8cm
2の面積に亘って、セラミックテープ3010の表面においては、8個のこのような粒子が観察された。出願人は、セラミックテープ3010はセッタボードとの接触によって比較的多くの結合した粒子を有し、その一方でセラミックテープ2010は、結合した表面粒子の数が比較的少なく、この粒子は炉の雰囲気中の粒子の接着によって存在するものであり得ると考えている。このように少ない、セラミックテープ2010上の結合した表面粒子の数は、炉の雰囲気中の粒子を除去又は低減するためのフィルタ又は他のプロセスを使用する将来のプロセスの実施形態において、更に減少させることができる。
【0101】
例示的な実施形態によると、本開示に従って製造されたテープは、その表面に亘る平均として、8cm2あたり5つ未満の、断面寸法が5μm超の結合した粒子を、例えば3つ未満のこのような粒子、例えば2つ未満のこのような粒子を有する。
【0102】
例示的な実施形態によると、本明細書に開示されている焼結済みセラミックのシートは、50マイクロメートル未満の厚さ、及び全表面に亘る平均として表面1平方ミリメートルあたり10個未満の、少なくとも1平方ミリメートルの断面積を有するピンホール(又は表面積が1平方ミリメートル未満である場合は全表面に亘って10個未満のピンホール)、例えば全表面に亘る平均として表面1平方ミリメートルあたり5つ未満のピンホール、2つ未満のピンホール、更には1個未満のピンホールを有する。
【0103】
図19~20を参照すると、セラミックテープ2010は、膨らみ(bulge)2014を有する顆粒状表面を有する。この膨らみは、100マイクロメートル程度以上の最長寸法を有する。この膨らみは一般に楕円であり、例えば互いに概ね同一の方向に配向された長軸を有する(例えば90%が方向Dの15°以内、例えば10°以内となる)楕円である。上記膨らみは、擦過及び接着といった、セッタボードによって誘発される表面欠陥とは区別できる。というのは、接着した粒子又はセッタボードによって引き起こされる擦過に特徴的であるように、表面上のばらばらの若しくは不連続な境界によって画定されるか又はこれらを含むのではなく、上記膨らみは一般に、隣接する表面から滑らかに起伏して連続的に湾曲するためである。上記膨らみは、本明細書に開示されている少なくともいくつかのプロセスの跡であり得、例えば制約が比較的少ない焼結プロセスによるものであり得る。焼結中にテープに軸方向及び幅方向の張力を印加する(これはテンショナー(例えばローラ、トレッド、ホイール、機械式テンショナー又は他のこのような要素)によって実施できる)場合等の他の実施形態は、このような膨らみを含まない場合がある。
【0104】
ここで
図21~22を参照すると、セラミックテープ4010は、セッタボードを用いずに、本明細書に開示されているプロセスに従って製造した。テープ4010の材料は、3モル%イットリア安定化ジルコニア、正方相ジルコニア多結晶「TZP」である。テープの幅は、12.8~12.9mmである。図示されている部分は、テープの、長さ22インチ(55.88cm)の片である。テープの厚さは約22マイクロメートルである。なお、白点は、スキャナが認識しなかった、テープ上のマーカの痕跡である。
【0105】
比較のために、破線Lの下方ではテープを完全に焼結し、破線Lの上方では部分的にのみ焼結した。SEC1、SEC2、SEC3、SEC4は、セラミックテープ4010の上面のプロファイルである。これらのプロファイルは、このテープが、長さ方向軸(
図21にX軸として示されている)に関して、ある程度の「C字型」の曲率を有することを示している。テープの反りは、本明細書に開示されているように、張力下での完全な焼結によって低減される。確認できるように、テープの最大高さは、約1.68mmから0.89~0.63mmまで約100%だけ減少した。出願人は、本プロセス及び/又は更なるプロセスの洗練(例えば張力の増大若しくはプロセス速度の変更)により、平坦表面上に平坦に載置された、完全に焼結されたテープの最大高さが、例えば約10~15mmの幅を有するテープに関して、1.5mm未満、例えば1mm未満、例えば0.7mm未満、例えば理想的には約100マイクロメートル未満となると考えている。
【0106】
考えられる実施形態では、本明細書に記載のテープを、複数の図面に示されているようにスプール上に巻きつけて、テープのロールを形成してよい。このスプールは、テープの長さが少なくとも1m、例えば少なくとも10mである場合に、少なくとも約0.5cm、例えば少なくとも約2.5cm及び/又は1m以下の直径を有してよく、また本明細書に記載の幅及び厚さ、並びに/又は少なくとも10mm及び/若しくは20cm以下の幅と、少なくとも10マイクロメートル及び/若しくは500マイクロメートル以下、例えば250マイクロメートル以下、例えば100マイクロメートル以下、例えば50マイクロメートル以下の厚さとを有する。
【0107】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0108】
実施形態1
有機バインダによって結合した無機材料の粒子を含む素地セクションを含む、テープ;並びに
炉であって:
バインダバーンオフ位置及び焼結位置を含む通路を画定する、ガイド;及び
上記通路の上記焼結位置において少なくとも300℃の温度を達成する、ヒータ
を備える、炉
を備える、製造ラインであって、
上記バインダバーンオフ位置は、上記素地セクションから上記有機バインダを炭化又は燃焼させることによって、まだ焼結されていないものの炭化された上記バインダを上記有するか又は上記バインダを有しない、上記テープの未結合セクションを形成し;
上記焼結位置は、上記無機材料を少なくとも部分的に焼結することによって、上記テープの、少なくとも部分的に焼結済みのセクションを形成し;
上記未結合セクションは、上記未結合セクションに物理的に接続されて隣接する上記テープの重量を支持する、製造ライン。
【0109】
実施形態2
上記炉は第1の炉であり、
上記製造ラインは更に:
上記少なくとも部分的に焼結済みのテープの上記無機材料を更に焼結することによって、完全に焼結された物品を形成する、第2の炉;及び
上記テープの張力に影響を及ぼすことによって、上記第2の炉における更なる焼結中に、上記少なくとも部分的に焼結済みのセクションの成形を促進する、張力調節器
を備える、実施形態1に記載の製造ライン。
【0110】
実施形態3
上記炉の上記通路は、上記テープが上記炉を概ね垂直に通過するよう配向される、実施形態1に記載の製造ライン。
【0111】
実施形態4
上記通路は、直線状の通路として延在する、実施形態1に記載の製造ライン。
【0112】
実施形態5
上記通路は、上記炉を通って延在する深さ寸法、上記深さ寸法に対して垂直な幅寸法、及び上記深さ寸法及び上記幅寸法の両方に対して垂直なギャップ寸法を有し、
上記深さ寸法は上記幅寸法より大きく、
上記幅寸法は上記ギャップ寸法より大きい、実施形態4に記載の製造ライン。
【0113】
実施形態6
上記ギャップ寸法は、少なくとも1ミリメートルである、実施形態5に記載の製造ライン。
【0114】
実施形態7
上記ヒータは、上記炉の上記バインダバーンオフ位置及び上記焼結位置の両方を加熱する、実施形態1に記載の製造ライン。
【0115】
実施形態8
上記ヒータは、上記焼結位置に隣接し、かつ上記焼結位置を少なくとも部分的に取り囲むものの、上記バインダバーンオフ位置から垂直に離間している、実施形態7に記載の製造ライン。
【0116】
実施形態9
上記ガイドは耐火性材料で構成される、実施形態1に記載の製造ライン。
【0117】
実施形態10
テープを焼結するプロセスであって、
上記プロセスは:
(a)上記テープの素地セクションを、炉の第1の炉位置を通して移動させるステップであって、上記素地セクションは、有機バインダに支持された無機粒子を含む、ステップ;
(b)上記素地セクションが上記第1の炉位置を通過する際に、上記素地セクションから上記有機バインダをバーンオフ又は炭化して、上記テープの未結合セクションを形成するステップ;
(c)上記未結合セクションを、第2の炉位置を通して移動させるステップ;及び
(d)上記未結合セクションが上記第2の炉位置を通過する際に、上記無機粒子を少なくとも部分的に焼結して、上記テープの少なくとも部分的に焼結済みのセクションを形成するステップ
を含み、
上記未結合セクションを、上記第2の炉位置を通して移動させる上記ステップは、上記テープの上記未結合セクションを支持するセッタボードを用いずに行われる、プロセス。
【0118】
実施形態11
上記テープの上記素地セクションは、上記素地セクションから上記有機バインダをバーンオフ又は炭化するステップ中に、上記素地セクションが上記第1の炉位置を通過する際、上記炉の表面と接触しない、実施形態10に記載のプロセス。
【0119】
実施形態12
上記テープの上記未結合セクションは、上記無機粒子を少なくとも部分的に焼結する上記ステップ中に、上記未結合セクションが上記第2の炉位置を通過する際、上記炉の表面と接触しない、実施形態11に記載のプロセス。
【0120】
実施形態13
上記無機粒子は、多結晶質セラミック及び合成鉱物からなる群から選択される材料の粒子である、実施形態12に記載のプロセス。
【0121】
実施形態14
上記テープは、上記素地セクション、上記未結合セクション及び上記少なくとも部分的に焼結済みのセクションが上記プロセスの上記ステップ(a)~(d)中に互いに連続するように、単一構造である、実施形態12に記載のプロセス。
【0122】
実施形態15
上記未結合セクションは、上記無機粒子を少なくとも部分的に焼結する上記ステップ中に、上記未結合セクションが上記第2の炉位置を通過する際、自立している、実施形態10に記載のプロセス。
【0123】
実施形態16
上記素地セクションは、上記素地セクションが上記第1の炉位置を通過する際、概ね垂直に配向され、これにより上記未結合セクションは、上記未結合セクションに物理的に接続された、上記未結合セクションに垂直に隣接する上記テープの重量を支持する、実施形態10に記載のプロセス。
【0124】
実施形態17
第1の表面、第2の表面、及び上記第1の表面と上記第2の表面との間に延在する材料の本体を備える、焼結済み物品であって、
上記第2の表面は、上記焼結済み物品の、上記第1の表面とは反対側にあり、従って上記焼結済み物品の厚さは、上記第1の表面と上記第2の表面との間の距離として定義され、上記焼結済み物品の幅は、上記第1の表面又は上記第2の表面のうちの一方の、上記厚さに対して垂直な第1の寸法として定義され、上記焼結済み物品の長さは、上記第1の表面又は上記第2の表面のうちの一方の、上記焼結済み物品の上記厚さ及び上記幅の両方に対して垂直な第2の寸法として定義され、
上記材料の本体は、無機材料を含み;
上記焼結済み物品の上記長さは、上記焼結済み物品の上記幅以上であり、上記焼結済み物品は、上記焼結済み物品の上記幅が上記焼結済み物品の上記厚さの5倍超となるような薄さであり、上記焼結済み物品の上記厚さは、1ミリメートル以下であり;
上記焼結済み物品は略未研磨であり、従って上記第1の表面及び上記第2の表面はそれぞれ、顆粒状プロファイルを有し;
上記焼結済み物品は、上記第1の表面及び上記第2の表面の両方が、接着又は擦過に由来する5マイクロメートル超の寸法の表面欠陥を10個未満しか有しない、少なくとも1平方センチメートルの面積を有するような、高い表面品質を有し、上記高い表面品質は、上記焼結済み物品の強度を増強し;
上記焼結済み物品は、接着又は擦過に由来する5マイクロメートル超の寸法の表面欠陥の、上記第1の表面の1平方センチメートルあたりの平均面積が、接着又は擦過に由来する5マイクロメートル超の寸法の表面欠陥の、上記第2の表面の1平方センチメートルあたりの平均面積の、±50%以内となるよう、上記第1の表面及び上記第2の表面両方において一貫した表面品質を有する、焼結済み物品。
【0125】
実施形態18
上記顆粒状プロファイルは、粒子を含み、上記粒子は、各上記粒子間の境界線において、上記第1の表面及び上記第2の表面の凹状部分に対して25ナノメートル~150マイクロメートルの範囲の高さを有する粒子を含む、実施形態17に記載の焼結済み物品。
【0126】
実施形態19
上記物品は、上記第1の表面又は上記第2の表面に沿った長さ方向において、1センチメートルの距離に亘って、100ナノメートル~50マイクロメートルの範囲の平坦度を有する、実施形態17に記載の焼結済み物品。
【0127】
実施形態20
略未研磨である場合に、上記第1の表面及び上記第2の表面のうちの少なくとも一方は、上記第1の表面又は上記第2の表面に沿った長さ方向のプロファイルに沿って測定された1センチメートルの距離に亘って、1ナノメートル~10マイクロメートルの範囲の粗度を有する、実施形態17に記載の焼結済み物品。
【0128】
実施形態21
上記物品は、上記物品の上記長さが上記物品の上記幅の5倍超となり、かつ上記物品の幅が上記物品の厚さの10倍超となるよう、特に薄くかつ細長い、実施形態17に記載の焼結済み物品。
【0129】
実施形態22
上記本体の上記厚さは、0.5ミリメートル未満であり、上記第1の表面及び上記第2の表面のうちの一方の面積は、30平方センチメートル超である、実施形態21に記載の焼結済み物品。
【0130】
実施形態23
上記第1の表面及び上記第2の表面のうちの一方の面積は、100平方センチメートル超である、実施形態22に記載の焼結済み物品。
【0131】
実施形態24
上記無機材料は、多結晶質セラミック及び合成鉱物からなる群から選択された無機材料である、実施形態17に記載の焼結済み物品。
【0132】
実施形態25
焼結済み物品であって、
上記焼結済み物品は、第1の表面、第2の表面、及び上記第1の表面と上記第2の表面との間に延在する材料の本体を備える、シートであり、
上記第2の表面は、上記シートの、上記第1の表面とは反対側にあり、従って上記シートの厚さは、上記第1の表面と上記第2の表面との間の距離として定義され、上記シートの幅は、上記第1の表面又は上記第2の表面のうちの一方の、上記厚さに対して垂直な第1の寸法として定義され、上記シートの長さは、上記第1の表面又は上記第2の表面のうちの一方の、上記シートの上記厚さ及び上記幅の両方に対して垂直な第2の寸法として定義され、
上記材料の本体は、多結晶質セラミック及び合成鉱物からなる群から選択された無機材料製であり、上記材料は焼結済み形態であるため、上記材料の粒子は互いに融着しており;
上記シートの上記第1の表面及び上記第2の表面は、略未研磨であり、従って上記第1の表面及び上記第2の表面はそれぞれ、粒子を含む顆粒状プロファイルを有し、上記粒子は、各上記粒子間の境界線において、各上記上記表面の凹状部分に対して25ナノメートル~150マイクロメートルの範囲の高さを有する粒子を含み;
上記シートは、上記シートの上記長さが上記シートの上記幅の5倍超となり、かつ上記シートの幅が上記シートの厚さの5倍超となるように、薄くかつ細長く、また上記シートの上記厚さは1ミリメートル以下であり、上記第1の表面及び上記第2の表面それぞれの面積は10平方センチメートル超であり;
上記シートは、上記第1の表面及び上記第2の表面の両方が、接着又は擦過に由来する5マイクロメートル超の寸法の表面欠陥を100個未満しか有しない、少なくとも10平方センチメートルの面積を有するような、高い表面品質を有し;
上記シートは、上記第1の表面又は上記第2の表面に沿った長さ方向において、1センチメートルの距離に亘って、100ナノメートル~50マイクロメートルの範囲の平坦度を有する、焼結済み物品。
【0133】
実施形態26
上記材料の本体の上記材料は、多結晶質セラミック及び合成鉱物からなる上記群から選択される材料であるのに加えて、アルミナ、ジルコニア、スピネル及びガーネットからなる群から選択される材料でもある、実施形態25に記載の焼結済み物品。
【0134】
実施形態27
上記シートの上記厚さは、500マイクロメートル超である、実施形態26に記載の焼結済み物品。
【0135】
実施形態28
上記シートは、少なくとも部分的に透明であり、約300ナノメートル~約800ナノメートルの波長において少なくとも30%の全透過率を有する、実施形態27に記載の焼結済み物品。
【0136】
実施形態29
上記第1の表面及び上記第2の表面のうちの一方の面積は、100平方センチメートル超である、実施形態26に記載の焼結済み物品。
【0137】
実施形態30
略未研磨である場合に、上記第1の表面及び上記第2の表面のうちの少なくとも一方は、上記第1の表面又は上記第2の表面に沿った長さ方向において、1センチメートルの距離に亘って、1ナノメートル~10マイクロメートルの範囲の粗度を有する、実施形態25に記載の焼結済み物品。
【0138】
実施形態31
焼結済み物品であって、
上記焼結済み物品は、セラミックテープであり;
上記セラミックテープは、第1の表面、第2の表面、及び上記第1の表面と上記第2の表面との間に延在する材料の本体を備え、
上記第2の表面は、上記セラミックテープの、上記第1の表面とは反対側にあり、従って上記セラミックテープの厚さは、上記第1の表面と上記第2の表面との間の距離として定義され、上記セラミックテープの幅は、上記第1の表面又は上記第2の表面のうちの一方の、上記厚さに対して垂直な第1の寸法として定義され、上記セラミックテープの長さは、上記第1の表面又は上記第2の表面のうちの一方の、上記セラミックテープの上記厚さ及び上記幅の両方に対して垂直な第2の寸法として定義され、
上記材料の本体は、アルミナ、ジルコニアからなる群から選択されたセラミックであり、上記材料は焼結済み形態であるため、上記材料の粒子は互いに融着しており;
上記セラミックテープの上記第1の表面及び上記第2の表面は、略未研磨であり、従って上記第1の表面及び上記第2の表面はそれぞれ、粒子を含む顆粒状プロファイルを有し、上記粒子は、各上記粒子間の境界線において、各上記表面の凹状部分に対して10ナノメートル~150マイクロメートルの範囲の高さを有する粒子を含み;
上記セラミックテープは、上記セラミックテープの上記長さが上記セラミックテープの上記幅の5倍超となり、かつ上記セラミックテープの幅が上記セラミックテープの厚さの5倍超となるように、薄くかつ細長く、また上記セラミックテープの上記厚さは150マイクロメートル以下であり、上記第1の表面及び上記第2の表面それぞれの面積は2平方センチメートル超であり;
上記セラミックテープは膨らみを有し、上記膨らみのうちの少なくともいくつかは、100マイクロメートル~約1mmの最大表面寸法を有し、上記膨らみは、周りを取り囲む隣接した表面に対して滑らかに連続した曲率を有し、これにより上記膨らみの境界線は概ね接着又は擦過を特徴とせず;
平坦な表面上に、無制約状態で静置されている場合、上記セラミックテープは、上記セラミックテープの上記長さに沿った軸の周りに反りを有する、焼結済み物品。
【0139】
実施形態32
上記反りは、上記テープの厚さより少なくとも10マイクロメートルかつ1ミリメートル以下だけ大きい、上記平坦な表面より上方の上記セラミックテープの高さをもたらす、静置31に記載の焼結済み物品。
【0140】
実施形態33
上記 スプール;
上記スプール上に巻きつけられたテープ
を備えるロールであって、
上記セラミックテープは、実施形態17~32のいずれか1つに記載の焼結済み物品であり、
上記セラミックテープは、少なくとも1メートルの長さを有する、ロール。