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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016240
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】飲料抽出装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/24 20060101AFI20230126BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
A47J31/24
A47J31/36 114
A47J31/36 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120429
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 規朗
(72)【発明者】
【氏名】福島 直人
(72)【発明者】
【氏名】井口 英明
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA19
4B104AA25
4B104BA11
4B104BA14
4B104BA35
4B104EA12
4B104EA22
(57)【要約】
【課題】飲料抽出装置の高さ方向の寸法が大きくなることを抑制しつつ、原料を適切にシリンダに供給することができる飲料抽出装置を提供すること。
【解決手段】飲料抽出装置は、シリンダ、ピストン及びキャップを有し、前記シリンダが前記ピストン及び前記キャップに対して昇降可能に構成されるとともに、前記シリンダ内で前記ピストンと前記キャップとにより圧縮された原料と湯又は水とを用いて飲料を抽出する抽出部と、前記シリンダの上方に固定され、前記原料を前記シリンダ内に投入する固定シュートと、前記固定シュートから投入される前記原料を前記シリンダ内に案内する筒状の可動シュートと、前記キャップ及び前記可動シュートを往復移動させることにより、前記キャップ又は前記可動シュートを前記シリンダと前記固定シュートの間に位置させる移動部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ、ピストン及びキャップを有し、前記シリンダが前記ピストン及び前記キャップに対して昇降可能に構成されるとともに、前記シリンダ内で前記ピストンと前記キャップとにより圧縮された原料と湯又は水とを用いて飲料を抽出する抽出部と、
前記シリンダの上方に固定され、前記原料を前記シリンダ内に投入する固定シュートと、
前記固定シュートから投入される前記原料を前記シリンダ内に案内する筒状の可動シュートと、
前記キャップ及び前記可動シュートを往復移動させることにより、前記キャップ又は前記可動シュートを前記シリンダと前記固定シュートの間に位置させる移動部と、を備える、
飲料抽出装置。
【請求項2】
前記キャップの移動軌跡に対応する位置に配置され、前記キャップが前記固定シュートと前記シリンダの間の位置から離れる際に、前記キャップの下端に付着した前記原料のかすを掻き取る掻き取り部を更に備える、
請求項1に記載の飲料抽出装置。
【請求項3】
前記可動シュートの移動中に前記可動シュートを振動させて、前記可動シュートに付着した前記原料を離脱させる振動部を更に備える、
請求項1又は2に記載の飲料抽出装置。
【請求項4】
前記振動部は、少なくとも一部が前記可動シュートの上側の開口縁の移動軌跡よりも下側にするように、前記固定シュートから突出する振動発生用突部を備える、
請求項3に記載の飲料抽出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飲料抽出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリンダ内で原料と湯又は水とを用いて飲料を抽出し、飲料を抽出した後の原料をシリンダの外部に露出させ、シリンダの外部に露出した原料のかすを除去する飲料抽出装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1の飲料抽出装置は、抽出シリンダと下部ピストンとにより区画される空間において、上部ピストンにより圧縮されたコーヒーパウダーと湯とによりコーヒーを抽出した後、抽出シリンダ及び下部ピストンを下降させ、コーヒー抽出後のコーヒーパウダーの塊を抽出シリンダから取り出す。その後、飲料抽出装置は、コーヒーパウダーの塊を抽出シリンダの上部から除去すると、下部ピストンに対して抽出シリンダを上昇させ、コーヒーパウダーが装填される空間を形成する。そして、飲料抽出装置は、抽出シリンダの上方に斜めに配置されたホッパーを用いて、コーヒーパウダーを抽出シリンダ内に装填した後、抽出シリンダ及び下部ピストンを上昇させ、上部ピストンで抽出シリンダ内のコーヒーパウダーを圧縮する。
【0004】
特許文献2の飲料抽出装置は、抽出室と煎じ出しピストンとにより区画される空間において、補足ピストンにより圧縮されたコーヒーパウダー(挽かれたコーヒー)と湯とによりコーヒーを抽出する。次に、飲料抽出装置は、補足ピストン及び煎じ出しピストンに対して抽出室を下降させると共に、煎じ出しピストンを補足ピストンに対して抽出室よりも短い距離下降させることにより、コーヒー抽出後のコーヒーのかすの塊を抽出室から取り出す。その後、飲料抽出装置は、供給排出ユニットを抽出室の軸に対して直交する方向(ほぼ水平方向)に移動させて、供給排出ユニットの押し出し部材により、かすの塊を抽出室の上部から除去する。更に、飲料抽出装置は、煎じ出しピストンを抽出室に対して下降させると共に、供給排出ユニットのコーヒー導入室を抽出室の上方まで移動させ、コーヒー導入室のゲートを開くことにより、コーヒー導入室内のコーヒーパウダーを抽出室に装填する。その後、飲料抽出装置は、供給排出ユニットを抽出室の上方から退避させた後、抽出室及び煎じ出しピストンを上昇させ、補足ピストンで抽出室内のコーヒーパウダーを圧縮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平5-506389号公報
【特許文献2】特開平9-37949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の飲料抽出装置では、抽出シリンダと、当該抽出シリンダの上方に斜めに配置されたホッパーとの間に隙間があるため、当該隙間からコーヒーパウダーが飛散してしまうおそれがある。また、特許文献2の飲料抽出装置では、供給排出ユニットのコーヒーパウダーを抽出室に装填する際に、補足ピストンが供給排出ユニットの移動経路の上方に位置しているため、補足ピストンの配置スペース分、飲料抽出装置の高さ方向の寸法が大きくなってしまう。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するものであり、飲料抽出装置の高さ方向の寸法が大きくなることを抑制しつつ、原料を適切にシリンダに供給することができる飲料抽出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の飲料抽出装置は、シリンダ、ピストン及びキャップを有し、前記シリンダが前記ピストン及び前記キャップに対して昇降可能に構成されるとともに、前記シリンダ内で前記ピストンと前記キャップとにより圧縮された原料と湯又は水とを用いて飲料を抽出する抽出部と、前記シリンダの上方に固定され、前記原料を前記シリンダ内に投入する固定シュートと、前記固定シュートから投入される前記原料を前記シリンダ内に案内する筒状の可動シュートと、前記キャップ及び前記可動シュートを往復移動させることにより、前記キャップ又は前記可動シュートを前記シリンダと前記固定シュートの間に位置させる移動部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の飲料抽出装置によれば、飲料抽出装置の高さ方向の寸法が大きくなることを抑制しつつ、原料を適切にシリンダに供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】飲料抽出装置を前側から見たときの斜視図
図2】飲料抽出装置を後側かつ下側から見たときの斜視図
図3】飲料抽出装置の分解斜視図
図4】右側の側面部の下側付近の拡大図である
図5】飲料抽出装置の一部の縦断面図であってシリンダが粉受位置に位置する状態を示す縦断面図
図6】飲料抽出装置の一部の斜視図であってシリンダが粉受位置に位置する状態を示す飲料抽出装置の斜視図
図7】飲料抽出装置の一部の斜視断面図
図8】移動部材及び押出部材の平面図
図9図8のA-A線における縦断面図
図10図8のB-B線における縦断面図
図11】移動部材及び押出部材の正面図
図12A】押出部材の正面図
図12B図12AのC-C線における縦断面図
図13】飲料抽出装置の一部の斜視断面図
図14】飲料抽出装置の制御系を示すブロック図
図15】飲料提供処理のタイミングチャート
図16】飲料提供処理のフローチャート
図17】キャップが第1位置に位置する状態における飲料抽出装置の縦断面図
図18】キャップが第1位置に位置する状態における飲料抽出装置の斜視図
図19】キャップがシリンダに挿入された状態における飲料抽出装置の縦断面図
図20】シリンダからかすを露出させた状態における飲料抽出装置の縦断面図
図21】ピストン上のかすを除去した後における飲料抽出装置の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態]
以下、本開示の一実施形態について説明する。
【0012】
<飲料抽出装置の構成>
まず、飲料抽出装置の構成について説明する。図1図3に示される飲料抽出装置1は、コーヒー豆粉末を圧縮すると共に、湯を加圧して供給することにより、濃いコーヒー液、すなわちエスプレッソを抽出する。また、飲料抽出装置1は、コーヒー豆粉末をエスプレッソ抽出時よりも小さい圧力で圧縮すると共に、エスプレッソ抽出時よりも小さい圧力で湯を加圧して供給することにより、ドリップ風味のコーヒーを抽出する。なお、以下において、エスプレッソとドリップ風味のコーヒーとを区別せずに「コーヒー液」という場合がある。コーヒー液は、飲料の一例である。飲料抽出装置1は、フレーム10と、抽出部20と、昇降駆動部30と、原料供給部40と、キャップ移動部50と、を備える。キャップ移動部50(以下、「移動部50」という)は、後述するキャップ24を移動させる。
【0013】
図1に示されるように、フレーム10は、平面視で矩形状の底面部11と、底面部11の左右の両側縁からそれぞれ上方に延びる左面部12及び右面部13と、を備え、前面、後面及び天面が開口するように構成されている。左面部12の前後方向中央には、上下に延びる外側スリット121が形成されている。右面部13における外側スリット121に対向する位置には、外側スリット121と同じ形状の図示されない外側スリットが形成されている。
【0014】
左面部12及び右面部13の前端には、左面部12と右面部13とを架け渡すように、掻き取り部14が固定されている。掻き取り部14は、弾性変形可能な材料、例えばゴムにより、長方形板状に形成されている。掻き取り部14は、後述するキャップ24の移動中に、キャップ24の下面241に接触し、下面241に付着したコーヒー豆粉末のかすを下面241の全面にわたって掻き取ることができるように固定されている。掻き取り部14により掻き取られたかすは、フレーム10の下方に配置された回収用トレイにより回収される。左面部12及び右面部13の後端における上側の部位には、左面部12と右面部13とを架け渡すように、駆動部保持部材15が固定されている。
【0015】
図2に示されるように、左面部12の後側の部位には、後側配管コネクタ16が固定されている。後側配管コネクタ16の前端部には、図示されない変形可能な配管を介して、シリンダ22の後述する湯取入部221Bが接続される。また、後側配管コネクタ16の後端部には、図示されない給湯配管を介して給湯部19(図14参照)が接続される。給湯部19は、後側配管コネクタ16を介して抽出部20(具体的にはシリンダ22内)に湯を供給する。
【0016】
図3に示されるように、抽出部20は、フレーム10の前方からフレーム10内に着脱できるように構成されている。抽出部20は、抽出部フレーム21と、シリンダ22と、ピストン23と、キャップ24と、を備える。抽出部20は、シリンダ22内でピストン23とキャップ24とにより圧縮されたコーヒー豆粉末と、給湯部19から供給される湯とを用いてコーヒー液を抽出する。
【0017】
抽出されたコーヒー液は、抽出部20から吐出され、図示されないカップに供給される。コーヒー液をカップに導く配管系は、以下のように構成されている。シリンダ22内のコーヒーは、キャップ24の後述するコーヒー液取出部24Bから吐出される。コーヒー液取出部24Bには、変形可能な配管が接続されており、この配管は、左面部12の前側の部位に固定されている前側配管コネクタ17の後端部に接続されている。また、前側配管コネクタ17の前端部には、図示されないコーヒー液配管が接続されている。このコーヒー液配管はカップの上側に位置するノズルに接続されており、ノズルからカップ内にコーヒー液が注がれる。
【0018】
コーヒー液の抽出後、抽出部20は、ピストン23に対してシリンダ22を下降させることにより、コーヒー液を抽出した後のコーヒー豆粉末のかすをシリンダ22の上側で露出させる。抽出部20は、後述する押出部材70によるかすの除去後にピストン23に対してシリンダ22を上昇させることにより、次のコーヒー液の抽出に用いるコーヒー豆粉末をシリンダ22内に受け入れることができるように構成されている。
【0019】
抽出部フレーム21は、底面部211と、底面部211の左右両側縁からそれぞれ上方に延びる一対の側面部212と、を備え、前面、後面及び天面が開口するように構成されている。側面部212の前後方向中央には、上下に延びる内側スリット212Aが形成されている。なお、左側の側面部212の内側スリットは図示されていない。一対の側面部212における互いに対向する面には、それぞれ前後方向に延びるガイド部212Bが設けられている。
【0020】
右側の側面部212の下側付近の拡大図である図4に示されるように、底面部211における左右の後側の部位には、それぞれ上下方向に延びる回動軸211Aが設けられている。回動軸211Aの後側には、第1ばね受け部211Bが設けられている。回動軸211Aの前側かつ下方には、第2ばね受け部211Cが設けられている。
【0021】
飲料抽出装置1の一部の縦断面図である図5に示されるように、シリンダ22は、シリンダ本体221を備える。シリンダ本体221は、円筒状に形成されている。シリンダ本体221には、抜け止め部221Aが設けられている。抜け止め部221Aは、シリンダ本体221の下端からシリンダ本体221の内側に向けて突出するように形成され、ピストン23がシリンダ本体221から抜けることを防止する。また、シリンダ本体221の後側には、図2にも示されている湯取入部221Bが設けられている。湯取入部221Bは、シリンダ本体221の外周面から後方に突出するように形成され、シリンダ本体221の内部に湯を供給する。
【0022】
また、飲料抽出装置1の一部の斜視図である図6に示されるように、シリンダ本体221の左側および右側には、一対の被支持部221Cが設けられている。一対の被支持部221Cは、シリンダ本体221の外周面から左右にそれぞれ棒状に突出するように形成されている。
【0023】
図5及び図6に示されるように、シリンダ22は、シリンダ本体221を内部に収容する収容部材222を更に備える。収容部材222は、略四角柱状に形成されている。図5に示されるように、収容部材222には、貫通孔222Aが形成されている。貫通孔222Aは、収容部材222を上下方向に貫通し、その内径がシリンダ本体221の外径と略等しい形状に形成されている。貫通孔222Aの内部に、シリンダ本体221が収容される。
【0024】
図5に示されるように、収容部材222には、係止部222Bが形成されている。係止部222Bは、収容部材222の後面の上端から後側に突出するように形成されている。
【0025】
収容部材222には、後方連通溝222Cが形成されている。後方連通溝222Cは、収容部材222の後壁の下端から上方に延びるように形成され、貫通孔222Aと、収容部材222の外部とを連通するように構成されている。貫通孔222Aの内部に、シリンダ本体221が収容されると、図2および図5に示されるように、湯取入部221Bが、後方連通溝222Cを介して収容部材222の外側に突出する。
【0026】
また、図6に示されるように、収容部材222には、一対の側方連通溝222Dが形成されている。一対の側方連通溝222Dは、収容部材222の左右の側壁の下端から上方に延びるように形成され、貫通孔222Aと、収容部材222の外部とを連通するように構成されている。貫通孔222Aの内部に、シリンダ本体221が収容されると、一対の被支持部221Cが、それぞれ側方連通溝222Dを介して収容部材222の外側に突出する。
【0027】
収容部材222には、一対のかす案内部222Eが形成されている。一対のかす案内部222Eは、収容部材222の上面における左右の両側縁から、それぞれ上方に延びる板状に形成されている。一対のかす案内部222Eの間隔は、押出部材70の後述する押出体72の左右方向の長さとほぼ同じ長さである。一対のかす案内部222Eは、押出体72が前方に移動してシリンダ22よりも上側に露出したかすを除去する際、かすが押出体72の左右両側から外側に落下することを抑制する。収容部材222は、収容部材222の上面における貫通孔222Aの左右両側の部位によって、押出部材70の後述する一対の被押上げ部715(図5参照)を下方から支持する。
【0028】
図5に示されるように、ピストン23は、シリンダ本体221の内部で昇降するヘッド部231を備える。ヘッド部231は、その外径がシリンダ本体221の内径と略等しく、かつ、抜け止め部221Aの内径よりも大きい円柱状に形成されている。ヘッド部231は、シリンダ本体221と、コーヒー液を抽出するための抽出空間201を形成する。ヘッド部231の上面には、図示されないフィルタが配置されている。ヘッド部231の外周面には、Oリング231Aが配置されている。ヘッド部231の内部には、湯流通路231Bが形成されている。湯流通路231Bは、湯取入部221Bを介してシリンダ本体221の内部に供給された湯を、ヘッド部231の側面の一部に形成された開口を介してヘッド部231の内部に導き、ヘッド部231の上面に形成された複数の開口を介して抽出空間201に供給するように構成されている。
【0029】
図5及び図6に示されるように、ピストン23は、ヘッド部231から下方に延びる軸部232と、軸部232から水平方向に突出するピストン突出部233と、を更に備える。軸部232は、その外径が抜け止め部221Aの内径と略等しい円柱状に形成されている。ピストン突出部233は、軸部232の下端から円環板状に突出するように設けられている。
【0030】
キャップ24は、その外径がシリンダ本体221の内径と略等しい円柱状に形成され、シリンダ本体221内に挿入可能に構成されている。キャップ24の下面241には、図示されないフィルタが配置されている。キャップ24の外周面には、Oリング24Aが配置されている。キャップ24には、コーヒー液取出部24Bが設けられている。コーヒー液取出部24Bは、キャップ24の外周面から前方に突出するように形成されている。キャップ24の内部には、コーヒー液流通路24Cが形成されている。コーヒー液流通路24Cは、抽出空間201で抽出されたコーヒー液を、キャップ24の下面241の中央に形成された開口を介してキャップ24の内部に導き、コーヒー液取出部24Bを介して飲料抽出装置1の外部に取り出すことができるように構成されている。
【0031】
図1図3に示される昇降駆動部30は、ピストン23及びキャップ24に対してシリンダ22を昇降させる。昇降駆動部30は、1個の昇降モータ31と、一対の昇降機構32と、を備える。
【0032】
昇降モータ31は、一対の昇降機構32を駆動する。昇降モータ31は、フレーム10の右面部13に配置されている。昇降モータ31の回転軸には、モータ側プーリ31Aが固定されている。
【0033】
一対の昇降機構32のうち右側の昇降機構32は、フレーム10の右面部13に配置され、左側の昇降機構32は、左面部12に配置されている。各昇降機構32は、昇降軸321と、ナット322と、カップリング323と、を備える。
【0034】
各昇降軸321は、例えば、台形ねじにより構成され、上下に延びるように、かつ、回転できるように、左面部12及び右面部13にそれぞれ配置されている。各昇降軸321の下側の部位には、第1プーリ321Aが固定されている。一対の第1プーリ321Aには、第1駆動ベルト33が架け回されている。また、図1に示されるように、右面部13に配置された昇降軸321の第1プーリ321Aよりも上側の部位には、第2プーリ321Bが固定されている。第2プーリ321Bとモータ側プーリ31Aには、第2駆動ベルト34が架け回されている。
【0035】
各ナット322は、各昇降軸321に螺合されている。
【0036】
カップリング323は、例えば直方体形状に形成されている。カップリング323には、軸挿通孔323Aと、支持溝323Bと、が形成されている。軸挿通孔323Aは、カップリング323を上下方向に貫通するように形成されている。各カップリング323は、各軸挿通孔323Aに各昇降軸321がそれぞれ挿通され、かつ、左面部12又は右面部13との接触により回転が規制された状態で、各ナット322の上部に固定される。このような構成により、各カップリング323は、その姿勢を変えずに、昇降軸321の回転方向に応じて昇降する。支持溝323Bは、カップリング323の前端から中央に延びるように形成されている。各支持溝323Bは、その内部に嵌め込まれたシリンダ22の各被支持部221Cを支持する。
【0037】
以上のような構成により、昇降モータ31が駆動すると、その駆動力が第1駆動ベルト33及び第2駆動ベルト34を介して各昇降軸321に伝達される。各昇降軸321が同じ方向に同じ速度で回転することにより、各カップリング323で支持されたシリンダ22が昇降する。
【0038】
図1図3及び図5に示される原料供給部40は、抽出部20にコーヒー豆粉末を供給する。原料供給部40は、固定シュート41と、図示されないミルと、を備える。
【0039】
固定シュート41は、シュート本体411と、シュート基部412と、を備える。シュート本体411は、その内径がシリンダ本体221の内径以下の円筒状に形成されている。シュート基部412は、シュート本体411の下端から側方に突出するように設けられている。シュート基部412は、平面視で長方形形状に形成されている。固定シュート41は、シュート本体411とシリンダ本体221とが同軸上に位置するように、抽出部フレーム21の上端に固定される。
【0040】
飲料抽出装置1の一部の斜視断面図である図7に示されるように、シュート基部412には、振動発生用突部412Aが形成されている(なお、図7は、後述する可動シュート53が固定シュート41に対して移動する途中の状態を示している。よって、図7における可動シュート53と固定シュート41の位置関係は、図5における可動シュート53と固定シュート41の位置関係と異なっている)。振動発生用突部412Aは、振動部の一例であり、シュート基部412の下面の一部から下方に略半球状に突出するように形成されている。図5に示されるように、振動発生用突部412Aがシュート本体411の後側に位置する。
【0041】
ミルは、固定シュート41の上端に固定されている。ミルは、ミルモータ42(図14参照)の駆動により、図示されないキャニスタから供給されるコーヒー豆を挽いて、固定シュート41及び後述する可動シュート53を介して、コーヒー豆粉末を抽出部20に投入する。
【0042】
図1図3及び図6に示される移動部50は、キャップ24を、固定シュート41とシリンダ22の間の第1位置と、第1位置よりも前方の第2位置との間で移動させる。移動部50は、移動部材51を備える。
【0043】
図3に示されるように、移動部材51の左右の両側面の上端には、それぞれ前後方向に延びるガイド部511が設けられている。各ガイド部511が抽出部フレーム21のガイド部212Bにより下側から支持されることにより、移動部材51は、その上面が固定シュート41の下端に接近した状態を維持したまま、抽出部フレーム21に対して前後方向に移動することができる。
【0044】
図8は、移動部材51および押出部材70の平面図であり、図9は、図8のA-A線における縦断面図である。
【0045】
図8及び図9に示されるように、移動部材51は、移動基部52を備える。移動基部52には、原料通過孔521が形成されている。原料通過孔521は、移動基部52を上下方向に貫通し、下側の開口が下側下面52Dに位置するように形成されている。原料通過孔521は、その内径がシリンダ本体221の内径以下の円柱状に形成されている。移動基部52における原料通過孔521の周囲の部位は、原料通過孔521と、シュート本体411と、シリンダ本体221とが同軸上に位置するように移動部材51が移動することにより、固定シュート41を介して投入されるコーヒー豆粉末を抽出部20に案内する可動シュート53として機能する。可動シュート53は、移動部材51の移動に伴い、固定シュート41とシリンダ22の間の第1位置と、第1位置よりも後方の第3位置との間で移動する。
【0046】
移動基部52には、押出部材保持部522が更に形成されている。押出部材保持部522は、原料通過孔521の前側において、移動基部52を上下方向に貫通するように形成されている。押出部材保持部522は、平面視で長手方向が左右方向と平行な長方形状に形成されている。押出部材保持部522の形状については後述する。
【0047】
移動部材51は、キャップ保持部54を更に備える。キャップ保持部54は、移動基部52の前面の上端から外側に、長方形板状に延びるように設けられている。図1図2図5及び図6に示されるように、キャップ保持部54は、コーヒー液取出部24Bが前方に位置するように、キャップ24を上側から保持する。
【0048】
図8及び図9に示されるように、移動部材51は、レバー制御部55を更に備える。レバー制御部55は、移動基部52の後面に設けられている。レバー制御部55には、レバー用凹部551が形成されている。レバー用凹部551は、左右方向に延び、かつ、下方に凹むように形成されている。
【0049】
図9に示されるように、移動基部52は、前側の下側の部位が切り欠かれた略直方体形状に形成されている。移動基部52の前面は、上側前面52Aと、上側前面52Aの下側に位置する下側前面52Bと、を含む。また、移動基部52の下面は、上側前面52Aの下端と下側前面52Bの上端とをつなぐ上側下面52Cと、下側前面52Bの下端と移動基部52の後面の下端とをつなぐ下側下面52Dと、を含む。
【0050】
図10は、図8のB-B線における縦断面図である。
【0051】
図9及び図10に示されるように、押出部材保持部522は、下側の開口が上側下面52Cに位置するように形成されている。押出部材保持部522は、保持凹部522Aと、押出部材挿通孔522Bと、により構成されている。
【0052】
保持凹部522Aは、移動基部52の上面から上側下面52Cよりも所定距離上方の位置までの部分に形成されている。押出部材挿通孔522Bは、保持凹部522Aの底面に形成されている。押出部材挿通孔522Bは、その左右方向の中心が保持凹部522Aの底面の左右方向の中心と一致するように、かつ、その前後方向の長さが保持凹部522Aの前後方向の長さと同じになるように形成されている。押出部材挿通孔522Bの左右方向の長さは、保持凹部522Aの底面の左右方向の長さよりも短くなっている。押出部材挿通孔522Bの左右両側に位置する平面(保持凹部522Aの底面)は、押出部材70を下方から支持する支持部522Cとして機能する。
【0053】
移動部材51および押出部材70の正面図である図11に示されるように、上側前面52Aの左右方向中央の下側の部位には、切欠部521Aが形成されている。切欠部521Aは、押出部材70の後述する弾性部713の引っ掛け部714を移動基部52の外部に露出させる。
【0054】
図1図3及び図5に示されるように、移動部50は、移動駆動部56を更に備える。移動駆動部56は、移動部材51を前後方向に移動させる。移動駆動部56は、フレーム10の駆動部保持部材15に保持されている。移動駆動部56は、移動モータ561を備える。移動モータ561は、駆動部保持部材15の上に固定されている。図2図5及び図6に示されるように、移動駆動部56は、操作部材562を更に備える。操作部材562は、移動モータ561の回転軸に固定されている。操作部材562の外周面には、水平方向に延びるクランクレバー563が設けられている。クランクレバー563の先端には、下方に突出する形状に形成され、レバー用凹部551に嵌め込まれる嵌合ピン部563Aが設けられている。図6に示されるように、操作部材562の外周面におけるクランクレバー563よりも上側の部位には、スイッチ切替凹部564が設けられている。スイッチ切替凹部564は、クランクレバー563に対し、平面視で操作部材562の回転中心周り90°ずれた位置において、操作部材562の回転中心側に凹む形状に形成されている。
【0055】
また、図4及び図6に示されるように、飲料抽出装置1は、上昇規制部60を備える。上昇規制部60は、一対の当接部材61と、一対の規制制御部62と、を備える。上昇規制部60は、当接部材61をピストン突出部233に接触させることにより、シリンダ22の上昇に伴うピストン23の上昇を規制する。また、上昇規制部60は、当接部材61をピストン突出部233に接触させないことにより、シリンダ22の上昇に伴うピストン23の上昇を許容する。なお、上昇規制部60は、1つずつ又は3つ以上ずつの当接部材61及び規制制御部62を備えても良い。また、図4及び図6には、それぞれ一方ずつの当接部材61及び規制制御部62が図示されている。
【0056】
各当接部材61は、長方形板状に形成されている。図4に示されるように、各当接部材61の長手方向の一端側は、抽出部フレーム21に設けられた回動軸211Aに、回動可能に挿通されている。各当接部材61の回動先端側の部位は、当接部611を構成する。当接部611は、当接部材61の回動によりピストン23に対して接近し、ピストン突出部233の上面に接触することによりピストン23の上昇を規制する。各当接部材61の一端には、第3ばね受け部612が設けられている。第3ばね受け部612は、抽出部フレーム21の第1ばね受け部211Bと対向するように設けられている。
【0057】
図6に示されるように、各規制制御部62は、それぞれカム621を備える。各カム621は、移動基部52の下面における左右両端側に形成されている。各カム621は、移動基部52の後端から前後方向略中央に設けられたカム面621Aと、カム面621Aの前側に設けられたカム凹部621Bと、を備える。カム面621Aは、水平面である。カム凹部621Bは、上方に凹む形状に形成されている。カム凹部621Bは、前端が後端よりも上側に位置するように傾斜する傾斜平面と、傾斜平面よりも前側に位置する水平面とから構成される。
【0058】
図3図4及び図6に示されるように、各規制制御部62は、それぞれリンク部材622を更に備える。各リンク部材622は、スライド部622Aを備える。スライド部622Aは、長方形板状に形成されている。図3に示されるように、各スライド部622Aの両側縁部は、抽出部フレーム21の各側面部212に、上下方向にスライド可能に支持されている。図4及び図6に示されるように、スライド部622Aの下端には、下方に突出するピン部622Cが設けられている。
【0059】
図6に示されるように、各リンク部材622は、それぞれ操作用突部622Bを更に備える。各操作用突部622Bは、スライド部622Aにおける抽出部フレーム21の内部を向く面の中央から突出し、かつ、上下方向に延びるように設けられている。操作用突部622Bの上端は、カム621に接触するように構成されている。操作用突部622Bの下端側には、それぞれ各リンク部材622のスライド方向(往復移動方向)に対して傾斜する傾斜面622B1が設けられている。傾斜面622B1は、上端が下端よりも抽出部フレーム21の内部側に位置するように傾斜し、当接部材61に接触するように構成されている。スライド部622Aにおける傾斜面622B1の下側の部位は、当接部材61がピストン23から最も離れた場合に接触する離間位置接触部622A1を構成する。
【0060】
図4に示されるように、各規制制御部62は、それぞれ付勢部623を更に備える。各付勢部623は、当接部材付勢部624と、リンク部材付勢部625と、を備える。
【0061】
各当接部材付勢部624は、各当接部材61を各リンク部材622の傾斜面622B1に近づく方向、つまりピストン23から離れる方向に付勢する。各当接部材付勢部624は、第1ばね受け部211Bと第3ばね受け部612との間に配置され、第3ばね受け部612を第1ばね受け部211Bから離れる方向に付勢するコイルばねにより構成される。以下、当接部材付勢部624が発生させる当接部材61をピストン23から離れる方向に付勢する力を、第1付勢力と言う場合がある。
【0062】
各リンク部材付勢部625は、各リンク部材622を上方向に付勢する。以下、リンク部材付勢部625が発生させるリンク部材622を上方向に付勢する力を、第2付勢力と言う場合がある。各リンク部材付勢部625は、リンク部材622のピン部622Cに挿通され、スライド部622Aと第2ばね受け部211Cとの間に配置されたコイルばねにより構成される。
【0063】
図12Aは、押出部材70の正面図であり、図12Bは、図12AのC-C線における縦断面図である。
【0064】
飲料抽出装置1は、図12A及び図12Bに示されるように、押出部材70を備える。押出部材70は、シリンダ22の上側に露出されたピストン23上のコーヒー豆粉末のかすを除去する。押出部材70により除去されたかすは、フレーム10の下方に配置された回収用トレイにより回収される。押出部材70は、本体部材71を備える。
【0065】
本体部材71は、略長方形板状に形成されている。本体部材71の左右方向の両側面の上端側の部位には、それぞれ側方に突出する被支持部711が設けられている。本体部材71の中央には、縦長の開口712が形成されている。開口712内には、当該開口712の上端から下方に延びる板状の弾性部713が設けられている。弾性部713は、前後方向に弾性変形可能に構成されている。弾性部713の下側の部位には、前方に突出する引っ掛け部714が形成されている。引っ掛け部714は、上端が下端よりも後方に位置するように傾斜する上側傾斜面714Aと、上側傾斜面714Aの下側に位置し、上端が下端よりも前方に位置するように傾斜する下側傾斜面714Bと、を備える。本体部材71の下端における左右両端の部位には、それぞれ下方に突出する一対の被押上げ部715が設けられている。
【0066】
押出部材70は、押出体72を更に備える。押出体72は、弾性変形可能な材料である例えばゴムにより、長方形板状に形成されている。押出体72は、本体部材71の下側の部位に、板ワッシャ74を介してねじ75により取り付けられている。押出体72は、その下端が被押上げ部715の下端とほぼ同じ高さ位置となるように、本体部材71に取り付けられている。
【0067】
以上の構成を有する押出部材70は、本体部材71が自重により下降可能に押出部材保持部522に挿通される。図9及び図10に示されるように、押出部材70は、本体部材71の略長方形板状の両主面がそれぞれ前方及び後方を向くように、押出部材挿通孔522Bに挿通される。被支持部711が押出部材保持部522の支持部522Cに支持されることにより、押出部材70の下方向への移動が規制される。また、板ワッシャ74の上端と移動基部52の上側前面52Aとの接触により、押出部材70の上方への移動が規制される。
【0068】
また、本体部材71の左右方向の長さは、押出部材挿通孔522Bの左右方向の長さとほぼ同じ長さに設定されている。本体部材71の高さは、移動基部52の高さよりも若干低く設定されている。本体部材71の前後方向の長さは、押出部材挿通孔522Bの前後方向の長さよりも若干短く設定されている。つまり、本体部材71は、押出部材挿通孔522Bに挿通されたときに、前後に隙間が設けられるように形成されている。このような隙間を設けることにより、詳細は後述するが、押出部材70は、ピストン23上のコーヒー豆粉末のかすを除去する際に、図9に二点鎖線で示されるように、下端が上端よりも後方に位置するように傾く。
【0069】
飲料抽出装置1の一部の斜視断面図である図13に示されるように、押出部材70は、弾性部713の引っ掛け部714にシリンダ22の係止部222Bが係止された状態でシリンダ22が下降すると、シリンダ22と共に下降するように構成されている。このように、弾性部713は、係止部222Bと共に、ピストン23及びキャップ24に対するシリンダ22の下降に伴い、押出部材70を下方に付勢する押出部材付勢部73を構成する。
【0070】
飲料抽出装置1の制御系を示すブロック図である図14に示されるように、飲料抽出装置1は、検知部80と、制御部90と、を備える。
【0071】
検知部80は、上限位置検知センサ81と、抽出位置検知センサ82と、粉受位置検知センサ83と、下限位置検知センサ84と、前進位置検知スイッチ85と、後退位置検知スイッチ86と、を備える。
【0072】
上限位置検知センサ81は、シリンダ22が上限位置に到達したことを検知する。なお、シリンダ22の上限位置に到達するのは、飲料抽出装置1が正常に動作していない場合であるため、飲料抽出装置1が正常に動作している限り、上限位置検知センサ81がシリンダ22の上限位置を検知することはない。抽出位置検知センサ82は、コーヒー液を抽出するための抽出位置にシリンダ22が到達したことを検知する。粉受位置検知センサ83は、コーヒー豆粉末が投入される際の粉受位置(図5参照)にシリンダ22が到達したことを検知する。下限位置検知センサ84は、下限位置(図20参照)にシリンダ22が到達したことを検知する。
【0073】
図3に示されるように、各位置検知センサ81,82,83,84(上限位置検知センサ81、抽出位置検知センサ82、粉受位置検知センサ83及び下限位置検知センサ84)は、上から下に向かって当該順序に並ぶように、フレーム10の右面部13に配置されている。各位置検知センサ81,82,83,84は、フレーム10の後方に向けて検知光を発光し、カップリング323に配置された図示されない反射部により反射された検知光を受光部が受光した場合、受光信号を制御部90に出力する(各位置検知センサ81,82,83,84が検知の状態になる)。
【0074】
前進位置検知スイッチ85は、移動部材51が前進位置(例えば、図5及び図6参照)に位置することを検知する。移動部材51が前進位置に位置する場合、キャップ24が第2位置に位置する一方で、可動シュート53が第1位置に位置するため、コーヒー豆粉末をシリンダ22に投入することができる。後退位置検知スイッチ86は、移動部材51が後退位置(例えば、図17及び図18参照)に位置することを検知する。移動部材51が後退位置に位置する場合、キャップ24が第1位置に位置する一方で、可動シュート53が第3位置に位置するため、コーヒー豆粉末をシリンダ22に投入することができない。
【0075】
各位置検知スイッチ85,86(前進位置検知スイッチ85及び後退位置検知スイッチ86)は、駆動部保持部材15に配置されている。図6に示されるように、前進位置検知スイッチ85は、操作部材562に対して左側に配置され、後退位置検知スイッチ86は、操作部材562に対して右側に配置されている。各位置検知スイッチ85,86は、それぞれの対向する位置に操作部材562のスイッチ切替凹部564が位置する場合、オンになり、検知信号を制御部90に出力する。一方、各位置検知スイッチ85,86は、それぞれの対向する位置に操作部材562のスイッチ切替凹部564が位置しない場合、オフになり、検知信号を制御部90に出力しない。
【0076】
図14に示されるように、制御部90は、操作部18と、給湯部19と、ミルモータ42と、昇降モータ31と、移動モータ561と、上限位置検知センサ81と、抽出位置検知センサ82と、粉受位置検知センサ83と、下限位置検知センサ84と、前進位置検知スイッチ85と、後退位置検知スイッチ86と、の間で各種信号を送受信できるように構成されている。制御部90には、飲料抽出装置1を制御するためのプログラム、データ等を記憶する記憶部91が接続されている。制御部90は、ユーザによる操作部18の操作及び記憶部91に記憶されたプログラム等に基づいて、飲料抽出装置1全体を制御する。制御部90が行う制御については後述する。
【0077】
<飲料抽出装置の動作>
次に、飲料抽出装置1の動作として、飲料提供処理について説明する。なお、以下の説明において、飲料抽出装置1の動作の流れについては、飲料提供処理のタイミングチャートである図15、及び、飲料提供処理のフローチャートである図16を、主に参照して説明する。
【0078】
まず、ユーザによる操作部18を用いたコーヒーの提供を開始する旨の操作が行われるまでは、飲料抽出装置1は、図5及び図6に示されるように、シリンダ22が粉受位置に位置し、押出部材70がシリンダ22の上方の上昇位置に位置し、移動部材51が前進位置に位置する状態になっている。また、上昇規制部60は、図6に示されるように、当接部611がピストン突出部233の上方に位置し、シリンダ22の上昇に伴うピストン23の上昇を規制している。また、各位置検知センサ82,83,84、各位置検知スイッチ85,86は、それぞれ図15に示される状態になっている。
【0079】
制御部90は、ユーザによるコーヒー(コーヒー液)の提供を開始する旨の操作を検出すると(ステップS1(図16参照))、抽出空間201へのコーヒー豆粉末の投入を行う(ステップS2)。制御部90は、時刻T1から時刻T2の期間(図15参照)において、ミルモータ42を駆動して、キャニスタから供給されるコーヒー豆をミルで挽き、固定シュート41及び可動シュート53を介して、コーヒー豆粉末C0(図17参照)を抽出空間201へ投入する。
【0080】
コーヒー豆粉末C0の抽出空間201への投入が終了すると、制御部90は、移動部材51を後退位置へ移動させるように移動モータ561を駆動して、キャップ24を第1位置に位置させる(ステップS3(図16参照))。移動モータ561は、時刻T2から時刻T3の期間(図15参照)において、操作部材562を、図5及び図6に示される状態から、例えば、平面視で時計回り方向に180°回転させる。操作部材562が回転すると、スイッチ切替凹部564が後方に回転すると共に、クランクレバー563が円弧を描くように後方に回動する。スイッチ切替凹部564の後方への回転に伴い、前進位置検知スイッチ85は、オンからオフに切り替わる。また、クランクレバー563の後方への回動に伴い、レバー制御部55が嵌合ピン部563Aにより後方へ押され、その結果、移動部材51が後方へ移動する。スイッチ切替凹部564が後退位置検知スイッチ86に対向する位置に到達し、後退位置検知スイッチ86が、オフからオンに切り替わると、制御部90は、移動モータ561の駆動を停止する。その結果、キャップが第1位置に位置する状態における飲料抽出装置1の縦断面図である図17、及び、キャップが第1位置に位置する状態における飲料抽出装置1の斜視図である図18に示されるように、キャップ24が第1位置に到達する。
【0081】
また、移動部材51の後方への移動が開始される前において、図6に示されるように、リンク部材622は、その上端とカム621のカム面621Aとの当接により、上方へのスライドが規制されている。このとき、当接部材61は、その回動基端側の部位が操作用突部622Bの傾斜面622B1に接触し、かつ、ピストン突出部233の上方に位置する当接部611がピストン23の上昇を規制している。
【0082】
移動部材51が後方へ移動し、リンク部材622の上端がカム621のカム凹部621Bの下方に到達すると、カム621によるリンク部材622の上方へのスライドの規制が解除される。そして、リンク部材622は、リンク部材付勢部625が発生させる第2付勢力により、上方へスライドする。リンク部材622が上方へスライドすると、当接部材61と傾斜面622B1との接触位置が傾斜面622B1の下側へ移動し、この接触位置の移動に伴い、当接部材付勢部624が発生させる第1付勢力により当接部材61が回動する。この回動によって、当接部611がピストン23から離れる方向へ移動する。そして、図18に示されるように、当接部611によるピストン23の上昇の規制が解除される。
【0083】
上昇規制部60は、ピストン23の外周面に対して接離可能に構成された当接部611をピストン23に接触させることにより、シリンダ22の上昇に伴うピストン23の上昇を規制する一方で、当接部611をピストン23から離すことにより、シリンダ22の上昇に伴うピストン23の上昇を許容する。このため、ピストン23の上昇を規制する当接部611を、ピストン23の下方ではなく、抽出部フレーム21に従来から存在するピストン23の側方のスペースに配置することができ、飲料抽出装置1の高さ方向及び水平方向(前後左右方向)の寸法が大きくなることを抑制することができる。特に、当接部611をピストン突出部233の上方に位置させることにより、ピストン23の上昇を規制するため、確実にピストン23の上昇を規制することができる。
【0084】
また、規制制御部62は、移動部材51の後方への移動に同期させて、つまりキャップ24の第2位置から第1位置への移動に同期させて、当接部611によるピストン23の上昇の規制を解除する。このため、後述するように、飲料抽出装置1は、移動部材51の後方への移動後に、昇降モータ31の駆動を開始するだけで、シリンダ22及びピストン23を上昇させてタンピングを行うことができ、キャップ24を第1位置へ移動させる前又は移動させた後にピストン23の上昇規制を解除する構成と比べて、早いタイミングでタンピングを開始することができる。したがって、飲料の提供時間の短縮を図ることができる。
【0085】
また、移動部材51が後方へ移動すると、移動部材51のカム621により規制制御部62のリンク部材622が上方へスライドする。このリンク部材622の上方へのスライドに伴い、リンク部材622の傾斜面622B1に接触している当接部材61が回動し、当接部611がピストン23から離れる。このように、規制制御部62として、移動部材51の後方への移動に伴うキャップ24の移動を、当接部611の移動に変換する構成を適用することにより、リンク部材622及び当接部611のみを移動させる駆動源を飲料抽出装置1に配置する必要がなくなる。その結果、飲料抽出装置1の構成の簡略化及び軽量化を図ることができる。特に、キャップ24の移動を当接部611の移動に変換する構成として、カム621と、傾斜面622B1を有するリンク部材622とを適用しているため、飲料抽出装置1の構成の更なる簡略化を図ることができる。
【0086】
更に、カム621を、移動基部52の下面に形成されたカム面621A及びカム凹部621Bにより構成している。このため、カム621を容易に形成することができる。また、リンク部材付勢部625によりリンク部材622を上方に付勢すると共に、当接部材付勢部624により当接部材61を当接部611がピストン23から離れるように付勢している。このため、リンク部材622をカム凹部621Bに確実に接触させつつ上昇させることができると共に、当接部材61を傾斜面622B1に確実に接触させつつ当接部611をピストン23から離すことができる。なお、リンク部材付勢部625を設けずに、当接部材付勢部624が発生させる第1付勢力により、当接部611をピストン23から離れる方向へ移動させると共に、当接部611の移動に伴い、リンク部材622を上方へスライドさせるようにしても良い。
【0087】
また、移動部材51が後方へ移動するとき、押出部材70は、押出体72及び被押上げ部715が収容部材222の上面により支持された状態で後方へ移動する。そして、キャップ24が第1位置に到達すると、押出部材70が収容部材222よりも後方に到達し、収容部材222による押出部材70の支持が解除される。押出部材70の支持が解除されると、押出部材70は、図17に示されるように、例えば押出部材挿通孔522Bの内周面との間の摩擦力によって上昇位置で静止するか、自重により下降する。押出部材70が自重により下降する場合、押出部材70は、引っ掛け部714がシリンダ22の係止部222Bに接触する位置を下限位置として、上昇位置と下限位置の間のどこかに位置する。
【0088】
さらに、移動部材51が後方へ移動するとき、掻き取り部14がキャップ24の下面241に接触する。下面241にかすC1(図20参照)が付着している場合、当該かすC1が掻き取られるため、前回提供したコーヒー豆粉末のかすC1が、次に提供するコーヒー液のコーヒー豆粉末C0と混ざることを抑制することができ、コーヒー液の品質低下を抑制することができる。
【0089】
また、移動部材51が後方へ移動するとき、振動発生用突部412Aが、移動部材51の上面における原料通過孔521よりも後側の部位に接触する状態から、原料通過孔521内に位置する状態、つまり可動シュート53の上側の開口縁の移動軌跡よりも下側に位置する状態に移行する。その後、移動部材51がさらに後方へ移動すると、振動発生用突部412Aが原料通過孔521内に位置する状態から、移動部材51の上面における原料通過孔521よりも前側の部位に接触する状態に移行する。この接触の際に、可動シュート53(移動部材51)が振動し、原料通過孔521の内周面にコーヒー豆粉末C0が付着している場合、当該付着しているコーヒー豆粉末C0が離脱する。
【0090】
このように、飲料抽出装置1は、キャップ24を第2位置から第1位置に移動させる処理と、原料通過孔521の内周面に付着したコーヒー豆粉末C0を離脱させる処理とを同時に行うことができる。また、振動部として振動発生用突部412Aを適用しているため、簡単な構成で原料通過孔521の内周面に付着したコーヒー豆粉末C0を離脱させることができる。
【0091】
次に、制御部90は、シリンダ22を上昇させてタンピングを行う(ステップS4(図16参照))。制御部90は、時刻T3から所定時間経過後の時刻T4(図15参照)に、シリンダ22が上昇するように昇降モータ31の駆動を開始する。シリンダ22の上昇の際、当接部611によるピストン23の上昇の規制が解除されているため、ピストン23もシリンダ22と共に上昇する。また、シリンダ22の上昇が開始されると、粉受位置検知センサ83が検知状態から非検知状態に移行する一方で、抽出位置検知センサ82が一時的に非検知状態から検知状態に移行する。そして、飲料抽出装置1の縦断面図である図19に示されるように、キャップ24がシリンダ22内に挿入された状態となる。時刻T5に、昇降モータ31に流れる電流が所定値に達すると、制御部90は、コーヒー豆粉末C0の圧縮状態が所定状態になってタンピングが終了したことを検知する。制御部90は、タンピングが終了したことを検知すると、昇降モータ31の駆動を停止する。
【0092】
また、シリンダ22の上昇に伴い、まず、係止部222Bが押出部材70の引っ掛け部714の下側傾斜面714Bに接触する。さらにシリンダ22が上昇すると、押出部材70は、下側傾斜面714Bが係止部222Bに接触した状態を維持したまま、板ワッシャ74の上端と移動基部52の上側前面52Aの下部との接触により上昇が規制されるまで上昇する。さらにシリンダ22が上昇すると、係止部222Bと下側傾斜面714Bとの接触位置が上方へ移動し、この接触位置の移動に伴い、弾性部713が弾性変形して引っ掛け部714が後方へ移動する。さらにシリンダ22が上昇し、係止部222Bが下側傾斜面714Bよりも上方に位置すると、弾性部713及び引っ掛け部714が元の状態へ復帰する。係止部222Bが下側傾斜面714Bよりも上方に位置する場合、押出部材70は、図19に示されるように、例えば押出部材挿通孔522Bの内周面との摩擦力によって上昇位置で静止するか、自重により下降する。押出部材70が自重により下降する場合、押出部材70は、その下端が湯取入部221Bに接触する位置を下限位置として、上昇位置と下限位置の間のどこかに位置する。
【0093】
次に、制御部90は、コーヒー液を抽出する(ステップS5(図16参照))。制御部90は、時刻T5から所定時間経過後の時刻T6から時刻T7までの期間(図15参照)と、時刻T7から所定時間経過後の時刻T8から時刻T9までの期間に、給湯部19を駆動し、加圧した湯を抽出空間201に供給することにより、コーヒー液を抽出する。抽出されたコーヒー液は、キャップ24のコーヒー液取出部24Bから取り出され、図示されないカップに供給される。
【0094】
コーヒー液の抽出が終了すると、制御部90は、シリンダ22を下限位置へ移動させて、ピストン23上のかすをシリンダ22の上側に露出させる(ステップS6(図16参照))。制御部90は、時刻T9から所定時間経過後の時刻T10(図15参照)に、シリンダ22が下降するように昇降モータ31の駆動を開始する。シリンダ22の下降の際、ピストン23も下降し、ピストン23の下端が底面部211に接触すると、シリンダ22のみが下降する。また、シリンダ22の下降が開始されると、抽出位置検知センサ82が一時的に非検知状態から検知状態に移行した後、粉受位置検知センサ83が一時的に非検知状態から検知状態に移行する。そして、制御部90は、時刻T11において、下限位置検知センサ84が非検知状態から検知状態に移行すると、昇降モータ31の駆動を停止する。その結果、飲料抽出装置1の縦断面図である図20に示されるように、ピストン23の上面が収容部材222の上面とほぼ同じ高さ位置(収容部材222の上面と同じ高さ位置又は収容部材222の上面よりも若干上方の高さ位置)に位置し、かすC1がシリンダ22の上側に露出された状態になる。
【0095】
また、押出部材70が摩擦力により、下限位置よりも上側(例えば上昇位置)で静止している場合、押出部材70は、シリンダ22の下降に伴い、押出部材付勢部73により下方に付勢されて下降する。まず、シリンダ22の下降に伴い、係止部222Bが押出部材70の引っ掛け部714の上側傾斜面714Aに接触する。さらにシリンダ22が下降すると、押出部材70は、上側傾斜面714Aが係止部222Bに接触した状態を維持したまま、被支持部711が押出部材保持部522の支持部522Cにより支持されるまで下降する。さらにシリンダ22が下降すると、係止部222Bと上側傾斜面714Aとの接触位置が下方へ移動し、この接触位置の移動に伴い、弾性部713が弾性変形して引っ掛け部714が後方へ移動する。さらにシリンダ22が下降し、係止部222Bが上側傾斜面714Aよりも下方に位置すると、弾性部713及び引っ掛け部714が元の状態へ復帰する。シリンダ22の下降が終了すると、収容部材222及びピストン23の上面は、押出体72及び被押上げ部715の下端とほぼ同じ高さ位置に位置する。
【0096】
このように、押出部材70が摩擦力により、下限位置よりも上側(例えば上昇位置)で静止している場合であっても、押出部材付勢部73により、シリンダ22の下降に伴い押出部材70を強制的に下降させることができる。特に、シリンダ22に設けられる押出部材付勢部73として、係止部222Bを適用しているため、係止部222Bを押出部材70に係止させるだけの簡単な構成で、押出部材70を強制的に下降させることができる。更に、押出部材70に設けられる押出部材付勢部73として、係止部222Bが係止する弾性部713を適用しているため、シリンダ22を一方向に下降させるだけの簡単な構成で、弾性部713を弾性変形させ、押出部材70に対する係止部222Bの係止を解除することができる。
【0097】
一方、押出部材70が自重により湯取入部221Bに接触するまで下降している場合、シリンダ22の下降に伴い、押出部材70は、被支持部711が押出部材保持部522の支持部522Cにより支持されるまで、自重によって下降する。さらにシリンダ22が下降すると、押出部材70が摩擦力により上昇位置で静止している場合と同様に、係止部222Bと上側傾斜面714Aとの接触位置の下方への移動に伴い、弾性部713が弾性変形して、係止部222Bが上側傾斜面714Aよりも下方に位置する状態になる。シリンダ22の下降が終了すると、収容部材222及びピストン23の上面は、押出体72及び被押上げ部715の下端とほぼ同じ高さ位置に位置する。
【0098】
次に、制御部90は、移動モータ561を駆動して、移動部材51を前進位置へ移動させながら、ピストン23上のかすC1を除去する(ステップS7(図16参照))。移動モータ561は、時刻T11から所定時間経過後の時刻T12から、時刻T13の期間(図15参照)において、操作部材562を、図18に示される状態から、例えば、平面視で反時計回り方向に180°回転させる。操作部材562が回転すると、スイッチ切替凹部564が後方に回転すると共に、クランクレバー563が円弧を描くように前方に回動する。スイッチ切替凹部564の後方への回転に伴い、後退位置検知スイッチ86は、オンからオフに切り替わる。また、クランクレバー563の前方への回動に伴い、レバー制御部55が嵌合ピン部563Aにより前方へ押され、その結果、移動部材51が前方へ移動する。スイッチ切替凹部564が前進位置検知スイッチ85に対向する位置に到達し、前進位置検知スイッチ85が、オフからオンに切り替わると、制御部90は、移動モータ561の駆動を停止する。その結果、ピストン上のかすを除去した後における飲料抽出装置1の縦断面図である図21に示されるように、キャップ24が第2位置に到達すると共に、可動シュート53が第1位置に到達する。
【0099】
また、移動部材51が前方へ移動するとき、押出部材70は、収容部材222の上面に接触した状態で移動する押出体72によって、シリンダ22上のかすC1をシリンダ22の前方へ押し出して除去する。このかすC1の押し出しの際、上述したように、押出部材70の本体部材71と押出部材挿通孔522Bの前後の内周面との間に隙間が設けられているため、かすC1とピストン23との間又は押出体72とピストン23との間に発生する摩擦力によって、図9に二点鎖線で示されるように、押出部材70は、下端が上端よりも後方に位置するように傾く。つまり、押出部材70は、当該押出部材70の押出部材挿通孔522Bへの挿通方向に平行な線に対して傾く。このため、押出部材70に対して上方への付勢力が作用しても、押出部材70が押出部材挿通孔522B内で上昇することが抑制される。その結果、押出体72の移動中に、当該押出体72が収容部材222から離れることが抑制され、除去されないかすC1の量を減らすことができる。移動部材51の移動が終了すると、被押上げ部715が収容部材222により支持された状態になる。
【0100】
このように、かすC1を除去する構成として、移動部50の押出部材保持部522により、キャップ24に対して押出部材70を昇降可能に保持し、押出部材70を下降させた状態でキャップ24及び押出部材70を前方に移動させることにより、かすC1を押し出す構成を適用している。このため、シリンダ22の移動軌跡を避けた位置に、押出部材70を保持する部材の待機スペースを設ける必要が無くなり、飲料抽出装置1の水平方向の寸法が大きくなってしまうことを抑制することができる。
【0101】
また、移動部材51を前方へ移動させることにより、つまりキャップ24を第1位置から第2位置に移動させることにより、押出部材70でかすC1を押し出す処理と、固定シュート41から抽出空間201にコーヒー豆粉末C0を投入可能な状態にする処理とを同時に行うことができる。更に、飲料抽出装置1は、キャップ24を第1位置から第2位置に移動させることにより、可動シュート53を第3位置から第1位置に移動させるように構成されている。このため、飲料抽出装置1は、押出部材70によるかすC1の押し出し終了後に、シリンダ22を上昇させるだけで、可動シュート53を介して固定シュート41から抽出空間201にコーヒー豆粉末C0を投入することができ、販売時間を短縮することができる。
【0102】
また、移動部材51が前方へ移動するとき、掻き取り部14がキャップ24の下面241に接触する。下面241にかすC1が付着している場合、当該かすC1が掻き取られるため、直前に提供したコーヒー液のかすC1が下面241に固着してしまうことを抑制することができる。特に、低圧抽出の(ドリップ風味の)コーヒー液を抽出する場合、抽出後のかすC1に含まれる水分が多いため、かすC1が下面241に残る量がエスプレッソを抽出する場合と比べて多くなりやすく、掻き取り部14を設けることにより得られる効果が大きい。
【0103】
さらに、移動部材51が前方へ移動するとき、振動発生用突部412Aが、移動部材51の上面における原料通過孔521よりも前側の部位に接触する状態から、原料通過孔521内に位置する状態に移行する。その後、移動部材51がさらに前方へ移動すると、振動発生用突部412Aが原料通過孔521内に位置する状態から、移動部材51の上面における原料通過孔521よりも後側の部位に接触する状態に移行する。
【0104】
また、移動部材51の前方への移動が開始される前において、図18に示されるように、当接部611によるピストン23の上昇の規制が解除されている。この状態から移動部材51が前方へ移動し、リンク部材622の上端とカム621との接触位置がカム凹部621Bの傾斜面からカム面621Aに移動するときに、リンク部材622は、リンク部材付勢部625による第2付勢力に抗して下降する。リンク部材622が下降すると、当接部材61と傾斜面622B1との接触位置が傾斜面622B1の上側へ移動し、この接触位置の移動に伴い、当接部材付勢部624による第1付勢力に抗して、当接部材61が回動する。この回動によって、当接部611がピストン23に近づく方向へ移動する。そして、図6に示されるように、ピストン突出部233の上方に位置する当接部611によって、ピストン23の上昇が規制される。
【0105】
このように、規制制御部62は、移動部材51への前方への移動に同期させて、つまりキャップ24の第1位置から第2位置への移動に同期させて、当接部611によるピストン23の上昇の規制を解除していない状態が規制する状態に移行させる。このため、後述するように、飲料抽出装置1は、移動部材51への前方への移動後に、昇降モータ31の駆動を開始するだけで、ピストン23に対してシリンダ22を上昇させて抽出空間201を形成することができる。
【0106】
かすC1の除去が終了すると、制御部90は、シリンダ22を粉受位置へ移動させる(ステップS8(図16参照))。制御部90は、時刻T13から所定時間経過後の時刻T14(図15参照)に、シリンダ22が上昇するように昇降モータ31の駆動を開始する。シリンダ22の上昇の際、当接部611によってピストン23の上昇が規制されているため、シリンダ22のみが上昇する。また、シリンダ22の上昇が開始されると、下限位置検知センサ84が検知状態から非検知状態に移行する。そして、制御部90は、時刻T15において、粉受位置検知センサ83が非検知状態から検知状態に移行すると、昇降モータ31の駆動を停止する。その結果、図5及び図6に示されるように、シリンダ22が粉受位置に到達すると共に、抽出空間201が形成される。また、被押上げ部715が収容部材222により支持された押出部材70は、シリンダ22と共に上昇する。以上により、飲料の提供処理が終了する。
【0107】
このように、シリンダ22の上昇に伴い押出部材70を上昇させる構成にすることにより、押出部材70を上昇させる機能のみを有する構成を飲料抽出装置1に設ける必要がなくなる。
【0108】
また、キャップ24及び可動シュート53を前後に往復移動させることにより、キャップ24又は可動シュート53を第1位置に位置させる構成にしているため、固定シュート41と可動シュート53との隙間を極めて小さくすることができる。さらに、シリンダ22が粉受位置に位置する際のシリンダ22と可動シュート53との隙間を極めて小さくすることができる。したがって、コーヒー豆粉末C0を抽出空間201に投入する際に、固定シュート41と可動シュート53との間、及び、可動シュート53とシリンダ22との間から、コーヒー豆粉末C0が飛散することを抑制することができる。また、キャップ24を可動シュート53の移動経路の上方に固定する構成と比べて、飲料抽出装置1の高さ方向の寸法を小さくすることができる。よって、飲料抽出装置1の高さ方向の寸法が大きくなることを抑制しつつ、コーヒー豆粉末C0を適切にシリンダ22に供給可能な飲料抽出装置1を提供することができる。特に、シリンダ22、固定シュート41及び可動シュート53が鉛直方向に並ぶように構成されているため、固定シュート41を介して投入されたコーヒー豆粉末C0が可動シュート53内に付着して、シリンダ22に供給されないという不具合の発生を抑制することができる。
【0109】
[実施形態の変形例]
本開示は、これまでに説明した実施形態に示されたものに限られないことはいうまでもなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の変形を加えることができる。また、上記実施の形態および以下に示す変形例は、正常に機能する限り、どのように組み合わせても良い。
【0110】
本開示の振動部として、固定シュート41のみに形成された振動発生用突部412Aを例示したが、移動部材51の上面にも突部を形成し、可動シュート53の移動中に移動部材51の突部に振動発生用突部412Aを乗り上げさせることにより、可動シュート53を振動させても良い。
【0111】
掻き取り部14及び振動発生用突部412Aの少なくとも一方を、飲料抽出装置1に設けなくてもよい。
【0112】
本開示のシリンダとして、シリンダ本体221と収容部材222とで構成されたシリンダ22を例示したが、1つの部材で構成されたシリンダを適用しても良い。
【0113】
本開示の飲料抽出装置は、原料と水とを用いて飲料を抽出する装置であっても良い。更に、本開示の飲料を抽出するための原料は、紅茶、緑茶、烏龍茶等の茶葉であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本開示は、飲料抽出装置に適用できる。
【符号の説明】
【0115】
1 飲料抽出装置
10 フレーム
11 底面部
12 左面部
13 右面部
14 掻き取り部
15 駆動部保持部材
16 後側配管コネクタ
17 前側配管コネクタ
18 操作部
19 給湯部
20 抽出部
21 抽出部フレーム
22 シリンダ
23 ピストン
24 キャップ
24A Oリング
24B コーヒー液取出部
24C コーヒー液流通路
30 昇降駆動部
31 昇降モータ
31A モータ側プーリ
32 昇降機構
33 第1駆動ベルト
34 第2駆動ベルト
40 原料供給部
41 固定シュート
42 ミルモータ
50 キャップ移動部(移動部)
51 移動部材
52 移動基部
52A 上側前面
52B 下側前面
52C 上側下面
52D 下側下面
53 可動シュート
54 キャップ保持部
55 レバー制御部
56 移動駆動部
60 上昇規制部
61 当接部材
62 規制制御部
70 押出部材
71 本体部材
72 押出体
73 押出部材付勢部
74 板ワッシャ
75 ねじ
80 検知部
81 上限位置検知センサ
82 抽出位置検知センサ
83 粉受位置検知センサ
84 下限位置検知センサ
85 前進位置検知スイッチ
86 後退位置検知スイッチ
90 制御部
91 記憶部
121 外側スリット
201 抽出空間
211 底面部
211A 回動軸
211B 第1ばね受け部
211C 第2ばね受け部
212 側面部
212A 内側スリット
212B ガイド部
221 シリンダ本体
221A 抜け止め部
221B 湯取入部
221C 被支持部
222 収容部材
222A 貫通孔
222B 係止部
222C 後方連通溝
222D 側方連通溝
222E かす案内部
231 ヘッド部
231A Oリング
231B 湯流通路
232 軸部
233 ピストン突出部
241 下面
321 昇降軸
321A 第1プーリ
321B 第2プーリ
322 ナット
323 カップリング
323A 軸挿通孔
323B 支持溝
411 シュート本体
412 シュート基部
412A 振動発生用突部
511 ガイド部
521 原料通過孔
521A 切欠部
522 押出部材保持部
522A 保持凹部
522B 押出部材挿通孔
522C 支持部
551 レバー用凹部
561 移動モータ
562 操作部材
563 クランクレバー
563A 嵌合ピン部
564 スイッチ切替凹部
611 当接部
612 第3ばね受け部
621 カム
621A カム面
622A1 離間位置接触部
621B カム凹部
622 リンク部材
622A スライド部
622B 操作用突部
622B1 傾斜面
622C ピン部
623 付勢部
624 当接部材付勢部
625 リンク部材付勢部
711 被支持部
712 開口
713 弾性部
714 引っ掛け部
714A 上側傾斜面
714B 下側傾斜面
715 被押上げ部
C0 コーヒー豆粉末
C1 かす
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21